以下、図面を参照して本発明の一実施の形態について説明する。なお、本件明細書に添付する図面においては、理解のしやすさの便宜上、適宜縮尺及び縦横の寸法比等を、実物のそれらから変更し誇張してある。
図1〜図8は、本発明による積層型電極の一実施の形態を説明するための図である。図1は、積層型電池の一具体例を示す斜視図である。図1に示すように、積層型電池1は、外装体3と、外装体3内に収容された膜電極接合体5と、膜電極接合体5に接続されて外装体3の内部から外部へと延び出したタブ4と、を有している。図2に示すように、膜電極接合体5は、交互に積層された第1電極板10及び第2電極板20を有している。図1に示された例において、積層型電池1は、全体的に偏平形状を有し、短手方向となる第1方向d1と長手方向となる第2方向d2に広がっている。
以下において、積層型電池1がリチウムイオン二次電池を構成する例について説明する。この例において、第1電極板10は正極板10Xを構成し、第2電極板20は負極板20Yを構成するものとする。ただし、以下に説明する作用効果の記載からも理解され得るように、ここで説明する一実施の形態は、リチウムイオン二次電池に限定されることなく、第1電極板10及び第2電極板20を交互に積層してなる積層型電池1に広く適用され得る。
外装体3は、膜電極接合体5を封止するための包装材である。外装体3は、膜電極接合体5を収容するための収容空間を形成している。外装体3は、膜電極接合体5及び電解液をその内部に密閉する。外装体3は、一例として、2つの基材と、2つの基材の間に配置された接着層と、を有する。基材は、高ガスバリア性と成形加工性を有することが好ましい。このような基材として、アルミニウム箔やステンレス箔を用いることができる。一方、接着層は、2つの基材を接合するためのシール層として機能する。接着層は、接着性に加え、絶縁性、耐薬品性、熱可塑性等を有していることが好ましい。このような接着層として、例えば、ポリプロピレン、変性ポリプロピレン、低密度ポリプロピレン、アイオノマー、エチレン・酢酸ビニル等を用いることができる。外装体3の厚さは、例えば100μm以上300μm以下である。
タブ4は、積層型電池1における端子として機能する。図1のIV−IV線に沿った断面が、図4に示されている。図2及び図4に示すように、膜電極接合体5の正極板10X(第1電極板10)に一方(第2方向d2の一側)のタブ4が電気的に接続している。同様に、膜電極接合体5の負極板20Y(第2電極板20)に他方(第2方向d2の他側)のタブ4が電気的に接続している。タブ4は、アルミニウム、ニッケル、ニッケルメッキ銅等を用いて形成され得る。図1に示すように、一対のタブは、外装体3の内部から、外装体3の外部へと延び出している。なお、図4に示すように、外装体3とタブ4との間は、タブ4が延び出す領域において、封止されている。
次に、膜電極接合体5について説明する。図3乃至図5に示すように、膜電極接合体5は、正極板10X(第1電極板10)と、負極板20Y(第2電極板20)と、絶縁シート30と、を有している。図4に示すように、正極板10X及び負極板20Yは、積層方向dL(図4の上下方向)に沿って交互に積層されている。膜電極接合体5は、例えば正極板10X及び負極板20Yを合計で20枚以上含んでいる。膜電極接合体5は、全体的に偏平形状を有し、積層方向dLへの厚さが薄く、積層方向dLに非平行な方向に広がっている。図3に示された例では、膜電極接合体5は、積層方向dLに直交する第1方向d1及び第2方向d2に広がっている。膜電極接合体5の厚さ、すなわち積層方向dLの長さは、例えば4mm以上20mm以下である。
図示された非限定的な例において、正極板10X及び負極板20Yは、長方形形状の外輪郭を有している板状の電極である。積層方向dLに非平行な第1方向d1が、正極板10X及び負極板20Yの短手方向(幅方向)であり、積層方向dL及び第1方向d1の両方に非平行な第2方向d2が、正極板10X及び負極板20Yの長手方向である。図示された例において、積層方向dL、第1方向d1及び第2方向d2は、互いに直交している。図2乃至図4に示されているように、正極板10X及び負極板20Yは、第2方向d2にずらして配置されている。より具体的には、複数の正極板10Xは、第2方向d2における一側に寄って配置され、複数の負極板20Yは、第2方向d2における他側に寄って配置されている。正極板10X及び負極板20Yは、第2方向d2における中央において、積層方向dLに重なり合っている。図5は、図1のV−V線に沿った積層型電池1の断面の一部が示されている。図5に示されているように、負極板20Y(第2電極板20)の第1方向d1(幅方向)に沿った長さは、正極板10X(第1電極板10)の第1方向d1に沿った長さよりも長くなっている。図示された例では、負極板20Yは、正極板10Xより、第1方向d1の一側及び他側に延び出ている。正極板10X及び負極板20Yの厚さ、すなわち積層方向dLの長さは、例えば4mm以上20mm以下であり、短手方向、すなわち第1方向d1に沿った長さ(幅)は、例えば80mm以上250mm以下であり、長手方向、すなわち第2方向d2に沿った長さは、例えば250mm以上500mm以下である。
図4に示されているように、正極板10X(第1電極板10)は、正極集電体11X(第1電極集電体11)と、正極集電体11X上に設けられた正極活物質層12X(第1電極活物質層12)と、を有している。リチウムイオン二次電池において、正極板10Xは、放電時にリチウムイオンを放出し、充電時にリチウムイオンを吸蔵する。
