JP2000273662A - 銅系材料の腐食抑制/変色防止剤 - Google Patents

銅系材料の腐食抑制/変色防止剤

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JP2000273662A JP7620599A JP7620599A JP2000273662A JP 2000273662 A JP2000273662 A JP 2000273662A JP 7620599 A JP7620599 A JP 7620599A JP 7620599 A JP7620599 A JP 7620599A JP 2000273662 A JP2000273662 A JP 2000273662A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 銅または銅合金製品、特に熱交換器用銅管の
蟻の巣状腐食や変色を長期間抑制する。 【解決手段】 N、O、Sから選ばれた元素を含有し、
さらにカルボキシル基を吸着できるアミノ基またはエポ
キシ基か、または疎水性基を分子末端に有するシランカ
ップリング剤からなる腐食抑制/変色防止剤を含有する
有機溶媒溶液で処理するか、この腐食抑制/変色防止剤
を添加した揮発性潤滑油を用いて塑性加工を行う。この
腐食抑制/変色防止剤を含有する梱包材料も有効であ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、銅系材料(銅およ
び銅合金)の腐食抑制/変色防止剤とこれを含有する銅
系材料および銅系材料製品の腐食抑制/変色防止用処理
液および加工用潤滑油に関する。本発明はまた、上記腐
食抑制/変色防止剤で処理された銅製品や、これを含有
する銅系材料の梱包材料にも関する。
【0002】本発明に係る腐食抑制/変色防止剤は、冷
凍機や空調供給等の熱交換器用銅管に見られる蟻の巣状
腐食を抑制することができ、また銅表面で発生する変色
を長期間にわたって防止することができる。
【0003】
【従来の技術】銅は熱伝導性が高く、加工が容易で、耐
食性も比較的高いことから、銅管および銅合金管は特に
熱交換を行う各種の配管に使用されている。銅および銅
合金の表面は酸化皮膜で覆われ、これが保護皮膜となる
上、銅自体が貴な金属であるために高い耐食性を示すの
である。
【0004】例えば、火力および原子力発電所、化学プ
ラント、船舶などの熱交換器 (例、復水器) には、特殊
黄銅、キュプロニッケルなどの銅合金の配管が使用され
ている。このような熱交換器の冷却水には、腐食性の高
い海水、河海水などが使用されることが多いため、各種
の防食対策がとられてきた。例えば、冷却水に微量の鉄
イオンを注入すると、孔食や潰食といった腐食抑制に有
効であるが、配管内に鉄が付着して伝熱効率が低下する
ため、内面を塗装して有機被覆を施す方法が一般的にな
っている。この内面被覆については、例えば、特公昭59
−50269 号、特開昭62−77600 号、同63−118598号、同
63−233299号、同63−233300号、特公平3−35548 号、
同4−81116 号、特開平6−42892 号、同6−193792号
の各公報に記載されている。特開昭63−145788号公報に
は、かかる銅系配管に対する防食剤としてカルボン酸イ
オンを共存させた硫酸第一鉄水溶液が記載されている。
【0005】水道水や地下水を流す銅系配管でも、水道
水の残留塩素や他の要因がからんで孔食が発生すること
があり、その対策が考えられてきた。最も一般的な方法
は、有機インヒビターを水に添加することである。銅系
材料に対する有機インヒビターとしては、特にベンゾト
リアゾール類が効果が高いことが知られている。別の防
食用添加剤が特開平6−88262 号および同6−287776号
各公報に記載されている。
【0006】特開昭59−74283 号公報には、銅と安定な
キレートを形成する化合物 (例、クエン酸、酒石酸、フ
ィチン酸、それらの塩) の水溶液を銅管内に循環させ
て、管内面に防食皮膜を付着させることが提案されてい
る。
【0007】前述のように、銅および銅合金の表面は、
亜酸化銅からなる酸化皮膜で覆われているが、この酸化
皮膜の厚みで色が違って見える。例えば、純銅の場合
で、酸化皮膜の厚みが増すと、暗褐色、赤褐色、紫、
青、緑、黄、橙、赤の順で色が変化し、変色となって現
れる。清浄な純銅を乾燥大気中に置いた場合には、酸化
皮膜は30〜40Åまで急速に成長した後は、成長が止ま
り、変色はほとんど起こらない。しかし、湿度が高くな
