JPH1017774A - エチレン吸収シリコーンゴム成形品の製造方法 - Google Patents

エチレン吸収シリコーンゴム成形品の製造方法

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JPH1017774A
JPH1017774A JP19392596A JP19392596A JPH1017774A JP H1017774 A JPH1017774 A JP H1017774A JP 19392596 A JP19392596 A JP 19392596A JP 19392596 A JP19392596 A JP 19392596A JP H1017774 A JPH1017774 A JP H1017774A
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JP
Japan
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silicone rubber
ethylene
group
organohydrogenpolysiloxane
rubber composition
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JP19392596A
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English (en)
Inventor
Akio Nakano
昭生 中野
Mikio Iino
幹夫 飯野
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Shin Etsu Chemical Co Ltd
Original Assignee
Shin Etsu Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【解決手段】 (1)アルケニル基含有オルガノポリシ
ロキサン、(2)オルガノハイドロジェンポリシロキサ
ン、(3)ヒドロシリレーション触媒、(4)沸点が1
50℃以下であるヒドロシリレーション触媒の制御剤を
含有し、上記オルガノハイドロジェンポリシロキサンの
配合量が、上記アルケニル基含有オルガノポリシロキサ
ンのアルケニル基に対してオルガノハイドロジェンポリ
シロキサンのヒドロシリル基がモル比で5倍以上である
シリコーンゴム組成物を上記制御剤が揮発除去されて実
質的に残存しないように80℃以上の温度で加熱硬化さ
せることを特徴とするエチレン吸収シリコーンゴム成形
品の製造方法。 【効果】 青果物や花卉類などから放出される老化・成
熟ホルモンであるエチレンを確実に効率よく吸収除去す
ることができ、高湿度下の環境でもエチレン吸収能力が
低下しない。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、青果物や花卉類な
どの老化ホルモンであるエチレンを除去してこれら青果
物や花卉類などの鮮度を保持する場合等に好適に用いら
れるエチレン吸収シリコーンゴム成形品の製造方法に関
する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】従来よ
り、青果物や花卉類などから放出される老化・成熟ホル
モンであるエチレンを除去することにより、青果物や花
卉類などの鮮度を長く保持し得ることが知られている。
【0003】このようなエチレンを除去する方法として
は、過マンガン酸カリウムの酸化反応を利用してエチ
レンをエチレングリコールに分解する方法、活性炭や
鉱物粉末の微細孔にエチレンを吸着させる方法、エチ
レンに臭素を付加させる方法、次亜塩素酸塩(特開昭
63−198938号公報)、及び亜塩素酸塩(特開
昭59−39243号公報)によりエチレンを分解する
方法などが種々提案されている。
【0004】しかしながら、上記〜のうち、の過
マンガン酸カリウムを用いる方法は、過マンガン酸カリ
ウムの毒性が強いために、使用後の完全回収と分解処理
