以下、図面を参照して本発明の一実施の形態について説明する。なお、本件明細書に添付する図面においては、理解のしやすさの便宜上、適宜縮尺及び縦横の寸法比等を、実物のそれらから変更し誇張してある。
なお、本明細書において用いる、形状や幾何学的条件ならびにそれらの程度を特定する、例えば、「平行」、「直交」、「同一」等の用語や長さや角度の値等については、厳密な意味に縛られることなく、同様の機能を期待し得る程度の範囲を含めて解釈することとする。
図1乃至図10は、本発明による蓄電素子の一実施の形態を説明するための図である。図1は、蓄電素子の一具体例を示す斜視図である。図1に示すように、蓄電素子1は、外装体7と、外装体7によって形成された収容空間7aに収容された電極体5と、電極体5に接続されて外装体7の内部から外部へと延び出したタブ6と、を有している。また、図2は、図1の蓄電素子1のII-II線に沿った断面図である。図2に示すように、電極体5は、第1方向d1に積層された複数の第1電極10及び複数の第2電極20を有している。図1に示された例において、蓄電素子1は、全体的に厚さ方向である第1方向d1が薄い偏平形状を有しており、長手方向となる第2方向d2と短手方向となる第3方向d3に広がっている。第1方向d1、第2方向d2及び第3方向d3は、互いに非平行であり、図示された例では、互いに直交している。
以下において、蓄電素子1が積層型電池、具体的にはリチウムイオン二次電池である例について説明する。この例において、第1電極10は正極10Xを構成し、第2電極20は負極20Yを構成するものとする。ただし、以下に説明する作用効果の記載からも理解され得るように、ここで説明する一実施の形態は、リチウムイオン二次電池に限定されることなく、第1電極10及び第2電極20を第1方向d1に交互に積層してなる蓄電素子1に広く適用され得る。また、蓄電素子1は積層型電池に限らず、例えば巻回型電池であってもよい。蓄電素子1が巻回型電池である場合でも、第1電極10及び第2電極20が第1方向d1に積層される。
以下、蓄電素子1の各構成要素について説明する。
まず、電極体5について説明する。図2に示すように、電極体5は、第1方向d1に沿って交互に積層された正極10X(第1電極10)及び負極20Y(第2電極20)と、正極10Xと負極20Yとの間に配置されたセパレータ30と、第1方向d1の最も一側及び最も他側に配置された絶縁シート33と、を有している。電極体5は、例えば板状の正極10X及び負極20Yを合計で20枚以上含んでいる。電極体5は、全体的に偏平形状を有し、第1方向d1への厚さが薄く、第1方向d1に非平行な第2方向d2及び第3方向d3に広がっている。電極体5の厚さ、すなわち第1方向d1に沿った長さは、例えば2mm以上20mm以下である。
図3は、電極体5の平面図であり、図4は、電極体5からセパレータ30及び絶縁シート33を除いた平面図である。図3及び図4に示された非限定的な例において、正極10X及び負極20Yは、略長方形形状の外輪郭を有している板状の電極である。第1方向d1に非平行な第2方向d2が、正極10X及び負極20Yの長手方向であり、第1方向d1及び第2方向d2の両方に非平行な第3方向d3が、正極10X及び負極20Yの短手方向(幅方向)である。図3及び図4に示されているように、正極10X及び負極20Yは、第2方向d2にずらして配置されている。より具体的には、複数の正極10Xは、第2方向d2における一側に寄って配置され、複数の負極20Yは、第2方向d2における他側に寄って配置されている。図3に示すように、正極10X及び負極20Yは、第2方向d2における中央において、第1方向d1に重なり合っている。
図3及び図4に示されているように、負極20Y(第2電極20)の第3方向d3(幅方向)に沿った長さは、正極10X(第1電極10)の第3方向d3に沿った長さよりも長くなっている。図示された例では、負極20Yは、正極10Xより、第3方向d3の一側及び他側に延び出ている。正極10X及び負極20Yの厚さ、すなわち第1方向d1の長さは、例えば80μm以上200μm以下であり、長手方向、すなわち第2方向d2に沿った長さは、例えば200mm以上950mm以下であり、短手方向、すなわち第3方向d3に沿った長さ(幅)は、例えば70mm以上350mm以下である。
図2に示されているように、正極10X(第1電極10)は、正極集電体11X(第1電極集電体11)と、正極集電体11X上に設けられた正極活物質層12X(第1電極活物質層12)と、を有している。リチウムイオン二次電池において、正極10Xは、放電時にリチウムイオンを放出し、充電時にリチウムイオンを吸蔵する。
図2に示すように、正極集電体11Xは、互いに対向する第1面11a及び第2面11bを主面として有している。正極活物質層12Xは、正極集電体11Xの第1面11a及び第2面11bの両側の面上に形成されている。電極体5に含まれる複数の正極10Xは、正極集電体11Xの両側に設けられた一対の正極活物質層12Xを有し、互いに同一に構成され得る。
正極集電体11X及び正極活物質層12Xは、蓄電素子1(リチウムイオン二次電池)に適用され得る種々の材料を用いて種々の製法により、作製され得る。一例として、正極集電体11Xは、アルミニウム箔によって形成され得る。正極活物質層12Xは、例えば、正極活物質、導電助剤、バインダーとなる結着剤を含んでいる。正極活物質層12Xは、正極活物質、導電助剤及び結着剤を溶媒に分散させてなる正極用スラリーを、正極集電体11Xをなす材料上に塗工して固化させることで、作製され得る。正極活物質として、例えば、一般式LiMxOy(ただし、Mは金属であり、x及びyは金属Mと酸素Oの組成比である)で表される金属酸リチウム化合物が用いられる。金属酸リチウム化合物の具体例として、コバルト酸リチウム、ニッケル酸リチウム、マンガン酸リチウム等が例示され得る。または、正極活物質として、一般式LiMPO4(ただし、Mは金属である)で表されるリン酸金属リチウム化合物が用いられてもよい。リン酸金属リチウム化合物の具体例として、リン酸鉄リチウム、リン酸マンガンリチウム、リン酸コバルトリチウム等が例示され得る。導電助剤としては、アセチレンブラック等が用いられ得る。結着剤としては、ポリフッ化ビニリデン等が用いられ得る。
