本発明の目的は、確実な結合を行える排気ガス過給機のための結合具を提供することにある。また更なる目的は、改良した排気ガス過給機を提供することにある。
本発明の上記目的は請求項1に記載した特徴を備えた排気ガス過給機のための結合具により達成される。また、上記更なる目的は請求項10に記載した特徴を備えた排気ガス過給機により達成される。従属請求項は本発明の好適且つ重要な構成上の特徴を備えた特に有利な構成例を記載したものである。
本発明は排気ガス過給機のための結合具に関するものであり、該結合具は、略々湾曲状の第1部材と湾曲状の第2部材とを備えている。前記第1部材は径方向に延在する第1荷重印加アーム部を前記結合具の第1端部領域に備え、前記第2部材は前記第1荷重印加アーム部に対向して径方向に延在する第2荷重印加アーム部を前記第1端部領域に備えている。前記第1部材と前記第2部材とは前記第1端部領域とは反対側の前記結合具の第2端部領域において可動に連結されている。前記第1荷重印加アーム部と第2荷重印加アーム部とは前記結合具の第1連結要素を介して連結可能であり、特に前記第1連結要素によって前記第1及び第2部材を締結するための周方向の力が発生される。前記第1部材は、前記第1端部領域と前記第2端部領域との間に第1支持部を備えており、前記第2部材は、前記第1端部領域と前記第2端部領域との間に第2支持部を備えている。本発明によれば、前記結合具の剛性を高めるために、前記荷重印加アーム部と前記支持部との間に設けられた移行部に補剛部を備えている。前記移行部には大きな引張応力及び圧縮応力が発生するが、かかる応力のために前記部材が前記移行部の近傍領域において過度に変形することが前記補剛部によって防止される。また、前記移行部の近傍領域において前記第1及び第2部材の内周部に発生する引張応力及び外周部に発生する圧縮応力の大きさが、前記第1及び第2ストッパ部を互いに当接させるだけの前記第1及び第2移行部の弾性変形を生じさせ得る大きさとなるようにしてある。こうすることで、前記第1及び第2部材に作用する周方向の応力の分布を一様化することができる。
前記補剛部を備えることで、また特に、前記第1端部領域と前記第2端部領域とのいずれにも前記補剛部を備えることで更に、発生する応力の前記結合具の全周に亘る分布をより良好なものとすることができる。即ち、前記移行部における応力集中が何ら支障なく受容されるようになる。その結果として、排気ガス過給機の動作安定性が向上し、なぜならば、応力の分布がより良好なものとなることによって、特に排気ガス過給機の作動中の温度変動による変形量が格段に小さくなるからである。
また特に、本発明に係る結合具は軽量とすることができ、なぜならば、前記補剛部を備えることで、前記第1部材及び前記第2部材の製作材料の厚さを薄くできるからである。
前記第1部材及び前記第2部材が、前記第1端部領域における前記移行部と、前記第2端部領域における前記移行部とのいずれにも前記補剛部を備えているようにすることで、本発明に係る結合具は特段に確実な締結を行えるものとなる。
本発明に係る結合具の別の1つの構成例によれば、前記補剛部は、前記結合具の中心軸線に沿って延在し、当該中心軸線に対して同心的に延在するように形成されているか、または、前記補剛部はその軸心が当該中心軸線からオフセットして形成されている。前記補剛部の形成位置を前者のようにするならば、前記補剛部が前記中心軸線に関して線対称の形状に形成されている場合に、当該結合具の装着作業に際して当該結合具の向きをいちいち確認せずに済むという利点が得られる。一方、前記補剛部の形成位置を後者のように前記中心軸線に関して非対称にするならば、結合しようとする2つのハウジング部分に発生する温度上昇量が異なるために当該結合具に流入する熱量が流入方向によって異なることを、即ち、前記中心軸心の左方から流入する熱量と右方から流入する熱量とで熱量差があることを考慮に入れることができ、そのため、最大の引張応力及び圧縮応力が作用することになる箇所に適合するように補剛を施すことができる。
