動作例におけるもの、または別段示されている場合を除き、明細書および特許請求の範囲および図において使用される成分、材料特性などの量を表すすべての数は、あらゆる場合において、「約」という用語によって修飾されるものと理解されるべきである。したがって、そうでないと示されていない限り、以下の明細書および添付の特許請求の範囲内に記載の数値パラメータは、本発明によって得られることが求められる所望の特性に応じて変わり得る近似値である。少なくとも、また特許請求の範囲に対する均等物の原則の適用を限定しようと試みるものとしてではなく、各数値パラメータは、少なくとも報告されている有効数字の数に照らして、また通常の丸め技法を適用することによって解釈されるべきである。
本発明の広い範囲について説明する数値範囲およびパラメータは近似値であるが、特定の例内に記載の数値は、可能な限り正確に報告されている。しかし、どの数値も、それぞれのテスト装置に見出される標準偏差に必然的に起因するある誤差を本質的に含む。さらに、範囲の変化する数値範囲が本明細書に記載されているとき、記載の値を含むこれらの値の任意の組合せが使用されてよいことが企図されている。
以下の説明のために、「上側」「下側」「右」「左」「垂直」「水平」「上部」「下部」「横方向」「長手方向」という用語、およびそれらの派生語は、図面の図内で配向されているまま本発明に関係するものとする。しかし、本発明は、そうでないと明示的に指定されている場合を除いて、様々な代替的変形形態を想定し得ることを理解されたい。また、添付の図面に示され、以下の明細書に記載の特定のデバイスは、本発明の例示的な実施形態にすぎないことを理解されたい。したがって、本明細書に開示されている実施形態に関係する特定の寸法および他の物理特性は、限定するものとみなされるべきでない。
以下の考察では、「遠位」は、患者に接触する、および/または針アセンブリもしくはIV接続アセンブリなど別個のデバイスと係合するように適合されたシリンジアセンブリの一端に概して向かう方向を指し、「近位」は、遠位の反対方向、すなわち別個のデバイスと係合するように適合されたシリンジアセンブリのその端部から離れた方を指す。本開示では、上述の参照が、本開示によるシリンジアセンブリの構成要素の説明に使用される。
本開示は、シリンジアセンブリのためのストッパの所望の材料特性を満たす熱可塑性エラストマーストッパを提供する。これらの材料特性は、圧縮永久ひずみ、硬度、所与のひずみレベルでの応力、および所与のせん断速度での粘性である。本開示の熱可塑性エラストマーストッパの圧縮永久ひずみは、70℃で22時間の間、25%圧縮(ASTM D395−03、方法B)で測定されたとき、50%以下となり得る。本開示の熱可塑性エラストマーストッパの硬度は、40〜70ショアAの範囲内(ASTM D2240−05)となり得る。所望のひずみ値での応力もまた、組み立てられたシリンジで良好な漏れおよび力性能を得るように、本開示の熱可塑性エラストマーストッパのために最適化されるべきである。本開示の熱可塑性エラストマーストッパの粘性は、205℃で細管レオメータ(ダイ:丸穴長さ20mm/直径1mm/180度入口、ピストン:d=15mm、および溶融時間=7分)を使用して測定されたとき、せん断速度1,000秒-1で70.0Pa・s以上、せん断速度10,000秒-1で12.0Pa・s以上、およびせん断速度50,000秒-1で3.0Pa・s以上となり得る。一実施形態では、本開示の熱可塑性エラストマーストッパは、ポリプロピレンまたはポリプロピレンコポリマーをベースとするバレルでスティクションのない性能を提供する。たとえば、本開示のストッパは、それだけには限らないが10〜35%の中密度から高密度のポリエチレン(120℃から130℃の範囲内の溶融温度での中密度から高密度)とブレンドされた30〜65%のスチレン−エチレン−ブチレン−スチレン(SEBS)コポリマーなど30〜65%のエラストマー、20〜35%の一般に入手可能な鉱油ならびに一般に入手可能な放射安定剤、酸化防止剤、および/または加工助剤を含む。エラストマーおよびポリエチレンの分子量は、上記のような所望の材料特性を得るように選択される。
また、本開示は、低い開放力および持続力と共に漏れのないシリンジを維持するストッパを提供する。一実施形態では、本発明は、シリンジアセンブリのために必要とされる機能性能ファクタを示す無潤滑ストッパを提供する。有利には、本開示のストッパは、ストッパに対する外部の潤滑剤適用を省きながら、必要な機能性能を提供する。このようにして、ストッパに対する外部の潤滑剤適用の負の結果が解消される。たとえば、ストッパに対する潤滑ステップは、潤滑剤および潤滑器具のコスト、潤滑ステップを操作および実施するための時間およびエネルギーを必要とし、ストッパを自動化された組立てプロセスから潤滑のために除く必要がある。また、本開示の無潤滑ストッパは、完全な自動ストッパ組立てプロセスを可能にするストッパを提供する。さらに、本開示のストッパは、硬質相として高溶融温度ポリマーを使用することによりシリンジアセンブリのためのオートクレーブ滅菌可能な無潤滑ストッパを可能にする。たとえば、図16を参照すると、本開示のストッパの複数の異なる配合が提供されており、これらは、本開示を通じて参照される。これらの配合は、オレフィンブロックコポリマー、スチレンブロックコポリマーとブレンドされたポリエチレン、スチレンブロックコポリマーとブレンドされたポリプロピレン、およびEPDM TPVとブレンドされたポリエチレンなど様々なTPE化学的性質を含む。これらのTPE配合は、一般に入手可能な放射安定剤、酸化防止剤、および/または加工助剤を含んでもよい。
第1の例示的な実施形態では、本開示のストッパは、オレフィンブロックコポリマー、たとえばTPE−1実施形態から形成される。第2の例示的な実施形態では、本開示のストッパは、第1の組成を有するスチレンブロックコポリマーとブレンドされたポリエチレン、たとえばTPE−2実施形態から形成される。第3の例示的な実施形態では、本開示のストッパは、第2の組成を有するスチレンブロックコポリマーとブレンドされたポリエチレン、たとえばTPE−3実施形態から形成される。第4の例示的な実施形態では、本開示のストッパは、TPE−1実施形態およびTPE−2実施形態より低い粘性を有するスチレンブロックコポリマー配合とブレンドされたポリプロピレン、たとえばTPE−4実施形態から形成される。第5の例示的な実施形態では、本開示のストッパは、第3の組成を有するスチレンブロックコポリマーとブレンドされたポリエチレン、たとえばTPE−5実施形態から形成される。他の例示的な実施形態では、本開示のストッパは、他の材料および/または配合から形成され、たとえば、本開示のストッパの複数の異なる例示的な配合が図16に提供されている。
本発明の他の実施形態によれば、本開示のストッパは、スリップ剤で修正された潤滑されないバレルと共に使用され得る。スリップ剤は、長期性能のための遅い結晶化(ブルーミング)成分と、摩擦特性をより速く低減する速い結晶化(ブルーミング)成分の組合せであってもよい。
図1および図2Aを参照すると、シリンジアセンブリ10は、シリンジバレル12、プランジャロッド14、およびストッパ16を含む。シリンジアセンブリ10は、流体の分注および吐出、ならびに/または流体の収集のために適合され得る。たとえば、シリンジアセンブリ10は、医薬品など流体を注射または注入するために使用されてもよい。シリンジアセンブリ10は、シリンジアセンブリ10を別個の針アセンブリ(図示せず)に接続することによってなど、針と共に使用することが、あるいは静脈(IV)接続アセンブリ(図示せず)と接続することが企図されている。本開示は、任意のタイプのシリンジアセンブリと共に使用され得ることを理解されたい。これらのタイプのシリンジは、従来のプレフィルドシリンジアセンブリ、定量シリンジ、患者から流体を、または容器から医薬品を引き出すための吸引シリンジなどを含む。
図1および図2Aを参照すると、シリンジバレル12は、概して、第1の端部または遠位端32と第2の端部または近位端34との間に延在するバレル本体または側壁30を含む。側壁30は、シリンジバレル12の細長い開口部または内部チャンバ36を画定する。一実施形態では、内部チャンバ36は、シリンジバレル12がその長さ全体に沿ってカニューレ挿入されるようにシリンジバレル12の範囲にわたってよい。一実施形態では、シリンジバレル12は、皮下シリンジの一般的な形状で当技術分野で知られている細長い円筒形バレルの一般的な形態であってもよい。代替的実施形態では、シリンジバレル12は、たとえば細長い矩形バレルの一般的な形態など、吐出するために流体を含むための他の形態であってもよい。シリンジバレル12は、ガラスから形成されてもよく、または当業者に知られている技法に従って、たとえば、ポリプロピレン、ポリエチレン、脂環式ポリオレフィン、ポリエステル、またはポリカーボネートなど熱可塑性材料から射出成形されてもよいが、シリンジバレル12は、他の好適な材料から、また他の適用可能な技法に従って作られてもよい。構成によっては、シリンジバレル12は、近位端34の少なくとも一部分周りで外向きに延びるフランジ40を含んでもよい。フランジ40は、医師によって容易に把持されるように構成されてよい。
