JP2019053157A - 光学フィルターおよび光学フィルターを用いた装置 - Google Patents

光学フィルターおよび光学フィルターを用いた装置 Download PDF

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Abstract

【課題】透明樹脂層と誘電体多層膜との密着性を高めることにより、信頼性に優れた、低ヘイズの光学フィルターを得ること。【解決手段】本発明の光学フィルターは、有機溶媒の含有量が0.5重量%以下である透明樹脂層を含む基材を有すること、および、可視光線を透過し、近赤外線の少なくとも一部を遮断することを特徴とし、好ましくは、前記基材の少なくとも一方の面に形成された誘電体多層膜をさらに有する。【選択図】なし

Description

本発明は、光学フィルターおよび光学フィルターを用いた装置に関する。より詳しくは、可視光線を透過し、近赤外線の少なくとも一部を遮断する光学フィルター、ならびに該光学フィルターを用いた固体撮像装置およびカメラモジュールに関する。
ビデオカメラ、デジタルスチルカメラ、カメラ機能付き携帯電話などの固体撮像装置にはカラー画像の固体撮像素子であるCCDやCMOSイメージセンサーが使用されているが、これら固体撮像素子は、その受光部において人間の目では感知できない近赤外線に感度を有するシリコンフォトダイオードが使用されている。これらの固体撮像素子では、人間の目で見て自然な色合いにさせる視感度補正を行うことが必要であり、特定の波長領域の光線を選択的に透過もしくはカットする光学フィルター(例えば近赤外線カットフィルター)を用いることが多い。
このような近赤外線カットフィルターとしては、従来から、各種方法で製造されたものが使用されている。例えば、基材として透明樹脂を用い、透明樹脂中に近赤外線吸収色素を含有させた近赤外線カットフィルターが知られている(例えば特許文献1参照)。しかしながら、特許文献1に記載された近赤外線カットフィルターは、近赤外線吸収特性が必ずしも充分ではない場合があった。
本出願人は、特許文献2にて、ノルボルネン系樹脂製基板と近赤外線反射膜とを有する近赤外線カットフィルターを提案している。特許文献2に記載された近赤外線カットフィルターは、近赤外線カット特性、耐吸湿性および耐衝撃性に優れるが、広い視野角の値をとることはできなかった。
また、本出願人は、鋭意検討の結果、特定の波長領域に吸収極大がある近赤外線吸収色素を含有する透明樹脂製基板を用いることで、入射角度を変化させても光学特性の変化が少ない近赤外線カットフィルターが得られることを見出し、特許文献3にて広い視野角および高い可視光透過率を兼ね備えた近赤外線カットフィルターを提案している。
特開平6−200113号公報 特開2005−338395号公報 特開2011−100084号公報
従来の近赤外線カットフィルター等の光学フィルターでは、該光学フィルターを構成する基材と誘電体多層膜との密着性が不十分な場合があったため、信頼性に問題があった。
そこで、本発明は、基材と誘電体多層膜との密着性を高めることにより、信頼性に優れた、低ヘイズの光学フィルターを得ること、また、前記光学フィルターを具備することにより、画質異常を起こさない優れた個体撮像装置を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意検討した結果、光学フィルターの基材を構成する透明樹脂層中に含まれる残留溶媒量を低減させることにより、目的とする低ヘイズ性と高信頼性を有する光学フィルターが得られることを見出し、本発明を完成するに至った。本発明の態様の例を以下に示す。
[1] 有機溶媒の含有量が0.5重量%以下である透明樹脂層を含む基材を有すること、および、可視光線を透過し、近赤外線の少なくとも一部を遮断することを特徴とする光学フィルター。
[2] 前記基材の少なくとも一方の面に形成された誘電体多層膜をさらに有することを特徴とする項[1]に記載の光学フィルター。
[3] 前記誘電体多層膜の少なくとも一つが、前記透明樹脂層上に形成されていることを特徴とする項[1]または[2]に記載の光学フィルター。
[4] 前記透明樹脂層が、環状ポリオレフィン系樹脂、芳香族ポリエーテル系樹脂、ポリイミド系樹脂、フルオレンポリカーボネート系樹脂、フルオレンポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリサルホン系樹脂、ポリエーテルサルホン系樹脂、ポリパラフェニレン系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリエチレンナフタレート系樹脂、フッ素化芳香族ポリマー系樹脂、(変性)アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、アクリル系紫外線硬化型樹脂、ビニル系紫外線硬化型樹脂、アリルエステル系硬化型樹脂およびシルセスキオキサン系紫外線硬化樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種の樹脂からなることを特徴とする項[1]〜[3]のいずれか1項に記載の光学フィルター。
[5] 前記有機溶媒の沸点が120℃以下であることを特徴とする項[1]〜[4]のいずれか1項に記載の光学フィルター。
[6] 前記有機溶媒がハロゲン原子を含むことを特徴とする項[1]〜[4]のいずれか1項に記載の光学フィルター。
[7] 前記透明樹脂層が近赤外線吸収剤を含有することを特徴とする項[1]〜[6]のいずれか1項に記載の光学フィルター。
[8] 前記近赤外線吸収剤が、スクアリリウム系化合物、シアニン系化合物、フタロシアニン系化合物、ナフタロシアニン系化合物、クロコニウム系化合物、ジチオール系化合物、ジイモニウム系化合物およびポルフィリン系化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物であることを特徴とする項[7]に記載の光学フィルター。
[9] 前記光学フィルターが固体撮像装置用であることを特徴とする項[1]〜[8]のいずれか1項に記載の光学フィルター。
[10] 項[1]〜[9]のいずれか1項に記載の光学フィルターを具備することを特徴とする固体撮像装置。
[11] 項[1]〜[9]のいずれか1項に記載の光学フィルターを具備することを特徴とするカメラモジュール。
本発明によれば、信頼性に優れた低ヘイズの光学フィルターを得ることができ、また、前記光学フィルターを具備することにより、画質異常が少なく、耐久性能の高いカメラモジュール等を薄型化および小型化することができる。
以下、本発明について具体的に説明する。
[光学フィルター]
本発明に係る光学フィルターは、有機溶媒の含有量が0.5重量%以下である透明樹脂層を含む基材を有すること、および、可視光線を透過し、近赤外線の少なくとも一部を遮断することを特徴とする。本発明の光学フィルターは、前記基材の少なくとも一方の面に形成された誘電体多層膜をさらに有することが好ましく、前記誘電体多層膜の少なくとも一つが前記透明樹脂層上に形成されていることがより好ましい。
本発明の光学フィルターを固体撮像素子などに使用する場合、可視光透過率が高い方が好ましい。具体的には、波長430〜580nmの領域において、光学フィルターの垂直方向から測定した場合の平均透過率が好ましくは75%以上、より好ましくは80%以上、さらに好ましくは83%以上、特に好ましくは85%以上である。この波長域において平均透過率がこの範囲にあると、本発明の光学フィルターを固体撮像素子用途として使用した場合、優れた撮像感度を達成することができる。
