JP2021017668A - 引裂強度に優れた産業資材用帆布 - Google Patents

引裂強度に優れた産業資材用帆布 Download PDF

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Abstract

【課題】産業資材用帆布で、特に従来と同等の質量の布帛を基布に用いながらより引裂強度に優れた帆布、及び従来よりも軽量の布帛を基布に用いながら従来品と同等の引裂強度を発現可能な帆布の提供。【解決手段】非目抜布帛を基布として、この布帛の全面に熱可塑性樹脂含浸被覆層が設けられた帆布において、非目抜布帛が2本の短繊維紡績糸条からなる並列糸条を織組織に含み、1)並列糸条を経糸及び緯糸に含み、少なくとも経糸と緯糸との交絡点が4本の短繊維紡績糸条で構成された部分を含む平織布帛、または2)並列糸条を経糸または緯糸の一方に含み、少なくとも経糸と緯糸との交絡点が3本の短繊維紡績糸条で構成された部分を含む平織布帛、の何れかとする。【選択図】図1

Description

本発明は、テント倉庫、屋形テント、トラック幌、トラック荷台カバー、野積シートなどに用いる産業資材用帆布で、特に従来と同等の質量の布帛を基布に用いながらより引裂強度に優れた帆布、及び従来よりも軽量の布帛を基布に用いながら従来品と同等の引裂強度を発現可能な帆布に関する。
従来、スパン糸製布帛にポリ塩化ビニル系樹脂で被覆した帆布が建築構造物の屋根材、トラック架装材料などに使用されている。特に帆布では軽量性と、スパン糸製布帛の風合いや外観が好まれるが、帆布をトラック架装材料に用いた時に、切り裂きに対する弱さの欠点、破損個所からの雨漏れの問題があることが特許文献1の従来の技術などに記載されている。建築構造物の屋根材、トラック架装材料などに用いられる帆布のポリエステル生地は4号(280g/m)〜7号(170g/m)が主である。切り裂き強さは単に生地号数を3号(340g/m)、2号(410g/m)と生地の厚さを増すことで向上可能であるが、その分質量が増大することとなり、使い勝手を悪くする問題がある。
一方、特許文献2には、カバー類、シート類等に用いられるシートとしてポリエステルやナイロンなどのマルチフィラメント糸を用いた織編布にポリ塩化ビニルフィルムを積層したターポリンでは重量が大きく高所における展張作業などでは取り扱いが困難であるとして、高密度ポリエチレンを主成分としたフラットヤーンからなる織布の両面に、低密度ポリエチレン等を主成分としたラミネート層を積層したラミネートシートが軽量で有用性に優れていることが従来技術に述べられている。そしてフラットヤーンを用いたラミネートシートでは引裂強度に劣る欠点に言及し、引裂強度の改良として織布を、経糸および/または緯糸の少なくとも一部に少なくとも2本のポリエチレンフラットヤーンからなる引揃糸を用い、緻密に織成することで、軽量で引裂強度に優れたポリエチレンラミネートシートが得られることが開示されている。すなわち特許文献2の発明の効果はポリエチレンフラットヤーンからなる引揃糸を用い、緻密に織成すること、によって得られるものでポリエチレンフラットヤーン以外の引揃糸による作用効果は明らかにされていない。またポリエチレンフラットヤーンの引揃糸を用いた薄い織布による帆布では突起物により穴開きが生じ易く建築構造物の屋根材、トラック架装材料などの産業資材用帆布として実用的なものではない。
また当出願人による特許文献3では、ガラス繊維糸が不燃性能に優れるという特徴を活かしテント倉庫用膜材料に用いる際に、フォークリフトや積荷がテント倉庫に接触しても、その損傷ダメージをより小さいものとする効果を有するような、高い引張強さと高い引裂強度を併せもつガラス繊維織物複合シート材として、ガラス繊維糸を経糸及び緯糸に用い、織り組織を畝織または斜子織とする特定の要件を満たすガラス繊維織物を基布に用い、樹脂被覆層を設けてなるガラス繊維織物複合シート材を提案した。すなわち特許文献3の発明の効果は元々折り曲げに弱いガラス繊維糸を経糸及び緯糸に用いながら、織り組織を畝織または斜子織とすること、特定のカバーファクターを満たすことによって得られるもので折り曲げに弱いガラス繊維糸以外による作用効果は明らかにされていない。またガラス繊維を用いて畝織、斜子織することで得られる帆布は耐屈曲性、耐引裂性に著しく劣ることに変わりなくトラック架装材料などの産業資材用帆布として実用的なものではない。
従って産業資材用帆布で、特に従来と同等の質量の布帛を基布に用いながらより引裂強度に優れた帆布、及び従来よりも軽量の布帛を基布に用いながら従来品と同等の引裂強度を発現可能な帆布が長い間望まれていたにも係わらず、このような要望を満足するような耐引裂性に優れた帆布は今だに存在していなかった。
