JP2021006901A - 光学フィルターおよびその用途 - Google Patents

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寛之 岸田
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勝也 長屋
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泰典 川部
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Yosuke Uchida
洋介 内田
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Abstract

【課題】可視光線と近赤外線の一部とを選択的に透過させる機能を有し、かつ近赤外線を発する光源近傍を撮像・センシングした際に可視光画素における近赤外線ノイズ量の少ない装置および薄型化に対応したゴーストの少ない装置を提供可能な光学フィルター。【解決手段】本発明の光学フィルターは、近赤外線領域における少なくとも一部の波長に吸収を有する樹脂層と誘電体多層膜とを有し、かつ下記要件(a)及び(b)を満たす:(a)波長430〜580nmの領域において光学フィルターの面に対して垂直方向から測定した場合の透過率の平均値が65%以上である;(b)波長700〜1100nmの領域に光線阻止帯Za、光線透過帯Zbおよび光線阻止帯Zcを有し、それぞれの帯域の中心波長はZa<Zb<Zcであり、光学フィルターの面に対して垂直方向から測定した場合、前記Zbにおける最大透過率TIRMAXが10%以上55%未満である。【選択図】なし

Description

本発明は、光学フィルターおよびその用途に関する。詳しくは、可視光線と一部の近赤外線を選択的に透過させる光学フィルター、ならびに、該光学フィルターを用いた固体撮像装置、カメラモジュールおよび生体認証装置に関する。
ビデオカメラ、デジタルスチルカメラ、カメラ機能付き携帯電話、スマートフォンなどの固体撮像装置にはカラー画像の固体撮像素子であるCCDやCMOSイメージセンサーが使用されている。これらの固体撮像素子は、その受光部において人間の目では感知できない近赤外線に感度を有するシリコンフォトダイオードが使用されている。これらの固体撮像素子では、人間の目で見て自然な色合いにさせる視感度補正を行うことが必要であり、特定の波長領域の光線を選択的に透過またはカットする光学フィルター(例えば近赤外線カットフィルター)を用いることが多い。
このような近赤外線カットフィルターとしては、従来から、各種方法で製造されたものが使用されている。例えば、特許文献1には、透明樹脂からなる基板を用い、透明樹脂中に近赤外線吸収剤を含有させた近赤外線カットフィルターが記載されており、特許文献2には銅イオンを含有するガラス基板を用いた近赤外カットフィルターが記載されている。
近年、可視光線と合わせて、人間の目に見えない近赤外線を利用したモーションキャプチャーや距離認識(空間認識)などのセンシング機能をカメラモジュールに付与する試みが行われている。このような用途では、可視光線と一部の近赤外線を選択的に透過させることが必要となるため、従来のような近赤外線を一律に遮断する近赤外線カットフィルターを用いることはできない。
可視光線と一部の近赤外線を選択的に透過させる光学フィルターとしては、例えば、特許文献3に記載の光学フィルターが知られている。(株)東亜理化学研究所やセラテックジャパン(株)などは、ガラス基板上に誘電体多層膜を製膜したフィルターを販売している。また、特許文献4〜7には、波長600〜850nmに吸収極大を有する近赤外線吸収剤を含有させた、可視光線と一部の近赤外線を選択的に透過させる光学フィルターが記載されている。
特開平6−200113号公報 特許第5036229号公報 特開2015−227963号公報 国際公開第2015/056734号 特開2016−142891号公報 特開2016−162946号公報 特開2016−200771号公報
近年、近赤外線を利用したモーションキャプチャーや距離認識(空間認識)などのセンシング機能をカメラモジュールに付与する適応範囲が拡大する傾向にあり、自動運転やロボット、スマートフォン、自動掃除機、ドローンなど様々な機器へ適応されている。これら他の機器が発した近赤外線の影響により、青、緑、赤色の画素が有する近赤外線に対する感度によっては、本来の人間の視感度に合わせた色味とは異なる検出光量となる場合がある。また、同様に近赤外線を強く発する炎やハロゲンランプやハロゲンヒーターを撮像・センシングした場合も、青、緑、赤色の画素が有する近赤外線に対する感度によっては、本来の人間の視感度に合わせた色味とは異なる検出光量となる場合がある。通常、このような青、緑、赤色の画素が有する近赤外線に対する感度によって生じる色の差異は、近赤外線の画素強度を基に青、緑、赤色検出強度から差し引くことで復元することができる。しかし、近赤外線の光量が多い光源では、近赤外線に対する感度に相当する差し引く強度が、検出された青、緑、赤色の画素の可視光線の光量より大きくなる場合があり、ノイズ(シグナルとノイズの比:S/N)が増大することが分かった。
また、近年これらの近赤外線を利用したカメラモジュール等は薄型化が求められる傾向にあり、センサーと、可視光線および一部の近赤外線を選択的に透過させる光学フィルターとの間の距離がより近く設計される傾向にある。このような薄型化に対応したカメラモジュール、例えば図1(b)に示すカメラモジュールにおいては、センサー表面で反射した光が、再度可視光線と一部の近赤外線を選択的に透過させる光学フィルターで反射してセンサー内部へ侵入する光路を辿ることにより、光源の像が別の位置に発生するゴーストと呼ばれる画像不良や距離認識不良が発生することが分かった。一方、図1(a)に示す従来の薄型化していないカメラモジュールでは、光学フィルターで反射した光はセンサー外部となる光路を辿る場合が多いため、ゴーストについてはあまり問題とならなかった。
図2(a)に従来の可視光線と一部の近赤外線を選択的に透過させる光学フィルターである比較例1の光学フィルターの透過率特性、図2(b)に比較例1の反射率特性を示す。比較例1は光学フィルターにおける近赤外線の一部(波長838〜901nm)を選択的に透過させる機能を有するが、その透過特性は入射角依存性を有する。図1(b)に示すように、光学フィルターの垂直方向から透過後、センサーで反射された光が再度光学フィルターに入射する経路を取る場合、特に光学フィルターが選択的に透過する波長の長波長側のカットオフ波長である波長850〜931nmでは、入射角によって光学フィルターの透過特性および反射特性が変化するため、垂直方向から入射する光は透過し、かつ、垂直方向から30度で入射する光は反射する特性となる。そのため、高い確率でゴーストが発生し、画像不良や距離認識不良の原因となっていた。
本発明の目的は、可視光線および近赤外線の一部(波長780〜1100nm)を選択的に透過させる機能を有し、かつ、炎やハロゲンランプ、他の近赤外線を用いたセンシングデバイスなどの近赤外線を発する光源近傍を撮像・センシングした際に、可視光画素における近赤外線ノイズ量の少ない装置、および薄型化に対応したゴーストの少ない装置を提供することができる光学フィルターおよび該光学フィルターを用いた装置を提供することにある。
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意検討した結果、特定の物性を有する光学フィルターによれば、前記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明の光学フィルターの一実施形態は、近赤外線領域における少なくとも一部の波長に吸収を有する樹脂層と、誘電体多層膜とを有し、かつ、下記要件(a)および(b)を満たすことを特徴とする:
(a)波長430〜580nmの領域において、光学フィルターの面に対して垂直方向から測定した場合の透過率の平均値が65%以上である;
(b)波長700〜1100nmの領域に光線阻止帯Za、光線透過帯Zbおよび光線阻止帯Zcを有し、それぞれの帯域の中心波長はZa<Zb<Zcであり、光学フィルターの面に対して垂直方向から測定した場合、前記Zbにおける最大透過率TIRMAXが10%以上55%未満である。
本発明によれば、可視光線と近赤外線の一部(波長780〜1100nm)とを選択的に検出する機能を有し、かつ、炎やハロゲンヒーター、ハロゲンランプ、他の近赤外線を用いたセンシングデバイスなどの近赤外線を発する光源近傍を撮像・センシングした際に、可視光画素における近赤外線ノイズ量の少ない装置、およびゴーストの少ない装置を提供することができる光学フィルターおよび該光学フィルターを用いた装置が得られる。
図1は、従来の低背化する前のカメラモジュールの構造と近年の低背化したカメラモジュールの構造、およびそれらカメラモジュールにおける光学フィルターのセンサー面側の反射光が関与するゴーストの光路を示す。 図2は、従来の光学フィルターの例である比較例1の光学フィルターの面に対して垂直方向および垂直方向から30度で入射した光の分光透過率スペクトル(a)および分光反射率スペクトル(b)である。 図3は、本発明の光学フィルターの構成例を示す概略断面模式図である。 図4は、本発明の光学フィルターを含む固体撮像装置、カメラモジュール、生体認証装置の一例を示す概略断面模式図である。 図5(A)は、光学フィルターの面に対して垂直方向から入射した光の透過率を測定する方法を示す概略図である。図5(B)は、光学フィルターの面方向に対して垂直方向から30度の角度で入射した光の透過率を測定する方法を示す概略図である。図5(C)は、光学フィルターの面方向に対して垂直方向から30度の角度で入射した光の反射率を測定する方法を示す概略図である。 図6は、本発明の光学フィルターを含む固体撮像装置におけるセンサー部分の一例を示す概略断面模式図である。 図7は、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構が公開している、ある日時の岐阜の照射量データである。 図8は、青、緑、赤色、近赤外の各センサー画素の波長別感度の一例である。 図9は、ハロゲンランプの波長別強度を表す図である。 図10−1は、実施例1で得られた光学フィルターの分光透過スペクトル(a)および分光反射スペクトル(b)である。 図10−2は、実施例1で得られた光学フィルターを垂直(0度)で透過した光の波長別センサー感度スペクトル(c)、および、光学フィルターを垂直方向から30度で透過した光の波長別センサー感度スペクトル(d)である。 図11は、実施例1で得られた光学フィルターの波長別ゴースト強度を表す図である。 図12は、比較例1で得られた光学フィルターの分光反射スペクトル(b)、光学フィルターを垂直(0度)で透過した光の波長別センサー感度スペクトル(c)、光学フィルターを垂直方向から30度で透過した光の波長別センサー感度スペクトル(d)である。 図13は、比較例1で得られた光学フィルターの波長別ゴースト強度を表す図である。
[光学フィルター]
本発明の光学フィルターは、近赤外線領域における少なくとも一部の波長に吸収を有する樹脂層と、誘電体多層膜とを有し、かつ、下記要件(a)および(b)を満たすことを特徴とする:
(a)波長430〜580nmの領域において、光学フィルターの面に対して垂直方向から測定した場合の透過率の平均値が65%以上である;
(b)波長700〜1100nmの領域に光線阻止帯Za、光線透過帯Zbおよび光線阻止帯Zcを有し、それぞれの帯域の中心波長はZa<Zb<Zcであり、光学フィルターの面に対して垂直方向から測定した場合、前記ZaおよびZcにおける最大透過率がそれぞれ5%以下であり、前記Zbにおける最大透過率TIRMAXが10%以上55%未満である。
前記近赤外線領域は、好ましくは700〜1500nmであり、より好ましくは750〜1200nm、特に好ましくは780〜1100nmである。このような近赤外線領域における少なくとも一部の波長に吸収を有する樹脂層を得るための方法としては、例えば、波長860〜1100nmの領域に吸収極大を有する化合物(A)を樹脂層に含有させる方法が挙げられる。
要件(a):波長430〜580nmの領域において、光学フィルターの面に対して垂直方向から測定した場合の透過率の平均値が65%以上である。
前記透過率の平均値は、好ましくは70%以上、より好ましくは72%以上、特に好ましくは75%以上、特に好ましくは80%以上である。この波長域において前記透過率の平均値が前記範囲にあると、本発明の光学フィルターを固体撮像素子用途として使用した場合、優れた撮像感度を達成することができる。
要件(b):波長700〜1100nmの領域に光線阻止帯Za、光線透過帯Zbおよび光線阻止帯Zcを有し、それぞれの帯域の中心波長はZa<Zb<Zcであり、光学フィルターの面に対して垂直方向から測定した場合、前記ZaおよびZcにおける最大透過率がそれぞれ5%以下であり、前記Zbにおける最大透過率TIRMAXが10%以上55%未満である。
<光線阻止帯>
光線阻止帯(Za)および(Zc)は、波長700〜1100nmの領域において、光学フィルターの面に対して垂直方向から測定した場合の透過率が5%以下の波長帯域であり、かつ、その幅が5nm以上である波長帯域のことを指す。
光線阻止帯(Za)の幅は、好ましくは10nm以上、より好ましくは15nm以上、特に好ましくは20nm以上である。幅の上限は特に限定されないが、光学設計のしやすさの観点から300nm以下が好ましい。なお、前記光線阻止帯(Za)における透過率5%以下の波長帯域が波長700nm以上の領域から波長700nm未満の領域に連続していたとしても、前記光線阻止帯(Za)は700nmを下限とする。前記光線阻止帯(Za)における平均透過率は、好ましくは4%以下、さらに好ましくは3%以下、特に好ましくは2%以下である。
光線阻止帯(Zc)の幅は、好ましくは7nm以上、より好ましくは10nm以上、特に好ましくは15nm以上である。幅の上限は特に限定されないが、光学設計のしやすさ、人間の目に見えにくい波長の光における光線透過帯を形成する観点から270nm以下が好ましい。前記光線阻止帯(Zc)における平均透過率T(Zc)は、好ましくは4%以下、さらに好ましくは3%以下、特に好ましくは2%以下である。
<光線透過帯>
光線透過帯(Zb)は、波長700〜1100nmの領域において、光学フィルターの面に対して垂直方向から測定した場合の透過率が10%以上の波長帯域であり、かつ、その幅が5nm以上である波長帯域のことを指す。
光線透過帯(Zb)の幅は、好ましくは7nm以上、より好ましくは10nm以上、特に好ましくは15nm以上である。幅の上限は特に限定されないが、光学設計のしやすさの観点から100nm以下が好ましい。前記最大透過率TIRMAXは、好ましくは14〜54%、より好ましくは18〜52%、特に好ましくは25〜50%である。最大透過率TIRMAXが前記下限以上である場合、光線透過帯を通過した光を十分な感度で検出することができる。また、前記上限以下である場合、近赤外線の光量が多い光源を撮像した場合においても、青、緑、赤色の画素における、近赤外線に対する感度に相当する差し引く強度を減らすことができ、青、緑、赤色の画素における、近赤外線光によるノイズが少なくなる。
本発明の光学フィルターは、さらに下記要件(c)を満たすことが好ましい。
要件(c):前記Zbにおいて、光学フィルターの面に対して垂直方向から測定した場合にTIRMAX/2となる、最も短波長側の波長の値(Xa)と最も長波長側の波長の値(Xb)との差Xb−Xaが5〜150nmであり、Y=(Xa+Xb)/2で表されるYの値が750〜950nmである。
前記差Xb−Xaは、好ましくは10〜120nm、より好ましくは15〜100nm、特に好ましくは20〜80nmである。また、前記Yの値は、好ましくは760〜945nm、より好ましくは770〜942nm、特に好ましくは780〜940nmである。Xb−XaやYの値がこの範囲にあると、近赤外センシング感度とカメラ画像の色再現性とにより優れる光学フィルターを得ることができる。
本発明の光学フィルターは、さらに下記要件(d)を満たすことが好ましい。
要件(d):波長Y−10nm〜Y+10nmの領域において、光学フィルターの面に対して垂直方向から測定した場合の平均透過率が10%以上55%未満である。
要件(d)で規定する平均透過率は、好ましくは12〜54%、より好ましくは14〜52%、いっそう好ましくは16〜50%、特に好ましくは18〜48%である。当該平均透過率が前記範囲であると、ゴースト発生の原因となる近赤外線の過剰な透過を抑制することができる。
