JP2020068238A - 熱電素子、発電装置、電子機器、及び熱電素子の製造方法 - Google Patents

熱電素子、発電装置、電子機器、及び熱電素子の製造方法 Download PDF

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博史 後藤
坂田 稔
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Abstract

【課題】熱電素子の中間部の充填が容易できる熱電素子、熱電装置、電子機器、及び熱電素子の製造方法を提供する。【解決手段】収容部3と、収容部3に達する少なくとも1つの孔17と、を有する筐体2と、収容部3に設けられた第1電極部13と、第1電極部13と離間して対向し、第1電極部13とは異なった仕事関数を有する第2電極部14と、第1電極部13と、第2電極部14との間に設けられ、第1電極部13の仕事関数と第2電極部14の仕事関数との間の仕事関数を有するナノ粒子18を含む中間部16と、を備えることを特徴とする。【選択図】図1

Description

この発明は、熱エネルギーを電気エネルギーに変換する熱電素子、発電装置、電子機器、及び熱電素子の製造方法に関する。
近年、熱エネルギーを利用して電気エネルギーを生成する熱電素子の開発が盛んに行われている。特許文献1には、仕事関数差を有する電極間に発生する、絶対温度による電子放出現象を利用した熱電素子が開示されている。このような熱電素子は、電極間の温度差(ゼーベック効果)を利用した熱電素子に比較して、電極間の温度差が小さい場合であっても発電可能である。このため、より様々な用途への利用が期待されている。
特許文献1には、エミッタ電極層と、コレクタ電極層と、エミッタ電極層及びコレクタ電極層の表面に分散して配置され、エミッタ電極層とコレクタ電極層とをサブミクロン間隔で離間する電気絶縁性の球状ナノビーズとを備え、エミッタ電極層の仕事関数はコレクタ電極層の仕事関数よりも小さく、球状ナノビーズの粒子径は100nm以下である熱電素子が開示されている。
特許第6147901号公報
特許文献1に開示の技術では、前記球状ナノビーズの粒子を用いた熱電素子の電極構造は、一対の電極部の間に微細なギャップを構成するもので、ナノビーズを用いて微小ギャップ量を形成している。このような特許文献1に記載のギャップ構造では、微小ギャップの間に複数のナノビーズが配置されるため、熱電素子を形成する中間部へのナノ粒子の充填が困難であった。
特に、実用化又は量産化にあたっては、熱電素子を形成する中間部へのナノ粒子の充填を考慮した構造及び製造プロセスが重要であり、これらが複雑となると、製造プロセスコストの増大につながり、実用性を低下させる原因となる。
そこで本発明は、上述した問題に鑑みて案出されたものであり、その目的とするところは、中間部の充填が容易でき、製造プロセスの簡易化を実現できる熱電素子、熱電装置、電子機器、及び熱電素子の製造方法を提供することにある。
第1発明に係る熱電素子は、収容部と、前記収容部に達する少なくとも1つの孔と、を有する筐体と、前記収容部に設けられた第1電極部と、前記第1電極部と離間して対向し、前記第1電極部とは異なった仕事関数を有する第2電極部と、前記第1電極部と、前記第2電極部との間に設けられ、前記第1電極部の仕事関数と前記第2電極部の仕事関数との間の仕事関数を有するナノ粒子を含む中間部と、を備えることを特徴とする。
第2発明に係る熱電素子は、第1発明において、前記筐体は、前記第1電極部と接する第1基板と、前記第2電極部と接し、前記第1基板と離間する第2基板と、前記第1基板と、前記第2基板との間に設けられた支持部と、を含み、前記第1電極部は、前記第1基板と、前記支持部との間に設けられ、前記第2電極部は、前記第2基板と、前記支持部との間に設けられることを特徴とする。
第3発明に係る熱電素子は、第1発明において、前記筐体は、前記収容部に対応した凹部を有する第1基板と、前記凹部の上に設けられた第2基板と、を含み、前記第1電極部及び前記第2電極部のそれぞれは、前記凹部に設けられていることを特徴とする。
第4発明に係る熱電素子は、第3発明において、前記第1電極部又は前記第2電極部の何れかと電気的に接続され、第1方向に延在する一対の引出配線をさらに備えることを特徴とする。
第5発明に係る熱電素子は、第1発明〜第4発明の何れかにおいて、前記孔は、前記筐体に、対向及び対角の少なくとも何れかの位置に少なくとも2つ設けられ、前記孔を覆う封止部をさらに備えることを特徴とする。
第6発明に係る熱電素子は、第1発明〜第5発明の何れかにおいて、前記第1電極部と、前記第2電極部との間の電極間ギャップは、10μm以下であり、前記ナノ粒子の直径は、前記電極間ギャップの1/10以下であることを特徴とする。
第7発明に係る熱電素子は、第1発明〜第6発明の何れかにおいて、前記ナノ粒子は、表面に設けられた絶縁膜を有し、前記絶縁膜の厚さは、20nm以下であることを特徴とする。
第8発明に係る熱電素子は、第1発明〜第7発明の何れかにおいて、前記中間部は、60℃以上の沸点を有する溶媒を含むことを特徴とする。
第9発明に係る熱電素子は、第1発明〜第7発明の何れかにおいて、前記中間部は、前記ナノ粒子のみが充填された状態を示すことを特徴とする。
第10発明に係る発電装置は、熱エネルギーを電気エネルギーに変換する熱電素子を備えた発電装置であって、前記熱電素子は、収容部と、前記収容部に達する少なくとも1つの孔と、を有する筐体と、前記収容部に設けられた第1電極部と、前記第1電極部と離間して対向し、前記第1電極部とは異なった仕事関数を有する第2電極部と、前記第1電極部と、前記第2電極部との間に設けられた、前記第1電極部の仕事関数と前記第2電極部の仕事関数との間の仕事関数を有するナノ粒子を含む中間部と、を備えることを特徴とする。
第11発明に係る電子機器は、熱エネルギーを電気エネルギーに変換する熱電素子と、前記熱電素子を電源に用いて駆動させることが可能な電子部品と、を含む電子機器であって、前記熱電素子は、収容部と、前記収容部に達する少なくとも1つの孔と、を有する筐体と、前記収容部に設けられた第1電極部と、前記第1電極部と離間して対向し、前記第1電極部とは異なった仕事関数を有する第2電極部と、前記第1電極部と、前記第2電極部との間に設けられた、前記第1電極部の仕事関数と前記第2電極部の仕事関数との間の仕事関数を有するナノ粒子を含む中間部と、を備えることを特徴とする。
第12発明に係る熱電素子の製造方法は、熱エネルギーを電気エネルギーに変換する熱電素子の製造方法であって、第1電極部の上に、支持部を形成する工程と、前記支持部に、前記第1電極部に達する収容部を形成する工程と、前記収容部が形成された前記支持部の上に、第2電極部を形成する工程と、前記第1電極部、前記支持部、及び前記第2電極部の少なくともいずれか1つに、前記収容部に達する少なくとも1つの孔を形成する工程と、前記少なくとも1つの孔を介して、前記収容部の内に、前記第1電極部の仕事関数と前記第2電極部の仕事関数との間の仕事関数を有するナノ粒子を含む中間部を形成する工程と、を備えることを特徴とする。
第13発明に係る熱電素子の製造方法は、第1基板部の上に、一対の支持部を形成する工程と、前記の支持部の内に、第1基板に達する収容部を形成する工程と、前記収容部が形成された前記第1基板部の上に、第1電極部と、前記第1電極部と離間して対向し、前記第1電極部とは異なった仕事関数を有する第2電極部と、を櫛歯状に形成する工程と、前記支持部の上面に、第2基板を接合する工程と、前記収容部の開口部分に封止部を形成する工程と、前記支持部の側面又は前記第2基板の平面上に、前記収容部に達する少なくとも1つの孔を形成する工程と、前記少なくとも1つの孔を介して、前記収容部の内に、前記第1電極部の仕事関数と前記第2電極部の仕事関数との間の仕事関数を有するナノ粒子を含む中間部を形成する工程と、を備えることを特徴とする。
第14発明に係る熱電素子の製造方法は、熱エネルギーを電気エネルギーに変換する熱電素子の製造方法であって、第1基板部の上に、凹部を形成する工程と、前記凹部の内に、第1電極部を形成する工程と、前記第1電極部が形成された前記第1基板部の上に、前記第1電極部と離間して対向し、前記第1電極部とは異なった仕事関数を有する第2電極部を形成する工程と、前記第1基板部、及び前記第2電極部の少なくともいずれか1つに、前記凹部に達する少なくとも1つの孔を形成する工程と、前記少なくとも1つの孔を介して、前記凹部の内に、前記第1電極部の仕事関数と前記第2電極部の仕事関数との間の仕事関数を有するナノ粒子を含む中間部を形成する。
第1発明〜第11発明によれば、筐体は、少なくとも1つの孔を有し、第1電極部と、第2電極部との間に設けられたナノ粒子を含む中間部を備える。このため、筐体の孔を介してナノ粒子を含む中間部の注入を容易に行うことができる。これにより、例えば微小ギャップを複数のナノビーズで形成する熱電素子であっても、筐体に設けられる孔により容易に中間部の充填を実施することが可能となり、製造プロセスの簡易化を実現できる。
また、第1発明〜第11発明によれば、熱電素子は、離間して対向する各電極部と、中間部を囲む収容部を有する。このため、各電極部の間隔(電極間ギャップ)を、高精度に形成することができる。これにより、電気エネルギーの発生量の安定化を実現することが可能となる。
特に、第1発明によれば、孔は、筐体に設けられる。このため、収容部に設けられる第1電極部及び第2電極部、支持部の配置や高さに応じて、適切な配置、数の孔を筐体に設けることができる。これにより、第1電極部及び第2電極部との間に設けられた微細なギャップの中間部に含まれるナノ粒子の充填が容易に実施できる。
特に、第2発明によれば、第1電極部は、第1基板と、支持部との間に設けられ、第2電極部は、第2基板と、支持部との間に設ける。このため、支持部によって各電極部の間隔(電極間ギャップ)が形成されるため、球状ナノビーズ等を用いた場合に比べて、電極間ギャップを高精度に形成することができる。これにより、電気エネルギーの発生量の安定化を実現することが可能となる。
特に、第3発明によれば、第1電極部及び第2電極部のそれぞれは、第1基板の有する凹部内に設けられる。すなわち、第1電極部及び第2電極部の間に設けられる中間部が、凹部内に設けられる。このため、支持部を別途設ける場合に比べて、中間部の漏れ出し等を防ぐことができ、中間部を均一に充填することができる。これにより、中間部の充填度を向上させることが可能となる。
特に、第4発明によれば、引出配線は、第1電極部又は第2電極部の何れかと電気的に接続される。このため、各電極部の積層数の増加に伴う配線の増加を抑制することができる。これにより、熱電素子の小型化を図ることが可能となる。
特に、第5発明によれば、孔は、対向及び対角の何れかの位置に設ける。このため、中間部のナノ粒子の注入側と排出側の孔を効率のよい位置に設けることが可能となる。これにより、中間部のナノ粒子を充填しやすい孔を形成することが可能となる。
特に、第5発明によれば、孔を覆う封止部をさらに備える。このため、熱電素子の側面から中間部が漏れることを防ぐことができる。これにより、品質の安定化を実現することが可能となる。
