JP2021014204A - アームレスト及び乗物用シート - Google Patents

Abstract

【課題】コストダウン及び軽量化が可能なアームレスト及び乗物用シートを提供する。【解決手段】乗物用シート１のアームレスト４は、シートバック３に対して回動され、回動軸１４を支持するブラケット１３が接合された、樹脂材料からなる中空のシェル１０と、シェル１０を覆うトリムカバー１１と、を備える。シェル１０は、乗員の前腕が載せられる載置面４ａを形成するシェルトップ２０と、載置面４ａとは反対側の背面４ｂを形成するシェルボトム２１と、を有し、シェルトップと２０と、シェルボトム２１とは、一体に形成されている。【選択図】図２

Description

本発明は、アームレスト及び乗物用シートに関する。

特許文献１に記載されたアームレストは、自動車等の車両に設置されるシートのアームレストであり、起こされた状態ではシートバックに収納され、倒された状態で肘掛けとして使用可能である。このアームレストは、シートバックに対する回動軸となるピンと、ピンに接合されたフレームとを備える。フレームは発泡体によって覆われ、発泡体は表皮によって覆われている。

特開２０００−２３８５６８号公報

特許文献１に記載されたアームレストでは、フレームが、鋼等の金属製の棒材又は管材を略矩形の枠状に折り曲げて形成され、アームレストの四方の側面に沿って配置されており、このフレームによってアームレストの強度が確保されている。しかし、フレームの製造コストの増加が懸念され、また、アームレストの全体に及ぶ金属製のフレームに起因してアームレストの重量の増加が懸念される。

本発明は、上述した事情に鑑みなされたものであり、コストダウン及び軽量化が可能なアームレスト及び乗物用シートを提供することを目的とする。

また、本発明の一態様のアームレストは、乗物用シートのシートバックに対して回動されるアームレストであって、回動軸を支持するブラケットが接合された、樹脂材料からなる中空のシェルと、前記シェルを覆うトリムカバーと、を備える。

また、本発明の一態様の乗物用シートは、前記アームレストを備える。

本発明によれば、コストダウン及び軽量化が可能なアームレスト及び乗物用シートを提供できる。

本発明の実施形態を説明するための、乗物用シートの一例の斜視図である。 図１の乗物用シートのアームレストの斜視図である。 図２のアームレストのIV-IV線断面図である。 図２のアームレストの製造工程の模式図である。 図４の製造工程におけるシェル成形工程の模式図である。 図２のアームレストの他の実施例の断面図である。 本発明の実施形態を説明するための、アームレストの他の例の斜視図である。 図７のアームレストの断面図である。 本発明の実施形態を説明するための、アームレストの他の例の斜視図である。 図９のアームレストの他の実施例の斜視図である。

図１は、本発明の実施形態を説明するための、乗物用シートの一例を示す。

乗物用シート１は、自動車等の車両に搭載されるシートであり、複数の乗員が横並びに着座可能なシートである。シート１は、シート１に着座した乗員の臀部及び大腿部を支持するシートクッション２と、乗員の腰部及び背部を支持するシートバック３と、アームレスト４とを備える。

シートバック３のシート幅方向中央部には、アームレスト４を収納可能な凹部５が設けられている。アームレスト４はシートバック３に回動可能に支持されており、アームレスト４が起こされた状態では、アームレスト４は凹部５に収納されている。凹部５に収納されたアームレスト４は、シートバック３の一部を構成し、乗員の背部を支持する。一方、アームレスト４が倒された状態では、アームレスト４は凹部５から引き出されている。凹部５から引き出されたアームレスト４は、載置面４ａを水平に配置し、載置面４ａに載せられた乗員の前腕を支持する。

図２及び図３は、アームレスト４を示す。

アームレスト４は、シェル１０と、シェル１０を覆うトリムカバー１１とを備える。トリムカバー１１は、皮革（天然皮革、合成皮革）、織布、不織布、編物等の表皮材が縫い合わされてなる。トリムカバー１１に用いられる表皮材は、典型的には、シートバック３のトリムカバーに用いられる表皮材と同一であるが、異なってもよい。

シェル１０は、樹脂材料からなる中空の箱体である。樹脂材料は、例えばポリプロピレン等の熱可塑性樹脂である。シェル１０の一方の端部１２は、アームレスト４がシートバック３の凹部５に収納されている状態（図１参照）で下側に配置され、この端部１２には一対のブラケット１３が接合されている。シェル１０とブラケット１３との接合方法は、インサート、ボルト締結等が例示される。

