JP2020038369A - 光学フィルター、その製造方法およびその用途 - Google Patents

光学フィルター、その製造方法およびその用途 Download PDF

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Abstract

【課題】薄く、0°入射時において、可視光透過率が高く、可視光反射率が低く、視感度補正に優れ、高角度入射時においても波長1100nmの光の遮蔽性に優れる光学フィルターを提供すること。【解決手段】本発明は、光学フィルター、その製造方法およびその用途に関し、該製造方法は、基板上に誘電体多層膜を形成する工程を含み、波長300〜1600nmの領域において、下記要件(C)、(E)、(F)および(G)を満たす光学フィルターの製造方法である。(C)波長380nm以上430nm未満に、光学フィルターの面方向に対して垂直方向から入射した光の透過率が5%となる最も長波長の値λtraUV5を有する(E)波長1000〜1200nmにおける、光学フィルターの面方向に対して垂直方向から入射した光の平均透過率が5%以下(F)波長1150〜1600nmに、光学フィルターの面方向に対して垂直方向から入射した光の透過率が5%となる最も短波長の値λtraIR5を有する(G)λtraIR5/λtraUV5≧3.10【選択図】なし

Description

本発明は、詳しくは、特定の光学特性を有する光学フィルター(例えば近赤外線カットフィルター)およびその製造方法、ならびに、該光学フィルターを用いた固体撮像装置およびカメラモジュールに関する。
従来のビデオカメラ、デジタルスチルカメラ、カメラ機能付き携帯電話などの固体撮像装置には、固体撮像素子であるCCDやCMOSイメージセンサーが使用されているが、これら固体撮像素子は、その受光部において人間の目では感知できない近赤外線に感度を有するシリコンフォトダイオードが使用されている。これらの固体撮像素子では、人間の目で見て自然な色合いにさせる視感度補正を行うことが必要であり、特定の波長帯域の光線を選択的に透過またはカットする光学フィルター(例えば近赤外線カットフィルター)を用いることが多い。
このような光学フィルターとしては、従来から、各種方法で製造されたフィルターが使用されている。例えばリン酸ガラスに酸化銅を分散させた吸収ガラス型赤外線カットフィルター(例えば特許文献1)や、近赤外帯域に吸収を有する色素を分散させた層を有する樹脂型赤外線カットフィルター(例えば特許文献2)、誘電体基板(ガラス基板)と赤外線反射層と赤外線吸収層とを有するガラス基板塗布型赤外線カットフィルター(例えば特許文献3)、基板として樹脂を用い、該樹脂中に波長600〜800nmの帯域に吸収極大を有する色素を含有させるとともに、基板両面に近赤外線反射性能を有する誘電体多層膜を用いた樹脂型近赤外線カットフィルター(特許文献4)、ガラス基板に波長695〜720nm付近に吸収を有する色素を含有する樹脂層を設けたガラス基板塗布型赤外線カットフィルター(特許文献5)など、各種知られている。
また、近赤外線を用いる測距センサーを有する撮像素子には、バンドパスフィルターが使用される。該バンドパスフィルターとしては、可視域と近赤外線帯域の一部に透過帯域を有するバンドパスフィルター(特許文献6)などが知られている。
さらに、生体組織への影響を抑制するために、波長770〜1800nmの平均透過率を15%以下にする近赤外線カットフィルター(例えば特許文献7)などが知られている。
国際公開第2011/071157号 特開2008−303130号公報 特開2014−052482号公報 特開2011−100084号公報 特開2014−063144号公報 国際公開第2011/033984号 特開2015−161731号公報 国際公開第2016/171219号
H.Angus Macleod著、東海光学株式会社他訳、「MACLEOD:光学薄膜原論」 第四版、アドコム・メディア株式会社発行
近年、固体撮像素子の高感度化と薄型化が進み、視感度補正のために用いる光学フィルターには、そこに入射する光の入射角が大きく(例:45°)なっても、高い可視光透過率と低い近赤外線透過率が求められるようになってきた。
前述した従来の撮像素子用のリン酸ガラスに酸化銅を分散させた吸収ガラス型赤外線カットフィルターや近赤外帯域に吸収を有する色素を分散させた層を有する樹脂型赤外線カットフィルターでは、低い近赤外線透過率を達成するために、酸化銅や近赤外帯域に吸収を有する色素を多く添加する必要があるが、この場合、高い可視光透過率との両立、特に赤色可視光帯域の光の高い透過率との両立が困難であった。前記従来のフィルターにおいて、低い近赤外線透過率を達成する他の手段として、近赤外帯域の吸収強度を増やすために、光学フィルターの膜厚を厚くする方法も考えられるが、この場合、薄型化との両立が困難であった。
また、前記特許文献7に記載のフィルターを固体撮像装置に使用する場合、波長1000〜1200nmの透過率が高く、視感度補正のための遮蔽性能が不十分であった。
前述した従来の撮像素子用の誘電体多層膜を有する光学フィルターでは、近赤外線反射帯域の波長の4分の1前後である光学膜厚の誘電体層の積層体が用いられており、高い可視光透過率と低い近赤外線透過率を達成しやすいが、入射角が高角度になる場合(高角度入射時)、反射帯域が短波長側へシフトする特性を有する傾向にあることが分かった。そのため、撮像素子が感度を有する波長1100nmの光の透過率を低く保つことが困難であった。
ところで、このような反射帯域の波長の4分の1前後の光学膜厚の誘電体層の積層体は、積層する各層の膜厚を厚くすることで、反射帯域を長波長側へシフトさせることが可能であることが従来から知られている。よって、積層する各層の膜厚を厚くすることで、入射角が高角度になる場合に、反射帯域が短波長側にシフトしても、波長1100nmの光の透過率を低く保つことは可能であるが、このように積層する各層の膜厚を厚くした場合、得られる光学フィルターは、該反射帯域の3分の1付近の波長の光も反射する特性を有してしまうことが知られている(国際公開第2016/171219号の図3A、H.Angus Macleod著、東海光学株式会社他訳、「MACLEOD:光学薄膜原論」、第四版、アドコム・メディア株式会社発行など)。
例えば、高角度入射時に波長1100nm近傍の光をカットする誘電体多層膜を有するフィルターは、該フィルター面の垂直方向から入射する(0°入射時)光に対しては、波長1260nm近傍の光をカットする傾向にある。そして、この場合、その波長1260nm近傍の反射帯域の3分の1付近の波長に相当する波長420〜450nm付近の青色可視光帯域の光も反射され、該青色可視光帯域の透過率が低下し、視感度補正能が低下する問題があった。
従来、薄く、0°入射時において、可視光透過率が高く、可視光反射率が低く、視感度補正特性に優れるとともに、波長1000〜1200nmの光をカットする性能が高く、高角度入射時においても波長1100nmの光の透過率が低い光学フィルターは得られていなかった。
本発明は、従来の近赤外線カットフィルター等の光学フィルターが有していた欠点を改良し、薄く、0°入射時において、可視光透過率が高く、可視光反射率が低く、視感度補正に優れ、高角度入射時においても波長1100nmの光の遮蔽性に優れる光学フィルターを提供する。
本発明者は、前記課題を解決すべく鋭意検討した結果、下記構成例によれば前記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明の構成例は以下の通りである。
なお、本発明において、数値範囲を表す「A〜B」等の記載は、「A以上、B以下」と同義であり、AおよびBをその数値範囲内に含む。また、本発明において、波長A〜Bnmとは、波長Anm以上、波長Bnm以下の波長領域における波長分解能1nmにおける特性を表す。
[1] 基板上に誘電体多層膜を形成する工程を含み、波長300〜1600nmの領域において、下記要件(C)、(E)、(F)および(G)を満たす光学フィルターの製造方法。
(C)波長380nm以上430nm未満に、光学フィルターの面方向に対して垂直方向から入射した光の透過率が5%となる最も長波長の値λtraUV5を有する
(E)波長1000〜1200nmにおける、光学フィルターの面方向に対して垂直方向から入射した光の平均透過率が5%以下
(F)波長1150〜1600nmに、光学フィルターの面方向に対して垂直方向から入射した光の透過率が5%となる最も短波長の値λtraIR5を有する
(G)λtraIR5/λtraUV5≧3.10
[2] 前記光学フィルターがさらに下記要件(イ)〜(ハ)を満たす、[1]に記載の製造方法。
(イ)基板と隣接する3層以外および最外層以外に、物理膜厚が60nm以下である層が少なくとも2層連続した連続層aを有する
(ロ)前記連続層aに隣接して、物理膜厚が60nmより厚い層bを有する
(ハ)前記層bの連続層aとは反対側に隣接して、物理膜厚が60nm以下である層が少なくとも2層連続した連続層cを有する
[3] 前記光学フィルターがさらに下記要件(ニ)を満たす、[1]または[2]に記載の製造方法。
(ニ)波長550nmの光の屈折率が2.0以上であり、かつ、波長550nmにおける光学膜厚が160〜320nmである高屈折率層と、光学膜厚が160〜320nmであり、前記高屈折率層より低屈折率である層とを交互に連続して4層以上有する
[4] 基板と誘電体多層膜とを有し、波長300〜1600nmの領域において、下記要件(C)、(E)、(F)および(G)を満たす光学フィルター。
(C)波長380nm以上430nm未満に、光学フィルターの面方向に対して垂直方向から入射した光の透過率が5%となる最も長波長の値λtraUV5を有する
(E)波長1000〜1200nmにおける、光学フィルターの面方向に対して垂直方向から入射した光の平均透過率が5%以下
(F)波長1150〜1600nmに、光学フィルターの面方向に対して垂直方向から入射した光の透過率が5%となる最も短波長の値λtraIR5を有する
(G)λtraIR5/λtraUV5≧3.10
[5] 波長300〜1600nmの領域において、さらに下記要件(A)、(B)、(D)および(H)を満たす、[4]に記載の光学フィルター。
(A)波長300〜380nmにおける、光学フィルターの面方向に対して垂直方向から入射した光の平均透過率が5%以下
(B)波長380〜430nmに、光学フィルターの面方向に対して垂直方向から入射した光の透過率が50%となる波長λUV50を有する
(D)波長440〜580nmにおける、光学フィルターの面方向に対して垂直方向から入射した光の平均透過率が60%以上
(H)波長720〜1000nmにおける、光学フィルターの面方向に対して垂直方向から入射した光の平均透過率が1%以下
[6] 波長300〜1600nmの領域において、さらに下記要件(A)、(B)、(D)、(J)および(K)を満たす、[4]に記載の光学フィルター。
(A)波長300〜380nmにおける、光学フィルターの面方向に対して垂直方向から入射した光の平均透過率が5%以下
(B)波長380〜430nmに、光学フィルターの面方向に対して垂直方向から入射した光の透過率が50%となる波長λUV50を有する
(D)波長440〜580nmにおける、光学フィルターの面方向に対して垂直方向から入射した光の平均透過率が60%以上
(J)波長720〜1000nmにおける、光学フィルターの面方向に対して垂直方向から入射した光の平均透過率が30%以下
(K)波長720〜1000nmに、光学フィルターの面方向に対して垂直方向から入射した光の透過率が50%以上となる波長を連続して5nm以上有する
[7] 波長300〜1600nmの領域において、さらに下記要件(O)〜(Q)を満たす、[4]〜[6]のいずれかに記載の光学フィルター。
(O)波長370nm以上430nm未満に、光学フィルターの面方向に対して垂直方向から入射した光の透過率が1%となる最も長波長の値λtraUV1を有する
(P)波長1150〜1600nmに、光学フィルターの面方向に対して垂直方向から入射した光の透過率が1%となる最も短波長の値λtraIR1を有する
(Q)λtraIR1/λtraUV1≧3.10
[8] 波長300〜1600nmの領域において、さらに下記要件(R)〜(U)を満たす、[4]〜[7]のいずれかに記載の光学フィルター。
(R)波長370〜430nmに、光学フィルターの少なくとも一方の面の垂直方向から5°の角度で入射する無偏光光線の反射率が50%となる波長λrefUV50を有する
(S)波長1150〜1600nmに、光学フィルターの少なくとも一方の面の垂直方向から5°の角度で入射する無偏光光線の反射率が90%となる最も短波長の値λrefIR90を有する
(T)λrefIR90/λtraUV5≧3.10
(U)波長1000〜1200nmにおける、光学フィルターの少なくとも一方の面の垂直方向から5°の角度で入射する無偏光光線の平均反射率が90%以上である
[9] 波長300〜1600nmの領域において、さらに下記要件(V)および(W)を満たす、[4]〜[8]のいずれかに記載の光学フィルター。
(V)波長1150〜1600nmに、光学フィルターの少なくとも一方の面の垂直方向から5°の角度で入射する無偏光光線の反射率が95%となる最も短波長の値λrefIR95を有する
(W)λrefIR95/λtraUV5≧3.10
[10] さらに下記要件(イ)〜(ハ)を満たす、[4]〜[9]のいずれかに記載の光学フィルター。
(イ)基板と隣接する3層以外および最外層以外に、物理膜厚が60nm以下である層が少なくとも2層連続した連続層aを有する
(ロ)前記連続層aに隣接して、物理膜厚が60nmより厚い層bを有する
(ハ)前記層bの連続層aとは反対側に隣接して、物理膜厚が60nm以下である層が少なくとも2層連続した連続層cを有する
[11] さらに下記要件(ニ)を満たす、[4]〜[10]のいずれかに記載の光学フィルター。
(ニ)波長550nmの光の屈折率が2.0以上であり、かつ、波長550nmにおける光学膜厚が160〜320nmである高屈折率層と、光学膜厚が160〜320nmであり、前記高屈折率層より低屈折率である層とを交互に連続して4層以上有する
[12] 波長300〜1600nmの領域において、前記基板が下記要件(Y)を満たす、[4]〜[11]のいずれかに記載の光学フィルター。
(Y)波長685〜780nmに吸収極大波長λ(DA_Tmin)を有する
[13] 波長300〜1600nmの領域において、前記基板が下記要件(Z)を満たす、[4]〜[12]のいずれかに記載の光学フィルター。
(Z)波長680〜800nmに、基板の面方向に対して垂直方向から入射した光の透過率が5%以下となる阻止帯域を30nm以上有する
[14] [4]〜[13]のいずれかに記載の光学フィルターを具備する固体撮像装置。
[15] [4]〜[13]のいずれかに記載の光学フィルターを具備するカメラモジュール。
本発明によれば、薄く(例:0.21mm以下)、0°入射時において、可視光透過率が高く、可視光反射率が低く、視感度補正に優れ、高角度入射時においても波長1100nmの光の遮蔽性に優れる光学フィルター、および該光学フィルターを用いた装置、カメラモジュール、センサーモジュール等を提供することができる。
