JP2022063483A - 発電素子及び発電方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】発電効率の更なる向上が可能な発電素子及び発電方法を提供すること。【解決手段】実施形態の1つに係る発電素子は、電極間仕事関数差を利用した発電素子1であって、第1電極11と、第1電極11よりも仕事関数が小さい第2電極12と、第1電極11と第2電極12との間を移動可能であり、第1電極11又は第2電極12から放出された電子eを受け取り、受け取った電子eを第1電極11又は第2電極12へ受け渡すナノ粒子14と、を備える。電子e受け取ったナノ粒子14は、第1電極11に電子eを受け渡す量に比べて、第2電極12に電子eを受け渡す量が多い。【選択図】図5

Description

この発明の実施形態は、発電素子及び発電方法に関する。
近年、熱エネルギーを利用して電気エネルギーを生成する熱電素子等の発電素子の開発が盛んに行われている。特許文献1~3には、仕事関数差を有する電極間に発生する、絶対温度による電子放出現象を利用した熱電素子が開示されている。このような熱電素子は、電極間の温度差(ゼーベック効果)を利用した熱電素子に比較して、電極間の温度差が小さい場合又は温度差が無い場合であっても発電可能である。このため、電極間仕事関数差を利用した発電素子は、電極間温度差を利用した発電素子と比較して、より様々な用途への利用が期待されている。
特許文献1~3は、仕事関数の異なる2枚の金属あるいは半導体電極、及び電極間を埋めるナノ粒子を含んだ溶媒から構成される。両方の電極からは、熱電子が放出される。電極間ギャップが近づき、電子のやりとりができるようになると、電子は、接触したナノ粒子同士間でのトンネリングあるいはホッピングによって、反対側の電極方向へ移動し、相手側の電極に移る。これにより、2枚の電極間に電流を流すことができる。
特許第6147901号公報 米国特許出願公開第2015/0229013号明細書 特開2019-149493号公報
しかしながら、接触したナノ粒子同士間でのトンネリングあるいはホッピングのみを利用した特許文献1~3では、発電効率を向上させ難い、という事情がある。
この発明の実施形態は、発電効率の更なる向上が可能な発電素子及び発電方法を提供する。
この発明の第1態様に係る発電素子は、電極間仕事関数差を利用した発電素子であって、第1電極と、前記第1電極よりも仕事関数が小さい第2電極と、前記第1電極と前記第2電極との間を移動可能であり、前記第1電極又は前記第2電極から放出された電子を受け取り、受け取った前記電子を前記第1電極又は前記第2電極へ受け渡すナノ粒子と、を備え、前記電子を受け取った前記ナノ粒子は、前記第1電極に前記電子を受け渡す量に比べて、前記第2電極に前記電子を受け渡す量が多いことを特徴とする。
この発明の第2態様に係る発電素子は、第1態様において、前記第1電極と前記第2電極との間に、溶媒で満たされたギャップを、さらに備え、前記ナノ粒子は、前記溶媒中に分散されていることを特徴とする。
この発明の第3態様に係る発電素子は、第2態様において、前記第1電極を低電位、前記第2電極を高電位とする電界によって、前記電子を受け取って電気的に負の状態となった前記ナノ粒子を、前記第2電極へ向けてドリフトさせることを特徴とする。
この発明の第4態様に係る発電素子は、第3態様において、前記電子を前記第2電極へ受け渡して電気的に中性の状態となり、ディフュージョンしている前記ナノ粒子に、前記第1電極から放出された電子を再度受け取らせ、前記ナノ粒子のドリフトとディフュージョンとの繰り返しによって発電を継続させることを特徴とする。
この発明の第5態様に係る発電素子は、第2態様~第4態様のいずれか1つにおいて、前記ギャップは、3μm以下の有限値であることを特徴とする。
この発明の第6態様に係る発電素子は、第1態様において、前記第1電極を正極、前記第2電極を負極とすることを特徴とする。