本発明の光学フィルターは、さらに下記要件(e)を満たすことが好ましい。
要件(e):光学フィルターの面に対して垂直方向から5度の角度で入射した光において、波長Y−10nm〜Y+10nmの領域における平均反射率が20%以下である。
要件(e)で規定する平均反射率は、好ましくは16%以下、より好ましくは12%以下、特に好ましくは0.1〜10%である。当該平均反射率が前記範囲であると、ゴーストの発生を低減することができる。
本発明の光学フィルターは、さらに下記要件(f)を満たすことが好ましい。
要件(f):光学フィルターの面に対して垂直方向から5度の角度で入射した光において、波長600〜800nmの領域における平均反射率が20%以下である。
要件(f)で規定する平均反射率は、好ましくは18%以下、より好ましくは16%以下、特に好ましくは0.1〜12%である。当該平均反射率が前記範囲であると、ゴーストの発生を低減することができる。
本発明の光学フィルターは、さらに下記要件(g)を満たすことが好ましい。
要件(g):前記Zbにおいて、光学フィルターの面に対して垂直方向から測定した場合にTIRMAX/2となる最も短波長側の波長の値(Xa)と、光学フィルターの面に対して垂直方向から30度の角度で測定した場合の最大透過率をTIRMAX30としたとき、TIRMAX30/2となる最も短波長の波長の値(Xa30)との差の絶対値|Xa−Xa30| が15nm以下である。
前記|Xa−Xa30|は、好ましくは14nm以下、より好ましくは12nm以下、特に好ましくは10nm以下である。|Xa−Xa30|が前記範囲であると、光線透過帯(Zb)の短波長側の入射角依存性が低いため、可視光線画素の混色量が変化しない光学フィルターが得られる。
本発明の光学フィルターは、さらに下記要件(h)を満たすことが好ましい。
要件(h):前記Zbにおいて、光学フィルターの垂直方向から測定した場合にTIRMAX/2となる最も長波長側の波長の値(Xb)と、光学フィルターの面に対して垂直方向から30度の角度で測定した場合の最大透過率をTIRMAX30としたとき、TIRMAX30/2となる最も長波長の波長の値(Xb30)の差の絶対値|Xb−Xb30|が20nm以下である。
前記|Xb−Xb30|は、好ましくは19nm以下、より好ましくは18nm以下、特に好ましくは16nm以下である。|Xa−Xb30|が前記範囲であると、光線透過帯(Zb)の長波長側の入射角依存性が低いため、可視光線画素の混色量が変化しない光学フィルターが得られる。
本発明の光学フィルターの厚みは、所望の用途に応じて適宜選択すればよいが、近年の固体撮像装置の薄型化、軽量化等の流れを考慮すると薄いことが好ましい。
本発明の光学フィルターの厚みは、好ましくは180μm以下、より好ましくは160μm以下、さらに好ましくは150μm以下、特に好ましくは120μm以下である。下限は特に制限されないが、光学フィルターの強度や取り扱いのしやすさを考慮すると、例えば20μmであることが望ましい。
<化合物(A)>
本発明の光学フィルターでは、前記樹脂層が波長860〜1100nmの領域に吸収極大を有する化合物(A)を含むことが好ましい。
化合物(A)は、その吸収極大波長から約10〜70nm短波長である領域の光も吸収する傾向にある。従って、波長900〜1100nmの近赤外線を透過する光学フィルターにおいて、該光学フィルターの面方向に対して垂直方向から30度の角度で光が入射する際に、波長800〜900nmの光をより効率的に遮断することができる等の点から、化合物(A)が有する吸収極大波長は、好ましくは830nm以上、より好ましくは840nm以上、さらに好ましくは851nm以上、特に好ましくは852nm以上である。
ノイズの原因となる太陽光線は、例えば、図7に示すように、波長800〜900nmの強度は大きい傾向にあり、波長約930〜980nmの強度は小さい傾向にある。このため、太陽光線の可視光画素に入る波長800〜900nmの光によるノイズをより効率的に遮断することがノイズ量の低減に重要であり、波長800〜900nmの透過率を効率的に下げることができる等の点から、化合物(A)の吸収極大波長は、好ましくは930nm以下、より好ましくは920nm以下、特に好ましくは910nm以下である。図7によれば、太陽光線の強度は、波長980nm以上において再度上昇しピークを有するが、図8によれば、波長980nm以上の光に対しては、センサー感度が低いため、波長930nm以下の光を遮断することが効果的である。
前記化合物(A)としては、前記吸収極大波長を有する化合物であれば特に限定されないが、溶剤可溶型の色素化合物であることが好ましく、ポリメチン系化合物(例えば、スクアリリウム系化合物、シアニン系化合物)、フタロシアニン系化合物、ナフタロシアニン系化合物、クロコニウム系化合物、ヘキサフィリン系化合物、アゾ系化合物、ナフトキノン系化合物、オキソノール系化合物、ピロロピロール系化合物、トリアリールメタン系色素、ジイモニウム系化合物、金属ジチオラート系化合物、ジチオレン錯体系化合物、メルカプトフェノール錯体系化合物、メルカプトナフトール錯体系化合物およびヘテロ環共役化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種であることがより好ましい。本発明では、これらの中でも、優れた可視光透過特性、急峻な吸収特性および高いモル吸光係数を有する等の点から、スクアリリウム系化合物、ジイモニウム系化合物、シアニン系化合物、ポリメチン系化合物(前記スクアリリウム系化合物およびシアニン系化合物を除く。)、金属ジチオラート系化合物およびヘテロ環共役化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種を用いることがさらに好ましい。
≪ポリメチン系化合物≫
前記ポリメチン系化合物は、前記吸収極大波長を有する化合物であれば特に限定されないが、下記式(S−A)〜(S−D)のいずれかで表される化合物(以下、それぞれ「化合物(S−A)」〜「化合物(S−D)」ともいう。)であることが好ましく、吸収極大波長の設計のしやすさの観点から(S−A)〜(S−C)がより好ましい。
前記式(S−A)〜(S−D)中、A-は電荷を中和するのに必要なアニオンであり、アニオンが1価の場合にはカチオンは1つであり、アニオンが2価である場合にはアニオン1つに対してカチオンが2つである。A-はこのようなアニオンであれば特に制限されないが、一例として、下記表1に記載のアニオンが挙げられる。
前記式(S−A)〜(S−D)中、複数あるDは、独立に炭素原子、窒素原子、酸素原子または硫黄原子を表し、
複数あるXは、独立に酸素原子、硫黄原子、セレン原子、−NH−、−NRa−を表す。
前記式(S−A)〜(S−D)中、Raは、独立に水素原子、−La、−Lb、−Lc、−Ld、−Le、−Lf、−Lgまたは−Lhを表し、
複数あるRb、Rc、Rd、Re、Rf、Rg、RhおよびRiは、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、水酸基、カルボキシ基、ニトロ基、アミノ基、アミド基、イミド基、シアノ基、シリル基、−L1、−S−L2、−SS−L2、−SO2−L3、−N=N−L4、または、RbとRc、RdとRe、ReとRf、RfとRg、RgとRhおよびRhとRiのうち少なくとも1つの組み合わせが結合した、下記式(A)〜(H)で表される基からなる群より選ばれる少なくとも1種の基を表す。
なお、前記式(S−A)〜(S−D)中のD−(Rb)(Rc)は、便宜的にこのように記載しているのであり、必ずしもDにRbおよびRcが結合しているわけではない。例えば、Dが窒素原子の場合、RbおよびRcの一方は存在せず、Dが酸素原子の場合、RbおよびRcは両方とも存在せず、Dが硫黄原子の場合、RbおよびRcは両方とも存在しないか、または、RbおよびRcの合計が4個となる。
前記アミノ基、アミド基、イミド基およびシリル基は、炭素数1〜12の脂肪族炭化水素基、炭素数1〜12のハロゲン置換アルキル基、炭素数3〜14の脂環式炭化水素基、炭素数6〜14の芳香族炭化水素基、炭素数3〜14の複素環基、ハロゲン原子、スルホ基、水酸基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシ基、リン酸基およびアミノ基からなる群より選ばれる少なくとも1種の置換基Lを有してもよい。
前記L1は、下記La、Lb、Lc、Ld、Le、Lf、Lg、LhまたはLiである。
(La)前記置換基Lを有してもよい炭素数1〜12の脂肪族炭化水素基
(Lb)前記置換基Lを有してもよい炭素数1〜12のハロゲン置換アルキル基
(Lc)前記置換基Lを有してもよい炭素数3〜14の脂環式炭化水素基
(Ld)前記置換基Lを有してもよい炭素数6〜14の芳香族炭化水素基
(Le)前記置換基Lを有してもよい炭素数3〜14の複素環基
(Lf)前記置換基Lを有してもよい炭素数1〜9のアルコキシ基
(Lg)前記置換基Lを有してもよい炭素数1〜9のアシル基
(Lh)前記置換基Lを有してもよい炭素数1〜9のアルコキシカルボニル基
(Li)置換基Lを有してもよい炭素数1〜12のスルフィド基またはジスルフィド基
前記L2は、水素原子または前記L1におけるLa〜Leのいずれかを表し、
前記L3は、水素原子または前記L1におけるLa〜Leのいずれかを表し、
前記L4は、前記L1におけるLa〜Leのいずれかを表す。
式(A)〜(H)中、RxおよびRyは炭素原子を表し、
複数あるRA〜RLは、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、水酸基、カルボキシ基、ニトロ基、アミノ基、アミド基、イミド基、シアノ基、シリル基、−L1、−S−L2、−SS−L2、−SO2−L3または−N=N−L4(L1〜L4は、前記Ra〜RiにおけるL1〜L4と同義である。)を表し、前記アミノ基、アミド基、イミド基およびシリル基は、前記置換基Lを有してもよい。
前記式(S−A)〜(S−D)中、Za〜ZcおよびYa〜Ydは、それぞれ独立に水素原子;ハロゲン原子;水酸基;カルボキシ基;ニトロ基;アミノ基;アミド基;イミド基;シアノ基;シリル基;−L1;−S−L2;−SS−L2;−SO2−L3;−N=N−L4(L1〜L4は、前記Ra〜RiにおけるL1〜L4と同義である。);Z同士もしくはY同士のうち隣接した二つが相互に結合して形成される、炭素数6〜14の芳香族炭化水素基;Z同士もしくはY同士のうち隣接した二つが相互に結合して形成される、窒素原子、酸素原子もしくは硫黄原子を少なくとも1つ含んでもよい5〜6員環の脂環式炭化水素基;または、Z同士もしくはY同士のうち隣接した二つが相互に結合して形成される、窒素原子、酸素原子もしくは硫黄原子を少なくとも1つ含む、炭素数3〜14の複素芳香族炭化水素基;を表し、これらの芳香族炭化水素基、脂環式炭化水素基および複素芳香族炭化水素基は、炭素数1〜9の脂肪族炭化水素基またはハロゲン原子を有してもよく、前記アミノ基、アミド基、イミド基およびシリル基は、前記置換基Lを有していてもよい。
前記Za〜ZcおよびYa〜Ydにおける、Z同士もしくはY同士が相互に結合して形成される、炭素数6〜14の芳香族炭化水素基としては、例えば、フェニル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、クメニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、アントラセニル基、フェナントリル基、アセナフチル基、フェナレニル基、テトラヒドロナフチル基、インダニル基およびビフェニリル基が挙げられる。
前記Za〜ZcおよびYa〜Ydにおける、Z同士もしくはY同士が相互に結合して形成される、窒素原子、酸素原子もしくは硫黄原子を少なくとも1つ含んでもよい5乃至6員環の脂環式炭化水素基としては、例えば、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基およびシクロオクチル基等のシクロアルキル基;ノルボルナン基およびアダマンタン基等の多環脂環式基;テトラヒドロフラン、ピロリン、ピロリジン、イミダゾリン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリンからなる基等の複素環が挙げられる。
前記Za〜ZcおよびYa〜Ydにおける、Z同士もしくはY同士が相互に結合して形成される、炭素数3〜14の複素芳香族炭化水素基としては、例えば、フラン、チオフェン、ピロール、ピラゾール、イミダゾール、トリアゾール、オキサゾール、オキサジアゾール、チアゾール、チアジアゾール、インドール、インドリン、インドレニン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、カルバゾール、ジベンゾフラン、ジベンゾチオフェン、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、ピリダジン、キノリン、イソキノリン、アクリジンまたはフェナジンからなる基が挙げられる。
前記置換基Lを有してもよいアミノ基としては、例えば、アミノ基、エチルアミノ基、ジメチルアミノ基、メチルエチルアミノ基、ジブチルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基が挙げられる。
前記置換基Lを有してもよいアミド基としては、アミド基、メチルアミド基、ジメチルアミド基、ジエチルアミド基、ジプロピルアミド基、プロピルトリフルオロメチルアミド基、ジイソプロピルアミド基、ジブチルアミド基、α−ラクタム基、β−ラクタム基、γ−ラクタム基、δ−ラクタム基が挙げられる。
前記置換基Lを有してもよいイミド基としては、例えば、イミド基、メチルイミド基、エチルイミド基、ジエチルイミド基、ジプロピルイミド基、ジイソプロピルイミド基、ジブチルイミド基が挙げられる。
前記置換基Lを有してもよいシリル基としては、例えば、トリメチルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基、トリフェニルシリル基、トリエチルシリル基が挙げられる。
前記−S−L2としては、例えば、チオール基、メチルスルフィド基、エチルスルフィド基、プロピルスルフィド基、ブチルスルフィド基、イソブチルスルフィド基、sec−ブチルスルフィド基、tert−ブチルスルフィド基、フェニルスルフィド基、2,6−ジ−tert−ブチルフェニルスルフィド基、2,6−ジフェニルフェニルスルフィド基、4−クミルフェニルスルフィド基が挙げられる。
前記−SS−L2としては、例えば、ジスルフィド基、メチルジスルフィド基、エチルジスルフィド基、プロピルジスルフィド基、ブチルジスルフィド基、イソブチルジスルフィド基、sec−ブチルジスルフィド基、tert−ブチルジスルフィド基、フェニルジスルフィド基、2,6−ジ−tert−ブチルフェニルジスルフィド基、2,6−ジフェニルフェニルジスルフィド基、4−クミルフェニルジスルフィド基が挙げられる。
前記−SO2−L3としては、例えば、スルホ基、メシル基、エチルスルホニル基、n−ブチルスルホニル基、p−トルエンスルホニル基が挙げられる。
前記−N=N−L4としては、例えば、メチルアゾ基、フェニルアゾ基、p−メチルフェニルアゾ基、p−ジメチルアミノフェニルアゾ基が挙げられる。
前記化合物(S−A)〜(S−D)の中でも、耐光性の観点から、化合物(S−C)がより好ましい。
前記化合物(S−A)〜(S−D)は、一般的に知られている方法で合成すればよく、例えば、特開2009−108267号公報に記載されている方法で合成することができる。前記化合物(S−A)〜(S−D)の具体例としては、下記表2−1〜2−3に記載の化合物(s−1)〜(s−39)が挙げられる。
≪スクアリリウム系化合物≫
前記スクアリリウム系化合物は、前記吸収極大波長を有する化合物であれば特に限定されないが、下記式(Sq−A)〜(Sq−B)で表されるスクアリリウム系化合物(以下、これらを併せて「化合物(Sq)」ともいう。)より選ばれる化合物であることが好ましい。
式(Sq−A)および(Sq−B)中、Xは、独立に硫黄原子、セレン原子または−NH−、−NR8−を表し、R1〜R7は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、スルホ基、水酸基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシ基、リン酸基、−L1または−NRgh基を表す。RgおよびRhは、それぞれ独立に水素原子、−La、−Lb、−Lc、−Ld、−Le、−Lf、−Lg、−Lhまたは−C(O)Ri基(Riは、−La、−Lb、−Lc、−Ldまたは−Leを表す。)を表し、R8は、水素原子、−La、−Lb、−Lc、−Ld、−Le、−Lf、−Lgまたは−Lhを表す。
