JP2018159925A - 光学フィルターおよびその用途 - Google Patents

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寛之 岸田
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勝也 長屋
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Abstract

【課題】近赤外領域の入射角依存性が低いことと赤色の透過率特性に優れることを両立し、ゴーストを改善した光学フィルターを提供すること。
【解決手段】下記要件(A)〜(D)を満たすことを特徴とする光学フィルター:(A)波長430〜580nmの範囲において、垂直方向から測定した場合の透過率の平均値が75%以上;(B)波長800〜1000nmの範囲において、垂直方向から測定した場合の透過率の平均値が10%以下;(C)波長700〜750nmの範囲において、垂直方向から測定した場合の透過率の平均値が15%以上;(D)波長560〜800nmの範囲において、垂直方向から測定した場合の透過率が50%となる最も短い波長の値(Ya)と、垂直方向に対して30°の角度から測定した場合の透過率が50%となる最も短い波長の値(Yb)との差の絶対値が15nm未満である。
【選択図】なし

Description

本発明は、光学フィルターおよびその用途に関する。詳しくは、特定の光学特性を有する光学フィルター(例えば近赤外線カットフィルター)、ならびに該光学フィルターを用いた固体撮像装置およびカメラモジュールに関する。
ビデオカメラ、デジタルスチルカメラ、カメラ機能付き携帯電話などの固体撮像装置には、カラー画像の固体撮像素子であるCCDやCMOSイメージセンサーが使用されている。これら固体撮像素子は、その受光部において近赤外線に感度を有するセンサーを使用しているために、視感度補正を行うことが必要であり、光学フィルター(例えば近赤外線カットフィルター)を用いることが多い。
このような光学フィルターとしては、従来から、各種方法で製造されたものが使用されており、例えばノルボルネン系樹脂に誘電体多層膜を積層した、近赤外線反射膜を有する近赤外線カットフィルターが知られている(例えば特許文献1参照)。しかしながら、このような近赤外線反射膜を有する近赤外線カットフィルターでは、光線透過特性の入射角依存性が大きく、視野角が広い固体撮像装置では画像の中央と周辺部で色味が異なる不具合が発生していた。
入射角依存性を改良した例として、近赤外線吸収色素を含有する近赤外線カットフィルター等の光学フィルターが広く知られている。具体的には、基材として透明樹脂を用い、透明樹脂中に急峻な吸収特性を有する近赤外線吸収色素を含有させることで、近赤外領域の入射角依存性を改良した近赤外線カットフィルターが知られている(例えば、特許文献2参照)。
しかしながら、従来の近赤外線吸収色素を含有する近赤外線カットフィルター等の光学フィルターでは、近赤外線吸収色素によって波長700〜750nmの赤色の光線透過率が低くなり、赤色のセンサー感度を低下させる場合があった。従来の光学フィルターでは、含有する近赤外線吸収色素の濃度を薄く設計することで、赤色のセンサー感度を向上させることはできたが、入射角依存性は(吸収色素の濃度低下に伴う吸収幅の減少によって)悪化してしまっていた。そのため、赤色の入射角依存性を改良するとともに、波長700〜750nmの赤色の光線透過率を人間の視感度に合わせた適切な透過率にすることが求められている。
また、固体撮像素子の高性能化が進み、従来の光学フィルターでは、光学フィルターの反射によるゴーストにより画質を低下させる場合があった。特に波長680〜720nmの光線による光学フィルターの反射によって、一部の迷光がセンサーの別の位置に再入射することによるゴーストの発生が問題となっていた。それゆえ、波長680〜720nmの反射率を低くすることが求められている。
しかしながら、従来の光学フィルターは、上記ゴーストの抑制と赤色のセンサー感度向上とを両立する要求に対して十分に応えられていなかった。
特許第4513420号公報 特開平6−200113号公報
本発明の目的は、近赤外領域の入射角依存性が低いことと赤色の透過率特性に優れることを両立するとともにゴーストが改善された光学フィルターおよび該光学フィルターを用いた装置を提供することにある。
本発明の一態様に係る光学フィルターは、下記要件(A)〜(D)を満たすことを特徴とする。
(A)波長430〜580nmの範囲において、光学フィルターの面に対して垂直方向から測定した場合の透過率の平均値が75%以上である。
(B)波長800〜1000nmの範囲において、光学フィルターの面に対して垂直方向から測定した場合の透過率の平均値が10%以下である。
(C)波長700〜750nmの範囲において、光学フィルターの面に対して垂直方向から測定した場合の透過率の平均値が15%以上である。
(D)波長560〜800nmの範囲において、光学フィルターの面に対して垂直方向から測定した場合の透過率が50%となる最も短い波長の値(Ya)と、光学フィルターの面に対して垂直方向に対して30°の角度から測定した場合の透過率が50%となる最も短い波長の値(Yb)との差の絶対値が15nm未満である。
本発明によれば、近赤外領域の入射角依存性が低いことと赤色の透過率特性に優れることを両立するとともにゴーストが改善された光学フィルターおよび該光学フィルターを用いた装置を提供することができる。本発明の光学フィルターは近赤外線カットフィルターとして好適である。
本発明の光学フィルターの一例を示す模式図である。 本発明の光学フィルターの一例を示す模式図である。 有機光電変換素子を有するセンサーの構成例を示す模式図である。 有機光電変換素子を有するセンサーの画素配列例を示す模式図である。 (a)は、シリコンフォトダイオードによる光電変換素子の画素配列例、(b)は、緑色画素を有機光電変換素子により構成した画素配列例を示す模式図である。 光学フィルターの面に対して垂直方向から測定した場合の透過率を測定する方法の例を示す概略図である。 光学フィルターの面に対して垂直方向に対して30°の角度から測定した場合の透過率を測定する方法の例を示す概略図である。 光学フィルターの面に対して垂直方向に対して5°の角度から入射した光の反射率を測定する方法の例を示す概略図である。 カメラモジュールの一例を示す概略図である。 カメラモジュールにおけるゴースト発生メカニズムの一例を示す概略図である。 ゴーストの一例を示す模式図である。 実施例2で得られた光学フィルターの光学特性を示す図である。 比較例1で得られた光学フィルターの光学特性を示す図である。 比較例3で得られた光学フィルター6の光学特性を示す図である。 比較例4で得られた光学フィルター8の光学特性を示す図である。
本発明の実施の形態について、必要に応じて図面に基づいて説明するが、それらの図面は単に図解のために提供されるものであり、本発明はそれらの図面に何ら限定されない。また、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、厚みの比率等は実際のものとは異なることに留意されたい。さらに、以下の説明において、同一もしくは略同一の機能および構成を有する構成用途については、同一符号を付し、重複する説明は省略する。本発明の光学フィルターの一実施形態として、図1に示すように、基材10および近赤外線反射膜21、22を有する態様が挙げられる。また、本発明の光学フィルターは、図2に示すように、透明樹脂層12やその他の機能膜13を有してもよい。
[光学フィルター]
本発明の光学フィルターは、下記要件(A)〜(D)を満たす。
(A)波長430〜580nmの範囲において、光学フィルターの面に対して垂直方向から測定した場合の透過率の平均値が75%以上である。
(B)波長800〜1000nmの範囲において、光学フィルターの面に対して垂直方向から測定した場合の透過率の平均値が10%以下である。
(C)波長700〜750nmの範囲において、光学フィルターの面に対して垂直方向から測定した場合の透過率の平均値が15%以上である。
(D)波長560〜800nmの範囲において、光学フィルターの面に対して垂直方向から測定した場合の透過率が50%となる最も短い波長の値(Ya)と、光学フィルターの面に対して垂直方向に対して30°の角度から測定した場合の透過率が50%となる最も短い波長の値(Yb)との差の絶対値が15nm未満である。
要件(A)を満たす光学フィルターを使用することで、波長430nm〜580nmの範囲において固体撮像素子が取り込む光の量を多くできる。要件(A)における透過率の平均値は、好ましくは80%以上である。80%以上であれば、より暗い環境においても撮像が可能となる。
要件(B)を満たす光学フィルターを使用することで、波長800nm〜1000nmの範囲において固体撮像素子が取り込む光の量を少なくできる。これにより人間の目に見えない光を遮蔽することができる。要件(B)における透過率の平均値は、好ましくは1%以下、より好ましくは0.5%以下、さらに好ましくは0.1%以下である。
要件(C)を満たす光学フィルターを使用することで、波長700nm〜750nmの範囲において固体撮像素子が取り込む光の量が調整され、人間の視感度により近づけることができる。要件(C)における透過率の平均値は、好ましくは15%以上46%以下、より好ましくは20%以上46%以下、さらに好ましくは30%以上46%以下である。前記範囲であれば、固体撮像素子が取り込む光の量が調整され、人間の視感度により近づけることができる。
要件(D)を満たす光学フィルターを使用することで、波長560nm〜800nmの範囲において、固体撮像素子に入射される光の量の入射角依存性を低くできる。その結果、この波長の範囲における固体撮像素子の分光感度の入射角依存性を小さくできる。
本発明の光学フィルターは、さらに下記要件(E)を満たすことが好ましい。
(E)前記要件(D)における波長の値(Ya)が690nm以上760nm以下である。
要件(E)を満たす光学フィルターを使用することで、波長560nm〜800nmの範囲において、固体撮像素子が取り込む光の量が調整され、固体撮像装置を、赤色の感度を高く保ちながら、人間の視感度により近づけることができる。前記波長(Ya)は、好ましくは700nm以上750nm以下であり、より好ましくは700nm以上740nm以下である。この範囲であれば、人間の視感度が低い750nm以上の波長の範囲の光が固体撮像素子に入る量を減らすことができる。
本発明の光学フィルターは、さらに下記要件(Z1)および(Z2)を満たすことが好ましい。
(Z1)波長700nmにおいて、光学フィルターの面に対して垂直方向から測定した場合の反射率が、光学フィルターのどちらの面から入射した場合においても10%以下である。
(Z2)波長600nm以上の範囲において、光学フィルターの面に対して垂直方向から測定した場合の反射率が50%となる最も短い波長の値(Za)が、光学フィルターのどちらの面から入射した場合においても730nm以上である。
要件(Z1)および(Z2)を満たす光学フィルターを使用することで、光学フィルターで反射された光を原因とするゴーストの発生を抑制することができる。
誘電体多層膜からなる近赤外線反射膜は、光学フィルターの面からより高角度に斜入射になるにつれ反射帯域が短波長に移動する傾向にある。そのため、前記要件(Z2)における波長(Za)は、より好ましくは740nm以上、さらに好ましくは750nm以上、特に好ましくは780nm以上である。これにより、人間の目で確認される光において、光学フィルターの面に対して高角度に入射した光にでもゴーストが発生することを十分に抑制することができる。
本発明の光学フィルターは、近赤外線吸収剤を含有する基材と近赤外線反射膜を有することが好ましい。
近赤外線吸収剤を含有する基材を有する光学フィルターは、光学フィルターの近赤外線の反射を抑制することができ、ゴーストを低減することができる。近赤外線反射膜を有する光学フィルターは、近赤外線遮蔽性能に優れ、かつ波長430〜580nmの範囲の可視光線の透過性能に優れ、得られる固体撮像装置を高感度にすることができる。
前記近赤外線吸収剤は波長650〜850nmの範囲に吸収極大波長を有すること、および、該吸収極大波長における前記基材の透過率が10%となる量で前記近赤外線吸収剤を含有させた場合、波長430nm以上かつ該吸収極大波長以下の範囲において前記基材の透過率が70%となる最も長い波長(Aa)と、波長580nm以上の範囲において前記基材の透過率が30%となる最も短い波長(Ab)との差の絶対値が150nm未満であることが好ましい。