本発明の光学フィルターは、波長560〜800nmの範囲において、光学フィルターの垂直方向から測定した時の透過率が50%となる最も短い波長の値(Xa)と、光学フィルターの垂直方向に対して30°の角度から測定した時の透過率が50%となる波長の値(Xb)との差の絶対値が小さい方が好ましい。(Xa)と(Xb)との差の絶対値は、好ましくは20nm未満、より好ましくは15nm未満、特に好ましくは10nm未満である。このような光学フィルターは、前記基材(i)上に誘電体多層膜を形成することで得られる。
本発明の光学フィルターの厚みは、所望の用途に応じて適宜選択すればよいが、近年の固体撮像装置の薄型化および軽量化等の流れによれば、本発明の光学フィルターの厚みも薄いことが好ましい。具体的には、好ましくは200μm以下、より好ましくは180μm以下、さらに好ましくは150μm以下、特に好ましくは120μm以下であることが望ましく、下限は特に制限されないが、例えば、20μmであることが望ましい。
[基材(i)]
前記基材(i)は、有機溶媒の含有量が0.5重量%以下の透明樹脂層を有し、単層であっても多層であってもよく、また、前記透明樹脂層は近赤外線吸収剤(以下「化合物(A)」ともいう。)を含有してもよい。基材(i)が単層の場合、前記透明樹脂層そのものが基材となる。
基材(i)が多層の場合、例えば、ガラス支持体やベースとなる樹脂製支持体などの支持体上に前記透明樹脂層が積層された基材、化合物(A)を含む透明樹脂製基板(ii)上に前記透明樹脂層が積層された基材などを挙げることができる。製造コストや光学特性調整の容易性、さらに、樹脂製支持体の傷消し効果を達成できることや基材(i)の耐傷つき性向上等の点から、化合物(A)を含有する透明樹脂製基板(ii)上に前記透明樹脂層が積層された基材が特に好ましい。なお、前記透明樹脂層は支持体または前記透明樹脂製基板(ii)の少なくとも一方の面に形成されていればよく、両面に形成されていてもよい。
波長600nm以上750nm未満の領域において、前記基材(i)の垂直方向から測定した最も低い透過率(Ta)は、好ましくは40%以下、さらに好ましくは25%以下、特に好ましくは10%以下である。
波長600nm以上の領域における前記基材(i)の垂直方向から測定した透過率が50%超から50%以下となる最も短い波長(Xc)は、好ましくは610〜670nm、さらに好ましくは620〜665nm、特に好ましくは630〜660nmである。
基材(i)の(Ta)および(Xc)がこのような範囲にあれば、不要な近赤外線を選択的に効率よくカットすることができるとともに、基材(i)上に誘電体多層膜を製膜した際、可視波長〜近赤外波長域付近の光学特性の入射角依存性を低減することができる。
基材(i)の波長430〜580nmにおける平均透過率は、好ましくは75%以上、さらに好ましくは78%以上、特に好ましくは80%以上である。このような透過特性を有する基材を用いると、可視域において高い光線透過特性を達成でき、高感度なカメラ機能を達成することができる。
前記基材(i)の厚みは、所望の用途に応じて適宜選択することができ、特に制限されないが、得られる光学フィルターの入射角依存性を低減するように適宜選択することが望ましく、好ましくは10〜200μm、さらに好ましくは15〜180μm、特に好ましくは20〜150μmである。
基材(i)の厚みが前記範囲にあると、該基材(i)を用いた光学フィルターを薄型化および軽量化することができ、固体撮像装置等の様々な用途に好適に用いることができる。特に、前記透明樹脂製基板(ii)からなる基材(i)をカメラモジュール等のレンズユニットに用いた場合には、レンズユニットの低背化、軽量化を実現することができるため好ましい。
<基材(i)の製造方法>
前記基材(i)が支持体を含まない場合、該基材(i)は、例えば、溶融成形またはキャスト成形により形成することができ、さらに、必要により、成形後に、反射防止剤、ハードコート剤および/または帯電防止剤等のコーティング剤をコーティングすることで、オーバーコート層が積層された基材を製造することができる。
前記基材(i)が、ガラス支持体やベースとなる樹脂製支持体などの支持体上に硬化性樹脂等からなるオーバーコート層などの透明樹脂層が積層された基材である場合、例えば、支持体に化合物(A)を含む樹脂溶液を溶融成形またはキャスト成形することで、好ましくはスピンコート、スリットコート、スリット&スピンコート、キャピラリーコーター、インクジェットなどの方法にて塗工した後に溶媒を乾燥除去し、必要に応じてさらに光照射や加熱を行うことで、支持体上に透明樹脂層が形成された基材を製造することができる。
≪溶融成形≫
前記溶融成形としては、具体的には、樹脂と必要に応じて化合物(A)とを溶融混練りして得られたペレットを溶融成形する方法;樹脂と必要に応じて化合物(A)とを含有する樹脂組成物を溶融成形する方法;または、樹脂、溶剤および必要に応じて化合物(A)を含む樹脂組成物から溶剤を除去して得られたペレットを溶融成形する方法などが挙げられる。溶融成形方法としては、射出成形、溶融押出成形またはブロー成形などを挙げることができる。
≪キャスト成形≫
前記キャスト成形としては、樹脂、溶剤および必要に応じて化合物(A)を含む樹脂組成物を適当な支持体の上にキャスティングして溶剤を除去する方法;または光硬化性樹脂および/または熱硬化性樹脂と必要に応じて化合物(A)とを含む硬化性組成物を適当な支持体の上にキャスティングして溶媒を除去した後、紫外線照射や加熱などの適切な手法により硬化させる方法などにより製造することもできる。
前記基材(i)が、支持体を含まない基材である場合には、該基材(i)は、キャスト成形後、支持体から塗膜を剥離することにより得ることができ、また、前記基材(i)が、支持体上に硬化性樹脂等からなるオーバーコート層などの透明樹脂層が積層された基材である場合には、該基材(i)は、キャスト成形後、塗膜を剥離しないことで得ることができる。
前記支持体としては、例えば、ガラス板、スチールベルト、スチールドラムおよび透明樹脂製支持体(例えば、ポリエステルフィルム、環状オレフィン系樹脂フィルム)が挙げられる。
さらに、ガラス板、石英または透明プラスチック製等の光学部品に、前記樹脂組成物をコーティングして溶剤を乾燥させる方法、または、前記硬化性組成物をコーティングして硬化および乾燥させる方法などにより、光学部品上に透明樹脂層を形成することもできる。
前記基材(i)に含まれる有機溶媒(以下「残留溶媒」ともいう。)の量は可能な限り少ない方がよく、透明樹脂層の重量に対し、0.5重量%以下、好ましくは0.3重量%以下、さらに好ましくは0.1重量%以下である。残留溶媒量が0.5重量%を超える場合、光学フィルターのヘイズの上昇や耐久性能の低下が起き、所望の機能が発揮できなくなることがある。また、残留溶媒が蒸着時にアウトガスとして蒸着装置に排出されることで、真空排気にかかる時間が長くなり、生産性の低下が起きる。加えて、蒸着装置の劣化が促進される懸念もある。
前記有機溶媒の沸点は、好ましくは120℃以下、より好ましくは30℃以上100℃以下、さらに好ましくは30℃以上80℃以下である。
このような有機溶媒としては、アセトン、イソブチルアルコール、イソプロピルアルコール、ジエチルエーテル、酢酸イソブチル、酢酸イソプロピル、酢酸エチル、1.4−ジオキサン、ジクロロメタン、テトラクロロエチレン、テトラヒドロフラン、ノルマルヘキサン、1−ブタノール、2−ブタノール、メタノール、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等が挙げられる。
