JP2012169237A - 酸化物超電導線材およびその製造方法 - Google Patents

酸化物超電導線材およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、酸化物超電導層への水分の浸入を抑えることができる酸化物超電導線材、及びその製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明の酸化物超電導線材10は、テープ状の基材11の一方の面上に中間層12と酸化物超電導層13と銀層14とがこの順に積層されて超電導積層体5が構成され、超電導積層体5の周面が半田層7を介して超電導積層体5より幅広の金属テープ1からなるカバー部材9で覆われており、金属テープ1の幅方向両端縁1P、1Qが超電導積層体5の基材11の他方の面11A側に配置され、金属テープ1の両端縁以外の部分で超電導積層体5の幅方向の側面と銀層14の表面が覆われてなることを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、酸化物超電導線材およびその製造方法に関する。
近年になって発見されたRE−123系酸化物超電導体(REBaCu7−X:REはYを含む希土類元素)は、液体窒素温度以上で超電導性を示し、電流損失が低いため、実用上極めて有望な素材とされており、これを線材に加工して電力供給用の導体あるいは磁気コイル等として使用することが要望されている。この酸化物超電導体を線材に加工するための方法として、金属基材テープ上に酸化物超電導層を形成する方法が研究されている。
酸化物超電導線材にあっては、酸化物超電導層上に薄い銀の安定化層を形成し、その上に銅などの良導電性金属材料からなる厚い安定化層を設けた2層構造の安定化層を積層する構造が採用されている。前記銀の安定化層は、酸化物超電導層を酸素熱処理する際に酸素量の変動を調節する目的のためにも設けられており、銅の安定化層は、酸化物超電導層が超電導状態から常電導状態に遷移しようとしたとき、該酸化物超電導層の電流を転流させるバイパスとして機能させるための目的で設けられている。
2層構造の安定化層を形成する技術の一例として、酸化物超電導層の上にスパッタリングにより薄い銀の安定化層を設けた後、線材全体を硫酸銅水溶液のめっき浴に浸漬し、電気めっきにより銀の安定化層上に銅の安定化層を形成する技術が知られている(特許文献1参照)。また、酸化物超電導層の上に銀の安定化層を設けた線材と銅製の安定化材テープとをはんだを介して重ね合わせて加熱・加圧ロールに通すことによって、銀の安定化層上に銅の安定化層を形成する技術も知られている(特許文献2参照)。
特開2007−80780号公報 特開2009−48987号公報
RE−123系酸化物超電導層の特定組成のものは水分により劣化しやすく、線材を水分の多い環境に保管した場合や、線材に水分が付着した状態のまま放置した場合に、酸化物超電導層に水分が浸入すると、超電導特性が低下する要因となる。
引用文献1のようにめっき処理して銅の安定化層を形成した構造では、銅めっき部に欠陥があるとめっき欠陥部から水分が浸入して酸化物超電導層に達し、酸化物超電導層が劣化してしまう虞がある。
引用文献2のように銀の安定化層上に銅製の安定化材テープを積層して銅の安定化層を形成する技術では、銅の安定化層にめっき欠陥部が形成される問題はない。しかし、銀の安定化層の上面のみが銅の安定化層で保護される構造であるため、水分によりダメージを受けやすい酸化物超電導層の側面が外部に露呈しているため、製造工程中などに水分が浸入することにより超電導特性の低下を引き起こす虞がある。
本発明は、以上のような従来の実情に鑑みなされたものであり、酸化物超電導層への水分の浸入を抑えることができる酸化物超電導線材及びその製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明の酸化物超電導線材は、テープ状の基材の一方の面上に中間層と酸化物超電導層と銀層とがこの順に積層されて超電導積層体が構成され、該超電導積層体の周面が半田層を介して該超電導積層体より幅広の金属テープで覆われており、前記金属テープの幅方向両端縁が前記超電導積層体の前記基材の他方の面側に配置され、該金属テープの両端縁以外の部分で前記超電導積層体の幅方向の側面と前記銀層の表面が覆われてなることを特徴とする。
本発明の酸化物超電導線材は、超電導積層体の幅方向の側面が半田層を介して金属テープからなるカバー部材により被覆され、該金属テープの幅方向両端縁が超電導積層体の基材の他方の面(裏面)側に配置された構成である。そのため、超電導積層体の幅方向の側面全てが外部から遮蔽された構造が実現でき、酸化物超電導層への水分の浸入を抑え、酸化物超電導層が水分によりダメージを受けて超電導特性が劣化することを防ぐことができる。また、金属テープの幅方向の両端縁が超電導積層体の基材の他方の面(裏面)側に位置する構成であるため、万一、酸化物超電導線材が高温環境に曝されて金属テープの端部の剥離が起こった場合にも、酸化物超電導層まで水分が浸入することを抑制できる。
また、本発明の酸化物超電導線材は、金属テープからなるカバー部材により超電導積層体が被覆された構成である。そのため、従来の超電導線材のようにめっきに最外周が被覆されている場合とは異なり、金属テープにめっき欠陥部などのピンホールが形成されることがないため、酸化物超電導層を外部から完全に遮蔽することができ、酸化物超電導層に水分が浸入して超電導特性が劣化することがない。
本発明の酸化物超電導線材において、前記超電導積層体の前記基材の他方の面の一部が前記金属テープに覆われず露出するように、前記金属テープの幅方向両端縁を前記基材の他方の面側に離間して配置させてなることが好ましい。
この場合、酸化物超電導線材において、基材の他方の面(裏面)が金属テープ(カバー部材)により被覆されず露出している部分の厚さは、他の部分よりも金属テープに被覆されてない分だけ薄くなっている。そして、線材の長手方向に沿って露出部分を底面とし、金属テープの幅方向両端縁を壁部とした溝を構成する。このように、線材の長手方向に沿う溝を備える構成となるため、酸化物超電導線材を巻銅などに巻回してコイル加工し、超電導コイルとする場合に、コイル径方向に隣接する超電導積層体間に位置する溝を、液体窒素などの冷媒の流路として利用することができ、超電導コイルの冷却効率を高めることができる。
本発明の酸化物超電導線材において、前記基材の他方の面側に配置された金属テープの一部と、前記基材の他方の面の一部とが、レーザ溶接部により接合されてなることも好ましい。
この場合、万一、溶接後にコイル加工や巻線加工、ケーブル加工など、あるいは、保管環境などにおいて酸化物超電導線材が高温環境に曝されて半田層が溶融した場合にも、金属テープの幅方向の両端縁が超電導積層体の基材の他方の面(裏面)にレーザ溶接されているため、金属テープからなるカバー部材が超電導積層体から剥離することがない。従って、酸化物超電導層への水分の浸入をより確実に抑制できる。
本発明の酸化物超電導線材において、前記金属テープが、良導電性の安定化材テープであることも好ましい。
この場合、金属テープが良導電性の安定化材テープであるので、酸化物超電導層が超電導状態から常電導状態に遷移しようとしたときに、金属テープからなるカバー部材が銀層とともに、酸化物超電導層の電流が転流するバイパスとして機能する。そのため、酸化物超電導を安定化する効果が向上する。