シリンジバレル12の遠位端32は、チャンバ36と流体連通する出口開口38を含む。出口開口38は、針アセンブリまたはIV接続アセンブリなど別個のデバイスと係合するようにサイズ設定および適合されてよく、したがって、従来知られているようにそのような係合のための機構を含んでもよい。たとえば、遠位端32は、概してテーパ形のルアーチップ42を、それと取り付けるための別個のデバイス(図示せず)の、任意選択の別個のテーパ形のルアー構造と係合するために含んでもよい。一構成では、テーパ形のルアーチップ42と別個のテーパ形のルアー構造は共に、シリンジアセンブリ10を備えてもよい。そのような構成では、別個のテーパ形のルアー構造には、別個のデバイス(図示せず)との対応する係合のために、ねじ係合など取付け機構が装着されてもよい。別の構成では、テーパ形のルアーチップ42は、別個のデバイス(図示せず)と直接係合するために提供されてもよい。さらに、内部ねじ山を含むルアーカラーまたはルアーロックなど、それらの間のロッキング係合のための機構もまた、テーパ形のルアーチップ42および/または別個のテーパ形のルアー構造の少なくとも1つと共に提供されてもよい。そのようなルアー接続およびルアーロッキング機構は、当技術分野で周知である。
シリンジバレル12の近位端34は、概して開放端であるが、本明細書で論じられているように外部環境に対して閉じられることが意図されている。シリンジバレル12は、シリンジバレル12の内部チャンバ36内に含まれる流体のレベルまたは量について示すために、側壁30上に位置する目盛りなどマーキング44を含んでもよい。そのようなマーキング44は、側壁30の外表面、側壁30の内表面上に設けられても、一体に、または他の方法でシリンジバレル12の側壁30内に形成されてもよい。他の実施形態では、あるいは、またはそれに加えて、マーキング44は、シリンジの内容の説明、または最大および/もしくは最小充填線など当技術分野で知られていることがあり得る他の識別情報を提供してもよい。
シリンジアセンブリ10は、プレフィルドシリンジとして有用となり得、したがって、製造者によって予め充填される、シリンジバレル12の内部チャンバ36内に含まれる医薬品または薬物など流体の最終使用のために提供されてもよい。このようにして、シリンジアセンブリ10は、最終使用者が使用前に別個のバイアルからの医薬品でシリンジを充填する必要なしに、吐出、貯蔵、および最終使用者によって使用されるように製造し、医薬品で予め充填し、滅菌することができる。そのような実施形態では、シリンジアセンブリ10は、シリンジバレル12の内部チャンバ36内の医薬品など流体を封止するために、シリンジバレル12の遠位端32に配置されたキャップまたは封止部材を含んでもよい。
図1〜図2Bを参照すると、シリンジアセンブリ10は、内部チャンバ36内に移動可能または摺動可能に配置され、シリンジバレル12の側壁30の内表面と封止接触するストッパ16を含む。ストッパ16は、シリンジバレル12の側壁30の内表面との封止係合を提供するようにシリンジバレル12の内部に対してサイズ設定される。プレフィルドシリンジアセンブリでは、ストッパ16は、液体または医薬品がシリンジバレル12から漏れ出すのを防止するようにシールをも提供する。さらに、一実施形態では、ストッパ16は、ストッパ16とシリンジバレル12の側壁30の内部表面との間の封止係合を増大するために、ストッパ16の周辺周りに延在する1または複数の環状リブを含んでもよい。代替の実施形態では、側壁30の内部表面との封止係合を増大するために、唯一のOリングまたは複数のOリングがストッパ16周りに周方向で配置されてもよい。
図1および図2Aを参照すると、シリンジアセンブリ10は、シリンジバレル12の内部チャンバ36内に含まれる流体を、出口開口38を通じて分注するための機構を提供するプランジャロッド14をさらに含む。プランジャロッド14は、ストッパ16を前進させるように適合される。一実施形態では、プランジャロッド14は、下記でより詳細に論じられるように、シリンジバレル12の内部チャンバ36内で移動するようにサイズ設定され、概して、ストッパ16の一部分と係合可能な第1の端部または遠位端60と、第2の端部または近位端62と、第1の端部60と第2の端部62の間に延在するプランジャロッド本体64と、第2の端部62に隣接して配置されたフランジ66とを含む。
図1および図2Aを参照すると、プランジャロッド14は、ストッパ16の一部分と係合可能な遠位端60を含む。一実施形態では、プランジャロッド14およびストッパ16は、プランジャロッド14をストッパ16に固定するための係合部分を含んでもよい。たとえば、これらの係合部分は、プランジャロッド14をストッパ16に固定するために対応するねじ山付き部分を含んでもよい。他の実施形態では、これらの係合部分は、スナップ嵌め機構、押し嵌め機構、ボール戻り止め、ロッキングタブ、ばね荷重式のロッキング機構、ラッチ、接着剤、または他の同様の機構を含んでもよい。他の実施形態では、プランジャロッド14およびストッパ16は、同時押出によってなど同時形成されてもよい。このようにして、プランジャロッド14はストッパ16にロックされる。すなわち、プランジャロッド14とストッパ16の間の著しい相対移動が防止され、プランジャロッド14の動きがストッパ16に伝達され、シリンジバレル12内の位置間でストッパ16を摺動させることができる。他の実施形態では、プランジャロッド14およびストッパ16は、プランジャアセンブリとして一体形成されてもよい。
シリンジアセンブリ10の構成要素のすべてが、任意の知られている材料から構築されてもよく、医療グレードのポリマーから構築されることが望ましい。
本開示のストッパ16は、漏れに対するより高い抵抗力、低減されたポンプ力および開放力などシリンジ力、およびよりよい成形品取出しを有するストッパを提供する構造上の特徴を有する。これは、滅菌後、およびシリンジの寿命、たとえば5年間にわたって達成および維持される。
図2Aおよび図2Bを参照すると、一実施形態では、本開示のストッパ16は、支持されたストッパ設計を含む。たとえば、ストッパ16は、ストッパ屋根部分70Aに隣接する第1の封止リブ56Aを含む。一実施形態では、ストッパ16の第1の封止リブ56Aは、図2Bに示されているように、バレル側壁30の内壁表面と、プランジャロッド14の遠位端60の先端68との間に挟まれる。一実施形態では、本開示のストッパ16は、支持された10mlシリンジストッパ設計である。
他の実施形態では、本開示のストッパ16は、支持されないストッパ設計を含む。たとえば、ストッパ16の第1の封止リブ56Aは、シリンジバレル12とプランジャロッド14の間に挟まれない。
図3〜図5を参照すると、一実施形態では、ストッパ16は、上側部分50と、下側部分52と、上側部分50と下側部分52の間の中間部分54とを含む。ストッパ16は、上側部分50に隣接して位置する第1の封止リブ56と、下側部分52に隣接して位置する第2の封止リブ58とを含む。また、ストッパ16は、屋根部分70と、屋根部分70に隣接して配置された芯部分72とを含む。図3〜図5に示されているストッパ16の実施形態は、オープンゲートシステムで熱可塑性エラストマーストッパを成形することを可能にするせん断部分74およびキャッチカン部分76を含む。一実施形態では、キャッチカン部分76は、成形部品の他の特徴の制約内に収まるように構成され、せん断部分74が容易な部品解放を可能にする。キャッチカン部分76の容積は、特定の成形機およびツーリング設計の属性に基づいて変わることがある。キャッチカン部分76は、成形適用中に以前のショットから残された残留材料の少なくともその体積である受け容積を有する。
図4および図5を参照すると、第1の封止リブ56は、漏れに対するより高い抵抗力をもたらす能動的な封止リブを提供するようにサイズ設定され形作られる。たとえば、図2Bを参照すると、本開示のストッパは、シリンジバレル12の側壁30の内部表面との第1の接触領域96を提供する第1の封止リブ56Aと、シリンジバレル12の側壁30の内部表面との第2の接触領域98を提供する第2の封止リブ58とを含む。
図15を参照すると、ストッパの第1の封止リブの接触圧力は、流体漏れに対する抵抗力を示す。より高い第1の封止リブ接触圧力は、漏れに対するより高い抵抗力に通じる。本開示の能動的な封止リブ、すなわち第1の封止リブ56設計では、流体圧力が増大するにつれて、ストッパ封止リブでの接触圧力が増大する。したがって、本開示のストッパは、漏れに対するより高い抵抗力を提供する。図15は、上記の封止リブ設計により従来のストッパより高い漏れに対する抵抗力を提供する本開示のストッパを示す。
図4および図5を参照すると、第2の封止リブ58は、厚さが削減されている。このようにして、図2Bを参照すると、第2の接触領域98、すなわち第2の封止リブ58とシリンジバレル12の側壁30の内部表面との間の接触領域が削減される。そのような削減された第2の接触領域98は、ポンプ力および開放力などシリンジを動作する力の減少をもたらす。
図4および図5を参照すると、屋根部分70は、改善された漏れ性能をもたらす増大された屋根厚さを含む。たとえば、本開示のストッパ16の増大された屋根厚さは、漏れ圧力の20%の増大をもたらす。ストッパ16の屋根部分70は、流体圧力が加えられたときより高い接触圧力に貢献する助けとなり、これは、図15に示されているように漏れに対するより高い抵抗力に通じる。
図4および図5を参照すると、芯部分72は、ストッパ16のよりよい成形品取出しをもたらす半楕円形状を含む。芯部分72の角度のある設計は、ストッパの破断を防止し、芯ピンの機械的強度を増大する。
図6〜図8を参照すると、一実施形態では、ストッパ16Bは、上側部分80と、下側部分82と、上側部分80と下側部分82の間の中間部分84とを含む。ストッパ16Bは、上側部分80に隣接して位置する第1の封止リブ86と、下側部分82に隣接して位置する第2の封止リブ88とを含む。また、ストッパ16Bは、屋根部分90、および芯部分92を含む。ストッパ16Bは、バルブゲートシステム上で成形可能であり得る。
