(関連出願の相互参照)
本出願は、米国特許法第119条(e)に基づき、2017年3月14日出願の米国特許仮出願第62/470904号の利益を主張する。米国特許仮出願第62/470904号は、参照により本明細書に組み込まれる。
混合物中において有機ケイ素成分を除去処理するための方法は、ジアルケニル官能性芳香族炭化水素とポリオルガノシロキサンとのコポリマーによって有機ケイ素成分の少なくとも一部を収着することを含む。コポリマーは、ジビニルベンゼン/ポリジメチルシロキサンコポリマーであり得る。本方法を実行するための装置もまた開示される。
揮発性ポリジオルガノシロキサン(例えば環式ポリジアルキルシロキサン及び/若しくは直鎖状ポリジアルキルシロキサンオリゴマー)などの有機ケイ素種の低減は、廃プロセスガス又は排水流の処理同様に、多くの場合、化学製造業における費用がかかる工程である。活性炭又はモレキュラーシーブなどの多孔質固体吸着剤が、このような目的に使用されている。しかし、このような固体吸着剤は孔内への吸着に依存するため、物質移動の制限を受ける、脱着による再生のために著しいエネルギー入力が必要である、並びに/又は、汚れ及び毛管凝縮を受けやすいという欠点がある場合がある。
より速やかに再生可能であり、より速い動的特性(dynamics)を特徴とし、及び/又は多孔質固体吸着剤よりも汚れにくいために、有機ケイ素種を取り除くにはシリコーン液体もまた使用されている。しかし、処理される供給混合物が直接接触するシリコーン液体を使用する既存の方法では、任意のシリコーン液体が供給混合物内に取り込まれるか若しくは送られる場合、又は任意の供給混合物がシリコーン液体内に取り込まれるか若しくは送られる場合、追加の液体分離工程が必要となる場合がある。このような問題を回避するために、膜セパレータを使用する方法が用いられている。しかし、膜セパレータには、設備コストが更にかかり得、汚れやすいという欠点がある。
発明が解決しようとする課題
生成物、廃プロセスガス、及び/又は排水流から、有機ケイ素種を取り除く方法が業界で必要とされており、そのような方法及び装置で使用される収着剤などは容易に再生可能であり、汚れにくく、並びに/又は既存の方法及び装置よりも物質移動の制限が少ない。
混合物中において有機ケイ素成分を除去処理するための方法は、ジアルケニル官能性芳香族炭化水素とポリオルガノシロキサンとのコポリマーによって有機ケイ素成分の少なくとも一部を収着し、それにより、有機ケイ素成分中のコポリマーを増強処理し、有機ケイ素成分中の混合物を除去処理することを含む。
本明細書に記載する方法を実行するために使用可能な装置の例である。
有機ケイ素成分及び少なくとも1種の他の成分(これは、有機ケイ素成分とは異なる)を含む混合物中において有機ケイ素分を除去処理するための方法により、除去処理した混合物が形成され、この除去処理した混合物は、本方法を実行する前の混合物よりも少ない有機ケイ素成分を含有する。本方法は、
1)ジアルケニル官能性芳香族炭化水素とポリオルガノシロキサンとのコポリマーによって有機ケイ素成分の少なくとも一部を収着し、それにより、除去処理した混合物を形成し、収着した有機ケイ素成分を含むコポリマーを増強処理し、それにより、増強処理したコポリマーを形成することと、
2)増強処理したコポリマーから有機ケイ素成分の少なくとも一部を脱着し、それにより、脱着した有機ケイ素成分及び再生したコポリマーを形成することと、
3)再生したコポリマーを、工程1)を繰り返す際にコポリマーの全部分又は一部分として使用することと、
を含む。方法は、任意選択的に、工程1)後の除去処理した混合物、及び/又は工程2)後の脱着した有機ケイ素成分の、一方又は両方を(例えば、所望の場所に)配分することを、更に含んでもよい。
方法の工程1)において、方法の条件(例えば圧力及び温度)は、有機ケイ素成分の少なくとも一部が気相中にあるものであってもよい。条件は、混合物が加熱されるようなものであってもよい。加熱のための温度は、有機ケイ素成分の沸点を上回ってもよい。あるいは、全ての有機ケイ素成分が気相となるように温度が選択されてもよい。あるいは、本方法は、工程1)の前に混合物を蒸発させることを更に含んでよい。混合物は、加熱(例えば、混合物の沸点を上回る)などの任意の好都合な手段により蒸発させてよい。理論に束縛されるものではないが、混合物中の有機ケイ素成分の分圧が、コポリマー中、又はコポリマー表面上の有機ケイ素成分の分圧を上回る限り、有機ケイ素成分をコポリマーのバルク中、及び/又はコポリマーの表面上に物質移動させるための十分なドライビングフォース(推進力)が存在すると考えられる。
コポリマーが混合物から少なくとも一部の有機ケイ素成分を収着するのに十分な時間、混合物を、コポリマーと接触させてもよい。混合物を、工程1)にてコポリマーと直接、すなわち、膜を使用することなく接触させてもよい。混合物は、液体であってもよい。あるいは、混合物は工程1)の間に気相中にあってよい。有機ケイ素化合物は、コポリマーの表面上に吸着されても、コポリマーのバルクの中又は両方に吸着されてもよい。
方法の工程2)を実施して、コポリマーを再生することができる。コポリマーが有機ケイ素成分を収着するにつれ、収着速度は低下し得、及び/又はコポリマーが膨潤し得る。コポリマーから有機ケイ素成分の少なくとも一部を脱着させることによって、コポリマーの再生及び再使用が可能であることが望ましい。工程2)の間及び/又は後で、有機ケイ素成分を任意選択的に回収してもよい。コポリマーの再生は、方法の工程1)を停止してコポリマーを再生した後で、工程2)の後に工程1)を繰り返すことにより実施することができる。あるいは、増強処理したコポリマーで工程2)を実施する際に、混合物を経路変更して、工程1)を継続してもよい。本方法の例を図1で以下に示す。
増強処理したコポリマーの再生は、任意の好都合な方法、例えば、任意選択的に増強処理したコポリマーと接触した乾燥空気のガス流又は不活性ガス流によりスイープしながら加熱することにより実施してもよい。増強処理したコポリマーを減圧(例えば大気圧未満)にさらすこと、及び/又は増強処理したコポリマーを、有機ケイ素成分を除去処理したスイープ流と接触させることにより、低温(例えば25℃以下の室温)にて脱着させることも可能である。あるいは、増強処理したコポリマーを膨潤させて、又は膨潤させることなく、増強処理したコポリマーを溶媒にさらすこともまた用いて、増強処理したコポリマーを再生することができる。あるいは、液体抽出、例えば溶媒又は超臨界流体抽出を使用して、増強処理したコポリマーを再生することができる。本方法は、再生したコポリマーを再利用して工程1)を繰り返し得る、工程3)を更に含む。工程1)の繰り返す際に使用するコポリマーは、全て再生されたコポリマーであってよく、あるいは、工程1)を繰り返すのに使用するコポリマーの一部分が再生したコポリマーであり、残部は新しいコポリマーであってもよい。
本方法は、i)工程1)の間及び/又は後に除去処理した混合物、並びにii)工程2)の間及び/又は後に脱着した有機ケイ素成分の、一方又は両方を所望の場所に配分すること、を更に含む。配分することは、任意の好都合な手段、例えば、除去処理した混合物を、流路(例えばパイプ、ダクト、又は他の導管)を通して所望の場所に供給すること(例えば回収操作)により実施してよい。回収操作には冷却装置、例えば熱交換器又は凝縮器を含むことができる。回収操作には、除去処理した混合物を貯蔵するためのタンク、リザーバ、若しくは他の容器、及び/又は有機ケイ素成分を貯蔵するためのタンクなどの回収装置を含むことができる。あるいは、例えば、除去処理した混合物を反応物質として使用する場合に、除去処理した混合物を異なる操作に配分してよい。あるいは、有機ケイ素成分を反応物質として使用する場合、有機ケイ素成分を異なる操作に配分してもよい。あるいは、除去処理した混合物及び有機ケイ素成分の一方又は両方を回収容器に配分してもよい。
例えば、本方法を使用して、有機ケイ素成分の混合物を精製する場合;除去処理した混合物は、任意の好都合な手段(例えば、工程1)において混合物を加熱した、及び/又は混合物が気相中にあった場合に、除去処理した混合物を、流路(例えばパイプ、ダクト、又は他の導管)を通して熱交換器又は凝縮器に供給し、この中で冷却すること)により回収され得る、及び/又は配分され得る精製した混合物である。
あるいは、精製した混合物の回収には、精製した混合物を凝縮器(上述)から、精製した混合物を反応物質又は溶媒として使用する異なる反応器に供給することを含んでよい。一実施形態において、混合物は、有機ケイ素成分としての環式ポリオルガノシロキサンと、混合物中の少なくとも1種の他の成分としてのポリオルガノシロキサン(環式ポリオルガノシロキサンとは異なる)と、を含む。本明細書に記載の方法をこの混合物で使用して、ポリオルガノシロキサン(環式ポリオルガノシロキサンを含まない)を含む精製した混合物を生成することができる。この精製した混合物は、試験、パッケージ化、及び/若しくは販売される回収容器に配分され得るか、又は、精製した混合物は異なるプロセスに配分され、ポリオルガノシロキサン含有生成物の作製において反応物質若しくは他の成分として使用され得る。
あるいは、混合物が廃水であり、除去処理した混合物が精製水である場合、精製水は、精製水を試験プロセス、又は環境に供給すること(例えばポンピング)により配分されてよい。あるいは、混合物が空気であり、除去処理した混合物が精製空気である場合、精製空気は、配管を経由したブローイング又はポンピングにより、空気処理システム又は換気システム内に配分されてもよい。工程1)の間及び/又は後に除去処理した混合物、並びに工程2)の間及び/又は後に脱着した有機ケイ素成分の、一方又は両方が配分される導管はまた、搬送装置(例えばポンプ、ファン、ブロワー、押出成形機、配合機、及びバルブ)と共に、インライン監視試験装置、例えばゲージ、メーター及びセンサを含有してもよいと理解される。
有機ケイ素成分は、任意の好都合な手段により回収することができる。例えば、増強処理したコポリマーを、上述したとおりに乾燥ガス流でスイープすることにより再生する場合、有機ケイ素成分を含有するガス流は、凝縮器を通して有機ケイ素成分を回収するように配分してもよい。あるいは、溶媒を使用して増強処理したコポリマーを再生する場合、溶媒を除去するために留去、抽出、又は蒸留するための装置に有機ケイ素成分を配分してもよい。あるいは、有機ケイ素成分を配分することは、凝縮器(上述)からの有機ケイ素成分、又は有機ケイ素成分を含有する溶媒を、有機ケイ素成分を反応物質として使用する異なる反応器に供給することを含んでもよい。
有機ケイ素成分
有機ケイ素成分は、混合物から望ましくは取り除かれる任意の有機ケイ素種であってもよい。本明細書に記載する方法において、有機ケイ素成分は、70℃で0.1mmHg〜70℃で760mmHg、あるいは、70℃で1mmHg〜70℃で100mmHg、あるいは、70℃で4mmHg〜82mmHg、あるいは70℃で17mmHg〜70℃で82mmHgの蒸気圧を有してもよい。方法の工程1)により形成される生成物は除去処理した混合物であり、上記除去処理した混合物は有機ケイ素成分を含まないか、又は工程1)の前の混合物よりも少ない有機ケイ素成分を含有する。「含まない」とは、除去処理した混合物が、有機ケイ素成分を全く含有しないか、又はGC分析により検出できない量の有機ケイ素成分を含有することを意味する。
有機ケイ素成分は、「DP」が3〜12の環式ポリオルガノシロキサンであってもよく、あるいは、有機ケイ素成分は平均DPが4の環式ポリジアルキルシロキサンであってもよい。環式ポリオルガノシロキサンは、式(R11R12SiO2/2)k[式中、下付き文字kは3〜12であり、各R11は独立して一価の炭化水素基又は一価のハロゲン化炭化水素基であり、各R12は独立してR11、OH、又はHである。]を有してよい。好適な一価の炭化水素基としてはアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アラルキル、及び炭素環式基が挙げられる。アルキル基としては、分枝状又は非分枝状の一価の炭化水素基が挙げられ、メチル、エチル、プロピル(例えばイソプロピル及び/又はn−プロピル)、ブチル(例えばイソブチル、n−ブチル、tert−ブチル、及び/又はsec−ブチル)、ペンチル(例えばイソペンチル、ネオペンチル、及び/又はtert−ペンチル)、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、及びデシル、並びに、6個以上の炭素原子の分枝状飽和一価炭化水素基が例示されるが、これらに限定されない。アルケニル基は、二重結合を含有する一価の炭化水素基である。R11の好適なアルケニル基としては、エテニル、プロペニル(例えばiso−プロペニル及び/又はn−プロペニル)、ブテニル(例えばイソブテニル、n−ブテニル、tert−ブテニル、及び/又はsec−ブテニル)、ペンテニル(例えばイソペンテニル、n−ペンテニル、及び/又はtert−ペンテニル)、ヘキセニル、ヘプテニル、オクテニル、ノネニル、及びデセニル、並びに、6個以上の炭素原子の、このような分枝状基が例示されるが、これらに限定されない。アルキニル基は、三重結合を含有する一価の炭化水素基である。R11の好適なアルキニル基としては、エチニル、プロピニル(例えばiso−プロピニル及び/又はn−プロピニル)、ブチニル(例えばイソブチニル、n−ブチニル、tert−ブチニル、及び/又はsec−ブチニル)、ペンチニル(例えばイソペンチニル、n−ペンチニル、及び/又はtert−ペンチニル)、ヘキシニル、ヘプチニル、オクチニル、ノニニル、及びデシニル、並びに、6個以上の炭素原子の、このような分枝状基が例示されるが、これらに限定されない。アリール基としては、シクロペンタジエニル、フェニル、アントラセニル、及びナフチルにより例示されるがこれらに限定されない、環式の完全不飽和炭化水素基が挙げられる。単環式アリール基は、5〜9個の炭素原子、あるいは6〜7個の炭素原子、あるいは5〜6個の炭素原子を有し得る。多環式アリール基は、10〜17個の炭素原子、あるいは10〜14個の炭素原子、あるいは12〜14個の炭素原子を有してもよい。アラルキル基は、ペンダント及び/若しくは末端アリール基を有するアルキル基、又はペンダントアルキル基を有するアリール基を意味する。例示的なアラルキル基としては、トリル、キシリル、ベンジル、フェニルエチル、フェニルプロピル及びフェニルブチルが挙げられる。炭素環式基は炭化水素環である。炭素環式基は単環式であってよく、あるいは、縮合環、ブリッジ環、又はスピロ多環式環を有してよい。単環式炭素環式基は、3〜9個の炭素原子、あるいは4〜7個の炭素原子、あるいは5〜6個の炭素原子を有していてよい。多環式炭素環式基は、7〜17個の炭素原子、あるいは7〜14個の炭素原子、あるいは9〜10個の炭素原子を有していてよい。炭素環は、飽和又は部分的に不飽和であってよい。炭素環式基は、飽和したシクロアルキル基であってよい。好適な単環式シクロアルキル基は、シクロブチル、シクロペンチル、及びシクロヘキシルにより例示される。好適な一価のハロゲン化炭化水素基とは、炭素原子に結合した1個以上の水素原子が、式としてはハロゲン原子で置換されている一価の炭化水素基を意味する。ハロゲン化炭化水素基としては、ハロアルキル基、ハロゲン化炭素環式基、及びハロアルケニル基が挙げられる。ハロアルキル基としては、トリフルオロメチル(CF3)、フルオロメチル、トリフルオロエチル、2−フルオロプロピル、3,3,3−トリフルオロプロピル、4,4,4−トリフルオロブチル、4,4,4,3,3−ペンタフルオロブチル、5,5,5,4,4,3,3−へプタフルオロペンチル、6,6,6,5,5,4,4,3,3−ノナフルオロヘキシル及び8,8,8,7,7−ペンタフルオロオクチルなどのフッ素化アルキル基、並びにクロロメチル及び3−クロロプロピルなどの塩素化アルキル基が挙げられる。ハロゲン化炭素環式基としては、2,2−ジフルオロシクロプロピル、2,3−ジフルオロシクロブチル、3,4−ジフルオロシクロヘキシル及び3,4−ジフルオロ−5−メチルシクロヘプチルなどのフッ素化シクロアルキル基;並びに、2,2−ジクロロシクロプロピル、2,3−ジクロロシクロペンチルなどの塩素化シクロアルキル基が挙げられる。ハロアルケニル基としては、クロロアリル基が挙げられる。あるいは、有機ケイ素成分は環式ポリジオルガノハイドロジェンシロキサンであってもよい。有機ケイ素成分は、(i)ヘキサメチルシクロトリシロキサン(D3)、(ii)オクタメチルシクロテトラシロキサン(D4)、(iii)テトラメチルシクロテトラシロキサン(D4H)、(iv)テトラメチルテトラビニルシクロテトラシロキサン(D4Vi)、(v)テトラメチルテトラフェニルシクロテトラシロキサン(D4Ph)、(vi)デカメチルシクロペンタシロキサン(D5)、(vii)ペンタメチルシクロペンタシロキサン(D5H)、(viii)ペンタメチルペンタビニルシクロペンタシロキサン(D5Vi)、(ix)ペンタメチルペンタフェニルシクロペンタシロキサン(D5Ph)、(x)ドデカメチルシクロヘキサシロキサン(D6)、(xi)ヘキサメチルシクロヘキサシロキサン(D6H)、(xii)ヘキサメチルヘキサビニルシクロヘキサシロキサン(D6Vi)、(xiii)ヘキサメチルヘキサフェニルシクロヘキサシロキサン(D6Ph)、(xiv)3〜6個のケイ素原子を有するジメチル/メチルビニル環式シロキサン、(xv)3〜6個のケイ素原子を有するジメチル/メチル水素環式シロキサン、又は(xvi)(i)、(ii)、(iii)、(iv)、(v)、(vi)、(vii)、(viii)、(ix)、(x)、(xi)、(xii)、(xiii)、(xiv)、及び(xv)の2つ以上の組み合わせを含んでもよい。あるいは、有機ケイ素成分は、D3、D4、D5、D6、並びにD3、D4、D5、及びD6の2つ以上の組み合わせから選択されてもよい。あるいは、有機ケイ素成分はD4であってもよい。
あるいは、有機ケイ素成分は、DPが1〜14のオルガノシラン又はポリオルガノシロキサンであってもよい。オルガノシランは、式R1vSiR2(4−v)[式中、各R1は独立して一価の炭化水素基又は一価のハロゲン化炭化水素基であり、各R2は独立して水素原子、ハロゲン原子、アルコキシなどの炭化水素オキシ基、アミノ官能基、アセトキシなどのアシルオキシ基、エポキシ官能基、メタクリレート官能基、ケトキシムなどのオキシモ官能基、アクリレート官能基、ポリエーテルなどのポリオール官能基、チオール官能基であり、下付き文字vは0〜4、あるいは0〜3である。]を有してよい。
R1の好適な一価の炭化水素基としては、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アラルキル、及び炭素環式基が挙げられる。アルキル基としては、分枝状又は非分枝状の一価の炭化水素基が挙げられ、メチル、エチル、プロピル(例えばイソプロピル及び/又はn−プロピル)、ブチル(例えばイソブチル、n−ブチル、tert−ブチル、及び/又はsec−ブチル)、ペンチル(例えばイソペンチル、ネオペンチル、及び/又はtert−ペンチル)、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、及びデシル、並びに、6個以上の炭素原子の分枝状飽和一価炭化水素基が例示されるが、これらに限定されない。アルケニル基は、二重結合を含有する一価の炭化水素基である。R1の好適なアルケニル基としては、エテニル、プロペニル(例えばiso−プロペニル及び/又はn−プロペニル)、ブテニル(例えばイソブテニル、n−ブテニル、tert−ブテニル、及び/又はsec−ブテニル)、ペンテニル(例えばイソペンテニル、n−ペンテニル、及び/又はtert−ペンテニル)、ヘキセニル、ヘプテニル、オクテニル、ノネニル、及びデセニル、並びに、6個以上の炭素原子の、このような分枝状基が例示されるが、これらに限定されない。アルキニル基は、三重結合を含有する一価の炭化水素基である。R1の好適なアルキニル基としては、エチニル、プロピニル(例えばiso−プロピニル及び/又はn−プロピニル)、ブチニル(例えばイソブチニル、n−ブチニル、tert−ブチニル、及び/又はsec−ブチニル)、ペンチニル(例えばイソペンチニル、n−ペンチニル、及び/又はtert−ペンチニル)、ヘキシニル、ヘプチニル、オクチニル、ノニニル、及びデシニル、並びに、6個以上の炭素原子の、このような分枝状基が例示されるが、これらに限定されない。アリール基としては、シクロペンタジエニル、フェニル、アントラセニル、及びナフチルにより例示されるがこれらに限定されない、環式の完全不飽和炭化水素基が挙げられる。単環式アリール基は、5〜9個の炭素原子、あるいは6〜7個の炭素原子、あるいは5〜6個の炭素原子を有し得る。多環式アリール基は、10〜17個の炭素原子、あるいは10〜14個の炭素原子、あるいは12〜14個の炭素原子を有してもよい。アラルキル基は、ペンダント及び/若しくは末端アリール基を有するアルキル基、又はペンダントアルキル基を有するアリール基を意味する。例示的なアラルキル基としては、トリル、キシリル、ベンジル、フェニルエチル、フェニルプロピル及びフェニルブチルが挙げられる。炭素環式基は炭化水素環である。炭素環式基は単環式であってよく、あるいは、縮合環、ブリッジ環、又はスピロ多環式環を有してよい。単環式炭素環式基は、3〜9個の炭素原子、あるいは4〜7個の炭素原子、あるいは5〜6個の炭素原子を有していてよい。多環式炭素環式基は、7〜17個の炭素原子、あるいは7〜14個の炭素原子、あるいは9〜10個の炭素原子を有していてよい。炭素環は、飽和又は部分的に不飽和であってよい。炭素環式基は、飽和したシクロアルキル基であってよい。好適な単環式シクロアルキル基は、シクロブチル、シクロペンチル、及びシクロヘキシルにより例示される。好適な一価のハロゲン化炭化水素基とは、炭素原子に結合した1個以上の水素原子が、式としてはハロゲン原子で置換されている一価の炭化水素基を意味する。ハロゲン化炭化水素基としては、ハロアルキル基、ハロゲン化炭素環式基、及びハロアルケニル基が挙げられる。ハロアルキル基としては、トリフルオロメチル(CF3)、フルオロメチル、トリフルオロエチル、2−フルオロプロピル、3,3,3−トリフルオロプロピル、4,4,4−トリフルオロブチル、4,4,4,3,3−ペンタフルオロブチル、5,5,5,4,4,3,3−へプタフルオロペンチル、6,6,6,5,5,4,4,3,3−ノナフルオロヘキシル及び8,8,8,7,7−ペンタフルオロオクチルなどのフッ素化アルキル基、並びにクロロメチル及び3−クロロプロピルなどの塩素化アルキル基が挙げられる。ハロゲン化炭素環式基としては、2,2−ジフルオロシクロプロピル、2,3−ジフルオロシクロブチル、3,4−ジフルオロシクロヘキシル及び3,4−ジフルオロ−5−メチルシクロヘプチルなどのフッ素化シクロアルキル基;並びに、2,2−ジクロロシクロプロピル、2,3−ジクロロシクロペンチルなどの塩素化シクロアルキル基が挙げられる。ハロアルケニル基としては、クロロアリル基が挙げられる。
