JP6106789B1 - 酸化物超電導線材およびその製造方法、ならびに超電導コイル - Google Patents

酸化物超電導線材およびその製造方法、ならびに超電導コイル Download PDF

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Abstract

【課題】外力が作用しても特性劣化が起きることがない酸化物超電導線材およびその製造方法、ならびに超電導コイルを提供する。【解決手段】酸化物超電導積層体1と、酸化物超電導積層体1を覆う金属安定化層8と、金属安定化層8を酸化物超電導積層体1に接合する接合金属層7とを備えた酸化物超電導線材A。酸化物超電導積層体1は、テープ状の基材3を有する主部11と、酸化物超電導層5を有する超電導部12とを有する。超電導部12は主部11より幅が狭く、主部11の一方の面に積層されている。接合金属層7は、少なくとも、超電導部12の少なくとも一方の側面12dと金属安定化層8との間に介在している。【選択図】図1

Description

本発明は、酸化物超電導線材およびその製造方法、ならびに超電導コイルに関する。
従来、基材と酸化物超電導層とを有する積層体と、積層体を覆う被覆部とを有する酸化物超電導線材が提案されている(例えば、特許文献1,2参照)。
被覆部は、めっき層、金属箔などからなる金属安定化層を有する。金属安定化層は、積層体を保護して酸化物超電導線材の機械的強度を確保するとともに、水分等の浸入を防ぎ、超電導特性の劣化を防ぐ。
特開2012−043734号公報 特開2015−146318号公報
超電導マグネット、超電導電動機などの超電導機器には、積層された複数のパンケーキ型の超電導コイルを用いる場合がある。超電導コイルは、例えば酸化物超電導線材によって構成される。超電導コイルに通電すると、超電導コイルの厚み方向に電磁力が働く。この電磁力によって酸化物超電導線材の側部に強い圧縮力が作用すると、金属安定化層の側部が損傷を受け、損傷箇所を起点として層剥離、水分浸入などが起き、超電導コイルの特性が劣化する可能性がある。
本発明は、外力が作用しても特性劣化が起きることがない酸化物超電導線材およびその製造方法、ならびに超電導コイルを提供することを目的とする。
本発明の一態様は、酸化物超電導積層体と、前記酸化物超電導積層体を覆う金属安定化層と、前記金属安定化層を前記酸化物超電導積層体に接合する接合金属層とを備え、前記酸化物超電導積層体は、テープ状の基材を有する主部と、酸化物超電導層を有する超電導部とを有し、前記超電導部は前記主部より幅が狭く、前記主部の一方の面に積層され、前記接合金属層は、少なくとも、前記超電導部の少なくとも一方の側面と前記金属安定化層との間に介在している酸化物超電導線材を提供する。
この構成によれば、酸化物超電導層が主部より狭く形成されているため、酸化物超電導線材の側部に外部から幅方向の力が加えられても、その影響は酸化物超電導層に及びにくい。例えば、外部からの力によって被覆部の側部が損傷を受けても、酸化物超電導層の剥離が生じることはない。また、被覆部の側部が損傷を受けても損傷は酸化物超電導層に達しないため、損傷個所から水分が浸入しても浸水は酸化物超電導層に及ばない。
酸化物超電導線材を用いた複数の超電導コイルを積層すると、通電によりコイル厚み方向(線材の幅方向)の力が作用する可能性があるが、酸化物超電導線材は幅方向の力が酸化物超電導層に影響しにくいため、被覆部の損傷等を原因として超電導コイルの特性が悪化するのを回避できる。
また、前記接合金属層によって、前記酸化物超電導積層体に対する前記金属安定化層の密着性を高め、前記金属安定化層を前記酸化物超電導積層体に強固に接合させることができる。そのため、酸化物超電導線材の側部の機械的強度を高め、超電導部の幅方向の端部(特に酸化物超電導層の幅方向の端部)を保護し、損傷を防ぐことができる。また、酸化物超電導積層体に対する金属安定化層の密着性を高めることにより、耐水性を向上させることができる。
前記超電導部の側面における前記接合金属層および前記金属安定化層の合計厚さは、前記主部の幅方向の端部と前記酸化物超電導層の幅方向の端部との幅方向の距離より大きいことが好ましい。
これによって、酸化物超電導線材の側部の機械的強度を高め、超電導部の幅方向の端部(特に酸化物超電導層の幅方向の端部)を保護し、損傷を防ぐことができる。
前記酸化物超電導層の幅方向の端部の少なくとも一方は、平面視において前記主部の幅方向の端部より300μm以上、幅方向の中央寄りに位置していることが好ましい。
この構成によれば、被覆部の側部が外部からの力を受けても、その影響が酸化物超電導層に及びにくくなる。
前記金属安定化層は、例えば、めっき層である。
この構成によれば、超電導部の形成が容易となるため、酸化物超電導線材を容易に作製できる。
前記金属安定化層は、例えば、金属テープからなる。
この構成によれば、超電導部の形成が容易となるため、酸化物超電導線材を容易に作製できる。
