JP2018195612A - 超電導コイル - Google Patents

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Abstract

【課題】酸化物超電導線材における層の剥離等の損傷による劣化が起こりにくい超電導コイルを提供する。【解決手段】超電導線材10が厚さ方向に積層された超電導コイル。超電導線材10は、テープ状の基材に中間層を介して超電導層が形成された超電導積層体15と、超電導積層体15の少なくとも側面15bを覆う安定化層16とを備える。安定化層16のうち超電導積層体15の側面15bを覆う側面部16Bにおける内部の残留応力F2は、超電導積層体15の厚さ方向に沿う引張応力である。残留応力F2は、前記超電導コイルの径方向の最大印加応力より大きい。【選択図】図2

Description

本発明は、超電導コイルに関する。
超電導線材(例えばY系酸化物超電導線材)は電流損失が低いため、電力供給用ケーブル、磁気コイル等として使用されている(例えば、特許文献1を参照)。超電導線材は、コイル化後、冷却の際に含浸材と線材との熱収縮率の差を原因とする剥離応力により劣化する可能性がある。また、前記超電導線材は、コイルの製造過程で巻き枠の鍔部、送出(または巻取)リールの鍔部などと接触することにより、エッジ部において積層構造体の一部の層に剥離等の損傷が生じ、損傷部分から劣化が進行する可能性がある。
特開2010−212134号公報
本発明の一態様は、上記事情に鑑みてなされたものであり、酸化物超電導線材における層の剥離等の損傷による劣化が起こりにくい超電導コイルを提供することを課題とする。
本発明の一態様は、超電導線材が厚さ方向に積層された超電導コイルであって、前記超電導線材が、テープ状の基材に中間層を介して超電導層が形成された超電導積層体と、前記超電導積層体の少なくとも側面を覆う安定化層とを備え、前記安定化層のうち前記超電導積層体の側面を覆う側面部における内部の残留応力は、前記超電導積層体の厚さ方向に沿う引張応力であり、前記残留応力は、前記超電導コイルの径方向の最大印加応力より大きい、超電導コイルを提供する。
前記残留応力は、0.2MPa以上であることが好ましい。
前記安定化層は、めっき層であることが好ましい。
本発明の一態様によれば、酸化物超電導線材の安定化層の内部の残留応力は引張応力であり、その残留応力は、超電導コイルの径方向の最大印加応力より大きい。そのため、残留応力と反対方向の反発力によって、超電導積層体の剥離応力が緩和され、酸化物超電導層等の剥離等の破損を回避することができる。よって、前記破損による劣化を防ぐことができる。
実施形態の超電導コイルに用いられる酸化物超電導線材の構造を示す概略図である。 図1の酸化物超電導線材の断面を模式的に示す図である。 実施形態の超電導コイルを示す概略図である。
以下、好適な実施形態に基づき、図面を参照して本発明を説明する。
図1は、実施形態の超電導コイルに用いられる酸化物超電導線材(超電導線材)の構造を示す概略図である。図1は、酸化物超電導線材10の長手方向に垂直な断面の構造を模式的に示している。
図1に示すように、酸化物超電導線材10は、超電導積層体15と、安定化層16とを備えている。
超電導積層体15は、基材11上に中間層12を介して酸化物超電導層13および保護層14が形成された構造を有する。詳しくは、超電導積層体15は、テープ状の基材11の一方の面上に、中間層12と酸化物超電導層13と保護層14がこの順に積層された構成を有する。
以下、必要に応じてXY座標系に基づいて各方向の説明を行う。Y方向は、酸化物超電導線材10の厚さ方向であり、基材11、中間層12、酸化物超電導層13、保護層14等の各層が積層される方向である。X方向は、酸化物超電導線材10の幅方向であり、酸化物超電導線材10の長手方向および厚さ方向に垂直な方向である。
基材11は、テープ状であり、例えば金属で形成されている。基材11を構成する金属の具体例として、ハステロイ(登録商標)に代表されるニッケル合金;ステンレス鋼;ニッケル合金に集合組織を導入した配向Ni−W合金などが挙げられる。基材11の厚さは、目的に応じて適宜調整すればよく、例えば10〜500μmの範囲である。