が必要となるという問題があり、の活性炭や鉱物粉末
を用いる方法は、吸着反応が平衡であるため、エチレン
を完全に除去できない上に、温度が上昇するとエチレン
が容易に脱離すると共に、高湿度の環境下では微細孔に
水が凝集して、エチレン除去能力が大幅に低下するとい
う欠点があった。また、の臭素を用いる方法は、臭素
の保存安定性が悪いという欠点があり、活性炭に臭素を
担持して用いる方法では高湿度の環境下で同様な問題が
生じる。更に、、の次亜塩素酸塩や亜塩素酸塩を用
いる方法は、エチレン除去反応がやや遅くなると共に、
有害な塩化物が発生するという問題があった。
【0005】このため、上記問題点を解決すべく、エチ
レン除去剤としてヒドロシリル基(SiH基)を有する
化合物とヒドロシリレーション触媒をタルク、ホルマイ
ト類、及び炭酸カルシウムから選ばれる担体に担持した
ものが提案されている(特開平7−99号公報)。この
提案は、下記反応式により、ヒドロシリル基を有する化
合物に白金などのヒドロシリレーション触媒の存在下に
おいて、エチレンを付加反応させることにより吸収除去
するものである。
【0006】
【化1】
【0007】また更に、上記反応を利用したエチレン除
去剤として、アルケニル基含有オルガノポリシロキサン
とオルガノハイドロジェンポリシロキサンとをヒドロシ
リレーション触媒の存在下に付加反応させて、シリコー
ンエラストマー膜を形成させ、膜中にヒドロシリル基と
ヒドロシリレーション触媒とを残存したものが、鮮度保
持用包装材料として提案されている(特開平7−215
368号公報)。
【0008】しかしながら、上記ヒドロシリル基へのエ
チレンの付加反応を利用したエチレン除去剤において
は、製造条件により、エチレン吸収能力が異なる場合が
あり、この点の改善が求められた。
【0009】本発明は上記事情に鑑みなされたもので、
常に確実にエチレンを吸収する高い効果を与え、このた
め青果物や花卉類などから放出されるエチレンを効率よ
く吸収することができるエチレン吸収シリコーンゴム成
形品の製造方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段及び発明の実施の形態】本
発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討を行った
結果、(1)アルケニル基含有オルガノポリシロキサ
ン、(2)オルガノハイドロジェンポリシロキサン、
(3)ヒドロシリレーション触媒、(4)沸点が150
℃以下であるヒドロシリレーション触媒の制御剤を含有
し、上記オルガノハイドロジェンポリシロキサンの配合
量が、上記アルケニル基含有オルガノポリシロキサンの
アルケニル基に対してオルガノハイドロジェンポリシロ
キサンのヒドロシリル基がモル比で5倍以上であるシリ
コーンゴム組成物を用いてシリコーンゴム成形品を成形
すること、この場合、上記制御剤が揮発除去されて実質
的に残存しないように80℃以上の温度で加熱硬化させ
ることにより、エチレン吸収効果を常に確実に発揮する
エチレン吸収シリコーンゴム成形品の製造方法を知見し
た。
【0011】即ち、上記のような付加反応硬化型のシリ
コーンゴム組成物においては、十分な可使時間を確保す
るため、ヒドロシリレーション触媒の制御剤を添加する
ことは必須であるが、この制御剤は硬化されたシリコー
ンゴム成形品中に残存することがある。通常、多くのシ
リコーンゴム成形品にあっては、制御剤が残存しても問
題が生じないものであるが、シリコーンゴム成形品にヒ
ドロシリル基(SiH基)を残存させ、かつヒドロシリ
レーション触媒を残存させて、これらの付加反応作用に
よってエチレンを吸収させるエチレン吸収シリコーンゴ
ム成形品にあっては、制御剤が成形品中に残存している
と、ヒドロシリレーション触媒の存在がヒドロシリル基
とエチレンとの付加反応を阻害すること、そしてこのこ
とが従来の付加反応を利用したエチレンの吸収除去方法
において、そのエチレン除去剤が製造条件によってエチ
レン吸収能力が異なることの原因であることを、本発明