本発明の一態様は、前記酸化物超電導線材を備えた超電導コイルを提供する。
この構成によれば、外部から酸化物超電導線材の幅方向の力を受けたとしても、その影響は酸化物超電導層に及びにくいため、超電導コイルの特性が悪化するのを回避できる。
本発明の一態様は、テープ状の基材を有する主部と、酸化物超電導層を有する超電導部とを備え、前記超電導部が前記主部の一方の面に積層された酸化物超電導積層体を作製する工程と、前記超電導部の幅方向の一部を除去することにより、前記超電導部を前記主部より幅が狭くなるように形成する工程と、前記酸化物超電導積層体を覆う金属安定化層と、前記金属安定化層を前記酸化物超電導積層体に接合する接合金属層とを形成する工程と、を有し、前記金属安定化層および接合金属層を形成する工程において、前記接合金属層は、少なくとも、前記超電導部の少なくとも一方の側面と前記金属安定化層との間に介在させる酸化物超電導線材の製造方法を提供する。
この方法によれば、超電導部の形成が容易となるため、酸化物超電導線材を容易に作製できる。
前記超電導部を前記主部より幅が狭くなるように形成する工程においては、前記超電導部の幅方向の一部を、レーザー加工によって除去する方法をとることができる。
この方法によれば、超電導部の形成が容易となるため、酸化物超電導線材を容易に作製できる。
前記超電導部を前記主部より幅が狭くなるように形成する工程においては、前記超電導部の幅方向の一部を、エッチングによって除去する方法をとることができる。
この方法によれば、超電導部の形成が容易となるため、酸化物超電導線材を容易に作製できる。
本発明の一態様によれば、外部から酸化物超電導線材の幅方向の力を受けたとしても、その影響は酸化物超電導層に及びにくい。そのため、酸化物超電導線材を用いた超電導コイルの特性が悪化するのを回避できる。
第1実施形態の酸化物超電導線材を模式的に示す断面図である。 図1に示す酸化物超電導線材の酸化物超電導積層体の一例を示す斜視図である。 図1に示す酸化物超電導線材の製造工程の一例を模式的に示す工程図である。 前図に続く工程図である。 前図に続く工程図である。 前図に続く工程図である。 第2実施形態の酸化物超電導線材を模式的に示す断面図である。 前図に示す酸化物超電導線材の製造工程の一例を模式的に示す概略図である。 第3実施形態の酸化物超電導線材を模式的に示す断面図である。 前図に示す酸化物超電導線材の製造工程の一例を模式的に示す概略図である。 第1実施形態の酸化物超電導線材の酸化物超電導積層体の変形例を示す断面図である。 実施形態の酸化物超電導線材を備えた超電導コイルを示す概略図である。
本発明に係る酸化物超電導線材の実施形態について、図面に基づいて説明する。以下の説明においては、XYZ直交座標系を採用する。Y方向は線材の長さ方向である。X方向は、線材表面の面内であってY方向と直交する方向であり、線材の幅方向である。Z方向は、X方向およびY方向に直交する方向であり、線材の厚み方向である。
なお、以下の説明で用いる図面は、特徴をわかりやすくするために、便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。以下、酸化物超電導線材を単に「線材」ということがある。本発明は以下の実施形態に限定されない。
[酸化物超電導線材(第1実施形態)]
図1は、第1実施形態の酸化物超電導線材である酸化物超電導線材Aを模式的に示す断面図である。図2は、酸化物超電導線材Aの酸化物超電導積層体1の一例を模式的に示す斜視図である。なお、平面視とは、基材3の厚さ方向に平行に見ることをいう。図1においては、酸化物超電導層5は基材3に対して上側に位置する。C1は酸化物超電導積層体1の幅方向の中央である。
図1および図2に示すように、酸化物超電導線材Aは、酸化物超電導積層体1と、被覆部2とを備えている。
酸化物超電導積層体1は、主部11と、主部11の一方の面11a(図1では上面)に積層された超電導部12とを有する。
主部11は、例えば、基材3と、基材3の一方の面3a(図1では上面)に積層された中間層4とを有する。主部11の面11aは中間層4の表面4aである。基材3と中間層4とは同幅であり、平面視位置(幅方向の位置)が一致している。
基材3は、テープ状であることが好ましく、耐熱性の金属で形成されることが好ましい。基材3をテープ状とすることによって酸化物超電導線材Aに可撓性を与えることができる。基材3を構成する耐熱性金属としては、ニッケル合金が好ましい。特に、市販品であれば、ハステロイ(米国ヘインズ社製商品名)が好適である。基材3の厚さは、例えば10〜500μmである。
中間層4は、下地層と配向層とキャップ層とで形成される構造を一例として適用できる。
下地層を設ける場合は、拡散防止層とベッド層とで形成される複層構造、あるいは、これらのうちどちらか1層で形成される構造を下地層として採用することができる。下地層として拡散防止層を設ける場合、拡散防止層は、窒化ケイ素(Si)、酸化アルミニウム(Al)、GZO(GdZr)等から構成される単層構造あるいは複層構造の層が望ましく、その厚さは、例えば10〜400nmである。