特開平10−146907号公報 特開2001−162738号公報 特開2017−105950号公報
本発明は、テント倉庫、屋形テント、トラック幌、トラック荷台カバー、野積シートなどに用いる産業資材用帆布で、特に従来と同等の質量の布帛を基布に用いながらより引裂強度に優れた帆布、及び従来よりも軽量の布帛を基布に用いながら従来品と同等の引裂強度を発現可能な帆布を提供しようとするものである。
本発明はかかる点を考慮し鋭意検討した結果、非目抜布帛を基布として、この布帛の全面に熱可塑性樹脂含浸被覆層が設けられた帆布であって、前記非目抜布帛が2本の短繊維紡績糸条からなる並列糸条を織組織に含み、1)前記並列糸条を経糸及び緯糸に含み、経糸と緯糸との交絡点が4本の前記短繊維紡績糸条で構成された部分を少なくとも含む平織布帛、または2)前記並列糸条を経糸または緯糸の一方に含み、経糸と緯糸との交絡点が3本の前記短繊維紡績糸条で構成された部分を少なくとも含む平織布帛、の何れかであることによって、従来と同等の質量の布帛を基布に用いながらより引裂強度に優れた帆布、及び従来よりも軽量の布帛を基布に用いながら従来品と同等の引裂強度を発現可能な帆布が得られることを見出して本発明を完成させるに至った。
本発明の引裂強度に優れた産業資材用帆布は、前記非目抜布帛が、前記並列糸条を経糸及び緯糸の全てに含み、経糸と緯糸との交絡点が4本の前記短繊維紡績糸条で構成された平織布帛であることが好ましい。これによって得られる帆布の耐引裂性が経緯方向にバランス良く向上し、帆布外観も均質なものとすることができる。
本発明の引裂強度に優れた産業資材用帆布は、前記非目抜布帛が、前記並列糸条を経糸及び緯糸の全てに含み、経糸と緯糸との交絡点が3本の前記短繊維紡績糸条で構成された平織布帛であることが好ましい。これによって得られる帆布の耐引裂性が経方向、または緯方向に特化して向上し、帆布外観も均質なものとすることができる。
本発明の引裂強度に優れた産業資材用帆布は、前記帆布において、経糸及び緯糸の交絡界面が前記熱可塑性樹脂含浸被覆層の一部によって可撓性接着点を形成していることが好ましい。この可撓性接着点は帆布の耐屈曲性などの動的耐久性を保持すると同時に、得られる帆布の形態安定性を保持するための固定点として作用し、帆布に突起物の衝突があった際に、帆布自体が変形し、この可撓性接着点にも引裂などの外力歪が分散して及ぶことで、可撓性接着点が伸びの変位を伴い、さらには伸び変位の増大で可撓性接着点が破断することで、経糸と緯糸の交絡界面に自由な動きを発現することが出来る。この自由挙動の発現によって引裂などの外力歪を散逸させると同時に、経糸と緯糸の変動を促すことで、引裂外力に対してより強固な引裂抵抗を発現可能とする有利な糸配置を形成することができる。
本発明の引裂強度に優れた産業資材用帆布は、前記並列糸条を構成する前記短繊維紡績糸条が、10番手単糸、14番手単糸、14番手双糸、15番手単糸、15番手双糸、20番手単糸、20番手双糸、30番手単糸及び30番手双糸から選ばれた1種以上であることが好ましい。デシテックス換算では、大きい順に、14番手双糸(844dtex)、15番手双糸(788dtex)、20番手双糸(590dtex)=10番手単糸(590dtex)、14番手単糸(422dtex)、30番手双糸(394dtex)=15番手単糸(394dtex)、20番手単糸(295dtex)、30番手単糸(197dtex))である。用いる短繊維紡績糸条が30番手単糸(197dtex)より小さいと得られる帆布の引裂強度に劣り、また14番手双糸(844dtex)より大きいと破断強力及び引裂強力は向上するが、糸の径が太くなりそれに伴って、帆布が重厚となって取り扱い性を悪くすることがある。
本発明の引裂強度に優れた産業資材用帆布は、経糸の前記並列糸条を構成する前記短繊維紡績糸条が20番手双糸、かつ緯糸の前記並列糸条を構成する前記短繊維紡績糸条が10番手単糸であることが好ましい。これによって平織布帛のエアージェット織機、シャトル製織、グリッパー製織、ウオータージェット製織またはレピア製織を効率化すると同時に平織布帛の形態安定性を保持することを可能とする。
本発明の引裂強度に優れた産業資材用帆布は、前記並列糸条を構成する前記短繊維紡績糸条が3〜7cm長のステープルファイバーで紡績されたものであることが好ましい。これによって短繊維紡績糸条自体の引裂強度を向上させ、それにより強化短繊維紡績糸条の集合体である平織布帛自体の引裂強度を向上させることができる。
本発明により、従来と同等の質量の布帛を基布に用いながらより引裂強度に優れた帆布、及び従来よりも軽量の布帛を基布に用いながら従来品と同等の引裂強度を発現可能な帆布を得ることを可能とするので、テント倉庫、屋形テント、トラック幌、トラック荷台カバー、野積シートなどに用いる産業資材用帆布として広く活用することが出来るようになった。
