JP2021001406A - 導電性繊維およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】高い導電性を有する、表面に導電層が露出する細い導電性繊維およびその製造方法を提供すること。【解決手段】熱可塑性樹脂(A)と、カーボンブラック(B)と、金属フタロシアニン(C)とを配合してなる導電性繊維であって、前記カーボンブラック(B)がpH5以上であり、前記カーボンブラック(B)100質量部に対する前記金属フタロシアニン(C)の配合量が0.1質量部以上から50質量部以下までの範囲であり、前記熱可塑性樹脂(A)と前記カーボンブラック(B)と前記金属フタロシアニン(C)の合計配合量における前記カーボンブラック(B)と前記金属フタロシアニン(C)の合計配合量が、5質量%以上から20質量%以下までの範囲であり、繊維径が10μm以下である、導電性繊維。【選択図】 なし

Description

本発明は、導電性繊維およびその製造方法に関する。
導電性カーボンブラックを使用した導電性繊維が知られている(例えば、特許文献1)。このような導電性繊維の繊維横断面においては、導電層が非導電層に完全に包まれている非露出タイプと、導電層が繊維表面の一部または繊維表面全体に露出している露出タイプがあるが、露出タイプのほうが制電性能に優れ、その中でも繊維表面全体に露出しているタイプが特に制電性能が優れている。
上述のような繊維表面全体に導電層が露出している導電性繊維を製造する方法として、樹脂組成物に高ストラクチャー化したカーボンブラック凝集体を多量に配合して溶融成形する方法が考えられる。
しかし、そのような樹脂組成物は溶融流動性が悪いため、表面に導電層が露出する細い導電性繊維細に成形することは困難であった。また、溶融流動性を上げるために、樹脂組成物に高剪断をかけるとカーボンブラックのネットワークが壊れ、導電性が低下するおそれがある。
特開2018−193648公報
そこで本発明が解決しようとする課題は、高い導電性を有する、表面に導電層が露出した細い導電性繊維およびその製造方法を提供することを特徴とする。
本発明者らは、上記課題を解決するべく、鋭意検討を行った。その結果、特定の量のカーボンブラックと金属フタロシアニンを配合することで上記課題が解決されうることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、熱可塑性樹脂(A)と、カーボンブラック(B)と、金属フタロシアニン(C)とを配合してなる導電性繊維であって、前記カーボンブラック(B)がpH5以上であり、前記カーボンブラック(B)100質量部に対する前記金属フタロシアニン(C)の配合量が0.1質量部以上から50質量部以下までの範囲であり、前記熱可塑性樹脂(A)と前記カーボンブラック(B)と前記金属フタロシアニン(C)の合計配合量における前記カーボンブラック(B)と前記金属フタロシアニン(C)の合計配合量が、5質量%以上から20質量%以下までの範囲であり、繊維径が10μm以下である。
また、本発明は、熱可塑性樹脂(A)と、カーボンブラック(B)と、金属フタロシアニン(C)とを配合してなる導電性繊維の製造方法であって、少なくとも前記熱可塑性樹脂(A)と、前記カーボンブラック(B)と、前記金属フタロシアニン(C)と、前記熱可塑性樹脂(A)以外の熱可塑性樹脂(D)とを溶融混練し、熱可塑性樹脂組成物を得る工程1と、前記熱可塑性樹脂組成物を溶融紡糸する工程2と、前記熱可塑性樹脂(D)を溶解させるが前記熱可塑性樹脂(A)を溶解させない溶剤を前記熱可塑性樹脂(D)に接触させて、前記熱可塑性樹脂(D)を選択的に除去して導電性繊維を得る工程3と、を有し、前記カーボンブラック(B)がpH5以上であり、前記導電性繊維中の前記カーボンブラック(B)100質量部に対する前記金属フタロシアニン(C)の配合量が0.1質量部以上から50質量部以下までの範囲であり、前記熱可塑性樹脂(A)と前記カーボンブラック(B)と前記金属フタロシアニン(C)の合計配合量における前記カーボンブラック(B)と前記金属フタロシアニン(C)の合計配合量が、5質量%以上から20質量%以下までの範囲であり、前記導電性繊維の繊維径が10μm以下のである。