1は、La、Lb、Lc、Ld、Le、Lf、LgまたはLhである。
前記La〜Lhは、前記式(S−A)〜(S−D)において説明したLa〜Lhと同義である。
前記R1は、独立に水素原子、塩素原子、フッ素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、シクロヘキシル基、フェニル基、水酸基、アミノ基、ジメチルアミノ基、ニトロ基が好ましく、水素原子、塩素原子、フッ素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、水酸基がより好ましい。
前記R2〜R7は、それぞれ独立に水素原子、塩素原子、フッ素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、シクロヘキシル基、フェニル基、水酸基、アミノ基、ジメチルアミノ基、シアノ基、ニトロ基、アセチルアミノ基、プロピオニルアミノ基、N−メチルアセチルアミノ基、トリフルオロメタノイルアミノ基、ペンタフルオロエタノイルアミノ基、tert−ブタノイルアミノ基、シクロヘキサノイルアミノ基が好ましく、水素原子、塩素原子、フッ素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、水酸基、ジメチルアミノ基、ニトロ基、アセチルアミノ基、プロピオニルアミノ基、トリフルオロメタノイルアミノ基、ペンタフルオロエタノイルアミノ基、tert−ブタノイルアミノ基、シクロヘキサノイルアミノ基がより好ましい。
前記R8は、独立に水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、n−デシル基、シクロヘキシル基、フェニル基が好ましく、水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基がより好ましい。
化合物(Sq−A)は置換基によって吸収極大波長を調整可能であるが、前記Xとしては、吸収極大波長が860〜1100nmにある化合物になりやすい等の点から、好ましくは硫黄原子、セレン原子または−NR8−である。
化合物(Sq−B)は置換基によって吸収極大波長を調整可能であるが、前記Xとしては、吸収極大波長が860〜1100nmにある化合物になりやすい等の点から、好ましくは酸素原子、硫黄原子または−NR8−である。
化合物(Sq−A)は、下記式(Sq−A1)のような記載方法に加え、下記式(Sq−A2)のように共鳴構造を取るような記載方法でも構造を表すことができる。つまり、下記式(Sq−A1)と下記式(Sq−A2)との違いは構造の記載方法のみであり、どちらも同一の化合物を表す。本明細書中では特に断りのない限り、下記式(Sq−A1)のような記載方法にてスクアリリウム系化合物の構造を表すものとする。(Sq−B)についても同様である。
さらに、例えば、下記式(Sq−A3)で表される化合物と下記式(Sq−A4)で表される化合物は、同一の化合物であると見なすことができる。(Sq−B)についても同様である。
化合物(Sq)は、前記式(Sq−A)、(Sq−B)を満たせば特に構造は限定されない。例えば前記式(Sq−A)のように構造を表した場合、中央の四員環に結合している左右の置換基は同一であっても異なっていてもよいが、同一であった方が合成上容易であるため好ましい。(Sq−B)についても同様である。
化合物(Sq−A)および(Sq−B)は、一般的に知られている方法で合成すればよく、例えば、特開平1−228960号公報、特開2001−40234号公報、特許第3196383号公報等に記載されている方法などを参照して合成することができる。化合物(Sq−A)および(Sq−B)の具体例としては、例えば、下記表3−1〜3−2に記載の化合物(z−2)等を挙げることができる。
≪ジイモニウム系化合物≫
前記ジイモニウム系化合物としては特に制限されないが、吸収極大波長を前記範囲に有する化合物が好ましく、WO2018/221424の[0133]〜[0137]に記載の化合物がより好ましい。
前記ジイモニウム系化合物は、一般的に知られている方法で合成すればよく、例えば、特許第4168031号公報、特許第4252961号公報、特表2010−516823号公報、特開昭63−165392号公報等に記載されている方法などを参照して合成することができる。
≪ヘテロ環共役系化合物≫
前記ヘテロ環共役化合物としては特に制限されないが、吸収極大波長を前記範囲に有する化合物が好ましい。このようなヘテロ環共役化合物としては、例えば、下記式(H1)で表される化合物が挙げられる。
式(H1)中、RH1〜RH4は、それぞれ独立に水素原子またはLa〜Lhのいずれかを表す。前記La〜Lhは、前記式(S−A)〜(S−D)において説明したLa〜Lhと同様である。
H5〜RH8は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、スルホ基、水酸基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシ基、リン酸基、−NRgh基、−SRi基、−SO2i基、−OSO2i基または前記RH1〜RH4におけるLa〜Lhのいずれかを表し、RgおよびRhは、それぞれ独立に水素原子、−C(O)Ri基または前記RH1〜RH4におけるLa〜Leのいずれかを表し、Riは前記RH1〜RH4におけるLa〜Leのいずれかを表す。
前記式(H1)で表される化合物において、前記樹脂への溶解性が良好である等の点から、RH1〜RH4は炭素数3以上の前記La〜Lhのいずれかであることが好ましい。
前記式(H1)で表される化合物において、RH5〜RH8は化合物が有する電子のエネルギー準位を適切に調整することが容易となる等の点から、臭素原子が好ましい。
前記ヘテロ環共役系化合物は、一般的に知られている方法で合成すればよく、例えば、Chemical Science,2016,7,499−504等に記載されている方法などを参照して合成することができる。
本発明において、化合物の吸収極大波長は、例えば、ジクロロメタンなどの適当な溶媒に化合物を溶解させた後、得られた溶液を分光光度計で測定すればよい。
<化合物(B)>
本発明の光学フィルターは、波長600nm以上860nm未満の領域に吸収極大波長を有する化合物(B)を含むことが好ましく、化合物(A)と化合物(B)を併用することがより好ましい。
化合物(B)の吸収極大波長は、好ましくは650nm以上860nm未満、より好ましくは690nm以上850nm以下、特に好ましくは700nm以上820nm以下である。
このような化合物(B)を用いることで、カラー画像のノイズとなる波長700〜780nmにおける光を効率的に遮断することができ、また30度入射時においても赤色付近の色の可視光線の光量変化が少なく、本発明の光学フィルターを含む固体撮像装置、カメラモジュール、生体認証装置等を用いて撮像した際に、該光学フィルターに高角度に入射する光線に相当する画像の周辺部分において、可視光画素の色味の変化を容易に抑制することができる。
また、このような化合物(B)を、特に化合物(A)とともに用いることで、カラー画像と近赤外線画像両方のノイズとなる波長700〜800nmにおける光を効率的に遮断することができ、色再現性がよく、かつ、ノイズ量の少ない固体撮像装置、カメラモジュール、生体認証装置が得られ、好ましい。
化合物(B)としては、吸収極大波長が前記範囲であれば特に限定されないが、好ましくは、フタロシアニン系化合物、ナフタロシアニン系化合物、クロコニウム系化合物、ヘキサフィリン系化合物、アゾ系化合物、ナフトキノン系化合物、オキソノール系化合物、ピロロピロール系化合物、トリアリールメタン系色素、ジチオール錯体系化合物、ジチオレン錯体系化合物、メルカプトフェノール錯体系化合物、メルカプトナフトール錯体系化合物およびポリメチン系化合物(例えば、スクアリリウム系化合物)が挙げられる。本発明では、これらの中でも、優れた可視光透過特性、急峻な吸収特性および高いモル吸光係数を有する等の点から、スクアリリウム系化合物、フタロシアニン系化合物、ポリメチン系化合物(前記スクアリリウム系化合物を除く。)を用いることがさらに好ましい。
化合物(B)は、1種または2種以上用いてもよい。
化合物(B)としては、スクアリリウム系化合物とその他の化合物(B)とをそれぞれ一種以上含むことがさらに好ましく、スクアリリウム系化合物とその他の化合物(B)を用いる場合は、スクアリリウム系化合物がその他の化合物(B)よりも短波長側に吸収極大波長を有することが好ましく、スクアリリウム系化合物とその他の化合物(B)の少なくとも1種との吸収極大波長の差が5〜50nmであることがより好ましい。
化合物(B)としてスクアリリウム系化合物とその他の化合物(B)とを用いる場合、スクアリリウム系化合物の含有割合は、用いる化合物(B)全体を100質量%とした場合、好ましくは10〜95質量%、より好ましくは15〜85質量%、特に好ましくは20〜80質量%である。
スクアリリウム系化合物は構造によって光線吸収時に散乱光の原因となる蛍光を発生させる場合があるが、化合物(B)として、スクアリリウム系化合物とその他の化合物(B)を用いる場合、これらの吸収極大波長の差が前記範囲にある化合物(B)を用いる場合、または、スクアリリウム系化合物を前記量で用いる場合、好ましくはこれらすべてを満たす場合、可視域〜近赤外波長域において散乱光を含めた不要な光線を効率よくカットすることができるため、優れた入射角依存改良性能と散乱光低減効果による良好なカメラ画質を達成することができる。
≪スクアリリウム系化合物≫
化合物(B)として用いられるスクアリリウム系化合物の好ましい例としては、前記式(Sq−A)で表され、かつ、吸収極大波長が化合物(B)の条件を満たす化合物(以下「化合物(Z−A)」ともいう。)、WO2018/221424の[0056]〜[0094]に記載の式(I)または下記式(II)で表される化合物(以下、それぞれ「化合物(I)」または「化合物(II)」ともいう。)が挙げられる。
なお、WO2018/221424に記載の式(I)において、L1は、前記式(S−A)〜(S−D)中のL1と同義、すなわちLa、Lb、Lc、Ld、Le、Lf、Lg、LhまたはLiである。
化合物(I)および化合物(II)の具体例としては、下記(I−A)〜(I−H)で表される基本骨格を有する化合物(以下、それぞれ「化合物(I−A)」〜「化合物(I−H)」とも称する。)が挙げられる。
化合物(B)として用いられるスクアリリウム系化合物としては、式(I−K)で表されるスクアリリウム系化合物(以下「化合物(I−K)」とも称する。)を用いてもよい。
式(I−K)中、Ra〜Rgは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、スルホ基、水酸基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシ基、リン酸基、−L1または−NRgh基を表す。L1は、La、Lb、Lc、Ld、Le、Lf、LgまたはLhを表し、RgおよびRhは、それぞれ独立に水素原子、−La、−Lb、−Lc、−Ld、−Leまたは−C(O)Ri基(Riは、−La、−Lb、−Lc、−Ldまたは−Leを表す。)を表す。前記La〜Lhは、前記式(S−A)〜(S−D)において説明したLa〜Lhと同義である。
化合物(Z−A)を化合物(B)として用いる場合、置換基によって吸収極大波長を調整可能であるが、前記Xとしては、吸収極大波長が600nm以上860nm未満にある化合物になりやすい等の点から、好ましくは酸素原子である。
化合物(Z−A)、(I−A)〜(I−K)は、一般的に知られている方法で合成すればよく、例えば、特開平1−228960号公報、特開2001−40234号公報、特許第3196383号公報等に記載されている方法などを参照して合成することができる。式(I−A)〜(I−K)で表される化合物の具体例としては、例えば、下記表4−1〜4−5に記載の化合物(z−1)等を挙げることができる。
≪フタロシアニン系化合物≫
前記化合物(B)として用いられるフタロシアニン系化合物は、特に限定されるものではないが、WO2018/221424の[0095]〜[0118]に記載の式(III)で表される化合物(以下「化合物(III)」ともいう。)であることが好ましい。
前記化合物(III)の具体例としては、下記式(III−A)〜(III−J)で表わされる基本骨格を有する、下記表5−1〜5−4に記載の化合物(v−1)〜(v−62)が挙げられる。
化合物(III)は、一般的に知られている方法で合成すればよく、例えば、特許第4081149号公報や「フタロシアニン −化学と機能−」(アイピーシー、1997年)に記載されている方法を参照して合成することができる。
≪ポリメチン系化合物≫
前記ポリメチン系化合物としては特に制限されないが、吸収極大波長を前記範囲に有する化合物が好ましい。このようなポリメチン系化合物としては、例えば、下記式(S−D)〜(S−F)で表される化合物が挙げられる。なお、化合物(S−D)の骨格を有する化合物は構造に応じて吸収極大波長が異なり、化合物(A)としても化合物(B)としても使用できる。
前記式(S−D)〜(S−F)中、A-は1価の陰イオンを表す。該1価の陰イオンとしては特に限定されないが、例えば、Cl-、Br-、I-、PF6 -、ClO4 -、NO3 -、BF4 -、SCN-、CH3COO-、CH3CH2COO-、メチルスルホン酸イオン、テトラフルオロメチルスルホン酸イオン、ナフタレンスルホン酸イオン、アントラセンスルホン酸イオン、N(SO2CF32 -、B(C654 -、C65SO3 -、トルエンスルホン酸イオン、CF3COO-、CF3CF2COO-、ニッケルジチオラート系錯体イオン、銅ジチオラート系錯体イオンが挙げられる。
前記複数あるD、Rb〜Ri、Za、ZbおよびYa〜Ycは、前記化合物(A)のポリメチン系化合物における式(S−A)〜(S−D)で説明したD、Rb〜Ri、Za、ZbおよびYa〜Ycと同義である。
前記ポリメチン系化合物の具体例としては、下記表6に記載の化合物(s−40)〜(s−57)が挙げられる。
<化合物(X)>
本発明の光学フィルターは、波長300〜425nmに吸収極大波長を有する化合物(X)を含むことが好ましく、化合物(A)と化合物(X)とを併用することがより好ましく、化合物(A)と化合物(B)と化合物(X)とを併用することが特に好ましい。
化合物(X)の吸収極大波長は、好ましくは350〜415nm、より好ましくは360〜410nm、特に好ましくは365〜405nmである。
このような化合物(X)を用いることで、35度入射時においても青色付近の色の可視光光線の光量変化が少なく、本発明の光学フィルターを含む固体撮像装置、カメラモジュール、生体認証装置等を用いて撮像した際に、該光学フィルターに高角度に入射する光線に相当する画像の周辺部分において、可視光画素の色味の変化を容易に抑制することができる。
化合物(X)としては、前記吸収極大波長を有する化合物であれば特に限定されないが、例えば、オキサゾール系、メロシアニン系、シアニン系、ナフタルイミド系、オキサジアゾール系、オキサジン系、オキサゾリジン系、ナフタル酸系、スチリル系、アントラセン系、環状カルボニル系、トリアゾール系等の色素が挙げられる。化合物(X)は、1種または2種以上用いてもよい。
化合物(X)の市販品としては、例えば、Uvitex OB(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)、HakkolRF−K(昭和化学工業(株)製)、NikkafluorEFS、NikkafluorSB−conc(以上、日本化学工業(株)製)、S0511(FewChemicals社製)、SMP370((株)林原製)、BONASORB UA3701、UA3911(以上、オリヱント化学工業(株)製)、Lumogen Fviolet570(BASF社製)、ABS407(Exiton社製)、UV381A、UV381B、UV382A、UV386A(以上、QCR Solutions Corp.社製)が挙げられる。
<その他の吸収剤(Y)>
本発明の光学フィルターは、さらに、前記化合物(A)、化合物(B)および化合物(X)以外のその他の吸収剤(Y)を含んでいてもよい。
