以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
<システムの概要>
図1を参照して、見守りシステム100の概要について説明する。図1は、見守りシステム100の構成の一例を示す図である。見守り対象の一例は、施設180の居室領域RMに設けられた各居室内の入居者である。図1の見守りシステム100では、居室領域RMに、居室110,120が設けられている。居室110は、入居者111に割り当てられている。居室120は、入居者121に割り当てられている。
見守りシステム100は、ゲートウェイサーバー130と、交換装置135と、アクセスポイント140と、管理サーバー200と、センサーボックス119と、センサーボックス119と通信する各種機器と、携帯端末161,162,163,164とを含む。
ゲートウェイサーバー130は、施設180の内部ネットワーク(イントラネット)と、施設180の外部ネットワーク16とを互いに接続する。外部ネットワーク16は、たとえば、インターネットや公衆電話回線網である。また、外部ネットワーク16には、クラウドサーバー150と、プッシュサーバー160と、無線基地局15とが接続されている。
交換装置135は、施設180の内部ネットワークの各機器を互いに接続する。ある局面において、ルーターやスイッチが交換装置135として使用されてもよい。図1に示される例では、交換装置135の数は1であるが、当該数はこれに限定されない。施設180の内部ネットワークは、複数の交換装置135の組み合わせによって構成されてもよい。
アクセスポイント140は、携帯端末161,162を施設180の内部ネットワークに接続するために使用される。ある局面において、Wi−Fi(登録商標)(Wireless Fidelity)ルーターが、アクセスポイント140として使用され得る。
管理サーバー200は、施設180の中のセンサーボックス119からイベント情報を受信し、各居室の入居者の情報を管理する。また、管理サーバー200は、携帯端末161,162とも通信し、当該携帯端末を保持するスタッフを管理すると共に、各携帯端末に各種の通知を送信する。なお、管理サーバー200は、携帯端末161,162に通知を送信する場合、外部のプッシュサーバー160を使用してもよい。また、外部のクラウドサーバー150が、管理サーバー200の一部または全ての機能を備えていてもよい。管理サーバー200は、周知の構成を有するコンピューターによって実現される。
センサーボックス119は、その筐体に内蔵されたカメラおよびセンサーと、居室110,120内の他の各種センサーと連携することにより、居室110,120内の入居者111,121に関する情報をそれぞれ取得する。当該情報は、各入居者の歩行を示す画像、体温や脈拍その他のバイタル情報等を含み得る。また、センサーボックス119は、内部ネットワークを介して、管理サーバー200に、取得した入居者111,121に関する情報を送信する。センサーボックス119の詳細は後述する。
携帯端末161,162は、施設180で介護に従事する介護者その他のスタッフにより使用される。スタッフは、携帯端末161,162を用いて、介護記録等を入力できる。携帯端末161,162は、当該介護記録を管理サーバー200に送信する。また、入居者111,121に問題が発生した場合には、スタッフは、携帯端末161,162を用いて、管理サーバー200から通知を受信する。携帯端末161,162は、施設180の中ではアクセスポイント140と接続され、内部ネットワークを介して管理サーバー200と通信する。ある実施の形態では、介護者141,142,143,144がそれぞれ、携帯端末161,162,163,164を保持している。
携帯端末163,164は、施設180の外からは、無線基地局15等を介して、ゲートウェイサーバー130を経由して管理サーバー200と通信することができる。携帯端末163,164が施設180の外から管理サーバー200と通信する場合、管理サーバー200から携帯端末163,164に提供されるサービスの一部は、入居者の情報を保護するために制限される場合がある。
なお、携帯端末161,162、163,164、アクセスポイント140、交換装置135等の他の装置の数は、図1に例示される数に限定されない。
