JP2021002929A - モータ制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】ブラシレスモータの始動時における制御性の低下を抑制できるモータ制御装置を提供すること。【解決手段】モータ制御装置10は、ブラシレスモータ100の駆動停止時又は駆動停止中にロータ105の位置決め処理を実行する位置決め処理部161と、ブラシレスモータ100に外部から荷重が加わるか否かを判定する外乱判定部162と、位置決め処理の実行後におけるブラシレスモータ100の駆動停止中において、ブラシレスモータ100に外部から荷重が加わるとの判定がなされた場合、ブラシレスモータ100への通電を制御することにより、ロータ105の変位を規制する力である保持力を発生させるロータロック処理を実行するロック処理部164とを備える。【選択図】図1
Description
本発明は、ブラシレスモータを制御するモータ制御装置に関する。
特許文献1には、ブラシレスモータを制御するモータ制御装置の一例が記載されている。このモータ制御装置では、ブラシレスモータの始動時の応答性を高めるために、当該ブラシレスモータの駆動停止時から次回の始動時までの間に、ロータの位置決め処理を実行するようにしている。
ブラシレスモータに外部から荷重が加わると、ロータを変位させるようなトルクがブラシレスモータ内で発生し、ロータが変位してしまうことがある。そのため、位置決め処理の終了後にブラシレスモータに外部から荷重が加わったためにロータが変位した場合、モータ制御装置で把握しているロータ位置と、実際のロータ位置とが大きく乖離してしまう。ここでいう「モータ制御装置で把握しているロータ位置」とは、位置決め処理の終了時点におけるロータの推定位置のことである。その結果、ブラシレスモータの始動時における制御性の低下が懸念される。
上記課題を解決するためのモータ制御装置は、ロータと、複数相のコイルと、を有するブラシレスモータに適用される。
モータ制御装置の一態様は、前記ブラシレスモータの駆動停止時又は駆動停止中に前記ロータの位置決め処理を実行する位置決め処理部と、前記ブラシレスモータに外部から荷重が加わるか否かを判定する外乱判定部と、前記位置決め処理の実行後における前記ブラシレスモータの駆動停止中において、当該ブラシレスモータに外部から荷重が加わるとの判定がなされた場合、前記ブラシレスモータへの通電を制御することにより、前記ロータの変位を規制する力である保持力を発生させるロータロック処理を実行するロック処理部と、を備える。
モータ制御装置の一態様は、前記ブラシレスモータの駆動停止時又は駆動停止中に前記ロータの位置決め処理を実行する位置決め処理部と、前記ブラシレスモータに外部から荷重が加わるか否かを判定する外乱判定部と、前記位置決め処理の実行後における前記ブラシレスモータの駆動停止中において、当該ブラシレスモータに外部から荷重が加わるとの判定がなされた場合、前記ブラシレスモータへの通電を制御することにより、前記ロータの変位を規制する力である保持力を発生させるロータロック処理を実行するロック処理部と、を備える。
上記構成によれば、位置決め処理の終了後にブラシレスモータに外部から荷重が加わったときにロータロック処理が実行される。そのため、ブラシレスモータに外部から荷重が加わった際にロータの変位を抑制できる。その結果、ブラシレスモータの駆動停止中において、モータ制御装置で把握しているロータ位置と、実際のロータ位置との乖離が大きくなることを抑制できる。したがって、ブラシレスモータの始動時における制御性の低下を抑制できるようになる。
モータ制御装置の一態様は、前記ブラシレスモータの駆動停止時又は駆動停止中に前記ロータの位置決め処理を実行する位置決め処理部と、前記ブラシレスモータに外部から荷重が加わるか否かを判定する外乱判定部と、を備える。そして、前記位置決め処理部は、前記位置決め処理の実行後における前記ブラシレスモータの駆動停止中において、前記外乱判定部によって当該ブラシレスモータに外部から荷重が加わるとの判定がなされた場合、当該ブラシレスモータに外部から荷重が加わる状態が解消された時点から次回の始動時までの間に前記位置決め処理を再度実行する。
上記構成によれば、位置決め処理の実行後におけるブラシレスモータの駆動停止中にブラシレスモータに外部から荷重が加わった場合、次回の始動時までに位置決め処理が再度実行される。そのため、外部からブラシレスモータに荷重が加わったためにロータ位置が変わってしまったとしても、その後に位置決め処理を実行することにより、モータ制御装置ではロータ位置を把握し直すことができる。その結果、ブラシレスモータの始動時において、モータ制御装置で把握しているロータ位置と、実際のロータ位置との乖離が大きくなることを抑制できる。したがって、ブラシレスモータの始動時における制御性の低下を抑制できるようになる。
以下、モータ制御装置の一実施形態を図1〜図6に従って説明する。
図1には、本実施形態のモータ制御装置10と、モータ制御装置10によって制御されるブラシレスモータ100とが図示されている。ブラシレスモータ100は、車載のブレーキ装置におけるブレーキ液の吐出用の動力源として用いられる。ブラシレスモータ100は、永久磁石埋込型同期モータである。ブラシレスモータ100は、複数相のコイル101,102,103と、突極性を有するロータ105とを備えている。ロータ105としては、例えば、N極とS極とが一極ずつ着磁されている2極ロータを挙げることができる。なお、以降の記載では、コイル101をU相のコイルとし、コイル102をV相のコイルとし、コイル103をW相のコイルとして説明する。