化合物(A)の吸収特性や目的とする近赤外透過波長によっては、化合物(A)とその他の吸収剤(Y)とを併用することで、可視波長域に加え近赤外透過帯域の長波長側においても入射角依存性を低減することができ、より良好な赤外センシング性能を達成することができる傾向にある。
前記その他の吸収剤(Y)としては、例えば、スクアリリウム系化合物、フタロシアニン系化合物、シアニン系化合物、ナフタロシアニン系化合物、クロコニウム系化合物、ポルフィリン系化合物および金属ジチオラート系化合物、ジイモニウム系化合物、アゾ系化合物、ポリメチン系化合物、フタリド系化合物、ナフトキノン系化合物、アントラキノン系化合物、インドフェノール化合物、ピリリウム系化合物、チオピリリウム系化合物、トリフェニルメタン系化合物、アミニウム系化合物が挙げられる。
[光学フィルターの構造]
本発明の光学フィルターは、前述した要件を満たせば特に限定されないが、基材と誘電体多層膜とを含む光学フィルターであることが好ましい。
本発明の光学フィルターは、図3の一番上の図のように、基材2の一方の面に誘電体多層膜3を有してもよく、図3のその他の図のように、複数の誘電体多層膜3,3'や複数の基材2,2'を有してもよい。
<基材>
前記基材は、単層であっても多層であってもよく、基材が単層の場合は、例えば、樹脂製基板からなる基材(i)を挙げることができ、多層の場合は、例えば、ガラス支持体やベースとなる樹脂製支持体などの1層以上の支持体上に1層以上のオーバーコート層が積層された基材(ii)が挙げられる。
製造コストや光学特性調整の容易性、さらに、樹脂製支持体の傷消し効果を達成できることや基材の耐傷つき性向上等の点から、オーバーコート層を含む基材が好ましい。
前記基材の厚みは、所望の用途に応じて適宜選択することができ、特に制限されないが、得られる光学フィルターの入射角依存性を低減するように適宜選択することが好ましく、好ましくは10〜200μm、さらに好ましくは20〜150μm、特に好ましくは15〜120μmである。
基材の厚みが前記範囲にあると、該基材を用いた光学フィルターを薄型化および軽量化することができ、固体撮像装置等の様々な用途に好適に用いることができる。特に、前記基材(i)をカメラモジュール等のレンズユニットに用いた場合には、レンズユニットの低背化、軽量化を実現することができるため好ましい。
前記基材(i)の場合、樹脂製基板は、樹脂と化合物(A)とを含むことが好ましい。また、前記基材(ii)の場合であって、支持体がガラス支持体である場合、前記オーバーコート層は、樹脂と化合物(A)とを含むことが好ましく、前記基材(ii)の場合であって、支持体が樹脂製支持体である場合、該樹脂製支持体または前記オーバーコート層の少なくとも一方は、樹脂と化合物(A)とを含むことが好ましい。
前記化合物(B)や前記化合物(X)を用いる場合、これらの化合物は、同一の層に含まれていても別々の層に含まれていてもよい。
これらを同一の層に含む場合は、例えば、化合物(A)、(B)および(X)を含む樹脂製基板からなる基材、化合物(A)、(B)および(X)を含む樹脂製支持体上にオーバーコート層が積層された基材、支持体上に化合物(A)、(B)および(X)を含むオーバーコート層が積層されている基材が挙げられる。
また、前記化合物が別々の層に含まれる場合は、例えば、化合物(A)が含まれる樹脂製基板上に、化合物(B)や化合物(X)を含むオーバーコート層が積層された基材や、化合物(B)や化合物(X)を含む樹脂製基板上に化合物(A)を含むオーバーコート層が積層された基材が挙げられる。
化合物(A)と、化合物(B)および/または化合物(X)とは、同一の層に含まれていることがより好ましく、この場合、別々の層に含まれる場合よりも、用いる化合物(A)、(B)、(X)の含有量比率を制御することがより容易になる。
前記化合物(A)を含む層中の化合物(A)の濃度は、該層に含まれる樹脂100質量部に対し、好ましくは0.001〜50質量部、より好ましくは0.005〜40質量部、特に好ましくは0.01〜35質量部である。
化合物(A)の濃度が前記範囲にあることで、光学フィルターに光が35度入射しても、波長860〜1100nmの光をより容易に遮断することができる。
また、前記化合物(A)の濃度は下記式(A1)を満たすことが好ましい。
[式(A1)中の符号は、以下のことを示す。
化合物(A)を含む層をn層有する光学フィルターにおいて、
CAnはn層中の化合物(A)の濃度(wt%)を示し、lAnは該n層の厚み(μm)を示す。]
なお、式(A1)は、本発明の光学フィルターが、化合物(A)を濃度αwt%で含む層1(厚みaμm)と、化合物(A)を濃度βwt%で含む層2(厚みbμm)とを有する場合、「1≦(α×a+β×b)≦50」となる。
また、本発明の光学フィルターに含まれるある層が化合物(A)を2種以上含む場合、前記CAnは該層中に含まれる化合物(A)の合計の濃度(wt%)を示す。
これらは、下記式(B1)や(X1)でも同様である。
前記式(A1)の左辺は、好ましくは2、より好ましくは3であり、右辺は、好ましくは40、より好ましくは30、特に好ましくは25である。
化合物(A)の濃度が前記式(A1)を満たすことで、太陽光線によるノイズの原因となる波長860〜1100nmの光を十分に遮断することができ、過剰な添加による波長860〜1100nm以外の光、例えば可視光の吸収を少なくすることができ、可視光領域の高い感度とノイズ量の低下を両立した光学フィルターを容易に得ることができる。
前記化合物(B)を用いる場合、該化合物(B)を含む層中の化合物(B)の濃度は、該層に含まれる樹脂100質量部に対し、好ましくは0.001〜50質量部、より好ましくは0.005〜40質量部、特に好ましくは0.01〜35質量部である。
化合物(B)の濃度が前記範囲にあることで、光学フィルターに光が35度入射しても、赤色付近の色の可視光光線の光量変化をより抑制することができ、過度な吸収による可視光透過率の低下が少なく、該フィルターを含む固体撮像装置、カメラモジュール、生体認証装置等を用いて撮像した際に、該フィルターに高角度に入射する光線に相当する画像の周辺部分において、可視光画素の色味の変化を抑制することができる。
また、前記化合物(B)の濃度は下記式(B1)を満たすことが好ましい。
[式(B1)中の符号は、以下のことを示す。
化合物(B)を含む層をn層有する光学フィルターにおいて、
CBnはn層中の化合物(B)の濃度(wt%)を示し、lBnは該n層の厚み(μm)を示す。]
前記式(B1)の左辺は、好ましくは2、より好ましくは3であり、右辺は、好ましくは30、より好ましくは25である。
化合物(B)の濃度が前記式(B1)を満たすことで、太陽光線によるノイズの原因となる波長700〜780nmの光を十分に遮断することができ、過剰な添加による波長700〜780nm以外の光、例えば可視光の吸収を少なくすることができ、可視光領域の高い感度とノイズ量の低下を両立した光学フィルターを容易に得ることができる。
前記化合物(X)を用いる場合、該化合物(X)を含む層中の化合物(X)の濃度は、該層に含まれる樹脂100質量部に対し、好ましくは0.001〜50質量部、より好ましくは0.005〜40質量部、特に好ましくは0.01〜35質量部である。
化合物(X)の濃度が前記範囲にあることで、光学フィルターに光が35度入射しても、青色付近の色の可視光光線の光量変化より抑制することができ、過度な吸収による可視光透過率の低下が少なく、該フィルターを含む固体撮像装置、カメラモジュール、生体認証装置等を用いて撮像した際に、該フィルターに高角度に入射する光線に相当する画像の周辺部分において、可視光画素の色味の変化を抑制することができる。
また、前記化合物(X)の濃度は下記式(X1)を満たすことが好ましい。
[式(X1)中の符号は、以下のことを示す。
化合物(X)を含む層をn層有する光学フィルターにおいて、
CXnはn層中の化合物(X)の濃度(wt%)を示し、lXnは該n層の厚み(μm)を示す。]
前記式(X1)の左辺は、好ましくは0.5、より好ましくは1であり、右辺は、好ましくは30、より好ましくは25である。
化合物(X)の濃度が前記式(X1)を満たすことで、太陽光線によるノイズの原因となる紫外線を十分に遮断することができ、過剰な添加による紫外線領域以外の光、例えば可視光の吸収を少なくすることができ、可視光領域の高い感度とノイズ量の低下を両立した光学フィルターを容易に得ることができる。
前記基材として、例えば、樹脂と、前記化合物(A)、(B)および(X)とを含有する樹脂製基板を含む基材を用いる場合、前記化合物(A)、(B)および(X)の総含有量は、樹脂100質量部に対して、好ましくは0.01〜2.0質量部、より好ましくは0.02〜1.5質量部、特に好ましくは0.03〜1.0質量部である。
前記基材として、ガラス支持体やベースとなる樹脂製支持体上に前記化合物(A)、(B)および(X)を含有するオーバーコート層が積層された基材を用いる場合、該オーバーコート層を形成する樹脂100質量部に対して、前記化合物(A)、(B)および(X)の総含有量は、好ましくは0.1〜5.0質量部、より好ましくは0.2〜4.0質量部、特に好ましくは0.3〜3.0質量部である。
化合物(A)、(B)および(X)の総含有量が前記範囲内にあると、高い可視光透過性および所望の近赤外線透過特性と、それ以外の波長800〜1200nmの光の遮断性に優れることとを両立した光学フィルターを容易に得ることができる。
また、基材が有する化合物(A)、(B)および(X)の総濃度は下記式(ABX)を満たすことが好ましい。
前記式(ABX)の左辺が0.5であると、波長800〜900nmの光を十分に遮断できる光学フィルターを容易に得ることができる。前記式(ABX)の左辺は、好ましくは1であり、より好ましくは2であり、特に好ましくは3である。
また、前記式(ABX)の右辺が60であると、高い可視光透過性および所望の近赤外線透過特性と、それ以外の波長800〜1200nmの光の遮断性に優れることとを両立した光学フィルターを容易に得ることができる。前記式(ABX)の右辺は、好ましくは45であり、より好ましくは35、特に好ましくは25である。
前記基材として、例えば、樹脂と前記その他の吸収剤(Y)とを含有する樹脂製基板を含む基材を用いる場合、該吸収剤(Y)の含有量は、樹脂100質量部に対して、好ましくは0.01〜1.5質量部、より好ましくは0.02〜1.0質量部、特に好ましくは0.03〜0.7質量部である。
また、前記基材として、ガラス支持体やベースとなる樹脂製支持体上に前記吸収剤(Y)を含有するオーバーコート層が積層された基材を用いる場合、該オーバーコート層を形成する樹脂100質量部に対して、該吸収剤(Y)の含有量は、好ましくは0.1〜4.0質量部、より好ましくは0.2〜3.0質量部、特に好ましくは0.3〜2.0質量部である。
前記吸収剤(Y)の含有量が前記範囲にあると、高い可視光透過性および所望の近赤外線透過特性と、それ以外の波長800〜1200nmの光の遮断性に優れることとを両立した光学フィルターを容易に得ることができる。
≪樹脂≫
樹脂製支持体やガラス支持体などに積層するオーバーコート層および樹脂製基板は、樹脂を用いて形成することができる。
前記基材に用いる樹脂としては、1種単独でもよいし、2種以上でもよい。
前記樹脂としては、本発明の効果を損なわないものである限り特に制限されないが、例えば、熱安定性やフィルムへの成形性を確保し、かつ、100℃以上の蒸着温度で行う高温蒸着により誘電体多層膜を形成しうる基材とするため、ガラス転移温度(Tg)が、好ましくは110〜380℃、より好ましくは110〜370℃、さらに好ましくは120〜360℃である樹脂が挙げられる。
また、前記樹脂のガラス転移温度が140℃以上であると、誘電体多層膜をより高温で蒸着形成し得るフィルム(樹脂製基板、樹脂製支持体およびオーバーコート層)が得られるため、特に好ましい。
Tgは、具体的には、下記実施例に記載の方法で測定することができる。
前記樹脂としては、当該樹脂からなる厚さ0.1mmの樹脂製支持体を形成した場合に、この樹脂製支持体の全光線透過率(JIS K7375)が、好ましくは75%以上、さらに好ましくは78%以上、特に好ましくは80%以上となる樹脂を用いることができる。全光線透過率がこのような範囲となる樹脂を用いれば、得られる基材は光学フィルムとして良好な透明性を示す。
前記樹脂として、溶媒可溶性の樹脂を用いる場合、該樹脂のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により測定される、ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は、通常15,000〜350,000、好ましくは30,000〜250,000であり、数平均分子量(Mn)は、通常10,000〜150,000、好ましくは20,000〜100,000である。
MwおよびMnは、具体的には、下記実施例に記載の方法で測定することができる。
前記樹脂としては、例えば、環状(ポリ)オレフィン系樹脂、芳香族ポリエーテル系樹脂、ポリイミド系樹脂、フルオレンポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド(アラミド)系樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリサルホン系樹脂、ポリエーテルサルホン系樹脂、ポリパラフェニレン系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリエチレンナフタレート(PEN)系樹脂、フッ素化芳香族ポリマー系樹脂、(変性)アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、アリルエステル系硬化型樹脂、シルセスキオキサン系紫外線硬化型樹脂、アクリル系紫外線硬化型樹脂およびビニル系紫外線硬化型樹脂を挙げることができる。
・環状(ポリ)オレフィン系樹脂
環状(ポリ)オレフィン系樹脂としては、特に限定されないが、WO2019/111700の[0034]〜[0038]に記載の環状オレフィン系樹脂が好ましい。
・芳香族ポリエーテル系樹脂
芳香族ポリエーテル系樹脂は、特に限定されないが、WO2019/111700の[0039]〜[0048]に記載の芳香族ポリエーテル系樹脂が好ましい。
・フルオレンポリエステル系樹脂
フルオレンポリエステル系樹脂としては特に制限されず、フルオレン部位を含むポリエステル樹脂であればよく、例えば、特開2010−285505号公報や特開2011−197450号公報に記載されている方法で合成することができる。
・ポリイミド系樹脂
ポリイミド系樹脂としては特に制限されず、繰り返し単位にイミド結合を含む高分子化合物であればよく、例えば、特開2006−199945号公報や特開2008−163107号公報に記載されている方法で合成することができる。
・ポリカーボネート系樹脂
ポリカーボネート系樹脂として特に制限されないが、ガラス転移温度が140℃以上である樹脂が好ましく、例えば、特開平6−306158号公報、特開2004−359932号公報特開2008−163194号公報、特開2011−246583号公報に記載されている方法で合成することができる。
・フッ素化芳香族ポリマー系樹脂
フッ素化芳香族ポリマー系樹脂としては特に制限されないが、フッ素原子を少なくとも1つ有する芳香族環と、エーテル結合、ケトン結合、スルホン結合、アミド結合、イミド結合およびエステル結合からなる群より選ばれる少なくとも1つの結合を含む繰り返し単位とを含有するポリマーであることが好ましく、例えば、特開2008−181121号公報に記載されている方法で合成することができる。
・アクリル系紫外線硬化型樹脂
アクリル系紫外線硬化型樹脂としては特に制限されないが、分子内に一つ以上のアクリル基もしくはメタクリル基を有する化合物と、紫外線によって分解して活性ラジカルを発生させる化合物を含有する樹脂組成物から合成されるものを挙げることができる。アクリル系紫外線硬化型樹脂は、前記基材として、ガラス支持体上やベースとなる樹脂製支持体上に形成するオーバーコート層に使用する樹脂として特に好適に使用することができる。
・市販品
