JP2021007955A - 冷間引抜加工用加湿装置及び加工システム - Google Patents

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Abstract

【課題】粉末潤滑剤を使用することなく、冷間引抜加工時、潤滑皮膜を有する金属材料に疵が発生するのを防止可能な装置を提供する。【解決手段】冷間引抜加工する前に、潤滑皮膜を有する金属材料と接触させる空気を加湿することを特徴とする冷間引抜加工用加湿装置。【選択図】図1

Description

本発明は、潤滑皮膜を有する金属材料の冷間引抜加工に関する。
冷間伸線加工及び冷間抽伸加工等の冷間引抜加工は、ダイスを通して、管、棒、線といった長尺の金属材料の断面積を縮小させたり断面形状を変化させたりする技術である。冷間引抜加工は、金属材料への疵(焼付き等)の発生防止、ダイスの寿命向上、及び引抜速度向上といった目的で、予め金属材料を潤滑処理してから実施するのが通常である。
潤滑処理の方法として、処理効率を向上させるため、金属材料をコイル状にして金属材料に潤滑皮膜処理剤を接触させ、乾燥することで潤滑皮膜を形成する方法が知られている。しかしながら、金属材料をコイル状にした状態では、金属材料同士が接触している箇所に潤滑皮膜処理剤が行き届かないため、潤滑皮膜の未付着部(「皮膜欠陥」ともいう。)が生じる。潤滑皮膜の未付着部が残存した状態で冷間引抜加工を実施すると、当該未付着部を起点として金属材料に疵が発生するという問題がある。
このような疵の発生を抑制するために、潤滑皮膜処理剤を接触させ、乾燥を行ったコイル状の金属材料を繰り出しながら、連続的に冷間引抜加工を実施する際、ダイスに通す直前で、更に粉末潤滑剤を潤滑皮膜を有する金属材料に付着させることが通常である。
特開昭62−161418号公報(特許文献1)には、鋼線を伸線する際に、予めコイル状にして浸漬法により、酸洗→水洗→皮膜処理(石灰石鹸液処理、又はリン酸塩処理→石灰石鹸液処理)→乾燥の工程で潤滑処理を行った後、粉末潤滑剤を用いて伸線することが記載されている。
特開2000−345361号公報(特許文献2)には、鉄、鋼、ステンレス鋼、クロム鋼、モリブデン鋼、チタン鋼または他の金属の線材、棒材、パイプ材等の金属材料は、酸洗、もしくは機械的に脱スケールした後、リン酸塩被膜、硼酸塩被膜、蓚酸塩被膜または石灰石鹸被膜の前処理を施してから、必要に応じて乾式潤滑剤、水溶性潤滑剤、または油性潤滑剤等を用いて引き抜き加工されることが記載されている。
特開昭62−161418号公報 特開2000−345361号公報
粉末潤滑剤を扱う場合、粉塵が発生して作業環境が悪化しやすいという問題がある。また、粉末潤滑剤が潤滑皮膜を有する金属材料に過剰に付着すると、過剰引き込みによって潤滑皮膜を有する金属材料の外観が悪化するという問題も生じる。このため、粉末潤滑剤を使用することなく、冷間引抜加工時、潤滑皮膜を有する金属材料に疵が発生するのを防止できることが望ましい。
上記事情に鑑み、本発明は一実施形態において、粉末潤滑剤を使用することなく、冷間引抜加工時に潤滑皮膜を有する金属材料に疵が発生するのを防止可能な装置を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、冷間引抜加工する前に、潤滑皮膜を有する金属材料と接触させる空気を加湿することで、粉末潤滑剤を使用することなく、冷間引抜加工時に潤滑皮膜を有する金属材料に疵が発生するのを防止できることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は例示的に以下のように特定される。
[1]
冷間引抜加工する前に、潤滑皮膜を有する金属材料と接触させる空気を加湿することを特徴とする冷間引抜加工用加湿装置。
[2]
潤滑皮膜を有する金属材料と接触させる空気を、70〜100%RHの湿度、5〜40℃となるように加湿することを特徴とする[1]に記載の冷間引抜加工用加湿装置。
[3]