図1には、本実施形態のモータ制御装置10と、モータ制御装置10によって制御されるブラシレスモータ100とが図示されている。ブラシレスモータ100は、車載のブレーキ装置におけるブレーキ液の吐出用の動力源として用いられる。ブラシレスモータ100は、永久磁石埋込型同期モータである。ブラシレスモータ100は、複数相のコイル101,102,103と、突極性を有するロータ105とを備えている。ロータ105としては、例えば、N極とS極とが一極ずつ着磁されている2極ロータを挙げることができる。なお、以降の記載では、コイル101をU相のコイルとし、コイル102をV相のコイルとし、コイル103をW相のコイルとして説明する。
モータ制御装置10には、車両に設けられている各種のセンサから検出信号が入力される。当該センサとしては、例えば、加速度センサ51、ヨーレートセンサ52、アクセル開度センサ53、ブレーキセンサ54及び操舵角センサ55を挙げることができる。加速度センサ51は、車両の前後加速度GX及び横加速度GYを車両の加速度として検出し、検出結果に応じた信号を検出信号として出力する。ヨーレートセンサ52は、車両のヨーレートYRを検出し、ヨーレートYRに応じた信号を検出信号として出力する。アクセル開度センサ53は、運転者のアクセル操作量ACに応じた信号を検出信号として出力する。ブレーキセンサ54は、運転者のブレーキ操作量BPに応じた信号を検出信号として出力する。操舵角センサ55は、運転者の操舵量STRに応じた信号を検出信号として出力する。
モータ制御装置10は、ベクトル制御によってブラシレスモータ100を駆動させる。モータ制御装置10は、指令電流算出部11、指令電圧算出部12、2相/3相変換部13、インバータ14、3相/2相変換部15、ロータ位置推定部16、第1加算器17及び第2加算器18を有している。
指令電流算出部11は、ブラシレスモータ100に対する要求トルクTR*を基に、d軸指令電流Id*及びq軸指令電流Iq*を算出する。d軸指令電流Id*は、ベクトル制御の回転座標におけるd軸の方向の電流成分の指令値である。q軸指令電流Iq*は、回転座標におけるq軸の方向の電流成分の指令値である。d軸及びq軸は、回転座標上で互いに直交している。
指令電圧算出部12は、d軸指令電流Id*と、d軸電流Idとに基づいたフィードバック制御によって、d軸指令電圧Vd*を算出する。d軸電流Idとは、ブラシレスモータ100の各コイル101〜103への給電によって回転座標上で発生した電流ベクトルのうちの推定d軸の方向の電流成分を示す値である。また、指令電圧算出部12は、q軸指令電流Iq*と、q軸電流Iqとに基づいたフィードバック制御によって、q軸指令電圧Vq*を算出する。q軸電流Iqとは、各コイル101〜103への給電によって回転座標上で発生した電流ベクトルのうちの推定q軸の方向の電流成分を示す値である。
推定d軸とは、ベクトル制御の回転座標上の制御軸のうち、d軸と推定されている軸のことである。推定q軸とは、回転座標上の制御軸のうちのq軸と推定されている軸のことである。また、回転座標上での実際のd軸のことを「実d軸」といい、回転座標上での実際のq軸のことを「実q軸」という。
2相/3相変換部13は、ロータ105の位置であるロータ回転角θを基に、d軸指令電圧Vd*及びq軸指令電圧Vq*を、U相指令電圧VU*と、V相指令電圧VV*と、W相指令電圧VW*とに変換する。U相指令電圧VU*は、U相のコイル101に印加する電圧の指令値である。V相指令電圧VV*は、V相のコイル102に印加する電圧の指令値である。W相指令電圧VW*は、W相のコイル103に印加する電圧の指令値である。
なお、第1加算器17は、指令電圧算出部12によって算出されたd軸指令電圧Vd*に対してロータ位置推定部16から出力された電圧を加算し、加算後のd軸指令電圧Vd*を2相/3相変換部13に出力する。第2加算器18は、指令電圧算出部12によって算出されたq軸指令電圧Vq*に対してロータ位置推定部16から出力された電圧を加算し、加算後のq軸指令電圧Vq*を2相/3相変換部13に出力する。
インバータ14は、複数のスイッチング素子を有している。インバータ14は、2相/3相変換部13から入力されたU相指令電圧VU*と、スイッチング素子のオン/オフ動作とによってU相信号を生成する。また、インバータ14は、入力されたV相指令電圧VV*と、スイッチング素子のオン/オフ動作とによってV相信号を生成する。また、インバータ14は、入力されたW相指令電圧VW*と、スイッチング素子のオン/オフ動作とによってW相信号を生成する。すると、U相信号がブラシレスモータ100のU相のコイル101に入力され、V相信号がV相のコイル102に入力され、W相信号がW相のコイル103に入力される。
3相/2相変換部15には、ブラシレスモータ100のU相のコイル101に流れた電流であるU相電流IUが入力され、V相のコイル102に流れた電流であるV相電流IVが入力され、W相のコイル103に流れた電流であるW相電流IWが入力される。そして、3相/2相変換部15は、ロータ回転角θを基に、U相電流IU、V相電流IV及びW相電流IWを、d軸の方向の電流成分であるd軸電流Id及びq軸の方向の電流成分であるq軸電流Iqに変換する。
ロータ位置推定部16は、ロータ回転角θを推定する。本実施形態では、ロータ回転角θは、U相のコイル101の位置を基準とする回転角である。ロータ位置推定部16は、機能部として、位置決め処理部161、外乱判定部162、外乱トルク推定部163、ロック処理部164及び回転角導出部165を有している。
位置決め処理部161は、ブラシレスモータ100の駆動停止時又は駆動停止中に、ロータ105の位置決め処理を実行する。ブラシレスモータ100に対する要求トルクTR*として「0」が設定されている場合、位置決め処理部161は、ブラシレスモータ100の駆動が停止していると判断する。位置決め処理とは、ブラシレスモータ100の駆動停止中におけるロータ回転角θを把握するための処理である。位置決め処理の開始条件、及び、位置決め処理の具体的な内容については後述する。
