JP2020506170A - 歯科用組成物 - Google Patents

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Abstract

本発明は、(i) 以下の式(I)の繰り返し単位を有する化合物を含有する重合性組成物:(式中、R1は、水素原子、または直鎖状C1〜6アルキル基、または分枝状または環状C3〜6アルキル基を表し;Lは一つ以上の一価または二価のオルガノポリシロキサン基を含み得る二価の有機連結基および/または一つ以上の一価または二価のペルフルオロヒドロカルビル基を表し;nは少なくとも1の整数である);および(ii) ビニルエーテル、ビニルエステル、ビニルシロキサン、(メタ)アクリルアミドおよび4〜20個の炭素原子を有する1−アルケン類から選択される一つ以上のビニル化合物であって、前記ビニル化合物が、式(I)の繰り返し単位を有する前記化合物と共重合性である、一つ以上のビニル化合物;および、(iii) 重合開始剤系、を含む歯科用組成物に関する。

Description

本発明は、ラジカル重合において反応性のある繰り返し単位を有する化合物を含有する重合性組成物を含有する歯科用組成物に関する。さらに、本発明は、歯科用組成物で使用するための重合性組成物の調製のための方法に関する。本発明はまた、本発明の方法によって得られる重合性組成物にも関する。最後に、本発明は、歯科用組成物中の特定の重合性マクロモノマーの使用に関する。
歯科用組成物は、歯科印象材料、流動性歯科用複合材、汎用性歯科用複合材、充填可能歯科用複合材、または小窩裂溝封鎖材であってもよく、この組成物は特に(メタ)クリレートアレルギーを患う患者に適している。
メチルメタクリレート(MMA)、トリエチレングリコールジメタクリレート(TEGDMA)、エチレングリコールジメタクリレート(EGDMA)、2,2−bis[4−(2−ヒドロキシ−3−メタクリルオキシプロポキシ)フェニル]プロパン(bis−GMA)、および2−ヒドロキシエチルメタクリレート(2−HEMA)などのアクリルモノマーは、多くの歯科用組成物中に含有される。歯科従事者または患者は、アクリルモノマーへの曝露によってアレルギーを持つようになる場合がある。アレルギー反応は、アレルギーのある従事者または患者がこうしたアレルゲンに再び曝露されたときに生じる場合がある。多くの研究では、歯科専門家、ならびに歯科治療を受けてレジンベース材に曝露された患者における(メタ)アクリレートアレルギーの高い発生率が確認されている(K.Aalto−Korteら、Contact Dermatitis 57(5):324−30,December 2007)。したがって、アクリルモノマーへの曝露は、特に(メタ)アクリレートアレルギーを患う個人によって、低減されるか、または完全に回避されるべきである。
一方、歯科用アクリル調製物は、望ましい特性を提供し、歯科用組成物などの歯科用修復材料に容易に代用することはできない。従って、アクリルアレルゲンを含まない、および(メタ)アクリレートの使用により得られる特性を維持または改善する歯科用組成物に対するニーズが存在する。
歯科印象は、義歯、クラウンまたは他の補綴物の作製に使用され得る口腔組織の負の記録である。歯科印象は、カスタマイズされたトレー内に流体材料を患者の口腔内に配置することによって実施される。その後、材料は弾性固体になり、口腔内から取り外されたときに歯の形状が保持される。従来、歯科印象材料は、別々に保存する必要がある二種類のペーストを混合し、混練することによって活性化される必要がある。
歯科印象材料は、親水性/疎水性の特性、設定機構および弾性に基づいて分類され得る。印象材料は、可逆的な物理的プロセスまたは剛性または弾性印象を提供するための不可逆的な化学反応によって設定され得る。不可逆的な化学反応を考慮すると、弾性印象は、アルギン酸、ポリスルフィド、ポリエーテルまたはシリコーン印象材料の硬化によって得られる場合があるが、剛性印象は印象石膏または亜鉛ユージノールセメントによって形成される。
不可逆的な化学反応による歯科印象の調製には、材料が許容可能な作用時間および設定時間を有することが必要である。従って、従来の歯科印象材料は、所定の範囲で作用および設定時間を提供するように製剤化される。従来の歯科印象材料は、同時に非常に短い設定時間を有することを許容する一方で、任意の長い作業時間を有することを許容しない。
一方、(メタ)アクリレート系材料は、患者の口腔から硬化した歯科印象を除去することが困難であるように、歯表面に付着する傾向がある。さらに、多量の歯科印象材料を仮定すると、歯科印象材料中のアクリルモノマーの使用はアレルギーリスクをもたらし、(メタ)アクリレートアレルギーを患う患者にとって望ましくない。
DE102010046697号は、マレイン酸および/またはフマル酸に由来する基に加えて追加のエチレン性不飽和基を有さないマレイン酸および/またはフマル酸に由来する有機化合物を含有する第一の成分と、少なくとも一つのアクリル酸エステルおよび/またはメタクリル酸エステル残基を含む有機化合物を含有する第二の成分を含むラジカル重合性歯科材料を開示する。
本発明の問題は、歯科従事者または患者にアレルギー反応を生じさせない歯科用組成物を提供することであり、任意の長い作用時間を有することであって、また同時に短い設定時間を有することであり、溶媒なしでも、機械的特性、屈折率、および粘度を含む硬化歯科用組成物の優れた特性を提供することである。
歯科印象材料または歯科用複合材などの歯科用組成物で使用され得る重合性組成物の調製のための方法を提供すること、それにより、その組成物が歯科従事者または患者にアレルギー反応を生じさせず、溶媒なしでも機械的特性、屈折率、粘性を含む優れた特性を提供することが本発明のさらなる問題である。
さらに、歯科従事者または患者にアレルギー反応を生じさせず、および、溶媒なしでも機械的特性、屈折率、粘性を含む優れた特性を提供するための歯科印象材料または歯科用複合材の調製に使用され得る、重合性組成物を提供することが本発明のさらなる問題である。
さらに、歯科印象材料または歯科用複合材で使用するための、歯科従事者または患者にアレルギー反応を引き起こさない特定の重合性マクロモノマーを提供することが、本発明の問題である。
この問題は、以下を含む歯科用組成物によって本発明に従い解決される:
(i) 以下の式(I)の繰り返し単位を有する化合物を含有する重合性組成物:
Figure 2020506170

(式中、
は、水素原子、または直鎖状C1〜6若しくは分枝状または環状C3〜6アルキル基を表し;
Lは一つ以上の一価または二価のオルガノポリシロキサン基を含み得る二価の有機連結基および/または一つ以上の一価または二価のペルフルオロヒドロカルビル基を表し;
nは少なくとも1の整数である);
(ii) ビニルエーテル、ビニルエステル、ビニルシロキサン、(メタ)アクリルアミドおよび4〜20個の炭素原子を有する1−アルケン類から選択される一つ以上の化合物であって、当該ビニル化合物が、式(I)の繰り返し単位を有する化合物と共重合性である、一つ以上の化合物;および、
(iii) 重合開始剤系。
さらに、本発明は、歯科用組成物で使用するための重合性組成物の調製のための方法を提供し、方法は、
(a) 以下の式(I)の一つ以上の化合物のx当量:
Figure 2020506170