樹脂の市販品としては、以下の市販品等が挙げられる。環状(ポリ)オレフィン系樹脂の市販品としては、例えば、JSR(株)製アートン、日本ゼオン(株)製ゼオノア、三井化学(株)製APEL、ポリプラスチックス(株)製TOPASが挙げられる。ポリエーテルサルホン系樹脂の市販品としては、例えば、住友化学(株)製スミカエクセルPESが挙げられる。ポリイミド系樹脂の市販品としては、例えば、三菱ガス化学(株)製ネオプリムLが挙げられる。ポリカーボネート系樹脂の市販品としては、例えば、帝人(株)製ピュアエースが挙げられる。フルオレンポリカーボネート系樹脂の市販品としては、例えば、三菱ガス化学(株)製ユピゼータEP−5000が挙げられる。フルオレンポリエステル系樹脂の市販品としては、例えば、大阪ガスケミカル(株)製OKP4HTが挙げられる。ポリカーボネート系樹脂の市販品としては、例えば、帝人(株)製パンライトSP−3810が挙げられる。アクリル系樹脂の市販品としては、例えば、(株)日本触媒製アクリビュアが挙げられる。シルセスキオキサン系紫外線硬化型樹脂の市販品としては、例えば、新日鐵化学(株)製シルプラスが挙げられる。
≪添加剤≫
前記基材は、本発明の効果を損なわない範囲において、さらに、酸化防止剤、耐光向上剤、離型剤、界面活性剤、帯電防止剤、密着助剤、光拡散材、蛍光消光剤および金属錯体系化合物等の添加剤を含有してもよい。また、後述するキャスト成形により基材を製造する場合には、レベリング剤や消泡剤を添加することで基材の製造を容易にすることができる。これら添加剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記酸化防止剤としては、例えば、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、2,2'−ジオキシ−3,3'−ジ−tert−ブチル−5,5'−ジメチルジフェニルメタン、テトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタンが挙げられる。
なお、前記添加剤は、基材を製造する際に、樹脂などとともに混合してもよいし、樹脂を合成する際に添加してもよい。また、添加量は、所望の特性に応じて適宜選択されるものであるが、樹脂100質量部に対して、通常0.01〜5.0質量部、好ましくは0.05〜2.0質量部である。
≪基材の製造方法≫
前記樹脂製基板や樹脂製支持体は、例えば、溶融成形またはキャスト成形により形成することができ、さらに、必要により、成形後に、反射防止剤、ハードコート剤および/または帯電防止剤等のコーティング剤をコーティングすることで、オーバーコート層が積層された基材を製造することができる。
前記基材が、ガラス支持体やベースとなる樹脂製支持体上にオーバーコート層が積層された基材である場合は、例えば、ガラス支持体やベースとなる樹脂製支持体にオーバーコート層形成用組成物を溶融成形またはキャスト成形することで、好ましくはスピンコート、スリットコート、インクジェットなどの方法にて塗工した後に溶媒を乾燥除去し、必要に応じてさらに光照射や加熱を行うことで、ガラス支持体やベースとなる樹脂製支持体上にオーバーコート層が形成された基材を製造することができる。
・溶融成形
前記溶融成形としては、具体的には、例えば、樹脂と必要により用いられるその他の成分とを溶融混練りして得られたペレットを溶融成形する方法;樹脂と必要により用いられるその他の成分とを含有する樹脂組成物を溶融成形する方法;または、樹脂、溶剤および必要により用いられるその他の成分を含む樹脂組成物から溶剤を除去して得られたペレットを溶融成形する方法が挙げられる。
溶融成形方法としては、例えば、射出成形、溶融押出成形またはブロー成形が挙げられる。
・キャスト成形
前記キャスト成形としては、例えば、樹脂、溶剤および必要により用いられるその他の成分を含む樹脂組成物を適当な支持体の上にキャスティングして溶剤を除去する方法;または、光硬化性樹脂および/または熱硬化性樹脂と、必要により用いられるその他の成分とを含む硬化性組成物を適当な支持体の上にキャスティングして溶媒を除去した後、紫外線照射や加熱などの適切な手法により硬化させる方法が挙げられる。
前記基材が、化合物(A)を含有する樹脂製基板からなる基材である場合には、該基材は、キャスト成形後、支持体から塗膜を剥離することにより得ることができ、また、前記基材が、ガラス支持体やベースとなる樹脂製支持体等の支持体上に化合物(A)を含有するオーバーコート層が積層された基材である場合には、該基材は、キャスト成形後、塗膜を剥離しないことで得ることができる。
前記支持体としては、例えば、ガラス板、スチールベルト、スチールドラムおよび樹脂製支持体(例えば、前記樹脂等からなるフィルム(ポリエステルフィルム、環状オレフィン系樹脂フィルムなど))が挙げられる。
さらに、ガラス板、石英または透明プラスチック製等の光学部品に、前記樹脂組成物をコーティングして溶剤を乾燥させる方法、または、前記硬化性組成物をコーティングして硬化および乾燥させる方法などにより、光学部品上に樹脂層を形成することもできる。
前記方法で得られた樹脂製基板やオーバーコート層中の残留溶剤量は可能な限り少ない方がよい。具体的には、前記残留溶剤量は、樹脂製基板やオーバーコート層の重さに対して、好ましくは3質量%以下、より好ましくは1質量%以下、さらに好ましくは0.5質量%以下である。残留溶剤量が前記範囲にあると、変形や特性が変化しにくい、所望の機能を容易に発揮できる樹脂製基板やオーバーコート層が得られる。
<樹脂層>
本発明の光学フィルターに適用される樹脂層は、近赤外線領域における少なくとも一部の波長に吸収を有し、かつ、下記(x)および(y)の要件を満たすことを特徴とする。
要件(x):波長430〜580nmの領域において、樹脂層の面に対して垂直方向から測定した場合の透過率の平均値が70%以上である。
要件(y):波長750〜1100nmの領域に光線阻止帯Zx、光線透過帯Zyおよび光線阻止帯Zzを有し、それぞれの帯域の中心波長はZx<Zy<Zzであり、樹脂層の面に対して垂直方向から測定した場合、前記Zyの最大透過率が10%以上55%未満である。
より人間の目に見えにくい波長まで長波長の光線を阻止する観点、人間の目に見えにくい波長まで長波長の光線をセンシングする観点から、光線阻止帯Zx、光線透過帯Zyおよび光線阻止帯Zzは、波長780〜1100nmに有することが好ましく、より好ましくは波長800〜1100nmに有する。また、前記Zyの最大透過率は、好ましくは14〜54%、より好ましくは18〜52%、特に好ましくは25〜50%である。前記Zyの最大透過率が前記下限以上である場合、光線透過帯を通過した光を十分な感度で検出することができる。また、前記上限以下である場合、近赤外線の光量が多い光源を撮像した場合においても、青、緑、赤色の画素における、近赤外線に対する感度に相当する差し引く強度を減らすことができ、近赤外線光によるノイズが少なくなる。
本発明の樹脂層は、前記化合物(A)を含有することが好ましく、前記化合物(B)をさらに含有することがより好ましい。
<誘電体多層膜>
本発明の光学フィルターは、誘電体多層膜を有していることが好ましい。該誘電体多層膜は、不要な近赤外線を反射によりカットするとともに必要となる近赤外線を透過させる能力を有する膜であることが好ましい。
該誘電体多層膜は、基材の片面に設けてもよいし、両面に設けてもよい。片面に設ける場合、製造コストや製造容易性に優れ、両面に設ける場合、高い強度を有し、反りの生じにくい光学フィルターを得ることができる。
本発明の光学フィルターを固体撮像装置などの用途に適用する場合、光学フィルターの反りが小さい方が好ましいことから、誘電体多層膜を基材の両面に設けることが好ましく、両面に設けた誘電体多層膜は分光特性が同じでも異なっていてもよい。両面に設けた誘電体多層膜の分光特性が同じ場合では、近赤外波長域における前記波長(域)I以外の波長800〜1200nmの光の透過率を効率よく低減することができ、両面に設けた誘電体多層膜の分光特性が異なる場合では前記波長(域)Iを超える近赤外線遮断領域をより長波長側まで広げることが容易になる傾向がある。
誘電体多層膜としては、高屈折率材料層と低屈折率材料層とを交互に積層した積層体が挙げられる。高屈折率材料層を構成する材料としては、屈折率が1.6超の材料を用いることができ、屈折率が通常は1.9超〜2.5の材料が選択される。このような材料としては、例えば、酸化チタン、酸化ジルコニウム、五酸化タンタル、五酸化ニオブ、酸化ランタン、酸化イットリウム、酸化亜鉛、硫化亜鉛または酸化インジウム等を主成分とし、酸化チタン、酸化錫および/または酸化セリウム等を少量(例えば、主成分に対して0〜10質量%)含有させたものが挙げられる。
低屈折率材料層を構成する材料としては、屈折率が1.9以下の材料を用いることができ、屈折率が通常は1.2〜1.9の材料が選択される。このような材料としては、例えば、シリカ、アルミナ、フッ化ランタン、フッ化マグネシウムおよび六フッ化アルミニウムナトリウム、これらを適当な空隙率で充填したものが挙げられる。
高屈折率材料層と低屈折率材料層とを積層する方法については、これらの材料層を積層した誘電体多層膜が形成される限り特に制限はない。例えば、基材上に、直接、CVD法、スパッタ法、真空蒸着法、イオンアシスト蒸着法またはイオンプレーティング法、ラジカルアシストスパッタ法等により、高屈折率材料層と低屈折率材料層とを交互に積層した誘電体多層膜を形成することができる。
高屈折率材料層および低屈折率材料層の各層の物理膜厚は、それぞれ層の屈折率にもよるが、通常、5〜500nmであることが好ましく、誘電体多層膜の物理膜厚の合計値は光学フィルター全体として1.0〜8.0μmであることが好ましい。
誘電体多層膜における高屈折率材料層と低屈折率材料層との合計の積層数は、光学フィルター全体として16〜120層であることが好ましく、20〜80層であることがより好ましい。各層の厚み、光学フィルター全体としての誘電体多層膜の厚みや合計の積層数が前記範囲にあると、十分な製造マージンを確保できる上に、光学フィルターの反りや誘電体多層膜のクラックを低減することができる。
本発明では、高屈折率材料層および低屈折率材料層を構成する材料種、高屈折率材料層および低屈折率材料層の各層の厚さ、積層の順番、積層数を適切に選択することで、可視域に十分な透過率を確保した上で近赤外波長域に所望の波長の光線阻止帯域や光線透過帯域を有する光学フィルターを得ることができる。
ここで、前記条件を最適化するには、例えば、光学薄膜設計ソフト(例えば、Essential Macleod、Thin Film Center社製)を用い、近赤外波長域において光線の透過を抑制したい波長域の透過率を低くするともに、光線を透過させたい波長域の透過率を高くするようにパラメーターを設定すればよい。例えば、両面に形成された誘電体多層膜によって940nm付近に光線透過帯域を設ける場合、前記ソフトを使用し、一方の誘電体多層膜の波長800〜900nmの光の目標透過率を0%、波長920〜960nmの光の目標透過率を100%とした上で、それぞれの波長域のTarget Toleranceの値を0.5以下などとし、もう一方の誘電体多層膜の波長920〜960nmの光の目標透過率を100%、波長961〜1200nmの光の目標透過率を0%とした上で、それぞれの波長域のTarget Toleranceの値を0.5以下などとするパラメーター設定方法が挙げられる。
誘電体多層膜により近赤外線に遮断域を設ける場合、従来は遮断域の4分の1の光学膜厚の層の積層体を設けていた。しかし従来の遮断域の4分の1の光学膜厚の層の積層体では、該遮断域の3分の1の波長域は反射帯域となる傾向にある。波長800〜1100nmにおいて一部の波長を透過する設計とした場合、該波長領域に透過領域を形成するために、例えば波長950nmに透過帯域を形成する場合、遮断領域は例えば1000〜1350nmになる。その場合1350nmの3分の1の波長に相当する波長450nmの光の透過率が低下し、可視光透過率を高く維持することが困難となる。
これに対し、誘電体多層膜が、該誘電体多層膜を構成する層のうち、厚みが60nm以下である層(のみ)が2層以上連続した積層部分を、好ましくは4個以上、より好ましくは5個以上、いっそう好ましくは6個以上、さらに好ましくは7個以上、特に好ましくは8個以上含むことで、波長430〜580nmの光の透過率を高く、かつ、波長800〜1100nmの範囲の一部に透過域を有しながらもその他の波長800〜1200nmの近赤外線を遮断する誘電体多層膜を容易に得ることができる。
前記積層部分の個数は、製造コストの点から12個以下であることが好ましい。
<遮光膜>
本発明の光学フィルターは、図3に示すように、光を遮断する遮光膜5を有していてもよい。本発明の光学フィルターに含まれる遮光膜は、1か所でも複数個所でもよい。
遮光膜の厚さは、好ましくは1〜10μmであり、遮光膜表面や端面における回折や反射を容易に抑制できる等の点から、より好ましくは1〜5μmである。また、十分な遮断性能を有する膜となる等の点からは、遮光膜の厚さは2μm以上であることが好ましい。
厚みの異なる遮光膜や1枚の遮光膜のうちに厚み変化がある場合、該遮光膜の表面における反射を防止する等の点から、遮光膜の最も厚い部分と最も薄い部分間の高低差が0.1〜2μm程度の凹凸を設けることが好ましい。より好ましくは0.1〜0.25μm程度である。
遮光膜を形成する材料としては特に限定されないが、色素、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、フラーレン、グラフェン、HOPG(高配向性熱分解グラファイト)等の炭素材料、金属および金属酸化物から選ばれる可視光吸収剤を少なくとも1種含む紫外線硬化型または熱硬化型樹脂組成物であることが好ましい。中でも紫外線硬化樹脂組成物は、基材や誘電体多層膜との密着性に優れる等の点からより好ましい。
可視光吸収剤である金属や金属酸化物としては、鉄、銅、クロム、モリブデン、タングステン、ニッケル、チタンを少なくとも1種含む金属または該金属の酸化物が好ましく、特に、低級金属酸化物または金属亜酸化物が遮光性に優れる等の点から好ましい。
遮光膜中の可視光吸収剤の含有量は、質量換算にて、少なくとも1ppm以上であり、好ましくは50%以下である。
波長300〜1200nmにおける遮光膜の光学濃度(OD値)は、特に制限されないが、迷光を除く効果、またはフレネルゾーンプレート形成の等の点から、1以上、好ましくは2以上、より好ましくは3以上である。
<その他の機能膜>
本発明の光学フィルターは、図3に示すように、本発明の効果を損なわない範囲において、基材2と誘電体多層膜3との間、基材2の誘電体多層膜3が設けられた面と反対側の面、または誘電体多層膜3の基材2が設けられた面と反対側の面に、基材2や誘電体多層膜3の表面硬度の向上、耐薬品性の向上、帯電防止および傷消しなどの目的で、反射防止膜、ハードコート膜や帯電防止膜などの機能膜4を適宜設けることができる。
本発明の光学フィルターは、前記機能膜からなる層を1層含んでもよく、2層以上含んでもよい。本発明の光学フィルターが前記機能膜からなる層を2層以上含む場合には、同様の層を2層以上含んでもよいし、異なる層を2層以上含んでもよい。
機能膜を積層する方法としては、特に制限されないが、例えば、反射防止剤、ハードコート剤および/または帯電防止剤等のコーティング剤などを基材または誘電体多層膜に、前記と同様に溶融成形またはキャスト成形する方法が挙げられる。
また、前記コーティング剤などを含む硬化性組成物をバーコーター等で基材または誘電体多層膜上に塗布した後、紫外線照射等により硬化することによっても製造することができる。
前記コーティング剤としては、紫外線(UV)/電子線(EB)硬化型樹脂や熱硬化型樹脂などが挙げられ、具体的には、ビニル化合物類や、ウレタン系、ウレタンアクリレート系、アクリレート系、エポキシ系およびエポキシアクリレート系樹脂などが挙げられる。これらのコーティング剤を含む前記硬化性組成物としては、ビニル系、ウレタン系、ウレタンアクリレート系、アクリレート系、エポキシ系およびエポキシアクリレート系硬化性組成物などが挙げられる。
また、前記硬化性組成物は、重合開始剤を含んでいてもよい。該重合開始剤としては、公知の光重合開始剤や熱重合開始剤を用いることができ、光重合開始剤と熱重合開始剤を併用してもよい。重合開始剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
前記硬化性組成物中、重合開始剤の配合割合は、硬化性組成物の全量を100質量%とした場合、好ましくは0.1〜10質量%、より好ましくは0.5〜10質量%、さらに好ましくは1〜5質量%である。
重合開始剤の配合割合が前記範囲にあると、硬化性組成物の硬化特性および取り扱い性に優れ、所望の硬度を有する反射防止膜、ハードコート膜や帯電防止膜などの機能膜を容易に得ることができる。