前記補剛部はリブ部として形成することが好ましく、そうすることで、金属薄板材料に深絞り加工を施すという低コストの製作方法により前記結合具を製作することが可能となる。
前記補剛部は膨出形状または陥凹形状に形成されたものとするとよく、即ち、外方へ突出した形状または内方へ突出した形状に形成されたものとするとよい。いずれの方向へ突出した形状とするのが適切であるかは、前記結合具を装着する装着箇所の形状によって決まり、また、前記結合具の装着作業を行う作業空間によって決まるものである。
前記第1部材及び前記第2部材は、プロファイル材のごとく所定の横断面形状を有するように形成されたものとすることが好ましい。そうすることで、前記結合具の全体としての弾性力を高めることができ、ひいては、結合対象の2つのハウジング部分に対する前記結合具の適合性を向上させることができる。前記横断面形状はU字形状または台形状とすることが好ましく、そうすることで、その横断面形状の両脚部に相当する2つの側縁壁部の各々が、結合対象の2つのハウジング部分の各々を覆い、もって、結合対象の2つのハウジング部分を、2つの側縁壁部の間に挟まれた中間空間に確実に収容してそれら2つの側縁壁部で締結することが可能となる。
別の1つの構成例によれば、前記第1部材と前記第2部材とは前記第2端部領域において第2連結要素を介して可動とされており、前記第2連結要素は鎖環の形状に形成されており、前記第1部材及び/又は前記第2部材は前記鎖環の中を通って延在するように形成されている。基本的に、可動な連結とすることで、前記結合具の装着が容易となるために作業性が向上し、それに加えて、鎖環を介した連結とすることで、装着作業の作業性が更に向上する。即ち、前記鎖環における前記第1部材と前記第2部材との相対的な可動性は、3次元空間的に可動な状態とすることができるため、前記第1部材と前記第2部材との相対的な可動性が、例えば両者が弾性変形可能な連結帯を介して連結されている構造などと比べて、格段に向上するのである。また、前記第1部材及び/又は前記第2部材が前記鎖環の中を通って延在するように形成することにより、前記結合具の装着後に前記結合具に作用する周方向の応力の分布を良好なものとすることができる。
前記補剛部を備えた前記部材の断面係数が十分な大きさとなるようにするには、前記補剛部の幅寸法を適切に定めると共に、前記補剛部の長さ寸法及び形状を、その幅寸法に応じた適切な長さ寸法及び形状とすべきである。ここでいう適切な幅寸法は、前記部材の帯状部の幅寸法をもってその最大幅寸法とするものである。また、適切な形状とは、周方向に分布させて作用させる軸方向の力成分に適合するように定めた形状である。
本発明の第2の局面は排気ガス過給機に関するものであり、該排気ガス過給機は、高温の排気がその中を貫流して流れる第1ハウジング部分と、第2ハウジング部分とを備え、前記第1ハウジング部分と前記第2ハウジング部分とが結合具により互いに結合されている。本発明によれば、前記結合具は請求項1乃至9の何れか1項記載の結合具である。
前記排気ガス過給機の作動中には、排気による高温のために前記第1及び第2ハウジング部分に熱膨張が生じている。そこで、そのような熱膨張が、前記排気ガス過給機の効率に大きな影響を及ぼさないようにするために、前記結合具を請求項1乃至9の何れか1項記載の結合具としたものである。これによって、前記第1ハウジング部分と前記第2ハウジング部分とが確実に結合され、もって、有害物質の漏出が低減ないし防止される。
結合を更に確実なものとするには、前記結合具の補剛部を前記結合具の中心軸線からオフセットして形成し、前記第1ハウジング部分に当接している前記結合具の側縁壁部から当該補剛部までの距離を前記第2ハウジング部分に当接している前記結合具の側縁壁部から当該補剛部までの距離より小さくする。そうすることで、高温の排気がその中を貫流して流れる前記第1ハウジング部分の側から前記結合具へ流入する熱量が、前記第2ハウジング部分の側から前記結合具へ流入する熱量より多いことを考慮に入れることができ、より具体的には、前記結合具のうちの前記第1ハウジング部分に対向する部分に適宜の補剛を施すことが可能となる。
