発明の要旨
一部分において、本開示は、TβRIIポリペプチド融合タンパク質、およびTGFβ1またはTGFβ3の選択的アンタゴニストとしてのそのような融合タンパク質の使用を提供する。本明細書に記載されるように、TβRII細胞外ドメイン(ECD)の一部またはすべてを含み、追加の突然変異を有するまたは有さないポリペプチドは、様々な親和性で、TGFβ1もしくはTGFβ3と結合する、および/またはTGFβ1もしくはTGFβ3を阻害する。特に、異種部分(例えば、Fc免疫グロブリンドメイン)と少なくとも10アミノ酸の長さのリンカー(例えば、配列番号6のアミノ酸配列を有するリンカー)とを含むTβRIIポリペプチドは、より短いリンカーを有するTβRIIポリペプチドと比較して驚くほど優れたTGFβ1およびTGFβ3結合特性を伴う。したがって、ある特定の態様では、本開示は、TGFβスーパーファミリー関連障害の選択的阻害に使用するためのTβRIIポリペプチドを提供する。
一部の実施形態では、本開示は、トランスフォーミング増殖因子β受容体II(TβRII)融合ポリペプチドであって、a)TβRII部分の細胞外ドメインと、b)異種部分と、c)リンカーが少なくとも10アミノ酸の長さであるリンカー部分とを含み、TβRII細胞外ドメイン部分が、i)配列番号1の23〜35位のいずれかで始まり、配列番号1の153〜159位のいずれかで終わる配列、またはii)配列番号2の23〜60位のいずれかで始まり、配列番号2の178〜184位のいずれかで終わる配列と少なくとも80%同一のアミノ酸配列を含む、前記ポリペプチドを提供する。
一部の実施形態では、TβRII細胞外ドメイン部分は、配列番号1の23〜35位のいずれかで始まり、配列番号1の153〜159位のいずれかで終わる配列と、少なくとも80%同一であるアミノ酸配列を含む。
一部の実施形態では、TβRII細胞外ドメイン部分は、配列番号1の23〜35位のいずれかで始まり、配列番号1の153〜159位のいずれかで終わる配列と、少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む。
一部の実施形態では、TβRII細胞外ドメイン部分は、配列番号1の23〜35位のいずれかで始まり、配列番号1の153〜159位のいずれかで終わる配列と、少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を含む。
一部の実施形態では、TβRII細胞外ドメイン部分は、配列番号1の23〜35位のいずれかで始まり、配列番号1の153〜159位のいずれかで終わる配列と、少なくとも97%同一であるアミノ酸配列を含む。
一部の実施形態では、TβRII細胞外ドメイン部分は、配列番号1の23〜35位のいずれかで始まり、配列番号1の153〜159位のいずれかで終わるアミノ酸配列を含む。
一部の実施形態では、TβRII細胞外ドメイン部分は、配列番号2の23〜60位のいずれかで始まり、配列番号2の178〜184位のいずれかで終わる配列と、少なくとも80%同一であるアミノ酸配列を含む。
一部の実施形態では、TβRII細胞外ドメイン部分は、配列番号2の23〜60位のいずれかで始まり、配列番号2の178〜184位のいずれかで終わる配列と、少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む。
一部の実施形態では、TβRII細胞外ドメイン部分は、配列番号2の23〜60位のいずれかで始まり、配列番号2の178〜184位のいずれかで終わる配列と、少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を含む。
一部の実施形態では、TβRII細胞外ドメイン部分は、配列番号2の23〜60位のいずれかで始まり、配列番号2の178〜184位のいずれかで終わる配列と、少なくとも97%同一であるアミノ酸配列を含む。
一部の実施形態では、TβRII細胞外ドメイン部分は、配列番号2の23〜60位のいずれかで始まり、配列番号2の178〜184位のいずれかで終わるアミノ酸配列を含む。
一部の実施形態では、TβRII細胞外ドメイン部分は、配列番号18と少なくとも80%同一のアミノ酸配列を含む。
一部の実施形態では、TβRII細胞外ドメイン部分は、配列番号18と少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含む。
一部の実施形態では、TβRII細胞外ドメイン部分は、配列番号18と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含む。
一部の実施形態では、TβRII細胞外ドメイン部分は、配列番号18と少なくとも97%同一のアミノ酸配列を含む。
一部の実施形態では、TβRII細胞外ドメイン部分は、配列番号18のアミノ酸配列を含む。
一部の実施形態では、TβRII細胞外ドメイン部分は、配列番号1の23〜35位のいずれかで始まり、配列番号1の153〜159位のいずれかで終わる配列と、少なくとも80%同一であるアミノ酸配列からなる。
一部の実施形態では、TβRII細胞外ドメイン部分は、配列番号1の23〜35位のいずれかで始まり、配列番号1の153〜159位のいずれかで終わる配列と、少なくとも90%同一であるアミノ酸配列からなる。
一部の実施形態では、TβRII細胞外ドメイン部分は、配列番号1の23〜35位のいずれかで始まり、配列番号1の153〜159位のいずれかで終わる配列と、少なくとも95%同一であるアミノ酸配列からなる。
一部の実施形態では、TβRII細胞外ドメイン部分は、配列番号1の23〜35位のいずれかで始まり、配列番号1の153〜159位のいずれかで終わる配列と、少なくとも97%同一であるアミノ酸配列からなる。
一部の実施形態では、TβRII細胞外ドメイン部分は、配列番号1の23〜35位のいずれかで始まり、配列番号1の153〜159位のいずれかで終わるアミノ酸配列からなる。
一部の実施形態では、TβRII細胞外ドメイン部分は、配列番号2の23〜60位のいずれかで始まり、配列番号2の178〜184位のいずれかで終わる配列と、少なくとも80%同一であるアミノ酸配列からなる。
一部の実施形態では、TβRII細胞外ドメイン部分は、配列番号2の23〜60位のいずれかで始まり、配列番号2の178〜184位のいずれかで終わる配列と、少なくとも90%同一であるアミノ酸配列からなる。
一部の実施形態では、TβRII細胞外ドメイン部分は、配列番号2の23〜60位のいずれかで始まり、配列番号2の178〜184位のいずれかで終わる配列と、少なくとも95%同一であるアミノ酸配列からなる。
一部の実施形態では、TβRII細胞外ドメイン部分は、配列番号2の23〜60位のいずれかで始まり、配列番号2の178〜184位のいずれかで終わる配列と、少なくとも97%同一であるアミノ酸配列からなる。
一部の実施形態では、TβRII細胞外ドメイン部分は、配列番号2の23〜60位のいずれかで始まり、配列番号2の178〜184位のいずれかで終わるアミノ酸配列からなる。
一部の実施形態では、TβRII細胞外ドメイン部分は、配列番号18と少なくとも80%同一のアミノ酸配列からなる。
一部の実施形態では、TβRII細胞外ドメイン部分は、配列番号18と少なくとも90%同一のアミノ酸配列からなる。
一部の実施形態では、TβRII細胞外ドメイン部分は、配列番号18と少なくとも95%同一のアミノ酸配列からなる。
一部の実施形態では、TβRII細胞外ドメイン部分は、配列番号18と少なくとも97%同一のアミノ酸配列からなる。
一部の実施形態では、TβRII細胞外ドメイン部分は、配列番号18のアミノ酸配列からなる。
一部の実施形態では、ポリペプチドは、N末端リーダー配列を含む。
一部の実施形態では、N末端リーダー配列は、配列番号22〜24のいずれか1つのアミノ酸配列を含む。
一部の実施形態では、N末端リーダー配列は、配列番号23のアミノ酸配列を含む。
一部の実施形態では、異種部分は、免疫グロブリンFcドメインである。
一部の実施形態では、免疫グロブリンFcドメインは、ヒト免疫グロブリンFcドメインである。
一部の実施形態では、異種部分は、配列番号20と少なくとも80%同一であるアミノ酸配列を含む。
一部の実施形態では、異種部分は、配列番号20と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む。
一部の実施形態では、リンカーは、25アミノ酸未満の長さである。
一部の実施形態では、リンカーは、10〜25アミノ酸の間の長さである。
一部の実施形態では、リンカーは、15〜25アミノ酸の間の長さである。
一部の実施形態では、リンカーは、17〜22アミノ酸の間の長さである。
一部の実施形態では、リンカーは、21アミノ酸の長さである。
一部の実施形態では、異種部分は、配列番号20と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を含む。
一部の実施形態では、異種部分は、配列番号20と少なくとも97%同一であるアミノ酸配列を含む。
一部の実施形態では、異種部分は、配列番号20のアミノ酸配列を含む。
一部の実施形態では、リンカーは、(GGGGS)n(式中、n=≧2)を含む。
一部の実施形態では、リンカーは、(GGGGS)n(式中、n=≧3)を含む。
一部の実施形態では、リンカーは、(GGGGS)n(式中、n=≧4)を含む。
一部の実施形態では、リンカーは、(GGGGS)n(式中、n≠≧5)を含む。
一部の実施形態では、リンカーは、配列番号21のアミノ酸配列を含む。
一部の実施形態では、リンカーは、配列番号4〜7のいずれか1つのアミノ酸配列を含む。
一部の実施形態では、リンカーは、配列番号6のアミノ酸配列を含む。
一部の実施形態では、ポリペプチドは、配列番号11のアミノ酸配列と少なくとも80%同一であるアミノ酸配列を含む。
一部の実施形態では、ポリペプチドは、配列番号11のアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む。
一部の実施形態では、ポリペプチドは、配列番号11のアミノ酸配列と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を含む。
一部の実施形態では、ポリペプチドは、配列番号11のアミノ酸配列を含む。
一部の実施形態では、ポリペプチドは、配列番号13のアミノ酸配列と少なくとも80%同一であるアミノ酸配列を含む。
一部の実施形態では、ポリペプチドは、配列番号13のアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む。
一部の実施形態では、ポリペプチドは、配列番号13のアミノ酸配列と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を含む。
一部の実施形態では、ポリペプチドは、配列番号13のアミノ酸配列を含む。
一部の実施形態では、ポリペプチドは、配列番号50のアミノ酸配列と少なくとも80%同一であるアミノ酸配列を含む。
一部の実施形態では、ポリペプチドは、配列番号50のアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む。
一部の実施形態では、ポリペプチドは、配列番号50のアミノ酸配列と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を含む。
一部の実施形態では、ポリペプチドは、配列番号50のアミノ酸配列を含む。
一部の実施形態では、ポリペプチドは、配列番号51のアミノ酸配列と少なくとも80%同一であるアミノ酸配列を含む。
一部の実施形態では、ポリペプチドは、配列番号51のアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む。
一部の実施形態では、ポリペプチドは、配列番号51のアミノ酸配列と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を含む。
一部の実施形態では、ポリペプチドは、配列番号51のアミノ酸配列を含む。
一部の実施形態では、ポリペプチドは、配列番号53のアミノ酸配列と少なくとも80%同一であるアミノ酸配列を含む。
一部の実施形態では、ポリペプチドは、配列番号53のアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む。
一部の実施形態では、ポリペプチドは、配列番号53のアミノ酸配列と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を含む。
一部の実施形態では、ポリペプチドは、配列番号53のアミノ酸配列を含む。
一部の実施形態では、ポリペプチドは、配列番号56のアミノ酸配列と少なくとも80%同一であるアミノ酸配列を含む。
一部の実施形態では、ポリペプチドは、配列番号56のアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む。
一部の実施形態では、ポリペプチドは、配列番号56のアミノ酸配列と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を含む。
一部の実施形態では、ポリペプチドは、配列番号56のアミノ酸配列を含む。
一部の実施形態では、ポリペプチドは、配列番号15のアミノ酸配列と少なくとも80%同一であるアミノ酸配列を含む。
一部の実施形態では、ポリペプチドは、配列番号15のアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む。
一部の実施形態では、ポリペプチドは、配列番号15のアミノ酸配列と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を含む。
一部の実施形態では、ポリペプチドは、配列番号15のアミノ酸配列を含む。
一部の実施形態では、TβRIIポリペプチドは、配列番号2のアミノ酸185〜592を含まない。
一部の実施形態では、TβRIIポリペプチドは、配列番号2のアミノ酸1〜22を含まない。
一部の実施形態では、ポリペプチドは、a)配列番号18のアミノ酸配列と少なくとも85%、90%、95%、97%または99%同一であるアミノ酸配列を含み、10、9、8、7、6、5、4、3、2または1個以下の追加のアミノ酸を含む、TβRIIポリペプチド部分と、b)配列番号6のアミノ酸配列と少なくとも85%、90%、95%、97%または99%同一であるアミノ酸配列を含み、5、4、3、2または1個以下の追加のアミノ酸を含む、リンカー部分と、c)配列番号20のアミノ酸配列と少なくとも85%、90%、95%、97%または99%同一であるアミノ酸配列を含み、25、20、15、10、5、4、3、2または1個以下の追加のアミノ酸を含む、異種部分と、d)必要に応じてリーダー配列(例えば、配列番号23)とからなる、またはこれらから本質的になる。
一部の実施形態では、ポリペプチドは、a)配列番号18のアミノ酸配列を含み、10、9、8、7、6、5、4、3、2または1個以下の追加のアミノ酸を含む、TβRIIポリペプチド部分と、b)配列番号6のアミノ酸配列を含み、5、4、3、2または1個以下の追加のアミノ酸を含む、リンカー部分と、c)配列番号20のアミノ酸配列を含み、25、20、15、10、5、4、3、2または1個以下の追加のアミノ酸を含む、異種部分と、d)必要に応じてリーダー配列(例えば、配列番号23)とからなる、またはこれらから本質的になる。
一部の実施形態では、ポリペプチドは、a)TβRII部分の細胞外ドメインであって、配列番号18の配列と少なくとも85%、90%、95%、97%または99%同一であるアミノ酸配列を含む細胞外ドメインと、b)配列番号20の配列と少なくとも85%、90%、95%、97%または99%同一であるアミノ酸配列を含む異種部分と、c)リンカーが、配列番号6のアミノ酸配列と少なくとも85%、90%、95%、97%または99%同一であるアミノ酸配列を含む、細胞外ドメインと異種部分を接続するリンカー部分とを含む。
一部の実施形態では、ポリペプチドは、a)TβRII部分の細胞外ドメインであって、配列番号18のアミノ酸配列を含む細胞外ドメインと、b)配列番号20のアミノ酸配列を含む異種部分と、c)リンカーが配列番号6のアミノ酸配列を含む、細胞外ドメインと異種部分を接続するリンカー部分とを含む。
一部の実施形態では、ポリペプチドは、配列番号48のアミノ酸配列と少なくとも85%、90%、95%、97%または99%同一であるアミノ酸配列を含む。
一部の実施形態では、ポリペプチドは、配列番号48のアミノ酸配列を含む。
一部の実施形態では、ポリペプチドは、リーダー配列を含まない、またはリーダー配列が除去された。
一部の実施形態では、ポリペプチドは、グリコシル化アミノ酸、ペグ化アミノ酸、ファルネシル化アミノ酸、アセチル化アミノ酸、ビオチン化アミノ酸、脂質部分構造にコンジュゲートされたアミノ酸、および有機誘導体化剤にコンジュゲートされたアミノ酸から選択される、1つまたは複数の修飾アミノ酸残基を含む。
一部の実施形態では、ポリペプチドは、グリコシル化されている。
一部の実施形態では、ポリペプチドは、CHO細胞におけるポリペプチドの発現に特有のグリコシル化パターンを有する。
一部の実施形態では、ポリペプチドは、100pM未満の平衡解離定数(KD)でヒトTGFβ1に結合する。
一部の実施形態では、ポリペプチドは、75pM未満の平衡解離定数(KD)でヒトTGFβ1に結合する。
一部の実施形態では、ポリペプチドは、60pM未満の平衡解離定数(KD)でヒトTGFβ3に結合する。
一部の実施形態では、ポリペプチドは、50pM未満の平衡解離定数(KD)でヒトTGFβ3に結合する。
一部の実施形態では、ポリペプチドは、レポーター遺伝子アッセイを使用して判定して、1.0nM未満のIC50でTGFβ1を阻害する。
一部の実施形態では、ポリペプチドは、レポーター遺伝子アッセイを使用して判定して、0.25nM未満のIC50でTGFβ1を阻害する。
一部の実施形態では、ポリペプチドは、レポーター遺伝子アッセイを使用して判定して、0.1nM未満のIC50でTGFβ1を阻害する。
一部の実施形態では、ポリペプチドは、レポーター遺伝子アッセイを使用して判定して、0.05nM未満のIC50でTGFβ1を阻害する。
一部の実施形態では、ポリペプチドは、レポーター遺伝子アッセイを使用して判定して、0.3nM未満のIC50でTGFβ3を阻害する。
一部の実施形態では、ポリペプチドは、レポーター遺伝子アッセイを使用して判定して、0.1nM未満のIC50でTGFβ3を阻害する。
一部の実施形態では、ポリペプチドは、レポーター遺伝子アッセイを使用して判定して、0.05nM未満のIC50でTGFβ3を阻害する。
一部の実施形態では、ポリペプチドは、レポーター遺伝子アッセイを使用して判定して、0.04nM未満のIC50でTGFβ3を阻害する。
一部の実施形態では、レポーター遺伝子アッセイは、CAGAレポーターアッセイである。
一部の実施形態では、本開示は、本明細書で開示されるポリペプチドのいずれか2つを含むホモ二量体を提供する。
一部の実施形態では、本開示は、本明細書で開示されるポリペプチドのいずれかについてのコード配列を含む、単離されたポリヌクレオチドを提供する。一部の実施形態では、本開示は、本明細書で開示されるポリヌクレオチドのいずれかに作動可能に連結されているプロモーター配列を含む、組換えポリヌクレオチドを提供する。一部の実施形態では、ポリヌクレオチドは、配列番号10、12または14のいずれか1つと少なくとも80%、85%、90%、95%、97%または100%同一であるヌクレオチド配列を含む。
一部の実施形態では、本開示は、本明細書で開示されるポリヌクレオチドのいずれかで形質転換された細胞を提供する。一部の実施形態では、細胞は、哺乳動物細胞である。一部の実施形態において、細胞は、CHO細胞またはヒト細胞である。
一部の実施形態では、本開示は、薬学的に許容される賦形剤と、本明細書で開示されるポリペプチドのいずれかまたは本明細書で開示されるホモ二量体のいずれかとを含む、医薬品を提供する。
一部の実施形態では、本開示は、TGFβスーパーファミリーメンバーに対する細胞の応答をモジュレートする方法であって、本明細書で開示されるポリペプチドのいずれかまたは本明細書で開示されるホモ二量体のいずれかに細胞を曝露することを含む方法を提供する。一部の実施形態では、本開示は、それを必要とする患者においてTGFβスーパーファミリーメンバーに関連する疾患または状態を処置する方法であって、本明細書で開示されるポリペプチドのいずれかまたは本明細書で開示されるホモ二量体のいずれかの有効量を前記患者に投与することを含む方法を提供する。一部の実施形態では、TGFβスーパーファミリーメンバーは、TGFβ1またはTGFβ3である。一部の実施形態では、疾患または状態は、がんである。一部の実施形態では、がんは、胃がん、腸がん、皮膚がん、乳がん、メラノーマ、骨がんおよび甲状腺がんから選択される。一部の実施形態では、疾患または状態は、線維性または硬化性疾患または状態である。一部の実施形態では、線維性または硬化性疾患または状態は、強皮症、エリテマトーデス、肺線維症、アテローム動脈硬化症、肝臓線維症、びまん性全身性硬化症、糸球体腎炎、神経瘢痕、真皮瘢痕、放射線誘発線維症、肝線維症、特発性肺線維症および骨髄線維症から選択される。一部の実施形態では、疾患または状態は、骨髄線維症である。一部の実施形態では、疾患または状態は、原発性骨髄線維症、真正赤血球増加症後の骨髄線維症、および本態性血小板血症後の骨髄線維症からなる群から選択される。一部の実施形態では、疾患または状態は、国際予後予測スコアリングシステム(IPSS)に従って、または動的IPSS(DIPSS)に従って、低リスク、中間−1リスク、中間−2リスク、または高リスク骨髄線維症からなる群から選択される。一部の実施形態では、疾患または状態は、心疾患である。一部の実施形態では、疾患または状態は、遺伝性出血性毛細血管拡張症(HHT)、マルファン症候群、ロイス・ディーツ症候群、家族性胸部大動脈瘤症候群、動脈蛇行症候群、子癇前症、アテローム動脈硬化症、再狭窄、および肥大型心筋症/うっ血性心不全から選択される。一部の実施形態では、疾患または状態は、肺高血圧症である。一部の実施形態では、肺高血圧症は、世界保健機関によって認定されたクラスI、クラスII、クラスIIIまたはクラスIV肺高血圧症である。一部の実施形態では、疾患または状態は、腎臓関連疾患または状態である。一部の実施形態では、腎臓関連疾患または状態は、慢性腎臓疾患(または不全)、急性腎臓疾患(または不全)、原発性腎臓疾患、非糖尿病性腎臓疾患、糸球体腎炎、間質性腎炎、糖尿病性腎臓疾患、糖尿病性腎症、糸球体硬化症、急速進行性糸球体腎炎、腎線維症、アルポート症候群、IDDM腎炎、メサンギウム増殖性糸球体腎炎、膜性増殖性糸球体腎炎、半月体形成性糸球体腎炎、間質性腎線維症、巣状分節性糸球体硬化症、膜性腎症、微小変化型ネフローゼ症候群、微量免疫型急速進行性糸球体腎炎、IgA腎症、多発性嚢胞腎、デント病、腎シスチン症(nephrocytinosis)、ハイマン腎炎、常染色体優性(成人)多発性嚢胞腎、常染色体劣性(小児)多発性嚢胞腎、急性腎臓傷害、ネフローゼ症候群、腎虚血、糸球体上皮細胞疾患または障害、蛋白尿、糸球体疾患、膜性糸球体腎炎、巣状分節性糸球体腎炎、子癇前症、子癇、腎臓障害、膠原病性脈管疾患、良性起立性(体位性)蛋白尿、IgM腎症、膜性腎症、サルコイドーシス、真性糖尿病、薬物に起因する腎損傷、ファブリー病、アミノ酸尿症、ファンコニー症候群、高血圧性腎硬化症、間質性腎炎、鎌状赤血球症、ヘモグロビン尿症、ミオグロビン尿症、ウェゲナー肉芽腫症、糖原病1型、慢性腎臓疾患、慢性腎不全、低糸球体濾過量(GFR)、腎血管硬化症、ループス腎炎、ANCA陽性微量免疫型半月体形成性糸球体腎炎、慢性同種移植腎症、腎毒性、腎臓毒性、腎臓壊死、腎損傷、糸球体および尿細管傷害、腎臓機能不全、腎炎症候群、急性腎不全、慢性腎不全、近位卵管機能不全、急性腎臓移植拒絶反応、慢性腎臓移植拒絶反応、非IgAメサンギウム増殖性糸球体腎炎、感染後糸球体腎炎、あらゆる種類の腎障害に伴う血管炎、あらゆる遺伝性腎疾患、あらゆる間質性腎炎、腎移植不全、腎臓がん、他の状態(例えば、高血圧、糖尿病および自己免疫疾患)に関連する腎臓疾患、デント病、腎シスチン症、ハイマン腎炎、原発性腎臓疾患、虚脱性糸球体症、デンスデポジット病、クリオグロブリン血症関連糸球体腎炎、ノッホ・シェーンライン病、感染後糸球体腎炎、細菌性心内膜炎、顕微鏡的多発血管炎、チャーグ・ストラウス症候群、抗GBM抗体媒介糸球体腎炎、アミロイドーシス、単クローン性免疫グロブリン沈着症、原線維性糸球体腎炎、イムノタクトイド糸球体症、虚血性尿細管傷害、薬剤誘発尿細管間質性腎炎、中毒性尿細管間質性腎炎、感染性尿細管間質性腎炎、細菌性腎盂腎炎、ポリオーマウイルス感染またはHIV感染の結果として生じるウイルス感染性尿細管間質性腎炎、代謝性疾患誘発尿細管間質疾患、混合型結合性疾患、円柱腎症、尿酸塩またはシュウ酸塩または薬物誘発結晶沈着の結果として生じうる結晶性腎症、急性細胞性尿細管間質性同種移植片拒絶反応、リンパ腫または移植後リンパ増殖性疾患の結果として生じる腫瘍浸潤性疾患、閉塞性腎臓疾患、血管疾患、血栓性微小血管症、腎血管硬化症、アテローム塞栓性疾患、混合性結合組織病、結節性多発動脈炎、カルシニューリン阻害剤誘発血管疾患、急性細胞性血管同種移植片拒絶反応、急性体液性同種移植片拒絶反応、早期腎機能低下(ERFD)、末期腎疾患(ESRD)、腎静脈血栓症、急性尿細管壊死、急性間質性腎炎、既存の慢性腎臓疾患、腎動脈狭窄、虚血性腎症、尿毒症、薬物および毒物誘発慢性尿細管間質性腎炎、逆流性腎症、腎臓結石、グッドパスチャー症候群、正球性正色素性貧血、腎性貧血、糖尿病性慢性腎臓疾患、IgG4関連疾患、フォンヒッペル・リンダウ症候群、結節性硬化症、ネフロン癆、腎髄質嚢胞症、腎細胞癌、腺癌、腎芽腫、リンパ腫、白血病、低シアリル化障害、慢性シクロスポリン腎症、腎再灌流傷害、腎異形成、高尿素血症、両側動脈閉塞、急性尿酸腎症、血液量減少、急性両側性閉塞性尿路疾患、高カルシウム血症性腎症、溶血性尿毒症症候群、急性尿閉、悪性腎硬化症、分娩後糸球体硬化症、強皮症、非グッドパスチャー抗GBM疾患、顕微鏡的結節性多発動脈炎、アレルギー性肉芽腫症、急性放射線腎炎、連鎖球菌感染後糸球体腎炎、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症、鎮痛薬腎症、動静脈瘻、動静脈グラフト、透析、異所性腎、海綿腎、腎性骨ジストロフィー、単腎症、水腎症、微量アルブミン尿、尿毒症、血尿、高脂血症、低アルブミン血症、脂肪尿、アシドーシス、高カリウム血症、ならびに浮腫からなる群から選択される。一部の実施形態では、腎臓関連疾患または状態は、慢性腎臓疾患である。