図1は、本発明の光学フィルターの構成例を示す概略模式図である。 図2は、本発明の光学フィルターの透過率を測定する方法を示す概略模式図である。 図3は、本発明の光学フィルターの反射率を測定する方法を示す概略模式図である。 図4は、本発明の光学フィルターを具備する固体撮像装置およびモジュールの一例を示す概略模式図である。 図5は、本発明の光学フィルターを具備するレンズを有さない固体撮像装置およびモジュールの一例を示す概略模式図である。 図6は、実施例1で得られた光学フィルターの、面方向に対して垂直方向から入射した光の透過率(0°T)[以下同様。]、面方向に対して垂直方向から45°の角度で入射した光の透過率(45°T)[以下同様。]および面Yに対して垂直方向から5°の角度で入射した無偏光光線の反射率(5°R)[以下同様。]それぞれを示す図である。(B)は、(A)の波長1000〜1600nm部分の拡大図である。 図7は、実施例2で得られた光学フィルターの、透過率(0°Tおよび45°T)および面Yにおける5°Rを示す図である。(B)は、(A)の波長1000〜1600nm部分の拡大図である。 図8は、実施例3で得られた光学フィルターの、透過率(0°Tおよび45°T)および面Yにおける5°Rを示す図である。(B)は、(A)の波長1000〜1600nm部分の拡大図である。 図9は、実施例4で得られた光学フィルターの、透過率(0°Tおよび45°T)および面Yにおける5°Rを示す図である。(B)は、(A)の波長1000〜1600nm部分の拡大図である。 図10は、実施例5で得られた光学フィルターの、透過率(0°Tおよび45°T)および面Yにおける5°Rを示す図である。(B)は、(A)の波長1000〜1600nm部分の拡大図である。 図11は、実施例6で得られた光学フィルターの、透過率(0°Tおよび45°T)および面Yにおける5°Rを示す図である。(B)は、(A)の波長1000〜1600nm部分の拡大図である。 図12は、実施例7で得られた光学フィルターの、透過率(0°Tおよび45°T)および面Yにおける5°Rを示す図である。(B)は、(A)の波長1000〜1600nm部分の拡大図である。 図13は、実施例8で得られた光学フィルターの、透過率(0°Tおよび45°T)および面Yにおける5°Rを示す図である。(B)は、(A)の波長1000〜1600nm部分の拡大図である。 図14は、実施例9で得られた光学フィルターの、透過率(0°Tおよび45°T)および面Yにおける5°Rを示す図である。(B)は、(A)の波長1000〜1600nm部分の拡大図である。 図15は、実施例10で得られた光学フィルターの、透過率(0°Tおよび45°T)および面Yにおける5°Rを示す図である。(B)は、(A)の波長1000〜1600nm部分の拡大図である。 図16は、実施例11で得られた光学フィルターの、透過率(0°Tおよび45°T)および面Yにおける5°Rを示す図である。(B)は、(A)の波長1000〜1600nm部分の拡大図である。 図17は、実施例12で得られた光学フィルターの、透過率(0°Tおよび45°T)および面Yにおける5°Rを示す図である。(B)は、(A)の波長1000〜1600nm部分の拡大図である。 図18は、比較例1で得られた光学フィルターの、透過率(0°Tおよび45°T)および面Yにおける5°Rを示す図である。(B)は、(A)の波長1000〜1600nm部分の拡大図である。 図19は、比較例2で得られた光学フィルターの、透過率(0°Tおよび45°T)および面Yにおける5°Rを示す図である。(B)は、(A)の波長1000〜1600nm部分の拡大図である。 図20は、比較例3で得られた光学フィルターの、透過率(0°Tおよび45°T)および面Yにおける5°Rを示す図である。(B)は、(A)の波長1000〜1600nm部分の拡大図である。 図21は、比較例4で得られた光学フィルターの、透過率(0°Tおよび45°T)および面Yにおける5°Rを示す図である。(B)は、(A)の波長1000〜1600nm部分の拡大図である。
≪光学フィルターの製造方法および光学フィルター≫
本発明に係る光学フィルターの製造方法(以下「本方法」ともいう。)は、基板上に誘電体多層膜を形成する工程を含み、波長300〜1600nmの領域において、下記要件(C)、(E)、(F)および(G)を満たす光学フィルターの製造方法であり、本発明に係る光学フィルター(以下「本フィルター」ともいう。)は、基板と誘電体多層膜とを有し、かつ、波長300〜1600nmの領域において、下記要件(C)、(E)、(F)および(G)を満たす光学フィルターである。
(C)波長380nm以上430nm未満に、光学フィルターの面方向に対して垂直方向から入射した光の透過率が5%となる最も長波長の値λtraUV5を有する
(E)波長1000〜1200nmにおける、光学フィルターの面方向に対して垂直方向から入射した光の平均透過率が5%以下
(F)波長1150〜1600nmに、光学フィルターの面方向に対して垂直方向から入射した光の透過率が5%となる最も短波長の値λtraIR5を有する
(G)λtraIR5/λtraUV5≧3.10
本フィルターは、基板と誘電体多層膜とを有し、かつ、波長300〜1600nmの領域において、下記要件(A)〜(H)を満たすフィルター(I)、または、下記要件(A)〜(G)、(J)および(K)を満たすフィルター(II)であることが好ましい。
本フィルターを近赤外線カットフィルターとして用いる場合、フィルター(I)が好ましく、近赤外線センサーに用いる場合、フィルター(II)が好ましい。
(A)波長300〜380nmにおける、光学フィルターの面方向に対して垂直方向から入射した光の平均透過率が5%以下
誘電体多層膜による近赤外線反射帯域の約3分の1の波長の反射を利用する場合、波長300〜380nmにおいて1〜20nm程度の幅の狭い透過帯域が形成される傾向にある。ここで、誘電体多層膜を適切に設計し、波長300〜380nmにおける幅の狭い透過帯域の形成を抑制し、要件(A)を満たすことにより、人間の目に見えにくいまたは見えない近紫外線を遮蔽することができ、このフィルターを固体撮像装置、センサー用途またはカメラモジュール等に使用した場合、撮像素子の視感度補正により優れ、人間の目で見える画像に近い良好な画像を容易に得ることができる。
前記平均透過率は、より好ましくは2%以下、さらに好ましくは1%以下、特に好ましくは0.5%以下である。前記平均透過率は低ければ低い方が好ましく、例えば、下限は0%である。
(B)波長380〜430nmに、光学フィルターの面方向に対して垂直方向から入射した光の透過率が50%となる波長λUV50を有する
要件(B)を満たすことにより、人間の目に見えにくいまたは見えない近紫外線の遮蔽と、青色帯域およびその近傍の可視光帯域の高い透過率とを両立することができ、このフィルターを固体撮像装置、センサー用途またはカメラモジュール等に使用した場合、撮像素子の視感度補正により優れ、人間の目で見える画像に近い良好な画像を容易に得ることができる。
前記λUV50は、より好ましくは390〜430nm、特に好ましくは395〜425nmにあることが望ましい。
(C)波長380nm以上430nm未満に、光学フィルターの面方向に対して垂直方向から入射した光の透過率が5%となる最も長波長の値λtraUV5を有する
要件(C)を満たすことにより、人間の目に見えにくいまたは見えない近紫外線を十分に遮蔽することができ、このフィルターを固体撮像装置、センサー用途またはカメラモジュール等に使用した場合、人間の目に見えないまたは見えにくい紫外線による画像の色味変化を抑えることができる。
前記λtraUV5は、より好ましくは380〜428nm、さらに好ましくは385〜428nm、特に好ましくは390〜426nmにあることが望ましい。
(D)波長440〜580nmにおける、光学フィルターの面方向に対して垂直方向から入射した光の平均透過率が60%以上
要件(D)を満たすことにより、可視光線透過率を高く維持することができ、該要件(D)を満たすフィルターを固体撮像装置、センサー用途またはカメラモジュール等に使用した場合、撮像素子の視感度補正により優れ、人間の目で見える画像に近い良好な画像を容易に得ることができる。
前記平均透過率は、より好ましくは65%以上、さらに好ましくは70%以上、いっそう好ましくは75%以上、特に好ましくは80%以上、最も好ましくは84%以上である。前記平均透過率は高ければ高い方が好ましく、例えば、上限は100%である。
(E)波長1000〜1200nmにおける、光学フィルターの面方向に対して垂直方向から入射した光の平均透過率が5%以下
要件(E)を満たすことにより、本フィルターを近赤外線カットフィルターとして、また、この波長域の近赤外線をカットするバンドパスフィルターとして好適に使用することができ、人間の目に見えない近赤外線を遮蔽することができ、高角度入射時の波長1100nmの近赤外線の低い透過率を維持することができる。要件(E)を満たすフィルターを固体撮像装置、センサー用途またはカメラモジュール等に使用した場合、シリコンフォトダイオード、ブラックシリコンフォトダイオードなどの撮像素子の視感度補正により優れ、火、炎、ハロゲンランプ、ハロゲンヒーター、白熱電球、近赤外線センサーなどの人間の目に見えない近赤外線を多く発する光源を撮像した際においても、人間の目で見える画像に近い良好な画像を得ることができる。
前記平均透過率は、より好ましくは3%以下、さらに好ましくは2%以下、特に好ましくは1.5%以下である。前記平均透過率は低ければ低い方が好ましく、例えば、下限は0%である。
(F)波長1150〜1600nmに、光学フィルターの面方向に対して垂直方向から入射した光の透過率が5%となる最も短波長の値λtraIR5を有する
前記λtraIR5は、より好ましくは1250〜1600nm、さらに好ましくは1280〜1500nm、いっそう好ましくは1300〜1500nm、特に好ましくは1330〜1500nm、最も好ましくは1360〜1500nmにあることが望ましい。
λtraIR5が前記範囲にあると、光学フィルターに入射する光の入射角が高角度になった時に、誘電体多層膜による近赤外線反射帯域が短波長側にシフトした場合であっても、波長1100nmの光の透過率を低く維持することができ、好適である。
(G)λtraIR5/λtraUV5≧3.10
要件(F)と(G)を満たすことにより、近赤外線反射帯域の約4分の1の光学膜厚の層の積層体(誘電体多層膜)を用いた従来の光学フィルターでは得られなかった、光学フィルターの面方向に対して垂直方向から入射した光の青色帯域およびその近傍の可視光帯域の高い透過率と、高角度入射時の波長1100nmの近赤外線の低い透過率を両立することができる。このため、要件(G)を満たすフィルターを画角が広い薄型の固体撮像装置や、センサー、カメラモジュール等に使用した場合、撮像素子の青色等の視感度補正に優れ、また人間の目に見えない近赤外線を多く発する光源を撮像した際においても、人間の目で見える画像に近い良好な画像を得ることができる。
近赤外線反射帯域の約4分の1の光学膜厚の層の積層体(誘電体多層膜)は、該反射帯域の約3分の1の波長は反射する帯域となる傾向にある。このため、近赤外線反射帯域の約4分の1の光学膜厚の層の積層体は、λtraIR5/λtraUV5≦3.0を満たす傾向にある。また、3.0<λtraIR5/λtraUV5<3.1程度は波長毎に屈折率が異なる性質(波長分散)によって、近赤外線反射帯域の約4分の1の光学膜厚の層の積層体でも達成する場合がある。
前記λtraIR5/λtraUV5は、より好ましくは3.15以上、さらに好ましくは3.19以上、いっそう好ましくは3.24以上、特に好ましくは3.29以上、最も好ましくは3.34以上であり、好ましくは4.10以下であり、より好ましくは3.8以下である。
近赤外線反射帯域の約4分の1の光学膜厚の層の積層体(誘電体多層膜)を有する従来の光学フィルターでは、該反射帯域の約3分の1の波長域の光は反射する傾向にある。このため、このような従来の誘電体多層膜を有する光学フィルターであって、要件(C)を満たす青色帯域の透過率が高い光学フィルターは、要件(C)の約3倍の波長にあたる、波長1100nm以降の透過率が高い傾向にある。または、従来の誘電体多層膜を有する光学フィルターであって、要件(F)を満たす高角度入射時の波長1100nm以降の透過率が低い光学フィルターは、λtraUV5を波長430nmより長波長に有するため、要件(C)を満たすことが困難となり、青色帯域およびその近傍の可視光帯域の透過率が低い傾向にある。
本フィルターでは、要件(C)、(F)および(G)が両立するため、青色帯域およびその近傍の可視光帯域の高い透過率と、波長1100nmの光の低い透過率、特に高角度入射時の波長1100nmの光の透過率が低い特性を有している。
なお、光学膜厚とは、物理膜厚×屈折率で表される。このため、物理膜厚は光学膜厚/屈折率で算出することができる。
(H)波長720〜1000nmにおける、光学フィルターの面方向に対して垂直方向から入射した光の平均透過率が1%以下
要件(H)を満たすことにより、フィルター(I)を近赤外線カットフィルターとして好適に用いることができ、人間の目に見えにくいまたは見えない近赤外線をより遮蔽することができ、このフィルター(I)を固体撮像装置、センサー用途またはカメラモジュール等に使用した場合、シリコンフォトダイオード、ブラックシリコンフォトダイオードなどの撮像素子の視感度補正により優れ、人間の目で見える画像に近い良好な画像を得ることができる。
前記平均透過率は、より好ましくは0.5%以下、さらに好ましくは0.2%以下、特に好ましくは0.1%以下である。前記平均透過率は低ければ低い方が好ましく、例えば、下限は0%である。
(J)波長720〜1000nmにおける、光学フィルターの面方向に対して垂直方向から入射した光の平均透過率が30%以下
前記平均透過率は、より好ましくは18%以下、さらに好ましくは10%以下、特に好ましくは8%以下である。前記平均透過率は近赤外線センサーの感度を確保する等の観点から、例えば下限は1%である。
(K)波長720〜1000nmに、光学フィルターの面方向に対して垂直方向から入射した光の透過率が50%以上となる波長を連続して5nm以上有する
前記透過率が50%以上となる帯域の幅は、より好ましくは5〜120nm、さらに好ましくは5〜70nm、特に好ましくは10〜45nmである。
透過率が50%以上となる帯域の幅が前記範囲を下回る場合、近赤外線センサーの感度不足のため、該センサーを用いてセンシングを行う際にノイズが増加する傾向にあり、前記範囲を上回る場合、要件(J)を達成することが困難となり、人間の目に見えにくいまたは見えない近赤外線のカット性能が不十分となり、視感度補正が不十分となる傾向、または、センシングに用いる波長以外のノイズが増加する傾向にある。
要件(J)および要件(K)を両立することで、人間の目に見えないまたは見えにくい近赤外線を遮蔽しつつ、特定の波長では透過帯域を形成している光学フィルター、例えばデュアルバンドパスフィルターを得ることができる。このフィルター(II)を近赤外線センサーや、固体撮像装置、モジュールに使用した場合、センシングを行う波長における高い感度と、近赤外線のカットによる視感度補正により、人間の目で見える画像に近い良好な画像や距離情報等を容易に得ることができる。
本フィルターは、波長300〜1600nmの領域において、下記要件(O)〜(Q)を満たすことが好ましい。
(O)波長370nm以上430nm未満に、光学フィルターの面方向に対して垂直方向から入射した光の透過率が1%となる最も長波長の値λtraUV1を有する
要件(O)を満たすことにより、人間の目に見えにくいまたは見えない近紫外線をより遮蔽することができ、このフィルターを近紫外線に対してさらに高感度な固体撮像装置、センサー用途またはカメラモジュール等に使用した場合、人間の目に見えないまたは見えにくい紫外線による画像の色味変化をより抑えることができる。
前記λtraUV1は、より好ましくは375〜428nm、いっそう好ましくは380〜428nm、さらに好ましくは385〜428nm、特に好ましくは390〜426nmにあることが望ましい。
(P)波長1150〜1600nmに、光学フィルターの面方向に対して垂直方向から入射した光の透過率が1%となる最も短波長の値λtraIR1を有する
要件(P)を満たすことにより、光学フィルターに入射する光の入射角が高角度になった場合でも、波長1100nmの近赤外線の透過率をより低く抑えることができる。このため、要件(P)を満たすフィルターをさらに高感度であり、画角が広い薄型の固体撮像装置や、センサー、カメラモジュール等に使用した場合において、近赤外線センサーなどの人間の目に見えない近赤外線を多く発する光源を撮像した際においても、人間の目で見える画像に近い良好な画像を容易に得ることができる。