前記(Aa)と前記(Ab)との差の絶対値が150nm未満となる近赤外線吸収剤を含む基材を有する光学フィルターを使用することで、560nm〜800nmにおける人間の目に見える赤色の波長の光が適切に調整され、人間の視感度が低い750nm以上の波長の光が固体撮像素子に入る量を減らすことができ、固体撮像装置を人間の視感度により近づけることができる。前記(Aa)と前記(Ab)との差の絶対値は、好ましくは75nm以上である。これにより、赤色の波長の光を不用意に遮蔽することが減り、固体撮像装置の赤色の感度を上げることができる。
前記近赤外線吸収剤の好ましい範囲の特性である、波長650〜850nmに吸収極大波長を有すること、および、前記(Aa)と前記(Ab)との差の絶対値が150nm未満であることは、吸収剤1種の特性が満たしてもよく、複数種を混合した特性でもよい。また、複数種を混合した近赤外線吸収剤には、単独では特性を満たさないものを含んでもよい。
[基材]
前記基材は下記要件(X)を満たすことが好ましい。
(X)波長430〜850nmの範囲において、透過率が70%となる最も長い波長(Xa)と、波長580nm以上の波長領域において透過率が30%となる最も短い波長(Xb)との差の絶対値が75nm以上150nm未満である。
要件(X)を満たす基材を有する光学フィルターを使用することで、人間の視感度が低い750nm以上の波長の範囲の光が固体撮像素子に入る量を減らしながらも、赤色の波長の光を過剰に遮蔽することが減り、固体撮像装置を人間の視感度により近づけることができる。なお、前記要件(X)において、前記近赤外線吸収剤の吸収極大波長における前記基材の透過率は特に限定されない。なお、波長650〜850nmにおける近赤外線吸収剤の吸収極大波長が650nm〜700nmの場合、基材の該吸収極大波長における透過率は40〜70%であることが好ましく、吸収極大波長が701nm〜750nmの場合、基材の該吸収極大波長における透過率は20%〜60%であることが好ましく、吸収極大波長が751nm〜800nmの場合、基材の該吸収極大波長における透過率は10%〜50%であることが好ましく、吸収極大波長が801nm〜850nmの場合、基材の該吸収極大波長における透過率は0.1%〜30%であることが好ましい。上記範囲であれば、700nm〜750nmの光を適量遮蔽することを容易とし、固体撮像装置を人間の視感度により近づけることができる。
前記基材は、さらに下記要件(F)および(G)を満たすことが好ましい。
(F)波長650〜850nmの範囲に吸収極大がある。
(G)波長700〜750nmの範囲において、垂直方向から測定した場合の透過率の平均値が15%以上46%以下である。
要件(F)を満たすことで、人間の視感度が低い750nm以上の波長の範囲の光が固体撮像素子に入る量を減らすことができ、固体撮像装置を人間の視感度により近づけることができる。要件(F)に関し、前記基材は、好ましくは波長700〜850nm、より好ましくは波長730〜850nmさらに好ましくは波長738〜850nmに吸収極大波長を有する。前記範囲であれば、得られる光学フィルターが、固体撮像装置を人間の視感度に近づけることができるため有用である。
要件(G)を満たすことで、波長700nm〜750nmの範囲において固体撮像素子が取り込む光の量が調整され、人間の視感度により近づけることができる。要件(G)における透過率の平均値は、より好ましくは20%以上、さらに好ましくは30%以上である。
前記基材は透明性を有しているものが好ましい。本発明でいう透明性とは、波長420〜600nmの範囲の透過率の平均値が50%以上であることを表す。このような基材の材質として、例えば、ガラス板、強化ガラス板や、リン酸ガラス、フツリン酸ガラス、アルミナガラス、アルミン酸イットリウム、酸化イットリウムなどの特殊ガラス、および透明樹脂が挙げられる。
また、基材は、1層でも複数層から構成されてもよく、上記材料から選ばれる1種の材質から構成されても、複数種から構成されてもよく、適宜混合した材料でもよい。基材を構成する層のうち少なくとも1層は、近赤外線吸収剤を含有するものが好ましく、また近紫外線吸収剤を含有してもよい。近赤外線吸収剤が含まれる層と、近紫外線吸収剤が含まれる層とは、同一の層であってもよく、異なる層であってもよい。
<ガラス板>
前記ガラス板としては、例えば、ケイ酸ガラス、リン酸ガラス、リン酸銅ガラス、フツリン酸ガラス、フツリン酸銅ガラスなどが挙げられる。
<強化ガラス板>
前記強化ガラス板としては、例えば、物理強化ガラス、強化合わせガラス、化学強化ガラスなどが挙げられる。これらの中では、圧縮層の厚みが薄く、基材厚みを薄く加工することができる化学強化ガラスが好ましい。化学強化ガラスの具体例としては、旭硝子社製「Dragontrail」、Corning社「Gorilla Glass」などが挙げられる。
<特殊ガラス>
前記リン酸ガラスや前記フツリン酸ガラスとしては、例えば、松浪硝子工業社製のBS3、BS4、BS6、BS7、BS8、BS10、BS11、BS12、BS13、BS16、BS17等が挙げられる。前記アルミナガラスとしては、例えば日本ガイシ社製「ハイセラム」などが挙げられる。前記アルミン酸イットリウムや前記酸化イットリウムとしては、例えば、クアーズテック社製「EXYRIA(登録商標)」などが挙げられる。
<透明樹脂>
前記透明樹脂としては、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリエーテル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリシクロオレフィン系樹脂、ノルボルネン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、エン・チオール系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリスチレン系樹脂などが挙げられる。これらの中では、ノルボルネン系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリエーテル系樹脂が好ましい。
前記透明樹脂は、原料成分の分子構造を調整する方法等により、屈折率を調整できる。具体的には、原料成分のポリマーの主鎖や側鎖に特定の構造を付与する方法が挙げられる。ポリマー内に付与する構造は特に限定されないが、例えば、ノルボルネン骨格、フルオレン骨格が挙げられる。
前記透明樹脂として、市販品を用いてもよい。市販品としては、大阪ガスケミカル(株)製「オグソール(登録商標)EA−F5003」(アクリル系樹脂、屈折率:1.60)、東京化成工業(株)製「ポリメチルメタクリレート」(屈折率:1 .49)、東京化成工業(株)製「ポリイソブチルメタクリレート」(屈折率:1.48)、三菱レイヨン(株)製「BR50」(屈折率:1.56)等が挙げられる。
また、ポリエステル系樹脂の市販品としては、例えば、大阪ガスケミカル(株)製「OKP4HT」(屈折率:1.64)、「OKP4」(屈折率:1.61)、「B−OKP2」(屈折率:1.64) 、「OKP−850」(屈折率:1.65)、東洋紡(株)製「バイロン(登録商標)103」(屈折率:1.55)などが挙げられ、ポリカーボネート系樹脂の市販品としては、例えば、sabic社製「LeXan(登録商標)ML9103」(屈折率:1.59)、「xylex(登録商標)7507」、三菱ガス化学(株)製「EP5000」(屈折率:1.63) 、帝人化成(株)製「SP3810」(屈折率:1.63)、「SP1516」(屈折率:1.60) 、「TS2020」(屈折率:1.59)などが挙げられ、ノルボルネン系樹脂の市販品としては、例えば、JSR(株)製「ARTON(登録商標)(屈折率:1.51)、日本ゼオン(株)製「ZEONEX(登録商標)(屈折率:1.53)などが挙げられる。
ポリエーテル系樹脂は、主鎖にエーテル結合を形成する反応により得られる重合体であり、下記式(1)および(2)で表される構造単位からなる群より選ばれる少なくとも一つの構造単位を有する重合体であることが好ましい。また、下記式(3)で表される構造単位を有してもよい。
前記式(1)中、R1〜R4は、それぞれ独立に炭素数1〜12の1価の有機基を示す。a〜dは、それぞれ独立に0〜4の整数を示し、好ましくは0または1であり、より好ましくは0である。
炭素数1〜12の1価の有機基としては、炭素数1〜12の1価の炭化水素基、ならびに、酸素原子および窒素原子からなる群より選ばれる少なくとも1種の原子を含む炭素数1〜12の1価の有機基等が挙げられる。
炭素数1〜12の1価の炭化水素基としては、炭素数1〜12の直鎖または分岐鎖の炭化水素基、炭素数3〜12の脂環式炭化水素基および炭素数6〜12の芳香族炭化水素基等が挙げられる。
前記炭素数1〜12の直鎖または分岐鎖の炭化水素基としては、炭素数1〜8の直鎖または分岐鎖の炭化水素基が好ましく、炭素数1〜5の直鎖または分岐鎖の炭化水素基がより好ましい。
前記直鎖または分岐鎖の炭化水素基の好適な具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基およびn−ヘプチル基等が挙げられる。
前記炭素数3〜12の脂環式炭化水素基としては、炭素数3〜8の脂環式炭化水素基が好ましく、炭素数3または4の脂環式炭化水素基がより好ましい。
炭素数3〜12の脂環式炭化水素基の好適な具体例としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基およびシクロへキシル基等のシクロアルキル基;シクロブテニル基、シクロペンテニル基およびシクロヘキセニル基等のシクロアルケニル基が挙げられる。当該脂環式炭化水素基の結合部位は、脂環上のいずれの炭素でもよい。
前記炭素数6〜12の芳香族炭化水素基としては、フェニル基、ビフェニル基およびナフチル基等が挙げられる。当該芳香族炭化水素基の結合部位は、芳香族環上のいずれの炭素でもよい。
酸素原子を含む炭素数1〜12の有機基としては、水素原子、炭素原子および酸素原子からなる有機基が挙げられ、中でも、エーテル結合、カルボニル基またはエステル結合と炭化水素基とからなる総炭素数1〜12の有機基等を好ましく挙げることができる。
エーテル結合を有する総炭素数1〜12の有機基としては、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数2〜12のアルケニルオキシ基、炭素数2〜12のアルキニルオキシ基、炭素数6〜12のアリールオキシ基および炭素数1〜12のアルコキシアルキル基等が挙げられ、具体的には、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロピルオキシ基、ブトキシ基、フェノキシ基、プロペニルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基およびメトキシメチル基等が挙げられる。
カルボニル基を有する総炭素数1〜12の有機基としては、炭素数2〜12のアシル基等が挙げられ、具体的には、アセチル基、プロピオニル基、イソプロピオニル基およびベンゾイル基等が挙げられる。
エステル結合を有する総炭素数1〜12の有機基としては、炭素数2〜12のアシルオキシ基等が挙げられ、具体的には、アセチルオキシ基、プロピオニルオキシ基、イソプロピオニルオキシ基およびベンゾイルオキシ基等が挙げられる。
窒素原子を含む炭素数1〜12の有機基としては、水素原子、炭素原子および窒素原子からなる有機基が挙げられ、具体的には、シアノ基、イミダゾール基、トリアゾール基、ベンズイミダゾール基およびベンズトリアゾール基等が挙げられる。
酸素原子および窒素原子を含む炭素数1〜12の有機基としては、水素原子、炭素原子、酸素原子、および、窒素原子からなる有機基が挙げられ、具体的には、オキサゾール基、オキサジアゾール基、ベンズオキサゾール基およびベンズオキサジアゾール基等が挙げられる。
前記式(1)におけるR1〜R4としては、樹脂(1)の吸水(湿)性の点から炭素数1〜12の1価の炭化水素基が好ましく、炭素数6〜12の芳香族炭化水素基がより好ましく、フェニル基がさらに好ましい。
前記式(2)中、R1〜R4およびa〜dは、それぞれ独立に前記式(1)中のR1〜R4およびa〜dと同義であり、Yは、単結合、−SO2−または>C=Oを示し、R7およびR8は、それぞれ独立にハロゲン原子、炭素数1〜12の1価の有機基またはニトロ基を示し、mは0または1を示す。但し、mが0の時、R7はシアノ基ではない。gおよびhは、それぞれ独立に0〜4の整数を示し、好ましくは0である。