居室110,120は、それぞれ、設備として、家具112、ベッド113、および、トイレ114を含む。居室110,120の各ドアには、当該ドアの開閉を検出するドアセンサー118がそれぞれ設置されている。トイレ114のドアには、トイレ114の開閉を検出するトイレセンサー116が設置されている。ベッド113には、入居者111の排泄情報を取得する臭いセンサー117が設置されている。入居者111は、当該入居者111のバイタル情報を検出するバイタルセンサー290を装着している。検出されるバイタル情報の一例は、入居者の体温である。他の例は、入居者の呼吸である。さらに他の例は、入居者の心拍数である。さらに他の例は、これらの情報の中の2以上の種類の情報である。居室110では、入居者111はケアコール子機115を操作することができる。入居者111がケアコール子機115を操作すると、ケアコール子機115は、呼び出し信号を発信し、呼び出し信号は、センサーボックス119により受信される。センサーボックス119は、その受信した呼び出し信号を管理サーバー200に送信する。管理サーバー200は、入居者111から呼び出しを受けていることを通知する信号を携帯端末220に送信する。
センサーボックス119は、居室110,120内の物体の挙動を検出するためのセンサーを内蔵する。センサーの一例は、物体の動作を検出するためのドップラーセンサーである。他の例は、カメラである。さらに他の例は、ケアコール子機115、ドアセンサー118、トイレセンサー116、臭いセンサー117、または、バイタルセンサー290である。センサーボックス119は、これらのセンサー中の少なくとも一つを含み得る。
図2を参照して、見守りシステム100の構成要素について説明する。図2は、見守りシステム100の構成の概要を示すブロック図である。見守りシステム100は、管理サーバー200と、クラウドサーバー150と、センサーボックス119と、携帯端末220とを備える。
[センサーボックス119]
センサーボックス119は、制御装置101と、ROM(Read Only Memory)102と、RAM(Random Access Memory)103と、通信インターフェイス104と、カメラ105と、ドップラーセンサー106と、無線通信装置107と、記憶装置108とを備える。センサーボックス119は、管理サーバー200と通信することができる。管理サーバー200は、固有の規則に従って定められた識別データを有するデータ項目として、センサーボックス119から受信した各データを記憶装置に蓄積する。
制御装置101は、センサーボックス119を制御する。制御装置101は、たとえば、少なくとも1つの集積回路によって構成される。集積回路は、たとえば、少なくとも1つのCPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)その他のプロセッサー、少なくとも1つのASIC(Application Specific Integrated Circuit)、少なくとも1つのFPGA(Field Programmable Gate Array)、またはこれらの組み合わせなどによって構成される。
通信インターフェイス104には、アンテナ(図示しない)などが接続される。センサーボックス119は、当該アンテナを介して、外部の通信機器との間でデータをやり取りする。外部の通信機器は、たとえば、管理サーバー200、携帯端末161,162,163,164、アクセスポイント140、クラウドサーバー150、その他の通信端末などを含む。
カメラ105は、一実現例では、近赤外カメラである。近赤外カメラは、近赤外光を投光するIR(Infrared)投光器を含む。近赤外カメラが用いられることにより、夜間でも居室110,120の内部を表わす画像が撮影され得る。他の実現例では、カメラ105は、可視光のみを受光する監視カメラである。さらに他の実現例では、カメラ105として、3Dセンサやサーモグラフィーカメラが用いられてもよい。センサーボックス119およびカメラ105は、一体として構成されてもよいし、個別の装置の組み合わせとして構成されてもよい。
ドップラーセンサー106は、たとえばマイクロ波ドップラーセンサーであり、電波を発信及び受信して、居室110,120内の物体の挙動(動作)を検出する。これにより、居室110,120の入居者111,121の生体情報が検出され得る。一例では、ドップラーセンサー106は、24GHz帯のマイクロ波を各居室110,120のベッド113に向けて放射し、入居者111,121で反射した反射波を受信する。反射波は、入居者111,121の動作により、ドップラーシフトしている。ドップラーセンサー106は、当該反射波から、入居者111,121の呼吸状態や心拍数を検出し得る。
