JP2021012927A - 半導体装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】チップ構造の変更や損失増加あるいは耐圧低下をまねくことなく、セル領域における温度分布を緩和し、高速スイッチングに対応可能な半導体装置を提供する。【解決手段】半導体装置1は、半導体基板2の主面21側に、複数のトランジスタセルTが並設されるセル領域3と、ゲート配線部4を介してトランジスタセルTのゲート電極10にゲート電位を付与するゲートパッド部GPとを備える。セル領域3は、熱抵抗の最小領域を含む第1領域3A、第1領域3Aよりも熱抵抗が大きい第2領域3Bに、ゲート配線部4の第1ゲート配線41、第2ゲート配線42がそれぞれ配置され、ゲートパッド部GPからのゲート制御信号Sにより、第2領域3Bに先んじて第1領域3Aがターンオン動作を開始し、第2領域3Bに遅れて第1領域3Aがターンオフ動作を開始する。【選択図】図1

Description

本発明は、スイッチング素子等に用いられる半導体装置に関する。
例えば、電力用スイッチング素子に用いられる半導体装置は、大電流を制御するために比較的大きなチップ面積を有する。この場合、発熱部となるトランジスタセルが形成されたセル領域において、チップ中央部と外周部との温度差が大きくなりやすく、温度分布が生じやすい。一方、半導体装置のチップサイズは、発熱領域の最高温度が耐熱温度を超えないように制限されるため、コスト増を抑制しつつ大電流化を進めるには、温度分布を均一にすることが求められる。
チップ面内に温度アンバランスが生じる要因として、チップ中央部と外周部との放熱性の違いがある。これに対して、特許文献1には、中心部分と周囲部分とでチップ構造、例えば、チャネル長、ゲート酸化膜厚、不純物濃度等を変更し、中心部分の発熱量を抑制してチップ内の温度分布を緩和する構成とした半導体装置が開示されている。具体的には、中心部分におけるチャネル長を周囲部分よりも長くするか又はゲート酸化膜を厚くすることで、オン電圧を印加したときの抵抗がより大きくなり、中心部分の通電電流が抑制されて、発熱量が抑制される。また、中心部分における不純物濃度を高くすることで、スイッチング動作のための閾値電圧が高くなり、通電電流が抑制されて、発熱量が抑制される。
特開2008-171891号公報
特許文献1の構成を採用した場合には、チップ中央部と外周部とでチップ構造が異なるために、成膜工程やエッチング工程等を共通化することができず、製造工程が複雑化する。また、その際、チップ構造が均一となる通常構成を基準として、チップ中央部のオン抵抗がより大きくなるように構成すると、温度分布は改善されるものの、損失が増加する。あるいは、チップ中央部に対して外周部のオン抵抗がより小さくなるように構成することも可能であるが、オン抵抗とトレードオフの関係にある耐圧が低下する。
一方、スイッチング時には、スイッチング動作に伴う過渡電流が流れ、スイッチング損失が発生する。その際に、セル領域に温度分布が存在すると、スイッチング動作を規定する閾値電圧にばらつきが生じ、温度が高い領域ほど閾値電圧が低下して、ターンオン電流又はターンオフ電流が集中しやすくなる。特に、ゲート配線構造の工夫等により、高速スイッチング化した場合には、ターンオフ損失の割合が相対的に増加することから、ターンオフ損失が集中する領域で、温度が高くなりやすく、さらに温度分布を加速させるおそれがある。
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、チップ構造を変更する必要がなく、また、オン抵抗の増減による損失増加あるいは耐圧低下をまねくことなく、セル領域における温度分布を緩和し、高速スイッチングに対応可能な半導体装置を提供しようとするものである。
本発明の一態様は、
半導体基板(2)の主面(21)側に、複数のトランジスタセル(T)が並設されるセル領域(3)と、上記トランジスタセルのゲート電極(10)に接続されるゲート配線部(4)と、上記ゲート配線部を介して上記ゲート電極にゲート電位を付与するゲートパッド部(GP)とを備える半導体装置(1)であって、
上記セル領域は、上記セル領域の熱抵抗分布に基づいて設定され、熱抵抗の最小領域を含む第1領域(3A)と、上記第1領域よりも熱抵抗が大きい第2領域(3B)とを有し、
上記ゲート配線部は、上記第1領域に配置される第1ゲート配線(41)と、上記第2領域に配置される第2ゲート配線(42)とを有しており、
上記ゲートパッド部からのゲート制御信号(S)により、上記トランジスタセルのスイッチング時には、上記第2領域に先んじて上記第1領域がターンオン動作を開始し、上記第2領域に遅れて上記第1領域がターンオフ動作を開始する、半導体装置にある。
上記構成の半導体装置において、ゲートパッド部からゲート配線部を介してゲート制御信号が入力すると、熱抵抗の最小領域を含む第1領域において、これより熱抵抗が高い第2領域よりも先に、トランジスタセルがターンオン動作を開始する。また、第2領域に遅れて、トランジスタセルがターンオフ動作を開始する。したがって、ターンオン時及びターンオフ時には、第1領域にターンオン電流及びターンオフ電流が集中することで、スイッチング損失が集中して温度が上昇しやすくなり、第2領域における温度上昇が抑制される。これにより、熱抵抗の分布に対し、スイッチング損失の分布が逆の特性となるように、スイッチング電流が流れることで、温度分布が緩和される。
以上のごとく、上記態様によれば、チップ構造を変更する必要がなく、また、オン抵抗の増減による損失増加あるいは耐圧低下をまねくことなく、セル領域における温度分布を緩和し、高速スイッチングに対応可能な半導体装置を提供することができる。