特に、第6発明によれば、ナノ粒子の直径は、電極間ギャップの1/10以下である。このため、第1電極部と、第2電極部との間に、ナノ粒子を含む中間部を容易に形成することができる。これにより、熱電素子を製造するとき、作業性の向上を図ることが可能となる。
特に、第7発明によれば、ナノ粒子は、表面に設けられた絶縁膜を有する。このため、第1電極部から生成した電子は、例えば、トンネル効果等によりナノ粒子間を容易に移動することができる。これにより、電気エネルギーの発生量をさらに増加させることが可能となる。
特に、第8発明によれば、中間部は、60℃以上の沸点を有する溶媒を含む。このため、室温以上の環境下に熱電素子が用いられた場合においても、溶媒の気化を抑制することができる。これにより、溶媒の気化に伴う熱電素子の劣化を抑制することが可能となる。
特に、第9発明によれば、中間部は、ナノ粒子のみが充填された状態を示す。このため、高温の環境下に熱電素子が用いられた場合においても、溶媒等の気化を考慮する必要が無い。これにより、高温の環境下における熱電素子の劣化を抑制することが可能となる。
特に、第10発明によれば、熱電素子への電気的配線の接続や、熱電素子の検査を容易化することができる。このため、形成しやすい中間部を持つ熱電素子を備えた発電装置を提供できる。
特に、第11発明によれば、熱電素子への電気的配線の接続や、熱電素子の検査を容易化することができる。このため、熱電素子を含む電子機器を得ることができる。
第12発明によれば、筐体は、少なくとも1つの孔を、第1電極部と、第2電極部との間に設けられたナノ粒子を含む中間部に形成する。このため、筐体の孔を介してナノ粒子を含む中間部の注入を容易に行うことができる。これにより、微小ギャップを複数のナノビーズで形成される熱電素子であっても、筐体に設けられる孔により容易に中間部の充填を実施することが可能となり、製造プロセスの簡易化を実現できる。
特に、第12発明によれば、支持部を形成する工程は、第1基板部に達する収容部を形成し、収容部内に中間部を形成する。このため、熱電素子の側面から中間部が漏れることを防ぐことができる。これにより、品質の安定化を実現することが可能となる。
第13発明によれば、筐体は、少なくとも1つの孔を、第1電極部と、第2電極部との間に設けられたナノ粒子を含む中間部に形成する。このため、筐体の孔を介してナノ粒子を含む中間部の注入を容易に行うことができる。これにより、微小ギャップを複数のナノビーズで形成される熱電素子であっても、筐体に設けられる孔により容易に中間部の充填を実施することが可能となり、製造プロセスの簡易化を実現できる。
特に、第13発明によれば、第1基板上に第1電極部と第2電極部を櫛歯状に形成する。このため、第1基板の面積又は電極部の組み合わせを最適な構成とすることができる。これにより、設置場所や用途に応じ、効率的で安定した特性を得ることができる。さらに、電極間のギャップ量を正確に、かつ簡易に製造することができ、熱電素子の特性を設計値通りに設定でき、複数熱電素子を製作した際の性能のばらつきを低く抑えられる。
第14発明によれば、筐体は、少なくとも1つの孔を、第1電極部と、第2電極部との間に設けられたナノ粒子を含む中間部に形成する。このため、筐体の孔を介してナノ粒子を含む中間部の注入を容易に行うことができる。これにより、微小ギャップを複数のナノビーズで形成される熱電素子であっても、筐体に設けられる孔により容易に中間部の充填を実施することが可能となり、製造プロセスの簡易化を実現できる。
特に、第14発明によれば、凹部を形成する工程は、第1基板部に凹部を形成し、凹部内に中間部を形成する。このため、球状ナノビーズ等を用いた場合に比べて、電極間ギャップを高精度に形成することができる。これにより、電気エネルギーの発生量の安定化を実現することが可能となる。
図1(a)は、第1実施形態に係る発電装置及び熱電素子の一例を示す模式断面図であり、図1(b)は、第1実施形態に係る発電装置及び熱電素子の一例を示す模式平面図である。 図2(a)は、第1実施形態に係る発電装置及び熱電素子の他の例を示す模式断面図であり、図2(b)は、第1実施形態に係る発電装置及び熱電素子の他の例を示す模式平面図である。 図3(a)は中間部の一例を示す模式断面図であり、図3(b)は中間部の他の例を示す模式断面図である。 図4は、第1実施形態に係る熱電素子の製造方法の一例を示すフローチャートである。 図5(a)〜図5(f)は、第1実施形態に係る熱電素子の製造方法の一例を示す模式断面図である。 図6(a)は、第2実施形態に係る発電装置及び熱電素子の一例を示す模式平面図であり、図6(b)は、図6(a)における6A−6A線に沿った模式断面図である。 図7(a)は、第2実施形態に係る発電装置及び熱電素子の他の例を示す模式平面図であり、図7(b)は、図7(a)における7A−7A線に沿った模式断面図である。 図8は、第2実施形態に係る熱電素子の製造方法の一例を示すフローチャートである。 図9(a)〜図9(f)は、第2実施形態に係る熱電素子の製造方法の一例を示す模式断面図である。 図10(a)は、第3実施形態に係る発電装置及び熱電素子の一例を示す図10(b)における10A−10A線に沿った模式断面図であり、図10(b)は、第3実施形態に係る発電装置及び熱電素子の一例を示す模式平面図であり、図10(c)は、図10(b)における10B−10B線に沿った模式断面図である。 図11(a)は、第3実施形態に係る発電装置及び熱電素子の他の一例を示す模式断面図であり、図11(b)は、第3実施形態に係る発電装置及び熱電素子の他の一例を示す模式平面図であり、図11(c)は、図11(b)における11B−11B線に沿った模式断面図である。 図12(a)は、第3実施形態に係る発電装置及び熱電素子のさらに他の一例を示す模式断面図であり、図12(b)は、第3実施形態に係る発電装置及び熱電素子のさらに他の一例を示す模式平面図であり、図12(c)は、図12(b)における12B−12B線に沿った模式断面図である。 図13は、第3実施形態に係る熱電素子の製造方法の一例を示すフローチャートである。 図14(a)〜図14(d)は、第3実施形態に係る熱電素子の製造方法の一例を示す模式断面図である。 図15(a)は、第4実施形態に係る発電装置及び熱電素子の一例を示す模式断面図であり、図15(b)は、第4実施形態に係る発電装置及び熱電素子の一例を示す模式平面図である。 図16(a)は、第4実施形態に係る発電装置及び熱電素子のその他の一例を示す模式断面図であり、図16(b)は、第4実施形態に係る発電装置及び熱電素子の一例を示す模式平面図である。 図17(a)〜図17(d)は、熱電素子を備えた電子機器の例を示す模式ブロック図であり、図17(e)〜図17(h)は、熱電素子を含む発電装置を備えた電子機器の例を示す模式ブロック図である。
以下、本発明の実施形態における熱電素子、発電装置、電子機器、及び熱電素子の製造方法それぞれの一例について、図面を参照しながら説明する。なお、各図において、各電極部が積層される高さ方向を第1方向Zとし、第1方向Zと交差、例えば、直交する1つの平面方向を第2方向Xとし、第1方向Z及び第2方向Xのそれぞれと交差、例えば、直交する別の平面方向を第3方向Yとする。
(第1実施形態)
<発電装置100>
図1(a)は、第1実施形態に係る発電装置100及び熱電素子1の一例を示す模式断面図である。図1(b)は、第1実施形態に係る発電装置及び熱電素子1の一例を示す模式平面図である。図1(a)は、図1(b)における1A−1A線に沿った断面を示す。図2(a)は、第1実施形態に係る発電装置及び熱電素子1の他の例を示す模式断面図である。図2(b)は、第1実施形態に係る発電装置及び熱電素子1の他の例を示す模式平面図である。図2(a)は、図2(b)における2A−2A線に沿った断面を示す。
図1及び図2に示すように、発電装置100は、収容部3を包含する筐体2で構成される。発電装置100は、熱電素子1と、第1配線101と、第2配線102とを含む。熱電素子1は、熱エネルギーを電気エネルギーに変換する。このような熱電素子1を備えた発電装置100は、例えば、図示せぬ熱源に搭載又は設置され、熱源の熱エネルギーを元として、熱電素子1が発生させた電気エネルギーを、第1配線101及び第2配線102を介して負荷Rへ出力する。負荷Rの一端は第1配線101と電気的に接続され、他端は第2配線102と電気的に接続される。負荷Rは、例えば、電気的な機器を示している。負荷Rは、発電装置100を主電源又は補助電源に用いて駆動される。
<熱電素子1>
熱電素子1は、図1(a)に示すように、中間部16を囲む側面に、孔17を設ける。孔17は、中間部16を囲む側面に、一対に第1孔17a及び第2孔17bとして設けられる。一対の第1孔17a及び第2孔17bは、例えば、それぞれに複数の対として設けられてもよい。熱電素子1に備わる第1孔17a及び第2孔17bは、例えば、図1(a)及び図1(b)では、支持部15を第2方向Xから見て貫通して対向する。第1孔17a及び第2孔17bは中間部16に達する。
また、熱電素子1は、ギャップ部16aを含む。ギャップ部16aは、例えば、外界から隔離された空間を含む。ギャップ部16aは、例えば、第1電極部13、第2電極部14、及び支持部15のそれぞれによって区画されている。中間部16は、ギャップ部16a内に設けられる。
熱電素子1の熱源としては、例えば、CPU(Central Processing Unit)等の電子デバイス又は電子部品、LED(Light Emitting Diode)等の発光素子、自動車等のエンジン、及び工場の生産設備、人体、太陽光、及び環境温度等を利用することができる。例えば、電子デバイス、電子部品、発光素子、エンジン、及び生産設備等は人工熱源である。人体、太陽光、及び環境温度等は自然熱源である。
熱電素子1を備えた発電装置100は、例えば、IoT(Internet of Things)デバイス及びウェアラブル機器等のモバイル機器や自立型センサ端末の内部に設けることができ、電池の代替又は補助として用いることができる。さらに、発電装置100は、太陽光発電等のような、より大型の発電装置への応用も可能である。
熱電素子1は、例えば、上記人工熱源が発した熱エネルギー、又は上記自然熱源が持つ熱エネルギーを電気エネルギーに変換し、電流を生成する。熱電素子1は、発電装置100内に設けるだけでなく、熱電素子1自体を、上記モバイル機器や上記自立型センサ端末等の内部に設けることもできる。この場合、熱電素子1自体が、上記モバイル機器又は上記自立型センサ端末等の、電池の代替部品又は補助部品となる。
熱電素子1は、収容部3と、収容部3に達する少なくとも1つの孔17とを有する筐体2と、収容部3に設けられた第1電極部13と、第1電極部13と離間して対向し、第1電極部13とは異なった仕事関数を有する第2電極部14と、第1電極部13及び第2電極部14との間に設けられたナノ粒子18を含む中間部16を少なくとも備える。筐体2は、例えば中間部16に接する支持部15を有する。