R2の好適なハロゲン原子としては、F、Cl、Br、又はI、あるいは、F、Cl、又はBrであり、あるいは、Cl、又はBr、あるいは、Cl、あるいはBrが挙げられる。R2の好適な炭化水素オキシ基は式OR3[式中、R3はR1に関して上述したとおりの一価の炭化水素基である。]を有する。下付き文字vは1〜4、あるいは1〜3、あるいは1〜2である。例示的なオルガノシランとしては、トリメチルシラン、ビニルトリメチルシラン、アリルトリメチルシラン、ジメチルジメトキシシラン、及び/又はメチルトリメトキシシランが挙げられる。
あるいは、上述の方法を用いて混合物から除去される有機ケイ素化合物は、揮発性ポリオルガノシロキサンであってもよい。揮発性ポリオルガノシロキサンは直鎖状又は分枝状であってよい。例としては、ポリジメチルシロキサンオリゴマー及びポリマーが挙げられる。揮発性ポリオルガノシロキサンは、単位式(R43SiO1/2)w(R42SiO2/2)x(R4SiO3/2)y(SiO4/2)z[式中、R4は水素原子、OH、又は上述したとおりのR1であり、下付き文字wは>0であり、下付き文字xは≧0であり、下付き文字yは≧0であり、下付き文字zは≧0であり、ただし数量(w+x+y+z)は≦14である。]を有することができる。あるいは、yは0であってよい。あるいは、zは0であってよい。あるいは、wは2であってよく、xは0〜12、あるいは0〜2であってよい。例示的な揮発性ポリオルガノシロキサンとしては、式(R43SiO1/2)2(R42SiO2/2)2、(R43SiO1/2)2(R42SiO2/2)1、(R43SiO1/2)2、及び/又は(R43SiO1/2)4(SiO4/2)1のものを挙げることができる。あるいは、各R4は独立して水素原子、メチル基、ビニル基、又はフェニル基であってよい。あるいは、各R4はメチルであってよい。このような揮発性ポリオルガノシロキサンとしては、ヘキサメチルジシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、及び他の低分子量ポリオルガノシロキサン(例えば、Dow Corning Corporation(Midland,Michigan,U.S.A)から市販されている、0.5〜1.5cStのDow Corning(登録商標)200Fluids及びDow Corning(登録商標)OS FLUIDS)が挙げられる。あるいは、混合物から除去される有機ケイ素化合物は、式Si(OSiR43)4[式中、R4は上述のとおりである]のネオペンタマーであってもよい。例示的なネオペンタマーとしては、Si[OSi(CH3)3]4、Si[OSi(CH3)2H]4、及びSi[OSi(CH3)2Vi]4が挙げられる。
上述した方法の工程1)において使用される混合物は、上述したとおりに、有機ケイ素成分の一部又は全てを取り除くのが望ましい任意の混合物であってもよい。混合物は、有機ケイ素成分及び少なくとも1種の他の成分を含む。有機ケイ素成分は、混合物中の少なくとも1種の他の成分の蒸気圧未満の蒸気圧を有してもよい。特定の実施形態において、有機ケイ素成分は、コポリマー中での、蒸気の相対圧力によって、又は、有機ケイ素成分の溶解度と少なくとも1種の他の成分の溶解度との差によって、混合物中の少なくとも1種の他の成分と区別することができる。例えば、一実施形態において、混合物中の少なくとも1種の他の成分が、直鎖状ポリジメチルシロキサンよりも低い蒸気圧を有する場合、直鎖状ポリジメチルシロキサンなどの種は、有機ケイ素成分であることができる。あるいは、有機ケイ素成分が例えば、直鎖状ポリジメチルシロキサンの蒸気圧よりも高い蒸気圧を有するオルガノシロキサン樹脂である場合、同じ直鎖状ポリジメチルシロキサンが、混合物中の少なくとも1種の他の成分であることができる。理論に束縛されるものではないが、蒸気圧の差(有機ケイ素成分が、混合物中の少なくとも1種の他の成分よりも高い蒸気圧を有する場合)、又は、コポリマー中における、有機ケイ素成分の溶解度と、混合物中の少なくとも1種の他の成分との溶解度の差によって、蒸気相の有機ケイ素成分が優先的に混合物から取り除かれ、コポリマーによって収着されることができると考えられる。
少なくとも1種の他の成分は、相対的に不揮発性のポリオルガノシロキサンであってもよい(例えば、有機ケイ素成分について上述したポリオルガノシロキサンよりも揮発性が低い)。不揮発性のポリオルガノシロキサンは、単位式(R43SiO1/2)p(R42SiD2/2)q(R4SiO3/2)r(SiO4/2)s[式中、R4は上述したとおりであり、Dは酸素原子又は二価の炭化水素基であり、下付き文字pは>0であり、下付き文字qは>0であり、下付き文字rは≧0であり、下付き文字sは≧0であり、ただし数量(p+q+r+s)>14である。]を有することができる。各Dは、酸素原子、又は、1つの単位のケイ素原子を別の単位中の別のケイ素原子と結合する二価の基である。Dが二価の連結基である場合、Dは、2〜30個の炭素原子を含有する二価の炭化水素基、2〜30個の炭素原子を含有する二価のアクリレート官能性炭化水素基、及び/又は2〜30個の炭素原子を含有する二価のメタクリレート官能性炭化水素基から独立して選択されてよい。好適な二価の炭化水素基の代表的な非限定例としては、アルキレン基、例えばエチレン、プロピレン(イソプロピレン及びn−プロピレンを含む)、並びにブチレン(n−ブチレン、t−ブチレン、及びイソブチレンを含む);並びにペンチレン、ヘキシレン、へプチレン、オクチレン、並びにこれらの分枝状及び直鎖状異性体;フェニレンなどのアリーレン基;並びに
などのアルキルアラルキレン基が挙げられる。
このような二価の有機官能性炭化水素基の代表的な非限定例としては、二価のビスフェノールA誘導基、アクリレート官能性アルキレン基、及びメタクリレート官能性アルキレン基が挙げられる。あるいは、各基Dは、エチレン、プロピレン、ブチレン又はヘキシレンであってよい。あるいは、基Dの各例はエチレン又はプロピレンであってよい。不揮発性ポリオルガノシロキサンは当技術分野において既知であり、市販されている。好適な不揮発性ポリオルガノシロキサンは、不揮発性ポリジメチルシロキサンにより例示されるが、これに限定されない。このような不揮発性ポリジメチルシロキサンとしては、Dow Corning Corporation(Midland,Michigan,U.S.A.)から市販されているDOW CORNING(登録商標)200Fluidsが挙げられ、10cSt〜100,000cSt、あるいは20cSt〜50,000cSt、あるいは50cSt〜100,000cSt、あるいは50cSt〜50,000cSt、あるいは12,500〜60,000cStの範囲の粘度を有することができる。本明細書に記載する方法を使用して、揮発性ポリオルガノシロキサンを不揮発性ポリオルガノシロキサンから取り除く際、揮発性ポリオルガノシロキサンは、同一温度にて不揮発性ポリオルガノシロキサンの蒸気圧より低い蒸気圧を有する。不揮発性ポリオルガノシロキサン及び揮発性ポリオルガノシロキサンは互いに、少なくとも1つの特性、例えば分子量、重合度、及びR4基の選択が異なる。
不揮発性ポリオルガノシロキサンは、非環式ポリオルガノシロキサンポリマー及び/又はコポリマーであってよい。本方法を使用して、ポリオルガノシロキサン中間体、及び生成物(例えば直鎖状及び/又は分枝状ポリジオルガノシロキサンポリマー及び/又はコポリマー)を精製することができる。特定の用途においては、環式ポリジアルキルシロキサンの含量が少ないか、又は(GCにより)検出されないことが、特に美容及びヘルスケア業界で顧客の望みである。このようなポリジオルガノシロキサンポリマー及びコポリマーの例は、以下の式(I)又は(II)
式(I):R63SiO(R62SiO)k(R6HSiO)mSiR63、
式(II):R62HSiO(R62SiO)n(R6HSiO)oSiR62H、又は
これらの組み合わせ。
上記式(I)及び(II)において、下付き文字kは1〜2000の範囲の平均値を有し、下付き文字mは0〜2000の範囲の平均値を有し、下付き文字nは1〜2000の範囲の平均値を有し、下付文字oは0〜2000の範囲の平均値を有する。各R6は独立して一価の有機基である。一価の有機基は、一価の炭化水素基又は一価のハロゲン化炭化水素基であってよい。一価の炭化水素基としては、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アラルキル、及び炭素環式基が挙げられる。アルキル基としては、分枝状又は非分枝状の一価の炭化水素基が挙げられ、メチル、エチル、プロピル(例えばイソプロピル及び/又はn−プロピル)、ブチル(例えばイソブチル、n−ブチル、tert−ブチル、及び/又はsec−ブチル)、ペンチル(例えばイソペンチル、ネオペンチル、及び/又はtert−ペンチル)、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、及びデシル、並びに、6個以上の炭素原子の分枝状飽和一価炭化水素基が例示されるが、これらに限定されない。アリール基としては、シクロペンタジエニル、フェニル、アントラセニル、及びナフチルにより例示されるがこれらに限定されない、環式の完全不飽和炭化水素基が挙げられる。単環式アリール基は、5〜9個の炭素原子、あるいは6〜7個の炭素原子、あるいは5〜6個の炭素原子を有し得る。多環式アリール基は、10〜17個の炭素原子、あるいは10〜14個の炭素原子、あるいは12〜14個の炭素原子を有してもよい。アラルキル基は、ペンダント及び/若しくは末端アリール基を有するアルキル基、又はペンダントアルキル基を有するアリール基を意味する。例示的なアラルキル基としては、トリル、キシリル、ベンジル、フェニルエチル、フェニルプロピル及びフェニルブチルが挙げられる。炭素環式基は炭化水素環である。炭素環式基は単環式であってよく、あるいは、縮合環、ブリッジ環、又はスピロ多環式環を有してよい。単環式炭素環式基は、3〜9個の炭素原子、あるいは4〜7個の炭素原子、あるいは5〜6個の炭素原子を有していてよい。多環式炭素環式基は、7〜17個の炭素原子、あるいは7〜14個の炭素原子、あるいは9〜10個の炭素原子を有していてよい。炭素環は、飽和又は部分的に不飽和であってよい。炭素環式基は、飽和したシクロアルキル基であってよい。好適な単環式シクロアルキル基は、シクロブチル、シクロペンチル、及びシクロヘキシルにより例示される。好適な一価のハロゲン化炭化水素基とは、炭素原子に結合した1個以上の水素原子が、式としてはハロゲン原子で置換されている一価の炭化水素基を意味する。ハロゲン化炭化水素基としては、ハロアルキル基、ハロゲン化炭素環式基、及びハロアルケニル基が挙げられる。ハロアルキル基としては、トリフルオロメチル(CF3)、フルオロメチル、トリフルオロエチル、2−フルオロプロピル、3,3,3−トリフルオロプロピル、4,4,4−トリフルオロブチル、4,4,4,3,3−ペンタフルオロブチル、5,5,5,4,4,3,3−へプタフルオロペンチル、6,6,6,5,5,4,4,3,3−ノナフルオロヘキシル及び8,8,8,7,7−ペンタフルオロオクチルなどのフッ素化アルキル基、並びにクロロメチル及び3−クロロプロピルなどの塩素化アルキル基が挙げられる。ハロゲン化炭素環式基としては、2,2−ジフルオロシクロプロピル、2,3−ジフルオロシクロブチル、3,4−ジフルオロシクロヘキシル及び3,4−ジフルオロ−5−メチルシクロヘプチルなどのフッ素化シクロアルキル基;並びに、2,2−ジクロロシクロプロピル、2,3−ジクロロシクロペンチルなどの塩素化シクロアルキル基が挙げられる。ハロアルケニル基としては、クロロアリル基が挙げられる。
あるいは、一価の有機基は、酸素原子で置換された炭化水素基、例えばアルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基、オキソ(カルボニル)基、カルボン酸、カルボキシレート、及びカルボン酸エステルを含むカルボキシル基であってよい。あるいは、一価の有機基は、硫黄原子で置換された炭化水素基、例えばチオール官能基、アルキル及びアリールサルファイド基、スルホキシド官能基、スルホン官能基、スルホニル官能基、及びスルホンアミド官能基であってよい。あるいは、一価の有機基は、窒素原子で置換された炭化水素基、例えばアミン、ヒドロキシルアミン、ニトリル、ニトロ基、N−オキサイド、ヒドラジド、アジド、及びエナミンであってよい。あるいは、一価の有機基は、別のへテロ原子含有基で置換された炭化水素基であってよい。一価の炭化水素基上で置換され、一価の有機基を形成する原子及び基の非限定例としては、F、Cl、Br、I、OR’、OC(O)N(R’)2、CN、NO、NO2、ONO2、アジド、CF3、OCF3、R’、O(オキソ)、S(チオノ)、C(O)、S(O)、メチレンジオキシ、エチレンジオキシ、N(R’)2、SR’、SOR’、SO2R’、SO2N(R’)2、SO3R’、C(O)R’、C(O)C(O)R’、C(O)CH2C(O)R’、C(S)R’、C(O)OR’、OC(O)R’、C(O)N(R’)2、OC(O)N(R’)2、C(S)N(R’)2、(CH2)0−2N(R’)C(O)R’、(CH2)0−2N(R’)N(R’)2、N(R’)N(R’)C(O)R’、N(R’)N(R’)C(O)OR’、N(R’)N(R’)CON(R’)2、N(R’)SO2R’、N(R’)SO2N(R’)2、N(R’)C(O)OR’、N(R’)C(O)R’、N(R’)C(S)R’、N(R’)C(O)N(R’)2、N(R’)C(S)N(R’)2、N(COR’)COR’、N(OR’)R’、C(=NH)N(R’)2、C(O)N(OR’)R’、又はC(=NOR’)R’が挙げられ、式中、R’は水素又は炭素ベースの部位であることができ、炭素ベースの部位は、それ自身が更に置換されることができ、例えば、R’は水素、アルキル、アシル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、又はヘテロアリールアルキルであることができ、任意のアルキル、アシル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、若しくはヘテロアリールアルキル、又はR’は独立して一置換又は多置換であることができ、又は、1個の窒素原子又は隣接する複数の窒素原子に結合した2個のR’基は、1個又は複数個の窒素原子と共に、一置換又は独立して多置換であることができるヘテロシクリルを形成することができる。有機基の例としては、直鎖状及び/又は分枝状基(例えばアルキル基、完全に又は部分的にハロゲン置換されたハロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、芳香族基、アクリレート官能基、及びメタクリレート官能基)、並びに、他の有機官能基(例えばエーテル基、シアン酸エステル基、エステル基、カルボン酸塩基、メルカプト基、サルファイド基、アジド基、ホスホネート基、ホスフィン基、マスクされたイソシアノ基、及びヒドロキシル基)が挙げられる。有機基の例としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、s−ブチル、及びt−ブチル基などのアルキル基、アクリロイルオキシプロピル基及びメタクリロイルオキシプロピル基などのアクリレート官能基;ビニル、アリル、及びブテニル基などのアルケニル基;エチニル及びプロピニル基などのアルキニル基;フェニル、トリル、及びキシリル基などの芳香族基;シアノエチル及びシアノプロピル基などのシアノアルキル基;3,3,3−トリフルオロプロピル、3−クロロプロピル、ジクロロフェニル、及び6,6,6,5,5,4,4,3,3−ノナフルオロヘキシル基などのハロゲン化炭化水素基;アリルオキシ(ポリオキシエチレン)、アリルオキシポリ(オキシプロピレン)、及びアリルオキシ−ポリ(オキシプロピレン)−co−ポリ(オキシエチレン)基などのアルケニルオキシポリ(オキシアルキレン)基;プロピルオキシ(ポリオキシエチレン)、プロピルオキシポリ(オキシプロピレン)、及びプロピルオキシ−ポリ(オキシプロピレン)−co−ポリ(オキシエチレン)基などのアルキルオキシポリ(オキシアルキレン)基;ペルフルオロプロピルオキシ(ポリオキシエチレン)、ペルフルオロプロピルオキシポリ(オキシプロピレン)、及びペルフルオロプロピルオキシ−ポリ(オキシプロピレン)−co−ポリ(オキシエチレン)基などのハロゲン置換アルキルオキシポリ(オキシアルキレン)基;メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、及びエチルヘキシルオキシ基などのアルコキシ基;3−アミノプロピル、6−アミノヘキシル、11−アミノウンデシル、3−(N−アリルアミノ)プロピル、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピル、N−(2−アミノエチル)−3−アミノイソブチル、p−アミノフェニル、2−エチルピリジン、及び3−プロピルピロール基などのアミノアルキル基;3−グリシドキシプロピル、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル、及び5,6−エポキシヘキシル基などのエポキシアルキル基;アセトキシエチル(actetoxyethyl)及びベンゾイルオキシプロピル基などのエステル官能基;ヒドロキシエチル及び2−ヒドロキシエチル基などのヒドロキシ官能基;プロピル−t−ブチルカルバメート及びプロピルエチルカルバメート基などのマスクされたイソシアネート官能基;ウンデカナール及びブチルアルデヒド基などのアルデヒド官能基;3−プロピル無水コハク酸及び3−プロピル無水マレイン酸基などの無水物官能基;並びに、3−カルボキシプロピル及び2−カルボキシエチルの亜鉛、ナトリウム、又はカリウム塩などの、カルボン酸の金属塩が挙げられるが、これらに限定されない。
用語「置換された」とは、本明細書で使用する場合、本明細書で記載したとおり一価の炭化水素基中に含有される水素原子への1個以上の結合が、非水素原子への1個以上の結合により置き換えられていること、及び/又は、1個以上の炭素原子がへテロ原子(例えばハロゲン、N、O、又はS)で置き換えられていることを意味する。
精製される、混合物中のポリオルガノシロキサンは、
a)トリメチルシロキシ末端ポリジメチルシロキサン、
b)トリメチルシロキシ末端ポリ(ジメチルシロキサン/メチルフェニルシロキサン)、
c)ジメチルハイドロジェンシロキシ末端ポリジメチルシロキサン、
d)ジメチルハイドロジェンシロキシ末端ポリ(ジメチルシロキサン/メチルハイドロジェンシロキサン)、
e)ジメチルハイドロジェンシロキシ末端ポリメチルハイドロジェンシロキサン、
f)トリメチルシロキシ末端ポリ(ジメチルシロキサン/メチルハイドロジェンシロキサン)、
g)トリメチルシロキシ末端ポリメチルハイドロジェンシロキサン、
ヒドロキシ末端ポリジメチルシロキサン、
ヒドロキシ末端ポリ(ジメチルシロキサン/メチルビニルシロキサン)、
ヒドロキシ末端ポリ(ジメチルシロキサン/メチルフェニルシロキサン)、
h)a)、b)、c)、d)、e)、f)、及びg)の2つ以上の組み合わせにより例示される。
