JP2021012828A - 酸化物超電導線材、酸化物超電導コイル、酸化物超電導線材の製造方法 - Google Patents

酸化物超電導線材、酸化物超電導コイル、酸化物超電導線材の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】コイルに発生する電圧を検出する手段を設けても、従来技術より厚さを小さくし、電流密度の低下を抑制することができる酸化物超電導線材、酸化物超電導コイル、及び酸化物超電導線材の製造方法を提供する。【解決手段】金属基板1と酸化物超電導層3との間に中間層2が積層された超電導積層体5と、少なくとも金属基板1の側面を覆う安定化層6とを備える酸化物超電導線材10であって、金属基板1が安定化層6から電気絶縁されている。【選択図】図1

Description

本発明は、酸化物超電導線材、酸化物超電導コイル、酸化物超電導線材の製造方法に関する。
酸化物超電導線材を用いた酸化物超電導コイルに熱的擾乱等の異常が生じた場合、酸化物超電導線材の一部が常電導転移(クエンチ)を起こして超電導状態ではなくなる場合がある。酸化物超電導線材に通電されていると、常電導転移を起こした箇所の抵抗が上昇し、ジュール熱により発熱してコイルが劣化するおそれがある。常電導転移の検出方法として、抵抗上昇によってコイルに発生する電圧を検出する方法が知られている。しかし、酸化物超電導線材の常電導転移領域の伝播速度が遅いため、初期においては発生する電圧が小さく検出が難しい問題がある。
特許文献1には、コイルに発生する電圧を高感度に検出するため、超電導線材の長手方向に一続きに、高温超電導領域から絶縁されている導体領域を形成して、誘導電圧をキャンセルする方法等が記載されている。
特開2018−26222号公報
特許文献1に記載の超電導線材の場合、超電導線材と絶縁導線とが厚さ方向に積層されている。このため、超電導コイルにおいて超電導線材と絶縁導線を共巻きにすると、絶縁導線の厚さの分だけ超電導コイルのターン間隔が広がり、コイルの電流密度が低下する。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、コイルに発生する電圧を検出する手段を設けても、従来技術より酸化物超電導線材の厚さを小さくし、電流密度の低下を抑制することができる酸化物超電導線材、酸化物超電導コイル、及び酸化物超電導線材の製造方法を提供することを課題とする。
前記課題を解決するため、本発明は、金属基板と酸化物超電導層との間に中間層が積層された超電導積層体と、前記超電導積層体の外周面のうち、少なくとも前記金属基板の側面を覆う安定化層とを備え、前記金属基板が前記安定化層から電気絶縁されていることを特徴とする酸化物超電導線材を提供する。
前記安定化層は、前記金属基板の厚さ方向において前記酸化物超電導層とは反対側である裏面を覆い、前記酸化物超電導線材は、前記超電導積層体の外周面のうち、少なくとも前記金属基板の側面及び前記金属基板の裏面に絶縁層を有する構成としてもよい。
前記金属基板と前記安定化層との間に、金属酸化物からなる絶縁層を有してもよい。
前記金属酸化物が、Al、Y、La、CeO、Nd、Eu、Gd、Dy、Ho、ZrOから選択される少なくとも1種であってもよい。
前記金属基板の外周面には、表面酸化膜を有する構成としてもよい。
前記金属基板がクエンチ検出回路の線路として用いられる構成としてもよい。
前記酸化物超電導線材の一端部において、前記金属基板が前記安定化層と導通されている構成としてもよい。
また、本発明は、前記酸化物超電導線材が用いられていることを特徴とする酸化物超電導コイルを提供する。
また、本発明は、金属基板と酸化物超電導層との間に中間層が設けられた超電導積層体を作製する工程と、前記金属基板の少なくとも側面に表面酸化膜を形成する工程、又は前記超電導積層体の外周面のうち、少なくとも前記金属基板の側面に絶縁層を形成する工程の少なくともいずれかと、前記超電導積層体の外周面のうち、少なくとも前記金属基板の側面を安定化層で覆う工程と、を有する酸化物超電導線材の製造方法を提供する。