上記課題を解決するため、本発明の酸化物超電導線材の製造方法は、テープ状の基材の一方の面上に中間層と酸化物超電導層と銀層とがこの順に積層されてなる超電導積層体と、該超電導積層体よりも幅広で、且つ片面に半田層が形成された金属テープを準備する第1工程と、前記超電導積層体の前記銀層上に前記半田層を介して前記金属テープを積層する第2工程と、前記金属テープを前記超電導積層体の幅方向の側面に沿って折り曲げた後に該超電導積層体の前記基材の他方の面に沿って折り曲げて、該金属テープの幅方向両端縁を前記基材の他方の面側に配置してカバー部材を形成する第3工程と、前記半田層を溶融凝固させて、前記超電導積層体の外周面に前記カバー部材を前記半田層を介して接合する第4工程と、を備えることを特徴とする。
本発明の酸化物超電導線材の製造方法は、超電導積層体の銀層側から幅方向側面側、次いで基材の他方の面(裏面)側へと金属テープを折り曲げて、超電導積層体の銀層側の面全体と側面全体および基材の他方の面の少なくとも一部を金属テープにより半田層を介して被覆する構成である。そのため、超電導積層体の側面全てが外部から遮蔽された構造の酸化物超電導線材を製造できる。従って、酸化物超電導層への水分の浸入を抑え、酸化物超電導層が水分によりダメージを受けて超電導特性が劣化することを防ぐことができる酸化物超電導線材を提供できる。
また、金属テープの幅方向の両端縁が超電導積層体の基材の他方の面(裏面)側に位置するように金属テープを超電導積層体の周面側に配置する構成であるため、万一、酸化物超電導線材が高温環境に曝されて金属テープの端部の剥離が起こった場合にも、酸化物超電導層まで水分が浸入することを抑制できる酸化物超電導線材を提供できる。
本発明の酸化物超電導線材の製造方法は、前記第3工程において、前記基材の他方の面の一部が前記金属テープに覆われず露出するように、前記金属テープの幅方向両端縁を前記超電導積層体の前記基材の他方の面側に離間して配置することが好ましい。
この場合、第4工程において半田を溶融凝固させる際に発生するフラックスを、金属テープの端縁から外部に逃がすことができる。そのため、金属テープと超電導積層体間に残留するフラックスを減らすことができ、フラックスの残留に起因する接合不良が起こりにくい。
さらに、基材の他方の面(裏面)の露出部分を底部とし、金属テープの両端縁を壁部とする溝を備える構成の酸化物超電導線材を製造できる。そのため、この酸化物超電導線材を巻銅などに巻回してコイル加工し、超電導コイルとする場合に、コイル径方向に隣接する超電導積層体間に位置する溝を、液体窒素などの冷媒の流路として利用することができ、超電導コイルの冷却効率を高めることができる。
本発明の酸化物超電導線材の製造方法において、前記第4工程後に、前記基材の他方の面側に配置された金属テープの一部と、前記基材の他方の面の一部とを、レーザ溶接することも好ましい。
この場合、金属テープの幅方向の両端縁が超電導積層体の基材の他方の面(裏面)にレーザ溶接された構造の酸化物超電導線材を製造できる。そのため、万一、溶接後にコイル加工や巻線加工、ケーブル加工など、あるいは、保管環境などにおいて酸化物超電導線材が高温環境に曝されて半田層が溶融した場合にも、金属テープからなるカバー部材が超電導積層体から剥離することがないので、酸化物超電導層への水分の浸入をより確実に抑制できる酸化物超電導線材を提供できる。
本発明の酸化物超電導線材の製造方法において、前記金属テープが、良導電性の安定化材テープであることも好ましい。
この場合、金属テープが良導電性の安定化材テープであるので、酸化物超電導層が超電導状態から常電導状態に遷移しようとしたときに、金属テープからなるカバー部材が銀層とともに、酸化物超電導層の電流が転流するバイパスとして機能する。そのため、酸化物超電導を安定化する効果が向上した酸化物超電導線材を提供できる。
本発明によれば、酸化物超電導層への水分の浸入を抑えることができる酸化物超電導線材及びその製造方法が提供される。
本発明に係る酸化物超電導線材の第1実施形態を示す断面斜視図である。 図1に示す酸化物超電導線材に組み込まれている超電導積層体の一例構造を示す断面斜視図である。 図1に示す酸化物超電導線材を巻胴に巻回してコイル加工した場合に、コイル径方向に積層された酸化物超電導線材の構造を模式的に示す断面図である。 本発明に係る酸化物超電導線材の製造方法の一実施形態の工程を説明するための工程説明図である。 本発明に係る酸化物超電導線材の第2実施形態を示す断面図である。 本発明に係る酸化物超電導線材の第3実施形態を示す断面図である。 本発明に係る酸化物超電導線材の第4実施形態を示す断面図である。 本発明に係る酸化物超電導線材の第5実施形態を示す断面図である。 図8に示す酸化物超電導線材の製造方法の一実施形態の工程を説明するための工程説明図である。 実施例1、2および比較例1、2の酸化物超電導線材の耐久試験結果を示すグラフである。
以下、本発明に係る酸化物超電導線材の実施形態について図面に基づいて説明する。
図1は本発明に係る酸化物超電導線材の第1実施形態を模式的に示す概略断面図であり、図2は図1に示す酸化物超電導線材に組み込まれている超電導積層体の一例構造を示す断面斜視図である。
図2に示す超電導積層体5は長尺テープ状の基材11の一方の面上に、中間層12と酸化物超電導層13と銀層14を順次積層してなる。図1に示す酸化物超電導線材10は、超電導積層体5を中心部に備え、超電導積層体5の周面が半田層7を介して金属テープ1からなるカバー部材9により覆われている。ここで、「超電導積層体5の周面」とは、銀層14の表面14Aと、基材11の他方の面(裏面)11Aと、超電導積層体5の幅方向の両側面(すなわち、基材11と中間層12と酸化物超電導層13と銀層14の幅方向の両側面)とを合わせた部分を示し、超電導積層体5の長さ方向両端側の面は含まない。金属テープ1からなるカバー部材9は、超電導積層体5の銀層14の表面14A全体と、超電導積層体5の幅方向の両側の側面全体と、基材11の他方の面(裏面)11A側の面の少なくとも一部を覆っている。金属テープ1の幅方向の端縁1P、1Qは、超電導積層体5の基材11の他方の面(裏面)11A側に配置されている。金属テープ1の幅方向の両端縁1P、1Qは、離間して配置されており、基材11の裏面11Aの一部(露出部)11aは金属テープ1からなるカバー部材9により被覆されずに露出されている。
テープ状の基材11は、通常の超電導線材の基材として使用し得るものであれば良く、耐熱性の金属からなるものが好ましい。ここで、テープ状の基材11とは、テープ状の他、長尺のプレート状、長尺のシート状のものを含む。耐熱性の金属の中でも、合金が好ましく、ニッケル(Ni)合金又は銅(Cu)合金がより好ましい。中でも、市販品であればハステロイ(商品名、ヘインズ社製)が好適であり、モリブデン(Mo)、クロム(Cr)、鉄(Fe)、コバルト(Co)等の成分量が異なる、ハステロイB、C、G、N、W等のいずれの種類も使用できる。また、基材11としてニッケル(Ni)合金などに集合組織を導入した配向金属基材を用い、その上に中間層12および酸化物超電導層13を形成してもよい。
基材11の厚さは、目的に応じて適宜調整すれば良く、通常は、10〜500μmであることが好ましく、20〜200μmであることがより好ましい。下限値以上とすることで強度が一層向上し、上限値以下とすることでオーバーオールの臨界電流密度を一層向上させることができる。
中間層12は、酸化物超電導層13の結晶配向性を制御し、基材11中の金属元素の酸化物超電導層13への拡散を防止するものである。さらに、基材11と酸化物超電導層13との物理的特性(熱膨張率や格子定数等)の差を緩和するバッファー層として機能し、その材質は、物理的特性が基材11と酸化物超電導層13との中間的な値を示す金属酸化物が好ましい。中間層12の好ましい材質として具体的には、GdZr、MgO、ZrO−Y(YSZ)、SrTiO、CeO、Y、Al、Gd、Zr、Ho、Nd等の金属酸化物が例示できる。