発明の詳細な説明
1.大要
本明細書に記載されるタンパク質は、別段の指定がない限り、ヒト形態である。タンパク質のNCBIリファレンスは、次の通りである:ヒトTβRIIアイソフォームA(hTβRIIロング)、NP_001020018.1、およびヒトTβRIIアイソフォームB(hTβRIIショート)、(NP_003233.4)。ヒトからのネイティブTβRIIタンパク質の配列は、図1および2に示されている。一部の実施形態では、TβRIIタンパク質は、マウス、ラット、乳牛またはサルなどの、非ヒト動物からのものである。
TGFβスーパーファミリーは、共通の配列要素および構造モチーフを共有する、様々な増殖因子を含有する。これらのタンパク質が、脊椎動物と無脊椎動物の両方における多種多様な細胞型に対して生物学的効果を発揮することは公知である。スーパーファミリーのメンバーは、胚発生中にパターン形成および組織特異性に関する重要な機能を果たし、脂肪生成、筋形成、軟骨形成、心発生、造血、神経発生および上皮細胞分化を含む、様々な分化プロセスに影響を与えることができる。TGFβファミリーのメンバーの活性を操作することにより、多くの場合、生物に著しい生理的変化を起こすことができる。例えば、ピエモンテ牛およびベルジャンブルー牛品種は、筋肉量の顕著な増加を引き起こすGDF8(ミオスタチンとも呼ばれる)遺伝子の機能喪失型突然変異を保因する。Grobetら、Nat Genet.1997年、17巻(1号):71〜4頁。同様に、ヒトでは、GDF8の不活性対立遺伝子が、筋肉量増加および、伝えられているところでは、並外れた強度に関連している。Schuelkeら、N Engl J Med 2004年、350巻:2682〜8頁。
TGFβシグナルは、I型(例えば、TβRI)およびII型(例えば、TβRII)セリン/トレオニンキナーゼ受容体のヘテロマー複合体により媒介され、リガンド刺激を受けて下流SMADタンパク質をリン酸化および活性化する(Massague、2000年、Nat. Rev. Mol. Cell Biol.1巻:169〜178頁)。これらのI型およびII型受容体は、システインリッチ領域を有するリガンド結合細胞外ドメインと、膜貫通ドメインと、予測セリン/トレオニン特異性を有する細胞質ドメインとで構成されている、膜貫通タンパク質である。I型受容体は、シグナル伝達に不可欠であり、II型受容体は、リガンド結合に、およびI型受容体の発現に必要とされる。I型およびII型受容体は、リガンド結合後に安定した複合体を形成し、その結果、II型受容体によりI型受容体がリン酸化されることになる。TGFβは、TGFβ1、TGFβ2およびTGFβ3という3つの哺乳動物アイソフォームを有し、これらの各々は、in vivoで明確に異なる機能を有する。TGFβのTβRIIとの結合は、TGFβシグナル伝達経路の活性化を開始させる上で極めて重要なステップであり、この活性化により、SMAD2がリン酸化されることになり、活性化されたSMAD2/SMAD4複合体が核に移行されて遺伝子発現をモジュレートすることになる。
したがって、ある特定の態様では、本開示は、様々なTGFβ1またはTGFβ3関連障害の処置に使用するためのTGFβ1またはTGFβ3のアンタゴニストとして、TβRIIポリペプチドを提供する。いずれの特定の作用機序にも拘束されることを望まないが、そのようなポリペプチドは、TGFβ1またはTGFβ3と結合してこれらのリガンドの三元シグナル伝達複合体を形成する能力を阻害することにより作用すると予想される。
本開示は、TβRIIポリペプチドと異種部分(例えば、Fc部分)とを含む融合タンパク質を提供する。特定の実施形態では、TβRII部分および異種部分は、リンカーによって融合される。より詳細に下で説明されるが、本開示は、ある特定の長さのリンカー(例えば、21個のアミノ酸を有するリンカー)を含むTβRII−Fc融合タンパク質が、驚くべきことに、アミノ酸4個だけのリンカーを有するTβRII−Fc融合タンパク質より強い親和性でTGFβ−1およびTGFβ−3と結合することができたことを実証する。
本明細書で使用される用語は、本発明に関する文脈の中で、および各用語が使用される特定の文脈において、当技術分野におけるそれらの通常の意味を一般に有する。本発明の組成物および方法ならびにそれらの製造および使用方法を説明する上で追加のガイダンスを実施者に提供するために、ある特定の用語が下でまたは本明細書の他の箇所で論じられる。用語のいずれの使用についての範囲または意味も、その用語が使用される特定の文脈から明らかになる。
すべてのその文法形式およびスペル変化形での「相同(の)」は、生物の同じ種におけるスーパーファミリーからのタンパク質、ならびに生物の異なる種からの相同タンパク質を含む、「共通の進化上の起源」を有する2つのタンパク質間の関係を指す。そのようなタンパク質(およびそれらをコードする核酸)は、それらの配列の類似性によって示されるような配列相同性を有し、このような類似性は、同一性パーセントの観点であってもよいし、または特定の残基もしくはモチーフおよび保存位置の存在によるものであってもよい。
すべてのその文法形式での用語「配列類似性」は、共通の進化上の起源を共有することもあり、または共有しないこともある、核酸またはアミノ酸配列間の同一度または対応度を指す。しかし、一般的な用法でおよび本願では、用語「相同(の)」は、「高度に」などの副詞で修飾されている場合、配列類似性を指すことがあり、共通の進化上の起源に関係することもあり、または関係しないこともある。
参照ポリペプチド(またはヌクレオチド)配列に対しての「配列同一性パーセント(%)」または「パーセント(%)同一の」は、参照ポリペプチド(ヌクレオチド)配列内のアミノ酸残基(または核酸)と同一である、候補配列内のアミノ酸残基(または核酸)のパーセンテージであって、最大の配列同一性パーセントを達成するために、必要に応じて、配列をアラインし、ギャップを導入した後の、およびいずれの保存的置換も配列同一性の一部と見なさない、パーセンテージと定義される。アミノ酸配列同一性パーセントを決定するためのアラインメントは、当該技術分野における技能の範囲内である様々な方法で、例えば、BLAST、BLAST−2、ALIGNまたはMegalign(DNASTAR)ソフトウェア等の、公開されているコンピュータソフトウェアを使用して、達成することができる。当業者は、比較される配列の完全長にわたって最大のアラインメントを達成するために必要な任意のアルゴリズムを含む、配列のアラインメントに適切なパラメータを決定することができる。しかし、本明細書では、アミノ酸(核酸)配列同一性%値は、配列比較コンピュータプログラムALIGN−2を使用して生成される。ALIGN−2配列比較コンピュータプログラムは、Genentech,Inc.の著作物であり、ソースコードは、米国著作権局、Washington D.C.、20559にユーザー文書とともに出願され、米国著作権登録番号TXU510087で登録されている。ALIGN−2プログラムは、Genentech,Inc.、South San Francisco、Calif.から公開されており、またはソースコードからコンパイルすることができる。ALIGN−2プログラムを、デジタルUNIX(登録商標) V4.0Dを含むUNIX(登録商標)オペレーティングシステムでの使用用にコンパイルしておく必要がある。すべての配列比較パラメータは、ALIGN−2プログラムによって設定され、変わらない。
すべてのその文法形式での「刺激する(agonize)」は、タンパク質および/もしくは遺伝子を(例えば、そのタンパク質の遺伝子発現を活性化もしくは増幅させることにより、または不活性タンパク質を活性状態に入るように誘導することにより)活性化するプロセス、またはタンパク質のおよび/もしくは遺伝子の活性を増大させるプロセスを指す。
すべてのその文法形式での「拮抗する」は、タンパク質および/もしくは遺伝子を(例えば、そのタンパク質の遺伝子発現を阻害もしくは減少させることにより、または活性タンパク質を不活性状態に入るように誘導することにより)阻害するプロセス、またはタンパク質のおよび/もしくは遺伝子の活性を低下させるプロセスを指す。
用語「約」および「おおよそ」は、本明細書および本特許請求の範囲を通して数値に関連して使用される場合、当業者に周知であり、認知されている、正確区画を指す。
本明細書で開示される数値範囲は、範囲を定義する数を含む。
用語「1つの(a)」および「1つの(an)」は、その用語が使用される文脈による別段の明瞭な指示がない限り、複数の指示対象を含む。用語「1つの(a)」(または「1つの(an)」)、ならびに用語「1つまたは複数」および「少なくとも1つ」は、本明細書では同義で使用されうる。さらに、「および/または」は、本明細書で使用される場合、他のものを伴うまたは伴わない2つまたはそれより多くの明記されている特徴または成分の各々についての具体的な開示と見なされるものとする。したがって、用語「および/または」は、本明細書で「Aおよび/またはB」などの表現法で使用される場合、「AおよびB」、「AまたはB」、「A」(単独で)、および「B」(単独で)を含むように意図されている。同様に、用語「および/または」は、「A、B、および/またはC」などの表現法で使用される場合、次の態様の各々を包含するように意図されている:A、B、およびC;A、B、またはC;AまたはC;AまたはB;BまたはC;AおよびC;AおよびB;BおよびC;A(単独で);B(単独で);ならびにC(単独で)。
本明細書を通して、単語「含む(comprise)」または語尾変化形、例えば「含む(comprises)」もしくは「含むこと(comprising)」は、述べられている整数または整数群の包含を含意するが、他のいかなる整数の除外も整数群の除外も含意しないと理解されるものとする。本明細書で使用される場合、用語「含む」は、より狭義の用語「からなる」および「から本質的になる」の使用も包含する。
用語「から本質的になる」は、明記されている材料またはステップ、および本明細書で開示される本発明の基本的な新規の特徴に著しい影響を与えないものに、限定される。
用語「感知されうる親和性」は、本明細書で使用される場合、50nM未満の解離定数(KD)での結合を意味する。
用語「ポリペプチド」、「オリゴペプチド」、「ペプチド」および「タンパク質」は、任意の長さのアミノ酸の鎖を指すために本明細書では同義で使用される。鎖は、直鎖状であってもよく、または分岐していてもよく、修飾されたアミノ酸を含んでいてもよく、および/または鎖に非アミノ酸が割り込んでいてもよい。これらの用語は、天然にまたは介入により修飾されたアミノ酸鎖、例えば、ジスルフィド結合形成、グリコシル化、脂質付加、アセチル化、リン酸化、または任意の他の操作もしくは修飾、例えば標識成分とのコンジュゲーション、を有するアミノ酸鎖も包含する。この定義には、例えば、アミノ酸の1つまたは複数の類似体(例えば、非天然アミノ酸などを含む)を含有するポリペプチド、ならびに当技術分野において公知の他の修飾を含有するポリペプチドも含まれる。ポリペプチドが、単鎖として存在することもあり、または会合鎖として存在することもあることは、理解される。
2.TβRIIポリペプチド
天然に存在するTβRIIタンパク質は、細胞の外側に位置するタンパク質の部分(細胞外部分)と、細胞の内側に位置するタンパク質の部分(細胞内部分)とを有する、膜貫通タンパク質である。本開示の態様は、TβRIIの細胞外ドメイン内の突然変異および/または細胞外ドメインの短縮部分を含む、変異TβRIIポリペプチドを包含する。上記の通り、ヒトTβRIIは、細胞外ドメイン(ECD)における選択的スプライシングにより生成される少なくとも2つのアイソフォーム−A(ロング)およびB(ショート)−で天然に存在する(図1および2ならびに配列番号1および2)。配列番号1の残基23〜159に対応する配列番号27は、TβRIIのショートアイソフォームのネイティブ完全長細胞外ドメインを示す。配列番号2の残基23〜184に対応する配列番号18は、TβRIIのロングアイソフォームのネイティブ完全長細胞外ドメインを示す。別段の断り書きがない限り、TβRIIショートおよびロングアイソフォームに基づく変異体に関するアミノ酸位置の番号づけは、ネイティブ前駆体である配列番号1および配列番号2における対応する位置をそれぞれ指す。
ある特定の実施形態では、本開示は、変異TβRIIポリペプチドを提供する。本開示のTβRIIポリペプチドは、これらに限定されないがTGFβ1またはTGFβ3などの、TGFβスーパーファミリーメンバーと結合すること、およびその機能を阻害することができる。TβRIIポリペプチドは、そのC末端が配列番号1のアミノ酸153〜159のいずれかに存在する、天然に存在するTβRIIポリペプチドの短縮ECDドメインと、少なくとも80%同一の、および必要に応じて少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一の、アミノ酸配列からなる、またはそのようなアミノ酸配列を含む、ポリペプチドを含みうる。TβRIIポリペプチドは、そのC末端が配列番号2のアミノ酸178〜184のいずれかに存在する、天然に存在するTβRIIポリペプチドの短縮ECDドメインと、少なくとも80%同一の、および必要に応じて少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一の、アミノ酸配列からなる、またはそのようなアミノ酸配列を含む、ポリペプチドを含みうる。特定の実施形態では、TβRIIポリペプチドは、配列番号18のアミノ酸配列と、少なくとも80%同一の、および必要に応じて少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一の、アミノ酸配列を含む。必要に応じて、TβRIIポリペプチドは、配列番号1のアミノ酸160〜567からなる配列からの、または配列番号2のアミノ酸185〜592からなる配列からの、5個より多くの連続するアミノ酸、または10、20、30、40、50、52、60、70、80、90、100、150もしくは200個もしくはそれを超える個数より多くの連続するアミノ酸を含まない。一部の実施形態では、TβRIIポリペプチドは、配列番号1のアミノ酸160〜567を含まない。一部の実施形態では、TβRIIポリペプチドは、配列番号1のアミノ酸1〜22を含まない。一部の実施形態では、TβRIIポリペプチドは、配列番号1のアミノ酸1〜22および160〜567を含まない。一部の実施形態では、TβRIIポリペプチドは、配列番号2のアミノ酸185〜592を含まない。一部の実施形態では、TβRIIポリペプチドは、配列番号2のアミノ酸1〜22を含まない。一部の実施形態では、TβRIIポリペプチドは、配列番号2のアミノ酸1〜22および185〜592を含まない。プロセシングされていないTβRIIポリペプチドは、任意のシグナル配列、ならびにシグナル配列のN末端側の任意の配列を含むこともあり、または含まないこともある。本明細書で詳述される通り、成熟(プロセシングされた)TβRIIポリペプチドのN末端は、配列番号1のアミノ酸23〜35または配列番号2の23〜60のいずれかに存在しうる。
成熟TβRIIポリペプチドの例としては、配列番号1のアミノ酸23〜159(配列番号27に示される)、配列番号1のアミノ酸29〜159(配列番号28に示される)、配列番号1のアミノ酸35〜159(配列番号29に示される)、配列番号1のアミノ酸23〜153(配列番号30に示される)、配列番号1のアミノ酸29〜153(配列番号31に示される)、配列番号1のアミノ酸35〜153(配列番号32に示される)、配列番号2のアミノ酸23〜184(配列番号18に示される)、配列番号2のアミノ酸29〜184(配列番号33に示される)、配列番号2のアミノ酸60〜184(配列番号29に示される)、配列番号2のアミノ酸23〜178(配列番号34に示される)、配列番号2のアミノ酸29〜178(配列番号35に示される)、および配列番号2のアミノ酸60〜178(配列番号32に示される)が挙げられるが、これらに限定されない。TβRIIのロングアイソフォームに基づく対応する変異体が、25アミノ酸挿入をコードするとともに挿入のC末端側の隣接位置に保存的Val−Ile置換をコードする、ヌクレオチド配列を含むことになることは、当業者には理解されると予想される。したがって、TβRIIポリペプチドは、ショートアイソフォームとロングアイソフォームの両方を含むTβRIIポリペプチド、それらの変異体(例えば、配列番号1のアミノ酸23〜159もしくは配列番号2のアミノ酸23〜184に対応する配列に2、3、4、5、10、15、20、25、30もしくは35個以下のアミノ酸置換を含む、変異体を含む)、それらの断片、および前述のいずれかを含む融合タンパク質の、単離された細胞外部分を含みうるが、いずれの場合も、好ましくは、前述のTβRIIポリペプチドのいずれも、TGFβ1またはTGFβ3の少なくとも一方、または両方、に対する実質的な親和性を保持することになる。一般に、TβRIIポリペプチドは、生物学的に適切な温度、pHレベルおよびモル浸透圧濃度で、水溶液に可溶性であるように設計されることになる。
一部の実施形態では、本開示の変異TβRIIポリペプチドは、リガンド結合プロファイル変更をもたらす1つまたは複数の突然変異を細胞外ドメインに含む。TβRIIポリペプチドは、天然に存在するTβRIIポリペプチドの対応する部分と比べてアミノ酸配列の1、2、5またはそれより多くの変更を含みうる。一部の実施形態では、突然変異は、配列番号1の70位に対応する位置における置換、挿入または欠失をもたらす。一部の実施形態では、突然変異は、配列番号1の110位に対応する位置における置換、挿入または欠失をもたらす。例としては、配列番号1の70位および110位に対応する位置での、それぞれ、NからDへの置換またはDからKへの置換が挙げられるが、これらに限定されない。そのような変異TβRIIポリペプチドの例としては、配列番号36〜39に示される配列が挙げられるが、これらに限定されない。TβRIIポリペプチドは、配列番号10、12、14もしくは16、またはそのサイレント変異体、またはストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でその補体にハイブリダイズする核酸、のいずれか1つによりコードされる、ポリペプチドまたはその一部分を含みうる。特定の実施形態では、TβRIIポリペプチドは、配列番号12、またはそのサイレント変異体、またはストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でその補体にハイブリダイズする核酸、のいずれか1つによりコードされる、ポリペプチドもしくはその一部分を含みうる。
一部の実施形態では、本開示の変異TβRIIポリペプチドは、ヒトTβRIIアイソフォームC(Konradら、BMC Genomics 8巻:318号、2007年)に天然に存在するような、36アミノ酸の挿入(配列番号41)を、ヒトTβRII ECDのC末端付近に位置するグルタミン酸残基のペア(配列番号1の151位と152位、または配列番号2の176位と177位)の間にさらに含む。
本開示は、TβRIIリガンドに選択的に拮抗するようにTβRIIポリペプチドを修飾することができることを、さらに実証する。N70残基は、可能性のあるグリコシル化部位の代表である。一部の実施形態では、TβRIIポリペプチドは、グリコシル化されていない。一部の実施形態では、TβRIIポリペプチドは、Asn157位において、グリコシル化されていないか、またはグリコシル化低減を有する。一部の実施形態では、TβRIIポリペプチドは、Asn73位において、グリコシル化されていないか、またはグリコシル化低減を有する。
ある特定の実施形態では、TβRIIポリペプチドは、TGFβ1と結合し、TβRIIポリペプチドは、TGFβ3との実質的な結合を示さない。ある特定の実施形態では、TβRIIポリペプチドは、TGFβ3と結合し、TβRIIポリペプチドは、TGFβ1との実質的な結合を示さない。結合は、溶液中の精製タンパク質を使用して、またはBiacore(商標)システムなどの表面プラズモン共鳴システムにおける精製タンパク質を使用して、評定することができる。
ある特定の実施形態では、TβRIIポリペプチドは、TGFβ1細胞シグナル伝達を阻害し、TβRIIポリペプチドは、TGFβ3シグナル伝達に対して中等度のまたはわずかな阻害効果を有する。ある特定の実施形態では、TβRIIポリペプチドは、TGFβ3細胞シグナル伝達を阻害し、TβRIIポリペプチドは、TGFβ1シグナル伝達に対して中等度のまたはわずかな阻害効果を有する。細胞シグナル伝達に対する阻害効果は、当技術分野において公知の方法によってアッセイすることができる。
まとめると、TβRIIポリペプチドの活性部分は、配列番号1のアミノ酸配列23〜153、23〜154、23〜155、23〜156、23〜157、または23〜158を含むことがあり、配列番号1のアミノ酸24〜35のいずれかで始まるこれらの配列の変異体も含むことがある。同様に、TβRIIポリペプチドの活性部分は、配列番号2のアミノ酸配列23〜178、23〜179、23〜180、23〜181、23〜182、または23〜183を含むことがあり、配列番号2のアミノ酸24〜60のいずれかで始まるこれらの配列の変異体も含むことがある。例示的TβRIIポリペプチドは、配列番号1のアミノ酸29〜159、35〜159、23〜153、29〜153および35〜153、または配列番号2のアミノ酸配列29〜184、60〜184、23〜178、29〜178および60〜178を含む。これらの範囲内の変異体、特に、配列番号1または配列番号2の対応する部分に対して少なくとも80%、85%、90%、95%または99%の同一性を有するものも、考えられる。配列番号1のアミノ酸160〜567または配列番号2のアミノ酸185〜592からなる配列を含まないTβRIIポリペプチドを選択することができる。特定の実施形態では、TβRIIポリペプチドは、配列番号18のアミノ酸配列と、少なくとも80%同一の、および必要に応じて少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一の、アミノ酸配列を含む。
上で説明したように、本開示は、天然に存在するTβRIIポリペプチドに対する特定の配列同一度または類似度を共有するTβRIIポリペプチドを提供する。2つのアミノ酸配列の同一性パーセントを決定するために、配列は、最適な比較のためにアラインされる(例えば、最適なアラインメントのために第1および第2のアミノ酸または核酸配列の一方または両方にギャップを導入することができ、比較のために非相同配列を無視することができる)。その後、対応するアミノ酸位置のアミノ酸残基が比較される。第1の配列中の位置が、第2の配列中の対応する位置と同じアミノ酸残基により占有されている場合には、それらの分子は、その位置で同一である(本明細書で使用される場合、アミノ酸「同一性」は、アミノ酸「相同性」と同意義である)。2配列間の同一性パーセントは、2配列の最適なアラインメントのために導入する必要があるギャップの数および各ギャップの長さを考慮に入れて、それらの配列により共有される同一位置の数の関数である。
配列比較ならびに2配列間の同一性および類似性パーセントの決定は、数学的アルゴリズム(Computational Molecular Biology、Lesk,A.M.編、Oxford University Press、New York、1988年;Biocomputing: Informatics and Genome Projects、Smith,D.W.編、Academic Press、New York、1993年;Computer Analysis of Sequence Data、パート1、Griffin,A.M.およびGriffin,H.G.編、Humana Press、New Jersey、1994年;Sequence Analysis in Molecular Biology、von Heinje,G.、Academic Press、1987年;およびSequence Analysis Primer、Gribskov,M.およびDevereux,J.編、M Stockton Press、New York、1991年)を使用して遂行することができる。