炭素数1〜12の1価の有機基としては、前記式(1)における炭素数1〜12の1価の有機基と同様のものが挙げられる。
前記樹脂(1)は、前記構造単位(1)と前記構造単位(2)とのモル比(但し、両者(構造単位(1)+構造単位(2))の合計は100である。)が、光学特性、耐熱性および力学的特性の観点から、構造単位(1):構造単位(2)=50:50〜100:0であることが好ましく、構造単位(1):構造単位(2)=70:30〜100:0であることがより好ましく、構造単位(1):構造単位(2)=80:20〜100:0であることがさらに好ましい。なお、本明細書において、力学的特性とは、樹脂の引張強度、破断伸びおよび引張弾性率等の性質のことをいう。
また、前記樹脂(1)は、さらに、下記式(3)で表わされる構造単位および下記式(4)で表わされる構造単位からなる群より選ばれる少なくとも一つの構造単位(以下「構造単位(3−4)」ともいう。)を有してもよい。前記樹脂(1)がこのような構造単位(3−4)を有すると、該樹脂(1)を含む基材の力学的特性が向上するため好ましい。
前記式(3)中、R5およびR6は、それぞれ独立に炭素数1〜12の1価の有機基を示し、Zは、単結合、−O−、−S−、−SO2−、>C=O、−CONH−、−COO−または炭素数1〜12の2価の有機基を示し、nは0または1を示す。eおよびfは、それぞれ独立に0〜4の整数を示し、好ましくは0である。
炭素数1〜12の1価の有機基としては、前記式(1)における炭素数1〜12の1価の有機基と同様のものが挙げられる。
炭素数1〜12の2価の有機基としては、炭素数1〜12の2価の炭化水素基、炭素数1〜12の2価のハロゲン化炭化水素基、酸素原子および窒素原子からなる群より選ばれる少なくとも1種の原子を含む炭素数1〜12の2価の有機基、ならびに、酸素原子および窒素原子からなる群より選ばれる少なくとも1種の原子を含む炭素数1〜12の2価のハロゲン化有機基等が挙げられる。
炭素数1〜12の2価の炭化水素基としては、炭素数1〜12の直鎖または分岐鎖の2価の炭化水素基、炭素数3〜12の2価の脂環式炭化水素基および炭素数6〜12の2価の芳香族炭化水素基等が挙げられる。
炭素数1〜12の直鎖または分岐鎖の2価の炭化水素基としては、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、イソプロピリデン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基およびヘプタメチレン基等が挙げられる。
炭素数3〜12の2価の脂環式炭化水素基としては、シクロプロピレン基、シクロブチレン基、シクロペンチレン基およびシクロへキシレン基等のシクロアルキレン基;シクロブテニレン基、シクロペンテニレン基およびシクロヘキセニレン基等のシクロアルケニレン基などが挙げられる。
炭素数6〜12の2価の芳香族炭化水素基としては、フェニレン基、ナフチレン基およびビフェニレン基等が挙げられる。
炭素数1〜12の2価のハロゲン化炭化水素基としては、炭素数1〜12の直鎖または分岐鎖の2価のハロゲン化炭化水素基、炭素数3〜12の2価のハロゲン化脂環式炭化水素基および炭素数6〜12の2価のハロゲン化芳香族炭化水素基等が挙げられる。
炭素数1〜12の直鎖または分岐鎖の2価のハロゲン化炭化水素基としては、ジフロオロメチレン基、ジクロロメチレン基、テトラフルオロエチレン基、テトラクロロエチレン基、ヘキサフルオロトリメチレン基、ヘキサクロロトリメチレン基、ヘキサフルオロイソプロピリデン基およびヘキサクロロイソプロピリデン基等が挙げられる。
炭素数3〜12の2価のハロゲン化脂環式炭化水素基としては、前記炭素数3〜12の2価の脂環式炭化水素基において例示した基の少なくとも一部の水素原子がフッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子で置換された基等が挙げられる。
炭素数6〜12の2価のハロゲン化芳香族炭化水素基としては、前記炭素数6〜12の2価の芳香族炭化水素基において例示した基の少なくとも一部の水素原子がフッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子で置換された基等が挙げられる。
酸素原子および窒素原子からなる群より選ばれる少なくとも1種の原子を含む炭素数1〜12の有機基としては、水素原子および炭素原子と、酸素原子および/または窒素原子とからなる有機基が挙げられ、エーテル結合、カルボニル基、エステル結合またはアミド結合と炭化水素基とを有する総炭素数1〜12の2価の有機基等が挙げられる。
酸素原子および窒素原子からなる群より選ばれる少なくとも1種の原子を含む炭素数1〜12の2価のハロゲン化有機基としては、具体的には、酸素原子および窒素原子からなる群より選ばれる少なくとも1種の原子を含む炭素数1〜12の2価の有機基において例示した基の少なくとも一部の水素原子がフッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子で置換された基等が挙げられる。
前記式(3)におけるZとしては、単結合、−O−、−SO2−、>C=Oまたは炭素数1〜12の2価の有機基が好ましく、樹脂(1)の吸水(湿)性の点から炭素数1〜12の2価の炭化水素基、炭素数1〜12の2価のハロゲン化炭化水素基または炭素数3〜12の2価の脂環式炭化水素基がより好ましい。
前記基材は、透明樹脂層を有し、かつ、該透明樹脂層がノルボルネン系樹脂、ポリイミド系樹脂およびポリエーテル樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましい。
前記透明樹脂層を有することにより、波長430〜580nmにおける透明性が高く、耐熱性が高く、反りにくい、破断しにくい、面内位相差R0が低い光学フィルターが得られる。そのため、前記透明樹脂層を有する光学フィルターを具備する固体撮像装置は、画質が高く、製造を容易とすることができる。
透明樹脂層の波長430〜580nmにおける透過率の平均値は、固体撮像装置が高感度となることから、厚み1μmにおいて70%以上であることが好ましい。
透明樹脂層のガラス転移温度は、固体撮像装置を低温リフロー工程で製造することができることから、140℃以上であることが好ましい。
透明樹脂層のヤング率は、反りにくい光学フィルターを得る観点から、好ましくは2GPa以上である。
透明樹脂層の破断強度は、破断しにくい光学フィルターを得る観点から、好ましくは50MPa以上、より好ましくは65MPa以上である。
透明樹脂層の面内位相差R0は、好ましくは50nm以下、より好ましくは20nm以下、さらに好ましくは10nm以下、特に好ましくは5nm以下である。面内位相差R0が少ない光学フィルターは、偏光に応じて感度が異なる撮像素子を設けた場合に、偏光特性を精確に検出可能となり、誤差が少なくなる。
前記透明樹脂層は基材中に1層でもよく、複数層含んでもよく、基材が透明樹脂層のみから構成されてもよい。
前記基材の厚みは、所望の用途に応じて適宜選択することができ、特に制限されないが、上限は、好ましくは250μm以下、より好ましくは200μm以下、さらに好ましくは150μm以下であり、下限は、好ましくは30μm以上、より好ましくは40μm以上である。厚みが前記範囲であれば、光学フィルターの反りが少なく、十分に薄い固体撮像素子が得られる。
<透明樹脂層の製造方法>
前記透明樹脂層は、例えば、溶融成形またはキャスト成形により形成することができ、必要により、成形後に、反射防止剤、ハードコート剤および/または帯電防止剤等のコーティング剤をコーティングする方法により製造することができる。
(A)溶融成形
前記透明樹脂層は、樹脂と近赤外吸収色素とを溶融混練りして得られたペレットを溶融成形する方法;樹脂と近赤外吸収色素とを含有する樹脂組成物を溶融成形する方法;または、近赤外吸収色素、樹脂および溶剤を含む樹脂組成物から溶剤を除去して得られたペレットを溶融成形する方法などにより製造することができる。溶融成形方法としては、例えば、射出成形、溶融押出成形またはブロー成形などを挙げることができる。
(B)キャスト成形
前記透明樹脂層は、近赤外吸収色素、樹脂および溶剤を含む樹脂組成物を適当な支持体の上にキャスティングして溶剤を除去する方法;反射防止剤、ハードコート剤および/または帯電防止剤等のコーティング剤と、近赤外吸収色素と、樹脂とを含む樹脂組成物を適当な支持体の上にキャスティングする方法;または、反射防止剤、ハードコート剤および/または帯電防止剤等のコーティング剤と、色素化合物と、樹脂とを含む硬化性組成物を適当な支持体の上にキャスティングして硬化および乾燥させる方法などにより製造することもできる。
前記支持体としては、特に限定されず、基材の材質の例として挙げたガラス板、強化ガラス板、特殊ガラスまたは透明樹脂からなる支持体を用いることができ、また、基材の材質の前記例示以外の支持体、例えばスチールベルト、スチールドラムなどを用いてもよい。
前記基材が透明樹脂製基板からなる基材である場合には、該基材は、キャスト成形後、支持体から塗膜を剥離することにより得ることができ、また、前記基材が、支持体上に透明樹脂層が積層された基材である場合には、該基材は、キャスト成形後、塗膜を剥離しないことで得ることができる。
前記方法で得られた透明樹脂層中の残留溶剤量は可能な限り少ない方がよく、通常透明樹脂層の重さに対して3質量%以下、好ましくは1質量%以下、さらに好ましくは0.5質量%以下である。残留溶剤量が前記範囲にあると、光学フィルターの変形や光学特性が変化しにくい、所望の機能を容易に発揮できる透明樹脂層が得られる。
[近赤外線吸収剤]
前記近赤外線吸収剤は、好ましくは波長650〜850nm、より好ましくは700〜845nm、さらに好ましくは720〜840nm、特に好ましくは738〜840nmの範囲に吸収極大波長を有する。吸収極大波長が前記範囲にあることにより、波長700nm〜750nmの範囲において固体撮像素子が取り込む光の量が調整されるとともに、人間の視感度が低い波長750nm以上の範囲の光が固体撮像素子に入る量を減らすことができ、固体撮像装置を人間の視感度により近づけることができる。
前記近赤外線吸収剤としては、例えば、シアニン系色素、フタロシアニン系色素、ジチオール系色素、ジイモニウム系色素、スクアリリウム系色素、クロコニウム系色素、リン酸銅塩などが挙げられる。これら色素の構造は特に限定されるものではなく、本発明の効果を損なわないものであれば一般的に知られているものや市販品を使用することができる。また、本発明の効果を損なわないものであれば、光学フィルターに添加する近赤外線吸収剤は、1種でも複数種でもよい。
前記近赤外線吸収剤は、前記透明樹脂層に対して0.01〜60.0質量%の範囲で含有されていることが好ましい。近赤外線吸収剤の含有量が前記範囲であれば、適切な光学特性が得られやすい。60.0質量%より多く含む場合、前述した透明性が高く、耐熱性が高く、反りにくい、破断しにくい等の性能が失われ、固体撮像装置の画質の低下、製造の難度を上げる要因となる。
<シアニン系色素>
前記シアニン系色素としては、本発明の効果を損なわないものであれば、特に限定されないが、例えば特開2009−108267号公報、特開2010−72575号公報、特開2016−060774号公報に記載のシアニン系色素が挙げられる。
シアニン系色素の一部は波長650〜850nmに吸収極大波長を持たないものも含まれるが、波長650〜850nmに吸収極大波長を持つシアニン系色素を選択する、または、波長650〜850nmに吸収極大波長を持たないシアニン系色素と波長650〜850nmに吸収極大波長を持つシアニン系色素を併用する、または、波長650〜850nmに吸収極大波長を持たないシアニン系色素と波長650〜850nmに吸収極大波長を持つシアニン系色素以外の色素を併用することで、本発明の効果を得る近赤外線吸収剤として使用できる。
<フタロシアニン系色素>
前記フタロシアニン系色素としては、本発明の効果を損なわないものであれば、特に限定されないが、例えば特開昭60−224589号公報、特表2005−537319号公報、特開平4−23868号公報、特開平4−39361号公報、特開平5−78364号公報、特開平5−222047号公報、特開平5−222301号公報、特開平5−222302号公報、特開平5−345861号公報、特開平6−25548号公報、特開平6−107663号公報、特開平6−192584号公報、特開平6−228533号公報、特開平7−118551号公報、特開平7−118552号公報、特開平8−120186号公報、特開平8−225751号公報、特開平9−202860号公報、特開平10−120927号公報、特開平10−182995号公報、特開平11−35838号公報、特開2000−26748号公報、特開2000−63691号公報、特開2001−106689号公報、特開2004−18561号公報、特開2005−220060号公報、特開2007−169343号公報、特開2013−195480号公報の段落[0026]〜[0027]、国際公開第2015/025779号の表1等に記載の化合物等が挙げられる。