[1]に記載の冷間引抜加工用加湿装置と、潤滑皮膜を有する金属材料を冷間引抜加工する加工装置と、を備える加工システム。
本発明の一実施形態に係る冷間引抜加工用加湿装置を使用することで、粉末潤滑剤を使用することなく、冷間引抜加工時、潤滑皮膜を有する金属材料に焼付き等の疵が発生するのを防止することができるようになる。
本発明に係る加工システムの構成例を示す模式図である。 実施例で使用した冷間引抜加工用加湿装置及びダイスの配置を示す模式図である。
以下、冷間引抜加工用加湿装置及び加工システムを含む本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、本発明は、その要旨を含む範囲で任意に変更可能であり、下記の実施形態に限定されない。
(1.金属材料)
本発明に係る金属材料の材質としては、特に制限されないが、例えば、鉄、鋼、合金鋼(例:ステンレス鋼、クロムモリブデン鋼)、銅又は銅合金、アルミニウム又はアルミニウム合金、チタン又はチタン合金等の金属材料が挙げられる。
本発明に係る金属材料の形状としては、冷間引抜加工に適した形状であれば特に制限はないが、例えば、管、棒及び線といった長尺形状が挙げられる。
本発明に係る金属材料は潤滑皮膜を有する。典型的には、当該金属材料には潤滑皮膜の未付着部が存在するが、潤滑皮膜の未付着部が存在しなくてもよい。潤滑皮膜としては、公知の任意の潤滑皮膜を採用でき、特に制限されないが、典型的には無機塩及び滑剤を含有する潤滑皮膜が挙げられる。潤滑皮膜は単層でもよく、2層以上の多層構造でもよい。
無機塩としては、ホウ酸塩、リン酸塩、ケイ酸塩、及びタングステン酸塩等の水溶性無機塩が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種類以上組み合わせてもよい。これらの水溶性無機塩の塩としては、例えば、アルカリ金属塩(ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩等)、アンモニウム塩等を挙げることができる。なお、リン酸塩は、トリポリリン酸、メタリン酸、ピロリン酸などの縮合リン酸の塩も包含する。なお、本明細書において「水溶性」とは、室温(25℃)での水への溶解度{水100gに溶ける溶質の質量(g)}が少なくとも1gであり、好ましくは10g以上であることを意味する。
滑剤としては、例えば、ワックス、ポリテトラフルオロエチレン、脂肪酸石鹸、脂肪酸金属石鹸、脂肪酸アマイド、有機酸のアルカリ土類金属塩、二硫化モリブデン、二硫化タングステン、グラファイト、メラミンシアヌレート、層状構造アミノ酸化合物及び層状粘土鉱物が挙げられる。この中でも、ワックス、ポリテトラフルオロエチレン、脂肪酸石鹸、脂肪酸金属石鹸、脂肪酸アマイド、有機酸のアルカリ土類金属塩、メラミンシアヌレート、層状構造アミノ酸化合物及び層状粘土鉱物がより好ましい。これらは単独で用いてもよいし、2種類以上組み合わせてもよい。
ここで、ワックスとしては、具体例として、ポリエチレンワックス、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ポリプロピレンワックス、カルナバワックスが挙げられる。ワックスの融点は特に限定されないが、60〜120℃であることが好ましく、60℃〜80℃であることがより好ましい。また、脂肪酸石鹸としては、具体例として、ミリスチン酸ナトリウム、ミリスチン酸カリウム、パルミチン酸ナトリウム、パルミチン酸カリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウムが挙げられる。また、脂肪酸金属石鹸としては、具体例として、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸リチウムが挙げられる。また、脂肪酸アマイドは脂肪酸を2つ有するアミド化合物であり、具体例として、エチレンビスラウリン酸アマイド、エチレンビスステアリン酸アマイド、エチレンビスベヘン酸アマイド、N−N’−ジステアリルアジピン酸アマイド、エチレンビスオレイン酸アマイド、エチレンビスエルカ酸アマイド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アマイド、N−N’−ジオレイルアジピン酸アマイドが挙げられる。