前記硬化性組成物には溶剤として有機溶剤を加えてもよく、有機溶剤としては、公知の溶剤を使用することができる。有機溶剤の具体例としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、オクタノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、γ−ブチロラクトン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のエステル類;エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等のエーテル類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド類が挙げられる。これら溶剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記機能膜の厚さは、好ましくは0.1〜20μm、より好ましくは0.5〜10μm、特に好ましくは0.7〜5μmである。
基材と機能膜および/または誘電体多層膜との密着性や、機能膜と誘電体多層膜との密着性を上げる目的で、基材、機能膜または誘電体多層膜の表面にコロナ処理やプラズマ処理等の表面処理をしてもよい。
[光学フィルターの用途]
本発明の光学フィルターは、視野角が広く、可視光と一部の近赤外線を選択的に透過させることができる。したがって、カメラ機能と近赤外センシング機能を併せ持つCCDやCMOSイメージセンサーなどの固体撮像素子の視感度補正用として有用である。特に、デジタルスチルカメラ、スマートフォン用カメラ、携帯電話用カメラ、デジタルビデオカメラ、ウェアラブルデバイス用カメラ、PCカメラ、監視カメラ、自動車用カメラ、ドローン用カメラ、ロボット用カメラ、暗視カメラ、モーションキャプチャー、レーザー距離計、ナンバープレート認識装置、テレビ、カーナビゲーション、携帯情報端末、パソコン、ビデオゲーム機、携帯ゲーム機、デジタルミュージックプレーヤー、顔認証装置、静脈認証装置、虹彩認証装置、指紋認証装置、体温検出装置、空間物体検出装置、拡張現実表示装置、仮想現実表示装置等に有用である。
<固体撮像装置>
本発明に係る固体撮像装置は、本発明の光学フィルターを具備する。ここで、固体撮像装置とは、カメラ機能と近赤外センシング機能を併せ持つCCDやCMOSイメージセンサー等といった固体撮像素子を備えたイメージセンサーであることが好ましく、具体的にはデジタルスチルカメラ、スマートフォン用カメラ、携帯電話用カメラ、ウェアラブルデバイス用カメラ、自動車用カメラ、ドローン用カメラ、ロボット用カメラ、デジタルビデオカメラ等のカメラモジュール、生体認証装置等が挙げられる。
固体撮像装置、カメラモジュール、生体認証装置の例を図4に示す。センシングの為近赤外線の光源102、センサー112、レンズユニット121を備え、光学フィルター1はセンサー112全面に具備させる。光源、センサー、レンズユニットは装置に対して一つでも複数でもよい。
光源やレンズユニットが有するレンズは、いわゆる屈折率1.1以上の曲率を形成した構造物でも、回折光学素子でもよい。薄さの観点や複数個所へ光源を拡散させるなどの光学制御の観点から、固体撮像装置、カメラモジュール、生体認証装置が有するレンズユニットは回折光学素子を有することがより好ましい。回折光学素子としては、例えば、シリコン、チタニア、ゲルマニウム、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、金、銀、銅、アルミニウムが用いられ、メタレンズも含まれる。可視光透過率の観点から回折光学素子を構成する材料としては、好ましくはシリコン、チタニア、酸化アルミニウム、酸化ケイ素を含む材料が挙げられる。
前記固体撮像装置における光学フィルターの具備位置の例を、図1に示す。配置位置については特に限定されないが、光学フィルター1をレンズユニット32の後方、前方どちらに具備してもよい。光学フィルターが遮光膜を有し、遮光膜がモザイクマスクやフレネルゾーンプレート等のレンズ効果を有する場合や、センサー検出位置を走査する場合など別の機構で撮像画像が得られる場合はレンズユニットを有さなくてもよい。
前記固体撮像装置におけるセンサー部分の例を図6に示す。構成要素については特に限定されないが、センサーは、青画素、緑画素、赤画素の三色の画素に加え、近赤外線画素を有してもよい。センサーは青画素、緑画素、赤画素の三色の画素で形成する領域と、近赤外線画素で形成する領域二つ有してもよい。センシングを行う一部の近赤外線透過帯が適切な透過率を有する本発明の光学フィルターを用いる場合であって、近赤外線画素を有するセンサーに用いると、人間の眼に見えない光を用いた検出が可能となる。
受光素子としては、例えばフォトダイオードを用いることができ、フォトダイオードとしては、シリコンフォトダイオード、ブラックシリコンが好ましい。
絶縁層表面はフォトダイオードの感度向上等の点から、円錐、三角錐型、四角錐型などの反射防止構造を有することが好ましい。
以下、実施例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に何ら限定されない。なお、下記「部」は、特に断りのない限り「質量部」を意味する。また、各種物性の測定方法および評価方法は以下のとおりである。
<分子量>
下記樹脂の分子量は、各樹脂の溶剤への溶解性等を考慮し、下記の(a)または(b)の方法にて測定を行った。
(a)ウォターズ(WATERS)社製のゲルパーミエ−ションクロマトグラフィー(GPC)装置(150C型、カラム:東ソー(株)製Hタイプカラム、展開溶剤:o−ジクロロベンゼン)を用い、標準ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)を測定した。
(b)東ソー(株)製GPC装置(HLC−8220型、カラム:TSKgelα−M、展開溶剤:テトラヒドロフラン)を用い、標準ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)を測定した。
<ガラス転移温度(Tg)>
エスアイアイ・ナノテクノロジーズ(株)製の示差走査熱量計(DSC6200)を用いて、昇温速度:毎分20℃、窒素気流下で測定した。
<分光透過率>
光学フィルターの各波長領域における透過率は、(株)日立ハイテクノロジーズ製の分光光度計(U−4100)を用いて測定した。
ここで、基材および光学フィルターの面に対して垂直方向から入射した(0度入射)光の透過率は、図5(A)のように基材またはフィルターの面に対して垂直に透過した光を測定した。また、光学フィルターの面に対して垂直方向から30度の角度で入射した(30度入射)光の透過率は、図5(B)のようにフィルターの垂直方向に対して30度の角度で透過した光を測定した。
<分光反射率>
光学フィルターの各波長領域における反射率は、(株)日立ハイテクノロジーズ製の分光光度計(U−4100)を用いて測定した。光学フィルターのセンサー側に設置する面に対して垂直方向から5度または30度の角度で入射した(5度入射または30度入射)光の反射率は、図5(C)のようにフィルターの垂直方向に対して5度または30度の角度で反射した光を測定した。
<S/N感度評価>
0度入射時のS/N感度評価は光学フィルターの垂直方向から0度入射時の波長別透過率T0(λ)、ハロゲンランプ光線の波長別強度I(λ)、センサー画素において、青画素の波長別感度B(λ)、緑画素の波長別感度G(λ)、赤画素の波長別感度R(λ)、近赤外画素の波長別感度IR(λ)、から以下の式より算出した。
シグナル強度Sは波長380nm〜780nmを1nm毎の光学フィルターの波長別透過率、ハロゲンランプ光源の波長別強度、センサー画素感度の積の計算値の総和とした。
ノイズ強度Nは波長781nm〜1050nmを1nm毎の光学フィルターの波長別透過率、ハロゲンランプ光源の波長別強度、センサー画素感度の積の計算値の総和とした。
近赤外画素のシグナル強度Sは波長781nm〜1050nmを1nm毎の光学フィルターの波長別透過率、ハロゲンランプ光源の波長別強度、センサー画素感度の積の計算値の総和とした。
近赤外画素のノイズ強度Nは波長380nm〜780nmを1nm毎の光学フィルターの波長別透過率、ハロゲンランプ光源の波長別強度、センサー画素感度の積の計算値の総和とした。
これらSとNの計算値を用いて、S/N感度は、シグナル強度Sからノイズ強度Nを差し引いた値をノイズ強度で除することで算出した。
30度入射時のS/N感度評価は光学フィルターの垂直方向から30度入射時の波長別透過率T30(λ)、ハロゲンランプ光線の波長別強度I(λ)、センサー画素において、青画素の波長別感度B(λ)、緑画素の波長別感度G(λ)、赤画素の波長別感度R(λ)、近赤外画素の波長別感度IR(λ)、から以下の式より算出した。
青、緑、赤画素のシグナル強度Sは波長380nm〜780nmを1nm毎の光学フィルターの波長別透過率、ハロゲンランプ光源の波長別強度、センサー画素感度の積の計算値の総和とした。
青、緑、赤画素のノイズ強度Nは波長781nm〜1050nmを1nm毎の光学フィルターの波長別透過率、ハロゲンランプ光源の波長別強度、センサー画素感度の積の計算値の総和とした。
近赤外画素のシグナル強度Sは波長781nm〜1050nmを1nm毎の光学フィルターの波長別透過率、ハロゲンランプ光源の波長別強度、センサー画素感度の積の計算値の総和とした。
近赤外画素のノイズ強度Nは波長380nm〜780nmを1nm毎の光学フィルターの波長別透過率、ハロゲンランプ光源の波長別強度、センサー画素感度の積の計算値の総和とした。
これらSとNの計算値を用いて、S/N感度は、シグナル強度Sからノイズ強度Nを差し引いた値をノイズ強度で除することで算出した。
ハロゲンランプの波長別強度I(λ)は図9に示す通り、林時計工業(株)製ルミナーエースLA−150TXとライトガイドQLGC1−8L1000−R18の波長別強度を用いた。
青、緑、赤、近赤外の各センサー画素の波長別感度は、特開2017−216678号公報の記載に基づき、図8に示す値を用いた。
<ゴースト強度評価>
ゴースト強度は、光学フィルターの垂直方向から0度入射時の波長別透過率T0(λ)、光学フィルターのセンサー面側から垂直方向から30度入射時の波長別反射率R30(λ)、ハロゲンランプ光線の波長別強度I(λ)、センサー画素において、青画素の波長別感度B(λ)、緑画素の波長別感度G(λ)、赤画素の波長別感度R(λ)、近赤外画素の波長別感度IR(λ)、から波長380nm〜1050nmまで1nm毎の積の総和として、以下の式より算出した。
ハロゲンランプの波長別強度I(λ)は図9に示す通り、林時計工業(株)製ルミナーエースLA−150TXとライトガイドQLGC1−8L1000−R18の波長別強度を用いた。
青、緑、赤、近赤外の各センサー画素の波長別感度は、特開2017−216678号公報の記載に基づき、図8に示す値を用いた。
[合成例]
下記実施例で用いた化合物(A)、化合物(B)および化合物(X)は、一般的に知られている方法で合成することができ、例えば、特許第3366697号公報、特許第2846091号公報、特許第2864475号公報、特許第3094037号公報、特許第3703869号公報、特開昭60−228448号公報、特開平1−146846号公報、特開平1−228960号公報、特許第4081149号公報、特開昭63−124054号公報、「フタロシアニン −化学と機能−」(アイピーシー、1997年)、特開2007−169315号公報、特開2009−108267号公報、特開2010−241873号公報、特許第3699464号公報、特許第4740631号公報などに記載されている方法を参照して合成することができる。
<樹脂合成例1>
下記式(a)で表される8−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン100部、1−ヘキセン(分子量調節剤)18部およびトルエン(開環重合反応用溶媒)300部を、窒素置換した反応容器に仕込み、この溶液を80℃に加熱した。次いで、反応容器内の溶液に、重合触媒として、トリエチルアルミニウムのトルエン溶液(濃度0.6mol/リットル)0.2部と、メタノール変性の六塩化タングステンのトルエン溶液(濃度0.025mol/リットル)0.9部とを添加し、得られた溶液を80℃で3時間加熱攪拌することにより開環重合反応させて開環重合体溶液を得た。この重合反応における重合転化率は97%であった。
このようにして得られた開環重合体溶液1,000部をオートクレーブに仕込み、この開環重合体溶液に、RuHCl(CO)[P(C6533を0.12部添加し、水素ガス圧100kg/cm2、反応温度165℃の条件下で、3時間加熱撹拌して水素添加反応を行った。得られた反応溶液(水素添加重合体溶液)を冷却した後、水素ガスを放圧した。この反応溶液を大量のメタノール中に注いで凝固物を分離回収し、これを乾燥して、水素添加重合体(以下「樹脂A」ともいう。)を得た。得られた樹脂Aは、数平均分子量(Mn)が32,000、重量平均分子量(Mw)が137,000であり、ガラス転移温度(Tg)が165℃であった。
[実施例1]
容器に、合成例1で得られた樹脂A 100部、化合物(A)として化合物(z−35)0.05部、化合物(B)として化合物(z−75)0.06部、化合物(z−11)0.04部および塩化メチレンを加えて樹脂濃度が20質量%の溶液を得た。次いで、得られた溶液を平滑なガラス板上にキャストし、20℃で8時間乾燥した後、ガラス板から剥離した。剥離した塗膜をさらに減圧下100℃で8時間乾燥することで、厚さ0.1mm、縦60mm、横60mmの樹脂製基板からなる基材を得た。ここでは、樹脂製基板からなる基材が樹脂層である。得られた樹脂層の面に対して垂直方向(0度)の角度で入射した光の分光透過率を測定し、各波長領域における光学特性を評価した。得られた各評価数値を表8−2に示す。
続いて、得られた基材の片面に表7−1に記載の誘電体多層膜(I)を形成し、基材のもう一方の面に表7−1に記載の誘電体多層膜(II)を形成し、厚さ約0.105mmの光学フィルター1を得た。
誘電体多層膜(I)は、蒸着温度120℃で、シリカ(SiO2)層とチタニア(TiO2)層とが交互に積層された積層体である。誘電体多層膜(II)は、蒸着温度120℃で、シリカ層とチタニア層とが交互に積層された積層体である。誘電体多層膜(I)および(II)のいずれにおいても、シリカ層およびチタニア層は、基材側からチタニア層、シリカ層、チタニア層、・・・シリカ層、チタニア層、シリカ層の順で交互に積層されており、光学フィルターの最外層をシリカ層とした。
この光学フィルター1の面に対して垂直方向(0度)および垂直方向から30度の角度で入射した光の分光透過率、誘電体多層膜(II)の面側から5度または30度の角度で入射した光の分光反射率を測定し、各波長領域における光学特性を評価した。また、得られた光学特性およびハロゲンランプ光源の波長別強度およびセンサー感度よりS/N感度評価、ゴースト強度評価を行った。波長別透過率評価結果を図10−1(a)、波長別反射率評価結果を図10−1(b)、0度入射時の波長別の各画素の感度を図10−2(c)、30度入射時の波長別各画素の感度を図10−2(d)に、波長別ゴースト強度を図11、各評価数値を表8−1および表9に示す。
光学フィルター1は、0度入射時の青色画素、緑色画素、赤色画素いずれも1以上であり高いS/N感度を有していた。また、30度入射時の青色画素、緑色画素、赤色画素いずれも1以上であり高いS/N感度を有していた。また、ゴースト強度は、青色画素、緑色画素、赤色画素、近赤外画素いずれも1.0以下であり、ゴーストが発生しにくい光学フィルターであった。
[実施例2]
実施例1における化合物(z−35)0.05部、化合物(z−75)0.06部、化合物(z−11)0.04部の代わりに、化合物(A)として化合物(z−27)0.04部、化合物(z−35)0.01部、化合物(s−24)0.03部を用いた他は同様の手順にて、厚さ0.1mm、縦60mm、横60mmの樹脂製基板からなる基材を得た。ここでは、樹脂製基板からなる基材が樹脂層である。得られた樹脂層の面に対して垂直方向(0度)の角度で入射した光の分光透過率を測定し、各波長領域における光学特性を評価した。得られた各評価数値を表8−2に示す。
続いて、得られた基材の片面に誘電体多層膜(I)の代わりに表7−1に記載の誘電体多層膜(III)、基材のもう一方の面に誘電体多層膜(II)の代わりに表7−1に記載の誘電体多層膜(IV)を形成した他は同様の手順にて、厚さ約0.105mmの光学フィルター2を得た。