図4に示すように、正極集電体11X(第1電極集電体11)は、第1接続領域a1及び第1電極領域b1を有している。正極活物質層12X(第1電極活物質層12)は、正極集電体11Xの第1電極領域b1のみに積層されている。第1接続領域a1及び第1電極領域b1は、第2方向d2に配列されている。第1接続領域a1は、第1電極領域b1よりも第2方向d2における一側(図4における左側)に位置している。すなわち、第1接続領域a1は、第2方向d2の端部に位置している。複数の正極集電体11Xは、図4に示すように、第1接続領域a1において、抵抗溶接や超音波溶接、テープによる貼着、融着等によって互いに接合され、互いに電気的に接続している。図示された例では、一つのタブ6が、第1接続領域a1において正極集電体11Xに電気的に接続している。タブ6は、電極体5から第2方向d2に延び出している。一方、図4に示すように、第1電極領域b1は、負極20Yの後述する負極活物質層22Yに対面する領域内に位置している。そして、第3方向d3に沿った正極10Xの幅は、第3方向d3に沿った負極20Yの幅よりも狭くなっている。このような第1電極領域b1の配置により、負極活物質層22Yからのリチウムの析出を防止することができる。
次に、負極20Y(第2電極20)について説明する。負極20Y(第2電極20)は、負極集電体21Y(第2電極集電体21)と、負極集電体21Y上に設けられた負極活物質層22Y(第2電極活物質層22)と、を有している。リチウムイオン二次電池において、負極20Yは、放電時にリチウムイオンを吸蔵し、充電時にリチウムイオンを放出する。
図4に示すように、負極集電体21Yは、互いに対向する第1面21a及び第2面21bを主面として有している。負極活物質層22Yは、負極集電体21Yの第1面21a及び第2面21bの両側の面上に形成されている。電極体5に含まれる複数の負極20Yは、負極集電体21Yの両側に設けられた一対の負極活物質層22Yを有し、互いに同一に構成され得る。
負極集電体21Y及び負極活物質層22Yは、蓄電素子1(リチウムイオン二次電池)に適用され得る種々の材料を用いて種々の製法により、作製され得る。一例として、負極集電体21Yは、例えば銅箔によって形成される。負極活物質層22Yは、例えば、炭素材料からなる負極活物質、及び、バインダーとして機能する結着剤を含んでいる。負極活物質層22Yは、例えば、炭素粉末や黒鉛粉末等からなる負極活物質とポリフッ化ビニリデンのような結着剤とを溶媒に分散させてなる負極用スラリーを、負極集電体21Yをなす材料上に塗工して固化することで、作製され得る。
図4に示すように、負極集電体21Y(第2電極集電体21)は、第2接続領域a2及び第2電極領域b2を有している。負極活物質層22Y(第2電極活物質層22)は、負極集電体21Yの第2電極領域b2のみに積層されている。第2接続領域a2及び第2電極領域b2は、第2方向d2に配列されている。第2接続領域a2は、第2電極領域b2よりも第2方向d2における他側(図4における右側)に位置している。すなわち、第2接続領域a2は、第2方向d2の端部に位置している。複数の負極集電体21Yは、図4に示すように、第2接続領域a2において、抵抗溶接や超音波溶接、テープによる貼着、融着等によって互いに接合され、互いに電気的に接続している。図示された例では、正極集電体11Xに接続したタブとは別のタブ6が、第2接続領域a2において負極集電体21Yに電気的に接続している。タブ6は、電極体5から第2方向d2の他側に延び出している。
既に説明したように、正極10Xの第1電極領域b1は、負極20Yの第2電極領域b2に対面する領域の内側に位置している(図4参照)。すなわち、第2電極領域b2は、正極10Xの正極活物質層12Xに対面する領域を内包する領域に広がっている。第3方向d3に沿った負極20Yの幅は、第3方向d3に沿った正極10Xの幅よりも広くなっている。とりわけ、負極20Yの第3方向d3における一側端部20aは、正極10Xの第3方向d3における一側端部10aよりも、第3方向d3における一側に位置し、且つ、負極20Yの第3方向d3における他側端部20bは、正極10Xの第3方向d3における他側端部10bよりも、第3方向d3における他側に位置している。
次に、セパレータ30について説明する。図2に示されているように、セパレータ30は、正極10X(第1電極10)及び負極20Y(第2電極20)の間に位置し、正極10X及び負極20Yが接触しないように離間させている。セパレータ30は、絶縁性を有しており、正極10X及び負極20Yの接触による短絡を防止する。セパレータ30は、大きなイオン透過度(透気度)、所定の機械的強度、および、電解液、正極活物質、負極活物質等に対する耐久性を有していることが好ましい。このようなセパレータ30として、例えば、絶縁性の材料によって形成された多孔質体や不織布等を用いることができる。より具体的には、セパレータ30として、融点が80~140℃程度の熱可塑性樹脂からなる多孔フィルムを用いることができる。熱可塑性樹脂として、ポリプロピレン、ポリエチレンなどのポリオレフィン系ポリマー、またはポリエチレンテレフタレートを採用することができる。外装体7の収容空間7aには、電極体5とともに電解液が封入される。電解液が、多孔質体や不織布からなるセパレータ30に含浸することで、セパレータ30を間に配置した電極10,20の電極活物質層12,22が電解液に接触した状態に維持される。
セパレータ30は、例えば第1方向d1に隣り合う任意の二つの電極10,20の間に位置している。図3に示されている例では、セパレータ30は、第2方向d2及び第3方向d3に延びる矩形形状である。また、セパレータ30は、平面視において、正極10Xの正極活物質層12Xの全領域及び負極20Yの負極活物質層22Yの全領域を覆うように広がっている。なお、本明細書において、平面視とは、平板状や偏平状の部材をその法線方向から観察することをいう。すなわち、セパレータ30の平面視とは、セパレータ30を第1方向d1から観察することを意味している。