ブラケット１３は、鋼等の金属材料からなる板状の部材であり、アームレスト４の回動軸を支持する。本例では、回動軸としてのピン１４がブラケット１３に設けられているが、ピン１４はシートバック３に設けられてもよい。また、回動軸は、ボルト等で後からブラケット１３に組み付けられてもよい。ピン１４がシートバック３に設けられる場合、及び回動軸がボルト等で後からブラケット１３に組み付けられる場合に、ブラケット１３にはピン１４やボルト等を収容する軸受孔が設けられる。また、ブラケット１３には、アームレスト４の回動範囲を規定するためのストッパシャフト１５も設けられている。

シェル１０は、乗員の前腕が載せられる載置面４ａを形成するシェルトップ２０と、載置面４ａとは反対側の背面４ｂを形成するシェルボトム２１とを備え、シェルトップ２０とシェルボトム２１とが一体に形成されている。シェルトップ２０とシェルボトム２１とが一体であるシェル１０は、例えばブロー成形によって形成され得る。

図４及び図５は、アームレスト４の製造工程を示す。

図４に示す例では、ブラケット１３はシェル１０にインサートされる。まず、ブラケット１３、ピン１４、及びストッパシャフト１５の組立体が用意され、この組立体が、シェル１０のブロー成形に用いられる成形型に設置される。次に、シェル１０を形成する樹脂材料が成形型に設置され、樹脂材料がブロー成形される。ブロー成形により、ブラケット１３を含む組立体と一体にシェル１０が形成される。そして、トリムカバー１１がシェル１０に被せられる。シェル１０を覆うトリムカバー１１には張力がかけられ、トリムカバー１１の弛み、しわの発生等が抑制される。

ブロー成形において、典型的には、樹脂材料はヘッドから筒状に押し出される。押し出された樹脂材料はパリソンとも言われる。型閉じに伴い、筒状のパリソンの上端及び下端が溶着される。その後、ブローピンＢを通してパリソンの内部にエアが吹き込まれ、エアの圧力によってパリソンが成形型Ｍに押し付けられる。これにより、シェルトップ２０とシェルボトム２１とが一体に形成された中空のシェル１０が得られる。

なお、パリソンの押し出し形状は筒状に限定されない。図５に示すように、シート状に押し出された二枚のパリソンＰ１，Ｐ２が合わされてもよい。型閉じに伴い、二枚のパリソンＰ１，Ｐ２の上端及び下端並びに一対の側縁が溶着され、二枚のパリソンＰ１，Ｐ２の間に空間が囲われる。その後、二枚のパリソンＰ１，Ｐ２の間に囲われた空間にエアが吹き込まれ、エアの圧力によってパリソンＰ１，Ｐ２が成形型Ｍに押し付けられる。これにより、シェルトップ２０とシェルボトム２１とが一体に形成された中空のシェル１０が得られる。

樹脂材料からなるシェル１０は、クッションパッドに多用される軟質ウレタンフォーム等の発泡体とは異なり、乗員の背部又は前腕を支持可能な剛性をシェル自体に有する。したがって、シェル１０はシェル全体に及ぶ補強フレームを必要とせず、回動軸としてのピン１４を支持する板状のブラケット１３が、シェル１０の一方の端部１２に接合されているだけである。これにより、アームレスト４のコストダウン及び軽量化が図られる。また、トリムカバー１１に覆われたシェル１０には圧縮力が作用するが、樹脂材料からなるシェル１０は、軟質ウレタンフォーム等の発泡体に比べて硬質であり、圧縮に対して強固である。これにより、アームレスト４の形状の再現性が高まる。

シェル１０には、乗員の背部又は前腕を支持した際の適度な撓み（クッション性）も要求される。シェル１０の撓みは、厚み及び／又は材質によってチューニングされ得る。ここで、図５に示したように、シェル１０が二枚のパリソンＰ１，Ｐ２を用いて形成される場合に、パリソンＰ１，Ｐ２の厚み及び／又は材質は、同一でもよいし、異なってもよい。シェルトップ２０をパリソンＰ１によって形成し、シェルボトム２１をパリソンＰ２によって形成し、パリソンＰ１，Ｐ２の厚み及び／又は材質を異ならせることにより、シェルトップ２０とシェルボトム２１とで異なるチューニングが可能である。

例えば、アームレスト４がシートバック３から引き出されている状態で乗員の前腕が載せられるシェルトップ２０は相対的に撓みにくくチューニングされ、アームレスト４がシートバック３に収納されている状態で乗員の背部を支持するシェルボトム２１は相対的に撓みやすくチューニングされ得る。この場合に、シェルトップ２０を形成するパリソンＰ１の厚みが相対的に大きくされ、及び／又はパリソンＰ１の材質が相対的に高剛性とされる。

シェル１０の撓みをチューニングする点では、図６に示すように、シェル１０の中空部にコア２２が配置されてもよい。コア２２は、例えば軟質ウレタンフォーム等の発泡体である。コア２２が発泡体である場合に、上述したブロー成形において、エアに替えて発泡材料が注入され、発泡材料がパリソンの内部で発泡される。パリソンは、発泡圧力によって成形型に押し付けられる。また、シェル１０のブロー成型後、発泡材料が、シェル１０の中空部に別途注入され、シェル１０の内部で発泡されてもよい。