前記λtraIR1は、より好ましくは1250〜1600nm、さらに好ましくは1280〜1500nm、いっそう好ましくは1300〜1500nm、特に好ましくは1330〜1500nm、最も好ましくは1360〜1500nmにあることが望ましい。
λtraIR1が前記範囲にあると、高角度入射時に、誘電体多層膜による反射帯域が短波長側にシフトした場合であっても、波長1100nmの光の透過率をより低く維持することができ、好適である。
本フィルターが、要件(O)と要件(P)を両立する場合、青色帯域およびその近傍の可視光帯域の高い透過率と、波長1100nmの光の低い透過率、特に高角度入射時の波長1100nmの光の低い透過率とに、よりバランスよく優れる。
(Q)λtraIR1/λtraUV1≧3.10
要件(Q)を満たすことにより、近赤外線の反射帯域の約4分の1の光学膜厚の層の積層体(誘電体多層膜)を用いた従来の光学フィルターでは得られなかった、光学フィルターの面方向に対して垂直方向から入射した光の青色帯域およびその近傍の可視光帯域の高い透過率と、高角度入射時の波長1100nmの近赤外線の低い透過率をより容易に両立することができる。このため、要件(Q)を満たすフィルターを画角が広い薄型の固体撮像装置や、センサー、カメラモジュール等に使用した場合、撮像素子の青色等の視感度補正に優れ、また人間の目に見えない近赤外線を多く発する光源を撮像した際においても、人間の目で見える画像に近い良好な画像を得ることができる。
前記λtraIR1/λtraUV1は、より好ましくは3.11以上、さらに好ましくは3.15以上、いっそう好ましくは3.21以上、特に好ましくは3.26以上、最も好ましくは3.34以上であり、好ましくは4.10以下であり、より好ましくは3.8以下である。
近赤外線反射帯域の約4分の1の光学膜厚の層の積層体(誘電体多層膜)を有する従来の光学フィルターでは、該反射帯域の約3分の1の波長域の光は反射する傾向にある。このため、このような従来の誘電体多層膜を有する光学フィルターであって、要件(O)を満たす青色帯域の透過率が高い光学フィルターは、要件(O)の約3倍の波長にあたる、波長1100nm以降の透過率が高い傾向にある。または、従来の誘電体多層膜を有する光学フィルターであって、要件(P)を満たす高角度入射時の波長1100nm以降の透過率が低い光学フィルターは、λtraUV1を波長430nmより長波長に有するため、要件(O)を満たすことが困難となり、青色帯域およびその近傍の可視光帯域の透過率が低い傾向にある。
本フィルターが、要件(O)と要件(P)を両立する場合、青色帯域およびその近傍の可視光帯域の高い透過率と、波長1100nmの光の低い透過率、特に高角度入射時の波長1100nmの光の低い透過率とに、よりバランスよく優れる。
本フィルターは、波長300〜1600nmの領域において、下記要件(R)〜(U)を満たすことが好ましい。
なお、下記要件(R)、(S)、(U)、(V)および(α)では、本フィルターの一方の面(以下「面X」ともいい、他方の面を「面Y」ともいう。)の垂直方向から5°の角度から入射する無偏光光線の反射特性が下記範囲にあればよい。
面Xは、通常、光学フィルターの主面のことをいい、面積の最も大きな面の一方のことをいう。この場合、面積の最も大きな面の他方が面Yである。
「無偏光光線」とは、偏光方向の偏りを持たない光線のことであり、電場が全ての方向に概ね均一に分布している波の集合体のことをいう。「無偏光光線の平均透過率」は「S偏光光線の平均透過率」と「P偏光光線の平均透過率」の平均値を用いてもよい。「無偏光光線の平均反射率」は、「S偏光光線の平均反射率」と「P偏光光線の平均反射率」の平均値を用いてもよい。
垂直方向から入射する無偏光光線の反射率を測定することは、限りなく困難であるため、本発明では、垂直方向から5°の角度から入射する無偏光光線の反射特性を測定した。
(R)波長370〜430nmに、光学フィルターの少なくとも一方の面の垂直方向から5°の角度で入射する無偏光光線の反射率が50%となる波長λrefUV50を有する
要件(R)を満たすことにより、劣化を促進する紫外線を反射する機能と青色の反射光におけるゴーストを低減する機能とを容易に両立することができる。λrefUV50が前記範囲を下回る場合、光学フィルターや固体撮像装置に用いる撮像素子が、紫外線により劣化しやすくなる傾向にある。また、λrefUV50が前記範囲を上回る場合であって、そのフィルターを固体撮像装置、センサー用途、カメラモジュール等に用いた場合、光学フィルター表面で反射した青色光がゴーストとなり画像不良を起こしやすくなる。
前記λrefUV50は、より好ましくは380〜430nm、さらに好ましくは390〜430nm、特に好ましくは395〜425nmにあることが望ましい。
(S)波長1150〜1600nmに、光学フィルターの少なくとも一方の面の垂直方向から5°の角度で入射する無偏光光線の反射率が90%となる最も短波長の値λrefIR90を有する
要件(S)を満たすことにより、光学フィルターに入射する光の入射角が高角度になった場合でも、波長1100nmの近赤外線の透過率をより低く抑えることができる。このため、要件(S)を満たすフィルターを画角が広い薄型の固体撮像装置や、センサー、カメラモジュール等に使用した場合、近赤外線によるフィルターや撮像素子、センサー、カメラモジュール等の昇温を防ぐことができ、熱ノイズの発生を抑制することができる。また、ハロゲンランプ、ハロゲンヒーター、白熱電球、炎、近赤外線センサーなどの人間の目に見えない近赤外線を多く発する光源を撮像した際においても、人間の目で見える画像に近い良好な画像を容易に得ることができる。
前記λrefIR90は、より好ましくは1250〜1600nm、さらに好ましくは1280〜1500nm、いっそう好ましくは1300〜1500nm、特に好ましくは1330〜1500nm、最も好ましくは1360〜1500nmにあることが望ましい。
λrefIR90が前記範囲にあると、高角度入射時に、誘電体多層膜による反射帯域が短波長側にシフトした場合であっても、波長1100nmの光の透過率を低く維持することができ、好適である。
(T)λrefIR90/λtraUV5≧3.10
要件(T)を満たすことにより、近赤外線反射帯域の約4分の1の光学膜厚の層の積層体(誘電体多層膜)を用いた従来の光学フィルターでは得られなかった、光学フィルターの面方向に対して垂直方向から入射した光の青色帯域およびその近傍の可視光帯域の高い透過率と、高角度入射時の波長1100nmの近赤外線の低い透過率とをより容易に両立することができる。このため、要件(T)を満たすフィルターを画角が広い薄型の固体撮像装置や、センサー、カメラモジュール等に使用した場合、撮像素子の青色等の視感度補正に優れ、また人間の目に見えない近赤外線を多く発する光源を撮像した際においても、人間の目で見える画像に近い良好な画像を容易に得ることができる。
前記λrefIR90/λtraUV5は、より好ましくは3.13以上、さらに好ましくは3.15以上、いっそう好ましくは3.20以上、特に好ましくは3.26以上、最も好ましくは3.34以上であり、高角度入射時に可視光帯域の高い透過率を容易に維持できる等の点から、好ましくは4.10以下であり、より好ましくは3.8以下である。λrefIR90/λtraUV5が前記上限を超える場合、設ける誘電体多層膜の層数が増える傾向にあり、得られる光学フィルターの反りを抑えることが困難となる場合がある、または、高角度入射時に可視光帯域の高い透過率を満たすことが困難となる場合がある。
(U)波長1000〜1200nmにおける、光学フィルターの少なくとも一方の面の垂直方向から5°の角度で入射する無偏光光線の平均反射率が90%以上である
要件(U)を満たすことにより、光学フィルターに入射する光の入射角が高角度になった場合でも、波長1100nmの近赤外線の透過率をより低く抑えることができる。要件(U)を満たすフィルターを画角が広い薄型の固体撮像装置や、センサー、カメラモジュール等に使用した場合、近赤外線によるフィルターや撮像素子、センサー、カメラモジュール等の昇温を防ぐことができ、熱ノイズの発生を抑制することができる。また、ハロゲンランプ、ハロゲンヒーター、白熱電球、炎、近赤外線センサーなどの人間の目に見えない近赤外線を多く発する光源を撮像した際においても、人間の目で見える画像に近い良好な画像を容易に得ることができる。
前記平均反射率は、好ましくは92%以上、より好ましくは95%以上、特に好ましくは98%以上である。前記平均反射率は高ければ高い方が好ましく、例えば、上限は100%である。
本フィルターは、波長300〜1600nmの領域において、下記要件(V)〜(W)を満たすことが好ましい。
(V)波長1150〜1600nmに、光学フィルターの少なくとも一方の面の垂直方向から5°の角度で入射する無偏光光線の反射率が95%となる最も短波長の値λrefIR95を有する
要件(V)を満たすことにより、光学フィルターに入射する光の入射角が高角度になった場合でも、波長1100nmの近赤外線の透過率をより低く抑えることができる。このため、要件(V)を満たすフィルターを画角が広い薄型の感度の高い固体撮像装置や、センサー、カメラモジュール等に使用した場合、近赤外線によるフィルターや撮像素子、センサー、カメラモジュール等の昇温をより防ぐことができ、熱ノイズの発生を抑制することができる。また、ハロゲンランプ、ハロゲンヒーター、白熱電球、炎、近赤外線センサーなどの人間の目に見えない近赤外線を多く発する光源を撮像した際においても、人間の目で見える画像に近い良好な画像を容易に得ることができる。
前記λrefIR95は、より好ましくは1250〜1600nm、さらに好ましくは1280〜1500nm、いっそう好ましくは1300〜1500nm、特に好ましくは1330〜1500nm、最も好ましくは1360〜1500nmにあることが望ましい。
λrefIR95が前記範囲にあると、高角度入射時に、誘電体多層膜による近赤外線反射帯域が短波長側にシフトした場合であっても、波長1100nmの光の透過率を低く維持することができ、好適である。
(W)λrefIR95/λtraUV5≧3.10
要件(W)を満たすことにより、近赤外線反射帯域の約4分の1の光学膜厚の層の積層体(誘電体多層膜)を用いた従来の光学フィルターでは得られなかった、光学フィルターの面方向に対して垂直方向から入射した光の青色帯域およびその近傍の可視光帯域の高い透過率と、高角度入射時の波長1100nmの近赤外線の低い透過率とを容易に両立することができる。このため、要件(W)を満たすフィルターを画角が広い薄型の固体撮像装置や、センサー、カメラモジュール等に使用した場合、撮像素子の青色等の視感度補正に優れ、また人間の目に見えない近赤外線を多く発する光源を撮像した際においても、人間の目で見える画像に近い良好な画像を容易に得ることができる。一方、要件(W)を満たさない光学フィルターにおいて、青色帯域およびその近傍の可視光帯域の透過率が高くなるように設計した場合、高角度入射時の波長1100nmの近赤外線の透過率を低くすることが困難となる傾向にあり、高角度入射時の波長1100nmの近赤外線の透過率が低くなるように設計した場合、青色帯域およびその近傍の可視光帯域の透過率を高くすることが困難となる傾向にある。
青色帯域およびその近傍の可視光帯域の透過率が高くなるように設計した場合であっても、高角度入射時の波長1100nmの近赤外線の透過率を低くできる等の点から、前記λrefIR95/λtraUV5は、より好ましくは3.15以上、さらに好ましくは3.21以上、いっそう好ましくは3.27以上、特に好ましくは3.34以上、最も好ましくは3.40以上であり、高角度入射時に可視光帯域の高い透過率を容易に維持できる等の点から、好ましくは4.10以下であり、より好ましくは3.8以下である。λrefIR95/λtraUV5が前記上限を超える場合、高角度入射時に可視光帯域の高い透過率を満たすことが困難となる場合がある。
本フィルターは、波長300〜1600nmの領域において、下記要件(X)を満たすことが好ましい。
(X)波長620〜715nmに、光学フィルターの面方向に対して垂直方向から入射した光の透過率が50%となる波長λIR50を有する
要件(X)を満たすフィルターを固体撮像装置、センサー用途またはカメラモジュール等に使用した場合、固体撮像装置やセンサー、カメラモジュール等の感度を人間の目の比視感度曲線に近い特性とすることが容易となり、特に得られる画像の赤みの視感度補正により優れる。
λIR50は、好ましくは620〜680nm、より好ましくは620〜670nm、さらに好ましくは620〜660nm、特に好ましくは625〜650nmにあることが望ましい。λIR50が前記範囲を下回る場合、人間の目で見える画像よりも得られる画像の赤みが低下し、視感度補正が不十分になる傾向にあり、前記範囲を上回る場合、人間の目で見える画像よりも得られる画像の赤みが上昇し、視感度補正が不十分になる傾向にある。
固体撮像装置やカメラモジュール等で得られる画像における青色付近の色の面内分布により優れる等の点から、本フィルターは、波長420〜450nmにおける、光学フィルターの面方向に対して垂直方向から入射した光の平均透過率が、好ましくは65%以上、より好ましくは70%以上、特に好ましくは80%以上である。前記平均透過率は高ければ高い方が好ましく、例えば、上限は100%である。
固体撮像装置やカメラモジュール等で得られる画像における赤色付近の色の面内分布により優れる等の点から、本フィルターは、波長600〜650nmにおける、光学フィルターの面方向に対して垂直方向から入射した光の平均透過率が30〜96%であることが好ましい。
該平均透過率が前記範囲を下回る場合であって、そのフィルターを固体撮像装置に用いた場合、赤色の感度不足により得られる画像の赤色の色再現性が困難となる傾向にあり、前記範囲を上回る場合であって、そのフィルターを固体撮像装置に用いた場合、固体撮像素子の感度と人間の視感度との差において、視感度補正が十分ではない傾向にあり、得られる画像が赤みを帯びた色となる傾向にある。
前記平均透過率は、好ましくは35〜85%、より好ましくは40〜80%、さらに好ましくは45〜80%、特に好ましくは50〜75%、最も好ましくは50〜70%である。
本フィルターは、光学フィルターの面方向に対して垂直方向から45°の角度で入射した波長1100nmの光の透過率が、好ましくは2.0%以下、より好ましくは1.5%以下、特に好ましくは1.1%以下である。
本フィルターが、前記透過率を有すると、光学フィルターに入射する光の入射角が高角度になった場合でも、撮像素子が感度を有する波長1100nmの光の透過率を低く保つことが容易となり、本フィルターは、この波長に感度を有する撮像素子等を用いる場合のフィルターとして好適に用いることができる。
本フィルターは、波長1100〜1150nmにおける、光学フィルターの面方向に対して垂直方向から45°の角度で入射した光の平均透過率が、好ましくは10.0%以下、より好ましくは8.0%以下、特に好ましくは4.0%以下である。
本フィルターが、前記平均透過率を有すると、光学フィルターに入射する光の入射角が高角度になった場合でも、撮像素子が感度を有する波長1100nmの光の透過率を低く保つことが容易となり、本フィルターは、この波長に感度を有する撮像素子等を用いる場合のフィルターとして好適に用いることができる。
本フィルターは、波長600〜750nmにおいて、光学フィルターの面方向に対して垂直方向から入射した光の透過率が5%となる波長Xaと、光学フィルターの面方向に対して垂直方向から45°の角度で入射した光の透過率が5%となる波長Xbとを有し、XaとXbとの差の絶対値が、好ましくは50nm以下、より好ましくは35nm以下、特に好ましくは30nm以下である。
XaとXbとの差の絶対値が前記範囲にあると、吸収波長の入射角依存性が小さく、視野角の広い近赤外線カットフィルターを容易に得ることができる。
波長300〜1600nmの領域において、本フィルターは、さらに以下の要件(α)を満たすことが好ましい。
(α)光学フィルターの少なくとも一方の面方向に対して垂直方向から5°の角度で入射する無偏光光線の波長440〜580nmの平均反射率が4%以下
