JP2017183038A - 超電導線材の製造方法および超電導線材 - Google Patents

超電導線材の製造方法および超電導線材 Download PDF

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Abstract

【課題】コストを低減しつつ、超電導特性が劣化しない超電導線材の製造方法を提供する。【解決手段】テープ状の基材の上面に中間層、超電導層が積層された超電導積層体を形成する工程と、前記超電導層の上面と前記超電導積層体の側面に保護層を形成する工程と、前記保護層上の少なくとも一部に安定化層を形成する工程と、を有し、前記保護層を形成する工程において、前記超電導層の上面の保護層を0.5μm以上2μm未満の厚さに形成し、前記超電導積層体の側面の保護層を前記超電導層の上面の保護層より厚く形成することを特徴とする。【選択図】図1

Description

本発明は、超電導線材の製造方法および超電導線材に関する。
希土類系酸化物超電導体(REBaCu7−X、REは希土類元素)は、ビスマス系の酸化物超電導体(例えばBaSrCaCu10+δ)よりも磁場中での臨界電流密度が高いという特徴があるため、超電導コイルや超電導ケーブル等への応用が期待されている。
希土類系酸化物超電導体を超電導層として用いた薄膜積層構造の超電導線材は、金属テープからなる基材上に結晶配向性の良好な中間層を介して超電導層が形成され、優れた超電導特性を発揮する。超電導層の上には、超電導層を保護するために保護層が形成される。さらに、保護層の上に金属安定化層が形成される。金属安定化層は、事故時に超電導層に流れる過電流をバイパスする機能を有する。
特許文献1に、基材上に中間層を介して酸化物超電導層が形成された超電導積層体の外周に保護層が形成され、さらに保護層上にめっきにより金属安定化層が形成された超電導線材が開示されている。このように超電導積層体の周囲が保護層および金属安定化層で覆われ、密閉されているため、水分の浸入による超電導層の劣化を防止することができる。
また、保護層を超電導層の上面のみならず、超電導積層体の側面および基材の下面、すなわち、超電導積層体の外周に形成することにより、全周に渡って金属安定化層と超電導積層体の密着性が良好となる。
ここで、超電導層の中間層に接する面と対向する面を上面、超電導積層体の積層される厚さ方向に垂直な2つの面を側面、基材の中間層に接する面と対向する面を下面という。
特開平07−335051号公報
保護層にはAgが使用され、スパッタ等により成膜される。保護層を形成する場合、超電導層の上面側からスパッタを行うと、スパッタ粒子は超電導層の上面の他、超電導積層体の側面および基材の下面に回り込んで保護層が形成される。このようにして保護層を形成した場合、超電導積層体の側面および基材の下面の保護層の厚さは、超電導層上面の保護層の厚さよりも薄く形成される。
保護層に使用されるAgは高価であるため、コスト低減のため保護層の厚さを薄くすることが求められている。
金属安定化層としては、例えばCuを電気めっきにより形成する。めっき工程では、保護層が形成された超電導線材がめっき浴を通過して金属安定化層が形成される。
超電導線材はリールから送り出され、めっき浴を通過してリールに巻き取られるが、途中には超電導線材を走行させるために複数のガイドロールが設けられている。テープ状の超電導線材が走行中に線材幅方向の振れが発生すると、超電導線材の側面がガイドロールの鍔に当たったり擦れたりして、超電導線材の側面に過大な応力が作用する場合がある。幅方向は、超電導線材の長手方向及び厚さ方向に垂直な方向である。
このような状況で、側面の保護層の厚さが薄いと、上述の応力により超電導層に剥離やクラックが発生して、超電導特性が低下する虞がある。
本発明は、このような従来の実情に鑑みてなされたものであり、コストを低減しつつ、超電導特性が劣化しない超電導線材の製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明の超電導線材の製造方法は、テープ状の基材の上面に中間層、超電導層が積層された超電導積層体を形成する工程と、前記超電導層の上面と前記超電導積層体の側面に保護層を形成する工程と、前記保護層上の少なくとも一部に安定化層を形成する工程と、を有し、前記保護層を形成する工程において、前記超電導層の上面の保護層を0.5μm以上2μm未満の厚さに形成し、前記超電導積層体の側面の保護層を前記超電導層の上面の保護層より厚く形成することを特徴とする。