経糸および経糸を並列糸とする非目抜布帛の模式図(交絡点4) 経糸のみ並列糸とする非目抜布帛の模式図(交絡点3) 経糸のみ並列糸とする非目抜布帛の模式図(交絡点3)
本発明の引裂強度に優れた産業資材用帆布は、非目抜布帛を基布として、この布帛の全面に熱可塑性樹脂含浸被覆層が設けられた帆布であって、前記非目抜布帛が2本の短繊維紡績糸条からなる並列糸条を織組織に含み、1)前記並列糸条を経糸及び緯糸に含み、経糸と緯糸との交絡点が4本の前記短繊維紡績糸条で構成された部分を少なくとも含む平織布帛、または2)前記並列糸条を経糸または緯糸の一方に含み、経糸と緯糸との交絡点が3本の前記短繊維紡績糸条で構成された部分を少なくとも含む平織布帛、の何れかとする態様で、1−1)特に前記非目抜布帛が、前記並列糸条を経糸及び緯糸の全てに含み、経糸と緯糸との交絡点が4本の前記短繊維紡績糸条で構成された平織布帛である態様(図1)か、2−2)特に前記非目抜布帛が、前記並列糸条を経糸または緯糸の一方の全てに含み、経糸と緯糸との交絡点が3本の前記短繊維紡績糸条で構成された平織布帛である態様(図2、図3)であることが好ましい。
これらの態様の何れかとすることで、従来と同等の質量の布帛を基布に用いながらより引裂強度に優れた帆布(1ランク上の布帛と同等の引裂強度を有する帆布)、及び従来よりも軽量の布帛を基布に用いながら従来品と同等の引裂強度を発現可能な帆布を得ることができる。これは従来の非目抜布帛の平織構造における経糸と緯糸との交絡点が、経糸1本と緯糸1本の交絡点で緊密に緊縛された平織布帛であるのに対して、本発明の産業資材用帆布では交絡点に係わる短繊維紡績糸条の本数が並列糸条により1乃至2本多いことで緊密度及び緊縛度が緩いことに起因する。すなわち平織の非目抜布帛の交絡点に係わる糸本数が多いほど織物に引裂外力が加えられた際の交絡点の変形の自在性に優れ、物理的に優位な交絡点の変形対応で引裂外力を分散し、同時に引裂外力に抵抗するためと考察する。本発明の産業資材用帆布では従来の平織の非目抜布帛の一部に、並列糸条による交絡点が4本乃至3本の短繊維紡績糸条で構成された部分を任意の間隔で含む平織布帛、すなわちリップストップ構造を任意の間隔で有しているものを包含するものである。本発明ではさらに、これらリップストップ構造よりも非目抜布帛の全ての交絡点が並列糸条による4本乃至3本の短繊維紡績糸条で構成された平織布帛が好ましい。特に本発明では非目抜布帛の全ての交絡点が並列糸条による4本の短繊維紡績糸条で構成された平織布帛(図1)であることが、耐引裂効果の高さ、及び経緯方向の耐引裂効果のバランス共に優れ最適である。
本発明の産業資材用帆布に使用できる非目抜布帛としては、短繊維紡績糸条による並列糸条からなる平織、綾織、繻子織などの布帛が挙げられるが、特に並列糸条による平織布帛が得られる産業資材用帆布の経・緯物性バランスに優れ好ましい。非目抜布帛の経糸・緯糸の並列糸条に用いる短繊維紡績糸条は合成繊維、天然繊維、半合成繊維、無機繊維またはこれらの2種以上から成る混用繊維のいずれによって製織されても良いが、加工性と汎用性を考慮すると、ポリプロピレン繊維、ポリエチレン繊維、ビニロン繊維、ポリエステル繊維、芳香族ポリエステル繊維、ナイロン繊維、芳香族ポリアミド繊維、アクリル繊維、ポリウレタン繊維などの合成繊維による短繊維紡績糸条が好ましく、特にビニロン繊維、ポリエステル繊維、芳香族ポリアミド繊維などによる短繊維紡績糸条が最も好ましい。並列糸条は同じ繊維種からなる短繊維紡績糸条を2本並べて使用すること、例えばポリエステル繊維による短繊維紡績糸条を2本並列糸条とすることが汎用的であるが、異なる繊維種による短繊維紡績糸条を2本並べて並列糸条とすること、例えばポリエステル繊維による短繊維紡績糸条と、芳香族ポリアミド繊維による短繊維紡績糸条を2本並べて使用することもできる。
並列糸条に用いる短繊維紡績糸条としては、ビニロン、ナイロン、ポリエステルなどの熱可塑性樹脂を溶融温度(融点)以上の温度に加熱して流動性の粘重な溶融液化し、これを紡糸口金から押出して紡糸した長繊維紡糸束(トウ)を3〜7cmの長さ、好ましくは3.8〜5.8mm長さに切断して得られるステープル、特に均等長で切断して得られるステープルを開繊し、ダブリングドラフトを掛けながら練条されたスライバを引き伸ばして繊維平行度を一定に揃えてロービング(粗糸)として、これに所定の番手太さにドラフトと撚りを掛けてトウ紡績されたものである。3cm未満のステープルのみで形成された短繊維紡績糸条からなる布帛では、引裂の外力でステープルに掛けられた撚りが解れ易くなり、引裂強力が不十分となることがあり、また7cmを超えるステープルのみで形成された短繊維紡績糸条からなる布帛では、短繊維紡績糸条特有の毛羽数が少なくなり、その結果、熱可塑性樹脂含浸被覆層との密着性に劣り、得られる帆布の耐屈曲性、耐摩耗性を悪くすることがある。