図8を参照すると、第1の封止リブ86は、漏れに対するより高い抵抗力をもたらす能動的な封止リブを提供するようにサイズ設定され形作られる。たとえば、図2Bを参照すると、本開示のストッパは、シリンジバレル12の側壁30の内部表面との第1の接触領域96Bを提供する第1の封止リブ86と、シリンジバレル12の側壁30の内部表面との第2の接触領域98Bを提供する第2の封止リブ88とを含む。
上記で論じたように、本開示のストッパのより高い第1の封止リブ接触圧力は、漏れに対するより高い抵抗力に通じる。本開示の能動的な封止リブ、すなわち第1の封止リブ86設計では、流体圧力が増大するにつれて、ストッパ封止リブでの接触圧力が増大する。したがって、本開示のストッパは、漏れに対するより高い抵抗力を提供する。図15は、上記の封止リブ設計により従来のストッパより高い漏れに対する抵抗力を提供する本開示のストッパを示す。
図8を参照すると、第2の封止リブ88は、削減された厚さを含む。このようにして、図2Bを参照すると、第2の接触領域98B、すなわち第2の封止リブ88とシリンジバレル12の側壁30の内部表面との間の接触領域が削減される。そのような削減された第2の接触領域98Bは、ポンプ力および開放力などシリンジを動かす力の減少をもたらす。
図8を参照すると、屋根部分90は、改善された漏れ性能をもたらす増大された屋根厚さを含む。たとえば、本開示のストッパ16Bは、漏れ圧力の20%の増大をもたらす。図8を参照すると、芯部分92は、矩形の形状を含む。他の実施形態では、芯部分92は、他の形状を有してもよいことが企図されている。たとえば、芯部分92は、ストッパの射出成形中に成形品取出しの助けとなる楕円形状を有してもよい。
一実施形態では、例示的な実施形態のストッパ16は、ストッパの外表面が潤滑されることを必要とせずにストッパの必要とされる機能特性を提供する材料製である。たとえば、ストッパ16は、熱可塑性エラストマーから形成されてもよい。一実施形態では、ストッパ16は、ポリエチレンをベースとする熱可塑性エラストマーを含む。一実施形態では、シリンジアセンブリ10のシリンジバレル12とのスティクションを低減するために、ストッパ16は、最適化された材料特性、たとえば硬度、圧縮永久ひずみ、応力、およびひずみを有する少なくとも20%ポリエチレンを含むポリエチレンをベースとする熱可塑性エラストマーを含む。
一実施形態、たとえばTPE−2実施形態では、ストッパ16は、スチレンブロックコポリマーなど熱可塑性エラストマーとブレンドされたポリエチレンから形成されてもよい。他の実施形態では、ストッパ16は、ポリエチレンブロックとブレンドされたオレフィンブロックコポリマーから形成されてもよい。ポリエチレン、またはそれだけには限らないがオレフィンブロックコポリマーなど同様の構造を有する実施形態もまた、シリンジアセンブリ10のシリンジバレル12とのスティクションを低減する。
本開示のストッパ16は、シリンジアセンブリのシリンジバレルとのスティクションが低減された熱可塑性エラストマーを提供する。さらに、本開示のストッパ16は、開放力、ブレークアウト力、および持続力など、低いシリンジ力と、保管寿命、すなわち製品製造日と満期の間の期間中の許容される漏れ性能とを提供する。本開示のストッパ16は、低い圧縮永久ひずみと共に低いシリンジ力を提供し、その結果、ストッパ16は、ストッパの外表面が潤滑されることを必要としない。
本開示の例示的な実施形態では、熱可塑性エラストマー組成は、30から65重量%の熱可塑性エラストマーと、10から35重量%のポリオレフィンまたは他の高溶融温度ポリマーと、炭化水素液、たとえば鉱油など20から35重量%の他の添加剤とを含むことになる。他の実施形態では、他の添加剤は、必要とされる量がストッパ上およびその内側に確実に存在するように高い沸騰温度を有する他の疎水性液を含んでもよい。他の実施形態では、ポリエチレン硬質相(40から80%)を有するオレフィンブロックコポリマーが、熱可塑性エラストマーおよびポリオレフィンまたは高溶融温度ポリマーと置き換わってもよい。
本開示のストッパ16は、ストッパ表面上の鉱油など炭化水素液のセグリゲーションにより、ストッパの外表面が潤滑されることを必要としない。このようにして、ストッパ表面のセグリゲーションされた炭化水素液は、潤滑剤として働き、その必要に置き換わり、シリンジの操作力を低減する。高い炭化水素液表面のセグリゲーションは、エネルギーと混合のエントロピーとの間の競合によって決定される。本開示のストッパにより高い粘性をもたせる、または熱可塑性エラストマーの分子量を増大させることにより、配合内の炭化水素液の混合の程度が減少し、より多くの量の炭化水素液がストッパ表面にセグリゲーションする。このようにして、表面のセグリゲーションされた炭化水素液は、潤滑剤として働き、その必要に置き換わり、シリンジの操作力を外部潤滑されたストッパで観察されるレベルに低減する。したがって、本開示のストッパは、ストッパの外表面が潤滑されることを必要とせずにストッパの必要とされる機能特性を有し、それにより潤滑剤をストッパの表面に適用することに伴う問題を解消するストッパを提供する。そのような潤滑ステップに伴う問題は、潤滑剤および潤滑器具の必要とされるコスト、潤滑ステップを操作および実施するための時間およびエネルギー、潤滑されるように自動化された組立てプロセスから除去することを必要とするストッパの要件を含む。本開示のストッパは、ストッパの組立て中の外部潤滑ステップを省くことによって、組立て中のストッパの完全な自動化を可能にする。
一実施形態では、ストッパの表面にポリエチレンが存在することは、ストッパの表面エネルギーと組み合わされて、ストッパの外表面が潤滑されることを必要とせずに必要とされる機能特性を有し、それにより潤滑剤をストッパの表面に適用することに伴う問題を解消するストッパを可能にする。たとえば、ポリエチレンとスチレンブロックコポリマーのブレンド内のポリスチレン(約41mJ/m2)に比べて、ポリエチレンのより低い表面エネルギー(約35mJ/m2)は、表面に対するポリエチレンの選択的なセグリゲーション、ストッパとバレル材料の間の低減された相互作用、およびスティクションのない性能をもたらすことができる。TPE−2実施形態では、ストッパ16は、スチレンブロックコポリマーとブレンドされたポリエチレンから形成されてもよい。スチレンブロックコポリマーの硬質相は、軟質相に化学結合されるので、ポリエチレンは、表面に対して選択的にセグリゲーションされる。ポリプロピレンは、スティクションをもたらし得るストッパとバレルのポリプロピレンの間の増大された相互作用により、ポリプロピレンまたはポリプロピレンコポリマーのバレルを有するシリンジにおけるストッパのポリオレフィンほど望ましくない。
さらに、粘性要件を達成するために増大された熱可塑性エラストマーの分子量を有するストッパもまた、シリンジアセンブリ応用例のための多数の以前のストッパで遭遇した高い圧縮永久ひずみ問題を解決する。鉱油など低粘性炭化水素液を本開示のストッパに加えることもまた、熱可塑性エラストマー処理温度でストッパブレンドの組成の流れ特性を改善する。一実施形態では、シリンジストッパの熱膨張係数を、シリカまたは炭酸カルシウムなど無機充填剤の追加によって、そのような無機充填剤の低い熱膨張係数、およびTPEマトリクスの結晶アーキテクチャに対するそれらの影響により、低減することができる。このようにして、無機充填剤の追加は、熱可塑性エラストマーの高い熱膨張係数を補償する。
上記のように、ストッパ16は、無潤滑熱可塑性エラストマーから形成されてもよい。そのようなストッパ16は、低い圧縮永久ひずみを提供する。たとえば、無潤滑熱可塑性エラストマーのストッパ16は、22時間、70℃において、25%圧縮で35%以下の圧縮永久ひずみを提供する。本開示のストッパは、高分子量成分の使用を通じて、必要とされる圧縮永久ひずみを提供する。
本開示の一実施形態では、シリンジアセンブリのためのストッパは、熱可塑性エラストマーの圧縮永久ひずみが、70℃で22時間の間、25%圧縮で測定されたとき、50%以下である熱可塑性エラストマーを含む。他の実施形態では、熱可塑性エラストマーを25%の圧縮で70℃、22時間保持したときの圧縮永久ひずみは、約35%以下である。他の実施形態では、熱可塑性エラストマーを25%の圧縮で70℃、22時間保持したときの圧縮永久ひずみは、約10%〜35%である。
バレルとのストッパの界面によってシリンジ使用力と漏れ性能が共に決まるので、低い圧縮永久ひずみは、シリンジストッパ応用例にとって望ましい。高い圧縮永久ひずみの場合、シリンジの漏れおよび力性能は、組立て後には申し分のないものとなるが、漏れ性能は、図20に示されているようにシリンジ保管寿命中に損なわれることになる。図20は、50%(ASTM D395−03、方法B、70℃で22時間)を超える圧縮永久ひずみレベルを有するTPEストッパ材料は、シリンジ保管寿命中、不十分な漏れ性能を有することを示す。
さらに、本開示のストッパ16は、複数の異なる流体を有するシリンジのよりよい手の感触を提供する。たとえば、針が取り付けられていない状態でシリンジを流体で充填する手動操作性が改善され、シリンジアセンブリと共に本開示のストッパ16を使用することは、液滴レベルで、たとえば血液の液滴を評価するためにスライド上に置くとき良好な制御を提供する。シリンジアセンブリの手動操作性を改善することによって、臨床医は流体を患者に滑らかに吐出することができ、それにより患者の不快感を低減する。さらに、シリンジアセンブリの手動操作性を改善することによって、汚染に通じる流体の噴出が解消される。本開示のストッパは、高分子量成分の使用を通じて改善された手動操作特性を提供する。さらに、本開示のストッパは、TPEのより高い粘性を使用し、ストッパ上の外部潤滑剤を省きながらシリンジアセンブリのための上記の機能性能ファクタを提供するストッパを提供する。たとえば、本開示のTPE−2実施形態より低い粘性で形成されたストッパは、イソプロパノールおよび血液の吹き出しを伴い不十分な制御を有することがある。したがって、本開示のTPE−2実施形態のより高い粘性は、良好な手動操作性ファクタのために重要なファクタである。