(式中、
は、請求項1に定義される通りである);
(b) 以下の式(II)の化合物のy当量:
Figure 2020506170

(式中、
Lは、上で定義された通りである);および、
(c) 任意で以下の式(III)の一つ以上の化合物のz当量:
Figure 2020506170

(式中、
は、アルキル基、アルケニル基、またはアラルキル基であり、これらの基は、これは同一あってもまたは異なっていてもよい、独立してフェニル基、ハロゲン原子、またはヒドロキシル基から選択される、1〜3つの基によって置換されていてもよく、
0.05≦x/y≦0.66、および2y−2x≦z≦1.5(2y−2x)であり、x、y、およびzは成分(a)、(b)および(c)のモル当量である)、を含む混合物を反応させること、を含む。
さらに、本発明は、本発明の方法によって得ることができる重合性組成物を提供する。
最後に、本発明は、歯科印象材料または歯科用複合材などの歯科用組成物中の本発明による重合性マクロモノマーの使用を提供する。
本発明は、式(I)の繰り返し単位を有する化合物を含有する重合性組成物を含む歯科用組成物が、歯科従事者または患者にアレルギー反応を生じさせず、任意の長い作業時間および短い設定時間を提供するように適合され、また溶媒なしでも機械的特性、屈折率および粘度を含む硬化組成物の優れた特性を提供する、という認識に基づく。
さらに、本発明は、以下の式(I)の繰り返し単位を有する化合物が、ビニル基、ビニルエーテル基およびビニルエステル基から選択される重合性基を有する化合物とのラジカル共重合に従って硬化され得る、という認識に基づく。さらに、式(I)の繰り返し単位を有する化合物は、ビニル基、ビニルエーテル基、およびビニルエステル基から選択される化合物とのフリーラジカル共重合と、アジリジン基、エポキシド基およびオキセタン基から選択される重合性基を有する化合物とのカチオン性重合との組み合わせによって硬化され得る。したがって、本発明の歯科用組成物は、フリーラジカル重合とカチオン性重合との組み合わせによる貫入ネットワーク(IPN)を形成するよう適合され得る。
したがって、本発明による歯科用組成物は、歯科印象材料、流動性歯科用複合材、汎用性歯科用複合材、充填可能歯科用複合材、または小窩裂溝封鎖材として使用するための代替的(メタ)アクリレート系歯科用組成物として使用され得る。
本明細書に定義される、直鎖状C1〜6、または分枝状または環状C3〜6アルキル基は、以下の意味を有してもよい。
直鎖状C1〜6アルキル基は、メチル、エタン−1−イル、プロパン−1−イル、ブタン−1−イル、ペンタン−1−イル、またはヘキサン−1−イルから選択されてもよい。
分枝状C3〜6アルキル基は、イソプロピル、イソブチル、tert−ブチル、ペンタン−2−イル、ペンタン−3−イル、2−メチルブタン−1−イル、2−メチルブタン−2−イル、2−メチルブタン−3−イル、2,2−ジメチルプロピル、ヘキサン−2−イル、ヘキサン−3−イル、2−メチルペンタン−1−イル、3−メチルペンタン−1−イル、4−メチルペンタン−1−イル、2−メチルペンタン−2−イル、3−メチルペンタン−2−イル、4−メチルペンタン−2−イル、2−メチルペンタン−3−イル、3−メチルペンタン−3−イル、4−メチルペンタン−3−イル、2,2−ジメチルブタン−1−イル、2,3−ジメチルブタン−1−イル、3,3−ジメチルブタン−1−イル、2,2−ジメチルブタン−2−イル、2,3−ジメチルブタン−2−イル、および3,3−ジメチルブタン−2−イルから選択され得る。
環状C3〜6アルキル基は、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基またはシクロヘキシル基から選択され得る。
「重合」という用語は、多数の化合物を組み合わせることによって大きな分子、すなわち高分子またはポリマーを形成することに関連する。化合物の文脈での「重合性」という用語は、共有結合の形成下で化合物を重合する能力を指す。重合性化合物は、直鎖状高分子を形成し得るか、または三次元ネットワーク構造を有する架橋ポリマーを形成するために組み合わせ得る。特定の実施形態によると、本発明に従って使用される重合性化合物は、独立した重合プロセスによって貫入重合体ネットワーク(IPN)を形成し得る。貫入重合体ネットワークは、分子スケールで少なくとも部分的に交絡しているが、互いに共有結合はしておらず、化学結合が破壊されない限り分離できない二つ以上のネットワークを含む重合体、である。単一の重合性官能基を有する重合性化合物は直鎖状ポリマーを形成し、一方少なくとも二つの重合性官能基を有する重合性化合物はポリマーネットワークとしても知られる架橋ポリマーを形成し得る。半貫入重合体ネットワーク(SIPN)は、少なくとも一部の直鎖状または分枝状マクロ分子によるネットワークのうちの少なくとも一つの分子スケールにおける貫入によって特徴付けられる、一つ以上の直鎖状または分枝状重合体を含む重合体を形成することによって形成され得る。半貫入重合体ネットワークは、成分たる直鎖状または分枝状重合体が、原則として、化学結合を破壊することなく、成分の直鎖状または分枝状重合体から分離され得るため、重合体ブレンドである。逐次的貫入重合体ネットワークは、第一の成分ネットワークの形成に続いて第二の成分ネットワークが形成されるプロセスによって調製された貫入重合体ネットワークである。逐次的半貫入重合体ネットワークは、ネットワークの形成につながる反応の完了後に直鎖状または分枝状成分が形成されるか、またはその逆のプロセスによって調製された半貫入重合体ネットワークである。
本明細書で使用される用語「重合性組成物」は、少なくとも一つの重合性二重結合、好ましくは炭素−炭素二重結合を有する一つ以上の化合物を含有する組成物、を意味する。
用語「硬化」は、重合性化合物、例えばモノマー、オリゴマー、または更にはポリマーの、好ましくは架橋ポリマーネットワークへの重合を意味する。
「重合開始剤系」という用語は本明細書で使用される場合、重合性化合物の重合化を開始することができる任意の化合物または化合物の混合物を意味する。用語「重合開始剤」は、例えば、光化学または熱プロセスにおいて、熱、光に曝露することにより、または共開始剤との相互作用により活性化された場合に、フリーラジカルを形成する任意の化学化合物を意味する。「光開始剤系」は、250〜800nmの波長を有する作用光などの光によって活性化され得る重合開始剤系である。
本発明は、重合開始剤系によって重合性または共重合性である重合性組成物を提供する。重合性組成物は歯科用組成物中に含有され、歯科用組成物は歯科印象材料または歯科用複合材であってもよい。歯科用組成物は、1パック型の歯科用組成物であることが好ましい。歯科用複合材は、汎用性歯科用複合材、充填可能歯科用複合材、または小窩裂溝封鎖材であってもよい。好ましくは、本発明による歯科用組成物は、歯科印象材料である。
本発明の歯科用組成物は、下記式(I)の繰り返し単位を有する化合物を含有する重合性組成物を含む:
Figure 2020506170
式(I)は、炭素−炭素二重結合の観点から任意の幾何異性体を含む。従って、式(I)の繰り返し単位を有する化合物は、E−異性体またはZ−異性体、またはE−異性体とZ−異性体の混合物を含み得る。主に非直鎖状のZ−異性体は、重合性組成物の粘性の観点から存在することが好ましい。
式(II)において、Rは、水素原子、または直鎖状C1〜6、分枝状または環状C3〜6アルキル基を表す。好ましい実施形態によれば、Rは水素原子を表す
式(I)において、Lは二価の有機連結基を表す。二価の有機連結基は、二価のヒドロカルビル基であってもよい。二価の有機連結基は、有機ジオール化合物、好ましくは以下の式(Ia)の有機第一級ジオール化合物に由来してもよく、これは式(I)の化合物中にジエステル結合を形成する:
Figure 2020506170

式中、L’は二価の有機基である。有機基は、二価のヒドロカルビル基、オルガノポリシロキサン基およびペルフルオロアルキレン基から選択され得る。
好ましい実施形態によると、LまたはL’は、2〜20個の炭素原子、または6〜20個の炭素原子を有する二価の芳香族基を有する二価の置換または非置換の脂肪族基である。2〜20個の炭素原子、または6〜20個の炭素原子を有する芳香族基を有する二価の脂肪族基は、水素原子の代わりに置換基を有してもよい。ここで二価の脂肪族基は、アルキレン、置換アルキレン、アルケニレン、置換アルケニレン、アルキニレン、置換アルキニレンまたはポリアルキレンオキシ(polyalkyleneoxy)を指す。アルキレン、置換アルキレン、アルケニレン、および置換アルケニレンが好ましく、アルキレンおよび置換アルキレンがさらに好ましい。二価の脂肪族基は、鎖状構造を有することが好ましく、直鎖構造がより好ましい。
二価の脂肪族基は、炭素原子を2〜20個を含むことが好ましく、2〜15個がより好ましく、2〜12個がさらに好ましく、2〜10個が特に好ましい。
二価の脂肪族基上の置換基の例には、フッ素原子、ヒドロキシ、カルボキシ、アミノ、アリール、アルコキシ、アリールオキシ、モノアルキルアミノおよびジアルキルアミノが含まれる。
二価の芳香族基は、二価の単環式または多環式芳香族炭化水素基を指す。二価の芳香族基の具体的な例には、例えば、1,2−フェニレン、1,3−フェニレン、1,4−フェニレン、ビフェニル−4,4’−ジイル、ジフェニルメタン−4,4’−ジイル、3,3−ジメチルビフェニル−4,4’−ジイル、1,2−ナフタレン、1,5−ナフタレン、および2,6−ナフタレンが含まれる。二価の芳香族基上の置換基の例には、上述の二価の脂肪族基上の置換基の例、ならびにアルキルが含まれる。
二価の有機連結基Lは、一つ以上の一価または二価のオルガノポリシロキサン基を含み得る。特定の実施形態によると、二価の有機連結基Lは、一価または二価のオルガノポリシロキサン基を含有する。さらなる特定の実施形態によると、二価の有機連結基Lは、2〜6つ、好ましくは2〜4つの一価または二価のオルガノポリシロキサン基を含有する。
一価のオルガノポリシロキサン基は、二価のヒドロカルビル基の置換基として存在してもよく、または末端封止基として存在してもよく、以下の式(Ib)の基であることが好ましい:
Figure 2020506170

(式中、
同一でも異なっていてもよいRは、独立して直鎖状C1〜6、または分枝状または環状C3〜6アルキル基基を表し、
一つ以上のRが存在するとき、同一でも異なっていてもよいRは、独立してビニル基、ビニルエーテル基、ビニルエステル基、アジリジン基、オキセタン基を表し、または直鎖状C1〜6、または分枝状または環状C3〜6アルキル基、または式(Ib)のさらなる基を表し、
aは0〜50の整数である)。
二価のオルガノポリシロキサン基は、以下の式(Ib)の基であり得る:
Figure 2020506170