一実施形態では、2アミノ酸配列間の同一性パーセントは、NeedlemanおよびWunsch(J Mol.Biol.(48巻):444〜453頁(1970年))アルゴリズムを使用して決定され、このアルゴリズムは、GCGソフトウェアパッケージのGAPプログラム(http://www.gcg.comで入手可能)に組み込まれている。特定の実施形態では、次のパラメータが、GAPプログラムで使用される:Blosum 62行列またはPAM250行列のどちらか、および16、14、12、10、8、6または4のギャップの重み、および1、2、3、4、5または6の長さの重み。さらに別の実施形態では、2ヌクレオチド配列間の同一性パーセントは、GCGソフトウェアパッケージのGAPプログラム(Devereux,J.ら、Nucleic Acids Res.12巻(1号):387頁(1984年))(http://www.gcg.comで入手可能)を使用して決定される。例示的パラメータは、NWSgapdna.CMP行列および40、50、60、70または80のギャップの重みおよび1、2、3、4、5または6の長さの重みの使用を含む。別段の指定がない限り、2アミノ酸配列間の同一性パーセントは、GAPプログラムを使用し、Blosum 62行列、10のGAPの重みおよび3の長さの重みを使用して、決定されるものとし、そのようなアルゴリズムが、所望の同一性パーセントを計算できない場合は、本明細書で開示される適切な代替法を選択する必要がある。
別の実施形態では、2アミノ酸配列間の同一性パーセントは、ALIGNプログラム(バージョン2.0)に組み込まれているE. MyersおよびW. Millerのアルゴリズム(CABIOS、4巻:11〜17頁(1989年))を使用し、PAM120残基質量表、12のギャップ長ペナルティおよび4のギャップペナルティを使用して、決定される。
2アミノ酸配列間の最高の全体的アラインメントを決定するための別の実施形態は、Brutlagらのアルゴリズム(Comp. App. Biosci. 6巻:237〜245頁(1990年))に基づくFASTDBコンピュータプログラムを使用して決定することができる。配列アラインメントでは、クエリ配列および対象配列は、両方ともアミノ酸配列である。前記包括的配列アラインメントの結果は、同一性パーセントによって提示される。一実施形態では、アミノ酸配列同一性は、Brutlagらのアルゴリズム(Comp. App. Biosci.6巻:237〜245頁(1990年))に基づくFASTDBコンピュータプログラムを使用して行われる。特定の実施形態では、アミノ酸アラインメントの同一性および類似性パーセントの計算に利用されるパラメータは、行列=PAM 150、k組=2、ミスマッチペナルティ=1、結合ペナルティ=20、無作為化群の長さ=0、カットオフスコア=1、ギャップペナルティ=5、およびギャップサイズペナルティ=0.05を含む。
TβRIIポリペプチドは、N末端に様々なリーダー配列のいずれかをさらに含むこともある。そのような配列が真核細胞系におけるペプチドの発現および分泌経路への標的化を可能にすることになる。例えば、Ernstら、米国特許第5,082,783号(1992年)を参照されたい。あるいは、ネイティブTβRIIシグナル配列を使用して、細胞からの押出しを果たすことができる。可能なリーダー配列は、ネイティブリーダー、組織プラスミノーゲンアクチベーター(TPA)およびミツバチメリチン(それぞれ、配列番号22〜24)を含む。TPAリーダー配列を含むTβRII−Fc融合タンパク質の例としては、配列番号11、13、15および17が挙げられる。シグナルペプチドのプロセシングは、数ある変数の中でも特に、選択されるリーダー配列、使用される細胞型、および培養条件によって変わることがあり、したがって、成熟TβRIIポリペプチドの実際のN末端開始部位は、N末端方向またはC末端方向のどちらかに1、2、3、4または5アミノ酸ずれることがある。TβRII−Fc融合タンパク質の例としては、配列番号11、13、15および17が挙げられる。TβRIIのロングアイソフォームに基づく対応する変異体が、25アミノ酸挿入を含むとともに挿入のC末端側の隣接位置に保存的Val−Ile置換を含むことになることは、当業者には理解されると予想される。
一部の実施形態では、本明細書で開示されるいずれのTβRIIポリペプチドも、配列番号18、27、30、34、36、37、38、39、48、49または51のいずれか1つのアミノ酸配列と少なくとも80%、85%、90%、92%、94%、95%、97%、99%または100%同一であるが、配列番号18、27、30、34、36、37、38、39、48、49または51のアミノ酸配列と比較して1つまたは複数のN末端アミノ酸を欠いている。一部の実施形態では、TβRIIポリペプチドは、配列番号18、27、30、34、36、37、38、39、48、49または51のいずれか1つの第1のアミノ酸(トレオニン)に対応するアミノ酸を欠いている。一部の実施形態では、TβRIIポリペプチドは、配列番号18、27、30、34、36、37、38、39、48、49または51のいずれか1つの第1および第2のアミノ酸(それぞれ、トレオニンおよびイソロイシン)に対応するアミノ酸を欠いている。一部の実施形態では、TβRIIポリペプチドは、配列番号18、27、30、34、36、37、38、39、48、49または51のいずれか1つの第1、第2および第3のアミノ酸(それぞれ、トレオニン、イソロイシンおよびプロリン)に対応するアミノ酸を欠いている。一部の実施形態では、TβRIIポリペプチドは、配列番号18、27、30、34、36、37、38、39、48、49または51のいずれか1つの第1、第2、第3および第4のアミノ酸(それぞれ、トレオニン、イソロイシン、プロリン、プロリン)に対応するアミノ酸を欠いている。
一部の実施形態では、本明細書で開示されるいずれのTβRIIポリペプチドも、配列番号18または51のいずれか1つのアミノ酸配列と少なくとも80%、85%、90%、92%、94%、95%、97%、99%または100%同一であるが、配列番号18または51の第1のアミノ酸(トレオニン)に対応するアミノ酸を欠いている。一部の実施形態では、TβRIIポリペプチドは、配列番号18または51の第1および第2のアミノ酸(それぞれ、トレオニンおよびイソロイシン)に対応するアミノ酸を欠いている。一部の実施形態では、TβRIIポリペプチドは、配列番号18または51の第1、第2および第3のアミノ酸(それぞれ、トレオニン、イソロイシンおよびプロリン)に対応するアミノ酸を欠いている。一部の実施形態では、TβRIIポリペプチドは、配列番号18または51の第1、第2、第3および第4のアミノ酸(それぞれ、トレオニン、イソロイシン、プロリン、プロリン)に対応するアミノ酸を欠いている。
一部の実施形態では、本開示は、TβRIIポリペプチドの混合物を含む組成物であって、組成物中のTβRIIポリペプチド各々が、配列番号18、27、30、34、36、37、38、39、48、49または51のいずれか1つのアミノ酸配列と少なくとも80%、85%、90%、92%、94%、95%、97%、99%または100%同一であるアミノ酸配列を含むが、組成物中のTβRIIポリペプチドの少なくとも一部分(例えば、少なくとも1%、3%、4%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%)が、配列番号18、27、30、34、36、37、38、39、48、49または51のいずれか1つの第1、第2、第3および第4のアミノ酸(それぞれ、トレオニン、イソロイシン、プロリンおよびプロリン)に対応するアミノ酸を含み、組成物中のTβRIIポリペプチドの少なくとも一部分(例えば、少なくとも1%、3%、4%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%)が、配列番号18、27、30、34、36、37、38、39、48、49または51のいずれか1つの第1、第2、第3および第4のアミノ酸(それぞれ、トレオニン、イソロイシン、プロリンおよびプロリン)に対応するアミノ酸の1つまたは複数を欠いている、組成物を提供する。一部の実施形態では、本開示は、TβRIIポリペプチドを含む組成物であって、TβRIIポリペプチドが、配列番号18または51のいずれか1つのアミノ酸配列と少なくとも80%、85%、90%、92%、94%、95%、97%、99%または100%同一であるが、組成物中のTβRIIポリペプチドの少なくとも30%〜80%が、配列番号18または51の第1のアミノ酸(トレオニン)に対応するアミノ酸を欠いている、組成物を提供する。
ある特定の実施形態では、本開示は、ポリペプチドのグリコシル化を変化させるための、TβRIIポリペプチドの特異的突然変異を企図している。そのような突然変異は、O連結またはN連結グリコシル化部位などの、1つまたは複数のグリコシル化部位を導入するために、または消失させるために、選択されうる。アスパラギン連結グリコシル化認識部位は、適切な細胞グリコシル化酵素により特異的に認識されるトリペプチド配列である、アスパラギン−X−トレオニン(またはアスパラギン−X−セリン)(ここでの「X」は任意のアミノ酸である)を、一般に含む。1つもしくは複数のセリンもしくはトレオニン残基の付加により、または1つもしくは複数のセリンもしくはトレオニン残基による置換により、野生型TβRIIポリペプチドの配列に(O連結グリコシル化部位に対して)変更を加えることもできる。グリコシル化認識部位のアミノ酸第1もしくは第3位の一方もしくは両方における様々なアミノ酸の置換もしくは欠失(および/または第2位におけるアミノ酸欠失)は、修飾トリペプチド配列の非グリコシル化を生じさせる結果となる。TβRIIポリペプチド上の糖鎖部分構造の数を増加させる別の手段は、グリコシドとTβRIIポリペプチドとの化学的または酵素的カップリングによるものである。使用されるカップリング方式に依存して、糖を、(a)アルギニンおよびヒスチジン;(b)遊離カルボキシル基;(c)システインのものなどの遊離スルフヒドリル基;(d)セリン、トレオニンもしくはヒドロキシプロリンのものなどの遊離ヒドロキシル基;(e)フェニルアラニン、チロシンもしくはトリプトファンのものなどの芳香族残基;または(f)グルタミンのアミド基に結合させることができる。これらの方法は、1987年9月11日に発行されたWO87/05330に、ならびにAplinおよびWriston(1981年)CRC Crit. Rev. Biochem.、259〜306頁に記載されており、これらの参考文献は、参照により本明細書に組み入れられる。TβRIIポリペプチド上に存在する1つまたは複数の糖鎖部分構造の除去を、化学的におよび/または酵素的に遂行することができる。化学的脱グリコシル化は、例えば、化合物トリフルオロメタンスルホン酸または同等の化合物へのTβRIIポリペプチドの曝露を含みうる。この処置は、アミノ酸配列を無傷で残しつつ、連結している糖(N−アセチルグルコサミンまたはN−アセチルガラクトサミン)を除いてほとんどのまたはすべての糖を切断する結果となる。化学的脱グリコシル化は、Hakimuddinら(1987年)Arch. Biochem. Biophys.259巻:52頁によって、およびEdgeら(1981年)Anal. Biochem.118巻:131頁によって、さらに記載されている。TβRIIポリペプチド上の糖鎖部分構造の酵素的切断は、Thotakuraら(1987年)Meth. Enzymol.138巻:350頁によって記載されたように、様々なエンドおよびエキソグリコシダーゼの使用により果たすことができる。哺乳動物、酵母、昆虫および植物細胞は、すべて、ペプチドのアミノ酸配列による影響を受けうる異なるグリコシル化パターンを導入することができるので、使用される発現系のタイプに依存して、適宜、TβRIIポリペプチドの配列を調整することができる。一般に、ヒトにおける使用のためのTβRIIポリペプチドは、適切なグリコシル化をもたらす哺乳動物細胞株、例えば、HEK293またはCHO細胞株において発現されることになるが、他の哺乳動物発現細胞株、改変されたグリコシル化酵素を有する酵母細胞株、および昆虫細胞も、有用であると予想される。
本開示は、突然変異体、特に、TβRIIポリペプチドのコンビナトリアル突然変異体のセット、および短縮突然変異体を生成する方法を、さらに企図しており、コンビナトリアル突然変異体のプールは、機能的変異配列の同定に特に有用である。そのようなコンビナトリアルライブラリーをスクリーニングする目的は、例えば、アゴニストもしくはアンタゴニストのどちらかとして使用することができるTβRIIポリペプチド変異体、または代替的に、新規活性をすべてまとめて有するTβRIIポリペプチド変異体を、生成することでありうる。様々なスクリーニングアッセイが下で提供され、そのようなアッセイを使用して変異体を評価することができる。例えば、TβRIIポリペプチド変異体を、TβRIIリガンドと結合する能力、TβRIIリガンドのTβRIIポリペプチドとの結合を防止する能力、またはTβRIIリガンドにより引き起こされるシグナル伝達に干渉する能力についてスクリーニングすることができる。TβRIIポリペプチドまたはその変異体の活性を、細胞ベースのアッセイまたはin vivoアッセイ、特に、実施例において開示されるアッセイのいずれかで、試験することもできる。
コンビナトリアルケミストリーで誘導された変異体であって、天然に存在するTβRIIポリペプチドの細胞外ドメインを含むTβRIIポリペプチドと比べて選択的なまたは一般に増大された作用強度を有する変異体を、生成することができる。同様に、突然変異誘発は、対応する野生型TβRIIポリペプチドとは劇的に異なる血清半減期を有する変異体を生じさせることができる。例えば、変性タンパク質を、タンパク質分解に対して、あるいはネイティブTβRIIポリペプチドの崩壊または他の除去もしくは不活性化を生じさせる結果となる他のプロセスに対して、より安定性の高いものにすることができ、またはより安定性の低いものにすることができる。そのような変異体、およびそれらをコードする遺伝子を利用して、TβRIIポリペプチドの半減期をモジュレートすることによりTβRIIポリペプチドレベルを変化させることができる。例えば、短い半減期は、より短期的な生物学的効果を生じさせることができ、患者体内の組換えTβRIIポリペプチドレベルのより厳密な制御を可能にすることができる。Fc融合タンパク質では、タンパク質の半減期を変化させるような突然変異をリンカー(もしあれば)および/またはFc部分に加えることができる。
コンビナトリアルライブラリーは、可能性のあるTβRIIポリペプチド配列の少なくとも一部分を各々が含むポリペプチドのライブラリーをコードする遺伝子の縮重ライブラリーによって作成することができる。例えば、合成オリゴヌクレオチドの混合物を酵素的に遺伝子配列にライゲートすることができ、その結果、可能性のあるTβRIIポリペプチドヌクレオチド配列の縮重セットが、個々のポリペプチドとして発現可能であり、または代替的に、より大きい融合タンパク質のセットとして(例えば、ファージディスプレイのために)発現可能である。
縮重したオリゴヌクレオチド配列から可能性のあるTβRIIポリペプチド変異体のライブラリーを生成することができる多くの方法がある。縮重した遺伝子配列の化学合成を自動DNA合成装置で行い、次いで、合成遺伝子を、発現のための適切なベクターにライゲートすることができる。縮重したオリゴヌクレオチドの合成は、当技術分野において周知である(例えば、Narang,SA(1983年)Tetrahedron 39巻:3頁;Itakuraら、(1981年)Recombinant DNA、Proc.第3回Cleveland Sympos. Macromolecules、AG Walton編、Amsterdam: Elsevier 273〜289頁;Itakuraら、(1984年)Annu. Rev. Biochem. 53巻:323頁;Itakuraら、(1984年)Science 198巻:1056頁;Ikeら、(1983年)Nucleic Acid Res.11巻:477頁を参照されたい)。そのような手法は、他のタンパク質の定方向進化に利用されている(例えば、Scottら、(1990年)Science 249巻:386〜390頁;Robertsら、(1992年)PNAS USA 89巻:2429〜2433頁;Devlinら、(1990年)Science 249巻:404〜406頁;Cwirlaら、(1990年)PNAS USA 87巻:6378〜6382頁;ならびに米国特許第5,223,409号、同第5,198,346号および同第5,096,815号を参照されたい)。
あるいは、他の形態の突然変異誘発を利用して、コンビナトリアルライブラリーを生成することができる。例えば、TβRIIポリペプチド変異体を生成し、ライブラリーから、例えば、アラニンスキャニング突然変異誘発およびこれに類するものを使用するスクリーニング(Rufら、(1994年)Biochemistry 33巻:1565〜1572頁;Wangら、(1994年)J. Biol. Chem.269巻:3095〜3099頁;Balintら、(1993年)Gene 137巻:109〜118頁;Grodbergら、(1993年)Eur. J. Biochem.218巻:597〜601頁;Nagashimaら、(1993年)J. Biol. Chem.268巻:2888〜2892頁;Lowmanら、(1991年)Biochemistry 30巻:10832〜10838頁;およびCunninghamら、(1989年)Science 244巻:1081〜1085頁)により、リンカースキャニング突然変異誘発(Gustinら、(1993年)Virology 193巻:653〜660頁;Brownら、(1992年)Mol. Cell Biol.12巻:2644〜2652頁;McKnightら、(1982年)Science 232巻:316頁)により、飽和突然変異誘発(Meyersら、(1986年)Science 232巻:613頁)により;PCR突然変異誘発(Leungら、(1989年)Method Cell Mol Biol 1巻:11〜19頁)により;または化学的突然変異誘発などを含む、ランダム突然変異誘発(Millerら、(1992年)A Short Course in Bacterial Genetics、CSHL Press、Cold Spring Harbor、NY;およびGreenerら、(1994年)Strategies in Mol Biol 7巻:32〜34頁)により、単離することができる。特にコンビナトリアル設定での、リンカースキャニング突然変異誘発は、短縮(生物活性)形態のTβRIIポリペプチドを同定するための魅力的な方法である。
点突然変異および短縮化により作製されたコンビナトリアルライブラリーの遺伝子産物をスクリーニングするための、ついでに言えば、ある特定の特性を有する遺伝子産物についてcDNAライブラリーをスクリーニングするための、広範な手法が、当技術分野において公知である。そのような手法は、TβRIIポリペプチドのコンビナトリアル突然変異誘発により生成される遺伝子ライブラリーの迅速なスクリーニングに、一般に、適応可能と予想される。大型遺伝子ライブラリーをスクリーニングするために最も広く使用されている手法は、複製可能な発現ベクターに遺伝子ライブラリーをクローニングすること、結果として得られたベクターライブラリーを用いて適切な細胞を形質転換させること、およびその産物が検出された遺伝子をコードするベクターの比較的容易な単離が所望の活性の検出により助長される条件下で、コンビナトリアル遺伝子を発現させることを、通常は含む。好ましいアッセイは、TβRIIリガンド結合アッセイおよびリガンド媒介細胞シグナル伝達アッセイを含む。
ある特定の実施形態では、本開示のTβRIIポリペプチドは、TβRIIポリペプチド中に天然に存在するあらゆるものに加えて、翻訳後修飾をさらに含みうる。そのような修飾は、アセチル化、カルボキシル化、グリコシル化、リン酸化、脂質付加、ペグ化(ポリエチレングリコール)およびアシル化を含むが、これらに限定されない。結果として、修飾TβRIIポリペプチドは、ポリエチレングリコール、脂質、単糖類または多糖類、およびリン酸塩などの、非アミノ酸エレメントを含有しうる。TβRIIポリペプチドの機能性に対するそのような非アミノ酸エレメントの効果を、他のTβRIIポリペプチド変異体について、本明細書に記載されるように試験することができる。TβRIIポリペプチドが、新生形態のTβRIIポリペプチドを切断することにより細胞において産生される場合、翻訳後プロセシングもタンパク質の適正なフォールディングおよび/または機能に重要である。種々の細胞(例えば、CHO、HeLa、MDCK、293、WI38、NIH−3T3またはHEK−293)が、そのような翻訳後活性のための特異的細胞内機構および特徴的機序を有し、TβRIIポリペプチドの適正な修飾およびプロセシングを確保するために選択されうる。
3.リンカー
本開示は、TβRII融合タンパク質を提供し、これらの実施形態では、TβRII部分は、リンカーによって異種部分(例えば、Fc部分)に接続される。一部の実施形態では、リンカーは、グリシンおよびセリンリッチリンカーである。他のほぼ中性のアミノ酸、例えば、これらに限定されないが、Thr、Asn、ProおよびAlaも、リンカー配列に使用することができる。一部の実施形態では、リンカーは、GlyおよびSerを含有する様々な順列のアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、リンカーは、10アミノ酸より長い長さである。さらなる実施形態では、リンカーは、少なくとも12、15、20、21、25、30、35、40、45または50アミノ酸の長さを有する。一部の実施形態では、リンカーは、40、35、30、25、22または20アミノ酸未満である。一部の実施形態では、リンカーは、10〜50、10〜40、10〜30、10〜25、10〜21、10〜15、10、15〜25、17〜22、20、または21アミノ酸の長さである。好ましい実施形態では、リンカーは、アミノ酸配列GlyGlyGlyGlySer(GGGGS)(配列番号19)、またはその反復(GGGGS)n(ここで、n≧2)を含む。特定の実施形態では、n≧3、またはn=3〜10。本願は、(GGGGS)4リンカーによって互いに融合しているTβRII部分と異種部分とを含むタンパク質が、n<4のTβRII融合タンパク質と比較して、TGFβ1およびTGFβ3に対して強い親和性を伴ったという、驚くべき発見を教示する。しかるが故に、好ましい実施形態では、n≧4、またはn=4〜10。本願は、(GGGGS)nリンカー(この場合、n>4)を含むタンパク質が、(GGGGS)4リンカーを有するタンパク質と同様の阻害特性を有したことも教示する。しかるが故に、一部の実施形態では、(GGGGS)nリンカーにおけるnは、4以下である。一部の実施形態では、n=4〜10、4〜9、4〜8、4〜7、4〜6、4〜5、5〜8、5〜7、または5〜6。一部の実施形態では、n=3、4、5、6または7。特定の実施形態では、n=4。一部の実施形態では、(GGGGS)n配列を含むリンカーは、N末端トレオニンも含む。一部の実施形態では、リンカーは、次のうちのいずれか1つである:
GGGGSGGGGS(配列番号21)
TGGGGSGGGGS(配列番号4)
TGGGGSGGGGSGGGGS(配列番号5)
TGGGGSGGGGSGGGGSGGGGS(配列番号6)
TGGGGSGGGGSGGGGSGGGGSGGGGS(配列番号25)
TGGGGSGGGGSGGGGSGGGGSGGGGSGGGGS(配列番号26)または
TGGGGSGGGGSGGGGSGGGGSGGGGSGGGGSGGGGS(配列番号40)
一部の実施形態では、リンカーは、TGGGPKSCDK(配列番号7)のアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、リンカーは、N末端トレオニンを欠いている配列番号21、4〜7、25〜26または40のいずれか1つである。一部の実施形態では、リンカーは、配列番号26のアミノ酸配列も、配列番号40のアミノ酸配列も含まない。
4.異種部分
ある特定の態様では、TβRIIポリペプチドの機能性変異体または修飾形態は、TβRIIポリペプチドの少なくとも一部分と1つまたは複数の異種部分とを有する融合タンパク質を含む。そのような異種部分の周知の例としては、ポリヒスチジン、Glu−Glu、グルタチオンSトランスフェラーゼ(GST)、チオレドキシン、プロテインA、プロテインG、免疫グロブリン重鎖定常領域(Fc)、マルトース結合タンパク質(MBP)、またはヒト血清アルブミンが挙げられるが、これらに限定されない。異種部分を、所望の特性を付与するように、選択することができる。例えば、一部の異種部分は、アフィニティークロマトグラフィーによる融合タンパク質の単離に特に有用である。アフィニティー精製のために、グルタチオンコンジュゲート樹脂、アミラーゼコンジュゲート樹脂、およびニッケルまたはコバルトコンジュゲート樹脂などの、アフィニティークロマトグラフィー用の適切なマトリックスが、使用される。そのようなマトリックスの多くは、(HIS6)融合パートナーとともに有用なPharmacia GST精製システムおよびQIAexpress(商標)システム(Qiagen)などの「キット」形態で入手可能である。別の例として、異種部分を、TβRIIポリペプチドの検出を助長するように、選択することができる。そのような検出ドメインの例としては、様々な蛍光タンパク質(例えば、GFP)および「エピトープタグ」が挙げられ、エピトープタグは、通常は、特異的抗体が利用可能である短いペプチド配列である。特異的モノクローナル抗体が容易に利用可能である周知のエピトープタグとしては、FLAG、インフルエンザウイルス赤血球凝集(HA)、およびc−mycタグが挙げられる。一部の場合には、異種部分は、適切なプロテアーゼによる融合タンパク質の部分的消化を可能にするプロテアーゼ切断部位、例えば、第Xa因子またはトロンビンのプロテアーゼ切断部位を有し、それによって融合タンパク質から組換えタンパク質を遊離にする。それで、遊離されたタンパク質を、後続のクロマトグラフ分離により異種部分から単離することができる。ある特定の好ましい実施形態では、TβRIIポリペプチドは、in vivoでTβRIIポリペプチドを安定させるドメイン(「スタビライザー」ドメイン)と融合している。「安定させること」とは、血清半減期を延長させる何かを、この延長が、崩壊の減少に起因するのか、腎臓によるクリアランス低下に起因するのか、または他の薬物動態効果に起因するのかを問わず、意味する。免疫グロブリンのFc部分との融合が、広範なタンパク質に対して望ましい薬物動態特性を付与することは、公知である。同様に、ヒト血清アルブミンとの融合は、望ましい特性を付与することができる。選択されうる他のタイプの異種部分としては、多量体化(例えば、二量体化、四量体化)ドメインおよび機能性ドメインが挙げられる。
