JP2021001637A - 車輪用軸受装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】回転トルクの増加およびシールリップの磨耗を抑制できる車輪用軸受装置を提供する。【解決手段】内周に外側軌道面2c、2dを有する外輪2と、外周に小径段部3aを有するハブ輪3および小径段部3aに圧入された内輪4からなり、外側軌道面2c、2dに対向する内側軌道面3c、4aを有する内方部材と、外輪2と内方部材との両軌道面間に転動自在に収容されたボール列5、6と、外輪2と内方部材とによって形成された環状空間15の開口端を塞ぐインナー側シール部材10とを備える車輪用軸受装置1であって、インナー側シール部材10は、外輪2に設けられ、内輪4に設けられるスリンガ13の側板部13bに摺動可能に接触する第1サイドリップ123を有し、第1サイドリップ123の先端部には複数の環状突起123b、123cまたは複数の環状凹溝123d、123eが設けられ、前記環状突起または前記環状凹溝は周方向に連続して形成される。【選択図】図2

Description

本発明は車輪用軸受装置に関する。
従来、自動車等の懸架装置において車輪を回転自在に支持する車輪用軸受装置が知られている。車輪用軸受装置には、外方部材と内方部材とによって形成された環状空間の開口端を塞ぎ、泥水等の異物の入り込みを防止する密閉装置が設けられている。
例えば、特許文献1には、内方部材である内輪に取り付けられる第1のシール板と、外方部材である外輪に取り付けられる第2のシール板と、第2のシール板に一体化された弾性部材とを有する密封装置が開示されている。特許文献1に記載の密封装置においては、弾性部材は複数のシールリップを有しており、第1のシール板はシールリップが摺動可能に接触する摺動面を有している。
シールリップが摺動面に接触する構成の密封装置を備えた車輪用軸受装置においては、シールリップが摺動面に吸着することがある。シールリップの摺動面に対する吸着は、例えば複数のシールリップと摺動面とによって形成される空間の体積変化、または外方部材と内方部材とによって形成された環状空間の内圧の変化によって生じる。
特開2001−65704号公報
上述のように、車輪用軸受装置においてシールリップの摺動面に対する吸着が生じると、回転トルクの増加およびシールリップの磨耗といった問題が生じるおそれがある。
本発明は以上の如き状況に鑑みてなされたものであり、シールリップの摺動面に対する吸着が生じた場合であっても、回転トルクの増加およびシールリップの磨耗を抑制することができる車輪用軸受装置の提供を目的とする。
即ち、第一の発明は、内周に複列の外側軌道面を有する外方部材と、外周に軸方向に延びる小径段部を有するハブ輪、および前記ハブ輪の小径段部に圧入された少なくとも一つの内輪からなり、前記複列の外側軌道面に対向する複列の内側軌道面を有する内方部材と、前記外方部材と前記内方部材との両軌道面間に転動自在に収容された複列の転動体と、前記外方部材と前記内方部材とによって形成された環状空間の開口端を塞ぐ密封装置と、を備える車輪用軸受装置であって、前記密封装置は、前記外方部材と前記内方部材の一方に設けられ、前記外方部材と前記内方部材の他方に設けられる摺動面に摺動可能に接触するシールリップを有し、前記シールリップの先端部には複数の環状突起または複数の環状凹溝が設けられ、前記環状突起または前記環状凹溝は周方向に連続して形成されていることを特徴とする車輪用軸受装置である。
本発明によれば、車輪用軸受装置における回転トルクの増加、および密閉装置におけるシールリップの磨耗を抑制することが可能である。
車輪用軸受装置を示す側面断面図である。 インナー側シール部材を示す側面断面図である。 複数の環状突起が設けられたインナー側シール部材における第1サイドリップの先端部を示す側面断面図であり、(a)は先端部がスリンガの側板部に吸着していない状態の第1サイドリップであり、(b)は先端部がスリンガの側板部に吸着した状態の第1サイドリップである。 インナー側シール部材の一部を示す斜視図である。 複数の環状凹溝が設けられたインナー側シール部材における第1サイドリップの先端部を示す側面断面図であり、(a)は先端部がスリンガの側板部に吸着していない状態の第1サイドリップであり、(b)は先端部がスリンガの側板部に吸着した状態の第1サイドリップである。
以下に、本発明を実施するための形態を、添付の図面を用いて説明する。
[車輪用軸受装置]