図14Bを参照すると、オレフィンブロックコポリマーから形成された本開示のストッパ、たとえばTPE−1の実施形態、およびスチレンブロックコポリマーでブレンドされたポリエチレンから形成された本開示のストッパ、たとえばTPE−2の実施形態の改善された手動操作特性を示す表が提供されている。TPE−1の実施形態およびTPE−2の実施形態より低い粘性を有するスチレンブロックコポリマー配合とブレンドされたポリプロピレンであるTPE−4の実施形態は、吹き出しを伴い不十分な液体制御を示す(図14A)。TPE−2と同様の、しかしより低い粘性のスチレンブロックコポリマーとブレンドされたポリエチレンにやはり基づくTPE−5の実施形態(図14Aに示されているものなど)もまた、吹き出しを伴い不十分な液体制御を示す。本開示における実施形態について記録されているTPE配合の最小粘性が、シリンジ応用例で使用されるストッパの配合の良好な手動操作性のために必要とされる。
図14Bを参照すると、本開示のストッパは、ストッパ上の外部潤滑剤はなし、および従来のストッパに優る改善された手動操作など、追加の利点を提供する高い粘性を有するTPEから形成される。本開示のストッパは、流体を有するシリンジの手動操作の改善された、および/もしくは好ましい維持、ならびに/または制限された賦形剤の相互作用を提供する。高粘性TPEから形成された本開示のストッパは、異なる流体でのよりよい手動操作性を達成する助けとなる。高粘性TPEから形成された本開示のストッパは、流体を有するシリンジの改善された、および/または好ましい賦形剤相互作用または手動操作性を提供する。液滴レベルでの良好な制御(最良の制御)、良好な制御であるが液滴ではない流体の流れがプランジャ運動の開始時に出る、開始時に液滴レベルで良好な制御であるが流体注射の途中で吹き出す、吹き出しを伴って開始されるが後に制御が改善される、および、吹き出しを伴って開始し、流体注射中に制御できず、または吹き出しを伴う不十分な制御(最悪の制御)など、流体の様々な手動操作が観察され得る。
摩擦係数を減ずるために、一般にスリップ添加剤がTPE配合に加えられる。TPEストッパ配合内にスリップ添加剤があることによって、予期せぬ効果が(図14Aに示されているこの性能に対する配合粘性の影響と共に)シリンジ手動操作で観察された。それだけには限らないがエルカミド、オレアミド、またはベヘンアミドなどスリップ添加剤を1%未満の濃度で加えることによって、手動操作は、図26に示されているように、スリップ添加剤の臨界濃度を超えて著しく改善する。TPEストッパ配合内にスリップ添加剤があることもまた、図22に示されている摩擦係数の減少によって予想されるように、シリンジ力に影響を及ぼす。
図21を参照すると、本開示のストッパは、高粘性TPEから形成される。臨界レベルより低い粘性は、注射中に流体の吹き出しを伴い、不十分な賦形剤手動操作に通じる。本開示の一実施形態では、熱可塑性エラストマーの粘性は、205℃で細管レオメータ(ダイ:丸穴長さ20mm/直径1mm/180度入口、ピストン:d=15mm、および溶融時間=7分)を使用して測定されたとき、せん断速度1,000秒-1で70.0Pa・s以上、せん断速度10,000秒-1で12.0Pa・s以上、およびせん断速度50,000秒-1で3.0Pa・s以上である。一実施形態では、熱可塑性エラストマーの粘性は、せん断速度1,000秒-1で70.0Pa・sから320.0Pa・sである。他の実施形態では、熱可塑性エラストマーの粘性は、せん断速度1,000秒-1で100.0Pa・sから170.0Pa・sである。他の実施形態では、熱可塑性エラストマーの粘性は、せん断速度10,000秒-1で120.0Pa・sから46.0Pa・sである。他の実施形態では、熱可塑性エラストマーの粘性は、せん断速度10,000秒-1で16.0Pa・sから27.0Pa・sである。他の実施形態では、熱可塑性エラストマーの粘性は、せん断速度50,000秒-1で3.0Pa・sから12.0Pa・sである。一実施形態では、熱可塑性エラストマーの粘性は、せん断速度50,000秒-1で4.5Pa・sから7.5Pa・sである。
応力−ひずみ曲線は、特定の材料の挙動を特徴付ける材料特性である。応力−ひずみ曲線の直線部分は、フックの法則として知られる関係によって支配される。ストッパの場合、この応力−ひずみ関係は、設計プロセス中にFEA(有限要素解析)への入力の1つとして適切な材料モデルに変換される。
一実施形態では、所望のひずみ値での応力もまた、組み立てられたシリンジで良好な漏れおよび力性能を得るように、本開示の熱可塑性エラストマーストッパのために最適化される。図11を参照すると、所望の応力値を有する表が提供されている。
図11〜図14Bを参照すると、一実施形態、たとえばTPE−1の実施形態では、ストッパ16は、オレフィンブロックコポリマーから形成されてもよい。他の実施形態、たとえばTPE−2の実施形態、TPE−3の実施形態、またはTPE−5の実施形態では、ストッパ16は、スチレンブロックコポリマーとブレンドされたポリエチレンから形成されてもよい。他の実施形態、たとえばTPE−4の実施形態では、ストッパ16は、スチレンブロックコポリマーとブレンドされたポリプロピレンから形成されてもよい。従来のベースとするストッパは、スチレンをベースとする、またはポリイソプレンをベースとする材料から形成されてもよい。
本開示は、シリンジアセンブリのためのストッパの所望の材料特性および設計を満たす熱可塑性エラストマーストッパを提供する。図12および図13を参照すると、本開示のストッパの材料のための設計および所望の物理特性の重要性を実証する表が提供されている。本明細書では、図12に示されているテスト方法「IT」はISO標準7886−1:1993を守ることに留意されたい。一実施形態では、材料特性は、圧縮永久ひずみ、硬度、所与のひずみレベルでの応力、および所与のせん断速度での粘性を含むことがある。一実施形態では、本開示の熱可塑性エラストマーストッパを25%圧縮で70℃、22時間保持したときの圧縮永久ひずみは(ASTM D395−03、方法B)、50%以下となり得る。一実施形態では、本開示の熱可塑性エラストマーの硬度は、40〜70ショアAの範囲内(ASTM D2240−05)にあるべきである。所望のひずみ値での応力もまた、組み立てられたシリンジで良好な漏れおよび力性能を得るように、本開示の熱可塑性エラストマーストッパのために最適化されるべきである。一実施形態では、本開示の熱可塑性エラストマーストッパの粘性は、せん断速度1,000秒-1で70.0Pa・s以上、せん断速度10,000秒-1で12.0Pa・s以上、およびせん断速度50,000秒-1で3.0Pa・s以上となり得る。一実施形態では、本開示の熱可塑性エラストマーストッパは、ポリプロピレンまたはポリプロピレンコポリマーをベースとするバレルでスティクションのない性能を提供する。たとえば、本開示のストッパは、10〜35%ポリオレフィンまたはそれだけには限らないが10〜35%の中密度から高密度のポリエチレン(120℃から130℃の溶融温度での中密度から高密度)などより高い溶融温度のポリマーとブレンドされた30〜65%のスチレン−エチレン−ブチレン−スチレン(SEBS)コポリマーなど30〜65%の熱可塑性エラストマー、ただしポリプロピレンを除き、20〜35%の一般に入手可能な鉱油ならびに一般に入手可能な放射安定剤、酸化防止剤、および/または加工助剤を含む。SEBSおよびポリエチレンの分子量は、上記のような所望の材料特性を得るように選択される。
ストッパ16を作るために使用される材料の重要な特性は、ストッパ16が、低い力のための設計と共に、ストッパの外表面が潤滑されることを必要とせずにストッパの必要とされる機能特性を提供する材料製であることである。例示的な実施形態のストッパ16は、以下の材料特性を有してもよい。一実施形態では、ストッパ16が約45ショアA硬度から約65ショアA硬度のストッパ材料硬度を有することが企図されている。いくつかの実施形態では、ストッパ16が約53ショアA硬度から約63ショアA硬度のストッパ材料硬度を有することが企図されている。
本開示は、シリンジアセンブリのためのストッパの所望の材料特性を満たす熱可塑性エラストマーストッパを提供する。これらの材料特性は、硬度および圧縮永久ひずみを含む。ストッパ配合内のバレル材料および、ストッパ配合内で使用される高粘性樹脂の定義された臨界濃度以下でのこれらの特性は、ストッパの改善された性能、たとえば手動注射およびポンプ使用中のよりよいシリンジ制御がもたらされる。本開示のストッパの硬度のための所望の範囲は、図11に示されているように、所与のひずみレベルでの所望の応力値によって反映される。シリンジストッパは、良好な漏れ性能と低い操作力という2つの競合する要件を有し、それらは、必要とされる硬度のストッパ材料によって満たされる。低い硬度のストッパ材料は、不十分な漏れ性能を有することになり、高い硬度のストッパ材料は、ストッパリブを通過してバレル内の流体の漏れをもたらす高い(望ましくない)力性能を有することになる。