下地層としてベッド層を設ける場合、ベッド層は、耐熱性が高く、界面反応性を低減し、その上に配される膜の配向性を得るために用いる。ベッド層は、例えば、Y、Er、CeO、Dy、Er、Eu、Ho、La等からなる。ベッド層は、これらの材料で形成される単層構造あるいは複層構造を採用できる。ベッド層の厚さは、例えば10〜100nmである。
配向層は、配向層の上に形成する酸化物超電導層5の結晶配向性を制御するバッファー層として機能する。配向層は、酸化物超電導層と格子整合性の良い金属酸化物で形成されることが好ましい。配向層の好ましい材料として、具体的には、GdZr、MgO、ZrO−Y(YSZ)、SrTiO、CeO、Y、Al、Gd、ZrO、Ho、Nd等の金属酸化物を例示できる。配向層は、単層構造でも良いし、複層構造でも良い。
キャップ層は、上述の配向層の表面に成膜されて結晶粒が面内方向に自己配向し得る材料からなり、具体的には、CeO、Y、Al、Gd、ZrO、YSZ、Ho、Nd、LaMnO等からなる。キャップ層の厚さは、例えば50〜5000nmの範囲とすることができる。
超電導部12は、中間層4の表面4aに形成された酸化物超電導層5と、酸化物超電導層5の表面5aに形成された保護層6(第1の保護層)とを有する。酸化物超電導層5と保護層6とは同幅であり、平面視位置(幅方向の位置)が一致している。
酸化物超電導層5は、通常知られている酸化物超電導体の組成を広く適用することができ、REBaCu(REはY、La、Nd、Sm、Er、Gd等の希土類元素を表す)で形成される材料、具体的には、Y123(YBaCu)又はGd123(GdBaCu)を例示することができる。また、その他の酸化物超電導体、例えば、BiSrCan−1Cu4+2n+δで形成される組成等に代表される臨界温度の高い他の酸化物超電導体で形成される材料を用いても良いのは勿論である。酸化物超電導層5の厚みは、0.5〜5μm程度であって、均一な厚みであることが好ましい。
保護層6は、酸化物超電導層5が超電導状態から常電導状態に遷移するとき、酸化物超電導層5の電流を転流させるバイパスとして機能する。保護層6は、例えば銀(Ag)、金(Au)、金と銀との合金、その他の銀合金または金合金からなる。
保護層6の厚さは1〜30μm程度である。保護層6は、酸化物超電導層5の表面5aを覆うように形成されている。
超電導部12の幅(X方向の寸法)は、主部11の幅より狭い。超電導部12の幅方向の端部12b,12b(側縁部)は、例えば平面視において、主部11の幅方向の端部11b,11b(側縁部)よりも幅方向の中央寄りに位置する。そのため、酸化物超電導層5の幅方向の端部5b,5b(側縁部)の平面視位置は、主部11の幅方向の端部11b,11bよりも幅方向の中央C1に近い。
酸化物超電導層5の幅方向の端部5b,5bは、酸化物超電導層5の全長にわたって主部11の幅方向の端部11b,11bよりも中央寄りにあるのが好ましい。
主部11の面11a(中間層4の表面4a)のうち、超電導部12が形成されていない領域を側部表面領域11c,11cという。
主部11の幅方向の端部11bと、酸化物超電導層5の幅方向の端部5bとの幅方向の距離L1は、300μm以上(好ましくは500μm以上)であることが好ましい。距離L1が300μm以上であると、被覆部2の側部が外部からの力を受けても、その影響が酸化物超電導層5に及びにくくなる。例えば、被覆部2の側部に幅方向に10〜100μmの外傷(亀裂)が生じたとしても、その外傷は酸化物超電導層5に達しない。
距離L1は、例えば1000μm以下とすることができる。距離L1が1000μm以下であると、酸化物超電導層5に十分な幅を確保し、酸化物超電導線材Aの臨界電流特性を高めることができる。
なお、主部11の幅方向の端部11bと酸化物超電導層5の幅方向の端部5bとの幅方向の距離L1は、例えば側部表面領域11cの幅に相当する。
酸化物超電導層5の幅W2は、基材3の幅W1の2分の1以上であることが好ましい。これによって、酸化物超電導層5に十分な幅を確保し、酸化物超電導線材Aの臨界電流特性を高めることができる。
図11に示すように、酸化物超電導層5の幅方向の端部5bの端面がYZ平面に対して傾斜している場合には、距離L1は、幅方向の端部5bの最外縁5b1(平面視において幅方向の最も外側の部分)と主部11の幅方向の端部11bとの幅方向の距離であり、幅方向の端部5bと幅方向の端部11bとの最小距離である。この場合の酸化物超電導層5の幅W2は最外縁5b1,5b1どうしの距離である。
なお、図1に示す酸化物超電導線材Aでは、平面視において酸化物超電導層5の幅方向の端部5b,5bの両方が主部11の幅方向の端部11b,11bよりも中央C1に近いが、酸化物超電導層5の幅方向の端部5b,5bのうち一方のみが主部11の幅方向の端部11bより中央C1に近くてもよい。例えば、平面視において、酸化物超電導層5の幅方向の端部5b,5bのうち一方のみが主部11の幅方向の端部11bより中央C1に近く、かつ他方の幅方向の端部5bの平面視位置は主部11の幅方向の端部11bの平面視位置(幅方向の位置)に一致していてもよい。