なお、特許請求の範囲及び課題を解決する手段に記載した括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものであり、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
実施形態1における、半導体装置の概略構成を示す平面図とそのI−I線断面図。 実施形態1における、半導体装置のセル領域に形成される半導体素子の構成例を示す図で、図1のII部拡大断面図及び半導体素子の回路記号図。 実施形態1における、半導体装置の冷却機構の構成例を示す概略断面図。 実施形態1における、セル領域の面内の温度分布と、そのA−A断面における熱抵抗(温度)分布を示す図。 試験例1における、試験用の従来の半導体装置における基本的なスイッチング特性を示す動作波形図。 試験例1において、試験用の半導体装置における基本的なスイッチング特性を評価するためのダブルパルス試験回路図。 試験例1において、従来の半導体装置と実施形態1の半導体装置の損失と温度分布を比較して示す図。 試験例1において、従来の半導体装置のオン抵抗と電流密度分布を示す図。 試験例1において、従来の半導体装置のターンオン時の動作波形とスイッチング電流分布を示す図。 試験例1において、実施形態1の半導体装置のスイッチング動作波形を示す図。 実施形態2における、半導体装置の概略構成を示す平面図とゲート制御信号の波形図。 実施形態2における、半導体装置の概略構成を示す平面図と、スイッチング動作波形を示す図。 実施形態3における、半導体装置の概略構成を示す平面図と、スイッチング動作波形を示す図。 実施形態3における、半導体装置の概略構成を示す平面図と、スイッチング動作波形を示す図。 実施形態4における、半導体装置の概略構成を示す平面図と、スイッチング動作波形を示す図。 実施形態4の変形例における、半導体装置の概略構成を示す平面図と、スイッチング動作波形を示す図。 実施形態5における、半導体装置の概略構成を示す平面図。
(実施形態1)
半導体装置に係る実施形態について、図面を参照して説明する。
本形態の半導体装置は、例えば、大電流用のスイッチング素子として電力変換装置等に用いられるものであり、高速スイッチングに伴う温度分布を抑制可能に構成されている。
以下に、その概略を示す。
図1に示すように、半導体装置1は、半導体基板2の主面21側に、複数のトランジスタセルTが並設されるセル領域3と、ゲート配線部4と、ゲートパッド部GPとを備えている。ゲート配線部4は、セル領域3の表面に形成されて、トランジスタセルTのゲート電極10に接続され(例えば、図2参照)、ゲートパッド部GPは、ゲート配線部4を介してゲート電極10にゲート電位を付与するように構成されている。
詳細を後述するように、セル領域3は、熱抵抗の最小領域を含む第1領域3Aと、第1領域3Aよりも熱抵抗が大きい第2領域3Bとを有しており、ゲート配線部4は、第1領域3Aに配置される第1ゲート配線41と、第2領域3Bに配置される第2ゲート配線42とを有する。第1領域3Aと第2領域3Bとは、セル領域3における熱抵抗分布に基づいて設定される(例えば、図1中に網掛領域として示す)。
このとき、セル領域3には、外部のドライブ回路40から、ゲートパッド部GP及びゲート配線部4を介してゲート制御信号Sが入力されて、トランジスタセルTのスイッチング動作が制御される。トランジスタセルTのスイッチング時には、セル領域3において、第2領域3Bに先んじて第1領域3Aがターンオン動作を開始し、第2領域3Bに遅れて第1領域3Aがターンオフ動作を開始する。このような構成により、熱抵抗が最小となる第1領域3Aに、スイッチング損失を集中させて、温度分布を緩和する効果が得られる。
好適には、第2領域3Bは、セル領域3の熱抵抗分布に基づく熱抵抗の最大領域を含む。そして、トランジスタセルTのターンオン時には、第2領域3Bに先んじて、第1領域3Aのゲート電極10へゲート電位が付与され、トランジスタセルTのターンオフ時には、第1領域3Aに先んじて、第2領域3Bのゲート電極10からゲート電位が引き抜かれる構成とする。これにより、熱抵抗が最大となる第2領域3Bでは、第1領域3Aよりもターンオン動作が遅れる一方、ターンオフ動作が早まることで、スイッチング損失の集中が抑制され、温度分布を緩和する効果が高まる。
具体的には、ゲートパッド部GPは、第1ゲート配線41に接続される第1ゲートパッドGP1と、第2ゲート配線42に接続される第2ゲートパッドGP2とを有する構成とすることができる。ドライブ回路40から第1ゲートパッドGP1を通る信号経路に、第1ゲート配線41へ向かう方向を順方向とする第1整流素子D1が介設されると共に、第2ゲートパッドGP2を通る信号経路に、上記第2ゲート配線へ向かう方向と逆の方向を順方向とする第2整流素子D2が介設される。
この構成により、ターンオン時には、第1領域3AのトランジスタセルTを先にターンオンさせ、ターンオフ時には、第1領域3AのトランジスタセルTを後からターンオフさせることが可能になる。このように、セル領域3の熱抵抗の分布に対して、スイッチング損失の分布が逆の特性となるように、スイッチング電流が流れることで、均一な温度分布が可能になる。
次に、半導体装置1の各部構成について具体的に説明する。
図1、図2において、半導体装置1は、概略矩形の半導体基板2を有し、その主面21側に、セル領域3を有する半導体層が積層されている。本形態において、半導体層は、半導体基板2の外周形状に沿う概略矩形の領域を、トランジスタセルTが形成されるセル領域3とし、セル領域3の外側を取り囲む矩形環状の領域を、例えば、ゲートパッド部GPが配置される周辺領域30としている。ゲートパッド部GPには、ドライブ回路40が接続されて、スイッチング動作を制御するためのゲート制御信号Sが入力されるようになっている。