無線通信装置107は、ケアコール子機115、ドアセンサー118、トイレセンサー116、臭いセンサー117、および、バイタルセンサー290からの各信号を受信し、当該信号を制御装置101へ送信する。たとえば、ケアコール子機115は、ケアコールボタン241を備える。当該ボタンが操作されると、ケアコール子機115は、当該操作があったことを示す信号を無線通信装置107へ送信する。ドアセンサー118、トイレセンサー116、臭いセンサー117、および、バイタルセンサー290は、それぞれの検出結果を無線通信装置107へ送信する。
記憶装置108は、たとえば、フラッシュメモリーまたはハードディスク等の固定記憶装置、あるいは、外付けの記憶装置などの記録媒体として実現される。記憶装置108は、制御装置101によって実行されるプログラム、および、当該プログラムの実行に利用される各種のデータを格納する。各種のデータは、入居者111,121の行動情報を含んでいてもよい。行動情報の詳細は後述する。
上記のプログラムおよびデータのうち少なくとも一方は、制御装置101がアクセス可能な記憶装置であれば、記憶装置108以外の記憶装置(たとえば、制御装置101の記憶領域(たとえば、キャッシュメモリーなど)、ROM102、RAM103、外部機器(たとえば、管理サーバー200や携帯端末161,162,163,164等)に格納されていてもよい。
[行動情報]
次に、本実施の形態における行動情報について、説明する。行動情報は、たとえば入居者111,121が所定の行動を実行したことを表わす情報である。一例では、所定の行動は、入居者111,121が起きたことを表わす「起床」、入居者111,121がベッド(寝具)113から離れたことを表わす「離床」、入居者111,121がベッド(寝具)113から落ちたことを表わす「転落」、および、入居者111,121が倒れたことを表わす「転倒」の4つの行動を含む。
他の局面において、さらに、行動情報は、入居者が介護を受けることを拒否するために行なう動作を含み得る。例えば、行動情報は、手で介護者を振り払う動作、脚で介護者を蹴ろうとする動作、ベッド113にしがみついて着替えを拒否する動作等を含み得る。
ある実施の形態では、制御装置101が、各居室110,120に設置されたカメラ105が撮像した画像に基づいて、各居室110,120に関連付けられた入居者111,121の各行動情報を生成する。制御装置101は、たとえば、上記画像から入居者111,121の頭部を検出し、この検出した入居者111,121の頭部における大きさの時間変化に基づいて、入居者111,121の「起床」、「離床」、「転倒」および「転落」の通常の情報に加えて、「介護拒否」という情報を検出する。以下、行動情報の生成の一具体例を、より詳細に説明する。
まず、記憶装置108に、居室110,120における各ベッド113の所在領域、第1閾値Th1、第2閾値Th2、および、第3閾値Th3が格納される。第1閾値Th1は、ベッド113の所在領域内において、横臥姿勢にあるときと座位姿勢にあるときとの間で入居者の頭部の大きさを識別する。第2閾値Th2は、ベッド113の所在領域を除く居室110,120内において、入居者の頭部の大きさに基づいて、当該入居者が立位姿勢にあるか否かを識別する。第3閾値Th3は、ベッド113の所在領域を除く居室110,120内において、入居者の頭部の大きさに基づいて、当該入居者が横臥姿勢にあるか否かを識別する。
制御装置101は、対象画像から、例えば背景差分法やフレーム差分法によって、入居者111,121の人物の領域として、動体領域を抽出する。制御装置101は、さらに、当該抽出した動体領域から、例えば円形や楕円形のハフ変換によって、予め用意された頭部のモデルを用いたパターンマッチングによって、頭部検出用に学習したニューラルネットワークによって導出された閾値を用いて、入居者111,121の頭部領域を抽出する。制御装置101は、当該抽出された頭部の位置および大きさから、「起床」、「離床」、「転倒」および「転落」を検知する。
制御装置101は、上記のように抽出された頭部の位置がベッド113の所在領域内にあり、かつ、上記のように抽出された頭部の大きさが第1閾値Th1を用いることによって横臥姿勢の大きさから座位姿勢の大きさへと変化したことを検出した場合に、行動「起床」が発生したことを決定し得る。
制御装置101は、上記のように抽出された頭部の位置がベッド113の所在領域内からベッド113の所在領域外へ移動した場合において、上記のように抽出された頭部の大きさに対して第2閾値Th2を適用することにより、頭部がある大きさから立位姿勢の大きさへと変化したことを検出したときには、行動「離床」が発生したと判定し得る。
制御装置101は、上記のように抽出された頭部の位置がベッド113の所在領域内からベッド113の所在領域外へ移動した場合において、上記のように抽出された頭部の大きさに対して第3閾値Th3を適用することにより、頭部がある大きさから横臥姿勢の大きさへと変化したことを検出したときには、行動「転落」が発生したと判定し得る。