この発明の第7態様に係る発電方法は、電極間仕事関数差を利用した発電素子の発電方法であって、前記発電素子は、第1電極と、前記第1電極よりも仕事関数が小さい第2電極と、前記第1電極と前記第2電極との間を移動可能であり、前記第1電極又は前記第2電極から放出された電子を受け取り、受け取った前記電子を前記第1電極又は前記第2電極へ受け渡すナノ粒子と、を備え、前記電子を受け取った前記ナノ粒子は、前記第1電極に前記電子を受け渡す量に比べて、前記第2電極に前記電子を受け渡す量が多いことを特徴とする。
第1態様に係る発電素子によれば、電子を受け取ったナノ粒子は、第1電極に電子を受け渡す量に比べて、第2電極に電子を受け渡す量が多い。したがって、例えば接触したナノ粒子同士間でのトンネリングあるいはホッピングのみを利用した発電素子と比較して、発電効率の更なる向上が可能となる。
第2態様に係る発電素子によれば、第1電極と第2電極との間に、ギャップを、さらに備えている。そして、ナノ粒子は、溶媒中に分散されている。したがって、ナノ粒子を、第1電極と第2電極との間を移動させることが可能となる。
第3態様に係る発電素子によれば、第1電極を低電位とし、第2電極を高電位とする電界が生ずる。したがって、電子を受け取って電気的に負の状態となったナノ粒子を、第2電極へ向けてドリフトさせることが可能となる。
第4態様に係る発電素子によれば、電気的に中性の状態となり、ディフュージョンしている前記ナノ粒子に、前記第1電極から放出された前記電子を再度受け取らせ、ナノ粒子のドリフトとディフュージョンとを繰り返す。したがって、有限個数であるナノ粒子を用いた連続的な電子の移動が実現可能となり、発電を継続させることができる。
第5態様に係る発電素子によれば、ギャップは、3μm以下の有限値とする。これにより、電子を受け取ったナノ粒子が第1電極から第2電極へ向けて移動する現象を、顕著に生じさせることが可能となる。したがって、発電素子の発電効率を、さらに高めることができる。
第7態様に係る発電方法によれば、発電効率の更なる向上が可能となる発電方法を得ることができる。
図1は、一実施形態に係る発電素子を含む発電装置の一例を示す模式断面図である。 図2は、一実施形態に係る発電素子の一例を示す模式断面図である。 図3は、一実施形態に係る発電素子の一例を示す模式断面図である。 図4は、一実施形態に係る発電素子の一例を示す模式断面図である。 図5は、一実施形態に係る発電素子の一例を示す模式断面図である。 図6は、一実施形態に係る発電素子の一例を示す模式断面図である。 図7は、一実施形態に係る発電素子の一例を示す模式断面図である。 図8は、一実施形態に係る発電素子を含む発電装置の一例を示す模式断面図である。 図9は、一実施形態に係る発電素子の他例を示す模式断面図である。 図10(a)~図10(h)は、一実施形態に係る発電素子を備えた電子機器の例を示す模式ブロック図である。
以下、この発明の一実施形態を、図面を参照しながら説明する。各図において、共通する部分については共通する参照符号を付し、重複する説明は省略する。
(発電装置)
図1は、一実施形態に係る発電素子を含む発電装置の一例を示す模式断面図である。図2~図7は、一実施形態に係る発電素子の一例を示す模式断面図である。図8は、一実施形態に係る発電素子を含む発電装置の一例を示す模式断面図である。
図1に示すように、発電装置100は、発電素子1と、第1外部端子101と、第2外部端子102と、を含む。発電素子1は、負荷Rの両端間に電気的に接続される。発電素子1は、電極間仕事関数差を利用するものである。発電素子1を含む発電装置100は、例えば、図示せぬ熱源に搭載又は設置され、熱源の熱エネルギーを元として、発電素子1が発生させた電気エネルギーを、第1外部端子101及び第2外部端子102を介して負荷Rへ出力する。負荷Rの一端は、第1外部配線111を介して第1外部端子101と電気的に接続される。負荷Rの他端は、第2外部配線112を介して第2外部端子102と電気的に接続される。負荷Rは、例えば電気的な機器を示している。負荷Rは、発電装置100を主電源又は補助電源に用いて駆動される。