半導体基板2の主面21は、Y方向における一方の面であり、主面21と反対側の面は、放熱面22として機能する。半導体装置1は、半導体基板2の放熱面22が、後述する冷却機構50(例えば、図3参照)上に載置されて、発熱領域であるセル領域3を冷却可能となっている。このとき、半導体装置1は、素子構造や冷却構造に応じた熱抵抗分布(例えば、図4参照)を有しており、本形態では、ゲート配線部4の配置やドライブ回路40との接続構造の工夫等により、セル領域3の温度分布を緩和して、所定の耐熱温度を超えないようにしている。
セル領域3には、例えば、図2に例示するトレンチ構造のトランジスタセルTが多数形成されている。これらトランジスタセルTは、セル領域3の全体に均等に配置されて、電気的に並列に接続されており、ここでは、図1に模式的に示すように、ゲート電極のトレンチが、半導体基板2の矩形の縦横に沿う方向に直交する格子状の配置となっている。ゲートパッド部GPは、セル領域3の一辺に沿って配置されており、この一辺と直交する一辺の方向を、X方向(例えば、図1中に示す上下方向)とし、セル領域3と直交する方向、すなわち半導体基板2の厚さ方向を、Y方向(例えば、図1中に示す上下方向)として、以下説明する。
トランジスタセルTを構成する半導体素子としては、例えば、MOSFET(すなわち、金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ)、IGBT(すなわち、絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ)等のトランジスタが挙げられる。半導体基板2には、SiC、GaN等の半導体を用いることができる。
図2に縦型のMOSFETの構成例と回路図記号を示すように、n型の半導体基板2の主面21には、n型ドリフト層200が設けられており、n型ドリフト層200の表層部にp型ベース領域11が設けられる。p型ベース領域11の表層部には、n型ソース領域12が設けられる。これらp型ベース領域11とn型ソース領域12を貫通して、n型ドリフト層200に達するトレンチ13が設けられ、その内表面とn型ソース領域12の表面の一部に、例えば、酸化シリコンからなるゲート酸化膜14が設けられる。
トレンチ13の内部には、例えば、ポリシリコンからなるゲート電極10が埋設されており、ゲート電極10を覆って、例えば、酸化シリコンからなる絶縁膜15が設けられる。この絶縁膜15と、p型ベース領域11及びn型ソース領域12の表面を覆って、ソース電極16が設けられ、半導体基板2の放熱面22側には、ドレイン電極17が設けられる。ゲート電極10、ソース電極16及びドレイン電極17は、それぞれゲート端子G、ソース端子S及びドレイン端子Dに接続されている。
上記構成のMOSFETにおいて、ゲート端子Gは、図1におけるゲートパッド部GPに対応して設けられ、ゲートパッド部GP及びゲート配線部4を介して、ゲート電極10に接続される。ソース端子S及びドレイン端子Dは、図示しないソースパッド及びドレインパッドを介して、ソース電極16及びドレイン電極17に接続される。
そして外部のドライブ回路40から出力されるゲート制御信号Sが、ゲートパッド部GP及びゲート配線部4を介して、ゲート電極10へ入力されることによって、ソース端子Sとドレイン端子Dとの間の導通が制御される。すなわち、ゲート電極10に所定のゲート電位が供給されることで、MOSFETがターンオンして、ソース電極16とドレイン電極17との間に、半導体基板2に対して縦方向(すなわち、図1におけるY方向)に電流が流れる。
ここで、半導体層のセル領域3には、図2の構成のMOSFETを基本単位とする多数のトランジスタセルTが並列に配設される。このとき、セル領域3に、ゲートパッド部GPからゲート制御信号Sが入力することにより、トランジスタセルTが順次ターンオン又はターンオフする。また、セル領域3は、スイッチングに伴い、トランジスタセルTに電流が流れることで、発熱が生じる発熱領域となり、流れる電流量が多いほど、発熱により温度が上昇しやすくなる。
そこで、本形態においては、発熱量を調整するためにゲート配線部4の配置を熱抵抗分布に対応させ、ゲート制御信号Sの伝播を制御することで、スイッチング動作による発熱と温度上昇を制御する。
セル領域3には、予め測定された熱抵抗分布に基づいて、熱抵抗の最小領域を含む第1領域3Aと、これより熱抵抗が大きい領域、好適には、熱抵抗の最大領域を含む第2領域3Bと、これら領域の間の第3領域3Cとが設定される。図4に一例を示すように、半導体装置1のセル領域3の面内における熱抵抗分布は、一般に、セル領域3の面中心Cに近い領域ほど、熱抵抗が大きくなり、外周縁部に近い領域ほど、熱抵抗が小さくなる山状の分布を示す。すなわち、この場合には、第1領域3Aは、熱抵抗が最小となる外周縁部を含む外周部の領域であり、後述するゲート配線部4との組み合わせにより、スイッチング電流が集中する損失大領域となる。第2領域3Bは、熱抵抗が最大となる面中心Cを含む中央部の領域であり、スイッチング電流の集中が抑制される損失小領域となる。
なお、熱抵抗分布は、図3に一例を示す冷却機構50を考慮し、所定の冷却温度とした冷却器との温度差に基づいて算出することができる。冷却機構50は、半導体装置1が載置される放熱基板5と、放熱基板5を介して半導体装置1を冷却する冷却器としてのヒートシンク6を有する。放熱基板5は、例えば、絶縁用のセラミックス板51の両面に銅板52が接合された積層板であり、半田61を用いて、半導体装置1の放熱面22及びヒートシンク6の載置面と、それぞれ接合される。放熱基板5の外形は、半導体装置1の外形よりも大きく、ヒートシンク6の載置面の外形は、放熱基板5の外形よりも大きくなっている。このとき、図3中に点線で示すように、半導体装置1の放熱面22側から、放熱基板5を介してヒートシンク6へ、放熱経路が外方へ拡がるように放熱されるので、半導体装置1の中央部よりも、放熱しやすい外周側で、熱抵抗が小さくなる。