ったり、大気中に硫酸や硫化水素などの酸性ガスが含ま
れると、酸化がさらに促進され、酸化皮膜が厚くなって
上記のような変色が起こる。
【0008】この変色の防止に、有機インヒビター、中
でもベンゾトリアゾール類による処理が有効であること
が知られている。例えば、重量%で、ベンゾトリアゾー
ル4〜6%、ヘキシレングリコール25〜30%、アミン系
化合物5〜6%、ノニオン系界面活性剤1〜3%、残部
が水という組成の変色防止剤が市販されており、板、条
などの伸銅品では、ユーザーが使用するまで間の変色を
防止するために、このような変色防止剤で処理されてか
ら出荷されている。
【0009】銅管は、冷凍機、空調機器(例、家庭用ル
ームエアコン)などの熱交換器の配管にも使用されてい
る。近年、この用途に用いる銅管で原因不明の貫通によ
る漏洩が発生し、問題となっている。この銅管の貫通
は、通常の孔食や潰食とは全く異なった様相の腐食によ
り起こる。即ち、この腐食は、腐食孔の表面開口が、例
えば10μm以下と肉眼では検出できないほど小さいのに
対し、内部は入り組んだ方向不定の腐食孔がトンネル状
につながり、ところどころ洞穴が形成され、内部に主に
亜酸化銅からなる腐食生成物が詰まっているという特徴
を持ち、腐食形態があたかも蟻の巣のように見えること
から「蟻の巣状」腐食と一般に呼ばれている。腐食孔の
表面開口の近傍は小豆色または赤褐色に変色した程度で
あり、通常の孔食で緑青色の変色が認められるのとは異
なる。
【0010】この蟻の巣状腐食は、空調機器等の組立時
の検査では見つからず、製品保管後の出荷時の製品検査
やユーザーの使用初期に見つかることが多い。即ち、蟻
の巣状腐食は製品の組立後の短期間のうちに進行し、貫
通に至る。例えば、肉厚0.35mmの銅管が3ヶ月以内に貫
通事故を起こす例も見られた。蟻の巣状腐食は、発生数
は少ないものの、早期の貫通事故につながり、製品の信
頼性を著しく損なうことから、その対策が急務となって
いた。
【0011】本発明者らは、蟻の巣状腐食について検討
を重ね、銅管加工に用いられている潤滑油中の成分に原
因があることを突き止めた。蟻の巣状腐食の腐食媒 (腐
食原因物質) として、当初は加工後の脱脂洗浄に用いら
れる塩素系有機溶剤の分解生成物の可能性が指摘されて
おり、一方で蟻酸により蟻の巣状腐食が再現されること
も確認されていた。しかし、塩素系有機溶剤が水と反応
しても蟻酸は生成せず、またこの溶剤で脱脂洗浄してい
ない銅管でも蟻の巣状腐食が発生したことから、塩素系
有機溶剤以外の腐食媒を追求した結果、潤滑油に含まれ
る酸素含有有機化合物 (例、エステル、高級アルコー
ル、エーテル) の加水分解で生ずる低分子量の分解生成
物、特にC1〜C2のアルコール、アルデヒド、カルボン酸
が蟻の巣状腐食の原因物質であり、中でもアルデヒドが
特に強い腐食性を示すことを見出した。
【0012】この知見に基づいて本発明者らはこの腐食
の防止に有効な物質を探索した結果、特開平6−10164
号、同6−10165 号、同6−10166 号、同6−10167 号
の各公報に開示するように、尿素系、チオ尿素系、イミ
ダゾール系、ベンゾチアゾール系、フェノチアジン系、
およびチオカルバミン酸系の有機化合物が銅系材料の蟻
の巣状腐食の腐食抑制剤として有効であることを見出
し、またこの腐食抑制剤を銅管加工に用いる潤滑油中に
添加しておくことによっても、上述した潤滑油に起因す
る蟻の巣状腐食を防止できることを知った。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らが提案した
上記の腐食抑制剤は銅系材料の表面に付着しているだけ
である。また、これらの腐食抑制剤は、水分と有機溶剤
のいずれにもある程度可溶であるので、使用中に銅系材
料の表面に凝縮する水分や銅管製造時の洗浄工程で除去
されてしまい、長期間にわたって安定した腐食抑制硬化
を持続させることは困難であった。
【0014】本発明は、銅系材料の表面に強固な皮膜を
形成する腐食抑制/変色防止剤を提供することを目的と
する。それにより、銅系材料の表面に腐食抑制/変色防
止剤が安定して存在し、銅系材料の蟻の巣状腐食を長期
間にわたって効果的に抑制することができる。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
を達成するために検討を重ねた結果、一部のシランカッ
プリング剤が銅系材料の蟻の巣状腐食の長期的な抑制に
有効であることを見出し、本発明に到達した。また、こ
のシランカップリング剤は、蟻の巣状腐食に加えて、銅