図1、図2に示す車輪用軸受装置1は、本発明に係る車輪用軸受装置の一実施形態であり、自動車等の車両の懸架装置において車輪を回転自在に支持するものである。車輪用軸受装置1は、外方部材である外輪2と、内方部材であるハブ輪3および内輪4と、転動列である二列のインナー側ボール列5およびアウター側ボール列6と、インナー側シール部材10と、アウター側シール部材20とを具備する。
ここで、インナー側とは、車体に取り付けた際の車輪用軸受装置1の車体側を表し、アウター側とは、車体に取り付けた際の車輪用軸受装置1の車輪側を表す。また、軸方向とは、車輪用軸受装置1の回転軸に沿った方向を表す。
外輪2のインナー側端部には、インナー側シール部材10が嵌合可能なインナー側開口部2aが形成されている。外輪2のアウター側端部には、アウター側シール部材20が嵌合可能なアウター側開口部2bが形成されている。
インナー側シール部材10がインナー側開口部2aに嵌合されることにより、外輪2と内方部材とによって形成された環状空間15のインナー側の開口端が塞がれている。アウター側シール部材20がアウター側開口部2bに嵌合されることにより、環状空間15のアウター側の開口端が塞がれている。
インナー側シール部材10およびアウター側シール部材20は、外方部材である外輪2と内方部材とによって形成された環状空間15の開口端を塞ぐ密封装置である。このように、インナー側シール部材10およびアウター側シール部材20により環状空間15のインナー側およびアウター側の開口端を塞ぐことで、泥水等の異物の車輪用軸受装置1内部への浸入を抑制する密閉機能を発揮している。
外輪2の内周面には、インナー側の外側軌道面2cと、アウター側の外側軌道面2dとが形成されている。外輪2の外周面2oには、外輪2を車体側部材(ナックル)に取り付けるための車体取り付けフランジ2eが一体的に形成されている。車体取り付けフランジ2eには、車体側の部材と外輪2とを締結する締結部材が挿通されるボルト孔2fが設けられている。
ハブ輪3の外周面3oにおけるインナー側端部には、アウター側端部よりも縮径された小径段部3aが形成されている。ハブ輪3のアウター側端部には、車輪を取り付けるための車輪取り付けフランジ3bが一体的に形成されている。車輪取り付けフランジ3bには、ハブボルトが圧入されるボルト孔3fが設けられている。
ハブ輪3には、外輪2のアウター側の外側軌道面2dに対向するようにアウター側の内側軌道面3cが設けられている。また、ハブ輪3においては、車輪取り付けフランジ3bの基部側にアウター側シール部材20が摺接するリップ摺動面3dが形成されている。ハブ輪3の小径段部3aには、内輪4が設けられている。
ハブ輪3のインナー側において、内輪4の外周面に形成された内側軌道面4aは、外輪2のインナー側の外側軌道面2cに対向している。
転動列であるインナー側ボール列5とアウター側ボール列6とは、転動体である複数のボール7が保持器8によって保持されることにより構成されている。インナー側ボール列5は、内輪4の内側軌道面4aと、外輪2のインナー側の外側軌道面2cとの間に転動自在に挟まれている。アウター側ボール列6は、ハブ輪3の内側軌道面3cと、外輪2のアウター側の外側軌道面2dとの間に転動自在に挟まれている。
車輪用軸受装置1においては、外輪2と、ハブ輪3および内輪4と、インナー側ボール列5と、アウター側ボール列6とによって複列アンギュラ玉軸受が構成されている。なお、車輪用軸受装置1は、複列円錐ころ軸受によって構成されていてもよい。
[インナー側シール部材]
図2に示すように、インナー側シール部材10は、芯金11と、弾性部材12と、スリンガ13とを有している。芯金11は、例えば鋼板により構成されており、外輪2のインナー側開口部2aに内径嵌合される円筒状の嵌合部11aと、嵌合部11aのアウター側端部から内径側へ延びる円環状の側板部11bとを有している。
弾性部材12は、例えば合成ゴムによって構成されており、芯金11に加硫接着によって固着されている。弾性部材12は、芯金11に加硫接着される基部121と、基部121から延出し、それぞれ円環状に形成されるグリースリップ122、第1サイドリップ123、および第2サイドリップ124とを有している。グリースリップ122、第1サイドリップ123、および第2サイドリップ124は、弾性部材12が有するシールリップである。