(式中、
一つ以上のRが存在するとき、同一でも異なっていてもよいRは、独立して直鎖状C1〜6、または分枝状または環状C3〜6アルキル基を表し、
一つ以上のRが存在するとき、同一でも異なっていてもよいRは、独立してビニル基、ビニルエーテル基、ビニルエステル基、アジリジン基、オキセタン基を表し、または直鎖状C1〜6、または分枝状または環状C3〜6アルキル基、または式(Ib)のさらなる一価の基を表し、
bは0〜50の整数である)。
ポリシロキサン基は、ポリジメチルシロキサン、ポリエチルメチルシロキサン、またはポリジエチルシロキサンなどのポリジアルキルシロキサンから選択され得ることが好ましい。
二価のオルガノポリシロキサン基は、二価の有機連結基の二つの断片を架橋することができ、または二価の有機連結基の一部を有する環状構造を形成してもよい。好ましい実施形態によれば、Lは、一つ以上の一価または二価のポリシロキサン基を含有し得る二価のヒドロカルビル基である。
二価の有機連結基はまた、一つ以上の一価または二価のペルフルオロヒドロカルビル基を含有し得る。ペルフルオロヒドロカルビル基は、全ての水素原子がフッ素原子によって置換されるヒドロカルビル基である。
好ましい実施形態によれば、Lは、一つ以上の一価または二価のペルフルオロヒドロカルビル基を含有し得る二価のヒドロカルビル基である。一価のペルフルオロヒドロカルビル基は、アルキルおよびアリールペルフルオロカルボンを含み、適切なペルフルオロヒドロカルビル基は、例えば、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチル、ペンタフルオロフェニル、およびヘプタフルオロナフチルである。ヒドロカルビル基のアリール基は、C1〜18アルキル基またはC6〜20アリール基またはアラルキル基であることが好ましい。
好ましくは、Lはポリアルキレン基またはポリアルキレンオキシド基であり、この基は一価または二価のポリシロキサン基を含有し得、またはLはポリアルキレン基、ポリアルキレンオキシド基、およびポリシロキサン基の組み合わせを含有する二価の基である。
ポリアルキレン基は、C2〜20ポリアルキレン基であってもよく、より好ましくは、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、ヘプチレン基、オクチレン基、ノニレン基、デシレン基、ウンデシレン基、またはドデシレン基などのC2〜12である。
ポリアルキレンオキシド基は、ポリエチレンオキシド基、ポリプロピレンオキシド基、ポリブチレンオキシド基、ポリペンチレンオキシド基、またはポリヘキシレンオキシド基などのポリC2〜6アルキレンオキシド基であり得る。好ましくは、ポリC2〜6アルキレンオキシド基は、2〜20個の繰り返し単位を有する。
ポリアルキレン基、ポリアルキレンオキシド基、およびポリシロキサン基の組み合わせを含有する二価の基は、以下の式(Id)の基であり得る:
Figure 2020506170

(式中、
mは0〜20の整数であり、
oは0〜20の整数であり、
pは、1〜40の整数であり、
は、直鎖状C1〜6、もしくは分枝状または環状C3〜6アルキル基を表し、
は、ビニル基、ビニルエーテル基、ビニルエステル基、アジリジン基、オキセタン基を表し、または直鎖状C1〜6、分枝状若しくは環状C3〜6アルキル基を表す)。
好ましい実施形態によると、Lは二価のオルガノポリシロキサン基を含有する二価の有機連結基である。オルガノポリシロキサン基は、ビニルエーテル、ビニルエステル、オキセタン、およびアジリジン基から選択される重合性基を含有することが好ましい。
式(I)において、nは少なくとも1の整数である。整数nは好ましくは1〜70の範囲である。より好ましくは、nは2〜20の範囲である。
式(I)の繰り返し単位を有する化合物を含有する重合性組成物は、以下を含む混合物を反応させることによって得ることができる:
(a) 以下の式(I)の一つ以上の化合物のx当量:
Figure 2020506170

(式中、
は上で定義される通りである);
(b) 以下の式(II)の化合物のy当量:
Figure 2020506170

(式中、
Lは、上で定義された通りである);および、
(c) 任意で以下の式(IV)または(V)の一つ以上の化合物のz当量:
Figure 2020506170

(式中、
は、一つ以上の一価または二価のオルガノポリシロキサン基および/または一つ以上の一価または二価のペルフルオロヒドロカルビル基、および/または(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリルアミド基、ビニルエーテル基、ビニルエステル基から選択される一つ以上の重合性基を含み得る有機基であって、
0.05≦x/y≦0.66、および2y−2x≦z≦1.5(2y−2x)であり、x、y、およびzは成分(a)、(b)および(c)のモル当量である)。
は、一つ以上の一価または二価のオルガノポリシロキサン基および/または一つ以上の一価または二価のペルフルオロヒドロカルビル基、および/または(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリルアミド基、ビニルエーテル基、ビニルエステル基から選択される一つ以上の重合性基を含み得る有機基である。好ましい実施形態によると、Rは芳香族基である。Rが芳香族基であるとき、歯科用組成物の屈折率は増加する傾向がある。好ましくは、本発明による歯科用組成物は、1.450〜1.540の屈折率を有する重合性組成物(i)を含有する。
本発明による歯科用組成物は、式(I)の繰り返し単位を有する化合物と共重合可能な一つ以上の化合物をさらに含む。式(I)の繰り返し単位を有する化合物と共重合可能な一つ以上の化合物は、ビニル化合物から選択される。ビニル化合物は、ビニルエーテルおよびその誘導体、ビニルエステルおよびその誘導体、ビニルシロキサンおよびその誘導体、ならびに(メタ)アクリルアミドおよび4〜20個の炭素原子を有する1−アルケンであり得る。ビニルエーテルおよびその誘導体の具体的な例は、ジビニルエーテル、エチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、テトラエチレングリコールジビニルエーテル、ビニル−2−クロロエチルエーテル、ビニル−n−ブチルエーテル、1,4−クロロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、1,4−シクロヘキサンンジオールジビニルエーテル、ビニルグリシジルエーテル、ビス(4−(ビニルオキシメチル)シクロヘキシルメチル)グルタラート、トリ(エチレングリコール)ジビニルエーテル、1,4−ブタンジオールジビニルエーテル、テトラメチレングリコールジビニルエーテル、ネオペンチルグリコールジビニルエーテル、トリメチルオールプロパントリビニルエーテル、トリメチルオールエタントリビニルエーテル、ビス(4−(ビニルオキシ)ブチルイソフタレート、ヘキサンジオールジビニルエーテル、ペンタエリトリトールジビニルエーテルジビニルエーテル、アリルビニルエーテル、およびエチルビニルエーテルから選択される。
ビニルエステルおよびその誘導体は、エポキシレジンの不飽和モノカルボン酸とのエステル化により得ることができ、酢酸ビニル、安息香酸ビニル、ビニルシナミン、ビニル4−tert−ブチルベンゾート、ステアリン酸ビニル、プロピオン酸ビニル樹脂、吉草酸ビニル、ピバール酸ビニル、デカン酸ビニル、ジビニルエステル、アリルビニルエステル、アジピン酸ジビニルエステル、トリス(4−ビニルオキシ)ブチルトリメリット酸、ビス(4−(ビニルオキシ)ブチル)テレフタラート、テトラエチレングリコールジビニルエーテル、ペンタエリスリトールトリビニルエーテル、およびブテニルビニルエステルを含む。
ビニルシロキサンおよびその誘導体は、ビニルポリシロキサンおよびモノビニルジメチル末端ポリジメチルポリシロキサンなどのポリビニルポリシロキサンから選択され得る。
(メタ)アクリルアミドは、以下の構造式の化合物であってもよい:
Figure 2020506170

式(D)、(E)、(F)による好ましいアクリルアミドは、以下の式を有する:
Figure 2020506170
最も好ましいのは以下のビスアクリルアミドである:
以下の構造式を有するN,N’−ジアリル−1,4−ビスアクリルアミド−(2E)−ブタ−2−エン(BAABE)、
Figure 2020506170

および
以下の構造式を有するN,N’−ジエチル−1,3−ビスアクリルアミド−プロパン(BADEP)である。
Figure 2020506170
ビニル化合物はまた、4〜20個の炭素原子を有する1−アルケンから選択され、以下を含む、単官能性モノマーから選択され得る:1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノンエン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−ヘプタデセン、1−オクタデセン、2−メチル−1−ブテン、3,3−ジメチル−1−ペンテン、2−メチル−1−ヘプテン、4,4−ジメチル−1−ヘプテン、3,3−ジメチル−1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−エイコシン、1−ドコシン、1−テトラコシン、1−ヘクサコシン、1−オクタコシン、1−トリアコンテン、1−ドトリアコンテン、1−テトラチリアコンテン、1−ヘキサトリアコンテン、1−オクタトリアコンテン、1−テトラコンテン、1−ドテトラコンテン、1−テトラテトラコンテン、1−ヘキサテトラコンテン、1−オクタテトラコンテン、1−ペンタコンテン、1‐ヘキサコンテンおよびそれらの混合物。
本発明による歯科用組成物は重合開始剤系(iii)をさらに含む。重合開始剤系(iii)は、式(I)の繰り返し単位を有する化合物を含有する重合性組成物の重合を開始することができる任意の化合物または系であってもよい。
重合開始剤系は、二成分系または三成分系であってもよい。二成分系は、重合開始剤および電子供与体化合物を含んでもよく、三成分系は、特に組成物がビニル基、ビニルエーテル基、ビニルエステル基、アジリジン基、オキセタン基などのカチオン性重合性基を含有する成分を含む場合、ラジカル重合および/またはカチオン性重合を触媒することができる成分をさらに含み得る。適切な触媒の例は、例えば、米国特許第5,545,676号に記載されるように、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、およびホスホニウム塩から選択される。
重合開始剤系(ii)に好適な光開始剤は、ノリッシュI型及びノリッシュII型光開始剤である。
好適なノリッシュI型光開始剤は、ホスフィンオキシドおよびSi−またはGe−アシル化合物である。
ホスフィンオキシド開始剤は約380nm〜約450nmの機能的波長範囲を有し、米国特許第4,298,738号、同第4,324,744号、及び同第4,385,109号、ならびに欧州特許公開第0173567号に記載されているようなアシルホスフィンオキシド及びビスアシルホスフィンオキシドを含む。アシルホスフィンオキシドの具体例として、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド、ジベンゾイルフェニルホスフィンオキシド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド、トリス(2,4−ジメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド、トリス(2−メトキシベンゾイル)ホスフィンオキシド、2,6−ジメトキシベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、2,6−ジクロロベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、2,3,5,6−テトラメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、ベンゾイル−ビス(2,6−ジメチルフェニル)ホスホネート、及び2,4,6−トリメチルベンゾイルエトキシフェニルホスフィンオキシドを挙げることができる。約380nm超〜約450nmの波長範囲で照射された場合、フリーラジカル開始が可能な市販されているホスフィンオキシド光開始剤は、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド(IRGACURE 819)、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−(2,4,4−トリメチルペンチル)ホスフィンオキシド(CGI 403)、重量比25:75のビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキシドと2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン(IRGACURE 1700)との混合物、重量比1:1のビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシドと2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン(DAROCUR 4265)との混合物、及びエチル2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルホスフィナート(LUCIRIN LR8893X)、を含む。典型的には、ホスフィンオキシド開始剤は、組成物の総重量に基づいて、触媒有効量、例えば0.1重量%〜5.0重量%で組成物中に存在する。
Si−またはGe−アシル化合物光開始剤は、以下の式(X)を有することが好ましい:
−R
(X)
[式中、
は、次式(XI)の基であり:
Figure 2020506170