ステープルは3〜7cmの長さの中でも3.8〜5.8mm長のものをランダムまたは均等長で70質量%以上、好ましくは100%用いることが好ましい。撚糸は単糸または2本の単糸を引き揃えてS(右)撚りもしくはZ(左)撚りされた単糸、単糸または2本の単糸を引き揃えて下撚りされた加撚糸を2本引き揃えて上撚りを掛けた双糸が挙げられる。これらの撚糸の撚り回数は200〜2000回/mである。また、糸の番手と撚数との関係を表す比例定数である撚係数は、1.3〜3.0程度の甘撚り、3.0〜4.5程度の普通撚り、4.5〜5.5程度の強撚糸が挙げられるが、特に撚り係数3.0〜4.5の範囲の普通撚り糸が好ましい。これらの短繊維紡績糸条を、シャットル織機、シャットルレス織機(レピア方式、グリッパー方式、ウオータージェット方式、エアージェット方式)など、従来公知の紡績法及び設備に掛け、得られる非目抜布帛に並列糸条が構成されるように製織すれば、その工程、手段は任意で行うことができる。
並列糸条に使用される短繊維紡績糸条の番手は、10番手単糸、14番手単糸、14番手双糸、15番手単糸、15番手双糸、20番手単糸、20番手双糸、30番手単糸及び30番手双糸から選ばれた1種以上であることが好ましい。デシテックス換算では、大きい順に、14番手双糸(844dtex)、15番手双糸(788dtex)、20番手双糸(590dtex)=10番手単糸(590dtex)、14番手単糸(422dtex)、30番手双糸(394dtex)=15番手単糸(394dtex)、20番手単糸(295dtex)、30番手単糸(197dtex)である。用いる短繊維紡績糸条が30番手単糸(197dtex)で、並列糸条は必ずしも同一番手で構成される必要はないが、本発明においては同一番手で構成されることが好ましい。用いる短繊維紡績糸条が30番手単糸(197dtex)より小さい並列糸条だと得られる帆布の引裂強度に劣り、また14番手双糸(844dtex)より大きい並列糸条だと破断強力及び引裂強度は向上するが、糸の径が太くなりそれに伴って、帆布が重厚となって取り扱い性を悪くすることがある。これらの並列糸条には、単糸3本以上の撚糸、これらの2本合糸、2本合撚糸などの糸条を含んでいてもよい。経糸は並列糸条の単位で1インチ間20〜40本(短繊維紡績糸条換算で40〜80本)の糸密度、緯糸は1インチ間15〜35本(短繊維紡績糸条換算で30〜70本)の糸密度で打込んで得られるスパン平織布帛が好ましい。特に好ましくは、経糸の短繊維紡績糸条が20番手双糸、かつ緯糸の短繊維紡績糸条が10番手単糸で、並列糸条の単位で1インチ間経糸26〜30本(短繊維紡績糸条換算で52〜60本)、緯糸22〜26本(短繊維紡績糸条換算で44〜52本)の織密度で糸を打込んで得られるスパン平織布帛(非目抜布帛)が適している。さらにマルチフィラメント糸条を内層(芯)として外層(鞘)に短繊維糸条を巻き付けて紡績したコアスパン糸条を、経糸及び/または緯糸の全部または一部に置換したスパン平織布帛(非目抜布帛)であってもよい。また、非目抜布帛の空隙率(目抜け)は0〜5%のものが適している。空隙率が5%を越えると得られる帆布の寸法安定性に劣り、帆布の引裂強度と突起物に対する耐貫通性が低下することがある。空隙率は非目抜布帛の単位面積中に占める繊維糸条の面積を百分率として求め、100から差し引いた値として求めることができる。空隙率は経方向10cm×緯方向10cmを単位面積として求めることが好ましい。
本発明の産業資材用帆布に好適な非目抜布帛は、ポリエステル短繊維糸条の並列糸条を経糸及び緯糸とする織組織を有する170g/m〜410g/mのスパン平織布帛(非目抜布帛)が好ましく、その号数は例えば、2号(410g/m)、3号(340g/m)、4号(280g/m)、5号(240g/m)、6号(200g/m)及び7号(170g/m)である。また、これらの非目抜布帛にはフッ素系化合物、シリコーン系化合物、パラフィン系化合物などによって撥水処理されたもの、また公知の防黴剤、防藻剤などによって防黴性を付与したもの、また公知の防炎剤または難燃剤で防炎性(難燃性)を付与したもの、また公知の染料または顔料で着色されたもの、これらの処理を併用したものなどを任意に使用することができる。