本発明によれば、金属基板が安定化層から電気絶縁されているので、金属基板をクエンチ検出回路の線路として用いることにより、コイルに発生する電圧を検出する手段を設けても、従来技術より酸化物超電導線材の厚さを小さくし、電流密度の低下を抑制することが可能な酸化物超電導線材、酸化物超電導コイル、及び酸化物超電導線材の製造方法が提供される。
第1実施形態の酸化物超電導線材を例示する断面図である。 金属基板を酸化物超電導線材の外部と導通する構成を例示する断面図である。 第2実施形態の酸化物超電導線材を例示する断面図である。 第3実施形態の酸化物超電導線材を例示する断面図である。
以下、好適な実施形態に基づき、図面を参照して本発明を説明する。
図1に、第1実施形態の酸化物超電導線材の概略構造の一例を模式的に示す。この酸化物超電導線材10は、基板1上に酸化物超電導層3を有する超電導積層体5と、超電導積層体5の外周面に形成された安定化層6とを有する。超電導積層体5は、基板1と酸化物超電導層3との間に中間層2を有する。また、超電導積層体5は、基板1とは反対側の酸化物超電導層3上に保護層4を有する。すなわち、超電導積層体5は、テープ状の基板1の一方の主面1aに、中間層2と酸化物超電導層3と保護層4とがこの順に積層された構成を有する。
基板1は、厚さ方向の両側に、それぞれ主面1a,1bを有するテープ状の基板である。基板1は、例えば金属で形成されている。基板1を構成する金属の具体例として、ハステロイ(登録商標)に代表されるニッケル合金、ステンレス鋼、ニッケル合金に集合組織を導入した配向Ni−W合金などが挙げられる。基板1上に中間層2が形成される面を第1主面1aといい、第1主面1aと反対の面を第2主面1bという。第2主面1bは、基板1の酸化物超電導層3とは反対側の裏面である。
基板1の厚さは、目的に応じて適宜調整すれば良く、例えば10〜500μmの範囲である。酸化物超電導線材10を薄型とするため、基板1の厚さが50〜75μmの範囲であることが好ましい。基板1が厚過ぎると、酸化物超電導線材10の単位断面積あたりの電流密度が低下する。基板1が薄過ぎると、電磁力等の外力が加えられた場合に酸化物超電導線材10の強度が低下する。
酸化物超電導層3の配向制御の観点からは、基板1の第1主面1aに中間層2を設け、中間層2の主面2a上に酸化物超電導層3を成膜することが好ましい。中間層2の主面2aは、基板1側とは反対の面である。中間層2は、多層構成でもよく、例えば基板1側から酸化物超電導層3側に向かう順で、拡散防止層、ベッド層、配向層、キャップ層等を有してもよい。これらの層は必ずしも1層ずつ設けられるとは限らず、一部の層を省略する場合や、同種の層を2以上繰り返し積層する場合もある。なお、基板1の第1主面1aが配向性を備えている場合は、中間層2が形成されていなくてもよい。中間層2を積層する方法としては、スパッタ法、蒸着法、イオンビームアシスト蒸着法(IBAD法)等が挙げられる。中間層2を構成する少なくとも1層は絶縁体からなり、基板1と酸化物超電導層3との間を電気絶縁している。中間層2を構成する金属酸化物として、MgO、Al、Y、La、CeO、Nd、Eu、Gd、Dy、Ho、ZrO等が挙げられる。
酸化物超電導層3は、酸化物超電導体から構成される。酸化物超電導体としては、特に限定されないが、例えば一般式REBaCu(RE123)で表されるRE−Ba−Cu−O系の酸化物超電導体(REBCO)が挙げられる。希土類元素REとしては、Sc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Luのうちの1種又は2種以上が挙げられる。酸化物超電導層3の厚さは、例えば0.5〜5μm程度である。