熱電素子1では、第1電極部13がアノードであり、第2電極部14がカソードである。なお、第1電極部13をカソードとし、第2電極部14をアノードとしてもよい。第2電極部14は、第1電極部13と第1方向Zに離間して対向する。
このような熱電素子1では、仕事関数差を有する第1電極部13と第2電極部14との間に発生する、絶対温度による電子放出現象が利用される。このため、熱電素子1は、第1電極部13と第2電極部14との温度差が小さい場合であっても、熱エネルギーを電気エネルギーに変換できる。さらに、熱電素子1は、第1電極部13と第2電極部14との間に温度差がない場合であっても、熱エネルギーを電気エネルギーに変換することができる。
<筐体2>
筐体2は、第1電極部13と接する第1基板11と、第2電極部14と接し、第1基板11と離間する第2基板12と、第1基板11と、第2基板12との間に設けられた支持部15とを含む。さらに、例えば、孔17と、封止部20とを備えてもよい。
また、筐体2は、例えば、第1基板11及び第2基板12の少なくとも何れかを有する基板を有してもよい。第1基板11は、第1方向Zと交わる第1主面11aを有する。第2基板12は、第1主面11aと第1方向Zに離間して設けられる。第2基板12は、第1主面11aと対向し、第1方向Zと交わる第2主面12aを有する。
また、筐体2には、第1電極部13は、例えば、第1端子111を介して第1配線101と電気的に接続される。また、第2電極部14は、例えば、第2端子112を介して第2配線102と電気的に接続される。なお、第1端子111及び第2端子112は、省略してもよい。第1電極部13は、第1基板11の第1主面11a上に設けられる。第1基板11は、例えば、絶縁性を有し、板状の石英を含む。第2電極部14は、第2基板12の第2主面12a上に設けられる。第1基板11及び第2基板12は、中間部16及び支持部15と離間する。
<収容部3>
収容部3は、第1電極部13、第2電極部14、及び支持部15との間に位置する。収容部3は、第1電極部13が第1基板11と支持部15との間に設けられ、第2電極部14が第2基板12と支持部15との間に設けられていてもよい。
<第1電極部13、第2電極部14>
第1電極部13と第2電極部14は、それぞれ異なる仕事関数を有する。第1電極部13は、例えば、白金(仕事関数:約5.65eV)を含み、第2電極部14は、例えば、タングステン(仕事関数:約4.55eV)を含む。仕事関数が大きい電極部はアノード(コレクタ電極)として機能し、仕事関数が小さい電極部はカソード(エミッタ電極)として機能する。
<中間部16>
中間部16は、支持部15、第1電極部13、及び第2電極部14との間に設けられる。中間部16は、ナノ粒子18を含む。中間部16は、例えば、第2電極部14(カソード)から放出された電子を、第1電極部13(アノード)へと移動させる部分である。
また、中間部16は、ギャップ部16a内において、例えば、第1電極部13、第2電極部14、及び支持部15のそれぞれと接し、例えば、孔17を介して封止部20と接する。
<支持部15>
支持部15は、第1電極部13と、第2電極部14との間に一体に設けられ、中間部16を囲む。支持部15の形状は、例えば、1つの円形の貫通孔、又は1つの楕円形の貫通孔を有した矩形である。
<孔17(第1孔17a、第2孔17b)>
孔17は、例えば、図1(a)及び図1(b)に示すように、中間部16を囲む支持部15に設けられる。孔17は、支持部15の少なくとも何れかの側面を、第2方向Xに沿って、収容部3に達するように貫通するように形成される。孔17は、支持部15に、例えば、第1孔17a及び第2孔17bとして、対向して設けられてもよい。
また、第1孔17a及び第2孔17bは、図2(a)に示すように、第1基板11及び第1電極部13、または第2基板12及び第2電極部14の少なくとも何れかを、第1方向Zに沿って、収容部3に達するように貫通するように形成される。第1孔17a及び第2孔17bは、例えば、第1基板11又は第2基板12を貫通する。図2(a)に示す孔17は、第1方向Zから見て、例えば、第2電極部14及び第2基板12を貫通して設けられる。
また、孔17(第1孔17a、第2孔17b)は、円状に形成されるほか、例えば、楕円状等に形成されてもよく、孔17が形成される数は任意である。孔17は、第1方向Z又は第2方向Xに沿って開けられてもよく、さらに孔17は、テーパー状に形成されるほか、例えば、逆テーパー状又はストレート状に形成されてもよい。
孔17は、例えば、図1(a)、(b)及び図2(b)に示すように、ナノ粒子18の注入側の孔17の奥行きの形状を、逆テーパー状の第1孔17aとし、他の排出側の孔17をテーパー状の第2孔17bとしてもよい。また、例えば、注入側の第1孔17aの形状を逆テーパー状とすることで、ナノ粒子18の注入をしやすくし、一方の排出側の第2孔17bの形状をテーパー状にすることで、漏れにくくしている。
<封止部20>
封止部20は、孔17及び筐体2を封止し、中間部16を密閉する。封止部20は、例えば、中間部16の注入側を第1封止部20a、排出側を第2封止部20bとしてもよい。封止部20は、例えば、孔17の外側を覆い、貫通された支持部15の第1支持部15a及び第2支持部15bに設けられるほか、例えば、貫通された第1基板11上又は第2基板12上に設けられてもよい。
また、封止部20は、例えば、孔17の中に形成されてもよく、後述する図6(a)に示すように、例えば、第1基板11及び第2基板12の第3方向Yの両端を塞ぐように第3封止部20c及び第4封止部20dとして、それぞれ設けてもよい。
また、封止部20は、例えば、絶縁性樹脂を含む。絶縁性樹脂の例としては、フッ素系絶縁性樹脂を挙げることができる。
以下、第1実施形態に係る熱電素子1及び発電装置100の構成を、さらに詳細に説明する。
<<第1基板11、第2基板12>>
第1基板11及び第2基板12のそれぞれの第1方向Zに沿った厚さは、例えば、10μm以上2mm以下である。第1基板11及び第2基板12のそれぞれの材料としては、絶縁性を有する板状の材料を選ぶことができる。絶縁性の材料の例としては、シリコン、石英、パイレックス(登録商標)等のガラス、及び絶縁性樹脂等を挙げることができる。
第1基板11及び第2基板12は、薄板状であるほか、例えば、フレキシブルなフィルム状でもよい。例えば、第1基板11又は第2基板12を、フレキシブルなフィルム状とする場合には、例えば、PET(polyethylene terephthalate)、PC(polycarbonate)、及びポリイミド等を用いることができる。
第1基板11と第2基板12との間(熱電素子1の内部側)には、第1電極部13、第2電極部14、支持部15、及び中間部16が挟まれる。このため、第1基板11及び第2基板12を備えることで、第1電極部13、第2電極部14、支持部15、中間部16、及び接続配線21のそれぞれの、外力や環境変化に伴った劣化や変形を抑制することもできる。したがって、熱電素子1の耐久性を高めることが可能である。
<<第1電極部13、第2電極部14>>
第1電極部13及び第2電極部14は、例えば、図1(a)及び図2(a)に示すように、第1方向Zから見て、第1基板11及び第2基板12上に形成される。第1電極部13は、図示しない第1基板11に挿通された配線、及び第1端子111を介して第1配線101と電気的に接続される。第2電極部14は、例えば、図示しない第2基板12に挿通された配線、及び第2端子112を介して第2配線102と電気的に接続される。なお、第1端子111及び第2端子112は、省略してもよい。また、図示しない配線の配置箇所等は、任意である。
第1電極部13は、例えば、白金(仕事関数:約5.65eV)を含み、第2電極部14は、例えば、タングステン(仕事関数:約4.55eV)を含む。仕事関数が大きい電極部はアノード(コレクタ電極)として機能し、仕事関数が小さい電極部はカソード(エミッタ電極)として機能する。本実施形態に係る熱電素子1では、第1電極部13がアノードであり、第2電極部14がカソードとして説明する。なお、第1電極部13をカソードとし、第2電極部14をアノードとしてもよい。
熱電素子1では、仕事関数差を有する第1電極部13と第2電極部14との間に発生する、絶対温度による電子放出現象が利用できる。このため、熱電素子1は、第1電極部13と第2電極部14との温度差が小さい場合であっても、熱エネルギーを電気エネルギーに変換できる。さらに、熱電素子1は、第1電極部13と第2電極部14との間に温度差がない場合、又は単一の熱源を用いる場合であっても、熱エネルギーを電気エネルギーに変換することができる。
第1電極部13及び第2電極部14それぞれの第1方向Zに沿った厚さは、例えば、1nm以上1mm以下でもよく、好ましくは1nm以上1μm以下、より好ましくは、1nm以上50nm以下である。第1電極部13と第2電極部14との間の第1方向Zに沿った距離(電極間ギャップ)は、例えば、10μm以下の有限値である。より好ましくは、10nm以上100nm以下である。
第1電極部13及び第2電極部14それぞれの第1方向Zに沿った厚さ、並びに電極間ギャップのそれぞれを、上記範囲内に設定することにより、例えば、熱電素子1の第1方向Zに沿った厚さを薄くできる。これは、例えば、複数の熱電素子1を、第1方向Zに沿ってスタックさせる場合に有効である。また、第1電極部13、第2電極部14の平面バラつきを抑えることができ、電気エネルギーの発生量の安定性を向上させることができる。上記に加え、電極間ギャップを、上記範囲内に設定することにより、電子を効率良く放出させることが可能になるとともに、電子を第2電極部14(カソード)から第1電極部13(アノード)へ、効率よく移動させることも可能となる。
第1電極部13の材料、及び第2電極部14の材料は、例えば、以下に示す金属から選ぶことができる。
白金(Pt)
タングステン(W)
アルミニウム(Al)
チタン(Ti)
ニオブ(Nb)
モリブデン(Mo)
タンタル(Ta)
レニウム(Re)
熱電素子1では、第1電極部13と第2電極部14との間に仕事関数差が生じればよい。したがって、第1電極部13及び第2電極部14の材料には、上記以外の金属を選ぶことが可能である。第1電極部13及び第2電極部14の材料として、金属のほか、合金、金属間化合物、及び金属化合物を選ぶことも可能である。金属化合物は、金属元素と非金属元素とが化合したものである。このような金属化合物の例としては、例えば、六ホウ化ランタン(LaB6)を挙げることができる。
第1電極部13及び第2電極部14の材料として、非金属導電物を選ぶことも可能である。非金属導電物の例としては、シリコン(Si:例えば、p型Si、あるいはn型Si)、及びグラフェン等のカーボン系材料等を挙げることができる。
第1電極部13又は第2電極部14の材料として、高融点金属(refractory metal)以外の材料を選ぶと、以下に説明される利点を、さらに得ることができる。本明細書において、高融点金属は、例えば、W、Nb、Mo、Ta、及びReとする。第1電極部13(アノード)に、例えば、Ptを用いた場合、第2電極部14(カソード)には、Al、Si、Ti、及びLaB6の少なくとも1つを用いることが好ましい。