前記有機溶媒はハロゲン原子を含むことことが、樹脂溶解性と残留溶媒量の低減のし易さの点で好ましい。
ハロゲン原子を含む有機溶媒としては、ジクロロメタン、ジクロロエチレン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、モノクロロベンゼン、オルトジクロロベンゼン、1−ブロモプロパン等が挙げられる。
<化合物(A)(近赤外線吸収剤)>
化合物(A)は、近赤外線吸収能を有すれば特に限定されないが、波長600nm以上850nm以下に吸収極大を有する化合物が好ましく、溶剤可溶型の色素化合物であることがより好ましい。より具体的には、スクアリリウム系化合物、シアニン系化合物、フタロシアニン系化合物、ナフタロシアニン系化合物、クロコニウム系化合物、ジチオール系化合物、ジイモニウム系化合物およびポルフィリン系化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物であることが好ましく、スクアリリウム系化合物を含むことがさらに好ましく、スクアリリウム系化合物とその他の化合物(A)をそれぞれ1種以上含むことがさらに好ましく、その他の化合物(A)としてはフタロシアニン系化合物およびシアニン系化合物が特に好ましい。
スクアリリウム系化合物は、優れた可視光透過性、急峻な吸収特性および高いモル吸光係数を有するが、光線吸収時に散乱光の原因となる蛍光を発生させる場合がある。そのような場合、スクアリリウム系化合物とその他の化合物(A)とを組み合わせて使用することにより、散乱光が少なくカメラ画質がより良好な光学フィルターを得ることができる。
化合物(A)の吸収極大波長は、好ましくは620nm以上748nm以下、さらに好ましくは650nm以上745nm以下、特に好ましくは660nm以上740nm以下である。
化合物(A)の含有量は、前記基材(i)として、例えば、化合物(A)を含有する透明樹脂製基板(ii)からなる基材や、化合物(A)を含有する透明樹脂製基板(ii)上に化合物(A)を含まない硬化性樹脂等からなるオーバーコート層などの樹脂層が積層された基材を用いる場合には、透明樹脂100重量部に対して、好ましくは0.01〜2.0重量部、より好ましくは0.02〜1.5重量部、特に好ましくは0.03〜1.0重量部であり、前記基材(i)として、ガラス支持体やベースとなる樹脂製支持体に化合物(A)を含有する硬化性樹脂等からなるオーバーコート層などの透明樹脂層が積層された基材を用いる場合には、化合物(A)を含む透明樹脂層を形成する樹脂100重量部に対して、好ましくは0.1〜5.0重量部、より好ましくは0.2〜4.0重量部、特に好ましくは0.3〜3.0重量部である。
<透明樹脂>
前記透明樹脂層、透明樹脂製基板(ii)および樹脂製支持体は、透明樹脂を用いて形成することができる。
前記透明樹脂としては、本発明の効果を損なわないものである限り特に制限されないが、例えば、熱安定性およびフィルムへの成形性を確保し、かつ、100℃以上の蒸着温度で行う高温蒸着により誘電体多層膜を形成しうるフィルムとするため、ガラス転移温度(Tg)が、好ましくは110〜380℃、より好ましくは110〜370℃、さらに好ましくは120〜360℃である樹脂が挙げられる。また、前記樹脂のガラス転移温度が140℃以上であると、誘電体多層膜をより高温で蒸着形成しえるフィルムが得られるため、特に好ましい。
前記透明樹脂としては、当該樹脂からなる厚さ0.1mmの樹脂板を形成した場合に、この樹脂板の全光線透過率(JIS K7105)が、好ましくは75〜95%、さらに好ましくは78〜95%、特に好ましくは80〜95%となる樹脂を用いることができる。全光線透過率がこのような範囲となる樹脂を用いれば、得られる基板は光学フィルムとして良好な透明性を示す。
前記透明樹脂のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により測定される、ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は、通常15,000〜350,000、好ましくは30,000〜250,000であり、数平均分子量(Mn)は、通常10,000〜150,000、好ましくは20,000〜100,000である。
前記透明樹脂としては、例えば、環状ポリオレフィン系樹脂、芳香族ポリエーテル系樹脂、ポリイミド系樹脂、フルオレンポリカーボネート系樹脂、フルオレンポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド(アラミド)系樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリサルホン系樹脂、ポリエーテルサルホン系樹脂、ポリパラフェニレン系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリエチレンナフタレート(PEN)系樹脂、フッ素化芳香族ポリマー系樹脂、(変性)アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、アリルエステル系硬化型樹脂、シルセスキオキサン系紫外線硬化型樹脂、アクリル系紫外線硬化型樹脂およびビニル系紫外線硬化型樹脂を挙げることができる。
前記透明樹脂は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
≪環状ポリオレフィン系樹脂≫
環状ポリオレフィン系樹脂としては、下記式(X0)で表される単量体および下記式(Y0)で表される単量体からなる群より選ばれる少なくとも1種の単量体から得られる樹脂、および当該樹脂を水素添加することで得られる樹脂が好ましい。
Figure 2019053157
式(X0)中、Rx1〜Rx4はそれぞれ独立に、下記(i')〜(ix')より選ばれる原子または基を表し、kx、mxおよびpxはそれぞれ独立に、0または正の整数を表す。
(i')水素原子
(ii')ハロゲン原子
(iii')トリアルキルシリル基
(iv')酸素原子、硫黄原子、窒素原子またはケイ素原子を含む連結基を有する、置換または非置換の炭素数1〜30の炭化水素基
(v')置換または非置換の炭素数1〜30の炭化水素基
(vi')極性基(但し、(iv')を除く。)
(vii')Rx1とRx2またはRx3とRx4とが、相互に結合して形成されたアルキリデン基
(但し、前記結合に関与しないRx1〜Rx4は、それぞれ独立に前記(i')〜(vi')より選ばれる原子または基を表す。)
(viii')Rx1とRx2またはRx3とRx4とが、相互に結合して形成された単環もしくは多環の炭化水素環または複素環(但し、前記結合に関与しないRx1〜Rx4は、それぞれ独立に前記(i')〜(vi')より選ばれる原子または基を表す。)
(ix')Rx2とRx3とが、相互に結合して形成された単環の炭化水素環または複素環(但し、前記結合に関与しないRx1とRx4は、それぞれ独立に前記(i')〜(vi')より選ばれる原子または基を表す。)
Figure 2019053157
式(Y0)中、Ry1およびRy2はそれぞれ独立に、前記(i')〜(vi')より選ばれる原子または基を表すか、Ry1とRy2とが、相互に結合して形成された単環もしくは多環の脂環式炭化水素、芳香族炭化水素または複素環を表し、kyおよびpyはそれぞれ独立に、0または正の整数を表す。
≪芳香族ポリエーテル系樹脂≫
芳香族ポリエーテル系樹脂は、下記式(1)で表される構造単位および下記式(2)で表される構造単位からなる群より選ばれる少なくとも1種の構造単位を有することが好ましい。