図3及び図4に示すように、正極集電体11Xは、互いに対向する第1面11a及び第2面11bを主面として有している。正極活物質層12Xは、正極集電体11Xの第1面11a及び第2面11bの両側の面上に形成されている。積層型電池1に含まれる複数の正極板10Xは、正極集電体11Xの両側に設けられた一対の正極活物質層12Xを有し、互いに同一に構成され得る。
正極集電体11X及び正極活物質層12Xは、積層型電池1(リチウムイオン二次電池)に適用され得る種々の材料を用いて種々の製法により、作製され得る。一例として、正極集電体11Xは、アルミニウム箔によって形成され得る。正極活物質層12Xは、例えば、正極活物質、導電助剤、バインダーとなる結着剤を含んでいる。正極活物質層12Xは、正極活物質、導電助剤及び結着剤を溶媒に分散させてなる正極用スラリーを、正極集電体11Xをなす材料上に塗工して固化させることで、作製され得る。正極活物質として、例えば、一般式LiMxOy(ただし、Mは金属であり、x及びyは金属Mと酸素Oの組成比である)で表される金属酸リチウム化合物が用いられる。金属酸リチウム化合物の具体例として、コバルト酸リチウム、ニッケル酸リチウム、マンガン酸リチウム等が例示され得る。導電助剤としては、アセチレンブラック等が用いられ得る。結着剤としては、ポリフッ化ビニリデン等が用いられ得る。
図3に示すように、正極集電体11X(第1電極集電体11)は、第1端部領域a1及び第1電極領域b1を有している。正極活物質層12X(第1電極活物質層12)は、正極集電体11Xの第1電極領域b1のみに配置されている。第1端部領域a1及び第1電極領域b1は、第2方向d2に配列されている。第1端部領域a1は、第1電極領域b1よりも第2方向d2における外側(図3における左側)に位置している。複数の正極集電体11Xは、図4に示すように、第1端部領域a1において、抵抗溶接や超音波溶接、テープによる貼着、融着等によって接合され、電気的に接続している。図示された例では、一つのタブ4が、第1端部領域a1において正極集電体11Xに電気的に接続している。タブ4は、膜電極接合体5から第2方向d2に延び出している。一方、図3に示すように、第1電極領域b1は、負極板20Yの後述する負極活物質層22Yに対面する領域内に位置している。そして、図5に示すように、第1方向d1に沿った正極板10Xの幅は、第1方向d1に沿った負極板20Yの幅よりも狭くなっている。このような第1電極領域b1の配置により、正極活物質層12Xからのリチウムの析出を防止することができる。
次に、負極板20Y(第2電極板20)について説明する。負極板20Y(第2電極板20)は、負極集電体21Y(第2電極集電体21)と、負極集電体21Y上に設けられた負極活物質層22Y(第2電極活物質層22)と、を有している。リチウムイオン二次電池において、負極板20Yは、放電時にリチウムイオンを吸蔵し、充電時にリチウムイオンを放出する。
負極集電体21Yは、互いに対向する第1面21a及び第2面21bを主面として有している。負極活物質層22Yは、負極集電体21Yの第1面21a及び第2面21bの両側の面上に形成されている。積層型電池1に含まれる複数の負極板20Yは、負極集電体21Yの両側に設けられた一対の負極活物質層22Yを有し、互いに同一に構成され得る。
負極集電体21Y及び負極活物質層22Yは、積層型電池1(リチウムイオン二次電池)に適用され得る種々の材料を用いて種々の製法により、作製され得る。一例として、負極集電体21Yは、例えば銅箔によって形成される。負極活物質層22Yは、例えば、炭素材料からなる負極活物質、及び、バインダーとして機能する結着剤を含んでいる。負極活物質層22Yは、例えば、炭素粉末や黒鉛粉末等からなる負極活物質とポリフッ化ビニリデンのような結着剤とを溶媒に分散させてなる負極用スラリーを、負極集電体21Yをなす材料上に塗工して固化することで、作製され得る。
既に説明したように、正極板10Xの第1電極領域b1は、負極板20Yの第2電極領域b2に対面する領域の内側に位置している(図3参照)。すなわち、第2電極領域b2は、正極板10Xの正極活物質層12Xに対面する領域を内包する領域に広がっている。図5に示すように、第1方向d1に沿った負極板20Yの幅は、第1方向d1に沿った正極板10Xの幅よりも広くなっている。とりわけ、負極板20Yの第1方向d1における一側端部20aは、正極板10Xの第1方向d1における一側端部10aよりも、第1方向d1における一側に位置し、且つ、負極板20Yの第1方向d1における他側端部20bは、正極板10Xの第1方向d1における他側端部10bよりも、第1方向d1における他側に位置している。
次に、絶縁シート30について説明する。図4乃至図7に示されているように、絶縁シート30は、積層方向dLに隣り合う2つの正極板10X(第1電極板10)及び負極板20Y(第2電極板20)の間に配置されている。絶縁シート30は、隣り合う2つの正極板10X及び負極板20Yを絶縁するとともに、外装体3内に膜電極接合体5とともに封止される電解液を保持して正極板10X及び負極板20Yに電解液を供給する。図4に示されているように、絶縁シート30は、積層方向dLに非平行な第1方向d1(幅方向)に交互に逆向きに折り返されている。すなわち、絶縁シート30は、つづら折り形状となっている。絶縁シート30の互いに対向する一対の主面のうちの一方の面が、正極板10Xに対面するようになり、一対の主面のうちの他方の面が、負極板20Yに対面するようになる。
図示された例では、1枚の絶縁シート30がつづら折り形状となって正極板10Xと負極板20Yとの間に配置されている。ただし、この例に限らず、積層型電池1は、つづら折り形状となっている複数枚の絶縁シート30を有していてもよい。絶縁シート30の厚さは、例えば8μm以上30μm以下である。