ここで、熱抵抗分布は、一定の損失を与えたときの温度分布を損失で除算して算出されるものであり、損失一定時の温度分布と同等となる。
熱抵抗分布=温度分布/損失(ただし、損失:一定)
したがって、トランジスタセルTのスイッチング動作に伴う温度分布を緩和するには、熱抵抗分布が小さくなる領域において、スイッチング損失がより大きくなり、熱抵抗分布が大きくなる領域において、スイッチング損失がより小さくなるように、スイッチング電流の流れを調整することが望ましい。
セル領域3の表面には、ゲートパッド部GPと電気的に接続されるゲート配線部4が配置されている。ゲートパッド部GPは、セル領域3の一辺に沿う位置に隣り合って配置される第1ゲートパッドGP1と第2ゲートパッドGP2とを有し、ゲート配線部4は、これら第1ゲートパッドGP1及び第2ゲートパッドGP2にそれぞれ接続される、第1ゲート配線41と第2ゲート配線42とを有する。第1ゲート配線41は、セル領域3の第1領域3Aに対応して配置され、第2ゲート配線42は、セル領域3の第2領域3Bに対応して配置される。
第1ゲート配線41は、セル領域3の外周縁部及び第2ゲートパッドGP2の外側を取り囲むように配置される、概略矩形の環状配線部であり、その一辺に接して配置される第1ゲートパッドGP1と、電気的に接続されている。第2ゲート配線42は、第1ゲート配線41の内側において、セル領域3の中心部を取り囲むように配置される概略矩形の環状配線部421と、環状配線部421の一辺と交差するように、X方向に配置される帯状配線部422とからなる。帯状配線部422は、環状配線部421のゲートパッドGPと対向する一辺の中央部から、その内方及び外方へX方向に延出し、内方端がセル領域3の中心部に配置されると共に、外方端が第2ゲートパッドGP2と電気的に接続されている。
ゲートパッド部GPには、ドライブ回路40が接続されて、スイッチング動作を制御するためのゲート制御信号Sが入力されるようになっている。ゲート制御信号Sは、Hレベル及びLレベルの二値レベルを有するパルス状の電圧信号からなる。ドライブ回路40からゲートパッド部GPへの信号経路Lは、途中で分岐して、第1ゲートパッドGP1へ接続される第1信号経路L1と第2ゲートパッドGP2へ接続される第2信号経路L2となっている。また、第1信号経路L1には、ドライブ回路40から第1ゲート配線41へ向かう方向を順方向とする第1整流素子D1が介設されており、第2信号経路L2には、上記第2ゲート配線へ向かう方向と逆の方向、すなわち、第2ゲート配線42からドライブ回路40へ向かう方向を順方向とする第2整流素子D2が介設されている。
これにより、第1信号経路L1と信号経路L2を流れる電流の向きが一方向に定まり、ドライブ回路40から出力されるゲート制御信号Sが、セル領域3の面内を伝播する方向を制御可能となる。すなわち、ターンオン時には、第1信号経路L1から第1ゲート配線41を介して、外周縁部に近接する第1領域3Aから先に、トランジスタセルTのゲート電極10へ電荷が供給され、順次、内周側へ伝播する。ターンオフ時には、逆に、第2ゲート配線42を介して第2信号経路L2へ、中央部の第2領域3Bから先に、トランジスタセルTのゲート電極10の電荷が引き抜かれ、順次、外周側へ伝播する。
ここで、ゲート配線部4となる第1ゲート配線41及び第2ゲート配線42は、好適には、低電気抵抗の導電性材料からなる低抵抗配線材料にて構成される。低抵抗配線材料としては、具体的には、アルミニウム、銅等の金属又は金属合金を含む金属系配線材料が挙げられる(例えば、アルミニウムの電気抵抗率:〜3×10-8Ωm)。
ゲート配線部4と接続されるゲート電極10は、上述したように、金属系配線材料よりも電気抵抗率の高い導電性材料であるポリシリコン等からなる(例えば、ポリシリコンの電気抵抗率:〜1×10-5Ωm)。そのため、ゲート配線部4から離れた部位のトランジスタセルTに対して、ゲート制御信号Sの伝播に遅延が生じる。
なお、第2ゲート配線42のうち、環状配線部421より外方に配置される帯状配線部422は、セル領域3の外側に配置される第2ゲートパッドGP2との接続のために設けられる。ゲート配線部4と接続されるゲート電極10は、環状配線部421と、その内方の帯状配線部422に沿う位置に配置され、外方の帯状配線部422に沿う位置とその周辺の一部には、ゲート電極10は配置されない。そのため、第1ゲートパッドGP1から第1ゲート配線41を介してゲート制御信号が入力される領域と、第2ゲートパッドGP2から第2ゲート配線42を介してゲート制御信号が入力される領域とが区別される。
したがって、上記構成の半導体装置1において、ゲートパッド部GPからゲート配線部4を介してゲート制御信号が入力すると、熱抵抗の最小領域を含む第1領域3Aにおいて、第2領域3B、第3領域3Cよりも先に、トランジスタセルTのゲート電位が上昇して、ターンオン動作を開始する。また、熱抵抗の最大領域を含む第2領域3Bにおいて、第1領域3A、第3領域3Cよりも先に、トランジスタセルTのゲート電位が下降して、ターンオフ動作を開始する。すなわち、ターンオン、ターンオフ時のスイッチング電流が、第1領域3Aに集中することで、相対的に外周部の温度が上昇し、温度分布を緩和する作用を有する。
(試験例1)
次に、上記実施形態1の構成による効果について、図5〜図10を用いて説明する。
図5は、従来の半導体装置1の基本的なスイッチング特性を示すもので、図6に示すダブルパルス試験用回路100を用いて測定される。
図6において、ダブルパルス試験用回路100は、半導体装置1を構成するMOSFET101をハーフブリッジ回路の上下アームとする半導体モジュールを備え、半導体モジュールは、直流電源102の正負極間に、コンデンサ103と並列に接続されている。