本発明により、高い導電性を有する、表面に導電層が露出した細い導電性繊維およびその製造方法を提供することができる。
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。
本発明の一実施形態において、導電性繊維は、熱可塑性樹脂(A)と、カーボンブラック(B)と、金属フタロシアニン(C)とを配合してなる導電性繊維であって、前記カーボンブラック(B)がpH5以上であり、前記カーボンブラック(B)100質量部に対する前記金属フタロシアニン(C)の配合量が0.1質量部以上から50質量部以下までの範囲であり、前記熱可塑性樹脂(A)と前記カーボンブラック(B)と前記金属フタロシアニン(C)の合計配合量における前記カーボンブラック(B)と前記金属フタロシアニン(C)の合計配合量が、5質量%以上から20質量%以下までの範囲であり、繊維径が10μm以下である。
前記導電性繊維によれば、高い導電性を有する、表面に導電層が露出した細い導電性繊維を提供することができる。このような効果が得られる理由は必ずしも明らかではないが、以下のメカニズムによるものと推測される。
特定量が配合された前記カーボンブラック(B)と前記金属フタロシアニン(C)は疑似凝集を形成し、当該疑似凝集が導電ネットワーク形成するため、高い導電性を発現すると考えられる。また、導電性繊維の原料である熱可塑性樹脂組成物を成形する際、高剪断をかけると当該導電ネットワークは一時的に崩れて熱可塑性樹脂組成物の流動性が発現するため、小さい繊維径への加工が容易になる。また、前記カーボンブラック(B)と前記金属フタロシアニン(C)は成形固化時に再度凝集して導電ネットワークを形成するため、上記課題を解決できると考えられる。
前記熱可塑性樹脂(A)としては、本発明の効果を損ねない限り特に限定されないが、例えば、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ゴム強化スチレン系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアリーレンスルフィド樹脂、ポリアリーレンエーテル樹脂、シリコーン化合物などが挙げられ、このうち、ポリアミド樹脂が好ましく挙げられる。当該ポリアミド樹脂は、主鎖に酸アミド結合(−CONH−)を有する重合体である。このようなポリアミド樹脂としては、ナイロン6(「ポリ(カプロラクタム)」ともいう)、ナイロン11(「ポリ(11−アミノウンデカン酸)」ともいう)、ナイロン12(「ポリ(ラウリルラクタム)」または「ポリ(12−7ミノドデカン酸)」ともいう)、ナイロン6.6(「ポリ(ヘキサメチレン・アジパミド)」ともいう)、ナイロン6.9(「ポリ(ヘキサメチレン・アゼラミド)あるいはポリ(ヘキサメチレン・ノナンジアミド)」ともいう)、ナイロン6.10(「ポリ(ヘキサメチレン・セバカミド)」あるいは「ポリ(ヘキサンメチレン・デカンジアミド)」ともいう)、ナイロン6.12(「ポリ(ヘキサメチレン・ドデカノジアミド)」ともいう)、ナイロン4(「ポリ(δ−ブチロラクタム)」ともいう)、ナイロン7(「ポリ(7−アミノへブタン酸)」あるいは「ポリ(7−アミノカプリル酸)」ともいう)、ナイロン8(「ポリ(8−アミノカプリル酸)」あるいは「ポリ(8−アミノオクタン酸)」ともいう)、ナイロン10,6(「ポリ(デカメチレン・アジパミド)」、部分芳香族ナイロン(PARNS)等が挙げられる。
前記導電性繊維中の前記熱可塑性樹脂(A)の配合割合は特に限定されないが、高導電性を発現させる観点から、好ましくは80質量%以上、より好ましくは85質量%以上から、好ましくは95質量%以下、より好ましくは90質量%以下までの範囲である。