フタロシアニン系色素の一部は波長650〜850nmに吸収極大波長を持たないものも含まれるが、波長650〜850nmに吸収極大波長を持つフタロシアニン系色素を選択する、または、波長650〜850nmに吸収極大波長を持たないフタロシアニン系色素と波長650〜850nmに吸収極大波長を持つフタロシアニン系色素を併用する、または、波長650〜850nmに吸収極大波長を持たないフタロシアニン系色素と波長650〜850nmに吸収極大波長を持つフタロシアニン系色素以外の色素を併用することで、本発明の効果を得る近赤外線吸収剤として使用できる。フタロシアニン系色素は、吸収極大波長近傍が急峻な吸収特性を有することが多く、フタロシアニン系色素のみを含有する基材は要件(X)を満たさない場合がある。本発明の光学フィルターにフタロシアニン系色素を用いる場合には、少なくとも1種の他の近赤外線吸収剤と併用することが好ましい。
<ジチオール系色素>
前記ジチオール系色素としては、本発明の効果を損なわないものであれば、特に限定されないが、例えば特開2006−215395号公報、WO2008/086931号に記載のジチオール系色素が挙げられる。
ジチオール系色素の一部は波長650〜850nmに吸収極大波長を持たないものも含まれるが、波長650〜850nmに吸収極大波長を持つジチオール系色素を選択する、または、波長650〜850nmに吸収極大波長を持たないジチオール系色素と波長650〜850nmに吸収極大波長を持つジチオール系色素を併用する、または、波長650〜850nmに吸収極大波長を持たないジチオール系色素と波長650〜850nmに吸収極大波長を持つジチオール系色素以外の色素を併用することで、本発明の効果を得る近赤外線吸収剤として使用できる。
また、例えばWO1998/034988号に記載のようにジチオール系色素の対イオン結合体を用いてもよい。
<スクアリリウム系色素>
前記スクアリリウム系色素としては、本発明の効果を損なわないものであれば、特に限定されないが、例えば、下記式(4)で表されるスクアリリウム系色素、特開2014−074002号公報、特開2014−052431号公報に記載のスクアリリウム系色素などが挙げられ、一般に知られている方法で合成すればよい。
前記式(4)中のRsq1 〜 Rsq6 の具体例としては、水素原子、(a)メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、tert −ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、2−ヒドロキシエチル基、2−シアノエチル基、3−ヒドロキシプロピル基、3−シアノプロピル基、メトキシエチル基、エトキシエチル基、ブトキシエチル基などのアルキル基、(b)フェニル基、フルオロフェニル基、クロロフェニル基、トリル基、ジエチルアミノフェニル、ナフチル基などのアリール基、(c)ビニル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基などのアルケニル基、(d)ベンジル基、p−フルオロベンジル基、p−クロロフェニル基、フェニルプロピル基、ナフチルエチル基などのアラルキル基から選ばれる基が挙げられる。これらRsq1〜Rsq6が有する水素基は、任意の個数を置換基Lで置換してもよい。ここで置換基Lは、フッ素、塩素、臭素、(アルキル化してもよい)アミノ基、シアノ基、ニトロ基、メチル基、水酸基、チオール基、アルキルエーテル基、またはアルキルチオエーテル基を表す。
スクアリリウム系色素の一部は波長650〜850nmに吸収極大波長を持たないものも含まれるが、波長650〜850nmに吸収極大波長を持つスクアリリウム系色素を選択する、または、波長650〜850nmに吸収極大波長を持たないスクアリリウム系色素と波長650〜850nmに吸収極大波長を持つスクアリリウム系色素を併用する、または、波長650〜850nmに吸収極大波長を持たないスクアリリウム系色素と波長650〜850nmに吸収極大波長を持つスクアリリウム系色素以外の色素を併用することで、本発明の効果を得る近赤外線吸収剤として使用できる。
<ジイモニウム系色素>
前記ジイモニウム系色素としては、本発明の効果を損なわないものであれば、特に限定されないが、例えば、下記式(5−1)または(5−2)で表されるジイモニウム系色素、特許第4168031号公報、特許第4252961号公報、特開昭63−165392号公報、WO2004/048480等に記載のジイモニウム系色素などが挙げられ、一般的に知られている方法で合成すればよい。
式(5−1)および(5−2)中、Rdi1〜Rdi12は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、スルホ基、水酸基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシ基、リン酸基、−SRi基、−SO2i基、−OSO2i基または下記La〜Lhのいずれかを表し、RgおよびRhは、それぞれ独立に水素原子、−C(O)Ri基または下記La〜Leのいずれかを表し、Riは下記La〜Leのいずれかを表し、
(La)炭素数1〜12の脂肪族炭化水素基
(Lb)炭素数1〜12のハロゲン置換アルキル基
(Lc)炭素数3〜14の脂環式炭化水素基
(Ld)炭素数6〜14の芳香族炭化水素基
(Le)炭素数3〜14の複素環基
(Lf)炭素数1〜12のアルコキシ基
(Lg)置換基Lを有してもよい炭素数1〜12のアシル基、
(Lh)置換基Lを有してもよい炭素数1〜12のアルコキシカルボニル基
置換基Lは、炭素数1〜12の脂肪族炭化水素基、炭素数1〜12のハロゲン置換アルキル基、炭素数3〜14の脂環式炭化水素基、炭素数6〜14の芳香族炭化水素基および炭素数3〜14の複素環基からなる群より選ばれる少なくとも1種であり、
隣り合うR3同士は置換基Lを有してもよい環を形成してもよく、
nは0〜4の整数を表し、
Xは電荷を中和させるのに必要なアニオンを表し、
Mは金属原子を表し、
ZはD(Ri4を表し、Dは窒素原子、リン原子またはビスマス原子を表し、
yは0もしくは1を表す。
前記Rdi1〜Rdi8は、好ましくは水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、シクロヘキシル基、フェニル基、ベンジル基から選ばれる基であり、より好ましくはイソプロピル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ベンジル基から選ばれる基である。
前記Rdi9〜Rdi12は、好ましくは水素原子、塩素原子、フッ素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、シクロヘキシル基、フェニル基、水酸基、アミノ基、ジメチルアミノ基、シアノ基、ニトロ基、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、n−ブトキシ基、アセチルアミノ基、プロピオニルアミノ基、N−メチルアセチルアミノ基、トリフルオロメタノイルアミノ基、ペンタフルオロエタノイルアミノ基、tert−ブタノイルアミノ基、シクロヘキシノイルアミノ基、n−ブチルスルホニル基、メチルチオ基、エチルチオ基、n−プロピルチオ基、n−ブチルチオ基から選ばれる基であり、より好ましくは塩素原子、フッ素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、水酸基、ジメチルアミノ基、メトキシ基、エトキシ基、アセチルアミノ基、プロピオニルアミノ基、トリフルオロメタノイルアミノ基、ペンタフルオロエタノイルアミノ基、tert−ブタノイルアミノ基、シクロヘキシノイルアミノ基から選ばれる基であり、特に好ましくは、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基から選ばれる基である。同じ芳香環に結合しているR2の数(nの値)は、0〜4であれば特に制限されないが、0もしくは1であることが好ましい。
前記Xは電荷を中和するのに必要なアニオンであり、Xが2価である場合には1イオン、Xが1価の場合には2イオンが必要となる。後者の場合は2つのアニオンが同一であっても異なっていてもよいが、合成上の観点から同一である方が好ましい。Xはこのようなアニオンであれば特に制限されないが、一例として、下記表1に記載のものを挙げることができる。
Xとしては、酸とした際の酸性度が高いものであれば、ジイモニウム系化合物のアニオンとした際にジイモニウム系化合物の耐熱性を向上できる傾向にあることから、上記表1中の(X−10)、(X−16)、(X−17)、(X−21)、(X−22)、(X−24)、(X−28)が特に好ましい。
前記近赤外線吸収剤の中でも、式(4)、式(5−1)および式(5−2)で表わされる化合物が、可視光透過率の高さ、波長700〜750nmの範囲の吸収特性、波長800〜1100nmの範囲の遮蔽性能から好ましい。透明樹脂層への溶解性から、式(4)におけるRsq1〜Rsq6は、好ましくはメチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、およびそれらの水素基が任意の個数を置換基Lで置換した基から選ばれる基であり、さらに好ましくは、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、tert−ブチル基およびそれらの水素基の任意の個数を置換基Lで置換した基から選ばれる基である。
[近赤外線反射膜]
本発明に用いることができる近赤外線反射膜は、近赤外線を反射する能力を有する膜である。このような近赤外線反射膜としては、アルミ蒸着膜、貴金属薄膜、酸化インジウムを主成分とし酸化錫を少量含有させた金属酸化物微粒子を分散させた樹脂膜、または高屈折率材料層と低屈折率材料層とを交互に積層した誘電体多層膜などが挙げられる。このような近赤外線反射膜を有すると、近赤外線をさらに効果的にカットすることができる。
本発明では、近赤外線反射膜は基材の片面に設けてもよいし、両面に設けてもよい。片面に設ける場合、製造コストや製造容易性に優れ、両面に設ける場合、高い強度を有し、反りの生じにくい光学フィルターを得ることができる。
前記近赤外線反射膜の中では、散乱が少ないことや、密着性が良いこと、波長430〜580nmの範囲の可視光の透過特性が高いこと、波長800〜1100nmの範囲の光の遮蔽性能が高いことから、高屈折率材料層と低屈折率材料層とを交互に積層した誘電体多層膜が好ましい。前記近赤外線反射膜が誘電体多層膜であると、得られる固体撮像装置の画質を良くすることができる。
<誘電体多層膜>
高屈折率材料層を構成する材料としては、屈折率が1.7以上の材料を用いることができ、屈折率の範囲が通常は1.7〜2.5の材料が選択される。このような材料としては、例えば、酸化チタン、酸化ジルコニウム、五酸化タンタル、五酸化ニオブ、酸化ランタン、酸化イットリウム、酸化亜鉛、硫化亜鉛、または、酸化インジウム等を主成分とし、酸化チタン、酸化錫および/または酸化セリウムなどを少量(例えば、主成分に対し0〜10%)含有させたものなどが挙げられる。
低屈折率材料層を構成する材料としては、屈折率が1.7未満の材料を用いることができ、屈折率の範囲が通常は1.2以上1.7未満の材料が選択される。このような材料としては、例えば、シリカ、アルミナ、フッ化ランタン、フッ化マグネシウムおよび六フッ化アルミニウムナトリウムなどが挙げられる。
高屈折率材料層と低屈折率材料層とを積層する方法については、これら材料層を積層した誘電体多層膜が形成される限り特に制限はない。例えば、前記基材上に、直接、CVD法、真空蒸着法、スパッタ法、イオンアシスト蒸着法、イオンプレーティング法、ラジカルアシストスパッタ法、イオンビームスパッタ法などにより、高屈折率材料層と低屈折率材料層とを交互に積層した誘電体多層膜を形成することができる。イオンアシスト蒸着法、イオンプレーティング法、ラジカルアシストスパッタ法は、得られる多層膜の光学膜厚が環境に応じて変化しにくい良質な膜が得られ好ましい。イオンアシスト蒸着法は得られる光学フィルターの反りが少なくさらに好ましい。