あるいは、精製される混合物中の不揮発性ポリオルガノシロキサンは、MQ樹脂、MT樹脂、DT樹脂、MTQ樹脂、MDT樹脂、及び/又はシルセスキオキサン樹脂などのポリオルガノシロキサン樹脂を含んでもよい。MQ樹脂は、本質的に、R63SiO1/2単位及びSiO4/2単位からなってもよく;TD樹脂は、本質的に、R6SiO3/2単位及びR62SiO2/2単位からなってもよく;MT樹脂は、本質的に、R63SiO1/2単位及びR6SiO3/2単位からなってもよく;MTQ樹脂は、本質的に、R63SiO1/2単位、R6SiO3/2単位、及びSiO4/2単位からなってもよく、MTD樹脂は、本質的に、R63SiO1/2単位、R6SiO3/2単位、及びR62SiO2/2単位からなってもよく;シルセスキオキサン樹脂は、本質的に、R6SiO3/2単位からなってもよく;又はMQ、MT、DT、MTQ、MDT、及びシルセスキオキサン樹脂のうちの2つ以上の組み合わせ、式中、R6は上述したとおりである。
樹脂は、平均3〜30モルパーセントの官能性置換基、例えば水素原子、又はヒドロキシル、加水分解性、若しくは脂肪族不飽和有機基などの基を含有してもよい。脂肪族不飽和有機基は、アルケニル基、アルキニル基又はこれらの組み合わせであってもよい。樹脂中の官能性置換基のモルパーセントは、樹脂中のシロキサン単位の総モル数に対する樹脂中の官能性置換基含有シロキサン単位のモル数の比に100を乗じたものである。
樹脂を調製する方法は、当該技術分野において周知である。例えば、樹脂は、Daudtらのシリカヒドロゾルキャッピングプロセスによって、及び任意選択的に、末端保護試薬で処理されることによって、調製され得る。Daudtらの方法は、米国特許第2,676,182号に開示されている。簡潔に述べると、Daudtらの方法は、酸性条件下でシリカヒドロゾルをトリメチルクロロシランなどの加水分解性トリオルガノシラン、ヘキサメチルジシロキサンなどのシロキサン又はこれらの混合物と反応させることと、M及びQ単位を有するコポリマーを回収することと、を伴う。得られる樹脂は、一般的に、2〜5重量%のヒドロキシル基を含有する。
2%未満のケイ素結合ヒドロキシル基を含有し得る樹脂は、最終生成物中に3〜30モルパーセントの官能性置換基をもたらすのに十分な量の官能性置換基含有末端保護剤、及び/又は官能性置換基を含まない末端保護剤とDaudtらの生成物を反応させることによって調製し得る。末端保護剤の例としては、シラザン、シロキサン及びシランが挙げられるが、これらに限定されない。好適な末端保護剤は、当該技術分野において公知であり、米国特許第4,584,355号、同第4,591,622号、及び同第4,585,836号に例示されている。単一の末端保護剤又はこのような剤の混合物を使用して樹脂を調製することができる。
あるいは、混合物はプロセスガス又は蒸気流であってよい。例としては、反応器からの、混合した上部の蒸気流、例えば、ポリオルガノシロキサンを重合又は官能化するために使用するもの、並びに、埋立てガスなどの残留揮発性シロキサンを含有する空気流及び排気流が挙げられる。反応の種類の例としては、加水分解、縮合、ヒドロシリル化、エポキシ化、アルコキシル化、エステル交換、アルコール交換分解、ラジカル重合、アニオン重合又はカチオン重合が挙げられる。プロセスガス流のその他の例としては、発電装置、エンジン、ヒーター及び炉からの燃焼排気が挙げられる。
あるいは、混合物はプロセス液体流であってよい。例としては排水、又は、残留揮発性シロキサンを含有するシリコーンエマルションなどのエマルションが挙げられる。
方法の用途/使用
本明細書に記載の方法を使用して、混合物(例えば不揮発性ポリオルガノシロキサン(上述のとおり)、非環式ポリジオルガノシロキサン、プロセスガス排気物、及び/又はプロセス排水)中の、環式ポリジオルガノシロキサン(上述のとおり)、例えば環式ポリジアルキルシロキサンの量を低減することができる。いくつかの実施形態において、本明細書に記載の方法を使用して、除去処理した混合物中に所望の有機ケイ素成分を残しながら、有機ケイ素成分を選択的に取り除くことができる。本実施形態において、コポリマー中での1つの有機ケイ素成分の溶解度は、より高い蒸気圧を有する第2の有機ケイ素成分の溶解度より高い場合がある。例えば、水蒸気、並びにD4及びD5などの環式ポリオルガノシロキサンを含有するシリコーンエマルションの場合、環式ポリオルガノシロキサンを取り除き、不揮発性ポリオルガノシロキサンをエマルション中に残すのが望ましい場合がある。
一実施形態において、本明細書に記載の方法を使用して、有機ケイ素成分及び少なくとも1種の他の成分を含む混合物から、有機ケイ素成分を取り除くことができる。本方法は、
1)蒸気相混合物を、ジアルケニル官能性芳香族炭化水素とポリオルガノシロキサンとのコポリマーと直接接触させることであって、ここでコポリマーは≦25℃のガラス転移温度を有しており、それのより収着前の混合物よりも少ない有機ケイ素成分を含有する除去処理した混合物を形成し、収着した有機ケイ素成分を有するコポリマーを増強処理し、それにより増強処理したコポリマーを形成することと、
2)工程1)の間及び又は後に除去処理した混合物を回収することと、
3)収着した有機ケイ素成分の少なくとも一部を増強処理したコポリマーから脱着し、それにより、脱着した有機ケイ素成分、及び脱着前の増強処理したコポリマーよりも少ない収着した有機ケイ素成分を含有する再生したコポリマーを形成することと、
4)再生したコポリマーを、工程1)を繰り返す際にコポリマーの全部分又は一部分として使用することと、
任意選択的に、5)工程2)の間及び/又は後に脱着した有機ケイ素成分を回収することと、を含む。本実施形態において、有機ケイ素成分は揮発性汚染物質であってもよい。揮発性汚染物質は、上述したように、重合度が3〜12の環式ポリオルガノシロキサンを含んでよい。混合物中の少なくとも1種の他の成分は、直鎖状ポリオルガノシロキサンを含んでもよい。コポリマーは、ジビニルベンゼンと付加反応重合性ポリオルガノシロキサンとの付加反応生成物であってもよい。本実施形態の方法を使用して、直鎖状ポリオルガノシロキサンを含むがこれに限定されない様々な混合物からD4を取り除いてよい。
コポリマー
上述の方法において有用なコポリマーは、ジアルケニル官能性芳香族炭化水素とポリオルガノシロキサンとの付加反応生成物である。コポリマーは、ラジカル重合を含む方法によって調製してもよい。例えば、上述の方法において有用なコポリマーは:
1)
a)
i)水、
任意選択的に、ii)非イオン性界面活性剤、
iii)塩、
を含む水相と、
b)
i)炭化水素溶媒、
ii)1分子当たり少なくとも1つのケイ素結合脂肪族不飽和炭化水素基を有するポリオルガノシロキサン、
iii)開始剤、及び
iv)ジアルケニル芳香族炭化水素モノマー、並びに
任意選択的に、v)モノアルケニル芳香族モノマー、
を含む有機相と、
を含む出発原料のフリーラジカル重合と、
2)その後、溶媒を除去することと、
を含む、方法によって調製してもよい。
上述の方法において、水は脱イオン水又は蒸留水であってもよい。水相は、水相100重量部当たり50〜99.9999部の水を含有してもよい。
使用可能な、いくつかの好適な非イオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、アルキルグルコシド、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、並びに脂肪族アルコール、例えばセチルアルコール、ステアリルアルコール、セトステアリルアルコール、オレイルアルコール、及びポリビニルアルコールなどが挙げられる。市販されている非イオン性界面活性剤としては、(i)Tergitol TMN−6及びTergitol TMN−10の商品名で販売されている2,6,8−トリメチル−4−ノニルポリオキシエチレンエーテル、(ii)Dow Chemical Company(Midland,Michigan)により、商品名Tergitol 15−S−7、Tergitol 15−S−9、Tergitol 15−S−15、Tergitol 15−S−30、及びTergitol 15−S−40で販売されているC11〜15第二級アルキルポリオキシエチレンエーテル、Dow Chemical Company(Midland,Michigan)により商品名Triton X405で販売されているオクチルフェニルポリオキシエチレン(40)エーテル、(iii)Stepan Company(Northfield,Illinois)により商品名Makon 10で販売されているノニルフェニルポリオキシエチレン(10)エーテル、(iv)Henkel Corp./Emery Group(Cincinnati,Ohio)により商品名Trycol 5953で販売されているエトキシ化アルコール、(v)Croda Inc.(Edison,NJ)により商品名Brij L23及びBrij L4で販売されているエトキシ化アルコール、(vi)アルキルオキソアルコールポリグリコールエーテル(例えば(登録商標)GENAPOL UD050、及びGenapol UD110)、(vii)C10ゲルベ(Guerbet)アルコール及びエチレンオキシドをベースにするアルキルポリエチレングリコールエーテル(例えばLUTENSOL(登録商標)XP79)などの組成物が挙げられる。好適な非イオン性界面活性剤としては、更にポリ(オキシエチレン)−ポリ(オキシプロピレン)−ポリ(オキシエチレン)トリブロックコポリマーも挙げられる。ポリ(オキシエチレン)−ポリ(オキシプロピレン)−ポリ(オキシエチレン)トリブロックコポリマーは、一般にポロキサマーとしても知られている。これらは、中央部の、ポリオキシプロピレン(ポリ(プロピレンオキシド))である疎水性鎖と、その両側の、ポリオキシエチレン(ポリ(エチレンオキシド))からなる2つの親水性鎖と、からなる非イオン性トリブロックコポリマーである。ポリ(オキシエチレン)−ポリ(オキシプロピレン)−ポリ(オキシエチレン)トリブロックコポリマーは、BASF(Florham Park,NJ)から市販されており、Pluronic L61、L62、L64、L81、P84などのPLURONIC(登録商標)の商標名で販売されている。非イオン性界面活性剤はまたシリコーンポリエーテル(SPE)であってもよい。乳化剤としてのシリコーンポリエーテルは、ポリオキシエチレン又はポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンコポリマー単位がシロキサン主鎖にグラフトされる熊手型構造を有し得、又はSPEは、Aがポリエーテル部分を表し、BがABA構造のシロキサン部分を表すABAブロックコポリマー構造を有し得る。好適なシリコーンポリエーテルとしては、Dow Corning Corporation(Midland,MI USA)のDow Corning(登録商標)5329が挙げられる。商用の、他の有用な非イオン性界面活性剤は、Stepan Company(Northfield,Illinois)により商標MAKON(登録商標)10で販売されているノニルフェノキシポリエトキシエタノール(10EO)、ICI Surfactants(Wilmington,Delaware)により商標BRIJ(登録商標)35Lで市販されているポリオキシエチレン23ラウリルエーテル(Laureth−23);及びICI Surfactants(Wilmington,Delaware)により販売されているポリオキシエチレンエーテルアルコール、RENEX(登録商標)30である。水相は、水相100重量部当たり0.0001〜10部の非イオン性界面活性剤を含有してもよい。
コポリマーを調製するための方法での使用に好適な塩としては、塩化ナトリウム、臭化ナトリウム、又は塩化カリウムなどのハロゲン化ナトリウム及びカリウムが挙げられる。水相は、水相100重量部当たり0.0001〜20部の塩を含有してもよい。
コポリマーを調製するための方法での使用に好適な炭化水素溶媒としては、シクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、及び/又はドデカンなどのアルカン溶媒;並びにトルエン、キシレン、及び/又はメシチレンなどのアリール溶媒が挙げられる。有機相は、有機相100重量部当たり10〜90部の炭化水素を含有してもよい。
コポリマーを調製するための方法での使用に好適なポリオルガノシロキサンとしては、モノアルケニル末端ポリジオルガノシロキサン、α,ω−アルケニル末端ポリジオルガノシロキサン、3〜10の重合度を有する環式ポリ(アルキル/アルケニルシロキサン)、α,ω−(メタ)アクリルオキシアルキル末端ポリジオルガノシロキサン、及び(メタ)アクリルオキシプロピル末端ポリジオルガノシロキサンが挙げられる。好適なポリオルガノシロキサンの例は、(A)モノビニル末端ポリジメチルシロキサン、(B)α,ω−ビニル末端ポリジメチルシロキサン、(C)3〜10の重合度を有する環式ポリ(メチル/ビニルシロキサン)、(D)α,ω−メタクリルオキシプロピル末端ポリジメチルシロキサン、及び(E)メタクリルオキシプロピル末端ポリジメチルシロキサンからなる群から選択され得る。好適なポリオルガノシロキサンの例としては、(Ai)78の平均重合度を有するモノビニル末端ポリジメチルシロキサン、(Bi)5の平均重合度を有するビニル末端ポリジメチルシロキサン、(Ci)2,4,6,8−テトラメチル−2,4,6,8−テトラビニルシクロテトラシロキサン、(Cii)2,4,6−トリメチル−2,4,6−トリビニルシクロトリシロキサン、2,4,6,8−テトラメチル−2,4,6,8−テトラビニルシクロテトラシロキサン、及び2,4,6,8,10−ペンタメチル−2,4,6,8,10−ペンタビニルシクロペンタシロキサンの混合物;(Ei)5〜65の平均重合度を有するモノメタクリルオキシプロピル末端ポリジメチルシロキサン、並びに(Di)2〜135の平均重合度を有するメタクリルオキシプロピル末端ポリジメチルシロキサンが挙げられる。有機相は、有機相100重量部当たり1〜90部のポリオルガノシロキサンを含有してもよい。
コポリマーを調製するための方法での使用に好適な開始剤としては、フリーラジカル発生種を形成することができるアゾ化合物、及び有機過酸化物、及び有機ホウ素化合物が挙げられる。アゾ化合物は、アゾビスイソブチロニトリル、4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミド)ジヒドロクロリド、及び2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオニトリル)により例示される。有機過酸化物は、ベンゾイルペルオキシド;tert−ブチルヒドロペルオキシド;tert−ブチルペルアセテート;クメンヒドロペルオキシド;2,5−ジ(tert−ブチルペルオキシ)−2,5−ジメチル(dimetyl)−3−ヘキシン;ジクミルペルオキシド、及び2,5−ビス(tert−ブチルペルオキシ)−2,5−ジメチルヘキサンにより例示される。有機過酸化物は、商標名Luperox(登録商標)で市販されている。フリーラジカル発生種を形成することができる有機ホウ素化合物は、a)有機ボラン−有機窒素化合物錯体、b)少なくとも1つのB−C結合を含有する有機ホウ酸塩、並びにc)a)有機ボラン−有機窒素化合物錯体、及びb)少なくとも1つのB−C結合を含有する有機ホウ酸塩の両方であってもよい。有機ホウ素化合物は、空気安定性であってもよい。有機ボラン−有機窒素化合物錯体は、米国特許第6,706,831号及び同第8,097,689号第10段39行〜第12段35行に開示されているものなどの有機ボラン−アミン錯体であってもよい。例示的な有機ホウ酸塩は、例えば、米国特許第7,524,907号の第6段50行〜第10段67行;及び同第7,683,132号第3段3行〜第12段54行に開示されている。有機相は、有機相100重量部当たり0.0001〜5部、あるいは0.0001〜2部の開始剤を含有してもよい。
コポリマーを調製するための方法での使用に好適なジアルケニル芳香族炭化水素モノマーとしては、ジビニルベンゼン又はジアリルベンゼンが挙げられる。あるいは、ジアルケニル芳香族炭化水素モノマーは、ジビニルベンゼンであってもよい。有機相は、有機相100重量部当たり1〜90部のジアルケニル芳香族炭化水素モノマーを含有してもよい。
本方法は、任意選択的に、モノアルケニル芳香族炭化水素モノマーを添加することを更に含んでもよい。本方法での使用に好適なモノアルケニル芳香族炭化水素モノマーとしては、スチレン、エチルビニルベンゼン、及びメチルビニルベンゼンが挙げられる。存在する場合、モノアルケニル芳香族炭化水素モノマーは、有機相100部当たり1〜90部の量で有機相中に存在し得る。
上述の方法の工程1)は、水相と有機相とを混合及び加熱することによって実施されてもよい。混合は、撹拌タンク反応器内での機械的撹拌などの任意の従来の手段によって行われてもよく、加熱は、選択された出発原料の還流温度、例えば、50℃〜100℃、あるいは80℃で行われてもよい。上述のコポリマーを調製するための方法において、工程2)は、例えば、真空を導入すること、及び/又は不活性ガスをコポリマー上でスイープすることによって、収着した有機ケイ素成分の分圧を加熱及び/又は低減することなどの任意の好都合な手段によって実施されてもよい。例えば、工程2)は、コポリマーを50℃〜150℃、あるいは80℃で加熱することによって実施されてもよく、一方で、760mmHg未満の減圧、例えば、1〜10mmHgまで、5分〜10時間加熱することによって実施されてもよい。本方法は、任意選択的に、工程1)の後コポリマーを濾過することと、工程1)の後及び/又は工程2)の後にコポリマーを炭化水素溶媒で洗浄することと、を更に含んでもよい。
理論に束縛されるものではないが、Tg>+25℃を有するガラス質有機ポリマーは、よりTgが低い材料よりも自由体積が少なく、その自由体積により、Tgが高い材料よりも、コポリマーのバルクへのより多くの収着が可能となると考えられる。本明細書で使用されるコポリマーは、Tg≦+25℃を有してもよい。本明細書で使用されるコポリマーは、>0、あるいは0より大きく2以下のタンデルタ(誘電正接)を有してもよい。タンデルタとは、弾性損失率の、弾性貯蔵弾性率に対する比を意味する。
システム/装置
図1は、本発明の方法を実行するのに使用可能な装置100の例である。第1の接触器101は、ジアルケニル官能性芳香族炭化水素とポリオルガノシロキサンとのコポリマーの粒子102の第1の充填床を収容する。第1の接触器101は、第1の入口103、及び第1の出口104を有する。供給ライン105を使用して、上述した混合物を、入口バルブ106から第1の入口103に通して、第1の接触器101の中に供給することができる。混合物が第1の接触器101を通過すると、有機ケイ素成分が粒子102内に収着する。除去処理した混合物が、第1の出口104を通って第1の接触器101から出て、出口バルブ107を通って、出口ライン108を通って出る。除去処理した混合物は、図示しない収集容器に保管可能な精製生成物である。
装置100は、ジアルケニル官能性芳香族炭化水素とポリオルガノシロキサンとのコポリマーの粒子202の、第2の充填床を収容する第2の接触器201を更に備えてもよい。粒子202は、第1の接触器101内の粒子102と同じ、又は異なっていてよい。第2の接触器201は、第2の入口203及び第2の出口204を有する。所望する場合、例えば、第1の充填床内の粒子102が、充填床を通して望まないますますの圧力低下を引き起こす有機ケイ素成分を収着すると膨潤する場合、及び/又は、粒子がより多くの有機ケイ素成分を収着すると、粒子102が有機ケイ素成分を収着することができる速度が望ましくない速度まで低下する場合、バルブ106及び107は閉じられてよく、供給バルブ206及び出口バルブ207は開いていてもよい。これにより、混合物の経路が変更されて、供給ライン205を通って第2の接触器201の中に流れ、入口バルブ206を通って第2の入口203に入る。混合物が第2の接触器201を通過すると、有機ケイ素成分は粒子202内に収着する。除去処理した混合物は第2の接触器201を、第2の出口204、出口バルブ207を通って、出口ライン208を通って出る。除去処理した混合物は、図示しない、同じ又は異なる回収容器に保管可能な精製生成物である。
混合物の、第1の接触器101を通過する流れが停止した後で、接触器101内の粒子102を再生することができる。例えば、パージバルブ109、110を開けることができ、スイープガス(例えば空気又は不活性ガス)が第1の接触器101、ライン111、112を通過する。第1の接触器101を任意選択的に加熱してよく、及び/又はスイープガスを任意選択的に加熱してよい。第1の接触器101内の粒子102が再生された後で、バルブ206、207を閉じることができ、混合物が再び、第1の接触器101を通って経路変更される。粒子202は、図示しないバルブ及びラインを通って第1の接触器101内でと同様に再生することができる。本方法を、装置100を使用して繰り返してよい。開口可能なパージバルブ209、210を開き、スイープガス(例えば空気又は不活性ガス)が、第2の接触器201、ライン211、212を通過することにより、第2の接触器201内の粒子202を再生することができる。第2の接触器201を任意選択的に加熱してよく、及び/又はスイープガスを任意選択的に加熱してよい。