外乱判定部162は、ブラシレスモータ100の駆動停止中において位置決め処理部161によって位置決め処理が実行中ではないときに、ブラシレスモータ100に外部から荷重が加わるか否かを判定する外乱判定処理を実行する。外乱判定処理の内容については後述する。
外乱トルク推定部163は、外乱判定部162によってブラシレスモータ100に外部から荷重が加わるとの判定がなされているときに、外乱トルクTQDを推定演算する。外乱トルクTQDとは、ブラシレスモータ100に外部から荷重が加わることによって発生するトルクであって、ロータ105を変位させるトルク、すなわちロータ105を回転させるトルクのことである。外乱トルクTQDの推定処理については後述する。
ロック処理部164は、ブラシレスモータ100への通電を制御することにより、ロータ105の変位、すなわちロータ105の回転を規制する力である保持力を発生させるロータロック処理を実行する。つまり、保持力は、ロータ回転角θを保持するための力である。ロータロック処理の開始条件及び終了条件と、ロータロック処理の具体的な内容については後述する。
回転角導出部165は、q軸電流Iqの変化を基に、ブラシレスモータ100の駆動中におけるロータ回転角θを導出する。
次に、外乱判定処理について説明する。
次に、外乱判定処理について説明する。
ブラシレスモータ100は車両に搭載されているため、ブラシレスモータ100には車両走行に伴う様々な外乱が加わる。例えば、運転者によるアクセル操作によって車両が加速したり、運転者によるブレーキ操作によって車両が減速したりする場合、車両の前後加速度GXに応じた荷重が外乱としてブラシレスモータ100に加わる。そして、車両の前後加速度GXの絶対値がある値以上であるときには、ロータ105を回転させるのに十分な大きさの外乱トルクがブラシレスモータ100内で発生し、ロータ回転角θが変わってしまうおそれがある。
また、例えば運転者のステアリング操作によって車両が旋回する場合、車両のヨーレートYRや横加速度GYに応じた荷重が外乱としてブラシレスモータ100に加わる。ヨーレートYRや横加速度GYがある値以上であるときには、ロータ105を回転させるのに十分な大きさの外乱トルクがブラシレスモータ100内で発生し、ロータ回転角θが変わってしまうおそれがある。
そこで、外乱判定部162は、外乱判定処理では、以下に示す3つの条件(条件1−1)、(条件1−2)及び(条件1−3)のうちの少なくとも1つが成立しているときに、ブラシレスモータ100に外部から荷重が加わるとの判定をなす。一方、外乱判定部162は、外乱判定処理では、3つの条件(条件1−1)、(条件1−2)及び(条件1−3)が何れも成立していないときには、ブラシレスモータ100に外部から荷重が加わるとの判定をなさない。すなわち、判定前後加速度GXThは、ロータ回転角θを変化させるような前後加速度GXが車両に発生しているか否かの判断基準である。判定横加速度GYThは、ロータ回転角θを変化させるような横加速度GYが車両に発生しているか否かの判断基準である。判定ヨーレートYRThは、ロータ回転角θを変化させるようなヨーレートYRが車両に発生しているか否かの判断基準である。
(条件1−1)前後加速度GXの絶対値が判定前後加速度GXTh以上であること。
(条件1−2)横加速度GYの絶対値が判定横加速度GYTh以上であること。
(条件1−3)ヨーレートYRの絶対値が判定ヨーレートYRTh以上であること。
(条件1−1)前後加速度GXの絶対値が判定前後加速度GXTh以上であること。
(条件1−2)横加速度GYの絶対値が判定横加速度GYTh以上であること。
(条件1−3)ヨーレートYRの絶対値が判定ヨーレートYRTh以上であること。
次に、外乱トルクTQDの推定処理について説明する。
外乱トルクは、ブラシレスモータ100に外部から加わる荷重が大きいほど大きくなる。また、アクセル操作又はブレーキ操作が行われている場合は、前後加速度GXの絶対値が大きいほど、ブラシレスモータ100に外部から加わる荷重が大きいと推測される。ステアリング操作が行われている場合は、横加速度GYの絶対値及びヨーレートYRの絶対値が大きいほど、ブラシレスモータ100に外部から加わる荷重が大きいと推測される。
外乱トルクは、ブラシレスモータ100に外部から加わる荷重が大きいほど大きくなる。また、アクセル操作又はブレーキ操作が行われている場合は、前後加速度GXの絶対値が大きいほど、ブラシレスモータ100に外部から加わる荷重が大きいと推測される。ステアリング操作が行われている場合は、横加速度GYの絶対値及びヨーレートYRの絶対値が大きいほど、ブラシレスモータ100に外部から加わる荷重が大きいと推測される。
そこで、外乱トルク推定部163は、推定処理では、前後加速度GXの絶対値が判定前後加速度GXTh以上であるためにブラシレスモータ100に外部から荷重が加わるとの判定がなされているときには、前後加速度GXの絶対値が大きいほど値が大きくなるように外乱トルクTQDを導出する。また、外乱トルク推定部163は、推定処理では、横加速度GYの絶対値が判定横加速度GYTh以上であるためにブラシレスモータ100に外部から荷重が加わるとの判定がなされているときには、横加速度GYの絶対値が大きいほど値が大きくなるように外乱トルクTQDを導出する。また、外乱トルク推定部163は、推定処理では、ヨーレートYRの絶対値が判定ヨーレートYRTh以上であるためにブラシレスモータ100に外部から荷重が加わるとの判定がなされているときには、ヨーレートYRの絶対値が大きいほど値が大きくなるように外乱トルクTQDを導出する。
次に、図2を参照し、位置決め処理部161によって実行される処理ルーチンについて説明する。図2に示す処理ルーチンは、ブラシレスモータ100の駆動停止時から次回の始動時までの間では繰り返し実行される。