Figure 2019053157
式(1)中、R1〜R4はそれぞれ独立に、炭素数1〜12の1価の有機基を示し、a〜dはそれぞれ独立に、0〜4の整数を示す。
Figure 2019053157
式(2)中、R1〜R4およびa〜dはそれぞれ独立に、前記式(1)中のR1〜R4およびa〜dと同義であり、Yは、単結合、−SO2−または>C=Oを示し、R7およびR8はそれぞれ独立に、ハロゲン原子、炭素数1〜12の1価の有機基またはニトロ基を示し、gおよびhはそれぞれ独立に、0〜4の整数を示し、mは0または1を示す。但し、mが0のとき、R7はシアノ基ではない。
また、前記芳香族ポリエーテル系樹脂は、さらに下記式(3)で表される構造単位および下記式(4)で表される構造単位からなる群より選ばれる少なくとも1種の構造単位を有することが好ましい。
Figure 2019053157
式(3)中、R5およびR6はそれぞれ独立に、炭素数1〜12の1価の有機基を示し、Zは、単結合、−O−、−S−、−SO2−、>C=O、−CONH−、−COO−または炭素数1〜12の2価の有機基を示し、eおよびfはそれぞれ独立に、0〜4の整数を示し、nは0または1を示す。
Figure 2019053157
式(4)中、R7、R8、Y、m、gおよびhはそれぞれ独立に、前記式(2)中のR7、R8、Y、m、gおよびhと同義であり、R5、R6、Z、n、eおよびfはそれぞれ独立に、前記式(3)中のR5、R6、Z、n、eおよびfと同義である。
≪ポリイミド系樹脂≫
ポリイミド系樹脂としては、特に制限されず、繰り返し単位にイミド結合を含む高分子化合物であればよく、例えば、特開2006−199945号公報や特開2008−163107号公報に記載されている方法で合成することができる。
≪フルオレンポリカーボネート系樹脂≫
フルオレンポリカーボネート系樹脂としては、特に制限されず、フルオレン部位を含むポリカーボネート樹脂であればよく、例えば、特開2008−163194号公報に記載されている方法で合成することができる。
≪フルオレンポリエステル系樹脂≫
フルオレンポリエステル系樹脂としては、特に制限されず、フルオレン部位を含むポリエステル樹脂であればよく、例えば、特開2010−285505号公報や特開2011−197450号公報に記載されている方法で合成することができる。
≪フッ素化芳香族ポリマー系樹脂≫
フッ素化芳香族ポリマー系樹脂としては、特に制限されないが、フッ素原子を少なくとも1つ有する芳香族環と、エーテル結合、ケトン結合、スルホン結合、アミド結合、イミド結合およびエステル結合からなる群より選ばれる少なくとも1つの結合を含む繰り返し単位とを含有するポリマーであることが好ましく、例えば特開2008−181121号公報に記載されている方法で合成することができる。
≪アクリル系紫外線硬化型樹脂≫
アクリル系紫外線硬化型樹脂としては、特に制限されないが、分子内に一つ以上のアクリル基もしくはメタクリル基を有する化合物と、紫外線によって分解して活性ラジカルを発生させる化合物を含有する樹脂組成物から合成されるものを挙げることができる。アクリル系紫外線硬化型樹脂は、前記基材(i)として、ガラス支持体上やベースとなる樹脂製支持体上に化合物(A)および硬化性樹脂を含む透明樹脂層が積層された基材や、化合物(A)を含有する透明樹脂製基板(ii)上に硬化性樹脂等からなるオーバーコート層などの樹脂層が積層された基材を用いる場合、該硬化性樹脂として特に好適に使用することができる。
≪市販品≫
透明樹脂の市販品としては、以下の市販品等を挙げることができる。環状ポリオレフィン系樹脂の市販品としては、JSR(株)製アートン、日本ゼオン(株)製ゼオノア、三井化学(株)製APEL、ポリプラスチックス(株)製TOPASなどを挙げることができる。ポリエーテルサルホン系樹脂の市販品としては、住友化学(株)製スミカエクセルPESなどを挙げることができる。ポリイミド系樹脂の市販品としては、三菱ガス化学(株)製ネオプリムLなどを挙げることができる。ポリカーボネート系樹脂の市販品としては、帝人(株)製ピュアエースなどを挙げることができる。フルオレンポリカーボネート系樹脂の市販品としては、三菱ガス化学(株)製ユピゼータEP−5000などを挙げることができる。フルオレンポリエステル系樹脂の市販品としては、大阪ガスケミカル(株)製OKP4HTなどを挙げることができる。アクリル系樹脂の市販品としては、(株)日本触媒製アクリビュアなどを挙げることができる。シルセスキオキサン系紫外線硬化型樹脂の市販品としては、新日鐵化学(株)製シルプラスなどを挙げることができる。
<その他成分>
前記基材(i)は、本発明の効果を損なわない範囲において、さらに酸化防止剤、近紫外線吸収剤、蛍光消光剤および金属錯体系化合物等の添加剤を含有してもよい。これらその他成分は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記近紫外線吸収剤としては、例えばアゾメチン系化合物、インドール系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、トリアジン系化合物などが挙げられる。
前記酸化防止剤としては、例えば2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,2'−ジオキシ−3,3'−ジ−t−ブチル−5,5'−ジメチルジフェニルメタン、およびテトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタンなどが挙げられる。
なお、これら添加剤は、基材(i)を製造する際に、樹脂などとともに混合してもよいし、樹脂を合成する際に添加してもよい。また、添加量は、所望の特性に応じて適宜選択されるものであるが、樹脂100重量部に対して、通常0.01〜5.0重量部、好ましくは0.05〜2.0重量部である。
[誘電体多層膜]
本発明の光学フィルターは、前記基材(i)の少なくとも一方の面に近赤外線反射膜として、誘電体多層膜を有する。本発明の誘電体多層膜は、近赤外線を反射する能力を有する膜である。本発明では、近赤外線反射膜は前記基材(i)の片面に設けてもよいし、両面に設けてもよい。片面に設ける場合、製造コストや製造容易性に優れ、両面に設ける場合、高い強度を有し、反りやねじれが生じにくい光学フィルターを得ることができる。また、片面に設ける場合、前記透明樹脂層上に形成することが好ましい。これにより、基材(i)と誘電体多層膜との密着性が高まり、信頼性に優れた、低ヘイズの光学フィルターを得ることできる。なお、光学フィルターを固体撮像素子用途に適用する場合、光学フィルターの反りやねじれが小さい方が好ましいことから、誘電体多層膜を基材(i)の両面に設けることが好ましい。両面に設ける場合、一方の誘電体多層膜を前記透明樹脂層上に形成し、他方の誘電体多層膜を前記透明樹脂層上ではなく支持体上に形成してもよく、両方の誘電体多層膜を前記透明樹脂層上に形成してもよい。
前記誘電体多層膜は、波長700〜1100nmの範囲全体にわたって反射特性を有することが好ましく、さらに好ましくは波長700〜1150nm、特に好ましくは700〜1200nmの範囲全体にわたって反射特性を有することが好ましい。基材(i)の両面に誘電体多層膜を有する形態として、光学フィルターの垂直方向に対して5°の角度から測定した場合に波長700〜950nm付近に主に反射特性を有する第一光学層を基材(i)の片面に有し、基材(i)の他方の面上に光学フィルターの垂直方向に対して5°の角度から測定した場合に900nm〜1150nm付近に主に反射特性を有する第二光学層を有する形態や、光学フィルターの垂直方向に対して5°の角度から測定した場合に波長700〜1150nm付近に主に反射特性を有する第三光学層を基材(i)の片面に有し、基材(i)の他方の面上に可視域の反射防止特性を有する第四光学層を有する形態などが挙げられる。