また、本開示のストッパは、本開示の組成から製造されたスティクションのないシリンジストッパを提供する。オートクレーブ滅菌可能なシリンジが、配合内の高溶融温度ポリマーの使用で得られる。
従来のオートクレーブ滅菌可能なストッパは、一般に、潤滑剤で被覆された熱硬化性樹脂から形成される。しかし、そのような従来のオートクレーブ滅菌可能なストッパの製造は、複数の処理ステップを必要とし、増大された過剰な廃棄物を生成する。
従来、ポリプロピレンブレンドに基づく熱可塑性エラストマーストッパもまた、オートクレーブ滅菌可能なシリンジで使用することができる。そのようなシリンジのオートクレーブ滅菌可能性は、オートクレーブ滅菌温度で構造完全性を提供するためにストッパ配合内に多くの無機充填剤を追加することによって得られる。無機充填剤の使用は、金型の表面を損傷し、効率低下および高い運転費をもたらす。また、組成内に無機充填剤が存在することは、シリンジの使用および貯蔵中、抽出物および浸出物(leachable)に伴う問題をもたらす。したがって、無機充填剤を必要としない、オートクレーブ滅菌され得るシリンジストッパを製造するための熱可塑性エラストマー組成が求められている。
上記で論じたように、本開示のストッパは、ストッパの外表面が潤滑されることを必要とせずにストッパに必要とされる機能特性を提供する材料製である。たとえば、本開示のストッパは、熱可塑性エラストマーから形成されてもよい。このようにして、本開示のストッパは、シリンジアセンブリのためのオートクレーブ滅菌可能なストッパをも可能にする。
一実施形態では、本開示のストッパの熱可塑性エラストマー組成は、高溶融温度ポリマーに基づく。たとえば、溶融温度170℃以上が、オートクレーブ滅菌可能なシリンジに必要とされる。
先に論じたように、一実施形態では、本開示のストッパは、ブロックコポリマーおよび高遷移温度ポリマーを含む射出成形可能なエラストマーのブレンドを含む熱可塑性エラストマー組成から形成されてもよい。いくつかの実施形態では、エラストマーは、スチレンブロックコポリマー、オレフィンブロックコポリマー、ポリイソプレン、ならびにエチレンテトラフルオロエチレン(ETFE)およびフッ化エチレンプロピレン(FEP)ポリマーを含み得る高遷移温度ポリマーとブレンドされたブチルゴムを含んでもよい。
一実施形態では、本開示のストッパの組成は、それだけには限らないがスチレンブロックコポリマーおよびオレフィンブロックコポリマーなど30から65重量%のエラストマーと、それだけには限らないがエチレンテトラフルオロエチレンなど10から35重量%の高遷移温度ポリマーと、鉱油など20〜35重量%の他の添加剤とを含み、シリンジアセンブリ応用例のためのストッパのための硬度、張力、粘性、および圧縮永久ひずみ特性など、所望の処理要件および材料特性を満たすことができる。他の実施形態では、本開示のストッパの組成は、放射安定剤、酸化防止剤、および/または加工助剤を含む。
本開示のストッパは、ストッパの組成内に組み込まれた鉱油など炭化水素液の表面への移行によってスティクションのない性能が生み出される射出成形可能な熱可塑性シリンジストッパを提供することによって従来のストッパの欠点を克服する。組成における少なくとも10から35重量%のレベルでの高温安定ポリマーは、オートクレーブ滅菌処理、および高温状態に対する任意の他の露出中、構造完全性を提供する。たとえば、高遷移温度ポリマーは、エチレンテトラフルオロエチレン(ETFE)およびフッ化エチレンプロピレン(FEP)ポリマーを含んでもよい。上記で論じたように、本開示のストッパの熱可塑性エラストマー組成は、高溶融温度ポリマーに基づく。たとえば、溶融温度170℃以上が、オートクレーブ滅菌可能なシリンジに必要とされる。このようにして、本開示のストッパは、潤滑剤のない、スティクションのない、オートクレーブ滅菌可能な、射出成形可能なストッパをもたらし、一方、ストッパ上の外部潤滑のステップを省く。
また、本開示のストッパは、製造および/または成形に関する追加の利点を提供する。たとえば、一実施形態では、本開示のストッパは、金型キャビティ内の金型ゲーティング点において、せん断特徴部、すなわち薄い壁セクションを含む。本開示のストッパのせん断特徴部は、金型ゲート点においてせん断熱を加える。このようにして、本開示のストッパは、冷えた材料が金型キャビティに入ることを解消し、ストッパ成形に一般的な流線および/または溶接線を解消し、ひけを解消し、ゲート品質の制御を改善し、金型サイクル時間を改善し、表面および/または視覚的不完全部を解消する。
上記のように、図3〜図5に示されているストッパ16の実施形態は、オープンゲートシステムで熱可塑性エラストマーストッパを成形することを可能にするせん断部分74およびキャッチカン部分76を含む。オープンゲートシステムは、ホットチップシステムとも呼ばれ得る。一実施形態では、せん断部分74は、ストッパ16の屋根部分70の厚さの52%未満であり36%より大きい厚さを有する。一実施形態では、せん断部分74は、ストッパ16の屋根部分70の厚さの約44%である厚さを有する。一実施形態では、せん断部分74は、ゲート場所での一般的な壁厚の約50%である。一実施形態では、せん断部分74は、0.012インチ(0.305mm)の厚さを有する。一実施形態では、せん断部分74は、0.018インチ(0.457mm)の厚さを有する。一実施形態では、せん断部分74は、0.023インチ(0.584mm)の厚さを有する。
従来のオープンゲートホットランナシステムは、ゲートが閉じることができず、残留熱および残留熱を引き起こし、これは、少量の未溶融および/またはわずかに溶融した残留樹脂を以前のショットから残す。次いで、この材料は、次のショット中にストッパまたは他の成形部品に押し込まれ、その中に組み込まれる。さらに、この残留材料は、成形部品内のどこへでも行くことができる。残留材料は、ストッパの表面に到達した場合、部品の美観品質を損なうことになり、場所に応じて、機能性能問題を引き起こす可能性がある。たとえば、残留未溶融物がストッパリブの表面に到達した場合、ストッパがバレル壁を封止するのを妨害し、漏れおよび製品故障をもたらすことになる。この残留材料は、成形部品の品質および性能を損ない、スクラップ率を増大し、したがってコストの増大をもたらす。
図4および図5を参照すると、キャッチカン部分76は、容易に部品解放が可能にするように設計される。キャッチカン部分76は、成形部品の他の特徴の制約内に収まるように設計され、せん断特徴部を可能にし、容易な部品解放を最適化する。また、キャッチカン部分76は、せん断部分74を可能にするなど、成形部品の他の特徴の制約内に収まるように設計される。キャッチカン部分76は、成形機およびツーリング設計の属性に依存する受け容積を含む。一実施形態では、キャッチカン部分76は、少なくとも以前のショットから残された残留材料の体積である容積を有する。一実施形態では、キャッチカン部分76は、ホットランナドロップによって決まる、またゲートの反対側に位置する十分な容積のものであることを必要とする。
図27を参照すると、キャッチカン部分76およびホットランナシステムのホットチップ部分200が示されている。一実施形態では、ストッパ16に隣接するゲート部分204は、キャッチカン部分76内にゆっくり移動することが可能である。このようにして、残留材料をキャッチカン部分76内に捕らえることができ、その結果、残留材料は、ストッパ16の一部分内で流れ傷(フローライン)および/またはニットラインを引き起こすストッパ16の成形領域内に流れ込まない。
図28を参照すると、TPEのコールドスラグ210が、成形サイクルの終了時にホットチップ212の端部で固化し、次いで後続のサイクルでキャビティ内に射出される。この冷えた材料は、再溶融して新しい材料の流路内に戻ることがなく、ストッパ16の封止リブ内で詰まり、漏れ経路を引き起こし得る。キャッチカン部分76は、コールドスラグ210を取り込むのに十分なサイズのものであることを必要とし、せん断部分74の間隙は、ストレーナと同様に、コールドスラグ210が良好なTPEと共に通過しないように保つのに十分小さいものであることを必要とする。キャッチカン部分76およびせん断部分74の幾何形状は、成形されるストッパのサイズではなく、ホットチップホットランナシステムによって作り出されるゲートスラグのサイズによって決まる。
図5を参照すると、芯部分72は、ストッパ16のよりよい成形品取出しをもたらす形状を含む。芯部分72の角度位置は、ストッパの破断を防止し、芯ピンの機械的強度を増大する。
図2Bを参照すると、芯部分72は、プラスチックをキャビティ内で分配する助けとなる半径を有する半楕円形状79を含む。半楕円形状79はまた、ストッパ16に強度を加え、ストッパ16の中央の突出しを改善する。
図3および図6を参照すると、本開示のストッパは、傘アーム要素78、94をも含む。傘アーム要素78、94は、ストッパ下表面領域全体にわたる完全な接触を必要とすることなしにプランジャロッドで完全に支持されたストッパ屋根を可能としている。傘アーム要素78、94は、サイクル時間を低減し、ショット当たり使用される樹脂の量を削減する。このようにして、傘アーム要素78、94は、生産高の、また原料のコスト節約を提供する。また、傘アーム要素78、94は、必要とする原料が少ないシステムを提供することによって環境に優しい利点を提供する。
先に論じたように、過度のブレークアウト力および開放力の問題は、摩擦に関係する。摩擦は、一般に、1つの物質の表面が、それ自体または別の物質の隣接する表面の上で摺動する、または摺動しそうなとき、生じる抵抗力と定義される。接触する固体の表面間には、2種類の摩擦、すなわち、(1)従来、静摩擦として知られる、1つの表面が別の表面の上で移動し始めるために必要とされる力に逆らう抵抗、および(2)従来、動摩擦として知られる、1つの表面を別の表面の上で、可変、固定、または所定の速度で移動させるために必要とされる力に逆らう抵抗があり得る。