本発明の超電導線材の製造方法は、前記超電導積層体の側面の保護層を2μm以上の厚さに形成することを特徴とする。
本発明の超電導線材の製造方法は、前記安定化層を形成する工程において、めっきにより安定化層を形成することを特徴とする。
本発明の超電導線材の製造方法は、前記安定化層を形成する工程において、前記保護層に金属テープを半田層で接合して前記安定化層を形成することを特徴とする。
本発明の超電導線材は、テープ状の基材の上面に中間層、超電導層が積層された超電導積層体と、前記超電導層の上面と前記超電導積層体の側面に形成された保護層と、前記保護層上の少なくとも一部に形成された安定化層と、を有し、前記超電導層の上面の保護層は0.5μm以上2μm未満の厚さに形成され、前記超電導積層体の側面の保護層は前記超電導層の上面の保護層より厚く形成されたことを特徴とする。
本発明によれば、超電導層の劣化を防止し、コストが低減された超電導線材の製造方法を提供できる。
本発明に係る超電導線材の一例を示す横断面図である。 本発明に係る超電導線材の別の一例を示す横断面図である。
以下、好適な実施形態に基づいて、図面を参照して本発明を説明する。
<実施形態1>
図1は、実施形態1に係る超電導線材の一例を模式的に示す、超電導線材の長手方向に対する横断面図である。
超電導線材1は、超電導積層体13、保護層14および安定化層15を備えている。
超電導積層体13は、テープ状の基材10の上面10aに、中間層11と超電導層12がこの順に積層された構成を有する。
ここで、基材10、中間層11、超電導層12の各層が順番に積層される方向が厚さ方向である。また、幅方向は、長手方向及び厚さ方向に垂直な方向である。超電導積層体13の側面13bは、幅方向の両側の各側面(一方又は両方)である。
基材10は、テープ状の金属基材であり、厚さ方向の両側に上面10a及びこれに対向する下面10bを有する。
基材10を構成する材料は、耐熱性の観点からハステロイ(米国ヘインズ社製商品名)に代表されるニッケル合金やステンレス鋼、ニッケル合金に集合組織を導入した配向Ni−W合金等が好ましい。テープ状の基材は、コイルやケーブル等に使用するうえで、幅を1〜20mm、厚さを10〜500μmの範囲とすることが好ましい。
中間層11は、基材10と超電導層12との間に設けられる。中間層11は、一例として、基材から厚さ方向に順に拡散防止層、ベッド層、配向層、キャップ層の積層構造とすることができる。拡散防止層とベッド層のうちいずれか一方あるいは両方を略して構成してもよい。
拡散防止層の材質は、Si、Al、GdZr等が好ましい。拡散防止層の厚さは10〜400nmとすることが好ましい。
ベッド層は、界面反応性を低減し、その上に形成される膜の配向性を得るための層であり、Y、Er、CeO、Dy3、Er、Eu、Ho、La等が好ましい。ベッド層の厚さは10〜100nmとすることが好ましい。
配向層は、その上のキャップ層の結晶配向性を制御するために2軸配向する物質から形成される。配向層の材質としては、GdZr、MgO、YSZ、SrTiO、CeO、Y、Al、Gd、Zr、Ho、Nd等の金属酸化物を例示することができる。この配向層はIBAD法(イオンビームアシスト蒸着法)で形成することが好ましい。配向層の厚さは3〜500nmとすることが好ましい。
キャップ層は、上述の配向層の表面に成膜されて結晶粒が面内方向に自己配向し得る材料からなり、具体的には、CeO、Y、Al、Gd、ZrO、YSZ、Ho、Nd、LaMnO等が好ましい。キャップ層は、異なる材料で2層以上に形成してもよい。キャップ層の厚さは、50〜5000nmとすることが好ましい。
基材10として、配向Ni−W合金のような配向基板を適用する場合は、IBAD法を用いずに2軸配向した中間層を形成することができる。
超電導層12は、酸化物超電導体を適用することができ、RE−123系と呼ばれるREBaCu7−X(REは希土類元素であるSc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Luのうちの1種又は2種以上を表す)が好ましい。具体的には、Y123(YBaCu7−X)又はGd123(GdBaCu7−X)などを例示できる。超電導層12の厚さは、0.5〜5μmとすることが好ましい。超電導層12は、PLD法、CVD法、MOD法等の公知の方法で成膜される。