誘電体多層膜としては、高屈折率材料層と低屈折率材料層とを交互に積層したものが挙げられる。高屈折率材料層を構成する材料としては、屈折率が1.7以上の材料を用いることができ、屈折率が通常は1.7〜2.5の材料が選択される。このような材料としては、例えば、酸化チタン、酸化ジルコニウム、五酸化タンタル、五酸化ニオブ、酸化ランタン、酸化イットリウム、酸化亜鉛、硫化亜鉛または酸化インジウム等を主成分とし、酸化チタン、酸化錫および/または酸化セリウム等を少量(例えば、主成分に対して0〜10重量%)含有させたものが挙げられる。
低屈折率材料層を構成する材料としては、屈折率が1.6以下の材料を用いることができ、屈折率が通常は1.2〜1.6の材料が選択される。このような材料としては、例えば、シリカ、アルミナ、フッ化ランタン、フッ化マグネシウムおよび六フッ化アルミニウムナトリウムが挙げられる。
高屈折率材料層と低屈折率材料層とを積層する方法については、これらの材料層を積層した誘電体多層膜が形成される限り特に制限はない。例えば、基材(i)上に、直接、CVD法、スパッタ法、真空蒸着法、イオンアシスト蒸着法またはイオンプレーティング法等により、高屈折率材料層と低屈折率材料層とを交互に積層した誘電体多層膜を形成することができる。
高屈折率材料層および低屈折率材料層の各層の厚さは、通常、遮断しようとする近赤外線波長をλ(nm)とすると、0.1λ〜0.5λの厚さが好ましい。λ(nm)の値としては、例えば700〜1400nm、好ましくは750〜1300nmである。厚さがこの範囲であると、屈折率(n)と膜厚(d)との積(n×d)がλ/4で算出される光学的膜厚と、高屈折率材料層および低屈折率材料層の各層の厚さとがほぼ同じ値となって、反射または屈折の光学的特性の関係から、特定波長の遮断または透過を容易にコントロールできる傾向にある。
誘電体多層膜における高屈折率材料層と低屈折率材料層との合計の積層数は、光学フィルター全体として16〜70層であることが好ましく、20〜60層であることがより好ましい。各層の厚み、光学フィルター全体としての誘電体多層膜の厚みや合計の積層数が前記範囲にあると、十分な製造マージンを確保できる上に、光学フィルターの反りや誘電体多層膜のクラックを低減することができる。
本発明では、化合物(A)の吸収特性に合わせて高屈折率材料層および低屈折率材料層を構成する材料種、高屈折率材料層および低屈折率材料層の各層の厚さ、積層の順番、積層数を適切に選択することで、可視域に十分な透過率を確保した上で近赤外波長域に十分な光線カット特性を有し、且つ、斜め方向から近赤外線が入射した際の反射率を低減することができる。
ここで、前記条件を最適化するには、例えば、光学薄膜設計ソフト(例えば、Essential Macleod、Thin Film Center社製)を用い、可視域の反射防止効果と近赤外域の光線カット効果を両立できるようにパラメーターを設定すればよい。上記ソフトの場合、例えば第一光学層の設計にあたっては、波長400〜700nmの目標透過率を100%、Target Toleranceの値を1とした上で、波長705〜950nmの目標透過率を0%、Target Toleranceの値を0.5にするなどのパラメーター設定方法が挙げられる。これらのパラメーターは基材(i)の各種特性などに合わせて波長範囲をさらに細かく区切ってTarget Toleranceの値を変えることもできる。
[その他の機能膜]
本発明の光学フィルターは、本発明の効果を損なわない範囲において、基材(i)と誘電体多層膜との間、基材(i)の誘電体多層膜が設けられた面と反対側の面、または誘電体多層膜の基材(i)が設けられた面と反対側の面に、基材(i)や誘電体多層膜の表面硬度の向上、耐薬品性の向上、帯電防止および傷消しなどの目的で、反射防止膜、ハードコート膜や帯電防止膜などの機能膜を適宜設けることができる。
本発明の光学フィルターは、前記機能膜からなる層を1層含んでもよく、2層以上含んでもよい。本発明の光学フィルターが前記機能膜からなる層を2層以上含む場合には、同様の層を2層以上含んでもよいし、異なる層を2層以上含んでもよい。
機能膜を積層する方法としては、特に制限されないが、反射防止剤、ハードコート剤および/または帯電防止剤等のコーティング剤などを基材(i)または誘電体多層膜に、前記と同様に溶融成形またはキャスト成形する方法等を挙げることができる。
また、前記コーティング剤などを含む硬化性組成物をバーコーター等で基材(i)または誘電体多層膜上に塗布した後、紫外線照射等により硬化することによっても製造することができる。
前記コーティング剤としては、紫外線(UV)/電子線(EB)硬化型樹脂や熱硬化型樹脂などが挙げられ、具体的には、ビニル化合物類や、ウレタン系、ウレタンアクリレート系、アクリレート系、エポキシ系およびエポキシアクリレート系樹脂などが挙げられる。これらのコーティング剤を含む前記硬化性組成物としては、ビニル系、ウレタン系、ウレタンアクリレート系、アクリレート系、エポキシ系およびエポキシアクリレート系硬化性組成物などが挙げられる。
また、前記硬化性組成物は、重合開始剤を含んでいてもよい。前記重合開始剤としては、公知の光重合開始剤または熱重合開始剤を用いることができ、光重合開始剤と熱重合開始剤を併用してもよい。重合開始剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記硬化性組成物中、重合開始剤の配合割合は、硬化性組成物の全量を100重量%とした場合、好ましくは0.1〜10重量%、より好ましくは0.5〜10重量%、さらに好ましくは1〜5重量%である。重合開始剤の配合割合が前記範囲にあると、硬化性組成物の硬化特性および取り扱い性が優れ、所望の硬度を有する反射防止膜、ハードコート膜や帯電防止膜などの機能膜を得ることができる。
さらに、前記硬化性組成物には溶剤として有機溶剤を加えてもよく、有機溶剤としては、公知のものを使用することができる。有機溶剤の具体例としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、オクタノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、γ−ブチロラクトン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のエステル類;エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等のエーテル類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド類を挙げることができる。
これら溶剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記機能膜の厚さは、好ましくは0.1〜20μm、さらに好ましくは0.5〜10μm、特に好ましくは0.7〜5μmである。
また、基材(i)と機能膜および/または誘電体多層膜との密着性や、機能膜と誘電体多層膜との密着性を上げる目的で、基材(i)、機能膜または誘電体多層膜の表面にコロナ処理やプラズマ処理等の表面処理をしてもよい。
[光学フィルターの用途]