図5は、図3のV線で囲まれた部分の電極体を示す斜視図である。図5に示すように、ある正極10X(第1電極10)と負極20Y(第2電極20)との間に配置されたセパレータ30は、別の正極10Xと負極20Yとの間に配置されたセパレータ30と接合されている。また、正極10X及び負極20Yの間にそれぞれ配置されているセパレータ30のうち、第1方向d1に隣り合う少なくとも3つのセパレータ30は、平面視における同一の接合位置35で互いに接合されている。好ましくは、電極体5の第1方向d1の最も一側のセパレータ30が第1方向d1に隣り合う他のセパレータ30と接合されている接合位置35は、電極体5の第1方向d1の最も他側のセパレータ30が第1方向d1に隣り合う他のセパレータ30と接合されている接合位置35と、平面視において重なっている。より好ましくは、第1方向d1に隣り合うセパレータ30は、平面視における同一の接合位置35でそれぞれ互いに接合されている。言い換えると、電極体5が有する全てのセパレータ30が、同一の接合位置35でそれぞれ接合されている。
第1方向d1に隣り合うセパレータ30は、平面視において複数の接合位置35で接合されていることが好ましい。例えば、第1方向d1に隣り合うセパレータ30は、第2方向d2において異なる少なくとも2箇所の接合位置35で接合されていることが好ましい。また、第1方向d1に隣り合うセパレータ30は、第3方向d3において異なる少なくとも2箇所の接合位置35で接合されていることが好ましい。さらに、第1方向d1に隣り合うセパレータ30は、平面視において同一直線上にない3箇所の接合位置35で接合されていることが好ましい。
第1方向d1に隣り合うセパレータ30が接合される接合位置35は、電極体5における電極10,20より第2方向d2及び第3方向d3の端部側であることが好ましい。言い換えると、第1方向d1に隣り合うセパレータ30は、平面視において第1電極10及び第2電極20と重複する領域以外の領域において、互いに接合されていることが好ましい。より詳しくは、第1方向d1に隣り合うセパレータ30は、平面視において第1電極10及び第2電極20から第2方向d2に離間した位置且つ第1電極10及び第2電極20から第3方向d3に離間した位置において、接合されていることが好ましい。例えば、第1方向d1に隣り合うセパレータ30は、第2方向d2の一側及び他側の端部であって、第3方向d3の一側及び他側の端部で接合されている。図3に示されている具体的な例では、第1方向d1に隣り合うセパレータ30は、矩形形状の四隅に位置する接合位置35で接合されている。なお、図示された例に限らず、第1方向d1に隣り合うセパレータ30は、平面視において第1電極10及び第2電極20から第2方向d2に離間した位置または第1電極10及び第2電極20から第3方向d3に離間した位置において、互いに接合されていてもよい。すなわち、第1方向d1に隣り合うセパレータ30は、第1電極10及び第2電極20と重複する領域以外の領域である外周に沿って、互いに接合されていてもよい。
第1方向d1に隣り合うセパレータ30は、例えば接着剤によって互いに接合されてもよいが、溶着によって接合されていることが好ましい。すなわち、第1方向d1に隣り合うセパレータ30は、溶着部において接合されていることが好ましい。言い換えると、第1方向d1に隣り合うセパレータ30の接合位置35は、溶着部からなることが好ましい。また、平面視におけるセパレータ30の接合されている部分の面積、すなわち各接合位置35の面積は、0.5mm2以上10mm2以下であることが好ましい。
次に、絶縁シート33について説明する。図2に示すように、絶縁シート33は、電極体5の第1方向d1の最も一側及び最も他側に配置されている。すなわち、絶縁シート33は、電極体5の表面の一部を形成している。絶縁シート33は、絶縁性を有している。絶縁シート33は、電極体5が外部の部材と接触して電気的に接続されることを防止する。図2に示された例では、絶縁シート33は、電極体5の負極20Yと外装体7とが接触することを防止している。絶縁シート33は、大きなイオン透過度(透気度)、所定の機械的強度、および、電解液、正極活物質、負極活物質等に対する耐久性を有していることが好ましい。このような絶縁シート33として、例えば、絶縁性の材料によって形成された多孔質体や不織布等を用いることができる。より具体的には、絶縁シート33として、融点が80~140℃程度の熱可塑性樹脂からなる多孔フィルムを用いることができる。熱可塑性樹脂として、ポリプロピレン、ポリエチレンなどのポリオレフィン系ポリマー、またはポリエチレンテレフタレートを採用することができる。とりわけ、絶縁シート33は、セパレータ30と同一の材料から形成されていてもよい。外装体7の収容空間7aには、電極体5とともに電解液が封入される。電解液が、多孔質体や不織布からなる絶縁シート33に含浸することで、電極体5の第1方向d1における最も一側及び最も他側に配置された第2電極20の第2電極活物質層22が電解液に接触した状態に維持されることができる。
図3に示されている例では、絶縁シート33は、第2方向d2及び第3方向d3に延びる矩形形状である。絶縁シート33は、平面視において、負極20Yの負極活物質層22Yの全領域を覆うように広がっている。なお、絶縁シート33の法線方向とセパレータ30の法線方向とは一致しており、したがって、絶縁シート33の平面視は、セパレータ30の平面視と一致する。
絶縁シート33は、第1方向d1に隣り合うセパレータ30と接合されていることが好ましい。より詳しくは、第1方向d1の最も一側に配置された絶縁シート33は、第1方向d1の最も一側に配置されたセパレータ30と接合されていることが好ましく、第1方向d1の最も他側に配置された絶縁シート33は、第1方向d1の最も他側に配置されたセパレータ30と接合されていることが好ましい。また、絶縁シート33は、平面視において隣り合うセパレータ30が互いに接合されている接合位置35と同一の位置で接合されていることが好ましい。すなわち、絶縁シート33は、第1方向d1に隣り合う複数のセパレータ30とともに接合されていることが好ましい。この場合、例えばセパレータ30が電極10,20から第2方向d2に離間した位置且つ第3方向d3に離間した位置において接合されていると、絶縁シート33も、セパレータ30とともに電極10,20から第2方向d2に離間した位置且つ第3方向d3に離間した位置において接合されている。さらに、第1方向d1の最も一側に配置された絶縁シート33は、第1方向d1の最も他側に配置された絶縁シート33と接合されていることが好ましい。