グリースリップ122は、弾性部材12が有するシールリップの中で最も内径側に配置されており、基部121から内径側かつアウター側へ向けて延出している。第1サイドリップ123は、弾性部材12が有するシールリップの中で最も外径側に配置されており、基部121から外径側かつインナー側へ向けて延出している。第2サイドリップ124は、第1サイドリップ123よりも内径側、かつグリースリップ122よりも外径側に配置されており、基部121から外径側かつインナー側へ向けて延出している。
スリンガ13は、例えば鋼板により構成されており、内輪4のインナー側端部に外径嵌合される円筒状の嵌合部13aと、嵌合部13aのインナー側端部から外径側へ延びる円環状の側板部13bとを有している。スリンガ13の側板部13bと芯金11の側板部11bとは、軸方向において対向して配置されている。
弾性部材12のグリースリップ122は、スリンガ13の嵌合部13aと対向しており、グリースリップ122の先端部は、嵌合部13aと摺動可能に接触している。弾性部材12の第1サイドリップ123および第2サイドリップ124は、スリンガ13の側板部13bと対向しており、第1サイドリップ123の先端部および第2サイドリップ124の先端部は、側板部13bと摺動可能に接触している。
スリンガ13の嵌合部13aにおけるグリースリップ122の先端部が接触する面、およびスリンガ13の側板部13bにおける第1サイドリップ123の先端部および第2サイドリップ124の先端部が接触する面は、弾性部材12のシールリップが摺動可能に接触する摺動面である。
(環状突起)
図2、図3(a)に示すように、弾性部材12の第1サイドリップ123におけるインナー側面123aの先端部には、インナー側面123aからインナー側へ向けて突出する複数の環状突起123b、123cが形成されている。同様に、弾性部材12の第2サイドリップ124におけるインナー側面124aの先端部には、インナー側面124aからインナー側へ向けて突出する複数の環状突起124b、124cが形成されている(図2参照)。
環状突起123cは、環状突起123bよりも第1サイドリップ123の先端側に位置しており、第1サイドリップ123に形成される複数の環状突起123b、123cのうち最も径方向外側に配置される環状突起である。環状突起123cは、第1サイドリップ123の先端縁に配置されている。
環状突起124cは、環状突起124bよりも第2サイドリップ124の先端側に位置しており、第2サイドリップ124に形成される複数の環状突起124b、124cのうち最も径方向外側に配置される環状突起である。環状突起124cは、第2サイドリップ124の先端縁に配置されている。
図4に示すように、環状突起123b、123cは、インナー側面123aにおける周方向の全周にわたって連続的に形成されており、円環状に形成されている。同様に、環状突起124b、124cは、インナー側面124aにおける周方向の全周にわたって連続的に形成されており、円環状に形成されている。なお、図4においては、第1サイドリップ123に形成される環状突起123b、123cのみを記載し、第2サイドリップ124に形成される環状突起124b、124cの記載は省略している。
ここで、図3(b)に示すように、インナー側シール部材10においては、第1サイドリップ123におけるインナー側面123aの先端部が、スリンガ13の側板部13bに吸着することがある。同様に、第2サイドリップ124におけるインナー側面124aの先端部が、スリンガ13の側板部13bに吸着することがある。
第1サイドリップ123の先端部および第2サイドリップ124の先端部の側板部13bに対する吸着は、次のようなことを原因として発生する。例えばインナー側シール部材10がインナー側開口部2aへ組み付けられる際に、芯金11の側板部11bとスリンガ13の側板部13bとの間隔が広がって、第1サイドリップ123と第2サイドリップ124と側板部13bとで囲まれた空間、および第2サイドリップ124とグリースリップ122と嵌合部13aと側板部13bとで囲まれた空間の体積が増大し、当該空間内が負圧になることにより発生することがある。また、車輪用軸受装置1の環状空間15における内圧が高い状態から低い状態へ下降した際に発生することがある。
このように、第1サイドリップ123の先端部の側板部13bに対する吸着が発生した場合、第1サイドリップ123の先端部には、複数の環状突起123b、123cが形成されているため、第1サイドリップ123の先端部が全体的に側板部13bに接触するのではなく、側板部13bには環状突起123b、123cが接触することとなる。同様に、第2サイドリップ124の先端部の側板部13bに対する吸着が発生した場合、側板部13bには環状突起124b、124cが接触することとなる。