制御装置101は、上記のように抽出された頭部の位置がベッド113の所在領域を除く居室110,120内に位置し、かつ、抽出された頭部の大きさが第3閾値Th3を用いることによって或る大きさから横臥姿勢の大きさへと変化したことを検出した場合には、行動「転倒」が発生したと決定し得る。
さらに、制御装置101は、画像データから入居者に加えて介護者を検出し、入居者と介護者との間隔を推定する。制御装置は、当該間隔が予め定められた通常の間隔よりも短いと推定すると、介護拒否行動が行なわれていると判断し得る。さらに、制御装置101は、入居者の動作が通常と違う動きを示していると判断すると、当該入居者は介護者に対して、介護拒否行動を示していると判断し得る。
以上説明されたように、一具体例では、センサーボックス119の制御装置101が、入居者111,121の各行動情報を生成する。なお、他の局面に従う見守りシステム100では、居室110,120内の画像を用いて、制御装置101以外の他の要素(例えば、クラウドサーバー150)が入居者111,121の行動情報を生成し得る。
[携帯端末161,162,163,164]
携帯端末161,162,163,164(総称するときは携帯端末220という。)は、制御装置221と、ROM222と、RAM223と、通信インターフェイス224と、ディスプレイ226と、記憶装置228と、入力デバイス229とを含む。ある局面において、携帯端末161,162,163,164は、例えば、スマートフォン、タブレット端末、腕時計型端末その他のウェアラブル装置等として実現される。携帯端末220は、介護者その他のスタッフにより使用され、入居者の介護記録や呼び出しに対する応答記録等の入力を受け付ける。入力された各データは、管理サーバー200に送られて、管理サーバー200で使用されるケアサポートシステムに固有の識別コードと共に逐次蓄積される。
制御装置221は、携帯端末161,162,163,164を制御する。制御装置221は、たとえば、少なくとも1つの集積回路によって構成される。集積回路は、たとえば、少なくとも1つのCPU、少なくとも1つのASIC、少なくとも1つのFPGA、またはそれらの組み合わせなどによって構成される。
通信インターフェイス224には、アンテナ(図示しない)などが接続される。携帯端末161,162は、当該アンテナおよびアクセスポイント140を介して、他の通信機器との間でデータをやり取りできる。携帯端末163,164は、当該アンテナおよび無線基地局15を介して、他の通信機器との間でデータをやり取りする。他の通信機器は、たとえば、センサーボックス119、管理サーバー200などを含む。
ディスプレイ226は、たとえば、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ、液晶ディスプレイ等によって実現される。入力デバイス229は、たとえばディスプレイ226に設けられたタッチセンサーによって実現される。当該タッチセンサーは、携帯端末161,162,163,164に対するタッチ操作を受け付け、当該タッチ操作に応じた信号を制御装置221へ出力する。
記憶装置228は、たとえば、フラッシュメモリー、ハードディスクその他の固定記憶装置、あるいは、着脱可能なデータ記録媒体等により実現される。
[見守りシステム100の装置構成]
図3を参照して、見守りシステム100を用いた見守りについて説明する。図3は、センサーボックス119を用いた見守りシステム100の装置構成の概略の一例を示す図である。
見守りシステム100は、見守り対象者(監視対象者)である入居者111,121その他の入居者を見守るために利用される。図3に示されるように、居室110の天井には、センサーボックス119が取り付けられている。他の居室にも同様にセンサーボックス119が取り付けられている。
範囲30は、センサーボックス119による検出範囲を表わす。センサーボックス119が前述のドップラーセンサーを有する場合、当該ドップラーセンサーは、範囲30内で生じた人の挙動を検出する。センサーボックス119がセンサーとしてカメラを有する場合、当該カメラは、範囲30内の画像を撮影する。
センサーボックス119は、たとえば、介護施設、医療施設、宅内などに設置される。図3の例では、センサーボックス119は、天井に取り付けられており、入居者111およびベッド113を天井から撮影している。センサーボックス119の取り付け場所は天井に限られず、居室110の側壁に取り付けられてもよい。