図1には、当業者の発明を示すものが含まれている。しかし、本開示の教示から、当業者は、開示される特定の実施形態において、特許請求の範囲に記載の本発明の趣旨及び範囲を逸脱しない範囲で多くの変更をなし、尚も類似する又は同様の結果を得ることができることを理解しなければならない。例えば、コポリマーは、粒子102、202に加えて、又はこれらの代わりに、様々な形態を有することができる、例えば、上記コポリマーは、薄膜、コーティングされた支持材料(例えば、包装、トレー、プレート、メッシュ)、ナノロッド、ナノスフェア、ビーズ、顆粒、粉末、ペレット、微粒子、及び/又は繊維(中空及び非中空)の形態であることができる。接触器101、201は、垂直に配向されていても、又は図示するとおりに水平に配向されていてもよい。接触器101、201は、充填床、流動床、コポリマーでコーティングしたプレート、トレー、又はディスクを含有するタワー(塔)であってもよい。あるいは、接触器101、201は、コポリマーが、ホイール表面の全部分又は一部分にコーティングされた、収着剤ホイール、例えば乾燥ホイール、又は、他の回転ディスク若しくはホイール装置であってもよい。あるいは、追加の接触器(図示せず)が、接触器101、201と並列又は直列構成となるように構成されてよい。任意選択的に、接触器が収着剤ホイール又はディスクである場合、ホイールは再生が発生するセクタ又はゾーンを通って回転し、単一のデバイスでの、連続した収着及び再生を可能にしてよい。
これらの実施例は、本発明のいくつかの実施形態を説明することを意図しており、本特許請求の範囲に記載された本発明の範囲を限定するかのように解釈してはならない。
実施例1において、本明細書に記載の方法での使用に好適なジビニルベンゼン/ポリジメチルシロキサンコポリマーを、240mLの脱イオン水、1.2gのポリビニルアルコール(数平均分子量=13,000−23,000、87〜89%加水分解)、及び7.9gのNaClからなる水相と、10.41gのトルエン又は8.21gのヘプタンのいずれか、最大10gのDVB(工業グレード、80%)、最大10gのシロキサン材料、及び0.132〜0.136gのアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)開始剤からなる有機相と、を含む懸濁フリーラジカル重合によって合成した。ポリジメチルシロキサンは、(A1)モノビニル末端ポリジメチルシロキサン(平均重合度=78);(B1)ビニル末端ポリジメチルシロキサン(平均重合度=5);(C1)2,4,6,8−テトラメチル−2,4,6,8−テトラビニルシクロテトラシロキサン;(C2)2,4,6−トリメチル−2,4,6−トリビニルシクロトリシロキサン、2,4,6,8−テトラメチル−2,4,6,8−テトラビニルシクロテトラシロキサン、及び2,4,6,8,10−ペンタメチル−2,4,6,8,10−ペンタビニルシクロペンタシロキサンの混合物;(E1)モノメタクリルオキシプロピル末端ポリジメチルシロキサン(平均重合度=5;(E2)モノメタクリルオキシプロピル末端ポリジメチルシロキサン(平均重合度=8;(E3)モノメタクリルオキシプロピル末端ポリジメチルシロキサン(平均重合度=63;(D1)メタクリルオキシプロピル末端ポリジメチルシロキサン(平均重合度=2;(D2)メタクリルオキシプロピル末端ポリジメチルシロキサン(平均重合度=10;(D3)メタクリルオキシプロピル末端ポリジメチルシロキサン(平均重合度=131のうちの1つであった。各コポリマーのDVB及びポリジメチルシロキサンの具体的な量、並びに合成に使用される溶媒を、以下の表1に列挙する。
水相及び有機相を、500mLの三口ガラス反応器に入れ、これらを80℃に加熱し、還流及び連続的な機械的撹拌下にて320RPMで6時間、反応させた。固体生成物を、ブフナー漏斗濾過によって未反応の有機及び水性液相から分離し、続いてトルエン又はヘプタンで3回溶媒洗浄した。次いで、固体サンプルを80℃及び0.2in.Hg.で、少なくとも6時間真空乾燥させた。
実施例2において、10ミリグラム(mg)のポリ(ジメチルシロキサン)(PDMS)/pDVBコポリマー収着剤2(上記の表1のサンプル2)を、蒸気収着分析機器(TA Instruments VTI−SA+)中の微量天秤上にのせ、D4の蒸気に、30℃〜40℃温度で0.05〜0.80の範囲で、飽和に対して様々な分圧にてさらした。PDMS/pDVBコポリマー収着剤2を、300RPMの撹拌速度にて80℃で6時間、懸濁フリーラジカル重合によって合成した。分散相は、7.0mLのジビニルベンゼンモノマー、5.3mLの5の数平均重合度を有するビニル末端PDMS、12mLのトルエン、及び0.132gのアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)からなり、水性連続相は、240mLの脱イオン水、7.92gの塩化ナトリウム、及び1.2gのポリ(ビニルアルコール)からなった。ジビニルベンゼンのシロキサンに対する全体モル比が1:1であるように、ジビニルベンゼンのビニル末端PDMSに対するモル比は5:1であった。コポリマーの粒子をソックスレー抽出を介してトルエンで洗浄し、50℃及び0.2mmHgで8時間真空乾燥させた。
蒸気収着分析機器上の有機蒸気セルのリザーバを、オクタメチルシクロテトラシロキサン(D4、Dow Corning Corporation(Midland,Michigan,USA)から入手可能)で充填し、上述のとおりに調製したコポリマーを試験した。温度及び相対圧力の各組み合わせにおいて、PDMS/pDVBコポリマー収着剤/D4蒸気系が熱力学的平衡に達し、PDMS/pDVBコポリマー収着剤及び収着したD4蒸気の最終質量を記録した。各等温線の前で、PDMS/pDVBコポリマー収着剤を、120℃での乾燥に2時間さらし、あらゆる意図せず収着した質量を取り除き、最初の「乾燥」質量を確保した。温度及び圧力の各組み合わせにおいて、PDMS/pDVBコポリマー収着剤の平衡収着能を、1グラム(g)のPDMS/pDVBコポリマー収着剤あたりの、収着したD4蒸気のmgの単位(mg/g)で記録した。PDMS/pDVBコポリマー収着剤2の収着能を、表2に示す。
実施例3において、10ミリグラム(mg)のポリ(ジメチルシロキサン)(PDMS)/pDVBコポリマー収着剤3(上記の表1のコポリマー3)を、蒸気収着分析機器(TA Instruments VTI−SA+)中の微量天秤上にのせ、D4の蒸気に、30℃〜40℃温度で0.05〜0.80の範囲で、飽和に対して様々な分圧にてさらした。PDMS/pDVBコポリマー収着剤3を、300RPMの撹拌速度にて80℃で6時間、懸濁フリーラジカル重合によって合成した。分散相は、7.5mLのジビニルベンゼンモノマー、4.6mLの大部分が2,4,6,8−テトラメチル−2,4,6,8−テトラビニルシクロテトラシロキサンからなるビニルメチル環式シロキサン、12mLのトルエン、及び0.132gのAIBNからなり、水性連続相は、240mLの脱イオン水、7.92gの塩化ナトリウム、及び1.2gのポリ(ビニルアルコール)からなった。ジビニルベンゼンのシロキサンに対する全体モル比が約1:1であるように、ジビニルベンゼンのビニルメチル環式シロキサンに対するモル比は4:1であった。架橋コポリマーの粒子をソックスレー抽出を介してトルエンで洗浄し、50℃及び0.2mmHgで8時間真空乾燥させた。コポリマーサンプル3を、実施例2で上述したように試験した。PDMS/pDVBコポリマー収着剤3の収着能を、表3に示す。
比較例1において、10ミリグラム(mg)のDarco20−40メッシュ活性炭を、蒸気収着分析機器(TA Instruments VTI−SA+)中の微量天秤上にのせ、D4の蒸気に、30℃〜40℃温度で0.05〜0.80の範囲で、飽和に対して様々な分圧にてさらした。蒸気収着分析器上の有機蒸気セルのリザーバを、オクタメチルシクロテトラシロキサン(D4、Dow Corning Corporation(Midland,Michigan,USA)から入手可能)で充填した。温度及び相対圧力の各組み合わせにおいて、活性炭/D4蒸気系が熱力学的平衡に達し、活性炭及び収着したD4蒸気の最終質量を記録した。各等温線の前で、活性炭を、120℃での乾燥に2時間通し、あらゆる意図せず収着した質量を取り除き、最初の「乾燥」質量を確保した。温度及び圧力の各組み合わせにおいて、活性炭の平衡収着能を、1gの活性炭あたりの、収着したD4蒸気のmgの単位(mg/g)で記録した。活性炭の収着能を、表4に示す。
比較例2において、10ミリグラム(mg)のポリ(ジビニルベンゼン)(pDVB)を、蒸気収着分析機器(TA Instruments VTI−SA+)中の微量天秤上にのせ、D4の蒸気に、30℃〜40℃温度で0.05〜0.80の範囲で、飽和に対して様々な分圧にてさらした。pDVBを、300RPMの撹拌速度にて80℃で6時間、懸濁フリーラジカル重合によって合成した。有機分散相は、12mLのジビニルベンゼンモノマー、12mLのトルエン、及び0.132gのAIBNからなり、水性連続相は、240mLの脱イオン水、7.92gの塩化ナトリウム、及び1.2gのポリ(ビニルアルコール)からなった。得られた架橋ポリマーの粒子をソックスレー抽出を介してトルエンで洗浄し、50℃及び0.2mmHgで8時間真空乾燥させた。蒸気収着分析器上の有機蒸気セルのリザーバを、オクタメチルシクロテトラシロキサン(D4、Dow Corning Corporation(Midland,Michigan,USA)から入手可能)で充填した。温度及び相対圧力の各組み合わせにおいて、pDVB/D4蒸気系が熱力学的平衡に達し、pDVB及び収着したD4蒸気の最終質量を記録した。各等温線の前で、pDVBを、120℃での乾燥に2時間通し、あらゆる意図せず収着した質量を取り除き、最初の「乾燥」質量を確保した。温度及び圧力の各組み合わせにおいて、pDVBの平衡収着能を、1gのpDVBあたりの、収着したD4蒸気のmgの単位(mg/g)で記録した。pDVBの収着能を、表5に示す。
比較例3において、A部及びB部を含む二液型組成物を混合することにより、架橋ポリオルガノシロキサンエラストマーを調製した。25℃で55Pa・sの粘度を有する、99.61部のα,ω−ジメチルビニルシロキシ末端ポリジメチルシロキサン(Vi−PDMS1)を、0.39部のKarstedt白金触媒分散体と混合することにより、A部を調製し、これにより、同量のA部及びB部を組み合わせた際に、全体の白金濃度が10重量ppmとなった。98.54部のVi−PDMS1を、25℃にて0.03Pa・sの平均粘度を有し、SiHの形態で1%のHを含む、1.26部のポリジメチルシロキサン−ポリヒドリドメチルシロキサンコポリマー(架橋剤1)、及び0.20部のメチルブチノールと組み合わせることにより、B部を調製した。A部及びB部を各々独立して、2回20秒サイクルで回転ミキサにて、3000rpmにて混合した。5.06gのA部、及び5.06gのB部を次に組み合わせ、2回20秒の混合サイクルで混合した後、真空チャンバに配置して減圧下で2分間脱気し、その後混合物を強制空気対流式オーブンに移して3時間85℃にて硬化させた。得られたサンプルは透明で乾燥した、流動性のないエラストマー(以下架橋ポリオルガノシロキサンエラストマー1と呼ぶ)であった。
比較例4において、過剰の良溶媒であるデカメチルシクロペンタシロキサン(D5)の存在下にて、A部及びB部を含む二液型組成物を混合することにより、膨潤した架橋ポリオルガノシロキサンエラストマーを調製した。ポリプロピレン混合カップで、99.61部のVi−PDMS1を、0.39部のKarstedt白金触媒分散体と混合することによりA部を調製し、同量のA部及びB部を組み合わせた際に、全体の白金濃度が10ppmとなった。98.54部のVi−PDMS1を1.26部の架橋剤1と組み合わせることにより、B部を調製した。A部及びB部を各々独立して、Hauschild回転ミキサで2回20サイクル、約3000rpmで混合した。0.625gのA部を、4.375gのD5と組み合わせ、2回20秒の混合サイクルで混合した。0.625gのB部を4.375gのD5と組み合わせ、2回20秒の混合サイクルで混合した。最終的に、4.42gの、D5を含有するA部、及び、4.42gの、D5を含有するB部を組み合わせ、2回20混合サイクルで混合した。サンプルを次に、強制空気対流式オーブンに移して、3時間85℃で硬化させた。得られた、膨潤した架橋ポリオルガノシロキサンエラストマーを次に、1インチのHgの減圧下で、真空オーブンに150℃で24時間配置した。得られた再生したエラストマーを次に、再び重さを量り、残留D5が完全になくなり、再生したエラストマー(以下架橋ポリオルガノシロキサンエラストマー2と呼ぶ)が残っていることを確認した。得られたサンプルは、透明で乾燥した、非流動性の固体であった。
比較例5において、架橋ポリオルガノシロキサンエラストマー1内でのD4蒸気収着を測定した。比較例3に記載するサンプルから切断した、2mgの架橋ポリオルガノシロキサンエラストマー1の一片を、蒸気収着分析機器(TA Instruments VTI−SA+)内の微量天秤上にのせ、D4の蒸気に、所定温度での飽和に対して様々な分圧にてさらした。蒸気収着分析器上の、有機蒸気セルのリザーバにオクタメチルシクロテトラシロキサン(D4)を充填した。温度及び相対圧力の各組み合わせにおいて、架橋ポリオルガノシロキサンエラストマー/D4蒸気系が熱力学的平衡に達し、架橋ポリオルガノシロキサンエラストマー及び収着したD4蒸気の最終質量を記録した。各等温線の前で、架橋ポリオルガノシロキサンエラストマーを、60℃での乾燥に2時間通し、あらゆる意図せず収着した質量を取り除き、最初の「乾燥」質量を確保した。温度及び圧力の各組み合わせにおいて、収着剤の平衡収着能を、1気圧あたりでの、1gの架橋ポリオルガノシロキサンエラストマーあたりの、収着したD4蒸気のmgの単位(mg/g)で記録した。架橋ポリオルガノシロキサンエラストマー1の収着能を、表6に示す。高い相対圧力では、平衡化プロファイルは1000分間かけて行われる。
比較例6において、架橋ポリオルガノシロキサンエラストマー2内でのD4蒸気収着を測定した。比較例4に記載する硬化させたサンプルから切断した、34mgの架橋ポリオルガノシロキサンエラストマー2の一片を、蒸気収着分析機器(TA Instruments VTI−SA+)内の微量天秤上にのせ、D4の蒸気に、所定温度での飽和に対して様々な分圧にてさらした。蒸気収着分析器上の有機蒸気セルのリザーバを、D4で充填した。温度及び相対圧力の各組み合わせにおいて、架橋ポリオルガノシロキサンエラストマー/D4蒸気系が熱力学的平衡に達し、架橋ポリオルガノシロキサンエラストマー及び収着したD4蒸気の最終質量を記録した。各等温線の前で、架橋ポリオルガノシロキサンエラストマー2サンプルを60℃での乾燥に2時間通し、あらゆる意図せず収着した質量を取り除き、最初の「乾燥」質量を確保した。温度及び圧力の各組み合わせにおいて、架橋ポリオルガノシロキサンエラストマー2の平衡収着能を、1気圧あたりでの、1gの架橋ポリオルガノシロキサンエラストマー2あたりの、収着したD4蒸気のmgの単位(mg/g)で記録した。架橋ポリオルガノシロキサンエラストマー2の収着能を、表7に示す。高い相対圧力では、平衡化プロファイルは1000分間かけて行われる。
上記の比較例及び実施例は、架橋ポリオルガノシロキサンエラストマーが、ポリ(ジビニルベンゼン)ポリマーに対して同様のD4の収着能を有することを示すが、ジビニルベンゼンとポリオルガノシロキサンとのコポリマーは、架橋ポリオルガノシロキサンエラストマー又はポリ(ジビニルベンゼン)ポリマーのいずれかよりも予想外に高いD4の収着能を有することを示す。D4の相対圧力が0.8及び40℃での試験条件下における、比較例5及び6における架橋ポリオルガノシロキサンエラストマーの収着能は、それぞれ558及び618mg/gである。比較例2、表2、最終行には同様の結果が示されている(40℃でD4の相対圧力が0.8である場合、557mg/gのD4のジビニルベンゼンポリマーの収着能を有した)。しかし、実施例2及び実施例3において、(ジビニルベンゼンとポリジメチルシロキサンとの)コポリマーを同じ条件下で試験したところ、収着能は、実施例2については40℃で868mg/g、実施例3については40℃で1121mg/gと有意に高かった。これらの実施例は、本明細書に記載のコポリマーを使用して、D4の収着能を増加させる予想外の相乗効果を示す。
(産業上の利用可能性)
本明細書に記載の方法は、少なくとも1種の蒸気相有機ケイ素成分を含む混合物(例えば、環を有するシリコーン流体(cyclics laden silicone fluid)又はD4含有プロセスガス流)を、ジアルケニル官能性芳香族炭化水素とポリオルガノシロキサンとのコポリマーを含む収着剤と接触させることにより、混合物からガス又は蒸気(例えばD4、D5)を分離するのに特に有用である。任意選択的に、コポリマーは後で実質的に取り除かれる溶媒の存在下で調製される。得られたコポリマーは、著しく高いD4収着能力を示す。冷たい収着剤に接触させることで熱損失をもたらすことなく、D4を既に暖かい流れから分離する利用可能性、及び場合により必要性、並びに、未加熱の空気、及び/又は不活性ガス流を使用して収着剤を再生することができるというエネルギー節約及びコスト削減故に、収着剤としてコポリマーを用いる、本明細書に記載の方法は、従来のガス分離におけるエネルギー効率及びコスト効率が増加するという著しい実現可能な結果を有する。そのような収着剤、及びそのような接触プロセスにより精製された生成物(シリコーン生成物及び中間体を含む)を含む接触装置もまた開示される。従来の固体吸着媒体、又は多孔質の有機ポリマー若しくは有機金属構造と比較して、コポリマーはより汚れにくく、物質移動の制限を受けにくいものにできる。
用語の定義及び使用
全ての量、比及び百分率は、特に指示しない限り、重量に基づく。冠詞「a」、「an」、及び「the」はそれぞれ、明細書の文脈により特に指示がない限り、1つ以上を指す。範囲の開示は、その範囲自体及び範囲内に包含される任意のもの、並びに端点を含む。例えば、2.0〜4.0の範囲の開示は、2.0〜4.0の範囲だけでなく、2.1、2.3、3.4、3.5、及び4.0も個別に含み、並びに範囲内に包含される任意の他の数も含む。更に、例えば、2.0〜4.0の範囲の開示は、例えば、2.1〜3.5、2.3〜3.4、2.6〜3.7、及び3.8〜4.0の部分集合、並びにその範囲内に包含される任意の他の部分集合も含む。同様に、マーカッシュ群の開示は、その群全体を含み、そこに包含される任意の個別の要素及び部分集合も含む。例えば、マーカッシュ群「水素原子、アルキル基、アリール基又はアラルキル基」の開示には、その要素である個々のアルキル、下位群であるアルキル及びアリール、並びに任意の他の個々の要素及びその中に包含される下位群を含む。
本明細書において使用される略記は、以下のとおり定義される。略記「cSt」は、センチストークスを意味する。「DP」は、重合度を意味する。「GC」は、ガスクロマトグラフィを意味する。「Pa・s」は、パスカル秒を意味し、「ppm」は、百万分率を意味する。「Tg」は、ガラス転移温度を意味する。
用語「除去処理した」及びその誘導体はそれぞれ、工程1)前の混合物中の有機ケイ素成分の量が、本明細書に記載する方法の工程1)を実施した後で少量になっていることを意味する。
用語「増強処理した」及びその誘導体は、架橋エラストマー中の有機ケイ素成分の量が、本明細書に記載する方法の工程1)を実施する前よりも、工程1)の実施の間、及び実施後に増えていることを意味する。
用語「収着する」及びその誘導体は、吸収及び/又は吸着;あるいは吸着、あるいは吸収を意味する。あるいは「収着する」は吸収及び吸着の両方を含むことができる。
用語「揮発性」及びその誘導体は、1つの成分が別の成分より高い蒸気圧を有し得ることを意味する。特定の実施形態において、有機ケイ素成分は、蒸気の相対圧力によって、混合物中の少なくとも1種の他の成分と区別することができる。有機ケイ素成分は、混合物中の少なくとも他の成分の蒸気圧よりも高い蒸気圧を有することができる。有機ケイ素成分は、70℃で少なくとも0.1mmHgの、純粋な成分の蒸気圧を有することができる。混合物中の少なくとも1種の他の成分は、70℃で0.1mmHg未満の蒸気圧を有する非有機ケイ素成分であることができる。(揮発性とは、物質が蒸発しやすいことを意味する。揮発性は、物質の蒸気圧に直接関係する。所定温度にて、高い蒸気圧を有する物質は、低い蒸気圧を有する物質よりも容易に蒸発する。)他の実施形態において、非多孔質架橋エラストマー中における有機ケイ素成分の溶解度が、非多孔質架橋エラストマー中における少なくとも1種の他の成分の溶解度よりも高い場合に、有機ケイ素成分は、混合物中の少なくとも1種の他の成分の蒸気圧よりも低い蒸気圧を有することができる。
(関連出願の相互参照)
本出願は、米国特許法第119条(e)に基づき、2017年3月14日出願の米国特許仮出願第62/470904号の利益を主張する。米国特許仮出願第62/470904号は、参照により本明細書に組み込まれる。
混合物中において有機ケイ素成分を除去処理するための方法は、ジアルケニル官能性芳香族炭化水素とポリオルガノシロキサンとのコポリマーによって有機ケイ素成分の少なくとも一部を収着することを含む。コポリマーは、ジビニルベンゼン/ポリジメチルシロキサンコポリマーであり得る。本方法を実行するための装置もまた開示される。