なお、図示された例では、セパレータ30及び絶縁シート33は、接合位置35以外の部分では、他のセパレータ30及び絶縁シート33とは接触しておらず、それぞれ独立している。しかしながら、セパレータ30及び絶縁シート33は、一体的に形成された1つのシート状の絶縁体を第3方向d3に逆向きに折り返しながら正極10Xと負極20Yとの間に配置されていてもよい。すなわち、セパレータ30及び絶縁シート33は、つづら折り形状となった1つのシート状の絶縁体によって形成されていてもよい。
次に、タブ6について説明する。タブ6は、蓄電素子1における端子として機能する。図2乃至図4に示すように、電極体5の正極10X(第1電極10)に一方(第2方向d2の一側)のタブ6が電気的に接続している。同様に、電極体5の負極20Y(第2電極20)に他方(第2方向d2の他側)のタブ6が電気的に接続している。図1及び図2に示すように、一対のタブ6は、外装体7の内部である収容空間7aから、外装体7の外部へと延び出している。タブ6の外装体7の外部に延びている長さは、例えば10mm以上50mm以下である。なお、図2に示すように、タブ6は、後述する外装体7が有する第1外装材40と第2外装材50との間、より詳しくは第1外装材40の第1樹脂層42と第2外装材50の第2樹脂層52との間を通過する。また、外装体7とタブ6との間は、タブ6が延び出す領域において、封止されている。
タブ6は、導電性を有するタブ本体部6aと、タブ本体部6a上に設けられたシール部6bと、を有している。一方のタブ6のタブ本体部6aの第2方向d2における一側に位置する部分が、外装体7の外部に延び出ており、タブ本体部6aの第2方向d2における他側に位置する部分が、正極10X(第1電極10)に接続している。他方のタブ6のタブ本体部6aの第2方向d2における他側に位置する部分が、外装体7の外部に延び出ており、タブ本体部6aの第2方向d2における一側に位置する部分が、負極20Y(第2電極20)に接続している。シール部6bは、タブ本体部6aの第2方向d2における中央部において、タブ本体部6aを取り囲んでいる。シール部6bは、外装体7に溶着しており、タブ本体部6aと外装体7との間を封止している。シール部6bは、タブ本体部6aと外装体7との間の接触、特にタブ本体部6aと外装体7における第1外装材40の金属層41との接触を効果的に防止する。
タブ本体部6aは、アルミニウム、銅、ニッケル、ニッケルメッキ銅等を用いて形成され得る。タブ本体部6aの厚みは、例えば0.1mm以上1mm以下である。シール部6bの材料としては、ポリプロピレン、変性ポリプロピレン、低密度ポリプロピレン、アイオノマー、エチレン・酢酸ビニル等を挙げることができる。シール部6bの厚みは、例えば0.05mm以上0.4mm以下である。
なお、図示されている例では、一方のタブ6が第2方向d2の一側において外装体7から延び出しており、他方のタブ6が第2方向d2の他側において外装体7から延び出している。すなわち、一対のタブ6が外装体7の異なる側に延び出している。しかしながら、一対のタブ6は、外装体7の同じ側に延び出していてもよい。例えば、一方のタブ6及び他方のタブ6が、第2方向d2の一側において外装体7から延び出していてもよい。この場合、一対のタブ6が外装体7の同じ側に延び出すために、正極10Xの第1接続領域a1及び負極20Yの第2接続領域a2が、第2方向d2の同じ側になっている。
次に、外装体7について説明する。外装体7は、電極体5を封止するための包装体である。図2に示すように、外装体7は、電極体5を収容するための収容空間7aを形成している。外装体7は、電極体5及び電解液をその内部の収容空間7aに密閉する。
収容空間7aは、電極体5を収容することができるよう、電極体5の寸法以上の寸法となっている。一方、蓄電素子1の体積エネルギー密度を高くするため、収容空間7aは、小さくなっていることが好ましい。ここで、体積エネルギー密度とは、蓄電素子が占める体積あたりの当該蓄電素子が供給可能な電力量のことを意味する。したがって、収容空間7aの寸法は、電極体5の寸法と同一となっていることが好ましい。言い換えると、外装体7は、収容している電極体5に接していることが好ましい。収容空間7aは、収容される電極体5の形状に合わせた形状となるよう、形成されている。図示された例では、収容空間7aは、略直方体形状となっている。収容空間7aは、例えば、第1方向d1に沿った長さが2mm以上25mm以下であり、第2方向d2に沿った長さが200mm以上1000mm以下であり、第3方向d3に沿った長さが70mm以上400mm以下である。
また、外装体7は、第1外装材40と、第2外装材50と、を有している。第1外装材40と第2外装材50とがそれぞれの周縁において接合されることで、収容空間7aが形成される。第1外装材40と第2外装材50とは、例えば接着性を有する接着層によって接合されていてもよいし、溶着されることによって接合されていてもよい。接着層によって接合される場合、接着層は、接着性に加え、絶縁性、耐薬品性、熱可塑性等を有していることが好ましく、例えば、ポリプロピレン、変性ポリプロピレン、低密度ポリプロピレン、アイオノマー、エチレン・酢酸ビニル等を用いることができる。このような第1外装材40及び第2外装材50の厚さは、例えば0.1mm以上0.3mm以下である。
図2によく示されているように、第1外装材40は、電極体5を収容可能な十分な大きさの収容空間7aを形成するため、第1外装材40の周縁から膨出した膨出部47を含んでいる。膨出部47は、第1外装材40の周縁によって取り囲まれて、第2外装材50から離間する向きに膨出している。膨出部47は、第1外装材40の中央部に位置している。一方、図示された例では、第2外装材50は、膨出部を含んでおらず、平坦になっている。
しかしながら、図示された例に限らず、第1外装材40は膨出部を含んでおらず、第2外装材50が収容空間7aを形成するための膨出部を含んでいてもよい。さらには、第1外装材40及び第2外装材50の両方が、収容空間7aを形成するための膨出部を含んでいてもよい。