本発明の光学フィルターは、視野角が広く、優れた近赤外線カット能等を有する。したがって、カメラモジュールのCCDやCMOSイメージセンサー等の固体撮像素子の視感度補正用として有用である。特に、デジタルスチルカメラ、スマートフォン用カメラ、携帯電話用カメラ、デジタルビデオカメラ、ウェアラブルデバイス用カメラ、PCカメラ、監視カメラ、自動車用カメラ、テレビ、カーナビゲーション、携帯情報端末、ビデオゲーム機、携帯ゲーム機、指紋認証システム、デジタルミュージックプレーヤー等に有用である。さらに、自動車や建物等のガラス板等に装着される熱線カットフィルターなどとしても有用である。
[固体撮像装置]
本発明の固体撮像装置は、本発明の光学フィルターを具備する。ここで、固体撮像装置とは、CCDやCMOSイメージセンサー等といった固体撮像素子を備えたイメージセンサーであり、具体的にはデジタルスチルカメラ、スマートフォン用カメラ、携帯電話用カメラ、ウェアラブルデバイス用カメラ、デジタルビデオカメラ等の用途に用いることができる。例えば、本発明のカメラモジュールは、本発明の光学フィルターを具備する。
以下、実施例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に何ら限定されるものではない。なお、「部」は、特に断りのない限り「重量部」を意味する。また、各物性値の測定方法および物性の評価方法は以下のとおりである。
<分子量>
樹脂の分子量は、各樹脂の溶剤への溶解性等を考慮し、下記の(a)または(b)の方法にて測定を行った。
(a)ウオターズ(WATERS)社製のゲルパーミエ−ションクロマトグラフィー(GPC)装置(150C型、カラム:東ソー社製Hタイプカラム、展開溶剤:o−ジクロロベンゼン)を用い、標準ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)を測定した。
(b)東ソー社製GPC装置(HLC−8220型、カラム:TSKgelα‐M、展開溶剤:THF)を用い、標準ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)を測定した。
なお、後述する樹脂合成例3で合成した樹脂については、上記方法による分子量の測定ではなく、下記方法(c)による対数粘度の測定を行った。
(c)ポリイミド樹脂溶液の一部を無水メタノールに投入してポリイミド樹脂を析出させ、ろ過して未反応単量体から分離した。80℃で12時間真空乾燥して得られたポリイミド0.1gをN−メチル−2−ピロリドン20mLに溶解し、キャノン−フェンスケ粘度計を使用して30℃における対数粘度(μ)を下記式により求めた。
μ={ln(ts/t0)}/C
0:溶媒の流下時間
s:希薄高分子溶液の流下時間
C:0.5g/dL
<ガラス転移温度(Tg)>
エスアイアイ・ナノテクノロジーズ株式会社製の示差走査熱量計(DSC6200)を用いて、昇温速度:毎分20℃、窒素気流下で測定した。
<分光透過率>
光学フィルターの各波長域における透過率は、株式会社日立ハイテクノロジーズ製の分光光度計(U−4100)を用いて測定した。
<ヘイズ>
光学フィルターをJIS K7136に準拠した測定条件にて、ヘイズ測定器(スガ試験機製「HZ−2」、D65光源)を用いて測定した。
<密着性>
光学フィルターを、プレッシャークッカー試験機(エスペック株式会社製EHS−221M)を用いて湿度100%および温度115℃の条件下にて24時間処理した後、表面にカッターで1mm角のキズをつけ、キズの上からニチバン(株)製No.405のテープを貼り付け、90°方向へ一気に剥がし、剥がれの無いことを確認した。
<残留溶媒量>
ハロゲン原子を含む溶媒を使用した場合、光学フィルターを、燃焼型イオンクロマトグラフ測定装置(三菱ケミカルアナリテック製AQF−2100H)を使用して1000℃にて加熱し、発生したハロゲン原子量を測定することで、残留溶媒量を算出した。
ハロゲン原子を含まない溶媒を使用した場合、光学フィルターを、ヘッドスペース・ガスクロマトグラフ測定装置(日本分析工業株式会社製加熱脱着パージアンドトラップJTD−5052、アジレント・テクノロジー株式会社製ガスクロマトグラフ HP6890、日本電子株式会社製四重極質量分析計JMS−Q1000GC K9)を使用して150℃にて加熱し、放出された溶媒量を測定することで、残留溶媒量を算出した。
[合成例]
下記実施例で用いた化合物(A)は、一般的に知られている方法で合成した。一般的合成方法としては、例えば、特許第3366697号公報、特許第2846091号公報、特許第2864475号公報、特許第3703869号公報、特開昭60−228448号公報、特開平1−146846号公報、特開平1−228960号公報、特許第4081149号公報、特開昭63−124054号公報、「フタロシアニン −化学と機能―」(アイピーシー、1997年)、特開2007−169315号公報、特開2009−108267号公報、特開2010−241873号公報、特許第3699464号公報、特許第4740631号公報などに記載されている方法を挙げることができる。
<樹脂合成例1>
下記式(a)で表される8−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン(以下「DNM」ともいう。)100部、1−ヘキセン(分子量調節剤)18部およびトルエン(開環重合反応用溶媒)300部を、窒素置換した反応容器に仕込み、この溶液を80℃に加熱した。次いで、反応容器内の溶液に、重合触媒として、トリエチルアルミニウムのトルエン溶液(0.6mol/リットル)0.2部と、メタノール変性の六塩化タングステンのトルエン溶液(濃度0.025mol/リットル)0.9部とを添加し、この溶液を80℃で3時間加熱攪拌することにより開環重合反応させて開環重合体溶液を得た。この重合反応における重合転化率は97%であった。
Figure 2019053157
このようにして得られた開環重合体溶液1,000部をオートクレーブに仕込み、この開環重合体溶液に、RuHCl(CO)[P(C6533を0.12部添加し、水素ガス圧100kg/cm2、反応温度165℃の条件下で、3時間加熱撹拌して水素添加反応を行った。得られた反応溶液(水素添加重合体溶液)を冷却した後、水素ガスを放圧した。この反応溶液を大量のメタノール中に注いで凝固物を分離回収し、これを乾燥して、水素添加重合体(以下「樹脂A」ともいう。)を得た。得られた樹脂Aは、数平均分子量(Mn)が32,000、重量平均分子量(Mw)が137,000であり、ガラス転移温度(Tg)が165℃であった。
<樹脂合成例2>
3Lの4つ口フラスコに2,6−ジフルオロベンゾニトリル35.12g(0.253mol)、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン87.60g(0.250mol)、炭酸カリウム41.46g(0.300mol)、N,N−ジメチルアセトアミド(以下「DMAc」ともいう。)443gおよびトルエン111gを添加した。続いて、4つ口フラスコに温度計、撹拌機、窒素導入管付き三方コック、ディーンスターク管および冷却管を取り付けた。次いで、フラスコ内を窒素置換した後、得られた溶液を140℃で3時間反応させ、生成する水をディーンスターク管から随時取り除いた。水の生成が認められなくなったところで、徐々に温度を160℃まで上昇させ、そのままの温度で6時間反応させた。室温(25℃)まで冷却後、生成した塩をろ紙で除去し、ろ液をメタノールに投じて再沈殿させ、ろ別によりろ物(残渣)を単離した。得られたろ物を60℃で一晩真空乾燥し、白色粉末(以下「樹脂B」ともいう。)を得た(収率95%)。得られた樹脂Bは、数平均分子量(Mn)が75,000、重量平均分子量(Mw)が188,000であり、ガラス転移温度(Tg)が285℃であった。