また、有機酸のアルカリ土類金属塩としては、具体例として、シュウ酸カルシウム、シュウ酸バリウム、リンゴ酸カルシウム、リンゴ酸バリウム、コハク酸カルシウム、コハク酸バリウム、グルタル酸カルシウム、グルタル酸バリウム、クエン酸カルシウム、クエン酸バリウム、酒石酸カルシウム、酒石酸バリウムが挙げられる。また、層状構造アミノ酸化合物は、分子構造内に炭素数11以上の炭化水素基を有するアミノ酸もしくはその誘導体である。具体例として、N−ラウロイル−L−リジン[C1123CONH(CH24CH(NH2)COOH]が挙げられる。層状粘土鉱物としては、スメクタイト群、バーミキュライト群、雲母群、脆雲母群、パイロフィライト群、カオリナイト群の天然品もしくは合成品が挙げられる。より詳しく具体例を挙げると、スメクタイト群ではモンモリロナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、鉄サポナイト、ヘクトライト、ソーコナイト、スチブンサイト、バーミキュライト群ではdi.バーミキュライト、tri.バーミキュライト、雲母群では白雲母、パラゴナイト、イライト、フロゴパイト、黒雲母、紅雲母、レピドライト、脆雲母群ではマーガライト、クリントナイト、パイロフィライト群ではパイロフィライト、滑石、カオリナイト群ではカオリナイト、ディッカイト、ナクライト、ハロイサイト、クリソタイル、リザルダイト、アンチゴライトが挙げられる。また、これらの層状粘土鉱物は有機処理を行うことで層間に有機変性剤が導入されていても良い。有機変性剤はアルキルアミン又はアルキル四級アンモニウム塩であって具体例としてステアリルジメチルアミン、ジステアリルアミン、ジステアリルジメチルアミン、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド、ジステアリルジメチルアンモニウムクロライドが挙げられる。
潤滑皮膜は、無機塩及び滑剤を含有する潤滑皮膜処理剤を用いた湿式皮膜処理により形成することができる。また、湿式皮膜処理は処理効率を向上させるため、金属材料をコイル状に巻いた状態又は束ねた状態で行ってもよい。湿式皮膜処理により、潤滑皮膜を金属材料の表面又は表面上に形成する方法は、特に限定されるものではないが、浸漬法、フローコート法、スプレー法、又はこれらの組み合わせを挙げることができる。湿式皮膜処理を実施後は、乾燥工程を行うことが望ましい。
潤滑皮膜処理剤は、液体媒体である水に、無機塩、滑剤、及び他の成分を適宜混合することにより製造可能である。混合は、プロペラ攪拌、ホモジナイザー等の一般的な方法で行われる。潤滑皮膜処理剤に添加できる他の成分としては、例えば、樹脂成分、水溶性防錆剤、粘度調整剤、インヒビター、及びpH調整剤が挙げられる。
樹脂成分は、バインダー作用、金属材料と皮膜の密着性向上、増粘作用によるレベリング性の付与、分散成分の安定化、バリア性の向上を目的として添加することができる。ここで用いられる樹脂成分は、皮膜形成性を有するものであれば特に制限はなく、一般的には水に溶解させた状態もしくは水に分散させた状態で供給されている。樹脂成分の具体例としては、例えば、ビニル樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、セルロース誘導体、ポリマレイン酸、ポリオレフィン、ポリエステルが挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種類以上組み合わせてもよい。
粘度調整剤は、レベリング性及びチクソ性を付与する等の目的で添加することができる。粘度調整剤としては、具体例として、モンモリロナイト、ソーコナイト、バイデライト、ヘクトライト、ノントロナイト、サポナイト、鉄サポナイト及びスチブンサイト等のスメクタイト系粘土鉱物や微粉シリカ、ベントナイト、カオリン等の無機系の増粘剤が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種類以上組み合わせてもよい。