系材料の変色も長期的に防止することができることも判
明した。
【0016】ここに、本発明は、N、OおよびSから選
ばれた1または2以上の元素を含有し、さらに分子末端
にカルボキシル基を吸着できる官能基または疎水性の基
を有するシランカップリング剤からなることを特徴とす
る、銅系材料の腐食抑制/変色防止剤である。
【0017】前記カルボキシル基を吸着できる官能基は
第一および第二アミノ基ならびにエポキシ基から選ぶこ
とができ、前記疎水性の基は−NR1R2(R1およびR2はアル
キル基またはアリール基) 、−NHR3 (R3は炭素数2以上
のアルキル基またはアリール基) 、−NHCOR1 (R1は前記
に同じ) 、炭素数4以上のアルキル基およびフッ素含有
アルキル基、ならびにアリール基から選ぶことができ
る。
【0018】本発明によればまた、有機溶媒中に上記腐
食抑制/変色防止剤を含有する溶液からなる銅系材料お
よび銅系材料製品用の処理液;揮発性潤滑油中に上記腐
食抑制/変色防止剤を含有する銅系材料加工用潤滑油;
上記の腐食抑制/変色防止剤の加水分解生成物が表面に
結合していることを特徴とする銅系材料製品、特に熱交
換器用銅管;ならびに上記腐食抑制/変色防止剤を内部
または表面に含有する、銅系材料製品の梱包材料、もま
た提供される。
【0019】
【発明の実施の形態】まず、本発明者らが究明した銅系
材料の蟻の巣状腐食のメカニズムについて説明する。な
お、以下では主に銅の腐食について説明するが、銅合金
の場合も同様である。
【0020】冷凍機、空調機器等の熱交換器用の銅管
は、銅管製造メーカーでの抽伸による製管、光輝焼鈍あ
るいは洗浄工程を経て熱交換器加工メーカーに出荷され
る。この段階では、加工時に使用された潤滑油は、揮発
したり溶剤で洗浄されることにより、銅管表面にほとん
ど残留していない。熱交換器加工メーカーは、銅管の切
断、曲げ加工、口付け部の拡管加工、フィンの固定とい
った銅管の二次加工を行うが、その際に潤滑油を使用す
る。
【0021】熱交換器の組立加工後は、出荷前に塩素系
有機溶剤などで洗浄される。しかし、最近は環境汚染の
観点から塩素系有機溶剤の使用を避ける傾向にあり、従
来の不揮発性潤滑油の代わりに揮発性潤滑油を使用し
て、製品を洗浄しない方式へと移行してきている。
【0022】本発明者らは、多数の潤滑油(7社、20
種) について銅管の腐食性を調査した。その結果、17種
の潤滑油が蟻の巣状腐食を生ずることを見出した。腐食
性は、不揮発性潤滑油より揮発性潤滑油の方が大きくな
る傾向があった。また、蟻の巣状腐食を生じた潤滑油
は、水と反応させると、蟻酸および/または酢酸を生成
することが、イオンクロマトグラフィーから確かめられ
た。さらに、これらの潤滑油にはいずれも共通成分とし
て、エステル、エーテル、高級アルコールといった含酸
素有機化合物が含まれていた。これらの化合物は、水と
反応して加水分解を生ずると、低分子量のアルコール、
アルデヒド、またはカルボン酸を生ずるので、これらが
銅系材料の蟻の巣状腐食の腐食媒であることが疑われ
た。
【0023】そこで、このような低分子量の加水分解生
成物として、メタノール、ホルムアルデヒド、蟻酸のC1
化合物、およびエタノール、アセトアルデヒド、酢酸の
C2化合物に注目し、銅系材料に対するこれらの腐食性を
調べたところ、いずれも蟻の巣状腐食を引き起こした。
但し、酢酸の場合の腐食形態は、孔食に近かった。腐食
性の強さは、ホルムアルデヒド>蟻酸>メタノール≒ア
セトアルデヒド>エタノール>酢酸の順であった。
【0024】以上から、銅系材料に特有の蟻の巣状腐食
の主な腐食媒は、アルデヒド、カルボン酸、アルコール
といった低分子量 (C1、C2) の含酸素有機化合物であ
り、C2よりC1化合物の方が腐食性が強く、化合物の種類
ではアルデヒドが最も強い腐食性を示すことが判明し
た。また、潤滑油で銅系材料の蟻の巣状腐食が起こるの
は、潤滑油中のエステル、エーテル、高級アルコールと
いった成分の加水分解により、腐食媒となる上記の低分
子量化合物が生成するためと考えられる。
【0025】アルコールが銅を触媒としてアルデヒドに
容易に酸化されることは知られている。アルデヒドが酸
化されるとカルボン酸になるが、本発明者らの実験によ
ると、銅の存在下ではアルデヒド (ホルムアルデヒド)
からカルボン酸 (蟻酸) への酸化が起こり易くなる。こ
の銅が関与するアルデヒドからカルボン酸への酸化反応
は下記の(1) 〜(4) 式を経て(5) 式となる反応であると
推論できる。