具体的な例として、本開示は、配列番号20のFcドメインに融合しているTβRIIポリペプチドの変異体を含む融合タンパク質を提供する。必要に応じて、Fcドメインは、Asp−265、Lys−322およびAsn−434(対応する完全長IgGに従って番号付けされた)などの残基にける1つまたは複数の突然変異を有する。ある特定の場合には、これらの突然変異の1つまたは複数(例えば、Asp−265突然変異)を有する突然変異型Fcドメインは、野生型Fcドメインと比べてFcγ受容体と結合する能力の低下を有する。他の場合には、これらの突然変異の1つまたは複数(例えば、Asn−434突然変異)を有する突然変異型Fcドメインは、野生型Fcドメインと比べてMHCクラスI関連Fc受容体(FcRN)と結合する能力の増大を有する。
融合タンパク質の異なるエレメントを所望の機能性と一致する任意の様式で配列することができることは理解される。例えば、TβRIIポリペプチドを、異種ドメインのC末端側に配置してもよく、または代替的に、異種ドメインをTβRIIポリペプチドのC末端側に配置してもよい。TβRIIポリペプチドドメインおよび異種ドメインは、融合タンパク質中で隣接している必要はなく、追加のドメインまたはアミノ酸配列を、どちらかのドメインのCもしくはN末端側に含んでいてもよく、またはこれらのドメイン間に含んでいてもよい。
本明細書で使用される場合、用語「免疫グロブリンFcドメイン」または単に「Fc」は、免疫グロブリン鎖定常領域、好ましくは免疫グロブリン重鎖定常領域、またはその一部分の、カルボキシル末端部分を意味すると理解される。例えば、免疫グロブリンFc領域は、1)CH1ドメイン、CH2ドメインおよびCH3ドメイン、2)CH1ドメインおよびCH2ドメイン、3)CH1ドメインおよびCH3ドメイン、4)CH2ドメインおよびCH3ドメイン、または5)2つもしくはそれより多くのドメインと免疫グロブリンヒンジ領域の組合せを含みうる。好ましい実施形態では、免疫グロブリンFc領域は、少なくとも免疫グロブリンヒンジ領域、CH2ドメインおよびCH3ドメインを含み、好ましくは、CH1ドメインを欠いている。一部の実施形態では、免疫グロブリンFc領域は、ヒト免疫グロブリンFc領域である。
一実施形態では、重鎖定常領域が由来する免疫グロブリンのクラスは、IgG(Igγ)(γサブクラス1、2、3または4)である。免疫グロブリンの他のクラス、IgA(Igα)、IgD(Igδ)、IgE(Igε)およびIgM(Igμ)、を使用してもよい。適切な免疫グロブリン重鎖定常領域の選択は、米国特許第5,541,087号および同第5,726,044号において詳細に論じられている。特定の結果を達成するための、ある特定の免疫グロブリンクラスおよびサブクラスからの特定の免疫グロブリン重鎖定常領域配列の選択は、当技術分野における技能レベルの範囲内であると考えられる。免疫グロブリンFc領域をコードするDNA構築物の部分は、好ましくは、ヒンジドメインの少なくとも一部分、好ましくは、FcガンマのCH3ドメインまたはIgA、IgD、IgEもしくはIgMのいずれかにおける相同ドメインの少なくとも一部分を含む。
さらに、免疫グロブリン重鎖定常領域内のアミノ酸の置換または欠失は、本明細書で開示される方法および組成物の実施に有用でありうると考えられる。一例は、Fc受容体に対する親和性が低減されたFc変異体を作出するための上方CH2領域におけるアミノ酸置換の導入であるだろう(Coleら(1997年)J. Immunol.159巻:3613頁)。
一部の実施形態では、本開示は、配列番号11、13、15および17またはそれらの生物活性断片のいずれか1つのアミノ酸配列と少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%同一であるアミノ酸配列、を含む、TβRIIポリペプチド融合タンパク質を提供する。一部の実施形態では、TβRIIポリペプチド融合タンパク質は、配列番号11、13および15またはそれらの生物活性断片のいずれか1つのアミノ酸配列と少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%同一であるアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、TβRIIポリペプチド融合タンパク質は、配列番号13またはその生物活性断片のいずれか1つのアミノ酸配列と少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%同一であるアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、TβRIIポリペプチド融合タンパク質は、配列番号50またはその生物活性断片のいずれか1つのアミノ酸配列と少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%同一であるアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、TβRIIポリペプチド融合タンパク質は、配列番号51またはその生物活性断片のいずれか1つのアミノ酸配列と少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%同一であるアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、TβRIIポリペプチド融合タンパク質は、配列番号52またはその生物活性断片のいずれか1つのアミノ酸配列と少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%同一であるアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、TβRIIポリペプチド融合タンパク質は、配列番号53またはその生物活性断片のいずれか1つのアミノ酸配列と少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%同一であるアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、TβRIIポリペプチド融合タンパク質は、配列番号54またはその生物活性断片のいずれか1つのアミノ酸配列と少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%同一であるアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、TβRIIポリペプチド融合タンパク質は、配列番号55またはその生物活性断片のいずれか1つのアミノ酸配列と少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%同一であるアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、TβRIIポリペプチド融合タンパク質は、配列番号56またはその生物活性断片のいずれか1つのアミノ酸配列と少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%同一であるアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、TβRIIポリペプチド融合タンパク質は、配列番号20またはその生物活性断片のアミノ酸配列と少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%同一であるアミノ酸配列を含む。
一部の実施形態では、本明細書に記載される融合タンパク質は、TGFβ1およびTGFβ3に対する結合親和性向上を有する。一部の実施形態では、少なくとも10アミノ酸の長さのリンカーを含む融合タンパク質(例えば、配列番号11、13、15および50〜56のいずれか1つのアミノ酸配列を有する融合タンパク質)は、参照融合タンパク質(例えば、配列番号9のアミノ酸配列を有する融合タンパク質)と比較して、TGFβ1およびTGFβ3に対する結合親和性向上を有する。一部の実施形態では、融合タンパク質は、200pM未満、150pM未満、100pM未満、75pM未満、50pM未満、または25pM未満のKDで、TGFβ1と結合する。一部の実施形態では、融合タンパク質は、75pM未満、70pM未満、60pM未満、50pM未満、40pM未満、35pM未満、25pM未満、15pM未満、10pM未満、または5pM未満のKDでTGFβ3と結合する。
一部の実施形態では、本明細書で開示されるポリペプチドのいずれも、測定可能なアッセイにおいてTGFβ1および/またはTGFβ3を阻害する。一部の実施形態では、ポリペプチドは、レポーター遺伝子アッセイを使用して判定して、1.0、0.9、0.8、0.7、0.6、0.5、0.4、0.3、0.2、0.1、0.08、0.09、0.07、0.06、0.05、0.04、0.03または0.02nM未満のIC50でTGFβ1を阻害する。一部の実施形態では、ポリペプチドは、レポーター遺伝子アッセイを使用して判定して、1.0、0.9、0.8、0.7、0.6、0.5、0.4、0.3、0.2、0.1、0.09、0.08、0.07、0.06、0.05、0.04、0.03または0.02nM未満のIC50でTGFβ3を阻害する。一部の実施形態では、レポーター遺伝子アッセイは、CAGAレポーターアッセイである。一部の実施形態では、CAGAアッセイは、pGL3(CAGA)12レポータープラスミド(Dennlerら、1998年、EMBO 17巻:3091〜3100頁)がトランスフェクトされた、ならびにトランスフェクション効率の対照となるウミシイタケレポータープラスミド(pRLCMV)がトランスフェクトされた、ヒト肺癌細胞株に基づく。CAGAモチーフは、TGFβ応答遺伝子(例えば、PAI−1)のプロモーター内に存在するため、このベクターは、SMAD2およびSMAD3を介してシグナル伝達する因子に一般に使用される。例えば、実施例2を参照されたい。
5.融合ポリペプチド
一部の実施形態では、本開示は、TβRII含有融合ポリペプチドを提供する。融合ポリペプチドは、本明細書で開示されるまたは当技術分野において公知である方法のいずれかに従って調製することができる。
一部の実施形態では、本明細書で開示される融合ポリペプチドのいずれも、次の成分を含む:a)本明細書で開示されるTβRIIポリペプチドのいずれか(「A」)、b)本明細書で開示されるリンカーのいずれか(「B」)、c)本明細書で開示される異種部分のいずれか(「C」)、および必要に応じてリンカー(「X」)。そのような実施形態では、融合ポリペプチドは、次のような様式(N末端からC末端へ):A−B−CまたはC−B−Aで、配列されうる。そのような実施形態では、融合ポリペプチドは、次のような様式(N末端からC末端へ):X−A−B−CまたはX−C−B−Aで、配列されうる。一部の実施形態では、融合ポリペプチドは、A、BおよびC(および必要に応じてリーダー配列、例えば、配列番号23のアミノ酸配列)の各々を含み、かつ100、90、80、70、60、50、40、30、20、10、5、4、3、2または1個以下の追加のアミノ酸を含む(しかし、ペグ化などのさらなる翻訳後修飾を含むこともある)。
一部の実施形態では、融合ポリペプチドは、次のような様式:(N末端からC末端へ)X−A−B−C、で配置されたリーダー配列(例えば、配列番号23)を含み、融合ポリペプチドは、XとAの間に1、2、3、4または5個のアミノ酸を含む。一部の実施形態では、融合ポリペプチドは、次のような様式:(N末端からC末端へ)X−C−B−A、で配置されたリーダー配列(例えば、配列番号23)を含み、融合ポリペプチドは、XとCの間に1、2、3、4または5個のアミノ酸を含む。一部の実施形態では、融合ポリペプチドは、次のような様式:(N末端からC末端へ)X−A−B−C、で配置されたリーダー配列(例えば、配列番号23)を含み、融合ポリペプチドは、XとAの間にアラニンを含む。一部の実施形態では、融合ポリペプチドは、次のような様式:(N末端からC末端へ)X−C−B−A、で配置されたリーダー配列(例えば、配列番号23)を含み、融合ポリペプチドは、XとCの間にアラニンを含む。一部の実施形態では、融合ポリペプチドは、次のような様式:(N末端からC末端へ)X−A−B−C、で配置されたリーダー配列(例えば、配列番号23)を含み、融合ポリペプチドは、XとAの間にグリシンおよびアラニンを含む。一部の実施形態では、融合ポリペプチドは、次のような様式:(N末端からC末端へ)X−C−B−A、で配置されたリーダー配列(例えば、配列番号23)を含み、融合ポリペプチドは、XとCの間にグリシンおよびアラニンを含む。一部の実施形態では、融合ポリペプチドは、次のような様式:(N末端からC末端へ)X−A−B−C、で配置されたリーダー配列(例えば、配列番号23)を含み、融合ポリペプチドは、XとAの間にトレオニンを含む。一部の実施形態では、融合ポリペプチドは、次のような様式:(N末端からC末端へ)X−C−B−A、で配置されたリーダー配列(例えば、配列番号23)を含み、融合ポリペプチドは、XとCの間にトレオニンを含む。
一部の実施形態では、融合ポリペプチドは、本明細書で開示されるTβRIIポリペプチドアミノ酸配列のいずれか(例えば、配列番号18)と少なくとも85%、90%、95%、97%または99%同一であるアミノ酸配列を含み、この融合ポリペプチドのTβRIIポリペプチド部分は、10、9、8、7、6、5、4、3、2または1個以下の追加のアミノ酸を含む(しかし、ペグ化などのさらなる翻訳後修飾を含むこともある)。一部の実施形態では、融合ポリペプチドは、本明細書で開示されるリンカー配列のいずれか(例えば、配列番号6)と少なくとも85%、90%、95%、97%または99%同一であるアミノ酸配列を含み、この融合ポリペプチドのリンカー部分は、5、4、3、2または1個以下の追加のアミノ酸を含む(しかし、ペグ化などのさらなる翻訳後修飾を含むこともある)。一部の実施形態では、融合ポリペプチドは、本明細書で開示される異種部分配列のいずれか(例えば、配列番号20)と少なくとも85%、90%、95%、97%または99%同一であるアミノ酸配列を含み、この融合ポリペプチドの異種部分は、25、20、15、10、5、4、3、2または1個以下の追加のアミノ酸を含む(しかし、ペグ化などのさらなる翻訳後修飾を含むこともある)。一部の実施形態では、融合ポリペプチドは、本明細書で開示されるTβRIIポリペプチドアミノ酸配列のいずれか(例えば、配列番号18)を含み、この融合ポリペプチドのTβRIIポリペプチド部分は、10、9、8、7、6、5、4、3、2または1個以下の追加のアミノ酸を含む(しかし、ペグ化などのさらなる翻訳後修飾を含むこともある)。一部の実施形態では、融合ポリペプチドは、本明細書で開示されるリンカー配列のいずれか(例えば、配列番号6)を含み、この融合ポリペプチドのリンカー部分は、5、4、3、2または1個以下の追加のアミノ酸を含む(しかし、ペグ化などのさらなる翻訳後修飾を含むこともある)。一部の実施形態では、融合ポリペプチドは、本明細書で開示される異種部分配列のいずれか(例えば、配列番号20)を含み、この融合ポリペプチドの異種部分は、25、20、15、10、5、4、3、2または1個以下の追加のアミノ酸を含む(しかし、ペグ化などのさらなる翻訳後修飾を含むこともある)。
一部の実施形態では、本開示は、融合ポリペプチドであって、a)融合ポリペプチドのTβRIIポリペプチド部分が、10、9、8、7、6、5、4、3、2または1個以下の追加のアミノ酸を含む(しかし、ペグ化などのさらなる翻訳後修飾を含むこともある)、本明細書で開示されるTβRIIポリペプチドアミノ酸配列のいずれか(例えば、配列番号18)と少なくとも85%、90%、95%、97%または99%同一であるアミノ酸配列;b)融合ポリペプチドのリンカー部分が、5、4、3、2または1個以下の追加のアミノ酸を含む(しかし、ペグ化などのさらなる翻訳後修飾を含むこともある)、本明細書で開示されるリンカー配列のいずれか(例えば、配列番号6)と少なくとも85%、90%、95%、97%または99%同一であるアミノ酸配列;およびc)融合ポリペプチドの異種部分が、25、20、15、10、5、4、3、2または1個以下の追加のアミノ酸を含む(しかし、ペグ化などのさらなる翻訳後修飾を含むこともある)、本明細書で開示される異種部分配列のいずれか(例えば、配列番号20)と少なくとも85%、90%、95%、97%または99%同一であるアミノ酸配列;ならびにd)必要に応じてリーダー配列(例えば、配列番号23)、からなるかまたはこれらから本質的になる(および必ずしも上記の順序でない)、融合ポリペプチドを提供する。一部の実施形態では、本開示は、融合ポリペプチドであって、a)融合ポリペプチドのTβRIIポリペプチド部分が、10、9、8、7、6、5、4、3、2または1個以下の追加のアミノ酸を含む(しかし、ペグ化などのさらなる翻訳後修飾を含むこともある)、本明細書で開示されるTβRIIポリペプチドアミノ酸配列のいずれか(例えば、配列番号18);b)融合ポリペプチドのリンカー部分が、5、4、3、2または1個以下の追加のアミノ酸を含む(しかし、ペグ化などのさらなる翻訳後修飾を含むこともある)、本明細書で開示されるリンカー配列のいずれか(例えば、配列番号6);およびc)融合ポリペプチドの異種部分が、25、20、15、10、5、4、3、2または1個以下の追加のアミノ酸を含む(しかし、ペグ化などのさらなる翻訳後修飾を含むこともある)、本明細書で開示される異種部分配列のいずれか(例えば、配列番号20);ならびにd)必要に応じてリーダー配列(例えば、配列番号23)、からなるかまたはこれらから本質的になる(および必ずしも上記の順序でない)、融合ポリペプチドを提供する。
一部の実施形態では、本開示は、a)配列番号18のアミノ酸配列と少なくとも85%、90%、95%、97%または99%同一であるアミノ酸配列および10、9、8、7、6、5、4、3、2または1個以下の追加のアミノ酸からなる(しかし、ペグ化などのさらなる翻訳後修飾を含むこともある)、TβRIIポリペプチド部分;b)配列番号6のアミノ酸配列と少なくとも85%、90%、95%、97%または99%同一であるアミノ酸配列および5、4、3、2または1個以下の追加のアミノ酸からなる(しかし、ペグ化などのさらなる翻訳後修飾を含むこともある)、リンカー部分;およびc)配列番号20のアミノ酸配列と少なくとも85%、90%、95%、97%または99%同一であるアミノ酸配列および25、20、15、10、5、4、3、2または1個以下の追加のアミノ酸からなる(しかし、ペグ化などのさらなる翻訳後修飾を含むこともある)、異種部分;ならびにd)必要に応じてリーダー配列(例えば、配列番号23)、からなるかまたはこれらから本質的になる(および必ずしも上記の順序でない)、融合ポリペプチドを提供する。一部の実施形態では、本開示は、a)配列番号18のアミノ酸配列および10、9、8、7、6、5、4、3、2または1個以下の追加のアミノ酸からなる(しかし、ペグ化などのさらなる翻訳後修飾を含むこともある)、TβRIIポリペプチド部分;b)配列番号6のアミノ酸配列および5、4、3、2または1個以下の追加のアミノ酸からなる(しかし、ペグ化などのさらなる翻訳後修飾を含むこともある)、リンカー部分;およびc)配列番号20のアミノ酸配列および25、20、15、10、5、4、3、2または1個以下の追加のアミノ酸からなる(しかし、ペグ化などのさらなる翻訳後修飾を含むこともある)、異種部分;ならびにd)必要に応じてリーダー配列(例えば、配列番号23)、からなるかまたはこれらから本質的になる(および必ずしも上記の順序でない)、融合ポリペプチドを提供する。
一部の実施形態では、融合タンパク質は、リーダー配列を含まない。一部の実施形態では、融合タンパク質は、配列番号48のアミノ酸配列と少なくとも85%、90%、92%、95%、96%、97%、99%、または100%同一である、アミノ酸配列を含む。
一部の実施形態では、本開示は、TβRII融合ポリペプチドであって、抗体またはその抗原結合部位を含まないポリペプチドを提供する。一部の実施形態では、ポリペプチドは、トランスフォーミング増殖因子ベータスーパーファミリーリガンド(例えば、TGFβ1、TGFβ2および/またはTGFβ3)以外のサイトカインと感知されうる親和性で結合しない。一部の実施形態では、ポリペプチドは、TGFβ1、TGFβ2および/またはTGFβ3以外のサイトカインと感知されうる親和性で結合しない。一部の実施形態では、ポリペプチドは、TGFβ1および/またはTGFβ3以外のサイトカインと感知されうる親和性で結合しない。一部の実施形態では、ポリペプチドは、CD4、CD8、CD25、CTLA−4、IL−10、TGFβ受容体、PD−1、PD−L1、PD−L2、RANK、RANKL、HER2/neu、EGFR1、CD20、VEGF、TNF−α、TNFR2、FoxP3、CD80、CD86、IFN−α、IFN−β、IFN−γ、GITR、4−1BB、OX−40、TLR1−10、ErbB−1、HER1、ErbB−3/HER3、ErbB−4/HER4、IGFR、IGFBP、IGF−1R、PDGFR、FGFR、VEGFR、HGFR、TRK受容体、エフリン受容体、AXL受容体、LTK受容体、TIE受容体、アンジオポエチン1、2、ROR受容体、DDR受容体、RET受容体、KLG受容体、RYK受容体、MuSK受容体、ILβR、IlαR、TNTRSF、TRAIL受容体、ARTC1、アルファ−アクチニン−4、Bcr−abl、B−RAF、カスパーゼ、ベータ−カテニン、フィブロネクチン、GPNMB、GDP−L、LDLR、HLA−A2、MLA−A11、HSP70、KIAA205、MART2、MUM−1、2、3、PAP、neo−PAP、NFYC、OGT、OS−9、pml−RARアルファ融合タンパク質、PRDX5、PTPRK、KRAS2、NRAS、HRAS、RBAF600、SIRT2、SNRPD1、SYT−SSX1もしくは−SSX2融合タンパク質、トリオースリン酸イソメラーゼ、BAGE、BAGE−1、BAGE−2、3、4、5、GAGE−1、2、3、4、5、6、7、8、GnT−V、HERV−K MEL、KK−LC、KM−HN−1、LAGE、LAGE−1、CAMEL、MAGE−1、MAGE−A2、MAGE−A3、MAGE−A4、MAGE−AS、MAGE−A6、MAGE−A8、MAGE−A9、MAGE−A10、MAGE−A11、MAGE−A12、MAGE−3、MAGE−B1、MAGE−B2、MAGE−B5、MAGE−B6、MAGE−C1、MAGE−C2、ムチン1(MUC1)、MART−1/メランA(MLANA)、gp100、gp100/Pme117(S1LV)、チロシナーゼ(TYR)、TRP−1、HAGE、NA−88、NY−ESO−1、NY−ESO−1/LAGE−2、SAGE、Sp17、SSX−1、2、3、4、TRP2−1NT2、癌胎児抗原(CEA)、カリクレイン(Kallikfein)4、ママグロビン(mammaglobm)−A、OA1、前立腺特異的抗原(PSA)、前立腺特異的膜抗原、TRP−1/、75、TRP−2、AIM−2、BING−4、CPSF、サイクリンD1、Ep−CAM、EpbA3、FGF−5、gp250、iCE)、AFP、M−CSF、mdm−2、MUCI、p53(TP53)、PBF、FRAME、PSMA、RAGE−1、RNF43、RU2AS、SOX10、STEAP1、サバイビン(BIRCS)、hTERT、テロメラーゼ、WT1、SYCP1、BRDT、SPANX、XAGE、ADAM2、PAGE−5、LIP1、CTAGE−1、CSAGE、MMA1、CAGE、BORIS、HOM−TES−85、AF15q14、HCA66I、LDHC、MORC、SGY−1、SPO11、TPX1、NY−SAR−35、FTHLI7、NXF2 TDRD1、TEX 15、FATE、TPTE、エストロゲン受容体(ER)、アンドロゲン受容体(AR)、CD40、CD30、CD20、CD19、CD33、CD4、CD25、CD3、CA 72−4、CA 15−3、CA 27−29、CA 125、CA 19−9、ベータ−ヒト絨毛性ゴナドトロピン、1−2ミクログロブリン、扁平上皮癌抗原、神経特異的エノラーゼ(enoJase)、熱ショックタンパク質gp96、GM2、サルグラモスチム、CTLA−4、707−AP、ART−4、CAP−1、CLCA2、Cyp−B、HST−2、HPVタンパク質、EBVタンパク質、BもしくはC型肝炎ウイルスタンパク質、および/またはHIVタンパク質と感知されうる親和性で結合しない。
一部の実施形態では、本開示は、TβRII融合ポリペプチドであって、TβRIIドメインの他に追加のリガンド結合ドメインを含まないポリペプチドを提供する。一部の実施形態では、ポリペプチドは、TβRIIドメインおよび異種部分(例えば、Fc部分)を含む直鎖状アミノ酸配列を含むが、この直鎖状アミノ酸配列は、いずれの追加のリガンド結合ドメインも含まない。一部の実施形態では、ポリペプチドは、TβRIIドメインおよびFc部分を含む直鎖状アミノ酸配列を含むが、この直鎖状アミノ酸配列は、いずれの追加のリガンド結合ドメインも含まない。一部の実施形態では、本開示は、TβRII融合ポリペプチドであって、単一の直鎖状アミノ酸配列内に複数のリガンド結合ドメインを含まないポリペプチドを提供する。一部の実施形態では、本開示は、TβRII融合ポリペプチドであって、単一の直鎖状アミノ酸配列内に1つより多くの連続するリンカー配列を含まないポリペプチドを提供する。一部の実施形態では、ポリペプチドは、単一の直鎖状アミノ酸配列内に複数の連続するグリシンおよび/またはセリンリンカー(例えば、(GGGGS)n(ここで、n=≧4)を含むリンカー)を含まない。一部の実施形態では、本開示は、異種部分がFcドメインであり、1つだけの連続するリンカーがFcドメインと共有結合している、TβRII融合ポリペプチドを提供する。一部の実施形態では、1つだけの連続するリンカーは、(GGGGS)nリンカー(ここで、n=≧4)を含むか、そのような(GGGGS)nリンカーからなる。