揮発性ポリジオルガノシロキサン(例えば環式ポリジアルキルシロキサン及び/若しくは直鎖状ポリジアルキルシロキサンオリゴマー)などの有機ケイ素種の低減は、廃プロセスガス又は排水流の処理同様に、多くの場合、化学製造業における費用がかかる工程である。活性炭又はモレキュラーシーブなどの多孔質固体吸着剤が、このような目的に使用されている。しかし、このような固体吸着剤は孔内への吸着に依存するため、物質移動の制限を受ける、脱着による再生のために著しいエネルギー入力が必要である、並びに/又は、汚れ及び毛管凝縮を受けやすいという欠点がある場合がある。
より速やかに再生可能であり、より速い動的特性(dynamics)を特徴とし、及び/又は多孔質固体吸着剤よりも汚れにくいために、有機ケイ素種を取り除くにはシリコーン液体もまた使用されている。しかし、処理される供給混合物が直接接触するシリコーン液体を使用する既存の方法では、任意のシリコーン液体が供給混合物内に取り込まれるか若しくは送られる場合、又は任意の供給混合物がシリコーン液体内に取り込まれるか若しくは送られる場合、追加の液体分離工程が必要となる場合がある。このような問題を回避するために、膜セパレータを使用する方法が用いられている。しかし、膜セパレータには、設備コストが更にかかり得、汚れやすいという欠点がある。
発明が解決しようとする課題
生成物、廃プロセスガス、及び/又は排水流から、有機ケイ素種を取り除く方法が業界で必要とされており、そのような方法及び装置で使用される収着剤などは容易に再生可能であり、汚れにくく、並びに/又は既存の方法及び装置よりも物質移動の制限が少ない。
混合物中において有機ケイ素成分を除去処理するための方法は、ジアルケニル官能性芳香族炭化水素とポリオルガノシロキサンとのコポリマーによって有機ケイ素成分の少なくとも一部を収着し、それにより、有機ケイ素成分中のコポリマーを増強処理し、有機ケイ素成分中の混合物を除去処理することを含む。
本明細書に記載する方法を実行するために使用可能な装置の例である。
有機ケイ素成分及び少なくとも1種の他の成分(これは、有機ケイ素成分とは異なる)を含む混合物中において有機ケイ素分を除去処理するための方法により、除去処理した混合物が形成され、この除去処理した混合物は、本方法を実行する前の混合物よりも少ない有機ケイ素成分を含有する。本方法は、
1)ジアルケニル官能性芳香族炭化水素とポリオルガノシロキサンとのコポリマーによって有機ケイ素成分の少なくとも一部を収着し、それにより、除去処理した混合物を形成し、収着した有機ケイ素成分を含むコポリマーを増強処理し、それにより、増強処理したコポリマーを形成することと、
2)増強処理したコポリマーから有機ケイ素成分の少なくとも一部を脱着し、それにより、脱着した有機ケイ素成分及び再生したコポリマーを形成することと、
3)再生したコポリマーを、工程1)を繰り返す際にコポリマーの全部分又は一部分として使用することと、
を含む。方法は、任意選択的に、工程1)後の除去処理した混合物、及び/又は工程2)後の脱着した有機ケイ素成分の、一方又は両方を(例えば、所望の場所に)配分することを、更に含んでもよい。
方法の工程1)において、方法の条件(例えば圧力及び温度)は、有機ケイ素成分の少なくとも一部が気相中にあるものであってもよい。条件は、混合物が加熱されるようなものであってもよい。加熱のための温度は、有機ケイ素成分の沸点を上回ってもよい。あるいは、全ての有機ケイ素成分が気相となるように温度が選択されてもよい。あるいは、本方法は、工程1)の前に混合物を蒸発させることを更に含んでよい。混合物は、加熱(例えば、混合物の沸点を上回る)などの任意の好都合な手段により蒸発させてよい。理論に束縛されるものではないが、混合物中の有機ケイ素成分の分圧が、コポリマー中、又はコポリマー表面上の有機ケイ素成分の分圧を上回る限り、有機ケイ素成分をコポリマーのバルク中、及び/又はコポリマーの表面上に物質移動させるための十分なドライビングフォース(推進力)が存在すると考えられる。
コポリマーが混合物から少なくとも一部の有機ケイ素成分を収着するのに十分な時間、混合物を、コポリマーと接触させてもよい。混合物を、工程1)にてコポリマーと直接、すなわち、膜を使用することなく接触させてもよい。混合物は、液体であってもよい。あるいは、混合物は工程1)の間に気相中にあってよい。有機ケイ素化合物は、コポリマーの表面上に吸着されても、コポリマーのバルクの中又は両方に吸着されてもよい。
方法の工程2)を実施して、コポリマーを再生することができる。コポリマーが有機ケイ素成分を収着するにつれ、収着速度は低下し得、及び/又はコポリマーが膨潤し得る。コポリマーから有機ケイ素成分の少なくとも一部を脱着させることによって、コポリマーの再生及び再使用が可能であることが望ましい。工程2)の間及び/又は後で、有機ケイ素成分を任意選択的に回収してもよい。コポリマーの再生は、方法の工程1)を停止してコポリマーを再生した後で、工程2)の後に工程1)を繰り返すことにより実施することができる。あるいは、増強処理したコポリマーで工程2)を実施する際に、混合物を経路変更して、工程1)を継続してもよい。本方法の例を図1で以下に示す。
増強処理したコポリマーの再生は、任意の好都合な方法、例えば、任意選択的に増強処理したコポリマーと接触した乾燥空気のガス流又は不活性ガス流によりスイープしながら加熱することにより実施してもよい。増強処理したコポリマーを減圧(例えば大気圧未満)にさらすこと、及び/又は増強処理したコポリマーを、有機ケイ素成分を除去処理したスイープ流と接触させることにより、低温(例えば25℃以下の室温)にて脱着させることも可能である。あるいは、増強処理したコポリマーを膨潤させて、又は膨潤させることなく、増強処理したコポリマーを溶媒にさらすこともまた用いて、増強処理したコポリマーを再生することができる。あるいは、液体抽出、例えば溶媒又は超臨界流体抽出を使用して、増強処理したコポリマーを再生することができる。本方法は、再生したコポリマーを再利用して工程1)を繰り返し得る、工程3)を更に含む。工程1)の繰り返す際に使用するコポリマーは、全て再生されたコポリマーであってよく、あるいは、工程1)を繰り返すのに使用するコポリマーの一部分が再生したコポリマーであり、残部は新しいコポリマーであってもよい。
本方法は、i)工程1)の間及び/又は後に除去処理した混合物、並びにii)工程2)の間及び/又は後に脱着した有機ケイ素成分の、一方又は両方を所望の場所に配分すること、を更に含む。配分することは、任意の好都合な手段、例えば、除去処理した混合物を、流路(例えばパイプ、ダクト、又は他の導管)を通して所望の場所に供給すること(例えば回収操作)により実施してよい。回収操作には冷却装置、例えば熱交換器又は凝縮器を含むことができる。回収操作には、除去処理した混合物を貯蔵するためのタンク、リザーバ、若しくは他の容器、及び/又は有機ケイ素成分を貯蔵するためのタンクなどの回収装置を含むことができる。あるいは、例えば、除去処理した混合物を反応物質として使用する場合に、除去処理した混合物を異なる操作に配分してよい。あるいは、有機ケイ素成分を反応物質として使用する場合、有機ケイ素成分を異なる操作に配分してもよい。あるいは、除去処理した混合物及び有機ケイ素成分の一方又は両方を回収容器に配分してもよい。
例えば、本方法を使用して、有機ケイ素成分の混合物を精製する場合;除去処理した混合物は、任意の好都合な手段(例えば、工程1)において混合物を加熱した、及び/又は混合物が気相中にあった場合に、除去処理した混合物を、流路(例えばパイプ、ダクト、又は他の導管)を通して熱交換器又は凝縮器に供給し、この中で冷却すること)により回収され得る、及び/又は配分され得る精製した混合物である。
あるいは、精製した混合物の回収には、精製した混合物を凝縮器(上述)から、精製した混合物を反応物質又は溶媒として使用する異なる反応器に供給することを含んでよい。一実施形態において、混合物は、有機ケイ素成分としての環式ポリオルガノシロキサンと、混合物中の少なくとも1種の他の成分としてのポリオルガノシロキサン(環式ポリオルガノシロキサンとは異なる)と、を含む。本明細書に記載の方法をこの混合物で使用して、ポリオルガノシロキサン(環式ポリオルガノシロキサンを含まない)を含む精製した混合物を生成することができる。この精製した混合物は、試験、パッケージ化、及び/若しくは販売される回収容器に配分され得るか、又は、精製した混合物は異なるプロセスに配分され、ポリオルガノシロキサン含有生成物の作製において反応物質若しくは他の成分として使用され得る。
あるいは、混合物が廃水であり、除去処理した混合物が精製水である場合、精製水は、精製水を試験プロセス、又は環境に供給すること(例えばポンピング)により配分されてよい。あるいは、混合物が空気であり、除去処理した混合物が精製空気である場合、精製空気は、配管を経由したブローイング又はポンピングにより、空気処理システム又は換気システム内に配分されてもよい。工程1)の間及び/又は後に除去処理した混合物、並びに工程2)の間及び/又は後に脱着した有機ケイ素成分の、一方又は両方が配分される導管はまた、搬送装置(例えばポンプ、ファン、ブロワー、押出成形機、配合機、及びバルブ)と共に、インライン監視試験装置、例えばゲージ、メーター及びセンサを含有してもよいと理解される。
有機ケイ素成分は、任意の好都合な手段により回収することができる。例えば、増強処理したコポリマーを、上述したとおりに乾燥ガス流でスイープすることにより再生する場合、有機ケイ素成分を含有するガス流は、凝縮器を通して有機ケイ素成分を回収するように配分してもよい。あるいは、溶媒を使用して増強処理したコポリマーを再生する場合、溶媒を除去するために留去、抽出、又は蒸留するための装置に有機ケイ素成分を配分してもよい。あるいは、有機ケイ素成分を配分することは、凝縮器(上述)からの有機ケイ素成分、又は有機ケイ素成分を含有する溶媒を、有機ケイ素成分を反応物質として使用する異なる反応器に供給することを含んでもよい。
有機ケイ素成分
有機ケイ素成分は、混合物から望ましくは取り除かれる任意の有機ケイ素種であってもよい。本明細書に記載する方法において、有機ケイ素成分は、70℃で0.1mmHg〜70℃で760mmHg、あるいは、70℃で1mmHg〜70℃で100mmHg、あるいは、70℃で4mmHg〜82mmHg、あるいは70℃で17mmHg〜70℃で82mmHgの蒸気圧を有してもよい。方法の工程1)により形成される生成物は除去処理した混合物であり、上記除去処理した混合物は有機ケイ素成分を含まないか、又は工程1)の前の混合物よりも少ない有機ケイ素成分を含有する。「含まない」とは、除去処理した混合物が、有機ケイ素成分を全く含有しないか、又はGC分析により検出できない量の有機ケイ素成分を含有することを意味する。
有機ケイ素成分は、「DP」が3〜12の環式ポリオルガノシロキサンであってもよく、あるいは、有機ケイ素成分は平均DPが4の環式ポリジアルキルシロキサンであってもよい。環式ポリオルガノシロキサンは、式(R 11 R 12 SiO 2/2 ) k [式中、下付き文字kは3〜12であり、各R 11 は独立して一価の炭化水素基又は一価のハロゲン化炭化水素基であり、各R 12 は独立してR 11 、OH、又はHである。]を有してよい。好適な一価の炭化水素基としてはアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アラルキル、及び炭素環式基が挙げられる。アルキル基としては、分枝状又は非分枝状の一価の炭化水素基が挙げられ、メチル、エチル、プロピル(例えばイソプロピル及び/又はn−プロピル)、ブチル(例えばイソブチル、n−ブチル、tert−ブチル、及び/又はsec−ブチル)、ペンチル(例えばイソペンチル、ネオペンチル、及び/又はtert−ペンチル)、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、及びデシル、並びに、6個以上の炭素原子の分枝状飽和一価炭化水素基が例示されるが、これらに限定されない。アルケニル基は、二重結合を含有する一価の炭化水素基である。R 11 の好適なアルケニル基としては、エテニル、プロペニル(例えばiso−プロペニル及び/又はn−プロペニル)、ブテニル(例えばイソブテニル、n−ブテニル、tert−ブテニル、及び/又はsec−ブテニル)、ペンテニル(例えばイソペンテニル、n−ペンテニル、及び/又はtert−ペンテニル)、ヘキセニル、ヘプテニル、オクテニル、ノネニル、及びデセニル、並びに、6個以上の炭素原子の、このような分枝状基が例示されるが、これらに限定されない。アルキニル基は、三重結合を含有する一価の炭化水素基である。R 11 の好適なアルキニル基としては、エチニル、プロピニル(例えばiso−プロピニル及び/又はn−プロピニル)、ブチニル(例えばイソブチニル、n−ブチニル、tert−ブチニル、及び/又はsec−ブチニル)、ペンチニル(例えばイソペンチニル、n−ペンチニル、及び/又はtert−ペンチニル)、ヘキシニル、ヘプチニル、オクチニル、ノニニル、及びデシニル、並びに、6個以上の炭素原子の、このような分枝状基が例示されるが、これらに限定されない。アリール基としては、シクロペンタジエニル、フェニル、アントラセニル、及びナフチルにより例示されるがこれらに限定されない、環式の完全不飽和炭化水素基が挙げられる。単環式アリール基は、5〜9個の炭素原子、あるいは6〜7個の炭素原子、あるいは5〜6個の炭素原子を有し得る。多環式アリール基は、10〜17個の炭素原子、あるいは10〜14個の炭素原子、あるいは12〜14個の炭素原子を有してもよい。アラルキル基は、ペンダント及び/若しくは末端アリール基を有するアルキル基、又はペンダントアルキル基を有するアリール基を意味する。例示的なアラルキル基としては、トリル、キシリル、ベンジル、フェニルエチル、フェニルプロピル及びフェニルブチルが挙げられる。炭素環式基は炭化水素環である。炭素環式基は単環式であってよく、あるいは、縮合環、ブリッジ環、又はスピロ多環式環を有してよい。単環式炭素環式基は、3〜9個の炭素原子、あるいは4〜7個の炭素原子、あるいは5〜6個の炭素原子を有していてよい。多環式炭素環式基は、7〜17個の炭素原子、あるいは7〜14個の炭素原子、あるいは9〜10個の炭素原子を有していてよい。炭素環は、飽和又は部分的に不飽和であってよい。炭素環式基は、飽和したシクロアルキル基であってよい。好適な単環式シクロアルキル基は、シクロブチル、シクロペンチル、及びシクロヘキシルにより例示される。好適な一価のハロゲン化炭化水素基とは、炭素原子に結合した1個以上の水素原子が、式としてはハロゲン原子で置換されている一価の炭化水素基を意味する。ハロゲン化炭化水素基としては、ハロアルキル基、ハロゲン化炭素環式基、及びハロアルケニル基が挙げられる。ハロアルキル基としては、トリフルオロメチル(CF 3 )、フルオロメチル、トリフルオロエチル、2−フルオロプロピル、3,3,3−トリフルオロプロピル、4,4,4−トリフルオロブチル、4,4,4,3,3−ペンタフルオロブチル、5,5,5,4,4,3,3−へプタフルオロペンチル、6,6,6,5,5,4,4,3,3−ノナフルオロヘキシル及び8,8,8,7,7−ペンタフルオロオクチルなどのフッ素化アルキル基、並びにクロロメチル及び3−クロロプロピルなどの塩素化アルキル基が挙げられる。ハロゲン化炭素環式基としては、2,2−ジフルオロシクロプロピル、2,3−ジフルオロシクロブチル、3,4−ジフルオロシクロヘキシル及び3,4−ジフルオロ−5−メチルシクロヘプチルなどのフッ素化シクロアルキル基;並びに、2,2−ジクロロシクロプロピル、2,3−ジクロロシクロペンチルなどの塩素化シクロアルキル基が挙げられる。ハロアルケニル基としては、クロロアリル基が挙げられる。あるいは、有機ケイ素成分は環式ポリジオルガノハイドロジェンシロキサンであってもよい。有機ケイ素成分は、(i)ヘキサメチルシクロトリシロキサン(D 3 )、(ii)オクタメチルシクロテトラシロキサン(D 4 )、(iii)テトラメチルシクロテトラシロキサン(D 4 H )、(iv)テトラメチルテトラビニルシクロテトラシロキサン(D 4 Vi )、(v)テトラメチルテトラフェニルシクロテトラシロキサン(D 4 Ph )、(vi)デカメチルシクロペンタシロキサン(D 5 )、(vii)ペンタメチルシクロペンタシロキサン(D 5 H )、(viii)ペンタメチルペンタビニルシクロペンタシロキサン(D 5 Vi )、(ix)ペンタメチルペンタフェニルシクロペンタシロキサン(D 5 Ph )、(x)ドデカメチルシクロヘキサシロキサン(D 6 )、(xi)ヘキサメチルシクロヘキサシロキサン(D 6 H )、(xii)ヘキサメチルヘキサビニルシクロヘキサシロキサン(D 6 Vi )、(xiii)ヘキサメチルヘキサフェニルシクロヘキサシロキサン(D 6 Ph )、(xiv)3〜6個のケイ素原子を有するジメチル/メチルビニル環式シロキサン、(xv)3〜6個のケイ素原子を有するジメチル/メチル水素環式シロキサン、又は(xvi)(i)、(ii)、(iii)、(iv)、(v)、(vi)、(vii)、(viii)、(ix)、(x)、(xi)、(xii)、(xiii)、(xiv)、及び(xv)の2つ以上の組み合わせを含んでもよい。あるいは、有機ケイ素成分は、D 3 、D 4 、D 5 、D 6 、並びにD 3 、D 4 、D 5 、及びD 6 の2つ以上の組み合わせから選択されてもよい。あるいは、有機ケイ素成分はD 4 であってもよい。
あるいは、有機ケイ素成分は、DPが1〜14のオルガノシラン又はポリオルガノシロキサンであってもよい。オルガノシランは、式R 1 v SiR 2 (4−v) [式中、各R 1 は独立して一価の炭化水素基又は一価のハロゲン化炭化水素基であり、各R 2 は独立して水素原子、ハロゲン原子、アルコキシなどの炭化水素オキシ基、アミノ官能基、アセトキシなどのアシルオキシ基、エポキシ官能基、メタクリレート官能基、ケトキシムなどのオキシモ官能基、アクリレート官能基、ポリエーテルなどのポリオール官能基、チオール官能基であり、下付き文字vは0〜4、あるいは0〜3である。]を有してよい。
R 1 の好適な一価の炭化水素基としては、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アラルキル、及び炭素環式基が挙げられる。アルキル基としては、分枝状又は非分枝状の一価の炭化水素基が挙げられ、メチル、エチル、プロピル(例えばイソプロピル及び/又はn−プロピル)、ブチル(例えばイソブチル、n−ブチル、tert−ブチル、及び/又はsec−ブチル)、ペンチル(例えばイソペンチル、ネオペンチル、及び/又はtert−ペンチル)、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、及びデシル、並びに、6個以上の炭素原子の分枝状飽和一価炭化水素基が例示されるが、これらに限定されない。アルケニル基は、二重結合を含有する一価の炭化水素基である。R 1 の好適なアルケニル基としては、エテニル、プロペニル(例えばiso−プロペニル及び/又はn−プロペニル)、ブテニル(例えばイソブテニル、n−ブテニル、tert−ブテニル、及び/又はsec−ブテニル)、ペンテニル(例えばイソペンテニル、n−ペンテニル、及び/又はtert−ペンテニル)、ヘキセニル、ヘプテニル、オクテニル、ノネニル、及びデセニル、並びに、6個以上の炭素原子の、このような分枝状基が例示されるが、これらに限定されない。アルキニル基は、三重結合を含有する一価の炭化水素基である。R 1 の好適なアルキニル基としては、エチニル、プロピニル(例えばiso−プロピニル及び/又はn−プロピニル)、ブチニル(例えばイソブチニル、n−ブチニル、tert−ブチニル、及び/又はsec−ブチニル)、ペンチニル(例えばイソペンチニル、n−ペンチニル、及び/又はtert−ペンチニル)、ヘキシニル、ヘプチニル、オクチニル、ノニニル、及びデシニル、並びに、6個以上の炭素原子の、このような分枝状基が例示されるが、これらに限定されない。アリール基としては、シクロペンタジエニル、フェニル、アントラセニル、及びナフチルにより例示されるがこれらに限定されない、環式の完全不飽和炭化水素基が挙げられる。単環式アリール基は、5〜9個の炭素原子、あるいは6〜7個の炭素原子、あるいは5〜6個の炭素原子を有し得る。多環式アリール基は、10〜17個の炭素原子、あるいは10〜14個の炭素原子、あるいは12〜14個の炭素原子を有してもよい。アラルキル基は、ペンダント及び/若しくは末端アリール基を有するアルキル基、又はペンダントアルキル基を有するアリール基を意味する。例示的なアラルキル基としては、トリル、キシリル、ベンジル、フェニルエチル、フェニルプロピル及びフェニルブチルが挙げられる。炭素環式基は炭化水素環である。炭素環式基は単環式であってよく、あるいは、縮合環、ブリッジ環、又はスピロ多環式環を有してよい。単環式炭素環式基は、3〜9個の炭素原子、あるいは4〜7個の炭素原子、あるいは5〜6個の炭素原子を有していてよい。多環式炭素環式基は、7〜17個の炭素原子、あるいは7〜14個の炭素原子、あるいは9〜10個の炭素原子を有していてよい。炭素環は、飽和又は部分的に不飽和であってよい。炭素環式基は、飽和したシクロアルキル基であってよい。好適な単環式シクロアルキル基は、シクロブチル、シクロペンチル、及びシクロヘキシルにより例示される。好適な一価のハロゲン化炭化水素基とは、炭素原子に結合した1個以上の水素原子が、式としてはハロゲン原子で置換されている一価の炭化水素基を意味する。ハロゲン化炭化水素基としては、ハロアルキル基、ハロゲン化炭素環式基、及びハロアルケニル基が挙げられる。ハロアルキル基としては、トリフルオロメチル(CF 3 )、フルオロメチル、トリフルオロエチル、2−フルオロプロピル、3,3,3−トリフルオロプロピル、4,4,4−トリフルオロブチル、4,4,4,3,3−ペンタフルオロブチル、5,5,5,4,4,3,3−へプタフルオロペンチル、6,6,6,5,5,4,4,3,3−ノナフルオロヘキシル及び8,8,8,7,7−ペンタフルオロオクチルなどのフッ素化アルキル基、並びにクロロメチル及び3−クロロプロピルなどの塩素化アルキル基が挙げられる。ハロゲン化炭素環式基としては、2,2−ジフルオロシクロプロピル、2,3−ジフルオロシクロブチル、3,4−ジフルオロシクロヘキシル及び3,4−ジフルオロ−5−メチルシクロヘプチルなどのフッ素化シクロアルキル基;並びに、2,2−ジクロロシクロプロピル、2,3−ジクロロシクロペンチルなどの塩素化シクロアルキル基が挙げられる。ハロアルケニル基としては、クロロアリル基が挙げられる。