発電素子1の熱源としては、例えば、CPU(Central Processing Unit)等の電子デバイス又は電子部品、LED(Light Emitting Diode)等の発光素子、自動車等のエンジン、工場の生産設備、人体、太陽光、環境温度等を利用することができる。例えば、電子デバイス、電子部品、発光素子、エンジン、生産設備等は人工熱源である。人体、太陽光、環境温度等は自然熱源である。発電装置100は、例えばIoT(Internet of Things)デバイス及びウェアラブル機器等のモバイル機器や自立型センサ端末の内部に設けることができ、電池の代替又は補助として用いることができる。さらに、発電装置100は、太陽光発電等のような、より大型の発電装置への応用も可能である。
(発電素子)
図1~図8に示すように、発電素子1は、第1電極11と、第2電極12と、ギャップGと、溶媒13と、ナノ粒子14と、を含む。発電素子1は、例えば絶縁性のパッケージ15によって被覆されている。発電素子1は、例えば第1電極11を正極、第2電極12を負極とする。なお、以下において「ナノ流体」とは、ナノ粒子14が分散された溶媒13を示す。
第1電極11は、第1仕事関数を有する。第2電極12は、第1仕事関数よりも小さい第2仕事関数を有する。第1仕事関数の値は、第2仕事関数の値よりも大きい。発電素子1は、第1電極11は仕事関数が大きく(WF大)、第2電極12は仕事関数が小さい(WF小)という関係を有する。第1電極11及び第2電極12の材料は、例えば、以下に示す金属から選ぶことができる。
白金(Pt)
タングステン(W)
アルミニウム(Al)
チタン(Ti)
ニオブ(Nb)
モリブデン(Mo)
タンタル(Ta)
レニウム(Re)
発電素子1では、第1電極11と第2電極12との間に仕事関数差が生じればよい。したがって、第1電極11及び第2電極12の材料には、上記以外の金属を選ぶことが可能である。また、第1電極11及び第2電極12の材料には、上記金属の他、合金、金属間化合物、及び金属化合物を選ぶことも可能である。金属化合物は、金属元素と非金属元素とが化合したものである。金属化合物の例としては、例えば六ホウ化ランタン(LaB)を挙げることができる。
第1電極11及び第2電極12の材料として、非金属導電物を選ぶことも可能である。非金属導電物の例としては、シリコン(Si:例えばp型Si、あるいはn型Si)、及びグラフェン等のカーボン系材料等を挙げることができる。
ギャップGは、第1電極11と第2電極12との間に設けられている。溶媒13は、ギャップGの内部を満たす。溶媒13には、例えば、沸点が60℃以上の液体を用いることができる。このため、室温(例えば15℃~35℃)以上の環境下において、発電素子1を用いた場合であっても、溶媒13の気化を抑制することができる。これにより、溶媒13の気化に伴う発電素子1の劣化を抑制することができる。液体の例としては、有機溶媒及び水の少なくとも1つを選ぶことができる。有機溶媒の例としては、メタノール、エタノール、トルエン、キシレン、テトラデカン、アルカンチオール等を挙げることができる。なお、溶媒13は、電気的抵抗値が高く、絶縁性である液体がよい。
ナノ粒子14は、第1電極11と第2電極12との間を移動可能なように、溶媒13中に分散されている。ナノ粒子14は、第1電極11及び第2電極12から放出された電子eを受け取り、受け取った電子eを第2電極12へ受け渡す。ナノ粒子14の粒子径は、ギャップGの内部において、第1電極11と第2電極12との間を移動可能な範囲とされる。また、ナノ粒子の配合量についても、ギャップGの内部において、第1電極11と第2電極12との間を移動可能な範囲とされる。
ナノ粒子14は、例えば導電物を含む。ナノ粒子14の仕事関数の値は、例えば、第1電極11の第1仕事関数の値と、第2電極12の第2仕事関数の値との間にある。例えば、ナノ粒子14の仕事関数の値は、3.0eV以上5.5eV以下の範囲とされる。
なお、発電素子1によれば、ナノ粒子14の仕事関数の値は、第1仕事関数の値及び第2仕事関数の値より低くても、反対にナノ粒子14の仕事関数の値が第1仕事関数の値及び第2仕事関数の値より高くても発電することが可能である。