水溶性防錆剤及びインヒビターは、耐食性を向上させる目的で添加することができる。水溶性防錆剤及びインヒビターの具体例として、オレイン酸、ダイマー酸、酒石酸、クエン酸等の各種有機酸、EDTA、NTA、HEDTA、DTPA等の各種キレート剤、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン、p−t−ブチル安息香酸のアミン塩類等、カルボン酸アミン塩、2塩基酸アミン塩基、アルケニルコハク酸及びその水溶性塩とアミノテトラゾール及びその水溶性塩の併用等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種類以上組み合わせてもよい。
pH調整剤は、液の安定性を高めるために添加することができる。具体例として、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムが挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種類以上組み合わせてもよい。
金属材料に対して湿式皮膜処理を実施する前に、焼鈍等により成長した酸化スケールや各種の汚れ(油など)を除去することを目的とした清浄化処理を行うことが好ましい。具体的には、ショットブラスト、サンドブラスト、ウェットブラスト、ピーリング、脱脂及び酸洗よりなる群から選ばれる少なくとも1種類の清浄化処理を行うことが好ましい。清浄化処理は、1種類のみを行ってもよいし、2種類以上を組み合わせて順次行ってもよい。各清浄化処理の後には、水洗処理工程を行ってもよい。また、清浄化処理の後、湿式皮膜処理を実施する前に、乾燥工程を行ってもよい。
脱脂工程は、例えば、公知の、酸脱脂剤又はアルカリ脱脂剤を常法により金属材料の表面又は表面上に接触させることにより行うことができる。酸洗は、例えば、公知の硝酸洗剤又は硫酸洗剤を常法により金属材料の表面又は表面上に接触させることにより行うことができる。
なお、金属材料と潤滑皮膜との間に別の層が存在していてもよい。別の層とは、例えば、金属酸化物層である。また、金属材料と潤滑皮膜との間に、加工性や耐食性を向上させる等の目的で公知の下地皮膜が存在しても良い。
(2.冷間引抜加工用加湿装置)
一実施形態において、本発明に係る冷間引抜加工用加湿装置は、冷間引抜加工する前に、潤滑皮膜を有する金属材料と接触させる空気を加湿することができるように構成される。冷間引抜加工用加湿装置は、冷間引抜加工する前に、潤滑皮膜を有する金属材料と接触させる空気を加湿することができるように構成されている限り特に制限はない。
潤滑皮膜を有する金属材料と接触させる空気は、好ましくは70%RH以上、より好ましくは80%RH以上の湿度となるように加湿される。また、潤滑皮膜を有する金属材料の表面に水滴が付着しない条件(結露しない条件)が好ましい。そこで、潤滑皮膜を有する金属材料と接触させる空気は、好ましくは100%RH以下、より好ましくは95%RH以下の湿度となるように加湿される。
潤滑皮膜を有する金属材料と接触させる空気の温度は特に制限はないが、加温や冷却を特段必要とすることのない常温(5〜40℃)であることがコストの観点から好ましい。また、結露を防止するという観点から、飽和水蒸気量が多くなる25〜40℃であることがより好ましい。
従って、好ましい実施形態において、冷間引抜加工用加湿装置によって、潤滑皮膜を有する金属材料と接触させる空気は、70〜100%RH(相対湿度)の湿度、5〜40℃となるように加湿される。
冷間引抜加工用加湿装置によって加湿された空気と潤滑皮膜を有する金属材料との接触時間は、0.2秒以上であることが好ましく、0.4秒以上であることがより好ましい。この接触時間に上限は特に設定されないが、生産効率の観点から、4秒以下であることが好ましく、2秒以下であることがより好ましく、1秒以下であることが更により好ましい。