この光学フィルター2の面方向に対して垂直方向(0度)および垂直方向から30度の角度で入射した光の分光透過率、誘電体多層膜(III)の面側から5度または30度の角度で入射した光の分光反射率を測定し、各波長領域における光学特性を評価した。また、得られた光学特性およびハロゲンランプ光源の波長別強度およびセンサー感度よりS/N感度評価、ゴースト強度評価を行った。結果を表8−1および9に示す。
光学フィルター2は、0度入射時の青色画素、緑色画素、赤色画素いずれも1以上であり高いS/N感度を有していた。また、30度入射時の青色画素、緑色画素、赤色画素いずれも1以上であり高いS/N感度を有していた。また、ゴースト強度は、青色画素、緑色画素、赤色画素、近赤外画素いずれも1.0以下であり、ゴーストが発生しにくい光学フィルターであった。
[実施例3]
実施例1における化合物(z−35)0.05部、化合物(z−75)0.06部、化合物(z−11)0.04部の代わりに、化合物(A)として化合物(z−45)0.05部、化合物(B)として化合物(z−97)0.06部を用いた他は同様の手順にて、厚さ0.1mm、縦60mm、横60mmの樹脂製基板からなる基材を得た。ここでは、樹脂製基板からなる基材が樹脂層である。得られた樹脂層の面に対して垂直方向(0度)の角度で入射した光の分光透過率を測定し、各波長領域における光学特性を評価した。得られた各評価数値を表8−2に示す。
続いて、得られた基材の片面に誘電体多層膜(I)の代わりに表7−1に記載の誘電体多層膜(V)、基材のもう一方の面に誘電体多層膜(II)の代わりに表7−1に記載の誘電体多層膜(V)を形成した他は同様の手順にて、厚さ約0.105mmの光学フィルター3を得た。
この光学フィルター3の面方向に対して垂直方向(0度)および垂直方向から30度の角度で入射した光の分光透過率、誘電体多層膜(V)の面側から5度または30度の角度で入射した光の分光反射率を測定し、各波長領域における光学特性を評価した。また、得られた光学特性およびハロゲンランプ光源の波長別強度およびセンサー感度よりS/N感度評価、ゴースト強度評価を行った。結果を表8−1および9に示す。
光学フィルター3は、0度入射時の青色画素、緑色画素、赤色画素いずれも1以上であり高いS/N感度を有していた。また、30度入射時の青色画素、緑色画素、赤色画素いずれも1以上であり高いS/N感度を有していた。また、ゴースト強度は、青色画素、緑色画素、赤色画素、近赤外画素いずれも1.0以下であり、ゴーストが発生しにくい光学フィルターであった。
[実施例4]
ガラス板(SCHOTT社製、BK7、厚み0.05mm)に、下記樹脂組成物(1)をスピンコートで塗布した後、ホットプレート上80℃で2分間加熱し、溶剤を揮発除去することで硬化層を形成した。この際、該硬化層の膜厚が0.8μm程度となるようにスピンコーターの塗布条件を調整した。
樹脂組成物(1):イソシアヌル酸エチレンオキサイド変性トリアクリレート(商品名:アロニックスM−315、東亜合成化学(株)製)30部、1,9−ノナンジオールジアクリレート20部、メタクリル酸20部、メタクリル酸グリシジル30部、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン5部、1−ヒドロキシシクロヘキシルベンゾフェノン(商品名:IRGACURE184、チバ・スペシャリティ・ケミカル(株)製)5部およびサンエイドSI−110主剤(三新化学工業(株)製)1部を混合し、固形分濃度が50質量%になるようにプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートに溶解した後、孔径0.2μmのミリポアフィルタでろ過した溶液
次に、容器に、合成例1で得られた樹脂A 100部、化合物(A)として化合物(z−7)0.4部、化合物(s−22)0.2部、化合物(B)として化合物(s−46)1.6部および塩化メチレンを加えて樹脂濃度が20質量%の溶液(A)を得た。前記硬化層の片面上に、バーコーター((株)安田精機製作所製、オートマチックフィルムアプリケーター、型番542−AB)を用い、コーターバーにより乾燥後の膜厚が10μmとなるように溶液(A)を塗布し、ホットプレート上80℃で5分間加熱し、溶剤を揮発除去することで、樹脂層を形成した。次いで、ガラス板側からUVコンベア式露光機を用いて露光(露光量:500mJ/cm2、照度:200mW)し、その後オーブン中210℃で5分間焼成し、ガラス基板と硬化層および樹脂層を有する基材を得た。得られた樹脂層の面に対して垂直方向(0度)の角度で入射した光の分光透過率を測定し、各波長領域における光学特性を評価した。得られた各評価数値を表8−2に示す。
続いて、得られた基材の片面に誘電体多層膜(I)の代わりに表7−1に記載の誘電体多層膜(V)、基材のもう一方の面に誘電体多層膜(II)の代わりに表7−1に記載の誘電体多層膜(V)を形成した他は実施例1と同様の手順にて、厚さ約0.064mmの光学フィルター4を得た。
この光学フィルター4の面方向に対して垂直方向(0度)および垂直方向から30度の角度で入射した光の分光透過率、誘電体多層膜(V)の面側から5度または30度の角度で入射した光の分光反射率を測定し、各波長領域における光学特性を評価した。また、得られた光学特性およびハロゲンランプ光源の波長別強度およびセンサー感度よりS/N感度評価、ゴースト強度評価を行った。結果を図10−1、10−2および表8−1および9に示す。
光学フィルター4は、0度入射時の青色画素、緑色画素、赤色画素いずれも1以上であり高いS/N感度を有していた。また、30度入射時の青色画素、緑色画素、赤色画素いずれも1以上であり高いS/N感度を有していた。また、ゴースト強度は、青色画素、緑色画素、赤色画素、近赤外画素いずれも1.0以下であり、ゴーストが発生しにくい光学フィルターであった。
[実施例5]
実施例1における化合物(z−35)0.05部、化合物(z−75)0.06部、化合物(z−11)0.04部の代わりに、化合物(A)として化合物(z−27)0.03部、前記式(H1)におけるRH1〜RH4がtert−ブチル基、RH5〜RH8がブロモ基である化合物(h−1)を0.14部、化合物(B)として化合物(z−75)0.03部、化合物(v−40)0.07部を用いた他は同様の手順にて、厚さ0.1mm、縦60mm、横60mmの樹脂製基板からなる基材を得た。ここでは、樹脂製基板からなる基材が樹脂層である。得られた樹脂層の面に対して垂直方向(0度)の角度で入射した光の分光透過率を測定し、各波長領域における光学特性を評価した。得られた各評価数値を表8−2に示す。
続いて、得られた基材の片面に誘電体多層膜(I)の代わりに表7−1に記載の誘電体多層膜(III)、基材のもう一方の面に誘電体多層膜(II)の代わりに表7−2に記載の誘電体多層膜(VI)を形成した他は同様の手順にて、厚さ約0.105mmの光学フィルター5を得た。
この光学フィルター5の面方向に対して垂直方向(0度)および垂直方向から30度の角度で入射した光の分光透過率、誘電体多層膜(VI)の面側から5度または30度の角度で入射した光の分光反射率を測定し、各波長領域における光学特性を評価した。また、得られた光学特性およびハロゲンランプ光源の波長別強度およびセンサー感度よりS/N感度評価、ゴースト強度評価を行った。結果を表8−1および9に示す。
光学フィルター5は、0度入射時の青色画素、緑色画素、赤色画素いずれも1以上であり高いS/N感度を有していた。また、30度入射時の青色画素、緑色画素、赤色画素いずれも1以上であり高いS/N感度を有していた。また、ゴースト強度は、青色画素、緑色画素、赤色画素、近赤外画素いずれも1.0以下であり、ゴーストが発生しにくい光学フィルターであった。
[実施例6]
実施例1における化合物(z−35)0.05部、化合物(z−75)0.06部、化合物(z−11)0.04部の代わりに、化合物(A)として化合物(s−22)0.08部、化合物(B)として化合物(z−75)0.03部、化合物(z−97)0.08部、化合物(X)として化合物(x−1)(オリヱント化学工業(株)製「BONASORB−UA3911」)0.075部を用いた他は同様の手順にて、厚さ0.1mm、縦60mm、横60mmの樹脂製基板からなる基材を得た。ここでは、樹脂製基板からなる基材が樹脂層である。得られた樹脂層の面に対して垂直方向(0度)の角度で入射した光の分光透過率を測定し、各波長領域における光学特性を評価した。得られた各評価数値を表8−2に示す。
続いて、得られた基材の片面に誘電体多層膜(I)の代わりに表7−2に記載の誘電体多層膜(VII)、基材のもう一方の面に誘電体多層膜(II)の代わりに表7−2に記載の誘電体多層膜(VII)を形成した他は同様の手順にて、厚さ約0.105mmの光学フィルター6を得た。
この光学フィルター6の面方向に対して垂直方向(0度)および垂直方向から30度の角度で入射した光の分光透過率、誘電体多層膜(VII)の面側から5度または30度の角度で入射した光の分光反射率を測定し、各波長領域における光学特性を評価した。また、得られた光学特性およびハロゲンランプ光源の波長別強度およびセンサー感度よりS/N感度評価、ゴースト強度評価を行った。結果を表8−1および9に示す。
光学フィルター6は、0度入射時の青色画素、緑色画素、赤色画素いずれも1以上であり高いS/N感度を有していた。また、30度入射時の青色画素、緑色画素、赤色画素いずれも1以上であり高いS/N感度を有していた。また、ゴースト強度は、青色画素、緑色画素、赤色画素、近赤外画素いずれも1.0以下であり、ゴーストが発生しにくい光学フィルターであった。
[実施例7]
実施例1における化合物(z−35)0.05部、化合物(z−75)0.06部、化合物(z−11)0.04部の代わりに、化合物(A)として化合物(z−27)0.03部、化合物(B)として化合物(z−74)0.03部、化合物(s−46)0.04部、化合物(X)として化合物(x−1)0.075部を用いた他は同様の手順にて、厚さ0.1mm、縦60mm、横60mmの樹脂製基板からなる基材を得た。ここでは、樹脂製基板からなる基材が樹脂層である。得られた樹脂層の面に対して垂直方向(0度)の角度で入射した光の分光透過率を測定し、各波長領域における光学特性を評価した。得られた各評価数値を表8−2に示す。
続いて、得られた基材の片面に誘電体多層膜(I)、基材のもう一方の面に誘電体多層膜(II)の代わりに表7−2に記載の誘電体多層膜(VIII)を形成した他は同様の手順にて、厚さ約0.105mmの光学フィルター7を得た。
この光学フィルター7の面方向に対して垂直方向(0度)および垂直方向から30度の角度で入射した光の分光透過率、誘電体多層膜(VIII)の面側から5度または30度の角度で入射した光の分光反射率を測定し、各波長領域における光学特性を評価した。また、得られた光学特性およびハロゲンランプ光源の波長別強度およびセンサー感度よりS/N感度評価、ゴースト強度評価を行った。結果を表8−1および9に示す。
光学フィルター7は、0度入射時の青色画素、緑色画素、赤色画素いずれも1以上であり高いS/N感度を有していた。また、30度入射時の青色画素、緑色画素、赤色画素いずれも1以上であり高いS/N感度を有していた。また、ゴースト強度は、青色画素、緑色画素、赤色画素、近赤外画素いずれも1.0以下であり、ゴーストが発生しにくい光学フィルターであった。
[実施例8]
実施例1における化合物(z−35)0.05部、化合物(z−75)0.06部、化合物(z−11)0.04部の代わりに、化合物(A)として化合物(z−27)0.03部、化合物(s−22)0.04部、化合物(B)として化合物(z−74)0.03部、化合物(v−3)0.035部、化合物(z−11)0.04部、化合物(X)として化合物(x−1)0.075部を用いた他は同様の手順にて、厚さ0.1mm、縦60mm、横60mmの樹脂製基板からなる基材を得た。ここでは、樹脂製基板からなる基材が樹脂層である。得られた樹脂層の面に対して垂直方向(0度)の角度で入射した光の分光透過率を測定し、各波長領域における光学特性を評価した。得られた各評価数値を表8−2に示す。
続いて、得られた基材の片面に誘電体多層膜(I)、基材のもう一方の面に誘電体多層膜(II)の代わりに表7−2に記載の誘電体多層膜(VIII)を形成した他は同様の手順にて、厚さ約0.105mmの光学フィルターを得た。
この光学フィルターの面方向に対して垂直方向(0度)および垂直方向から30度の角度で入射した光の分光透過率、誘電体多層膜(VIII)の面側から5度または30度の角度で入射した光の分光反射率を測定し、各波長領域における光学特性を評価した。また、得られた光学特性およびハロゲンランプ光源の波長別強度およびセンサー感度よりS/N感度評価、ゴースト強度評価を行った。結果を表8−1および9に示す。
光学フィルターは、0度入射時の青色画素、緑色画素、赤色画素いずれも1以上であり高いS/N感度を有していた。また、30度入射時の青色画素、緑色画素、赤色画素いずれも1以上であり高いS/N感度を有していた。また、ゴースト強度は、青色画素、緑色画素、赤色画素、近赤外画素いずれも1.0以下であり、ゴーストが発生しにくい光学フィルターであった。
[比較例1]
ガラス板(SCHOTT社製、BK7、厚み0.05mm)に、片面に表7−2に記載の誘電体多層膜(IX)を形成し、基材のもう一方の面に表7−2に記載の誘電体多層膜(X)を形成し、厚さ約0.054mmの光学フィルター9を得た。
誘電体多層膜(IX)は、蒸着温度120℃で、シリカ(SiO2)層とチタニア(TiO2)層とが交互に積層された積層体である。誘電体多層膜(X)は、蒸着温度120℃で、シリカ層とチタニア層とが交互に積層された積層体である。誘電体多層膜(IX)および(X)のいずれにおいても、シリカ層およびチタニア層は、基材側からチタニア層、シリカ層、チタニア層、・・・シリカ層、チタニア層、シリカ層の順で交互に積層されており、光学フィルターの最外層をシリカ層とした。
この光学フィルター9の面方向に対して垂直方向(0度)および垂直方向から30度の角度で入射した光の分光透過率、誘電体多層膜(II)の面側から5度または30度の角度で入射した光の分光反射率を測定し、各波長領域における光学特性を評価した。また、得られた光学特性およびハロゲンランプ光源の波長別強度およびセンサー感度よりS/N感度評価、ゴースト強度評価を行った。波長別透過率評価結果を図11、波長別反射率評価結果を図12(b)、0度入射時の波長別の各画素の感度を図12(c)、30度入射時の波長別各画素の感度を図12(d)に、波長別ゴースト強度を図13、各評価数値を表8および9に示す。
光学フィルター9は、0度入射時の青色画素、緑色画素、赤色画素いずれも1以上ではなく、S/N感度が不十分であった。また、30度入射時の青色画素、緑色画素、赤色画素いずれも1以上ではなく、S/N感度が不十分であった。また、ゴースト強度は、青色画素、緑色画素、赤色画素、近赤外画素いずれも1.0以上であり、ゴーストが発生する光学フィルターであった。
[比較例2]
実施例1における化合物(z−35)0.05部、化合物(z−75)0.06部、化合物(z−11)0.04部の代わりに、化合物(A)を使用せず、化合物(B)として、化合物(z−74)0.03部、化合物(v−3)0.035部、化合物(z−11)0.04部を用いた他は同様の手順にて、厚さ0.1mm、縦60mm、横60mmの樹脂製基板からなる基材を得た。
続いて、得られた基材の片面に誘電体多層膜(I)、基材のもう一方の面に誘電体多層膜(II)の代わりに表7−2に記載の誘電体多層膜(VIII)を形成した他は同様の手順にて、厚さ約0.105mmの光学フィルター10を得た。
この光学フィルター10の面方向に対して垂直方向(0度)および垂直方向から30度の角度で入射した光の分光透過率、誘電体多層膜(VIII)の面側から5度または30度の角度で入射した光の分光反射率を測定し、各波長領域における光学特性を評価した。また、得られた光学特性およびハロゲンランプ光源の波長別強度およびセンサー感度よりS/N感度評価、ゴースト強度評価を行った。結果を表8および9に示す。
光学フィルター10は、0度入射時の青色画素、緑色画素、赤色画素いずれも1以上ではなく、S/N感度が不十分であった。また、30度入射時の青色画素、緑色画素、赤色画素いずれも1以上ではなく、S/N感度が不十分であった。また、ゴースト強度は、青色画素、緑色画素、赤色画素、近赤外画素いずれも1.0以上であり、ゴーストが発生する光学フィルターであった。
上記実施例および比較例で用いた化合物(A)、(B)および(X)として用いた各化合物の吸収極大波長は以下のとおりである。
<化合物(A)>