Al及びTiの融点は、上記高融点金属より低い。したがって、Al及びTiからは、上記高融点金属に比較して、加工しやすい、という利点を得ることができる。
Siは、上記高融点金属に比較して、その形成が、さらに容易である。したがって、Siからは、上記加工のしやすさに加え、熱電素子1の生産性がより向上する、という利点を、さらに得ることができる。
LaB6の融点は、Ti及びNbより高い。しかし、LaB6の融点は、W、Mo、Ta、及びReより低い。LaB6は、W、Mo、Ta、及びReに比較して加工しやすい。しかも、LaB6の仕事関数は、約2.5〜2.7eVである。LaB6は、上記高融点金属に比較して電子を放出させやすい。したがって、LaB6からは、熱電素子1の発電効率の更なる向上が可能、という利点を、さらに得ることができる。
なお、第1電極部13及び第2電極部14のそれぞれの構造は、上記材料を含む単層構造の他、上記材料を含む積層構造とされてもよい。
<<支持部15>>
支持部15は、図1(a)及び図2(a)に示すように、例えば、第1電極部13及び第2電極部14に挟まれる。支持部15は、例えば、図1(b)及び図2(b)に示すように、第1基板11上に四角形の枠状に設けられる。
第1実施形態に係る支持部15は、絶縁性を有する。支持部15として、例えば、シリコン酸化膜のほか、ポリイミド、PMMA(Polymethyl methacrylate)、又はポリスチレン等のポリマーが用いられる。
例えば、支持部15が第1基板11、第2基板12の何れかと一体に形成される場合は、支持部15の材料としては、第1基板11、第2基板12と同様に絶縁性を有する材料を選ぶことができる。
絶縁性の材料の例としては、シリコン、石英、パイレックス(登録商標)等のガラス、及び絶縁性樹脂等を挙げることができる。上記のほか、例えば、フレキシブルなフィルム状でもよく、PET(polyethylene terephthalate)、PC(polycarbonate)、及びポリイミド等を用いることができる。
<<中間部16>>
図3(a)は、中間部16の一例を示す模式断面図である。図3(a)に示すように、中間部16は、例えば、複数のナノ粒子18と、溶媒19と、を含む。複数のナノ粒子18は、溶媒19内に分散される。中間部16は、例えば、ナノ粒子18が分散された溶媒19を、ギャップ部16a内に充填することで得られる。
ナノ粒子18は、例えば、導電物を含む。ナノ粒子18の仕事関数の値は、例えば、第1電極部13の仕事関数の値と、第2電極部14の仕事関数の値との間にある。例えば、ナノ粒子18の仕事関数の値は、3.0eV以上5.5eV以下の範囲とされる。これにより、第1電極部13と第2電極部14との間に放出された電子eを、ナノ粒子18を介して、例えば、第2電極部14(カソード)から第1電極部13(アノード)へと移動させることができる。これにより、中間部16内にナノ粒子18がない場合に比較して、電気エネルギーの発生量をさらに増加させることが可能となる。
ナノ粒子18の材料の例としては、金及び銀の少なくとも1つを選ぶことができる。なお、ナノ粒子18の仕事関数の値は、第1電極部13の仕事関数の値と、第2電極部14の仕事関数の値との間にあればよい。したがって、ナノ粒子18の材料には、金及び銀以外の導電性材料を選ぶことも可能である。
ナノ粒子18の粒子径は、例えば、電極間ギャップの1/10以下の有限値とされる。具体的には、ナノ粒子18の粒子径は、2nm以上10nm以下である。また、ナノ粒子18は、例えば、平均粒径(例えば、D50)3nm以上8nm以下の粒子径を有してもよい。平均粒径は、例えば、粒度分布計測器を用いることで、測定することができる。粒度分布計測器としては、例えば、レーザー回折散乱法を用いた粒度分布計測器(例えば、MicrotracBEL製Nanotrac WaveII-EX150等)を用いればよい。ナノ粒子18の粒子径を、例えば、電極間ギャップの1/10以下とすると、ギャップ部16a内に、ナノ粒子18を含む中間部16を形成し易くなる。これにより、熱電素子1の生産に際し、作業性を向上させることもできる。
ナノ粒子18は、その表面に、例えば、絶縁膜18aを有する。絶縁膜18aの材料の例としては、絶縁性金属化合物及び絶縁性有機化合物の少なくとも1つを選ぶことができる。絶縁性金属化合物の例としては、例えば、シリコン酸化物及びアルミナ等を挙げることができる。絶縁性有機化合物の例としては、アルカンチオール(例えば、ドデカンチオール)等を挙げることができる。絶縁膜18aの厚さは、例えば、20nm以下の有限値である。このような絶縁膜18aをナノ粒子18の表面に設けておくと、電子eは、例えば、第2電極部14(カソード)とナノ粒子18との間、及びナノ粒子18と第1電極部13(アノード)との間を、トンネル効果を利用して移動できる。このため、例えば、熱電素子1の発電効率の向上が期待できる。
溶媒19には、例えば、沸点が60℃以上の液体を用いることができる。このため、室温(例えば、15℃〜35℃)以上の環境下において、熱電素子1を用いた場合であっても、溶媒19の気化を抑制することができる。これにより、溶媒19の気化に伴う熱電素子1の劣化を抑制することができる。液体の例としては、有機溶媒及び水の少なくとも1つを選ぶことができる。有機溶媒の例としては、メタノール、エタノール、トルエン、キシレン、テトラデカン、及びアルカンチオール等を挙げることができる。溶媒19は、電気的抵抗値が高く、絶縁性である液体がよい。
図3(b)は、中間部16の他の例を示す模式断面図である。図3(b)に示すように、中間部16は、溶媒19を含まず、ナノ粒子18のみを含むようにしてもよい。
中間部16が、ナノ粒子18のみを含むことで、例えば、熱電素子1を、高温の環境下に用いる場合であっても、溶媒19の気化を考慮する必要が無い。これにより、高温の環境下における熱電素子1の劣化を抑制することが可能となる。
<<第1配線101、第2配線102>>
第1配線101及び第2配線102のそれぞれには、導電性を有する材料が用いられる。第1配線101及び第2配線102のそれぞれの材料の例としては、ニッケル、銅、銀、金、タングステン、及びチタンを挙げることができる。第1配線101及び第2配線102のそれぞれの構造は、熱電素子1において生成された電流を負荷Rへ供給できる構造であれば、任意に設計することができる。
<熱電素子1の動作>
熱エネルギーが熱電素子1に与えられると、例えば、第2電極部14(カソード)から中間部16に向けて電子eが放出される。放出された電子eは、中間部16から第1電極部13(アノード)へと移動する(図3(a)又は図3(b)参照)。電流は、第1電極部13から第2電極部14に向かって流れる。このようにして、熱エネルギーが電気エネルギーに変換される。
放出される電子eの量は、熱エネルギーに依存する他、第1電極部13(アノード)の仕事関数と、第2電極部14(カソード)の仕事関数との差に依存する。また、放出される電子eの量は、第2電極部14の仕事関数が小さい材料ほど、多くなる傾向がある。
移動する電子eの量は、例えば、第1電極部13と第2電極部14との仕事関数差を大きくすること、及び電極間ギャップを小さくすることで増やすことができる。例えば、熱電素子1が発生させる電気エネルギーの量は、上記仕事関数差を大きくすること、及び上記電極間ギャップを小さくすること、の少なくとも何れか1つを考慮することで増加させることができる。
<熱電素子1の製造方法>
次に、熱電素子1の製造方法の一例を、説明する。図4は、第1実施形態に係る熱電素子1の製造方法の一例を示すフローチャートである。図5(a)〜図5(f)は、第1実施形態に係る熱電素子1の製造方法の一例を示す模式断面図である。
<支持部形成工程:S110>
先ず、図4及び図5(a)〜(f)に示すように、第1電極部13上に支持部15を形成する(支持部形成工程S110)。支持部形成工程S110では、例えば、第2電極部14の上に支持部15を形成してもよい。なお、第1電極部13は、第1基板11の第1主面11a上に形成され、第2電極部14は、第2基板12の第2主面12a上に、それぞれ形成されているものとする(図示せず)。
支持部形成工程S110は、例えば、スパッタリング法又は蒸着法を用いて、支持部15を形成するほか、例えば、スクリーン印刷法、インクジェット法、及びスプレイ印刷法等を用いて形成してもよい。
さらに、支持部形成工程S110では、例えば、第1電極部13として白金が用いられ、第2電極部14としてタングステンが用いられる。指示部形成工程S110では、支持部15としてシリコン酸化膜が用いられるほか、ポリイミド、PMMA(Polymethyl methacrylate)、又はポリスチレン等のポリマーが用いられてもよい。
支持部形成工程S110では、例えば、支持部15が第1基板11と第2基板12との何れかと一体に形成される場合、支持部15の材料としては、第1基板11と第2基板12と同様に絶縁性を有する材料を選ぶことができる。絶縁性の材料の例としては、シリコン、石英、パイレックス(登録商標)等のガラス、及び絶縁性樹脂等を挙げることができる。上記のほか、支持部15は、例えば、フレキシブルなフィルム状でもよく、PET(polyethylene terephthalate)、PC(polycarbonate)、及びポリイミド等を用いることができる。
<収容部形成工程:S120>
次に、第1電極部13上に形成された支持部15の一部を除去して、収容部3を形成する(収容部形成工程S120)。収容部形成工程S120は、例えば、図5(c)に示すように、第1電極部13上に形成された収容部3を囲むように支持部15を残す。
収容部形成工程S120では、例えば、エッチング法を用いて、支持部15を除去し、そして、図5(d)に示すように、支持部15上に第2電極部14を接合させ、ギャップ部16aを形成する。
<孔形成工程:S130>
次に、図5(e)に示すように、第1電極部13、支持部15、及び第2電極部14の少なくとも何れかに対し、ギャップ部16aに達する少なくとも1つの孔17を形成する(孔形成工程S130)。孔形成工程S130は、例えば、収容部形成工程S120における第2電極部14を接合させ、ギャップ部16aを形成する前に、支持部15に形成されてもよい。
孔形成工程S130では、例えばサンドブラスト法を用いて、孔17(例えば第1孔17a、第2孔17b)を形成するほか、例えばRIE(Reactive Ion Etching)等の異方性エッチング法を用いて、孔17を形成してもよい。
<中間部形成工程:S140>
次に、ギャップ部16aに、中間部16を形成する(中間部形成工程S140)。孔形成工程S130では、例えば、図5(f)に示すように、第1孔17aを介してギャップ部16aに中間部16を形成する。中間部16は、例えば、毛細管現象(毛細管力)によって、孔17を介してギャップ部16a内に充填及び保持される。中間部16は、例えば、インクジェット法により、ギャップ部16a内に充填される。