図2に示されているように、第1外装材40は、第1金属層41及び第1金属層41に積層された第1樹脂層42を含んでいる。同様に、第2外装材50は、第2金属層51及び第2金属層51に積層された第2樹脂層52を含んでいる。第1外装材40と第2外装材50とは、第1外装材40の第1樹脂層42と第2外装材50の第2樹脂層52とが向かい合うように配置されている。また、図示された例では、第1外装材40は、第1金属層41の表面、すなわち第1金属層41の第1樹脂層42が積層された面とは逆側の面に設けられた、絶縁性を有する第1絶縁層43をさらに含んでいる。さらに、図示された例では、第2外装材50は、第2金属層51の表面、すなわち第2金属層51の第2樹脂層52が積層された面とは逆側の面に設けられた、絶縁性を有する第2絶縁層53をさらに含んでいる。図2に示すように、第2方向d2において、第1外装材40の第1樹脂層42と第2外装材50の第2樹脂層52との間を、タブ6が通過している。
第1金属層41及び第2金属層51は、高ガスバリア性と成形加工性を有することが好ましく、例えばアルミニウム箔やステンレス箔等を用いることができる。第1樹脂層42及び第2樹脂層52は、収容空間7aに収容された電極体5と第1金属層41及び第2金属層51とが電気的に接続されることを防止する。第1樹脂層42及び第2樹脂層52としては、例えばポリプロピレン等を用いることができる。第1絶縁層43及び第2絶縁層53は、外部の導体と第1金属層41及び第2金属層51とが電気的に接続されることを防止する。第1絶縁層43及び第2絶縁層53は、例えば薄膜状のナイロン層である。
次に、本実施の形態の蓄電素子1の製造方法の一例について、説明する。
まず、第1電極10、セパレータ30、第2電極20、セパレータ30をこの順で10回以上繰り返し積層し、当該積層体の積層方向である第1方向d1の最も一側及び最も他側に絶縁シート33を積層する。これにより、複数の第1電極10及び第2電極20が交互に積層され、第1電極10及び第2電極20の間にセパレータ30が配置され且つ第1方向d1の最も一側及び最も他側に絶縁シート33が配置された電極体5が用意される。電極体5は、第1電極10及び第2電極20を合計で20以上含んでいる。電極体5の第2方向d2における一側において、第1電極10の第1電極集電体11が抵抗溶接や超音波溶接、テープによる貼着、融着等によって接合されて、第1接続領域a1が形成される。第2方向d2における他側において、第2電極20の第2電極集電体21が抵抗溶接や超音波溶接、テープによる貼着、融着等によって接合されて、第2接続領域a2が形成される。第1接続領域a1において、タブ6が第1電極10と電気的に接続され、第2接続領域a2において、別のタブ6が第2電極20と電気的に接続される。
次に、押さえ板80によって、電極体5の複数のセパレータ30及び絶縁シート33が接合される位置の近傍を押さえる。ここで、押さえ板80について説明する。押さえ板80は、板状の部材であり、図6に示す例では、平面視において矩形形状から半円形状をくり抜いた形状となっている。押さえ板80は、平板状に延びる平板部81と、平板部81から突出して延びる突出部83と、を含んでいる。突出部83は、押さえ板80の一方の端部に設けられている。平板部81における押さえ板80の厚さは、例えば0.5mm以上であり、突出部83が設けられた部分における押さえ板80の厚さは、平板部81における厚さより例えば1mm以上5mm以下厚くなっている。また、突出部83の幅は、例えば2mm以上である。このような押さえ板80は、例えばピーク材からなる。
2つの押さえ板80が組になって、第1方向d1に向かい合って配置されている。2つの押さえ板80は、くり抜いた形状となっている部分が互いに重なるように配置されている。また、2つの押さえ板80は、突出部83が対向するように配置されている。電極体5が2つの押さえ板80の間に配置されると、押さえ板80によって電極体5が第1方向d1に挟持されて押さえられる。
押さえ板80が電極体5を押さえている状態の平面図が、図7に示されている。押さえ板80によって、電極体5の複数のセパレータ30及び絶縁シート33が接合される位置の近傍を押さえる。図7に示された例では、複数のセパレータ30及び絶縁シート33が接合される位置は、上述したように、平面視において第1電極10及び第2電極20と重複する領域以外の領域における位置であり、より詳しくは、平面視において第1電極10及び第2電極20から第2方向d2に離間した位置且つ第1電極10及び第2電極20から第3方向d3に離間した位置である。図7に示された具体的な例では、電極体5は、矩形形状の四隅の近傍を押さえ板80によって押さえられている。すなわち、電極体5の接合される複数の位置の近傍で、押さえ板80によって同時に押さえられている。なお、図示された例では、セパレータ30及び絶縁シート33が接合される位置は、押さえ板80のくり抜かれた半円形状が重なっている。すなわち、セパレータ30及び絶縁シート33が接合される位置の周辺では、電極体5は押さえ板80によって押さえられているが、セパレータ30及び絶縁シート33が接合される位置では、電極体5は押さえ板80によって押さえられていない。
図8は、図7のVIII線によって囲まれた部分であって、電極体5の1組の押さえ板80によって押さえられた部分を拡大して示している。また、図8のIX-IX線に沿った断面が図9に示されており、図8のX-X線に沿った断面が図10に示されている。図8及び図9によく示されているように、押さえ板80が電極体5を押さえる位置、すなわち押さえ板80が電極体5に接触する位置は、電極体5の第1電極10(正極10X)及び第2電極20(負極20Y)が積層されている領域の一部を含んでいる。図9に示すように、押さえ板80の平板部81が、電極体5の第1電極10及び第2電極20が積層されている領域の一部を押さえる。また、押さえ板80が電極体5を押さえる位置は、電極体5の第1電極10の接続領域a1の一部を含んでいる。図9に示すように、押さえ板80の突出部83が、電極体5の第1電極10の接続領域a1の一部を押さえる。一方、その他の領域では、押さえ板80は、電極体5と接触しておらず、したがって電極体5を押さえていない。言い換えると、平面視において第1電極10及び第2電極20が積層されている領域から離間した領域及び複数の第1電極10が第1接続領域a1から離間した領域において、押さえ板80は、電極体5と第1方向d1に離間していて、セパレータ30を押さえていない。