中間層12は、単層でも良いし、複数層でも良い。例えば、前記金属酸化物からなる層(金属酸化物層)は、結晶配向性を有していることが好ましく、複数層である場合には、最外層(最も酸化物超電導層13に近い層)が少なくとも結晶配向性を有していることが好ましい。
中間層12は、基材11側にベッド層が介在された複数層構造でもよい。ベッド層は、耐熱性が高く、界面反応性を低減するためのものであり、その上に配される膜の配向性を得るために用いる。このようなベッド層は、必要に応じて配され、例えば、イットリア(Y)、窒化ケイ素(Si)、酸化アルミニウム(Al、「アルミナ」とも呼ぶ)等から構成される。このベッド層は、例えばスパッタリング法等の成膜法により形成され、その厚さは例えば10〜200nmである。
さらに、本発明において、中間層12は、基材11側に拡散防止層とベッド層が積層された複数層構造でもよい。この場合、基材11とベッド層との間に拡散防止層が介在された構造となる。拡散防止層は、基材11の構成元素拡散を防止する目的で形成されたもので、窒化ケイ素(Si)、酸化アルミニウム(Al)、あるいは希土類金属酸化物等から構成され、その厚さは例えば10〜400nmである。なお、拡散防止層の結晶性は問われないので、通常のスパッタ法等の成膜法により形成すればよい。
このように基材11とベッド層との間に拡散防止層を介在させることにより、中間層12を構成する他の層や酸化物超電導層13等を形成する際に、必然的に加熱されたり、熱処理される結果として熱履歴を受ける場合に、基材11の構成元素の一部がベッド層を介して酸化物超電導層13側に拡散することを効果的に抑制することができる。基材11とベッド層との間に拡散防止層を介在させる場合の例としては、拡散防止層としてAl、ベッド層としてYを用いる組み合わせを例示することができる。
また中間層12は、前記金属酸化物層の上に、さらにキャップ層が積層された複数層構造でも良い。キャップ層は、酸化物超電導層13の配向性を制御する機能を有するとともに、酸化物超電導層13を構成する元素の中間層12への拡散や、酸化物超電導層13積層時に使用するガスと中間層12との反応を抑制する機能等を有するものである。
キャップ層は、前記金属酸化物層の表面に対してエピタキシャル成長し、その後、横方向(面方向)に粒成長(オーバーグロース)して、結晶粒が面内方向に選択成長するという過程を経て形成されたものが好ましい。このようなキャップ層は、前記金属酸化物層よりも高い面内配向度が得られる。
キャップ層の材質は、上記機能を発現し得るものであれば特に限定されないが、好ましいものとして具体的には、CeO、Y、Al、Gd、Zr、Ho、Nd等が例示できる。キャップ層の材質がCeOである場合、キャップ層は、Ceの一部が他の金属原子又は金属イオンで置換されたCe−M−O系酸化物を含んでいても良い。
キャップ層は、PLD法(パルスレーザ蒸着法)、スパッタリング法等で成膜することができるが、大きな成膜速度を得られる点でPLD法を用いることが好ましい。
中間層12の厚さは、目的に応じて適宜調整すれば良いが、通常は、0.1〜5μmである。
中間層12が、前記金属酸化物層の上にキャップ層が積層された複数層構造である場合には、キャップ層の厚さは、通常は、0.1〜1.5μmである。
中間層12は、スパッタ法、真空蒸着法、レーザ蒸着法、電子ビーム蒸着法、イオンビームアシスト蒸着法(以下、IBAD法と略記する)等の物理的蒸着法;化学気相成長法(CVD法);塗布熱分解法(MOD法);溶射等、酸化物薄膜を形成する公知の方法で積層できる。特に、IBAD法で形成された前記金属酸化物層は、結晶配向性が高く、酸化物超電導層13やキャップ層の結晶配向性を制御する効果が高い点で好ましい。IBAD法とは、蒸着時に、結晶の蒸着面に対して所定の角度でイオンビームを照射することにより、結晶軸を配向させる方法である。通常は、イオンビームとして、アルゴン(Ar)イオンビームを使用する。例えば、GdZr、MgO又はZrO−Y(YSZ)からなる中間層12は、IBAD法における配向度を表す指標であるΔΦ(FWHM:半値全幅)の値を小さくできるため、特に好適である。
酸化物超電導層13は通常知られている組成の酸化物超電導体からなるものを広く適用することができ、REBaCu(REはY、La、Nd、Sm、Er、Gd等の希土類元素を表す)なる材質のもの、具体的には、Y123(YBaCu)又はGd123(GdBaCu)を例示することができる。また、その他の酸化物超電導体、例えば、BiSrCan−1Cu4+2n+δなる組成等に代表される臨界温度の高い他の酸化物超電導体からなるものを用いても良いのは勿論である。
酸化物超電導層13は、スパッタ法、真空蒸着法、レーザ蒸着法、電子ビーム蒸着法等の物理的蒸着法;化学気相成長法(CVD法);塗布熱分解法(MOD法)等で積層でき、なかでもレーザ蒸着法が好ましい。
酸化物超電導層13の厚みは、0.5〜5μm程度であって、均一な厚みであることが好ましい。
酸化物超電導層13の上に積層されている銀層14は、スパッタ法などの成膜法により形成され、その厚さを1〜30μm程度とされる。
酸化物超電導層13上に銀層14を備える構成とする理由としては、銀は良導電性かつ酸化物超電導層13と接触抵抗が低くなじみの良い点、及び、酸化物超電導層13に酸素をドープするアニール工程においてドープした酸素を酸化物超電導層13から逃避し難くする性質を有する点を挙げることができる。
カバー部材9は、金属テープ1を折り曲げることにより形成されている。
本実施形態の酸化物超電導線材10において、金属テープ1が良導電性の安定化材テープよりなることが好ましい。
金属テープ1が良導電性の安定化材テープよりなる場合、酸化物超電導層13が超電導状態から常電導状態に遷移しようとしたときに、金属テープ1からなるカバー部材9が銀層14とともに、酸化物超電導層13の電流が転流するバイパスとして機能する。金属テープ1が良導電性の安定化材テープよりなることにより、酸化物超電導線材10が安定化され好ましい。
金属テープ1を構成する良導電性の安定化材テープとしては、Cu、黄銅(Cu−Zn合金)、Cu−Ni合金等の銅合金、ステンレス等の比較的安価な材質からなるものを用いることが好ましく、中でも高い導電性を有し、安価であることがらCu製が好ましい。
金属テープ1(カバー部材9)の厚さは特に限定されず、適宜調整可能であるが、金属テープ1が良導電性の安定化材テープより構成される場合、その厚さを10〜300μmとすることができ、後述する酸化物超電導線材10の製造方法における金属テープ1の折り曲げ時の取り扱い性を考慮すると、20〜100μmの範囲が好ましく、20〜50μmの範囲がより好ましい。
なお、酸化物超電導線材10を超電導限流器に使用する場合は、金属テープ1が抵抗金属材料より構成されることが好ましい。超電導限流器は、超電導状態と常電導状態の導体電気抵抗の差を利用して現流動作を行うので、使用する超電導線材には常電導状態における高い導体抵抗が求められるためである。この場合、金属テープ1を構成する材料としては、ステンレス鋼、ニッケル合金、Ni−Cr合金等が挙げられる。また、この場合、金属テープ1の厚さは特に限定されず、適宜調整可能であるが、前記した金属テープ1が安定化材テープよりなる場合と同様の厚さ範囲とすることが好ましい。
金属テープ1の幅は特に制限されず、超電導積層体5の幅および厚みに合わせて適宜調整可能である。金属テープ1の幅は、超電導積層体5の幅よりも大きく設定され、金属テープ1により超電導積層体5の周面のうち基材11の裏面11Aの露出部11a以外の部分を覆うことが出来るような幅であればよい。
金属テープ1からなるカバー部材9は超電導積層体5の周面に半田層7を介して配置されており、半田層7により超電導積層体5とカバー部材9とが強固に接続されている。また、金属テープ1からなるカバー部材9と銀層14が半田層7により電気的および機械的に接続されることにより、銀層14とカバー部材9との接合が強固となり、接続抵抗が低下するため、酸化物超電導13を安定化する効果を向上できる。