図７及び図８は、本発明の実施形態を説明するための、アームレストの他の例を示す。

図７及び図８に示すアームレスト１０４は、樹脂材料からなる中空のシェル１１０と、シェル１１０を覆うトリムカバー１１１とを備える。シェル１１０の一方の端部には、アームレスト１０４の回動軸となるピン１４を支持するブラケット１３が接合されている。シェル１１０は、乗員の前腕が載せられる載置面１０４ａを形成するシェルトップ１２０と、載置面１０４ａとは反対側の背面１０４ｂを形成するシェルボトム１２１とを備え、シェルトップ１２０とシェルボトム１２１とは一体に形成されている。

アームレスト１０４は、載置面１０４ａに開口する凹形状のカップホルダ１３０をさらに備える。なお、カップホルダ１３０には、カップ等の飲料容器だけでなく、スマートフォン等の種々の物品も収容され得る。カップホルダ１３０は、シェル１１０（シェルトップ１２０）と一体に形成されている。シェル１１０と一体のカップホルダ１３０は、上述したブロー成形において、凸部が成形型に設けられ、パリソンが凸部に押し付けられることによって形成される。

トリムカバー１１１は、カップホルダ１３０を露出させる開口部１３１を有する。開口部１３１に現れるトリムカバー１１１の端末部は、シェル１１０と、シェル１１０に装着される額縁状のエスカッション１３２とによって挟持され、このエスカッション１３２によって覆い隠される。エスカッション１３２の裏面に設けられた複数の係止爪１３３と、シェル１１０に設けられた複数の係止穴１３４とが係合することにより、エスカッション１３２はシェル１１０に装着される。

フレームが発泡体で覆われてなる従来のアームレストにおいて、カップホルダは、発泡体の一部を潰してフレームに固定され、棒材又は管材が枠状に折り曲げられてなるフレームには、カップホルダを固定するためのブラケット等が接合される。これに対し、アームレスト１０４では、カップホルダ１３０がシェル１１０と一体に形成されているので、ブラケット等の固定用の部材が不要であり、コストダウンが図られる。また、発泡体の一部を潰してフレームに固定される従来のカップホルダの装着に比べて、シェル１１０の露出した表面に固定されるエスカッション１３２の装着は容易である。

また、従来のアームレストにおいて、カップホルダは、カップ等を収容する凹部と、トリムカバーの端末部を覆い隠すフランジ部とを有する樹脂成形品によって構成される。これに対し、アームレスト１０４では、カップホルダ１３０と、エスカッション１３２とが別である。したがって、エスカッション１３２の材料をカップホルダ１３０の材料と異ならせて、エスカッション１３２による加飾が可能である。

図９は、本発明の実施形態を説明するための、アームレストの他の例を示す。

図９に示すアームレスト２０４は、樹脂材料からなる中空のシェル２１０を備える。シェル２１０の一方の端部には、アームレスト２０４の回動軸となるピン１４を支持するブラケット（図示せず）が接合されている。シェル２１０は、乗員の前腕が載せられる載置面２０４ａを形成するシェルトップ２２０と、載置面２０４ａとは反対側の背面を形成するシェルボトム２２１とを備え、シェルトップ２２０とシェルボトム２２１とは一体に形成されている。

アームレスト２０４は、シェル２１０の中空部に収納される引き出し２４０をさらに備える。引き出し２４０は、乗員の前腕が載せられる載置面２０４ａ及び載置面２０４ａとは反対側の背面を除く側面２０４ｃに設けられている。シェル２１０が中空であることによって引き出し２４０を設けることが可能となり、引き出し２４０を設けることによってアームレスト２０４の利便性が高まる。

なお、図９に示す例では、引き出し２４０は、スライド移動によってシェル２１０から引き出されるが、図１０に示すように、引き出し２４０は、回転移動によってシェル２１０から引き出されてもよい。

ここまで、中空のシェル（１０，１１０，２１０）が、載置面を形成するシェルトップ（２０，１２０，２２０）と、背面を形成するシェルボトム（２１，１２１，２２１）とを備え、シェルトップとシェルボトムとが一体に形成されるものとして説明したが、シェルトップとシェルボトムとは別体に形成されてもよい。

シェルトップとシェルボトムとが別体に形成される場合に、シェルトップ及びシェルボトムは、例えば射出成形によって形成される。アームレストの回動軸を支持するブラケットは、シェルボトム又はシェルトップの少なくとも一方に接合されればよい。そして、シェルトップとシェルボトムとが互いに接合されることにより、中空のシェルが形成される。シェルトップとシェルボトムとは、例えば接着又は係止爪によって接合される。