図1に示すように、被覆部2は、接合金属層7(第2の保護層、被覆金属層)と、接合金属層7の外面に形成された金属安定化層8とを備えている。
接合金属層7は、酸化物超電導積層体1の長さ方向に延在しており、酸化物超電導積層体1を覆って形成されている。接合金属層7は、酸化物超電導積層体1に対する金属安定化層8の密着性を高め、金属安定化層8を酸化物超電導積層体1に強固に接合させる。よって、被覆部2の機械的強度を高め、被覆部2を破損しにくくすることができる。
接合金属層7を構成する材料は、良導電性を有すればよく、特に限定されないが、銅、銅合金(Cu−Zn合金、Cu−Ni合金等)、Au、Au合金等を用いることが好ましい。なかでも、高い導電性を有し、かつ安価であることから銅が好ましい。
金属安定化層8は、酸化物超電導積層体1の長さ方向に延在しており、接合金属層7を介して酸化物超電導積層体1を覆って形成されている。金属安定化層8は、酸化物超電導層5が超電導状態から常電導状態に転移したときに、保護層6とともに、電流を転流するバイパスとして機能する。
金属安定化層8を構成する材料は、良導電性を有すればよく、特に限定されないが、銅、銅合金(Cu−Zn合金、Cu−Ni合金等)、Al、Al合金(Al−Cu合金等)などの比較的安価な材料を用いることが好ましい。なかでも、高い導電性を有し、かつ安価であることから銅が好ましい。金属安定化層8の厚さは特に限定されないが、例えば15〜300μmとすることが好ましい。
金属安定化層8は、めっき法により形成されためっき層であることが好ましい。
被覆部2は、酸化物超電導積層体1の基材3の他方の面3bと、主部11の側面11d,11dと、側部表面領域11c,11cと、超電導部12の側面12b,12bと、超電導部12の表面12a(保護層6の表面6a)とを覆って形成されている。
詳しくは、接合金属層7は、基材3の他方の面3bと、主部11の側面11d,11dと、側部表面領域11c,11cと、超電導部12の側面12b,12bと、超電導部12の表面12a(保護層6の表面6a)とを、隙間なく覆って形成されている。そのため、接合金属層7は、酸化物超電導積層体1の外表面(基材3の他方の面3b、主部11の側面11d,11d、側部表面領域11c,11c、超電導部12の側面12b,12b、超電導部12の表面12a(保護層6の表面6a))と、金属安定化層8との間に介在している。
金属安定化層8は、接合金属層7の全外表面を覆って形成されているため、接合金属層7を介して、基材3の他方の面3bと、主部11の側面11d,11dと、側部表面領域11c,11cと、超電導部12の側面12b,12bと、超電導部12の表面12a(保護層6の表面6a)とを覆っている。
超電導部12の側面12d,12dにおける被覆部2の厚さ(幅方向(X方向))の寸法)T1(接合金属層7と金属安定化層8との合計厚さ)(例えば最大厚さ)は、主部11の幅方向の端部11bと酸化物超電導層5の幅方向の端部5bとの幅方向の距離L1より大きいことが好ましい。
これによって、酸化物超電導線材Aの側部の機械的強度を高め、超電導部12の幅方向の端部12b,12b(特に酸化物超電導層5の幅方向の端部5b,5b)を保護し、損傷を防ぐことができる。
主部11の側面11dに沿う被覆部2の厚さT2は、例えば20μm以上である。被覆部2の厚さT2を20μm以上とすることにより被覆部2が破損しにくくなる。厚さT2は100μm以下とすることができる。厚さT2を100μm以下とすることにより酸化物超電導線材Aの線幅を抑えることができる。
[酸化物超電導線材の製造方法(第1実施形態)]
図1に示す酸化物超電導線材Aを製造する場合を例として、第1実施形態の製造方法を説明する。
(工程1:酸化物超電導積層体の作製)
図3に示す酸化物超電導積層体1Aを、次のようにして作製する。
まず、基材3の一方の面3aに中間層4を形成する。中間層4は、例えば下地層と配向層とキャップ層とを有する。
下地層として拡散防止層を設ける場合、拡散防止層はスパッタ法等の成膜法により形成することができる。下地層としてベッド層を設ける場合、ベッド層はスパッタ法等の成膜法により形成することができる。配向層は、イオンビームアシスト蒸着法(IBAD法)等の物理的蒸着法で形成することができる。キャップ層は、PLD法(パルスレーザ蒸着法)、スパッタリング法等で成膜することができる。PLD法によりCeO層を形成する際には、基材温度約500〜1000℃、約0.6〜100Paの酸素ガス雰囲気中で成膜することができる。
これによって、基材3と中間層4とからなる主部11を得る。
中間層4の表面4aに酸化物超電導層5Aを形成する。酸化物超電導層5Aは、スパッタ法、真空蒸着法、レーザ蒸着法、電子ビーム蒸着法、パルスレーザ堆積法(PLD法)、化学気相成長法(CVD法)、有機金属塗布熱分解法(MOD法)等で積層することができる。酸化物超電導層5Aは、中間層4と同幅であり、平面視位置が中間層4と一致している。