(式中、
MはSiまたはGeであり、
10は、置換もしくは非置換ヒドロカルビルまたはヒドロカルビルカルボニル基を表し、
11は、置換もしくは非置換ヒドロカルビルまたはヒドロカルビルカルボニル基を表し、
12は、置換または非置換ヒドロカルビル基を表し)、
(i)はXと同じ意味を有し、これにより式(X)の化合物は対称であってもまたは非対称であってもよく、あるいは
(ii) 以下の式(XII)の基である;
Figure 2020506170

(式中、
は、単結合、酸素原子、またはNR’基を表し、R’は置換ヒドロカルビル基若しくは非置換ヒドロカルビル基を表し、
13は、置換若しくは非置換ヒドロカルビル基、トリヒドロカルビルシリル基、モノ(ヒドロカルビルカルボニル)ジヒドロカルビルシリル基、またはジ(ヒドロカルビルカルボニル)モノヒドロカルビルシリル基を表し)、あるいは
(iii) MがSiである場合、Rは置換または非置換ヒドロカルビル基であってもよい]。
式(X)の光開始剤化合物は、歯科用組成物に特に好適な重合開始剤を表す。式(X)の化合物は高い重合効率を提供し、着色問題が回避される。さらに、カンファーキノンのような従来の光開始剤を含む重合系において、着色は効率的に抑制される。さらに、式(X)の化合物は、歯科用途において典型的に適用される波長範囲内で光吸収を有し、それらは歯科用組成物の成分と適合性があり、さらに生理学的に無害であると考えられる。従って、式(X)の化合物は光開始剤として特に好ましい。
式(X)の化合物に関連して、本明細書で使用する「置換された」という用語は、R10、R11、R12、R13、およびR’が、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシ基、アミノ基、C1〜6アルキル基、C1〜6アルコキシ基、および−NR基から成る群から選択される置換基で置換されていてもよいことを意味し、式中RおよびRは互いに独立してC1〜6アルキル基を表す。ここで、ハロゲン原子の例示は、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素とすることができる。C1〜6アルキル基は、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、及びn−ブチルである。C1〜6アルコキシ基の例示は、例えば、メトキシ、エトキシ、及びプロポキシである。これらの置換基におけるアルキル部分は、直鎖状、分枝状または環状であってもよい。好ましくは、置換基は、塩素原子、ニトロ基、C1〜4アルコキシ基及び−NR基(式中、R及びRは互いに独立してC1〜4アルキル基を表す)から選択される。
10、R11及びR12が置換される場合、それらは1〜3個の置換基、より好ましくは1個の置換基で置換されることが好ましい。
式(X)の化合物において、R10、R11、およびR12部分は、以下のように定義されてもよい:
10及びR11は、互いに独立して、置換若しくは非置換ヒドロカルビルまたはヒドロカルビルカルボニル基を表し、R12は、置換または非置換ヒドロカルビル基を表す。
ヒドロカルビル基は、アルキル基、シクロアルキル基、シクロアルキルアルキル基、アリールアルキル基、またはアリール基であってもよい。
アルキル基は、直鎖状または分枝状C1〜20アルキル基、典型的にはC1〜8アルキル基であってもよい。C1〜6アルキル基の例としては、1〜6個の炭素原子、好ましくは、1〜4個の炭素原子を有する直鎖状または分枝状アルキル基、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、及びn−ヘキシルを挙げることができる。
シクロアルキル基は、C3〜20シクロアルキル基、典型的にはC3〜8シクロアルキル基であってもよい。シクロアルキル基の例としては、3〜6個の炭素原子を有する基、例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル及びシクロヘキシルを挙げることができる。
シクロアルキルアルキル基は、4〜20個の炭素原子を有してもよく、1〜6個の炭素原子を有する直鎖状または分枝状アルキル基と3〜14個の炭素原子を有するシクロアルキル基との組み合わせを含んでもよい。シクロアルキルアルキル(−)基の例としては、例えば、メチルシクロプロピル(−)メチルシクロブチル(−)、メチルシクロペンチル(−)、メチルシクロヘキシル(−)、エチルシクロプロピル(−)、エチルシクロブチル(−)、エチルシクロペンチル(−)、エチルシクロヘキシル(−)、プロピルシクロプロピル(−)、プロピルシクロブチル(−)、プロピルシクロペンチル(−)、プロピルシクロヘキシル(−)を挙げることができる。
アリールアルキル(−)基は、C7〜20アリールアルキル(−)基、典型的には、1〜6個の炭素原子を有する直鎖状または分枝状アルキル基と6〜10個の炭素原子を有するアリール(−)基との組み合わせであってもよい。アリールアルキル(−)基の具体例は、ベンジル(−)基またはフェニルエチル(−)基である。
アリール基は、6〜10個の炭素原子を有するアリール基を含むことができる。アリール基の例は、フェニル及びナフチルである。
10及びR11のヒドロカルビルカルボニル基は、有機残基Rorgが上記で定義されたヒドロカルビル残基であるアシル基(Rorg−(C=O)−)を表す。
式(X)の化合物は、一個または二個のヒドロカルビルカルボニル基を含んでもよく、即ちR10またはR11のいずれか一方がヒドロカルビルカルボニル基であるか、またはR10およびR11の両方がヒドロカルビルカルボニル基である。好ましくは、式(X)の化合物は、一個のヒドロカルビルカルボニル基を含む。
好ましくは、ヒドロカルビルカルボニル基はアリールカルボニル基であり、より好ましくはベンゾイル基である。
好ましくは、R10およびR11は、直鎖または分岐C1〜6アルキル基、およびフェニル基またはベンゾイル基から成る群から独立して選択され、これらの基は、ハロゲン原子、ニトロ基、C1〜4アルコキシ基、および−NR基から選択される一〜三個の置換基で任意に置換されてもよく、式中、RおよびRは互いに独立してC1〜4アルキル基を表し、R12は直鎖または分岐C1〜6アルキル基またはフェニル基である。
最も好ましくは、R10およびR11は、直鎖または分岐C1〜4アルキル基、およびフェニル基またはベンゾイル基から成る群から独立して選択され、これらの基は、ハロゲン原子、ニトロ基、C1〜4アルコキシ基および−NR基から選択されたものから成る群から選択される一個の置換基で任意で置換されてもよく、式中、RおよびRは互いに独立してC1〜4アルキル基を表し、R12は直鎖または分岐C1〜4アルキル基である。
式(X)の化合物では、RはXと同じ意味を有してもよく、これにより式(X)の化合物は対称または非対称であってもよい。あるいは、Rは、置換若しくは非置換のヒドロカルビル基、または式(XII)の基を表してもよい。好ましくは、RがXと同じ意味を有する場合、式(X)の化合物は非対称である。Rが置換または非置換ヒドロカルビル基を表す場合、ヒドロカルビル基は、Rについて上記で定義されたものと同じ意味を有し、且つそれらから独立して選択される。
式(X)の化合物の式(XII)の基において、R13は、置換または非置換ヒドロカルビル基、トリヒドロカルビルシリル基、モノ(ヒドロカルビルカルボニル)−ジヒドロカルビルシリル基、またはジ(ヒドロカルビルカルボニル)モノヒドロカルビルシリル基を表す。
式(XII)のR13がトリヒドロカルビルシリル基、モノ(ヒドロカルビルカルボニル)−ジヒドロカルビルシリル基、またはジ(ヒドロカルビルカルボニル)モノヒドロカルビルシリル基である場合、ヒドロカルビルおよびヒドロカルビルカルボニル基の各々は、R10、R11およびR12について定義されたものと同じ意味を有し、且つそれらから独立して選択される。
式(XII)では、R’はR12について定義されたのと同じ意味を有し、且つそれらから独立して選択される。
式(X)の化合物においてMがSiである場合、Rはまた、置換または非置換ヒドロカルビル基であってもよく、ヒドロカルビル基は、R12について上記で定義されたものと同じ意味を有し、且つそれらから独立して選択される。
例えば、RがXと同じ意味を有し、且つ対称である式(X)の化合物は、以下の構造式を有してもよい:
Figure 2020506170
例えば、Rが式(XII)の基を表し、Yが結合、酸素原子、またはNP’基であり、またR13が置換もしくは非置換ヒドロカルビル基を表す式(X)の化合物は、以下の構造式を有してもよい:
Figure 2020506170
例えば、Rが式(XII)の基を表し、R13がトリヒドロカルビルシリル基を表す式(X)の化合物は、以下の構造式を有する:
Figure 2020506170
例えば、MがSiであり、Rが置換または非置換ヒドロカルビル基を表す式(X)の化合物は、以下の構造式を有してもよい:
Figure 2020506170
好ましくは、式(X)の化合物は、以下から成る群から選択され:
Figure 2020506170
M=Siである式(X)の化合物が特に好ましい。
最も好ましくは、式(X)の化合物は、以下から成る群から選択され:
式(X)の化合物は、以下から成る群から選択され:
Figure 2020506170