本発明の更なる利点、特徴、及び細部構成については、以下に示す好適な実施の形態についての説明を参照し、また添付図面を参照することにより明らかとなる。以上の説明中で言及した様々な特徴及びそれら特徴の組合せ、並びに、添付図面に関連した以下の説明中で言及し、及び/又は、図面中に示す様々な特徴及びそれら特徴の組合せは、それら説明ないし図面に示した通りの組合せで利用し得るばかりでなく、それとは異なる組合せで利用することもでき、また、個々の特徴を単独で利用することも可能なものであって、そのように特徴を利用した場合でも本発明の範囲から逸脱するものではない。
排気ガス過給機(不図示)は第1ハウジング部分を備えている。第1ハウジング部分は、排気ガス過給機の作動中に流体がその中を貫流して流れる排気流通部として形成されており、流れる流体は通常、排気そのものである。またここでいう排気とは概ねエンジン(不図示)の燃焼生成物であるが、ただし必ずしもそれに限られない。
排気ガス過給機は更に第2ハウジング部分を備えている。第2ハウジング部分は軸受構造部として形成されており、排気ガス過給機の回転体アセンブリを軸支している。軸受構造部は、吸気がその中を貫流して流れる排気ガス過給機の吸気流通部(不図示)と、排気流通部との間に配設されている。
回転体アセンブリ(不図示)はコンプレッサ羽根車とタービン羽根車とを備えており、それら2つの羽根車は、それらが一体回転するように連結回転軸を介して相互に連結されている。コンプレッサ羽根車は、吸気流通部のコンプレッサ羽根車ケーシングの中に収容されており、気体の吸入を行い、吸入する気体は通常、外気である。タービン羽根車は、排気流通部の羽根車ケーシングの中に回転可能に収容されている。
排気ガス過給機の作動中には、排気流通部の中を貫流して流れる排気がタービン羽根車に作用してタービン羽根車を駆動しており、それによってタービン羽根車の回転運動が発生している。この回転運動が連結回転軸を介してコンプレッサ羽根車に伝達されることで、タービン羽根車の回転運動と一体的なコンプレッサ羽根車の回転運動が発生している。そして、コンプレッサ羽根車によって、即ちコンプレッサ羽根車の回転運動によって外気が吸入され、その吸入された外気が吸気流通部において圧縮される。
排気ガス過給機は、エンジンに機械的に連結されていると共に、エンジンに熱力学的に結合されている。そのため排気ガス過給機は、エンジンが運転されており排気ガス過給機が作動しているときには、それによって発生する振動にさらされている。また更に、そのとき排気ガス過給機は、この排気ガス過給機の中を流れる排気の温度の変動に伴って特に排気流通部の熱膨張量が変動することから、変動する応力にもさらされている。
排気流通部には軸受構造部の方を向いた側の端部に第1フランジ面が形成されている。軸受構造部には、この第1フランジ面に対向する第2フランジ面が形成されており、それら2つのフランジ面は互いに略々対応する形状に形成されている。
2つのフランジ面はいずれも排気ガス過給機の縦方向軸心(これはタービン羽根車の回転軸心である)に対して径方向及び周方向に延展するように形成されている。排気流通部は軸受構造部に対向するように形成された第1環状フランジ部を備えており、この第1環状フランジ部は、軸受構造部の第2環状フランジ部に対して、軸心方向に隣接して位置するものである。第1フランジ面は第1環状フランジ部に形成されており、第2フランジ面は第2環状フランジ部に形成されている。
排気流通部と軸受構造部とは、結合具1によって、第1フランジ面の形成箇所と第2フランジ面の形成箇所とで互いに結合されている。結合具1は、主要部分が周方向に延在するように湾曲した略々湾曲状の第1部材2と、同じく主要部分が周方向に延在するように湾曲した略々湾曲状の第2部材3とを備えている。第1部材2と第2部材3とは、それらの一端どうしが第1連結要素4を介して連結解除可能に互いに連結されるようにしてあり、また、それらの他端どうしが第2連結要素5を介して可動に互いに連結されており、これらについては、本発明の第1実施例に係る結合具1を斜視図で示した図1を参照されたい。結合具1は、パイプどうしを連接するためのクランプ式結合具と基本的に同様の構成を有するものである。即ち、ここに提示する結合具1は、2つのハウジング部分を結合するために、第1環状フランジ部及び第2環状フランジ部の外周を少なくとも部分的に包持し、しかも径方向、軸心方向、及び周方向において包持する、帯金様の形態を有する結合具である。