非目抜布帛の全面に設けられる熱可塑性樹脂含浸被覆層は、軟質塩化ビニル樹脂系組成物、ポリウレタン系組成物、ポリエステル系組成物、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂系組成物、及びアクリル酸エステル共重合体樹脂系組成物から選ばれたいずれか1種による単層、またはこれらの併用による多層構造体によって形成されている。軟質塩化ビニル樹脂系組成物は、ペースト塩ビ(乳化重合PVC)に可塑剤を含むペーストゾル、またはペーストゾルに有機溶剤を含むオルガノゾルなどの液状体が好ましく、ポリウレタン系組成物、ポリエステル系組成物、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂系組成物、及びアクリル酸エステル共重合体樹脂系組成物などは、エマルジョン、ディスパージョン、及び有機溶剤に可溶化したものなどの液状体が好ましい。熱可塑性樹脂含浸被覆層はこれらの液状体を用いての非目抜布帛へのディッピング加工(浸漬〜含浸〜ロール圧搾〜熱処理固化)、または例えば、グラビアコート法、コンマコート法、ロールコート法、リバースロールコート法、バーコート法、ドクターナイフコート法などのコーティング加工によって含浸被覆、熱処理乾燥を行うことで形成される。何れの含浸被覆法においても、熱可塑性樹脂含浸被覆層はポリエステル短繊維糸条の内部まで完全に熱可塑性樹脂が含浸した態様、また含浸度合が10〜80%程度の表面付着で、ポリエステル短繊維糸条の芯部に非含浸部を残した態様であってもよい。この含浸被覆の含浸度合は用いる液状体の粘度調整、加工機速度、ディッピングユニットまたはコーティングユニットの減圧条件、非目抜布帛への圧着条件、ロール圧搾条件によって任意にコントロールできる。
また本発明の帆布において、短繊維糸条の並列糸条を経糸及び緯糸とする交絡界面が熱可塑性樹脂含浸被覆層の一部によって可撓性接着点を形成していることが好ましい。この可撓性接着点は可塑性樹脂含浸被覆層を形成する液状体による含浸被覆、熱処理乾燥の工程で形成され、点接着されたもの、樹脂薄膜で接着されたものの何れであってもよい。ここで接着されるものは経糸と緯糸であり、並列糸条(短繊維糸条)と可塑性樹脂含浸被覆層とは密着されたものである。従って可塑性樹脂含浸被覆層を剥がすことで並列糸条(短繊維糸条)が露出することができる。この可撓性接着点は帆布の耐屈曲性などの動的耐久性を保持すると同時に、得られる帆布の形態安定性を保持するための固定点として作用し、帆布に突起物の衝突があった際に、帆布自体が変形し、この可撓性接着点にも引裂などの外力歪が及ぶことで、可撓性接着点が伸びの変位を伴い、さらには可撓性接着点が破断することで、経糸と緯糸の交絡界面に自由な動きを発現することが出来る。この自由挙動の発現によって引裂などの外力歪を散逸させると同時に、経糸と緯糸の変位を促すことで、引裂外力に対してより強固な引裂抵抗を発現させることを可能とする。この可撓性接着点の形成は、用いる液状体の粘度調整、加工機速度、ディッピングユニットまたはコーティングユニットの減圧条件、非目抜布帛への圧着条件、ロール圧搾条件などによって任意にコントロールでき、点接着または薄膜接着が好ましい。
この熱可塑性樹脂含浸被覆層は固形分付着量として、200〜400g/m、特に260〜340g/mの目付量で形成されることが好ましい。熱可塑性樹脂含浸被覆層の目付量が200g/mよりも少ないと、得られる帆布の摩耗耐久性が不十分となり漏水の原因となることがある。また、400g/mを超えると帆布特有の風合と外観が失われ、質量超過ともなって取り扱い性を悪くする。本発明の産業資材用に最も適した汎用性の帆布としては、ポリエステル短繊維糸条の並列糸条を経糸及び緯糸とする織組織を有する、2号(410g/m)、3号(340g/m)、4号(280g/m)、5号(240g/m)、6号(200g/m)及び7号(170g/m)の特別な非目抜布帛を用い、これに軟質塩化ビニル樹脂系組成物による熱可塑性樹脂含浸被覆層を設けて得られる、例えば2号帆布(750g/m)、3号帆布(700g/m)、4号帆布(620g/m)、5号帆布(540g/m)、6号帆布(500g/m)及び7号帆布(430g/m)などの号数帆布が例示できる。
本発明の産業資材用帆布の熱可塑性樹脂含浸被覆層として軟質塩化ビニル樹脂系組成物を用いることは、得られる帆布の汎用性、性能、及び耐久性のバランス性に優れており好ましい。