酸化物超電導層3を積層する方法としては、スパッタ法、真空蒸着法、レーザ蒸着法、電子ビーム蒸着法、パルスレーザ堆積法(PLD法)、化学気相成長法(CVD法)、有機金属塗布熱分解法(MOD法)等が挙げられる。中でも、生産性等の観点から、PLD法で酸化物超電導層3を積層することが好ましい。酸化物超電導層3は、人工ピン等の不純物を含有してもよい。
保護層4は、事故時に発生する過電流をバイパスしたり、酸化物超電導層3と保護層4の上に設けられる層との間で起こる化学反応を抑制したりする等の機能を有する。保護層4の材質としては、銀(Ag)、銅(Cu)、金(Au)、これらの1種以上を含む合金等が挙げられる。保護層4にAg層又はAg合金層を用いる場合は、モル比又は重量比で50%以上の銀を含むことが好ましい。保護層4は、少なくとも酸化物超電導層3の主面3aを覆っている。酸化物超電導層3の主面3aとは、中間層2側とは反対の面である。保護層4は、酸化物超電導層3の側面、中間層2の側面、基板1の側面及び裏面から選択される領域の一部または全部を覆ってもよい。保護層4は2種以上又は2層以上の金属層から構成されてもよい。保護層4の厚さは、特に限定されないが、例えば1〜30μm程度が挙げられる。
超電導積層体5は、基板1の第1主面1a及び第2主面1bに対応して、第1主面5a及び第2主面5cを有する。超電導積層体5の第1主面5aは、基板1に酸化物超電導層3が積層された側の面である。超電導積層体5が保護層4を有する場合は、第1主面5aが保護層4の主面4aであってもよい。保護層4の主面4aとは、酸化物超電導層3側とは反対の面である。超電導積層体5の第2主面5cは、超電導積層体5の厚さ方向で、第1主面5aとは反対側の面である。超電導積層体5の第2主面5cは、基板1の第2主面1bであってもよい。基板1の第2主面1bに保護層4が積層される場合、超電導積層体5の第2主面5cの少なくとも一部が保護層4から構成されてもよい。
また、超電導積層体5は、幅方向の両側に側面5bを有する。超電導積層体5の側面5bは、基板1の側面、中間層2の側面、酸化物超電導層3の側面、及び保護層4の側面を含んでもよい。超電導積層体5の側面5bの少なくとも一部が保護層4で覆われる場合、超電導積層体5の側面5bの少なくとも一部が保護層4から構成されてもよい。
安定化層6は、超電導積層体5の外周面の少なくとも一部を覆って形成される。詳しくは、安定化層6は、超電導積層体5の第1主面5aの少なくとも一部、及び第2主面5cの少なくとも一部を覆っている。安定化層6が超電導積層体5の第1主面5a、側面5b及び第2主面5cの全領域を覆って形成されることが好ましい。安定化層6の厚さは、特に限定されないが、例えば1〜300μm程度である。酸化物超電導線材10を薄型とする観点から、安定化層6の厚さは薄い方が好ましく、例えば、2〜100μmの範囲が好ましい。安定化層6は、酸化物超電導層3に水分が浸入することを防ぐ耐水性を有することが好ましい。
安定化層6は、酸化物超電導層3が常電導状態に転移した時に発生する過電流を転流させるバイパス部としての機能を有する。安定化層6は、酸化物超電導線材10の長手方向にわたり酸化物超電導層3と導通している。安定化層6の構成材料としては、銅、銅合金(例えばCu−Zn合金、Cu−Ni合金等)、アルミニウム、アルミニウム合金、銀等の金属が挙げられる。安定化層6は、電解めっき等のめっきによって形成することができる。導電性、経済性等の観点からは、安定化層6が銅めっきから構成されることが好ましい。
超電導積層体5の外周面に銅めっきから安定化層6を形成する工程に先立って、超電導積層体5の外周面に、スパッタ等により下地金属層(図示せず)を形成してもよい。下地金属層の材料は、めっき成長させる金属と同じ金属でもよく、異なる金属でもよい。下地金属層の厚さとしては、例えば0.1〜10μmが挙げられる。下地金属層は、安定化層6より薄く形成されることが好ましい。