中間層12は、基材11と酸化物超電導層13との間に設けられる。中間層12は、基材11の一方の主面11aに形成される。中間層12は、多層構成でもよく、例えば基材11側から酸化物超電導層13側に向かう順で、拡散防止層、ベッド層、配向層、キャップ層等を有してもよい。これらの層は必ずしも1層ずつ設けられるとは限らず、一部の層を省略する場合や、同種の層を2以上繰り返し積層する場合もある。
拡散防止層は、基材11の成分の一部が拡散し、不純物として酸化物超電導層13側に混入することを抑制する機能を有する。拡散防止層は、例えば、Si、Al、GZO(GdZr)等から構成される。拡散防止層の厚さは、例えば10〜400nmである。
拡散防止層の上には、基材11と酸化物超電導層13との界面における反応を低減し、その上に形成される層の配向性を向上するためにベッド層を形成してもよい。ベッド層の材質としては、例えばY、Er、CeO、Dy、Eu、Ho、La等が挙げられる。ベッド層の厚さは、例えば10〜100nmである。
配向層は、その上のキャップ層の結晶配向性を制御するために2軸配向する物質から形成される。配向層の材質としては、例えば、GdZr、MgO、ZrO−Y(YSZ)、SrTiO、CeO、Y、Al、Gd、Zr、Ho、Nd等の金属酸化物を例示することができる。配向層はIBAD(Ion-Beam-Assisted Deposition)法で形成することが好ましい。
キャップ層は、上述の配向層の表面に成膜されて、結晶粒が面内方向に自己配向し得る材料からなる。キャップ層の材質としては、例えば、CeO、Y、Al、Gd、ZrO、YSZ、Ho、Nd、LaMnO等が挙げられる。キャップ層の厚さは、50〜5000nmの範囲が挙げられる。
酸化物超電導層13は、酸化物超電導体から構成される。酸化物超電導体としては、特に限定されないが、例えば一般式REBaCu(RE123)で表されるRE−Ba−Cu−O系酸化物超電導体が挙げられる。希土類元素REとしては、Y、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Luのうちの1種又は2種以上が挙げられる。中でも、Y、Gd、Eu、Smの1種か、又はこれら元素の2種以上の組み合わせが好ましい。一般に、Xは、7−x(酸素欠損量x:約0〜1程度)である。酸化物超電導層13の厚さは、例えば0.5〜5μm程度である。この厚さは、長手方向に均一であることが好ましい。
酸化物超電導層13は、中間層12の主面12a(基材11側とは反対の面)に形成されている。
保護層14は、事故時に発生する過電流をバイパスしたり、酸化物超電導層13と保護層14の上に設けられる層との間で起こる化学反応を抑制する等の機能を有する。保護層14の材質としては、例えば銀(Ag)、銅(Cu)、金(Au)、金と銀との合金、その他の銀合金、銅合金、金合金などが挙げられる。保護層14は、少なくとも酸化物超電導層13の主面13a(中間層12側とは反対の面)を覆っている。
保護層14は、酸化物超電導層13の側面、中間層12の側面、基材11の側面及び裏面から選択される領域の一部または全部を覆ってもよい。保護層14は2種以上又は2層以上の金属層から構成されてもよい。保護層14の厚さは、特に限定されないが、例えば1〜30μm程度が挙げられる。
超電導積層体15の長手方向に垂直な断面の形状は矩形状である。超電導積層体15は、厚さより幅の方が大きい矩形状、すなわち平角型の断面を有する。図1において、15aは超電導積層体15の第1主面(保護層14の主面14a:酸化物超電導層13側とは反対の面)である。15bは超電導積層体15の側面(基材11の側面、中間層12の側面、酸化物超電導層13の側面、および保護層14の側面)である。15cは超電導積層体15の第2主面(基材11の主面11aとは反対の面)である。
安定化層16は、超電導積層体15を覆って形成される。安定化層16は、保護層14の表面(主面14a)、保護層14の側面、酸化物超電導層13の側面、中間層12の側面、基材11の側面、基材11の裏面(基材11の主面11aとは反対の面)から選択される領域の一部または全部を覆う。安定化層16の厚さとしては、特に限定されないが、例えば10〜300μm程度が挙げられる。
安定化層16は、酸化物超電導層13が常電導状態に転移した時に発生する過電流を転流させるバイパス部としての機能を有する。安定化層16の構成材料としては、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金、銀等の金属が挙げられる。