超電導層12は、酸素アニール処理が施される。酸素アニール処理では、超電導層12に対して酸素雰囲気下で300〜500℃、2〜20hの加熱処理が行われる。酸化物超電導体を用いた超電導層12は、成膜後では酸素が不足した結晶構造となっており、酸素アニール処理により超電導層12に酸素が供給されて、超電導性能を発揮する結晶構造に整えられる。
酸素アニール処理は、超電導層上に保護層を形成した後に行うことが好ましいが、保護層を形成する前に行うこともできる。
保護層14は、超電導層12の上面12aを覆う保護層14aと超電導積層体13の両側の側面13bを覆う保護層14bを有する。さらに、図1に示すように、基材の下面10bを覆うように保護層14cを形成して、超電導積層体13の外周を囲むように保護層14を形成してもよい。
保護層14は、超電導層12を保護する役割を果たす。また、超電導層12に過電流が発生した場合、保護層14にバイパスさせることができる。加えて、超電導層12と保護層14よりも上方に設ける層との間で起こる化学反応を抑制し、一方の層の元素の一部が他方の層側に侵入して組成がくずれることによる超電導特性の低下を防ぐなどの機能を有する。さらに、保護層14が形成された超電導積層体13は、安定化層15との密着性が良好になる。
保護層14の材質としては、Ag、Ag合金が好ましい。
超電導層の上面12aを覆う保護層14aの厚さは、0.5μm以上2μm未満であることが好ましく、0.5μm以上1.5μm以下の範囲とすることがより好ましい。保護層14aの厚さが0.5μm未満の場合は、保護層14aにピンホールが発生しやすくなる。保護層14aの厚さが2μm以上の場合は、Agが高価であるためにコストが高くなってしまう。
超電導積層体の側面13bを覆う保護層14bの厚さは、後述する理由により、超電導層の上面12aを覆う保護層14aの厚さよりも厚く形成されることが好ましい。具体的には、保護層14bの厚さは2μm以上とすることが好ましく、3μm以上とすることがより好ましい。また、保護層14bの厚さは、10μm以下が好ましく、5μm以下がより好ましい。
安定化層15は、少なくとも超電導層12の上面12aに形成された保護層14aの一部を覆っている。
安定化層15は、例えば、超電導ケーブルや超電導マグネットの使用時に、何らかの原因で常電導状態へ転移した際の過電流をバイパスする機能を有する。このため、安定化層15には導電性が高い材料が適用され、中でもCuまたはCu合金等が好適である。
また、超電導限流器に使用する場合は、過電流を瞬時に抑制する必要があるため、安定化層15はNi−Cr等のNi系合金のような高抵抗金属で形成することが好ましい。
安定化層15の厚さは、15〜300μmとすることが好ましい。
安定化層15は、めっきや金属テープを半田等の接合材で貼り合せることにより形成される。
めっきにより安定化層15を形成すれば、図1のように、保護層14で覆われた超電導積層体13の外周を囲むように安定化層15が形成された超電導線材1を得ることができる。これにより、超電導積層体13が安定化層15により密閉されるため、水分の浸入により超電導層12が劣化することが防止される。
安定化層15を超電導層の上面12aを覆う保護層14aの上面のみに形成してもよい。このような場合、安定化層15は超電導積層体13の側面側に形成されていないため、超電導積層体の側面13bは、保護層14bで覆われているだけとなる。
例えば、超電導コイルを作製する場合、超電導線材がリールから送り出され、コイル用の巻枠に巻き付けられるが、超電導線材が走行する途中にはガイドロールが設けられている。超電導線材が走行中に蛇行したり、線材幅方向の振れが生じた場合にはガイドロールや巻枠の鍔に当たったり、擦れたりして、超電導線材の側面に過大な応力が加わり超電導層に剥離やクラックが発生する虞がある。
超電導積層体の側面13bを覆う保護層14bが超電導層の上面12aを覆う保護層14aよりも厚く形成されていることにより、保護層14bが前述の応力に対するバリヤーとなって、超電導層12が損傷を受けることを防止することができる。
<実施形態2>
図2は、実施形態2に係る金属テープにより安定化層15が形成された超電導線材2の横断面図である。
安定化層15は、半田層16で超電導積層体13を覆っている保護層14に接合される。
図2では、保護層14が超電導積層体13の外周に形成されている。保護層14が形成された超電導積層体13の外周を囲んている安定化層15の対向する端面15a、15bは、基材の下面10bに形成された保護層14c上で離間して配置される。