ナノ粒子14の材料の例としては、金及び銀の少なくとも1つを選ぶことができる。なお、ナノ粒子14の仕事関数の値は、第1仕事関数の値と、第2仕事関数の値との間にあればよい。したがって、ナノ粒子14の材料には、金及び銀以外の導電性材料を選ぶことも可能である。また、ナノ粒子14の表面には、例えば絶縁物がコーティングされていても良い。コーティング材料の例としては、絶縁性金属化合物及び絶縁性有機化合物の少なくとも1つを選ぶことができる。絶縁性金属化合物の例としては、例えば、シリコン酸化物及びアルミナ等を挙げることができる。絶縁性有機化合物の例としては、アルカンチオール(例えばドデカンチオール)等を挙げることができる。
(発電方法)
図2に示すように、ナノ粒子14は、溶媒13の中で、例えばブラウン運動により、自由に動いている。なお、ナノ粒子14の動きは、発電素子1の周囲の温度が高いほど大きくなる。
図3に示すように、自由に動いているナノ粒子14の一部は、第1電極11の表面及び第2電極12の表面と接触する。このようなナノ粒子14の第1電極11に向かって移動する挙動を、本明細書では、“ディフュージョン”と呼ぶ。
すると、図4に示すように、第1電極11から放出された電子e(熱電子)が、例えばトンネリングにより、第1電極11と接触したナノ粒子14中に移動する。同様に、第2電極12から放出された電子e(熱電子)も、例えばトンネリングにより、第2電極12と接触したナノ粒子14中に移動する。このようにして、ナノ粒子14は、第1電極11及び第2電極12から放出された電子eを受け取る。電子eを受け取ったナノ粒子14は、電気的に負の状態となる(ナノ粒子14が負に帯電する)。
ここで、ナノ粒子14を含むナノ流体が各電極11、12の間に挿入されると、初期的には仕事関数の小さい第2電極12から仕事関数の大きい第1電極11へ、電子eがナノ粒子14を媒体として、又はホッピングやトンネリング等で移動する。これにより、第1電極11を低電位、第2電極12を高電位とする電界が発生する。ナノ流体の伝導率は、第1電極11と第2電極12のフェルミレベルが合致しない程度に高いため、この電界はその後も保持される。
図5に示すように、電子eを受け取って電気的に負の状態となったナノ粒子14は、上記電界によって、第2電極12へ向けてドリフトする。ドリフトしたナノ粒子14は、第2電極12と接触する。
ここで、仕事関数の大きな第1電極11と仕事関数の小さな第2電極12とが、ナノ流体に浸漬され、それぞれ電極表面近傍に存在するナノ粒子14の密度及び仕事関数が同じ場合には、仕事関数の小さな第2電極2からナノ粒子14に注入される電子eの数のほうが、仕事関数の大きな第1電極11から注入される電子eの数よりも大きくなる。時間t=0では、第2電極12のほうが第1電極11よりも、その近傍に電子eによってチャージされたナノ粒子14が多く存在する。これによって第2電極12のフェルミレベルが第1電極11のそれに近づく(仕事関数が大きくなるのと同じ意味である)。これに伴い電界が発生する。電界の方向は第2電極12から第1電極11へ向く方向であり、この電界によって発生するローレンツ力により、電子eは第1電極11から第2電極12へ移動する。この時に移動する電子eは第1電極11から注入されたものだけではなく、第2電極12から注入されたものも含まれる(第2電極12からナノ粒子14に飛び移ったのに、また第2電極12に帰ってくる)。したがって、単位時間に第1電極11から2個、第2電極12から6個の電子eをナノ流体に注入しても、総合的には電子eが第1電極11から第2電極12に流れる状況となる。
図6に示すように、第2電極12と接触しているナノ粒子14中の電子eは、例えばトンネリングにより、第2電極12と接触したナノ粒子14中に移動する。このようにして、ナノ粒子14は、受け取った電子eを第2電極12へ受け渡す。電子eを第2電極12へ受け渡して電気的に中性の状態となったナノ粒子14は、電気的に中性の状態となる。
図7に示すように、電気的に中性の状態となったナノ粒子14は、第2電極12から離れ、再び溶媒13の中を自由に動き出す。そして、ナノ粒子14が、図3~図7に示したような挙動が繰り返されるようになり、発電素子1内において、有限個数であるナノ粒子14を用いた連続的な電子eの移動が実現可能となり、発電を継続させることができる。