要件(α)を満たす光学フィルターを、固体撮像装置、センサー用途またはカメラモジュール等に使用した場合、レンズやセンサー表面で反射した光が光学フィルター表面で反射し再度センサーへ入射する、または、光学フィルターの表面で反射した光がレンズやフレーム等で反射し、再度センサーへ入射することによる画質不良であるゴーストを容易に低減することができる。
前記平均反射率は、好ましくは3%以下であり、より好ましくは2.5%以下である。
本フィルターの厚みは0.01〜0.21mm、より好ましくは0.015〜0.14mm、特に好ましくは0.02〜0.12mmである。
厚みが前記範囲を下回る場合、本フィルターが有する誘電体多層膜の応力によって反りが発生しやすく、固体撮像装置やセンサー、カメラモジュール等に用いることが困難となる場合がある。また、厚みが前記範囲を上回る場合、薄型の固体撮像装置やセンサー、カメラモジュール等に用いることが困難となる傾向にある。
<基板>
前記基板は、本発明の効果を損なわない限り、材質、形状等は特に制限されないが、例えば、無機材などを含む基板、樹脂などを含む基板が挙げられ、板状体であることが好ましい。該基板は、図1(A)または(B)のように単層であっても、図1(C)〜(G)のように多層であってもよいが、添加剤を含む層を有することが好ましい。
前記基板としては、具体的には、下記(a)〜(c)等が挙げられる。これらの中でも、所望の光学特性を有する光学フィルターを容易に得ることができる等の点から、下記(b)および(c)が好ましい。
(a)無機材からなる基板(近赤外線領域や近紫外線領域等に吸収を有していても有していなくてもよい)
(b)樹脂からなる基板(樹脂製基板、該基板は、下記添加剤を含まなくてもよいが、下記添加剤を含む基板であることが好ましい)
(c)無機材製支持体や樹脂製支持体上に樹脂層が積層された基板(無機材製支持体は、近赤外線領域や近紫外線領域等に吸収を有していても有していなくてもよい。樹脂製支持体や樹脂層は、下記添加剤を含まなくてもよいが、これらのうち少なくとも一方は、下記添加剤を含むことが好ましい。)
前記基板の厚みは特に制限されず、所望の用途に応じて適宜選択すればよいが、好ましくは0.01〜0.2mm、より好ましくは0.015〜0.15mm、特に好ましくは0.02〜0.1mmである。
基板の厚みが前記範囲にあると、取り扱い容易性に優れる光学フィルターが得られ、得られたフィルターを用いた固体撮像装置やカメラモジュール等を薄くすることができ、より小型化が可能となる。
〈無機材〉
前記無機材としては特に限定されないが、石英、ホウケイ酸塩系ガラス、ケイ酸塩系ガラス、化学強化ガラス、物理強化ガラス、ソーダガラス、リン酸塩系ガラス、アルミナガラス、サファイアガラス、色ガラス等が挙げられる。これらの市販品としては、SCHOTT社製の、D263、BK7、B270、KG1またはKG1を前記基板の厚みにしたもの、KG3またはKG3を前記基板の厚みにしたもの、KG5またはKG5を前記基板の厚みにしたもの、HOYA(株)製の、C5000やC5000を前記基板の厚みにしたもの、CD5000やCD5000を前記基板の厚みにしたもの、E−CM500SやE−CM500Sを前記基板の厚みにしたもの、コーニング社製の、GorillaGlass、WillowGlass、松浪硝子工業(株)製の、BS1〜11およびBS1〜11を前記基板の厚みにしたもの、日本ガイシ(株)製のハイセラム等が挙げられる。これらの中でも可視光透過率の高さと近赤外線遮蔽性能に優れる等の点から、ホウケイ酸塩系ガラスまたはリン酸塩系ガラスが好ましく、ホウケイ酸塩系ガラスとしては、特に制限されないが、前記D263、BK7、B270、KG1、KG3、KG5等が挙げられ、リン酸塩系ガラスとしては、特に制限されないが、銅原子を含むリン酸銅塩系ガラス等が挙げられる。銅原子を含むリン酸銅塩系ガラスは、例えば、特表2015−522500号公報、国際公開第2011/071157号、国際公開第2017/208679号に記載の方法で得ることができる。リン酸塩系ガラスとしては、高温高湿環境下において光学特性の変化が少ない傾向にあるフッ素原子を含むフツリン酸塩系ガラスが好ましい。
〈樹脂〉
前記樹脂としては、本発明の効果を損なわない限り特に制限されないが、例えば、熱安定性および板状体への成形性等を確保し、かつ、100℃以上の蒸着温度で行う高温蒸着により誘電体多層膜を形成しうる基板とするため、ガラス転移温度(Tg)が、好ましくは110〜380℃、より好ましくは110〜370℃、さらに好ましくは120〜360℃である樹脂が挙げられる。また、前記樹脂のTgが140℃以上であると、樹脂に添加剤を高濃度に添加することでTgが低下した場合においても、誘電体多層膜を高温で蒸着形成し得る基板となるため、特に好ましい。
樹脂としては、当該樹脂のみからなる厚み0.05mmの樹脂板を形成した場合に、この樹脂板の全光線透過率(JIS K7375)が、好ましくは50〜96%、さらに好ましくは60〜96%、特に好ましくは70〜96%となる樹脂を用いることが望ましい。全光線透過率がこのような範囲となる樹脂を用いると、得られる基板は光学フィルムとして良好な透明性を示す。
樹脂のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により測定される、ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は、通常15,000〜350,000、好ましくは30,000〜250,000であり、数平均分子量(Mn)は、通常10,000〜150,000、好ましくは20,000〜100,000である。
樹脂としては、例えば、環状(ポリ)オレフィン系樹脂、芳香族ポリエーテル系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド(アラミド)系樹脂、ポリサルホン系樹脂、ポリエーテルサルホン系樹脂、ポリパラフェニレン系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリエチレンナフタレート系樹脂、フッ素化芳香族ポリマー系樹脂、(変性)アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、シルセスキオキサン系紫外線硬化型樹脂、マレイミド系樹脂、脂環エポキシ熱硬化型樹脂、ポリエーテルエーテルケトン系樹脂、ポリアリレート系樹脂、アリルエステル系硬化型樹脂、アクリル系紫外線硬化型樹脂、ビニル系紫外線硬化型樹脂およびゾルゲル法により形成されたシリカを主成分とする樹脂が挙げられる。これらの中では、環状(ポリ)オレフィン系樹脂、芳香族ポリエーテル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリイミド系樹脂、フッ素化芳香族ポリマー系樹脂、アクリル系紫外線硬化型樹脂を用いることが、透明性(光学特性)、耐熱性、耐リフロー性等のバランスにより優れる光学フィルターが得られる等の点で好ましい。
樹脂は、1種単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
[環状(ポリ)オレフィン系樹脂]
環状(ポリ)オレフィン系樹脂としては、下記式(X0)で表される単量体および下記式(Y0)で表される単量体からなる群より選ばれる少なくとも1種の単量体を用いて得られる樹脂、および当該樹脂を水素添加することで得られる樹脂が好ましい。
式(X0)中、Rx1〜Rx4はそれぞれ独立に、下記(i')〜(ix')より選ばれる原子または基を表し、kx、mxおよびpxはそれぞれ独立に、0〜4の整数を表す。
(i')水素原子
(ii')ハロゲン原子
(iii')トリアルキルシリル基
(iv')酸素原子、硫黄原子、窒素原子またはケイ素原子を含む連結基を有する、置換または非置換の炭素数1〜30の炭化水素基
(v')置換または非置換の炭素数1〜30の炭化水素基
(vi')極性基(但し、(ii')および(iv')を除く。)
(vii')Rx1とRx2またはRx3とRx4とが、相互に結合して形成されたアルキリデン基(但し、前記結合に関与しないRx1〜Rx4は、それぞれ独立に前記(i')〜(vi')より選ばれる原子または基を表す。)
(viii')Rx1とRx2またはRx3とRx4とが、相互に結合して形成された単環もしくは多環の炭化水素環または複素環(但し、前記結合に関与しないRx1〜Rx4は、それぞれ独立に前記(i')〜(vi')より選ばれる原子または基を表す。)
(ix')Rx2とRx3とが、相互に結合して形成された単環の炭化水素環または複素環(但し、前記結合に関与しないRx1とRx4は、それぞれ独立に前記(i')〜(vi')より選ばれる原子または基を表す。)
式(Y0)中、Ry1およびRy2はそれぞれ独立に、前記(i')〜(vi')より選ばれる原子または基を表すか、Ry1とRy2とが、相互に結合して形成された単環もしくは多環の脂環式炭化水素、芳香族炭化水素または複素環を表し、kyおよびpyはそれぞれ独立に、0〜4の整数を表す。
[芳香族ポリエーテル系樹脂]
芳香族ポリエーテル系樹脂は、下記式(1)で表される構造単位および下記式(2)で表される構造単位からなる群より選ばれる少なくとも1種の構造単位を有することが好ましい。
(式(1)中、R1〜R4はそれぞれ独立に、炭素数1〜12の1価の有機基を示し、a〜dはそれぞれ独立に、0〜4の整数を示す。)
(式(2)中、R1〜R4およびa〜dはそれぞれ独立に、前記式(1)中のR1〜R4およびa〜dと同義であり、Yは、単結合、−SO2−または−CO−を示し、R7およびR8はそれぞれ独立に、ハロゲン原子、炭素数1〜12の1価の有機基またはニトロ基を示し、gおよびhはそれぞれ独立に、0〜4の整数を示し、mは0または1を示す。但し、mが0のとき、R7はシアノ基ではない。)
また、前記芳香族ポリエーテル系樹脂は、さらに下記式(3)で表される構造単位および下記式(4)で表される構造単位からなる群より選ばれる少なくとも1種の構造単位を有していてもよい。
(式(3)中、R5およびR6はそれぞれ独立に、炭素数1〜12の1価の有機基を示し、Zは、単結合、−O−、−S−、−SO2−、−CO−、−CONH−、−COO−または炭素数1〜12の2価の有機基を示し、eおよびfはそれぞれ独立に、0〜4の整数を示し、nは0または1を示す。
(式(4)中、R7、R8、Y、m、gおよびhはそれぞれ独立に、前記式(2)中のR7、R8、Y、m、gおよびhと同義であり、R5、R6、Z、n、eおよびfはそれぞれ独立に、前記式(3)中のR5、R6、Z、n、eおよびfと同義である。)
[ポリエステル系樹脂]
ポリエステル系樹脂としては特に制限されず、例えば、特開2010−285505号公報や特開2011−197450号公報に記載されている方法で合成することができる。
[ポリイミド系樹脂]
ポリイミド系樹脂としては特に制限されず、繰り返し単位にイミド結合を含む高分子化合物であればよく、例えば、特開2006−199945号公報や特開2008−163107号公報に記載されている方法で合成することができる。
[ポリカーボネート系樹脂]
ポリカーボネート系樹脂として特に制限されないが、例えば、特開2008−163194号公報に記載されている方法で合成することができる。
[フッ素化芳香族ポリマー系樹脂]
フッ素化芳香族ポリマー系樹脂としては特に制限されないが、フッ素原子を少なくとも1つ有する芳香族環と、エーテル結合、ケトン結合、スルホン結合、アミド結合、イミド結合およびエステル結合からなる群より選ばれる少なくとも1つの結合を含む繰り返し単位とを含有するポリマーであることが好ましく、例えば、特開2008−181121号公報に記載されている方法で合成することができる。
[アクリル系紫外線硬化型樹脂]
アクリル系紫外線硬化型樹脂としては特に制限されないが、分子内に一つ以上のアクリル基もしくはメタクリル基を有する化合物と、紫外線によって分解して活性ラジカルを発生させる化合物を含有する樹脂組成物から合成されるものを挙げることができる。アクリル系紫外線硬化型樹脂は、前記基板として、無機材製支持体上や樹脂製支持体上に添加剤および硬化性樹脂を含む樹脂層(吸収層)が積層された基板や、添加剤を含有する樹脂製支持体上に硬化性樹脂等からなるオーバーコート層などの樹脂層が積層された基板を用いる場合、該硬化性樹脂として特に好適に使用することができる。
[ゾルゲル法により形成されたシリカを主成分とする樹脂]
ゾルゲル法によるシリカを主成分とする樹脂としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、ジメトキシジエトキシシラン、メトキシトリエトキシシランなどのテトラアルコキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシランなどのフェニルアルコキシシラン等から選ばれる1種以上のシラン類の加水分解によるゾルゲル反応により得られる化合物を樹脂として使用することができる。
[市販品]
樹脂としては、以下の市販品等を用いることができる。
環状(ポリ)オレフィン系樹脂の市販品としては、JSR(株)製ARTON、日本ゼオン(株)製ZEONOR、三井化学(株)製APEL、ポリプラスチックス(株)製TOPASなどを挙げることができる。ポリエーテルサルホン系樹脂の市販品としては、住友化学(株)製スミカエクセルPESなどを挙げることができる。ポリイミド系樹脂の市販品としては、三菱ガス化学(株)製ネオプリムLなどを挙げることができる。ポリカーボネート系樹脂の市販品としては、帝人(株)製ピュアエース、三菱ガス化学(株)製ユピゼータEP−5000などを挙げることができる。ポリエステル系樹脂の市販品としては、大阪ガスケミカル(株)製OKP4HTなどを挙げることができる。アクリル系樹脂の市販品としては、(株)日本触媒製アクリビュアなどを挙げることができる。シルセスキオキサン系紫外線硬化型樹脂の市販品としては、新日鐵化学(株)製シルプラスなどを挙げることができる。
〈基板の製造方法〉
前記樹脂製基板、樹脂製支持体、樹脂層は、例えば、溶融成形またはキャスト成形により形成することができ、さらに、必要により、成形後に、反射防止剤、ハードコート剤および/または帯電防止剤等のコーティング剤をコーティングすることで、オーバーコート層が積層された基板を製造することができる。
前記基板が、無機材製支持体や樹脂製支持体上に添加剤および樹脂を含有する樹脂層が積層された基板である場合、例えば、無機材製支持体や樹脂製支持体に添加剤を含む樹脂溶液を溶融成形またはキャスト成形することで、好ましくはスピンコート、スリットコート、インクジェットなどの方法にて塗工した後に溶媒を乾燥除去し、必要に応じてさらに光照射や加熱を行うことで、無機材製支持体や樹脂製支持体上に樹脂層が形成された基板を製造することができる。
[溶融成形]
前記溶融成形としては、具体的には、前記基板が樹脂と添加剤とを含む場合、樹脂と添加剤とを溶融混練りして得られたペレットを溶融成形する方法;樹脂と添加剤とを含有する樹脂組成物を溶融成形する方法;または、添加剤、樹脂および溶剤を含む樹脂組成物から溶剤を除去して得られたペレットを溶融成形する方法などが挙げられる。溶融成形方法としては、射出成形、溶融押出成形またはブロー成形などを挙げることができる。前記基板が無機材を含む場合、該無機材の融点や離型性に応じて、白金るつぼ、白金−ロジウムるつぼ、金るつぼ、イリジウムるつぼ、アルミナ磁器製るつぼ等を使用し、るつぼ内にて無機材を溶融した後、オーバーフロー法、フロート法などで成形する方法などが挙げられる。
[キャスト成形]
前記キャスト成形としては、添加剤、樹脂および溶剤を含む樹脂組成物を適当な支持体の上にキャスティングして溶剤を除去する方法;または添加剤と、光硬化性樹脂および/または熱硬化性樹脂とを含む硬化性組成物を適当な支持体の上にキャスティングして溶媒を除去した後、紫外線照射や加熱などの適切な手法により硬化させる方法などが挙げられる。
前記基板が、添加剤を含有する樹脂層からなる基板(樹脂製基板)である場合には、該基板は、キャスト成形後、支持体から塗膜を剥離することにより得ることができ、また、前記基板が、無機材製支持体や樹脂製支持体等の支持体などの上に添加剤および樹脂等を含有するオーバーコート層などの樹脂層が積層された基板である場合には、該基板は、例えば、キャスト成形後、塗膜を剥離しないことで得ることができる。