次に、図10に示すように、電極体5が押さえ板80に押さえられた状態で、複数のセパレータ30及び絶縁シート33を、一対の押圧部材70によって第1方向d1の一側及び他側から挟持することで加圧する。複数のセパレータ30及び絶縁シート33が押圧部材70によって加圧される位置は、複数のセパレータ30及び絶縁シート33が接合される位置であって、平面視において第1電極10及び第2電極20から第2方向d2及び第3方向に離間した位置である。すなわち、図8に示された例では、押さえ板80のくり抜かれた半円形状の位置である。押圧部材70によって加圧されるセパレータ30及び絶縁シート33の位置の面積は、0.5mm2以上10mm2以下となっている。
複数のセパレータ30及び絶縁シート33は、複数の位置で加圧されてもよい。複数のセパレータ30及び絶縁シート33が加圧される位置は、第2方向d2における少なくとも2箇所であることが好ましく、また、第3方向d3における少なくとも2箇所であることが好ましい。あるいは、平面視において同一直線上にない3箇所であることが好ましい。図3に示された例の電極体5を製造する場合では、セパレータ30及び絶縁シート33は、第2方向d2及び第3方向d3に延びる同一の矩形形状であり、矩形形状の四隅において加圧される。複数のセパレータ30及び絶縁シート33が平面視における複数の位置で加圧される場合、当該複数の位置で同時に加圧されることが好ましい。
その後、複数のセパレータ30及び絶縁シート33を加圧した状態で、第1方向d1の一側及び他側から複数のセパレータ30及び絶縁シート33を加熱する。セパレータ30及び絶縁シート33は、例えば押圧部材70の内部のヒーターに瞬間的に電圧を印加することで、瞬間的に加熱される。具体的な例として、セパレータ30及び絶縁シート33は、115℃以上の温度で3秒以下だけ加熱される。セパレータ30及び絶縁シート33が瞬間的に加熱される場合、セパレータ30及び絶縁シート33が押圧部材70によって挟持されて加圧された状態で、セパレータ30及び絶縁シート33が冷却されることができる。第1方向d1から複数のセパレータ30及び絶縁シート33が加熱・加圧されることで、加熱・加圧された位置において第1方向d1に隣り合うセパレータ30及び絶縁シート33が溶着されて、互いに接合される。すなわち、セパレータ30及び絶縁シート33が接合される接合位置35に、溶着部が形成される。セパレータ30及び絶縁シート33が冷却された後、押圧部材70がセパレータ30及び絶縁シート33から離間する。
なお、複数のセパレータ30及び絶縁シート33が複数の位置で加圧されている場合、セパレータ30及び絶縁シート33は同時に加熱されることが好ましい。すなわち、セパレータ30及び絶縁シート33は、複数の位置において同時に接合されることが好ましい。
また、第1外装材40及び第2外装材50を作製する。作製される第1外装材40及び第2外装材50は、例えばアルミニウム箔からなる金属層41,51に例えばポリエチレン、ポリプロピレン、またはポリエチレンテレフタレートからなる樹脂層42,52をラミネートすることで作製される。第1外装材40及び第2外装材50は、平板状に形成される。
その後、電極体5を第1外装材40及び第2外装材50の間に配置し、第1外装材40及び第2外装材50をその周縁において接合する。第1外装材40及び第2外装材50は、第1樹脂層42及び第2樹脂層52の側が向かい合うように配置される。
第1外装材40と第2外装材50とは、例えばその周縁を加熱・加圧することで溶着により接合される。第1外装材40と第2外装材50とが接合されることで、膨出部47によって収容空間7aが形成される。また、例えば第1外装材40と第2外装材50との周縁の一部が接合される前に、当該接合されていない部分から収容空間7aに電解液が注入される。その後、第1外装材40と第2外装材50との周縁の全体を接合する。このようにして、外装体7の収容空間7aに電解液とともに電極体5が収容される。
以上の工程により、図1に示すような蓄電素子1が製造される。
ところで、従来の蓄電素子では、蓄電素子が振動する等によって、上述したように、電極間に配置されたセパレータが動いてしまい、電極間にセパレータが存在しない領域ができてしまうことがある。セパレータが存在しない領域では、電極が直接対面することになり、当該電極が接触してしまう虞がある。電極の接触によって短絡が生じると、蓄電素子が発火してしまう虞がある。また、セパレータが存在しない領域では、セパレータに含浸した電解液が電極に接触しにくくなるため、電極として機能が劣化してしまう。さらに、蓄電素子が振動すると、セパレータだけでなく電極も動いてしまうことがある。正極と負極とが異なる方向に動いてしまうと、正極と負極が互いに向き合わなくなり、当該部分で充電及び放電の機能が発揮しにくくなる。
蓄電素子が例えば自動車に載置されて使用される場合等では、蓄電素子が振動すること自体を抑制することは困難である。そこで、蓄電素子が振動しても、電極間に配置されたセパレータが動いてしまうことが抑制されるよう、正極と負極の積層方向にセパレータを接合した蓄電素子が見出された。このような蓄電素子によれば、接合されたセパレータの間の電極及び他のセパレータに圧力が加わることで、この圧力による摩擦力でセパレータ及び電極が動いてしまうことを抑制することができる。また、セパレータの当該接合位置と電極とが引っかかってしまうため、セパレータの接合位置が存在する側とは逆側への動きを抑制することができる。
しかしながら、このような蓄電素子を製造時、とりわけセパレータの接合時において、セパレータに圧力がかかっていないため、各セパレータが任意の方向動いてしまうことがある。このため、平面視において各セパレータの接合されるべき位置がずれてしまい、セパレータを所望の位置で接合できなくなる。セパレータが所望の位置からずれた位置で接合されてしまうと、セパレータのずれによって電極体の体積が大きくなり、体積エネルギー密度が低下してしまう。また、十分な面積で接合されず、蓄電素子の製造後に接合が剥離してしまうことがある。このような不具合を回避するようセパレータを所望の位置で接合するために、セパレータを接合する際に、セパレータの位置ずれを抑制することが求められている。