従って、第1サイドリップ123および第2サイドリップ124が側板部13bに吸着した際の第1サイドリップ123および第2サイドリップ124と側板部13bとの接触面積が、第1サイドリップ123および第2サイドリップ124の先端部が全体的に側板部13bに接触した場合に比べて小さくなる。これにより、車輪用軸受装置1における回転トルクの増加、ならびに第1サイドリップ123および第2サイドリップ124の磨耗を抑制することが可能となっている。
車輪用軸受装置1においては、第1サイドリップ123および第2サイドリップ124の先端縁がスリンガ13の側板部13bに接触することで高い密閉機能を発揮している。また、インナー側シール部材10においては、先端側の環状突起123c、124cは第1サイドリップ123および第2サイドリップ124の先端縁に形成されている。
従って、第1サイドリップ123および第2サイドリップ124の側板部13bに対する吸着が発生した場合においても、第1サイドリップ123および第2サイドリップ124の先端縁がスリンガ13の側板部13bに接触した状態を保持することができ、インナー側シール部材10における密閉機能を維持することが可能となっている。
また、第1サイドリップ123および第2サイドリップ124の側板部13bに対する吸着が生じる場合、第1サイドリップ123および第2サイドリップ124の先端縁から寸法Dの範囲が側板部13bに吸着する(図3(b)参照)。従って、側板部13bに吸着する第1サイドリップ123および第2サイドリップ124の先端縁から寸法Dの範囲に、環状突起123b、123cおよび環状突起124b、124cを配置することが好ましい。寸法Dは、例えば1.0mmに設定される。
また、環状突起123b、123cおよび環状突起124b、124cのような摺動面に接触する突起部を密閉装置のシールリップに設ける場合、複数の突起部を周方向において互いに間隔を設けながら断続的に形成することも可能である。しかし、このように複数の突起部を間隔を空けて設けた場合、例えば一部の突起部に磨耗が生じると、当該突起部の周囲には隣接する突起部との隙間が元々存在しているため、車輪用軸受装置1内部への異物侵入経路が一気に拡大してしまうこととなる。
また、環状突起123b、123cおよび環状突起124b、124cのような摺動面に接触する環状突起を密閉装置のシールリップに設ける場合、周方向において螺旋状に延びる突起部を形成することもできる。しかし、突起部を螺旋状に形成した場合は、径方向において隣接する突起部と突起部との間に、車輪用軸受装置1の内部と外部とを連通する経路が形成されるため、当該経路を通じて泥水等の異物が車輪用軸受装置1の内部に浸入するおそれがある。
一方、インナー側シール部材10においては、環状突起123b、123cおよび環状突起124b、124cは、第1サイドリップ123および第2サイドリップ124の周方向に連続した環状に形成されており、車輪用軸受装置1の内部と外部とを連通する隙間がないため、インナー側シール部材10は密閉性に優れている。
(環状凹溝)
図5(a)に示す弾性部材12Aにおいては、第1サイドリップ123Aにおけるインナー側面123aの先端部に、第1サイドリップ123における環状突起123b、123cに代えて環状凹溝123d、123eが形成されている。同様に、弾性部材12Aにおいては、第2サイドリップ124Aにおけるインナー側面124aの先端部に、第1サイドリップ123における環状突起124b、124cに代えて環状凹溝124d、124eが形成されている。
環状凹溝123eは、環状凹溝123dよりも第1サイドリップ123Aの先端側に位置している。同様に、環状凹溝124eは、環状凹溝124dよりも第2サイドリップ124Aの先端側に位置している。
図5(a)に示す第1サイドリップ123Aにおいては、環状凹溝123d、123eは、インナー側面123aにおける周方向の全周にわたって連続的に形成されており、円環状に形成されている。同様に、第2サイドリップ124Aの環状凹溝124d、124eは、インナー側面124aにおける周方向の全周にわたって連続的に形成されており、円環状に形成されている。