前記支持体としては、例えば、ガラス板、スチールベルト、スチールドラムおよび樹脂(例えば、ポリエステル、環状オレフィン系樹脂)製支持体が挙げられる。
さらに、無機材または樹脂製等の光学部品に、前記樹脂組成物をコーティングして溶剤を乾燥させる方法、または、前記硬化性組成物をコーティングして乾燥および硬化させる方法などにより、光学部品上に樹脂層を形成することもできる。
前記方法で得られた樹脂層や樹脂製基板中の残留溶剤量は可能な限り少ない方がよい。具体的には、前記残留溶剤量は、樹脂層や樹脂製基板100質量%に対して、好ましくは3質量%以下、より好ましくは1質量%以下、さらに好ましくは0.5質量%以下である。残留溶剤量が前記範囲にあると、変形や特性が変化しにくい、所望の機能を容易に発揮できる樹脂層や樹脂製基板を容易に得ることができる。
[添加剤]
前記基板は、本発明の効果を損なわない範囲において、酸化防止剤、蛍光消光剤、吸収剤(例:赤外線吸収剤、紫外線吸収剤)等の添加剤を含有してもよい。これら添加剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
前記酸化防止剤としては、例えば、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,2'−ジオキシ−3,3'−ジ−t−ブチル−5,5'−ジメチルジフェニルメタン、テトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイトが挙げられる。
前記赤外線吸収剤としては、特に限定されないが、例えば、スクアリリウム系化合物、フタロシアニン系化合物、ナフタロシアニン系化合物、クロコニウム系化合物、ヘキサフィリン系化合物、アゾ系化合物、ナフトキノン系化合物、オキソノール系化合物、ピロロピロール系化合物、トリアリールメタン系色素、ジイモニウム系化合物、ジチオール錯体系化合物、ジチオレン錯体系化合物、ジピロメテン系化合物、メルカプトフェノール錯体系化合物、メルカプトナフトール錯体系化合物、ポリメチン系化合物が挙げられる。
赤外線吸収剤としては特に限定されないが、特許第3366697号公報、特許第2846091号公報、特許第2864475号公報、特許第3703869号公報、特開昭60−228448号公報、特開平1−146846号公報、特開平1−228960号公報、特許第4081149号公報、特開昭63−124054号公報、「フタロシアニン−化学と機能−」(アイピーシー、1997年)、特開2007−169315号公報、特開2009−108267号公報、特開2010−241873号公報、特許第3699464号公報、特許第4740631号公報、国際公開第2013/054864号、国際公開第2015/025779号、国際公開第2017/051867号等に記載されている色素等が挙げられる。
前記赤外線吸収剤は、好ましくは670〜950nm、より好ましくは680〜900nm、さらに好ましくは685〜800nm、特に好ましくは685〜780nmの範囲に吸収極大波長を有することが望ましい。
前記範囲に吸収極大波長を有する赤外線吸収剤を含有する樹脂層や樹脂製基板を用いることで、赤色付近の色の入射角依存性が改良され、視感度補正により優れる光学フィルターを容易に得ることができる。
前記赤外線吸収剤の吸収極大波長は、赤外線吸収剤をジクロロメタン中に溶解させた溶液を用いて測定することができる。
前記紫外線吸収剤としては、例えば、アゾメチン系化合物、インドール系化合物、トリアゾール系化合物、トリアジン系化合物、オキサゾール系化合物、メロシアニン系化合物、シアニン系化合物、ナフタルイミド系化合物、オキサジアゾール系化合物、オキサジン系化合物、オキサゾリジン系化合物、ナフタル酸系化合物、スチリル系化合物、アントラセン系化合物、環状カルボニル系化合物が挙げられる。
前記紫外線吸収剤は、好ましくは350〜410nm、より好ましくは350〜405nm、さらに好ましくは360〜400nmの範囲に吸収極大波長を有することが望ましい。前記範囲に吸収極大波長を有することで、要件(C)および(O)を満たす光学フィルターを容易に得ることができる。
前記吸収極大波長は、紫外線吸収剤をジクロロメタン中に溶解させた溶液を用いて測定することができる。
前記添加剤は、前記樹脂層(樹脂製基板)を製造する際に、樹脂などとともに混合してもよいし、樹脂を合成する際に添加してもよい。
前記添加剤の添加量は、所望の特性に応じて適宜選択すればよいが、所望の特性を有する光学フィルターを容易に得ることができる等の点から、前記樹脂100質量部に対して、通常0.01〜5.0質量部、好ましくは0.05〜3.5質量部である。
〈吸収層〉
前記基板は、光を吸収する層(吸収層)を有することが好ましく、前記吸収剤を含有する吸収層を有することがより好ましい。該吸収層は、基板に1層含まれていてもよく、2層以上含まれていてもよい。2層以上含まれる場合、該吸収層は連続していてもよく、他の層を介していてもよく、前記支持体の一方の面側のみに存在していてもよく、前記支持体の両面に存在していてもよい。樹脂製基板が吸収層であってもよい。
基板が前記赤外線吸収剤を含有する場合、吸収極大波長が異なる二種以上の赤外線吸収剤を用いることが好ましい。これにより赤色付近の色の入射角依存性がより改良され、視感度補正により優れる光学フィルターを容易に得ることができる。可視光での高透過率を維持し、吸収作用によって優れた視感度補正効果を奏する吸収帯域を有する光学フィルターを容易に得ることができる等の点から、685〜780nmに吸収極大波長λ(DA_Tmin)を有する赤外線吸収剤を少なくとも1種含むことがより好ましく、685〜710nmに吸収極大波長λを有する第1の赤外線吸収剤(DA)と、波長710〜780nmに吸収極大波長λを有する第2の赤外線吸収剤(DB)とを含むことがより好ましい。これにより、可視光での高い透過率を維持しつつ、視感度補正に優れる光学フィルターを容易に得ることができる。
従って、前記と同様の理由から、前記基板は、波長300〜1600nmの領域において、下記要件(Y)を満たすことが好ましい。
(Y)波長685〜780nmに吸収極大波長λ(DA_Tmin)を有する
前記吸収極大波長λ(DA_Tmin)は、より好ましくは685〜710nmおよび710〜780nmにあることが望ましい。
なお、前記基板の吸収極大波長λは、基板の面方向に対して垂直方向から入射した光の透過率曲線における吸収ピークの波長のことをいう。
吸収極大波長λ(DA_Tmin)が前記範囲にある基板を用いることで、下記要件(Z)を満たすことが容易となる。
前記基板は、波長300〜1600nmの領域において、下記要件(Z)を満たすことが好ましい。
(Z)波長680〜800nmに、基板の面方向に対して垂直方向から入射した光の透過率が5%以下となる阻止帯域の幅を30nm以上有する
要件(Z)を満たすことにより、高角度入射時に、誘電体多層膜による近赤外線反射帯域が短波長側にシフトした場合であっても、赤色等の光の透過率の低下をより抑制することができる。そのため、このようなフィルターを固体撮像装置に用いた場合、画像の中央と端で色味が異なる色シェーディングを抑制することができ、良好な画像を得ることができる。
前記阻止帯域の幅は、より好ましくは35nm以上、さらに好ましくは45nm以上、特に好ましくは50nm以上であり、より好ましくは121nm以下である。
<誘電体多層膜>
本フィルターは、図1(A)のように、前記基板の一方の面に誘電体多層膜を有してもよく、図1(B)〜(G)のように、複数の誘電体多層膜を有してもよい。光学フィルターの反りを抑制できる等の点から、基板の両面に誘電体多層膜を有することが好ましい。基板の両面に誘電体多層膜を有する場合、各面の誘電体多層膜の総物理膜厚の差の絶対値は5.0μm未満であることがより好ましい。より好ましくは、4.0μm未満であり、いっそう好ましくは3.0μm未満、さらに好ましくは2.0μm未満、特に好ましくは1.5μm未満、最も好ましくは1.0μm未満である。
各面の誘電体多層膜の総物理膜厚の差の絶対値が0.1μm以上5.0μm未満の場合、反りを抑制する点から、一方の面の誘電体多層膜を形成する際の温度と、もう一方の面の誘電体多層膜を形成する際の温度が、10〜80℃程度異なるようにすることが好ましい。
誘電体多層膜は特に制限されないが、具体的には、高屈折率材料層、低屈折率材料層および中屈折率材料層のいずれか2層以上(の組み合わせ)を含む多層膜であることが好ましい。
前記高屈折率材料層を構成する材料としては、屈折率が2.0以上の材料が挙げられ、通常、屈折率が2.0〜3.6である材料が選択される。なお、本発明において、屈折率は、波長550nmの光における値を表す。
前記高屈折率材料層を構成する材料としては、例えば、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化タンタル、酸化ニオブ、酸化ランタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、チタン酸バリウム、ケイ素等を主成分とし、水素、酸化チタン、酸化ニオブ、酸化ハフニウム、酸化錫および/または酸化セリウム等を少量(例えば、主成分に対して0〜10質量%)含有させたもの;前記樹脂などの樹脂に前記酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化タンタル、酸化ニオブ、酸化ランタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、チタン酸バリウムおよび/またはケイ素等を分散させたものが挙げられる。
低屈折率材料層を構成する材料としては、屈折率が1.6未満の材料が挙げられ、通常、屈折率が1.2〜1.6未満である材料が選択される。このような材料としては、例えば、シリカ、フッ化ランタン、フッ化マグネシウム、六フッ化アルミニウムナトリウム;前記樹脂等の樹脂;シリカ、フッ化ランタン、フッ化マグネシウムおよび/または六フッ化アルミニウムナトリウムを前記樹脂に分散させたものが挙げられる。
中屈折率材料層を構成する材料としては、屈折率が1.6以上2.0未満の材料が挙げられる。このような材料としては、例えば、酸化アルミニウム、酸化ビスマス、酸化ユーロピウム、酸化イットリウム、酸化イッテルビウム、酸化サマリウム、酸化インジウム、酸化マグネシウム、酸化モリブデン;これらの材料と前記高屈折率材料層を構成する材料および/または前記低屈折率材料層を構成する材料とを混合したもの;前記高屈折率材料層を構成する材料と前記低屈折率材料層を構成する材料とを混合したもの;これらの材料を前記樹脂等の樹脂に分散させたものを混合したものが挙げられる。
前記誘電体多層膜は、1〜100nm程度の厚みの金属層および/または半導体層を有してもよい。これらの層を構成する材料としては、屈折率が0.1〜5.0の材料等が挙げられる。このような材料としては、金、銀、銅、亜鉛、アルミニウム、タングステン、チタン、マグネシウム、ニッケル、シリコン、水素化シリコン、ゲルマニウム等が挙げられる。これら金属層および半導体層は、可視光帯域の波長の消衰係数が高い傾向にあるため、これらの層を設ける場合には、厚みが1〜20nm程度の薄い層であることが好ましい。
誘電体多層膜を形成する方法については、これらの材料層を積層した誘電体多層膜が形成される限り特に制限はない。例えば、基板上に、直接、CVD法、スパッタ法、真空蒸着法、イオンアシスト蒸着法またはイオンプレーティング法等により、高屈折率材料層と低屈折率材料層とを交互に積層した誘電体多層膜、または、高屈折率材料層と中屈折率材料層と低屈折率材料層とを交互に積層した誘電体多層膜を形成することができる。樹脂を含む層を積層する場合、前述の基板の成形方法と同様に溶融成形またはキャスト成形などにより、好ましくはスピンコート、ディップコート、スリットコート、グラビアコートなどにより形成することができる。
これらの中でも、基板との密着性、湿度による誘電体多層膜の光学特性の変化が少ない等の点から、スパッタ法、イオンアシスト蒸着法、イオンプレーティング法が好ましく、成膜レートの速さ、異物の少なさからイオンアシスト蒸着法がより好ましい。
例えば、イオンアシスト蒸着を行うことができる装置としては、ビューラーライボルトオプティクス社製SYRUSproシリーズ、(株)オプトラン製OTFCシリーズ、(株)シンクロン製MICシリーズ、EPDシリーズ、新明和工業(株)製VCDシリーズ、(株)昭和真空製Sapioシリーズなどが挙げられる。
イオンアシスト蒸着では、蒸着の成膜レートを水晶振動子により制御し、誘電体多層膜の各層の光学膜厚を、反射強度から見積もる光学モニターにより制御することが好ましい。物理膜厚60nm以下の層を形成する場合、水晶振動子の成膜レートの積算値により膜厚を制御することが好ましい。水晶振動子の成膜レートの積算値により膜厚を制御することにより、光学モニターによる光学膜厚制御のズレを低減することができる。
本フィルターは、90℃以上の温度で形成された誘電体多層膜を少なくとも1つ有することが好ましい。90℃以上の温度で形成された誘電体多層膜を有することで、得られた光学フィルターを90℃に加熱した際における膜剥がれや誘電体多層膜の割れ、クラックの発生が少なくなる。光学フィルターの耐熱温度向上等の点から、誘電体多層膜の形成温度は、より好ましくは120℃以上である。
前記誘電体多層膜を蒸着によって形成する場合、該蒸着は、真空下で開始することが好ましく、蒸着開始時の真空度(以下「開始圧」ともいう。)は、好ましくは0.01Pa以下、より好ましくは0.005Pa以下、さらに好ましくは0.001Pa以下である。開始圧をより高真空とすることで、得られる誘電体多層膜中の含水率を下げることが可能となり、得られる光学フィルターが湿度に応じて光学特性が変化する現象を低減することができる。
誘電体多層膜をイオンアシスト蒸着によって形成する場合、該多層膜形成中の真空度は0.05Pa以下であることが好ましい。0.05Pa以下とすることで、得られる誘電体多層膜の平滑性がよく、ヘイズの低い光学フィルターを得ることができる。
また、イオンアシスト蒸着におけるイオン供給装置であるイオンガンに導入するガスは、酸素ガスまたは酸素ガスと希ガスとの混合ガスであることが好ましい。酸素ガスまたは酸素ガスと希ガスとの混合ガスを用いることで、可視光領域である波長440〜580nmの光の吸収が少なく、平滑性に優れ、結晶の少ない誘電体多層膜を得ることができる。
前記誘電体多層膜の構成を適切に設定することで、具体的には、高屈折率材料層および中屈折率材料層、低屈折率材料層等を構成する材料種、高屈折率材料層および中屈折率材料層、低屈折率材料層等の各層の厚み、積層の順番、ならびに積層数を適切に選択することで、前記要件を満たす光学フィルターを得ることができる。
[反射帯域]
誘電体多層膜は、光学干渉により、その透過率曲線において反射帯域を有することが好ましい。積層する各層の膜厚を適切に設定することで、該反射帯域を有する誘電体多層膜を得ることができる。ここで反射帯域とは、誘電体多層膜面から5°の角度から入射した光の反射率が90%以上となる波長帯域のことをいう。高角度入射時の波長1100nmの光の透過率を十分に下げるために、本フィルターに用いる誘電体多層膜の少なくとも一つは、その反射帯域に、1200〜1250nmの帯域を含むことが好ましく、1200〜1270nmの帯域を含むことがより好ましく、1200〜1290nmの帯域を含むことがさらに好ましく、1200〜1310nmの帯域を含むことが特に好ましい。
誘電体多層膜は、波長700〜1600nmに、100nm以上連続した反射帯域を有することが好ましい。この反射帯域の幅(波長範囲)を反射帯域幅という。
本フィルターに用いる誘電体多層膜の少なくとも一つは、反射帯域幅が385nm以上であることが好ましく、420nm以上であることがより好ましく、450nm以上であることが特に好ましく、500nm以上であることが最も好ましい。反射帯域幅が前記範囲にあると、要件(E)を満たす光学フィルターを容易に得ることができる。