このように、端面15a、15bを離間して配置するのは、安定化層15の端面15a、15bが重なる構造では、重なり部分が厚くなり、平らでなくなるためである。さらに、安定化層15の端面15a、15bがぴったり接する構造は、長手方向に連続して製造するうえで、実際的でないためである。
このような金属テープによる安定化層15が半田層16で超電導積層体13に接合された構造によっても、前述のめっきによる安定化層と同様に、水分の浸入により超電導層12が劣化することを防止できる。
安定化層の端面15a、15bが離間した部分には、半田充填部17を設けることが好ましい。半田充填部17により、安定化層の端面15a、15bが充填された半田で被覆されるために、より水分が浸入しにくい構造となる。
半田層16は、予めめっき等により安定化層15に形成されていることが好ましい。半田層16の材質は、特に限定されるものではなく従来公知の半田を使用可能である。例えば、Sn、Sn−Ag系合金、Sn−Bi系合金、Sn−Cu系合金、Sn−Zn系合金などのSnを主成分とする合金よりなる鉛フリー半田、Sn−Pb系合金半田などが挙げられ、これらの半田を一種又は二種以上組み合わせて使用することができる。これらの中でも、融点が300℃以下の半田を用いることが好ましい。これにより、300℃以下の温度で安定化層15と保護層14を半田付けすることが可能となるので、半田付けの熱によって超電導層12の特性が劣化することを抑止できる。
半田層16の厚さは、2〜6μmとすることが好ましい。
また、半田充填部17にも上述した材質の半田が使用される。
安定化層15を超電導層の上面12aを覆う保護層14aの上面のみに、半田層16で接合して形成してもよい。このような場合、安定化層15および半田層16は超電導積層体13の側面側に形成されていないため、超電導積層体の側面13bは、保護層14bで覆われているだけとなる。
例えば、超電導コイルを作製する場合、超電導線材がリールから送り出され、コイル用の巻枠に巻き付けられるが、超電導線材が走行する途中にはガイドロールが設けられている。超電導線材が走行中に蛇行したり、線材幅方向の振れが生じた場合にはガイドロールや巻枠の鍔に当たったり、擦れたりして、超電導線材の側面に過大な応力が加わり超電導層に剥離やクラックが発生する虞がある。
超電導積層体の側面13bを覆う保護層14bが超電導層の上面12aを覆う保護層14aよりも厚く形成されていることにより、保護層14bが前述の応力に対するバリヤーとなって、超電導層12が損傷を受けることを防止することができる。
<製造方法1>
次に、図1に示す超電導線材の製造方法について説明する。
超電導線材1の製造方法は、超電導積層体13を形成する工程、保護層14を形成する工程、および安定化層15を形成する工程を有している。これらの工程では、例えば、リールからテープ状の線材を送り出し、いずれかの層を形成した後リールに巻き取ることで、目的とする層が形成された線材を得ることができる。
基材10の上面10aに中間層11、超電導層12を順に積層して、超電導積層体13を形成する。
例えば、ハステロイを用いた基材の上面10aに、スパッタ法によりAlの拡散防止層、Yのベッド層を積層する。次いでIBAD法により2軸配向したMgOを形成し、その上にレーザー蒸着法によりCeOのキャップ層を形成することにより、拡散防止層、ベッド層、配向層およびキャップ層を有する中間層11が得られる。さらに、キャップ層の上にレーザー蒸着法により超電導層12を形成することにより、超電導積層体13を得ることができる。
次に、超電導積層体13の外面に保護層14を形成する。すなわち、超電導層の上面12aに保護層14aを、超電導積層体の側面13bに保護層14bをそれぞれ形成する。
保護層は、例えば、スパッタ法によりAgを成膜して形成することができる。超電導層の上面12aに対向するようにAgから構成されるターゲットを配置し、スパッタによりターゲットからAg粒子を放出させて超電導層の表面に堆積させ、超電導層の上面12aに保護層14aを形成することができる。
上述のスパッタにより、ターゲットから放出されたAg粒子の一部は、超電導積層体13の側面側に回り込むため、超電導積層体の側面13bに保護層14bが形成される。しかし、超電導積層体の側面13bに形成される保護層14bは、超電導層の上面12aに形成される保護層14aに比べて厚さが薄くなる。