前記カーボンブラック(B)は、特に限定なく公知のコンタクト法、ファーネス法、サーマル法等の方法によって製造された、顔料として使用されているカーボンブラックを使用することができる。例えば三菱化学社製の#2600シリーズ、#2300シリーズ、#1000シリーズ、#900シリーズ、MAシリーズ、オリオンエンジニアドカーボンズ社製のCOLOR−BLACKシリーズ、SPESIAL−BLACKシリーズ、PRINTEXシリーズ、HIBLACKシリーズ、NEROXシリーズ、NIPexシリーズ、旭カーボン社製のSUNBLACKシリーズ、#70シリーズ、#80シリーズ、東海カーボン社製のトーカブラック#7000シリーズ、#8000シリーズ、などが挙げられる。中でも高導電性を発現させる観点から、導電カーボンと呼ばれている高ストラクチャーのカーボンブラックが好ましい。
前記カーボンブラック(B)のpHは、高導電性を発現させる観点から、5以上、好ましくは6以上、好ましくは10以下、より好ましくは8以下の範囲である。
前記カーボンブラック(B)の揮発分量は、高導電性を発現させる観点から、好ましくは1.5%以下の範囲である。
前記カーボンブラック(B)の平均粒径は特に限定されないが、小さい繊維径への加工を可能にする成形性を発現させる観点、および高導電性を発現させる観点から、好ましくは30nm以下の範囲であり、さらに好ましくは28nm以下の範囲である。その下限値は特に限定されないが、好ましくは10nm以上の範囲であり、さらに好ましくは15nm以上の範囲である。
前記カーボンブラック(B)は、表面を物理的、または化学的に処理されたものであってもよい。なお、前記カーボンブラック(B)の表面積は特に限定されないが、好ましくはBET比表面積〔m/g〕が30以上、より好ましくは50以上、さらに好ましくは80以上から、好ましくは300以下、より好ましくは200以下、さらに好ましくは150以下までの範囲である。
前記導電性繊維中の前記カーボンブラック(B)の配合割合は特に限定されないが、高導電性を発現させる観点から、好ましくは1質量%以上、より好ましくは5質量%以上から、好ましくは20質量%以下、より好ましくは15質量%以下までの範囲である。
前記金属フタロシアニン(C)としては、フタロシアニン骨格を有する顔料が挙げられ、このうち、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーンが好ましいものとして挙げられる。前記金属フタロシアニン(C)としては、例えば、Colour Index Generic NameにおけるPigment Blue 15、同15:1、同15:2、同15:3、同15:4、同15:6、同17:1に代表される銅フタロシアニン;Pigment Green 7、同36に代表されるハロゲン化フタロシアニン;C.I. Pigment Blue 16に代表される無金属フタロシアニン;中心金属元素がアルミニウム、ニッケル、コバルト、鉄、マグネシウム、亜鉛等から選ばれる少なくとも1種の金属フタロシアニン化合物等が挙げられる。これらは1種単独でもよいが2以上を混合して用いることもできる。
前記金属フタロシアニン(C)の平均粒径は特に限定されないが、小さい繊維径への加工を可能にする成形性を発現させる観点、および高導電性を発現させる観点から、好ましくは800nm以下の範囲であり、さらに好ましくは500nm以下の範囲である。その下限値は特に限定されないが、好ましくは10nm以上の範囲であり、さらに好ましくは30nm以上の範囲である。
前記導電性繊維中の前記金属フタロシアニン(C)の配合割合は特に限定されないが、高導電性を発現させる観点から、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上から、好ましくは5質量%以下、より好ましくは2質量%以下までの範囲である。