図5に示された例では、絶縁シート30は、絶縁部31と、延出部32と、折り返し部33,34と、を含んでいる。折り返し部33,34は、第1方向d1における一側で絶縁シート30を折り返す第1折り返し部33と、第1方向d1における他側で絶縁シート30を折り返す第2折り返し部34と、を含んでいる。
絶縁部31は、正極板10X及び負極板20Yの間に配置される絶縁シート30の一部分であり、正極板10X及び負極板20Yの短絡を防止する。すなわち、積層方向dLにおいて、絶縁部31は、各正極板10Xと負極板20Yとの間に配置されている。言い換えると、積層方向dLにおいて、正極板10X、絶縁部31、負極板20Y、絶縁部31、正極板10X・・・の順に積層されている。絶縁部31は、積層方向dLにおいて正極板10X及び負極板20Yと対面する部分の全域に亘って設けられている。
延出部32は、第1方向d1において正極板10X及び負極板20Yの端部のあたる位置において絶縁部31から延び出している絶縁シート30の一部分である。より詳しくは、図5に示した膜電極接合体5の第1方向d1の一側及び他側の一部を拡大して示す図6及び図7に示されているように、延出部32は、絶縁シート30の、第1方向d1の一側における正極板10Xの端部である一側端部10a及び負極板20Yの端部である一側端部20aより第1方向d1の一側に位置している部分、及び、第1方向d1の他側における正極板10Xの端部である他側端部10b及び負極板20Yの端部である他側端部20bより第1方向d1の他側に位置している部分である。各延出部32の第1方向d1における長さは、例えば0.5mm以上3.0mm以下である。
第1折り返し部33及び第2折り返し部34は、絶縁シート30をつづら折り形状に折り返すための絶縁シート30の一部分である。図6によく示されているように、第1折り返し部33は、正極板10Xの一側端部10aから第1方向d1における一側にずれて位置している。第1折り返し部33は、正極板10Xの一側端部10aに対して、第1方向d1に対面している。同様に、図7によく示されているように、第2折り返し部34は、負極板20Yの他側端部20bから第1方向d1の他側にずれて位置している。第2折り返し部34は、負極板20Yの他側端部20bに対して、第1方向d1に対面している。また、図5乃至図7に示されているように、第1折り返し部33及び第2折り返し部34は、外装体3と接触していてもよい。
図6及び図7に示されている例では、絶縁シート30が延出部32を含むことによって、第1折り返し部33と第1方向d1において当該第1折り返し部33に対面する正極板10Xの一側端部10aとの間には、隙間40が設けられている。同様に絶縁シート30が延出部32を含むことによって、第2折り返し部34と第1方向d1において当該第2折り返し部34に対面する負極板20Yの他側端部20bとの間には、隙間40が設けられている。この隙間40の大きさに第1折り返し部33での絶縁シートの厚みを加えた長さに相当する第1折り返し部33の正極板10Xの一側端部10aからの突出長さ、すなわち図6に示す第1折り返し部33と正極板10Xの一側端部10aとの間の長さS1は、隙間40が設けられている当該正極板10Xの厚さT1の5倍以上であることが好ましく、10倍以上であることがより好ましい。同様に、隙間40の大きさに第2折り返し部34での絶縁シートの厚みを加えた長さに相当する第2折り返し部34の負極板20Yの他側端部20bからの突出長さ、すなわち図7に示す第2折り返し部34と負極板20Yの他側端部20bとの間の長さS2は、隙間40が設けられている当該負極板20Yの厚さT2の5倍以上であることが好ましく、10倍以上であることがより好ましい。
図8は、図3に示すVIII枠内を拡大して示す図である。図8には、絶縁シート30の端部の一部が拡大して示されている。図8に示された例では、絶縁シート30の延出部32、第2折り返し部34に、不規則な凹凸が形成されている。なお、図示は省略するが、第1折り返し部33にも、同様に不規則な凹凸が形成されている。
凹凸は、絶縁シート30に生じた皺状部によって形成されている。したがって、凹凸は、絶縁シート30の一方の面上に凸部37として表れ且つ他方の面上に凹部38として表れる部分と、絶縁シート30の一方の面上に凹部38として表れ且つ他方の面上に凸部37として表れる部分と、を含むようになる。そして、第1折り返し部33及び第1折り返し部33に接続する延出部32には、正極板10Xの側を向く面上に凸部37及び凹部38が形成される。そして、凸部37は、正極板10Xに向けて突出するようになり、絶縁シート30が保持した電解液をこの凸部37から正極板10Xに安定して供給することが可能となる。同様に、第2折り返し部34及び第2折り返し部34に接続する延出部32には、負極板20Yの側を向く面上に凸部37及び凹部38が形成される。そして、凸部37は、負極板20Yに向けて突出するようになり、絶縁シート30が保持した電解液をこの凸部37から負極板20Yに安定して供給することが可能となる。
凸部37及び凹部38は、例えば線状に形成され、絶縁シート30のシート面に沿って延びる。図8に示された例において、凸部及び凹部は、第2方向d2に配列されている。この例において、凸部37及び凹部38は、第2方向d2と非平行な方向、例えば第1方向d1に延びている。