本実施の形態の蓄電素子1の製造方法では、押さえ板80で電極体5を押さえた状態で、押圧部材70によって接合位置35が加熱・加圧されることで、セパレータ30が接合される。押さえ板80で電極体5を押さえることで、電極10,20を介してセパレータ30に圧力がかかり、セパレータ30の位置ずれを抑制することができる。このため、セパレータ30の所望の接合位置35を押圧部材70によって挟持して、セパレータ30を所望の接合位置35で接合することができる。
ここで、押さえ板80が電極体5の第1電極10及び第2電極20のうちの一方のみを押さえている場合、例えば第2電極20のみを押さえている場合、第1電極10が撓んでしまってセパレータ30を突き破ってしまうことがある。セパレータ30を突き破った第1電極10は、第2電極20と接触して短絡し得る。一方、本実施の形態の蓄電素子1の製造方法では、押さえ板80の平板部81が電極体5の第1電極10及び第2電極20が積層されている領域の一部を押さえている。第1電極10及び第2電極20が押さえ板80に押さえられているため、セパレータ30を接合する際に、第1電極10及び第2電極20が撓んでしまうことが抑制される。このため、蓄電素子1の製造時に、第1電極10及び第2電極20が撓んでセパレータ30を突き破って電極10,20が接触してしまうことを抑制することができる。すなわち、セパレータ30が電極10,20の間から動いてしまうことを抑制する蓄電素子1を、電極10,20の接触による短絡を抑制しながら製造することができる。
また、本実施の形態の蓄電素子1の製造方法では、押さえ板80の突出部83が、電極体5の第1電極10の第1接続領域a1の一部を押さえている。押さえ板80が第1電極10の第1接続領域a1を押さえていることで、電極体5がその端部を押さえられることになる。電極体5の端部が押さえられていると、電極体5の第1電極10、第2電極20及びセパレータ30の位置がずれにくくなる。すなわち、セパレータ30の位置ずれをより抑制することができる。したがって、セパレータ30を所望の接合位置で容易に接合することができる。また、第1接続領域a1は第1電極10同士が接続するため、セパレータ30や第2電極20が設けられていない領域であることから、第1接続領域a1においける電極体5は、第1電極領域b1における電極体5より薄くなっている。押さえ板80に突出部83が設けられていることで、薄くなっている第1電極10の第1接続領域a1を容易に押さえることができる。
さらに、蓄電素子1の製造方法において、平面視において第1電極10及び第2電極20が積層されている領域から離間した領域及び複数の第1電極10が第1接続領域a1から離間した領域において、押さえ板80は、電極体5と第1方向d1に離間している。押さえ板80が電極体5と離間している領域では、セパレータ30は押さえ板80に押さえられない。電極10,20を介さずにセパレータ30が押さえ板80に押さえられると、第1方向d1における押さえ板80の位置とセパレータ30の位置とのずれによって、セパレータ30が押さえ板80によって電極10,20の間から引き抜かれる方向に引っぱられる。このため、セパレータ30が位置ずれしてしまうことがある。押さえ板80がセパレータ30を直接押さえていないことで、セパレータ30が押さえ板80に直接押さえられて位置ずれしてしまうことを回避することができる。すなわち、セパレータ30を所望の位置で接合することができる。
また、蓄電素子1の製造方法において、複数のセパレータ30は、第1方向d1の一側及び他側から加熱されることで接合される。第1方向d1に圧力を加えながら、複数のセパレータ30で熱のむらを小さくしながら接合することができる。すなわち、複数のセパレータ30を均一な強度で接合することができる。
さらに、蓄電素子1の製造方法において、セパレータ30を加圧した状態で、セパレータ30を冷却することができる。加熱後の冷却時にセパレータ30に圧力がかかっていると、セパレータ30を平坦な状態に保つことができる。また、セパレータ30を冷却してから押圧部材70をセパレータ30から離間させるため、加熱によって溶けたセパレータ30が押圧部材70に付着することを抑制することができる。
また、第1方向d1に隣り合うセパレータ30は、第2方向d2において異なる少なくとも2箇所の接合位置35において接合される。セパレータ30がこのような接合位置35で接合されると、セパレータ30が第2方向d2に動いてしまうことが効果的に抑制される。あるいは、第1方向d1に隣り合うセパレータ30は、第3方向d3において異なる少なくとも2箇所の接合位置35において接合される。セパレータ30がこのような接合位置35で接合されると、セパレータ30が第3方向d3に動いてしまうことが効果的に抑制される。ここで、第2方向d2は、第1電極10の第1接続領域a1及び第2電極20の第2接続領域a2が位置する方向である。第2方向d2にセパレータ30が動いてしまうと、正極の接続領域(第1接続領域a1)と負極の電極領域(第2電極領域b2)とが接触し得る。正極の接続領域と負極の電極領域とが接触してしまうと、短絡により特に高温に発熱し得る。したがって、セパレータ30が特に第2方向d2に動いてしまうことは、特に抑制されることが好ましい。
さらに、第1方向d1に隣り合うセパレータ30は、平面視において同一直線上にない3箇所の接合位置35において接合される。セパレータ30がこのような接合位置35において接合されると、セパレータ30が平面視における任意の方向に動いてしまうことが抑制される。
また、第2方向d2の中央部や第3方向d3の中央部でセパレータ30が接合されると、加熱してセパレータ30を溶着する際に、セパレータ30が溶けることで第1電極10と第2電極20とが接触し得る。第1電極10と第2電極20とが接触すると、短絡してしまう。このため、第1方向d1に隣り合うセパレータ30は、平面視において第1電極10及び第2電極20から第2方向d2に離間した位置且つ第3方向d3に離間した位置において、接合されることが好ましく、さらには、平面視において第1電極10及び第2電極20から第2方向d2に離間した位置且つ第3方向d3に離間した位置のみにおいて、接合されることが好ましい。とりわけ、図7に示された例では、セパレータ30は、平面視において第2方向d2及び第3方向d3に延びる矩形形状であり、矩形形状の四隅で接合される。このようなセパレータ30は、製造及び配置が容易であり、また、少ない接合位置35で、セパレータ30が動いてしまうことを効果的に抑制することができる。