第1実施形態の酸化物超電導線材10では、基板1の外周面に表面酸化膜1dを有する。基板1は、表面酸化膜1dの内側に金属層1cを有する。基板1の外周面は、基板1が安定化層6に接する側面及び裏面を含む。安定化層6が基板1の側面を覆う場合、表面酸化膜1dは、基板1の側面において、金属層1cと安定化層6との間に形成されればよい。基板1の第2主面1bにおいて安定化層6を省略した場合、基板1の第2主面1bにおいて表面酸化膜1dを省略してもよい。
基板1の第1主面1aでは、表面酸化膜1dを形成する必要はなく、金属層1cが中間層2に接してもよい。安定化層6は、酸化物超電導層3に接して、又は保護層4を介して酸化物超電導層3と導通可能であるが、金属層1cと安定化層6との間に表面酸化膜1dが介在しているため、金属層1cは、安定化層6から電気絶縁されている。これにより、金属層1cは、酸化物超電導層3及び安定化層6から独立した線路として利用することができる。
基板1の外周面に表面酸化膜1dを形成する工程は、超電導積層体5を作製する前の段階、基板1に超電導積層体5を構成する一部の層を形成した段階、超電導積層体5を作製した後の段階など、任意の段階で行うことができる。例えば基板1を加熱して基板1を構成する金属の酸化処理により、表面酸化膜1dを形成することができる。例えばニッケルとクロムを含む合金からなる基板1の熱処理により、酸化クロム(Cr)からなる表面酸化膜1dを形成することができる。
基板1の表面の酸化処理により生じた表面酸化膜1dは、基板1に含まれる金属元素の酸化物を含む膜として構成することができる。金属層1cと表面酸化膜1dとの界面は、金属と金属酸化物との間で連続した化学組成又は分布を有してもよい。なお、基板1の材質又は酸化物超電導線材10の作製、加工等の処理条件によっては、中間層2等を積層する前又は積層した後において、基板1の表面に薄い表面酸化膜が意図せずとも生じる場合がある。しかし、金属層1cを、酸化物超電導層3及び安定化層6から独立した線路として利用するためには、表面酸化膜1dを、少なくとも基板1の外周面が安定化層6と対向する全面にわたり、連続的に形成することが好ましい。
基板1が中間層2と接する第1主面1aにおいては、上述した表面酸化膜1dが形成されていなくてもよく、あるいは、意図せずとも生じ得る薄い表面酸化膜が生じていてもよい。酸化物超電導線材10の製造において、超電導積層体5を切断する工程を有する場合、基板1の切断面には金属層1cが露出されるため、切断後に表面酸化膜1dを形成する工程を設けることが好ましい。
基板1の金属層1cに対して、酸化物超電導線材10の外部から電気接続を行うには、例えば酸化物超電導線材10の長手方向の端部に金属層1cが露出された箇所を電気接続に用いてもよい。図2に示すように、基板1の第2主面1bから表面酸化膜1dを厚さ方向に貫通する開口部11を設けてもよい。これにより、開口部11に金属層1cが露出された箇所を電気接続に用いることができる。金属層1cと接続される導体を安定化層6から電気絶縁する場合は、安定化層6が開口部11に接する箇所に絶縁体(図示せず)を設けてもよい。開口部11において、金属層1cの一部が除去されてもよいが、酸化物超電導層3の性能に影響を与えない程度が好ましい。
酸化物超電導線材10の一端部において、基板1を安定化層6と導通させる場合は、金属層1cと安定化層6とを接続する導体(図示せず)を開口部11に設けてもよい。接続用の導体としては、金属めっき、半田、導線、金属片等の少なくとも1種が挙げられる。開口部11は、金属層1cの厚さ方向の少なくとも一部を除去してもよい。酸化物超電導層3に達する深さまで開口部11を形成した場合、安定化層6を介することなく、開口部11を通じて金属層1cと酸化物超電導層3とを導通させることも可能である。