<樹脂合成例3>
温度計、撹拌器、窒素導入管、側管付き滴下ロート、ディーンスターク管および冷却管を備えた500mLの5つ口フラスコに、窒素気流下、1,4−ビス(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)ベンゼン27.66g(0.08モル)および4,4'−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル7.38g(0.02モル)を入れて、γ―ブチロラクトン68.65g及びN,N−ジメチルアセトアミド17.16gに溶解させた。得られた溶液を、氷水バスを用いて5℃に冷却し、同温に保ちながら1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物22.62g(0.1モル)およびイミド化触媒としてトリエチルアミン0.50g(0.005モル)を一括添加した。添加終了後、180℃に昇温し、随時留出液を留去させながら、6時間還流させた。反応終了後、内温が100℃になるまで空冷した後、N,N−ジメチルアセトアミド143.6gを加えて希釈し、攪拌しながら冷却し、固形分濃度20重量%のポリイミド樹脂溶液264.16gを得た。このポリイミド樹脂溶液の一部を1Lのメタノール中に注ぎいれてポリイミドを沈殿させた。濾別したポリイミドをメタノールで洗浄した後、100℃の真空乾燥機中で24時間乾燥させて白色粉末(以下「樹脂C」ともいう。)を得た。得られた樹脂CのIRスペクトルを測定したところ、イミド基に特有の1704cm-1、1770cm-1の吸収が見られた。樹脂Cはガラス転移温度(Tg)が310℃であり、対数粘度を測定したところ、0.87であった。
[実施例1]
実施例1では、透明樹脂製基板からなる基材を有する光学フィルターを以下の手順および条件で作成した。
容器に、樹脂合成例1で得られた樹脂A 100部、化合物(A)として下記式(a−1)で表わされる化合物(a−1)(ジクロロメタン中での吸収極大波長698nm)0.03部および下記式(a−2)で表わされる化合物(a−2)(ジクロロメタン中での吸収極大波長733nm)0.03部、および塩化メチレンを加えて樹脂濃度が20重量%の溶液を調製した。得られた溶液を平滑なフィルム上にキャストし、25℃で45分乾燥した後、フィルムから剥離した。剥離した塗膜をさらに70℃〜80℃で50分、120℃〜140℃で30分、150℃で60分乾燥して、厚さ0.1mm、縦100mm、横100mmの透明樹脂製基板からなる基材を得た。
Figure 2019053157
Figure 2019053157
得られた透明樹脂製基板の片面に、下記組成の樹脂組成物(1)をバーコーターで塗布し、オーブン中70℃で2分間加熱し、溶媒を揮発除去した。この際、乾燥後の厚みが2μmとなるように、バーコーターの塗布条件を調整した。次に、コンベア式露光機を用いて露光(露光量500mJ/cm2,200mW)を行い、樹脂組成物(1)を硬化させ、透明樹脂製基板上に透明樹脂層を形成した。同様に、透明樹脂製基板のもう一方の面にも樹脂組成物(1)からなる透明樹脂層を形成し、化合物(a−1)および化合物(a−2)を含む透明樹脂製基板の両面に透明樹脂層を有する基材を得た。得られた基材の透明樹脂層中の残留溶媒量は0.5重量%以下であった。
樹脂組成物(1):トリシクロデカンジメタノールアクリレート60重量部、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート40重量部、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン5重量部、メチルエチルケトン(溶媒、固形分濃度(TSC):30%)
続いて、得られた基材の片面に第一光学層として誘電体多層膜(I)を形成し、さらに基材のもう一方の面に第二光学層として誘電体多層膜(II)を形成し、厚さ約0.104mmの光学フィルターを得た。
誘電体多層膜(I)は、蒸着温度100℃でシリカ(SiO2)層とチタニア(TiO2)層とが交互に積層されてなる(合計26層)。誘電体多層膜(II)は、蒸着温度100℃でシリカ(SiO2)層とチタニア(TiO2)層とが交互に積層されてなる(合計20層)。誘電体多層膜(I)および(II)のいずれにおいても、シリカ層およびチタニア層は、基材側からチタニア層、シリカ層、チタニア層、・・・シリカ層、チタニア層、シリカ層の順で交互に積層されており、光学フィルターの最外層をシリカ層とした。
誘電体多層膜(I)および(II)の設計は、以下のようにして行った。
各層の厚さと層数については、可視域の反射防止効果と近赤外域の選択的な透過・反射性能を達成できるよう基材屈折率の波長依存特性や、適用した化合物(A)の吸収特性に合わせて光学薄膜設計ソフト(Essential Macleod、Thin Film Center社製)を用いて最適化を行った。最適化を行う際、本実施例においてはソフトへの入力パラメーター(Target値)を下記表1の通りとした。
Figure 2019053157
膜構成最適化の結果、実施例1では、誘電体多層膜(I)は、膜厚31〜157nmのシリカ層と膜厚11〜95nmのチタニア層とが交互に積層されてなる、積層数26の多層蒸着膜となり、誘電体多層膜(II)は、膜厚38〜199nmのシリカ層と膜厚12〜117nmのチタニア層とが交互に積層されてなる、積層数20の多層蒸着膜となった。最適化を行った膜構成の一例を表2に示す。なお、蒸着モニター用ガラスの反射率を測定する際は裏面反射の影響をなくすため誘電体多層膜が成膜されていない面を黒色のアクリル塗料で塗りつぶして反射防止処理を施した上で、誘電体多層膜が成膜されている面を測定光の入射面とした。
Figure 2019053157
得られた光学フィルターのヘイズは0.2%であった。さらに、得られた光学フィルターの密着性の評価を行った結果、クラックの発生や膜剥がれ等の不良は認められなかった。
[実施例2]
実施例2では、透明樹脂をガラス基板上にスピンコートして作製された基材を有する光学フィルターを以下の手順および条件で作成した。
容器に、樹脂合成例1で得られた樹脂A 100部、化合物(A)として化合物(a−1)(ジクロロメタン中での吸収極大波長698nm)0.3 部および化合物(a−2)(ジクロロメタン中での吸収極大波長733nm)0.3部、および塩化メチレンを加えて樹脂濃度が20重量%の溶液を調製した。得られた溶液をガラス基板上にスピンコーターを使用して塗付し、25℃で45分、70℃〜80℃で50分、120℃〜140℃で30分、150℃で60分乾燥して、厚さ0.2mm、縦50mm、横50mmの透明樹脂を塗付したガラス製基板(以下「ガラス・樹脂複合基板」ともいう。)からなる基材を得た。この際、乾燥後の透明樹脂層の厚みが10μmとなるように、スピンコーターの塗布条件を調整した。得られた基材の透明樹脂層中の残量溶媒量は0.5重量%以下であった。
続いて、得られた基材の片面(透明樹脂層側)に第一光学層として誘電体多層膜(I)を形成し、さらに基材のもう一方の面に第二光学層として誘電体多層膜(II)を形成し、光学フィルターを得た。誘電体多層膜は実施例1と同一条件で成膜した。
得られた光学フィルターのヘイズは0.2%であった。また、得られた光学フィルター密着性の評価を行った結果、クラックの発生や膜剥がれ等の不良は認められなかった。
[実施例3〜5および9〜10]