本処理ルーチンにおいて、はじめのステップS11では、位置決め処理の実行条件が成立しているか否かの判定が行われる。本実施形態では、以下に示す2つの条件(条件2−1)及び(条件2−2)のうちの少なくとも1つが成立している場合、実行条件が成立しているとの判定がなされる。一方、2つの条件(条件2−1)及び(条件2−2)が何れも成立していない場合、実行条件が成立しているとの判定がなされない。
(条件2−1)ブラシレスモータ100の駆動が停止した時点であること。
(条件2−2)ブラシレスモータ100の今回の駆動停止中に第2判定外乱トルクTQDTh2以上の外乱トルクTQDがブラシレスモータ100で発生したと推定されること。
(条件2−1)ブラシレスモータ100の駆動が停止した時点であること。
(条件2−2)ブラシレスモータ100の今回の駆動停止中に第2判定外乱トルクTQDTh2以上の外乱トルクTQDがブラシレスモータ100で発生したと推定されること。
第2判定外乱トルクTQDTh2とは、ロック処理部164がロック処理を実行してもロータ105の回転を規制できないと判断するための判定値である。すなわち、外乱トルク推定部163によって導出された外乱トルクTQDが第2判定外乱トルクTQDTh2以上であるときには、ロック処理の実行の有無に拘わらず、ブラシレスモータ100の駆動停止中にロータ回転角θが変わる可能性がある。
ステップS11において、実行条件が成立しているとの判定がなされていない場合(NO)、位置決め処理が実行されることなく、本処理ルーチンが一旦終了される。一方、実行条件が成立しているとの判定がなされている場合(S11:YES)、処理が次のステップS12に移行される。ステップS12において、位置決め完了フラグFLGにオフがセットされているか否かの判定が行われる。位置決め完了フラグFLGは、位置決め処理部161による位置決め処理の実行によってロータ回転角θが把握できているときにはオンがセットされるフラグである。そのため、位置決め処理が実行されると、位置決め完了フラグFLGにオンがセットされる。一方、ブラシレスモータ100の駆動が停止してもまだ位置決め処理が実行されていない場合、及び、位置決め処理の実行後であってもブラシレスモータ100に外部から荷重が加わったためにロータ回転角θが変化した可能性があるときには、位置決め完了フラグFLGにオフがセットされる。さらに、ブラシレスモータ100が駆動すると位置決め完了フラグFLGにオフがセットされる。
ステップS12において、位置決め完了フラグFLGにオンがセットされている場合(NO)、現時点での位置決め処理の実行が不要と判断できるため、本処理ルーチンが一旦終了される。一方、位置決め完了フラグFLGにオフがセットされている場合(S12:YES)、位置決め処理が実行される。
本実施形態で実行される位置決め処理は、修正処理と、磁極判別処理とを含んでいる。はじめにステップS13において、修正処理が実行される。修正処理とは、回転座標上で実d軸の方向に推定d軸の方向を接近させるための処理である。そして、修正処理が実行されると、処理が次のステップS14に移行される。ステップS14において、磁極判別処理が実行される。磁極判別処理とは、ロータ105のN極の向きを判別する処理である。磁極判別処理が実行されると、位置決め処理が終了される。なお、修正処理及び磁極判別処理の具体的な内容については後述する。そして、処理が次のステップS15に移行される。
ステップS15において、位置決め完了フラグFLGにオンがセットされる。そして、本処理ルーチンが一旦終了される。
図3を参照し、上記ステップS13の修正処理について説明する。
図3を参照し、上記ステップS13の修正処理について説明する。
修正処理では、高周波で電圧を振動させる外乱電圧信号Vdh*が第1加算器17に出力される。これにより、指令電圧算出部12によって算出されたd軸指令電圧Vd*に外乱電圧信号Vdh*が加算され、加算後のd軸指令電圧Vd*が2相/3相変換部13に入力される。すると、推定d軸上には、外乱電圧信号Vdh*に基づいた電圧ベクトルが発生する。その結果、回転座標には、推定d軸の方向に対して偏角した電流ベクトルが発生する。この電流ベクトルのうちの推定q軸の方向の電流成分のことを、「推定q軸高周波電流Iqh」という。
修正処理では、推定q軸高周波電流Iqhが正の値である場合、推定d軸の向きを進角させる方向である図3における第1方向C1に推定d軸の向きが修正される。一方、修正処理では、推定q軸高周波電流Iqhが負の値である場合、推定d軸を遅角させる方向である図3における第2方向C2に推定d軸の向きが修正される。そして、推定q軸高周波電流Iqhの絶対値が所定の閾値以下になると、修正処理が終了される。修正処理が終了されると、第1加算器17への外乱電圧信号Vdh*の入力が終了される。なお、修正処理の終了時点では、実d軸の向きと推定d軸の向きとの位相差Δθがほぼ「0°」又はほぼ「180°」となる。
次に、上記ステップS14の磁極判別処理について説明する。磁極判別処理としては、例えば「特開2014−11822号公報」に開示されている処理を挙げることができる。
磁極判別処理では、第1判別用電圧VdTh1が第1加算器17に出力される。第1判別用電圧VdTh1は、正の電圧である。これにより、指令電圧算出部12によって算出されたd軸指令電圧Vd*に第1判別用電圧VdTh1が加算され、加算後のd軸指令電圧Vd*が2相/3相変換部13に入力される。磁極判別処理では、このときのd軸電流Idが取得される。そして、磁極判別処理では、d軸電流Idの絶対値が規定電流であるときにおける推定d軸方向のインダクタンスが第1インダクタンスIND1として算出される。