・化合物(z−7): ジクロロメタン中での吸収極大波長885nm
・化合物(z−27):ジクロロメタン中での吸収極大波長868nm
・化合物(z−35):ジクロロメタン中での吸収極大波長882nm
・化合物(z−45):ジクロロメタン中での吸収極大波長886nm
・化合物(s−22):ジクロロメタン中での吸収極大波長912nm
・化合物(s−24):ジクロロメタン中での吸収極大波長986nm
・化合物(h−1):ジクロロメタン中での吸収極大波長1000nm
<化合物(B)>
・化合物(z−11):ジクロロメタン中での吸収極大波長776nm
・化合物(z−74):ジクロロメタン中での吸収極大波長698nm
・化合物(z−75):ジクロロメタン中での吸収極大波長704nm
・化合物(z−97):ジクロロメタン中での吸収極大波長765nm
・化合物(s−46):ジクロロメタン中での吸収極大波長770nm
・化合物(v−3): ジクロロメタン中での吸収極大波長732nm
・化合物(v−40):ジクロロメタン中での吸収極大波長739nm
<化合物(X)>
・化合物(x−1): ジクロロメタン中での吸収極大波長391nm
1・・・光学フィルター
2,2'・・・基材
3,3'・・・誘電体多層膜
4,4'・・・機能膜
5・・・遮光膜
6,6'・・・光
7・・・分光光度計
24・・・イメージセンサー
25・・・イメージセンサーフレーム
26・・・フレーム
31・・・筐体
32・・・レンズ
41・・・センサー外に発生するゴースト
42・・・センサー内に発生するゴースト
101・・・光源ユニット
102・・・光源
103・・・レンズまたは回折光学素子または光源走査ユニット
111・・・センサーユニット
112・・・センサー
121・・・レンズユニット
122・・・レンズまたは回折光学素子
201・・・マイクロレンズ
202・・・平坦層
203a・・・カラーフィルター(青)
203b・・・カラーフィルター(緑)
203c・・・カラーフィルター(赤)
203d・・・カラーフィルター(赤外)
204a・・・フォトダイオード(青)
204b・・・フォトダイオード(緑)
204c・・・フォトダイオード(赤)
204d・・・フォトダイオード(赤外)
205・・・絶縁層
206・・・基板

Claims (22)

  1. 近赤外線領域における少なくとも一部の波長に吸収を有する樹脂層と、誘電体多層膜とを有し、かつ、下記要件(a)および(b)を満たすことを特徴とする光学フィルター:(a)波長430〜580nmの領域において、光学フィルターの面に対して垂直方向から測定した場合の透過率の平均値が65%以上である;
    (b)波長700〜1100nmの領域に光線阻止帯Za、光線透過帯Zbおよび光線阻止帯Zcを有し、それぞれの帯域の中心波長はZa<Zb<Zcであり、光学フィルターの面に対して垂直方向から測定した場合、前記Zbにおける最大透過率TIRMAXが10%以上55%未満である。
  2. 前記樹脂層が、波長860〜1100nmの領域に吸収極大を有する化合物(A)を含有することを特徴とする請求項1に記載の光学フィルター。
  3. さらに下記要件(c)を満たすことを特徴とする請求項1または2に記載の光学フィルター:
    (c)前記Zbにおいて、光学フィルターの面に対して垂直方向から測定した場合にTIRMAX/2となる、最も短波長側の波長の値(Xa)と最も長波長側の波長の値(Xb)との差Xb−Xaが5〜150nmであり、Y=(Xa+Xb)/2で表されるYの値が750〜950nmである。
  4. さらに下記要件(d)を満たすことを特徴とする請求項3に記載の光学フィルター:
    (d)波長Y−10nm〜Y+10nmの領域において、光学フィルターの面に対して垂直方向から測定した場合の平均透過率が10%以上55%未満である。
  5. さらに下記要件(e)を満たすことを特徴とする請求項4に記載の光学フィルター:
    (e)光学フィルターの面に対して垂直方向から5度の角度で入射した光において、波長Y−10nm〜Y+10nmの領域における平均反射率が20%以下である。
  6. さらに下記要件(f)を満たすことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の光学フィルター:
    (f)光学フィルターの面に対して垂直方向から5度の角度で入射した光において、波長600〜800nmの領域における平均反射率が20%以下である。
  7. さらに下記要件(g)を満たすことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の光学フィルター:
    (g)前記Zbにおいて、光学フィルターの面に対して垂直方向から測定した場合にTIRMAX/2となる最も短波長側の波長の値(Xa)と、光学フィルターの面に対して垂直方向から30度の角度で測定した場合の最大透過率をTIRMAX30としたとき、TIRMAX30/2となる最も短波長の波長の値(Xa30)との差の絶対値|Xa−Xa30|が15nm以下である。
  8. さらに下記要件(h)を満たすことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の光学フィルター:
    (h)前記Zbにおいて、光学フィルターの垂直方向から測定した場合にTIRMAX/2となる最も長波長側の波長の値(Xb)と、光学フィルターの面に対して垂直方向から30度の角度で測定した場合の最大透過率をTIRMAX30としたとき、TIRMAX30/2となる最も長波長の波長の値(Xb30)の差の絶対値|Xb−Xb30|が20nm以下である。
  9. 前記化合物(A)が、スクアリリウム系化合物、ジイモニウム系化合物、シアニン系化合物、ポリメチン系化合物(前記スクアリリウム系化合物およびシアニン系化合物を除く。)、金属ジチオラート系化合物およびヘテロ環共役化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物であることを特徴とする請求項2に記載の光学フィルター。
  10. 前記化合物(A)が、下記式(S−A)〜(S−D)のいずれかで表される化合物であることを特徴とする請求項2または9に記載の光学フィルター。
    [前記式(S−A)〜(S−D)中、
    -は電荷を中和するのに必要なアニオンであり、アニオンが1価の場合にはカチオンは1つであり、アニオンが2価である場合にはアニオン1つに対してカチオンが2つである。
    複数あるDは、独立に炭素原子、窒素原子、酸素原子または硫黄原子を表す。
    複数あるXは、独立に酸素原子、硫黄原子、セレン原子、−NH−、−NRa−を表す。
    aは、独立に水素原子、−La、−Lb、−Lc、−Ld、−Le、−Lf、−Lgまたは−Lhを表す。
    複数あるRb、Rc、Rd、Re、Rf、Rg、RhおよびRiは、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、水酸基、カルボキシ基、ニトロ基、アミノ基、アミド基、イミド基、シアノ基、シリル基、−L1、−S−L2、−SS−L2、−SO2−L3、−N=N−L4、または、RbとRc、RdとRe、ReとRf、RfとRg、RgとRhおよびRhとRiのうち少なくとも1つの組み合わせが結合した、下記式(A)〜(H)で表される基からなる群より選ばれる少なくとも1種の基を表す。
    前記アミノ基、アミド基、イミド基およびシリル基は、炭素数1〜12の脂肪族炭化水素基、炭素数1〜12のハロゲン置換アルキル基、炭素数3〜14の脂環式炭化水素基、炭素数6〜14の芳香族炭化水素基、炭素数3〜14の複素環基、ハロゲン原子、スルホ基、水酸基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシ基、リン酸基およびアミノ基からなる群より選ばれる少なくとも1種の置換基Lを有してもよい。
    前記L1は、下記La、Lb、Lc、Ld、Le、Lf、Lg、LhまたはLiである。
    (La)前記置換基Lを有してもよい炭素数1〜12の脂肪族炭化水素基
    (Lb)前記置換基Lを有してもよい炭素数1〜12のハロゲン置換アルキル基
    (Lc)前記置換基Lを有してもよい炭素数3〜14の脂環式炭化水素基
    (Ld)前記置換基Lを有してもよい炭素数6〜14の芳香族炭化水素基
    (Le)前記置換基Lを有してもよい炭素数3〜14の複素環基
    (Lf)前記置換基Lを有してもよい炭素数1〜9のアルコキシ基
    (Lg)前記置換基Lを有してもよい炭素数1〜9のアシル基
    (Lh)前記置換基Lを有してもよい炭素数1〜9のアルコキシカルボニル基
    (Li)置換基Lを有してもよい炭素数1〜12のスルフィド基またはジスルフィド基
    前記L2は、水素原子または前記L1におけるLa〜Leのいずれかを表し、
    前記L3は、水素原子または前記L1におけるLa〜Leのいずれかを表し、
    前記L4は、前記L1におけるLa〜Leのいずれかを表す。
    a〜ZcおよびYa〜Ydは、それぞれ独立に水素原子;ハロゲン原子;水酸基;カルボキシ基;ニトロ基;アミノ基;アミド基;イミド基;シアノ基;シリル基;−L1;−S−L2;−SS−L2;−SO2−L3;−N=N−L4(L1〜L4は、前記Ra〜RiにおけるL1〜L4と同義である。);Z同士もしくはY同士のうち隣接した二つが相互に結合して形成される、炭素数6〜14の芳香族炭化水素基;Z同士もしくはY同士のうち隣接した二つが相互に結合して形成される、窒素原子、酸素原子もしくは硫黄原子を少なくとも1つ含んでもよい5〜6員環の脂環式炭化水素基;または、Z同士もしくはY同士のうち隣接した二つが相互に結合して形成される、窒素原子、酸素原子もしくは硫黄原子を少なくとも1つ含む、炭素数3〜14の複素芳香族炭化水素基;を表し、これらの芳香族炭化水素基、脂環式炭化水素基および複素芳香族炭化水素基は、炭素数1〜9の脂肪族炭化水素基またはハロゲン原子を有してもよく、前記アミノ基、アミド基、イミド基およびシリル基は、前記置換基Lを有していてもよい。]
    [式(A)〜(H)中、RxおよびRyは炭素原子を表し、
    複数あるRA〜RLは、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、水酸基、カルボキシ基、ニトロ基、アミノ基、アミド基、イミド基、シアノ基、シリル基、−L1、−S−L2、−SS−L2、−SO2−L3または−N=N−L4(L1〜L4は、前記Ra〜RiにおけるL1〜L4と同義である。)を表し、前記アミノ基、アミド基、イミド基およびシリル基は、前記置換基Lを有してもよい。]
  11. 前記樹脂層が、波長600nm以上860nm未満の領域に吸収極大を有する化合物(B)をさらに含有することを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の光学フィルター。
  12. 前記化合物(B)が、下記一般式(I)または下記一般式(II)で表される化合物であることを特徴とする請求項11に記載の光学フィルター。
    [式(I)中、Ra、RbおよびYは、下記(i)または(ii)の条件を満たす。
    条件(i):
    複数あるRaは、独立に水素原子、ハロゲン原子、スルホ基、水酸基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシ基、リン酸基、−L1または−NRef基を表し(ReおよびRfは、それぞれ独立に水素原子、−La、−Lb、−Lc、−Ldまたは−Leを表す)、
    複数あるRbは、独立に水素原子、ハロゲン原子、スルホ基、水酸基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシ基、リン酸基、−L1または−NRgh基を表し(RgおよびRhは、それぞれ独立に水素原子、−La、−Lb、−Lc、−Ld、−Leまたは−C(O)Ri基(Riは、−La、−Lb、−Lc、−Ldまたは−Leを表す。)を表す)、
    複数あるYは、独立に−NRjk基を表し(RjおよびRkは、それぞれ独立に水素原子、−La、−Lb、−Lc、−Ldまたは−Leを表す)、
    1は、La、Lb、Lc、Ld、Le、Lf、LgまたはLhであり、
    前記La〜Lhは、以下の基を表す。
    (La)置換基Lを有してもよい炭素数1〜12の脂肪族炭化水素基
    (Lb)置換基Lを有してもよい炭素数1〜12のハロゲン置換アルキル基
    (Lc)置換基Lを有してもよい炭素数3〜14の脂環式炭化水素基
    (Ld)置換基Lを有してもよい炭素数6〜14の芳香族炭化水素基
    (Le)置換基Lを有してもよい炭素数3〜14の複素環基
    (Lf)置換基Lを有してもよい炭素数1〜9のアルコキシ基
    (Lg)置換基Lを有してもよい炭素数1〜9のアシル基
    (Lh)置換基Lを有してもよい炭素数1〜9のアルコキシカルボニル基
    (但し、置換基Lは、炭素数1〜12の脂肪族炭化水素基、炭素数1〜12のハロゲン置換アルキル基、炭素数3〜14の脂環式炭化水素基、炭素数6〜14の芳香族炭化水素基、炭素数3〜14の複素環基、ハロゲン原子、スルホ基、水酸基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシ基、リン酸基およびアミノ基からなる群より選ばれる少なくとも1種である。)
    条件(ii):
    1つのベンゼン環上の2つのRaのうちの少なくとも1つが、同じベンゼン環上のYと相互に結合して、窒素原子を少なくとも1つ含む構成原子数5または6の複素環を形成し、前記複素環は置換基を有していてもよく、Rbおよび前記複素環の形成に関与しないRaは、それぞれ独立に前記条件(i)のRbおよびRaと同義である。]
    [式(II)中、Xは、独立にO、S、Se、N−RcまたはC(Rdd)を表し、
    複数あるRcは、独立に水素原子、La、Lb、Lc、LdまたはLeを表し、
    複数あるRdは、独立に水素原子、ハロゲン原子、スルホ基、水酸基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシ基、リン酸基、−L1または−NRef基を表し、隣り合うRd同士は連結して置換基を有していてもよい環を形成してもよく、
    a〜Le、L1、ReおよびRfは、前記式(I)において定義したLa〜Le、L1、ReおよびRfと同義である。]
  13. 前記化合物(A)を含有する樹脂層が樹脂製基板であることを特徴とする請求項2、9および10のいずれか1項に記載の光学フィルター。
  14. 固体撮像装置用である請求項1〜13のいずれか1項に記載の光学フィルター。
  15. 請求項1〜14のいずれか1項に記載の光学フィルターを具備する固体撮像装置。
  16. 請求項1〜14のいずれか1項に記載の光学フィルターと、可視光線を検出する画素と近赤外線を検出する画素からなるセンサーを具備する固体撮像装置。
  17. 請求項1〜14のいずれか1項に記載の光学フィルターを具備するカメラモジュール。
  18. 請求項1〜14のいずれか1項に記載の光学フィルターと、可視光線を検出する画素および近赤外線を検出する画素からなるセンサーとを具備するカメラモジュール。
  19. 請求項1〜14のいずれか1項に記載の光学フィルターを含む生体認証装置。
  20. 近赤外線領域における少なくとも一部の波長に吸収を有し、かつ、下記(x)および(y)の要件を満たすことを特徴とする光学フィルター用樹脂層:
    (x)波長430〜580nmの領域において、樹脂層の面に対して垂直方向から測定した場合の透過率の平均値が70%以上である;
    (y)波長750〜1100nmの領域に少なくとも二つの光線阻止帯と少なくとも一つの光線透過帯を有し、最も短波長の光線阻止帯を光線阻止帯Zx、最も長波長の光線阻止帯をZz、最も長波長の光線透過帯をZyとしたとき、それぞれの帯域の中心波長はZx<Zy<Zzであり、樹脂層の面に対して垂直方向から測定した場合、前記Zyの最大透過率が10%以上55%未満である。
  21. 波長860〜1100nmに吸収極大を有する化合物(A)を含有することを特徴とする請求項20に記載の光学フィルター用樹脂層。
  22. 波長600nm以上860nm未満の領域に吸収極大を有する化合物(B)をさらに含有することを特徴とする請求項20または21に記載の光学フィルター用樹脂層。
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