上述した工程を経て、本実施形態における熱電素子1が形成される。なお、形成された熱電素子1に、図1(a)及び図2(a)に示す第1端子111、第2端子112、第1配線101、及び第2配線102等を接続することで、本実施形態における発電装置100を形成することができる。
なお、発電装置100を得るには、例えば、第1配線101を第1電極部13に接続し、第2配線102を第2電極部14に接続すればよい。発電装置100を使用する際には、第1配線101と第2配線102との間に、負荷Rを接続すればよい。
第1実施形態に係る熱電素子1によれば、筐体2は、少なくとも1つの孔を有し、第1電極部13と第2電極部14との間に設けられたナノ粒子を含む中間部16を備える。このため、筐体2の孔を介してナノ粒子を含む中間部16の注入を容易に行うことができる。これにより、微小ギャップを複数のナノビーズで形成する熱電素子1であっても、筐体2に設けられる孔により容易に中間部16の充填を実施することが可能となり、製造プロセスの簡易化を実現できる。
また、第1実施形態に係る熱電素子1によれば、中間部16は、収容部3により第1電極部13及び第2電極部14との間に設けられた支持部15に囲まれる。このため、熱電素子1の側面から中間部16が漏れることを防ぐことができる。これにより、品質の安定化を実現することが可能となる。
また、第1実施形態に係る熱電素子1によれば、孔17は、支持部15、第1電極部13及び第2電極部14の少なくとも何れかを貫通する。このため、孔17を介して中間部16の充填が容易に実施できる。これにより、製造工程の簡易化を図ることが可能となる。
また、第1実施形態に係る熱電素子1によれば、ナノ粒子18の直径は、電極間ギャップの1/10以下である。このため、第1電極部13と、第2電極部14との間に、ナノ粒子18を含む中間部16を容易に形成することができる。これにより、熱電素子1を製造するとき、作業性の向上を図ることが可能となる。
また、第1実施形態に係る熱電素子1によれば、ナノ粒子18は、表面に設けられた絶縁膜18aを有する。このため、第1電極部13から生成した電子eは、例えば、トンネル効果等によりナノ粒子18間を容易に移動することができる。これにより、電気エネルギーの発生量をさらに増加させることが可能となる。
また、第1実施形態に係る熱電素子1によれば、ナノ粒子18は、第1電極部13の仕事関数と、第2電極部14の仕事関数との間の仕事関数を有する。このため、第1電極部13から生成した電子eは、ナノ粒子18を介して容易に第2電極部14に伝搬することができる。これにより、電気エネルギーの発生量をさらに増加させることが可能となる。
また、第1実施形態に係る熱電素子1によれば、中間部16は、60℃以上の沸点を有する溶媒19を含む。このため、室温以上の環境下に熱電素子1が用いられた場合においても、溶媒19の気化を抑制することができる。これにより、溶媒19の気化に伴う熱電素子1の劣化を抑制することが可能となる。
また、第1実施形態に係る熱電素子1によれば、中間部16は、ナノ粒子18のみが充填された状態を示す。このため、高温の環境下に熱電素子1が用いられた場合においても、溶媒等の気化を考慮する必要が無い。これにより、高温の環境下における熱電素子1の劣化を抑制することが可能となる。
また、第1実施形態に係る熱電素子1の製造方法によれば、収容部形成工程S120は、支持部15の一部を除去し、収容部3からギャップ部16aを形成し、孔形成工程S130は、支持部15又は第2電極部14に孔17(第1孔17a、第2孔17b)を形成し、中間部形成工程S140は、ギャップ部16aに中間部16を形成する。このため、第1電極部13、第2電極部14の間隔(電極間ギャップ)は、支持部15を積層する際の精度に依存する。このため、球状ナノビーズ等を用いた場合に比べて、電極間ギャップを高精度に形成することができる。これにより、電気エネルギーの発生量の安定化を実現することが可能となる。
また、第1実施形態に係る熱電素子1の製造方法によれば、収容部形成工程S120は、孔17を介して支持部15の一部を除去し、収容部3を形成し、その後、第2電極部14を接合させ、ギャップ部16aを形成する。すなわち、支持部15の未除去部に囲まれた状態で、中間部16が形成される。このため、熱電素子1の側面から中間部16が漏れることを防ぐことができる。これにより、品質の安定化を実現することが可能となる。
また、第1実施形態に係る熱電素子1の製造方法によれば、収容部形成工程S120には、等方性エッチング方法が用いられる。このため、第1電極部13及び第2電極部14に挟まれた支持部15を容易に除去することができる。これにより、高精度の電極間ギャップ(ギャップ部16a)を容易に形成することが可能となる。
(第2実施形態)
次に、第2実施形態に係る発電装置100及び熱電素子1の一例を、図6〜図9を参照しながら説明する。図6(a)は、第2実施形態に係る発電装置100及び熱電素子1の一例を示す模式平面図であり、図6(b)は、図6(a)における6A−6A線に沿った模式断面図である。図7(a)は、第2実施形態に係る発電装置100及び熱電素子1の他の例を示す模式平面図であり、図7(b)は、図6(a)における7A−7A線に沿った模式断面図である。
上述した実施形態と、第2実施形態との違いは、第1電極部13及び第2電極部14が第1基板11上に櫛歯状に形成され、第1支持部15a、第2支持部15b、第1基板11、第2基盤12、第1電極部13、及び第2電極部14で囲まれる中間部16の隙間である開口部4を、第3封止部20c及び第4封止部20dによりそれぞれ塞ぐ点である。なお、上述した実施形態と同様の構成については、説明を省略する。
<開口部4>
開口部4は、例えば、図6(a)及び図7(a)に示すように、中間部16の第3方向Yの両端に開口する部分である。開口部4は、第3封止部20c及び第4封止部20dによりそれぞれ封止される。
<支持部15>
支持部15は、第1支持部15aと第2支持部15bとを有する。第1支持部15a及び第2支持部15bは、例えば図6(a)及び図7(a)に示すように、第1基板11の第1方向Zに形成され、第2方向Xに離間する第1電極部13と第2電極部14挟む。第1支持部15aと第2支持部15bは、第1方向Zから見て、第3方向Yに延在するI字状に設けられる。
支持部15は、第1基板11の第1支持部15aと離間する第2支持部15bの隙間は、例えば絶縁体で形成された一対の封止部20(封止部20c及び封止部20d)により塞がれる。第1支持部15a、第2支持部15b、及び一対の封止部20は、各電極部13、14及び中間部16を囲む。なお、一対の封止部20は、一体に形成されてもよい。
第1実施形態に係る第1支持部15a及び第2支持部15bは、絶縁性を有する。第1支持部15a及び第2支持部15bとして、例えばシリコン酸化膜のほか、ポリイミド、PMMA(Polymethyl methacrylate)、又はポリスチレン等のポリマーが用いられる。
例えば、各支持部15a、15bが各基板11、12の何れかと一体に形成される場合、各支持部15a、15bのそれぞれの材料としては、各基板11、12と同様に絶縁性を有する材料を選ぶことができる。絶縁性の材料の例としては、シリコン、石英、パイレックス(登録商標)等のガラス、及び絶縁性樹脂等を挙げることができる。上記のほか、各支持部15a、15bは、例えばフレキシブルなフィルム状でもよく、PET(polyethylene terephthalate)、PC(polycarbonate)、及びポリイミド等を用いることができる。
<第1電極部13、第2電極部14>
第1電極部13及び第2電極部14は、各々離間して第1基板11上に第3方向Yに延在して形成される。第1電極部13には、第1端子111が接続される。第2電極部14には、第2端子112が接続される。
第1端子111及び第2端子112は、例えば、図6(a)及び図7(a)に示すように、第1電極部13と電気的に接続される第1配線101と、第2電極部14と電気的に接続される第2配線102とを有する。
<第1孔17a、第2孔17b>
第1孔17a、第2孔17bは、例えば、図7(a)に示すとおり、例えば、第2基板12上に少なくとも1つが設けられ、第2基板12を貫通し、中間部16に達する。なお、第1電極部13及び第2電極部14は、第2基板12と離間しているため、第1孔17a及び第2孔17bのそれぞれは、各電極部の間になくてもよい。さらに、第1孔17a、第2孔17bは、ナノ粒子18の注入をしやすくするためテーパー形状にしてもよく、第1孔17aと第2孔17bにおいて、各々逆向きのテーパー形状としてもよい。
<封止部20>
封止部20は、中間部16の隙間を塞ぐ。封止部20は、例えば、第2方向Xに第1支持部15aと第2支持部15bにそれぞれ設けられる第1孔17aと第2孔17b、と第1基板11、第2基板12、第1電極部13、第2電極部14、第1支持部15a、及び第2支持部15bで囲まれ、第3方向Yの両端の開口にそれぞれ設けられる。第1孔17a、第2孔17bには、例えば、それぞれ第1孔17a、第2孔17bが封止され、第3方向Yの両端の開口部4には、それぞれ第3封止部20c、第4封止部20dにより封止される。
<第2実施形態:熱電素子1の製造方法>
次に、第2実施形態における熱電素子1の製造方法の一例を、説明する。図8は、第2実施形態に係る熱電素子1の製造方法の一例を示すフローチャートである。図9(a)〜図9(f)は、第2実施形態に係る熱電素子1の製造方法の一例を示す模式断面図である。
<支持部形成工程:S210>
先ず、図8及び図9(a)〜(b)に示すように、第1基板11上に支持部15を形成する(支持部形成工程S210)。支持部形成工程S210では、第1基板11上全体に支持部15を形成した後、支持部15の一部の除去を行う。次に、一対の支持部15(図9(b)では第1支持部15a及び第2支持部15b)に挟まれるように収容部3(中間部16)を形成する。支持部15は、例えば、スパッタリング法又は蒸着法を用いて形成されるほか、例えば、スクリーン印刷法、インクジェット法、及びスプレイ印刷法等を用いて形成してもよい。
<孔形成工程:S220>
次に、図9(b)に示すように、支持部15に、収容部3に達する少なくとも1つの孔17を形成する(孔形成工程S220)。孔形成工程S220では、支持部15を貫通する孔17を形成する工程を有する。
<電極部形成工程:S230>
電極部形成工程S230では、例えば、図9(c)〜(d)に示すように、第1基板11上に、第1電極部13及び第2電極部14を、それぞれ離間して櫛歯状に形成する(電極部形成工程S230)。なお、第1電極部13及び第2電極部14を形成する順番は、任意である。第1電極部13及び第2電極部14は、例えば、スパッタリング法又は蒸着法を用いて形成されるほか、例えば、スクリーン印刷法、インクジェット法、及びスプレイ印刷法等を用いて形成してもよい。
<中間部形成工程:S240>
中間部形成工程S240では、例えば、図9(e)〜図9(f)に示すように、第2基板12を第1基板11上に形成された支持部15に接合させ、さらに、第3封止部20c、第4封止部20dによる接合により開口部4の封止を行い、ギャップ部16aを形成した後、上述した実施形態と同様の方法により中間部16を形成する(中間部形成工程S240)。