酸化物超電導線材10が超電導限流器に使用される場合は、常電導状態への転移時に発生する過電流を瞬時に抑制する必要があるため、安定化層16に高抵抗金属を用いてもよい。高抵抗金属としては、例えば、Ni−Cr等のNi系合金などが挙げられる。
安定化層16によって、酸化物超電導層13と安定化層16との間の電気的接続が良好となる。安定化層16は、酸化物超電導層13の側面を覆っているため、酸化物超電導層13の剥離防止性、防水性が向上する。
安定化層16のうち超電導積層体15の第1主面15aを覆う部分を第1主面部16Aという。安定化層16のうち超電導積層体15の側面15bを覆う部分を側面部16Bという。安定化層16のうち超電導積層体15の第2主面15cを覆う部分を第2主面部16Cという。
図2は、酸化物超電導線材10の断面を模式的に示す図である。図2に示すように、F1,F2は、安定化層16の内部の残留応力である。詳しくは、F1は、第1主面部16Aおよび第2主面部16Cの残留応力である。F2は、側面部16Bの残留応力である。
残留応力F1,F2は、引張方向の応力(引張応力)である。すなわち、残留応力F1は、第1主面部16Aおよび第2主面部16Cにおける幅(X方向の寸法)が拡張する方向の引張応力である。残留応力F2は、側面部16Bにおいて厚さ寸法(Y方向の寸法)が増す方向の引張応力である。超電導積層体15には、図2に破線の矢印で示すように、残留応力F1,F2と反対方向の反発力が生じる。
残留応力F1,F2は、0.2MPa以上であることが好ましい。
超電導コイルでは、線材表面に離型処理を施すことなどにより外部応力を緩和することが可能であるが、前述のコイル冷却時の剥離応力については回避するのが容易ではない。これに対し、残留応力F1,F2が0.2MPa以上であると、前記剥離応力を十分に緩和でき、前記剥離を防ぐことができる。
なお、酸化物超電導線材10では、残留応力F1,F2がともに引張応力であるが、少なくとも残留応力F2が引張応力であればよい。
安定化層16の少なくとも一部は、超電導積層体15の外周面に、めっきによって形成されためっき層であることが好ましい。安定化層16がめっき層であると、残留応力F1,F2の調整が容易となる。
安定化層16は、電解めっきにより形成することができる。安定化層16の少なくとも一部は、スパッタ法または無電解めっきにより形成した金属膜の上にさらに電解めっきにより金属膜を形成する方法によって形成してもよい。
安定化層16を電解めっきにより形成するには、例えば次の方法が可能である。めっき浴に超電導積層体15を浸漬させ、超電導積層体15を引き取りつつ、超電導積層体15の外周面に、電解めっきにより安定化層16を形成する。この際、(i)めっき浴に添加する添加剤の種類および濃度、(ii)めっき浴の温度、(iii)めっき浴のpH、(iv)めっき処理時の電流密度、(v)めっき時間、などの調整によって、安定化層16の残留応力F1,F2を調整できる。例えば、銅(Cu)めっきの場合、安定化層16の残留応力は、アルカリ性浴(シアン浴等)では圧縮応力となりやすく、酸性浴(硫酸銅浴等)では引張応力となりやすい。
なお、めっきにより形成された金属層における残留応力とめっき条件との関係については、例えば、[参考文献1]実務表面技術 Vol.22(1975) No.2 やさしいメッキ理論入門(6)、[参考文献2]表面技術 Vol.43,No.7,1992 電気めっきにより形成された皮膜の内部応力、などに記載がある。
安定化層16の残留応力F1,F2の測定には、ストリップ電着応力測定法を用いることができる。ストリップ電着応力測定法については、前述の参考文献2に記載がある。ストリップ電着応力測定法による残留応力の測定には、例えば、藤化成株式会社「ストリップ式電着応力試験器」を使用できる。
安定化層16の残留応力F1,F2の測定方法としては、スパイラルコントラクトメーター法、X線回折法なども採用可能である。
図3は、実施形態の超電導コイルの一例である超電導コイル100を示す図である。