6.核酸および製造方法
ある特定の実施形態では、本開示は、他のタンパク質および/または他のTβRIIポリペプチド種から単離されているか、そうでなければ実質的にそれらがない(例えば、少なくとも80%、90%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%それらがない)、単離および/または精製された形態のTβRIIポリペプチド融合タンパク質を提供する。TβRIIポリペプチドは、一般に、組換え核酸からの発現により産生されることになる。
ある特定の実施形態では、本開示は、TβRIIタンパク質の細胞外部分のコード配列を含む可溶性TβRIIポリペプチドをコードする核酸を含む。さらなる実施形態では、本開示は、そのような核酸を含む宿主細胞にも関する。宿主細胞は、いずれの原核または真核細胞であってもよい。例えば、本開示のポリペプチドをE.coliなどの細菌細胞において発現させてもよく、昆虫細胞において(例えば、バキュロウイルス発現系を使用して)発現させてもよく、酵母、または哺乳動物細胞において発現させてもよい。他の適する宿主細胞は、当業者に公知である。したがって、本開示の一部の実施形態は、TβRIIポリペプチドを産生する方法にさらに関する。
ある特定の態様では、本開示は、本明細書で開示されるTβRIIポリペプチド(断片、機能性変異体および融合タンパク質を含む)のいずれかをコードする単離されたおよび/または組換え核酸を提供する。配列番号10、12および14は、IgG Fcドメインに融合しているTβRII細胞外ドメインの変異体をコードする。対象核酸は、一本鎖状であってもよく、また二本鎖状であってもよい。そのような核酸は、DNA分子であってもよく、またはRNA分子であってもよい。これらの核酸を、例えば、TβRIIポリペプチドを作製する方法においてまたは直接治療剤として(例えば、アンチセンス、RNAiもしくは遺伝子療法アプローチにおいて)使用することができる。
ある特定の態様では、TβRIIポリペプチドをコードする対象核酸は、配列番号10、12および14の変異体である核酸を含むと、さらに理解される。変異ヌクレオチド配列は、対立遺伝子変異体などの、1または複数のヌクレオチド置換、付加または欠失の点で異なる配列を含む。
ある特定の実施形態では、本開示は、配列番号10、12および14と少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一である、単離されたまたは組換え核酸配列を提供する。ある特定の実施形態では、本開示は、配列番号12またはその断片と少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一である、単離されたもしくは組換え核酸配列、を提供する。配列番号10、12および14と相補的な核酸配列、および配列番号10、12および14の変異体も、本開示の範囲内であることは、当業者には理解されると予想される。さらなる実施形態では、本開示の核酸配列は、単離されていてもよく、組換えであってもよく、および/または異種ヌクレオチド配列と融合していてもよく、またはDNAライブラリー内にあってもよい。
他の実施形態では、本開示の核酸は、配列番号10、12および14で指定されるヌクレオチド配列、配列番号10、12および14の相補配列、またはそれらの断片と、高ストリンジェント条件下でハイブリダイズするヌクレオチド配列も含む。上で論じたようなDNAハイブリダイゼーションを促進する適切なストリンジェンシー条件を変えることができることは、当業者には容易に理解されると予想される。例えば、約45℃で6.0×塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム(SSC)でのハイブリダイゼーション、続いて50℃での2.0×SSCの洗浄を行うことができるだろう。例えば、洗浄ステップにおける塩濃度を、50℃で約2.0×SSCの低ストリンジェンシーから50℃で約0.2×SSCの高ストリンジェンシーまでから選択することができる。加えて、洗浄ステップにおける温度を、室温、約22℃での低ストリンジェンシー条件から、約65℃での高ストリンジェンシー条件へと上昇させることができる。温度と塩の両方を変えてもよく、または温度もしくは塩濃度を、他方の変数を変化させながら、一定に保持してもよい。一部の実施形態では、本開示は、室温で6×SSC、続いての室温で2×SSCでの洗浄という低ストリンジェンシー条件下でハイブリダイズする核酸を提供する。
遺伝コードの縮重に起因して配列番号10、12および14に示されるような核酸とは異なる、単離された核酸も、本開示の範囲内である。例えば、多数のアミノ酸が、1つより多くのトリップレットにより指定される。同じアミノ酸、または同義語(例えば、CAUおよびCACは、ヒスチジンの同義語である)を規定するコドンが、タンパク質のアミノ酸配列に影響を与えない「サイレント」突然変異をもたらすこともある。しかし、対象タンパク質のアミノ酸配列の変化につながるDNA配列多型性が、哺乳動物細胞間に存在すると予想される。特定のタンパク質をコードする核酸の1つまたは複数のヌクレオチド(ヌクレオチドの約3〜5%以下)についてのこれらの多様性が、自然対立遺伝子変異に起因して所与の種の個体間に存在することがあることは、当業者には理解されると予想される。任意のおよびすべてのそのようなヌクレオチド多様性ならびに結果として生じるアミノ酸多型性は、本開示の範囲内である。
TβRIIのロングアイソフォームに基づく対応する変異体が、25アミノ酸挿入をコードするとともに挿入のC末端側の隣接位置に保存的Val−Ile置換をコードする、ヌクレオチド配列を含むことになることは、当業者には理解されると予想される。TβRIIのロング(A)またはショート(B)アイソフォームのどちらかに基づく対応する変異体が、36アミノ酸挿入をコードする108ヌクレオチドの挿入(配列番号41)を、天然に存在するTβRIIアイソフォームCについて記載されたのと同じ位置に含む、変異ヌクレオチド配列を含むことになることも、理解されると予想される。
ある特定の実施形態では、本開示の組換え核酸を、発現構築物中の1つまたは複数の調節ヌクレオチド配列に作動可能に連結させることができる。調節ヌクレオチド配列は、一般に、発現に使用される宿主細胞に適していると予想される。非常に多くのタイプの適切な発現ベクターおよび適する調節配列が、様々な宿主細胞について当技術分野では公知である。典型的には、前記1つまたは複数の調節ヌクレオチド配列は、プロモーター配列、リーダーまたはシグナル配列、リボソーム結合部位、転写開始および終結配列、翻訳開始および終結配列、ならびにエンハンサーまたはアクチベーター配列を含みうるが、これらに限定されない。当技術分野において公知であるような構成的または誘導性プロモーターが、本開示により企図される。プロモーターは、天然に存在するプロモーターであってもよく、または1つより多くのプロモーターのエレメントを併せ持つハイブリッドプロモーターであってもよい。発現構築物は、細胞におけるプラスミドなどのエピソーム上に存在してもよく、または発現構築物を染色体内に挿入してもよい。好ましい実施形態では、発現ベクターは、形質転換された宿主細胞の選択を可能にするための選択マーカー遺伝子を含有する。選択マーカー遺伝子は、当技術分野において周知であり、使用される宿主細胞によって変わることになる。
本明細書で開示されるある特定の態様では、対象核酸は、TβRIIポリペプチドをコードするヌクレオチド配列であって、少なくとも1つの調節配列に作動可能に連結されているヌクレオチド配列を含む、発現ベクター内に備えられている。調節配列は、当技術分野で認知されており、TβRIIポリペプチドの発現を指示するために選択される。したがって、用語「調節配列」は、プロモーター、エンハンサー、および他の発現制御エレメントを含む。例示的調節配列は、Goeddel;Gene Expression Technology: Methods in Enzymology、Academic Press、San Diego、CA(1990年)に記載されている。例えば、DNA配列に作動可能に連結されているときそのDNA配列の発現を制御する多種多様な発現制御配列のいずれかを、これらのベクターにおいて使用して、TβRIIポリペプチドをコードするDNA配列を発現させることができる。そのような有用な発現制御配列は、例えば、SV40の初期および後期プロモーター、tetプロモーター、アデノウイルスまたはサイトメガロウイルス最初期プロモーター、RSVプロモーター、lac系、trp系、TACまたはTRC系、発現がT7 RNAポリメラーゼにより指示されるT7プロモーター、ファージラムダの主要オペレーターおよびプロモーター領域、fdコートタンパク質の制御領域、3−ホスホグリセリン酸キナーゼまたは他の糖分解酵素、酸ホスファターゼのプロモーター、例えばPho5、酵母α−接合因子のプロモーター、バキュロウイルス系の多角体プロモーター、および原核もしくは真核細胞またはそれらのウイルスの遺伝子の発現を制御することが公知の他の配列、ならびにそれらの様々な組合せを含む。発現ベクターの設計が、形質転換される宿主細胞の選択および/または発現されることが所望されるタンパク質のタイプのような因子に依存しうることは、理解されるはずである。さらに、ベクターのコピー数、そのコピー数を制御する能力、およびベクターによりコードされている任意の他のタンパク質、例えば抗生物質マーカー、の発現も、考慮する必要がある。
本開示に含まれる組換え核酸は、クローニングされた遺伝子またはその一部分を、原核細胞、真核細胞(酵母、トリ、昆虫または哺乳動物細胞)のどちらかまたは両方における発現に適するベクターにライゲートすることにより、産生することができる。組換えTβRIIポリペプチドの産生のための発現ビヒクルは、プラスミドおよび他のベクターを含む。例えば、E.coliなどの原核細胞における発現に適するベクターは、次のタイプのプラスミドを含む:pBR322由来プラスミド、pEMBL由来プラスミド、pEX由来プラスミド、pBTac由来プラスミドおよびpUC由来プラスミド。
一部の哺乳動物発現ベクターは、細菌におけるベクターの伝播を助長するための原核生物配列と、真核細胞において発現される1つまたは複数の真核生物転写ユニットとの両方を含有する。pcDNAI/amp、pcDNAI/neo、pRc/CMV、pSV2gpt、pSV2neo、pSV2−dhfr、pTk2、pRSVneo、pMSG、pSVT7、pko−neoおよびpHyg由来ベクターは、真核細胞のトランスフェクションに適する哺乳動物発現ベクターの例である。これらのベクターの一部は、原核細胞と真核細胞の両方における複製および薬物耐性選択を助長するために、pBR322などの細菌プラスミドからの配列で修飾される。あるいは、ウシパピローマウイルス(BPV−1)、またはエプスタイン・バーウイルス(pHEBo、pREP由来およびp205)などのウイルスの派生物を、真核細胞におけるタンパク質の一過性発現に使用することができる。他のウイルス(レトロウイルスを含む)発現系の例は、下の遺伝子療法用送達系の説明の中で見つけることができる。プラスミドの調製におよび宿主生物の形質転換に利用される様々な方法が、当技術分野において周知である。原核細胞および真核細胞の両方についての他の適する発現系、ならびに一般的な組換え手順については、Molecular Cloning A Laboratory Manual、第3版、Sambrook、FritschおよびManiatis編(Cold Spring Harbor Laboratory Press、2001年)を参照されたい。一部の事例では、バキュロウイルス発現系の使用により組換えポリペプチドを発現させることが望ましいことがある。そのようなバキュロウイルス発現系の例としては、pVL由来ベクター(例えば、pVL1392、pVL1393およびpVL941)、pAcUW由来ベクター(例えば、pAcUW1)、およびpBlueBac由来ベクター(例えば、β−gal含有pBlueBac III)が挙げられる。
ある特定の実施形態では、ベクター、例えば、Pcmv−Scriptベクター(Stratagene、La Jolla、Calif.)、pcDN4ベクター(Invitrogen、Carlsbad、Calif.)およびpCI−neoベクター(Promega、Madison、Wisc.)は、CHO細胞における対象TβRIIポリペプチドの産生用に設計されることになる。好ましい実施形態では、ベクターは、HEK−293細胞における対象TβRIIポリペプチドの産生用に設計されることになる。明らかと予想されるが、対象遺伝子構築物を使用して、精製のために、培養で繁殖された細胞において対象TβRIIポリペプチドの発現を起こさせて、例えば、融合タンパク質または変異タンパク質を含む、タンパク質を産生することができる。
本開示は、対象TβRIIポリペプチドの1つまたは複数についてのコード配列(例えば、配列番号10、12または14)を含む組換え遺伝子がトランスフェクトされた宿主細胞にも関する。宿主細胞は、いずれの原核または真核細胞であってもよい。例えば、本明細書で開示されるTβRIIポリペプチドを、E.coliなどの細菌細胞において発現させてもよく、昆虫細胞において(例えば、バキュロウイルス発現系を使用して)発現させてもよく、酵母、または哺乳動物細胞において発現させてもよい。他の適する宿主細胞は、当業者に公知である。
したがって、本開示は、対象TβRIIポリペプチドを産生する方法に、さらに関する。例えば、TβRIIポリペプチドをコードする発現ベクターがトランスフェクトされた宿主細胞を、TβRIIポリペプチドの発現を起こさせるのに適切な条件下で、培養することができる。細胞とTβRIIポリペプチドを含有する培地との混合物から、TβRIIポリペプチドを分泌させ、単離することができる。あるいは、TβRIIポリペプチドを細胞質にまたは膜画分中に保持し、細胞を回収し、溶解し、タンパク質を単離することができる。細胞培養物は、宿主細胞および培地を含む。細胞培養に適する培地は、当技術分野において周知である。イオン交換クロマトグラフィー、ゲル濾過クロマトグラフィー、限外濾過、電気泳動、TβRIIポリペプチドの特定のエピトープに特異的な抗体を用いるイムノアフィニティー精製、ならびにTβRIIポリペプチドに融合しているドメインと結合する薬剤を用いるアフィニティー精製(例えば、プロテインAカラムを使用して、TβRII−Fc融合体を精製することができる)を含む、タンパク質を精製するための当技術分野において公知の手法を使用して、対象TβRIIポリペプチドを細胞培養培地、宿主細胞、または両方から単離することができる。好ましい実施形態では、TβRIIポリペプチドは、その精製を助長するドメインを含有する融合タンパク質である。例として、精製は、例えば、次のうちの3つまたはそれより多くを任意の順序で含む一連のカラムクロマトグラフィーステップにより果たすことができる:プロテインAクロマトグラフィー、Qセファロースクロマトグラフィー、フェニルセファロースクロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィーおよびカチオン交換クロマトグラフィー。ウイルス濾過および緩衝液交換を用いて精製を遂行することもできるだろう。
別の実施形態では、組換えTβRIIポリペプチドの所望の部分のN末端におけるポリ(His)/エンテロキナーゼ切断部位配列などの精製リーダー配列をコードする融合遺伝子が、Ni2+金属樹脂を使用するアフィニティークロマトグラフィーによる発現された融合タンパク質の精製を可能にしうる。そして、その後、精製リーダー配列をエンテロキナーゼでの処置により除去して、精製されたTβRIIポリペプチドを得ることができる(例えば、Hochuliら、(1987年)J. Chromatography 411巻:177頁;およびJanknechtら、PNAS USA 88巻:8972頁を参照されたい)。
融合遺伝子を作製する手法は、周知である。本質的には、異なるポリペプチド配列をコードする様々なDNA断片の連結は、従来の技術に従って、ライゲーションのために平滑末端またはずらした配置の末端を利用して、適切な末端を得るために制限酵素消化を利用して、付着末端の埋め込みを適宜利用して、望ましくない連結を回避するためにアルカリホスファターゼ処置を利用して、および酵素的ライゲーションを利用して、行われる。別の実施形態では、自動DNA合成装置を含む従来の手法により、融合遺伝子を合成することができる。あるいは、遺伝子断片のPCR増幅を、2つの連続した遺伝子断片間に相補的オーバーハングを生じさせるアンカープライマーを使用して行うことができ、その後、それらのオーバーハングをアニールして、キメラ遺伝子配列を生成することができる(例えば、Current Protocols in Molecular Biology、Ausubelら編、John Wiley & Sons: 1992年を参照されたい)。
7.Fc−融合タンパク質の変化
本願は、改変または変異Fc領域を有するTβRII−Fc融合タンパク質をさらに提供する。そのような抗体およびFc融合タンパク質は、例えば、抗原依存性細胞傷害(ADCC)および補体依存性細胞傷害(CDC)などの、エフェクター機能のモジュレートに有用でありうる。加えて、修飾は、抗体およびFc融合タンパク質の安定性を向上させることができる。抗体およびFc融合タンパク質のアミノ酸配列変異体は、適切なヌクレオチド変化をDNAに導入することによりまたはペプチド合成により調製される。そのような変異体は、例えば、本明細書で開示される抗体およびFc融合タンパク質のアミノ酸配列からの残基の欠失、および/または前記アミノ酸配列への残基の挿入、および/または前記アミノ酸配列内の残基の置換を含む。最終構築物が所望の特性を有することを条件に、欠失と挿入と置換の任意の組合せが、最終構築物に達するために行われる。アミノ酸変化は、グリコシル化部位の数または位置を変化させることなどの、抗体およびFc融合タンパク質の翻訳後プロセスを変更することができる。
エフェクター機能が低下した抗体およびFc融合タンパク質は、Bluestoneらにより記載されたAla−Ala突然変異(WO94/28027およびWO98/47531を参照されたい;Xuら、2000年、Cell Immunol 200巻;16〜26頁も参照されたい)をこれに限定されないが含む、アミノ酸配列の変化を導入することにより、産生することができる。したがって、ある特定の実施形態では、Ala−Ala突然変異を含む、定常領域内の突然変異を有する、本開示のFc融合タンパク質を使用して、エフェクター機能を低下または消滅させることができる。これらの実施形態によれば、抗体およびFc融合タンパク質は、234位におけるアラニンへの突然変異、または235位におけるアラニンへの突然変異、またはこれらの組合せを含みうる。一実施形態では、抗体またはFc融合タンパク質は、IgG4フレームワークを含み、この場合、Ala−Ala突然変異は、234位におけるフェニルアラニンからアラニンへの突然変異、および/または235位におけるロイシンからアラニンへの突然変異を表すことになる。別の実施形態では、抗体またはFc融合タンパク質は、IgG1フレームワークを含み、この場合、Ala−Ala突然変異は、234位におけるロイシンからアラニンへの突然変異、および/または235位におけるロイシンからアラニンへの突然変異を表すことになる。抗体またはFc融合タンパク質は、CH2ドメインにおける点突然変異K322Aを含む、他の突然変異を、代替的に、または加えて、有することができる(Hezarehら、2001年 J Virol.75巻:12161〜8頁)。
特定の実施形態では、抗体またはFc融合タンパク質を、補体依存性細胞傷害(CDC)を増強することまたは阻害すること、どちらかのために、修飾することができる。CDC活性のモジュレートは、1つまたは複数のアミノ酸置換、挿入または欠失をFc領域に導入することにより果たすことができる(例えば、米国特許第6,194,551号を参照されたい)。あるいは、または加えて、システイン残基をFc領域に導入することができ、それによって、この領域内での鎖間ジスルフィド結合形成が可能になる。このようにして生成されたホモ二量体は、内在化能力の向上もしくは低下、および/または補体媒介細胞死滅の増加もしくは減少を有することができる。Caronら、J. Exp Med.176巻:1191〜1195頁(1992年)およびShopes, B. J. Immunol.148巻:2918〜2922頁(1992年)、WO99/51642、DuncanおよびWinter Nature 322巻:738〜40頁(1988年);米国特許第5,648,260号、米国特許第5,624,821号、ならびにWO94/29351を参照されたい。
8.スクリーニングアッセイ
ある特定の態様では、本発明は、TGFβ1、TGFβ3およびTβRIIシグナル伝達経路のアゴニストまたはアンタゴニストである化合物(薬剤)を同定するためのTβRIIポリペプチド(例えば、可溶性TβRIIポリペプチド)の使用に関する。このスクリーニングによって同定された化合物を試験して、in vitroでTGFβ1およびTGFβ3シグナル伝達活性をモジュレートするそれらの能力を評定することができる。必要に応じて、これらの化合物を動物モデルでさらに試験して、in vivoで組織成長をモジュレートするそれらの能力を評定することができる。
TGFβ1、TGFβ3およびTβRIIポリペプチドを標的化することにより組織成長をモジュレートする治療剤をスクリーニングするための非常に多くのアプローチがある。ある特定の実施形態では、化合物のハイスループットスクリーニングを行って、TGFβ1、TGFβ3またはTβRII媒介細胞シグナル伝達を乱す薬剤を同定することができる。ある特定の実施形態では、アッセイは、TβRIIポリペプチドのTGFβ1またはTGFβ3との結合を特異的に阻害または低減させる化合物のスクリーニングおよび同定のために行われる。あるいは、アッセイを使用して、TβRIIポリペプチドのTGFβ1またはTGFβ3との結合を増進させる化合物を同定することができる。さらなる実施形態では、化合物を、TGFβ1、TGFβ3またはTβRIIポリペプチドと相互作用するそれらの能力により、同定することができる。
様々なアッセイ形式は、十分と予想され、本開示に照らして、本明細書に明確に記載されていないものが、それにもかかわらず、当業者により把握されると予想される。本明細書に記載されるように、本発明の被験化合物(薬剤)をいずれのコンビナトリアルケミストリー法により作出してもよい。あるいは、対象化合物は、in vivoまたはin vitroで合成された天然に存在する生体分子であってもよい。組織成長のモジュレーターとして作用するそれらの能力について試験される化合物(薬剤)は、例えば、細菌、酵母、植物または他の生物より産生されることもあり(例えば、天然産物)、化学的に生成されることもあり(例えば、ペプチド模倣物をはじめとする小分子)、または組換えにより産生されることもある。本発明により企図される被験化合物は、非ペプチジル有機分子、ペプチド、ポリペプチド、ペプチド模倣物、糖、ホルモン、および核酸分子を含む。特定の実施形態では、被験薬剤は、約2,000ダルトン未満の分子量を有する有機小分子である。
本発明の被験化合物を、単一の、個別の実体として提供することができ、またはコンビナトリアルケミストリーにより作製されるものなどの、複雑度がより高いライブラリーで提供することができる。これらのライブラリーは、例えば、アルコール、ハロゲン化アルキル、アミン、アミド、エステル、アルデヒド、エーテルおよび他のクラスの有機化合物を含むことができる。試験系に対する被験化合物の提示は、単離された形態であってもよく、または特に初期スクリーニングステップでは、化合物の混合物としてであってもよい。必要に応じて、化合物を必要に応じて他の化合物を用いて誘導体化してもよく、化合物が、化合物の単離を助長する誘導体化基を有してもよい。誘導体化基の非限定的な例としては、ビオチン、フルオレセイン、ジゴキシゲニン、緑色蛍光タンパク質、同位体、ポリヒスチジン、磁気ビーズ、グルタチオンSトランスフェラーゼ(GST)、光活性化可能な架橋剤、またはこれらの組合せが挙げられる。
化合物および天然抽出物のライブラリーを試験する多くの薬物スクリーニングプログラムにおいて、ハイスループットアッセイは、所与の期間内に調査される化合物の数を最大化するために望ましい。精製または半精製タンパク質を用いて誘導されうるものなどの、無細胞系で行われるアッセイは、被験化合物により媒介される分子標的の変化の迅速な発生および比較的容易な検出を可能にするようにそれらを生成することができることから、「一次」スクリーンとして好ましいことが多い。さらに、被験化合物の細胞傷害性またはバイオアベイラビリティの効果は、in vitro系では一般に無視することができ、その代わり、アッセイは、TβRIIポリペプチドとTGFβ1またはTGFβ3との間の結合親和性の変化として顕在化しうるような、分子標的に対する薬物の効果に主眼が置かれうる。