軟質塩化ビニル樹脂系組成物は具体的に、数平均分子量1000〜2000のペースト塩ビ(乳化重合PVC)と、可塑剤(フタル酸エステル系化合物、シクロヘキサンジカルボン酸エステル系化合物、シクロヘキセンジカルボン酸エステル系化合物、リン酸エステル系化合物、塩素化パラフィン系化合物、ポリエステル系化合物など)を主体に、安定剤(バリウム−亜鉛複合系、カルシウム−亜鉛複合系、エポキシ化大豆油など)、難燃剤(三酸化アンチモン、五酸化アンチモン、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、ホウ酸亜鉛など)、充填剤(炭酸カルシウム、硫酸バリウム、シリカ、タルクなど)、耐光安定剤(ベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、ヒンダードアミン系化合物など)、接着剤(多官能イソシアネート化合物、シランカップリング剤など)、防黴剤(イミダゾール系化合物、チアゾール系化合物、イソチアゾリン系化合物、ピリジン系化合物、N−ハロアルキルチオ系化合物、フェノキシアルシン化合物など)、顔料(酸化チタン、カーボンブラック、無機化合物、アゾ系化合物、フタロシアニン系化合物、アントラキノン系化合物、キナクリドン系化合物など)、などを任意かつ任意量で含む配合組成物であり、これらには必要に応じて蛍光増白剤、帯電防止剤、界面活性剤、滑剤、酸化防止剤、化学発泡剤、防虫剤、消臭剤、遮熱剤など公知の添加剤を追加することができる。
本発明の帆布には、エンボスロールによる表面加調整を施してもよい。鏡面エンボスによる表面を平坦に均し、同時に光沢を付与するもの、梨地エンボスにより、表面を平坦に均し、同時に艶消とするもの、あるいは任意の柄、例えば人工皮革の柄を付与するものの何れの表面加工も可能である。
また本発明の帆布には防汚層を設けてもよく、例えば、アクリル系樹脂、フッ素系共重合樹脂、アクリル−シリコーン共重合樹脂、アクリルーフッ素共重合樹脂、アクリル−ウレタン共重合樹脂、アクリル系樹脂とフッ素系共重合樹脂とのブレンド、及びこれらの樹脂にシリカ微粒子、コロイダルシリカ、オルガノシリケート、シランカップリング剤、紫外線吸収剤などを含む層である。これらの防汚層の形成は、塗料をグラビアコートで塗布・乾燥固化する方法、あるいはフッ素含有樹脂フィルム、フッ素含有樹脂/アクリル系樹脂層などの複層フィルムを、接着剤もしくは熱溶融により積層する方法である。これらの防汚層上には更に、光触媒性無機材料(例えば光触媒性酸化チタン・光触媒性酸化タングステンなど)を含む光触媒層を設けることもできる。
次に実施例、比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例の範囲に限定されるものではない。
本発明の実施例及び比較例に用いた試験方法は下記の通りである。
〈引裂強度:JIS L1096シングルタング法〉
〔実施例1〕
〈非目抜布帛(1)〉
20番手双糸のポリエステル短繊維紡績糸条(4.5〜5.5cm長のステープルファイバーを90質量%以上、3.8〜4.4cm、及び5.6〜6.0cmのステープルファイバーを10質量%以下で含むS撚り300T/m)2本からなる並列糸条を経糸とし、10番手単糸のポリエステル短繊維紡績糸条(4.5〜5.5cm長のステープルファイバーを90質量%以上、3.8〜4.4cm、及び5.6〜6.0cmのステープルファイバーを10質量%以下で含むS撚り400T/m)2本からなる並列糸条を緯糸として、経糸並列糸条の打込密度、27本/インチ、及び緯糸並列糸条の打込密度、23本/インチで平織製織された空隙率が外観上0%、質量240g/m、及び経糸と緯糸との交絡点が4本のポリエステル短繊維紡績糸条で構成された部分を布帛全体に含む非目抜布帛(1)を得た。
〈熱可塑性樹脂含浸被覆層〉
非目抜布帛(1)を下記〈配合1〉のペースト塩化ビニル樹脂を主体とする熱可塑性樹脂含浸被覆層形成用の加工液が充填された液浴中にディッピング(浸漬)し、非目抜布帛(1)に〈配合1〉の加工液を常圧で含浸させた後、非目抜布帛(1)を液浴から引き上げると同時に、ゴム製マングルロールで圧搾し、余分な加工液を除去した後、180℃の熱風炉で3分間ゲル化処理を行うことで熱可塑性樹脂含浸被覆層を非目抜布帛(1)の全面に形成し、経糸及び緯糸の交絡界面が熱可塑性樹脂含浸被覆層の一部によって薄膜状の可撓性接着点を形成している質量580g/mの帆布を得た。
〈配合1〉熱可塑性樹脂含浸被覆層形成用の加工液
ペースト塩化ビニル樹脂(重合度=1700) 100質量部
DOP(可塑剤) 60質量部
塩素化パラフィン(防炎剤兼可塑剤) 5質量部
エポキシ化大豆油 4質量部
三酸化アンチモン(難燃剤) 20質量部
Sn系安定剤 2質量部
紫外線吸収剤(ベンゾトリアゾール系) 0.5質量部
酸化チタン(白顔料) 5質量部
希釈溶剤(トリクロロエチレン) 20質量部
〔実施例2〕
実施例1の非目抜布帛(1)を非目抜布帛(2)に変更した以外は実施例1と同様として、経糸及び緯糸の交絡界面が熱可塑性樹脂含浸被覆層の一部によって薄膜状の可撓性接着点を形成している質量540g/mの帆布を得た。
〈非目抜布帛(2)〉