図3及び図4に示すように、第2及び第3実施形態の酸化物超電導線材10A,10Bでは、超電導積層体5の外周面のうち、少なくとも超電導積層体の側面5b及び第2主面5c(あるいは、基板1の側面及び裏面)に絶縁層7を有する。基板1と安定化層6との間が絶縁層7により電気絶縁されているので、金属からなる基板1を、酸化物超電導層3及び安定化層6から独立した線路として利用することができる。第2及び第3実施形態において、絶縁層7以外については、第1実施形態の酸化物超電導線材10と同様に構成することができる。基板1の第2主面1bに保護層4が積層される場合、超電導積層体5の第2主面5cにおいて保護層4の上に絶縁層7が形成されてもよい。この場合、基板1及び第2主面1b上の保護層4は、中間層2及び絶縁層7により囲まれる結果として、酸化物超電導層3、酸化物超電導層3上の保護層4、安定化層6から電気絶縁される。
絶縁層7は、超電導積層体5の外周面のうち、少なくとも基板1の側面に対して金属酸化物、樹脂等の絶縁体を成膜することにより形成することができる。絶縁層7を構成する金属酸化物としては、Al、Y、La、CeO、Nd、Eu、Gd、Dy、Ho、ZrO等から選択される少なくとも1種が挙げられる。金属酸化物は、2種以上の金属元素を含む複酸化物であってもよい。絶縁層7を構成する金属酸化物は、中間層2を構成する少なくとも1層の材料と同一であってもよい。金属酸化物が同一の場合、中間層2と絶縁層7における金属酸化物の層を同時に形成してもよい。絶縁層7が金属酸化物によって構成されることによって、機械的に強固で絶縁性に優れた絶縁層を形成することができる。絶縁層7を構成する樹脂等の絶縁体としては、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、フッ素樹脂等が挙げられる。
絶縁層7の形成方法としては、スパッタ、蒸着、塗布、接着等が挙げられる。基板1の側面及び裏面に絶縁層7を形成する際に、基板1の裏面における絶縁層7の厚さが、基板1の側面における絶縁層7の厚さより厚くてもよく、前者が後者より薄くてもよく、両者が略同等でもよい。超電導積層体5の側面5bにおいて絶縁層7が形成される領域は、少なくとも基板1の側面を含み、さらに中間層2、酸化物超電導層3、保護層4の側面の少なくとも一部を含んでもよい。絶縁層7が超電導積層体5の第2主面5cから側面5bにかけて連続した領域を構成してもよい。超電導積層体5の外周面において、絶縁層7が形成される範囲が広いと、超電導積層体5に対する絶縁層7の密着性を向上するとともに、緻密な絶縁層7を安定して形成することができる。絶縁層7を形成する工程は、超電導積層体5のうち、絶縁層7の下に含まれる層が形成された後に行うことが好ましい。超電導積層体5を作製した後で絶縁層7を形成することもできる。
第2実施形態の酸化物超電導線材10Aの場合、酸化物超電導層3の側面の少なくとも一部が安定化層6と接している。この場合、安定化層6は、酸化物超電導層3に接して、又は保護層4を介して酸化物超電導層3と導通可能である。基板1は、絶縁層7の介在により、安定化層6から電気絶縁されている。超電導積層体5の側面5bにおける絶縁層7の厚さは、第2主面5cに近い側から第1主面5aに近い側に向けて厚さが次第に薄くなっていてもよい。
第3実施形態の酸化物超電導線材10Bの場合、酸化物超電導層3の側面と安定化層6との間に絶縁層7が介在している。この場合、安定化層6は、保護層4を介して酸化物超電導層3と導通可能である。基板1は、絶縁層7の介在により、安定化層6から電気絶縁されている。中間層2、酸化物超電導層3及び保護層4の側面を含む超電導積層体5の側面5bの全体にわたり、絶縁層7が形成されてもよい。
特に図示しないが、第1実施形態の表面酸化膜1dと、第2及び第3実施形態の絶縁層7とは、同一の基板1に併用してもよい。図2に示す開口部11は、基板1に対して、酸化物超電導線材10の外部から電気接続を行う際に、絶縁層7を厚さ方向に貫通するように設けてもよい。これにより、開口部11に基板1が露出された箇所を電気接続に用いることができる。