図1には、冷間引抜加工用加湿装置150の構成例が図示されている。冷間引抜加工用加湿装置150は、加湿器151、配管152、及び加湿ボックス153を備える。加湿器151としては、特に制限はないが、調湿装置付きの加湿器であることが好ましい。加湿器151で加湿された空気は、配管152を通って加湿ボックス153内に流入することができる。また、加湿ボックス153は、潤滑皮膜を有する金属材料120の入口154及び出口155を有しており、加湿ボックス153の内部を、潤滑皮膜を有する金属材料120が通過することができるように構成されている。従って、潤滑皮膜を有する金属材料120が加湿ボックス153内を通過する間に、潤滑皮膜を有する金属材料120は加湿された空気と接触する。
(3.加工システム)
図1には、本発明に係る加工システム100の構成例が図示されている。加工システム100は、冷間引抜加工用加湿装置150と、前記冷間引抜加工用加湿装置150によって加湿された空気と接触した潤滑皮膜を有する金属材料を冷間引抜加工する加工装置140を備える。冷間引抜加工用加湿装置150の説明は上述した通りである。潤滑皮膜を有する金属材料を冷間引抜加工する加工装置140は、潤滑皮膜を有する金属材料の供給装置141、ダイス142、及び潤滑皮膜を有する金属材料の巻取り装置143を有する。供給装置141は、コイル状に巻かれた潤滑皮膜を有する金属材料110を繰り出し、ダイス142に向かって送り出すことができる。一方、巻取り装置143は、ダイス142を通過した潤滑皮膜を有する金属材料120を、所望の速度でコイル状に巻き取ることができる。加工装置140は、供給装置141から繰り出された潤滑皮膜を有する金属材料120を、直線状に矯正した上でダイス142に送るための、ピンチロールや矯正ロールを備えてもよい。一実施形態において、加工システム100は、潤滑皮膜を有する金属材料を冷却するための冷却装置を有しない。別の一実施形態において、加工システム100は、潤滑皮膜を有する金属材料を加熱するための加熱装置を有しない。更に別の一実施形態において、加工システム100は、潤滑皮膜を有する金属材料を冷却するための冷却装置及び潤滑皮膜を有する金属材料を加熱するための加熱装置の何れも有しない。
図1に示す加工システム100において、ダイス142は加湿ボックス153の外部に設置されている。加湿された空気と接触した潤滑皮膜を有する金属材料120が加湿ボックス153を出た後、ダイス142を通過するまでの間に潤滑皮膜を有する金属材料120が乾燥するのを防止することが好ましい。そこで、加湿された空気と接触した潤滑皮膜を有する金属材料120が加湿ボックス153を出た後、潤滑皮膜を有する金属材料120は1秒以内にダイス142を通過し始めることが好ましく、0.4秒以内にダイス142を通過し始めることがより好ましい。
ダイス142は、加湿ボックス153の内部に設置してもよい。ダイス142を加湿ボックス153の内部に設置することで、加湿された空気と接触した潤滑皮膜を有する金属材料120が加湿ボックス153を出た後、ダイス142を通過するまでの間に潤滑皮膜を有する金属材料が乾燥するのを防止することができる。
以下に、本発明を適用する伸線加工システムの実施例を示す。ただし、本発明は本実施例によって制限されるものではない。
(試験材)
試験材としては、線径13.0mm×長さ1.2m、鋼種:JIS G 4053:2016で規定するクロムモリブデン鋼(SCM435)の直線矯正材を使用した。また、ダイスに導入するために直線矯正材の先端部を、ローラーダイスを用いて線径11.0mm×長さ20cmに加工した。
(焼付きの促進試験)
焼付きを促進する目的で、上記試験材の後端部に幅2.5mm×長さ50mmの耐熱テープ(3Mジャパン製、ポリイミド電気絶縁テープ)を張り、テープを張った状態で潤滑皮膜を形成するための処理を以下に示す工程で実施した。テーピングをした箇所では、潤滑皮膜が付着しないため、焼付きを起こしやすい。本試験は、潤滑皮膜を有する金属材料をコイル状にして処理した時の線間部(金属材料同士が接触している箇所)における皮膜欠陥を想定した試験方法である。