半田層7の厚さは、特に限定されず、適宜調整可能であるが、例えば、2〜20μm程度とすることができる。
半田層7は従来公知の半田より構成され、例えば、Sn−Ag系合金、Sn−Bi系合金、Sn−Cu系合金、Sn−Zn系合金などの鉛フリー半田、Pb−Sn系合金半田、共晶半田、低温半田などが挙げられ、これらの半田を1種または2種以上組み合わせて使用することができる。これらの中でも、融点が300℃以下の半田を用いることが好ましい。これにより、300℃以下の温度で金属テープ1と超電導積層体5を半田付けすることが可能となるので、半田付けの熱によって酸化物超電導層13の特性が劣化することを抑止できる。
超電導積層体5の外周側に配置された金属テープ1の幅方向の一方の端縁1Pと他方の端縁1Qは、超電導積層体5の基材11の他方の面(裏面)11A側に離間して配されており、端縁1Pと端縁1Qとの間には、基材11の裏面11Aの一部(中央部)11aが露出している。このため、何らかの理由により酸化物超電導線材10が半田層7の融点以上の高温環境に曝されて金属テープ1の端部が剥離した場合にも、金属テープ1の幅方向の両端縁1P、1Qが所定の幅に亘り超電導積層体5の基材11側に密着している構成であることにより、酸化物超電導層13まで水分が浸入し難くして、酸化物超電導層13が劣化することを抑制できる。
これに対し、例えば、金属テープ1の端部が超電導積層体5の側面側にある場合、万一、金属テープ1が剥離した場合には、超電導積層体5の側面が露出するため、酸化物超電導層13の側面より水分が浸入するおそれがある。また、金属テープ1の端部が超電導積層体5の銀層14の表面14A側にある場合、万一、金属テープ1が剥離した場合には、銀層14の表面が露出してしまう。この際、スパッタ法などにより形成された銀層14にピンホールなどの欠陥部が存在する場合には、この欠陥部より水分が酸化物超電導層13へと浸入するおそれがある。
また、金属テープ1からなるカバー部材9は、酸化物超電導層13がクエンチ(常電導転移)した場合に電流のバイパスとして機能して酸化物超電導線材10を安定化させる働きをするため、銅層14の表面14A上の金属テープ1が剥離し難い構造とすることが望ましい。本実施形態の酸化物超電導線材10は、金属テープ1の幅方向の両端縁1P、1Qが、超電導積層体5の両側面から回り込んで基材11の裏面11A側に達する構成であって、カバー部材9は超電導積層体5の両端を抱え込むような形であるため、万一、金属テープ1に部分的な剥離が生じた場合にも、銀層14の表面14A側の金属テープ1まで剥離しにくく、安定化の効果が高い。
本実施形態の酸化物超電導線材10は、金属テープ1の両端縁1P、1Q間に位置する基材11の裏面11Aの一部が露出し、露出部11aをなしている。酸化物超電導線材10において、露出部11aが形成された部分の厚さは、他の部分よりも金属テープ1からなるカバー部材9に被覆されてない分だけ薄くなっており、線材の長手方向に沿って露出部11aを底面とし、両端縁1P、1Qを壁部とした溝3を構成している。このように、溝3を備える構成であることにより、酸化物超電導線材10を巻銅などに巻回してコイル加工し、超電導コイルとする場合に、特異な効果を奏することができる。図3は、本実施形態の酸化物超電導線材10を巻胴に巻回してコイル加工した場合に、コイル径方向に積層された酸化物超電導線材10の構造を模式的に示す断面図である。図3に示すように、通常、酸化物超電導線材10は絶縁材料よりなる被覆層20により外面を被覆された後、コイル加工され、コイル径方向に隣接する酸化物超電導線材10、10間は絶縁されている。この場合、コイル径方向に隣接する超電導積層体5、5間に位置する溝3を、液体窒素などの冷媒の流路として利用することができ、超電導コイルの冷却効率を高めることができる。
溝3の幅(金属テープ1の両端縁1P、1Q間の距離)は特に限定されず、超電導積層体5の寸法などにより適宜変更可能である。一例として、超電導積層体の幅の0.2倍〜0.6倍とすることができ、具体的には、超電導積層体5の幅が5mmの場合、溝3の幅を2mm程度とすることができる。溝3の幅を前記範囲とすることにより、酸化物超電導線材10をコイル加工して超電導コイルとした場合に、該超電導コイルの冷媒による冷却効率が向上し好ましい。
本実施形態の酸化物超電導線材10は、超電導積層体5の幅方向の側面全体と銀層14の表面14A側の面全体および基材11の裏面11A面の少なくとも一部が金属テープ1からなるカバー部材9により半田層7を介して被覆された構成である。そのため、超電導積層体5の表面は勿論、側面全てが外部から遮蔽された構造が実現できる。このような構成にすることで、酸化物超電導層13への水分の浸入を抑え、酸化物超電導層13が水分によりダメージを受けて超電導特性が劣化することを防ぐことができる。また、金属テープ1の幅方向の両端縁1P、1Qが超電導積層体5の基材11の裏面11A側に所定の幅で密着する構成であるため、万一、酸化物超電導線材10が高温環境に曝されて金属テープ1の端部の剥離が起こった場合にも、酸化物超電導層13まで水分が浸入することを抑制できる。
本実施形態の酸化物超電導線材10において、金属テープ1は予めテープ状に加工されたものを使用している。そのため、従来の超電導線材のようにめっきにより安定化層が形成されている場合とは異なり、金属テープにめっき欠陥部などのピンホールが形成されることがないため、酸化物超電導層13を外部から完全に遮蔽することができ、酸化物超電導層13に水分が浸入して超電導特性が劣化することがない。
次に、本発明に係る酸化物超電導線材10の製造方法の一実施形態について図面に基づいて説明する。
図4は本発明に係る酸化物超電導線材の製造方法の一実施形態の工程を説明するための工程説明図である。
本実施形態の酸化物超電導線材の製造方法は、テープ状の基材11の一方の面上に中間層12と酸化物超電導層13と銀層14とがこの順に積層されてなる超電導積層体5と、超電導積層体5よりも幅広で、且つ片面に半田層7aが形成された金属テープ1を準備する第1工程と、超電導積層体5の銀層14上に半田層7aを介して金属テープ1を積層する第2工程と、金属テープ1を超電導積層体5の幅方向の側面に沿って折り曲げた後に超電導積層体5の基材11の他方の面(裏面)11Aに沿って折り曲げて、金属テープ1の幅方向両端縁1P、1Qを基材11の他方の面(裏面)11A側に被せてカバー部材9を形成する第3工程と、半田層を7a溶融凝固させて超電導積層体5の外周面にカバー部材9を半田層7を介して接合する第4工程と、を備える。
まず、第1工程では、前述した長尺の超電導積層体5と、前述した材質、幅および厚さの長尺テープ状の金属テープ1の片面に半田層7aをめっきなどにより形成した被覆テープ1Hを準備する。金属テープ1の片面に形成された半田層7aとしては、上記した酸化物超電導線材10の半田層7と同様の材質および厚さのものが挙げられる。
次に、図4(a)に示す如く金属テープ1の半田層7a上に超電導積層体5を銀層14を下にした状態で積層する(第2工程)。ここで、金属テープ1の幅は、超電導積層体5よりも幅広(幅方向の長さが長い)のものを使用し、金属テープ1の両側の端縁1P、1Qが超電導積層体5の外側に位置するように配置する。