シェルトップとシェルボトムとが別体に形成される場合にも、シェルトップ及びシェルボトムの厚み及び／又は材質を異ならせることにより、シェルトップ及びシェルボトムの撓みのチューニングを異ならせることが可能である。

以上、自動車等の車両に設置される乗物用シート１を例にして本発明を説明したが、本発明は、船舶や航空機といった車両以外の乗物用シートにも適用可能である。

以上、説明したとおり、本明細書に開示されたアームレストは、乗物用シートのシートバックに対して回動されるアームレストであって、回動軸を支持するブラケットが接合された、樹脂材料からなる中空のシェルと、前記シェルを覆うトリムカバーと、を備える。

また、本明細書に開示されたアームレストは、前記シェルが、乗員の前腕が載せられる載置面を形成するシェルトップと、前記載置面とは反対側の背面を形成するシェルボトムと、を有し、前記シェルトップと前記シェルボトムとは、一体に形成されている。

また、本明細書に開示されたアームレストは、前記シェルが、乗員の前腕が載せられる載置面を形成するシェルトップと、前記載置面とは反対側の背面を形成するシェルボトムと、を有し、前記シェルトップと前記シェルボトムとは、別体に形成されており、互いに接合されている。

また、本明細書に開示されたアームレストは、前記シェルトップと前記シェルボトムとが、厚み及び／又は材質が異なる。

また、本明細書に開示されたアームレストは、前記シェルトップと前記シェルボトムとは、厚み及び／又は材質が同一である。

また、本明細書に開示されたアームレストは、前記シェルの中空部に配置されたコアをさらに備える。

また、本明細書に開示されたアームレストは、乗員の前腕が載せられる載置面に開口する凹形状のカップホルダを備え、前記カップホルダは、前記シェルと一体に形成されている。

また、本明細書に開示されたアームレストは、前記シェルの中空部に収納される引き出しを、乗員の前腕が載せられる載置面及び前記載置面とは反対側の背面を除く側面に備える。

また、本明細書に開示された乗物用シートは、前記アームレストを備える。

１ 乗物用シート
２ シートクッション
３ シートバック
４ アームレスト
４ａ 載置面
４ｂ 背面
５ 凹部
１０ シェル
１１ トリムカバー
１３ ブラケット
１４ ピン（回動軸）
１５ ストッパシャフト
２０ シェルトップ
２１ シェルボトム
２２ コア
１０４ アームレスト
１０４ａ 載置面
１０４ｂ 背面
１１０ シェル
１１１ トリムカバー
１２０ シェルトップ
１２１ シェルボトム
１３０ カップホルダ
１３１ 開口部
１３２ エスカッション
１３３ 係止爪
１３４ 係止穴
２０４ アームレスト
２０４ａ 載置面
２０４ｃ 側面
２１０ シェル
２２０ シェルトップ
２２１ シェルボトム

Claims (9)

1. 乗物用シートのシートバックに対して回動されるアームレストであって、
   回動軸を支持するブラケットが接合された、樹脂材料からなる中空のシェルと、
   前記シェルを覆うトリムカバーと、
   を備えるアームレスト。
2. 請求項１記載のアームレストであって、
   前記シェルは、
   乗員の前腕が載せられる載置面を形成するシェルトップと、
   前記載置面とは反対側の背面を形成するシェルボトムと、
   を有し、
   前記シェルトップと前記シェルボトムとは、一体に形成されているアームレスト。
3. 請求項１記載のアームレストであって、
   前記シェルは、
   乗員の前腕が載せられる載置面を形成するシェルトップと、
   前記載置面とは反対側の背面を形成するシェルボトムと、
   を有し、
   前記シェルトップと前記シェルボトムとは、別体に形成されており、互いに接合されているアームレスト。
4. 請求項２又は３記載のアームレストであって、
   前記シェルトップと前記シェルボトムとは、厚み及び／又は材質が異なるアームレスト。
5. 請求項２又は３記載のアームレストであって、
   前記シェルトップと前記シェルボトムとは、厚み及び／又は材質が同一であるアームレスト。
6. 請求項１から５のいずれか一項記載のアームレストであって、
   前記シェルの中空部に配置されたコアをさらに備えるアームレスト。
7. 請求項１記載のアームレストであって、
   乗員の前腕が載せられる載置面に開口する凹形状のカップホルダを備え、
   前記カップホルダは、前記シェルと一体に形成されているアームレスト。
8. 請求項１記載のアームレストであって、
   前記シェルの中空部に収納される引き出しを、乗員の前腕が載せられる載置面及び前記載置面とは反対側の背面を除く側面に備えるアームレスト。
9. 請求項１から８のいずれか一項記載のアームレストを備える乗物用シート。

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