(潤滑皮膜の形成方法)
潤滑皮膜を形成するための処理は以下の工程で実施した。
(1)脱脂:市販の脱脂剤(ファインクリーナーE6400、日本パーカライジング(株)製、濃度20g/L、温度60℃、浸漬15分)
(2)水洗:水道水、温度約20℃、シャワー30秒
(3)酸洗:17.5%塩酸、温度約20℃、浸漬20分
(4)水洗:水道水、温度約20℃、シャワー1分
(5)中和:市販の中和剤(プレパレン27、日本パーカライジング(株)製、濃度1g/L、温度約20℃、浸漬1分)
(6)潤滑皮膜処理:市販の水系潤滑皮膜処理剤(表1に示す潤滑皮膜処理剤、温度60℃、浸漬1分、皮膜量:7g/m2となるような条件で処理を実施)
(7)乾燥:ジェットヒーター、100℃、20分
(伸線加工試験)
上記の方法で潤滑皮膜を形成した線径13.0mm×長さ1.2mの試験材からテープを剥がした後、約20℃の試験材に対して表1に示す条件で伸線加工試験を実施した。また、伸線加工試験は各条件につき5本ずつ実施した。実施例1〜9では、加湿器を使用して表1中の湿度となるように空気を加湿し、加湿した空気を流入した加湿ボックス中に試験材を通過させた直後に伸線した。なお、加湿ボックス内の雰囲気温度は約20℃とした。使用した冷間引抜加工用加湿装置の構成を図2に示す。加湿器151としては、CCP社製、ハイブリッド式加湿器KJ−373HE−WHを使用した。加湿ボックス153は、76mm×76mm×180mmの直方体状とし、伸線方向に対して76mm×76mmの面が平行になるように設置した。加湿ボックス153の出口からダイス142の入口までの距離は40mmとした。一方、比較例1〜5では、伸線前加湿工程無しで伸線を実施した。なお、引き抜き速度は実施例及び比較例の何れも約10m/分とした。
(評価方法)
伸線加工試験を実施した試験材の潤滑皮膜未塗布部における焼付き等の外観不良の有無を目視により以下の評価基準で評価した。評価結果を表1に示す。
(焼付き等の外観不良の有無についての評価基準)
◎:焼付き等の発生本数が0本
〇:焼付き等の発生本数が1本〜4本
×:焼付き等の発生本数が5本

(使用ダイス)
減面率7.5%で使用したダイス…ダイス内径:12.50mm, チップ径:35mm, チップ高さ:25mm, ベアリング長:3.9mm, ケース径:85mm, ケース高さ:40mm, ダイス両角:17°
減面率16.9%で使用したダイス…ダイス内径:11.85mm, チップ径:35mm, チップ高さ:25mm, ベアリング長:3.9mm, ケース径:85mm, ケース高さ:40mm, ダイス両角:17°
(潤滑皮膜処理剤)
FL−E2000:日本パーカライジング(株)製
FL−E2200:日本パーカライジング(株)製
FL−E740C:日本パーカライジング(株)製
FL−E771A:日本パーカライジング(株)製
100 加工システム
110 コイル状に巻かれた潤滑皮膜を有する金属材料
120 潤滑皮膜を有する金属材料
140 潤滑皮膜を有する金属材料を冷間引抜加工する加工装置
141 潤滑皮膜を有する金属材料の供給装置
142 ダイス
143 潤滑皮膜を有する金属材料の巻取り装置
150 冷間引抜加工用加湿装置
151 加湿器
152 配管
153 加湿ボックス
154 入口
155 出口

Claims (3)

  1. 冷間引抜加工する前に、潤滑皮膜を有する金属材料と接触させる空気を加湿することを特徴とする冷間引抜加工用加湿装置。
  2. 潤滑皮膜を有する金属材料と接触させる空気を、70〜100%RHの湿度、5〜40℃となるように加湿することを特徴とする請求項1に記載の冷間引抜加工用加湿装置。
  3. 請求項1に記載の冷間引抜加工用加湿装置と、潤滑皮膜を有する金属材料を冷間引抜加工する加工装置と、を備える加工システム。
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