者らは見出した。
【0012】そこで、かかる点を改善するため更に検討
を進めた結果、ヒドロシリレーション触媒の制御剤とし
て沸点が150℃以下のものを使用し、シリコーンゴム
組成物の加熱硬化の際にこの制御剤が残存しないように
揮発除去することにより、エチレン吸収性能にばらつき
がなく、確実に効率よくエチレンを吸収し得るシリコー
ンゴム成形品が得られることを知見し、本発明をなすに
至ったものである。
【0013】従って、本発明は、上記(1)〜(4)成
分を含有し、上記オルガノハイドロジェンポリシロキサ
ンの配合量が、上記アルケニル基含有オルガノポリシロ
キサンのアルケニル基に対してオルガノハイドロジェン
ポリシロキサンのヒドロシリル基がモル比で5倍以上で
あるシリコーンゴム組成物を上記制御剤が揮発除去され
て実質的に残存しないように80℃以上の温度で加熱硬
化させることを特徴とするエチレン吸収シリコーンゴム
成形品の製造方法、及び、上記シリコーンゴム組成物を
揮発性有機溶剤に溶解させた溶液を使用し、これを所定
形状に成形し、次いで溶剤を揮発除去した直後に80℃
以上の温度で加熱硬化させることを特徴とする上記エチ
レン吸収シリコーンゴム成形品の製造方法を提供する。
【0014】以下、本発明につき更に詳しく説明する
と、本発明で用いるシリコーンゴム組成物は、(1)ア
ルケニル基含有オルガノポリシロキサン、(2)オルガ
ノハイドロジェンポリシロキサン、(3)ヒドロシリレ
ーション触媒、(4)ヒドロシリレーション触媒の制御
剤を主成分とする。
【0015】ここで、(1)成分のアルケニル基含有オ
ルガノポリシロキサンとしては、オイル状又はガム状
で、1分子中にアルケニル基を2個以上含有するものが
使用でき、下記平均組成式(1) R1 a2 bSiO(4-a-b)/2 (1) で示されるものが有効に用いられる。
【0016】式(1)において、R1はビニル基、アリ
ル基等の炭素数2〜10のアルケニル基を示し、R2
脂肪族不飽和結合を含有しない炭素数1〜18、特に1
〜10の非置換又は置換1価炭化水素基、具体的には、
メチル基、エチル基、プロピル基等のアルキル基、フェ
ニル基、トリル基等のアリール基などや、これらの基の
炭素原子に結合した水素原子の一部又は全部をハロゲン
原子などで置換した基、例えばトリフルオロプロピル基
などである。また、a,bはa>0、1.95≦a+b
≦2.05を満足する正数である。
【0017】このようなアルケニル基含有オルガノポリ
シロキサンとしては、主鎖がジメチルシロキサン単位か
らなり、この主鎖にビニル基、フェニル基、トリフルオ
ロプロピル基などが導入されたものが一般的である。ま
た分子鎖末端はトリオルガノシリル基又は水酸基で封鎖
されたものとすればよいが、このトリオルガノシリル基
としてはトリメチルシリル基、ジメチルビニルシリル
基、トリビニルシリル基などが例示される。上記オルガ
ノポリシロキサンの重合度は、通常100〜12,00
0である。
【0018】次に、(2)成分のオルガノハイドロジェ
ンポリシロキサンは性状がオイル状であることが好まし
く、1分子中に2個以上のヒドロシリル基(SiH基)
を有し、下記平均組成式(2) Hc3 dSiO(4-c-d)/2 (2) で示されるものである。
【0019】この場合、R3は炭素数1〜18、特に1
〜10の非置換又は置換1価炭化水素基で、具体的に
は、メチル基、エチル基、プロピル基等のアルキル基、
ビニル基、アリル基等のアルケニル基、フェニル基、ト
リル基等のアリール基などや、これらの基の炭素原子に
結合した水素原子の一部又は全部をハロゲン原子などで
置換した基、例えばトリフルオロプロピル基などが挙げ
られる。c,dは0<c<3、0<d<3、1≦c+d
≦3を満足する正数であり、好ましくは0<c≦1、1
≦d≦2、1.95≦c+d≦2.05である。
【0020】このオルガノハイドロジェンポリシロキサ
ンは、直鎖状、分岐状、環状、ブロックポリマー状、グ
ラフトポリマー状等のいずれでもよいが、好ましくは直
鎖状である。また、その粘度は25℃において1〜50
0csが好ましい。