【0026】RCHO+Cu20 → RCOOH +2Cu+ (1) Cu → Cu+ +e- (2) 1/2 O2+H2O +2e- → 2OH- (3) 2Cu+2OH- → Cu20 + H2O (4) RCHO+ 1/2 O2 → RCOOH (5) 以上から、銅系材料の蟻の巣状腐食の原因物質は、アル
コールやアルデヒドから生成したカルボン酸、特に蟻酸
であると推測される。なお、蟻の巣状腐食の腐食メカニ
ズムとしては、既に (社) 日本銅センター等による研究
で、次の反応式が示されており、やはりカルボン酸、特
に蟻酸が腐食媒とされている。この反応式には現れてこ
ないが、CuからCu20への酸化は水の存在と水中の溶存酸
素が関与して進行する。
【0027】 3Cu+2RCOOH +O2→Cu2O+Cu(RCOO)2 +H2O (6) この反応式を、本発明者らの知見を加味してより正確に
示すと、次の通りである。
【0028】
【化1】 蟻の巣状腐食はこの反応式に従って進むものと考えられ
るが、この反応式では蟻酸よりホルムアルデヒドの方が
腐食性が高くなることが説明できない。銅の存在下でホ
ルムアルデヒドから蟻酸への酸化が起こり易くなるとい
う、本発明者らが見出した知見を考慮すると、アルデヒ
ドが銅の表面に吸着され、こうして吸着されたアルデヒ
ドが銅表面でカルボン酸に酸化され、この銅表面で生成
したカルボン酸が直ちに蟻の巣状腐食を誘発するのでは
ないかと推察される。銅表面で起こるアルデヒドからカ
ルボン酸への酸化は、上記 (1)〜(4) 式からわかるよう
に銅の溶解を伴うので、銅表面近傍での銅の酸化物生成
を促進すると思われる。
【0029】また、腐食孔先端部は、銅の溶解反応とカ
ルボン酸生成反応に起因するpHの低下や局部電池の形
成により、活性点が常に維持される状態となっているこ
とから、深さ方向へのみ侵食が進行して蟻の巣状腐食に
なるのではないかと推測される。アルデヒドがカルボン
酸より腐食性が強いのは、銅の溶出量が多く、腐食先端
部で腐食の進行し易いpHを維持するためではないかと
考えられる。
【0030】本発明によれば、孤立電子対を有するN、
OおよびSから選ばれた1または2以上の元素を含有
し、さらにカルボキシル基を吸着できる官能基か、また
は疎水性の基を有するシランカップリング剤を、銅系材
料の腐食抑制/変色防止剤として使用する。
【0031】一般に、シランカップリング剤は、X3-Si
-(CH2)n-Yなる一般式で表される。3個のXは、その2
つ以上、好ましくは3つ全部が加水分解性の基 (アルコ
キシ基が普通であるが、ハロゲンでもよい) であり、残
りは低級アルキル基 (例、メチル、エチル) である。n
は一般に0〜4の範囲であり、好ましくは2〜3であ
る。Yは官能基部分であり、官能基としては、ハロゲ
ン、ビニル、アクリロキシもしくはメタクリロキシ、ア
ミノ、メルカプト、ウレイド、エポキシ含有基 (例、エ
ポキシシクロヘキシル基、グリシドキシ基) などが一般
に挙げられる。
【0032】シランカップリング剤は、ガラス繊維、無
機充填材 (例、炭酸カルシウム) などの無機材料をポリ
マーに配合する場合に、無機材料とポリマーとの密着性
を改善するために開発されたものであり、一般に無機−
有機間の密着性を改善することができる。これは、シラ
ンカップリング剤の加水分解性の基 (X) が加水分解し
て無機材料に結合し、一方その-(CH2)n-Y部分が有機材
料に高い親和性 (場合により反応性) を示すためであ
る。
【0033】シランカップリング剤は、無機材料の基体
の表面を疎水性あるいは有機材料と密着性にするための
表面処理にも使用できる。その場合の基体へのシランカ
ップリング剤の結合プロセスを図1に示す。なお、この
結合プロセスは、上記のように基体がガラス繊維や充填
材であっても基本的には同じである。
【0034】図1に示すように、無機材料の基体 (図で
は素材) が表面に水酸基 (OH基) を有し、シランカップ
リング剤の加水分解で生じたOH基と基体表面のOH基との
OH基同士の縮合反応により、シランカップリング剤は基
体表面に強固に結合する。さらに、加水分解で生じたOH
基のうち、基体との反応に使用されなかった残りのOH基
は、シランカップリング剤同士で縮合反応してシロキサ
ン結合 (−Si−O−)を経て重合し、ポリシロキサンの
架橋構造を生ずる。こうして、基体表面がポリシロキサ
ン皮膜で覆われる。この皮膜はその架橋構造のために耐
久性に優れている。
【0035】なお、図示していないが、シランカップリ
ング剤の-(CH2)n-Y部分は加水分解性がなく、上記の反
応後も残留するので、生成したポリシロキサン皮膜の表