上述した工程を経て、本実施形態における熱電素子1が形成される。
また、第2実施形態に係る熱電素子1によれば、図9(a)に示すように、第1孔17a及び第2孔17bは、第2基板12の平面上に複数設けられてもよい。この場合、孔形成工程S220は、第2基板12を貫通する第1孔17a及び第2孔17bを形成する工程を有する。
第2実施形態に係る熱電素子1によれば、上述した実施形態と同様に、一体に設けられた第1支持部15a、第2支持部15b、第3封止部20c、及び第4封止部20dが中間部16を囲む。このため、熱電素子1の側面から中間部16が漏れることを防ぐことができる。これにより、品質の安定化を実現することが可能となる。
(第3実施形態)
次に、第3実施形態に係る発電装置100及び熱電素子1の一例を、図10〜図14を参照しながら説明する。図10(a)は、第3実施形態に係る発電装置100及び熱電素子1の一例を示す。図10(a)は、図10(b)における10A−10A線に沿った模式断面図である。図10(b)は、第3実施形態に係る発電装置100及び熱電素子1の一例を示す模式平面図であり、図10(c)は、第3実施形態に係る発電装置100及び熱電素子1の一例を示す図10(b)における10B−10B線に沿った模式断面図である。
上述した実施形態と、第3実施形態との違いは、筐体2は、収容部3に対応した凹部15cを有する第1基板11と、凹部15cの上に設けられた第2基板12とを含む。第1基板11には、凹状の凹部15cが形成され、第1基板11の上に第2基板12が接合され、第1基板11を貫通する貫通配線21aと第2基板12を貫通する引出配線21bが設けられ、貫通配線21aには下層電極部13aに接続され、引出配線21bは上層電極部14aに接続される点である。
筐体2は、収容部3に対応した凹部15cを有する第1基板11と凹部15cの上に設けられた第2基板12とを含み、第1電極部11及び第2電極部12のそれぞれは、凹部15cに設けられる点で異なる。なお、上述した実施形態と同様の構成については、説明を省略する。
<第1電極部13、第2電極部14>
第1電極部13は、例えば、第1基板11に第1方向Zに形成された凹部15cの上に、第3方向Yに延在して形成される。第2電極部14は、例えば、第1電極部13と第1方向Zに離間し、第2基板12の下に設けられる。第2基板12は、第1基板11と接合され、中間部16が形成される。
<第1孔17a、第2孔17b>
第1孔17a、第2孔17bは、例えば、図10(b)及び図10(c)に示すとおり、第3方向Yに延在する第1基板11の第1方向Z上に一対に形成される。また、例えば、図11(a)〜図10(c)に示すとおり、第1孔17aは第1基板11を第1方向Zに貫通し、第2孔17bは第2基板12を第1方向Zに貫通し、それぞれ一対に形成されてもよい。また、例えば、図12(b)〜図12(c)に示すとおり、第1孔17a及び第2孔17bのそれぞれは、第2基板12を第1方向Zに貫通し、第2基板12の上に形成されてもよい。また、第1孔17a、第2孔17bは、筐体2に、対向及び対角の少なくとも何れかの位置に少なくとも2つ設けられてもよい。
<貫通配線21a、引出配線21b>
熱電素子1は、例えば、図10(a)〜図12(a)に示すように、第1基板11を貫通し、第1電極部13と電気的に接続される貫通配線21aと、第2基板12を貫通し、第2電極部14と電気的に接続される引出配線21bとを有する。
貫通配線21aは、例えば、第1方向Zに延在し、一対の第1電極部13、下層電極部13aと電気的に接続される。引出配線21bは、例えば、第1方向Zに延在し、一対の第2電極部14、上層電極部14aと電気的に接続される。
貫通配線21aは、さらに下層電極部13aに接続され、第1配線101を介して負荷Rへ出力する。引出配線21bは、上層電極部14aに接続され、第2配線102を介して負荷Rへ出力する。負荷Rの一端は第1配線101と電気的に接続され、他端は第2配線102と電気的に接続される。
<第3実施形態:熱電素子1の製造方法>
次に、第3実施形態における熱電素子1の製造方法の一例を、説明する。図13は、第3実施形態に係る熱電素子1の製造方法の一例を示すフローチャートである。図14(1)(a)〜(d)、図14(2)(a)〜(d)は、第3実施形態に係る熱電素子1の製造方法の一例を示す模式断面図である。
<凹部形成工程:S310>
先ず、凹部形成工程S310では、例えば、図14(1)(a)、図14(2)(a)に示すように、第1基板11上の第1主面11aに凹部15cを形成し、凹部15cの底面から第1基板11を貫通する配線21(貫通配線21a)を形成する(凹部形成工程S310)。
凹部形成工程S310では、第2方向Xに離間し、第3方向Yに延在する凹部15cを形成する。第3方向Yに延在する凹部15cの両端は、第2方向Xに離間せず、例えば、図14(2)(a)に示すように、一体の凹部15cとして形成されてもよい。第3方向Yに延在した両端の凹部15cには、孔17(第1孔17a、第2孔17b)の大きさ及び位置に基づいて、さらに凹部を形成するようにしてもよい。このとき、例えば、貫通配線21aを形成する部分(図示せず)には、凹部15cを形成しない。
凹部15cは、例えば、属金型を用いた熱転写プロセスにより形成される。積層方向Zにおいて、凹部15cの深さは、例えば、50nm以上500nm以下で形成され、第1方向Xにおける幅は、深さの10倍以上1000倍以下であることが望ましい。例えば、凹部15cの深さが100nm程度の場合、幅が1μm以上100μm以下であることが望ましい。また、例えば、加工前の第1基板11がフィルム状の場合、それぞれつながった状態で第1基板11の凹部15cを形成してもよい。
<電極部形成工程:S320>
電極部形成工程S320では、例えば、図14(1)(a)〜(b)に示すように、凹部15c内に貫通配線21aを形成し、貫通配線21aと接する下層電極部13aを形成し、第1基板11上の凹部15cの上に第1電極部13を形成する。電極部形成工程S320では、例えば、凹部15c内に、貫通配線21aと接する第2電極層24を形成する(電極部形成工程S320)。
次に、電極部形成工程S320では、凹部15cの底面から第1基板11を貫通する貫通配線21aを形成する。貫通配線21aは、各凹部15cの底面に形成され、第3方向Yに延在する。貫通配線21aは、例えば、第3方向Yに離間して複数形成されてもよい。なお、貫通配線21aと同時に引出配線21bを形成してもよい。この場合、例えば第2方向Xに沿って、貫通配線21aと離間した位置に引出配線21bが形成される。引出配線21bは、第2基板12を貫通して形成される。
貫通配線21aは、例えば凹部15cの底面をレーザー加工により貫通孔を形成したあと、メッキ法により金属を埋め込むことにより形成される。このとき、凹部15cが埋まらない程度に金属を埋め込む。
次に、図14(b)に示すように、第1基板11下に、貫通配線21aと接する下層電極部13aを形成する。下層電極部13aは、それぞれ離間した状態で貫通配線21aに接して形成される。なお、下層電極部13aは、引出配線21bに接して形成されてもよい。
下層電極部13aは、例えばスプレイ印刷法の他、蒸着法又はインクジェット法により形成される。第2方向Xにおける下層電極部13aの幅は、貫通配線21aの幅よりも広く、凹部15cの幅と等しい。
次に、凹部15c内に、貫通配線21aと接する第1電極部13を形成する。第1電極部13は、各第1主面11aとは離間して形成される。なお、下層電極部13aは、を形成するまえに、第1電極部13を形成してもよい。また、第1電極部13と同時に上層電極部14aを形成してもよい。この場合、上層電極部14aは、引出配線21bと接する。
下層電極部13aは、例えばスプレイ印刷法の他、蒸着法又はインクジェット法により形成される。第2方向Xにおける第1電極部13の幅は、下層電極部13aの幅と等しい。
また、電極部形成工程S320では、例えば、第1基板11を分割してもよい。第1基板11は、第2方向Xにおいて分割され、これにより複数の第1基板11が離間する。第1基板11は、貫通配線21a、下層電極部13a、及び第1基板13と離間した位置で分割される。なお、引出配線21b等を形成した部分を分割してもよい。
また、電極部形成工程S320では、例えば、図14〜図16に示すとおり、第1基板11を順番に積層してもよい。このとき、各第1基板11の凹部15c内には、上に積層された第1基板11に形成された下層電極部13aが配置される。下層電極部13aは、第1電極部13と離間して配置され、凹部15cには未充填部が残される。なお、各第1基板部11の積層された最上層には、第2基板12が積層されてもよい。また、第1基板11の下位に形成された下層電極部13aは、上層電極部14aとして用いられる。
積層された各第1基板11は、例えば、第1基板11の各第1主面11aをプラズマ洗浄やUV洗浄により活性化処理した後、下側の第1基板11の第1主面11aと、上側の第1基板11の下面とを貼合することで、積層される。これにより、第1基板11が積層して形成される。
<孔形成工程:S330>
孔形成工程S330では、例えば、図14(2)(a)〜(b)に示すとおり、第1基板11の第1方向Zの側面上に、第3方向Yに沿って凹部15cに貫通する孔17を形成する(孔形成工程S330)。孔形成工程S330は、第1基板11及び第2基板12の少なくともいずれか1つに、凹部15cに達する少なくとも1つの孔17(第1孔17a、第2孔17b)を形成する。また、孔17は、第1方向Zに積層された第1基板11の上の第2基板12の上面に形成されてもよく、第2基板12を第1方向Zに凹部15cまで貫通させてもよい。
<中間部形成工程:S340>
中間部形成工程S340では、例えば、図14(1)(c)〜(d)、図14(2)(d)に示すように、電極部形成工程S320までの工程で、引出配線21bと第2電極部14が形成された第2基板12を、第1基板11上に接合させ、中間部16を形成する(中間部形成工程S340)。その後、孔形成工程S330の工程で形成された孔17のうち、例えば、第1孔17aを介して、凹部15c内にナノ粒子18を含む中間部16を形成する。第1電極部13、及び第2電極部14は、例えば、スパッタリング法又は蒸着法を用いて形成されるほか、例えば、スクリーン印刷法、インクジェット法、及びスプレイ印刷法等を用いて形成してもよい。
第3実施形態に係る熱電素子1によれば、上述した実施形態と同様に、中間部16は、第1基板11内に凹状に形成され、第1電極部13と、第2電極部14との間に一体に設けられる。このため、一体の中間部16によって第1電極部13、第2電極部14の電極間のギャップ部16aが形成されるため、球状ナノビーズ等を用いた場合に比べて、電極間ギャップを高精度に形成することができる。これにより、電気エネルギーの発生量の安定化を実現することが可能となる。