また、本フィルターは、2つの誘電体多層膜を有し、その一方の誘電体多層膜の反射帯域幅が385nm以上であり、他方の誘電体多層膜の反射帯域幅が、好ましくは215nm以上、より好ましくは250nm以上、特に好ましくは280nm以上、最も好ましくは320nm以上であることが望ましい。
前記反射帯域幅を有する誘電体多層膜を含む光学フィルターは、波長700〜1600nmの範囲における広範囲の帯域を遮蔽することができ、高角度入射時に透過特性が短波長側にシフトした場合においても、波長1100nmの光の遮蔽性能を保つことができる。
本フィルターは、特に本フィルターに用いる誘電体多層膜の少なくとも一つは、下記要件(イ)〜(ハ)を満たすことが好ましい。
(イ)基板と隣接する3層以外および最外層以外に、物理膜厚が60nm以下である層が少なくとも2層連続した連続層aを有する
(ロ)前記連続層aに隣接して、物理膜厚が60nmより厚い層bを有する
(ハ)前記層bの連続層aとは反対側に隣接して、物理膜厚が60nm以下である層が少なくとも2層連続して連続層cを有する
また、本フィルターは、特に本フィルターに用いる誘電体多層膜の少なくとも一つは、下記要件(ニ)を満たすことが好ましい。
(ニ)波長550nmの光の屈折率が2.0以上であり、かつ、波長550nmにおける光学膜厚が160〜320nmである高屈折率層と、光学膜厚が160〜320nmであり、前記高屈折率層より低屈折率である層とを交互に連続して4層以上有する
要件(イ)〜(ハ)を満たす誘電体多層膜および要件(ニ)を満たす誘電体多層膜を用いることにより、近赤外線帯域に反射帯域を有し、近赤外線反射帯域の波長の約1/3の波長の透過率の低下を抑制することができ、高い青色透過率と、高角度入射時の低い近赤外線透過率を満たす光学フィルターを容易に得ることができる。また、要件(イ)〜(ハ)を満たす誘電体多層膜および要件(ニ)を満たす誘電体多層膜を用いることにより、要件(C)および(G)を満たす光学フィルターを容易に得ることができる。
なお、要件(イ)〜(ハ)を満たす誘電体多層膜および要件(ニ)を満たす誘電体多層膜は、要件(イ)〜(ニ)を満たす1つの誘電体多層膜であってもよく、要件(イ)〜(ハ)を満たす誘電体多層膜と要件(ニ)を満たす誘電体多層膜とは異なる誘電体多層膜であってもよい。
本フィルターに用いる誘電体多層膜の少なくとも一つは、要件(イ)〜(ハ)を満たす5層の組み合わせからなる層を層群とした時、該層群を2つ以上有することが好ましく、3つ以上有することがより好ましく、4つ以上有することが特に好ましい。なおここで、特定の層が帰属する層群は一つのみである。複数の層群が隣接した場合において、各層はいずれかの層群一つに帰属する。該層群の数の上限は特に制限されないが、数が増加するにつれ、積層する層数が増えることにより製造コストが増加し、誘電体多層膜の応力により反りやすくなり、界面数の増加によりヘイズが増加する傾向にある等の点から、好ましくは6つ以下、より好ましくは5つ以下である。
要件(イ)および(ハ)における、物理膜厚が60nm以下である少なくとも2層が連続した層(連続層a、c)は、好ましくは誘電体多層膜中に合わせて3個以上、より好ましくは5個以上、特に好ましくは7個以上有することが望ましい。なお、ここでは、連続層を構成する層を1つとしてカウントするのではなく、連続層自体を1つとしてカウントする。物理膜厚が60nm以下である少なくとも2層連続した層(連続層a、c)を多く有するほど高い青色透過率と、高角度入射時の低い近赤外線透過率との両立が容易となる。
連続層aおよびcは、それぞれ、物理膜厚が60nm以下である層が2層連続した連続層であることが好ましい。
基板に隣接する3層における物理膜厚60nm以下の層は、基板の複素屈折率と誘電体多層膜の複素屈折率とを整合し、可視光域での、局所的な透過率の低下(以下「リップル」ともいう。)の発生を抑制する目的で設けられる傾向にある。
誘電体多層膜の最外層に設ける物理膜厚60nm以下の層は、例えば空気などの入射媒体や出射媒体の屈折率と誘電体多層膜との複素屈折率を整合し、可視光域のリップルの発生を抑制する目的で設けられる傾向にある。
連続層aと連続層cとの間に存在する層bは、1層であることが好ましい。
要件(ニ)における交互に連続する層数(高屈折率層とそれより低屈折率の層との合計層数)は、より好ましくは8層以上、さらに好ましくは10層以上、特に好ましくは14層以上、最も好ましくは18層以上である。
誘電体多層膜が有する屈折率2.0以上の高屈折率層と該高屈折率層より低屈折率である層の交互積層数が増えるにつれ、近赤外線帯域の反射特性が上がる傾向にある。このため、このような誘電体多層膜を有する光学フィルターを固体撮像装置やセンサー、モジュールに用いた場合には、近赤外線センサーなどの人間の目に見えない近赤外線を多く発する光源を撮像した際においても、人間の目で見える画像に近い良好な画像を得ることができる。
反射帯域が720〜1250nmの範囲にあるフィルター(II)を作成する場合、フィルター(II)に用いる誘電体多層膜の少なくとも一つは、該反射帯域である波長720〜1250nmの1/2の光学膜厚、つまり、光学膜厚が360〜625nmの範囲にある層を有していてもよい。このような光学膜厚を有する層をキャビティーと呼び、該キャビティーを有する誘電体多層膜は、その反射帯域中に透過帯域を形成することが可能となる。波長720〜1250nmの範囲の近赤外線反射帯域中に透過帯域を有する光学フィルターでは、その反射帯域の1/2の光学膜厚、つまり、光学膜厚が360〜625nmの範囲にある層を有することが好ましい。光学膜厚が360〜625nmの範囲にある層を有することにより、要件(F)を満たす光学フィルターを容易に得ることができる。このため、反射帯域中の高い透過率と、この透過帯域周辺の低い透過率とを両立することが可能となる。キャビティーは複数有してもよい。キャビティーを2つ有する誘電体多層膜はダブルキャビティー型、キャビティーを3つ有する誘電体多層膜はトリプルキャビティー型と呼ばれ、キャビティーが1つであるシングルキャビティー型と比べ透過帯域を広く確保することが可能となる。
<その他の機能膜>
本フィルターは、本発明の効果を損なわない範囲において、基板と誘電体多層膜との間、基板の誘電体多層膜が設けられた面と反対側の面、または誘電体多層膜の基板が設けられた面と反対側の面に、基板と誘電体多層膜との密着性の向上、基板や誘電体多層膜の表面硬度の向上、耐薬品性の向上、帯電防止、傷消しなどの目的で、密着層(接着層)、反射防止層、ハードコート膜、帯電防止膜などの機能膜を適宜有していてもよい。
本フィルターは、前記機能膜を1層含んでもよく、2層以上含んでもよい。本フィルターが前記機能膜を2層以上含む場合には、同様の層を2層以上含んでもよいし、異なる層を2層以上含んでもよい。
機能膜を積層する方法としては特に制限されないが、反射防止剤、ハードコート剤および/または帯電防止剤等のコーティング剤などを基板や誘電体多層膜に、前記と同様に溶融成形またはキャスト成形する方法等が挙げられる。
また、前記コーティング剤などを含む硬化性組成物を、バーコーター等の公知の方法で基板や誘電体多層膜上に塗布した後、紫外線照射等により硬化することによっても製造することができる。
前記コーティング剤としては、紫外線(UV)/電子線(EB)硬化型樹脂や熱硬化型樹脂などが挙げられ、具体的には、ビニル化合物類や、ウレタン系、ウレタンアクリレート系、アクリレート系、エポキシ系およびエポキシアクリレート系樹脂などが挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。これらのコーティング剤を含む前記硬化性組成物としては、ビニル系、ウレタン系、ウレタンアクリレート系、アクリレート系、エポキシ系およびエポキシアクリレート系硬化性組成物などが挙げられる。
前記硬化性組成物は重合開始剤を含んでいてもよい。該重合開始剤としては、公知の光重合開始剤や熱重合開始剤を用いることができ、光重合開始剤と熱重合開始剤を併用してもよい。
重合開始剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
前記硬化性組成物中、重合開始剤の配合割合は、硬化性組成物の全量を100質量%とした場合、好ましくは0.1〜10質量%、より好ましくは0.5〜10質量%、特に好ましくは1〜5質量%である。重合開始剤の配合割合が前記範囲にあると、硬化性組成物の硬化特性および取り扱い性に優れ、所望の硬度を有する反射防止層、ハードコート膜、帯電防止膜などの機能膜を容易に得ることができる。
前記硬化性組成物は有機溶剤を含有していてもよく、有機溶剤としては、公知の溶剤を使用することができる。有機溶剤の具体例としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、オクタノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、γ−ブチロラクトン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のエステル類;エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等のエーテル類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド類が挙げられる。
これら溶剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
前記機能膜の厚みは、好ましくは0.1〜30μm、より好ましくは0.1〜20μm、特に好ましくは0.1〜5μmである。
基板と機能膜および/または誘電体多層膜との密着性や、機能膜と誘電体多層膜との密着性を上げる目的で、基板、機能膜または誘電体多層膜の表面にコロナ処理やプラズマ処理等の表面処理をしてもよい。
[遮光層]
また、本フィルターは、図1(F)や(G)のように、光学フィルターの最表層または層中の一部に遮光層を有してもよい。遮光層は光を遮る(カットする)層であり、該遮光層を有することで、光学フィルターを具備する固体撮像装置やカメラモジュールにおいて、フレームやレンズで反射した光がセンサーに入射することを抑制でき、ゴーストが抑制された画像を容易に得ることができるため好ましい。
遮光層を形成する材料としては、熱硬化樹脂、紫外線硬化樹脂、熱可塑性樹脂などの樹脂材料、クロム、モリブデン、タングステン、鉄、ニッケル、チタン、低級酸化クロムなどの金属材料、黒鉛やカーボンナノチューブ、フラーレン等の炭素材料、顔料からなる吸収材料などが挙げられる。これらの材料は、それぞれ1種単独で、または2種以上を用いてもよく、これらの材料のうち2種以上を用いてもよい。これらの中でも、形状制御の容易性等の点から紫外線硬化樹脂を含むことが好ましい。
遮光層の厚みは、好ましくは0.1〜10μmである。
遮光層の厚みが0.1μm未満の場合、十分なOptical Density(以下「OD値」ともいう。)を得ることが困難となる傾向にあり、10μmを超える場合、遮光層端面における回折や反射の影響が大きくなる傾向にある。好ましくは厚み0.5〜4.0μmである。
光学フィルターに設ける遮光層は1箇所でも複数箇所でもよい。ここで、遮光層の数について、連続している層は一つの遮光層とみなし、遮光層を複数有するとは、非連続の遮光層を複数有することを意味する。
遮光層は、D65光源(国際照明委員会(CIE)により定義された標準光源)における全光線透過率において、OD値が、好ましくは3.0以上、より好ましくは4.0以上となる層であることが望ましい。
OD値が前記範囲にあると、迷光を十分に遮光することができる。
遮光層の形成方法としては特に制限されず、塗布方法、スパッタリング法、真空蒸着法等が挙げられる。
該塗布方法としては、スピンコート法、バーコート法、ディップコート法、キャスト法、スプレーコート法、ビードコート法、ワイヤーバーコート法、ブレードコート法、ローラーコート法、カーテンコート法、スリットダイコート法、グラビアコート法、スリットリバースコート法、マイクログラビア法、コンマコート法等が挙げられる。これらの方法における塗布は、複数回に分けて実施してもよい。
前記遮光層は、複数の遮光層と協同し、フレネルゾーンプレートやモザイクマスクを形成してもよい。フレネルゾーンプレートを形成した光学フィルターは、レンズの代替とすることができ、得られる固体撮像装置やカメラモジュール、センサーモジュール等をより薄型にすることができ好ましい。モザイクマスクを形成した光学フィルターは、レンズを不要とすることができ、得られる画像を計算処理することで、焦点距離を変えることができる画像データが得られることから好ましい。
<光学フィルターの用途>
本フィルターは、薄く、優れた視感度補正特性を有し、かつ入射光が高角度になっても、近赤外線帯域のカット特性に優れる。従って、高角度入射に対応した固体撮像装置、カメラモジュール、センサー等の固体撮像素子の視感度補正用として有用である。特に、デジタルスチルカメラ、携帯電話用カメラ、スマートフォン用カメラ、デジタルビデオカメラ、PCカメラ、監視カメラ、自動車用カメラ、テレビ、カーナビ、携帯情報端末、パソコン、ビデオゲーム機、携帯ゲーム機、指紋認証システム、環境光センサー、距離測定センサー、虹彩認証システム、顔認証システム、距離測定カメラ、デジタルミュージックプレーヤー等に有用である。
本フィルターを固体撮像装置やモジュールに用いる場合の各部材の配置の一例を図4に示す。この図4では、本フィルター1は、レンズ32、撮像素子(イメージセンサー)24と共に構成される。光学フィルター1は図4(A)のようにレンズの前方に位置しても、図4(B)のようにレンズの後方に位置してもよい。また、本フィルターは、図5(A)のようにフレネルゾーンプレートやフレネルレンズ、メタレンズなどのレンズとしての役割を有する光学素子33を用いたレンズレス固体撮像装置に用いてもよい。
前記カメラモジュールとしては、例えば、本フィルターを具備し、イメージセンサーや焦点調整機構、位相検出機構、距離測定機構、虹彩認証機構、静脈認証機構、顔認証機構、血流量計、酸化型または還元型ヘモグロビン量計、植生指数計等を備え、画像や情報を電気信号として出力する装置が挙げられる。このようなカメラモジュールとしては、図4のようにレンズを有する構成でもよいし、図5のようにレンズを有さない構成でもよい。
前記固体撮像素子を構成する部材としては、シリコン、ブラックシリコン、有機光電変換膜などの特定の波長の光を電荷に変換する光電変換素子が使用される。本フィルターは、ブラックシリコンや有機光電変換膜などの暗電流の抑制が難しい固体撮像素子を用いる用途に好適に用いられる。
[ブラックシリコン]
本フィルターを用いた固体撮像装置の受光部にはブラックシリコンを用いてもよい。ブラックシリコンは、例えば、シリコンウエハに、特定の雰囲気下でレーザー照射することにより、シリコン表面に微小スパイクを形成することで得ることができる。ブラックシリコンを用いた場合、シリコンフォトダイオードを用いた場合に比べ、近赤外線帯域の受光感度が高くなる等のため、ブラックシリコンは、近赤外線を用いた撮像素子により好適に用いられる。ブラックシリコンを用いたCMOSの市販品としては、SiOnyx社XQEシリーズ等が挙げられる。
以下、実施例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に何ら限定されない。なお、「部」は、特に断りのない限り「質量部」を意味する。また、各物性値の測定方法および物性の評価方法は以下のとおりである。
<分子量>
東ソー(株)製GPC装置(HLC−8220型、カラム:TSKgelα−M、展開溶剤:THF)を用い、標準ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)を測定した。
<ガラス転移温度(Tg)>
エスアイアイ・ナノテクノロジーズ(株)製の示差走査熱量計(DSC6200)を用いて、昇温速度:毎分20℃、窒素気流下で測定した。
<分光透過率>