【0021】上記オルガノハイドロジェンポリシロキサ
ンとしては、例えば下記に示すものが挙げられる。
【0022】
【化2】
【0023】上記オルガノハイドロジェンポリシロキサ
ンの添加量は、硬化後のシリコーンゴム成形品中にヒド
ロシリル基を残存させる必要から、アルケニル基含有オ
ルガノポリシロキサンのアルケニル基に対してヒドロシ
リル基をモル比で5倍以上とする必要があり、好ましく
は10倍以上である。モル比が5倍未満では十分なエチ
レン吸収能力が得られない場合がある。また、オルガノ
ハイドロジェンポリシロキサンは、アルケニル基含有オ
ルガノポリシロキサン100重量部に対し、ヒドロシリ
ル基として0.01モル以上、好ましくは0.05モル
以上、更に好ましくは0.05〜2モルである。0.0
1モル未満では十分なエチレン吸収能力が得られない場
合がある。
【0024】なお、硬化後のシリコーンゴム成形品中に
おけるヒドロシリル基残存量は、1×10-4mol/g
以上、特に2×10-4mol/g以上であることが、エ
チレン吸収性の点から好ましい。
【0025】(3)成分のヒドロシリレーション触媒と
しては、第8族に属する金属やこれらの化合物が好適に
使用でき、例えば白金、ロジウム、ルテニウム、イリジ
ウム等の白金族元素からなる金属単体及びこれらの化合
物、具体的には塩化白金酸、塩化白金酸のアルコール変
性物、塩化白金酸のビニルシロキサン、オレフィン、ア
ルデヒド又はアセチレンアルコール等との錯体、例えば
PtCl2[P(C6532、RhCl[P(C
6533、RuCl2[P(C6533等が挙げら
れ、これらの中では、特に白金化合物が好ましい。
【0026】上記ヒドロシリレーション触媒の含有量
は、全シリコ−ンゴム組成物に対し金属として10pp
m以上、好ましくは50〜2,000ppmである。ヒ
ドロシリレ−ション触媒の含有量が10ppm未満では
エチレン吸収能力が不十分となり、一方、2,000p
pmを超えると高コストとなり、経済性に劣るという問
題が生じる。
【0027】次に、(4)成分のヒドロシリレーション
触媒の制御剤は、シリコーンゴム組成物の保存安定性、
硬化速度を調整する目的で添加するものである。
【0028】即ち、アルケニル基含有オルガノポリシロ
キサンとオルガノハイドロジェンポリシロキサンのヒド
ロシリレーション触媒存在下での付加反応は、室温条件
でも速やかに進行するため、成形時の可使時間を得るた
めに付加反応の抑制が必要となる。また、硬化後のシリ
コーンゴム成形品中に、制御剤が実質的に残存している
と、ヒドロシリレーション触媒活性が悪くなり、エチレ
ン吸収能力が大きく低下するため、制御剤としては加熱
により揮発しやすい、沸点が150℃以下、好ましくは
120℃以下の化合物を用いる必要がある。
【0029】このようなヒドロシリレーション触媒の制
御剤としては、例えば1,3−ジビニル−1,1,3,
3−テトラメチルジジロキサン(沸点139℃)等のビ
ニル基含有オルガノポリシロキサン、3−メチル−1ブ
チン−3−オール(沸点103.6℃)、2−プロピン
−1−オール(沸点113.6℃)等のアセチレンアル
コールなどが好適である。これら制御剤の添加量は、制
御剤の種類、ヒドロシリレーション触媒の添加量などに
より異なるが、全シリコーンゴム組成物に対して10〜
100,000ppm、特に50〜10,000ppm
が好ましい。
【0030】また、本発明のシリコーンゴム組成物に
は、ヒドロシリル基を安定化させる目的でタルク、ホル
マイト類、及び炭酸カルシウムなどから選ばれる1種又
は2種以上を配合することが好ましい。これらの配合量
はシリコーンゴム組成物100重量部に対して5〜15
0重量部、より好ましくは10〜100重量部が好適で
ある。5重量部未満ではヒドロシリル基の安定性がやや
不十分となり、一方、150重量部を超えると硬化後の
シリコーンゴム成形品の機械的強度が低下する場合があ
る。
【0031】なお、本発明のシリコーンゴム組成物に
は、必要に応じて、親水性シリカ、疎水性シリカ等の補
強性シリカ充填剤、クレイ、けいそう土、二酸化チタン