これら高屈折率材料層および低屈折率材料層の各層の厚みは、通常、遮断しようとする近赤外線波長をλ(nm)とすると、基材に隣接する2層および最外層以外は0.1λ〜0.5λの光学厚みが好ましい。光学厚みがこの範囲にあると、屈折率(n)と膜厚(d)との積(n×d)がλ/4で算出される光学的膜厚と高屈折率材料層および低屈折率材料層の各層の厚みとがほぼ同じ値となって、反射・屈折の光学的特性の関係から、特定波長の遮断・透過を容易にコントロールできる傾向にある。基材に隣接する2層は物理厚み5nm〜45nm以下であることが好ましい。また最外層は0.05〜0.2λの光学厚みが好ましい。基材に隣接する2層および最外層が上記範囲の厚みであれば、可視光の反射率を低減することができ、上記要件(Z)と合わせることで、ゴーストを低減される。
また、誘電体多層膜における高屈折率材料層と低屈折率材料層との合計の積層数は、5〜60層、好ましくは10〜50層であることが望ましい。
さらに、誘電体多層膜を形成した際に基材に反りが生じてしまう場合には、これを解消するために、基材両面に誘電体多層膜を形成したり、基材の誘電体多層膜を形成した面に紫外線等の電磁波を照射したりする方法等をとることができる。なお、電磁波を照射する場合、誘電体多層膜の形成中に照射してもよいし、形成後別途照射してもよい。
[近紫外線吸収剤]
本発明で用いることができる近紫外線吸収剤は、アゾメチン系化合物、インドール系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、トリアジン系化合物、メロフタロシアニン系化合物、オキサゾール系化合物、ナフチルイミド系化合物、オキサジアゾール系化合物、オキサジン系化合物、オキサゾリジン系化合物、アントラセン系化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましく、波長300〜420nmに少なくとも一つの吸収極大を持つことが好ましい。前記近赤外線吸収色素に加え、このような近紫外線吸収剤を含有することにより、近紫外波長領域においても入射角依存性が小さい光学フィルターを得ることができる。
(A)アゾメチン系化合物
前記アゾメチン系化合物は、特に限定されるものではないが、例えば下記式(6)で表すことができる。
式(6)中、Ra1〜Ra5は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、水酸基、カルボキシ基、炭素数1〜15のアルキル基、炭素数1〜9のアルコキシ基または炭素数1〜9のアルコキシカルボニル基を表す。
(B)インドール系化合物
前記インドール系化合物は、特に限定されるものではないが、例えば下記式(7)で表すことができる。
式(7)中、Rb1〜Rb5は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、水酸基、カルボキシ基、シアノ基、フェニル基、アラルキル基、炭素数1〜9のアルキル基、炭素数1〜9のアルコキシ基または炭素数1〜9のアルコキシカルボニル基を表す。
(C)ベンゾトリアゾール系化合物
前記ベンゾトリアゾール系化合物は、特に限定されるものではないが、例えば下記式(8)で表すことができる。
式(8)中、Rc1〜Rc3は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、水酸基、アラルキル基、炭素数1〜9のアルキル基、炭素数1〜9のアルコキシ基、または置換基として炭素数1〜9のアルコキシカルボニル基を有する炭素数1〜9のアルキル基を表す。
(D)トリアジン系化合物
前記トリアジン系化合物は、特に限定されるものではないが、例えば下記式(9)、(10)または(11)で表すことができる。
式(9)〜(11)中、Rd1は、独立に水素原子、炭素原子数1〜15のアルキル基、炭素原子数3〜8 のシクロアルキル基、炭素原子数3〜8のアルケニル基、炭素原子数6〜18のアリール基、炭素原子数7〜18のアルキルアリール基またはアリールアルキル基を表す。ただし、これらアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アリール基、アルキルアリール基およびアリールアルキル基は、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、炭素原子数1〜12のアルキル基またはアルコキシ基で置換されてもよく、酸素原子、硫黄原子、カルボニル基、エステル基、アミド基またはイミノ基で中断されてもよい。また、前記置換及び中断は組み合わされてもよい。Rd2〜Rd9は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、水酸基、炭素原子数1〜15のアルキル基、炭素原子数3〜8 のシクロアルキル基、炭素原子数3〜8のアルケニル基、炭素原子数6〜18のアリール基、炭素原子数7〜18のアルキルアリール基またはアリールアルキル基を表す。
(E)メロフタロシアニン系化合物
メロフタロシアニン系化合物として、FewChemicals社製「S0511」等が挙げられる。
(F)オキサゾール系化合物
オキサゾール系として、BASF社製「Uvitex(登録商標)O B」、昭和化学工業(株)製「Hakkol RF−K」、日本化学工業(株)製「Nikkafluor EFS」、「Nikkafluor SB−conc」などが挙げられる。
(G)ナフチルアミド系化合物
ナフタルイミド系として、BASF社製「Lumogen(登録商標) Fviolet 570」などが挙げられる。
(H)市販品
Exiton社製「A BS 407」、QCRSolutions Corp.社製「UV 381A 」、「UV 381B」 、「UV 382A 」、「UV 386A 」、BASF社製「TINUVIN 326」 、「TINUVIN 460」、「TINUVIN 479」、オリヱント化学(株)製「BONASORB3911」などを用いてもよい。
<その他成分>
前記透明樹脂層は、本発明の効果を損なわない範囲において、さらに、酸化防止剤、分散剤、難燃剤、可塑剤、熱安定剤、光安定剤、および金属錯体系化合物等の添加剤を含有してもよい。また、上述のキャスト成形により樹脂製基材を製造する場合には、レベリング剤や消泡剤を添加することで樹脂製基材の製造を容易にすることができる。これらその他成分は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記酸化防止剤としては、例えば2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,2'−ジオキシ−3,3'−ジ−t−ブチル−5,5'−ジメチルジフェニルメタン、およびテトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、1,3,5−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−1,3,5−トリアジル−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオンなどが挙げられる。なお、これら添加剤は、樹脂製基材を製造する際に、樹脂などとともに混合してもよいし、樹脂を製造する際に添加してもよい。また、添加量は、所望の特性に応じて適宜選択されるものであるが、樹脂100質量部に対して、通常0.01〜5.0質量部、好ましくは0.05〜2.0質量部である。
[その他の機能膜]
本発明の光学フィルターは、本発明の効果を損なわない範囲において、機能膜を適宜設けることができる。
本発明の光学フィルターは、機能膜からなる層を1層含んでもよく、2層以上含んでもよい。本発明の光学フィルターが機能膜からなる層を2層以上含む場合には、同様の層を2層以上含んでもよいし、異なる層を2層以上含んでもよい。
機能膜を積層する方法としては、特に限定されないが、反射防止剤、ハードコート剤および/または帯電防止剤等のコーティング剤などを基材または近赤外線反射膜上に、溶融成形またはキャスト成形する方法等を挙げることができる。
また、前記コーティング剤は、硬化性組成物をバーコーター等で基材または近赤外線反射膜上に塗布した後、紫外線照射および/または加熱等により硬化することによっても製造することができる。得られる基材の破断強度の向上、傷つきにくさ、反りの低減などから、硬化性組成物の機能膜を有することが好ましい。
前記硬化性組成物としては、紫外線(UV)/電子線(EB)硬化型樹脂や熱硬化型樹脂などが挙げられ、具体的には、ビニル化合物類や、ウレタン系、ウレタンアクリレート系、アクリレート系、エポキシ系およびエポキシアクリレート系樹脂などが挙げられる。これらのコーティング剤を含む前記硬化性組成物としては、ビニル系、ウレタン系、ウレタンアクリレート系、アクリレート系、エポキシ系およびエポキシアクリレート系硬化性組成物などが挙げられる。
前記ウレタン系もしくはウレタンアクリレート系硬化性組成物に含まれる成分としては、例えば、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、ビス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート、分子内に2以上の(メタ)アクリロイル基を有するオリゴウレタン(メタ)アクリレート類を挙げることができる。これら成分は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。さらにポリウレタン(メタ)アクリレート等のオリゴマーまたはポリマーや、ポリエステル(メタ)アクリレート等のオリゴマーまたはポリマーを配合してもよい。
前記ビニル化合物類としては、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル等を挙げることができるが、これらの例示に限定されるものではない。これら成分は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記エポキシ系もしくはエポキシアクリレート系硬化性組成物に含まれる成分としては、特に限定されないが、グリシジル(メタ)アクリレート、メチルグリシジル(メタ)アクリレート、分子内に2以上の(メタ)アクリロイル基を有するオリゴエポキシ(メタ)アクリレート類等を挙げることができる。これら成分は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。さらにポリエポキシ(メタ)アクリレート等のオリゴマーまたはポリマーを配合してもよい。
前記硬化性組成物の市販品としては、東洋インキ製造(株)製「LCH」、「LAS」;荒川化学工業(株)製「ビームセット」;ダイセル・サイテック(株)製「EBECRYL」、「UVACURE」;JSR(株)製「オプスター」、「デソライトZ」などが挙げられる。
また、前記硬化性組成物は、重合開始剤を含んでいてもよい。前記重合開始剤としては、公知の光重合開始剤または熱重合開始剤を用いることができ、光重合開始剤と熱重合開始剤を併用してもよい。重合開始剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記硬化性組成物中、重合開始剤の配合割合は、硬化性組成物の全量を100質量%とした場合、好ましくは0.1〜10質量%、より好ましくは0.5〜10質量%、さらに好ましくは1〜5質量%である。重合開始剤の配合割合が前記範囲にあると、硬化性組成物の硬化特性および取り扱い性が優れ、所望の硬度を有する反射防止膜、ハードコート膜や帯電防止膜などの機能膜を得ることができる。
さらに、前記硬化性組成物には溶剤として有機溶剤を加えてもよく、有機溶剤としては、公知のものを使用することができる。有機溶剤の具体例としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、オクタノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、γ−ブチロラクトン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のエステル類;エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等のエーテル類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド類を挙げることができる。これら溶剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記機能膜の厚さは、好ましくは0.1μm〜20μm、さらに好ましくは0.5μm〜10μm、特に好ましくは0.7μm〜5μmである。