そこで、例えば、超電導層12の上面側のターゲットに加えて、超電導積層体の側面13bにも対向するようにそれぞれターゲットを配置して、スパッタを行う。超電導積層体13の側面側のターゲットは、超電導層12の上面側のターゲットよりも成膜レートを上げてスパッタを行ってもよい。これにより、超電導積層体の側面13bに形成される保護層14bの厚さを超電導層の上面12aに形成される保護層14aの厚さよりも厚くすることができる。スパッタ装置は、超電導層12の上面側のターゲットと超電導積層体13の側面側のターゲットの成膜レートを別々に設定できることが好ましい。
超電導積層体13の側面側にターゲットを配置することにより、基材10の下面側にもAg粒子が回り込んで堆積するため、基材の下面10bに保護層14cが形成され、図1のように超電導積層体13の外周に保護層14を形成することができる。保護層14cを形成する場合、基材10の下面側にターゲットを配置して成膜を行ってもよい。
超電導層の上面12aに形成される保護層14aの厚さは、前述したように0.5μm以上2μm未満であることが好ましい。さらに、0.5μm以上1.5μm以下の範囲とすることがより好ましい。保護層14aの厚さが0.5μm未満の場合は、保護層14aにピンホールが発生しやすくなる。このため、後述するめっきにより安定化層を形成する工程において、ピンホールからめっき液が超電導層12に到達して、超電導層が劣化する虞がある。
超電導積層体の側面13bに形成される保護層14bの厚さは、超電導層の上面12aに形成される保護層14aの厚さよりも厚くすることが好ましい。保護層14bの厚さは2μm以上とすることが好ましく、3μm以上とすることがより好ましい。保護層14bの厚さを保護層14aの厚さよりも厚くすることにより、製造工程において超電導積層体13の側面に過大な応力が作用したとしても、保護層14bがバリヤーとなって、超電導層12に剥離やクラックが発生することを防止することができる。
また、保護層14bの厚さは、10μm以下、より好ましくは5μm以下とすることが好ましい。
超電導積層体13の厚さは0.1mm程度であり、超電導積層体13の幅1〜20mm(基材の幅と同じ)の1/10以下である。また通常は、超電導積層体13の幅は4〜10mm程度であるため、超電導層12の上面の保護層14aに使用されるAgの量に比べて、保護層14bの厚さが5μm、10μm程度に厚くなってもAgの使用量はそれほど増えない。
安定化層15は、めっきにより形成される。めっきは、電気めっき、無電解めっきのどちらも適用可能である。
例えば、保護層が形成された超電導積層体13がリールから送り出され、硫酸銅の電気めっき浴を通過させることにより、保護層14が形成された超電導積層体13の外周にCuを析出させて安定化層15が形成され、超電導線材1がリールに巻き取られる。
このようなめっき工程では、超電導線材を走行させるために、送り出しリールと巻き取りリールの間に複数のガイドロールが設けられている。テープ状の超電導積層体13が走行中に蛇行したり、線材幅方向の振れが発生すると、超電導積層体13の側面がガイドロールの鍔に当たったり擦れたりして、保護層14が形成された超電導積層体13の側面に過大な応力が作用し、超電導層12に剥離やクラックが発生して、超電導特性が低下する虞がある。
超電導積層体13の側面の保護層14bの厚さを超電導層12の上面の保護層14aよりも厚く形成することにより、保護層14bが前述の応力に対してバリヤーとなって、超電導層12に剥離やクラックが発生することを防止できる。超電導層12に剥離やクラックを発生させる応力に対するバリヤーとして機能させるために、保護層14bの厚さは、2μm以上が好ましく、3μm以上がより好ましい。
なお、めっき工程で、走行中に超電導層12の上面に過大な応力が作用することはない。
<製造方法2>
次に、図2に示す超電導線材2の製造方法について説明する。
超電導積層体13を形成する工程と保護層14を形成する工程は、図1について説明した工程と同様であるため、説明を省略する。
保護層が形成された超電導積層体13の幅よりも幅が大きく、予めめっき等により半田層16が形成された金属テープを用意する。リールから保護層が形成された超電導積層体13を送り出して走行させる。同時に、別のリールから金属テープを送り出して走行させ、超電導積層体13に重ね合せる。
具体的には、金属テープの半田層16の上に、超電導積層体に形成された保護層14aが対向するように配置し、金属テープ幅の中央に超電導積層体13が位置するようにする。この状態で例えば加熱炉を通して半田層16の一部を溶融させ、金属テープを半田層16で保護層14aに接合させて固定し、その後の工程で金属テープに対して超電導積層体13の位置がずれないようにする。