等の充填剤、低分子シロキサンエステル、シラノール等
の分散剤、無機顔料、有機顔料等の着色剤などや、ゴム
コンパウンドのグリーン強度を上げる目的でテトラフル
オロポリエチレン粒子などをヒドロシリレーション触媒
活性を低下させない範囲で適宜添加することができる。
【0032】また更に、本発明のシリコーンゴム組成物
を、予めトルエン、キシレン、リグロイン、メチルエチ
ルケトン等の揮発性有機溶剤で溶解して用いることによ
り、ヒドロシリレーション触媒の制御剤の濃度を低く設
定しても、成形時の可使時間が十分長くなる上に、硬化
後のシリコーンゴム成形品のエチレン吸収能力を効率良
く発揮し得るという優位性が得られる点から好ましい。
なお、揮発性有機溶剤の配合量は、全シリコーンゴム組
成物100重量部に対し、通常、20〜1,000重量
部、好ましくは50〜600重量部である。
【0033】本発明のシリコーンゴム組成物の製造方法
は、まず、上記(1)成分に(3)、(4)成分、その
他任意成分を添加混合しておき、製造前に(2)成分を
添加混合する方法、或いは(1)成分に(2)、(4)
成分、その他の任意成分を添加混合しておき、製造前に
(3)成分を添加混合する方法などが挙げられる。
【0034】次に、得られたシリコーンゴム組成物を種
々の成形方法、例えばモールド成形、押出し成形、トラ
ンスファー成形、射出成形、カレンダー成形、コーティ
ング成形などにより、成形加工してから加熱硬化させる
ことにより、シート状から各種形状のシリコーンゴム成
形品を製造することができる。この場合、加熱温度は、
シリコーンゴム成形品中にヒドロシリレーション触媒の
制御剤が実質的に残存することがないように(制御剤が
1ppm以下になるように)、80℃以上、より好まし
くは100℃以上の温度で行う。また加熱時間は成形品
の形状などにより異なるが、1〜60分、特に1〜10
分であることが好ましい。加熱時間が1分未満では成形
品中に制御剤が実質的に残存するおそれがあり、一方、
60分を超えるとヒドロシリル基が分解してしまい、減
少するためエチレン吸収能力が著しく低下する場合があ
る。
【0035】また、シリコーンゴム組成物を予め揮発性
有機溶剤で溶解してから用いる場合は、所定形状に成形
し、次いで室温、或いはシリコーンゴム組成物中で揮発
性有機溶剤が発泡しない程度の温度にまで加熱し(有機
溶剤として例えばトルエンを用いた場合には60℃で1
0分間程度)、有機溶剤を除去してから、所定の温度で
加熱硬化させてシリコーンゴム成形品を製造する。この
場合、揮発性有機溶剤を除去した後、直ちに加熱硬化さ
せないとシリコーンゴム組成物中のヒドロシリレーショ
ン触媒と制御剤がそれぞれ濃度の高い状態で接触するた
め、ヒドロシリレーション触媒の活性が悪くなり、エチ
レン吸収能力が低下してしまう。このため、揮発性有機
溶剤を除去した後、直ちに、或いは、少なくとも10分
後までに加熱硬化させることが好ましい。
【0036】上記揮発性有機溶剤で溶液状にしたシリコ
ーンゴム組成物は、該溶液をPET樹脂等の樹脂製フィ
ルム、金属箔等の基材にコーティングしたり、耐熱性の
ある不織布等に含浸してから加熱硬化させることによ
り、エチレン吸収性に優れたシリコーンゴム成形品に加
工することができる。
【0037】本発明のシリコーンゴム成形品は、青果物
や花卉類などの老化・成熟ホルモンであるエチレンを効
果的に吸収・除去することができるので、青果物や花卉
類などの鮮度を長く保持することが可能となり、包装用
シート、保存容器、容器内の仕切り材、保護用クッショ
ン材等の各種用途に好適なものである。
【0038】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のシリコー
ンゴム組成物を加熱硬化させてなる成形品は、青果物や
花卉類などから放出される老化・成熟ホルモンであるエ
チレンを確実に効率よく吸収除去することができるもの
であり、有毒の化合物を添加してないために、安全性が
高く、その上高湿度下の環境でもエチレン吸収能力が低