このように、発電素子1は、電子eを受け取ったナノ粒子14を、仕事関数が大きい第1電極11から仕事関数が小さい第2電極12へ向けて、さらに移動させることで発電する。これにより、図8に示すように、負荷Rに電流を流すことができ、発電装置100として利用することができる。
なお、例えば電子eは、ナノ粒子14等を介したトンネリング又はホッピングによって、仕事関数が小さい第2電極12から、仕事関数の大きい第1電極11に移動する場合がある。この場合においても、発電素子1の発電には、上述したナノ粒子14の挙動の寄与が大きい。すなわち、電子eを受け取ったナノ粒子14は、第1電極11に電子eを受け渡す量に比べて、第2電極12に電子eを受け渡す量が多い。したがって、例えば接触したナノ粒子同士間でのトンネリングあるいはホッピングのみを利用した発電素子と比較して、発電効率の更なる向上が可能となる。
しかも、発電素子1は、ナノ粒子14を、第1電極11と第2電極12との間を移動可能とし、発電素子1の発電に、ナノ粒子14の“ドリフト”及び“ディフュージョン”をさらに利用する。したがって、発電素子1によれば、例えば接触したナノ粒子同士間での“トンネリング”あるいは“ホッピング”のみを利用した発電素子と比較して、発電効率の更なる向上が可能となる。
また、図2~図7に示したようなナノ粒子14の挙動は、ギャップGの幅が狭くなるほど、より顕著に得ることができる。本願発明者らによる試験では、ギャップGの幅は、3μm以下の有限値とすると、電子eを受け取ったナノ粒子14が第1電極11から第2電極12へ向けて移動する現象が、顕著に現れ始めることが確認された。したがって、ギャップGの幅は、3μm以下の有限値とすることで、発電素子1の発電効率を、さらに高めることができる。
このように、電子eを受け取ったナノ粒子14を、仕事関数が大きい第1電極11から仕事関数が小さい第2電極12へ向けて移動させる発電素子1は、ギャップGの幅は、3μm以下の有限値とし、さらにギャップGの幅を狭くしていくに連れて、発電効率が高まる傾向を持つ。このため、発電素子1は、発電素子1及び発電装置100の微細化及び小型化にも有効である。
図9は、一実施形態に係る発電素子の他例を示す模式断面図である。
図9に示すように、他例に係る発電素子1では、発電に、ナノ粒子14の“ドリフト”及び“ディフュージョン”を利用するばかりでなく、ナノ粒子14間での“電子eのホッピング”及びナノ粒子14間での”電子eのトンネリング”の少なくともいずれかを、さらに利用する。
このように、発電素子1の発電に、ナノ粒子14の“ドリフト”及び“ディフュージョン”に加え、ナノ粒子14間での“電子eのホッピング”及びナノ粒子14間での”電子eのトンネリング”の少なくともいずれかを、さらに利用すれば、発電素子1の発電効率は、さらに向上するようになる。
このように、一実施形態によれば、発電効率の更なる向上が可能な発電素子及び発電方法を提供できる。
(電子機器)
上述した一実施形態において説明した発電素子1を含む発電装置100は、例えば電子機器に搭載することが可能である。以下、電子機器の実施形態のいくつかを説明する。
図10(a)~図10(h)は、一実施形態に係る発電素子を備えた電子機器の例を示す模式ブロック図である。
図10(a)に示すように、電子機器(エレクトリックプロダクト)500は、電子部品(エレクトロニックコンポーネント)501と、主電源502と、補助電源503と、を備えている。電子機器500及び電子部品501のそれぞれは、電気的な機器(エレクトリカルデバイス)である。
電子部品501は、主電源502を電源に用いて駆動される。電子部品501の例としては、例えば、CPU、モーター、センサ端末、及び照明等を挙げることができる。電子部品501が、例えばCPUである場合、電子機器500には、内蔵されたマスター(CPU)によって制御可能な電子機器が含まれる。電子部品501が、例えば、モーター、センサ端末、及び照明等の少なくとも1つを含む場合、電子機器500には、外部にあるマスター、あるいは人によって制御可能な電子機器が含まれる。
主電源502は、例えば電池である。電池には、充電可能な電池も含まれる。主電源502のプラス端子(+)は、電子部品501のVcc端子(Vcc)と電気的に接続される。主電源502のマイナス端子(-)は、電子部品501のGND端子(GND)と電気的に接続される。