次いで、金属テープは、フォーミングロール等を用いて保護層が形成された超電導積層体13の幅に沿って折り曲げられて、超電導積層体13の外周を囲む。折り曲げられた金属テープの内側には、半田層16が形成されており、半田層16は保護層が形成された超電導積層体13と対向している。
また、折り曲げられた金属テープの端面15a、15bは、離間して基材の下面10bに配置される。図2では、基材の下面10bに保護層14cが形成されており、金属テープの両端は保護層14cの表面に配置されている。
次いで、加熱炉等で半田層16の溶融温度に加熱し、加圧ロールを通過させ、冷却することで半田層16で金属テープと保護層14を接合し、保護層が形成された超電導積層体13の外周に安定化層15が形成され、超電導線材2がリールに巻き取られる。
この製造工程の加圧ロールを通過する際に、溶融した半田層16の一部が金属テープの端面15a、15bで形成される隙間に流れ込み、半田充填部17が形成される。半田充填部17は、金属テープの端面15a、15bで形成された隙間に別途半田を加えて、加熱溶融することによっても形成することができる。
上述した金属テープにより安定化層を形成する工程では、保護層が形成された超電導積層体13がリールから送り出されて、加熱炉や加圧ロールを通過する間に、複数のガイドロールが設けられている。
超電導積層体13が走行中に蛇行したり、線材幅方向の振れが発生すると、超電導積層体13の側面がガイドロールの鍔に当たったり擦れたりする。これにより、超電導積層体13の側面に過大な応力が作用し、超電導層12に剥離やクラックが発生して、超電導特性が低下する虞がある。
超電導積層体の側面13bに形成される保護層14bの厚さを、超電導層の上面に形成される保護層14aよりも厚くすることにより、保護層14bが前述の応力に対するバリヤーとなって、超電導層12に剥離やクラックが発生することが防止される。超電導層12に剥離やクラックを発生させる応力に対するバリヤーとして機能させるために、保護層14bの厚さは、2μm以上が好ましく、3μm以上がより好ましい。
以上、本発明を好適な実施形態に基づいて説明してきたが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
1、2…超電導線材、10…基材、10a…上面、10b…下面、11…中間層、12…超電導層、12a…上面、13…超電導積層体、13b…側面、14、14a、14b、14c…保護層、15…安定化層、15a、15b…端面、16…半田層、17…半田充填部。

Claims (5)

  1. テープ状の基材の上面に中間層、超電導層が積層された超電導積層体を形成する工程と、
    前記超電導層の上面と前記超電導積層体の側面に保護層を形成する工程と、
    前記保護層上の少なくとも一部に安定化層を形成する工程と、を有し、
    前記保護層を形成する工程において、前記超電導層の上面の保護層を0.5μm以上2μm未満の厚さに形成し、前記超電導積層体の側面の保護層を前記超電導層の上面の保護層より厚く形成することを特徴とする超電導線材の製造方法。
  2. 前記超電導積層体の側面の保護層を2μm以上の厚さに形成することを特徴とする請求項1に記載の超電導線材の製造方法。
  3. 前記安定化層を形成する工程において、めっきにより安定化層を形成することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の超電導線材の製造方法。
  4. 前記安定化層を形成する工程において、前記保護層に金属テープを半田層で接合して前記安定化層を形成することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の超電導線材の製造方法。
  5. テープ状の基材の上面に中間層、超電導層が積層された超電導積層体と、
    前記超電導層の上面と前記超電導積層体の側面に形成された保護層と、
    前記保護層上の少なくとも一部に形成された安定化層と、を有し、
    前記超電導層の上面の保護層は0.5μm以上2μm未満の厚さに形成され、前記超電導積層体の側面の保護層は前記超電導層の上面の保護層より厚く形成されたことを特徴とする超電導線材。
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