超電導コイル100は、複数のコイル体101が積層されて構成されている。コイル体101は、パンケーキコイルであって、図1に示す酸化物超電導線材10が厚さ方向に積層されて巻回されている。パンケーキコイルとは、テープ状の酸化物超電導線材を重ね巻きするように巻回して構成されたコイルである。図3に示す超電導コイル100のコイル体101は円環状である。コイル体101は、含浸樹脂層(図示略)で覆われている。含浸樹脂層は、エポキシ樹脂、フェノール樹脂等からなる。複数のコイル体101は、互いに電気的に接続されていてよい。超電導コイル100は、超電導機器(図示略)に使用できる。
超電導コイル100において、安定化層16の残留応力F2は、コイル径方向の最大印加応力より大きい。
コイル径方向の最大印加応力は、超電導コイルの内径/外径の比を調整することによって設定できる。コイルの内径/外径の比と、コイル径方向の印加応力との関係については、例えば、次に示す参考文献3〜5に記載されている。
[参考文献3]Generalized plane strain analysis of superconducting solenoids JOURNAL OF APPLIED PHYSICS vol.86、number12
[参考文献4]Degradation-Free Impregnated YBCO Pancake Coils by Decreasing Radial Stress in the Windings and Method for Evaluating Delamination Strength of YBCO-Coated Conductors IEEE TRANSACTIONS ON APPLIED SUPERCONDUCTIVITY, VOL. 24, NO. 3,JUNE 2014
[参考文献5]Delamination Strengths of Different Types of REBCO-Coated Conductors and Method for Reducing Radial Thermal Stresses of Impregnated REBCO Pancake Coils DOI 10.1109/TASC.2014.2372048, IEEE Transactions on Applied Superconductivity
超電導コイル100を作製するには、酸化物超電導線材10を巻き枠に必要な層数巻き付けて多層巻きコイルを構成した後、巻き付けた酸化物超電導線材10を覆うようにエポキシ樹脂等の樹脂を含浸させて、酸化物超電導線材10を固定する方法を採用できる。
超電導コイル100は、酸化物超電導線材10の安定化層16の内部の残留応力F2が引張応力であり、残留応力F2は、超電導コイルの径方向の最大印加応力より大きい。そのため、次に示す効果を奏する。
酸化物超電導線材がコイル状に巻き回され、エポキシ樹脂などの樹脂が含浸された超電導コイルでは、冷却時に酸化物超電導線材と樹脂の熱膨張係数の差に起因して、冷却時に、例えば超電導積層体の層が剥離する方向の応力(剥離応力)が働くことがある。また、酸化物超電導線材は、コイルの製造過程で巻き枠の鍔部、送出(または巻取)リールの鍔部などと接触することにより、エッジ部(側面部)において一部の層に剥離等の損傷が生じるおそれがある。
本実施形態の超電導コイル100では、残留応力F2が超電導コイルの径方向の最大印加応力より大きいため、残留応力F2と反対方向の反発力によって、超電導積層体15の剥離応力が緩和され、酸化物超電導層13等の剥離等の破損を回避することができる。よって、前記破損による劣化を防ぐことができる。
以下、図1に示す酸化物超電導線材10を用いて構成した超電導コイルの試験結果について説明する。なお、本発明は以下に示す実施例に限定されない。
(試験例1〜4)
ハステロイC−276(商品名:米国ヘインズ社製)からなる幅12mm、長さ300m、厚さ75μmのテープ状の基材を用意した。基材の表面を、アルミナからなる研磨剤(平均粒径3μm)を用いて研磨処理した後、有機溶剤(エタノールまたはアセトン)によって脱脂、洗浄した。
次のようにして、基材の主面に中間層を形成した。中間層は、拡散防止層、ベッド層、配向層およびキャップ層をこの順に積層した構成である。
イオンビームスパッタ法により、基材の上にAlからなる厚さ100nmの拡散防止層を形成した。次いで、イオンビームスパッタ法により、拡散防止層の上にYからなる厚さ30nmのベッド層を形成した。次いで、IBAD法により、ベッド層の上にMgOからなる厚さ5〜10nmの配向層を形成した。次いで、配向層の上に、PLD法(パルスレーザ蒸着法)によりCeOからなる厚さ500nmのキャップ層を形成した。