続いて、磁極判別処理では、第2判別用電圧VdTh2が第1加算器17に出力される。第2判別用電圧VdTh2は、負の電圧であり、第1判別用電圧VdTh1と「−1」との積と等しい。すると、指令電圧算出部12によって算出されたd軸指令電圧Vd*に第2判別用電圧VdTh2が加算され、加算後のd軸指令電圧Vd*が2相/3相変換部13に入力される。磁極判別処理では、このときのd軸電流Idが取得される。そして、磁極判別処理では、d軸電流Idの絶対値が規定電流であるときにおける推定d軸方向のインダクタンスが第2インダクタンスIND2として算出される。
そして、磁極判別処理では、第1インダクタンスIND1と、第2インダクタンスIND2との比較結果を基に、ロータ105の磁極の向きが特定される。このように修正処理の実行後に磁極判別処理を実行することにより、ロータ回転角θが導出される。
次に、図4を参照し、ロック処理部164が実行する処理ルーチンについて説明する。本処理ルーチンは、ブラシレスモータ100に外部から荷重が加わるとの判定がされている場合において位置決め処理が実行されていないときに繰り返し実行される。
本処理ルーチンにおいて、はじめのステップS21では、位置決め完了フラグFLGにオンがセットされているか否かの判定が行われる。位置決め完了フラグFLGにオフがセットされている場合(S21:NO)、本処理ルーチンが一旦終了される。一方、位置決め完了フラグFLGにオンがセットされている場合(S21:YES)、処理が次のステップS22に移行される。ステップS22において、外乱トルク推定部163によって導出された外乱トルクTQDが第1判定外乱トルクTQDTh1以上であるか否かの判定が行われる。ブラシレスモータ100に外部から荷重が加わったとしても、このときにブラシレスモータ100で発生する外乱トルクが小さい場合にはロータ105が回転しない。そこで、ブラシレスモータ100に外部から加わった荷重の大きさが、ロータロック処理を実行しなくてもロータ回転角θを保持できる程度の大きさであるか否かの判断基準として、第1判定外乱トルクTQDTh1が設定されている。第1判定外乱トルクTQDTh1は、ロータ105のイナーシャによって決まる値であり、上記の第2判定外乱トルクTQDTh2よりも小さい。
ステップS22において、外乱トルクTQDが第1判定外乱トルクTQDTh1未満である場合(NO)、本処理ルーチンが一旦終了される。すなわち、ロータロック処理が実行されない。一方、外乱トルクTQDが第1判定外乱トルクTQDTh1以上である場合(S22:YES)、処理が次のステップS23に移行される。ステップS23において、外乱トルクTQDが第2判定外乱トルクTQDTh2未満であるか否かの判定が行われる。外乱トルクTQDが第2判定外乱トルクTQDTh2以上である場合、ロック処理を実行してもロータ回転角θが変わってしまう可能性がある。そこで、ステップS23において、外乱トルクTQDが第2判定外乱トルクTQDTh2未満である場合(YES)、処理が次のステップS24に移行される。一方、外乱トルクTQDが第2判定外乱トルクTQDTh2以上である場合(S23:NO)、処理が後述するステップS28に移行される。すなわち、ロータロック処理が実行されない。よって、本実施形態では、第2判定外乱トルクTQDTh2が、「第3判定外乱トルク」に相当する。
ステップS24において、準備処理が実行される。準備処理では、ロータロック処理時にブラシレスモータ100内で発生させる保持力の目標である目標保持力として、外乱トルク推定部163によって導出された外乱トルクTQDの最新値が大きいほど大きい値が設定される。外乱トルクTQDは、ブラシレスモータ100に外部から加わる荷重の大きさと相関する。そのため、当該荷重が大きいほど大きい値が目標保持力として導出されるということができる。また、準備処理では、設定した目標保持力とロータ回転角θとを基に、保持用d軸電圧VdA及び保持用q軸電圧VqAが導出される。準備処理が実行されると、処理が次のステップS25に移行される。
ステップS25において、ロータロック処理が実行される。すなわち、本実施形態では、ブラシレスモータ100に外部から荷重が加わる場合において、外乱トルクTQDが第1判定外乱トルクTQDTh1以上であって且つ第2判定外乱トルクTQDTh2未満であることが、ロータロック処理の開始条件である。ロータロック処理では、準備処理で導出した保持用d軸電圧VdAが第1加算器17に出力され、準備処理で導出した保持用q軸電圧VqAが第2加算器18に出力される。これにより、指令電圧算出部12によって算出されたd軸指令電圧Vd*に保持用d軸電圧VdAが加算され、加算後のd軸指令電圧Vd*が2相/3相変換部13に入力される。また、指令電圧算出部12によって算出されたq軸指令電圧Vq*に保持用q軸電圧VqAが加算され、加算後のq軸指令電圧Vq*が2相/3相変換部13に入力される。すると、ブラシレスモータ100内では、上記目標保持力に応じた保持力が発生する。すなわち、ロータロック処理では、ブラシレスモータ100に外部から加わる荷重が大きいほど保持力が大きくなる。
ここで、図5を参照し、ロータロック処理中におけるブラシレスモータ100の動作について説明する。図5には、ロータ105の回転中心を中心とする周方向において、ロータ105のS極がU相のコイル101とV相のコイル102との間に位置する例が図示されている。この場合、ロータロック処理の実行によって、U相のコイル101とV相のコイル102との双方がN極となるように、ブラシレスモータ100への通電が制御される。これにより、ロータ105の回転が規制される。すなわち、周方向においてロータ105のS極を挟むような位置に配置される2つのコイルの双方をN極とすることにより、ロータ回転角θの保持が図られる。