特に好ましくは、M=Siである。
好適なNorrish II型光開始剤は、例えば、約250nm〜約520nm(好ましくは約450nm〜約500nm)の範囲内の光を吸収するモノケトン及びジケトンなどの増感剤化合物と共開始剤の組み合わせである。特に好適な増感剤化合物は、約250nm〜約520nm(更により好ましくは、約450〜約500nm)の範囲内の光を吸収するαジケトンを含む。増感剤化合物の例としては、カンファーキノン、ベンジル、フリル、3,3,6,6−テトラメチルシクロ−ヘキサンジオン、フェノールアントラキノン、1−フェニル−1,2−プロパンジオン、及び別の1−アリール−2−アルキル−1,2−エタンジオン、ならびに環状αジケトンが挙げられる。好適な共開始剤は、置換アミン、例えばエチルジメチルアミノベンゾエートまたはジメチルアミノベンゾニトリル、または式(IV)の本重合性化合物のようなCH−酸性を有する重合性化合物を含む電子供与化合物である。
第三級アミン還元剤は、アシルホスフィンオキシドと組み合わせて使用されることができる。適切な芳香族第三級アミンの例としては、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジメチル−p−トルイジン、N,N−ジメチル−m−トルイジン、N,N−ジエチル−p−トルイジン、N,N−ジメチル−3,5−ジメチルアニリン、N,N−ジメチル−3,4−ジメチルアニリン、N,N−ジメチル−4−エチルアニリン、N,N−ジメチル−4−イソプロピルアニリン、N,N−ジメチル−4−t−ブチルアニリン、N,N−ジメチル−3,5−ジ−t−ブチルアニリン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−3,5−ジメチルアニリン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−p−トルイジン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−3,4−ジメチルアニリン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−4−エチルアニリン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−4−イソプロピルアニリン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−4−t−ブチルアニリン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−3,5−ジ−イソプロピルアニリン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−3,5−ジ−t−ブチルアニリン、4−N,N−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、4−N,N−ジメチルアミノ安息香酸メチルエステル、4−N,N−ジメチルアミノ安息香酸n−ブトキシエチルエステル、4−N,N−ジメチルアミノ安息香酸2−(メタクリロイルオキシ)エチルエステル、4−N,N−ジメチルアミノベンゾフェノンエチル4−(N,N−ジメチルアミノ)安息香酸エステル、及びN,N−ジメチルアミノエチルメタクリレートが挙げられる。脂肪族第三級アミンの例としては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、N−n−ブチルジエタノールアミン、N−ラウリルジエタノールアミン、トリエタノールアミン、2−(ジメチルアミノ)エチルメタクリレート、N−メチルジエタノールアミンジメタクリレート、N−エチルジエタノールアミンジメタクリレート、トリエタノールアミンモノメタクリレート、トリエタノールアミンジメタクリレート、及びトリエタノールアミントリメタクリレートが挙げられる。
アミン還元剤は、組成物の総重量に基づいて、0.1重量%〜5.0重量%の量で組成物中に存在してもよい。
歯科用組成物が酸性組成物の形態である場合、即ち組成物のpH7が未満である場合、組成物のpHに応じて、式(X)の化合物は、エステル基を含有しないか、または一ヶ月以内に室温にてpH3の水性媒体中で著しく加水分解しないエステル基のみという条件で選択することが好ましい。それにより、未硬化歯科用組成物の保存期間の安定性、ならびに患者の口の内での硬化後の安定性に関して、7未満のpHを有する組成物である酸性歯科用組成物の有利な安定性が確保される。従って、酸性歯科用組成物のためには、Rが式(XII)(Yは酸素原子である)の基であるものを除いて、式(X)の化合物が特に好ましい。
さらに、アシルシリル部分(−C(=O)−Si−)は塩基性条件、即ち7よりも高いpHに対して感受性がある場合があるので、アシルシリル部分が選択された塩基性pHの水性媒体中で一ヶ月の間室温にて開裂されないという条件で、7より高い組成物のpH値を適宜選択することが好ましい。
式(X)の化合物は、市販されているか、または公表された手順に従って調製され得る公知の化合物であってもよい。
MがSiであり、及びRが置換または非置換のヒドロカルビル基を表す式(X)の化合物は、例としてYamamoto K.ら,J.Tetrahedron Lett.,1980,vol.21の1653頁〜1656頁に記載されているように、例えばジシランとの一段階Pd触媒反応によって容易に調製され得る。
Figure 2020506170
スキーム3では、ジシランとしてヘキサメチルシランを用いて、反応が例示的に示されており、これにより、R10、R11、およびR12がメチル基を表す式(X)の化合物が得られる。メチル以外の炭化水素置換基を有するジシランを適用することにより、R10、R11、及びR12を変えることができると考えられている。
が式(XII)の基を表し、式中、Yが酸素原子であり、R13がヒドロカルビル基を表す式(X)の化合物は、例えば、Nicewicz D.A.ら,Org.Synth.,2008,85の278頁〜286頁に記載された三段階合成により調製されてもよい。この三段階合成では、アセトアセテートがアジド化合物に変換され、これを次にトリヒドロカルビルシリルトリフルオロメタン−スルホネートと反応させてトリヒドロカルビルシリルジアゾアセテートを得て、これを最終的にペルオキシ一硫酸カリウムと反応させて標的化合物に到達する:
Figure 2020506170
スキーム4では、この反応は、式(X)の化合物を得るために例示的に示され、式中、式(X)のX、R10およびR11はメチル基を表し、およびR12はtert−ブチル基を表す。これは、R10、R11およびR12はt−BuMeSiOSOCF以外のトリヒドロカルビルシリルトリフルオロメタン−スルホナートを適用することにより変化することができる。
あるいは、MがSiであり、Rが式(XII)の基を表し、且つYが酸素原子を表す式(X)の化合物は、Nicewicz D.A.,J.Am.Chem.Soc.,2005,127(17)の6170頁〜6171頁に記載されるように、ZnI及びEtNの存在下でシリルグリオキシレート、末端アルキン、及びアルデヒドのワンポット三成分カップリング反応により調製されてもよい。シリルグリオキシレート化合物の更なる合成については、Boyce G.R.らによるJ.Org.Chem.,2012,77(10)の4503頁〜4515頁、及びBoyce G.R.らによるOrg.Lett.,2012,14(2)の652頁〜655頁に記載されている。
例えば、式(X)の以下の化合物が知られ、且つ市販されており、それらのケミカルアブストラクト(CAS)番号は括弧内に記載されている:ベンゾイルトリフェニルシラン(1171−49−9)、ベンゾイルトリメチルシラン(5908−41−8)、1−[(トリメチルシリル)カルボニル]−ナフタレン(88313−80−8)、1−メトキシ−2−[(トリメチルシリル)−カルボニル]−ベンゼン(107325−71−3)、(4−クロロベンゾイル)(トリフェニル)シラン(1172−90−3)、(4−ニトロベンゾイル)(トリフェニル)シラン(1176−24−5)、(メチルジフェニルシリル)フェニル−メタノン(18666−54−1)、(4−メトキシベンゾイル)トリフェニルシラン(1174−56−7)、及びtert−ブチル(tert−ブチルジメチルシリル)グリオキシレート(852447−17−7)。
式(X)の全ての化合物は式(XI)の基を含み、
Figure 2020506170

で表される化合物である。
式(XI)中、M、R10、R11およびR12は上記のように定義される。Mの選択に応じて、式(XI)の基は、アシルシラン基またはアシルゲルマン基を表す。UV−VIS光に曝露すると、Mとアシル基との間の結合は開裂される場合があり、これによりシリル/ゲルマニル及びアシルラジカルが重合開始構造として形成されるが、ラジカルへの開裂と競合して、カルベン構造が形成される場合がある:
Figure 2020506170
重合開始ラジカルの形成とカルベン形成との間の競合は、アシルシランについて、El−Roz,M.らにより、Current Trends in Polymer Science,2011,vol.15,1〜13頁に記載されている。
加えて、RがXと同じ意味を有するか、または式(XII)の基である式(X)の化合物の場合、1,2−ジケトン基(−C(=O)−C(=O)−)のC−C結合は、UV−VIS光に曝露されると二つのアシルラジカルへと開裂される場合がある。この開裂は、Rが式(XII)の基であり、Yが酸素原子である式(X)の化合物について、即ちグリオキシレート(−O−C=O)−C(=O)−)化合物について、例示的に示されている:
Figure 2020506170
さらに、式(X)の化合物では、Rが、式(XII)(式中、Yが酸素原子であり、R13が置換または非置換ヒドロカルビル基である)の化合物である場合には、ラジカル開裂に対する第三の可能性がある。即ち、分子内または分子間の水素引き抜きが起こる場合があり、水素ラジカルが抽出される:
Figure 2020506170
グリオキシレート基の開裂と水素引き抜き機構の両方は、ケイ素もゲルマニウムも含まない光開始剤(エチルフェニルグリオキシレート(Irgacure(登録商標)MBF)など)で知られている。
がXと同じ意味を有するか、または式(XII)の基である式(X)の化合物では、本発明者らは分子モデリング計算を行い、計算から−C(=O)−C(=O)−基のC−C結合はSi−CまたはGe−C結合よりも弱いために、Si−CまたはGe−C結合の開裂が除外される可能性があると思われる。
光開始剤系は、ジアリールヨードニウム塩、トリアリールスルホニウム塩及びテトラアリールまたはテトラアルキルホスホニウム塩をさらに含んでもよい。これらの塩は、光開始剤の重合性能を改善するための共開始剤として機能する場合があるが、カチオン性重合のための開始剤としても機能する場合がある。
例えば、ジアリールヨードニウム塩は、(4−メチルフェニル)[4−(2−メチルプロピル)フェニル]ヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、(4−メチルフェニル)[4−(2−メチルプロピル)フェニル]ヨードニウムテトラフルオロボレート、ジフェニルヨードニウム(DPI)テトラフルオロボレート、ジ(4−メチルフェニル)ヨードニウム(Me2−DPI)テトラフルオロボレート、フェニル−4−メチルフェニルヨードニウムテトラフルオロボレート、ジ(4−ヘプチルフェニル)ヨードニウムテトラフルオロボレート、ジ(3−ニトロフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ジ(4−クロロフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ジ(ナフチル)ヨードニウムテトラフルオロボレート、ジ(4−トリフルオロメチルフェニル)ヨードニウムテトラフルオロボレート、DPIヘキサフルオロホスフェート、Me2−DPIヘキサフルオロホスフェート、DPIヘキサフルオロアルセネート、ジ(4−フェノキシフェニル)ヨードニウムテトラフルオロボレート、フェニル−2−チエニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、3,5−ジメチルピラゾリル−4−フェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、DPIヘキサフルオロアンチモネート、2,2’−DPIテトラフルオロボレートジ(2,4−ジクロロフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ジ(4−ブロモフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ジ(4−メトキシフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ジ(3−カルボキシフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ジ(3−メトキシカルボニルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ジ(3−メトキシスルホニルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ジ(4−アセトアミドフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ジ(2−ベンゾチエニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、及びDPIヘキサフルオロホスフェートからなる群から選択される。
特に好ましいヨードニウム化合物としては、ジフェニルヨードニウム(DPI)ヘキサフルオロホスフェート、ジ(4−メチルフェニル)ヨードニウム(Me2−DPI)ヘキサフルオロホスフェート、ジアリールヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、(4−メチルフェニル)[4−(2−メチルプロピル)フェニル]ヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、(4−メチルフェニル)[4−(2−メチルプロピル)フェニル]ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート(Irgacure(登録商標)250、BASF SEから市販されている製品)、(4−メチルフェニル)[4−(2−メチルプロピル)フェニル]ヨードニウムテトラフルオロボレート、4−オクチルオキシフェニルフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−(2−ヒドロキシテトラデシルオキシフェニル)フェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、及び4−イソプロピル−4’−メチルジフェニルヨードニウムボレートが挙げられる。
特に好ましい実施形態によれば、ヨードニウム化合物は、DPIヘキサフルオロホスフェート及び/または4−イソプロピル−4’−メチルジフェニルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートである。
好ましいトリアリールスルホニウム塩は、以下の式:
Figure 2020506170