第1部材2は第1支持部6を備えており、第2部材は第2支持部7を備えている。それら支持部6、7は湾曲形状に形成されており、より詳しくは略々円弧形状をなしている。第1部材2の第1支持部6は、その一端に、径方向外方へ延出する第1荷重印加アーム部8を備えており、また、この第1荷重印加アーム部8とは反対側の端部に、同じく径方向外方へ延出するフック形状の第1安全部9を備えている。尚、ここでいう「外方」とは、結合具1の縦方向軸心10から離れる方向を指している。また、以下の説明では、結合具1と縦方向軸心10との間の領域を「内部」と称する。
第2部材3の第2支持部7は、その一端に、径方向外方へ延出する第2荷重印加アーム部11を備えており、また、この第2荷重印加アーム部11とは反対側の端部に、同じく径方向外方へ延出するフック形状の第2安全部12を備えている。
第1部材2と第2部材3とは、それらが互いに対向することで、それらの間に略々円形の空間が画成されるようにしてあり、このとき、結合具1の第1端部領域13では第1荷重印加アーム部8と第2荷重印加アーム部11とが互いに対向しており、結合具1の第2端部領域14では第1安全部9と第2安全部12とが互いに対向している。
第1及び第2荷重印加アーム部8、9には夫々に開口15が形成されており、それら開口15に、第1連結要素4のうちの挿通部材16であるネジが挿通される。そして、挿通部材16の頭部17が第1荷重印加アーム部8の表面に当接することで、挿通部材16が第1荷重印加アーム部8を押圧できるようにしている。この頭部17とは反対側のネジ端部18にはワッシャ19と締結部材20とが備えられており、この構成とすることで、第1連結要素4による締結力で第1部材2と第2部材3とを締結可能にしている。従って、第1端部領域13には第1連結要素4が備えられており、この第1連結要素4は、互いに係合する形状を有し互いの間に係止力を発生する2つの部材から成る連結要素であって、図示例ではネジとナットで構成された連結要素とされている。
第1部材2のフック形状の第1安全部9と第2部材3のフック形状の第2安全部12とを含む第2端部領域14には、第1部材2と第2部材3とを可動に連結するための第2連結要素5が備えられており、この第2連結要素5は鎖環の形状に形成されている。
第1及び第2荷重印加アーム部8、11は、第1及び第2支持部6、7とは反対側の端部に、夫々にストッパ部を備えており、即ち、第1荷重印加アーム部8は第1ストッパ部21を備えており、第2荷重印加アーム部11は第2ストッパ部22を備えている。それら第1及び第2ストッパ部21、22は、2つのハウジング部分を結合具1によって締結する際に、その結合具1の周方向へ力を良好に伝達できるようにするためのものである。
結合具1の内周部23が2つの環状フランジ部の外周部に良好に適合できるようにするために、第1部材2及び第2部材3は、所定の横断面形状を有するプロファイル材から製作されており、このプロファイル材は帯状部24とその両側の側縁壁部25とを備えることで、概ね台形状の横断面形状を有するものとなっている。ただしその断面形状は略々U字形状としてもよく、また、装着部位に適合する形状であるならば更にその他の横断面形状としてもよい。
第1支持部6とその両側の端部8、9との間の移行部26の剛性を高めるために、また第2支持部7とその両側の端部11、12との間の移行部26の剛性を高めるために、それら移行部26は補剛部27を備えている。それら移行部26は、結合具の供用中に引張応力及び圧縮応力が作用している部位であり、それら移行部26に応力が作用するのは、端部領域13及び14に大きな材料変形が生じているからである。