R 2 の好適なハロゲン原子としては、F、Cl、Br、又はI、あるいは、F、Cl、又はBrであり、あるいは、Cl、又はBr、あるいは、Cl、あるいはBrが挙げられる。R 2 の好適な炭化水素オキシ基は式OR 3 [式中、R 3 はR 1 に関して上述したとおりの一価の炭化水素基である。]を有する。下付き文字vは1〜4、あるいは1〜3、あるいは1〜2である。例示的なオルガノシランとしては、トリメチルシラン、ビニルトリメチルシラン、アリルトリメチルシラン、ジメチルジメトキシシラン、及び/又はメチルトリメトキシシランが挙げられる。
あるいは、上述の方法を用いて混合物から除去される有機ケイ素化合物は、揮発性ポリオルガノシロキサンであってもよい。揮発性ポリオルガノシロキサンは直鎖状又は分枝状であってよい。例としては、ポリジメチルシロキサンオリゴマー及びポリマーが挙げられる。揮発性ポリオルガノシロキサンは、単位式(R 4 3 SiO 1/2 ) w (R 4 2 SiO 2/2 ) x (R 4 SiO 3/2 ) y (SiO 4/2 ) z [式中、R 4 は水素原子、OH、又は上述したとおりのR 1 であり、下付き文字wは>0であり、下付き文字xは≧0であり、下付き文字yは≧0であり、下付き文字zは≧0であり、ただし数量(w+x+y+z)は≦14である。]を有することができる。あるいは、yは0であってよい。あるいは、zは0であってよい。あるいは、wは2であってよく、xは0〜12、あるいは0〜2であってよい。例示的な揮発性ポリオルガノシロキサンとしては、式(R 4 3 SiO 1/2 ) 2 (R 4 2 SiO 2/2 ) 2 、(R 4 3 SiO 1/2 ) 2 (R 4 2 SiO 2/2 ) 1 、(R 4 3 SiO 1/2 ) 2 、及び/又は(R 4 3 SiO 1/2 ) 4 (SiO 4/2 ) 1 のものを挙げることができる。あるいは、各R 4 は独立して水素原子、メチル基、ビニル基、又はフェニル基であってよい。あるいは、各R 4 はメチルであってよい。このような揮発性ポリオルガノシロキサンとしては、ヘキサメチルジシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、及び他の低分子量ポリオルガノシロキサン(例えば、Dow Corning Corporation(Midland,Michigan,U.S.A)から市販されている、0.5〜1.5cStのDow Corning(登録商標)200Fluids及びDow Corning(登録商標)OS FLUIDS)が挙げられる。あるいは、混合物から除去される有機ケイ素化合物は、式Si(OSiR 4 3 ) 4 [式中、R 4 は上述のとおりである]のネオペンタマーであってもよい。例示的なネオペンタマーとしては、Si[OSi(CH 3 ) 3 ] 4 、Si[OSi(CH 3 ) 2 H] 4 、及びSi[OSi(CH 3 ) 2 Vi] 4 が挙げられる。
上述した方法の工程1)において使用される混合物は、上述したとおりに、有機ケイ素成分の一部又は全てを取り除くのが望ましい任意の混合物であってもよい。混合物は、有機ケイ素成分及び少なくとも1種の他の成分を含む。有機ケイ素成分は、混合物中の少なくとも1種の他の成分の蒸気圧未満の蒸気圧を有してもよい。特定の実施形態において、有機ケイ素成分は、コポリマー中での、蒸気の相対圧力によって、又は、有機ケイ素成分の溶解度と少なくとも1種の他の成分の溶解度との差によって、混合物中の少なくとも1種の他の成分と区別することができる。例えば、一実施形態において、混合物中の少なくとも1種の他の成分が、直鎖状ポリジメチルシロキサンよりも低い蒸気圧を有する場合、直鎖状ポリジメチルシロキサンなどの種は、有機ケイ素成分であることができる。あるいは、有機ケイ素成分が例えば、直鎖状ポリジメチルシロキサンの蒸気圧よりも高い蒸気圧を有するオルガノシロキサン樹脂である場合、同じ直鎖状ポリジメチルシロキサンが、混合物中の少なくとも1種の他の成分であることができる。理論に束縛されるものではないが、蒸気圧の差(有機ケイ素成分が、混合物中の少なくとも1種の他の成分よりも高い蒸気圧を有する場合)、又は、コポリマー中における、有機ケイ素成分の溶解度と、混合物中の少なくとも1種の他の成分との溶解度の差によって、蒸気相の有機ケイ素成分が優先的に混合物から取り除かれ、コポリマーによって収着されることができると考えられる。
少なくとも1種の他の成分は、相対的に不揮発性のポリオルガノシロキサンであってもよい(例えば、有機ケイ素成分について上述したポリオルガノシロキサンよりも揮発性が低い)。不揮発性のポリオルガノシロキサンは、単位式(R
4 3 SiO
1/2 )
p (R
4 2 SiD
2/2 )
q (R
4 SiO
3/2 )
r (SiO
4/2 )
s [式中、R
4 は上述したとおりであり、Dは酸素原子又は二価の炭化水素基であり、下付き文字pは>0であり、下付き文字qは>0であり、下付き文字rは≧0であり、下付き文字sは≧0であり、ただし数量(p+q+r+s)>14である。]を有することができる。各Dは、酸素原子、又は、1つの単位のケイ素原子を別の単位中の別のケイ素原子と結合する二価の基である。Dが二価の連結基である場合、Dは、2〜30個の炭素原子を含有する二価の炭化水素基、2〜30個の炭素原子を含有する二価のアクリレート官能性炭化水素基、及び/又は2〜30個の炭素原子を含有する二価のメタクリレート官能性炭化水素基から独立して選択されてよい。好適な二価の炭化水素基の代表的な非限定例としては、アルキレン基、例えばエチレン、プロピレン(イソプロピレン及びn−プロピレンを含む)、並びにブチレン(n−ブチレン、t−ブチレン、及びイソブチレンを含む);並びにペンチレン、ヘキシレン、へプチレン、オクチレン、並びにこれらの分枝状及び直鎖状異性体;フェニレンなどのアリーレン基;並びに
などのアルキルアラルキレン基が挙げられる。
このような二価の有機官能性炭化水素基の代表的な非限定例としては、二価のビスフェノールA誘導基、アクリレート官能性アルキレン基、及びメタクリレート官能性アルキレン基が挙げられる。あるいは、各基Dは、エチレン、プロピレン、ブチレン又はヘキシレンであってよい。あるいは、基Dの各例はエチレン又はプロピレンであってよい。不揮発性ポリオルガノシロキサンは当技術分野において既知であり、市販されている。好適な不揮発性ポリオルガノシロキサンは、不揮発性ポリジメチルシロキサンにより例示されるが、これに限定されない。このような不揮発性ポリジメチルシロキサンとしては、Dow Corning Corporation(Midland,Michigan,U.S.A.)から市販されているDOW CORNING(登録商標)200Fluidsが挙げられ、10cSt〜100,000cSt、あるいは20cSt〜50,000cSt、あるいは50cSt〜100,000cSt、あるいは50cSt〜50,000cSt、あるいは12,500〜60,000cStの範囲の粘度を有することができる。本明細書に記載する方法を使用して、揮発性ポリオルガノシロキサンを不揮発性ポリオルガノシロキサンから取り除く際、揮発性ポリオルガノシロキサンは、同一温度にて不揮発性ポリオルガノシロキサンの蒸気圧より低い蒸気圧を有する。不揮発性ポリオルガノシロキサン及び揮発性ポリオルガノシロキサンは互いに、少なくとも1つの特性、例えば分子量、重合度、及びR 4 基の選択が異なる。
不揮発性ポリオルガノシロキサンは、非環式ポリオルガノシロキサンポリマー及び/又はコポリマーであってよい。本方法を使用して、ポリオルガノシロキサン中間体、及び生成物(例えば直鎖状及び/又は分枝状ポリジオルガノシロキサンポリマー及び/又はコポリマー)を精製することができる。特定の用途においては、環式ポリジアルキルシロキサンの含量が少ないか、又は(GCにより)検出されないことが、特に美容及びヘルスケア業界で顧客の望みである。このようなポリジオルガノシロキサンポリマー及びコポリマーの例は、以下の式(I)又は(II)
式(I):R 6 3 SiO(R 6 2 SiO) k (R 6 HSiO) m SiR 6 3 、
式(II):R 6 2 HSiO(R 6 2 SiO) n (R 6 HSiO) o SiR 6 2 H、又は
これらの組み合わせ。
上記式(I)及び(II)において、下付き文字kは1〜2000の範囲の平均値を有し、下付き文字mは0〜2000の範囲の平均値を有し、下付き文字nは1〜2000の範囲の平均値を有し、下付文字oは0〜2000の範囲の平均値を有する。各R 6 は独立して一価の有機基である。一価の有機基は、一価の炭化水素基又は一価のハロゲン化炭化水素基であってよい。一価の炭化水素基としては、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アラルキル、及び炭素環式基が挙げられる。アルキル基としては、分枝状又は非分枝状の一価の炭化水素基が挙げられ、メチル、エチル、プロピル(例えばイソプロピル及び/又はn−プロピル)、ブチル(例えばイソブチル、n−ブチル、tert−ブチル、及び/又はsec−ブチル)、ペンチル(例えばイソペンチル、ネオペンチル、及び/又はtert−ペンチル)、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、及びデシル、並びに、6個以上の炭素原子の分枝状飽和一価炭化水素基が例示されるが、これらに限定されない。アリール基としては、シクロペンタジエニル、フェニル、アントラセニル、及びナフチルにより例示されるがこれらに限定されない、環式の完全不飽和炭化水素基が挙げられる。単環式アリール基は、5〜9個の炭素原子、あるいは6〜7個の炭素原子、あるいは5〜6個の炭素原子を有し得る。多環式アリール基は、10〜17個の炭素原子、あるいは10〜14個の炭素原子、あるいは12〜14個の炭素原子を有してもよい。アラルキル基は、ペンダント及び/若しくは末端アリール基を有するアルキル基、又はペンダントアルキル基を有するアリール基を意味する。例示的なアラルキル基としては、トリル、キシリル、ベンジル、フェニルエチル、フェニルプロピル及びフェニルブチルが挙げられる。炭素環式基は炭化水素環である。炭素環式基は単環式であってよく、あるいは、縮合環、ブリッジ環、又はスピロ多環式環を有してよい。単環式炭素環式基は、3〜9個の炭素原子、あるいは4〜7個の炭素原子、あるいは5〜6個の炭素原子を有していてよい。多環式炭素環式基は、7〜17個の炭素原子、あるいは7〜14個の炭素原子、あるいは9〜10個の炭素原子を有していてよい。炭素環は、飽和又は部分的に不飽和であってよい。炭素環式基は、飽和したシクロアルキル基であってよい。好適な単環式シクロアルキル基は、シクロブチル、シクロペンチル、及びシクロヘキシルにより例示される。好適な一価のハロゲン化炭化水素基とは、炭素原子に結合した1個以上の水素原子が、式としてはハロゲン原子で置換されている一価の炭化水素基を意味する。ハロゲン化炭化水素基としては、ハロアルキル基、ハロゲン化炭素環式基、及びハロアルケニル基が挙げられる。ハロアルキル基としては、トリフルオロメチル(CF 3 )、フルオロメチル、トリフルオロエチル、2−フルオロプロピル、3,3,3−トリフルオロプロピル、4,4,4−トリフルオロブチル、4,4,4,3,3−ペンタフルオロブチル、5,5,5,4,4,3,3−へプタフルオロペンチル、6,6,6,5,5,4,4,3,3−ノナフルオロヘキシル及び8,8,8,7,7−ペンタフルオロオクチルなどのフッ素化アルキル基、並びにクロロメチル及び3−クロロプロピルなどの塩素化アルキル基が挙げられる。ハロゲン化炭素環式基としては、2,2−ジフルオロシクロプロピル、2,3−ジフルオロシクロブチル、3,4−ジフルオロシクロヘキシル及び3,4−ジフルオロ−5−メチルシクロヘプチルなどのフッ素化シクロアルキル基;並びに、2,2−ジクロロシクロプロピル、2,3−ジクロロシクロペンチルなどの塩素化シクロアルキル基が挙げられる。ハロアルケニル基としては、クロロアリル基が挙げられる。
あるいは、一価の有機基は、酸素原子で置換された炭化水素基、例えばアルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基、オキソ(カルボニル)基、カルボン酸、カルボキシレート、及びカルボン酸エステルを含むカルボキシル基であってよい。あるいは、一価の有機基は、硫黄原子で置換された炭化水素基、例えばチオール官能基、アルキル及びアリールサルファイド基、スルホキシド官能基、スルホン官能基、スルホニル官能基、及びスルホンアミド官能基であってよい。あるいは、一価の有機基は、窒素原子で置換された炭化水素基、例えばアミン、ヒドロキシルアミン、ニトリル、ニトロ基、N−オキサイド、ヒドラジド、アジド、及びエナミンであってよい。あるいは、一価の有機基は、別のへテロ原子含有基で置換された炭化水素基であってよい。一価の炭化水素基上で置換され、一価の有機基を形成する原子及び基の非限定例としては、F、Cl、Br、I、OR’、OC(O)N(R’) 2 、CN、NO、NO 2 、ONO 2 、アジド、CF 3 、OCF 3 、R’、O(オキソ)、S(チオノ)、C(O)、S(O)、メチレンジオキシ、エチレンジオキシ、N(R’) 2 、SR’、SOR’、SO 2 R’、SO 2 N(R’) 2 、SO 3 R’、C(O)R’、C(O)C(O)R’、C(O)CH 2 C(O)R’、C(S)R’、C(O)OR’、OC(O)R’、C(O)N(R’) 2 、OC(O)N(R’) 2 、C(S)N(R’) 2 、(CH 2 ) 0−2 N(R’)C(O)R’、(CH 2 ) 0−2 N(R’)N(R’) 2 、N(R’)N(R’)C(O)R’、N(R’)N(R’)C(O)OR’、N(R’)N(R’)CON(R’) 2 、N(R’)SO 2 R’、N(R’)SO 2 N(R’) 2 、N(R’)C(O)OR’、N(R’)C(O)R’、N(R’)C(S)R’、N(R’)C(O)N(R’) 2 、N(R’)C(S)N(R’) 2 、N(COR’)COR’、N(OR’)R’、C(=NH)N(R’) 2 、C(O)N(OR’)R’、又はC(=NOR’)R’が挙げられ、式中、R’は水素又は炭素ベースの部位であることができ、炭素ベースの部位は、それ自身が更に置換されることができ、例えば、R’は水素、アルキル、アシル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、又はヘテロアリールアルキルであることができ、任意のアルキル、アシル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、若しくはヘテロアリールアルキル、又はR’は独立して一置換又は多置換であることができ、又は、1個の窒素原子又は隣接する複数の窒素原子に結合した2個のR’基は、1個又は複数個の窒素原子と共に、一置換又は独立して多置換であることができるヘテロシクリルを形成することができる。有機基の例としては、直鎖状及び/又は分枝状基(例えばアルキル基、完全に又は部分的にハロゲン置換されたハロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、芳香族基、アクリレート官能基、及びメタクリレート官能基)、並びに、他の有機官能基(例えばエーテル基、シアン酸エステル基、エステル基、カルボン酸塩基、メルカプト基、サルファイド基、アジド基、ホスホネート基、ホスフィン基、マスクされたイソシアノ基、及びヒドロキシル基)が挙げられる。有機基の例としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、s−ブチル、及びt−ブチル基などのアルキル基、アクリロイルオキシプロピル基及びメタクリロイルオキシプロピル基などのアクリレート官能基;ビニル、アリル、及びブテニル基などのアルケニル基;エチニル及びプロピニル基などのアルキニル基;フェニル、トリル、及びキシリル基などの芳香族基;シアノエチル及びシアノプロピル基などのシアノアルキル基;3,3,3−トリフルオロプロピル、3−クロロプロピル、ジクロロフェニル、及び6,6,6,5,5,4,4,3,3−ノナフルオロヘキシル基などのハロゲン化炭化水素基;アリルオキシ(ポリオキシエチレン)、アリルオキシポリ(オキシプロピレン)、及びアリルオキシ−ポリ(オキシプロピレン)−co−ポリ(オキシエチレン)基などのアルケニルオキシポリ(オキシアルキレン)基;プロピルオキシ(ポリオキシエチレン)、プロピルオキシポリ(オキシプロピレン)、及びプロピルオキシ−ポリ(オキシプロピレン)−co−ポリ(オキシエチレン)基などのアルキルオキシポリ(オキシアルキレン)基;ペルフルオロプロピルオキシ(ポリオキシエチレン)、ペルフルオロプロピルオキシポリ(オキシプロピレン)、及びペルフルオロプロピルオキシ−ポリ(オキシプロピレン)−co−ポリ(オキシエチレン)基などのハロゲン置換アルキルオキシポリ(オキシアルキレン)基;メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、及びエチルヘキシルオキシ基などのアルコキシ基;3−アミノプロピル、6−アミノヘキシル、11−アミノウンデシル、3−(N−アリルアミノ)プロピル、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピル、N−(2−アミノエチル)−3−アミノイソブチル、p−アミノフェニル、2−エチルピリジン、及び3−プロピルピロール基などのアミノアルキル基;3−グリシドキシプロピル、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル、及び5,6−エポキシヘキシル基などのエポキシアルキル基;アセトキシエチル(actetoxyethyl)及びベンゾイルオキシプロピル基などのエステル官能基;ヒドロキシエチル及び2−ヒドロキシエチル基などのヒドロキシ官能基;プロピル−t−ブチルカルバメート及びプロピルエチルカルバメート基などのマスクされたイソシアネート官能基;ウンデカナール及びブチルアルデヒド基などのアルデヒド官能基;3−プロピル無水コハク酸及び3−プロピル無水マレイン酸基などの無水物官能基;並びに、3−カルボキシプロピル及び2−カルボキシエチルの亜鉛、ナトリウム、又はカリウム塩などの、カルボン酸の金属塩が挙げられるが、これらに限定されない。
用語「置換された」とは、本明細書で使用する場合、本明細書で記載したとおり一価の炭化水素基中に含有される水素原子への1個以上の結合が、非水素原子への1個以上の結合により置き換えられていること、及び/又は、1個以上の炭素原子がへテロ原子(例えばハロゲン、N、O、又はS)で置き換えられていることを意味する。
精製される、混合物中のポリオルガノシロキサンは、
a)トリメチルシロキシ末端ポリジメチルシロキサン、
b)トリメチルシロキシ末端ポリ(ジメチルシロキサン/メチルフェニルシロキサン)、
c)ジメチルハイドロジェンシロキシ末端ポリジメチルシロキサン、
d)ジメチルハイドロジェンシロキシ末端ポリ(ジメチルシロキサン/メチルハイドロジェンシロキサン)、
e)ジメチルハイドロジェンシロキシ末端ポリメチルハイドロジェンシロキサン、
f)トリメチルシロキシ末端ポリ(ジメチルシロキサン/メチルハイドロジェンシロキサン)、
g)トリメチルシロキシ末端ポリメチルハイドロジェンシロキサン、
ヒドロキシ末端ポリジメチルシロキサン、
ヒドロキシ末端ポリ(ジメチルシロキサン/メチルビニルシロキサン)、
ヒドロキシ末端ポリ(ジメチルシロキサン/メチルフェニルシロキサン)、
h)a)、b)、c)、d)、e)、f)、及びg)の2つ以上の組み合わせにより例示される。