30番手双糸のポリエステル短繊維紡績糸条(4.5〜5.5cm長のステープルファイバーを90質量%以上、3.8〜4.4cm、及び5.6〜6.0cmのステープルファイバーを10質量%以下で含むS撚り300T/m)2本からなる並列糸条を経糸及び緯糸として、経糸並列糸条の打込密度、33本/インチ、及び緯糸並列糸条の打込密度、28本/インチで平織製織された空隙率が外観上0%、質量220g/m、及び経糸と緯糸との交絡点が4本のポリエステル短繊維紡績糸条で構成された部分を布帛全体に含む非目抜布帛(2)を得た。
〔実施例3〕
実施例1の非目抜布帛(1)を非目抜布帛(3)に変更した以外は実施例1と同様として経糸及び緯糸の交絡界面が熱可塑性樹脂含浸被覆層の一部によって薄膜状の可撓性接着点を形成している質量580g/mの帆布を得た。
〈非目抜布帛(3)〉
20番手双糸のポリエステル短繊維紡績糸条(4.5〜5.5cm長のステープルファイバーを90質量%以上、3.8〜4.4cm、及び5.6〜6.0cmのステープルファイバーを10質量%以下で含むS撚り300T/m)2本からなる並列糸条を経糸とし、10番手単糸のポリエステル短繊維紡績糸条(4.5〜5.5cm長のステープルファイバーを90質量%以上、3.8〜4.4cm、及び5.6〜6.0cmのステープルファイバーを10質量%以下で含むS撚り300T/m)1本からなる糸条を緯糸として、経糸並列糸条の打込密度、27本/インチ、及び緯糸糸条の打込密度、46本/インチで平織製織された空隙率が外観上0%、質量240g/m、及び経糸と緯糸との交絡点が3本のポリエステル短繊維紡績糸条で構成された部分を布帛全体に含む非目抜布帛(3)を得た。
〔実施例4〕
実施例1の非目抜布帛(1)を非目抜布帛(4)に変更した以外は実施例1と同様として経糸及び緯糸の交絡界面が熱可塑性樹脂含浸被覆層の一部によって薄膜状の可撓性接着点を形成している質量580g/mの帆布を得た。
〈非目抜布帛(4)〉
20番手双糸のポリエステル短繊維紡績糸条(4.5〜5.5cm長のステープルファイバーを90質量%以上、3.8〜4.4cm、及び5.6〜6.0cmのステープルファイバーを10質量%以下で含むS撚り300T/m)1本からなる糸条を経糸とし、10番手単糸のポリエステル短繊維紡績糸条(4.5〜5.5cm長のステープルファイバーを90質量%以上、3.8〜4.4cm、及び5.6〜6.0cmのステープルファイバーを10質量%以下で含むS撚り400T/m)2本からなる並列糸条を緯糸として、経糸糸条の打込密度、53本/インチ、及び緯糸並列糸条の打込密度、23本/インチで平織製織された空隙率が外観上0%、質量240g/m、及び経糸と緯糸との交絡点が3本のポリエステル短繊維紡績糸条で構成された部分を布帛全体に含む非目抜布帛(4)を得た。
〔比較例1〕
実施例1の非目抜布帛(1)を非目抜布帛(5)に変更した以外は実施例1と同様として経糸及び緯糸の交絡界面が熱可塑性樹脂含浸被覆層の一部によって薄膜状の可撓性接着点を形成している質量580g/mの帆布を得た。
〈非目抜布帛(5)〉
20番手双糸のポリエステル短繊維紡績糸条(4.5〜5.5cm長のステープルファイバーを90質量%以上、3.8〜4.4cm、及び5.6〜6.0cmのステープルファイバーを10質量%以下で含むS撚り300T/m)からなる糸条を経糸とし、10番手単糸のポリエステル短繊維紡績糸条(4.5〜5.5cm長のステープルファイバーを90質量%以上、3.8〜4.4cm、及び5.6〜6.0cmのステープルファイバーを10質量%以下で含むS撚り400T/m)からなる糸条を緯糸として、経糸糸条の打込密度、54本/インチ、及び緯糸並列糸条の打込密度、46本/インチで平織製織された空隙率が外観上0%、質量240g/m、及び経糸と緯糸との交絡点が2本のポリエステル短繊維紡績糸条で構成された部分を布帛全体に含む非目抜布帛(5)を得た。
〔比較例2〕
実施例2の非目抜布帛(2)を非目抜布帛(6)に変更した以外は実施例2と同様として経糸及び緯糸の交絡界面が熱可塑性樹脂含浸被覆層の一部によって薄膜状の可撓性接着点を形成している質量540g/mの帆布を得た。
〈非目抜布帛(6)〉
30番手双糸のポリエステル短繊維紡績糸条(4.5〜5.5cm長のステープルファイバーを90質量%以上、3.8〜4.4cm、及び5.6〜6.0cmのステープルファイバーを10質量%以下で含むS撚り300T/m)からなる糸条を経糸及び緯糸として、経糸糸条の打込密度、66本/インチ、及び緯糸並列糸条の打込密度、56本/インチで平織製織された空隙率が外観上0%、質量220g/m、及び経糸と緯糸との交絡点が2本のポリエステル短繊維紡績糸条で構成された部分を布帛全体に含む非目抜布帛(6)を得た。
〔参考比較例1〕
実施例2の非目抜布帛(2)を非目抜布帛(7)に変更した以外は実施例2と同様として経糸及び緯糸の交絡界面が熱可塑性樹脂含浸被覆層の一部によって薄膜状の可撓性接着点を形成している質量540g/mの帆布(5号クラス)を得た。