このように、第1サイドリップ123Aに環状凹溝123d、123eを形成した場合、第1サイドリップ123Aの先端部の側板部13bに対する吸着が発生すると、第1サイドリップ123Aの先端部のうち環状凹溝123d、123eが形成された部分は側板部13bに当接しない。同様に、第2サイドリップ124Aの先端部の側板部13bに対する吸着が発生した場合、第2サイドリップ124Aの先端部のうち環状凹溝124d、124eが形成された部分は側板部13bに当接しない。
従って、第1サイドリップ123Aおよび第2サイドリップ124Aが側板部13bに吸着した際の第1サイドリップ123Aおよび第2サイドリップ124Aと側板部13bとの接触面積が、第1サイドリップ123Aおよび第2サイドリップ124Aの先端部が全体的に側板部13bに接触した場合に比べて小さくなる。
これにより、第1サイドリップ123Aおよび第2サイドリップ124Aに環状凹溝123d、123eおよび環状凹溝124d、124eを形成することによって、車輪用軸受装置1における回転トルクの増加、ならびに第1サイドリップ123Aおよび第2サイドリップ124Aの磨耗を抑制することが可能となる。
なお、環状凹溝123d、123eは、第1サイドリップ123Aの側板部13bに対する吸着が発生している場合および発生していない場合の両方において、第1サイドリップ123Aの先端縁がスリンガ13の側板部13bに接触した状態となる位置に設けることで、インナー側シール部材10における密閉機能を維持することが可能である。
同様に、環状凹溝124d、124eは、第2サイドリップ124Aの側板部13bに対する吸着が発生している場合および発生していない場合の両方において、第2サイドリップ124Aの先端縁がスリンガ13の側板部13bに接触した状態となる位置に設けることで、インナー側シール部材10における密閉機能を維持することが可能である。
(グリースリップ)
第1サイドリップ123に設けた環状突起123b、123c、および第2サイドリップ124に設けた環状突起124b、124cと同様の環状突起は、グリースリップ122に形成することもできる。また、第1サイドリップ123に設けた環状凹溝123d、123e、および第2サイドリップ124に設けた環状凹溝124d、124eと同様の環状凹溝は、グリースリップ122に設けることもできる。
グリースリップ122の先端部は、第1サイドリップ123および第2サイドリップ124の先端部がスリンガ13の側板部13bに吸着する場合と同様に、スリンガ13の嵌合部13aに吸着することがある。
従って、グリースリップ122の先端部に前記環状突起または前記環状凹溝を設けることで、グリースリップ122の先端部がスリンガ13の嵌合部13aに吸着した際に、グリースリップ122の先端部とスリンガ13の嵌合部13aとの接触面積を減少させることができる。これにより、車輪用軸受装置1における回転トルクの増加、およびグリースリップ122の磨耗を抑制することが可能となる。
なお、本実施形態においては、シールリップを有する弾性部材12を外輪2に設け、弾性部材12のシールリップが摺動可能に接触する摺動面を有するスリンガ13を内輪4に設けた構成としているが、スリンガ13を外輪2に設けるとともに、弾性部材12を内輪4に設ける構成とすることも可能である。
[アウター側シール部材]
図1に示すように、アウター側シール部材20は、芯金21と、弾性部材22とを有している。芯金21は、例えば鋼板により円筒状に構成されており、外輪2のアウター側開口部2bに内径嵌合されている。
弾性部材22は、例えば合成ゴムによって構成されており、芯金21に加硫接着によって固着されている。弾性部材22は、芯金21に加硫接着される基部22aと、基部22aから延出し、それぞれ円環状に形成されるグリースリップ22b、第1サイドリップ22c、および第2サイドリップ22dとを有している。グリースリップ22b、第1サイドリップ22c、および第2サイドリップ22dは、弾性部材22が有するシールリップである。
グリースリップ22bは、弾性部材22が有するシールリップの中で最も内径側に配置されており、基部22aから内径側かつインナー側へ向けて延出している。第1サイドリップ22cは、弾性部材22が有するシールリップの中で最も外径側に配置されており、基部22aから外径側かつアウター側へ向けて延出している。第2サイドリップ22dは、第1サイドリップ22cよりも内径側、かつグリースリップ22bよりも外径側に配置されており、基部22aから外径側かつアウター側へ向けて延出している。