単に説明するために、本発明の例示的スクリーニングアッセイでは、目的の化合物を、TGFβ1またはTGFβ3と通常は結合することができる単離され精製されたTβRIIポリペプチドと接触させる。次いで、化合物とTβRIIポリペプチドの混合物に、TβRIIリガンドを含有する組成物を添加する。TβRII/TGFβ1またはTβRII/TGFβ3複合体の検出および定量は、TβRIIポリペプチドとTGFβ1またはTGFβ3との複合体形成を阻害する(または増強する)点での化合物の有効性を判定する手段となる。化合物の有効性は、様々な濃度の被験化合物を使用して得られたデータから用量反応曲線を生成することにより評定することができる。さらに、対照アッセイを行って、比較のためのベースラインを得ることもできる。例えば、対照アッセイでは、単離され精製されたTGFβ1またはTGFβ3を、TβRIIポリペプチドを含有する組成物に添加し、TβRII/TGFβ1またはTβRII/TGFβ3複合体の形成を被験化合物の非存在下で定量する。一般に、反応物を混合する順序を変えてもよく、同時に混合してもよいことは、理解されると予想される。さらに、精製されたタンパク質の代わりに、細胞の抽出物および溶解物を使用して、適する無細胞アッセイ系を得ることができる。
TβRIIポリペプチドとTGFβ1またはTGFβ3との間の複合体形成を、様々な手法により検出することができる。例えば、複合体の形成のモジュレートは、例えば、検出可能に標識されたタンパク質、例えば、放射標識された(例えば、32P、35S、14Cもしくは3H)、蛍光標識された(例えば、FITC)または酵素標識されたTβRIIポリペプチドまたはTGFβ1またはTGFβ3を使用して、イムノアッセイにより、またはクロマトグラフ検出により、定量することができる。
ある特定の実施形態では、本発明は、TβRIIポリペプチドとその結合タンパク質の間の相互作用度を直接または間接的に、どちらかで、測定する際の蛍光偏光アッセイおよび蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)アッセイの使用を企図している。さらに、光導波路(例えば、PCT公開WO96/26432および米国特許第5,677,196号)、表面プラズモン共鳴(SPR)、表面電荷センサーおよび面積力センサーに基づくものなど他の検出方法が、本発明の多くの実施形態と適合する。
さらに、本発明は、TβRIIポリペプチドとその結合タンパク質の間の相互作用を妨げるまたは増強する薬剤を同定するための、「ツーハイブリッドアッセイ」としても公知の、相互作用捕捉アッセイの使用を企図している。例えば、米国特許第5,283,317号;Zervosら(1993年)Cell 72巻:223〜232頁;Maduraら(1993年)J Biol Chem 268巻:12046〜12054頁;Bartelら(1993年)Biotechniques 14巻:920〜924頁;およびIwabuchiら(1993年)Oncogene 8巻:1693〜1696頁を参照されたい)。特定の実施形態では、本発明は、TβRIIポリペプチドとその結合タンパク質との間の相互作用を解離させる化合物(例えば、小分子またはペプチド)を同定するための逆ツーハイブリッド系の使用を企図している。例えば、VidalおよびLegrain、(1999年)Nucleic Acids Res 27巻:919〜29頁;VidalおよびLegrain、(1999年)Trends Biotechnol 17巻:374〜81頁;ならびに米国特許第5,525,490号、同第5,955,280号および同第5,965,368号を参照されたい。
ある特定の実施形態では、対象化合物は、本発明のTβRIIまたはTGFβ1またはTGFβ3ポリペプチドと相互作用するそれらの能力により同定される。化合物とTβRIIまたはTGFβ1またはTGFβ3ポリペプチドとの間の相互作用は、共有結合性であることもあり、または非共有結合性であることもある。例えば、そのような相互作用を、光架橋、放射標識リガンド結合、およびアフィニティークロマトグラフィーを含む、in vitro生化学的方法を使用して、タンパク質レベルで同定することができる(Jakoby WBら、1974年、Methods in Enzymology 46巻:1頁)。ある特定の場合には、化合物を、機序に基づくアッセイ、例えば、TGFβ1またはTGFβ3またはTβRIIポリペプチドと結合する化合物を検出するためのアッセイで、スクリーニングすることができる。これは、固相または流体相結合事象を含みうる。あるいは、TGFβ1またはTGFβ3またはTβRIIポリペプチドをコードする遺伝子をレポーター系(例えば、β−ガラクトシダーゼ、ルシフェラーゼ、または緑色蛍光タンパク質)で細胞にトランスフェクトし、ライブラリーに対して好ましくはハイスループットスクリーニングにより、またはライブラリーの個々のメンバーに関して、スクリーニングすることができる。機序に基づく他の結合アッセイ、例えば、自由エネルギーの変化を検出する結合アッセイを、使用してもよい。結合アッセイは、ウェル、ビーズもしくはチップに固定された標的、または固定化された抗体により捕捉された標的、またはキャピラリー電気泳動により分割された標的を用いて、行うことができる。結合した化合物は、通常、比色分析または蛍光または表面プラズモン共鳴を使用して検出することができる。
ある特定の態様では、本発明は、TGFβ1媒介またはTGFβ3媒介細胞シグナル伝達をモジュレートする(刺激するまたは阻害する)ための方法および薬剤を提供する。そのために、同定された任意の化合物を、全細胞または組織において、in vitroまたはin vivoで試験して、TGFβ1またはTGFβ3シグナル伝達をモジュレートするそれらの能力を確認することができる。当技術分野において公知の様々な方法をこのために利用することができる。
9.例示的な治療使用
本明細書で使用される場合、障害または状態を「予防する」治療薬は、統計学的サンプルにおいて、処置サンプルにおいて未処置対照サンプルと比較して障害または状態の発生率を低下させる化合物、あるいは未処置対照サンプルと比較して障害もしくは状態の1つもしくは複数の症状の発生を遅延させるか、または前記症状の重症度を低下させる化合物を指す。
用語「処置」、「処置すること」、「軽減」およびこれらに類する用語は、本明細書では、所望の薬理的および/または生理的効果を得ることを一般に意味するように使用され、処置される状態の1つまたは複数の症状を向上させること、軽減すること、および/または前記症状の重症度を低下させることを指すために使用されることもある。効果は、疾患、状態、もしくはその症状の発生もしくは再発を完全にもしくは部分的に遅延させるという観点から予防的であることもあり、ならびに/または疾患もしくは状態および/もしくは疾患もしくは状態に起因する有害作用に対する部分的もしくは完全治癒という観点から治療的であることもある。「処置」は、本明細書で使用される場合、哺乳動物、特にヒト、の疾患または状態のあらゆる処置を包含し、(a)疾患もしくは状態の素因を有しうるが、まだその疾患もしくは状態を有すると診断されていない対象において疾患または状態が起こらないように予防すること、(b)疾患もしくは状態を抑制すること(例えば、その進展を阻止すること)、または(c)疾患もしくは状態を緩和すること(例えば、疾患もしくは状態の退行を起こさせること、1つもしくは複数の症状の改善をもたらすこと)を含む。
用語「患者」、「対象」、または「個体」は、本明細書では同義で使用され、ヒトまたは非ヒト動物のどちらかを指す。これらの用語は、哺乳動物、例えば、ヒト、非ヒト霊長類、実験動物、家畜動物(ウシ、ブタ、ラクダなどを含む)、伴侶動物(例えば、イヌ、ネコ、他の飼育動物など)、および齧歯動物(例えば、マウスおよびラット)を含む。特定の実施形態では、患者、対象または個体は、ヒトである。
本開示は、TGFβスーパーファミリーメンバーに関連する疾患または状態を、上述のTβRII−Fc融合タンパク質を含む、TβRIIポリペプチド(本明細書では、以降、「治療剤」と総称される)の有効量を対象に投与することにより、処置または予防する方法を提供する。一部の実施形態では、疾患または状態は、TGFβ1またはTGFβ3シグナル伝達の異常調節に関連している。ある特定の心血管または血管障害を処置するための方法および組成物も提供される。加えて、本開示は、がんを処置または予防するための方法および組成物を提供する。加えて、本開示は、線維性障害および状態を処置または予防するための方法および組成物を提供する。
特に、本開示のポリペプチド治療剤は、慢性血管または心血管疾患の処置または予防に有用である。この種の例示的障害としては、心疾患(心筋疾患、心筋梗塞、狭心症、および心臓弁膜症を含む);腎疾患(慢性糸球体炎症、糖尿病性腎不全、およびループス関連腎炎症を含む);アテローム動脈硬化症または他のタイプの動脈硬化症に関連する障害(脳卒中、脳出血、くも膜下出血、狭心症、および腎動脈硬化症を含む);血栓性障害(脳血栓症、血栓性腸管壊死を含む);糖尿病の合併症(糖尿病関連腎疾患、白内障、糖尿病関連腎疾患、糖尿病関連神経障害(neuropathology)、糖尿病関連壊疽、および糖尿病関連慢性感染症を含む);血管炎症性障害(全身性エリテマトーデス、関節リウマチ、関節動脈炎、大細胞型動脈炎、川崎病、高安動脈炎、チャーグ・ストラウス症候群、およびノッホ・シェーンライン紫斑病);糖尿病性血管障害;ならびに心臓障害、例えば、先天性心疾患、心筋症(例えば、拡張型、肥大型、拘束型心筋症)、およびうっ血性心不全が挙げられるが、これらに限定されない。例示的な障害としては、さらに、遺伝性出血性毛細血管拡張症(HHT)、マルファン症候群、ロイス・ディーツ症候群、家族性胸部大動脈瘤症候群、動脈蛇行症候群、子癇前症、および再狭窄が挙げられるが、これらに限定されない。
TβRIIポリペプチドを対象に単独で投与することができ、またはTGFβ関連心血管障害および/もしくは状態の処置に有用である1つもしくは複数の薬剤もしくは治療モダリティー、例えば治療剤、と組み合わせて投与することができる。ある特定の実施形態では、第二の薬剤または治療モダリティーは、血管形成術、ベータ遮断薬、降圧薬、強心薬、抗血栓薬、血管拡張薬、ホルモンアンタゴニスト、エンドセリンアンタゴニスト、カルシウムチャネル遮断薬、ホスホジエステラーゼ阻害剤、アンジオテンシン2型アンタゴニストおよび/またはサイトカイン遮断薬/阻害剤のうちの1つまたは複数から選択される。
特に、本開示のポリペプチド治療剤は、がん(腫瘍)の処置または予防に有用である。用語「がん」および「がん性の」は、無秩序な細胞成長/増殖を典型的に特徴とする哺乳動物における身体的状態を指す、またはそのような状態を記述する。がん、または腫瘍性障害の例としては、癌、リンパ腫、芽腫、肉腫および白血病が挙げられるが、これらに限定されない。そのようながんのより詳細な例としては、扁平上皮がん、腹膜がん、肝細胞がん、消化器がん、膵臓がん、膠芽腫、子宮頸がん、卵巣がん、肝臓がん、膀胱がん、ヘパトーマ、乳がん、結腸がん、結腸直腸がん、子宮内膜または子宮癌、唾液腺癌、腎臓がん、前立腺がん、外陰部がん、甲状腺がん、肝癌、胃がん、腸がん、皮膚がん、骨がん、胃のがん、メラノーマ、および様々なタイプの頭頸部がん(頭頸部扁平上皮がんを含む)が挙げられる。腫瘍性障害および関連状態の他の例としては、食道癌、莢膜細胞腫、男化腫瘍、子宮内膜増殖症、子宮内膜症、線維肉腫、絨毛癌、上咽頭癌、咽頭癌、肝芽腫、カポジ肉腫、皮膚癌、血管腫、海綿状血管腫、血管芽細胞腫、網膜芽細胞腫、星細胞腫、膠芽腫、シュワン腫、乏突起神経膠腫、髄芽腫、神経芽腫、横紋筋肉腫、骨原性肉腫、平滑筋肉腫、尿路癌、ウィルムス腫瘍、腎細胞癌、前立腺癌、母斑症に関連する異常血管増殖、およびメイグス症候群が挙げられる。本明細書に記載される治療剤での処置に特に適しているがんは、がんが、腫瘍もしくは血清において検出可能なTβRIIレベル上昇を有すること、TGFβ1もしくはTGFβ3の発現レベル上昇もしくは生物活性増大を有すること、転移性であるか、もしくは転移性になるリスクがあること、またはこれらの組合せ、のうちの1つまたは複数を特徴としうる。
そのような方法のある特定の実施形態では、1つまたは複数のポリペプチド治療剤を一緒に(同時に)投与することができ、または異なる時点で(逐次的に)投与することができる。加えて、ポリペプチド治療剤を、がんの処置のためのまたは血管新生を阻害するための別のタイプの化合物とともに投与することができる。
ある特定の実施形態では、本開示の対象方法を単独で使用することができる。あるいは、対象方法を、増殖性障害(例えば、腫瘍)の処置または予防に向けた他の従来の抗がん治療アプローチと組み合わせて使用してもよい。例えば、そのような方法を、発症予防的ながんの防止、外科手術後のがん再発および転移の防止、ならびに他の従来のがん治療のアジュバントとして使用することができる。本開示により、従来のがん治療(例えば、化学療法、放射線療法、光線療法、免疫療法、および外科手術)の有効性を、対象ポリペプチド治療剤の使用によって増強することができることが認識される。
多彩な従来の化合物が抗悪性腫瘍または抗がん活性を有することは証明されている。これらの化合物は、化学療法において、固形腫瘍を縮小するための、転移およびさらなる成長を防止するための、または白血病性悪性病変もしくは骨髄悪性病変における悪性細胞の数を減少させるための医薬剤として、使用されてきた。化学療法は、様々なタイプの悪性病変の処置に有効であり続けているが、多くの抗悪性腫瘍化合物は、望ましくない副作用を誘導する。2つまたはそれより多くの異なる処置を組み合わせたとき、それらの処置は、相乗的に働き、それらの処置各々の投薬量の低減を可能にすることによって、より高い投薬量で各化合物により発揮される有害な副作用を低減させることができることが、証明されている。他の事例では、ある処置が無効である悪性病変が、2つまたはそれより多くの異なる処置の併用療法に応答することもある。
本明細書で開示される治療剤を別の従来の抗悪性腫瘍剤と組み合わせて同時にまたは逐次的に、どちらかで、投与したとき、そのような治療剤は、抗悪性腫瘍剤の治療効果を増強することができ、またはそのような抗悪性腫瘍剤に対する細胞の耐性を克服することができる。これは、抗悪性腫瘍剤の投薬量の減少を可能し、それによって望ましくない副作用が低減されるか、または耐性細胞における抗悪性腫瘍剤の有効性が回復される。
本開示によれば、本明細書に記載されるポリペプチド治療剤を、疾患の処置のための他の組成物および手順と組み合わせて使用することができる。例えば、TβRIIポリペプチドと組み合わせた外科手術、放射線または化学療法で従来通りに腫瘍を処置することができ、そして、その後、微小転移の休眠を延長するために、および一切の残留原発性腫瘍を安定させるために、TβRIIポリペプチドを患者に投与することができる。
本発明のある特定の態様では、TβRIIポリペプチドとの併用腫瘍療法に有用な他の治療剤は、他のがん治療、例えば、外科手術、細胞傷害性薬剤、放射線学的処置(照射もしくは放射性物質の投与を含む)、化学療法剤、抗ホルモン剤、成長阻害剤、抗悪性腫瘍組成物、ならびに本明細書に列挙されるおよび当技術分野において公知の抗がん剤での処置、またはこれらの組合せを含む。
用語「細胞傷害性薬剤」は、本明細書で使用される場合、細胞の機能を阻害するもしくは妨げるおよび/または細胞の破壊を引き起こす物質を指す。この用語は、放射性同位体(例えば、At211、I131、I125、Y90、Re186、Re188、Sm153、Bi212、P32、およびLuの放射性同位体);化学療法剤、例えば、メトトレキサート、アドリアマイシン、ビンカアルカロイド(ビンクリスチン、ビンブラスチン、エトポシド)、ドキソルビシン、メルファラン、マイトマイシンC、クロラムブシル、ダウノルビシンまたは他の挿入剤;酵素およびそれらの断片、例えば、核酸分解酵素;抗生物質;ならびに細菌、真菌、植物または動物由来の毒素、例えば、小分子毒素または酵素的に活性な毒素(それらの断片および/または変異体を含む);ならびに下で開示される様々な抗腫瘍または抗がん剤を含むように意図されている。他の細胞傷害性薬剤は、下で説明される。殺腫瘍剤は、腫瘍細胞の破壊を引き起こす。
「化学療法剤」は、がんの処置に有用な化学物質である。化学療法剤の例としては、アルキル化剤、例えば、チオテパおよびCYTOXAN(登録商標)シクロホスファミド;アルキルスルホネート、例えばブスルファン、インプロスルファンおよびピポスルファン;アジリジン、例えば、ベンゾドーパ(benzodopa)、カルボコン、メツレドパ(meturedopa)およびウレドパ(uredopa);エチレンイミンおよびメチルメラミン(methylamelamines)(アルトレタミン、トリエチレンメラミン、トリエチレンホスホラミド、トリエチレンチオホスホラミドおよびトリメチロールメラミン(trimethylolomelamine)を含む);アセトゲニン(特に、ブラタシンおよびブラタシノン);デルタ−9−テトラヒドロカンナビノール(ドロナビノール、MARINOL(登録商標));ベータ−ラパコン;ラパコール;コルヒチン;ベツリン酸;カンプトテシン(合成類似体トポテカン(HYCAMTIN(登録商標))、CPT−11(イリノテカン、CAMPTOSAR(登録商標))、アセチルカンプトテシン、スコポレチン(scopolectin)、および9−アミノカンプトテシンを含む);ブリオスタチン;カリスタチン;CC−1065(そのアドゼレシン、カルゼレシンおよびビゼレシン合成類似体を含む);ポドフィロトキシン;ポドフィリン酸;テニポシド;クリプトフィシン(特に、クリプトフィシン1およびクリプトフィシン8);ドラスタチン;デュオカルマイシン(合成類似体、KW−2189およびCB1−TM1を含む);エリュテロビン;パンクラチスタチン;サルコジクチン;スポンギスタチン;ナイトロジェンマスタード、例えば、クロラムブシル、クロルナファジン、シクロホスファミド、エストラムスチン、イホスファミド、メクロレタミン、メクロレタミンオキシド塩酸塩、メルファラン、ノベムビチン、フェネステリン、プレドニムスチン、トロホスファミド、ウラシルマスタード;ニトロソウレア(nitrosureas)、例えば、カルムスチン、クロロゾトシン、ホテムスチン、ロムスチン、ニムスチンおよびラニムスチン;抗生物質、例えば、エンジイン抗生物質(例えば、カリケアマイシン、特に、カリケアマイシンガンマll(gammall)およびカリケアマイシンオメガll(omegall)(例えば、Agnew、Chem Intl. Ed. Engl.、33巻:183〜186頁(1994年)を参照されたい);ダイネマイシン(ダイネマイシンAを含む);エスペラミシン;ならびにネオカルチノスタチンクロモフォアおよび関連色素タンパク質エンジイン抗生物質クロモフォア)、アクラシノマイシン(aclacinomysins)、アクチノマイシン、アントラマイシン(authramycin)、アザセリン、ブレオマイシン、カクチノマイシン、カラビシン(carabicin)、カルミノマイシン、カルジノフィリン、クロモマイシン(chromomycinis)、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デトルビシン、6−ジアゾ−5−オキソ−L−ノルロイシン、ADRIAMYCIN(登録商標)ドキソルビシン(モルホリノ−ドキソルビシン、シアノモルホリノ−ドキソルビシン、2−ピロリノ−ドキソルビシンおよびデオキシドキソルビシンを含む)、エピルビシン、エソルビシン、イダルビシン、マルセロマイシン、マイトマイシン、例えばマイトマイシンC、ミコフェノール酸、ノガラマイシン、オリボマイシン、ペプロマイシン、ポルフィオマイシン、ピューロマイシン、クエラマイシン、ロドルビシン、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、ツベルシジン、ウベニメクス、ジノスタチン、ゾルビシン;代謝拮抗薬、例えば、メトトレキサートおよび5−フルオロウラシル(5−FU);葉酸類似体、例えば、デノプテリン、メトトレキサート、プテロプテリン、トリメトレキサート;プリン類似体、例えば、フルダラビン、6−メルカプトプリン、チアミプリン、チオグアニン;ピリミジン類似体、例えば、アンシタビン、アザシチジン、6−アザウリジン、カルモフール、シタラビン、ジデオキシウリジン、ドキシフルリジン、エノシタビン、フロクスウリジン;アンドロゲン、例えば、カルステロン、プロピオン酸ドロモスタノロン、エピチオスタノール、メピチオスタン、テストラクトン;副腎皮質ホルモン合成阻害薬(anti-adrenal)、例えば、アミノグルテチミド、ミトタン、トリロスタン;葉酸補充薬、例えば、フォリン酸;アセグラトン;アルドホスファミドグリコシド;アミノレブリン酸;エニルウラシル;アムサクリン、ベストラブシル;ビスアントレン;エダトレキサート(edatraxate);デメコルシン;ジアジクオン;エフロルニチン(elfornithine);酢酸エリプチニウム;エポチロン;エトグルシド;硝酸ガリウム;ヒドロキシ尿素;レンチナン;ロニダミン;メイタンシノイド、例えば、メイタンシンおよびアンサマイトシン;ミトグアゾン;ミトキサントロン;モピダモール(mopidanmol);ニトラクリン(nitraerine);ペントスタチン;フェナメット;ピラルビシン;ロソキサントロン;2−エチルヒドラジド;プロカルバジン;PSK(登録商標)多糖複合体(JHS Natural Products、Eugene、OR);ラゾキサン;リゾキシン;シゾフィラン;スピロゲルマニウム;テヌアゾン酸;トリアジコン;2,2’,2”−トリクロロトリエチルアミン;トリコテセン(特に、T−2トキシン、ベルカリンA(verracurin A)、ロリジンAおよびアングイジン);ウレタン;ビンデシン(ELDISINE(登録商標)、FILDESIN(登録商標));ダカルバジン;マンノムスチン;ミトブロニトール;ミトラクトール;ピポブロマン;ガシトシン(gacytosine);アラビノシド(「Ara−C」);チオテパ;タキソイド、例えば、TAXOL(登録商標)パクリタキセル(Bristol−Myers Squibb Oncology、Princeton、N.J.)、ABRAXANE(商標)パクリタキセルのクレモフォール不含、アルブミン改変ナノ粒子製剤(American Pharmaceutical Partners、Schaumberg、Illinois)、およびTAXOTERE(登録商標)ドキセタキセル(Rhone−Poulenc Rorer、Antony、France);クロラムブシル;ゲムシタビン(GEMZAR(登録商標));6−チオグアニン;メルカプトプリン;メトトレキサート;白金類似体、例えば、シスプラチンおよびカルボプラチン;ビンブラスチン(VELBAN(登録商標));白金;エトポシド(VP−16);イホスファミド;ミトキサントロン;ビンクリスチン(ONCOVIN(登録商標));オキサリプラチン;ロイコボリン(leucovovin);ビノレルビン(NAVELBINE(登録商標));ノバントロン;エダトレキサート;ダウノマイシン;アミノプテリン;イバンドロネート;トポイソメラーゼ阻害剤RFS 2000;ジフルオロメチルオルニチン(DMFO);レチノイド、例えば、レチノイン酸;カペシタビン(XELODA(登録商標));上記のもののいずれかの薬学的に許容される塩、酸または誘導体;ならびに上記のものの2つまたはそれを超える組合せ、例えば、CHOP(シクロホスファミドとドキソルビシンとビンクリスチンとプレドニゾロンの併用療法の略語)およびFOLFOX(オキサリプラチン(ELOXATIN(商標))を5−FUおよびロイコボリンと併用する処置レジメンの略語)が挙げられる。
がんの成長を促進することができるホルモンの効果を調節、低減、遮断または阻害するように作用し、多くの場合、全身性または全身処置薬の形態である、抗ホルモン剤も、この定義に含まれる。それらは、ホルモン自体であってもよい。例としては、抗エストロゲン剤および選択的エステロゲン受容体モジュレーター(SERM)[例えば、タモキシフェン(NOLVADEX(登録商標)タモキシフェンを含む)、EVISTA(登録商標)ラロキシフェン、ドロロキシフェン、4−ヒドロキシタモキシフェン、トリオキシフェン、ケオキシフェン、LYl 17018、オナプリストン、およびFARESTON(登録商標)トレミフェンを含む];抗プロゲステロン剤;エストロゲン受容体ダウンレギュレーター(ERD);卵巣を抑制または遮断するように機能する薬剤、例えば、黄体ホルモン放出ホルモン(LHRH)アゴニスト、例えば、LUPRON(登録商標)およびELIGARD(登録商標)リュープロリド酢酸塩、ゴセレリン酢酸塩、ブセレリン酢酸塩およびトリプトレリン;他の抗アンドロゲン剤、例えば、フルタミド、ニルタミドおよびビカルタミド;ならびに副腎におけるエストロゲン産生を調節する酵素アロマターゼを阻害するアロマターゼ阻害剤、例えば、4(5)−イミダゾール、アミノグルテチミド、MEGASE(登録商標)メゲストロール酢酸エステル、AROMASIN(登録商標)エキセメスタン、ホルメスタン、ファドロゾール、RIVIS OR(登録商標)ボロゾール、FEMARA(登録商標)レトロゾール、およびARIMIDEX(登録商標)アナストロゾールなどが挙げられる。加えて、化学療法剤のそのような定義は、ビスホスホネート、例えば、クロドロネート(例えば、BONEFOS(登録商標)またはOSTAC(登録商標))、DIDROC AL(登録商標)エチドロネート、NE−58095、ZOMET A(登録商標)ゾレドロン酸/ゾレドロネート、FOSAMAX(登録商標)アレンドロネート、AREDIA(登録商標)パミドロネート、SKELID(登録商標)チルドロネート、またはACTONEL(登録商標)リセドロネート;ならびにトロキサシタビン(1,3−ジオキソランヌクレオシドシトシン類似体);アンチセンスオリゴヌクレオチド、特に、異常細胞増殖に関係づけられるシグナル伝達経路における遺伝子、例えばPKC−アルファ、Raf、H−Rasなど、の発現および上皮増殖因子受容体(EGF−R)の発現を阻害するもの;ワクチン、例えば、THERATOPE(登録商標)ワクチンおよび遺伝子治療ワクチン、例えば、ALLOVECTIN(登録商標)ワクチン、LEUVECTIN(登録商標)ワクチンおよびVAXID(登録商標)ワクチン;LURTOTECAN(登録商標)トポイソメラーゼ1阻害剤;ABARELIX(登録商標)rmRH;ラパチニブトシル酸塩(GW572016としても公知の、ErbB−2およびEGFRに対する二重チロシンキナーゼ小分子阻害剤);ならびに上記のもののいずれかの薬学的に許容される塩、酸または誘導体を含む。