面にはこの有機基部分が存在し、それにより有機材料と
の密着性や疎水性が基体表面に付与される。
【0036】無機材料の基体が、例えば、アルミニウ
ム、鉄、亜鉛のように、その水酸化物が安定して存在し
得るような金属である場合には、金属表面に無数のOH基
が存在するので、図1に示すプロセスでシランカップリ
ング剤が化学結合により基体表面に強固に結合すること
ができる。しかし、銅は水酸化物が安定して存在できる
金属ではないため、表面にOH基が存在しない。従って、
図1に示したようなOH基同士の縮合反応による基体への
結合は不可能である。
【0037】そのため、本発明では、シランカップリン
グ剤に孤立電子対を有する元素、即ち、N、O、Sの1
種もしくは2種以上を含有させる。Nは、例えばアミノ
基、イミノ基などの形でシランカップリング剤に導入で
きる。アミノ基は第一、第二、第三アミノ基のいずれで
もよい。Oは、オキシ (エーテル) 、ケトンなどの形で
よい。Sは、メルカプト、チオ (チオエーテル) の形で
よい。
【0038】このように孤立電子対を有する元素を含有
させることにより、図2にNの場合について示すよう
に、このシランカップリング剤中の孤立原子対が銅に配
位結合することで、シランカップリング剤を銅表面に結
合させることができる。この場合も、図2に示すよう
に、シランカップリング剤の加水分解性の基 (図ではメ
トキシ基) は、まず加水分解してOH基になり、隣接する
シランカップリング剤分子間でOH基同士が縮合反応し
て、ポリシロキサンの架橋構造が形成され、基体表面は
ポリシロキサン皮膜で覆われる。
【0039】このように銅表面が緻密な架橋構造を持つ
ポリシロキサン皮膜で覆われると、アルデヒドが銅表面
に付着しても、その酸化に必要な銅と接触しにくいた
め、アルデヒド (例、ホルムアルデヒド) がカルボン酸
(例、蟻酸) に酸化されにくくなる。アルコールについ
ても同様に、アルデヒドへの酸化に銅が触媒となること
から、アルデヒドへの酸化が起こりにくくなる。従っ
て、腐食媒としては蟻酸のようなカルボン酸が主に作用
するようになる。
【0040】カルボン酸による腐食を抑制するため、本
発明で用いるシランカップリング剤には、上記の孤立電
子対を有する元素に加えて、分子末端 (X3-Si-(CH2)n-
Yなる一般式のY部分の末端)に、カルボキシル基を吸
着できる官能基か、または疎水性の基を含有させる。従
って、このような官能基または疎水性基がポリシロキサ
ン皮膜中に存在するようになる。
【0041】ポリシロキサン皮膜がカルボキシル基を吸
着できる官能基 (以下、吸着基という) を有する場合に
は、図3(a) に示すように、腐食媒であるカルボン酸
(例、蟻酸) がこの吸着基により吸着されるため、腐食
媒として作用できなくなる。従って、これは特に蟻酸等
のカルボン酸による腐食の抑制に有効である。
【0042】一方、ポリシロキサン皮膜に、撥水性を示
す疎水性基が存在すると、図3(b)に示すように、水と
全ての腐食媒 (アルコール、アルデヒド、カルボン酸)
が銅の表面に近づきにくくなる。水は前述したように、
特にアルデヒドによる腐食メカニズムに関与する。従っ
て、この場合は、カルボン酸による腐食の抑制にも有効
であるが、特にホルムアルデヒドといったアルデヒドに
よる腐食の抑制に有効である。
【0043】このように、腐食の抑制メカニズムに多少
の違いがあるので、上記の2種類のシランカップリング
剤、即ち、カルボキシル基を吸着する基を有するもの
と、疎水性基を有するもの、を併用してもよい。
【0044】カルボキシル基の吸着基としては、カルボ
キシル基が酸性であることから、塩基性のアミノ基、特
に第一アミノ基および第二アミノ基と、カルボキシル基
と反応性のあるエポキシ基とが挙げられる。アミノ基
は、上記の孤立電子対の付与と同時に、カルボキシル基
の吸着基としても作用する。シランカップリング剤は、
例えば第一アミノ基と第二アミノ基というように、2つ
以上のアミノ基を分子内に含有していてもよい。
【0045】疎水性基としては、下記を例示することが
できる: −NR1R2 (R1およびR2はアルキル基またはアリール
基;例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ヘキ
シル、オクチル、フェニル) で示されるジ(アルキルも
しくはアリール)アミノ基、 −NHR3 (R3は炭素数2以上のアルキル基またはアリー
ル基;例えば、エチル、プロピル、ブチル、ヘキシル、
オクチル、デシル、フェニル) で示されるモノアルキル