さらに、平面視における接合位置35の面積は、0.5mm2以上10mm2以下である。接合位置35の面積が十分に大きいことで、接合が強固で剥がれにくくなっている。また、接合位置35の面積が大きすぎないことで、接合位置35におけるセパレータ30の接合(溶着)の際に、セパレータ30が溶けて第1電極10と第2電極20とが接触してしまうことを回避することができる。
また、セパレータ30は、複数の箇所で同時に接合される。すなわち、セパレータ30を押さえ板80で押さえ、押圧部材70によるセパレータ30の加圧、加熱及び冷却を複数の箇所で同時に行う。各位置で別々の工程で行わないため、セパレータ30の接合のための時間を短縮することができる。
さらに、蓄電素子1は、第1電極10及び第2電極20を、合計で、20以上含んでいる。セパレータ30は、第1電極10及び第2電極20の間に配置されている。第1電極10及び第2電極20が多くなると、セパレータ30も多くなり、いずれかのセパレータ30が動いてしまう可能性が高くなる。したがって、第1電極10及び第2電極20が多いほど、具体的には20以上であると、蓄電素子1の製造工程におけるセパレータ30の位置ずれ抑制する効果が、特に有効に奏される。
以上のように、本実施の形態の蓄電素子1の製造方法は、第1方向d1に積層された複数の第1電極10及び複数の第2電極20と、第1方向d1に隣り合う第1電極10及び第2電極20の間に配置されたセパレータ30と、を有する電極体5を備える蓄電素子1の製造方法であって、電極体5の第1電極10及び第2電極20が積層されている領域の少なくとも一部を、押さえ板で押さえる工程と、第1方向d1に隣り合うセパレータ30を互いに接合する接合工程と、を備える。このような蓄電素子1の製造方法によれば、押さえ板80で電極体5を押さえることで、電極10,20を介してセパレータ30に圧力がかかり、セパレータ30の位置ずれを抑制することができる。このため、セパレータ30の所望の接合位置35を押圧部材70によって挟持して、セパレータ30を所望の接合位置35で接合することができる。さらに、セパレータ30を接合する際に、第1電極10及び第2電極20が撓んでしまうことを抑制し、第1電極10及び第2電極20がセパレータ30を突き破って短絡してしまうことを抑制することができる。
また、本実施の形態の蓄電素子1の製造方法は、第1方向d1に積層された複数の第1電極10及び複数の第2電極20と、第1方向d1に隣り合う第1電極10及び第2電極20の間に配置されたセパレータ30と、を有する電極体5を備える蓄電素子1の製造方法であって、電極体5の複数の第1電極10が第1方向d1と非平行な第2方向d2の端部において互いに接続する接続領域a1の少なくとも一部を、押さえ板80で押さえる工程と、第1方向d1に隣り合うセパレータ30を互いに接合する接合工程と、を備える。このような蓄電素子1の製造方法によれば、押さえ板80で電極体5を押さえることで、電極10,20を介してセパレータ30に圧力がかかり、セパレータ30の位置ずれを抑制することができる。このため、セパレータ30の所望の接合位置35を押圧部材70によって挟持して、セパレータ30を所望の接合位置35で接合することができる。特に、押さえ板80が第1電極10の第1接続領域a1を押さえていることで、電極体5の第1電極10、第2電極20及びセパレータ30の位置がずれにくくなるため、セパレータ30を所望の接合位置で容易に接合することができる。
なお、上述した実施の形態に対して様々な変更を加えることが可能である。
例えば、第1接続領域a1は、第3方向d3の一部にのみ設けられていてもよい。同様に、第2接続領域a2は、第3方向d3の一部にのみ設けられていてもよい。図11に示す例では、第1接続領域a1は、第3方向d3においてタブ6に接続する部分以外の部分が切除されており、第2接続領域a2は、第3方向d3においてタブ6に接続する部分以外の部分が切除されている。第1接続領域a1及び第2接続領域a2が第3方向d3の一部にのみ設けられていることで、第1接続領域a1及び第2接続領域a2が設けられていない部分において、セパレータ30が他のセパレータ30と第1方向d1に隣り合う。このため、第3方向d3において第1電極10及び第2電極20と重なる位置において、セパレータ30が他のセパレータ30と第1方向d1に隣り合う。第1方向d1に隣り合うセパレータ30は、互いに接合されることができる。この変形例では、第1方向d1に隣り合うセパレータ30は、第3方向d3において第1電極10及び第2電極20と重なる位置において接合されている。
図11に示された例によれば、セパレータ30が第3方向d3において第1電極10及び第2電極20と重なる位置において接合されていることで、第1接続領域a1及び第2接続領域a2が位置する方向にセパレータ30が動いてしまうことがより効果的に抑制される。セパレータ30が動いてしまうことによって、正極の接続領域(第1接続領域a1)と負極の電極領域(第2電極領域b2)とが接触し得る。正極の接続領域と負極の電極領域とが接触してしまうと、短絡により特に高温に発熱し得る。セパレータ30が第3方向d3において第1電極10及び第2電極20と重なる位置において接合されていることで、このような不具合を抑制することができる。
このような蓄電素子1は、例えば次のようにして製造することができる。まず、上述した蓄電素子1の製造方法において、第1接続領域a1及び第2接続領域a2を形成した後に、当該接続領域a1,a2の第3方向d3においてタブ6に接続する部分以外の部分を切除する。その後、図12に示すように、押さえ板80によって、接続領域a1,a2を切除した部分と複数のセパレータ30及び絶縁シート33とが重なる位置の近傍を押さえる。上述した蓄電素子1の製造方法と同様に、複数のセパレータ30及び絶縁シート33を接合することで、複数のセパレータ30及び絶縁シート33が接合される。