キャップ層の上に、PLD法によりGdBaCu7−xからなる厚さ2μmの酸化物超電導層を形成した。
次いで、酸化物超電導層の上に、DCスパッタ法によりAgからなる厚さ2μmの保護層を形成し、超電導積層体(原材:幅12mm)を得た。
この超電導積層体(原材)を、加熱炉内にて酸素雰囲気中で酸素アニール処理(500℃、10時間)し、26時間の炉冷後、加熱炉から取り出した。
超電導積層体(原材)を3つの超電導積層体(幅4mm)に分割した。
この超電導積層体の外周面(基材裏面および超電導積層体の側面)に、DCスパッタ法により、Cu膜(基材裏面に厚さ1μm、超電導積層体の側面に厚さ0.3μm)を形成した。
長さ300mの超電導積層体を長さ方向の中央で切断し、長さ150mの超電導積層体を得た。
複数の超電導積層体の外周面に、Cuからなる厚さ20μmの安定化層を電解めっきにより形成し、酸化物超電導線材を得た。安定化層を形成する際のめっき条件(安定化層の構成材料、めっき浴)を表1に示す。
酸化物超電導線材を内径30mmの巻き枠に巻き付け、コイル本体を作製した。このコイル本体にエポキシ樹脂を真空含浸して超電導コイルを得た。
コイル径方向の最大印加応力が異なる超電導コイルを、試験例1〜4についてそれぞれ10個作製し、そのうち劣化した超電導コイルの数を記録した。
劣化の判定は、液体窒素中で測定したn値(10−8〜10−6V/cm範囲)の結果に基づく。n値とは、I−V特性の近似曲線をべき乗数で表したときの乗数であり、このn値が変わると局所的にコイルの内部の線材から電圧が発生した(酸化物超電導線材が劣化した)と判断できる指標である。測定されたn値が20以下である場合に、酸化物超電導線材が劣化したと判定した。
コイル径方向の最大印加応力は、超電導コイルの内径/外径の比を調整することによって設定した。
安定化層の残留応力(図2に示す残留応力F2)を測定した。残留応力は、藤化成株式会社「ストリップ式電着応力試験器」を使用し、ストリップ電着応力測定法によって測定した。
表1における「圧縮」は圧縮応力を意味し、「引張」は引張応力を意味する。残留応力は、圧縮応力については負の数で表し、引張応力については正の数で表す。
Figure 2018195612
表1に示すように、安定化層の残留応力(図2に示す残留応力F2)が引張応力であって、その残留応力が、超電導コイルの径方向の最大印加応力より大きい試験例では、コイルの劣化が起きなかったことが確認された。
以上、本発明を好適な実施形態に基づいて説明してきたが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
図2に示す酸化物超電導線材10では、残留応力F1と残留応力F2の両方が引張応力であるが、残留応力F2のみが引張応力であってもよい。
安定化層は、めっき以外の方法(例えばスパッタ法等)によって形成されていてもよいが、めっきによって形成するのが好ましい。
安定化層は、超電導積層体のすべての面(第1主面、側面および第2主面)を覆う構成が好ましいが、少なくとも超電導積層体の側面を覆う構成であればよい。例えば、安定化層は超電導積層体の第1主面と両側面を覆う構成であってもよい。
10…酸化物超電導線材、11…基材、12…中間層、13…酸化物超電導層、14…保護層、15…超電導積層体、16…安定化層、16B…側面部、F2…残留応力。

Claims (3)

  1. 超電導線材が厚さ方向に積層された超電導コイルであって、
    前記超電導線材は、テープ状の基材に中間層を介して超電導層が形成された超電導積層体と、前記超電導積層体の少なくとも側面を覆う安定化層とを備え、
    前記安定化層のうち前記超電導積層体の側面を覆う側面部における内部の残留応力は、前記超電導積層体の厚さ方向に沿う引張応力であり、
    前記残留応力は、前記超電導コイルの径方向の最大印加応力より大きい、超電導コイル。
  2. 前記残留応力は、0.2MPa以上である、請求項1に記載の超電導コイル。
  3. 前記安定化層は、めっき層である、請求項1または2に記載の超電導コイル。
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