図4に戻り、ロータロック処理が実行されると、処理が次のステップS26に移行される。ステップS26において、ロータロック処理の実行中に外乱トルク推定部163によって導出された外乱トルクTQDが第2判定外乱トルクTQDTh2未満であるか否かの判定が行われる。外乱トルクTQDが第2判定外乱トルクTQDTh2未満である場合(S26:YES)、処理が次のステップS27に移行される。ステップS27において、ブラシレスモータ100に外部から荷重が加わる状態が解消されたか否かの判定が行われる。外乱判定部162によってブラシレスモータ100に外部から荷重が加わるとの判定がなされている状態から当該判定がなされていない状態になった場合、ブラシレスモータ100に外部から荷重が加わる状態が解消されたとの判定がなされる。そして、ブラシレスモータ100に外部から荷重が加わる状態が解消されたとの判定がなされていない場合(S27:NO)、処理が前述したステップS25に移行される。すなわち、ロータロック処理の実行が継続される。一方、ステップS27において、ブラシレスモータ100に外部から荷重が加わる状態が解消されたとの判定がなされている場合(YES)、本処理ルーチンが一旦終了される。すなわち、ブラシレスモータ100に外部から荷重が加わる状態が解消されたとの判定がなされると、ロータロック処理の終了条件が成立したと判断され、ロータロック処理が終了される。
その一方で、ステップS26において、ロータロック処理の実行中に導出された外乱トルクTQDが第2判定外乱トルクTQDTh2以上である場合(NO)、ロータロック処理が終了され、処理が後述するステップS28に移行される。すなわち、外乱トルクTQDが第2判定外乱トルクTQDTh2以上になると、ロータロック処理の終了条件が成立したと判断され、ロータロック処理が終了される。
ステップS28において、上記ステップS27と同様に、ブラシレスモータ100に外部から荷重が加わる状態が解消されたか否かの判定が行われる。ブラシレスモータ100に外部から荷重が加わる状態が解消されたとの判定がなされていない場合(S28:NO)、ステップS28の判定が繰り返される。一方、ステップS28において、ブラシレスモータ100に外部から荷重が加わる状態が解消されたとの判定がなされている場合(YES)、処理が次のステップS29に移行される。ステップS29において、位置決め完了フラグFLGにオフがセットされる。その後、本処理ルーチンが一旦終了される。
次に、図6を参照し、本実施形態の作用及び効果について説明する。
図6(a),(b),(c),(d)に示すように、ブラシレスモータ100に対する要求トルクTR*の減少によってロータ105の回転速度であるモータ回転数VMtが低下する。すると、タイミングt11で要求トルクTR*が「0」となるため、モータ回転数VMtもまた「0」となる。そのため、タイミングt11でブラシレスモータ100の駆動が停止したとの判定がなされ、位置合わせ処理が実行される。これにより、モータ制御装置10のロータ位置推定部16は、ブラシレスモータ100の駆動停止中におけるロータ回転角θを把握することができる。
図6(a),(b),(c),(d)に示すように、ブラシレスモータ100に対する要求トルクTR*の減少によってロータ105の回転速度であるモータ回転数VMtが低下する。すると、タイミングt11で要求トルクTR*が「0」となるため、モータ回転数VMtもまた「0」となる。そのため、タイミングt11でブラシレスモータ100の駆動が停止したとの判定がなされ、位置合わせ処理が実行される。これにより、モータ制御装置10のロータ位置推定部16は、ブラシレスモータ100の駆動停止中におけるロータ回転角θを把握することができる。
駆動停止中のタイミングt12からタイミングt13までの期間に、ブラシレスモータ100に外部から荷重が加わる。図6に示す例では、当該期間中に外乱トルクTQDが第1判定外乱トルクTQDTh1以上にならない。すなわち、当該期間では、ロータロック処理を実行しなくてもロータ回転角θの保持が可能と判断できるため、ロータロック処理が実行されない。したがって、外乱トルクTQDが第1判定外乱トルクTQDTh1以上にならないようなときでもロータロック処理を実行する場合と比較し、ロータロック処理の実行機会の増大を抑制できる。その結果、ブラシレスモータ100の消費電力の増大を抑制することができる。
その後においては、タイミングt14からブラシレスモータ100に外部から荷重が加わるようになる。この場合、タイミングt15からタイミングt16までの期間では、外乱トルクTQDが第1判定外乱トルクTQDTh1以上であって且つ第2判定外乱トルクTQDTh2未満となる。そのため、当該期間ではロータロック処理が実行される。すると、ブラシレスモータ100内では保持力が発生するため、ロータ105の回転が規制される。すなわち、ロータ回転角θを保持することができる。したがって、ロータ105を回転させうるような荷重がブラシレスモータ100に対して外部から加わったとしても、ロータ回転角θの変化を抑制することができる。
外部から荷重がブラシレスモータ100に加わる状態はタイミングt17で解消される。この場合、ロータロック処理の実行によってロータ回転角θを保持できているため、タイミングt17から位置決め処理は実行されない。
なお、本実施形態で実行されるロータロック処理では、外乱トルクTQDが大きいほど大きな保持力が発生するようにブラシレスモータ100の通電が制御される。そのため、第2判定外乱トルクTQDTh2以上にならない範囲で外乱トルクTQDが大きくなる場合であっても、ロータロック処理の実行によってロータ回転角θの変化を抑制できる。
図6に示す例では、タイミングt18からブラシレスモータ100に外部から荷重が加わるようになる。この場合、外乱トルクTQDが徐々に大きくなり、タイミングt19以降では外乱トルクTQDが第1判定外乱トルクTQDTh1以上になる。そのため、タイミングt19からロータロック処理が開始される。