静摩擦を克服し、ブレークアウトを誘発するために必要とされる力は、「ブレークアウト力」と呼ばれ、ブレークアウトまたは開放後、1つの表面の、別の表面の上での安定した摺動を維持するために必要とされる力は、「持続力」と呼ばれる。2つの主要なファクタが静摩擦に、したがってブレークアウト力または開放力に貢献する。本明細書で使用される「固着」という用語は、静止接触する2つの表面が互いに密着度を発達させる傾向を意味する。「慣性」という用語は、従来、質力を運動状態にするために克服されなければならない、運動に抵抗しようとすることと定義される。本発明の文脈では、慣性は、粘着を含まないブレークアウト力のその成分を意味すると理解される。
ブレークアウト力または開放力、特に固着度は、表面の組成に従って変わる。一般に、弾性を有する材料は、特に表面が同様の成分のものであるとき非弾性材料より大きな固着を示す。表面が互いに静止接触している時間の長さもまた、ブレークアウト力および/または開放力に影響を及ぼす。シリンジ技術では、「放置」という用語は、貯蔵時間、保管時間、または充填と放出の間の間隔を意味する。一般に、放置は、特にシリンジが放置中、冷蔵されている場合、ブレークアウト力または開放力を増大する。
論じたように、従来のストッパは、潤滑剤をストッパの表面に適用することを必要とする。本開示は、ストッパの外表面が潤滑されることを必要とせずにストッパの必要とされる機能特性を提供する材料製であるストッパを提供する。
図9を参照すると、ポリプロピレンバレルと組み合わされた、ポリプロピレンでブレンドされたスチレンブロックコポリマーをベースとする熱可塑性エラストマーストッパは、スティクションを示す。すなわち、静止位置では、このストッパは、シリンジバレルの内部表面に対して密着度を発達させ、ストッパと、ポリプロピレンシリンジバレルの内部表面との間の摩擦を克服するために開放力を必要とする。ストッパとバレルの間のスティクションは、シリンジバレル内でのストッパの滑らかに増加的な線から線への前進を提供するのを困難にする。
図10を参照すると、ポリエチレンでブレンドされたスチレンブロックコポリマーをベースとする本開示のストッパは、ストッパ表面上の鉱油など炭化水素液のセグリゲーションにより、ストッパの外表面を潤滑することを必要とせず、シリンジバレル内で、スティクションを示さず、ストッパの滑らかに増加する線から線への前進を提供する。これは、流体が正確に制御された量でシリンジアセンブリから分注されるのを可能にする。他の実施形態では、オレフィンブロックコポリマーから形成された本開示のストッパは、図10に示されているものと同様に、スティクションのない性能を示す。
一実施形態では、シリンジバレル12は第1の材料から形成され、ストッパ16は、第1の材料とは異なる第2の材料から形成され、第2の材料が、4%を超える第1の材料を含まず、より好ましくは、第2の材料は、1.5%を超える第1の材料を含まず、さらに好ましくは、第2の材料は、1%を超える第1の材料を含まない。たとえば、ストッパ16は、ポリエチレンをベースとする熱可塑性エラストマーから形成されてもよく、シリンジバレル12は、ポリプロピレンから形成されてもよい。他の実施形態では、ストッパ16は、ポリイソプレンまたはSBR材料から形成されてもよく、シリンジバレル12は、ガラス、脂環式ポリオレフィン、ポリエステル、またはポリカーボネート材料から形成されてもよい。このようにして、ストッパがシリンジバレルの内部表面に対して発達させる密着度が低減される。たとえば、ストッパとシリンジバレルの間の化学的相互作用が緩和され、ストッパとシリンジバレルがスティクションを示さず、シリンジアセンブリは、シリンジバレル内でのストッパの滑らかに増加する線から線への前進を提供する。これは、流体が正確に制御された量でシリンジアセンブリから分注されるのを可能にする。
本開示のテスト、研究、および実験は、ポリプロピレン(PP)バレルおよび図17に示されているTPEストッパ内のPP含有量で、低速(10mlシリンジ構成で0.1ml/時)でのストッパの固着−スリップ運動について行われた。低速での連続的な薬物吐出のために、滑らかなストッパ運動が望ましい。図17で気付くように、1%以下のPP濃度では、固着−スリップストッパ運動はない。対照的に、固着−スリップ運動の発生は、この臨界PP濃度を超えて増大し、5.7%以上のPP濃度ですべてのシリンジによって示されている。これらの結果は、代替の樹脂組成のバレルにも同様に変換されることになり、同じ樹脂がストッパ配合にも組み込まれる。
熱可塑性ストッパ樹脂の組成は、スティクションを回避するために、バレルにおけるものと同じ材料を有するべきでない。たとえば、ポリプロピレンまたはポリプロピレンコポリマーをベースとするバレルの場合、ストッパ配合は、ポリプロピレンをベースとするべきでない。表面張力のより低い硬質相をベースとする配合を有する熱可塑性エラストマーもまた、スティクションを低減する助けとなる。たとえば、ポリエチレン(表面張力約35mJ/m2)またはETFE(約23mJ/m2)と混合されたスチレンブロックコポリマー(ポリスチレン表面張力約41mJ/m2)は、硬質相の選択的な表面セグリゲーション、およびバレルとの低減された相互作用をもたらす。
同じ材料から形成されたストッパとシリンジバレルを含むシリンジアセンブリでは、ストッパとシリンジバレルの間の化学的相互作用が増大され、ストッパとシリンジバレルの間でスティクションをもたらす。たとえば、静止位置にある間、ストッパは、バレルの内側表面に対する密着度を発達させ、ストッパの表面とシリンジバレルの間の静摩擦を克服するために必要とされる力である開放力(一般に、持続力より高い)を必要とする。極端な場合、より遅い運動で、バレルとストッパの間に粘着力が発達する可能性があり、シリンジバレル内でのストッパの滑らかに増加的な線から線への前進を提供するのを困難にする。そのようなストッパを有するポンプ応用例のシリンジの場合、薬物吐出は滑らかでなくなることになり、したがって望ましくない。ポリプロピレン(PP)をベースとするバレルについては、ポンプ使用中、滑らかな固着−スリップ運動のために、または固着−スリップ運動がないように、図17に示されているようにその配合内に臨界レベルを超えるPPを有するべきでない。これらの配合内のPP含有量は、PPに対応するDSCからの溶融のエネルギー、100%結晶PPの溶融のエネルギーを293J/gとして使用し、ストッパ材料内の50%PP結晶化度を想定して計算された。PP溶融に伴うDSCピークは、TPE−1、TPE−2(全スリップ剤レベル)、TPE−3、TPE−5、およびTPE−6において識別可能でなく、これらのTPE内のPP含有量は1%未満であることを示した。図17は、配合TPE−4、TPE−10、TPE−11、TPE−12、TPE−13、TPE−14、およびTPE−15が1%より多いPP含有量を有し、固着−スリップ性能要件を満たさないことを示す。TPE−2−S0.6およびTPE−4(シリコーン潤滑剤潤滑済み)についてのシリンジポンプ力プロファイルの一例が、図9および図10に示されている。TPE−6は1%未満のPP含有量を有するが、TPE−6は、スティクション性能を満たすことができない。これは、スチレンブロックコポリマーストッパシステムに必要とされるポリエチレンの最小量による。
本開示の研究および実験に基づいて、シリンジバレル12が第1の材料から形成され、ストッパ16が第1の材料とは異なる第2の材料から形成され、第2の材料が4%を超える第1の材料を含まず、より好ましくは、第2の材料が1.5%を超える第1の材料を含まず、さらに好ましくは第2の材料が1%を超える第1の材料を含まない場合には、プランジャロッドに対するストッパの固着−スリップ運動が回避される。たとえば、上記のように、ストッパ16は、ポリエチレンをベースとする熱可塑性エラストマーから形成されてもよく、シリンジバレル12は、ポリプロピレンから形成されてもよい。他の実施形態では、ストッパ16は、ポリイソプレンまたはSBR材料から形成されてもよく、シリンジバレル12は、ガラス、脂環式ポリオレフィン、ポリエステル、またはポリカーボネート材料から形成されてもよい。このようにして、上記のように、ストッパがシリンジバレルの内部表面に対して発達させる密着度が低減される。たとえば、ストッパとシリンジバレルの間の化学的相互作用が緩和され、ストッパとシリンジバレルがスティクションを示さず、シリンジアセンブリは、シリンジバレル内でのストッパの滑らかに増加的な線から線への前進を提供する。これは、流体が正確に制御された量でシリンジアセンブリから分注されるのを可能にする。
ブレークアウト力または開放力、特に固着度は、表面の組成に従って変わる。一般に、弾性を有する材料は、特に表面が同様の成分のものであるとき非弾性材料より大きな固着を示す。表面が互いに静止接触している時間の長さもまた、ブレークアウト力および/または開放力に影響を及ぼす。シリンジ技術では、「放置」という用語は、貯蔵時間、保管時間、または充填と放出の間の間隔を意味する。一般に、放置は、特にシリンジが放置中、冷蔵されている場合、ブレークアウト力または開放力を増大する。