図6に示されている例では、第1折り返し部33は、当該第1折り返し部33に対面する正極板10Xと積層方向dLに隣り合う負極板20Yの一側端部20aよりも、第1方向d1の一側に位置している。すなわち、絶縁シート30の延出部32は、正極板10X及び負極板20Yより第1方向d1において一側に延び出ている。なお、上述したように、第1方向d1の両側において、負極板20Yは、正極板10Xより延びているため、図7に示されているように、第2折り返し部34は、当該第2折り返し部34に対面する負極板20Yと積層方向dLに隣り合う正極板10Xの他側端部10bよりも、第1方向d1の他側に位置している。
図6及び図7に示す例では、延出部32の第1方向d1の一側における長さ及び他側における長さは、等しくなっている。すなわち、第1折り返し部33と当該第1折り返し部33に対面する正極板10Xの一側端部10aとの間の第1方向d1における長さS1と、第2折り返し部34と当該第2折り返し部34に対面する負極板20Yの他側端部20bとの間の第1方向d1における長さS2とは、等しくなっている。このような構成によれば、第1折り返し部33によって第1方向から覆われる正極板10Xの一側端部10a近傍の領域と、第2折り返し部34によって第1方向から覆われる負極板20Yの他側端部20b近傍の領域との両方に、絶縁シート30が吸収保持した十分な量の電解液を効率的に供給することが可能となる。
また、上述したように、第1方向d1の両側において、負極板20Yは、正極板10Xより延びている。すなわち、第1折り返し部33と当該第1折り返し部33に対面する正極板10Xの一側端部10aとの間の第1方向d1における長さS1は、第1折り返し部33と当該第1折り返し部に対面する正極板10Xと積層方向dLに隣り合う負極板20Yの一側端部20aとの間の第1方向d1における長さS3より、長くなっている。したがって、第1折り返し部33と当該第1折り返し部に対面する正極板10Xと積層方向dLに隣り合う負極板20Yの一側端部20aとの間の第1方向d1における長さS3は、第2折り返し部34と当該第2折り返し部34に対面する負極板20Yの他側端部20bとの間の第1方向d1における長さS2よりも、短くなっている。
また、図4、図6及び図7に示すように、絶縁シート30は、基材層35と、基材層35に積層された機能層36と、を有している。図示された例では、絶縁シート30の基材層35が設けられた側が正極板10Xに対面し、機能層36が設けられた側が負極板20Yに対面している。しかしながら、図示された例に限らず、基材層35が設けられた側が負極板20Yに対面し、機能層36が設けられた側が正極板10Xに対面していてもよい。
基材層35は、例えば多孔質体で形成されている。このような多孔質体としては、ポリエチレンやポリプロピレン等の樹脂製の多孔フィルムを例示することができる。基材層35の厚さは、例えば5μm以上30μm以下である。
機能層36は、例えば無機材料を含む。このような機能層36は、例えばアルミナ粒子を含有する層である。機能層36が無機材料を含むことで、機能層36の耐熱性を高くすることができる。アルミナ粒子などの無機材料を含有する層は、基材層35を形成する樹脂等の有機材料と比べて、加熱した際に熱収縮する度合いが小さい。すなわち、絶縁シート30が機能層36を備えることによって、絶縁シート30が熱収縮する度合いが小さくなる。これにより、例えば電池が高温環境下に置かれた状況であっても、絶縁シート30が収縮することで正負極が接触し、短絡が生じる恐れを低減することができる。機能層36の厚さは、例えば2μm以上15μm以下である。
ところで、積層型電池において、外装体の内部、より詳しくは正極板及び負極板の間には、絶縁シートに保持された電解液が存在する。積層型電池の放電及び充電は、正極板及び負極板が電解液を介してイオンを放出、吸収することで行われる。言い換えると、絶縁シートの電解液が保持された部分に対面する正極板及び負極板が、絶縁シートから電解液を供給されることで、電池として機能する。逆に言えば、絶縁シートの電解液が保持されていない部分に対面する正極板及び負極板は、電解液を供給されないためイオンを放出、吸収することができず、電池としての機能を発揮することができない。したがって、絶縁シートは、正極板及び負極板に対面する部分の全体において電解液を保持することが望まれている。
しかしながら、特許文献1に示すような従来の積層型電池では、絶縁シートがつづら折りになっている。本件発明者が確認したところ、折り返されたことによって、絶縁シートの折り返し部の付近においては、空孔率が低くなり、電解液を保持しにくくなっている。したがって、絶縁シートの折り返し部に対面する正極板及び負極板の端部付近は、電解液が供給されにくく、充電及び放電に寄与しにくくなっている。このため、つづら折り形状の絶縁シートを有する従来の積層型電池では、充電及び放電の効率が悪化することがあった。
一方、本発明の積層型電池によれば、絶縁シートがつづら折りにされていても、正極板及び負極板の端部付近に対面する部分おいて絶縁シートに電解液を十分に保持させることが可能となっている。したがって、絶縁シートの折り返し部に対面する正極板及び負極板の端部付近に対しても、電解液を十分に供給することができ、積層型電池の充電及び放電の効率の悪化を抑制することができる。言い換えると、積層型電池の充電及び放電の効率を向上させることができる。以下、本実施の形態の積層型電池1において、正極板10X及び負極板20Yの端部付近に対面する部分での絶縁シート30の電解液保持を可能にした工夫について説明する。