あるいは、精製される混合物中の不揮発性ポリオルガノシロキサンは、MQ樹脂、MT樹脂、DT樹脂、MTQ樹脂、MDT樹脂、及び/又はシルセスキオキサン樹脂などのポリオルガノシロキサン樹脂を含んでもよい。MQ樹脂は、本質的に、R 6 3 SiO 1/2 単位及びSiO 4/2 単位からなってもよく;TD樹脂は、本質的に、R 6 SiO 3/2 単位及びR 6 2 SiO 2/2 単位からなってもよく;MT樹脂は、本質的に、R 6 3 SiO 1/2 単位及びR 6 SiO 3/2 単位からなってもよく;MTQ樹脂は、本質的に、R 6 3 SiO 1/2 単位、R 6 SiO 3/2 単位、及びSiO 4/2 単位からなってもよく、MTD樹脂は、本質的に、R 6 3 SiO 1/2 単位、R 6 SiO 3/2 単位、及びR 6 2 SiO 2/2 単位からなってもよく;シルセスキオキサン樹脂は、本質的に、R 6 SiO 3/2 単位からなってもよく;又はMQ、MT、DT、MTQ、MDT、及びシルセスキオキサン樹脂のうちの2つ以上の組み合わせ、式中、R 6 は上述したとおりである。
樹脂は、平均3〜30モルパーセントの官能性置換基、例えば水素原子、又はヒドロキシル、加水分解性、若しくは脂肪族不飽和有機基などの基を含有してもよい。脂肪族不飽和有機基は、アルケニル基、アルキニル基又はこれらの組み合わせであってもよい。樹脂中の官能性置換基のモルパーセントは、樹脂中のシロキサン単位の総モル数に対する樹脂中の官能性置換基含有シロキサン単位のモル数の比に100を乗じたものである。
樹脂を調製する方法は、当該技術分野において周知である。例えば、樹脂は、Daudtらのシリカヒドロゾルキャッピングプロセスによって、及び任意選択的に、末端保護試薬で処理されることによって、調製され得る。Daudtらの方法は、米国特許第2,676,182号に開示されている。簡潔に述べると、Daudtらの方法は、酸性条件下でシリカヒドロゾルをトリメチルクロロシランなどの加水分解性トリオルガノシラン、ヘキサメチルジシロキサンなどのシロキサン又はこれらの混合物と反応させることと、M及びQ単位を有するコポリマーを回収することと、を伴う。得られる樹脂は、一般的に、2〜5重量%のヒドロキシル基を含有する。
2%未満のケイ素結合ヒドロキシル基を含有し得る樹脂は、最終生成物中に3〜30モルパーセントの官能性置換基をもたらすのに十分な量の官能性置換基含有末端保護剤、及び/又は官能性置換基を含まない末端保護剤とDaudtらの生成物を反応させることによって調製し得る。末端保護剤の例としては、シラザン、シロキサン及びシランが挙げられるが、これらに限定されない。好適な末端保護剤は、当該技術分野において公知であり、米国特許第4,584,355号、同第4,591,622号、及び同第4,585,836号に例示されている。単一の末端保護剤又はこのような剤の混合物を使用して樹脂を調製することができる。
あるいは、混合物はプロセスガス又は蒸気流であってよい。例としては、反応器からの、混合した上部の蒸気流、例えば、ポリオルガノシロキサンを重合又は官能化するために使用するもの、並びに、埋立てガスなどの残留揮発性シロキサンを含有する空気流及び排気流が挙げられる。反応の種類の例としては、加水分解、縮合、ヒドロシリル化、エポキシ化、アルコキシル化、エステル交換、アルコール交換分解、ラジカル重合、アニオン重合又はカチオン重合が挙げられる。プロセスガス流のその他の例としては、発電装置、エンジン、ヒーター及び炉からの燃焼排気が挙げられる。
あるいは、混合物はプロセス液体流であってよい。例としては排水、又は、残留揮発性シロキサンを含有するシリコーンエマルションなどのエマルションが挙げられる。
方法の用途/使用
本明細書に記載の方法を使用して、混合物(例えば不揮発性ポリオルガノシロキサン(上述のとおり)、非環式ポリジオルガノシロキサン、プロセスガス排気物、及び/又はプロセス排水)中の、環式ポリジオルガノシロキサン(上述のとおり)、例えば環式ポリジアルキルシロキサンの量を低減することができる。いくつかの実施形態において、本明細書に記載の方法を使用して、除去処理した混合物中に所望の有機ケイ素成分を残しながら、有機ケイ素成分を選択的に取り除くことができる。本実施形態において、コポリマー中での1つの有機ケイ素成分の溶解度は、より高い蒸気圧を有する第2の有機ケイ素成分の溶解度より高い場合がある。例えば、水蒸気、並びにD 4 及びD 5 などの環式ポリオルガノシロキサンを含有するシリコーンエマルションの場合、環式ポリオルガノシロキサンを取り除き、不揮発性ポリオルガノシロキサンをエマルション中に残すのが望ましい場合がある。
一実施形態において、本明細書に記載の方法を使用して、有機ケイ素成分及び少なくとも1種の他の成分を含む混合物から、有機ケイ素成分を取り除くことができる。本方法は、
1)蒸気相混合物を、ジアルケニル官能性芳香族炭化水素とポリオルガノシロキサンとのコポリマーと直接接触させることであって、ここでコポリマーは≦25℃のガラス転移温度を有しており、それのより収着前の混合物よりも少ない有機ケイ素成分を含有する除去処理した混合物を形成し、収着した有機ケイ素成分を有するコポリマーを増強処理し、それにより増強処理したコポリマーを形成することと、
2)工程1)の間及び又は後に除去処理した混合物を回収することと、
3)収着した有機ケイ素成分の少なくとも一部を増強処理したコポリマーから脱着し、それにより、脱着した有機ケイ素成分、及び脱着前の増強処理したコポリマーよりも少ない収着した有機ケイ素成分を含有する再生したコポリマーを形成することと、
4)再生したコポリマーを、工程1)を繰り返す際にコポリマーの全部分又は一部分として使用することと、
任意選択的に、5)工程2)の間及び/又は後に脱着した有機ケイ素成分を回収することと、を含む。本実施形態において、有機ケイ素成分は揮発性汚染物質であってもよい。揮発性汚染物質は、上述したように、重合度が3〜12の環式ポリオルガノシロキサンを含んでよい。混合物中の少なくとも1種の他の成分は、直鎖状ポリオルガノシロキサンを含んでもよい。コポリマーは、ジビニルベンゼンと付加反応重合性ポリオルガノシロキサンとの付加反応生成物であってもよい。本実施形態の方法を使用して、直鎖状ポリオルガノシロキサンを含むがこれに限定されない様々な混合物からD 4 を取り除いてよい。
コポリマー
上述の方法において有用なコポリマーは、ジアルケニル官能性芳香族炭化水素とポリオルガノシロキサンとの付加反応生成物である。コポリマーは、ラジカル重合を含む方法によって調製してもよい。例えば、上述の方法において有用なコポリマーは:
1)
a)
i)水、
任意選択的に、ii)非イオン性界面活性剤、
iii)塩、
を含む水相と、
b)
i)炭化水素溶媒、
ii)1分子当たり少なくとも1つのケイ素結合脂肪族不飽和炭化水素基を有するポリオルガノシロキサン、
iii)開始剤、及び
iv)ジアルケニル芳香族炭化水素モノマー、並びに
任意選択的に、v)モノアルケニル芳香族モノマー、
を含む有機相と、
を含む出発原料のフリーラジカル重合と、
2)その後、溶媒を除去することと、
を含む、方法によって調製してもよい。
上述の方法において、水は脱イオン水又は蒸留水であってもよい。水相は、水相100重量部当たり50〜99.9999部の水を含有してもよい。
使用可能な、いくつかの好適な非イオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、アルキルグルコシド、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、並びに脂肪族アルコール、例えばセチルアルコール、ステアリルアルコール、セトステアリルアルコール、オレイルアルコール、及びポリビニルアルコールなどが挙げられる。市販されている非イオン性界面活性剤としては、(i)Tergitol TMN−6及びTergitol TMN−10の商品名で販売されている2,6,8−トリメチル−4−ノニルポリオキシエチレンエーテル、(ii)Dow Chemical Company(Midland,Michigan)により、商品名Tergitol 15−S−7、Tergitol 15−S−9、Tergitol 15−S−15、Tergitol 15−S−30、及びTergitol 15−S−40で販売されているC11〜15第二級アルキルポリオキシエチレンエーテル、Dow Chemical Company(Midland,Michigan)により商品名Triton X405で販売されているオクチルフェニルポリオキシエチレン(40)エーテル、(iii)Stepan Company(Northfield,Illinois)により商品名Makon 10で販売されているノニルフェニルポリオキシエチレン(10)エーテル、(iv)Henkel Corp./Emery Group(Cincinnati,Ohio)により商品名Trycol 5953で販売されているエトキシ化アルコール、(v)Croda Inc.(Edison,NJ)により商品名Brij L23及びBrij L4で販売されているエトキシ化アルコール、(vi)アルキルオキソアルコールポリグリコールエーテル(例えば(登録商標)GENAPOL UD050、及びGenapol UD110)、(vii)C10ゲルベ(Guerbet)アルコール及びエチレンオキシドをベースにするアルキルポリエチレングリコールエーテル(例えばLUTENSOL(登録商標)XP79)などの組成物が挙げられる。好適な非イオン性界面活性剤としては、更にポリ(オキシエチレン)−ポリ(オキシプロピレン)−ポリ(オキシエチレン)トリブロックコポリマーも挙げられる。ポリ(オキシエチレン)−ポリ(オキシプロピレン)−ポリ(オキシエチレン)トリブロックコポリマーは、一般にポロキサマーとしても知られている。これらは、中央部の、ポリオキシプロピレン(ポリ(プロピレンオキシド))である疎水性鎖と、その両側の、ポリオキシエチレン(ポリ(エチレンオキシド))からなる2つの親水性鎖と、からなる非イオン性トリブロックコポリマーである。ポリ(オキシエチレン)−ポリ(オキシプロピレン)−ポリ(オキシエチレン)トリブロックコポリマーは、BASF(Florham Park,NJ)から市販されており、Pluronic L61、L62、L64、L81、P84などのPLURONIC(登録商標)の商標名で販売されている。非イオン性界面活性剤はまたシリコーンポリエーテル(SPE)であってもよい。乳化剤としてのシリコーンポリエーテルは、ポリオキシエチレン又はポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンコポリマー単位がシロキサン主鎖にグラフトされる熊手型構造を有し得、又はSPEは、Aがポリエーテル部分を表し、BがABA構造のシロキサン部分を表すABAブロックコポリマー構造を有し得る。好適なシリコーンポリエーテルとしては、Dow Corning Corporation(Midland,MI USA)のDow Corning(登録商標)5329が挙げられる。商用の、他の有用な非イオン性界面活性剤は、Stepan Company(Northfield,Illinois)により商標MAKON(登録商標)10で販売されているノニルフェノキシポリエトキシエタノール(10EO)、ICI Surfactants(Wilmington,Delaware)により商標BRIJ(登録商標)35Lで市販されているポリオキシエチレン23ラウリルエーテル(Laureth−23);及びICI Surfactants(Wilmington,Delaware)により販売されているポリオキシエチレンエーテルアルコール、RENEX(登録商標)30である。水相は、水相100重量部当たり0.0001〜10部の非イオン性界面活性剤を含有してもよい。
コポリマーを調製するための方法での使用に好適な塩としては、塩化ナトリウム、臭化ナトリウム、又は塩化カリウムなどのハロゲン化ナトリウム及びカリウムが挙げられる。水相は、水相100重量部当たり0.0001〜20部の塩を含有してもよい。
コポリマーを調製するための方法での使用に好適な炭化水素溶媒としては、シクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、及び/又はドデカンなどのアルカン溶媒;並びにトルエン、キシレン、及び/又はメシチレンなどのアリール溶媒が挙げられる。有機相は、有機相100重量部当たり10〜90部の炭化水素を含有してもよい。
コポリマーを調製するための方法での使用に好適なポリオルガノシロキサンとしては、モノアルケニル末端ポリジオルガノシロキサン、α,ω−アルケニル末端ポリジオルガノシロキサン、3〜10の重合度を有する環式ポリ(アルキル/アルケニルシロキサン)、α,ω−(メタ)アクリルオキシアルキル末端ポリジオルガノシロキサン、及び(メタ)アクリルオキシプロピル末端ポリジオルガノシロキサンが挙げられる。好適なポリオルガノシロキサンの例は、(A)モノビニル末端ポリジメチルシロキサン、(B)α,ω−ビニル末端ポリジメチルシロキサン、(C)3〜10の重合度を有する環式ポリ(メチル/ビニルシロキサン)、(D)α,ω−メタクリルオキシプロピル末端ポリジメチルシロキサン、及び(E)メタクリルオキシプロピル末端ポリジメチルシロキサンからなる群から選択され得る。好適なポリオルガノシロキサンの例としては、(Ai)78の平均重合度を有するモノビニル末端ポリジメチルシロキサン、(Bi)5の平均重合度を有するビニル末端ポリジメチルシロキサン、(Ci)2,4,6,8−テトラメチル−2,4,6,8−テトラビニルシクロテトラシロキサン、(Cii)2,4,6−トリメチル−2,4,6−トリビニルシクロトリシロキサン、2,4,6,8−テトラメチル−2,4,6,8−テトラビニルシクロテトラシロキサン、及び2,4,6,8,10−ペンタメチル−2,4,6,8,10−ペンタビニルシクロペンタシロキサンの混合物;(Ei)5〜65の平均重合度を有するモノメタクリルオキシプロピル末端ポリジメチルシロキサン、並びに(Di)2〜135の平均重合度を有するメタクリルオキシプロピル末端ポリジメチルシロキサンが挙げられる。有機相は、有機相100重量部当たり1〜90部のポリオルガノシロキサンを含有してもよい。
コポリマーを調製するための方法での使用に好適な開始剤としては、フリーラジカル発生種を形成することができるアゾ化合物、及び有機過酸化物、及び有機ホウ素化合物が挙げられる。アゾ化合物は、アゾビスイソブチロニトリル、4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミド)ジヒドロクロリド、及び2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオニトリル)により例示される。有機過酸化物は、ベンゾイルペルオキシド;tert−ブチルヒドロペルオキシド;tert−ブチルペルアセテート;クメンヒドロペルオキシド;2,5−ジ(tert−ブチルペルオキシ)−2,5−ジメチル(dimetyl)−3−ヘキシン;ジクミルペルオキシド、及び2,5−ビス(tert−ブチルペルオキシ)−2,5−ジメチルヘキサンにより例示される。有機過酸化物は、商標名Luperox(登録商標)で市販されている。フリーラジカル発生種を形成することができる有機ホウ素化合物は、a)有機ボラン−有機窒素化合物錯体、b)少なくとも1つのB−C結合を含有する有機ホウ酸塩、並びにc)a)有機ボラン−有機窒素化合物錯体、及びb)少なくとも1つのB−C結合を含有する有機ホウ酸塩の両方であってもよい。有機ホウ素化合物は、空気安定性であってもよい。有機ボラン−有機窒素化合物錯体は、米国特許第6,706,831号及び同第8,097,689号第10段39行〜第12段35行に開示されているものなどの有機ボラン−アミン錯体であってもよい。例示的な有機ホウ酸塩は、例えば、米国特許第7,524,907号の第6段50行〜第10段67行;及び同第7,683,132号第3段3行〜第12段54行に開示されている。有機相は、有機相100重量部当たり0.0001〜5部、あるいは0.0001〜2部の開始剤を含有してもよい。
コポリマーを調製するための方法での使用に好適なジアルケニル芳香族炭化水素モノマーとしては、ジビニルベンゼン又はジアリルベンゼンが挙げられる。あるいは、ジアルケニル芳香族炭化水素モノマーは、ジビニルベンゼンであってもよい。有機相は、有機相100重量部当たり1〜90部のジアルケニル芳香族炭化水素モノマーを含有してもよい。
本方法は、任意選択的に、モノアルケニル芳香族炭化水素モノマーを添加することを更に含んでもよい。本方法での使用に好適なモノアルケニル芳香族炭化水素モノマーとしては、スチレン、エチルビニルベンゼン、及びメチルビニルベンゼンが挙げられる。存在する場合、モノアルケニル芳香族炭化水素モノマーは、有機相100部当たり1〜90部の量で有機相中に存在し得る。
上述の方法の工程1)は、水相と有機相とを混合及び加熱することによって実施されてもよい。混合は、撹拌タンク反応器内での機械的撹拌などの任意の従来の手段によって行われてもよく、加熱は、選択された出発原料の還流温度、例えば、50℃〜100℃、あるいは80℃で行われてもよい。上述のコポリマーを調製するための方法において、工程2)は、例えば、真空を導入すること、及び/又は不活性ガスをコポリマー上でスイープすることによって、収着した有機ケイ素成分の分圧を加熱及び/又は低減することなどの任意の好都合な手段によって実施されてもよい。例えば、工程2)は、コポリマーを50℃〜150℃、あるいは80℃で加熱することによって実施されてもよく、一方で、760mmHg未満の減圧、例えば、1〜10mmHgまで、5分〜10時間加熱することによって実施されてもよい。本方法は、任意選択的に、工程1)の後コポリマーを濾過することと、工程1)の後及び/又は工程2)の後にコポリマーを炭化水素溶媒で洗浄することと、を更に含んでもよい。
理論に束縛されるものではないが、Tg>+25℃を有するガラス質有機ポリマーは、よりTgが低い材料よりも自由体積が少なく、その自由体積により、Tgが高い材料よりも、コポリマーのバルクへのより多くの収着が可能となると考えられる。本明細書で使用されるコポリマーは、Tg≦+25℃を有してもよい。本明細書で使用されるコポリマーは、>0、あるいは0より大きく2以下のタンデルタ(誘電正接)を有してもよい。タンデルタとは、弾性損失率の、弾性貯蔵弾性率に対する比を意味する。
システム/装置
図1は、本発明の方法を実行するのに使用可能な装置100の例である。第1の接触器101は、ジアルケニル官能性芳香族炭化水素とポリオルガノシロキサンとのコポリマーの粒子102の第1の充填床を収容する。第1の接触器101は、第1の入口103、及び第1の出口104を有する。供給ライン105を使用して、上述した混合物を、入口バルブ106から第1の入口103に通して、第1の接触器101の中に供給することができる。混合物が第1の接触器101を通過すると、有機ケイ素成分が粒子102内に収着する。除去処理した混合物が、第1の出口104を通って第1の接触器101から出て、出口バルブ107を通って、出口ライン108を通って出る。除去処理した混合物は、図示しない収集容器に保管可能な精製生成物である。
装置100は、ジアルケニル官能性芳香族炭化水素とポリオルガノシロキサンとのコポリマーの粒子202の、第2の充填床を収容する第2の接触器201を更に備えてもよい。粒子202は、第1の接触器101内の粒子102と同じ、又は異なっていてよい。第2の接触器201は、第2の入口203及び第2の出口204を有する。所望する場合、例えば、第1の充填床内の粒子102が、充填床を通して望まないますますの圧力低下を引き起こす有機ケイ素成分を収着すると膨潤する場合、及び/又は、粒子がより多くの有機ケイ素成分を収着すると、粒子102が有機ケイ素成分を収着することができる速度が望ましくない速度まで低下する場合、バルブ106及び107は閉じられてよく、供給バルブ206及び出口バルブ207は開いていてもよい。これにより、混合物の経路が変更されて、供給ライン205を通って第2の接触器201の中に流れ、入口バルブ206を通って第2の入口203に入る。混合物が第2の接触器201を通過すると、有機ケイ素成分は粒子202内に収着する。除去処理した混合物は第2の接触器201を、第2の出口204、出口バルブ207を通って、出口ライン208を通って出る。除去処理した混合物は、図示しない、同じ又は異なる回収容器に保管可能な精製生成物である。
混合物の、第1の接触器101を通過する流れが停止した後で、接触器101内の粒子102を再生することができる。例えば、パージバルブ109、110を開けることができ、スイープガス(例えば空気又は不活性ガス)が第1の接触器101、ライン111、112を通過する。第1の接触器101を任意選択的に加熱してよく、及び/又はスイープガスを任意選択的に加熱してよい。第1の接触器101内の粒子102が再生された後で、バルブ206、207を閉じることができ、混合物が再び、第1の接触器101を通って経路変更される。粒子202は、図示しないバルブ及びラインを通って第1の接触器101内でと同様に再生することができる。本方法を、装置100を使用して繰り返してよい。開口可能なパージバルブ209、210を開き、スイープガス(例えば空気又は不活性ガス)が、第2の接触器201、ライン211、212を通過することにより、第2の接触器201内の粒子202を再生することができる。第2の接触器201を任意選択的に加熱してよく、及び/又はスイープガスを任意選択的に加熱してよい。