下しない高品質なものである。また、本発明のシリコー
ンゴム成形品の製造方法は、製造条件の調節が容易で、
安定に高品質のエチレン吸収シリコーンゴム成形品が得
られるものである。
【0039】
【実施例】以下、実施例と比較例を示し、本発明を具体
的に説明するが、本発明は下記実施例に制限されるもの
ではない。なお、各例中の部はすべて重量部を示す。
【0040】[実施例1、2、比較例1、2]ジメチル
シロキサン単位97モル%とメチルビニルシロキサン単
位3モル%とからなり、分子鎖両末端がジメチルビニル
シリル基で封鎖された重合度8,000のメチルビニル
ポリシロキサン100部に炭酸カルシウム粉末(白石工
業株式会社製)40部を二本ロールで添加混合してか
ら、トルエン280部でホモジナイザーを用いて溶解し
た。この溶液にヒドロシリレーション触媒として塩化白
金酸のビニルシロキサン錯体(白金含有量1重量%)
1.7部を添加混合し、更に表1に示した実施例1、
2、比較例1、2のヒドロシリレーション触媒の制御剤
を添加した(なお、ヒドロシリレーション触媒の制御剤
の配合量はHC≡C−基の量に合わせてある)。その
後、下記平均組成式で示されるオルガノハイドロジェン
ポリシロキサン28部を添加混合した。
【0041】
【化3】
【0042】このシリコーンゴム組成物(トルエンがな
い状態)の白金濃度は、全シリコーンゴム組成物に対
し、金属として100ppmであり、オルガノハイドロ
ジェンポリシロキサンの配合量はメチルビニルポリシロ
キサン100部に対して、ヒドロシリル基として0.4
4モルである(ヒドロシリル基/ビニル基=11)。
【0043】得られた溶解液を100μmのPETフィ
ルム上にコーティングしてから、温度60℃の乾燥機中
で10分間加熱し、トルエンを除去した直後に温度15
0℃の乾燥機中で4分間加熱硬化させ、実施例1、2、
比較例1、2のエチレン吸収シリコーンゴム成形品を作
成した(但し、実施例2は150℃で10分間加熱硬化
させたものである)。得られたゴム成形品のゴムの厚さ
は約0.1mmであった。
【0044】次に、得られたシリコーンゴム成形品につ
いて、エチレン吸収能力を温度25℃の環境下で、容積
2,600cm3 のデシケータ中に100mm角のシリ
コーンゴム成形品を密封してから、エチレンガスを注入
し、初期濃度100ppmからエチレン濃度の経時的変
化を水素炎イオン化検出器(FID)ガスクロマトグラ
フィ((株)日立製作所製)で測定した。結果を表1に
併記する。
【0045】
【表1】
【0046】表1の結果から、実施例1、2は沸点が1
50℃以下のヒドロシリレーション触媒の制御剤を用い
ることにより、エチレン吸収能力が大きく向上すること
が認められた。更に、実施例2は、加熱硬化の時間を延
長することにより、シリコーンゴム内の制御剤がほとん
ど残存しない状態にでき、エチレン吸収能力がより向上
することが認められた。
【0047】[実施例3、4]実施例1と同様のメチル
ビニルポリシロキサン100部に炭酸カルシウム粉末4
0部を二本ロールで添加混合してから、トルエン280
部でホモジナイザーを用いて溶解した。この溶液にヒド
ロシリレーション触媒として塩化白金酸のビニルシロキ
サン錯体(白金含量1重量%)5.2部を添加混合し、
更にヒドロシリレーション触媒の制御剤として3−メチ
ル−1ブチン−3−オール(実施例1と同様)1.9部
を添加し、その後、実施例1と同様のオルガノハイドロ
ジェンポリシロキサン28部を添加混合した。なお、得
られたシリコーンゴム組成物(トルエンがない状態)の
白金濃度は、全シリコーンゴム組成物に対し、金属とし
て300ppmであった。
【0048】次に、得られた溶解液を100μmのPE
Tフィルム上にコーティングしてから、温度60℃の乾
燥機中で10分間加熱し、トルエンを除去した直後に温
度150℃の乾燥機中で10分間加熱硬化させ、実施例
3のシリコーンゴム成形品を作成した。また、60℃の
乾燥機中で10分間加熱し、トルエンを除去し、この状
態で室温において90分間放置してから、温度150℃