樹脂および溶媒を表3に示すように変更したこと以外は、実施例1と同様にして、基材および光学フィルターを作成して評価した。結果を表3に示す。
[実施例6〜8および11〜12]
樹脂および溶媒を表3に示すように変更したこと以外は、実施例2と同様にして、基材および光学フィルターを作成して評価した。結果を表3に示す。
[比較例1]
実施例1において、150℃で60分の乾燥を行わなかったこと以外は実施例1と同様にして基材および光学フィルターを作成して評価した。結果を表3に示す。
[比較例2]
実施例1において、120℃〜140℃で30分、150℃で60分の乾燥を行なわず、代わりに120℃〜130℃で20分乾燥を行ったこと以外は実施例1と同様にして基材および光学フィルターを作成して評価した。結果を表3に示す。
[比較例3]
実施例1において、120℃〜140℃で30分、150℃で60分の乾燥を行わなかったこと以外は実施例1と同様にして基材および光学フィルターを作成して評価した。結果を表3に示す。
[比較例4]
実施例2において、150℃で60分の乾燥を行わなかったこと以外は実施例2と同様にして基材および光学フィルターを作成して評価した。結果を表3に示す。
[比較例5]
実施例2において、120℃〜140℃で30分、150℃で60分の乾燥を行なわず、代わりに120℃〜130℃で20分乾燥を行ったこと以外は実施例2と同様にして基材および光学フィルターを作成して評価した。結果を表3に示す。
[比較例6]
実施例2において、120℃〜140℃で30分、150℃で60分の乾燥を行わなかったこと以外は実施例2と同様にして基材および光学フィルターを作成して評価した。結果を表3に示す。
比較例1〜6手順で作られた基材の蒸着工程において、残留溶媒量が多くなるほど蒸着前の真空排気時間が長くなる傾向にあった。これは、基材中に含まれる残留溶媒が真空排気中に基材の外にガスとして排出されているためと推測される。
比較例1〜6にて作製された光学フィルターの残留溶媒量は、それぞれ0.7%、1%、3%、0.7%、1%、3%であった。光学フィルターのヘイズは、それぞれ0.3%、0.4%、0.6%、0.3%、0.4%、0.6%であった。これらの結果から、光学フィルターの残留溶媒量が上がるとヘイズが上昇することがわかる。
また、比較例1〜6にて作製された光学フィルターについて、プレッシャークッカー試験機にて湿度100%および温度115℃の条件下にて24時間の耐久試験(n=10チップ)を行ったところ、それぞれ3、5、9、3、5、9チップに蒸着膜の剥がれが確認された。
実施例および比較例で適用した基材の構成、各種化合物、基材の乾燥条件などは下記の通りである。
<基材の形態>
形態(1):化合物(A)を含み、残留溶媒量が0.5重量%以下の透明樹脂製基板
形態(2):ガラス基板の片方の面に化合物(A)を含む透明樹脂層を有する、残留溶媒量が0.5重量%以下のガラス・樹脂複合基板
形態(3):化合物(A)を含み、残留溶媒量が0.7%の透明樹脂製基板
形態(4):化合物(A)を含み、残留溶媒量が1%の透明樹脂製基板
形態(5):化合物(A)を含み、残留溶媒量が3%の透明樹脂製基板
<透明樹脂>
樹脂A:環状オレフィン系樹脂(樹脂合成例1)
樹脂B:芳香族ポリエーテル系樹脂(樹脂合成例2)
樹脂C:ポリイミド系樹脂(樹脂合成例3)
樹脂D:環状オレフィン系樹脂「ゼオノア 1420R」(日本ゼオン(株)製)
<ガラス基板>
ガラス基板(1):縦60mm、横60mmの大きさにカットした透明ガラス基板「OA−10G(厚み200μm)」(日本電気硝子(株)製)
<化合物(A)(近赤外線吸収剤)>
化合物(a−1):上記の化合物(a−1)(ジクロロメタン中での吸収極大波長698nm)
化合物(a−2):上記の化合物(a−2)(ジクロロメタン中での吸収極大波長733nm)
<溶媒>
溶媒(1):塩化メチレン
溶媒(2):メチルイソブチルケトン
溶媒(3):クロロホルム
<基材の乾燥条件>
条件(1):25℃/45min→70℃〜80℃/50min→120℃〜140℃/30分→150℃/60分
条件(2):25℃/45min→70℃〜80℃/50min→120℃〜140℃/30分
条件(3):25℃/45min→70℃〜80℃/50min→120℃〜130℃/20分
条件(4):25℃/45min→70℃〜80℃/50min
Figure 2019053157

Claims (11)

  1. 有機溶媒の含有量が0.5重量%以下である透明樹脂層を含む基材を有すること、および、可視光線を透過し、近赤外線の少なくとも一部を遮断することを特徴とする光学フィルター。
  2. 前記基材の少なくとも一方の面に形成された誘電体多層膜をさらに有することを特徴とする請求項1に記載の光学フィルター。
  3. 前記誘電体多層膜の少なくとも一つが、前記透明樹脂層上に形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の光学フィルター。
  4. 前記透明樹脂層が、環状ポリオレフィン系樹脂、芳香族ポリエーテル系樹脂、ポリイミド系樹脂、フルオレンポリカーボネート系樹脂、フルオレンポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリサルホン系樹脂、ポリエーテルサルホン系樹脂、ポリパラフェニレン系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリエチレンナフタレート系樹脂、フッ素化芳香族ポリマー系樹脂、(変性)アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、アクリル系紫外線硬化型樹脂、ビニル系紫外線硬化型樹脂、アリルエステル系硬化型樹脂およびシルセスキオキサン系紫外線硬化樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種の樹脂からなることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の光学フィルター。
  5. 前記有機溶媒の沸点が120℃以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の光学フィルター。
  6. 前記有機溶媒がハロゲン原子を含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の光学フィルター。
  7. 前記透明樹脂層が近赤外線吸収剤を含有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の光学フィルター。
  8. 前記近赤外線吸収剤が、スクアリリウム系化合物、シアニン系化合物、フタロシアニン系化合物、ナフタロシアニン系化合物、クロコニウム系化合物、ジチオール系化合物、ジイモニウム系化合物およびポルフィリン系化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物であることを特徴とする請求項7に記載の光学フィルター。
  9. 前記光学フィルターが固体撮像装置用であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の光学フィルター。
  10. 請求項1〜9のいずれか1項に記載の光学フィルターを具備することを特徴とする固体撮像装置。
  11. 請求項1〜9のいずれか1項に記載の光学フィルターを具備することを特徴とするカメラモジュール。
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