もしくはアリール)アミノ基、 −NHCOR1 (R1は前記に同じ) で示されるカルボンアミ
ド基 (例、−NHCOCH3 、−NHCOC4H9) 、 炭素数4以上のアルキル基およびフッ素含有アルキル
基 (例、ブチル、ヘキシル、オクチル、デシル、パーフ
ルオロヘキシル、パーフルオロオクチル) 、 アリール基 (例、フェニル、ビフェニル、ナフチル)
【0046】本発明で使用できるシランカップリング剤
の具体例を次に示す:吸着基を有するシランカップリング剤
【0047】
【化2】
【0048】疎水性基を有するシランカップリング剤
【0049】
【化3】
【0050】上記のシランカップリング剤は、上記のよ
うに銅系材料の蟻の巣状腐食の抑制に有効であるが、そ
れに加えて、銅系材料の変色防止にも効果があることが
判明した。銅系材料の変色は、上述したように、表面の
銅が酸化されて生ずる銅表面の亜酸化銅層の厚みの増大
が原因である。この酸化は、空気中の酸素との反応によ
り起こるが、銅が一旦溶解して亜酸化銅として析出する
ため、水の介在が必要である。本発明で用いるシランカ
ップリング剤は、上記のように、銅表面にポリシロキサ
ン皮膜を形成して銅を保護するため、水が銅表面に近づ
きにくくなる。そのため、銅表面の酸化が抑制され、こ
の酸化に起因する変色が防止されるものと考えられる。
このように変色には水が介在することから、特に疎水性
基を持つシランカップリング剤が、変色防止効果が大き
い。
【0051】次に、本発明に係るシランカップリング剤
系の腐食抑制/変色防止剤の使用方法について説明す
る。
【0052】この腐食抑制/変色防止剤は、これを適当
な有機溶媒に溶解させた溶液を調製し、この溶液で銅系
材料の製品 (例、銅管) を表面処理してもよい。有機溶
媒は特に制限されず、アルコール、ケトン、エステルと
いった極性溶媒、ならびにヘキサン、ベンゼンといった
炭化水素系溶媒のいずれも使用できるが、溶媒が腐食媒
となることを避ける意味では、炭化水素系溶媒が好まし
い。溶液濃度は特に制限されないが、通常は0.01〜0.3
wt%の範囲が好ましい。
【0053】処理する銅系材料製品は、事前に常法に従
って脱脂等により清浄化しておくことが好ましい。銅製
品の場合の銅の種類は何でもよい。特に蟻の巣状腐食を
起こし易いのはりん脱酸銅であり、この材料に有効であ
るが、他のものにも適用できる。処理方法は、浸漬、噴
霧、塗布等、製品の形状に応じて適当に選択すればよ
い。処理後は、放置するだけでも、空気中の水分により
シランカップリング剤の加水分解が進行し、ポリシロキ
サン皮膜が形成されるが、所望により加熱して加水分解
を促進させてもよい。こうして形成されたポリシロキサ
ン皮膜は化学的に安定であり、その後で、例えば有機溶
剤による清浄化処理や、アルカリ性水溶液による脱脂を
受けても残存するので、腐食抑制/変色防止効果が持続
する。
【0054】しかし、上記のように腐食抑制/変色防止
剤の溶液による表面処理を行うと、処理工程が増えてし
まうので、製造コストが増大する。その対策として、本
発明では、塑性加工時に使用する揮発性潤滑油に腐食抑
制/変色防止剤を添加することによっても、目的とする
効果を得ることができる。潤滑油は、銅系材料製品の塑
性加工中 (例、銅管の場合には抽伸工程中、銅板の場合
には圧延工程中) に使用するものでも、製品の二次加工
(例、銅管の場合には拡管加工やヘアピン加工、銅板の
場合は打ち抜き加工や曲げ加工) 中に使用するものでも
よい。
【0055】本発明の腐食抑制/変色防止剤はポリシロ
キサン皮膜を形成すると強固となるが、皮膜形成前では
洗浄工程等により除去されてしまい、所望の効果を得る
ことが難しくなる。従って、本発明の腐食抑制/変色防
止剤を添加する潤滑油は揮発性潤滑油とする。それによ
り、潤滑油が揮発すると、腐食抑制/変色防止剤は銅系
材料の表面に残留してポリシロキサン皮膜が形成され
る。前述したように、不揮発性潤滑油に比べて揮発性潤
滑油を使用した場合の方が蟻の巣状腐食が起こり易い。
本発明により、揮発性潤滑油で起こり易い蟻の巣状腐食
を抑制することができるので、手間のかからない揮発性
潤滑油を、蟻の巣状腐食を抑制して使用することが可能
となる。
【0056】使用できる揮発性潤滑油の例としては、エ
ーテル系、エステル系、炭化水素系、パラフィン系等の
ものが挙げられる。潤滑油は各種の添加剤を含有してい
てもよい。潤滑油中の上記腐食抑制/変色防止剤の添加
量は、潤滑油の潤滑特性を損なわない範囲とすればよ
く、好ましくは1〜20 g/Lの範囲である。
【0057】一般に、塑性加工時には各工程で潤滑油を