本実施の形態の積層型電池1では、絶縁シート30の第1折り返し部33と当該第1折り返し部33に第1方向d1において対面する正極板10Xの一側端部10aとの間に、には、隙間40が設けられている。同様に、第2折り返し部34と当該第2折り返し部34に第1方向d1において対面する負極板20Yの他側端部20bとの間に、隙間40が設けられている。隙間40が設けられるように、絶縁シート30は、正極板10Xの一側端部10aより第1方向d1の一側に延び出している部分である延出部32を有している。また、絶縁シート30は、隙間40が設けられるように、負極板20Yの他側端部20bより第1方向d1の他側に延び出している部分である延出部32を有している。絶縁シート30の延出部32は、電解液を保持することができる。正極板10Xの一側端部10aの付近及び負極板20Yの他側端部20bの付近に対面する部分である延出部32に電解液を保持させることができるため、正極板10Xの一側端部10aの付近及び負極板20Yの他側端部20bの付近に電解液を供給することができる。したがって、正極板10Xの一側端部10aの付近及び負極板20Yの他側端部20bの付近を充電及び放電に寄与させることができ、積層型電池の充電及び放電の効率を向上させることができる。
好ましくは、第1方向d1における隙間40の大きさ、すなわち、第1折り返し部33と正極板10Xの一側端部10aとの間の長さS1は、隙間40が設けられている当該正極板10Xの厚さT1の5倍以上、あるいは10倍以上である。第2折り返し部34と負極板20Yの他側端部20bとの間の長さS2は、隙間40が設けられている当該負極板20Yの厚さT2の5倍以上、あるいは10倍以上である。これらの場合、延出部32を十分な大きさとすることができるため、延出部32が十分な量の電解液を保持することができる。すなわち、絶縁シート30の正極板10Xの一側端部10aの付近及び負極板20Yの他側端部20bの付近に対面する部分が十分に電解液を保持することができ、正極板10Xの一側端部10aの付近及び負極板20Yの他側端部20bの付近に十分に電解液を供給することができる。したがって、正極板10Xの一側端部10aの付近及び負極板20Yの他側端部20bの付近を十分に充電及び放電に寄与させることができ、積層型電池の充電及び放電の効率をより向上させることができる。
また、積層型電池1は、数十枚の正極板10X及び数十枚の負極板20Yを含んでいる。各正極板10X及び負極板20Yの端部付近が充電及び放電に寄与しないと、積層型電池1全体での充電及び放電の効率は、著しく悪化し得る。このため、正極板10X及び負極板20Yの枚数が多くなるほど、隙間40が設けられていることによる充電及び放電の効率を向上させる効果が、顕著に奏されることになる。具体的には、積層型電池1が、正極板10X及び負極板20Yを、合計で、20以上含むと、充電及び放電の効率を向上させる効果が、顕著に奏される。
さらに、第1折り返し部33は、当該第1折り返し部33に対面する正極板10Xと積層方向dLに隣り合う負極板20Yの第1方向d1における一側端部20aよりも、第1方向d1における一側に位置している。すなわち、延出部32は、負極板20Yより第1方向d1の一側に延びだしている。負極板20Yの一側端部20aの付近に対面する延出部32が電解液を保持するため、負極板20Yの一側端部20aの付近に電解液を供給することができる。したがって、負極板20Yの一側端部20aの付近を充電及び放電に寄与させることができ、積層型電池の充電及び放電の効率をさらに向上させることができる。
同様に、第2折り返し部34は、当該第2折り返し部34に対面する負極板20Yに隣り合う正極板10Xの他側端部10bよりも、第1方向d1の他側に位置している。すなわち、延出部32は、正極板10Xより第1方向d1の他側に延び出している。正極板10Xの他側端部10bの付近に対面するする延出部32が電解液を保持するため、正極板10Xの他側端部10bの付近に電解液を供給することができる。したがって、正極板10Xの他側端部10bの付近を充電及び放電に寄与させることができ、積層型電池の充電及び放電の効率をさらに向上させることができる。
絶縁シート30の両端部、すなわち延出部32、第1折り返し部33及び第2折り返し部34に、不規則な凹凸が形成されている。言い換えると、絶縁シート30は、第1方向d1の両側の端部に皺が形成されている。不規則な凹凸(皺)によって、延出部32、第1折り返し部33及び第2折り返し部34において絶縁シート30は、表面積を増大させている。絶縁シート30の延出部32、第1折り返し部33及び第2折り返し部34が、外装体3が形成する収容空間内に密閉された電解液と接触する面積が増大する。絶縁シート30に供給される電解液の量は、電解液と接触する面積が増大するほど多くなる。したがって、絶縁シート30の延出部32、第1折り返し部33及び第2折り返し部34において、電解液を保持しやすくなる。正極板10Xの一側端部10aの付近及び負極板20Yの他側端部20bの付近に対面する部分に電解液を保持させることができるため、正極板10Xの一側端部10aの付近及び負極板20Yの他側端部20bの付近に電解液を供給することができる。したがって、正極板10Xの一側端部10aの付近及び負極板20Yの他側端部20bの付近を充電及び放電に寄与させることができ、積層型電池の充電及び放電の効率を向上させることができる。
絶縁シート30の延出部32、第1折り返し部33及び第2折り返し部34における不規則な凹凸(皺)は、絶縁シート30を構成する基材層35が多孔質体で形成されていると、形成されやすい。とりわけ、絶縁シート30として樹脂製多孔フィルム(ポリプロピレン、ポリエチレンなどのポリオレフィン系ポリマーの多孔質体)を用いた場合には、上述の効果を奏しやすい凹凸(皺)が形成されやすくなる。