酸化物超電導層5Aの表面5Aaに保護層6Aを形成する。保護層6Aは、DCスパッタ装置、RFスパッタ装置などを用いてスパッタ法により形成することができる。保護層6Aは、酸化物超電導層5Aと同幅であり、平面視位置が酸化物超電導層5Aと一致している。保護層6Aを形成することによって、酸化物超電導層5Aと保護層6Aとからなる超電導部12Aが形成される。
これによって、主部11と超電導部12Aとを有する酸化物超電導積層体1Aを得る。超電導部12Aのうち、酸化物超電導層5Aの幅方向の端部5Ab,5Abと、保護層6Aの幅方向の端部6Ab,6Abとを含む部分を側部分13,13という。側部分13,13は、超電導部12Aの幅方向の端部12Ab,12Abを含む部分であり、酸化物超電導積層体1Aの長さ方向に沿う一定幅の部分である。
(工程2:超電導部12Aの側部分13を除去)
図4に示すように、保護層6Aの表面のうち、側部分13,13を除く領域(中央領域16)にマスク17を形成する。
図5に示すように、エッチング等の化学的加工により側部分13,13を除去する。エッチングには、例えば、酸性またはアルカリ性のエッチング液を用いたウェットエッチング法を採用できる。エッチング液としては、例えば硝酸、硫酸、塩酸、過酸化水素水、アンモニア水などを使用できる。
次いで、マスク17を除去する。これによって、酸化物超電導積層体1を得る。
(工程3:接合金属層7を形成)
図6に示すように、例えばスパッタ法、真空蒸着法等の成膜法により接合金属層7を形成する。
(工程4:金属安定化層8を形成)
めっき法により金属安定化層8(図1参照)を形成する。これによって、接合金属層7と金属安定化層8とからなる被覆部2が形成される。
以上の工程を経て、図1に示す酸化物超電導線材Aを得る。
酸化物超電導線材Aは、酸化物超電導層5が主部11より狭く形成されており、幅方向の端部5b,5bが主部11の幅方向の端部11b,11bより幅方向の中央寄りに位置している。そのため、酸化物超電導線材Aの側部に外部から幅方向の力が加えられても、その影響は酸化物超電導層5に及びにくい。例えば、外部からの力によって被覆部2の側部が損傷を受けても、酸化物超電導層5の剥離が生じることはない。また、被覆部2の側部が損傷を受けても損傷は酸化物超電導層5に達しないため、損傷個所から水分が浸入しても浸水は酸化物超電導層5に及ばない。
酸化物超電導線材Aを用いた複数の超電導コイルを積層すると、通電によりコイル厚み方向(線材の幅方向)の力が作用する可能性があるが、酸化物超電導線材Aは幅方向の力が酸化物超電導層5に影響しにくいため、被覆部2の損傷等を原因として超電導コイルの特性が悪化するのを回避できる。
酸化物超電導線材Aは、接合金属層7によって、酸化物超電導積層体1に対する金属安定化層8の密着性を高め、金属安定化層8を酸化物超電導積層体1に強固に接合させることができる。そのため、酸化物超電導線材Aの側部の機械的強度を高め、超電導部12の幅方向の端部12b,12b(特に酸化物超電導層5の幅方向の端部5b,5b)を保護し、損傷を防ぐことができる。また、酸化物超電導積層体1に対する金属安定化層8の密着性を高めることにより、耐水性を向上させることができる。
前記製造方法によれば、エッチング等の化学的加工により側部分13,13を除去することによって超電導部12を形成するため、超電導部12の形成が容易である。よって、酸化物超電導線材Aを容易に作製できる。
[酸化物超電導線材(第2実施形態)]
図7は、第2実施形態の酸化物超電導線材である酸化物超電導線材Bを模式的に示す断面図である。なお、第1実施形態と同じ構成については同じ符号を付して説明を省略する。
図7に示すように、酸化物超電導線材Bは、酸化物超電導積層体1と、被覆部22とを備えている。酸化物超電導線材Bは、被覆部22以外は第1実施形態の酸化物超電導線材Aと同じ構成である。
被覆部22は、第1接合金属層7と、第2接合金属層27と、金属安定化層28とを備えている。
第1接合金属層7は、第1実施形態の酸化物超電導線材Aにおける接合金属層7と同じ構成としてよい。
第2接合金属層27を構成する材料としては、例えば、Sn系、Sn−Pb系、Sn−Ag−Cu系、Sn−Bi系、In系、Sn−In系などの半田が使用できる。第2接合金属層27は、第1接合金属層7を介して、酸化物超電導積層体1を覆って形成されている。第2接合金属層27は、第1接合金属層7と金属安定化層28との間を埋めるように充填されている。
接合金属層7,27は、酸化物超電導積層体1に対する金属安定化層28の密着性を高め、金属安定化層28を酸化物超電導積層体1に強固に接合させる。よって、被覆部22の機械的強度を高め、被覆部22を破損しにくくすることができる。
金属安定化層28は、酸化物超電導積層体1の長さ方向に延在しており、接合金属層7,27を介して酸化物超電導積層体1を覆って形成されている。