第2工程において、図4(a)に示す如く金属テープ1上に半田層7aを介して超電導積層体5の銀層14を下にして積層させた状態で、加熱・加圧ロールを通過させることにより、銀層14と金属テープ1間の半田層7aを溶融凝固させて半田層7Aとし、この半田層7Aにより銀層14と金属テープ1を電気的および機械的に接合することが好ましい。このように、予め銀層14と金属テープ1を半田層7Aにより接合することにより、超電導積層体5と金属テープ1の位置決めを行い、後述する工程の作業性を向上させることができる。また、金属テープ1に形成された半田層7aの一部を予め溶融凝固させて半田層7Aとすることにより、金属テープ1と銀層14との間の半田層7aが溶融した際に発生するフラックスを超電導積層体5の側面側に逃がすことができる。そのため、金属テープ1と超電導積層体5間に残留するフラックスを減らすことができ、フラックスの残留に起因する接合不良が起こりにくい。
なお、第2工程において、予め金属テープ1と銀層14とを接合する場合、半田層7aを完全に溶融凝固させて半田層7Aとしてよいし、加熱の温度や時間を短く調整して、仮決め程度に接合してもよい。また、金属テープ1と超電導積層体5の銀層14を半田付けする場合の加熱・加圧条件は、使用する半田の種類および厚さなどにより適宜調整すればよい。例えば、半田層7aとして厚さ5μmのスズめっき(融点230℃)が片面に形成された厚さ50μmの銅製テープを金属テープ1として用いる場合、加熱温度240℃、加圧力10〜20MPa、線速100m/hの条件で一対のシリコン製ロールの間を通過させることにより接合することができる。
次に、図4(b)に示す如く、片面に半田層7aが形成された金属テープ1である被覆テープ1Hを、半田層7aを内側にして超電導積層体5の幅方向の両側の側面に沿って折り曲げ部1M、1Mで鉛直方向上方(基材11側)に折り曲げる。金属テープ1の幅方向の両側の端縁1P、1Qは、超電導積層体5の基材11よりも上方に位置する状態となる。また、超電導積層体5の幅方向の両側の側面は半田層7aを介して金属テープ1に被覆された状態となる。
続いて、図4(c)に示す如く、金属テープ1の幅方向の両端縁1P、1Qが超電導積層体5の基材11の他方の面(裏面)11A上に位置するように、金属テープ1を半田層7aを内側にして折り曲げ部1M、1Mで折り曲げる。金属テープ1の一方の端縁1Pと他方の端縁1Qとは離間しており、基材11の裏面11Aの中央部が露出して露出部11aを成している。これにより、超電導積層体5の周面を覆うように金属テープ1からなるカバー部材9が形成される。このような状態で超電導積層体5の周面が半田層7aを介して金属テープ1からなるカバー部材9で被覆された被覆体を、加熱・加圧ロールに通過させることにより、金属テープ1(カバー部材9)と超電導積層体5間の半田層7aを溶融凝固させることにより、超電導積層体5とカバー部材9を半田層7を介して接合できる。以上の工程により、超電導積層体5の銀層14側全体が半田層7Aを介して金属テープ1からなるカバー部材9で被覆され、超電導積層体5の側面側全体が半田層7Bを介して金属テープ1からなるカバー部材9で被覆され、超電導積層体5の基材11の他方の面(裏面)11Aのうち露出部11aを除いた部分が、半田層7Cおよび7Dを介して金属テープ1からなるカバー部材9により被覆された酸化物超電導線材10を製造できる。
第4工程において、半田層7aを溶融凝固させて金属テープ1からなるカバー部材9と超電導積層体5を接合する際の加熱・加圧条件は、使用する半田の種類および厚さなどにより適宜調整すればよい。例えば、半田層7aとして厚さ5μmのスズめっき(融点230℃)が片面に形成された厚さ50μmの銅製テープを金属テープ1として用いる場合、加熱温度240℃、加圧力10〜20MPa、線速100m/hの条件で一対のシリコン製ロールの間を通過させることにより接合することができる。
本実施形態の酸化物超電導線材の製造方法は、超電導積層体5の銀層14側から超電導積層体5の幅方向の側面側、次いで基材11の裏面11A側へと金属テープ1を折り曲げて、超電導積層体5の銀層14側の面全体と側面全体および基材11の裏面11Aの少なくとも一部を金属テープ1からなるカバー部材9により半田層7を介して被覆する構成である。そのため、超電導積層体5の側面全てが外部から遮蔽された構造の酸化物超電導線材を製造できる。従って、酸化物超電導層13への水分の浸入を抑え、酸化物超電導層13が水分によりダメージを受けて超電導特性が劣化することを防ぐことができる酸化物超電導線材を提供できる。また、金属テープ1の幅方向の両端縁1P、1Qが超電導積層体5の基材11の裏面11A側に位置するように金属テープ1を超電導積層体5の周面側に配置する構成であるため、万一、酸化物超電導線材10が高温環境に曝されて金属テープ1の端部の剥離が起こった場合にも、酸化物超電導層13まで水分が浸入することを確実に抑制できる酸化物超電導線材を提供できる。
また、本実施形態の酸化物超電導線材の製造方法は、図4(c)に示す如く金属テープ1の幅方向の両端縁1P、1Qが離間して配置され、基材11の裏面11Aの一部が露出する構成としてしている。そのため、第4工程において半田層7aを溶融凝固させる際に発生するフラックスを、金属テープ1の端縁1P、1Qから外部に逃がすことができる。従って、金属テープ1と超電導積層体5間に残留するフラックスを減らすことができ、フラックスの残留に起因する接合不良が起こりにくい。
さらに、露出部11aを底部とし、金属テープ1の両端縁1P、1Qを壁部とする溝3を備える構成の酸化物超電導線材を製造でき、この酸化物超電導線材を巻銅などに巻回してコイル加工し、超電導コイルとする場合に、図3に示す如くコイル径方向に隣接する超電導積層体5、5間に位置する溝3を、液体窒素などの冷媒の流路として利用することができ、超電導コイルの冷却効率を高めることができる。
本実施形態の酸化物超電導線材の製造方法は、予めテープ状に加工された金属テープ1を使用している。そのため、金属テープ1にはピンホールなどの欠陥部は無いので、製造される酸化物超電導線材は、超電導積層体5を外部から完全に遮蔽することができ、酸化物超電導層13に水分が浸入して超電導特性が劣化することがない。
以上、本発明の酸化物超電導線材およびその製造方法の実施形態について説明したが、上記実施形態において、酸化物超電導線材の各部は一例であって、本発明の範囲を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。以下、本発明の係る酸化物超電導線材およびその製造方法の他の実施形態について説明する。図5は本発明に係る酸化物超電導線材の第2実施形態を示す断面図であり、図6は本発明に係る酸化物超電導線材の第3実施形態を示す断面図であり、図7は本発明に係る酸化物超電導線材の第4実施形態を示す断面図であり、図8は本発明に係る酸化物超電導線材の第4実施形態を示す断面図である。図5〜図8において、上記実施形態の酸化物超電導線材10と同一の構成要素には同一の符号を付し、説明を省略する。
図5に示す酸化物超電導線材10Bは、超電導積層体5の周面が半田層7を介して金属テープ1からなるカバー部材9Bで覆われている点、金属テープ1の幅方向の両端縁1P、1Qが超電導積層体5の基材11の裏面側に配置されている点は上記実施形態の酸化物超電導線材10と同じであるが、金属テープ1の幅方向の一方の端縁1P上に、他方の端縁1Qが重ね合わされており、超電導積層体5の周面全部がカバー部材9Bで覆われている点で、上記実施形態の酸化物超電導線材10とは異なっている。
このような構成の酸化物超電導線材10Bも、上記第1実施形態の酸化物超電導線材10と同様に、酸化物超電導層13が外部から遮蔽された構成が実現できるため、酸化物超電導層13への水分の浸入を抑え、酸化物超電導層13が水分によりダメージを受けて超電導特性が劣化することを防ぐことができる。また、本実施形態の酸化物超電導線材10は、金属テープ1の端縁1Pと1Qの重なり部分も半田付けできる構成であるので、金属テープ1の端部がより剥がれ難くなる。