従って、移行部26に作用する引張応力及び圧縮応力を軽減するために、第1部材2及び第2部材3は補剛部27を備えている。
図1に示した第1実施例では、安全部9、12と支持部6;7との間の移行部26に補剛部27が設けられている。補剛部27はリブ部として形成されており、このリブ部の形状は補剛部27の好ましい形状である。この補剛部即ちリブ部27は内方へ突出しており、そのため帯状部24のこのリブ部27の形成部位は、縦方向軸心10の側から見て膨出形状に形成されている。
図2は本発明の第2実施例に係る結合具1を示した斜視図である。第2端部領域14の移行部26に補剛部27が形成されていることに加えて、第1端部領域13の移行部26にも補剛部27が形成されており、それら補剛部27はいずれもリブ部の形状に形成されている。この第2実施例において、補剛部即ちリブ27は、縦方向軸心10の側から見て陥凹形状に形成されており、即ち、外方へ突出している。
夫々の補剛部27は、第1及び第2部材2、3上の、軸心方向の中点位置に形成されている。それら補剛部27をかかる位置に形成することで特に、大荷重が作用する移行部の剛性及び安定性を高めることができ、それによって側縁壁部25の外縁からの亀裂発生が抑止される。
図3は図2のIIIの部分を示した第2実施例に係る結合具1の部分図である。この部分図IIIは結合具1の第2端部領域の部分を含み、結合具1を中心軸線28に沿って切断した切断面を断面斜視図で示したものである。
第2連結要素5が第1安全部9及び第2安全部12と係合しており、第1安全部9及び第2安全部12は端部が第2連結要素5に巻付くように係合した上でこの第2連結要素5の内部空間29から外部へ延出している。第1部材2及び第2部材3のいずれにもリブ部27が形成されており、それらリブ部27は内部空間29の中へ向かって軸心方向に突出するように形成されている。
図4は第2実施例に係る結合具1の第1端部領域13を示した縦断面図である。移行部26は補剛部27を備えており、この補剛部27は、外方へ突出するように形成されており、即ち、縦方向軸心10の側から見て陥凹形状に形成されている。補剛部27は第1ストッパ部21へ向かって延在しているが、その延在限度位置は、挿通部材16の頭部17に干渉しない位置とされている。従って、補剛部27の径方向外方への最大延在位置は、第1連結要素4に合わせて決められており、より詳しくは第1連結要素の頭部17の位置に合わせて決められている。このようにしているのは、結合具1の合計4つの移行部26の夫々に設ける補剛部27を同一形状にすることが望ましいからである。
補剛部27は第2連結要素5の内部空間29の中まで延入するように形成されており、そのため、第2連結要素5は図5に示すように補剛部27の形状に適合する形状に形成するようにしている。即ち、第2連結要素5の内部空間29を画成している内周面のうち、第1安全部9ないし第2安全部12に対向する、少なくとも1箇所の内周面部分30を、当該内周面部分30に隣接している移行部26に設けられた補剛部27の形状に対応した形状に形成するようにしている。こうすることで、特に、補剛部27が縦方向軸心10の側から見て陥凹形状に形成されている場合に、結合具1をその装着に際してより大きく拡げ得るという利点が得られる。
図6及び図7は、夫々、本発明の第1実施例に係る結合具1と本発明の第2実施例に係る結合具1の、第2端部領域14を示した斜視図である。これらの図において、第2端部領域14に形成されている補剛部27は、第1実施例では内方へ膨出しており、即ち、縦方向軸心10の側から見て膨出形状に形成されているのに対し、第2実施例では外方へ膨出している。また、それら補剛部27はいずれも、帯状部24の両側に連なる2つの側縁壁部25の間に収まるように形成されている。
図8及び図9は第2実施例に係る結合具1の第1端部領域13を示した斜視図であり、図8は第1端部領域13を外方から、即ち正面寄りの側から見た図であるのに対して、図9は内方から、即ち背面寄りの側から見た図である。これらの図からは、補剛部27が外方へ膨出した形状であることが明らかに見て取れる。