金属安定化層28は、酸化物超電導層5が超電導状態から常電導状態に転移したときに、保護層6とともに、電流を転流するバイパスとして機能する。金属安定化層28を構成する材料は、良導電性を有すればよく、特に限定されないが、銅、銅合金(Cu−Zn合金、Cu−Ni合金等)、Al、Al合金(Al−Cu合金等)などの比較的安価な材料を用いることが好ましい。なかでも、高い導電性を有し、かつ安価であることから銅が好ましい。
金属安定化層28の厚さは特に限定されないが、例えば15〜300μmとすることが好ましい。
金属安定化層28は、基部28aと、側部28b,28bと、対向部28c,28cとを有する。
基部28aは、接合金属層7,27を介して、酸化物超電導積層体1の酸化物超電導層5側の面(図7の上面)を覆っている。側部28b,28bは、接合金属層7,27を介して酸化物超電導積層体1の側面を覆っている。対向部28c,28cは、接合金属層7,27を介して酸化物超電導積層体1の基材3側の面の一部または全部を覆っている。金属安定化層28は、例えば金属テープを、横断面が略C字型となるように折り曲げて形成されている。
酸化物超電導積層体1の幅方向の中央部であって金属安定化層28の対向部28c,28c間には、対向部28c,28c間の空間を埋めるように埋込層29が形成されている。埋込層29は、半田(Sn系等)などからなり、接合金属層27と一体化されていてもよい。
[酸化物超電導線材の製造方法(第2実施形態)]
図7に示す酸化物超電導線材Bを製造する場合を例として、第2実施形態の製造方法を説明する。
(工程1:酸化物超電導積層体の作製)
第1実施形態の製造方法の工程1と同様にして、図3に示す酸化物超電導積層体1Aを得る。
(工程2:超電導部12Aの側部分13を除去)
第1実施形態の製造方法の工程2と同様にして、超電導部12Aの側部分13,13を除去し、酸化物超電導積層体1を得る(図4および図5参照)。
(工程3:第1接合金属層7を形成)
第1実施形態の製造方法の工程3と同様にして、第1接合金属層7を形成する(図6参照)。
(工程4:第2接合金属層27および金属安定化層28を形成)
図8に示すように、酸化物超電導積層体1より幅が広い被覆テープ2Aを用意する。
被覆テープ2Aは、金属テープ28Aと、金属テープ28Aの表面に形成された接合金属層27Aとを有する。接合金属層27Aは、半田(Sn系等)などの金属からなり、めっき法等により形成することができる。
被覆テープ2Aを酸化物超電導積層体1の長さ方向(Y方向)に沿って配置し、酸化物超電導積層体1を包み込んで横断面C字状に折り曲げる。
加熱により接合金属層27Aを溶融させる。溶融金属(半田等)は酸化物超電導積層体1と金属テープ28Aとの間隙に充填され、第2接合金属層27となる。前記溶融金属、および必要に応じて添加された金属(半田等)によって埋込層29を形成することができる。金属テープ28Aは金属安定化層28となる。これにより、図7に示す酸化物超電導線材Bが得られる。
酸化物超電導線材Bは、第1実施形態の酸化物超電導線材Aと同様に、酸化物超電導層5の幅方向の端部5b,5bが主部11の幅方向の端部11b,11bより幅方向の中央寄りに位置しているため、外部から線材の幅方向の力を受けたとしても、その影響は酸化物超電導層5に及びにくい。そのため、酸化物超電導線材Aを用いた超電導コイルの特性が悪化するのを回避できる。
酸化物超電導線材Bは、第1実施形態の酸化物超電導線材Aと同様に、第1接合金属層7によって、酸化物超電導積層体1に対する金属安定化層28の密着性を高め、金属安定化層28を酸化物超電導積層体1に強固に接合させることができる。そのため、酸化物超電導線材Bの側部の機械的強度を高め、超電導部12の幅方向の端部12b,12b(特に酸化物超電導層5の幅方向の端部5b,5b)を保護し、損傷を防ぐことができる。また、酸化物超電導積層体1に対する金属安定化層28の密着性を高めることにより、耐水性を向上させることができる。
[酸化物超電導線材(第3実施形態)]
図9は、第3実施形態の酸化物超電導線材である酸化物超電導線材Cを模式的に示す断面図である。なお、第1実施形態または第2実施形態と同じ構成については同じ符号を付して説明を省略する。
図9に示すように、酸化物超電導線材Cは、酸化物超電導積層体31と、被覆部32とを備えている。
酸化物超電導積層体31は、主部41と、主部41の一方の面41a(図9では上面)に積層された超電導部42とを有する。
主部41は、基材3からなる。主部41の面41aは基材3の表面3aである。
超電導部42は、基材3の表面3aに形成された中間層34と、中間層34の表面34aに形成された酸化物超電導層5と、酸化物超電導層5の表面5aに形成された保護層6とを有する。中間層34と酸化物超電導層5と保護層6とは同幅であり、平面視位置が一致している。
中間層34は、幅以外は、第1実施形態の酸化物超電導線材Aにおける中間層4と同じ構成とすることができる。