使用し、工具と材料との焼付き防止や温度上昇の抑制効
果を得ている。本発明の腐食抑制/変色防止剤を含有す
る揮発性潤滑油を用いて塑性加工を行うと、潤滑油の揮
発後に、残留する腐食抑制/変色防止剤が配位結合によ
り銅系材料の表面に結合し、カルボキシル基の吸着基お
よび/または疎水性基を有するポリシロキサン皮膜で該
表面が被覆される。この皮膜は、配位結合で基材の銅系
材料の表面に結合し、かつ架橋構造を持つため、化学的
に安定で、塑性加工後に脱脂や洗浄を行っても除去され
ずに残存する。従って、この腐食抑制/変色防止剤を塑
性加工時の潤滑油に添加するだけで、その後の加工中か
ら使用中まで長期間にわたって、銅系材料の表面を蟻の
巣状腐食や変色から保護することができる。
【0058】さらに、本発明の腐食抑制/変色防止剤
を、銅系材料製品の梱包材料 (例、紙、布、不織布、
木、プラスチックフィルム等の梱包材料) の内部または
表面に、含浸、混入、塗布等により含有させておくこと
でも、蟻の巣状腐食の腐食媒となるカルボン酸を吸着し
て、銅系材料製品の表面への腐食媒の付着を防ぐことが
でき、腐食抑制/変色防止が可能である。
【0059】
【実施例】腐食液として、それぞれ0.1vol%濃度の蟻酸
水溶液とホルムアルデヒド水溶液を、いずれも試薬特級
を用いて調製した。
【0060】腐食抑制/変色防止剤としては、下記のシ
ランカップリング剤および比較用処理剤を用意した。こ
れらはいずれも市販品である。シランカップリング剤の
うち、A、B、Dはカルボキシル基の吸着基を有するも
の、C、E、Hは吸着基と疎水性基の両方を有するも
の、F、Gは疎水性基を有するものである。
【0061】シランカップリング剤 A:(CH3O)3Si(CH2)3NH(CH2)2NH2 B:(CH3O)3Si(CH2)3NH2 C:(CH3O)3Si(CH2)3NH-Ph (Ph=フェニル) D:(CH3O)3Si(CH2)3NH(CH2)2NH(CH2)2NH2 E:(CH3O)3Si(CH2)3NHC6H13 F:(C2H5O)3Si(CH2)3N(C2H5)2 G:(C2H5O)3Si(CH2)3NHCOCH3 H:(CH3O)3Si(CH2)3NHCH2CH2C6F13 比較用処理剤 X:ベンゾトリアゾール Y:Ph-CO-NH-CO-Ph (ジフェニル尿素) Z:(CH3O)3Si(CH2)3SH処理液の調製 上記シランカップリング剤および比較用処理剤を、0.1
wt%の濃度となるようにヘキサンに溶解し、この溶液を
処理に使用した。
【0062】処理方法 銅管 (外径9.52 mm 、肉厚0.35 mm)を300 mmの長さに切
断した後、切り粉を吹き飛ばしておく。続いて、銅管を
処理の直前にアセトンにて脱脂洗浄し、よく乾燥させ
て、残留アセトンを完全に除去する。この銅管を、1L
のメスシリンダーに入れた処理液に10秒間浸漬した後、
ヘキサンを用いて、処理液と同様の方法で浸漬し、余分
な腐食抑制/変色防止剤を除去した。
【0063】腐食試験 各腐食抑制/変色防止剤で上記のように処理した銅管
を、1条件につき5本ずつ用意し、その銅管の片端をシ
リコン栓で蓋をして、銅管内に 0.1 vol%濃度の蟻酸ま
たはホルムアルデヒドを水溶液を1mL注入する。続い
て、銅管の他端もシリコン栓で密栓した後、25℃で12時
間−40℃で12時間の温度サイクルに設定した恒温槽に、
試験管を利用して銅管を立てて並べ、所定の期間 (1カ
月または3ヶ月) 恒温槽に保持する。比較のために、無
処理の銅管と比較処理材溶液で処理した銅管も、同様に
処置する。
【0064】腐食試験期間の終了後、各試験条件ごとに
15ずつの試験片を切り出し、エポキシ樹脂で埋め込んで
研磨した。蟻の巣状腐食は試験片表面の赤褐色斑点状変
色部の下に発生していることが多いことから、試験片の
切り出しはこの部分を狙って行った。変色が認められな
い場合は、腐食を発生し易い銅管上部を中心に15個の試
験片を切り出した。
【0065】腐食の評価は、銅管断面を光学顕微鏡で観
察して、侵食深さを測定することにより行った。測定さ
れた侵食深さの最大値と、15個中で蟻の巣状腐食の発生
した試験片の数 (発生頻度) を表1に示す。
【0066】
【表1】
【0067】表1からわかるように、無処理では蟻酸と
ホルムアルデヒドのいずれの腐食液でも15個の全試験片
で蟻の巣状腐食が発生し、0.1vol%という低濃度でも、
これらが腐食媒となることがわかる。最大侵食深さから
みると、蟻酸よりホルムアルデヒドの腐食性の方が高か
った。