本実施形態の酸化物超電導線材10Bは、前記した本発明の酸化物超電導線材の製造方法の第1工程において、半田層7aを形成した金属テープ1の幅が、超電導積層体5の外周の長さよりも長く設定されたものを使用し、図4(c)に示す金属テープ1の折り曲げ工程時に、超電導積層体5の基材11の裏面11A上で金属テープ1の幅方向両端縁1P、1Qを重ね合わせた後、半田層7aを溶融凝固させて超電導積層体5と金属テープ1からなるカバー部材9Bを接合することにより製造できる。
図6に示す酸化物超電導線材10Cは、超電導積層体5の周面が半田層7を介して金属テープ1からなるカバー部材9Cで覆われている点、金属テープ1の幅方向の両端縁1P、1Qが超電導積層体5の基材11の裏面側に配置されている点は上記第1実施形態の酸化物超電導線材10と同じであるが、上記実施形態の酸化物超電導線材10と比較して、金属テープ1の幅方向の両端縁1P、1Qが超電導積層体5の幅方向の側面側に近く、超電導積層体5の基材11の裏面の露出部の幅が広くなっている。
このような構成の酸化物超電導線材10Cも、上記第1実施形態の酸化物超電導線材10と同様に、酸化物超電導層13が外部から遮蔽された構成が実現できるため、酸化物超電導層13への水分の浸入を抑え、酸化物超電導層13が水分によりダメージを受けて超電導特性が劣化することを防ぐことができる。
本実施形態の酸化物超電導線材10Cは、図4に示す酸化物超電導線材の製造方法の第1工程において、半田層7aがめっきされた金属テープ1の幅が上記第1実施形態よりも若干短く、且つ、超電導積層体5の銀層14側と幅方向両側面側を覆うに十分な幅に設定されたものを使用し、上記第1実施形態の酸化物超電導線材の製造方法と同様に製造できる。また、本実施形態の酸化物超電導線材10Bは、図3に示す如くコイル加工した場合に、冷媒の流路として機能する溝の幅をより大きくできるため、超電導コイルの冷却効率をより高めることができる。
図7に示す酸化物超電導線材10Dは、超電導積層体5の周面が半田層7を介して金属テープ1からなるカバー部材9Dで覆われている点、金属テープ1の幅方向の両端縁1P、1Qが超電導積層体5の基材11の裏面側に配置されている点は上記実施形態の酸化物超電導線材10と同じであるが、金属テープ1の幅方向の一方の端縁1Pと他方の端縁1Qとが隣接するように付き合わされて配置されている点で、上記実施形態の酸化物超電導線材10とは異なっている。
このような構成の酸化物超電導線材10Dも、上記第1実施形態の酸化物超電導線材10と同様に、酸化物超電導層13が外部から遮蔽された構成が実現できるため、酸化物超電導層13への水分の浸入を抑え、酸化物超電導層13が水分によりダメージを受けて超電導特性が劣化することを防ぐことができる。また、金属テープ1の端縁1P、1Qの突合せ部分まで半田付けできるので、金属テープ1の端部がより剥がれ難くなる。
本実施形態の酸化物超電導線材10Dは、前記した本発明の酸化物超電導線材の製造方法の第1工程において、半田層7aがめっきされた金属テープ1の幅が、超電導積層体5の外周の長さと略同一のものを使用し、図4(c)に示す金属テープ1の折り曲げ工程時に、超電導積層体5の基材11の裏面上で金属テープ1の幅方向両端縁1P、1Qが接するように突き合せて配置した後、半田層7aを溶融凝固させて超電導積層体5と金属テープ1からなるカバー部材9Dを接合することにより製造できる。
図8に示す酸化物超電導線材10Eは、超電導積層体5の周面が半田層7を介して金属テープ1からなるカバー部材9で覆われている点、金属テープ1の幅方向の両端縁1P、1Qが超電導積層体5の基材11の裏面11A側に配置されている点は上記第1実施形態の酸化物超電導線材10と同じであるが、金属テープ1の幅方向の一方の端縁1Pと基材11の裏面11Aとがそれらの全長にわたりレーザ溶接部25Pで接合されており、金属テープ1の幅方向の他方の端縁1Qと基材11の裏面11Aとがレーザ溶接部25Qで接合されている点で、上記実施形態の酸化物超電導線材10とは異なっている。
レーザ溶接部25P、25Qの幅は、使用するレーザのスポット径により適宜変更可能であるが、10〜300μm程度とすることが好ましい。レーザ溶接部25P、25Qの幅が前記範囲に満たない場合、使用するレーザのスポット径が小さくなり過ぎてレーザ照射部のエネルギー密度が高くなり過ぎてしまい、酸化物超電導層13までレーザが到達して酸化物超電導層13が劣化する可能性がある。また、レーザ溶接部25P、25Qの幅が前記範囲を超える場合、使用するレーザのスポット径が大きくなりすぎてレーザ照射部のエネルギー密度が低くなり、加工パワーが余分に必要となる虞がある。
レーザ溶接部25P、25Qの深さは、酸化物超電導層13まで到達しなければ特に限定されないが、基材11の裏面11Aからの深さが、基材11の厚さの1/10〜4/5程度の範囲となるように設定することができる。
このような構成の酸化物超電導線材10Eも、上記第1実施形態の酸化物超電導線材10と同様に、酸化物超電導層13が外部から遮蔽された構成が実現できるため、酸化物超電導層13への水分の浸入を抑え、酸化物超電導層13が水分によりダメージを受けて超電導特性が劣化することを防ぐことができる。
また、万一、溶接後にコイル加工や巻線加工、ケーブル加工など、あるいは、保管環境などにおいて酸化物超電導線材10Eが高温環境に曝されて半田層7が溶融するなどの現象を起こした場合であっても、金属テープ1の幅方向の両端縁1P、1Qが超電導積層体5の基材11の裏面11Aにレーザ溶接部25P、25Qにより接合されているため、金属テープ1からなるカバー部材9が超電導積層体5から剥離することがない。従って、酸化物超電導層への水分の浸入をより確実に抑制できる。さらに、酸化物超電導線材10Eは、上記第1実施形態の酸化物超電導線材10よりも、超電導積層体5とカバー部材5との接合構造が強固となるため、より高い機械強度を有する。
次に、本実施形態の酸化物超電導線材10Eの製造方法について説明する。
本実施形態の酸化物超電導線材10Eを製造するには、まず、上記第1実施形態の酸化物超電導線材10の製造方法と同様に、図4に示す製造工程の第4工程まで全て行い、超電導積層体5がカバー部材9で被覆された超電導線材を作製する。次に、得られた超電導線材のカバー部材9の両端縁である金属テープ1の幅方向の両端縁1P、1Qを基材11の裏面11Aにレーザ溶接する。
ここで、金属テープ1が前記した良導電性の安定化材テープよりなる場合、銅などの反射率の高い金属や合金より構成された金属テープをレーザ溶接するには、レーザの出力を高く設定したり、レーザ照射時間を長く設定する必要がある。例えば、銅の反射率は、波長280nmで33.0%、波長400nmで47.5%、波長700nmで97.5%、波長1000nmで98.5%とされている。このように銅は、YAGレーザや半導体レーザ(ファイバーレーザ)等の波長1000nm付近の反射率が非常に高いため、レーザが反射されてしまい溶接加工し難いという問題がある。
そこで、本実施形態においては、レーザ溶接時にレーザ照射する金属テープ1の両端縁11P、11Qの表面粗さを粗くすることにより、銅等の金属テープ1の両端縁11P、11Qの反射率を低下させて、確実にレーザ溶接できるようにすることができる。
レーザ溶接時にレーザ照射される金属テープ1の両端縁11P、11Qの表面粗さRaは、10μm以上100μm以下とすることが好ましい。このような表面粗さRaとすることにより、金属テープが銅等の反射率の高い金属材料より構成される場合にも、汎用のレーザーを使用して、良好な製造速度で溶接を行うことができるため好ましい。また、金属テープにより反射されるレーザ光を低減できるので、レーザ加工機へのレーザ光の反射も低減され、レーザ加工機がレーザ光により劣化しやすくなることを抑制できる。なお、本発明において、表面粗さRaとは、算術表面粗さRa(JIS B0601−1994)を表す。