光学フィルターの各波長域における透過率は、(株)日立ハイテクノロジーズ製の分光光度計(U−4100)を用いて測定した。
ここで、光学フィルターの面方向に対して垂直方向から入射した光の透過率は、図2(A)のように、光学フィルター1の面方向に対して垂直方向から、ハロゲンランプ((株)日立ハイテクフィールディング製、12V50W、PartNo.885−1200)を光源とする光6を入射し、垂直方向に透過した光6を分光光度計7で測定し、光学フィルターの面の垂直方向に対して45°の角度から入射した無偏光光線の透過率は、図2(B)のように、光学フィルター1の面の垂直方向に対して45°の角度から、ハロゲンランプ((株)日立ハイテクフィールディング製、12V50W、PartNo.885−1200)を光源とする光(S偏光光線およびP偏光光線)6’を入射し、該垂直方向に対して45°の角度で透過した光6’を分光光度計7で測定した。
なお、波長A〜Bnmの平均透過率は、Anm以上Bnm以下の、1nm刻みの各波長における透過率を測定し、その透過率の合計を、測定した透過率の数(波長範囲、B−A+1)で除した値により算出した。
無偏光光線の透過率は、S偏光透過率とP偏光透過率の平均より算出した値を用いた。
0°Tは0°入射時の透過率、45°Tは45°入射時の透過率を表す。
<分光反射率>
光学フィルターの各波長域における反射率は、(株)日立ハイテクノロジーズ製の分光光度計(U−4100)を用いて測定した。
ここで、光学フィルターの面の垂直方向に対して5°の角度で入射する無偏光光線の反射率は、図3のように光学フィルター1の面の垂直方向に対して5°の角度で入射する、ハロゲンランプ((株)日立ハイテクフィールディング製、12V50W、PartNo.885−1200)を光源とする無偏光光線が反射した光11を分光光度計7で測定した。
なお、波長A〜Bnmの平均反射率は、Anm以上Bnm以下の、1nm刻みの各波長における反射率を測定し、その反射率の合計を、測定した反射率の数(波長範囲、B−A+1)で除した値により算出した。
無偏光光線の反射率は、S偏光反射率とP偏光反射率の平均より算出した値を用いた。
5°Rは5°入射時の反射率を表す。
下記実施例で用いた赤外線吸収剤は、一般的に知られている方法で合成した。当該合成方法としては、例えば、特開昭60−228448号公報、特開平1−146846号公報、特開平1−228960号公報、特許第4081149号公報、特開昭63−124054号公報、「フタロシアニン−化学と機能−」(アイピーシー、1997年)、特開2007−169315号公報、特開2009−108267号公報、特開2010−241873号公報、特許第3699464号公報、特許第4740631号公報に記載されている方法を挙げることができる。
<樹脂合成例1>
下記式(8)で表される8−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン100部、1−ヘキセン(分子量調節剤)18部およびトルエン(開環重合反応用溶媒)300部を、窒素置換した反応容器に仕込み、この溶液を80℃に加熱した。次いで、反応容器内の溶液に、重合触媒として、トリエチルアルミニウムのトルエン溶液(濃度0.6mol/リットル)0.2部と、メタノール変性の六塩化タングステンのトルエン溶液(濃度0.025mol/リットル)0.9部とを添加し、この溶液を80℃で3時間加熱撹拌することにより開環重合反応させて、開環重合体溶液を得た。この重合反応における重合転化率は97%であった。
このようにして得られた開環重合体溶液1,000部をオートクレーブに仕込み、この開環重合体溶液に、RuHCl(CO)[P(C6533を0.12部添加し、水素ガス圧100kg/cm2、反応温度165℃の条件下で、3時間加熱撹拌して水素添加反応を行った。得られた反応溶液(水素添加重合体溶液)を冷却した後、水素ガスを放圧した。この反応溶液を大量のメタノール中に注いで凝固物を分離回収し、これを乾燥して、水素添加重合体(以下「樹脂A」ともいう。)を得た。得られた樹脂Aは、Mnが32,000、Mwが137,000であり、Tgが165℃であった。
[実施例1]
ホウケイ酸塩系ガラス基板(SCHOTT社製、D263、厚み0.1mm)の両面に、イオンアシスト真空蒸着装置を用い、開始圧0.0001Pa、蒸着温度120℃、イオンガンへの供給ガスとして酸素とアルゴンとの混合ガスを用いて、60nm以下の物理膜厚の層は水晶振動子の積算膜厚で制御し、表3の設計1のように誘電体多層膜[シリカ(SiO2:550nmの光の屈折率1.46)層と酸化チタン(TiO2:550nmの光の屈折率2.49)層とが交互に積層されてなるもの]を形成し、厚み0.11mmの光学フィルター1を得た。
得られた光学フィルター1の光学特性を図6および表8に示す。
[実施例2]
ホウケイ酸塩系ガラス支持体(SCHOTT社製、D263、厚み0.1mm)に、下記硬化性組成物溶液(1)をスピンコーターで塗布し、ホットプレート上80℃で2分間加熱して溶剤を揮発除去し、硬化層を形成した。この際、該硬化層の膜厚が0.8μm程度となるようにスピンコーターの塗布条件を調整した。次に、該硬化層上に、バーコーター((株)安田精機製作所製、オートマチックフィルムアプリケーター、型番542−AB)を用いて、下記樹脂組成物(1)を塗布し、ホットプレート上80℃で5分間加熱し、溶剤を揮発除去して樹脂層を形成した。この際、該樹脂層の膜厚が、10μm程度となるようにバーコーターの塗布条件を調整した。次いで、ガラス面側からUVコンベア式露光機(アイグラフィックス(株)製、アイ紫外硬化用装置、型式US2−X0405、60Hz)を用いて露光(露光量:500mJ/cm2、照度:200mW)し、その後オーブン中210℃で5分間焼成し、赤外線吸収剤を含有する樹脂製の吸収層を有する厚み0.111mmの基板を形成した。
硬化性組成物溶液(1):イソシアヌル酸エチレンオキサイド変性トリアクリレート(商品名:アロニックスM−315、東亜合成化学(株)製)30部、1,9−ノナンジオールジアクリレート20部、メタクリル酸20部、メタクリル酸グリシジル30部、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン5部、1−ヒドロキシシクロヘキシルベンゾフェノン(商品名:IRGACURE184、チバ・スペシャリティ・ケミカル(株)製)5部およびサンエイドSI−110主剤(三新化学工業(株)製)1部を混合し、固形分濃度が50wt%になるようにプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートに溶解した後、孔径0.2μmのミリポアフィルタでろ過した溶液
樹脂組成物(1):樹脂合成例1で得られた樹脂A 100部、後述の化合物(B)0.338部、化合物(C)0.945部、ジクロロメタン(溶剤、樹脂Aの濃度が10質量%となるよう使用)を含む組成物
得られた基板に、実施例1と同様にして、表3の設計2のように誘電体多層膜を形成し、厚み0.12mmの光学フィルター2を得た。
得られた光学フィルター2の光学特性を図7および表8に示す。
[実施例3]
容器に、樹脂合成例1で得られた樹脂A 100部、後述の化合物(A)0.048部およびジクロロメタンを加えて樹脂濃度が8質量%の溶液を調製した。得られた溶液をホウケイ酸塩系ガラス基材(SCHOTT社製、D263、厚み0.1mm)上にキャストし、60℃で8時間乾燥し、さらに減圧下140℃で4時間乾燥した後、基材から剥離することで、赤外線吸収剤を含有する厚み0.1mmの樹脂製の基板(吸収層)を得た。
得られた基板に、実施例1と同様にして、表3の設計3のように誘電体多層膜を形成し、厚み0.11mmの光学フィルター3を得た。
得られた光学フィルター3の光学特性を図8および表8に示す。
[実施例4]
容器に、樹脂合成例1で得られた樹脂A 100部、後述の化合物(B)0.0338部、後述の化合物(C)0.0945部およびジクロロメタンを加えて樹脂濃度が20質量%の溶液を調製した。得られた溶液をホウケイ酸塩系ガラス基材(SCHOTT社製、D263、厚み0.1mm)上にキャストし、60℃で8時間乾燥し、さらに減圧下140℃で4時間乾燥した後、基材から剥離することで、赤外線吸収剤を含有する厚み0.1mmの樹脂製の基板(吸収層)を得た。
得られた基板に、実施例1と同様にして、表4の設計4のように誘電体多層膜を形成し、厚み0.11mmの光学フィルター4を得た。
得られた光学フィルター4の光学特性を図9および表8に示す。
[実施例5]
容器に、樹脂合成例1で得られた樹脂A 100部とジクロロメタンを加えて樹脂濃度が8質量%の溶液(A)を得た。得られた溶液(A)をホウケイ酸塩系ガラス基材(SCHOTT社製、D263、厚み0.1mm)上にキャストし、60℃で8時間乾燥し、さらに減圧下140℃で4時間乾燥した後、基材から剥離し、厚み0.09mmの樹脂フィルムを得た。前記樹脂フィルム上にバーコーター((株)安田精機製作所製、オートマチックフィルムアプリケーター、型番542−AB)を用いて、下記樹脂組成物(3)を塗布し、フィルム外周4方をステンレス製治具で固定したまま、室温で30分静置後、60℃で8時間乾燥し、さらに減圧下140℃で4時間乾燥することで、赤外線吸収剤および紫外線吸収剤を含有する厚み0.10mmの樹脂製の基板(吸収層)を得た。この際、乾燥後の厚み増加分が0.01mmとなるようにバーコーターの塗布条件を調整した。
樹脂組成物(3):樹脂合成例1で得られた樹脂A 100部、後述の化合物(B)0.034部、後述の化合物(C)0.095部、後述の化合物(E)0.045部およびジクロロメタンを含む樹脂濃度が20質量%の溶液
得られた基板に、実施例1と同様にして、表4の設計5のように誘電体多層膜を形成し、厚み0.11mmの光学フィルター5を得た。
得られた光学フィルター5の光学特性を図10および表8に示す。
[実施例6]
容器に、樹脂合成例1で得られた樹脂A 100部、後述の化合物(B)0.068部、後述の化合物(C)0.189部およびジクロロメタンを加えて樹脂濃度が20質量%の溶液を調製した。得られた溶液をホウケイ酸塩系ガラス基材(SCHOTT社製、D263、厚み0.1mm)上にキャストし、60℃で8時間乾燥し、さらに減圧下140℃で4時間乾燥した後、基材から剥離することで、赤外線吸収剤を含有する厚み0.05mmの樹脂製の支持体(吸収層)を得た。
荒川化学工業(株)製ハードコート剤「ビームセット」を、バーコーター((株)安田精機製作所製、オートマチックフィルムアプリケーター、型番542−AB)を用い、コーターバーにより乾燥後の膜厚が各0.001mmとなるように、前記樹脂製の支持体の両面に塗布した。イナートオーブン(ヤマト科学(株)製イナートオーブンDN410I)を用い、80℃で3分間乾燥した後、UVコンベア(アイグラフィックス(株)製、アイ紫外硬化用装置、型式US2−X0405、60Hz)を用い、メタルハライドランプ(照度270mW/cm2、露光量500mJ/cm2)で硬化させ、透明な硬化層が形成された基板を得た。
得られた基板に、イオンアシスト真空蒸着装置を用い、面Xに対し、開始圧0.0001Pa、蒸着開始温度120℃で、面Yに対し、開始圧0.0001Pa、蒸着開始温度90℃で、イオンガンへの供給ガスとして酸素とアルゴンとの混合ガスを用いて、60nm以下の物理膜厚の層は水晶振動子の積算膜厚で制御し、表4の設計6のように誘電体多層膜[シリカ(SiO2:550nmの光の屈折率1.46)層と酸化チタン(TiO2:550nmの光の屈折率2.49)層とが交互に積層されてなるもの]を形成し、厚み0.06mmの光学フィルター6を得た。
得られた光学フィルター6の光学特性を図11および表8に示す。
[実施例7]
容器に、樹脂合成例1で得られた樹脂A 100部、後述の化合物(B)0.034部、後述の化合物(C)0.095部、後述の化合物(E)0.045部およびジクロロメタンを加えて樹脂濃度が20質量%の溶液を調製した。得られた溶液をホウケイ酸塩系ガラス基材(SCHOTT社製、D263、厚み0.1mm)上にキャストし、60℃で8時間乾燥し、さらに減圧下140℃で4時間乾燥した後、基材から剥離することで、赤外線吸収剤および紫外線吸収剤を含有する厚み0.1mmの樹脂製の支持体(吸収層)を得た。
荒川化学工業(株)製ハードコート剤「ビームセット」を、バーコーター((株)安田精機製作所製、オートマチックフィルムアプリケーター、型番542−AB)を用い、コーターバーにより乾燥後の膜厚が各0.002mmとなるように、前記樹脂製の支持体の両面に塗布した。イナートオーブン(ヤマト科学(株)製イナートオーブンDN410I)を用い、80℃で3分間乾燥した後、UVコンベア(アイグラフィックス(株)製、アイ紫外硬化用装置、型式US2−X0405、60Hz)を用い、メタルハライドランプ(照度270mW/cm2、露光量500mJ/cm2)で硬化させ、透明な硬化層が形成された基板を得た。
得られた基板に、実施例6と同様にして、表5の設計7のように誘電体多層膜を形成し、厚み0.11mmの光学フィルター7を得た。
得られた光学フィルター7の光学特性を図12および表8に示す。
[実施例8]
実施例2における樹脂組成物(1)を後述の樹脂組成物(4)に変えたこと以外実施例2と同様の手順で、赤外線吸収剤および紫外線吸収剤を含有する樹脂層を有する厚み0.111mmの基板を形成した。
樹脂組成物(4):樹脂合成例1で得られた樹脂A 100部、後述の化合物(A)0.04部、後述の化合物(B)0.184部、後述の化合物(C)0.945部、後述の化合物(D)0.21部、後述の化合物(E)0.75部、ジクロロメタン(溶剤、樹脂Aの濃度が10質量%となるよう使用)を含む組成物
得られた基板に、実施例6と同様にして、表5の設計8のように誘電体多層膜を形成し、厚み0.12mmの光学フィルター8を得た。
得られた光学フィルター8の光学特性を図13および表8に示す。
[実施例9]
近赤外線吸収ガラス支持体(松浪硝子工業(株)製、BS11を厚み0.05mmに研磨したもの)上に、前記硬化性組成物溶液(1)をスピンコートで塗布した後、ホットプレート上80℃で2分間加熱し溶剤を揮発除去し、硬化層を形成した。この際、該硬化層の膜厚が0.8μm程度となるようにスピンコーターの塗布条件を調整した。次に、該硬化層上に、バーコーター((株)安田精機製作所製、オートマチックフィルムアプリケーター、型番542−AB)を用い、コーターバーにより乾燥後の膜厚が各0.01mmとなるように下記樹脂組成物(5)を塗布した。次いで、ホットプレート上80℃で5分間加熱し、溶剤を揮発除去して樹脂層を形成した。その後、ガラス面側からUVコンベア式露光機を用いて露光(露光量:500mJ/cm2、照度:200mW)し、その後オーブン中210℃で5分間焼成して赤外線吸収剤および紫外線吸収剤を含有する樹脂製の吸収層を有する近赤外線吸収ガラス支持体からなる厚み0.06mmの基板を形成した。
樹脂組成物(5):樹脂合成例1で得られた樹脂A 100部、後述の化合物(B)0.25部、後述の化合物(E)0.75部、ジクロロメタン(溶剤、樹脂Aの濃度が20質量%となるよう使用)を含む組成物
得られた基板に、実施例6と同様にして、表5の設計9のように誘電体多層膜を形成し、厚み0.07mmの光学フィルター9を得た。
得られた光学フィルター9の光学特性を図14および表8に示す。
[実施例10]
容器に、樹脂合成例1で得られた樹脂A 100部、後述の化合物(B)0.068部、後述の化合物(C)0.189部、後述の化合物(E)0.09部およびジクロロメタンを加えて樹脂濃度が20質量%の溶液を調製した。得られた溶液をホウケイ酸塩系ガラス基材(SCHOTT社製、D263、厚み0.1mm)上にキャストし、60℃で8時間乾燥し、さらに減圧下140℃で4時間乾燥後、基材から剥離することで、赤外線吸収剤および紫外線吸収剤を含有する厚み0.05mmの樹脂製の基板(吸収層)を得た。
得られた基板に、実施例6と同様にして、表6の設計10のように誘電体多層膜を形成し、厚み0.06mmの光学フィルター10を得た。
得られた光学フィルター10の光学特性を図15および表8に示す。
[実施例11]