図1には、当業者の発明を示すものが含まれている。しかし、本開示の教示から、当業者は、開示される特定の実施形態において、特許請求の範囲に記載の本発明の趣旨及び範囲を逸脱しない範囲で多くの変更をなし、尚も類似する又は同様の結果を得ることができることを理解しなければならない。例えば、コポリマーは、粒子102、202に加えて、又はこれらの代わりに、様々な形態を有することができる、例えば、上記コポリマーは、薄膜、コーティングされた支持材料(例えば、包装、トレー、プレート、メッシュ)、ナノロッド、ナノスフェア、ビーズ、顆粒、粉末、ペレット、微粒子、及び/又は繊維(中空及び非中空)の形態であることができる。接触器101、201は、垂直に配向されていても、又は図示するとおりに水平に配向されていてもよい。接触器101、201は、充填床、流動床、コポリマーでコーティングしたプレート、トレー、又はディスクを含有するタワー(塔)であってもよい。あるいは、接触器101、201は、コポリマーが、ホイール表面の全部分又は一部分にコーティングされた、収着剤ホイール、例えば乾燥ホイール、又は、他の回転ディスク若しくはホイール装置であってもよい。あるいは、追加の接触器(図示せず)が、接触器101、201と並列又は直列構成となるように構成されてよい。任意選択的に、接触器が収着剤ホイール又はディスクである場合、ホイールは再生が発生するセクタ又はゾーンを通って回転し、単一のデバイスでの、連続した収着及び再生を可能にしてよい。
これらの実施例は、本発明のいくつかの実施形態を説明することを意図しており、本特許請求の範囲に記載された本発明の範囲を限定するかのように解釈してはならない。
実施例1において、本明細書に記載の方法での使用に好適なジビニルベンゼン/ポリジメチルシロキサンコポリマーを、240mLの脱イオン水、1.2gのポリビニルアルコール(数平均分子量=13,000−23,000、87〜89%加水分解)、及び7.9gのNaClからなる水相と、10.41gのトルエン又は8.21gのヘプタンのいずれか、最大10gのDVB(工業グレード、80%)、最大10gのシロキサン材料、及び0.132〜0.136gのアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)開始剤からなる有機相と、を含む懸濁フリーラジカル重合によって合成した。ポリジメチルシロキサンは、(A1)モノビニル末端ポリジメチルシロキサン(平均重合度=78);(B1)ビニル末端ポリジメチルシロキサン(平均重合度=5);(C1)2,4,6,8−テトラメチル−2,4,6,8−テトラビニルシクロテトラシロキサン;(C2)2,4,6−トリメチル−2,4,6−トリビニルシクロトリシロキサン、2,4,6,8−テトラメチル−2,4,6,8−テトラビニルシクロテトラシロキサン、及び2,4,6,8,10−ペンタメチル−2,4,6,8,10−ペンタビニルシクロペンタシロキサンの混合物;(E1)モノメタクリルオキシプロピル末端ポリジメチルシロキサン(平均重合度=5;(E2)モノメタクリルオキシプロピル末端ポリジメチルシロキサン(平均重合度=8;(E3)モノメタクリルオキシプロピル末端ポリジメチルシロキサン(平均重合度=63;(D1)メタクリルオキシプロピル末端ポリジメチルシロキサン(平均重合度=2;(D2)メタクリルオキシプロピル末端ポリジメチルシロキサン(平均重合度=10;(D3)メタクリルオキシプロピル末端ポリジメチルシロキサン(平均重合度=131のうちの1つであった。各コポリマーのDVB及びポリジメチルシロキサンの具体的な量、並びに合成に使用される溶媒を、以下の表1に列挙する。
水相及び有機相を、500mLの三口ガラス反応器に入れ、これらを80℃に加熱し、還流及び連続的な機械的撹拌下にて320RPMで6時間、反応させた。固体生成物を、ブフナー漏斗濾過によって未反応の有機及び水性液相から分離し、続いてトルエン又はヘプタンで3回溶媒洗浄した。次いで、固体サンプルを80℃及び0.2in.Hg.で、少なくとも6時間真空乾燥させた。
実施例2において、10ミリグラム(mg)のポリ(ジメチルシロキサン)(PDMS)/pDVBコポリマー収着剤2(上記の表1のサンプル2)を、蒸気収着分析機器(TA Instruments VTI−SA+)中の微量天秤上にのせ、D 4 の蒸気に、30℃〜40℃温度で0.05〜0.80の範囲で、飽和に対して様々な分圧にてさらした。PDMS/pDVBコポリマー収着剤2を、300RPMの撹拌速度にて80℃で6時間、懸濁フリーラジカル重合によって合成した。分散相は、7.0mLのジビニルベンゼンモノマー、5.3mLの5の数平均重合度を有するビニル末端PDMS、12mLのトルエン、及び0.132gのアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)からなり、水性連続相は、240mLの脱イオン水、7.92gの塩化ナトリウム、及び1.2gのポリ(ビニルアルコール)からなった。ジビニルベンゼンのシロキサンに対する全体モル比が1:1であるように、ジビニルベンゼンのビニル末端PDMSに対するモル比は5:1であった。コポリマーの粒子をソックスレー抽出を介してトルエンで洗浄し、50℃及び0.2mmHgで8時間真空乾燥させた。
蒸気収着分析機器上の有機蒸気セルのリザーバを、オクタメチルシクロテトラシロキサン(D
4 、Dow Corning Corporation(Midland,Michigan,USA)から入手可能)で充填し、上述のとおりに調製したコポリマーを試験した。温度及び相対圧力の各組み合わせにおいて、PDMS/pDVBコポリマー収着剤/D
4 蒸気系が熱力学的平衡に達し、PDMS/pDVBコポリマー収着剤及び収着したD
4 蒸気の最終質量を記録した。各等温線の前で、PDMS/pDVBコポリマー収着剤を、120℃での乾燥に2時間さらし、あらゆる意図せず収着した質量を取り除き、最初の「乾燥」質量を確保した。温度及び圧力の各組み合わせにおいて、PDMS/pDVBコポリマー収着剤の平衡収着能を、1グラム(g)のPDMS/pDVBコポリマー収着剤あたりの、収着したD
4 蒸気のmgの単位(mg/g)で記録した。PDMS/pDVBコポリマー収着剤2の収着能を、表2に示す。
実施例3において、10ミリグラム(mg)のポリ(ジメチルシロキサン)(PDMS)/pDVBコポリマー収着剤3(上記の表1のコポリマー3)を、蒸気収着分析機器(TA Instruments VTI−SA+)中の微量天秤上にのせ、D
4 の蒸気に、30℃〜40℃温度で0.05〜0.80の範囲で、飽和に対して様々な分圧にてさらした。PDMS/pDVBコポリマー収着剤3を、300RPMの撹拌速度にて80℃で6時間、懸濁フリーラジカル重合によって合成した。分散相は、7.5mLのジビニルベンゼンモノマー、4.6mLの大部分が2,4,6,8−テトラメチル−2,4,6,8−テトラビニルシクロテトラシロキサンからなるビニルメチル環式シロキサン、12mLのトルエン、及び0.132gのAIBNからなり、水性連続相は、240mLの脱イオン水、7.92gの塩化ナトリウム、及び1.2gのポリ(ビニルアルコール)からなった。ジビニルベンゼンのシロキサンに対する全体モル比が約1:1であるように、ジビニルベンゼンのビニルメチル環式シロキサンに対するモル比は4:1であった。架橋コポリマーの粒子をソックスレー抽出を介してトルエンで洗浄し、50℃及び0.2mmHgで8時間真空乾燥させた。コポリマーサンプル3を、実施例2で上述したように試験した。PDMS/pDVBコポリマー収着剤3の収着能を、表3に示す。
比較例1において、10ミリグラム(mg)のDarco20−40メッシュ活性炭を、蒸気収着分析機器(TA Instruments VTI−SA+)中の微量天秤上にのせ、D
4 の蒸気に、30℃〜40℃温度で0.05〜0.80の範囲で、飽和に対して様々な分圧にてさらした。蒸気収着分析器上の有機蒸気セルのリザーバを、オクタメチルシクロテトラシロキサン(D
4 、Dow Corning Corporation(Midland,Michigan,USA)から入手可能)で充填した。温度及び相対圧力の各組み合わせにおいて、活性炭/D
4 蒸気系が熱力学的平衡に達し、活性炭及び収着したD
4 蒸気の最終質量を記録した。各等温線の前で、活性炭を、120℃での乾燥に2時間通し、あらゆる意図せず収着した質量を取り除き、最初の「乾燥」質量を確保した。温度及び圧力の各組み合わせにおいて、活性炭の平衡収着能を、1gの活性炭あたりの、収着したD
4 蒸気のmgの単位(mg/g)で記録した。活性炭の収着能を、表4に示す。
比較例2において、10ミリグラム(mg)のポリ(ジビニルベンゼン)(pDVB)を、蒸気収着分析機器(TA Instruments VTI−SA+)中の微量天秤上にのせ、D
4 の蒸気に、30℃〜40℃温度で0.05〜0.80の範囲で、飽和に対して様々な分圧にてさらした。pDVBを、300RPMの撹拌速度にて80℃で6時間、懸濁フリーラジカル重合によって合成した。有機分散相は、12mLのジビニルベンゼンモノマー、12mLのトルエン、及び0.132gのAIBNからなり、水性連続相は、240mLの脱イオン水、7.92gの塩化ナトリウム、及び1.2gのポリ(ビニルアルコール)からなった。得られた架橋ポリマーの粒子をソックスレー抽出を介してトルエンで洗浄し、50℃及び0.2mmHgで8時間真空乾燥させた。蒸気収着分析器上の有機蒸気セルのリザーバを、オクタメチルシクロテトラシロキサン(D
4 、Dow Corning Corporation(Midland,Michigan,USA)から入手可能)で充填した。温度及び相対圧力の各組み合わせにおいて、pDVB/D
4 蒸気系が熱力学的平衡に達し、pDVB及び収着したD
4 蒸気の最終質量を記録した。各等温線の前で、pDVBを、120℃での乾燥に2時間通し、あらゆる意図せず収着した質量を取り除き、最初の「乾燥」質量を確保した。温度及び圧力の各組み合わせにおいて、pDVBの平衡収着能を、1gのpDVBあたりの、収着したD
4 蒸気のmgの単位(mg/g)で記録した。pDVBの収着能を、表5に示す。
比較例3において、A部及びB部を含む二液型組成物を混合することにより、架橋ポリオルガノシロキサンエラストマーを調製した。25℃で55Pa・sの粘度を有する、99.61部のα,ω−ジメチルビニルシロキシ末端ポリジメチルシロキサン(Vi−PDMS1)を、0.39部のKarstedt白金触媒分散体と混合することにより、A部を調製し、これにより、同量のA部及びB部を組み合わせた際に、全体の白金濃度が10重量ppmとなった。98.54部のVi−PDMS1を、25℃にて0.03Pa・sの平均粘度を有し、SiHの形態で1%のHを含む、1.26部のポリジメチルシロキサン−ポリヒドリドメチルシロキサンコポリマー(架橋剤1)、及び0.20部のメチルブチノールと組み合わせることにより、B部を調製した。A部及びB部を各々独立して、2回20秒サイクルで回転ミキサにて、3000rpmにて混合した。5.06gのA部、及び5.06gのB部を次に組み合わせ、2回20秒の混合サイクルで混合した後、真空チャンバに配置して減圧下で2分間脱気し、その後混合物を強制空気対流式オーブンに移して3時間85℃にて硬化させた。得られたサンプルは透明で乾燥した、流動性のないエラストマー(以下架橋ポリオルガノシロキサンエラストマー1と呼ぶ)であった。
比較例4において、過剰の良溶媒であるデカメチルシクロペンタシロキサン(D 5 )の存在下にて、A部及びB部を含む二液型組成物を混合することにより、膨潤した架橋ポリオルガノシロキサンエラストマーを調製した。ポリプロピレン混合カップで、99.61部のVi−PDMS1を、0.39部のKarstedt白金触媒分散体と混合することによりA部を調製し、同量のA部及びB部を組み合わせた際に、全体の白金濃度が10ppmとなった。98.54部のVi−PDMS1を1.26部の架橋剤1と組み合わせることにより、B部を調製した。A部及びB部を各々独立して、Hauschild回転ミキサで2回20サイクル、約3000rpmで混合した。0.625gのA部を、4.375gのD 5 と組み合わせ、2回20秒の混合サイクルで混合した。0.625gのB部を4.375gのD 5 と組み合わせ、2回20秒の混合サイクルで混合した。最終的に、4.42gの、D 5 を含有するA部、及び、4.42gの、D 5 を含有するB部を組み合わせ、2回20混合サイクルで混合した。サンプルを次に、強制空気対流式オーブンに移して、3時間85℃で硬化させた。得られた、膨潤した架橋ポリオルガノシロキサンエラストマーを次に、1インチのHgの減圧下で、真空オーブンに150℃で24時間配置した。得られた再生したエラストマーを次に、再び重さを量り、残留D 5 が完全になくなり、再生したエラストマー(以下架橋ポリオルガノシロキサンエラストマー2と呼ぶ)が残っていることを確認した。得られたサンプルは、透明で乾燥した、非流動性の固体であった。
比較例5において、架橋ポリオルガノシロキサンエラストマー1内でのD
4 蒸気収着を測定した。比較例3に記載するサンプルから切断した、2mgの架橋ポリオルガノシロキサンエラストマー1の一片を、蒸気収着分析機器(TA Instruments VTI−SA+)内の微量天秤上にのせ、D
4 の蒸気に、所定温度での飽和に対して様々な分圧にてさらした。蒸気収着分析器上の、有機蒸気セルのリザーバにオクタメチルシクロテトラシロキサン(D
4 )を充填した。温度及び相対圧力の各組み合わせにおいて、架橋ポリオルガノシロキサンエラストマー/D
4 蒸気系が熱力学的平衡に達し、架橋ポリオルガノシロキサンエラストマー及び収着したD
4 蒸気の最終質量を記録した。各等温線の前で、架橋ポリオルガノシロキサンエラストマーを、60℃での乾燥に2時間通し、あらゆる意図せず収着した質量を取り除き、最初の「乾燥」質量を確保した。温度及び圧力の各組み合わせにおいて、収着剤の平衡収着能を、1気圧あたりでの、1gの架橋ポリオルガノシロキサンエラストマーあたりの、収着したD
4 蒸気のmgの単位(mg/g)で記録した。架橋ポリオルガノシロキサンエラストマー1の収着能を、表6に示す。高い相対圧力では、平衡化プロファイルは1000分間かけて行われる。
比較例6において、架橋ポリオルガノシロキサンエラストマー2内でのD
4 蒸気収着を測定した。比較例4に記載する硬化させたサンプルから切断した、34mgの架橋ポリオルガノシロキサンエラストマー2の一片を、蒸気収着分析機器(TA Instruments VTI−SA+)内の微量天秤上にのせ、D
4 の蒸気に、所定温度での飽和に対して様々な分圧にてさらした。蒸気収着分析器上の有機蒸気セルのリザーバを、D
4 で充填した。温度及び相対圧力の各組み合わせにおいて、架橋ポリオルガノシロキサンエラストマー/D
4 蒸気系が熱力学的平衡に達し、架橋ポリオルガノシロキサンエラストマー及び収着したD
4 蒸気の最終質量を記録した。各等温線の前で、架橋ポリオルガノシロキサンエラストマー2サンプルを60℃での乾燥に2時間通し、あらゆる意図せず収着した質量を取り除き、最初の「乾燥」質量を確保した。温度及び圧力の各組み合わせにおいて、架橋ポリオルガノシロキサンエラストマー2の平衡収着能を、1気圧あたりでの、1gの架橋ポリオルガノシロキサンエラストマー2あたりの、収着したD
4 蒸気のmgの単位(mg/g)で記録した。架橋ポリオルガノシロキサンエラストマー2の収着能を、表7に示す。高い相対圧力では、平衡化プロファイルは1000分間かけて行われる。
上記の比較例及び実施例は、架橋ポリオルガノシロキサンエラストマーが、ポリ(ジビニルベンゼン)ポリマーに対して同様のD
4 の収着能を有することを示すが、ジビニルベンゼンとポリオルガノシロキサンとのコポリマーは、架橋ポリオルガノシロキサンエラストマー又はポリ(ジビニルベンゼン)ポリマーのいずれかよりも予想外に高いD
4 の収着能を有することを示す。D
4 の相対圧力が0.8及び40℃での試験条件下における、比較例5及び6における架橋ポリオルガノシロキサンエラストマーの収着能は、それぞれ558及び618mg/gである。比較例2、表2、最終行には同様の結果が示されている(40℃でD
4 の相対圧力が0.8である場合、557mg/gのD
4 のジビニルベンゼンポリマーの収着能を有した)。しかし、実施例2及び実施例3において、(ジビニルベンゼンとポリジメチルシロキサンとの)コポリマーを同じ条件下で試験したところ、収着能は、実施例2については40℃で868mg/g、実施例3については40℃で1121mg/gと有意に高かった。これらの実施例は、本明細書に記載のコポリマーを使用して、D
4 の収着能を増加させる予想外の相乗効果を示す。
(産業上の利用可能性)
本明細書に記載の方法は、少なくとも1種の蒸気相有機ケイ素成分を含む混合物(例えば、環を有するシリコーン流体(cyclics laden silicone fluid)又はD 4 含有プロセスガス流)を、ジアルケニル官能性芳香族炭化水素とポリオルガノシロキサンとのコポリマーを含む収着剤と接触させることにより、混合物からガス又は蒸気(例えばD 4 、D 5 )を分離するのに特に有用である。任意選択的に、コポリマーは後で実質的に取り除かれる溶媒の存在下で調製される。得られたコポリマーは、著しく高いD 4 収着能力を示す。冷たい収着剤に接触させることで熱損失をもたらすことなく、D 4 を既に暖かい流れから分離する利用可能性、及び場合により必要性、並びに、未加熱の空気、及び/又は不活性ガス流を使用して収着剤を再生することができるというエネルギー節約及びコスト削減故に、収着剤としてコポリマーを用いる、本明細書に記載の方法は、従来のガス分離におけるエネルギー効率及びコスト効率が増加するという著しい実現可能な結果を有する。そのような収着剤、及びそのような接触プロセスにより精製された生成物(シリコーン生成物及び中間体を含む)を含む接触装置もまた開示される。従来の固体吸着媒体、又は多孔質の有機ポリマー若しくは有機金属構造と比較して、コポリマーはより汚れにくく、物質移動の制限を受けにくいものにできる。
用語の定義及び使用
全ての量、比及び百分率は、特に指示しない限り、重量に基づく。冠詞「a」、「an」、及び「the」はそれぞれ、明細書の文脈により特に指示がない限り、1つ以上を指す。範囲の開示は、その範囲自体及び範囲内に包含される任意のもの、並びに端点を含む。例えば、2.0〜4.0の範囲の開示は、2.0〜4.0の範囲だけでなく、2.1、2.3、3.4、3.5、及び4.0も個別に含み、並びに範囲内に包含される任意の他の数も含む。更に、例えば、2.0〜4.0の範囲の開示は、例えば、2.1〜3.5、2.3〜3.4、2.6〜3.7、及び3.8〜4.0の部分集合、並びにその範囲内に包含される任意の他の部分集合も含む。同様に、マーカッシュ群の開示は、その群全体を含み、そこに包含される任意の個別の要素及び部分集合も含む。例えば、マーカッシュ群「水素原子、アルキル基、アリール基又はアラルキル基」の開示には、その要素である個々のアルキル、下位群であるアルキル及びアリール、並びに任意の他の個々の要素及びその中に包含される下位群を含む。
本明細書において使用される略記は、以下のとおり定義される。略記「cSt」は、センチストークスを意味する。「DP」は、重合度を意味する。「GC」は、ガスクロマトグラフィを意味する。「Pa・s」は、パスカル秒を意味し、「ppm」は、百万分率を意味する。「Tg」は、ガラス転移温度を意味する。
用語「除去処理した」及びその誘導体はそれぞれ、工程1)前の混合物中の有機ケイ素成分の量が、本明細書に記載する方法の工程1)を実施した後で少量になっていることを意味する。
用語「増強処理した」及びその誘導体は、架橋エラストマー中の有機ケイ素成分の量が、本明細書に記載する方法の工程1)を実施する前よりも、工程1)の実施の間、及び実施後に増えていることを意味する。
用語「収着する」及びその誘導体は、吸収及び/又は吸着;あるいは吸着、あるいは吸収を意味する。あるいは「収着する」は吸収及び吸着の両方を含むことができる。
用語「揮発性」及びその誘導体は、1つの成分が別の成分より高い蒸気圧を有し得ることを意味する。特定の実施形態において、有機ケイ素成分は、蒸気の相対圧力によって、混合物中の少なくとも1種の他の成分と区別することができる。有機ケイ素成分は、混合物中の少なくとも他の成分の蒸気圧よりも高い蒸気圧を有することができる。有機ケイ素成分は、70℃で少なくとも0.1mmHgの、純粋な成分の蒸気圧を有することができる。混合物中の少なくとも1種の他の成分は、70℃で0.1mmHg未満の蒸気圧を有する非有機ケイ素成分であることができる。(揮発性とは、物質が蒸発しやすいことを意味する。揮発性は、物質の蒸気圧に直接関係する。所定温度にて、高い蒸気圧を有する物質は、低い蒸気圧を有する物質よりも容易に蒸発する。)他の実施形態において、非多孔質架橋エラストマー中における有機ケイ素成分の溶解度が、非多孔質架橋エラストマー中における少なくとも1種の他の成分の溶解度よりも高い場合に、有機ケイ素成分は、混合物中の少なくとも1種の他の成分の蒸気圧よりも低い蒸気圧を有することができる。