前記カーボンブラック(B)100質量部に対する前記金属フタロシアニン(C)の配合量は、小さい繊維径への加工を可能にする成形性を発現させる観点、および高導電性を発現させる観点から、0.1質量部以上、好ましくは1質量部以上から、50質量部以下、好ましくは20質量部以下までの範囲である。
前記熱可塑性樹脂(A)と前記カーボンブラック(B)と前記金属フタロシアニン(C)の合計配合量における前記カーボンブラック(B)と前記金属フタロシアニン(C)の合計配合量は、小さい繊維径への加工を可能にする成形性を発現させる観点、および高導電性を発現させる観点から、5質量%以上、好ましくは7質量%以上から、20質量%以下、好ましくは15質量%以下までの範囲である。
前記導電性繊維には、前記熱可塑性樹脂(A)、前記カーボンブラック(B)及び前記金属フタロシアニン(C)を除く、公知の添加剤を任意の原料成分として用いることもできる。そのような公知の添加剤としては、ハロゲン系難燃剤、窒素系難燃剤、リン酸エステル系難燃剤、金属水酸化物や酸化物などの無機系難燃剤、シリコーン系難燃剤、有機リン酸金属塩などの難燃剤や、ヒンダードフェノール系化合物、ヒドロキノン系化合物、ホスファイト系化合物及びこれらの置換体等の酸化防止剤や、レゾルシノール系化合物、サリシレート系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾフェノン系化合物、ヒンダードアミン系化合物等の耐候剤や、脂肪族アルコール、脂肪族アミド、脂肪族ビスアミド、ビス尿素化合物、ポリエチレンワックス等の離型剤または滑剤や、タルク、シリカ、カオリン、クレー等の結晶核剤や、p−オキシ安息香酸オクチル、N−ブチルベンゼンスルホンアミド等などの可塑剤や、アルキルサルフェート型アニオン系帯電防止剤、4級アンモニウム塩型カチオン系帯電防止剤、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート等の非イオン系帯電防止剤、ベタイン系両性帯電防止剤等の帯電防止剤や、グラファイト、硫酸バリウム、硫酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化アンチモン、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化鉄、硫化亜鉛、亜鉛、鉛、ニッケル、アルミニウム、銅、鉄、ステンレス、ベントナイト、モンモリロナイト、合成雲母等の粒子状、針状、板状の各種充填剤や、ガラス繊維、ガラスフレーク、炭素繊維、窒化硼素、チタン酸カリウム、硼酸アルミニウム等の強化材などが挙げられる。これらの添加剤を任意成分として用いる場合、前記導電性繊維中の配合割合は、小さい繊維径への加工を可能にする成形性を発現させる観点、および高導電性を発現させる観点から、25質量%以下の範囲である。換言すると、前記導電性繊維中の前記熱可塑性樹脂(A)、前記カーボンブラック(B)および前記金属フタロシアニン(C)の合計割合は75質量%超の範囲である。
前記導電性繊維の電気抵抗率は、好ましくは10Ω・cm以上、より好ましくは10Ω・cm以上から、好ましくは10Ω・cm以下、より好ましくは10Ω・cm以下までの範囲である。なお、導電性繊維の電気抵抗率は、実施例に記載の方法により測定する。
前記導電性繊維は、高導電性を有しながら小さい繊維径への加工を可能にする成形性を有することから、繊維径が好ましくは10μm以下、より好ましくは8μm以下のマイクロファイバーとすることもできる。