超電導積層体5を切断する工程又は超電導積層体5に保護層4を形成する工程の後で、表面酸化膜1d又は絶縁層7の一方又は両方を形成する工程を実施してもよい。Ag等の保護層4を形成した後、超電導積層体5を酸素雰囲気中で熱処理する際に、表面酸化膜1dを形成してもよい。表面酸化膜1d又は絶縁層7の厚さは、特に限定されないが、1層又は2層以上の合計で、50〜1000nmが挙げられる。表面酸化膜1d又は絶縁層7の厚さを1μm以上としてもよい。図4に示すように、基板1の角に丸み1eを設けると、裏面から側面に連続した絶縁層7が形成され、絶縁破壊が抑制される。
基板1又はその金属層1cは、導電性の金属から構成されているので、クエンチ検出回路の線路として用いることができる。表面酸化膜1d又は絶縁層7の耐電圧は、100V程度が好ましい。表面酸化膜1d又は絶縁層7の絶縁耐力は、10kV/mm以上が好ましい。表面酸化膜1d及び絶縁層7を併用する場合、又は2種以上の絶縁層7を積層する場合は、そのうち少なくとも1層で電気絶縁性能を確保してもよく、あるいは2層以上の合計で電気絶縁性能を確保してもよい。
酸化物超電導線材10,10A,10Bを使用して酸化物超電導コイルを作製するには、例えば超電導線材を巻き枠の外周面に沿って必要な層数巻き付けて多層巻きのコイル体を構成した後、巻き付けた超電導線材を覆うようにエポキシ樹脂等の樹脂を含浸させて、超電導線材を固定することができる。安定化層の周囲に、ポリイミド等の絶縁テープを施してもよい。超電導コイルの構成としては、特に限定されないが、シングルパンケーキコイル、ダブルパンケーキコイル等が挙げられる。1個のコイル体が、1本の超電導線材から構成されることが好ましい。ダブルパンケーキコイルを構成する各コイル体は、別々の超電導線材から構成されてもよい。
酸化物超電導コイルのクエンチ検出回路の一例として、酸化物超電導線材の長手方向の第1端部において、基板1と酸化物超電導層3とを導通させた導通部を設け、酸化物超電導線材の長手方向の第2端部において、基板1と酸化物超電導層3又は安定化層6との電位差を測定可能にした構成が挙げられる。ここで、第2端部は、酸化物超電導線材の長手方向で第1端部とは反対側の端部である。第1端部以外では、基板1は、酸化物超電導層3及び安定化層6から電気絶縁された状態となっている。
上述のクエンチ検出回路では、基板1と酸化物超電導層3及び安定化層6とが同じ巻き数であり、かつ空間上でほぼ同じ位置及び形状を占めている。このため、酸化物超電導層3及び安定化層6により構成される本線コイルに生じる誘導電圧は、長手方向に連続した基板1から構成される検出用線路に生じる誘導電圧によりキャンセルされる。これにより、基板1は、従来技術の共巻き導線と同等の機能を果たすことができる。第2端部において、基板1と酸化物超電導層3又は安定化層6との電位差を測定することにより、超電導コイルのクエンチ又はその前兆等の異常を検出することができる。
以上、本発明を好適な実施形態に基づいて説明してきたが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
例えば、クエンチ検出回路は、ブリッジ回路を含む構成としてもよい。クエンチ検出回路は、コイル化されていない酸化物超電導線材のクエンチ検出に適用することもできる。
以下、実施例をもって本発明を具体的に説明する。
(比較例1)
ハステロイ(登録商標)からなる12mm幅の金属基板の第1主面に、スパッタ法によりAl層とY層を順に蒸着し、次にIBAD法によりMgO層を蒸着し、次にPLD法によりCeO層とREBCO超電導層を順に蒸着し、次にAg層を蒸着した後、酸素雰囲気中でアニールして超電導積層体を作製した。超電導積層体を4mm幅で長手方向に切断した後、電気めっきにより超電導積層体の外周面にCu安定化層を形成した。このとき、金属基板とREBCO超電導層とCu安定化層とは互いに導通されていたため、金属基板を、酸化物超電導層及び安定化層から独立した線路として利用することはできなかった。
(実施例1)