また、基材と機能膜および/または近赤外線反射膜との密着性や、機能膜と近赤外線反射膜との密着性を上げる目的で、基材や機能膜の表面にコロナ処理やプラズマ処理等の表面処理をしてもよい。
上記の材料は、デジタルスチルカメラ、デジタルビデオカメラ、監視カメラ、車載用カメラ、ウェブカメラ、無人航空機等の撮像装置において、モアレや偽色を低減するためのローパスフィルタや波長板の材料として使用される場合がある。
[光学フィルターの用途]
本発明の光学フィルターは、視野角が広く、赤色の感度が高く、ゴーストを改善した特性を有する。したがって、カメラモジュールのCCDやCMOSなどの固体撮像素子の視感度補正用として有用である。特に、デジタルスチルカメラ、携帯電話用カメラ、デジタルビデオカメラ、PCカメラ、監視カメラ、自動車用カメラ、テレビ、カーナビ、携帯情報端末、パソコン、ビデオゲーム、携帯ゲーム機、指紋認証システム、距離測定センサー、虹彩認証システム、顔認証システム、距離測定カメラ、デジタルミュージックプレーヤー等に有用である。
<固体撮像装置>
本発明の固体撮像装置は、本発明の光学フィルターを具備する。ここで、固体撮像装置とはCCDやCMOSなどといった固体撮像素子を備えたイメージセンサーである。固体撮像素子を構成する部材としては、シリコンフォトダイオードや有機半導体などの特定の波長の光を電荷に変換する光電変換素子が使用される。
≪有機半導体製光電変換素子≫
固体撮像素子に設ける画素の一部は有機半導体製変換素子を用いてもよい。好ましくは感度向上の観点から緑色の画素は有機半導体製光電変換素子を用いる。より好ましくは、青色と赤色の暗電流抑制の観点から、緑色の画素は、有機半導体製光電変換素子であり、青色、赤色の画素はシリコンフォトダイオードを用いる。緑色の画素に有機半導体製光電変換素子を用い、青色および赤色の画素にシリコンフォトダイオード製光電変換素子を用いた固体撮像素子の構成を図3,4に示す。緑色の画素に有機半導体を用いた場合、固体撮像素子のおおむね全面に緑色の画素を配置し、有機半導体を透過した光を、青色もしくは赤色の画素の光電変換素子へ吸収させる構成をとることができる。青色、緑色、赤色の画素にシリコンフォトダイオードを用いた固体撮像素子における4×4画素を構成する各色の画素の配列例を図5(a)に示す。1画素を形成するにはセンサー領域を青色、緑色、赤色の画素による三分割ないし四分割する必要がある。緑色の画素に有機半導体を用いた場合の4×4画素を構成する各色の画素の配列例を図5(b)に示す。センサー領域のおおむね全面に緑色の画素を配置することができ、画素領域を青色赤色の二分割とすることができる。そのため、同一センサー領域から同数の画素を構成する場合、シリコンフォトダイオード等を用いて青色、緑色、赤色の画素に分割する場合に比べ、緑色に有機半導体製光電変換素子を用いた場合は、1画素あたりのセンサー面積を大きくすることができ、高感度な固体撮像素子を得ることができる。緑色の画素に有機半導体製光電変換素子を設けた場合、固体撮像素子のおおむね全面に緑色に感度を持つことから、緑色の画素の感度が上がるが、従来の光学フィルターでは赤色の感度が不足する場合があった。本発明の光学フィルターを用いることで赤色の画素においても高感度な固体撮像素子を得ることが出来る。
これら緑色の画素に有機半導体製光電素子を用いた固体撮像素子はWO2016−117381等に記載の方法で得ることができる。
本発明の固体撮像装置には、固体撮像素子の全面に位相差フィルム、ワイヤーグリッド等の偏光子を設けてもよい。偏光素子を設けた場合、画像の位相情報が得られ、被写体の反射光を除いた像や、被写体の形状を三次元計測が可能となりより好ましい。
≪ワイヤーグリッド≫
本発明の固体撮像素子に設けるワイヤーグリッドは、アルミニウム、ニッケル、銀、白金、タングステン、あるいはこれらの金属を含む合金等などを用いることができ、特開2017−003878号公報、特開2017−005111号公報に記載の偏光子を設けることが好ましい。
<カメラモジュール>
本発明のカメラモジュールは、本発明の光学フィルターを具備する。ここで、カメラモジュールとは、イメージセンサーや焦点調整機構、あるいは位相検出機構、距離測定機構等を備え、画像や距離情報を電気信号として出力する装置である。ここで、本発明の光学フィルターをカメラモジュールに用いる場合について具体的に説明する。カメラモジュール400の断面概略図9を示す。
本発明の光学フィルター1の場合、垂直方向から入射する光と、フィルター1の垂直方向に対して30°から入射する光の透過波長に大きな差はない(吸収(透過)波長の入射角依存性が小さい)ため、フィルター1は、レンズ301とセンサー302の間に具備してもセンサー全体の色味変化が少ない。このため、本発明の光学フィルター1をカメラモジュールに用いる場合には、より高角度入射に対応したレンズを用いることができ、カメラモジュールの低背化が可能となる。
[ゴースト]
本発明における画質低下を起こすゴーストとは、被写体と撮像素子間の光学部品表面または裏面で反射した光が、他の部品等に反射し、本来の撮像位置とは異なる位置の撮像素子に入射した光が原因で発生する画像不良である。
図10に示すように、光学フィルター1の表面で反射した光がレンズでさらに反射し、光学フィルター1を透過し、センサー302に入射されるとき、ゴースト304として発生する。あるいはセンサー302から反射した光が光学フィルター1の裏面でさらに反射し、センサー302に入射されるとき、ゴースト305として発生する。
従来の光学フィルターは、特に波長680〜720nm近傍の反射が大きく、ゴースト発生の原因となっていた。しかし、本発明の光学フィルター1は、波長700nmにおける両面の反射率が10%以下であり、かつ、両面の(Za)の値が730nm以上であることから、波長700〜(Za)nmの反射率は50%より低いこととなる。よって波長680〜720nm近傍におけるフィルターの表面の反射が両面とも少ない。そのため、センサーに誤って入射されるゴースト304やゴースト305の発生が少なく、良好な画質が得られる。
図11はゴーストの一例である。
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。なお、「部」および「%」は、特に断りのない限り「質量部」および「質量%」を意味する。
実施例における各種物性の測定方法および評価方法は以下のとおりである。
<透過率>
透過率は、(株)日立ハイテクノロジーズ社製の分光光度計「U−4100」を用いて測定した。基材や光学フィルターの面に対して垂直方向から測定した場合の透過率は、図6のように光学フィルターに対し垂直に透過した無偏光光線を測定した。また、光学フィルターの面に対して垂直方向に対して30°の角度から測定した場合の透過率は、図7のようにフィルターの垂直方向に対して30°の角度で透過したP偏光光線およびS偏光光線を測定し、それらの平均より算出した。
なお、波長A〜Bnmの透過率の平均値は、Anm以上Bnm以下の、1nm刻みの各波長における透過率を測定し、その透過率の合計を、測定した透過率の数(波長範囲、B−A+1)で除した値により算出した。
<反射率>
分光反射率は、(株)日立ハイテクノロジーズ社製の分光光度計「U−4100」を用いて、図8のように5°入射における無偏光光線の、光学フィルターの一方の面から入射した表面および裏面から反射される光の強度、ならびに、もう一方の面から入射した表面および裏面から反射される光の強度を絶対反射率測定法より測定した。
なお、波長A〜Bnmの反射率の平均値は、Anm以上Bnm以下の、1nm刻みの各波長における反射率を測定し、その反射率の合計を、測定した反射率の数(波長範囲、B−A+1)で除した値により算出した。
<吸収剤の評価>
吸収剤の評価は、JSR(株)社製のノルボルネン樹脂「ARTON」(屈折率1.52、ガラス転移温度160℃)100質量部に、各種吸収剤を添加し、さらに塩化メチレンを加えて、固形分が質量基準にて30%の溶液を得た。次いで、得られた溶液を平滑なガラス板上にキャスト成形し、50℃で8時間、さらに減圧下100℃で1時間乾燥後に剥離し、厚さ0.1mmの透明基材を得た。各種吸収剤の添加量は、得られる透明基材の吸収極大波長における透過率が10%となる濃度とした。得られた透明基材の透過率より、吸収極大波長、前記(Aa)と(Ab)の差の絶対値を算出した。
<屈折率>
本明細書における種々の材料の屈折率は、特に指定が無い場合、波長550nmの値とした。
<ガラス転移温度>
エスアイアイ・ナノテクノロジーズ(株)社製の示差走査熱量計「DSC6200」を用いて、昇温速度:毎分20℃、窒素気流下で測定した。
<破断強度>
光学フィルターの形状を、厚さは実施例に記載のものとし、厚さ以外の項目をJISK7161−2:2014における5Bとし、動的ひずみ/応力計測装置(インストロン社製「3300フロア型万能試験機」)を用いて、試験速度5mm/minにてJIS7161−1:2014に従う条件にて、引張破壊応力を破断強度として評価した。
<面内位相差R0
位相差計(王子計測機器(株)社製「KOBRA−HBR」)を用いて、実施例で得られた基材の550nmの位相差を測定し、面内位相差R0とした。
<視感度評価>
撮像装置(シキノハイテック社製「KBCR−M04VG」)に用いられているレンズとセンサーの間に、得られた光学フィルターを具備した撮像装置を構築した。X−Rite社製「MacbethJudgeII」のD50を光源とし、X−rite社製「ColorChecker(R)Classic」を被写体とし、No.15のRedを画像中央および画像周辺に配置して撮像を行った。
画像中央および画像周辺ともにNo.15のRedの赤の感度の平均値が170以上であるものを視感度◎、画像中央および画像周辺どちらか一方の170以下であるものを視感度×とした。なお、評価は、画像補正として、No.19のWhiteを中央に配置して撮像した際の当該部分の画素の赤、緑、青の各色の感度の平均をそれぞれ243、243、242とする感度補正とWhiteバランス補正を行う条件下にて行った。
<ゴースト評価>
撮像装置(シキノハイテック社製「KBCR−M04VG」)に用いられているレンズとセンサーの間に、得られた光学フィルターを具備した撮像装置を構築した。周囲の迷光を遮断する環境の下、画像を横方向に5分割し左から右へ1〜5行とし、縦方向に5分割した際の上から下へ1〜5列とした場合に、ハロゲン光源(朝日分光(株)社製「ALA−100」)が2行−4列の位置となるように撮像した。その際に、1行−5列の領域に発生するゴーストにおいて、赤の感度が80以上である領域をゴーストの領域とし、その面積を評価した。1行−5列の領域の20%以下であるものをゴースト性能〇とし、20%を超えるものをゴースト性能×とした。
[実施例1]
JSR(株)製のノルボルネン樹脂「ARTON」(屈折率1.52、ガラス転移温度160℃)100質量部に、QCR Solutions社製の吸収剤「NIR829A」(吸収極大波長;840nm、前記(Aa)と(Ab)の差の絶対値:90nm)を0.113質量部加え、フェノール系酸化防止剤(ADEKA社製、「アデカスタブAO−20」)を0.05質量部、さらに塩化メチレンを加えて溶解し、固形分が質量基準にて30%の溶液を得た。次いで、得られた溶液を平滑なガラス板上にキャスト成形し、50℃で8時間、さらに減圧下100℃で1時間乾燥後に剥離した。この樹脂フィルムを150℃で延伸することで、厚さ0.1mm、一辺が60mm、破断強度が70MPaであり、面内位相差Roが5nmである透明基材を得た。また、得られた透明基材に関し、前記要件(X)に記載の差の絶対値は77nm、前記要件(F)に記載の吸収極大波長は845nm、前記要件(G)に記載の透過率の平均値は40%であり、吸収極大波長における透過率は3%であった。
得られた透明基材の両面に、イオンアシスト真空蒸着装置を用いて、蒸着温度120℃で誘電体多層膜からなる近赤外線反射膜を設計(1)および設計(2)[シリカ(SiO2:550nmの屈折率1.46)層とチタニア(TiO2:550nmの屈折率2.48)層とが交互に積層されてなるもの]で形成し、厚さ0.107mmの光学フィルターを得た。前記設計(1)および設計(2)を表2に示す。
得られた光学フィルターの透過率および反射率の測定結果を表3に示す。なお、波長700nmでの反射率は10%以下であった。