下アームとなるMOSFET101のドレインソース間には、インダクタンス負荷104が並列に接続されており、上アームとなるMOSFET101のゲートには、ゲート抵抗Rgを介して、ゲート制御信号としてパルス状の電圧信号が入力される。このとき、ゲート抵抗Rgによってスイッチング速度を調整可能となっている。
図5に示すように、試験用の半導体装置1は、ゲート配線部4を均一に形成し単一のゲートパッド部GPに接続した構成であり、セル領域3は、ここでは、トランジスタセルTのトレンチがX方向に延出するストライプ状に形成されている。ゲート配線部4は、矩形形状の外周側ゲート配線4aと、その内側の帯状の複数のゲート配線4bからなり、ゲート配線4bは、X方向と直交する方向に、外周側ゲート配線4aの対向する二辺間を架け渡すように配置される。
その場合には、ゲートパッド部GPから入力するゲート制御信号Sが、低抵抗配線材料からなるゲート配線部4の全体に概略均一に伝播する。そして、図中に矢印で示すように、ゲート配線部4に接するトランジスタセルTから内方へ伝播して、順次、ゲート電位が上昇し、ターンオンする。あるいは、順次、ゲート電位が低下して、ターンオフする。そのため、ターンオン電流は、先にターンオンするゲート配線部4の近接部位に集中し、ターンオフ電流は、後にターンオフするゲート配線部4から離れた部位に集中することになる。
このとき、図7に示すように、MOSFET101の全損失は、導通期間中のドレインソース間のオン抵抗に基づく導通損失と、閾値電圧Vthに基づくターンオン又はターンオフ時に発生するスイッチング損失との総和として表される。スイッチングによるターンオン損失及びターンオフ損失は、中央部に損失が集中する山状の分布を示し、谷状の分布に比べて、大きくなることから、全損失は、中央部に損失が集中する山状の分布を示す。そのため、セル領域3における温度分布も山状の分布を示すことになる。
なお、理想的には、熱抵抗分布が均一であれば、損失が温度特性による偏りを有さず、温度分布も均一となる。ただし、図8に示すように、オン抵抗は、温度特性を有することから、熱抵抗分布と同様に、中心部に近いほどオン抵抗が高くなる山状の分布を示し、導通期間中のドレイン電流Idの電流密度は、逆に山状の分布を示す。また、図9に示すように、閾値電圧Vthは、温度特性により、中心部に近いほど閾値電圧Vthが低くなる谷状の分布を示すことから、ターンオン及びターンオフのタイミングにずれが生じる。
例えば、ターンオン時には、ゲート制御信号Sの印加により、ゲートソース電圧Vgsが上昇を開始して、所定の閾値電圧Vthに達すると(例えば、図9中に示す時点t)、MOSFET101のドレインソース間が導通して、ドレイン電流Idが増加し、ドレインソース電圧Vdsが低下する。このとき、閾値電圧Vthの分布により、閾値電圧Vthが低い中央部が先にターンオンし、ターンオン電流が集中する。ターンオフ時には、閾値電圧Vthが高い外周部が先にターンオフすることで、中央部にターンオフ電流が集中する。
このように、従来の構成では、閾値電圧Vthが低い中央部にスイッチング電流が集中して、温度が高くなりやすく、温度の偏りを加速させるおそれがあった。
これに対して、図10に動作波形を示すように、本形態の構成におけるスイッチング時には、ゲート制御信号Sがオンすると(時点t0)、第1ゲートパッドGP1に接続される第1ゲート配線41に近い、セル領域3の外周側からゲートソース電圧Vgsが上昇する。すなわち、外周部の第1領域3A、中間部の第3領域3C、中央部の第2領域3Bの順に、閾値電圧Vthに達して(時点t1〜t3)、各領域のトランジスタセルTがターンオンする。
これにより、MOSFET101のドレインソース間が導通して、ドレイン電流Idが増加し、ドレインソース電圧Vdsは低下する。その際、先にターンオンする第1領域3Aにおいて、ドレイン電流Idが早く立ち上がりピーク値がより大きくなる。遅れてターンオンする第3領域3Cでは、ドレイン電流Idのピーク値はより小さくなり、第2領域3Bでは、ドレイン電流Idは緩やかに上昇しピーク値を有しない。そのため、ターンオン時には、ターンオン電流が外周部に集中する。
その後、ドレインソース電圧Vdsが段階的に低下して安定すると(時点t4)、各領域のゲートソース電圧Vgsは同等の値に収束し、ドレイン電流Idも同等の大きさとなる。次いで、ゲート制御信号Sがオフすると(時点t5)、第2ゲートパッドGP2に接続される第2ゲート配線42に近い、セル領域3の内周側からゲートソース電圧Vgsが低下し、ドレインソース電圧Vdsが上昇し始める(時点t6)。次いで、ターンオン時と逆の順序でゲートソース電圧Vgsが徐々に低下し、第2領域3B、第3領域3C、第1領域3Aの順に、閾値電圧Vthに達すると(時点t7〜t9)、各領域のトランジスタセルTがターンオフする。
その際、電流変化を妨げる方向の誘導電圧が発生することにより、先にターンオフする第2領域3B、第3領域3Cにおいて、ドレイン電流Idの変化は比較的小さく、ターンオフする直前にドレイン電流Idが急減する。そのために、遅れてターンオフする第1領域3Aにおいて、ドレイン電流Idが再び増加する。そのため、ターンオフ時には、ターンオフ電流が外周部に集中する。
これにより、オン抵抗又は閾値分布の温度特性が緩和され(例えば、図7参照)、導通期間の電流分布が緩和されると共に、熱抵抗の小さいセル領域3の外周部に、ターンオン損失及びターンオフ損失が集中する。その結果、全損失の分布が従来と逆の特性となり、外周部の温度が上昇し、中央部の温度上昇が抑制されて、温度分布が緩和される。
このように、本形態の構成によれば、ゲートソース電圧Vgsの遅延を利用して、高速スイッチング時の過渡電流分布を制御し、意図的にスイッチング損失を分布させることができる。よって、温度分布を緩和し、半導体装置1の耐熱性を確保しながら、大電流化が可能になる。
(実施形態2)
図11、図12により、半導体装置1の実施形態2について説明する。