図10及び図11は第3実施例に係る結合具1の第1端部領域13の部分を示した部分斜視図であり、図10は当該部分を背面寄りの側から、即ち内方から見た図であるのに対して、図11は正面寄りの側から、即ち外方から見た図である。第3実施例における補剛部27は、両端に丸みの付いた細長い形状に形成されており、この補剛部27の幅寸法Bは、丸みの付いた両端部を除いてその全長Lに亘って一定とされている。これに対して、第1実施例及び第2実施例における補剛部27は、その幅寸法Bが全長Lの中点に近付くほど増大するように形成されている。
補剛部27の形状は以上に示した実施例のものに限られず、その他の様々な形状にも形成し得ることは言うまでもない。
図12及び図13は第2実施例に係る結合具1の第1端部領域13を示した側面図であり、図12は第1端部領域13が開状態にあるところを示し、図13は閉状態にあるところを示している。開状態とは、装着作業を実施するときの状態であり、結合具1の周縁部は第1連結要素4によって閉じられているものの、結合具1はまだ2つのハウジング部分に完全に締結されて結合されるには至っていない。そのため第1ストッパ部21と第2ストッパ部22との間に間隙31が存在している。
図13に示した閉状態では、第1ストッパ部21と第2ストッパ部22とが互いに当接して間隙31は消失しているが、ただしこの閉状態においても尚、結合具1は2つのハウジング部分に完全に締結されるには至っていない。本実施例において、結合具1を2つのハウジング部分に完全に締結するための力を得るには、螺合しているナットとネジを更に締め付けるようにし、それによって、第1及び第2ストッパ部21、22に近い側にあって並存している2つの移行部26が互いに接近して行き、最終的に第1連結要素4による力が最大限になったときに、また特に第1及び第2支持部6、7に作用する力が最大限になったときに、ハウジング部分に完全に締結されることになる。
移行部26はプロファイル材に塑性変形加工を施すことで形成されており、この塑性変形加工を通して、装着時に側縁壁部25に発生する引張応力及び圧縮応力の大きさが、第1ストッパ部21と第2ストッパ部24とを互いに当接させるだけの移行部26の弾性変形を生じさせ得る大きさとなるようにしている。
第1部材2及び第2部材3の両側の側縁壁部25の間に軸心方向の力を発生させるための移行部26の弾性力を、両側の側縁壁部25の間に補剛部27を設けることで得るようにしている。即ち、補剛部27を設けることで、移行部26の横断面を変化させており、その変化のさせ方を、第1及び第2支持部6、7に周方向の応力を発生させる引張応力及び圧縮応力が同時に作用したときに、移行部26が十分な大きさの剛性を有していることによって第1及び第2支持部6、7の弾性変形が生じるような変化のさせ方としている。
結合具1により結合された2つのハウジング部分が相互にずれることなく完全に固定されるようにするために、それらハウジング部分を囲繞するように結合具1を位置付けたならば、第1連結要素4によって予荷重を印加する。これによって2つのストッパ部21、22は互いに押付けられ、その過程において一度は平行になった2つの荷重印加アーム部8、11は再び互いの間に角度を成して延在するようになるが、ただし、そうなった時点では、それら2つの荷重印加アーム部8、11の間の離隔距離は移行部26の近傍領域において最大離隔距離となっている。
第1安全部9及び第2安全部12はいずれもクレーンのフックの形状に形成されており、即ち、それら安全部9、12は、中心軸線28に沿った方向である実質的に軸心方向へのずれを生じさせず、且つ、外れることのない状態で、第2連結要素5に係合している。
不図示の1つの実施例においては、補剛部27が軸心からオフセットした位置に形成されている。即ち、補剛部27の長手方向の中心線が結合具の中心軸線28に対して同心的に位置しておらず、補剛部27の長手方向の中心線が結合具の中心軸線28からタービンハウジング(排気流通部)の方へオフセットして補剛部27が形成されている。