【0068】本発明に従って特定のシランカップリング
剤で処理すると、顕著な腐食抑制効果が発揮され、発生
頻度が著しく低減して、最大侵食深さが著しく小さくな
るか、場合によっては発生頻度が0となった。
【0069】一方、シランカップリング剤を用いても、
カルボキシル基に対して吸着性の基と疎水性基のいずれ
も持たないZでは、腐食抑制効果は小さかった。また、
ベンゾトリアゾールやジフェニル尿素といった従来型の
腐食抑制剤では、試験中に銅管表面に付着する水分で腐
食抑制剤が除去されてしまうため、腐食抑制効果は全く
なかった。
【0070】変色試験 一方、変色防止効果を確認するために、上記の腐食試験
と同様に処理した鋼管を室内の大気中に放置し、その外
面の変色の度合いを外観観察により確認した。試験 (放
置) 期間は1カ月および3ヶ月である。外観観察結果
は、無処理品を基準 (無処理品の変色を5、変色無しの
場合を1) とした相対的な5段階評価により行った。試
験結果を表2に示す。
【0071】
【表2】
【0072】本発明のシランカップリング剤の場合、変
色の評価値が1または2であり、変色防止効果があるこ
とが確認できた。これは、疎水性基によって銅との直接
的な接触が阻止されたり、シランカップリング剤の緻密
な皮膜形成による効果であると推測される。
【0073】
【発明の効果】本発明の腐食抑制/変色防止剤は、化学
的に安定で、かつ耐久性に優れた皮膜形成によって、腐
食抑制/変色防止効果を長期間にわたって持続すること
ができる。また、腐食抑制/変色防止剤を塑性加工時に
揮発性潤滑油に少量添加することで、銅管の表面に強固
な保護皮膜形成を行うことができ、特別な処理を必要と
せずに、その後の銅系材料の蟻の巣状腐食や変色の発生
を抑制することができる。それらの結果、銅系材料製品
の品質および信頼性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】表面に水酸基を持つ素材へのシランカップリン
グ剤の結合様式を示す説明図である。
【図2】表面に水酸基を持たない銅素材へのシランカッ
プリング剤の結合様式を示す説明図である。
【図3】図3(a) は吸着基を持つシランカップリング
剤、図3(b) は疎水性基を持つシランカップリング剤、
のそれぞれ腐食抑制メカニズムを示す説明図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4H104 BJ03C DA02A EB02 LA06 LA20 PA33 4K062 AA01 AA03 BB14 BB21 FA05 FA16 FA20 GA10

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 N、OおよびSから選ばれた1または2
    以上の元素を含有し、さらに分子末端にカルボキシル基
    を吸着できる官能基か、または疎水性の基を有するシラ
    ンカップリング剤からなることを特徴とする、銅系材料
    の腐食抑制/変色防止剤。
  2. 【請求項2】 前記カルボキシル基を吸着できる官能基
    が第一および第二アミノ基ならびにエポキシ基から選ば
    れ、前記疎水性の基が−NR1R2(R1およびR2はアルキル基
    またはアリール基) 、−NHR3 (R3は炭素数2以上のアル
    キル基またはアリール基) 、−NHCOR1 (R1は前記に同
    じ) 、炭素数4以上のアルキル基およびフッ素含有アル
    キル基、ならびにアリール基から選ばれる、請求項1記
    載の銅系材料の腐食抑制/変色防止剤。
  3. 【請求項3】 有機溶剤中に請求項1または2記載の腐
    食抑制/変色防止剤を含有する溶液からなる、銅系材料
    および銅系材料製品用の処理液。
  4. 【請求項4】 揮発性潤滑油中に請求項1または2記載
    の腐食抑制/変色防止剤を含有することを特徴とする、
    銅系材料加工用潤滑油。
  5. 【請求項5】 請求項1または2記載の腐食抑制/変色
    防止剤の加水分解生成物が表面に結合していることを特
    徴とする銅系材料製品。
  6. 【請求項6】 請求項1または2記載の腐食抑制/変色
    防止剤の加水分解生成物が表面に結合していることを特
    徴とする熱交換器用銅管。
  7. 【請求項7】 請求項1または2記載の腐食抑制/変色
    防止剤を内部または表面に含有する、銅系材料製品の梱
    包材料。
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