PFのS−(フェニル)チアントレニウムヘキサフルオロホスフェートである。
特に好ましいホスホニウム塩は、テトラアルキルホスホニウム塩、テトラキス−(ヒドロキシメチル)−ホスホニウム(THP)塩、またはテトラキス−(ヒドロキシメチル)−ホスホニウムヒドロキシド(THPOH)塩であり、テトラアルキルホスホニウム塩の陰イオンは、ギ酸塩、酢酸塩、リン酸塩、硫酸塩、フッ化物、塩化物、臭化物およびヨウ化物からなる群から選択される。
特に好ましい光開始剤系は、式(X)の光開始剤を、任意でカンファーキノンに加えて、上述のようにジアリールヨードニウム塩、トリアリールスルホニウム塩またはテトラアリール若しくはテトラアルキルホスホニウム塩と組み合わせて含む。
好ましくは、重合開始剤は組成物の全重量に基づいて0.01〜10%の量で含まれる。本発明において添加される重合開始剤の量は特に制限されない。重合性組成物の100重量部当たり0.01〜10重量部の重合開始剤を使用し得ることが好ましい。重合開始剤の量が0.01重量部未満である場合、重合は十分に進行せず、それによって機械的強度が低減され得る。したがって、量は少なくとも0.1重量パーセントであることがより好ましい。一方、重合化開始剤の量が10重量部を超えるとき、重合化開始剤自体が低重合性能を有する場合、十分な機械強度が得られない場合があり、さらに組成物からの析出が起こり得る。
本発明の歯科用複合材は、重合化促進剤をさらに含有してもよい。重合促進剤の例は、アミンおよび硫酸塩およびその塩である。
本発明はまた、歯科用組成物で使用するための重合性組成物の調製のための方法を提供し、方法は、
(a) 以下の式(I)の一つ以上の化合物のx当量:
Figure 2020506170

(式中、
は、請求項1に定義される通りである);
(b) 以下の式(II)の化合物のy当量:
Figure 2020506170

(式中、
Lは請求項1に記載の通りであり、
(c) 任意で以下の式(IV)または(V)の一つ以上の化合物のz当量:
Figure 2020506170

(式中、
は、独立して、一つ以上の一価または二価のオルガノポリシロキサン基および/または一つ以上の一価または二価のペルフルオロヒドロカルビル基、および/または(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリルアミド基、ビニルエーテル基、ビニルエステル基、アジリジン、エポキシド基およびオキセタン基から選択される一つ以上の重合性基を含み得る有機基であって、
0.05≦x/y≦0.66、および2y−2x≦z≦1.5(2y−2x)であり、x、y、およびzは成分(a)、(b)および(c)のモル当量である)、を含む混合物を反応させること、を含む。
本発明によると、逐次多量体化または、二官能性成分(a)および(b)の反応は、式(II)の分子に由来する分子ブロックAと、式(III)の分子に由来する分子ブロック(b)が交互となる直鎖状分子を形成する重合を提供する。化学量論によって、結果として得られる分子鎖は、成分(a)または(b)から誘導される末端基を有する。したがって、化学量論的過剰な成分(b)が使用される場合、0.05≦x/y<0.5であり、末端基はヒドロキシル基である。代替的に、化学量論的過剰な成分(a)が使用される場合、0.5<x/y≦0.66であり、末端基はカルボン酸基である。末端基はさらに、末端封止基と反応してもよい。末端基がヒドロキシル基である場合、モノカルボン酸またはその無水物は末端封止剤として使用され得る。末端基がカルボン酸基である場合、単官能性アルコールはその無水物は末端封止剤として使用され得る。
成分(a)は無水マレイン酸であることが好ましい。本発明の方法における成分(a)として使用される無水物は、純粋な無水マレイン酸であることが最も好ましい。しかしながら、その他の無水物類似体、メチルマレイン酸無水物、フルオロマルチレイン無水物などの利用が可能である。
成分(b)は、1,6−ヘキサンジオール、1,10−デカンジオール、2−メチルプロパン−1,3−ジオール、2,2−ジメチルプロパン−1,3−ジオール2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9−ヘキサデカフルオロ−1,10−デカンジオール、1,3−ビス(4−ヒドロキシブチル)テトラメチルジシロキサンなどの直鎖状または分枝状ジオールから選択されることが好ましい。
反応は、反応器中で、好ましくは加熱する間、成分(a)、(b)および随意に(c)を混合することによって実行されてもよく、また本発明の重合性組成物を提供するための単一プロセスで混合物を反応させてもよい。
代替的に、反応は、第一の混合物を提供するために成分(a)および(b)を混合し、第一の混合物を第一のプロセスで反応させ、次いで、第二の混合物を提供するために第一のプロセスの反応生成物に成分(c)を追加し、次いで本発明の重合性組成物を提供するために第二の混合物を反応させることによって実行され得る。
反応時間は特に限定されず、30分〜48時間の範囲で選択され得る。好ましくは、反応時間は、1時間〜12時間、より好ましくは2時間〜10時間の範囲内で選択される。
反応温度は特に限定されず、周囲温度から混合物の沸騰温度までの範囲で選択され得る。好ましくは、反応温度は、50〜180℃、より好ましくは70〜150℃の範囲内で選択される。
反応圧力は特に限定されず、周囲圧力から高圧までの範囲で選択され得る。好ましくは、反応圧力は周囲圧力である。
この反応は、溶媒の存在下または非存在下で行うことができる。適切な溶媒は、ジメチルスルホキシド、トルエン、DMF、およびエチレングリコールジメチルエーテルなどの非プロトン性溶媒から選択され得る。好ましくは、反応は溶媒の非存在下で行われる。
この反応は、溶媒の存在下で行うことができる。Bi(OTf)などの適切な触媒が、反応を促進するために使用され得る。必要に応じて、触媒は相間移動触媒でもよい。好適な相間移動触媒は、四級アンモニウムおよびホスホニウム塩から選択されてもよい。具体的には、相間移動触媒は、トリエチルベンジル塩化アンモニウム、ベンジルトリメチル塩化アンモニウムおよびヘキサデシルトリブチルホスホニウム臭化物であり得る。トリエチルベンジル塩化アンモニウムが使用され得ることが好ましい。
触媒の量は特に限定されず、反応混合物中に存在する成分(a)、(b)、および(c)の総重量に基づいて、0.01〜5重量パーセント、より好ましくは0.1〜3重量パーセントの範囲で選択され得る。
本発明によると、成分(a)、(b)および(c)のx、y、およびzのモル当量は、それぞれ0.05≦x/y≦0.66、および2y−2x≦z≦1.5(2y−2x)で選択される。0.05≦x/y<0.5の場合、末端封止成分(c)は、式(IV)の一つ以上のカルボン酸化合物から選択される。0.5<x/y≦0.66の場合、末端封止成分(c)は、式(IV)の一つ以上のカルボン酸化合物から選択される。
末端封止成分(c)は、以下の式(IV)の一つ以上の化合物であってもよい:
Figure 2020506170

(式中、Rは、独立して、一つ以上の一価または二価のオルガノポリシロキサン基および/または一つ以上の一価または二価のペルフルオロヒドロカルビル基、および/または(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリルアミド基、ビニルエーテル基、ビニルエステル基、アジリジン、エポキシド基およびオキセタン基から選択される一つ以上の重合性基を含み得る有機基である)。
末端封止成分(c)は、以下の式(V)の一つ以上の化合物であってもよい:
Figure 2020506170