「成長阻害剤」は、本明細書で使用されるとき、in vitroまたはin vivoのどちらかで細胞の成長を阻害する化合物または組成物を指す。したがって、成長阻害剤は、S期の細胞のパーセンテージを有意に低下させるものでありうる。成長阻害剤の例としては、細胞周期進行を(S期以外の所で)遮断する薬剤、例えば、G1停止およびM期停止を誘導する薬剤が挙げられる。古典的M期ブロッカーは、ビンカ系薬物(ビンクリスチンおよびビンブラスチン)、タキサン系薬剤、ならびにトポイソメラーゼII阻害剤、例えば、ドキソルビシン、エピルビシン、ダウノルビシン、エトポシドおよびブレオマイシンを含む。G1を停止させる薬剤、例えば、DNAアルキル化剤、例えばタモキシフェン、プレドニゾン、ダカルバジン、メクロレタミン、シスプラチン、メトトレキサート、5−フルオロウラシルおよびara−Cは、S期停止にも波及する。さらなる情報は、The Molecular Basis of Cancer、MendelsohnおよびIsrael編、第1章、題名「Cell cycle regulation, oncogenes, and antineoplastic drugs」、Murakamiら著(WB Saunders: Philadelphia、1995年)、特に13頁において見つけることができる。タキサン系薬剤(パクリタキセルおよびドセタキセル)は、イチイの木に両方とも由来する抗がん薬である。ヨーロッパイチイに由来するドセタキセル(TAXOTERE(登録商標)、Rhone−Poulenc Rorer)は、パクリタキセル(TAXOL(登録商標)、Bristol−Myers Squibb)の半合成類似体である。パクリタキセルおよびドセタキセルは、チューブリン二量体からの微小管の構築を促進し、解重合を防止することにより微小管を安定させ、その結果、細胞の有糸分裂を阻害することになる。
さらに他の実施形態では、TβRIIポリペプチドは、線維症の処置または予防に有用でありうる。本明細書で使用される場合、用語「線維症」は、器官または組織内の細胞による過剰な線維性結合組織の異常形成または発生を指す。線維化に関係するプロセスは、正常な組織形成または修復の一部として起こるが、これらのプロセスの調節異常は、細胞組成の変化、および組織または器官機能を漸進的に損なわせる過剰な結合組織沈着につながりうる。線維性組織の形成は、修復または反応プロセスの結果として生じうる。線維性障害または状態は、心疾患、大脳疾患および末梢血管疾患などの、血管疾患に関連する、ならびに心臓、皮膚、腎臓、腹膜、消化管および肝臓を含む、組織および器官系に関連する、(例えば、参照により本明細書に組み入れられるWynn、2004年、Nat Rev 4巻:583〜594頁において開示されているような)線維増殖性障害を含むが、これらに限定されない。処置することができる例示的な障害としては、傷害/線維化に関連する腎症、例えば、糖尿病に関連する慢性腎症(例えば、糖尿病正腎症)、ループス、強皮症、糸球体腎炎、巣状分節性糸球体硬化症およびIgA腎症を含む、腎線維症;消化管線維症、例えば、強皮症および放射線誘発消化管線維症;肝臓線維症、例えば、肝硬変、アルコール誘発肝臓線維症、胆管傷害、原発性胆汁性肝硬変、感染またはウイルス誘発肝臓線維症、先天性肝線維症および自己免疫性肝炎;ならびに他の線維性状態、例えば、嚢胞性線維症、心内膜心筋線維症、縦隔線維症、サルコイドーシス、強皮症、脊椎損傷/線維症、骨髄線維症、血管再狭窄、アテローム動脈硬化症、注射線維症(筋肉内注射の併発症として特に小児において起こりうる)、心内膜心筋線維症、後腹膜線維症、および腎性全身性線維症が挙げられるが、これらに限定されない。
本明細書で使用される場合、用語「線維性障害」、「線維性状態」および「線維性疾患」は、線維化を特徴とする障害、状態または疾患を指すために同義で使用される。線維性障害の例としては、ループス、硬化性障害(例えば、強皮症、アテローム動脈硬化症、および全身性硬化症(例えば、びまん性全身性硬化症および進行性全身性硬化症を含む)、血管線維症、膵臓線維症、肝臓線維症(例えば、肝硬変)、腎線維症、骨格筋線維症、心臓線維症(例えば、心内膜心筋線維症、特発性心筋症)、皮膚線維症(例えば、強皮症、外傷後の手術による皮膚瘢痕、ケロイドおよび皮膚ケロイド形成)、眼線維症(例えば、緑内障、眼硬化症、結膜および角膜瘢痕、ならびに翼状片)、骨髄線維症、慢性移植片対宿主病、ペロニー病、膀胱鏡検査後尿道狭窄、特発性のおよび薬理学的に誘発された後腹膜線維症、縦隔線維症、増殖性線維症、腫瘍性線維症、デュプイトラン病、狭窄、神経瘢痕、真皮瘢痕、特発性肺線維症ならびに放射線誘発線維症が挙げられるが、これらに限定されない。
一部の実施形態では、本明細書で開示されるポリペプチドのいずれか(例えば、配列番号13および50〜56のいずれか1つのアミノ酸配列を有するポリペプチド)を、単独で使用して、または1つもしくは複数の補助的治療もしくは活性薬剤と組み合わせて使用して、間質性肺疾患(例えば、特発性肺線維症)を処置すること、予防すること、またはその進行速度および/もしくは重症度を低下させることができる。一部の実施形態では、間質性肺疾患は、肺線維症である。一部の実施形態では、間質性肺疾患は、次のうちのいずれか1つにより引き起こされる:珪肺症、石綿肺、ベリリウム肺症、過敏性肺炎、薬物使用(例えば、抗生物質、化学療法薬、抗不整脈剤、スタチン)、全身性硬化症、多発性筋炎、皮膚筋炎、全身性エリテマトーデス、関節リウマチ、感染症(例えば、非定型肺炎、ニューモシスチス肺炎、結核、chlamydia trachomatis、および/もしくは呼吸器合胞体ウイルス)、癌性リンパ管症、喫煙、または発達障害。一部の実施形態では、間質性肺疾患は、特発性(例えば、サルコイドーシス、特発性肺線維症、ハーマン・リッチ症候群、および/または抗シンセターゼ症候群)である。特定の実施形態では、間質性肺疾患は、特発性肺線維症である。一部の実施形態では、特発性肺線維症の処置は、追加の治療剤と組み合わせて投与される。一部の実施形態では、追加の治療剤は、ピルフェニドン、N−アセチルシステイン、プレドニゾン、アザチオプリン、ニンテダニブ、これらの誘導体およびそれらの組合せからなる群から選択される。
一部の実施形態では、本明細書で開示されるポリペプチドのいずれか(例えば、配列番号13および50〜56のいずれか1つのアミノ酸配列を有するポリペプチド)を、単独で使用して、または1つもしくは複数の補助的治療もしくは活性薬剤と組み合わせて使用して、腎臓関連疾患もしくは状態を処置すること、予防すること、またはその進行速度および/もしくは重症度を低下させることができる。本明細書で使用される場合、「腎臓関連疾患または状態」は、腎臓または腎臓系を冒す任意の疾患、障害または状態を指すことができる。腎臓関連疾患または状態の例としては、慢性腎臓疾患(または不全)、急性腎臓疾患(または不全)、原発性腎臓疾患、非糖尿病性腎臓疾患、糸球体腎炎、間質性腎炎、糖尿病性腎臓疾患、糖尿病性腎症、糸球体硬化症、急速進行性糸球体腎炎、腎線維症、アルポート症候群、IDDM腎炎、メサンギウム増殖性糸球体腎炎、膜性増殖性糸球体腎炎、半月体形成性糸球体腎炎、間質性腎線維症、巣状分節性糸球体硬化症、膜性腎症、微小変化型ネフローゼ症候群、微量免疫型急速進行性糸球体腎炎、IgA腎症、多発性嚢胞腎、デント病、腎シスチン症、ハイマン腎炎、常染色体優性(成人)多発性嚢胞腎、常染色体劣性(小児)多発性嚢胞腎、急性腎臓傷害、ネフローゼ症候群、腎虚血、糸球体上皮細胞疾患または障害、蛋白尿、糸球体疾患、膜性糸球体腎炎、巣状分節性糸球体腎炎、子癇前症、子癇、腎臓障害、膠原病性脈管疾患、良性起立性(体位性)蛋白尿、IgM腎症、膜性腎症、サルコイドーシス、真性糖尿病、薬物に起因する腎損傷、ファブリー病、アミノ酸尿症、ファンコニー症候群、高血圧性腎硬化症、間質性腎炎、鎌状赤血球症、ヘモグロビン尿症、ミオグロビン尿症、ウェゲナー肉芽腫症、糖原病1型、慢性腎臓疾患、慢性腎不全、低糸球体濾過量(GFR)、腎血管硬化症、ループス腎炎、ANCA陽性微量免疫型半月体形成性糸球体腎炎、慢性同種移植腎症、腎毒性、腎臓毒性、腎臓壊死、腎損傷、糸球体および尿細管傷害、腎臓機能不全、腎炎症候群、急性腎不全、慢性腎不全、近位卵管機能不全、急性腎臓移植拒絶反応、慢性腎臓移植拒絶反応、非IgAメサンギウム増殖性糸球体腎炎、感染後糸球体腎炎、あらゆる種類の腎障害に伴う血管炎、あらゆる遺伝性腎疾患、あらゆる間質性腎炎、腎移植不全、腎臓がん、他の状態(例えば、高血圧、糖尿病および自己免疫疾患)に関連する腎臓疾患、デント病、腎シスチン症、ハイマン腎炎、原発性腎臓疾患、虚脱性糸球体症、デンスデポジット病、クリオグロブリン血症関連糸球体腎炎、ノッホ・シェーンライン病、感染後糸球体腎炎、細菌性心内膜炎、顕微鏡的多発血管炎、チャーグ・ストラウス症候群、抗GBM抗体媒介糸球体腎炎、アミロイドーシス、単クローン性免疫グロブリン沈着症、原線維性糸球体腎炎、イムノタクトイド糸球体症、虚血性尿細管傷害、薬剤誘発尿細管間質性腎炎、中毒性尿細管間質性腎炎、感染性尿細管間質性腎炎、細菌性腎盂腎炎、ポリオーマウイルス感染またはHIV感染の結果として生じるウイルス感染性尿細管間質性腎炎、代謝性疾患誘発尿細管間質疾患、混合型結合性疾患、円柱腎症、尿酸塩またはシュウ酸塩または薬物誘発結晶沈着の結果として生じうる結晶性腎症、急性細胞性尿細管間質性同種移植片拒絶反応、リンパ腫または移植後リンパ増殖性疾患の結果として生じる腫瘍浸潤性疾患、閉塞性腎臓疾患、血管疾患、血栓性微小血管症、腎血管硬化症、アテローム塞栓性疾患、混合性結合組織病、結節性多発動脈炎、カルシニューリン阻害剤誘発血管疾患、急性細胞性血管同種移植片拒絶反応、急性体液性同種移植片拒絶反応、早期腎機能低下(ERFD)、末期腎疾患(ESRD)、腎静脈血栓症、急性尿細管壊死、急性間質性腎炎、既存の慢性腎臓疾患、腎動脈狭窄、虚血性腎症、尿毒症、薬物および毒物誘発慢性尿細管間質性腎炎、逆流性腎症、腎臓結石、グッドパスチャー症候群、正球性正色素性貧血、腎性貧血、糖尿病性慢性腎臓疾患、IgG4関連疾患、フォンヒッペル・リンダウ症候群、結節性硬化症、ネフロン癆、腎髄質嚢胞症、腎細胞癌、腺癌、腎芽腫、リンパ腫、白血病、低シアリル化障害、慢性シクロスポリン腎症、腎再灌流傷害、腎異形成、高尿素血症、両側動脈閉塞、急性尿酸腎症、血液量減少、急性両側性閉塞性尿路疾患、高カルシウム血症性腎症、溶血性尿毒症症候群、急性尿閉、悪性腎硬化症、分娩後糸球体硬化症、強皮症、非グッドパスチャー抗GBM疾患、顕微鏡的結節性多発動脈炎、アレルギー性肉芽腫症、急性放射線腎炎、連鎖球菌感染後糸球体腎炎、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症、鎮痛薬腎症、動静脈瘻、動静脈グラフト、透析、異所性腎、海綿腎、腎性骨ジストロフィー、単腎症、水腎症、微量アルブミン尿、尿毒症、血尿、高脂血症、低アルブミン血症、脂肪尿、アシドーシス、高カリウム血症、ならびに浮腫が挙げられるが、これらに限定されない。
一部の実施形態では、本明細書で開示されるポリペプチドのいずれか(例えば、配列番号13および50〜56のいずれか1つのアミノ酸配列を有するポリペプチド)を、単独で使用して、または1つもしくは複数の補助的治療もしくは活性薬剤と組み合わせて使用して、慢性腎臓疾患(例えば、組織損傷、炎症および/もしくは線維症)を処置すること、予防すること、またはその進行速度および/もしくは重症度を低下させることができる。慢性腎疾患としても公知の、慢性腎臓疾患(CKD)は、何カ月もまたは何年もの期間をかけての漸進的腎機能喪失である。悪化する腎臓機能の症状は、全身の体調が優れないと感じること、および食欲低下を経験することを含みうる。多くの場合、慢性腎臓疾患は、高血圧または糖尿病を有する者およびCKDを有する血縁者がいる者などの、腎臓病のリスクがあることが分かっている人々のスクリーニングの結果として診断される。この疾患は、その認知されている合併症の1つ、例えば、心血管疾患、貧血または心膜炎に至ったときに、確認されることもある。最近の専門ガイドラインは、CKDの重症度を5ステージで分類し、ステージ1は、軽度であり、通常はほとんど症状を引き起こさず、ステージ5は、未処置の場合、平均余命が短い重病である。ステージ5のCKDは末期腎臓疾患、末期腎疾患、または末期腎臓不全と呼ばれることが多く、今や時代遅れの用語である慢性腎不全または慢性腎臓不全とおおむね同義であり、透析の形態を含むこともあるが理想的には腎臓移植に相当する腎代替療法を患者が必要とすることを通常は意味する。CKDは、初期には特異的症状がなく、一般に、血清クレアチニンまたは尿中のタンパク質の増加としてのみ検出される。腎臓機能が低下するにつれて、様々な症状が、下記のように顕在化しうる。体液過剰、および腎臓によりレニン−アンジオテンシン系経由で作出される血管作用性ホルモンの産生に起因して、血圧が上昇されることがあり、その結果、高血圧症を発症するリスクおよび/またはうっ血性心不全に罹患するリスクが上昇する。尿素が蓄積することもあり、その結果、高窒素血症そして最終的には尿毒症(嗜眠から心膜炎および脳症まで様々な症状)に至る。その高度な体循環に起因して、尿は、高濃度で、エクリン汗で排出され、汗が蒸発するにつれて皮膚上に晶出する(「尿素霜」)。カリウムが血液中に蓄積することもある(倦怠感およびことによると致死的な不整脈を含む、様々な症状を伴う高カリウム血症)。高カリウム血症は、通常は、糸球体濾過量が20〜25ml/分/1.73m2未満に降下するまで発症せず、発症した時点で、腎臓のカリウム排出能力は低下している。CKDにおける高カリウム血症は、酸性血(カリウムの細胞外移行につながる)により、およびインスリンの欠乏から、増悪されうる。エリスロポエチン合成を減少させることもあり、これに起因して貧血になる。軽度水腫から致死性の肺水腫まで様々な体液体積過剰症状が起こりうる。リン酸塩排出低下に起因する高リン血症は、一般に、糸球体濾過の減少後に起こりうる。高リン血症は、心血管リスク増大に関連し、血管石灰化への直接的刺激となる。低カルシウム血症が顕在化することもあり、これは、一般に、線維芽細胞増殖因子23の刺激により引き起こされる。骨細胞は、酵素1−アルファ−ヒドロキシラーゼ(25−ヒドロキシコレカルシフェロールの1,25ジヒドロキシビタミンD3への変換に関与する)の強力な阻害剤である、FGF23の産生増加に関与する。後に、これは、続発性副甲状腺機能亢進症、腎性骨ジストロフィー、および血管石灰化へと進行し、血管石灰化は、さらに、心機能を損なわせる。代謝性アシドーシス(硫酸塩、リン酸塩、尿酸などの蓄積に起因する)が起こり、酵素に対する酸の過剰な作用により酵素活性の変化を引き起こすことがあり、過剰な酸(酸性血)に起因する高カリウム血症の促進により心膜およびニューロン膜の興奮性の増大を引き起こすこともある。アシドーシスは、近位尿細管の細胞から十分なアンモニアを生成する能力の低下に起因することもある。腎臓機能が低下するにつれて有病率が増加する、鉄欠乏性貧血は、特に、血液透析を必要とする者に高頻度に見られる。鉄欠乏性貧血は、原因の点で多因子性であるが、炎症増大、エリスロポエチンの低減、および高尿酸血症を含み、これらは骨髄抑制につながる。CKDを有する人々は、急速進行型アテローム動脈硬化症に罹患し、一般の人々よりも心血管疾患を発症する可能性が高い。CKDおよび心血管疾患を患っている患者は、心血管疾患のみに罹患している者よりも予後が有意に不良である傾向がある。一部の実施形態では、慢性腎臓疾患は、腎臓疾患から生じる、相互に関連する骨格、心血管およびミネラル代謝障害の広範な症候群である、慢性腎臓病に伴う骨ミネラル代謝異常症である。CKD−MBDは、腎性骨ジストロフィー(ROD)と呼ばれることが多い様々な骨格病態を包含し、RODは、本明細書で開示されるポリペプチドのいずれかでの、または1つもしくは複数の補助的治療もしくは活性薬剤との組合せでの処置の好ましい実施形態である。異なる病原因子の相対的寄与に依存して、RODは、骨リモデリングの多様な病的パターンとして顕在化される(Rosenら(編)Primer on the Metabolic Bone Diseases and Disorders of Mineral Metabolism、第7版、American Society for Bone and Mineral Research、Washington D.C.、343〜349頁における、Hruskaら、2008年、Chronic kidney disease mineral bone disorder (CKD-MBD))。その範囲の一端に、尿毒症性骨ジストロフィーおよび低い骨代謝回転を伴うRODがあり、これは、少ない活性リモデリング部位数、骨形成の顕著な抑制、および低い骨吸収を特徴とする。もう一方の端には、副甲状腺機能亢進症、高い骨代謝回転、および線維性骨炎を伴うRODがある。
ある特定の態様では、本明細書で開示されるポリペプチドのいずれか(例えば、配列番号13および50〜56のアミノ酸配列を有するポリペプチド)を、単独で使用して、または1つもしくは複数の補助的治療もしくは活性薬剤と組み合わせて使用して、骨髄線維症(例えば、原発性骨髄線維症、真正赤血球増加症後の骨髄線維症、および本態性血小板血症後の骨髄線維症)を処置すること、予防すること、またはその進行速度および/もしくは重症度を低下させることができる。特に、ActRIIBアンタゴニストを単独で使用して、または1つもしくは複数の補助的治療もしくは活性薬剤と組み合わせて使用して、例えば、無効造血、貧血、炎症、線維症(例えば、骨髄線維症、脾臓線維症、および肝臓線維症)、汎血球減少、血小板減少、髄外造血(例えば、脾臓髄外造血、肝髄外造血、肺髄外造血、およびリンパ節髄外造血)、肝肥大、脾腫、骨硬化症、骨骨髄線維症、変形赤血球症、疲労、体重減少、寝汗、発熱、そう痒、骨痛、早期満腹感、腹痛または不快感、関節痛、筋肉痛、異常知覚(parasthesias)、悪液質、脾梗塞および出血を含む、骨髄線維症の1つもしくは複数の合併症を、処置すること、予防すること、またはその進行速度および/もしくは重症度を低下させることができる。
本明細書で使用される場合、細胞の線維性応答の阻害は、肝臓(もしくは肝臓組織)内の1つもしくは複数の細胞、腎臓(もしくは腎組織)内の1つもしくは複数の細胞、筋肉組織内の1つもしくは複数の細胞、心臓(もしくは心臓組織)内の1つもしくは複数の細胞、膵臓内の1つもしくは複数の細胞、皮膚内の1つもしくは複数の細胞、骨内の1つもしくは複数の細胞、脈管構造内の1つもしくは複数の細胞、1つもしくは複数の幹細胞、または眼内の1つもしくは複数の細胞の、線維性応答の阻害を含むが、これらに限定されない。
一部の実施形態では、本開示のTβRIIポリペプチドのいずれかを、自己免疫疾患または障害の処置に使用することができる。一部の実施形態では、自己免疫疾患または障害は、脊椎関節症;強直性脊椎炎、関節炎、乾癬性関節炎/脊椎炎、腸炎性関節炎、反応性関節炎、ライター症候群、未分化脊椎関節症;反応性関節炎、リウマチ、炎症性腸症候群、クローン病、関節リウマチ、リウマチ性脊椎炎、変形性関節症、痛風性関節炎、アレルギー、多発性硬化症、自己免疫性糖尿病、自己免疫性ぶどう膜炎およびネフローゼ症候群からなる群から選択される。
一部の実施形態では、本開示のTβRIIポリペプチドのいずれかを、代謝障害の処置に使用することができる。一部の実施形態では、代謝障害は、肥満または糖尿病(例えば、I型またはII型糖尿病)、脂肪肝疾患、糖尿病性ニューロパチー、末梢神経障害、糖尿病網膜症、糖尿病性潰瘍形成、網膜症潰瘍形成、糖尿病性大血管症である。
一部の実施形態では、本開示のTβRIIポリペプチドのいずれかを、感染性疾患の処置、または臓器もしくは組織移植の経過観察に使用することができる。
一部の実施形態では、本開示のTβRIIポリペプチドのいずれかを、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、慢性閉塞性気道障害、特発性肺線維症および/または喘息の処置に使用することができる。一部分において、本開示は、肺高血圧症(例えば、肺動脈性高血圧症)を処置する方法であって、それを必要とする患者に、TβRIIポリペプチド(例えば、配列番号13および50〜56のいずれか1つのアミノ酸配列を含むポリペプチド)の有効量を投与することを含む方法にも関する。一部の実施形態では、本開示は、肺高血圧症の1つまたは複数の合併症(例えば、肺動脈における平滑筋および/または内皮細胞増殖、肺動脈における血管新生、呼吸困難、胸痛、肺血管リモデリング、右室肥大、ならびに肺線維症)を処置する方法であって、それを必要とする患者にTβRIIポリペプチドの有効量を投与することを含む方法を企図している。一部の実施形態では、本開示は、肺高血圧症の1つまたは複数の合併症を予防する方法であって、それを必要とする患者にTβRIIポリペプチドの有効量を投与することを含む方法を企図している。一部の実施形態では、本開示は、肺高血圧症の進行速度を低下させる方法であって、それを必要とする患者にTβRIIポリペプチドの有効量を投与することを含む方法を企図している。一部の実施形態では、本開示は、肺高血圧症の1つまたは複数の合併症の進行速度を低下させる方法であって、それを必要とする患者にTβRIIポリペプチドの有効量を投与することを含む方法を企図している。一部の実施形態では、本開示は、肺高血圧症の重症度を低下させる方法であって、それを必要とする患者にTβRIIポリペプチドの有効量を投与することを含む方法を企図している。一部の実施形態では、本開示は、肺高血圧症の1つまたは複数の合併症の重症度を低下させる方法であって、それを必要とする患者にTβRIIポリペプチドの有効量を投与することを含む方法を企図している。必要に応じて、肺高血圧症を処置する、予防する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低下させるための、特に、肺高血圧症の1つもしくは複数の合併症を処置する、予防する、またはその(それらの)進行速度および/もしくは重症度を低下させるための、本明細書で開示される方法は、肺高血圧症を処置するための1つまたは複数の補助的治療または追加の活性薬剤を患者に投与することをさらに含みうる。
本発明は、1つまたは複数の他の治療モダリティーと組み合わせてのTβRIIポリペプチドの使用を企図している。したがって、TβRIIポリペプチドの使用に加えて、線維性障害を処置するための1つまたは複数の「標準」治療を対象に投与することもある。例えば、TβRIIポリペプチドを、細胞毒、免疫抑制剤、放射性毒剤、および/または治療用抗体と組み合わせて(すなわち、一緒に)投与することができる。本発明により企図される特定の併用治療薬としては、ステロイド(例えば、コルチコステロイド、例えばプレドニゾン)、免疫抑制および/または抗炎症剤(例えば、ガンマ−インターフェロン、シクロホスファミド、アザチオプリン、メトトレキサート、ペニシラミン、シクロスポリン、コルヒチン、抗胸腺細胞グロブリン、ミコフェノール酸モフェチル、およびヒドロキシクロロキン)、細胞傷害薬、カルシウムチャネル遮断薬(例えば、ニフェジピン)、アンジオテンシン変換酵素阻害剤(ACE)阻害剤、パラアミノ安息香酸(PABA)、ジメチルスルホキシド、トランスフォーミング増殖因子ベータ(TGFβ)阻害剤、インターロイキン−5(IL−5)阻害剤、ならびに汎カスパーゼ阻害剤が挙げられるが、これらに限定されない。
TβRIIポリペプチドと組み合わせて使用することができる追加の抗線維化剤としては、レクチン(例えば、米国特許第7,026,283号に記載されているようなもの(この参考文献の全内容は、参照により本明細書に組み入れられる))、ならびにWynnら(2007年、J Clin Invest 117巻:524〜529頁(この参考文献の全内容は、参照により本明細書に組み入れられる))により記載された抗線維化剤が挙げられるが、これらに限定されない。例えば、追加の抗線維化剤および治療としては、様々な抗炎症/免疫抑制/細胞傷害薬(コルヒチン、アザチオプリン、シクロホスファミド、プレドニゾン、サリドマイド、ペントキシフィリンおよびテオフィリンを含む)、TGFβシグナル伝達修飾剤(リラキシン、SMAD7、HGFおよびBMP7、ならびにTGFβ1、TβRI、TβRII、EGR−IおよびCTGF阻害剤を含む)、サイトカインおよびサイトカイン受容体アンタゴニスト(IL−1β、IL−5、IL−6、IL−13、IL−21、IL−4R、IL−13Rα1、GM−CSF、TNF−α、オンコスタチンM、WlSP−IおよびPDGFの阻害剤)、サイトカインおよびケモカイン(IFN−γ、IFN−α/β、IL−12、IL−10、HGF、CXCL10およびCXCL11)、ケモカインアンタゴニスト(CXCLl、CXCL2、CXCL12、CCL2、CCL3、CCL6、CCL17およびCCL18の阻害剤)、ケモカイン受容体アンタゴニスト(CCR2、CCR3、CCR5、CCR7、CXCR2およびCXCR4の阻害剤)、TLRアンタゴニスト(TLR3、TLR4およびTLR9の阻害剤)、血管新生アンタゴニスト(VEGF特異的抗体およびアデノシンデアミナーゼ置換療法)、降圧薬(ベータ遮断薬ならびにANG 11、ACEおよびアルドステロンの阻害剤)、血管作動性物質(ET−1受容体アンタゴニストおよびボセンタン(bosetan))、コラーゲンを合成およびプロセシングする酵素の阻害剤(プロリルヒドロキシラーゼの阻害剤)、B細胞アンタゴニスト(リツキシマブ)、インテグリン/接着分子アンタゴニスト(α1β1およびαvβ6インテグリンを遮断する分子、ならびにインテグリン連結キナーゼの阻害剤、およびICAM−IおよびVCAM−Iに特異的な抗体)、筋線維芽細胞を標的とするアポトーシス促進薬、MMP阻害剤(MMP2、MMP9およびMMP12の阻害剤)、ならびにTlMP阻害剤(TIMP−1に特異的な抗体)が挙げられるが、これらに限定されない。