撮像装置にシリコンフォトダイオード製光電変換素子のセンサーを用いたシキノハイテック社製「KBCR−M04VG」を用いて、この光学フィルターの視感度評価を行った結果、視感度◎であった。同様にゴースト評価を行った結果、ゴースト性能は〇であった。得られた光学フィルターは固体撮像装置に好適であった。
[実施例2]
前記式(4)におけるRsq1がメチル基、Rsq2がメチル基、Rsq3がiso−プロピル基、Rsq4がメチル基、Rsq5がメチル基、Rsq6がiso−プロピル基のスクアリリウム系の吸収剤をAngewandte Chemie./Jahrg.1966/Nr.20/937に記載の手順に従い合成した。このスクアリリウム系吸収剤の吸収極大波長は770nm、前記(Aa)と(Ab)の差の絶対値:82nmであった。
温度計、撹拌器、窒素導入管、側管付き滴下ロート、ディーンスターク管および冷却管を備えた500mLの5つ口フラスコに、窒素気流下、1,4−ビス(4−アミノ−α,α-ジメチルベンジル)ベンゼン27.66g(0.08モル)および4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル7.38g(0.02モル)をγ−ブチロラクトン68.65g及びN,N−ジメチルアセトアミド17.16gに溶解させた。得られた溶液を、氷水バスを用いて5℃に冷却した。同温に保ちながら1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物22.62g(0.1モル)およびイミド化触媒としてトリエチルアミン0.50g(0.005モル)を前記溶液に一括添加した。添加終了後、180℃に昇温し、随時留出液を留去させながら、6時間還流させた。反応終了後、内温が100℃になるまで空冷した後、N,N−ジメチルアセトアミド143.6gを加えて希釈し、攪拌しながら冷却することにより、固形分濃度20質量%のポリイミド樹脂溶液264.16gを得た。このポリイミド樹脂溶液の一部を1Lのメタノール中に注ぎ入れてポリイミド樹脂を沈殿させた。濾別したポリイミド樹脂をメタノールで洗浄した後、100℃の真空乾燥機中で24時間乾燥させて白色粉末状のポリイミド樹脂を得た。得られたポリイミド樹脂のガラス転移温度310℃であった。
得られたポリイミド樹脂100質量部に、上記スクアリリウム系吸収剤を0.05質量部、前記式(5−1)におけるRdi1〜Rdi8がtert−ブチル基、Rdi9〜Rdi12が水素基、アニオン(X-)がX−21であるジイモニウム系吸収剤(吸収極大波長;1094nm、前記(Aa)と(Ab)の差の絶対値:124nm)を0.0005質量部加え、さらにN,N−ジメチルアセトアミドを加えて溶解し、固形分が質量基準にて30%の溶液を得た。次いで、得られた溶液を平滑なガラス板上にキャスト成形し、50℃で8時間、さらに減圧下140℃で1時間乾燥後に剥離し、厚さ0.05mm、一辺が60mmの樹脂フィルムを得た。得られた樹脂フィルムの両面に、重合開始剤2質量部を含むアクリレート系紫外線硬化性ハードコート剤(JSR(株)製「デソライトZ−7524」)をメチルエチルケトンにて希釈して固形分濃度を45質量%とした溶液をコーターバー(安田精機製作所製オートマチックフィルムアプリケーター、型番No.542-AB)により塗布した。これを80℃で3分間乾燥後、アイグラフィックス社製のUVコンベア紫外線硬化装置「US2−X040560Hz」を用い、窒素雰囲気化、メタルハライドランプ照度270mW/cm2、積算光量150mJ/cm2 でUV硬化させることで、樹脂フィルムの両面に厚さ1μmのハードコート層を有する、厚さ0.052mmの透明基材を得た。得られた透明基材の破断強度は75MPaであり、面内位相差Roは10nmであった。得られた透明基材に関し、前記要件(X)に記載の差の絶対値は95nm、前記要件(F)に記載の吸収極大波長は772nm、前記要件(G)に記載の透過率の平均値は41%、吸収極大波長における透過率は26%であった。
得られた透明基材の両面に、イオンアシスト真空蒸着装置を用いて、蒸着温度120℃で誘電体多層膜からなる近赤外線反射膜を設計(3)および設計(2)[シリカ(SiO2:550nmの屈折率1.46)層とチタニア(TiO2:550nmの屈折率2.48)層とが交互に積層されてなるもの]で形成し、厚さ0.058mmの光学フィルターを得た。
得られた光学フィルターの透過率および反射率の測定結果を表3および図12に示す。
撮像装置にシリコンフォトダイオード製光電変換素子のセンサーを用いたシキノハイテック社製「KBCR−M04VG」を用いて、この光学フィルターの視感度評価を行った結果、視感度◎であった。また撮像装置に、緑色に有機光電変換素子、青色と赤色にシリコンフォトダイオードを図3、図4、図5のように配置したセンサーを用いて、この光学フィルターの視感度評価を行った結果、視感度評価◎であった。さらに、この光学フィルターのゴースト評価を行った結果、ゴースト性能は〇であった。得られた光学フィルターは固体撮像装置に好適であった。
[実施例3]
3Lの4つ口フラスコに2,6−ジフルオロベンゾニトリル35.12g(0.253mol)、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン87.60g(0.250mol)、炭酸カリウム41.46g(0.300mol)、N,N−ジメチルアセトアミド(以下「DMAc」ともいう。)443gおよびトルエン111gを添加した。続いて、4つ口フラスコに温度計、撹拌機、窒素導入管付き三方コック、ディーンスターク管および冷却管を取り付けた。次いで、フラスコ内を窒素置換した後、得られた溶液を140℃で3時間反応させ、生成する水をディーンスターク管から随時取り除いた。水の生成が認められなくなったところで、徐々に温度を160℃まで上昇させ、そのままの温度で6時間反応させた。室温(25℃)まで冷却後、生成した塩をろ紙で除去し、ろ液をメタノールに投じて再沈殿させ、ろ別によりろ物(残渣)を単離した。得られたろ物を60℃で一晩真空乾燥し、ポリエーテル樹脂を得た。得られたポリエーテル樹脂の屈折率は1.60、ガラス転移温度285℃であった。
得られたポリエーテル樹脂100質量部に、H.W.SANDS社製の吸収剤「SDB4927」(吸収極大波長;825nm、前記(Aa)と(Ab)の差の絶対値:98nm)を0.05質量部加え、さらに塩化メチレンを加えて溶解し、固形分が質量基準にて15%の溶液を得た。次いで、得られた溶液を平滑な厚さ0.1mmのガラス板(SCHOTT社製D263、厚さ0.1mm)上にスピンコートし、50℃で8時間、さらに減圧下150℃で1時間乾燥し、厚さ0.01mmの透明樹脂層を形成した。ガラス板と透明樹脂層を透明基材とする、一辺が60mmの透明基材を得た。得られた透明樹脂層の破断強度は72MPaであり、透明基材の面内位相差Roは8nmであった。
得られた透明基材に関し、前記要件(X)に記載の差の絶対値は79nm、前記要件(F)に記載の吸収極大波長は825nm、前記要件(G)に記載の透過率の平均値は40%、極大吸収波長における透過率は3%であった。
続いて、得られた透明基材の両面に、イオンアシスト真空蒸着装置を用いて、蒸着温度120℃で誘電体多層膜からなる近赤外線反射膜を設計(1)および設計(2)[シリカ(SiO2:550nmの屈折率1.46)層とチタニア(TiO2:550nmの屈折率2.48)層とが交互に積層されてなるもの]で形成し、厚さ0.117mmの光学フィルターを得た。
得られた光学フィルターの透過率および反射率の測定結果を表3に示す。なお、波長700nmでの反射率は10%以下であった。
撮像装置にシリコンフォトダイオード製光電変換素子のセンサーを用いたシキノハイテック社製「KBCR−M04VG」を用いて、この光学フィルターの視感度評価を行った結果、視感度◎であった。同様にゴースト評価を行った結果、ゴースト性能は〇であった。得られた光学フィルターは固体撮像装置に好適であった。
[実施例4]
前記式(5−1)におけるRdi1〜Rdi8がtert−ブチル基、Rdi9〜Rdi12が水素基、アニオン(X-)がX−21であるジイモニウム系吸収剤(吸収極大波長;1094nm、前記(Aa)と(Ab)の差の絶対値:124nm)100質量部に、QCR solutions社製の吸収剤「NIR745B」(吸収極大波長;734nm、前記(Aa)と(Ab)の差の絶対値:67nm)を6.7質量部加え、混合した。得られた混合吸収剤は737nmに吸収極大波長があり、前記(Aa)と(Ab)の差の絶対値:78nmであった。
JSR(株)製のノルボルネン樹脂「ARTON」(屈折率1.52、ガラス転移温度160℃)100質量部に、上記混合吸収剤を0.203質量部加え、BASF社製のオキサゾール系近紫外線吸収剤「Uvitex OB」を0.3質量部加え、さらに塩化メチレンを加えて溶解し、固形分が質量基準にて30%の溶液を得た。次いで、得られた溶液を平滑なガラス板上にキャスト成形し、50℃で8時間、さらに減圧下140℃で1時間乾燥後に剥離し、150℃で延伸することで、厚さ0.1mm、一辺が60mmの透明基材を得た。得られた透明基材の破断強度は70MPaであり、面内位相差Roは1nmであった。
得られた透明基材に関し、前記要件(X)に記載の差の絶対値は75nm、前記要件(F)に記載の吸収極大波長は738nm、前記要件(G)に記載の透過率の平均値は36%、極大吸収波長における透過率は29%であった。
得られた透明基材の両面に、イオンアシスト真空蒸着装置を用いて、蒸着温度120℃で誘電体多層膜からなる近赤外線反射膜を設計(4)および設計(5)[シリカ(SiO2:550nmの屈折率1.46)層とチタニア(TiO2:550nmの屈折率2.48)層とが交互に積層されてなるもの]で形成し、厚さ0.106mmの光学フィルターを得た。近赤外線反射膜の設計(4)および設計(5)の膜厚設計を表2に示す。
得られた光学フィルターの透過率および反射率の測定結果を表3に示す。なお、波長700nmでの反射率は10%以下であった。
撮像装置にシリコンフォトダイオード製光電変換素子のセンサーを用いたシキノハイテック社製「KBCR−M04VG」を用いて、この光学フィルターの視感度評価を行った結果、視感度◎であった。同様にゴースト評価を行った結果、ゴースト性能は〇であった。得られた光学フィルターは固体撮像装置に好適であった。
[実施例5]
JSR(株)製のノルボルネン樹脂「ARTON」(屈折率1.52、ガラス転移温度160℃)100質量部に、塩化メチレンを加えて溶解し、固形分が質量基準にて30%の溶液を得た。次いで、得られた溶液を平滑なガラス板上にキャスト成形し、50℃で8時間、さらに減圧下100℃で1時間乾燥後に剥離し、厚さ0.09mmの樹脂フィルムAを得た。JSR(株)製のノルボルネン樹脂「ARTON」(屈折率1.52、ガラス転移温度160℃)100質量部に、QCR Solutions社製の吸収剤「NIR829A」(吸収極大波長;840nm、前記(Aa)と(Ab)の差の絶対値:90nm)を1.13質量部加え、フェノール系酸化防止剤(ADEKA社製「アデカスタブAO−20」)を0.05質量部、さらに塩化メチレンを加えて溶解し、固形分が質量基準にて30%の溶液を得た。得られた溶液を上記樹脂フィルムA上にキャスト成形し、25℃で30分、120℃30分、さらに減圧下100℃で1時間乾燥後に、150℃で延伸することで、厚さ0.1mm、一辺が60mm、破断強度が70MPaであり、面内位相差Roが5nmである透明基材を得た。また、得られた透明基材に関し、前記要件(X)に記載の差の絶対値は77nm、前記要件(F)に記載の吸収極大波長は845nm、前記要件(G)に記載の透過率の平均値は40%であり、吸収極大波長における透過率は3%であった。
得られた透明基材の両面に、イオンアシスト真空蒸着装置を用いて、蒸着温度120℃で誘電体多層膜からなる近赤外線反射膜を設計(1)および設計(2)[シリカ(SiO2:550nmの屈折率1.46)層とチタニア(TiO2:550nmの屈折率2.48)層とが交互に積層されてなるもの]で形成し、厚さ0.107mmの光学フィルターを得た。前記設計(1)および設計(2)を表2に示す。
得られた光学フィルターの透過率および反射率の測定結果を表3に示す。なお、波長700nmでの反射率は10%以下であった。
撮像装置にシリコンフォトダイオード製光電変換素子のセンサーを用いたシキノハイテック社製「KBCR−M04VG」を用いて、この光学フィルターの視感度評価を行った結果、視感度◎であった。同様にゴースト評価を行った結果、ゴースト性能は〇であった。得られた光学フィルターは固体撮像装置に好適であった。
[実施例6]