超電導部42の幅(X方向の寸法)は、主部41より幅が狭い。超電導部42の幅方向の端部42b,42bは、平面視において、主部41の幅方向の端部41b,41bよりも幅方向の中央寄りに位置する。そのため、酸化物超電導層5の幅方向の端部5b,5bの平面視位置は、主部41の幅方向の端部41b,41bよりも幅方向の中央C1に近い。
主部41の面41a(基材3の面3a)のうち、超電導部42が形成されていない領域を側部表面領域41c,41cという。
被覆部32は、接合金属層37と、接合金属層37の外面に形成された金属安定化層8とを備えている。
接合金属層37は、第1実施形態の酸化物超電導線材Aにおける接合金属層7と同じ構成としてよい。
被覆部32は、基材3の他方の面3bと、主部41の側面41d,41dと、側部表面領域41c,41cと、超電導部42の側面42b,42bと、超電導部42の表面42a(保護層6の表面6a)とを覆って形成されている。
[酸化物超電導線材の製造方法(第3実施形態)]
図9に示す酸化物超電導線材Cを製造する場合を例として、第3実施形態の製造方法を説明する。
(工程1:酸化物超電導積層体の作製)
第1実施形態の製造方法(第1の例)の工程1と同様にして、図3に示す酸化物超電導積層体1Aを得る。本工程では、酸化物超電導積層体1Aの中間層4と酸化物超電導層5Aと保護層6Aとを超電導部42Aという。
(工程2:超電導部42Aの側部分43を除去)
図10に示すように、レーザー加工機(レーザー照射装置)14を用いて、超電導部42Aの幅方向の端部42Ab,42Abを含む側部分43,43にレーザー光15を照射し、側部分43,43を除去する。側部分43,43は、酸化物超電導層5Aの幅方向の端部5Ab,5Abと、保護層6Aの幅方向の端部6Ab,6Abと、中間層4の幅方向の端部4b,4bとを含む一定幅の部分である。
これによって、酸化物超電導積層体31を得る。
(工程3,4:接合金属層37および金属安定化層8を形成)
第1実施形態の製造方法の工程3,4と同様にして、接合金属層37および金属安定化層8を形成する。
以上の工程を経て、図9に示す酸化物超電導線材Cを得る。
酸化物超電導線材Cは、第1実施形態の酸化物超電導線材Aと同様に、酸化物超電導層5の幅方向の端部5b,5bが主部41の幅方向の端部41b,41bより中央寄りに位置しているため、外部から線材の幅方向の力を受けたとしても、その影響は酸化物超電導層5に及びにくい。そのため、酸化物超電導線材Cを用いた超電導コイルの特性が悪化するのを回避できる。
酸化物超電導線材Cは、第1実施形態の酸化物超電導線材Aと同様に、接合金属層37によって、酸化物超電導積層体1に対する金属安定化層8の密着性を高め、金属安定化層8を酸化物超電導積層体1に強固に接合させることができる。そのため、酸化物超電導線材Aの側部の機械的強度を高め、超電導部42の幅方向の端部42b,42b(特に酸化物超電導層5の幅方向の端部5b,5b)を保護し、損傷を防ぐことができる。また、酸化物超電導積層体1に対する金属安定化層28の密着性を高めることにより、耐水性を向上させることができる。
酸化物超電導線材Cでは、被覆部32が基材3に直接、接合されているため、酸化物超電導線材A,Bに比べて、酸化物超電導線材Cの側部の機械的強度をさらに高めることができる。また、耐水性をさらに高めることができる。
図12は、超電導コイルの一例である超電導コイル100を示す図である。
超電導コイル100は、複数のコイル体101が積層されて構成されている。
コイル体101は、酸化物超電導線材102が巻回されて構成されている。酸化物超電導線材102としては、図1、図7、および図9に示す酸化物超電導線材A,B,Cのうち少なくとも1つを使用できる。
コイル体101は、パンケーキコイルであって、酸化物超電導線材102が厚さ方向に積層されて巻回されている。パンケーキコイルとは、テープ状の酸化物超電導線材を重ね巻きするように巻回して構成されたコイルである。図12に示す超電導コイル100のコイル体101は円環状である。複数のコイル体101は、互いに電気的に接続されていてよい。
超電導コイル100は、複数のコイル体101が積層されて構成されているため、通電によりコイル厚み方向(線材の幅方向)の大きな圧縮力がコイル体101に作用する可能性があるが、酸化物超電導線材A,B,Cは幅方向の力が酸化物超電導層5に影響しにくいため、被覆部2の損傷等を原因として超電導コイル100の特性が悪化するのを回避できる。
以上、本発明の実施形態を説明したが、実施形態における構成は一例であり、本発明の趣旨から逸脱しない範囲内で、構成の付加、省略、置換、およびその他の変更が可能である。
例えば、図1に示す酸化物超電導線材Aでは、保護層6と接合金属層7とは少なくとも一部が一体化されていてもよい。保護層6と接合金属層7とは総括して保護層と呼んでもよい。
図7に示す酸化物超電導線材Bでは、保護層6と第1接合金属層7と第2接合金属層27とは少なくとも一部が一体化されていてもよい。保護層6と第1接合金属層7と第2接合金属層27のうち2以上は総括して保護層と呼んでもよい。