本形態の半導体装置1の基本構成は、上記実施形態1と同様であり、セル領域3を複数の領域に分離して、ゲートパッド部GPから別々のゲート制御信号Sが印加される構成とした点が異なっている。以下、相違点を中心に説明する。
なお、実施形態2以降において用いた符号のうち、既出の実施形態において用いた符号と同一のものは、特に示さない限り、既出の実施形態におけるものと同様の構成要素等を表す。
図11に示すように、本形態においても、半導体装置1のセル領域3の表面には、ゲートパッド部GPの第1ゲートパッドGP1及び第2パッドGP2に接続される、ゲート配線部4の第1ゲート配線41及び第2ゲート配線42が、それぞれ形成されている。セル領域3は、熱抵抗の最小領域を含む第1領域3Aと、熱抵抗の最大領域を含む第2領域3Bとを有しており、これらを分離するように、格子状のゲート電極10が配置されない分離領域31が形成されている。
第1ゲート配線41は、上記実施形態1と同様の環状配線部であり、セル領域3の外周縁部及び第2ゲートパッドGP2の外側を取り囲むように配置されて、第1ゲートパッドGP1と、電気的に接続される。第2ゲート配線42は、概略矩形の環状配線部421と、環状配線部421の一辺と交差して、第2ゲートパッドGP2と電気的に接続される帯状配線部422とからなる。環状配線部421は、例えば、上記実施形態1より大きな矩形状に形成され、セル領域3の中心部をより広く取り囲む構成となっており、その内外の第2領域3Bに速やかに信号伝播可能となっている。
分離領域31は、環状配線部421及び帯状配線部422の外側を取り囲むように配置されて、第1ゲートパッドGP1に接続される第1領域3Aと、第2ゲートパッドGP2に接続される第2領域3Bとの間を、電気的に遮断している。ここでは、分離領域31は、例えば、セル領域3の中間領域で、外周部の第1ゲート配線41に近い位置に配置されているが、環状配線部421や分離領域31の形状や配置は、セル領域3の熱抵抗分布等に応じて、適宜変更することができる。
ゲート制御信号Sは、第1ゲートパッドGP1に印加される第1ゲート制御信号S1と、第2ゲートパッドGP2に印加される第2ゲート制御信号S2とからなる。第1ゲート制御信号S1は、第2ゲート制御信号S2よりもオン期間が長い信号であり、第2ゲート制御信号S2に先んじてオンとなり、遅れてオフとなる。すなわち、第1ゲート制御信号S1のオン期間の間に、第2ゲート制御信号S2が、オフからオンに切り替えられると共に、オンからオフに切り替えられる。第1ゲート制御信号S1及び第2ゲート制御信号S2は、ドライブ回路40から、第1信号経路L1、第2信号経路L2を介して、それぞれ第1ゲートパッドGP1、第2ゲートパッドGP2に入力される。
図12に動作波形を示すように、本形態の構成におけるスイッチング時には、まず、第1ゲート制御信号S1がオンとなり(時点t10)、第1ゲート配線41が配置される外周部の第1領域3Aにおいて、ゲートソース電圧Vgsが上昇する。次いで、閾値電圧Vthに達して(時点t11)、トランジスタセルTがターンオンすると、ドレイン電流Idが急増し、ドレインソース電圧Vdsは段階的に低下する。時点t11以降に、第2ゲート制御信号S2がオンとなり、閾値電圧Vthに達すると(時点t12)、内周部の第2領域3Bにおいて、同様に、トランジスタセルTがターンオンする。
その際、先にターンオンする第1領域3Aでは、ドレイン電流Idの立ち上がりが早く、ピーク値が大きくなるのに対して、遅れてターンオンする第2領域3Bでは、ドレイン電流Idは緩やかに上昇する。そのため、ターンオン時には、ターンオン電流が外周部に集中する。
その後、ドレインソース電圧Vdsが安定すると(時点t13)、ゲートソース電圧Vgs及びドレイン電流Idは同等の値に収束する。次いで、第2ゲート制御信号S2がオフすると(時点t14)、第2領域3Bにおいて、ゲートソース電圧Vgsが低下し、ドレイン電流Idが徐々に減少する。さらに、第1ゲート制御信号S1がオフすると(時点t15)、第1領域3Aにおいて、ゲートソース電圧Vgsが低下するものの、ドレイン電流Idは減少せず、第2領域3BAのゲートソース電圧Vgsが閾値電圧Vthに達してターンオフすると(時点t16)、第1領域3Aのドレイン電流Idは増加する。
次いで、第1領域3Aにおいて、ゲートソース電圧Vgsが閾値電圧Vthに達してターンオフすると(時点t17)、ドレイン電流Idは急減する。そのため、ターンオフ時には、ターンオフ電流が外周部に集中する。
このように、本形態の構成においても、熱抵抗の小さい外周部にターンオン電流及びターンオフ電流を集中させ、スイッチング損失分布を制御することで、温度分布を緩和し、半導体装置1の耐熱性を確保しながら、大電流化が可能になる。
(実施形態3)
図13、図14により、半導体装置1の実施形態3について説明する。
本形態は、上記実施形態1の変形例であり、ゲート配線部4の第1ゲート配線41を、電気的に接続された複数の環状配線部411、412を組み合わせて構成している。
その他の半導体装置1の基本構成は、上記実施形態2と同様であり、説明を省略する。以下、相違点を中心に説明する。
図13に示すように、本形態において、半導体装置1のセル領域3の表面には、第1ゲートパッドGP1及び第2パッドGP2に接続される、ゲート配線部4の第1ゲート配線41及び第2ゲート配線42が、それぞれ形成されている。ここで、第1ゲート配線41は、セル領域3の外周縁部及び第2ゲートパッドGP2の外側を取り囲む概略矩形の環状配線部411と、その内側に間隔を置いて配置される概略矩形の環状配線部412を有する、二重環状に形成されている。