弾性部材22のグリースリップ22b、第1サイドリップ22c、および第2サイドリップ22dは、ハブ輪3のリップ摺動面3dと摺動可能に接触している。リップ摺動面3dは、弾性部材22のシールリップが摺動可能に接触する摺動面である。
インナー側シール部材10の第1サイドリップ123に設けた環状突起123b、123c、および第2サイドリップ124に設けた環状突起124b、124cと同様の環状突起は、アウター側シール部材20のグリースリップ22b、第1サイドリップ22c、および第2サイドリップ22dに形成することもできる。
インナー側シール部材10の第1サイドリップ123に設けた環状凹溝123d、123e、および第2サイドリップ124に設けた環状凹溝124d、124eと同様の環状凹溝は、アウター側シール部材20のグリースリップ22b、第1サイドリップ22c、および第2サイドリップ22dに形成することもできる。
グリースリップ22b、第1サイドリップ22c、および第2サイドリップ22dは、第1サイドリップ123および第2サイドリップ124の先端部がスリンガ13の側板部13bに吸着する場合と同様に、ハブ輪3のリップ摺動面3dに吸着することがある。
従って、グリースリップ22b、第1サイドリップ22c、および第2サイドリップ22dの先端部に前記環状突起または前記環状凹溝を設けることで、グリースリップ22b、第1サイドリップ22c、および第2サイドリップ22dの先端部がリップ摺動面3dに吸着した際に、グリースリップ22b、第1サイドリップ22c、および第2サイドリップ22dの先端部とリップ摺動面3dとの接触面積を減少させることができる。これにより、車輪用軸受装置1における回転トルクの増加、ならびにグリースリップ22b、第1サイドリップ22c、および第2サイドリップ22dの磨耗を抑制することが可能となる。
なお、本実施形態における車輪用軸受装置1は、ハブ輪3の外周に内側軌道面3cが直接形成されている第3世代構造の車輪用軸受装置1として構成されているがこれに限定するものではなく、ハブ輪3に一対の内輪4が圧入固定された第2世代構造であってもよい。
以上、本発明の実施の形態について説明を行ったが、本発明はこうした実施の形態に何等限定されるものではなく、あくまで例示であって、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、さらに種々なる形態で実施し得ることは勿論のことであり、本発明の範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲に記載の均等の意味、および範囲内のすべての変更を含む。
1 車輪用軸受装置
2 外輪
2c (インナー側の)外側軌道面
2d (アウター側の)外側軌道面
3 ハブ輪
3a 小径段部
3c 内側軌道面
3d リップ摺動面
4 内輪
4a 内側軌道面
5 インナー側ボール列
6 アウター側ボール列
10 インナー側シール部材
13 スリンガ
13a 嵌合部
13b 側板部
15 環状空間
20 アウター側シール部材
22b、122 グリースリップ
22c、123 第1サイドリップ
22d、124 第2サイドリップ
123b、123c、124b、124c 環状突起
123d、123e、124d、124e 環状凹溝

Claims (2)

  1. 内周に複列の外側軌道面を有する外方部材と、
    外周に軸方向に延びる小径段部を有するハブ輪、および前記ハブ輪の小径段部に圧入された少なくとも一つの内輪からなり、前記複列の外側軌道面に対向する複列の内側軌道面を有する内方部材と、
    前記外方部材と前記内方部材との両軌道面間に転動自在に収容された複列の転動体と、
    前記外方部材と前記内方部材とによって形成された環状空間の開口端を塞ぐ密封装置と、を備える車輪用軸受装置であって、
    前記密封装置は、前記外方部材と前記内方部材の一方に設けられ、前記外方部材と前記内方部材の他方に設けられる摺動面に摺動可能に接触するシールリップを有し、
    前記シールリップの先端部には複数の環状突起または複数の環状凹溝が設けられ、
    前記環状突起または前記環状凹溝は周方向に連続して形成されていることを特徴とする車輪用軸受装置。
  2. 前記シールリップの先端部には複数の前記環状突起が設けられ、
    複数の前記環状突起のうち、最も径方向外側に配置される前記環状突起は、前記シールリップの先端縁に配置されている請求項1に記載の車輪用軸受装置。
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