本発明の一実施形態において、導電性繊維の製造方法は、前記熱可塑性樹脂(A)と、前記カーボンブラック(B)と、前記金属フタロシアニン(C)とを配合してなる前記導電性繊維の製造方法であって、少なくとも前記熱可塑性樹脂(A)と、前記カーボンブラック(B)と、前記金属フタロシアニン(C)と、前記熱可塑性樹脂(A)以外の熱可塑性樹脂(D)とを溶融混練し、熱可塑性樹脂組成物を得る工程1と、前記熱可塑性樹脂組成物を溶融紡糸する工程2と、前記熱可塑性樹脂(D)を溶解させるが前記熱可塑性樹脂(A)を溶解させない溶剤を前記熱可塑性樹脂(D)に接触させて、前記熱可塑性樹脂(D)を選択的に除去して導電性繊維を得る工程3と、を有し、前記カーボンブラック(B)がpH5以上であり、前記導電性繊維中の前記カーボンブラック(B)100質量部に対する前記金属フタロシアニン(C)の配合量が0.1質量部以上から50質量部以下までの範囲であり、前記熱可塑性樹脂(A)と前記カーボンブラック(B)と前記金属フタロシアニン(C)の合計配合量における前記カーボンブラック(B)と前記金属フタロシアニン(C)の合計配合量が、5質量%以上から20質量%以下までの範囲であり、繊維径が10μm以下である。
前記工程1において、前記カーボンブラック(B)の形状は、粒子状であることが好ましい。平均粒径は、小さい繊維径への加工を可能にする成形性を発現させる観点、および高導電性を発現させる観点から、好ましくは30nm以下、より好ましくは28nm以下、さらに好ましくは25nm以下の範囲である。平均粒径の範囲の下限値は特に設定されないが、好ましくは10nm以上、より好ましくは15nm以上、さらに好ましくは18nm以上の範囲である。
前記工程1において、前記金属フタロシアニン(C)の形状は、粒子状であることが好ましい。平均粒径は、特に限定されないが、小さい繊維径への加工を可能にする成形性を発現させる観点、および高導電性を発現させる観点から、好ましくは平均粒径10nm以上、より好ましくは30nm以上、さらに好ましくは、40nm以上から、好ましくは800nm以下、より好ましくは500nm以下、さらに好ましくは300nm以下までの範囲である。
前記熱可塑性樹脂(D)は、工程3で選択的に除去できる熱可塑性樹脂であれば特に限定されないが、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等が挙げられる。
前記工程1において、前記熱可塑性樹脂(A)と前記カーボンブラック(B)と前記金属フタロシアニン(C)の合計配合量100質量部に対する前記熱可塑性樹脂(D)の配合割合は特に限定されないが、好ましくは50質量部以上、より好ましくは70質量部以上から、好ましくは100質量部以下、より好ましくは90質量部以下までの範囲である。
前記工程1において、前記熱可塑性樹脂(A)、前記カーボンブラック(B)、および前記金属フタロシアニン(C)、および前記熱可塑性樹脂(D)、並びに必要に応じて任意の原料成分である前記その他の着色剤及び前記その他の添加剤(以下、単に「任意の原料成分」と称する)を、バルク状、ペレット状、チップ状などの様々な形態で、必要に応じて予備混合した後に、溶融混練機に投入して、該熱可塑性樹脂(A)および前記熱可塑性樹脂(D)の融点以上に加熱して、溶融混練する。溶融混練物の形態は本発明の効果を損ねなければ特に限定されず、溶融状態のまま後述する工程2へ供することもできるが、一旦、ストランド状に押出した後に切断してペレット状、チップ状などの顆粒状とすることが好ましい。
前記工程1において、前記予備混合は、本発明の効果を損ねなければ特に限定されないが、リボンブレンター、ヘンシェルミキサー、Vブレンターなどを用いるドライブレンドを挙げることができる。また、前記溶融混練機としては、本発明の効果を損ねなければ特に限定されないが、バンバリーミキサー、ミキシングロール、単軸または2軸の押出機およびニーダーなどの加熱機構が備えられた溶融混練機を挙げることができる。なお、前記工程1の溶融混練機は、装置内に好ましくは100μm以下、より好ましくは50μm以下、さらに好ましくは30μm以下の範囲の目開きを有するフィルターを装填していてもよい。
前記工程2において、前記工程1で得られた前記熱可塑性樹脂組成物を溶融紡糸し、導電性材料を得る。また、本発明は、前記導電性材料を延伸してもよい。