(式中、Rは、独立して、一つ以上の一価または二価のオルガノポリシロキサン基および/または一つ以上の一価または二価のペルフルオロヒドロカルビル基、および/または(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリルアミド基、ビニルエーテル基、ビニルエステル基、アジリジン、エポキシド基およびオキセタン基から選択される一つ以上の重合性基を含み得る有機基である)。
有機基は、脂環式基、芳香族基、またはシロキサン基またはそれらの組み合わせであってもよい。さらに、有機基は、一つ以上の二価のオルガノポリシロキサン基および/または一つ以上の二価の二価のペルフルオロヒドロカルビル基を含有し得る。有機基はまた、一つ以上のオルガノポリシロキサン基および/またはペルフルオロヒドロカルビル基、および/または(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリルアミド基、ビニルエーテル基、ビニルエステル基、アジリジン、エポキシド基およびオキセタン基から選択される一つ以上の重合性基によって置換され得る。末端封止基Rの具体的な例は、ビニル基、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリルアミド基、ビニルエーテル基、ビニルエステル基、 アジリジン基、エポキシド基およびオキセタン基である。
成分(c)が反応混合物中に存在するとき、反応は阻害剤の存在下で実施され得る。阻害剤は、望ましい反応を妨げない任意の従来的に公知の阻害剤であり得る。阻害剤は、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾールおよびブチルヒドロキシトルエン(BHT)から選択されてもよく、好ましくは、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾールが使用され得る。
阻害剤の量は特に限定されず、反応混合物中に存在する成分(a)、(b)、および(c)の総重量に基づいて、0.001〜0.5重量パーセント、より好ましくは0.01〜0.3重量パーセントの範囲で選択され得る。
得られた末端マクロモノマーは、クロロホルム、DMFおよびTHFなどの有機溶媒、ならびにトリエチレングリコールジメタクリレートなどの反応希釈剤中で可溶性であり得る。
本発明はさらに、本発明の方法によって得ることができる重合性組成物を提供する。本発明による重合性組成物は、23℃で1〜2000、より好ましくは2〜1500Pasの動的粘度を有することが好ましい。好ましくは、本発明による重合性組成物は、1.450〜1.540の屈折率を有する。
本発明はまた、本発明の方法によって得ることができる重合性組成物を提供する。重合性組成物は、方法の直接生成物であってもよく、歯科用組成物の調製のために使用され得る。代替的に、重合性組成物は、本発明の方法およびさらなる精製プロセスによって得ることができる。
好ましくは、重合性組成物は、以下の式(VI)の重合性マクロモノマーを含む:
Figure 2020506170

(式中、
mは0〜20の整数であり、
oは0〜20の整数であり、
pは、1〜40の整数であり、
は、水素原子、または直鎖状C1〜6もしくは分枝状C2〜6または環状C3〜6アルキル基を表し、
は、直鎖状C1〜6もしくは分枝状C2〜6または環状C3〜6アルキル基を表し、
は、ビニル基、アジリジン基、オキセタン基または直鎖状C1〜6、分枝状C2〜6若しくは環状C3〜6アルキル基を表し、
nは1〜50の範囲の平均鎖長である)。
式(VI)の重合性マクロモノマーは、歯科用組成物で使用され得る。好ましくは、歯科用組成物は、歯科印象材料、流動性歯科用複合材、汎用性歯科用複合材、充填可能歯科複合材、または小窩裂溝封鎖材である。
本発明の歯科印象材料または歯科用複合材は、成分(a)、(b)、および(c)の反応生成物以外のさらなる重合性モノマーを含み得る。重合性モノマーは、単官能性、二官能性、三官能性または多官能性モノマーであってもよい。
マクロマーを含有する重合性組成物に加えて、歯科印象材料または歯科用複合材に含有される重合性モノマーの総質量は、好ましくは、重合性組成物の成分(a)、(b)、および(c)の反応生成物の100重量部当たり、1〜100重量部の範囲である。
歯科印象材料は、充填剤をさらに含むことが好ましい。充填剤は、歯科印象材料の硬化前の粘度および流動性ならびに硬化後の強度を調節するための成分である。充填剤は、硬化性マトリクスの1重量部あたり0.1〜2重量部の範囲で含まれ得る。充填剤の例示的な例は、炭酸カルシウム、湿った微粉状シリカ、フュームドシリカ、結晶シリカ、カーボンブラック、赤色酸化鉄、酸化セリウム、酸化チタン、および水酸化アルミニウムなどの補強充填剤、およびこれらの充填剤の表面を有機ケイ素化合物を用いて疎水化することによって得られる充填剤を含む。
本発明の歯科用複合材は、pH調製剤、紫外線吸収材、抗酸化剤、重合阻害剤、着色剤、抗菌剤、X線造影剤、増粘剤、蛍光剤をさらに含み得る。
本発明の歯科用複合材は、フッ化ナトリウム、フッ化カルシウム、フルオロアルミノシリケートガラス、またはモノフルオロリン酸ナトリウムなど、徐放性の充填剤をさらに含有し得る。
歯科用複合材は抗菌剤を含有し得る。抗菌剤は、12−(メタ)アクリロイロキシドデシルピリジニウムまたはセチルピリジニウム塩化物などの抗菌活性を有する界面活性剤であり得る。
ここで本発明を以下の実施例に基づいて更に説明する。
材料:無水マレイン酸(純度95%または99%)、1,6−ヘキサンジオール(HEX、純度97%または99%)、1,10−デカンジオール(DEC、純度98%)、2,2−ジメチルプロパン−1,3−ジオール(NPG、純度99%)、フマル酸モノエチル(純度95%)、2−メチル−1,3−プロパンジオール(純度99%)、Bi(OTf)、1,4−ブタンジオールジビニルエーテル(BDDVE、純度98%)、トリエチレングリコールジビニルエーテル(TEGDVE、純度98%)、1,3−ビス(4−ヒドロキシブチル)テトラメチルジシロキサン(純度>97%)および2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9−ヘキサデカフルオロ−1,10−デカンジオール(純度97%)をSigma−Aldrichから購入した。
ブチルヒドロキシトルエンはF.B.SILBERMANN GmbH&Co.KGから購入された。
カンファーキノンおよびエチル4−(ジメチルアミノ)安息香酸(DMABE)をPCM Products GmbHから購入した。
アジピン酸ジビニル(DVA;純度>99%)をTCI Deutschland GmbHから購入した。
UP−レジンの合成
調製例1(MEW−01−003−02)
Radley’sによるTornado(商標)Overhead Stirring System内の100mL丸底フラスコ中で、マレイン酸無水物10g(0.1020mol)および1,6−ヘキサンジオール12.40g(0.1049mol)を180℃(加熱浴温度)に加熱した。混合物を、180℃および300mbarで6時間攪拌した。冷却後、残りの水を40℃で真空中で除去した。黄色の透明な液体を得た。
IRスペクトルを図1に示す。η=38.1Pa*s IR(cm−1):1717(エステルC=O)
調製例2(MEW−01−026−01)
磁気攪拌バーおよび生成された水を除去する蒸留橋を有する100mLl丸底フラスコを用いて、無水マレイン酸10g(0.1020mol)および1,10−デカンジオール18.168g(0.1042mol)を180℃(加熱浴温度)に加熱した。反応混合物を180℃で6時間攪拌した。冷却後、真空中で残りの水を40℃で除去した。無色の透明な液体を得、数日後、液体は濁った。
η=8.6Pa*s
IR(cm−1):1720(エステルC=O)
調製例3(MEW−01−112−01)
機械的攪拌器、ガス密着性のある磁気攪拌ヘッドおよび蒸留橋を備えた三首フラスコ中で、無水マレイン酸40,404g(0.4079mol)、2,2−ジメチルプロパン−1,3−ジオール45,172g(0.4294mol)、およびブチルヒドロキシトルエン89.9mg(0.4079mmol)を160℃(加熱浴温度)に加熱した。160℃で1時間攪拌した後、950mbarの真空を設定した。さらに一時間後、ブチルヒドロキシトルエン179.8mg(0.8158mmol)を加え、反応混合物を160℃および950mbarで13時間攪拌した。
η=85.7Pa*s
NMRによる2,2−ジメチルプロパン−1,3−ジオールの変換;76.3%
H NMR(CDCl,400MHz)δ(ppm)=6.92−6.80(m,HC=CHフマル酸,0.38H),6.44−6.28(m,HC=CH−COOH,0.71H),6.26(s,HC=CHマレイン酸,0.69H),4.09−3.95(m,CHO,3.02H),3.52(s,CHOH開始材料,0.20H),3.40−3.32(m,CHOH鎖末端,0.74H),1.01(dt,C(CH ,6H)
調製例4(MEW−01−110−01)
機械的攪拌機を有する50Ml丸底フラスコ中で、マレイン酸916,3mg(9,25mmol)、2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9−ヘキサデカフルオロ−1,10−デカンジオール4.639g(9.74mmol)およびブチルヒドロキシトルエン2,0mg(0,0093mmol)を180℃(加熱浴温度)に加熱した。180℃で2時間攪拌した後、ブチルヒドロキシトルエン4.1mg(0.0185mmol)を加え、反応混合物180℃でさらに一時間攪拌した。冷却後、オフホワイト色の固形物を得、トリ(エチレングリコール)ジビニルエーテルに溶解性であった。
調製例5(MEW−01−116−01)
Radley’sによるTornado(商標)Overhead Stirring System内の100mL丸底フラスコ中で、マレイン酸無水物6.061g(0.0612mol)、1,3−ビス(4−ヒドロキシブチル)テトラメチルジシロキサン17.940g(0.0644mol)およびブチルヒドロキシトルエン27.0mg(0.1224mmolを180℃(加熱浴温度)に加熱した。混合物を180℃で2時間攪拌し、無色の透明な液体を得た。
η=0.536Pa*s
NMRによる1,3−ビス(4−ヒドロキシブチル)テトラメチルジシロキサンの変換:72.5%
H NMR(CDCl,400MHz)δ(ppm)=6.85(s,HC=CHフマル酸,0.25H),6.49−6.32(m,HC=CH−COOH,0.77H),6.23(s,HC=CHマレイン酸,0.80H),4.32−4.25(m,77H),4.18(t,2.10H),3.90−3.86(m,0.08H),3.70−3.62(m,1.01H),1.85−1.80(m,0.09H),1.78−1.65(m,2.82H),1.64−1.55(m,1.18H),1.47−1.33(m,3.92H),0.66−0.60(m,0.16H),0.58−0.48(m,3.80H),0.20−0.11(m,0.45H),0.08−0.00(s,11.55H)
調製例6(MEW−01−122−01_B)
Radley’sによるTornado(商標)Overhead Stirring System内の100mL丸底フラスコ中で、マレイン酸無水物6.8721g(0.0694mol)、2,2−ジメチルプロパン−1,3−ジオール9.1242g(0.0867mol)、フマル酸モノエチル5.2632g(0.0347mol)およびブチルヒドロキシトルエン22.9mg(0.1041mmol)を180℃(加熱浴温度)に加熱した。180℃で1時間攪拌した後、800mbarの真空を水流ポンプで設定した。さらに一時間後、ブチルヒドロキシトルエン45.9mg(0.2081mmol)を加え、反応混合物を180℃および800mbarで22時間攪拌した。
NMRによる2,2−ジメチルプロパン−1,3−ジオールの変換;99.2%
H NMR(CDCl,400MHz)δ(ppm)=6.94−6.80(m,HC=CHフマル酸,1.83H),6.25(s,HC=CHマレイン酸,0.29H),4.25(q,OCH CH,0.29H),4.11−3.95(m,OCH,3.93H),3.36(s,CHOH,0.03H),1.31(t,OCH CH ,0.38H),1.06−0.90(m,C(CH ,6H)
調製例7(MEW−01−081−01)
以下による合成:Kricheldorf,H.R.;Yashiro,T.;Weidner,S.;Macromolecules 2009,42,6433−6439。
Radley’sによるTornado(商標)Overhead Stirring System内の250mL丸底フラスコ中で、無水マレイン酸40.404g(0.4079mol)、2−メチル−1,3−プロパンジオール38.1934(0.4196mol)、Bi(OTf) 1.338g(2.040mmol)が80℃に加熱された。80℃で1時間攪拌した後、水流ポンプで1時間内に真空が12mbarに増加され、混合物を22時間攪拌した。
冷却後、レジンをDCM(900mL)に溶解し、5%のNaOH(6x100mL)で抽出した。合わせた水相をDCMで洗浄し、合わせた有機相を水で洗浄した。MgSOで乾燥後、ブチルヒドロキシトルエン57,72mgを加え、溶媒を蒸発させた。
η=1492Pa*s
NMRによる2−メチル−1,3−プロパンジオールの変換;92,8%
H NMR(CDCl,400MHz)δ(ppm)=6.26(s,HC=CHマレイン酸,1.77H),4.24−4.00(m,OCH,3.71H),3.60−3.46(m,HOCH,0.29H),2.32−2.18(m,CHCHO,0.89H),2.08−1.98(m,CHCHOH,0.16H),1.07−0.90(m,CH,3H)
応用例
共重合の一般的手順
UP−レジンをジビニルエーテルまたはジビニルエステルと混合した。カンファーキノンの二重結合量の1mol%、およびDMABEの二重結合量の1.3mol%を加えた。均質な混合物を取得した後、表1のすべての製剤をSmart Lite Focus(Dentsply Sirona)で硬化した。さらに、Photo−DSC(DSC 7b Perkin Elmer)測定値を、表1に要約する。
表1:クロスリンカーとのUP−レジンの共重合
Figure 2020506170
応用例8(MEW−01−124−01)
1gのUP−レジンをペルフッ素化部分(MEW−01−110−01)とともに0.307gのトリエチレングリコールジビニルエーテルに溶解し、8mgのカンファーキノンおよび9mgのDMABEと均一に混合した。混合物をSmart Lite Focusで硬化し、脆い固形物を得た。
応用例9および10(MEW−01−125−01)
以下の混合物を、シロキサン部分が得られるUP−レジンを用いて作製した(MEW−01−116−01)。
表2:クロスリンカーとのUP−シロキサンレジンの共重合
Figure 2020506170