酸化物超電導線材Cでは、金属テープの両面に接合金属層が設けられた構造の被覆テープを採用したが、被覆テープは、金属テープの両面に接合金属層が設けられた構造であってもよい。
図12に示す超電導コイル100のコイル体101は、コイル体101の中心軸と平行に見て円環状であるが、コイル体101の形状は円環状に限らず、長円状(レーストラック状)、楕円状などとしてもよい。超電導コイル100を構成するコイル体101の数は2以上の任意の数であってよい。
図1に示す酸化物超電導線材Aでは、 酸化物超電導層5の幅方向の端部5bは、酸化物超電導層5の全長にわたって主部11の幅方向の端部11bよりも中央寄りにあるのが好ましいが、長さ方向の一部のみが主部11の幅方向の端部11bよりも中央寄りにある場合でも、被覆部2の損傷等に起因する特性劣化を防ぐ効果は得られる。
図1に示す酸化物超電導線材Aの接合金属層7は、酸化物超電導積層体1の全外表面を覆っているが、接合金属層が覆う領域は、酸化物超電導積層体の全外表面でなくてもよい。接合金属層は、例えば、少なくとも、超電導部の少なくとも一方の側面を覆う構成とすることができる。その場合、接合金属層は、少なくとも、超電導部の少なくとも一方の側面と、金属安定化層との間に介在する。
接合金属層は、少なくとも、超電導部の少なくとも一方の側面と、少なくとも一方の側部表面領域とを覆う構成であってもよい。その場合、接合金属層は、少なくとも、超電導部の少なくとも一方の側面および少なくとも一方の側部表面領域と、金属安定化層との間に介在する。
図1に示す酸化物超電導線材Aを作製するにあたっては、図3〜図6に示すように、エッチングによって超電導部12Aの側部分13を除去する方法を例示したが、第3実施形態の製造方法と同様に、レーザー加工を採用してもよい。
1…酸化物超電導積層体、5…酸化物超電導層、5b…酸化物超電導層の幅方向の端部、7…接合金属層、第1接合金属層、8,28…金属安定化層、11…主部、11a…主部の一方の面、11b…主部の幅方向の端部、11d…側面、12,12A…超電導部、14…レーザー加工機、27…第2接合金属層、28A…金属テープ、100…超電導コイル、A,B,C…酸化物超電導線材、C1…幅方向の中央、L1…主部の幅方向の端部と酸化物超電導層の幅方向の端部との幅方向の距離、T1…超電導部の側面における被覆部の厚さ(超電導部の側面における接合金属層および金属安定化層の合計厚さ)。

Claims (9)

  1. 酸化物超電導積層体と、前記酸化物超電導積層体を覆う金属安定化層と、前記金属安定化層を前記酸化物超電導積層体に接合する接合金属層とを備え、
    前記酸化物超電導積層体は、テープ状の基材を有する主部と、酸化物超電導層を有する超電導部とを有し、
    前記超電導部は前記主部より幅が狭く、前記主部の一方の面に積層され、
    前記接合金属層は、少なくとも、前記超電導部の少なくとも一方の側面と前記金属安定化層との間に介在している、酸化物超電導線材。
  2. 前記超電導部の側面における前記接合金属層および前記金属安定化層の合計厚さは、前記主部の幅方向の端部と前記酸化物超電導層の幅方向の端部との幅方向の距離より大きい、請求項1に記載の酸化物超電導線材。
  3. 前記酸化物超電導層の幅方向の端部の少なくとも一方は、平面視において前記主部の幅方向の端部より300μm以上、幅方向の中央寄りに位置している、請求項1または2に記載の酸化物超電導線材。
  4. 前記金属安定化層は、めっき層である、請求項1〜3のうちいずれか1項に記載の酸化物超電導線材。
  5. 前記金属安定化層は、金属テープからなる、請求項1〜3のうちいずれか1項に記載の酸化物超電導線材。
  6. 前記請求項1〜5のうちいずれか1項に記載の酸化物超電導線材を備えた、超電導コイル。
  7. テープ状の基材を有する主部と、酸化物超電導層を有する超電導部とを備え、前記超電導部が前記主部の一方の面に積層された酸化物超電導積層体を作製する工程と、
    前記超電導部の幅方向の一部を除去することにより、前記超電導部を前記主部より幅が狭くなるように形成する工程と、
    前記酸化物超電導積層体を覆う金属安定化層と、前記金属安定化層を前記酸化物超電導積層体に接合する接合金属層とを形成する工程と、を有し、
    前記金属安定化層および接合金属層を形成する工程において、前記接合金属層は、少なくとも、前記超電導部の少なくとも一方の側面と前記金属安定化層との間に介在させる、酸化物超電導線材の製造方法。
  8. 前記超電導部を前記主部より幅が狭くなるように形成する工程において、前記超電導部の幅方向の一部を、レーザー加工によって除去する、請求項7に記載の酸化物超電導線材の製造方法。
  9. 前記超電導部を前記主部より幅が狭くなるように形成する工程において、前記超電導部の幅方向の一部を、エッチングによって除去する、請求項7に記載の酸化物超電導線材の製造方法。
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