レーザ溶接前に、レーザ照射される金属テープ1の両端縁1P、1Qの表面粗さを粗く加工する方法としては、特に限定されず、型押し、鑢がけなど、従来公知の方法が適用できる。具体的には、例えば、図9(a)に示す如く、表面に凹凸加工が施された加圧ローラーなどの成形具20により加圧する方法が挙げられる。この場合、成形具20により接触加圧される金属テープ1の両端縁1P、1Qの表面を、成形具20表面の凹凸形状が反転した凹凸形状に加工し、所望の表面粗さとすることができる。
次に、金属テープ1の一方の端縁1Pにレーザを照射してレーザ溶接した後、金属テープ1の他方の端縁1Qにレーザを照射してレーザ溶接する。レーザ溶接に使用できるレーザとしては、YAGレーザ、半導体レーザ、COレーザ、およびこれらのレーザ光を光ファイバにより伝送するファイバーレーザ等が挙げられる。中でも、連続波であるため、ファイバーレーザが好ましい。パルスレーザの場合は1パルスのエネルギーが大きすぎるために、レーザ照射部分が気化してしまい溶接部が形成されない場合がある。YAGレーザを使用する場合は、銅の反射率が低くなる第2高調波(532nm)を使用することができる。
図9(b)に示すように、レーザ加工機21の先端から集光レンズ22で集光されたレーザ光Lが射出されて、金属テープ1の端縁1Pに照射され、金属テープ1の端縁1Pおよびその下の基材11が局部的に溶融・凝固されることにより、レーザ溶接されてレーザ接合部25Pが形成される。レーザ加工機は、外部のアシストガス供給装置に接続されたガス供給口23から窒素、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガスが供給され、この不活性ガスGがレーザ加工機21の先端部よりレーザ光Lの照射部へと吹き付けられる構成となっている。このように、溶接部に窒素などの不活性ガスを吹き付けながら溶接することにより、溶接される金属テープが酸化することを防ぐことができる。
同様に、金属テープ1の端縁1Qにレーザ光Lを照射することにより、金属テープ1の端縁1Qおよびその下の基材11が局部的に溶融・凝固され、レーザ溶接されてレーザ接合部25Qが形成される。
レーザ溶接時のレーザのスポット径は、使用するレーザの種類や出力に合わせて、レーザ光Lが酸化物超電導層13まで到達しないエネルギー密度となるように設定すればよく、特に制限されないが、10〜200μm程度に設定することが好ましい。レーザのスポット径が前記範囲に満たない場合、レーザのスポット径が小さくなり過ぎてレーザ照射部のエネルギー密度が高くなり過ぎてしまい、酸化物超電導層13までレーザが到達して酸化物超電導層13が劣化する可能性がある。レーザのスポット径が前記範囲を超える場合、レーザ照射部のエネルギー密度が低くなり、加工パワーが余分に必要となる虞がある。
レーザのスポット径10〜200μm程度でレーザ溶接を行うことにより、形成されるレーザ溶接部25P、25Qの幅も10〜300μm程度となる。
レーザ溶接時のレーザの出力および波長は特に制限されず、使用するレーザ種や溶接する金属テープ1および基材11の材質および厚さにより適宜調整すればよい。例えば、金属テープ1として厚さ50μmの銅製テープを、基材11として厚さ100μmのハステロイ(米国ヘインズ社製商品名)を用いる場合、レーザ照射面である金属テープ1の端縁1P、1Qの表面粗さRaを50μm程度とし、波長1065nmのファイバーレーザを用い、スポット径50μm、出力300W、加工速度30m/分でレーザ溶接することにより、基材11の裏面11Aから基材11の厚さの半分程度まで達するレーザ溶接部25P、25Qを形成することができる。
図9(b)に示すように、金属テープ1の一方の端縁1Pにレーザ光Lを照射しながら、レーザ加工機21を超電導積層体5の長手方向に沿って走査する、あるいは、被溶接体であるカバー部材9(金属テープ1)で被覆された超電導積層体5を移動させることにより、レーザ光Lの照射位置を移動させて、金属テープ1の端縁1Pと基材11の裏面11Aを連続的に溶接することができる。金属テープ1の一方の端縁1Pと基材11の裏面11Aをレーザ溶接した後、同様の手法で金属テープ1の他方の端縁1Qと基材11の裏面11Aをレーザ溶接する。
以上の工程により、図9(c)に示す如く超電導積層体5が金属テープ1より形成されたカバー部材9で被覆され、且つ、金属テープ1の幅方向の両端縁1P、1Q(カバー部材9の両端縁)と、基材11の裏面11Aとがレーザ溶接部25P、25Qにより接合された酸化物超電導線材10Eを製造できる。
なお、図8及び図9に示す例では、金属テープ1の両端縁1P、1Qの全長にレーザ溶接部25P、25Qが形成されているが、本発明はこの例に限定されず、金属テープ1の両端縁1P、1Q以外の部分であって、金属テープ1が基材11の裏面11Aと接触している部分の一部を金属テープ1の全長にわたりレーザ溶接しても良い。例えば、図8と図9(c)に示す断面において、端縁1P、1Qではなく、基材1の幅方向両端側に近い部分に対し、金属テープ1の全長にわたりレーザ溶接部を形成して溶接しても良い。また、半田層7の部分において水分のシールドを完全にできる場合、レーザ溶接を全長にわたり形成する必要はなく、レーザ溶接部を間欠的に形成して半田層7の補強的な構成とするなどの構造を採用しても良い。
本実施形態の製造方法によれば、金属テープ1の幅方向の両端縁1P、1Qが超電導積層体5の基材11の裏面11Aにレーザ溶接された構造の酸化物超電導線材10Eを製造できる。そのため、万一、溶接後にコイル加工や巻線加工、ケーブル加工など、あるいは、保管環境などにおいて酸化物超電導線材10Eが高温環境に曝されて半田層7が溶融した場合にも、金属テープ1からなるカバー部材9が超電導積層体5から剥離することがないので、酸化物超電導層13への水分の浸入をより確実に抑制できる酸化物超電導線材10Eを提供できる。
なお、上記第1実施形態の酸化物超電導線材10では、酸化物超電導線材の横断面において、左右対称な構造を例示しているが、本発明はこの例に限定されない。金属テープ1の一端縁1Pと超電導積層体5の幅方向の一側面側からの距離は、金属テープ1の他端縁1Qと超電導積層体5の幅方向の他側面側からの距離は、同一であっても異なっていてもよい。
以下、実施例を示して本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
「超電導積層体の作製」
幅10mm、厚さ0.1mmのハステロイC276(米国ヘインズ社製商品名)製の金属基材の上に、IBAD法により1.2μm厚のGdZr(GZO)なる組成の中間層を形成し、さらにこの中間層の上にPLD法により1.0μm厚のCeOなる組成のキャップ層を成膜した。次に、このキャップ層の上にPLD法により1.0μm厚のGdBaCu7−xなる組成の酸化物超電導層を形成し、さらにこの酸化物超電導層の上にスパッタ法により10μm厚の銀層を形成した。得られた積層体を長手方向に沿って裁断することにより、幅5mm、長さ10m、液体窒素温度(77K)における臨界電流値Ic0=100Aの超電導積層体を作製した。
「酸化物超電導線材の作製」
(実施例1)
片面に厚さ5μmのスズめっき(融点230℃;半田層)が形成された幅10mm、厚さ50μmの銅製テープ(金属テープ)を用い、図4(a)に示すように、金属テープである銅製テープのスズめっき上に、上記で作製した超電導積層体を銀層が下になるように積層し、加熱・加圧ロールに通過させて銀層と銅製テープをスズの半田層を介して接合した。加熱・加圧は、シリコン製ロールを用い、加熱温度240℃、加圧力10〜20MPa、線速(線材搬送速度)100m/hで行った。