JSR(株)製のノルボルネン樹脂「ARTON」(屈折率1.52、ガラス転移温度160℃)100質量部に、実施例4の混合吸収剤を2.03質量部加え、BASF社製のオキサゾール系近紫外線吸収剤「Uvitex OB」を1質量部加え、さらに塩化メチレンを加えて溶解し、固形分が質量基準にて30%の溶液を得た。次いで、得られた溶液を実施例5同様の手順で作製した樹脂フィルムA上にキャスト成形し、50℃で8時間、さらに減圧下140℃で1時間乾燥後に剥離し、150℃で延伸することで、厚さ0.1mm、一辺が60mmの透明基材を得た。得られた透明基材の破断強度は70MPaであり、面内位相差Roは1nmであった。
得られた透明基材に関し、前記要件(X)に記載の差の絶対値は75nm、前記要件(F)に記載の吸収極大波長は738nm、前記要件(G)に記載の透過率の平均値は36%、極大吸収波長における透過率は29%であった。
得られた透明基材の両面に、イオンアシスト真空蒸着装置を用いて、蒸着温度120℃で誘電体多層膜からなる近赤外線反射膜を設計(4)および設計(5)[シリカ(SiO2:550nmの屈折率1.46)層とチタニア(TiO2:550nmの屈折率2.48)層とが交互に積層されてなるもの]で形成し、厚さ0.106mmの光学フィルターを得た。近赤外線反射膜の設計(4)および設計(5)の膜厚設計を表2に示す。
得られた光学フィルターの透過率および反射率の測定結果を表3に示す。なお、波長700nmでの反射率は10%以下であった。
撮像装置にシリコンフォトダイオード製光電変換素子のセンサーを用いたシキノハイテック社製「KBCR−M04VG」を用いて、この光学フィルターの視感度評価を行った結果、視感度◎であった。同様にゴースト評価を行った結果、ゴースト性能は〇であった。得られた光学フィルターは固体撮像装置に好適であった。
[比較例1]
JSR(株)製のノルボルネン樹脂「ARTON」(屈折率1.52、ガラス転移温度160℃)100質量部に、FewChemicals社製の吸収剤「S−2084」(吸収極大波長;667nm、前記(Aa)と(Ab)の差の絶対値:26nm)を0.0087質量部加え、さらに塩化メチレンを加えて溶解し、固形分が質量基準にて30%の溶液を得た。次いで、得られた溶液を平滑なガラス板上にキャスト成形し、50℃で8時間、さらに減圧下140℃で3時間乾燥後に剥離し、厚さ0.1mm、一辺が60mmの透明基材を得た。得られた透明基材の破断強度は70MPaであり、面内位相差Roは12nmであった。
得られた透明基材に関し、前記要件(X)に記載の差の絶対値は26nm、前記要件(F)に記載の吸収極大波長は667nm、前記要件(G)に記載の透過率の平均値は91%であった。
続いて、得られた透明基材の両面に、イオンアシスト真空蒸着装置を用いて、蒸着温度120℃で誘電体多層膜からなる近赤外線反射膜を設計(6)および設計(1)[シリカ(SiO2:550nmの屈折率1.46)層とチタニア(TiO2:550nmの屈折率2.48)層とが交互に積層されてなるもの]で形成し、厚さ0.106mmの光学フィルターを得た。近赤外線反射膜の設計(6)および設計(1)の膜厚設計を表2に示す。
得られた光学フィルターの透過率および反射率の測定結果を表3および図13に示す。
撮像装置にシリコンフォトダイオード製光電変換素子のセンサーを用いたシキノハイテック社製「KBCR−M04VG」を用いて、この光学フィルターの視感度評価を行った結果、視感度×であった。同様にゴースト評価を行った結果、ゴースト性能は×であった。得られた光学フィルターは固体撮像装置に不適であった。
[比較例2]
JSR(株)製のノルボルネン樹脂「ARTON」(屈折率1.52、ガラス転移温度160℃)100質量部に、(株)林原社製の吸収剤「SMP−54」(吸収極大波長;721nm、前記(Aa)と(Ab)の差の絶対値:65nm)を0.05質量部加え、さらに塩化メチレンを加えて溶解し、固形分が質量基準にて30%の溶液を得た。次いで、得られた溶液を平滑なガラス板上にキャスト成形し、50℃で3時間、さらに減圧下100℃で3時間乾燥後に剥離し、厚さ0.1mm、一辺が60mmの透明基材を得た。得られた透明基材の破断強度は70MPaであり、面内位相差Roは12nmであった。
得られた透明基材に関し、前記要件(X)に記載の差の絶対値は26nm、前記要件(F)に記載の吸収極大波長は720nm、前記要件(G)に記載の透過率の平均値は19%であった。
得られた透明基材の両面に、イオンアシスト真空蒸着装置を用いて、蒸着温度120℃で誘電体多層膜からなる近赤外線反射膜を設計(7)および設計(1)[シリカ(SiO2:550nmの屈折率1.45、膜厚37〜194nm)層とチタニア(TiO2:550nmの屈折率2.45、膜厚11〜108nm)層とが交互に積層されてなるもの]で形成し、厚さ0.106mmの光学フィルターを得た。近赤外線反射膜の設計(7)および(1)の膜厚設計を表2に示す。
得られた光学フィルターの透過率および反射率の測定結果を表3に示す。なお、波長700nmでの反射率は10%を超えていた。
撮像装置にシリコンフォトダイオード製光電変換素子のセンサーを用いたシキノハイテック社製「KBCR−M04VG」を用いて、この光学フィルターの視感度評価を行った結果、吸収剤の吸収極大近傍の波形が急峻であり、赤色の感度が低いことに起因し、視感度×であった。同様にゴースト評価を行った結果、ゴースト性能は×であった。得られた光学フィルターは固体撮像装置に不適であった。
[比較例3]
JSR(株)製のノルボルネン樹脂「ARTON」(屈折率1.52、ガラス転移温度160℃)100質量部に、(株)林原社製の吸収剤「SMP−54」(吸収極大波長;721nm、前記(Aa)と(Ab)の差の絶対値:65nm)を0.05質量部加え、さらに塩化メチレンを加えて溶解し、固形分が質量基準にて30%の溶液を得た。次いで、得られた溶液を平滑なガラス板上にキャスト成形し、50℃で8時間、さらに減圧下140℃で3時間乾燥後に剥離し、厚さ0.1mm、一辺が60mmの透明基材1を得た。吸収剤「SMP−54」の添加量を表4に記載の通り変量し、同様の手順にて透明基材2〜6を得た。
続いて、得られた透明基材1〜6の両面に、イオンアシスト真空蒸着装置を用いて、蒸着温度120℃で誘電体多層膜からなる近赤外線反射膜を設計(6)および設計(1)[シリカ(SiO2:550nmの屈折率1.46)層とチタニア(TiO2:550nmの屈折率2.48)層とが交互に積層されてなるもの]で形成し、厚さ0.106mmの光学フィルター2〜7を得た。得られた光学フィルター2〜7の透過率および反射率の測定結果を表3に示す。また、光学フィルター6の結果を図14に示す。
[比較例4]
比較例3と同様の手順にて透明基材1〜6を得た。続いて、得られた透明基材1〜6の両面に、イオンアシスト真空蒸着装置を用いて、蒸着温度120℃で誘電体多層膜からなる近赤外線反射膜を設計(3)および設計(2)[シリカ(SiO2:550nmの屈折率1.46)層とチタニア(TiO2:550nmの屈折率2.48)層とが交互に積層されてなるもの]で形成し、厚さ0.106mmの光学フィルター8〜13を得た。得られた光学フィルター8〜13の透過率および反射率の測定結果を表3に示す。また、光学フィルター8の結果を図15に示す。
本発明の光学フィルターは、カメラモジュールのCCDやCMOSなどの固体撮像素子の視感度補正用として有用である。特に、デジタルスチルカメラ、携帯電話用カメラ、スマートフォン用カメラ、デジタルビデオカメラ、PCカメラ、監視カメラ、自動車用カメラ、テレビ、カーナビ、携帯情報端末、パソコン、ビデオゲーム、携帯ゲーム機、指紋認証システム、虹彩認証システム、顔認証システム、距離測定センサー、距離測定カメラ、デジタルミュージックプレーヤー等に有用である。
1: 本発明に係る光学フィルターの一例
10:基材
11:透明基材
12:透明樹脂層
13:その他の機能膜
21:近赤外線反射膜1
22:近赤外線反射膜2
101:反射防止膜
102:マイクロレンズ
103:封止膜
104:緑色有機光電変換素子
105:絶縁層
106:透明電極
107B:青色カラーフィルター
107R:赤色カラーフィルター
108:電極
109:シリコンフォトダイオード
110:シリコン層
111:電荷保持部
201:検出器
301:レンズ
302:センサー
303:正常検出部
304:ゴースト
305:ゴースト
400:カメラモジュール
401:光源
402:ゴースト

Claims (12)

  1. 下記要件(A)〜(D)を満たすことを特徴とする光学フィルター:
    (A)波長430〜580nmの範囲において、光学フィルターの面に対して垂直方向から測定した場合の透過率の平均値が75%以上である;
    (B)波長800〜1000nmの範囲において、光学フィルターの面に対して垂直方向から測定した場合の透過率の平均値が10%以下である;
    (C)波長700〜750nmの範囲において、光学フィルターの面に対して垂直方向から測定した場合の透過率の平均値が15%以上である;
    (D)波長560〜800nmの範囲において、光学フィルターの面に対して垂直方向から測定した場合の透過率が50%となる最も短い波長の値(Ya)と、光学フィルターの面に対して垂直方向に対して30°の角度から測定した場合の透過率が50%となる最も短い波長の値(Yb)との差の絶対値が15nm未満である。
  2. 前記光学フィルターが、さらに下記要件(E)を満たすことを特徴とする請求項1に記載の光学フィルター:
    (E)前記波長の値(Ya)が690nm以上760nm以下である。
  3. 近赤外線吸収剤を含有する基材と、近赤外線反射膜とを有することを特徴とする請求項1または2に記載の光学フィルター。
  4. 前記近赤外線吸収剤が波長650〜850nmの範囲に吸収極大波長を有すること、および、
    該吸収極大波長における前記基材の透過率が10%となる量で前記近赤外線吸収剤を含有させた場合、波長430nm以上かつ該吸収極大波長以下の範囲において前記基材の透過率が70%となる最も長い波長(Aa)と、波長580nm以上の範囲において前記基材の透過率が30%となる最も短い波長(Ab)との差の絶対値が150nm未満であることを特徴とする請求項3に記載の光学フィルター。
  5. 前記基材が下記要件(X)を満たすことを特徴とする請求項3または4に記載の光学フィルター:
    (X)波長430〜850nmの範囲において透過率が70%となる最も長い波長(Xa)と、波長580nm以上の範囲において透過率が30%となる最も短い波長(Xb)との差の絶対値が75nm以上150nm未満である。
  6. 前記基材が下記要件(F)および(G)を満たすことを特徴とする請求項3〜5のいずれか1項に記載の光学フィルター:
    (F)波長650〜850nmの範囲に吸収極大がある;
    (G)波長700〜750nmの範囲において、垂直方向から測定した場合の透過率の平均値が15%以上46%以下である。
  7. 前記基材が透明樹脂層を有し、かつ、該透明樹脂層が、ノルボルネン系樹脂、ポリイミド系樹脂およびポリエーテル樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種を含むことを特徴とする請求項3〜6のいずれか1項に記載の光学フィルター。
  8. 前記近赤外線吸収剤が、前記透明樹脂層に対して0.01〜60.0質量%の範囲で含有されていることを特徴とする請求項7に記載の光学フィルター。
  9. 前記近赤外線反射膜が誘電体多層膜であることを特徴とする請求項3〜8のいずれか1項に記載の光学フィルター。
  10. 前記光学フィルターが、下記要件(Z1)および(Z2)を満たすことを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の光学フィルター:
    (Z1)波長700nmにおいて、光学フィルターの面に対して垂直方向から測定した場合の反射率が、光学フィルターのどちらの面から入射した場合においても10%以下である;
    (Z2)波長600nm以上の範囲において、光学フィルターの面に対して垂直方向から測定した場合の反射率が50%となる600nm以上の波長の値(Za)が、光学フィルターのどちらの面から入射した場合においても730nm以上である。
  11. 請求項1〜10のいずれか1項に記載の光学フィルターを具備することを特徴とする固体撮像装置。
  12. 請求項1〜10のいずれか1項に記載の光学フィルターを具備することを特徴とするカメラモジュール。
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