また、絶縁シート30は、無機材料を含む機能層36を有していることが好ましい。無機材料を含む機能層36は、空孔率が高いため、より多量の電解液を保持することができる。このため、絶縁シート30が電解液を十分に保持することができ、正極板10X及び負極板20Yを効率よく充電及び放電に寄与させることができる。すなわち、積層型電池の充電及び放電の効率を向上させることができる。
第1方向d1において負極板20Yが正極板10Xより長いため、負極板20Yは、電解液が保持された部分と対面しにくい。この点において、絶縁シート30の機能層36が設けられた側が負極板20Yに対面するよう、絶縁シート30が配置されていることが好ましい。電解液が十分に保持された側を負極板20Yに対面させることで、負極板20Yに電解液を十分に供給することができる。したがって、負極板20Yを効率よく充電及び放電に寄与させることができ、積層型電池の充電及び放電の効率を向上させることができる。
また、正極板10Xの側は負極板20Yの側より高温になりやすい。正極板10Xの側に例えばポリエチレンを含む基材層35が対面していると、ポリエチレンが高温に晒されてポリエン化してしまう可能性がある。ポリエチレンがポリエン化すると、基材層35の絶縁性が失われてしまう。この点において、絶縁シート30の正極板10Xの側に対面する層は、耐熱性を有していることが好ましい。この点、無機材料を含む機能層36は、耐熱性に優れている。すなわち、機能層36は、高温に晒されても、変質しにくい。このため、絶縁シート30の機能層36が設けられた側が高温になりやすい正極板10Xの側に対面するよう、絶縁シート30が配置されている場合、正極板10Xが高温になっても、絶縁シート30の絶縁性を維持することができる。
また、第1折り返し部33と当該第1折り返し部33に対面する正極板10Xと積層方向dLに隣り合う負極板20Yの一側端部20aとの間の第1方向d1における長さS3は、第2折り返し部34と当該第2折り返し部34に対面する負極板20Yの他側端部20bとの間の第1方向d1における長さS2よりも、短くなっている。第1方向d1の一側において、延出部32は、正極板10Xに電解液を供給して正極板10Xを効率よく充電及び放電に寄与させるために必要十分な程度の長さであり、不必要に長くなっていない。すなわち、積層型電池1の全体の大きさをコンパクトにできる。正極板10X及び負極板20Yを効率よく充電及び放電に寄与させながら、積層型電池1の体積を小さくできるため、単位体積あたりの電池容量(エネルギー密度)を大きくすることができる。
さらに、外装体3に膜電極接合体5が収容された状態で、第1折り返し部33及び第2折り返し部34は、外装体3に接触している。言い換えると、第1方向d1における外装体3の画定する収容部の長さが膜電極接合体5の長さと一致するよう、外装体3の寸法が設計されている。この場合、外装体3の寸法は不必要に長くなっていない。すなわち、積層型電池1の全体の大きさをコンパクトにできる。したがって、積層型電池1の単位体積あたりの電池容量(エネルギー密度)を大きくすることができる。
次に、リチウムイオン二次電池として構成された本実施の形態に係る積層型電池1の製造方法について説明する。以下に説明する積層型電池1の製造方法は、正極板10X(第1電極板10)、負極板20Y(第2電極板20)及び絶縁シート30をそれぞれ作製する工程と、絶縁シート30をつづら折り形状に折り返しながら正極板10X(第1電極板10)及び負極板20Y(第2電極板20)を介して交互に積層する工程と、を含んでいる。
まず、正極板10X(第1電極板10)、負極板20Y(第2電極板20)及び絶縁シート30をそれぞれ作製する工程について説明する。正極板10X、負極板20Y及び絶縁シート30は、別々の工程により別々のタイミングで作製されてもよい。また、正極板10X、負極板20Y及び絶縁シート30は、並行して同時に作製され、作製された正極板10X及び負極板20Yが、順次、つづら折りに絶縁シート30を折り返しながら正極板10X(第1電極板10)及び負極板20Y(第2電極板20)を介して交互に積層する工程に供給されるようにしてもよい。
正極板10Xは、例えば、正極集電体11Xを構成するようになる長尺のアルミニウム箔上に、正極活物質層12Xを構成するようになる組成物(スラリー)を塗工して固化し、次に、所望の大きさに断裁していくことで作製され得る。同様に、負極板20Yは、例えば、負極集電体21Yを構成するようになる長尺の銅箔上に、負極活物質層22Yを構成するようになる組成物(スラリー)を塗工して固化し、次に、所望の大きさに断裁していくことで作製され得る。絶縁シート30は、例えば、多孔質体で形成された基材層35上に無機材料を含む機能層36をコーティングにより形成し、所望の大きさに断裁していくことで作製され得る。
次に、つづら折りに絶縁シート30を折り返しながら正極板10X(第1電極板10)及び負極板20Y(第2電極板20)を介して交互に積層する工程について説明する。この工程は、例えば特許文献1(特開2014−165055号公報)に記載されたような装置を用いて行うことができる。すなわち、絶縁シート30を交互に折り返し、絶縁シート30が折り返されるたびに、折り返された絶縁シート30上に正極板10X及び負極板20Yを交互に供給する。ただし、特許文献1に記載された工程とは異なり、絶縁シート30の第1折り返し部33と当該第1折り返し部33に第1方向d1において対面する正極板10Xの一側端部10aとの間、及び第2折り返し部34と当該第2折り返し部34に第1方向d1において対面する負極板20Yの他側端部20bとの間に、隙間40が設けられるように、絶縁シート30は折り返される。言い換えると、絶縁シート30は、正極板10Xの一側端部10aより一側において第1折り返し部33を形成するように折り返され、負極板20Yの他側端部20bより他側において第2折り返し部34を形成するように折り返される。すなわち、絶縁シート30は延出部32を形成するように折り返される。