次に、図4(b)に示すように銅製テープをスズめっき側を内側にして、超電導積層体の側面に沿わせて折り曲げた後、基材の裏面側に沿わせて折り曲げることにより図4(c)に示す構造の被覆体を作製した。その後この被覆体を加熱・加圧ロールに通過させることにより、スズめっきを溶融凝固させて、図1に示す構造の酸化物超電導線材を作製した。加熱・加圧は、シリコン製ロールを用い、加熱温度240℃、加圧力10〜20MPa、線速(線材搬送速度)100m/hで行った。
得られた酸化物超電導線材において、銅製テープの幅方向両端縁は基材の裏面側に位置して半田により密着していた。
(実施例2)
片面に厚さ5μmのスズめっき(融点230℃;半田層)が形成された幅13mm、厚さ50μmの銅製テープ(金属テープ)を用い、図4(a)に示すように、金属テープである銅製テープのスズめっき上に、上記で作製した超電導積層体を銀層が下になるように積層し、加熱・加圧ロールに通過させて銀層と銅製テープをスズの半田層を介して接合した。加熱・加圧は、シリコン製ロールを用い、加熱温度240℃、加圧力10〜20MPa、線速(線材搬送速度)100m/hで行った。
次に、図4(b)に示すように銅製テープをスズめっき側を内側にして、超電導積層体の側面に沿わせて折り曲げた後、基材の裏面側に沿わせて折り曲げて銅製テープの一方の端縁と他方の端縁を約1mm重ね合わせて被覆体を作製した。その後この被覆体を加熱・加圧ロールに通過させることにより、スズめっきを溶融凝固させて、図5に示す構造の酸化物超電導線材を作製した。加熱・加圧は、シリコン製ロールを用い、加熱温度240℃、加圧力10〜20MPa、線速(線材搬送速度)100m/hで行った。
(比較例1)
上記で作製した超電導積層体を硫酸銅水溶液のめっき浴に浸漬させて、電気めっきにより超電導積層体の外周に厚さ20μmの銅のめっき層を形成することにより、酸化物超電導線材を作製した。
(比較例2)
上記で作成した超電導積層体の銀層の上に厚さ100μm、幅5mmの銅製テープを実施例1と同じスズめっきを用いて半田付けして貼り合わせることにより、酸化物超電導線材を作製した。
作製した実施例1、実施例2および比較例1、2の酸化物超電導線材を、温度121℃、湿度100%、2気圧の雰囲気中で24時間、48時間、72時間、および100時間保持した後に、液体窒素温度(77K)における酸化物超電導線材の臨界電流値Icを測定し、試験前の臨界電流値Ic0に対する試験後の臨界電流値Icの割合Ic/Ic0を求めた。試験時間に対して、Ic/Ic0をプロットしたグラフを図10に示す。なお、図10において、縦軸Ic/Ic0が1.0に近いほど超電導特性の劣化が少なく、水分に対する耐久性が高いことを示す。
図10の結果より、本発明に係る実施例1および実施例2の酸化物超電導線材は、100時間の耐久試験後も臨界電流値の低下が見られず、酸化物超電導層への水分の浸入を抑えることができることが明らかである。これに対し、比較例1の酸化物超電導線材は、72時間の耐久試験後に臨界電流値Icが10Aになっており、耐久性が低かった。また、比較例2の酸化物超電導線材は、48時間の耐久試験後に臨界電流値Icが0になっており、耐久性が低かった。
(実施例3)
実施例1と同様にして、超電導積層体を金属テープである銅製テープで被覆し、図1及び図4(c)に示す構成の超電導線材を作製した。次に、図9(a)に示すように、金属テープ(銅製テープ)の幅方向の両端縁を、表面に凹凸加工された加圧ローラーにより圧力10〜20MPaで加圧しながら、長手方向に回転走行させて、金属テープ(銅製テープ)の両端縁の表面粗さRaを50μmに加工した。次に、図9(b)に示すように、金属テープ(銅製テープ)の幅方向の両端縁について、夫々、金属テープの端部から20μmの位置にレーザを照射してレーザ溶接することにより、金属テープの両端縁と基材の裏面とを接合して、図8及び図9(c)に示す構造の酸化物超電導線材を作製した。形成されたレーザ溶接部は、幅80μmであり、基材の約半分の深さまで達していた。なお、レーザ溶接は次の条件で行った。
使用レーザ:ファイバーレーザ(波長1065nm、出力300W)、スポット径:50μm、溶接速度:30m/分、アシストガスとして窒素ガスを溶接部に吹きつけながら溶接を行った。
作製した実施例3の酸化物超電導線材を、温度121℃、湿度100%、2気圧の雰囲気中で100時間保持した後に、液体窒素温度(77K)における酸化物超電導線材の臨界電流値Icを測定し、試験前の臨界電流値Ic0に対する試験後の臨界電流値Icの割合Ic/Ic0を求めたところ、Ic/Ic0=1.0であり、超電導特性は劣化せずに保持されていた。
本発明は、例えば超電導モータ、限流器など、各種電力機器に用いられる酸化物超電導線材に利用することができる。
1…金属テープ、1P、1Q…端縁、5…超電導積層体、7、7a…半田層、9、9B、9C、9D…カバー部材、10、10B、10C、10D、10E…酸化物超電導線材、11…基材、12…中間層、13…酸化物超電導層、14…銀層、25P、25Q…レーザ溶接部。

Claims (8)

  1. テープ状の基材の一方の面上に中間層と酸化物超電導層と銀層とがこの順に積層されて超電導積層体が構成され、該超電導積層体の周面が半田層を介して該超電導積層体より幅広の金属テープからなるカバー部材で覆われており、前記金属テープの幅方向両端縁が前記超電導積層体の前記基材の他方の面側に配置され、該金属テープの両端縁以外の部分で前記超電導積層体の幅方向の側面と前記銀層の表面が覆われてなることを特徴とする酸化物超電導線材。
  2. 前記超電導積層体の前記基材の他方の面の一部が前記金属テープに覆われず露出するように、前記金属テープの幅方向両端縁を前記基材の他方の面側に離間して配置させてなることを特徴とする請求項1に記載の酸化物超電導線材。
  3. 前記基材の他方の面側に配置された金属テープの一部と、前記基材の他方の面の一部とが、レーザ溶接部により接合されてなることを特徴とする請求項2に記載の酸化物超電導線材。
  4. 前記金属テープが、良導電性の安定化材テープであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の酸化物超電導線材。
  5. テープ状の基材の一方の面上に中間層と酸化物超電導層と銀層とがこの順に積層されてなる超電導積層体と、該超電導積層体よりも幅広で、且つ片面に半田層が形成された金属テープを準備する第1工程と、
    前記超電導積層体の前記銀層上に前記半田層を介して前記金属テープを積層する第2工程と、
    前記金属テープを前記超電導積層体の幅方向の側面に沿って折り曲げた後に該超電導積層体の前記基材の他方の面に沿って折り曲げて、該金属テープの幅方向両端縁を前記基材の他方の面側に配置してカバー部材を形成する第3工程と、
    前記半田層を溶融凝固させて、前記超電導積層体の外周面に前記カバー部材を前記半田層を介して接合する第4工程と、を備えることを特徴とする酸化物超電導線材の製造方法。
  6. 前記第3工程において、前記基材の他方の面の一部が前記金属テープに覆われず露出するように、前記金属テープの幅方向両端縁を前記超電導積層体の前記基材の他方の面側に離間して配置することを特徴とする請求項5に記載の酸化物超電導線材の製造方法。
  7. 前記第4工程後に、前記基材の他方の面側に配置された金属テープの一部と、前記基材の他方の面の一部とを、レーザ溶接することを特徴とする請求項6に記載の酸化物超電導線材の製造方法。
  8. 前記金属テープが、良導電性の安定化材テープであることを特徴とする請求項5〜7のいずれか一項に記載の酸化物超電導線材の製造方法。
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