補助電源503は、発電素子1である。発電素子1は、電子部品501のGND端子(GND)と又はGND端子(GND)とマイナス端子(-)とを接続する配線との間に電気的に接続される。
電子機器500において、発電装置100は、例えば主電源502と併用され、主電源502をアシストするための電源や、主電源502の容量が切れた場合、主電源502をバックアップするための電源として使うことができる。主電源502が充電可能な電池である場合には、補助電源503は、さらに、電池を充電するための電源としても使うことができる。
図10(b)に示すように、主電源502は、発電素子1とされてもよい。発電素子1は、電子部品501のGND端子(GND)と、電子部品501のVcc端子(Vcc)との間に電気的に接続される。図10(b)に示す電子機器500は、主電源502として使用される発電素子1と、発電素子1を用いて駆動されることが可能な電子部品501と、を備えている。発電素子1は、独立した電源(例えばオフグリッド電源)である。このため、電子機器500は、例えば自立型(スタンドアローン型)にできる。しかも、発電素子1は、環境発電型(エナジーハーベスト型)である。図10(b)に示す電子機器500は、電池の交換が不要である。
図10(c)に示すように、電子部品501が発電素子1を備えていてもよい。発電素子1は、例えば、回路基板(図示は省略する)のGND配線とVcc配線との間に電気的に接続される。この場合、発電素子1は、電子部品501の、例えば補助電源503として使うことができる。
図10(d)に示すように、電子部品501が発電素子1を備えている場合、発電素子1は、電子部品501の、例えば主電源502として使うことができる。
図10(e)~図10(h)のそれぞれに示すように、電子機器500は、発電素子1を含む発電装置100を備えていてもよい。
また、図10(d)に示した実施形態は、電子部品501が主電源502として使用される発電素子1を備えている。同様に、図10(h)に示した実施形態は、電子部品501が主電源として使用される発電装置100を備えている。これらの実施形態では、電子部品501が、独立した電源を持つ。このため、電子部品501を、例えば自立型とすることができる。自立型の電子部品501は、例えば、複数の電子部品を含み、かつ、少なくとも1つの電子部品が別の電子部品と離れているような電子機器に有効に用いることができる。そのような電子機器500の例は、センサである。センサは、センサ端末(スレーブ)と、センサ端末から離れたコントローラ(マスター)と、を備えている。センサ端末及びコントローラのそれぞれは、電子部品501である。センサ端末が、発電素子1又は発電装置100を備えていれば、自立型のセンサ端末となり、有線での電力供給の必要がない。発電素子1又は発電装置100は環境発電型であるので、電池の交換も不要である。センサ端末は、電子機器500の1つと見なすこともできる。電子機器500と見なされるセンサ端末には、センサのセンサ端末に加えて、例えば、IoTワイヤレスタグ等が、さらに含まれる。
図10(a)~図10(h)のそれぞれに示した実施形態において共通することは、電子機器500は、熱エネルギーを電気エネルギーに変換する発電素子1と、発電素子1を電源に用いて駆動されることが可能な電子部品501と、を含むことである。
電子機器500は、独立した電源を備えた自律型(オートノマス型)であってもよい。自律型の電子機器の例は、例えばロボット等を挙げることができる。さらに、発電素子1又は発電装置100を備えた電子部品501は、独立した電源を備えた自律型であってもよい。自律型の電子部品の例は、例えば可動センサ端末等を挙げることができる。
ここで、「ナノ粒子」とは、複数の粒子を含んだものを示し、例えば2種類以上の粒子を含んでもよい。ナノ粒子14は、例えば2nm以上100nm以下の粒子径を有する粒子を含む。ナノ粒子14は、例えば、平均粒径(例えばD50)が3nm以上100nm以下の粒子径を有する粒子を含んでもよい。平均粒径は、例えば粒度分布計測器を用いることで、測定することができる。粒度分布計測器としては、例えば、レーザー回折散乱法を用いた粒度分布計測器(例えばMicrotracBEL製Nanotrac WaveII-EX150等)を用いればよい。