〈非目抜布帛(7)〉
30番手双糸のポリエステル短繊維紡績糸条(2〜2.5cm長のステープルファイバーを100質量%で含むS撚り300T/m)2本からなる並列糸条を経糸及び緯糸として、経糸並列糸条の打込密度、33本/インチ、及び緯糸並列糸条の打込密度、28本/インチで平織製織された空隙率が外観上0%、質量220g/m、及び経糸と緯糸との交絡点が4本のポリエステル短繊維紡績糸条で構成された部分を布帛全体に含む非目抜布帛(7)を得た。この非目抜布帛(7)を用いて得られた帆布の引裂強度は経方向64N、緯方向100Nで、実施例2の帆布の経方向92N、緯方向115Nよりも各段に劣るものであった。
〔参考比較例2〕
実施例2の非目抜布帛(2)を非目抜布帛(8)に変更した以外は実施例2と同様として経糸及び緯糸の交絡界面が熱可塑性樹脂含浸被覆層の一部によって薄膜状の可撓性接着点を形成している質量540g/mの帆布(5号クラス)を得た。
〈非目抜布帛(8)〉
30番手双糸のポリエステル短繊維紡績糸条(7.5〜8cm長のステープルファイバーを100質量%で含むS撚り300T/m)2本からなる並列糸条を経糸及び緯糸として、経糸並列糸条の打込密度、33本/インチ、及び緯糸並列糸条の打込密度、28本/インチで平織製織された空隙率が外観上0%、質量220g/m、及び経糸と緯糸との交絡点が4本のポリエステル短繊維紡績糸条で構成された部分を布帛全体に含む非目抜布帛(8)を得た。この非目抜布帛(8)を用いて得られた帆布の耐屈曲性(JIS L1096スコット試験1kgf×1,000回で剥離)及び耐摩耗性(JIS L1096 テーバ摩耗試験1kgf×3,000回で布帛層露出)は実施例2の帆布(耐屈曲性:JIS L1096 スコット試験2kgf×5,000回で剥離、耐摩耗性:JIS L1096 テーバ摩耗試験1kgf×10,000回で布帛層露出)よりも各段に劣るものであった。
上記、実施例1、2、3、4及び比較例1、2で得られた産業資材用帆布の引裂強度の結果を表1に示す。
上記、実施例、及び比較例から明らかな様に、本発明によれば、従来と同等の質量の布帛を基布に用いながらより引裂強度に優れた帆布、及び従来よりも軽量の布帛を基布に用いながら従来品と同等の引裂強度を発現可能な帆布を得ることを可能とするので、テント倉庫、屋形テント、トラック幌、トラック荷台カバー、野積シートなどに用いる産業資材用帆布として広く活用することが出来るようになった。
1:非目抜布帛
2−1:並列糸条(経糸)
2−2:並列糸条(緯糸)
3−1:交絡点(短繊維紡績糸条:4本)
3−2:交絡点(短繊維紡績糸条:3本)
3−3:交絡点(短繊維紡績糸条:3本)

Claims (7)

  1. 非目抜布帛を基布として、この布帛の全面に熱可塑性樹脂含浸被覆層が設けられた帆布であって、前記非目抜布帛が2本の短繊維紡績糸条からなる並列糸条を織組織に含み、1)前記並列糸条を経糸及び緯糸に含み、経糸と緯糸との交絡点が4本の前記短繊維紡績糸条で構成された部分を少なくとも含む平織布帛、または2)前記並列糸条を経糸または緯糸の一方に含み、経糸と緯糸との交絡点が3本の前記短繊維紡績糸条で構成された部分を少なくとも含む平織布帛、の何れかであることを特徴とする引裂強度に優れた産業資材用帆布。
  2. 前記非目抜布帛が、前記並列糸条を経糸及び緯糸の全てに含み、経糸と緯糸との交絡点が4本の前記短繊維紡績糸条で構成された平織布帛である請求項1に記載の産業資材用帆布。
  3. 前記非目抜布帛が、前記並列糸条を経糸または緯糸の一方の全てに含み、経糸と緯糸との交絡点が3本の前記短繊維紡績糸条で構成された平織布帛である請求項1に記載の産業資材用帆布。
  4. 前記帆布において、経糸及び緯糸の交絡界面が前記熱可塑性樹脂含浸被覆層の一部によって可撓性接着点を形成している請求項1〜3の何れか1項に記載の産業資材用帆布。
  5. 前記並列糸条を構成する前記短繊維紡績糸条が、10番手単糸、14番手単糸、14番手双糸、15番手単糸、15番手双糸、20番手単糸、20番手双糸、30番手単糸及び30番手双糸から選ばれた1種以上である請求項1〜4の何れか1項に記載の産業資材用帆布。
  6. 経糸の前記並列糸条を構成する前記短繊維紡績糸条が20番手双糸、かつ緯糸の前記並列糸条を構成する前記短繊維紡績糸条が10番手単糸である請求項1〜4の何れか1項に記載の産業資材用帆布。
  7. 前記並列糸条を構成する前記短繊維紡績糸条が3〜7cm長のステープルファイバーで紡績されたものである請求項1〜6の何れか1項に記載の産業資材用帆布。
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