実施例2における樹脂組成物(1)を後述の樹脂組成物(6)に変えたこと以外実施例2と同様の手順で、赤外線吸収剤および紫外線吸収剤を含有する樹脂層を有する厚み0.111mmの基板を形成した。
樹脂組成物(6):樹脂合成例1で得られた樹脂A 100部、後述の化合物(B)0.338部、後述の化合物(C)0.945部、後述の化合物(E)0.45部、ジクロロメタン(溶剤、樹脂Aの濃度が10質量%となるよう使用)を含む組成物
得られた基板に、イオンアシスト真空蒸着装置を用い、面Xに対し、開始圧0.0001Pa、蒸着開始温度120℃で、イオンガンへの供給ガスとして酸素とアルゴンとの混合ガスを用いて、60nm以下の物理膜厚の層は水晶振動子の積算膜厚で制御し、表6の設計11のように誘電体多層膜[シリカ(SiO2:550nmの光の屈折率1.46)層と酸化チタン(TiO2:550nmの光の屈折率2.49)層とが交互に積層されてなるもの]を形成し、面Yに対し、開始圧0.0001Pa、蒸着開始温度70℃で、イオンガンへの供給ガスとして酸素とアルゴンとの混合ガスを用いて、60nm以下の物理膜厚の層は水晶振動子の積算膜厚で制御し、表6の設計11のように誘電体多層膜[シリカ(SiO2:550nmの光の屈折率1.46)層と酸化チタン(TiO2:550nmの光の屈折率2.49)層と酸化タンタル(Ta25:550nmの光の屈折率2.14)層とが交互に積層されてなるもの]を形成し、厚み0.12mmの光学フィルターを得た。
得られた光学フィルターの一方の面の上に、遮光性紫外線硬化型樹脂(東京応化工業(株)製CFPR−BK−416)をスピンコート法により、厚みが3μmとなるように塗布し、90℃で5分間加熱した後、その表面にフォトマスクを介して高圧水銀ランプにより露光量200mJ/cm2の紫外線を照射し硬化させた。その後、アルカリ現像液(東京応化工業(株)製「N−A3K」)で未露光部分を除去することで、光学フィルターの一方の面の外周に幅500μmまたは2mmの2種の遮光層を有する光学フィルター11を得た。
得られた光学フィルター11の遮光層を形成していない部分の光学特性を図16および表8に示す。
[実施例12]
容器に、樹脂合成例1で得られた樹脂A 100部、後述の化合物(A)0.004部、後述の化合物(B)0.018部、後述の化合物(C)0.095部、後述の化合物(D)0.021部、後述の化合物(E)0.075部およびジクロロメタンを加えて樹脂濃度が20質量%の溶液を調製した。得られた溶液をホウケイ酸塩系ガラス基材(SCHOTT社製、D263、厚み0.1mm)上にキャストし、60℃で8時間乾燥し、さらに減圧下140℃で4時間乾燥した後、基材から剥離することで、赤外線吸収剤および紫外線吸収剤を含有する厚み0.11mmの樹脂製の基板(吸収層)を得た。
得られた基板に、イオンアシスト真空蒸着装置を用い、面Xに対し、開始圧0.0001Pa、蒸着開始温度120℃で、イオンガンへの供給ガスとして酸素とアルゴンとの混合ガスを用いて、60nm以下の物理膜厚の層は水晶振動子の積算膜厚で制御し、表6の設計12のように誘電体多層膜[シリカ(SiO2:550nmの光の屈折率1.46)層と酸化チタン(TiO2:550nmの光の屈折率2.49)層とが交互に積層されてなるもの]を形成し、面Yに対し、開始圧0.0001Pa、蒸着開始温度70℃で、イオンガンへの供給ガスとして酸素とアルゴンとの混合ガスを用いて、60nm以下の物理膜厚の層は水晶振動子の積算膜厚で制御し、表6の設計12のように誘電体多層膜[シリカ(SiO2:550nmの光の屈折率1.46)層と酸化チタン(TiO2:550nmの光の屈折率2.49)層と酸化タンタル(Ta25:550nmの光の屈折率2.14)層とが交互に積層されてなるもの]を形成し、厚み0.12mmの光学フィルター12を得た。
得られた光学フィルター12の光学特性を図17および表8に示す。
[比較例1]
ホウケイ酸塩系ガラス製基板(SCHOTT社製、D263、厚み0.1mm)の一方の面にイオンアシスト真空蒸着装置を用いて、蒸着温度120℃でイオンガンへの供給ガスとして酸素とアルゴンとの混合ガスを用いて、60nm以下の物理膜厚の層は水晶振動子の積算膜厚で制御し、表7に記載の設計13の誘電体多層膜[シリカ(SiO2:550nmの光の屈折率1.46)層と酸化チタン(TiO2:550nmの光の屈折率2.49)層とが交互に積層されてなるもの]を形成し、厚み0.1mmの光学フィルター13を得た。
得られた光学フィルター13の光学特性を図18および表9に示す。
[比較例2]
実施例5において、樹脂組成物(3)の代わりに、下記樹脂組成物(7)を用い、かつ、誘電体多層膜を表7に記載の設計14に変えた以外は実施例5と同様の手順で、光学フィルター14を得た。得られた光学フィルター14の光学特性を図19および表9に示す。
樹脂組成物(7):樹脂合成例1で得られた樹脂A 100部、後述の化合物(B)0.034部、後述の化合物(C)0.095部、後述の化合物(E)0.09部およびジクロロメタンを含む樹脂濃度が20質量%の溶液
[比較例3]
誘電体多層膜を表7に記載の設計15に変えた以外は比較例2と同様の手順で、光学フィルター15を得た。得られた光学フィルター15の光学特性を図20および表9に示す。
[比較例4]
実施例9において、樹脂組成物(5)の代わりに、下記樹脂組成物(8)を用い、かつ、誘電体多層膜を表7に記載の設計16に変えた以外は実施例9と同様の手順で、光学フィルター16を得た。得られた光学フィルター16の光学特性を図21および表9に示す。
樹脂組成物(8):樹脂合成例1で得られた樹脂A 100部、後述の化合物(B)0.025部、後述の化合物(E)0.09部、ジクロロメタン(溶剤、樹脂Aの濃度が20質量%となるよう使用)を含む組成物
なお、1050nmを赤外反射帯域の中心波長とし、その反射帯域の約4分の1の光学膜厚のTiO2(550nmの屈折率2.49)とSiO2(550nmの屈折率1.46)との積層体を含む誘電体多層膜を設計した。この設計の誘電体多層膜を有する光学フィルターは、赤外反射帯域の約3分の1の波長である350〜400nmの波長域の光も反射していた。この誘電体多層膜を用いた場合には、高角度入射時に反射帯域が全体的に短波長側へシフトし、また、波長1100nmの光の透過率が上昇してしまった。
前記透過率の上昇を抑えるために、前記赤外反射帯域の中心波長をより長波長とすること、具体的には、誘電体多層膜を構成する各層の膜厚をより厚くすることで、赤外反射帯域を長波長側にシフトさせることができると考えられる。このように誘電体多層膜の赤外反射帯域を長波長側にシフトさせたことにより、該誘電体多層膜を有する光学フィルターは、45°入射時においても波長1100nmの透過率の上昇が抑えられるが、代わりに該反射帯域の約3分の1の波長である420〜450nmの透過率が低下してしまい、この光学フィルターを固体撮像装置に用いた場合、青色の視感度補正が不十分となった。
また、一般に反射帯域を形成する誘電体多層膜は、所望する反射帯域の約2分の1の波長で局所的に透過率の低下(リップル)が起こる。これを低減するために、誘電体多層膜では、積層する層毎に光学膜厚をばらつかせる手法を用いることが多い。
しかしながら、このような積層する層毎に光学膜厚をばらつかせた誘電体多層膜は、反射帯域の帯域幅が減る傾向にあり、0°入射における波長420〜450nmの光の高透過率と、高角度入射時の波長1100nmの光の低透過率を両立することが困難となる傾向にあることを確認した。具体的に、赤外反射帯域の約2分の1である可視光帯域におけるリップルを低減したところ、45°入射時の波長1100nmの光の透過率が上がってしまった。
<赤外線吸収剤>
化合物(A):ジクロロメタン中に溶解させた際の極大吸収波長698nm
化合物(B):ジクロロメタン中に溶解させた際の極大吸収波長704nm
化合物(C):ジクロロメタン中に溶解させた際の極大吸収波長733nm
化合物(D):ジクロロメタン中に溶解させた際の極大吸収波長738nm
<紫外線吸収剤>
化合物(E):オリエント化学工業(株)製「BONASORB UA−3911」
1・・・光学フィルター
2・・・基板
3,3’・・・誘電体多層膜
4,4’・・・機能膜または吸収層
5・・・遮光層
6,6’・・・光
7・・・分光光度計
11・・・反射光
24・・・イメージセンサー
25・・・イメージセンサーフレーム
26・・・フレーム
31・・・筐体
32・・・レンズ
33・・・フレネルゾーンプレートやフレネルレンズ等のレンズ代替光学素子

Claims (15)

  1. 基板上に誘電体多層膜を形成する工程を含み、波長300〜1600nmの領域において、下記要件(C)、(E)、(F)および(G)を満たす光学フィルターの製造方法。
    (C)波長380nm以上430nm未満に、光学フィルターの面方向に対して垂直方向から入射した光の透過率が5%となる最も長波長の値λtraUV5を有する
    (E)波長1000〜1200nmにおける、光学フィルターの面方向に対して垂直方向から入射した光の平均透過率が5%以下
    (F)波長1150〜1600nmに、光学フィルターの面方向に対して垂直方向から入射した光の透過率が5%となる最も短波長の値λtraIR5を有する
    (G)λtraIR5/λtraUV5≧3.10
  2. 前記光学フィルターがさらに下記要件(イ)〜(ハ)を満たす、請求項1に記載の製造方法。
    (イ)基板と隣接する3層以外および最外層以外に、物理膜厚が60nm以下である層が少なくとも2層連続した連続層aを有する
    (ロ)前記連続層aに隣接して、物理膜厚が60nmより厚い層bを有する
    (ハ)前記層bの連続層aとは反対側に隣接して、物理膜厚が60nm以下である層が少なくとも2層連続した連続層cを有する
  3. 前記光学フィルターがさらに下記要件(ニ)を満たす、請求項1または2に記載の製造方法。
    (ニ)波長550nmの光の屈折率が2.0以上であり、かつ、波長550nmにおける光学膜厚が160〜320nmである高屈折率層と、光学膜厚が160〜320nmであり、前記高屈折率層より低屈折率である層とを交互に連続して4層以上有する
  4. 基板と誘電体多層膜とを有し、波長300〜1600nmの領域において、下記要件(C)、(E)、(F)および(G)を満たす光学フィルター。
    (C)波長380nm以上430nm未満に、光学フィルターの面方向に対して垂直方向から入射した光の透過率が5%となる最も長波長の値λtraUV5を有する
    (E)波長1000〜1200nmにおける、光学フィルターの面方向に対して垂直方向から入射した光の平均透過率が5%以下
    (F)波長1150〜1600nmに、光学フィルターの面方向に対して垂直方向から入射した光の透過率が5%となる最も短波長の値λtraIR5を有する
    (G)λtraIR5/λtraUV5≧3.10
  5. 波長300〜1600nmの領域において、さらに下記要件(A)、(B)、(D)および(H)を満たす、請求項4に記載の光学フィルター。
    (A)波長300〜380nmにおける、光学フィルターの面方向に対して垂直方向から入射した光の平均透過率が5%以下
    (B)波長380〜430nmに、光学フィルターの面方向に対して垂直方向から入射した光の透過率が50%となる波長λUV50を有する
    (D)波長440〜580nmにおける、光学フィルターの面方向に対して垂直方向から入射した光の平均透過率が60%以上
    (H)波長720〜1000nmにおける、光学フィルターの面方向に対して垂直方向から入射した光の平均透過率が1%以下
  6. 波長300〜1600nmの領域において、さらに下記要件(A)、(B)、(D)、(J)および(K)を満たす、請求項4に記載の光学フィルター。
    (A)波長300〜380nmにおける、光学フィルターの面方向に対して垂直方向から入射した光の平均透過率が5%以下
    (B)波長380〜430nmに、光学フィルターの面方向に対して垂直方向から入射した光の透過率が50%となる波長λUV50を有する
    (D)波長440〜580nmにおける、光学フィルターの面方向に対して垂直方向から入射した光の平均透過率が60%以上
    (J)波長720〜1000nmにおける、光学フィルターの面方向に対して垂直方向から入射した光の平均透過率が30%以下
    (K)波長720〜1000nmに、光学フィルターの面方向に対して垂直方向から入射した光の透過率が50%以上となる波長を連続して5nm以上有する
  7. 波長300〜1600nmの領域において、さらに下記要件(O)〜(Q)を満たす、請求項4〜6のいずれか1項に記載の光学フィルター。
    (O)波長370nm以上430nm未満に、光学フィルターの面方向に対して垂直方向から入射した光の透過率が1%となる最も長波長の値λtraUV1を有する
    (P)波長1150〜1600nmに、光学フィルターの面方向に対して垂直方向から入射した光の透過率が1%となる最も短波長の値λtraIR1を有する
    (Q)λtraIR1/λtraUV1≧3.10
  8. 波長300〜1600nmの領域において、さらに下記要件(R)〜(U)を満たす、請求項4〜7のいずれか1項に記載の光学フィルター。
    (R)波長370〜430nmに、光学フィルターの少なくとも一方の面の垂直方向から5°の角度で入射する無偏光光線の反射率が50%となる波長λrefUV50を有する
    (S)波長1150〜1600nmに、光学フィルターの少なくとも一方の面の垂直方向から5°の角度で入射する無偏光光線の反射率が90%となる最も短波長の値λrefIR90を有する
    (T)λrefIR90/λtraUV5≧3.10
    (U)波長1000〜1200nmにおける、光学フィルターの少なくとも一方の面の垂直方向から5°の角度で入射する無偏光光線の平均反射率が90%以上である
  9. 波長300〜1600nmの領域において、さらに下記要件(V)および(W)を満たす、請求項4〜8のいずれか1項に記載の光学フィルター。
    (V)波長1150〜1600nmに、光学フィルターの少なくとも一方の面の垂直方向から5°の角度で入射する無偏光光線の反射率が95%となる最も短波長の値λrefIR95を有する
    (W)λrefIR95/λtraUV5≧3.10
  10. さらに下記要件(イ)〜(ハ)を満たす、請求項4〜9のいずれか1項に記載の光学フィルター。
    (イ)基板と隣接する3層以外および最外層以外に、物理膜厚が60nm以下である層が少なくとも2層連続した連続層aを有する
    (ロ)前記連続層aに隣接して、物理膜厚が60nmより厚い層bを有する
    (ハ)前記層bの連続層aとは反対側に隣接して、物理膜厚が60nm以下である層が少なくとも2層連続した連続層cを有する
  11. さらに下記要件(ニ)を満たす、請求項4〜10のいずれか1項に記載の光学フィルター。
    (ニ)波長550nmの光の屈折率が2.0以上であり、かつ、波長550nmにおける光学膜厚が160〜320nmである高屈折率層と、光学膜厚が160〜320nmであり、前記高屈折率層より低屈折率である層とを交互に連続して4層以上有する
  12. 波長300〜1600nmの領域において、前記基板が下記要件(Y)を満たす、請求項4〜11のいずれか1項に記載の光学フィルター。
    (Y)波長685〜780nmに吸収極大波長λ(DA_Tmin)を有する
  13. 波長300〜1600nmの領域において、前記基板が下記要件(Z)を満たす、請求項4〜12のいずれか1項に記載の光学フィルター。
    (Z)波長680〜800nmに、基板の面方向に対して垂直方向から入射した光の透過率が5%以下となる阻止帯域を30nm以上有する
  14. 請求項4〜13のいずれか1項に記載の光学フィルターを具備する固体撮像装置。
  15. 請求項4〜13のいずれか1項に記載の光学フィルターを具備するカメラモジュール。
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