しかし、タイミングt110以降からは外乱トルクTQDが第2判定外乱トルクTQDTh2以上になる。このように外乱トルクTQDが第2判定外乱トルクTQDTh2以上になる場合、ロータロック処理を実行してもロータ105が回転してしまう可能性がある。そのため、ロータロック処理はタイミングt110で終了される。これにより、ロータロック処理を実行してもロータ回転角θを保持できないような状況下でもロータロック処理を実行する場合と比較し、ロータロック処理の実行機会を減少させたり、実行時間の長期化を抑制したりすることができる。その結果、ブラシレスモータ100の消費電力の増大を抑制できる。
外部から荷重がブラシレスモータ100に加わる状態はタイミングt111で解消される。ブラシレスモータ100に外部から荷重が加わっていた期間中にロータ回転角θが変わった可能性がある。そこで、タイミングt111から位置合わせ処理が再度実行される。これにより、モータ制御装置10のロータ位置推定部16は、ブラシレスモータ100の駆動停止中におけるロータ回転角θを把握し直すことができる。そして、その後のタイミングt112からブラシレスモータ100が駆動するようになる。
本実施形態では、位置決め処理の実行後におけるブラシレスモータ100の駆動停止中にブラシレスモータ100に外部から荷重が加わってロータ回転角θが変わったとしても、次回の始動時までに位置決め処理が再度実行される。すなわち、外部からブラシレスモータ100に荷重が加わったためにロータ回転角θが変わってしまったとしても、その後に位置決め処理を実行することにより、モータ制御装置10ではロータ回転角θを把握し直すことができる。その結果、ブラシレスモータ100の始動時において、モータ制御装置10で把握しているロータ回転角θと、実際のロータ回転角との乖離が大きくなることを抑制できる。このように当該乖離が小さい状態でブラシレスモータ100を始動させることとなるため、ブラシレスモータ100の始動時における制御性の低下を抑制できる。
上記実施形態は、以下のように変更して実施することができる。上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・ブラシレスモータ100に外部から荷重が加わって外乱トルクTQDが第2判定外乱トルクTQDTh2以上になる場合でも、ロータロック処理を実行してもよい。
・ブラシレスモータ100に外部から荷重が加わって外乱トルクTQDが第2判定外乱トルクTQDTh2以上になる場合でも、ロータロック処理を実行してもよい。
・第2判定外乱トルクTQDTh2よりも大きい外乱トルクを、第3判定外乱トルクとして設定してもよい。この場合、ブラシレスモータ100に外部から荷重が加わっているときには、外乱トルクTQDが第2判定外乱トルクTQDTh2以上であっても外乱トルクTQDが第3判定外乱トルク未満であるときには、ロータロック処理が実行される。しかし、外乱トルクTQDが第3判定外乱トルク以上になると、ロータロック処理が終了されることになる。
・ロータロック処理の実行によってブラシレスモータ100で発生させる保持力を、ロータロック処理の開始時点の外乱トルクTQDの大きさによらず、予め設定された大きさで固定してもよい。
・ロータロック処理の実行中に外乱トルクTQDが変わる場合には、外乱トルクTQDの変化に応じてブラシレスモータ100で発生させる保持力を変化させてもよい。この場合、1回のロータロック処理の実行中に保持力が変わることがある。
・ブラシレスモータ100に外部から荷重が加わる場合では、外乱トルクTQDが第1判定外乱トルクTQDTh1以上にならなくてもロータロック処理を実行してもよい。
・ブラシレスモータ100に外部から荷重が加わって第1判定外乱トルクTQDTh1以上となるような外乱トルクTQDが発生する場合でも、ロータロック処理を実行しなくてもよい。この場合、ブラシレスモータ100に外部から荷重が加わる期間中において外乱トルクTQDが第2判定外乱トルクTQDTh2以上にならなくても、当該期間の終了時点から次回のブラシレスモータ100の始動時までの間に、位置決め処理を実行することが好ましい。
・ブラシレスモータ100に外部から荷重が加わって第1判定外乱トルクTQDTh1以上となるような外乱トルクTQDが発生する場合でも、ロータロック処理を実行しなくてもよい。この場合、ブラシレスモータ100に外部から荷重が加わる期間中において外乱トルクTQDが第2判定外乱トルクTQDTh2以上にならなくても、当該期間の終了時点から次回のブラシレスモータ100の始動時までの間に、位置決め処理を実行することが好ましい。
・上記実施形態では、ブラシレスモータ100の駆動の停止時に位置決め処理を実行しているが、駆動の停止時に位置決め処理を実行しなくてもよい。この場合、ブラシレスモータ100の駆動停止中に位置決め処理を実行すればよい。例えば、ブラシレスモータ100の駆動の停止時点から所定時間が経過してから位置決め処理を実行してもよい。
・上記実施形態では、ブラシレスモータ100に外部から荷重が加わる状態が解消された時点で位置決め処理を実行しているが、解消時点で位置決め処理を実行しなくてもよい。この場合、解消時点からブラシレスモータ100の次回の始動時までの間に、位置決め処理を実行すればよい。例えば、解消時点から所定時間が経過してから位置決め処理を実行してもよい。
・位置決め処理として、ブラシレスモータ100の駆動停止中におけるロータ回転角θを取得することができるのであれば、上記実施形態で説明した処理とは異なる処理を実行するようにしてもよい。例えば、「特開2012−196063号公報」に開示されているような処理を位置決め処理として実行してもよい。