TβRIIポリペプチドおよび併用治療剤または併用療法を、同じ製剤で投与することができ、または別々に投与することができる。別々の投与の場合、TβRIIポリペプチドを、併用治療剤または併用療法の前に、その後に、またはそれと同時に投与することができる。一方の薬剤が、他方の薬剤の投与に、数分から数週間の範囲の間隔で先行してもよく、または続いてもよい。2つまたはそれより多くの種類の治療剤が対象に別に適用される実施形態では、これらの異なる種類の薬剤が有利な複合効果を標的組織または細胞に対してなお発揮することができるように、意味のある期間が、各々の送達時と送達時の間に途切れなかったことを一般に保証することになる。
10.医薬組成物
本明細書に記載される治療剤(例えば、TβRII融合ポリペプチド)を医薬組成物に製剤化することができる。本開示に従って使用するための医薬組成物は、1つまたは複数の生理的に許容される担体または賦形剤を使用して従来の方法で製剤化することができる。そのような製剤は、ほとんどの規制当局による要件を順守して、実質的にパイロジェンフリーとなる。
ある特定の実施形態では、本開示の治療方法は、組成物の全身投与、または留置剤もしくはデバイスとしての局所投与を含む。投与されたとき、本開示における使用のための治療用組成物は、パイロジェンフリーの生理的に許容される形態である。上記の組成物に必要に応じて含まれることもある、TβRIIシグナル伝達アンタゴニスト以外の治療に有用な薬剤を、本明細書で開示される方法で、対象化合物(例えば、TβRIIポリペプチド)と同時にまたは逐次的に投与することができる。
典型的に、本明細書で開示されるタンパク質治療剤は、非経口投与、特に、静脈内投与または皮下投与されることになる。非経口投与に適する医薬組成物は、抗酸化物質、緩衝剤、静菌剤、製剤を所期のレシピエントの血液と等張にするための溶質、または懸濁化もしくは増粘剤を含有しうる、1つもしくは複数の薬学的に許容される滅菌等張水性もしくは非水性溶液、分散液、懸濁液もしくはエマルジョン、または使用直前に滅菌注射用溶液もしくは分散液に再構成される滅菌粉末と組み合わせて、1つまたは複数のTβRIIポリペプチドを含みうる。本開示の医薬組成物に利用することができる適切な水性および非水性担体の例としては、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールおよびこれらに類するもの)、およびこれらの適切な混合物、植物油、例えばオリーブ油、ならびに注射可能な有機エステル、例えばオレイン酸エチルが挙げられる。適正な流動性は、例えば、レシチンなどのコーティング剤の使用により、分散液の場合は必要粒径の維持により、および界面活性剤の使用により、維持することができる。
組成物および製剤を、所望される場合は、活性成分を含有する1つまたは複数の単位剤形を含有しうるパックまたはディスペンサーデバイスで提供することができる。パックは、例えば、金属またはプラスチック箔、例えばブリスターパックを含みうる。パックまたはディスペンサーデバイスに投与説明書を添付することができる。
さらに、組成物は、標的組織部位への送達のための形態に封入または注入することができる。ある特定の実施形態では、本発明の組成物は、1つまたは複数の治療用化合物(例えば、TβRIIポリペプチド)を標的組織部位に送達して発達中の組織に構造を持たせることおよび最適には体内への再吸収が可能である、マトリックスを含みうる。例えば、マトリックスは、TβRIIポリペプチドの徐放をもたらすことができる。そのようなマトリックスを、他の埋込み型の医学的応用に現在使用されている材料で形成することができる。
マトリックス材料の選択は、生体適合性、生分解性、機械的特性、審美的外観、および界面特性に基づく。対象組成物の特定の応用により、適切な製剤が規定されることになる。可能性のある組成物用マトリックスは、生分解性で化学的に定義されている硫酸カルシウム、リン酸三カルシウム、ヒドロキシアパタイト、ポリ乳酸、およびポリ無水物でありうる。他の可能性のある材料、例えば、骨および真皮コラーゲンは、生分解性であり、生物学的に明確に定義されている。さらなるマトリックスは、純粋なタンパク質または細胞外基質成分で構成されている。他の可能性のあるマトリックス、例えば、焼結ヒドロキシアパタイト、バイオガラス、アルミン酸塩、または他のセラミックスは、非生分解性であり、化学的に定義されている。マトリックスは、上述のタイプの材料のいずれかについての組合せ、例えば、ポリ乳酸とヒドロキシアパタイト、またはコラーゲンとリン酸三カルシウムで構成されていることもある。バイオセラミックスは、組成、例えば、アルミン酸リン酸カルシウムの組成の点で変えることができ、ならびに加工の点で変えて細孔経、粒径、粒子形状および生分解性を変化させることができる。
ある特定の実施形態では、本発明の方法は、例えば、各々が所定量の薬剤を活性成分として含有する、カプセル、カシェー、ピル、錠剤、薬用キャンディー(着香基材、通常はスクロースおよびアラビアゴムまたはトラガカントを使用する)、粉末、顆粒の形態で、または水性もしくは非水性液体中の溶液もしくは懸濁液として、または水中油型もしくは油中水型液体エマルジョンとして、またはエリキシルもしくはシロップとして、またはトローチ(ゼラチンおよびグリセリン、またはスクロースおよびアラビアゴムなどの不活性基剤を使用する)として、ならびに/またはマウスウォッシュおよびこれらに類するものとして、経口投与することができる。薬剤を巨丸剤、舐剤またはペースト剤として投与することもできる。
経口投与用の固体剤形(カプセル、錠剤、ピル、糖衣丸、粉末、顆粒およびこれらに類するもの)の場合、本発明の1つまたは複数の治療用化合物は、1つまたは複数の薬学的に許容される担体、例えば、クエン酸ナトリウムもしくはリン酸カルシウム、および/または次のもののうちのいずれかと混合されうる:(1)充填剤もしくは増量剤、例えば、デンプン、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトールおよび/またはケイ酸、(2)結合剤、例えば、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、スクロースおよび/またはアラビアゴムなど、(3)保湿剤、例えば、グリセロール、(4)崩壊剤、例えば、寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモもしくはタピオカデンプン、アルギン酸、ある特定のケイ酸塩、および炭酸ナトリウム、(5)溶解遅延剤、例えば、パラフィン、(6)吸収促進剤、例えば、第四級アンモニウム化合物、(7)湿潤剤、例えば、セチルアルコールおよびモノステアリン酸グリセロールなど、(8)吸着剤、例えば、カオリンおよびベントナイト粘土、(9)潤滑剤、例えば、タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム、およびこれらの混合物、ならびに(10)着色剤。カプセル、錠剤およびピルの場合、医薬組成物は、緩衝剤も含むことがある。同様のタイプの固体組成物を、ラクトースまたは乳糖ならびに高分子量ポリエチレングリコールおよびこれらに類するもののような賦形剤を使用して、ゼラチン製軟および硬カプセル中の充填剤として利用することもできる。
経口投与のための液体剤形は、薬学的に許容されるエマルジョン、マイクロエマルジョン、溶液、懸濁液、シロップおよびエリキシルを含む。活性成分に加えて、液体剤形は、当技術分野において一般に使用されている不活性希釈剤、例えば、水もしくは他の溶媒、可溶化剤および乳化剤、例えば、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、油(特に、綿実油、ラッカセイ油、トウモロコシ油、胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油およびゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフルフリル(tetrahydrofuryl)アルコール、ポリエチレングリコール、およびソルビタンの脂肪酸エステル、ならびにこれらの混合物を含有しうる。不活性希釈剤の他に、経口組成物は、アジュバント、例えば、湿潤剤、乳化および懸濁化剤、甘味剤、着香剤、着色剤、芳香剤、および/または保存剤も含みうる。
懸濁液は、活性化合物に加えて、懸濁化剤、例えば、エトキシ化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトール、およびソルビタンエステル、微結晶性セルロース、メタ水酸化アルミニウム、ベントナイト、寒天およびトラガカント、ならびにこれらの混合物を含有しうる。
本発明の組成物は、アジュバント、例えば、保存剤、湿潤剤、乳化剤および分散剤も含有しうる。微生物の作用の防止は、様々な抗菌および抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸およびこれらに類するものを含めることによって確保することができる。糖、塩化ナトリウムおよびこれらに類するものなどの等張剤を組成物に含めることが望ましいこともある。加えて、吸収を遅らせる薬剤、例えば、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンを含めることにより、注射用医薬品形態の持続的吸収をもたらすことができる。
投薬レジメンが、本発明の対象化合物(例えば、TβRII融合ポリペプチド)の作用を修飾する様々な因子を考慮して担当医により決定されることになることは、理解される。様々な因子は、患者の年齢、性別および食事、疾患重症度、投与の回数、および他の臨床学的因子を含むが、これらに限定されない。必要に応じて、投薬量は、再構成に使用されるマトリックスのタイプ、および組成物中の化合物のタイプによって変わりうる。最終組成物への他の公知の増殖因子の添加も、投薬量に影響を与えうる。骨成長および/または修復の定期的評定、例えば、X線(DEXAを含む)、組織形態計測的判定、およびテトラサイクリン標識により、進行をモニターすることができる。
ある特定の実施形態では、本発明は、TβRII融合ポリペプチドのin vivoでの産生のための遺伝子療法も提供する。そのような療法は、上記に列挙したような障害を有する細胞または組織へのTβRIIポリヌクレオチド配列の導入により、その治療効果を達成すると予想される。TβRIIポリヌクレオチド配列の送達は、キメラウイルスまたはコロイド分散系などの、組換え発現ベクターを使用して、達成することができる。標的化リポソームの使用は、TβRIIポリヌクレオチド配列の治療的送達に好ましい。
本明細書で教示されるような遺伝子療法に利用することができる様々なウイルスベクターは、アデノウイルス、ヘルペスウイルス、ワクシニアまたは、好ましくは、RNAウイルス、例えばレトロウイルスを含む。好ましくは、レトロウイルスベクターは、マウスまたはトリレトロウイルスの派生物である。単一の外来遺伝子を挿入することができるレトロウイルスベクターの例としては、モロニーマウス白血病ウイルス(MoMuLV)、ハーベイマウス肉腫ウイルス(HaMuSV)、マウス乳癌ウイルス(MuMTV)、およびラウス肉腫ウイルス(RSV)が挙げられるが、これらに限定されない。多数のさらなるレトロウイルスベクターは、複数の遺伝子を組み込むことができる。これらのベクターのすべてが、選択マーカー用の遺伝子を移入するまたは組み込むことができ、その結果、形質導入された細胞を同定および生成することができる。例えば、糖、糖脂質またはタンパク質を結合させることにより、レトロウイルスベクターを標的特異的にすることができる。好ましい標的化は、抗体を使用することにより遂行される。TβRIIポリヌクレオチドを含有するレトロウイルスベクターの標的特異的送達を可能にするために、特異的ポリヌクレオチド配列をレトロウイルス下のゲノムに挿入することまたはウイルス包膜に結合させることができることは、当業者には分かると予想される。好ましい実施形態では、ベクターは、骨または軟骨に標的化される。
あるいは、レトロウイルス構造遺伝子gag、polおよびenvをコードするプラスミドを、組織培養細胞に、従来のリン酸カルシウムトランスフェクションにより直接トランスフェクトすることができる。次いで、これらの細胞に、目的の遺伝子を含有するベクタープラスミドがトランスフェクトされる。得られた細胞は、レトロウイルスベクターを培養培地に放出する。
TβRIIポリヌクレオチドのためのもう1つの標的化送達系は、コロイド分散系である。コロイド分散系は、高分子複合体、ナノカプセル、マイクロスフェア、ビーズ、および脂質ベースの系を含み、脂質ベースの系は、水中油型エマルジョン、ミセル、混合ミセル、およびリポソームを含む。本発明の好ましいコロイド系は、リポソームである。リポソームは、in vitroおよびin vivoで送達ビヒクルとして有用である、人工膜小胞である。RNA、DNA、および無傷のウイルス粒子を水性の内部に封入し、生物活性形態で細胞に送達することができる(例えば、Fraleyら、Trends Biochem.Sci.、6巻:77頁、1981年を参照されたい)。リポソームビヒクルを使用する効率的な遺伝子移入方法は、当技術分野において公知である。例えば、Manninoら、Biotechniques、6巻:682頁、1988年を参照されたい。リポソームの組成は、通常は、リン脂質の組合せ、通常は、ステロイド、特にコレステロール、との組合せでの組合せである。他のリン脂質または他の脂質も使用することができる。リポソームの物理的特性は、pH、イオン強度、および二価カチオンの存在に依存する。
リポソーム生成に有用な脂質の例としては、ホスファチジル化合物、例えば、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジルコリン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルエタノールアミン、スフィンゴ脂質、セレブロシド、およびガングリオシドが挙げられる。例示的リン脂質としては、卵ホスファチジルコリン、ジパルミトイルホスファチジルコリン、およびジステアロイルホスファチジルコリンが挙げられる。例えば、器官特異性、細胞特異性および細胞小器官特異性に基づく、リポソームの標的化も可能であり、当技術分野において公知である。
本開示は、pHを調整するための酸および塩基ならびにpHを狭い範囲内に保つための緩衝剤を含むように変更することができる製剤を提供する。
本発明を、今、一般的に説明しているが、本発明は、以下の実施例を参照することによってより容易に理解されると予想される。以下の実施例は、単に、本発明のある特定の実施形態の例証を目的として含めるものであり、本発明を限定することを意図したものではない。
(実施例1)
受容体融合タンパク質変異体の生成
TβRII ECD変異体
ヒトTβRIIの可溶性細胞外部分とヒトFc部分とを含むTβRII融合タンパク質を生成した。融合タンパク質ごとに、配列番号18のアミノ酸配列を有するTβRIIアミノ酸配列を、配列番号20のアミノ酸配列を有するIgG Fc部分に、いくつかの異なるリンカー1つによって融合させた。融合タンパク質の各々は、配列番号23のアミノ酸配列を有するTPAリーダー配列(下記)も含んだ。
組織プラスミノーゲンアクチベーター(TPA):MDAMKRGLCCVLLLCGAVFVSP(配列番号23)
設計した構築物のいくつかについての例示的概要を図3として提供する。この実施例セクションで試験した異なる構築物についての配列を詳述する表を下に提供する:
構築物成分および構築物各々のアミノ酸配列を、これらの構築物を発現させるために使用した核酸配列とともに、下に提供する。
様々な構築物をCHO細胞において発現させることに成功し、分析サイズ排除クロマトグラフィーおよびSDS−PAGEにより判定して高純度に精製した。hTβRII(G4S)2−hFc、hTβRII(G4S)3−hFc、hTβRII(G4S)4−hFc、hTβRII(G4S)5−hFcおよびhTβRII(G4S)6−hFcタンパク質は、PBS中で13日間、37℃で維持したとき、SDS−PAGE分析により判定して、同様に強い安定性を示した。hTβRII(G4S)2−hFc、hTβRII(G4S)3−hFc、hTβRII(G4S)4−hFcタンパク質も、ラット、マウスまたはヒト血清中で維持し、同様に強い安定性を示した。
TβRII ECD変異体
上に記載した融合タンパク質に含めたTβRIIドメイン(例えば、配列番号18)に加えて、本開示は、代替TβRIIドメインを含む融合タンパク質も企図している。例えば、融合タンパク質は、下に示す野生型hTβRIIショート(23〜159)配列(配列番号27)、または下で開示する他のTβRIIポリペプチドのいずれかを含みうる:
(1)下に示すhTβRIIショート(23〜159/D110K)アミノ酸配列(配列番号36)(配列中の置換残基に下線を引く)。
(2)下に示すN末端短縮hTβRIIショート(29〜159)アミノ酸配列(配列番号28)。
(3)下に示すN末端短縮hTβRIIショート(35〜159)アミノ酸配列(配列番号29)。
(4)下に示すC末端短縮hTβRIIショート(23〜153)アミノ酸配列(配列番号30)。
(5)下に示すC末端短縮hTβRIIショート(23〜153/N70D)アミノ酸配列(配列番号38)(配列中の置換残基に下線を引く)。
本出願人らは、上に示したおよび下に示す野生型hTβRIIロング(23〜184)配列(配列番号49)に基づく5つの対応する変異体(配列番号37、33、34、39)(これらの配列中の25アミノ酸挿入に下線を引く)も想定している。スプライシングが、挿入のC末端側の隣接位置における保存的アミノ酸置換(Val→Ile)をもたらすことに留意されたい。
(1)下に示すhTβRIIロング(23〜184/D135K)アミノ酸配列(配列番号37)(配列中の置換残基に二重下線を引く)。
(2)下に示すN末端短縮hTβRIIロング(29〜184)アミノ酸配列(配列番号33)。
(3)下に示すN末端短縮hTβRIIロング(60〜184)アミノ酸配列(配列番号29と同じ)。
(4)下に示すC末端短縮hTβRIIロング(23〜178)アミノ酸配列(配列番号34)。
(5)下に示すC末端短縮hTβRIIロング(23〜178/N95D)アミノ酸配列(配列番号39)(配列中の置換残基に二重下線を引く)。
追加のTβRII ECD変異体としては、以下のものが挙げられる:
(A)下に示すN末端およびC末端短縮hTβRIIショート(35〜153)またはhTβRIIロング(60〜178)アミノ酸配列(配列番号32)。
(B)下に示すN末端およびC末端短縮hTβRIIショート(29〜153)アミノ酸配列(配列番号31)。
(C)下に示すN末端およびC末端短縮hTβRIIロング(29〜178)アミノ酸配列(配列番号35)。
上記変異体(配列番号36、28、29、30、38、37、33、34、39、32、31および35)のいずれも、hTβRIIアイソフォームC(Konradら、BMC Genomics 8巻:318頁、2007年)に天然に存在するような、36アミノ酸の挿入(配列番号41)を、hTβRII ECDのC末端付近に位置するグルタミン酸残基のペア(配列番号1の151位と152位、または配列番号2の176位と177位)の間に含むことができた。
GRCKIRHIGS NNRLQRSTCQ NTGWESAHVM KTPGFR(配列番号41)
例として、hTβRIIショート(29〜159)変異体(配列番号28)についての必要に応じた挿入部位に隣接するペアのグルタミン酸残基を下に(下線を引いて)示す。
Fcドメイン変異体
Fcドメインが配列番号20のアミノ酸配列を有する上記構築物を生成したが、本開示は、ヒトIgG2 Fcドメイン(配列番号42、下記)または完全長ヒトIgG1 Fc(hG1Fc)(配列番号43、下記)を含む、代替Fcドメインを含む、hTβRII−hFc融合タンパク質を企図している。必要に応じて、Fcドメインに関係のないポリペプチドをFcドメインの位置に結合させることができた。
リーダー配列変異体
生成した上記構築物は、TPAリーダー配列を含んだが、代替リーダー配列、例えば、ネイティブリーダー配列(配列番号22−下記)またはミツバチメリチン(配列番号24−下記)リーダー配列を使用してもよい。
ネイティブ:MGRGLLRGLWPLHIVLWTRIAS(配列番号22)
ミツバチメリチン(HBML):MKFLVNVALVFMVVYISYIYA(配列番号24)
(実施例2)
細胞ベースのアッセイにおける受容体融合タンパク質変異体による差次的リガンド阻害
TGFβ1、TGFβ2およびTGFβ3の、hTβRII(G4S)2−hFc、hTβRII(G4S)3−hFc、hTβRII(G4S)4−hFc、hTβRII−hFc、およびhTβRII伸長ヒンジ−hFcタンパク質に対する親和性を、Biacore(商標)計器を用いてin vitroで評価した。結果を図4Aおよび4Bに要約する。融合タンパク質の各々は、TGFβ1およびTGFβ3に高い親和性で結合することができたが、驚くべきことに、(G4S)4より長いまたはそれに等しいリンカー長を有する構築物が、(G4S)4より短いリンカー長を有する構築物より高い親和性でTGFβ1およびTGFβ3の両方と結合することができた。TGFβ2と構築物のいずれかとの間の結合は、低かったか、または一時的であった。構築物の脱グリコシル化は、結合を変化させなかった。
A549細胞におけるレポーター遺伝子アッセイを使用して、TGFβ1、TGFβ2およびTGFβ3の活性を阻害するhTβRII−hFc変異体の能力を判定した。このアッセイは、pGL3(CAGA)12レポータープラスミド(Dennlerら、1998年、EMBO 17巻:3091〜3100頁)をトランスフェクトした、ならびにトランスフェクション効率の対照となるウミシイタケレポータープラスミド(pRLCMV)をトランスフェクトした、ヒト肺癌細胞株に基づく。CAGAモチーフは、TGFβ応答遺伝子(例えば、PAI−1)のプロモーター内に存在するため、このベクターは、SMAD2およびSMAD3を介してシグナル伝達する因子に一般に使用される。
アッセイの初日に、A549細胞(ATCC(登録商標):CCL−185(商標))を48ウェルプレートに分配した。2日目に、pGL3(CAGA)12と、pRLCMVと、X−tremeGENE 9(Roche Applied Science)と、OptiMEM(Invitrogen)とを含有する溶液をプレインキュベートし、次いで、0.1%BSAを補給したイーグル最小必須培地(EMEM、ATCC(登録商標))に添加し、これを、終夜、37℃、5%CO2でのインキュベーションのために播種した細胞に適用した。3日目に、培地を除去し、下で説明するように調製したリガンドと阻害剤の混合物とともに終夜、37℃、5%CO2で細胞をインキュベートした。
アッセイ緩衝液(EMEM+0.1%BSA)での被験物質の系列希釈を48ウェルプレートで行った。被験リガンドを含有する等体積のアッセイ緩衝液を添加して、前に決定したEC50と等しい最終リガンド濃度を得た。ヒトTGFβ1、ヒトTGFβ2およびヒトTGFβ3は、PeproTechから入手した。被験溶液を37℃で30分間インキュベートし、次いで、混合物の一部分をすべてのウェルに添加した。被験溶液と終夜インキュベートした後、細胞をリン酸緩衝食塩水ですすぎ、次いで、受動的溶解緩衝液(Promega E1941)で溶解し、終夜−70℃で保管した。4日目および最終日に、プレートを穏やかに振盪しながら室温に温めた。細胞溶解物を二重反復で化学発光プレート(96ウェル)に移し、Dual−Luciferase Reporter Assayシステム(Promega E1980)からの試薬を用いてルミノメーターで分析して、正規化ルシフェラーゼ活性を判定した。
図5A〜5Fにおいて例証するように、hTβRII(G4S)2−hFc、hTβRII(G4S)3−hFc、hTβRII(G4S)4−hFc、hTβRII(G4S)5−hFc、hTβRII(G4S)6−hFc、hTβRII−hFc、およびhTβRII伸長ヒンジ−hFcタンパク質は、すべて、TGFβ1とTGFβ3の両方を阻害することができた。興味深いことに、TGFβ1およびTGFβ3阻害向上と、hTβRII(G4S)2−hFc、hTβRII(G4S)3−hFcおよびhTβRII(G4S)4−hFc構築物のリンカー長との間に相関関係があった(図5E)が、この向上の傾向は、hTβRII(G4S)5−hFcおよびhTβRII(G4S)6−hFc構築物については定常に達しているように見えた(図5F)。
参照による組み入れ
本明細書において言及するすべての公表文献および特許は、個々の公表文献または特許の各々が参照により組み入れられると具体的にかつ個々に示されているかのごとく、それら全体が参照により本明細書に組み入れられる。
主題についての特定の実施形態を論じてきたが、上記明細書は、説明に役立つものであり、限定的なものではない。本明細書および下記の特許請求の範囲を再考することにより、多くの変形形態が当業者に明らかになる。本発明の全範囲は、本特許請求の範囲を均等物の全範囲とともに参照することにより、および本明細書をそのような変形形態とともに参照することにより、決定されるべきものである。