また、「仕事関数」とは、固体内にある電子を真空中に取出すために必要な最小限のエネルギーを示す。仕事関数は、例えば、紫外光電子分光法(UPS:Ultraviolet Photoelectron Spectroscopy)、X線光電子分光法(XPS:X-ray Photoelectron Spectroscopy)やオージェ電子分光法(AES:Auger Electron Spectroscopy)を用いて測定することができる。
以上、この発明の一実施形態を説明したが、一実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。また、この発明の実施形態は、上記一実施形態が唯一のものでもない。この発明は、上記一実施形態の他、様々な新規な形態で実施することができる。したがって、上記一実施形態のそれぞれは、この発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更が可能である。このような新規な形態や変形は、この発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明、及び特許請求の範囲に記載された発明の均等物の範囲に含まれる。
1 :発電素子
11 :第1電極
12 :第2電極
13 :溶媒
14 :ナノ粒子
15 :パッケージ
100:発電装置
101:第1外部端子
102:第2外部端子
500:電子機器
501:電子部品
502:主電源
503:補助電源
R :負荷
G :ギャップ
e :電子

Claims (7)

  1. 電極間仕事関数差を利用した発電素子であって、
    第1電極と、
    前記第1電極よりも仕事関数が小さい第2電極と、
    前記第1電極と前記第2電極との間を移動可能であり、前記第1電極又は前記第2電極から放出された電子を受け取り、受け取った前記電子を前記第1電極又は前記第2電極へ受け渡すナノ粒子と、
    を備え、
    前記電子を受け取った前記ナノ粒子は、前記第1電極に前記電子を受け渡す量に比べて、前記第2電極に前記電子を受け渡す量が多いこと
    を特徴とする発電素子。
  2. 前記第1電極と前記第2電極との間に、溶媒で満たされたギャップを、さらに備え、
    前記ナノ粒子は、前記溶媒中に分散されていること
    を特徴とする請求項1記載の発電素子。
  3. 前記第1電極を低電位、前記第2電極を高電位とする電界によって、前記電子を受け取って電気的に負の状態となった前記ナノ粒子を、前記第2電極へ向けてドリフトさせること
    を特徴とする請求項2記載の発電素子。
  4. 前記電子を前記第2電極へ受け渡して電気的に中性の状態となり、ディフュージョンしている前記ナノ粒子に、前記第1電極から放出された前記電子を再度受け取らせ、
    前記ナノ粒子のドリフトとディフュージョンとの繰り返しによって発電を継続させること
    を特徴とする請求項3記載の発電素子。
  5. 前記ギャップは、3μm以下の有限値であること
    を特徴とする請求項2~4のいずれか1つに記載の発電素子。
  6. 前記第1電極を正極、前記第2電極を負極とすること
    を特徴とする請求項1記載の発電素子。
  7. 電極間仕事関数差を利用した発電素子の発電方法であって、
    前記発電素子は、
    第1電極と、
    前記第1電極よりも仕事関数が小さい第2電極と、
    前記第1電極と前記第2電極との間を移動可能であり、前記第1電極又は前記第2電極から放出された電子を受け取り、受け取った前記電子を前記第1電極又は前記第2電極へ受け渡すナノ粒子と、
    を備え、
    前記電子を受け取った前記ナノ粒子は、前記第1電極に前記電子を受け渡す量に比べて、前記第2電極に前記電子を受け渡す量が多いこと
    を特徴とする発電方法。
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