また、この工程では、正極板10Xの正極活物質層12Xと負極板20Yの負極活物質層22Yとが正対するようにして、正極板10X及び負極板20Yを積層していく。正極板10X及び負極板20Yの間で正極活物質層12X及び負極活物質層22Yが正対していない場合、正極板10X及び負極板20Yの有効面積が低下して予定した容量を得ることができず、また正極板10X及び負極板20Yが短絡してスパークを生じさせる可能性すらある。さらに、リチウムイオン二次電池として構成された積層型電池1では、正極板10Xが負極板20Yに正対しないことにより、リチウム析出物が生成され、膜電極接合体5や外装体3の損傷を引き起こすこともある。
以上のようにして、つづら折りに絶縁シート30を折り返しながら正極板10X(第1電極板10)及び負極板20Y(第2電極板20)を介して交互に積層した後、複数の正極板10Xが、第2方向d2の一側の端部において互いに接合され且つ導通するようになる。そして、第2方向d2の一側の端部にタブ4が電気的に接続される。同様に、複数の負極板20Yが、第2方向d2の他側の端部において互いに接合され且つ導通するようになる。そして、第2方向d2の他側の端部にタブ4が電気的に接続される。
その後、各タブ4が外装体3から延び出るようにして、膜電極接合体5が電解液とともに外装体3内に密封されることで、積層型電池1が得られる。膜電極接合体5は、絶縁シート30の第1折り返し部33及び第2折り返し部34が外装体3に接触するよう、外装体3に収容される。
なお、絶縁シート30の材質、外装体3内への電解液の封入量、外装体3の内部圧力等を、従来の積層型電池で選択されてきた範囲内で適宜調整および組み合わせることで、図8に示された凹凸を絶縁シート30の延出部32、折り返し部33,34に形成することができる。絶縁シート30は、基材層35として、柔軟性を有した多孔質体、例えばポリプロピレン、ポリエチレンなどのポリオレフィン系ポリマーを用いた樹脂製多孔フィルムを選択することで、凹凸を形成し易くすることができる。また、電解液の封入量は、絶縁シート30の程度に影響を与える。外装体3の内部圧力を負圧にして、絶縁シート30の絶縁部31をいくらか圧縮することで、延出部32、折り返し部33,34が絶縁部31よりも電解液を吸収し易くなる。これにより延出部32、折り返し部33,34が、絶縁部31よりも膨潤しやすくなり、このとき、延出部32、折り返し部33,34への局所的な凹凸の発生を促進することができる。
以上のように、本実施の形態の積層型電池1は、積層方向dLに積層された複数の電極板10,20と、積層方向dLに非平行な幅方向(第1方向d1)に交互に折り返され、積層方向dLに隣り合う2つの電極板10,20の間に配置された絶縁シート30と、を備え、絶縁シート30の折り返し部33,34と当該折り返し部33,34に幅方向において対面する電極板10,20の端部10a,20bとの間には、隙間40が設けられている。このような積層型電池1によれば、電極板10,20の端部10a,20bの付近に対面する部分に電解液を保持させることができるため、電極板10,20の端部10a,20bの付近に電解液を供給して、充電及び放電に寄与させることができる。したがって、つづら折り形状の絶縁シート30を有する積層型電池1において、充電及び放電の効率を向上させることができる。
本実施の形態の積層型電池1において、幅方向に沿った折り返し部33,34と当該折り返し部33,34に対面する電極板10,20の端部10a,20bとの間の長さS1,S2は、当該電極板10,20の厚さT1,T2の5倍以上、あるいは10倍以上である。このような積層型電池1によれば、の正極板10Xの端部10aの付近及び負極板20Yの端部20bの付近に対面する部分が十分に電解液を保持することができる。したがって、正極板10Xの端部10aの付近及び負極板20Yの端部20bの付近に電解液を十分に供給して、十分に充電及び放電に寄与させることができる。すなわち、積層型電池の充電及び放電の効率をより向上させることができる。
また、本実施の形態の積層型電池1において、折り返し部33,34に凹凸が形成されている。このような積層型電池1によれば、折り返し部33,34において、絶縁シート30は、表面積を増大させ、電解液と接触する面積を増大させる。このため、絶縁シート30の折り返し部33,34の付近において、電解液を保持しやすくなる。したがって、正極板10Xの端部10aの付近及び負極板20Yの端部20bの付近に対面する部分に電解液を保持させることができるため、正極板10Xの端部10aの付近及び負極板20Yの端部20bの付近に電解液を供給して、充電及び放電に寄与させることができる。すなわち、積層型電池の充電及び放電の効率を向上させることができる。
さらに、本実施の形態の積層型電池1において、絶縁シート30は、多孔質体で形成された基材層35を有する。多孔質体は柔軟性を有するため、このような積層型電池1によれば、絶縁シート30の折り返し部33,34において、凹凸が形成されやすくなる。したがって、上述した積層型電池の充電及び放電の効率を向上させる効果を、奏しやすくなる。
また、本実施の形態の積層型電池1において、絶縁シート30は、無機材料を含む機能層36を有する。このような積層型電池1によれば、絶縁シート30が電解液を保持しやすいため、正極板10X及び負極板20Yを効率よく充電及び放電に寄与させることができる。したがって、積層型電池の充電及び放電の効率を向上させることができる。