当技術分野で知られているように、従来のストッパは、潤滑剤をストッパの表面に適用することを必要とする。本開示は、ストッパの外表面が潤滑されることを必要とせずにストッパの必要とされる機能特性を提供する材料製であるストッパを提供する。本開示のストッパは、エラストマーの高分子量および/または配合の硬質相によって可能にされる十分高い粘性を有するストッパ材料を含む。配合内に組み込まれた鉱油は、混合の低いエントロピーによりストッパ表面にセグリゲーションし、従来のシリンジストッパ表面上の、外部から適用されるシリコーン潤滑剤によって果たされる役割を満たす。
図13は、ガンマ滅菌後、10ml実施形態における潤滑されたTPEストッパおよび潤滑されないTPEストッパについての手の力を実証する。シリンジの手の力は、潤滑されたストッパおよび潤滑されないストッパを有するシリンジについて同様である。
一実施形態では、本開示のストッパは、スチレンブロックコポリマーでブレンドされたポリエチレンをベースとするTPEから形成される。そのような実施形態では、ストッパの表面に対するポリエチレンの性向、およびストッパの表面エネルギーが、ストッパの外表面が潤滑されることを必要とせずにストッパの必要とされる機能特性を有する無潤滑ストッパを可能にし、それによりシリンジストッパ表面上への潤滑剤適用という余分なステップを解消する。このようにして、ストッパに対する外部への潤滑剤適用の負の結果が解消される。たとえば、ストッパ上の潤滑ステップは、潤滑剤および潤滑器具のコスト、時間と、潤滑ステップを操作および実施するためのエネルギーを必要とし、ストッパを自動化された組立てプロセスから除去し、組み立てなければならない。また、本開示の無潤滑ストッパは、完全な自動ストッパ組立てプロセスを可能にするストッパを提供する。ポリエチレンとスチレンブロックコポリマーのブレンド内のポリスチレン(約41mJ/m2)に比べて、ポリエチレンのより低い表面エネルギー(約35mJ/m2)は、表面に対するポリエチレンの選択的なセグリゲーション、ストッパとバレル材料の間の低減された相互作用、およびスティクションのない性能をもたらすことができる。これは、TPE−2−S0.6実施形態に対する原子間力顕微鏡(AFM)測定によっても支持されており、硬質相は、表面に向かって選択的にセグリゲーションされる。スチレンブロックコポリマーの硬質相は、軟質相に化学結合されるので、これは、ポリエチレンが表面に対して選択的にセグリゲーションされることを示唆する。スチレンブロックコポリマー内で必要とされるポリエチレンの臨界濃度を決定するために、8%(TPE−6)および25%(全スリップ剤レベルを有するTPE−2およびTPE−5)のポリエチレン含有量を有する2つのTPEストッパ配合が、ポリプロピレンバレルおよびプランジャロッドを有する10ml実施形態において調査された。たとえば、TPE−2−S0.6およびTPE−6についてのポンプ力プロファイルが図18および図19に与えられている。8%ポリエチレン含有量を有する配合で、ポンプ速度0.1ml/時でのスティクションが観察されたが、25%ポリエチレン含有量の場合にはスティクションがなく、臨界ポリエチレン濃度は、8%から25%範囲内にあることを示す。
シリンジストッパは、シリンジアセンブリ内で絶えず応力下にあり、時間と共に圧縮永久ひずみを受ける。シリンジの機能性能、手の力、および漏れ性能は、ストッパ寸法に依存し、競合する要件である。ストッパ直径(OD)が増大すると共に、シリンジの手の力は、増大する、または悪くなり、漏れに対する圧力は、増大する、またはよりよくなる。ストッパ直径は、組立て直後に最も大きいので、手の力は、組み立てられたばかりのシリンジについては手の力が最も必要な操作である。対照的に、漏れに対する圧力は、時間と共に減少する、または悪くなる。一実施形態では、ストッパの設計および寸法は、T=0で許容される手の力を達成するが、同時に保管寿命全体の間、漏れ性能を満たすように設計される。圧縮永久ひずみ測定(ASTM D395−03、方法B、70℃で22時間について25%ひずみ)は、時間と共にストッパ直径の大きさを良好に示す。図20に示されているように、異なるTPEストッパ実施形態についての漏れ性能は、50%を超える圧縮永久ひずみを有するTPE配合によって漏れ性能が満たされなかったことを示唆する。許容される漏れ性能を有する配合は、35%以下の圧縮永久ひずみを有する。
上記で論じたように、高いTPE粘性を有する潤滑されないストッパは、潤滑の要らないストッパである点で有用であるだけでなく、充填された液体をシリンジから分注する能力で良好な操作性を提供する。血液の液滴を噴出または噴射なしで分注することができることは、血液を液滴分析するためにガラススライド上に配置される応用例において、シリンジを使用するために重要である。血液の噴射は、そのような活動中の作業場所の汚染、また医療従事者に対する感染の可能性をもたらすことになり、これは望ましくない。さらに、そのようなシリンジは、小さな、非常に正確な増分の液体を、突然のサージなしに繰り返し分注することができる。したがって、本開示のストッパを含むシリンジアセンブリは、サージの危険なしに薬剤を患者に投与するために使用することができ、それにより用量の正確な制御および非常に向上された患者の安全が実現される。
針をシリンジに取り付けることにより、背圧が生み出され、手動操作性が改善される。したがって、本開示のテスト、研究、および実験のすべてが、取り付けられる針なしにシリンジの最悪の条件で行われた。液滴レベルで血液分注を制御する能力についてのテストは、図21に示されているように、ヒツジの血液を使用して、10ml、Eビーム滅菌済みシリンジで行われた。また、図21は、205℃で細管レオメータ(ダイ:丸穴長さ20mm/直径1mm/180度入口、ピストン:d=15mm、および溶融時間=7分)を使用して測定された、異なるせん断速度での粘性を実証する。高い配合粘性を有するTPE−1−S0.6およびTPE−2(全スリップ剤レベルを有する)は、良好な手動操作性を、しかし低い粘性を示す。TPE−3(スチレンブロックコポリマーでブレンドされたポリプロピレンをベースとする)およびTPE−5(スチレンブロックコポリマーとブレンドされたポリエチレン)は、血液で不十分な手動操作性を示す。
TPE配合内に存在するスリップ剤(それだけには限らないが、エルカミド、オレアミド、およびベヘンアミドなど)の量もまた、異なる充填液でシリンジの手動操作性に影響を及ぼす。たとえば、本開示のテスト、研究、および実験は、10mlストッパ(設計5)内に異なるレベルのスリップ剤、エルカミドを有するスチレンブロックコポリマーでブレンドされたポリプロピレンをベースとするTPE−2について液滴レベルで分注されるイソプロパノールについての手動操作テストを含む。0.2〜0.3%間のスリップ剤の臨界レベルが良好な手動操作のために必要とされる。そのような配合の場合、組み立てられたシリンジにおけるストッパひずみは、ストッパ表面上のスリップ剤の選択的なセグリゲーションによる視覚的欠陥を解消するために最適化されるべきである。そのような視覚的欠陥は、エンドユーザに対して異物を知覚させる可能性がある。配合内のスリップ剤の存在はまた、漏れ性能に影響を及ぼすことなしにシリンジ力を低減または改善する。なぜなら、シリンジの漏れ性能は、主に、シリンジ構成要素間の干渉に依存するからである。図22は、10ml設計5における異なるスリップ剤レベルのTPE−2ストッパおよびEビーム滅菌済みシリンジでの力変化を実証する。
シリンジアセンブリ内のTPEストッパは、使用中、複雑な圧縮および張力モードを受け、張力および圧縮におけるTPE材料特性は、シリンジの機能性能(手の力および漏れ性能)に影響を及ぼす。応力−ひずみ曲線は、特定の材料の挙動を特徴付ける材料特性である。本開示のテスト、研究、および実験は、FEA(有限要素解析)シミュレーションを使用し、最良の機能性能をもたらすことになる所与のひずみレベルでの望ましい応力を予測することを含む。図11を参照すると、TPE−1−S0.6、TPE−2−S0.6、およびTPE−3について望ましい曲線のための応力値が与えられている。本開示のテスト、研究、および実験は、FEAシミュレーションを使用し、これらの3つのTPE配合についてシリンジの漏れに対する圧力および持続力についての相対ランキングを割り当てること(図23)を含み、それは実験データ(図24)と一致した。漏れ圧力および持続力テストは、非滅菌状態(60℃で1週間エージング)で10ml設計4において行われた。TPE−3は、最低または最悪の漏れ性能を有した。TPE−1−S0.6、TPE−2−S0.6での持続力はTPE−3より高かったが、それは許容されるものであった。漏れ性能は時間と共に悪くなるので、TPE−1−S0.6、TPE−2−S0.3、およびTPE−2−S0.6を、スティクションがなく、外部から適用されるシリコーン潤滑剤なしで使用される可能性を有する許容されるシリンジ力および漏れ性能を有する最終的なTPE配合として選択することができる。
所与のひずみでのTPE応力もまた、配合の硬度によって反映される。所与のひずみレベルでの応力を満たすTPE1−S0.6、TPE−2(0.3%および0.6%エルカミドを有する)は、53ショアAおよび63ショアAの硬度を有する。したがって、本開示のTPEストッパ配合のための最も好ましい硬度範囲は、53〜63ショアAである。
上記に提示されているデータに基づいて、シリンジストッパのための最終TPE選択表が図25に提示されている。TPE−1−S0.6、TPE−2−S0.3、およびTPE−2−S0.6が、シリンジストッパ応用例のための要件すべてを満たし、潤滑されない状態で使用され得る。