・ブラシレスモータ100の駆動が停止している期間中においては、外乱トルクTQDを常時導出するようにしてもよい。そして、外乱判定部162は、導出された外乱トルクTQDが閾値以上であるときにはブラシレスモータ100に外部から荷重が加わるとの判定をなし、外乱トルクTQDが閾値未満であるときにはブラシレスモータ100に外部から荷重が加わるとの判定をなさないようにしてもよい。この場合、閾値は、第1判定外乱トルクTQDTh1と等しくてもよいし、第1判定外乱トルクTQDTh1よりも小さくてもよい。
・前後加速度GXの絶対値は、アクセル操作又はブレーキ操作が運転者によって行われたときに大きくなる。そこで、外乱判定処理では、アクセル開度センサ53の検出信号に基づいたアクセル操作量ACが判定アクセル操作量ACTh以上であるときに、ブラシレスモータ100に外部から荷重が加わるとの判定をなすようにしてもよい。外乱判定処理では、ブレーキセンサ54の検出信号に基づいたブレーキ操作量BPが判定ブレーキ操作量BPTh以上であるときに、ブラシレスモータ100に外部から荷重が加わるとの判定をなすようにしてもよい。
・ヨーレートYRの絶対値及び横加速度GYの絶対値は、ステアリング操作が運転者によって行われたときに大きくなる。そこで、外乱判定処理では、操舵角センサ55の検出信号に基づいた操舵量STRの絶対値が判定操舵量STRTh以上であるときに、ブラシレスモータ100に外部から荷重が加わるとの判定をなすようにしてもよい。
・モータ制御装置10は、コンピュータプログラムに従って動作する1つ以上のプロセッサ、各種処理のうち少なくとも一部の処理を実行する専用のハードウェアなどの1つ以上の専用のハードウェア回路又はこれらの組み合わせを含む回路として構成し得る。専用のハードウェアとしては、例えば、特定用途向け集積回路であるASICを挙げることができる。プロセッサは、CPU並びに、RAM及びROMなどのメモリを含み、メモリは、処理をCPUに実行させるように構成されたプログラムコード又は指令を格納している。メモリ、すなわち記憶媒体は、汎用または専用のコンピュータでアクセスできるあらゆる利用可能な媒体を含む。
・ブラシレスモータ100に適用されるロータ105は、2極ロータに限定されず、2極以上の多極のロータであってもよい。
・モータ制御装置10が適用されるブラシレスモータは、車載のブレーキ装置とは別のアクチュエータの動力源であってもよい。
・モータ制御装置10が適用されるブラシレスモータは、車載のブレーキ装置とは別のアクチュエータの動力源であってもよい。
10…モータ制御装置、161…位置決め処理部、162…外乱判定部、164…ロック処理部、100…ブラシレスモータ、101〜103…コイル、105…ロータ。
Claims (6)
- ロータと、複数相のコイルと、を有するブラシレスモータに適用され、
前記ブラシレスモータの駆動停止時又は駆動停止中に前記ロータの位置決め処理を実行する位置決め処理部と、
前記ブラシレスモータに外部から荷重が加わるか否かを判定する外乱判定部と、
前記位置決め処理の実行後における前記ブラシレスモータの駆動停止中において、当該ブラシレスモータに外部から荷重が加わるとの判定がなされた場合、前記ブラシレスモータへの通電を制御することにより、前記ロータの変位を規制する力である保持力を発生させるロータロック処理を実行するロック処理部と、を備える
モータ制御装置。 - 前記ブラシレスモータに外部から荷重が加わることによって発生するトルクであって、前記ロータを変位させるトルクのことを、外乱トルクとした場合、
前記ロック処理部は、前記ブラシレスモータに外部から荷重が加わるとの判定がなされた場合、前記外乱トルクが第1判定外乱トルク以上であると推定されるときに前記ロータロック処理を開始する
請求項1に記載のモータ制御装置。 - 前記位置決め処理部は、前記ブラシレスモータに外部から荷重が加わるとの判定がなされた場合であっても前記外乱トルクが前記第1判定外乱トルクよりも大きい第2判定外乱トルク以上であると推定されるときには、前記ブラシレスモータに外部から荷重が加わる状態が解消された時点から次回の始動時までの間に前記位置決め処理を再度実行する
請求項2に記載のモータ制御装置。 - ロータと、複数相のコイルと、を有するブラシレスモータに適用され、
前記ブラシレスモータの駆動停止時又は駆動停止中に前記ロータの位置決め処理を実行する位置決め処理部と、
前記ブラシレスモータに外部から荷重が加わるか否かを判定する外乱判定部と、を備え、
前記位置決め処理部は、前記位置決め処理の実行後における前記ブラシレスモータの駆動停止中において、前記外乱判定部によって当該ブラシレスモータに外部から荷重が加わるとの判定がなされた場合、当該ブラシレスモータに外部から荷重が加わる状態が解消された時点から次回の始動時までの間に前記位置決め処理を再度実行する
モータ制御装置。 - 前記ブラシレスモータに外部から荷重が加わることによって発生するトルクであって、前記ロータを変位させるトルクのことを、外乱トルクとした場合、
前記ブラシレスモータへの通電を制御することにより、前記ロータの変位を規制する力である保持力を発生させるロータロック処理を実行するロック処理部を備え、
前記ロック処理部は、前記ブラシレスモータの駆動停止中において、前記外乱判定部によってブラシレスモータに外部から荷重が加わるとの判定がなされた場合、前記ロータロック処理を開始し、前記外乱トルクが第3判定外乱トルク以上であると推定されるときには前記ロータロック処理を実行しない
請求項4に記載のモータ制御装置。 - 前記ロック処理部は、前記ロータロック処理では、外部から前記ブラシレスモータに加わる荷重が大きいほど前記保持力が大きくなるように前記ブラシレスモータへの通電を制御する
請求項1〜請求項3及び請求項5のうち何れか一項に記載のモータ制御装置。
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