本形態では、外周部の第1領域3Aが、上記実施形態1よりも幅広に設定されており、第1ゲート配線41は、二重の環状配線部411、412の両方が、第1領域3Aに配置されている。内側の環状配線部412よりも内側において、中央部の第2領域3Bに配置される第2ゲート配線42の環状配線部421よりも外側に、中間部の第3領域3Cが形成される。内側の環状配線部412は、第2ゲート配線42の帯状配線部422の外側において、外側の環状配線部411と接続されており、第1ゲートパッドGP2からのゲート制御信号Sが、同時に入力されるようになっている。
図13中に示すように、この構成においても、ターンオン電流及びターンオフ電流が、熱抵抗の小さい外周部に集中し、熱抵抗の大きい中央部のスイッチング損失が小さくなるために温度分布を緩和する効果が得られる。
さらに、第1ゲート配線41を二重環状に構成したことで、より広く設定された第1領域3Aの全体に、速やかにゲート制御信号Sを伝播させることができる。また、内側の環状配線部412に近接する中間部の第3領域3Cへも、より速やかにゲート制御信号Sが伝播される。
これにより、図14に上記実施形態1におけるターンオン時の動作波形と比較して示すように、外側の環状配線部411に近接する部位と、内側の環状配線部412に近接する部位とで、ターンオン時のゲートソース電圧Vgsとドレイン電流Idとが、ほぼ同等の特性を示すようになる。なお、内側の環状配線部412に近接する部位は、上記実施形態1においては、中間部の第3領域3Cに対応する。
したがって、ターンオン電流が外周部により集中しやすくなり、ターンオン電流が集中する損失大領域が拡大されて、温度分布を緩和する効果が高まると共に、ターンオン時のスイッチング速度を向上させることができる。
なお、第1ゲート配線41は二重環状に限らず、三重以上の複数環状に構成してもよい。また、第2ゲート配線42を二重環状等の複数環状に構成することもできる。
(実施形態4)
図15、図16により、半導体装置1の実施形態4について説明する。
本形態は、上記実施形態1の変形例であり、ゲート配線部4の第1ゲート配線41の構成を変更し、電気的に接続された環状配線部411と、複数の帯状配線部413を組み合わせて構成している。
その他の半導体装置1の基本構成は、上記実施形態2と同様であり、説明を省略する。以下、相違点を中心に説明する。
図15に示すように、本形態において、半導体装置1のセル領域3の表面には、第1ゲートパッドGP1及び第2パッドGP2に接続される、ゲート配線部4の第1ゲート配線41及び第2ゲート配線42が、それぞれ形成されている。ここで、第1ゲート配線41は、セル領域3の外周縁部及び第2ゲートパッドGP2の外側を取り囲む概略矩形の環状配線部411と、その内側に配置される複数の帯状配線部413を有している。
第1ゲート配線41は、外周部の第1領域3Aに配置されており、第2ゲート配線42が配置される中央部の第2領域3Bとの間に、中間部の第3領域3Cが形成される。第1領域3Aは、ここでは、円形の内周縁を有する形状に設定されており、この円形の内周縁を取り囲むように、複数の帯状配線部413が配置される。複数の帯状配線部413は、ゲートパッド部GPが配置される辺を除く、環状配線部411の三辺から、対向する辺へ向けて延出し、延出端が、第1領域3Aの内周縁の近傍に位置するようになっている。具体的には、ゲートパッド部GPと対向する辺においては、その中央部に、1つの帯状配線部413が設けられ、第2ゲート配線42の帯状配線部422の延長線上に配置される。残る二辺においては、それぞれ、平行な複数の帯状配線部413が、等間隔で設けられ、互いに対向するように対称配置されている。
図15中に示すように、この構成においても、ターンオン電流及びターンオフ電流が、熱抵抗の小さい外周部に集中するために、温度分布を緩和する効果が得られる。
また、第1領域3Aが、熱抵抗分布により近い形状に設定され、その全体に、第1ゲート配線41が配置されて、速やかにゲート制御信号Sを伝播させることが可能になる。したがって、外周部にスイッチング電流がより集中しやすくなり、温度分布を緩和する効果が高まると共に、スイッチング速度を向上可能となる。
あるいは、図16に変形例として示すように、セル領域3のゲート電極10がストライプ状の配置となっていてもよい。その場合には、第1ゲート配線41を、環状配線部411と、複数の帯状配線部413とで構成することができる、複数の帯状配線部413は、ゲート電極10のトレンチの延出方向と直交する方向に延びている。また、第2ゲート配線42の環状配線部421を、矩形環状から、図示するような円環状に変更することもできる。その場合には、環状配線部421の内側に延出配置される帯状配線部422を、円中心を通って反対側の環状配線部421に至る配置とすることで、中心部の第2領域3Bに速やかにゲート制御信号Sを伝播可能になる。
複数の帯状配線部413は、環状配線部411の二辺に、それぞれ等間隔で複数配置され、各辺から内側に、互いに対向するように延出して、延出端が、第1領域3Aの内周縁の近傍に位置している。互いに対向する2つの帯状配線部413の間には、これらの間を架け渡すように、複数の帯状配線部からなる第3ゲート配線43が配置される。第3ゲート配線43は、低抵抗配線材料で構成される第1ゲート配線41、第2ゲート配線42よりも高電気抵抗の導電性材料、例えば、ポリシリコンにて構成される。第2領域3Bに延びる配第3ゲート配線43の一部は、第2ゲート配線42の環状配線部421に接続される。
このように、高抵抗配線材料からなる第3ゲート配線43を第1ゲート配線41、第2ゲート配線42に接続することで、中間部の第3領域3Cに配置されるトランジスタセルTへ、第1領域3A、第2領域3Bよりも遅延させて、ゲート制御信号Sを伝播可能になる。
(実施形態5)
図17により、半導体装置1の実施形態5について説明する。
本形態は、上記実施形態3の変形例であり、ゲートパッド部GPを単一として、第1ゲート配線41、第2ゲート配線42に対して共通に設けると共に、ゲートパッド部GPに接続される第1信号経路L1、第2信号経路L2を、半導体基板2の周辺領域30に配置している。