混合物は、Smart Lite Focus(Dentsply Sirona)で20秒以内に硬化され、硬い固体を得た。

Claims (14)

  1. 歯科用組成物であって、
    (i) 以下の式(I)の繰り返し単位を有する化合物を含有する重合性組成物:
    Figure 2020506170

    (式中、
    は、水素原子、または直鎖状C1〜6アルキル基、または分枝状または環状C3〜6アルキル基を表し;
    Lは一つ以上の一価または二価のオルガノポリシロキサン基を含み得る二価の有機連結基および/または一つ以上の一価または二価のペルフルオロヒドロカルビル基を表し;
    nは少なくとも1の整数である);
    (ii) ビニルエーテル、ビニルエステル、ビニルシロキサン、(メタ)アクリルアミドおよび4〜20個の炭素原子を有する1−アルケン類から選択される一つ以上のビニル化合物であって、前記ビニル化合物が、式(I)の繰り返し単位を有する前記化合物と共重合性である、一つ以上のビニル化合物;および、
    (iii) 重合開始剤系、を含む、組成物。
  2. 式(I)の繰り返し単位を有する化合物を含有する前記重合性組成物が、
    (a) 以下の式(I)の一つ以上の化合物のx当量:
    Figure 2020506170

    (式中、
    は、請求項1に定義される通りである);
    (b) 以下の式(II)の化合物のy当量:
    Figure 2020506170

    (式中、
    L は請求項1に記載の通りである)、および
    (c) 任意で以下の式(IV)または(V)の一つ以上の化合物のz当量:
    Figure 2020506170

    (式中、
    は、独立して、一つ以上の一価または二価のオルガノポリシロキサン基;および/または一つ以上の一価または二価のペルフルオロヒドロカルビル基;および/または(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリルアミド基、ビニルエーテル基、ビニルエステル基、アジリジン、エポキシド基およびオキセタン基から選択される一つ以上の重合性基を含み得る有機基であって、
    0.05≦x/y≦0.66、および2y−2x≦z≦1.5(2y−2x)であり、x、y、およびzは成分(a)、(b)および(c)のモル当量である)、を含む混合物を反応させること、によって得られる、請求項1に記載の歯科用組成物。
  3. が水素原子である、請求項1または2に記載の歯科医用組成物。
  4. Lが二価のヒドロカルビル基である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の歯科用組成物。
  5. Lは、二価のオルガノポリシロキサン基を含有する二価の有機連結基である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の歯科用組成物。
  6. 前記オルガノポリシロキサン基が、ビニルエーテル、ビニルエステル、オキセタン、およびアジリジン基から選択される重合性基を含有する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の歯科用組成物。
  7. フリーラジカル重合とカチオン性重合との組み合わせによる貫入ネットワーク(IPN)を形成するよう適合される、請求項1〜6のいずれか一項に記載の歯科用組成物。
  8. 前記重合性組成物(i)は、1.450〜1.540の屈折率を有する、請求項1〜7のいずれか一項に記載の歯科用組成物。
  9. 歯科印象材料および歯科用複合材から選択される、請求項1〜8のいずれか一項に記載の歯科用組成物。
  10. 歯科用組成物で使用するための重合性組成物の調製のための方法であって、前記方法が、
    (a) 以下の式(I)の一つ以上の化合物のx当量:
    Figure 2020506170

    (式中、
    は、請求項1に定義される通りである);
    (b) 以下の式(II)の化合物のy当量:
    Figure 2020506170

    (式中、
    Lは請求項1に記載の通りであり、
    (c) 任意で以下の式(IV)または(V)の一つ以上の化合物のz当量:
    Figure 2020506170

    (式中、
    は、独立して、一つ以上の一価または二価のオルガノポリシロキサン基;および/または一つ以上の一価または二価のペルフルオロヒドロカルビル基;および/または(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリルアミド基、ビニルエーテル基、ビニルエステル基、アジリジン、エポキシド基およびオキセタン基から選択される一つ以上の重合性基を含み得る有機基であって、
    0.05≦x/y≦0.66、および2y−2x≦z≦1.5(2y−2x)であり、x、y、およびzは成分(a)、(b)および(c)のモル当量である)、を含む混合物を反応させる工程、を含む、方法。
  11. 請求項10に記載の方法によって得られる、重合性組成物。
  12. 以下の式(VI)のうちの一つの重合性マクロモノマーを含む:
    Figure 2020506170

    (式中、
    mは0〜20の整数であり、
    oは0〜20の整数であり、
    pは、1〜40の整数であり、
    は、水素原子、または直鎖状C1〜6もしくは分枝状C2〜6または環状C3〜6アルキル基を表し、
    は、直鎖状C1〜6、もしくは分枝状または環状C3〜6アルキル基を表し、
    は、ビニル基、ビニルエーテル基、ビニルエステル基、アジリジン基、オキセタン基を表し、または直鎖状C1〜6、分枝状若しくは環状C3〜6アルキル基を表し、
    nは1〜50の範囲の平均鎖長である)、請求項11に記載の重合性組成物。
  13. 歯科用組成物における、請求項13に記載の式(VI)の重合性マクロモノマーの使用。
  14. 前記歯科用組成物が、歯科印象材料、流動性歯科用複合材、汎用性歯科用複合材、充填可能歯科複合材、または小窩裂溝封鎖材である、請求項14に記載の使用。
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