比較例1と同様にして12mm幅の超電導積層体を作製し、超電導積層体を4mm幅で長手方向に切断した後、酸素雰囲気中でアニールして金属基板に表面酸化膜を形成した。その後、電気めっきにより超電導積層体の外周面にCu安定化層を形成したとき、金属基板は、REBCO超電導層とCu安定化層と電気絶縁されていた。このため、金属基板を、酸化物超電導層及び安定化層から独立した線路として利用することができた。
(実施例2)
比較例1と同様にして12mm幅の超電導積層体を作製し、超電導積層体を4mm幅で長手方向に切断した後、金属基板の外周面にAl等の絶縁層をスパッタにより形成した。その後、電気めっきにより超電導積層体の外周面にCu安定化層を形成したとき、金属基板は、REBCO超電導層とCu安定化層と電気絶縁されていた。このため、金属基板を、酸化物超電導層及び安定化層から独立した線路として利用することができた。
1…基板、1a…基板の第1主面、1b…基板の第2主面、1c…金属層、1d…表面酸化膜、1e…丸み、2…中間層、2a…中間層の主面、3…酸化物超電導層、3a…酸化物超電導層の主面、4…保護層、4a…保護層の主面、5…超電導積層体、5a…超電導積層体の第1主面、5b…超電導積層体の側面、5c…超電導積層体の第2主面、6…安定化層、7…絶縁層、10,10A,10B…酸化物超電導線材、11…開口部。

Claims (9)

  1. 金属基板と酸化物超電導層との間に中間層が積層された超電導積層体と、前記超電導積層体の外周面のうち、少なくとも前記金属基板の側面を覆う安定化層とを備え、前記金属基板が前記安定化層から電気絶縁されていることを特徴とする酸化物超電導線材。
  2. 前記安定化層は、前記金属基板の厚さ方向において前記酸化物超電導層とは反対側である裏面を覆い、前記酸化物超電導線材は、前記超電導積層体の外周面のうち、少なくとも前記金属基板の側面及び前記金属基板の裏面に絶縁層を有することを特徴とする請求項1に記載の酸化物超電導線材。
  3. 前記金属基板と前記安定化層との間に、金属酸化物からなる絶縁層を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の酸化物超電導線材。
  4. 前記金属酸化物が、Al、Y、La、CeO、Nd、Eu、Gd、Dy、Ho、ZrOから選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項3に記載の酸化物超電導線材。
  5. 前記金属基板の外周面には、表面酸化膜を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の酸化物超電導線材。
  6. 前記金属基板がクエンチ検出回路の線路として用いられることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の酸化物超電導線材。
  7. 前記酸化物超電導線材の一端部において、前記金属基板が前記安定化層と導通されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の酸化物超電導線材。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の酸化物超電導線材が用いられていることを特徴とする酸化物超電導コイル。
  9. 金属基板と酸化物超電導層との間に中間層が設けられた超電導積層体を作製する工程と、
    前記金属基板の少なくとも側面に表面酸化膜を形成する工程、又は前記超電導積層体の外周面のうち、少なくとも前記金属基板の側面に絶縁層を形成する工程の少なくともいずれかと、
    前記超電導積層体の外周面のうち、少なくとも前記金属基板の側面を安定化層で覆う工程と、
    を有する酸化物超電導線材の製造方法。
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