その他の半導体装置1の基本構成は、上記実施形態3と同様であり、説明を省略する。以下、相違点を中心に説明する。
その場合には、ゲートパッド部GPと、ゲート配線部4の第1ゲート配線41、第2ゲート配線42との間に、第1信号経路L1、第2信号経路L2をそれぞれ接続し、第1ゲート配線41、第2ゲート配線42に、第1ダイオードD1、第2ダイオードD2を介設する。また、第1ゲート配線41の環状配線部411は、これらゲートパッド部GPと、第1信号経路L1及び第2信号経路L2の全体を取り囲むように配置される。
これにより、外部のドライブ回路40から入力されるゲート制御信号Sが、ゲートパッド部GPから第1信号経路L1、第2信号経路L2を介して、ゲート配線部4の第1ゲート配線41及び第2ゲート配線42へ出力される。その場合も、上記実施形態3と同様の効果が得られる。
本形態の構成を、上記実施形態3に限らず、それ以外の実施形態に適用することもできる。他の実施形態の構成についても同様であり、複数の実施形態の構成を組み合わせることができる。
本発明は上記各実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の実施形態に適用することが可能である。例えば、上記実施形態では、半導体基板2の主面と反対側の面を放熱面22とする片面冷却の構造例として説明したが、主面側からも放熱可能な両面冷却の構造に適用することもできる。また、半導体装置1をスイッチング素子として電力変換装置に適用する例を示したが、これに限らない任意の用途に用いることができる。
上記各実施形態においては、半導体装置1の半導体基板2及びセル領域3の形状を矩形形状とした例を示したが、五角形等の多角形状、その他、任意の形状とすることができる。また、ゲート配線部4の配線形状は図示の例に限らず、第1ゲート配線41と第2ゲート配線42又は第3ゲート配線43の形状や配置は、適宜変更することができる。さらに、トランジスタセルTは、トレンチを有する縦型のMOSFETとして構成したがIGBTであってもよく、プレーナ構造の横型のMOSFET又はIGBT等であってもよい。セル領域3に配置されるトランジスタセルTのトレンチの形状や配置も、任意に設定することができる。
1 半導体装置
2 半導体基板
21 主面
22 放熱面
3 セル領域
3A 第1領域
3B 第2領域
4 ゲート配線部
41 第1ゲート配線
42 第2ゲート配線

Claims (6)

  1. 半導体基板(2)の主面(21)側に、複数のトランジスタセル(T)が並設されるセル領域(3)と、上記トランジスタセルのゲート電極(10)に接続されるゲート配線部(4)と、上記ゲート配線部を介して上記ゲート電極にゲート電位を付与するゲートパッド部(GP)とを備える半導体装置(1)であって、
    上記セル領域は、上記セル領域の熱抵抗分布に基づいて設定され、熱抵抗の最小領域を含む第1領域(3A)と、上記第1領域よりも熱抵抗が大きい第2領域(3B)とを有し、
    上記ゲート配線部は、上記第1領域に配置される第1ゲート配線(41)と、上記第2領域に配置される第2ゲート配線(42)とを有しており、
    上記ゲートパッド部からのゲート制御信号(S)により、上記トランジスタセルのスイッチング時には、上記第2領域に先んじて上記第1領域がターンオン動作を開始し、上記第2領域に遅れて上記第1領域がターンオフ動作を開始する、半導体装置。
  2. 上記第2領域は、上記セル領域の熱抵抗分布に基づく熱抵抗の最大領域を含み、
    上記トランジスタセルのターンオン時には、上記第2領域に先んじて、上記第1領域の上記ゲート電極へゲート電位が付与され、
    上記トランジスタセルのターンオフ時には、上記第1領域に先んじて、上記第2領域の上記ゲート電極からゲート電位が引き抜かれる、請求項1に記載の半導体装置。
  3. 上記ゲートパッド部は、上記第1ゲート配線に接続される第1ゲートパッド(GP1)と、上記第2ゲート配線に接続される第2ゲートパッド(GP2)とを有しており、
    上記第1ゲートパッドを通る第1信号経路(L1)に、上記第1ゲート配線へ向かう方向を順方向とする第1整流素子(D1)が介設されると共に、上記第2ゲートパッドを通る第2信号経路(L2)に、上記第2ゲート配線へ向かう方向と逆の方向を順方向とする第2整流素子(D2)が介設される、請求項1又は2に記載の半導体装置。
  4. 上記ゲートパッド部は、上記第1ゲート配線に接続される第1ゲートパッド(GP1)と、上記第2ゲート配線に接続される第2ゲートパッド(GP2)とを有しており、
    上記第1ゲートパッドから上記第1ゲート配線へ入力される第1ゲート制御信号(S1)のオン期間の間に、上記第2ゲートパッドから上記第2ゲート配線へ入力される第2ゲート制御信号(S2)が、オフからオンに切り替えられると共に、オンからオフに切り替えられる、請求項1又は2に記載の半導体装置。
  5. 上記ゲート配線部は、上記第1ゲート配線が、上記セル領域の外周縁に沿う外周部に配置され、上記第2ゲート配線が、上記セル領域の面中心(C)を含む中央部に配置される、請求項3又は4に記載の半導体装置。
  6. 上記第1ゲートパッド及び上記第2ゲートパッドは、上記セル領域の外側に配置され、上記第1ゲート配線は、上記セル領域の外周縁部に沿う少なくとも一重の環状形状を有し、上記第2ゲート配線は、上記セル領域の中央部に配置される環状配線部(421)と、上記環状配線部と一体的に設けられ、上記セル領域の外側に向けて延出する帯状配線部(422)とを有する、請求項5項に記載の半導体装置。
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