また、第3実施形態に係る熱電素子1によれば、上述した実施形態と同様に、貫通配線21a及び引出配線21bは、第1基板11又は第2基板12に間に挟まれ、第1電極部13及び第2電極部14と接する。このため、貫通配線21a及び引出配線21bは、熱電素子1の内部側で第1電極部13及び第2電極部14と接続させることができる。これにより、第1電極部13及び第2電極部14と接続される貫通配線21a及び引出配線21bの劣化を抑制することが可能となる。
また、第3実施形態に係る熱電素子1によれば、上述した実施形態と同様に、貫通配線21a及び引出配線21bは、第1基板11又は第2基板12に挟まれる。このとき、貫通配線21a及び引出配線21bの厚さを均一にした状態で、第1基板11、第2基板12の何れかとの間に挟ませることができる。このため、第1電極部13、第2電極部14の間における電極間ギャップのバラつきを抑制することができる。これにより、電気エネルギーの発生量の安定化を図ることが可能となる。
また、第3実施形態に係る熱電素子1によれば、上述した実施形態と同様に、貫通配線21aは、第1方向Zに延在し、一対の第1電極部13、下層電極部13aと電気的に接続される。さらに、引出配線21bは、第1方向Zに延在し、一対の第2電極部14、上層電極部14aと電気的に接続される。このため、第1電極部13、第2電極部14の積層数の増加に伴う配線の増加を抑制することができる。これにより、熱電素子1の小型化を図ることが可能となる。
(第4実施形態)
次に、第4実施形態に係る発電装置100及び熱電素子1の一例を、図15〜図16を参照しながら説明する。図15(a)は、第4実施形態に係る発電装置100及び熱電素子1の一例を示す模式断面図である。図15(a)は、図15(b)における15A−15A線に沿った模式断面図である。図15(b)は、第4実施形態に係る発電装置100及び熱電素子1の一例を示す模式平面図である。
上述した実施形態と、第4実施形態との違いは、第1基板11が第1方向Zに複数積層され、最上位の第1基板11の上に第2基板12が接合され、複数積層された第1基板11と第2基板12を第1方向Zに貫通する孔17(第1孔17a、第2孔17b)が設けられる点である。なお、上述した実施形態と同様の構成については、説明を省略する。
また、第4実施形態に係る熱電素子1によれば、複数積層される第1基板11と第2基板12を貫通し、中間部16に達する孔17(第1孔17aと第2孔17b)を備える。このため、この孔17を介してナノ粒子18を含む中間部16の注入を容易に行うことができる。これにより、第1基板11が複数積層された場合であっても、第2基板12上に設けられる孔により、容易に中間部16の充填を実施することが可能となる。
また、第4実施形態に係る熱電素子1によれば、中間部16は、第1基板11内に凹状に形成され、第1電極部13と、第2電極部14との間に一体に設けられる。このため、一体の中間部16によって第1電極部13、第2電極部14の電極間のギャップ部16aが形成されるため、球状ナノビーズ等を用いた場合に比べて、電極間ギャップを高精度に形成することができる。これにより、電気エネルギーの発生量の安定化を実現することが可能となる。
また、第4実施形態に係る熱電素子1によれば、上述した実施形態と同様に、貫通配線21a及び引出配線21bは、第1基板11又は第2基板12に間に挟まれ、第1電極部13及び第2電極部14と接する。このため、貫通配線21a及び引出配線21bは、熱電素子1の内部側で第1電極部13及び第2電極部14と接続させることができる。これにより、第1電極部13及び第2電極部14と接続される貫通配線21a及び引出配線21bの劣化を抑制することが可能となる。
また、第4実施形態に係る熱電素子1によれば、上述した実施形態と同様に、貫通配線21a及び引出配線21bは、第1基板11又は第2基板12に挟まれる。このとき、貫通配線21a及び引出配線21bの厚さを均一にした状態で、第1基板11、第2基板12の何れかとの間に挟ませることができる。このため、第1電極部13、第2電極部14の間における電極間ギャップのバラつきを抑制することができる。これにより、電気エネルギーの発生量の安定化を図ることが可能となる。
また、第4実施形態に係る熱電素子1によれば、上述した実施形態と同様に、貫通配線21aは、第1方向Zに延在し、一対の第1電極部13、下層電極部13aと電気的に接続される。さらに、引出配線21bは、第1方向Zに延在し、一対の第2電極部14、上層電極部14aと電気的に接続される。このため、第1電極部13、第2電極部14の積層数の増加に伴う配線の増加を抑制することができる。これにより、熱電素子1の小型化を図ることが可能となる。
(第5実施形態)
次に、第5実施形態に係る発電装置100及び熱電素子1の一例を、図16〜図17を参照しながら説明する。図16(a)は、第5実施形態に係る発電装置100及び熱電素子1の一例を示す図16(b)における16A−16A線に沿った模式断面図である。図16(b)は、第5実施形態に係る発電装置100及び熱電素子1の一例を示す模式平面図である。
上述した実施形態と、第5実施形態との違いは、第1基板11に形成される凹部15cに第1電極部13及び第2電極部14が設けられる点である。なお、上述した実施形態と同様の構成については、説明を省略する。
第1電極部13及び第2電極部14は、図16(a)に示すように、第1基板11は、複数が積層され、積層される第1基板11を貫通する第1孔17a、第2孔17bが設けられる。また、図16(b)に示すように、第1電極部13及び第2電極部14は、第1基板11の凹部15cに第3方向Yに延在して各々が設けられる。
第5実施形態に係る熱電素子1によれば、上述した実施形態と同様に、中間部16は、凹部15cに第1基板11と第1電極部13及び第2電極部14基板との間に挟まれる。このとき、凹部15cの厚さを均一にした状態で、第1電極部13と第2電極部14、第1基板11との間に挟ませることができる。このため、第1電極部13、第2電極部14の間における電極間ギャップのバラつきを抑制することができる。これにより、電気エネルギーの発生量の安定化を図ることが可能となる。
また、第5実施形態に係る熱電素子1によれば、第1孔17a及び第2孔17bは、積層される複数の第1基板11と第2基板12を第1方向Zに貫通する。このため、第1孔17a及び第2孔17bを介して中間部16の充填が容易に実施できる。これにより、製造工程の簡易化を図ることが可能となる。
<電子機器500>
実施形態のそれぞれにおいて説明した熱電素子1及び発電装置100は、例えば、電子機器500搭載することが可能である。以下、電子機器500の実施形態のいくつかを説明する。
図17(a)〜図17(d)は、熱電素子1を備えた電子機器500の例を示す模式ブロック図である。図17(e)〜図17(h)は、熱電素子1を含む発電装置100を備えた電子機器500の例を示す模式ブロック図である。
図17(a)に示すように、電子機器(エレクトリックプロダクト)500は、電子部品(エレクトロニックコンポーネント)501と、主電源502と、補助電源503と、を備えている。電子機器500及び電子部品501のそれぞれは、電気的な機器(エレクトリカルデバイス)である。
電子部品501は、主電源502を電源に用いて駆動される。電子部品501の例としては、例えば、CPU、モーター、センサ端末、及び照明等を挙げることができる。電子部品501が、例えば、CPUである場合、電子機器500には、内蔵されたマスター(CPU)によって制御可能な電子機器500が含まれる。電子部品501が、例えば、モーター、センサ端末、及び照明等の少なくとも1つを含む場合、電子機器500には、外部にあるマスター、あるいは人によって制御可能な電子機器500が含まれる。
主電源502は、例えば、電池である。電池には、充電可能な電池も含まれる。主電源502のプラス端子(+)は、電子部品501のVcc端子(Vcc)と電気的に接続される。主電源502のマイナス端子(−)は、電子部品501のGND端子(GND)と電気的に接続される。
補助電源503は、熱電素子1である。熱電素子1は、実施形態のそれぞれにおいて説明した熱電素子1の少なくとも1つを含む。熱電素子1のアノード(例えば、第1電極部13)は、電子部品501のGND端子(GND)、又は主電源502のマイナス端子(−)、又はGND端子(GND)とマイナス端子(−)とを接続する配線と、電気的に接続される。熱電素子1のカソード(例えば、第2電極部14)は、電子部品501のVcc端子(Vcc)、又は主電源502のプラス端子(+)、又はVcc端子(Vcc)とプラス端子(+)とを接続する配線と、電気的に接続される。電子機器500において、補助電源503は、例えば、主電源502と併用され、主電源502をアシストするための電源や、主電源502の容量が切れた場合、主電源502をバックアップするための電源として使うことができる。主電源502が充電可能な電池である場合には、補助電源503は、さらに、電池を充電するための電源としても使うことができる。
図17(b)に示すように、主電源502は、熱電素子1とされてもよい。熱電素子1のアノードは、電子部品501のGND端子(GND)と電気的に接続される。熱電素子1のカソードは、電子部品501のVcc端子(Vcc)と電気的に接続される。図17(b)に示す電子機器500は、主電源502として使用される熱電素子1と、熱電素子1を用いて駆動されることが可能な電子部品501と、を備えている。熱電素子1は、独立した電源(例えば、オフグリッド電源)である。このため、電子機器500は、例えば、自立型(スタンドアローン型)にできる。しかも、熱電素子1は、環境発電型(エナジーハーベスト型)である。図17(b)に示す電子機器500は、電池の交換が不要である。
図17(c)に示すように、電子部品501が熱電素子1を備えていてもよい。熱電素子1のアノードは、例えば、回路基板(図示は省略する)のGND配線と電気的に接続される。熱電素子1のカソードは、例えば、回路基板(図示は省略する)のVcc配線と電気的に接続される。この場合、熱電素子1は、電子部品501の、例えば、補助電源503として使うことができる。
図17(d)に示すように、電子部品501が熱電素子1を備えている場合、熱電素子1は、電子部品501の、例えば、主電源502として使うことができる。
図17(e)〜図17(h)のそれぞれに示すように、電子機器500は、発電装置100を備えていてもよい。発電装置100は、電気エネルギーの源として熱電素子1を含む。
図17(d)に示した実施形態は、電子部品501が主電源502として使用される熱電素子1を備えている。同様に、図17(h)に示した実施形態は、電子部品501が主電源として使用される発電装置100を備えている。これらの実施形態では、電子部品501が、独立した電源を持つ。このため、電子部品501を、例えば、自立型とすることができる。自立型の電子部品501は、例えば、複数の電子部品501を含み、かつ、少なくとも1つの電子部品501が別の電子部品501と離れているような電子機器500に有効に用いることができる。そのような電子機器500の例は、センサである。センサは、センサ端末(スレーブ)と、センサ端末から離れたコントローラ(マスター)と、を備えている。センサ端末及びコントローラのそれぞれは、電子部品501である。センサ端末が、熱電素子1又は発電装置100を備えていれば、自立型のセンサ端末となり、有線での電力供給の必要がない。熱電素子1又は発電装置100は環境発電型であるので、電池の交換も不要である。センサ端末は、電子機器500の1つと見なすこともできる。電子機器500と見なされるセンサ端末には、センサのセンサ端末に加えて、例えば、IoTワイヤレスタグ等が、さらに含まれる。