前記工程3において用いられる溶剤は、前記熱可塑性樹脂(D)を溶解させるが前記熱可塑性樹脂(A)を溶解させない溶剤であり、前記熱可塑性樹脂(D)に接触させて、前記導電性材料から前記熱可塑性樹脂(D)を選択的に除去できるものであれば特に限定されない。
なお、本発明において繊維の形状としては特に限定されず、繊維長が長い、いわゆるフィラメント(長繊維)や、繊維長が短い、いわゆるステープル(短繊維)であってよい。前記繊維の繊維径(直径)は、用途に応じて異なり、任意の細さとすることができるが、通常、平均直径が、好ましくは0.01μm以上、より好ましくは0.05μm以上、さらに好ましくは0.1μm以上、最も好ましくは0.5μm以上から、10μm以下、好ましくは8μm以下、より好ましくは3μm以下、さらに好ましくは1μm以下までの範囲である。従来、繊維径が10μm以下、好ましくは8μm以下の範囲の繊維(本発明ではマイクロファイバーという)で、高い導電性を有するものは製造することは困難であったが、本発明によれば、高い導電性を有するマイクロファイバーを製造することができる。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
(実施例1)
6−ナイロン(宇部興産株式会社製「UBE NYLON 1013B」)が67質量%、カーボンブラック(三菱化学株式会社製#3050:pH7.0、揮発分0.5%、BET比表面積50m/g)が30質量%、銅フタロシアニンブルー(DIC株式会社製_Fastogen Blue PA5380)が3質量%となるように配合した原料を2軸押出機を用いて溶融混練し、マスターバッチを作成した。当該マスターバッチが16質量%、低密度ポリエチレンが42質量%、6−ナイロンが42質量%となるように配合、混合し、280℃で溶融紡糸を行い3倍延伸により5dtexのフィラメントを得た。得られたフィラメントを、トルエンを使いポリエチレンを溶出させてマイクロファイバーを作成し、抵抗率を測定したところ10Ω・cmとなる導電糸を得た。
(実施例2)
6−ナイロン(宇部興産株式会社製「UBE NYLON 1013B」)が72質量%、カーボンブラック(東海カーボン製トーカブラック#4300:pH5.0、揮発分0.7%、BET比表面積33m/g)が25質量%、銅フタロシアニンブルー(DIC株式会社製_Fastogen Blue PA5380)が3質量%となるように配合した原料を2軸押出機を用いて溶融混練し、マスターバッチを作成した。当該マスターバッチが16質量%、低密度ポリエチレンが42質量%、6−ナイロンが42質量%となるように配合、混合し、280℃で溶融紡糸を行い3倍延伸により5dtexのフィラメントを得た。得られたフィラメントを、トルエンを使いポリエチレンを溶出させてマイクロファイバーを作成し、抵抗率を測定したところ10Ω・cmとなる導電糸を得た。
(実施例3)
6−ナイロン(宇部興産株式会社製「UBE NYLON 1013B」)が72質量%、カーボンブラック(オリオンエンジニアドカーボンズ製HIBLACK40B1:pH8.0、揮発分1.5%、BET比表面積150m/g)が25質量%、銅フタロシアニンブルー(DIC株式会社製_Fastogen Blue PA5380)が3質量%となるように配合した原料を2軸押出機を用いて溶融混練し、マスターバッチを作成した。当該マスターバッチが16質量%、低密度ポリエチレンが42質量%、6−ナイロンが42質量%となるように配合、混合し、280℃で溶融紡糸を行い3倍延伸により5dtexのフィラメントを得た。得られたフィラメントを、トルエンを使いポリエチレンを溶出させてマイクロファイバーを作成し、抵抗率を測定したところ10Ω・cmとなる導電糸を得た。
(比較例1)