の乾燥機中で10分間加熱硬化させ、実施例4のシリコ
ーンゴム成形品を作成した。なお、得られたゴム成形品
のゴムの厚さは約0.15mmであった。
【0049】得られたシリコーンゴム成形品について、
エチレン吸収能力を実施例1と同じ条件で、初期濃度1
00ppmからエチレン濃度の経時変化をFIDガスク
ロマトグラフィで測定した。結果を表2に併記する。
【0050】
【表2】
【0051】表2の結果から、揮発性有機溶剤のトルエ
ンを除去した直後に加熱硬化させることにより、エチレ
ン吸収能力がより向上することが認められた。
【0052】[実施例5]実施例3で作成したシリコー
ンゴム成形品を用いて、高湿度条件下でのエチレン吸収
能力を評価した。温度25℃の環境下、容積2,600
cm3 のデシケータ中に100mm角のシリコーンゴム
成形品と水10cm3 を一緒に密封してから、エチレン
ガスを注入し、初期濃度100ppmからエチレン濃度
の経時変化をFIDガスクロマトグラフィで測定した
(相対湿度95%以上)。結果を表3に示す。
【0053】
【表3】
【0054】表3の結果から、本発明のエチレン吸収シ
リコーンゴム成形品は、高湿度条件下でも十分なエチレ
ン吸収能力を発揮し得ることが確認できた。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (1)アルケニル基含有オルガノポリシ
    ロキサン、(2)オルガノハイドロジェンポリシロキサ
    ン、(3)ヒドロシリレーション触媒、(4)沸点が1
    50℃以下であるヒドロシリレーション触媒の制御剤を
    含有し、上記オルガノハイドロジェンポリシロキサンの
    配合量が、上記アルケニル基含有オルガノポリシロキサ
    ンのアルケニル基に対してオルガノハイドロジェンポリ
    シロキサンのヒドロシリル基がモル比で5倍以上である
    シリコーンゴム組成物を上記制御剤が揮発除去されて実
    質的に残存しないように80℃以上の温度で加熱硬化さ
    せることを特徴とするエチレン吸収シリコーンゴム成形
    品の製造方法。
  2. 【請求項2】 上記シリコーンゴム組成物を揮発性有機
    溶剤に溶解させた溶液を使用し、これを所定形状に成形
    し、次いで溶剤を揮発除去した直後に80℃以上の温度
    で加熱硬化させることを特徴とする請求項1記載のエチ
    レン吸収シリコーンゴム成形品の製造方法。
JP19392596A 1996-07-04 1996-07-04 エチレン吸収シリコーンゴム成形品の製造方法 Pending JPH1017774A (ja)

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015168748A (ja) * 2014-03-06 2015-09-28 株式会社カネカ 熱可塑性エラストマー組成物
JP2021516648A (ja) * 2018-03-12 2021-07-08 ジョンソン、マッセイ、パブリック、リミテッド、カンパニーJohnson Matthey Public Limited Company 組成物
US11491461B2 (en) 2017-03-14 2022-11-08 Dow Silicones Corporation Method of depleting an organosilicon component in a mixture using a sorbent copolymer and apparatus for practicing the method

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JP2021516648A (ja) * 2018-03-12 2021-07-08 ジョンソン、マッセイ、パブリック、リミテッド、カンパニーJohnson Matthey Public Limited Company 組成物

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