バレル材料より高い熱膨張係数のTPEストッパを有するシリンジを使用する場合、長時間にわたる高温(60℃など)での予期せぬ露出は、バレルの膨張に通じる。これは、熱膨張係数の不釣り合いによる高温でのバレルに対する応力の増大によるものであり、バレルの不可逆のクリープ、およびストッパ放置位置での膨張に通じる。シリンジストッパの熱膨張係数を、シリカまたは炭酸カルシウムなど無機充填剤の追加によって、そのような無機充填剤の低い熱膨張係数、およびTPEマトリクスの結晶アーキテクチャに対するそれらの影響により、低減することができる。このようにして、無機充填剤の追加は、熱可塑性エラストマーの高い熱膨張係数を補償し、バレル材料の許容されるクリープレベルをもたらす。
配合内で高溶融温度ポリマーを使用して、オートクレーブ滅菌可能なシリンジをも得ることができる。従来のオートクレーブ滅菌可能なストッパは、一般に、潤滑剤で被覆された熱硬化性樹脂から形成される。しかし、そのような従来のオートクレーブ滅菌可能なシリンジの製造は、複数のステップを必要とし、多くの廃棄物を生成する。従来、ポリプロピレンブレンドに基づく熱可塑性エラストマーストッパもまた、オートクレーブ滅菌可能なシリンジで使用することができる。そのようなシリンジのオートクレーブ滅菌可能性は、オートクレーブ滅菌温度で構造完全性を提供するためにストッパ配合内に多くの無機充填剤を追加することによって得られる。無機充填剤の使用は、金型の表面を損傷し、効率低下および高い運転費をもたらす。また、組成内に無機充填剤が存在することは、シリンジの使用および貯蔵中、抽出物および浸出物に伴う問題をもたらす。したがって、無機充填剤を必要とすることなしにオートクレーブ滅菌され得るシリンジストッパを製造するための熱可塑性エラストマー組成が求められている。
上記で論じたように、本開示のストッパは、ストッパの外表面が潤滑されることを必要とせずにストッパの必要とされる機能特性を提供する材料製である。たとえば、本開示のストッパは、熱可塑性エラストマーから形成されてもよい。このようにして、本開示のストッパは、シリンジアセンブリのためのオートクレーブ滅菌可能なストッパをも可能にする。一実施形態では、本開示のストッパの熱可塑性エラストマー組成は、高溶融温度ポリマーに基づくものである。たとえば、溶融温度170℃以上が、オートクレーブ滅菌可能なシリンジに必要とされる。先に論じたように、一実施形態では、本開示のストッパは、ブロックコポリマーおよび高遷移温度ポリマーを含む射出成形可能なエラストマーのブレンドを含む熱可塑性エラストマー組成から形成されてもよい。いくつかの実施形態では、エラストマーは、スチレンブロックコポリマー、オレフィンブロックコポリマー、ポリイソプレン、ならびにエチレンテトラフルオロエチレン(ETFE)およびフッ化エチレンプロピレン(FEP)ポリマーを含み得る高遷移温度ポリマーとブレンドされたブチルゴムを含んでもよい。一実施形態では、本開示のストッパの組成は、それだけには限らないがスチレンブロックコポリマーおよびオレフィンブロックコポリマーなど30から65重量%のエラストマーと、それだけには限らないがエチレンテトラフルオロエチレンなど10から35重量%の高遷移温度ポリマーと、鉱油など20〜35重量%の他の添加剤とを含み、シリンジアセンブリ応用例のためのストッパのための硬度、張力、粘性、および圧縮永久ひずみ特性など、所望の処理要件および材料特性を満たすことができる。他の実施形態では、本開示のストッパの組成は、放射安定剤、酸化防止剤、および/または加工助剤を含む。本開示のストッパは、ストッパの組成内に組み込まれた鉱油など炭化水素液の表面への移行によってスティクションのない性能が生み出される射出成形可能な熱可塑性シリンジストッパを提供することによって従来のストッパの欠点を克服する。組成における少なくとも10から35重量%のレベルでの高温安定ポリマーは、オートクレーブ滅菌処理、および高温状態に対する任意の他の露出中、構造完全性を提供する。たとえば、高遷移温度ポリマーは、エチレンテトラフルオロエチレン(ETFE)およびフッ化エチレンプロピレン(FEP)ポリマーを含んでもよい。上記で論じたように、本開示のストッパの熱可塑性エラストマー組成は、高溶融温度ポリマーに基づく。たとえば、溶融温度170℃以上が、オートクレーブ滅菌可能なシリンジに必要とされる。このようにして、本開示のストッパは、潤滑剤の不要な、スティクションの生じない、オートクレーブ滅菌可能な、射出成形可能なストッパをもたらし、ストッパへの外部潤滑のステップを省くことができる。
シリンジアセンブリ10は、使用前に別個のバイアルからの医薬品でシリンジバレル12を充填するために使用されてもよい。たとえば、シリンジアセンブリ10は、糖尿病治療キットなど非事前装填型の医薬品キットと共に使用されてもよい。
次に図1を参照して、使用前に別個のバイアルからの医薬品でシリンジバレル12を充填するためにシリンジアセンブリ10を使用することについて次に述べる。シリンジアセンブリ10が図1に示されている位置にある状態で、また針アセンブリが、シリンジバレル12の遠位端32にロックされ、流体を含むバイアルと連通された状態で、医薬品など流体をシリンジバレル12のチャンバ36内に吸引する、または引くことが望ましいとき、ユーザは、所望の量の流体がシリンジバレル12のチャンバ36内に引かれるまで、概して矢印Aに沿った方向にプランジャロッド14を移動する。このようにして、概ね矢印Aに沿った方向にプランジャロッド14を介してストッパ16を移動することにより、シリンジバレル12のチャンバ36内に真空が生み出される。ユーザが概ね矢印Aに沿った方向にプランジャロッド14を介してストッパ16を移動するにつれて、ユーザは、シリンジバレル12のチャンバ36内の容積を積極的に増大する。ストッパは上記のようにシリンジバレル12の内部壁との封止係合を提供するようにシリンジバレル12に対してサイズ設定されているので、またシリンジバレル12の遠位端32にロックされた針アセンブリは、流体を含むバイアル内に配置されているので、空気は、シリンジバレル12のチャンバ36内に入ることができず、したがって、ユーザが積極的にチャンバ36内の容積を増大するにつれて同じ数の空気分子がチャンバ36内に位置する。これは、シリンジバレル12の外側の空気圧に対してシリンジバレル12のチャンバ36内の圧力を減少させる。したがって、真空、すなわちより低い空気圧の空間が生み出され、医薬品など流体をシリンジバレル12のチャンバ36内に引く。
シリンジアセンブリ10はまた、プレフィルドシリンジアセンブリおよび/または注射可能なシリンジアセンブリで使用されてもよい。このようにして、注射前にユーザがデバイスを充填する必要はなくなり、それにより、時間を節約し、吐出のための一定の体積を維持する。プレフィルドシリンジ応用例におけるシリンジアセンブリ10は、製造者によって予め充填される、シリンジバレル12のチャンバ36内に含まれる医薬品など流体の最終使用のために提供されてもよい。このようにして、シリンジアセンブリ10は、最終使用者が使用前に別個のバイアルからの医薬品でシリンジを充填する必要なしに、送達、貯蔵、および最終使用者によって使用されるように製造し、医薬品で予め充填し、滅菌し、適切な包装で包装することができる。そのような実施形態では、シリンジアセンブリ10は、シリンジバレル12のチャンバ36内の医薬品など流体を封止するために、シリンジバレル12の遠位端32に配置されたキャップまたは封止部材を含んでもよい。
図1および図2Aを参照して、シリンジバレル12のチャンバ36内に含まれる医薬品など流体を排出するためのシリンジアセンブリ10の使用について次に述べる。そのような実施形態では、流体がシリンジバレル12のチャンバ36内に含まれ、図2Aに示されているように、ストッパ16がシリンジバレル12の近位端34に隣接して配置される。プレフィルドシリンジ応用例では、ユーザは、最初にキャップまたは封止部材をシリンジバレル12の遠位端32から除去することができる。次いで、ユーザは、シリンジバレル12の先端42を別個の針アセンブリまたはIV接続アセンブリに取り付け、知られている方法で、針アセンブリまたはIV接続アセンブリをシリンジバレル12の先端42にロック可能に係合することができる。医薬品を分注する前に、シリンジバレル12のチャンバ36内に捕らえられた空気を周知の方法で排出することができる。
シリンジバレル12内に含まれる医薬品を排出または吐出することが望ましいとき、シリンジアセンブリ10は、プランジャロッド14のフランジ66上のユーザの親指で、また、シリンジバレル12のフランジ40周りに延びるユーザの指で把持される。このようにして、シリンジアセンブリ10は、ユーザによって、周知の十分認められた方法で把持される。次に、ユーザは、プランジャロッド14のフランジ66上の親指とシリンジバレル12のフランジ40を把持する4本の指との間で押込み動作を行い、それによりプランジャロッド14を介して概して矢印B(図1)に沿った方向にストッパ16を移動させる。このようにして、プランジャロッド14を介して概して矢印Bに沿った方向にストッパ16が移動することは、シリンジバレル12のチャンバ36内に含まれる流体を出口開口38から押し出させる。流体は、出口開口38を通ってシリンジバレル12から、別個の針アセンブリまたはIVアセンブリ内に、また患者内に排出され得る。
本開示について例示的な設計を有するものとして述べられているが、本開示は、本開示の精神および範囲内でさらに修正され得る。したがって、本願は、本開示の、その一般的な原理を使用する任意の変形形態、使用、または翻案を包含することが意図されている。さらに、本願は、本開示が関連する、また添付の特許請求の範囲の限定内に入る当技術分野における知られている、または慣習的な慣行内に入る本開示からの逸脱を包含することが意図されている。