図17(a)〜図17(h)のそれぞれに示した実施形態において共通することは、電子機器500は、熱エネルギーを電気エネルギーに変換する熱電素子1と、熱電素子1を電源に用いて駆動されることが可能な電子部品501と、を含むことである。
電子機器500は、独立した電源を備えた自律型(オートノマス型)であってもよい。自律型の電子機器500の例は、例えば、ロボット等を挙げることができる。さらに、熱電素子1又は発電装置100を備えた電子部品501は、独立した電源を備えた自律型であってもよい。自律型の電子部品501の例は、例えば、可動センサ端末等を挙げることができる。
さらに、本実施形態によれば、熱エネルギーを電気エネルギーに変換する熱電素子1の製造方法であって、支持部15を形成する支持部形成ステップを行う支持部形成工程S110と、収容部3を形成する収容部形成ステップを行う収容部形成工程S120と、孔(充填孔)17を形成する孔形成ステップを行う孔形成工程S130と、中間部16を形成する中間部形成ステップを行う中間部形成工程S140により提供することができる。
さらに、本実施形態によれば、熱エネルギーを電気エネルギーに変換する熱電素子1の製造方法であって、支持部15を形成する支持部形成ステップを行う支持部形成工程S210と、孔(充填孔)17を形成する孔形成ステップを行う孔形成工程S220と、第1電極部13および第2電極部14を形成する電極部形成ステップを行う電極部形成工程S230と、中間部16を形成する中間部形成ステップを行う中間部形成工程S240により提供することができる。
さらに、本実施形態によれば、熱エネルギーを電気エネルギーに変換する熱電素子1の製造方法であって、凹部15cを形成する凹部形成ステップを行う凹部形成工程S310と、第1電極部13および第2電極部14を形成する電極部形成ステップを行う電極部形成工程S320と、孔17(充填孔)を形成する孔形成ステップを行う孔形成工程S330と、中間部16を形成する中間部形成ステップを行う中間部形成工程S340により提供することができる。
以上、この発明の実施形態のいくつかを説明したが、これらの実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。例えば、これらの実施形態は、適宜組み合わせて実施することが可能である。また、この発明は、上記いくつかの実施形態の他、様々な新規な形態で実施することができる。したがって、上記いくつかの実施形態のそれぞれは、この発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更が可能である。このような新規な形態や変形は、この発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明、及び特許請求の範囲に記載された発明の均等物の範囲に含まれる。
1 :熱電素子
11 :第1基板
11a :第1主面
12 :第2基板
12a :第2主面
13 :第1電極部
13a :下層電極部
14 :第2電極部
14a :上層電極部
15 :支持部
15a :第1支持部
15b :第2支持部
15c :凹部
16 :中間部
16a :ギャップ部
17 :孔
17a :第1孔
17b :第2孔
18 :ナノ粒子
18a :絶縁膜
19 :溶媒
100 :発電装置
101 :第1配線
102 :第2配線
111 :第1端子
112 :第2端子
2 :筐体
20 :封止部
20a :第1封止部
20b :第2封止部
20c :第3封止部
20d :第4封止部
21 :配線
21a :貫通配線
21b :引出配線
3 :収容部
4 :開口部
500 :電子機器
501 :電子部品
502 :主電源
503 :補助電源
R :負荷
S110 :支持部形成工程
S120 :収容部形成工程
S130 :孔形成工程
S140 :中間部形成工程
S210 :支持部形成工程
S220 :孔形成工程
S230 :電極部形成工程
S240 :中間部形成工程
S310 :凹部形成工程
S320 :電極部形成工程
S330 :孔形成工程
S340 :中間部形成工程
Z :第1方向
X :第2方向
Y :第3方向
e :電子

Claims (14)

  1. 収容部と、前記収容部に達する少なくとも1つの孔と、を有する筐体と、
    前記収容部に設けられた第1電極部と、
    前記第1電極部と離間して対向し、前記第1電極部とは異なった仕事関数を有する第2電極部と、
    前記第1電極部と、前記第2電極部との間に設けられ、前記第1電極部の仕事関数と前記第2電極部の仕事関数との間の仕事関数を有するナノ粒子を含む中間部と、
    を備えること
    を特徴とする熱電素子。
  2. 前記筐体は、
    前記第1電極部と接する第1基板と、
    前記第2電極部と接し、前記第1基板と離間する第2基板と、
    前記第1基板と、前記第2基板との間に設けられた支持部と、
    を含み、
    前記第1電極部は、前記第1基板と、前記支持部との間に設けられ、
    前記第2電極部は、前記第2基板と、前記支持部との間に設けられること
    を特徴とする請求項1記載の熱電素子。
  3. 前記筐体は、
    前記収容部に対応した凹部を有する第1基板と、
    前記凹部の上に設けられた第2基板と、
    を含み、
    前記第1電極部及び前記第2電極部のそれぞれは、前記凹部に設けられていること
    を特徴とする請求項1記載の熱電素子。
  4. 前記第1電極部又は前記第2電極部の何れかと電気的に接続され、第1方向に延在する一対の引出配線をさらに備えること
    を特徴とする請求項3記載の熱電素子。
  5. 前記孔は、
    前記筐体に、対向及び対角の少なくとも何れかの位置に少なくとも2つ設けられ、
    前記孔を覆う封止部をさらに備えること
    を特徴とする請求項1〜4の何れか1項記載の熱電素子。
  6. 前記第1電極部と、前記第2電極部との間の電極間ギャップは、10μm以下であり、
    前記ナノ粒子の直径は、前記電極間ギャップの1/10以下であること
    を特徴とする請求項1〜5の何れか1項記載の熱電素子。
  7. 前記ナノ粒子は、表面に設けられた絶縁膜を有し、
    前記絶縁膜の厚さは、20nm以下であること
    を特徴とする請求項1〜6の何れか1項記載の熱電素子。
  8. 前記中間部は、60℃以上の沸点を有する溶媒を含むこと
    を特徴とする請求項1〜7の何れか1項記載の熱電素子。
  9. 前記中間部は、前記ナノ粒子のみが充填された状態を示すこと
    を特徴とする請求項1〜7の何れか1項記載の熱電素子。
  10. 熱エネルギーを電気エネルギーに変換する熱電素子を備えた発電装置であって、
    前記熱電素子は、
    収容部と、前記収容部に達する少なくとも1つの孔と、を有する筐体と、
    前記収容部に設けられた第1電極部と、
    前記第1電極部と離間して対向し、前記第1電極部とは異なった仕事関数を有する第2電極部と、
    前記第1電極部と、前記第2電極部との間に設けられた、前記第1電極部の仕事関数と前記第2電極部の仕事関数との間の仕事関数を有するナノ粒子を含む中間部と、
    を備えること
    を特徴とする発電装置。
  11. 熱エネルギーを電気エネルギーに変換する熱電素子と、前記熱電素子を電源に用いて駆動させることが可能な電子部品と、を含む電子機器であって、
    前記熱電素子は、
    収容部と、前記収容部に達する少なくとも1つの孔と、を有する筐体と、
    前記収容部に設けられた第1電極部と、
    前記第1電極部と離間して対向し、前記第1電極部とは異なった仕事関数を有する第2電極部と、
    前記第1電極部と、前記第2電極部との間に設けられた、前記第1電極部の仕事関数と前記第2電極部の仕事関数との間の仕事関数を有するナノ粒子を含む中間部と、
    を備えること
    を特徴とする電子機器。
  12. 熱エネルギーを電気エネルギーに変換する熱電素子の製造方法であって、
    第1電極部の上に、支持部を形成する工程と、
    前記支持部の内に、前記第1電極部に達する収容部を形成する工程と、
    前記収容部が形成された前記支持部の上に、前記第1電極部とは異なった仕事関数を有する第2電極部を形成する工程と、
    前記第1電極部、前記支持部、及び前記第2電極部の少なくともいずれか1つに、前記収容部に達する少なくとも1つの孔を形成する工程と、
    前記少なくとも1つの孔を介して、前記収容部の内に、前記第1電極部の仕事関数と前記第2電極部の仕事関数との間の仕事関数を有するナノ粒子を含む中間部を形成する工程と、
    を備えること
    を特徴とする熱電素子の製造方法。
  13. 第1基板部の上に、一対の支持部を形成する工程と、
    前記支持部の内に、第1基板に達する収容部を形成する工程と、
    前記収容部が形成された前記第1基板部の上に、第1電極部と、前記第1電極部と離間して対向し、前記第1電極部とは異なった仕事関数を有する第2電極部と、を櫛歯状に形成する工程と、
    前記支持部の上面に、第2基板を接合する工程と、
    前記収容部の開口部分に封止部を形成する工程と、
    前記支持部の側面又は前記第2基板の平面上に、前記収容部に達する少なくとも1つの孔を形成する工程と、
    前記少なくとも1つの孔を介して、前記収容部の内に、前記第1電極部の仕事関数と前記第2電極部の仕事関数との間の仕事関数を有するナノ粒子を含む中間部を形成する工程と、
    を備えること
    を特徴とする熱電素子の製造方法。
  14. 熱エネルギーを電気エネルギーに変換する熱電素子の製造方法であって、
    第1基板部の上に、凹部を形成する工程と、
    前記凹部の内に、第1電極部を形成する工程と、
    前記第1電極部が形成された前記第1基板部の上に、前記第1電極部と離間して対向し、前記第1電極部とは異なった仕事関数を有する第2電極部を形成する工程と、
    前記第1基板部、及び前記第2電極部の少なくともいずれか1つに、前記凹部に達する少なくとも1つの孔を形成する工程と、
    前記少なくとも1つの孔を介して、前記凹部の内に、前記第1電極部の仕事関数と前記第2電極部の仕事関数との間の仕事関数を有するナノ粒子を含む中間部を形成する工程と、
    を備えること
    を特徴とする熱電素子の製造方法。
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