6−ナイロン(宇部興産株式会社製「UBE NYLON 1013B」)が70質量%、カーボンブラック(三菱化学製#3050:pH7.0、揮発分0.5%、BET比表面積50m/g)が30質量%となるように配合した原料を2軸押出機を用いて溶融混練し、マスターバッチを作成した。当該マスターバッチが16質量%、低密度ポリエチレンが42質量%、6−ナイロンが42質量%となるように配合、混合し、280℃で溶融紡糸を行い3倍延伸により5dtexのフィラメントを得た。得られたフィラメントを、トルエンを使いポリエチレンを溶出させてマイクロファイバーを作成し、抵抗率を測定したところ1012Ω・cmとなる導電糸を得た。
(比較例2)
6−ナイロン(宇部興産株式会社製「UBE NYLON 1013B」)が67質量%、カーボンブラック(三菱化学製MA11:pH3.5、揮発分1.6%、BET比表面積92m/g)が30質量%、銅フタロシアニンブルー(DIC株式会社製_Fastogen Blue PA5380)が3質量%となるように配合した原料を2軸押出機を用いて溶融混練し、マスターバッチを作成した。当該マスターバッチが16質量%、低密度ポリエチレンが42質量%、6−ナイロンが42質量%となるように配合、混合し、280℃で溶融紡糸を行い3倍延伸により5dtexのフィラメントを得た。得られたフィラメントを、トルエンを使いポリエチレンを溶出させてマイクロファイバーを作成し、抵抗率を測定したところ1014Ω・cmとなる導電糸を得た。
なお、上記の評価結果は以下の測定例による。
(測定例1)抵抗率
巾2cm長さ4cmに切って試験片とし、長さ方向の両端1.5cmに導電性接着剤を塗布し、その部分を金属電極で挟み、直流1kVを印加して抵抗を測定した。

Claims (4)

  1. 熱可塑性樹脂(A)と、カーボンブラック(B)と、金属フタロシアニン(C)とを配合してなる導電性繊維であって、
    前記カーボンブラック(B)がpH5以上であり、
    前記カーボンブラック(B)100質量部に対する前記金属フタロシアニン(C)の配合量が0.1質量部以上から50質量部以下までの範囲であり、
    前記熱可塑性樹脂(A)と前記カーボンブラック(B)と前記金属フタロシアニン(C)の合計配合量における前記カーボンブラック(B)と前記金属フタロシアニン(C)の合計配合量が、5質量%以上から20質量%以下までの範囲であり、
    繊維径が10μm以下である、導電性繊維。
  2. 前記カーボンブラック(B)がpH5〜10であり、かつ揮発分量が1.5%以下である、カーボンブラックを含む、請求項1に記載の導電性繊維。
  3. 電気抵抗率が10Ω・cm以上から10Ω・cm以下までの範囲である、請求項1又は2に記載の導電性繊維。
  4. 熱可塑性樹脂(A)と、カーボンブラック(B)と、金属フタロシアニン(C)とを配合してなる導電性繊維の製造方法であって、
    少なくとも前記熱可塑性樹脂(A)と、前記カーボンブラック(B)と、前記金属フタロシアニン(C)と、前記熱可塑性樹脂(A)以外の熱可塑性樹脂(D)とを溶融混練し、熱可塑性樹脂組成物を得る工程1と、
    前記熱可塑性樹脂組成物を溶融紡糸する工程2と、
    前記熱可塑性樹脂(D)を溶解させるが前記熱可塑性樹脂(A)を溶解させない溶剤を前記熱可塑性樹脂(D)に接触させて、前記熱可塑性樹脂(D)を選択的に除去して導電性繊維を得る工程3と、を有し、
    前記カーボンブラック(B)がpH5以上であり、
    前記導電性繊維中の前記カーボンブラック(B)100質量部に対する前記金属フタロシアニン(C)の配合量が0.1質量部以上から50質量部以下までの範囲であり、
    前記熱可塑性樹脂(A)と前記カーボンブラック(B)と前記金属フタロシアニン(C)の合計配合量における前記カーボンブラック(B)と前記金属フタロシアニン(C)の合計配合量が、5質量%以上から20質量%以下までの範囲である、繊維径が10μm以下の導電性繊維の製造方法。
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