さらに、本実施の形態の積層型電池1において、複数の電極板10,20は、積層方向dLに交互に積層された第1電極板10及び幅方向に沿った長さが第1電極板10よりも長い第2電極板20を含み、折り返し部33,34は、幅方向における一側で絶縁シート30を折り返す第1折り返し部33と、幅方向における他側で絶縁シート30を折り返す第2折り返し部34と、を含み、第1折り返し部33は、当該第1折り返し部33に対面する第1電極板10に隣り合う第2電極板20の幅方向における一側の端部20aよりも、幅方向における一側に位置する。このような積層型電池1によれば、絶縁シート30の負極板20Yの一側における端部20aの付近に対面する部分が電解液を保持するため、負極板20Yの一側端部20aの付近に電解液を供給して、充電及び放電に寄与させることができ、積層型電池の充電及び放電の効率をさらに向上させることができる。
また、本実施の形態の積層型電池1において、複数の電極板10,20は、積層方向dLに交互に積層された第1電極板10及び幅方向に沿った長さが第1電極板10よりも長い第2電極板20を含み、折り返し部33,34は、幅方向における一側で絶縁シート30を折り返す第1折り返し部33と、幅方向における他側で絶縁シート30を折り返す第2折り返し部34と、を含み、第1折り返し部33と当該第1折り返し部33に対面する第1電極板10に隣り合う第2電極板20の幅方向における一側の端部20aとの間の幅方向における長さS3は、第2折り返し部34と当該第2折り返し部34に対面する第2電極板20の幅方向における他側の端部20bとの間の幅方向における長さよりも短い。このような積層型電池1によれば、積層型電池1の全体の大きさをコンパクトにできるため、正極板10X及び負極板20Yを効率よく充電及び放電に寄与させながら、積層型電池1の体積を小さくできるため、単位体積あたりの電池容量(エネルギー密度)を大きくすることができる。
さらに、本実施の形態の積層型電池1において、複数の電極板10,20は、積層方向dLに交互に積層された第1電極板10及び幅方向に沿った長さが第1電極板10よりも長い第2電極板20を含み、絶縁シート30は、基材層35と、基材層35に積層され基材層35よりも空孔率の高い機能層36と、を有し、絶縁シート30の基材層35が設けられた側が第1電極板10に対面しており、機能層36が設けられた側が第2電極板20に対面している。このような積層型電池1によれば、絶縁シート30の電解液がより多く保持されている側を幅広の負極板20Yに対面させることになるため、負極板20Yに十分に電解液を供給して効率よく充電及び放電に寄与させることができる。
また、本実施の形態の積層型電池1において、複数の電極板10,20は、積層方向dLに交互に積層された第1電極板10及び幅方向に沿った長さが第1電極板10よりも長い第2電極板20を含み、絶縁シート30は、基材層35と、基材層35に積層され基材層35よりも耐熱性を有した機能層36と、を有し、絶縁シート30の基材層35が設けられた側が第2電極板20に対面しており、機能層36が設けられた側が第1電極板10に対面している。このような積層型電池1によれば、絶縁シート30の機能層36が設けられた側が高温になりやすい正極板10Xの側に対面するよう、絶縁シート30が配置されていることになり、正極板10Xが高温になっても、機能層36が変質せず、絶縁シート30の絶縁性を維持することができる。
さらに、本実施の形態の積層型電池1は、電極板10,20及び絶縁シート30を収容する外装体3をさらに備え、折り返し部33,34が外装体3に接触している。このような積層型電池1によれば、積層型電池1の全体の大きさをコンパクトにでき、積層型電池1の単位体積あたりの電池容量(エネルギー密度)を大きくすることができる。
また、本実施の形態の積層型電池1は、電極板10,20を、合計で、20以上含む。このような積層型電池1によれば、隙間40が設けられていることによる充電及び放電の効率を向上させる効果を、顕著に奏することができる。
以上において、具体例を参照しながら一実施の形態を説明してきたが、上述した具体例が一実施の形態を限定することを意図していない。上述した一実施の形態は、その他の様々な具体例で実施されることが可能であり、その要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。
例えば、上述した実施の形態では、絶縁シート30は、基材層35と、機能層36と、有している。しかしながら、絶縁シート30は、機能層36を有さないようにしてもよい。このような絶縁シート30は、機能層36を有する絶縁シートに比べて、柔軟であるため、変形しやすい。したがって、絶縁シート30の両端部、すなわち延出部32、第1折り返し部33及び第2折り返し部34に不規則な凹凸(皺)を形成しやすくなる。上述したように、不規則な凹凸(皺)によって、延出部32、第1折り返し部33及び第2折り返し部34において絶縁シート30は、表面積を増大させている。絶縁シート30の延出部32、第1折り返し部33及び第2折り返し部34が、外装体3が形成する収容空間内に密閉された電解液と接触する面積が増大する。絶縁シート30に供給される電解液の量は、電解液と接触する面積が増大するほど多くなる。このため、正極板10Xの端部10aの付近及び負極板20Yの端部20bの付近に対面する部分に電解液を保持しやすくなる。したがって、正極板10Xの一側端部10aの付近及び負極板20Yの他側端部20bの付近に電解液を供給することができる。正極板10Xの端部10aの付近及び負極板20Yの端部20bの付近を充電及び放電により寄与させることができ、積層型電池の充電及び放電の効率をより向上させることができる。