見守りシステム100は、カメラ105から得られた一連の画像(すなわち、映像)に基づいて入居者111に生じている危険を検知する。一例として、検知可能な危険は、入居者111の転倒や、危険個所(たとえば、ベッドの柵など)に入居者111がいる状態などを含む。
見守りシステム100は、入居者111に危険が生じていることを検知した場合に、そのことを介護者141,142等に報知する。報知方法の一例として、見守りシステム100は、入居者111の危険を介護者141,142の携帯端末161,162に通知する。携帯端末161,162は、当該通知を受信すると、入居者111の危険をメッセージ、音声、振動等で介護者141,142に報知する。これにより、介護者141,142は、入居者111に危険が生じていることを即座に把握でき、入居者111の元に素早く駆け付けることができる。
さらに、見守りシステム100は、無線基地局15を介して、施設の外部にいる介護者143,144の携帯端末163,164にも、当該危険を通知し得る。
なお、図3には、見守りシステム100が、1つの居室において1つのセンサーボックス119を備えている例が示されているが、見守りシステム100は、1つの居室において複数のセンサーボックス119を備えてもよい。また、図3には、見守りシステム100が複数の携帯端末161,162を備えている例が示されているが、見守りシステム100は、一つの携帯端末でも実現され得る。
[2つのシステムの連携]
図4を参照して、2つのシステムの連携について説明する。図4は、見守りシステム100と他の装置との接続関係を表わす図である。ある実施の形態に従うと、見守りシステム100は、サポートセンター410とクラウドサーバー150とに接続され得る。
見守りシステム100は、ネットワーク400と、ルーター420と、管理サーバー200と、IF(Interface)サーバー430と、受信機440と、ケアコール子機115と、センサーボックス119と、携帯端末220と、アクセスポイント(AP)15とを備える。管理サーバー200と、IFサーバー430と、受信機440と、無線基地局15とは、ネットワーク400に接続されている。ネットワーク400は、有線および無線のいずれであってもよい。通信形式は特に限定されない。管理サーバー200は、ルーター420を介して、サポートセンター410と通信可能である。IFサーバー430は、クラウドサーバー150と通信可能である。
ある局面において、携帯端末220は、そのユーザー(例えば介護者)によって入力されたデータを、無線基地局15を介して、管理サーバー200に送信する(経路450)。管理サーバー200は、各データ項目について予め設定された識別コードおよび番号にしたがって、受信したデータを格納する。このデータは、クラウドサーバー150で実現される他のシステムでも使用可能なデータを含む。この場合、データの識別コードや桁数などのフォーマットは、管理サーバー200において実現されるシステムと、クラウドサーバー150において実現されるシステムとの間で、同じ場合もあれば、異なる場合もある。
ある局面において、管理サーバー200は、IFサーバー430に、データを送信する(経路460)。このとき、管理サーバー200は、IFサーバー430との間で共通して使用されるIDとともに、当該データを送信する。
IFサーバー430は、管理サーバー200から、当該データを受信すると、当該データに関連付けられている共通IDを、クラウドサーバー150のシステムに固有なIDに変更して、変更後のIDが関連付けられたデータを、クラウドサーバー150に送信する(経路470)。クラウドサーバー150がIFサーバー430から受信するデータは、クラウドサーバー150のシステムで使用されるIDを有しているため、当該システムで管理されるデータベースに、当該IDに関連付けられているデータ項目の値を書き込むことができる。このようにすると、管理サーバー200のシステムおよびクラウドサーバー150のシステムが同じデータ項目を使用する場合において、当該データ項目の識別コードが異なる時でも、携帯端末220のユーザーあるいは、管理サーバー200の管理者は、クラウドサーバー150のシステムで使用される当該データ項目の識別コードを知らなくても、各データ項目を使用することができる。なお、ここでの使用は、データ項目の取得、管理サーバー200あるいはクラウドサーバー150のシステムへの書き込み若しくは読み出し等を含む。
[サーバー間の連携]
図5を参照して、複数のサーバー間におけるデータの連携について説明する。図5は、管理サーバー200と、IFサーバー430と、クラウドサーバー150との構成を表わすブロック図である。
ある実施の形態において、管理サーバー200は、データベース510と、データ変換アプリ511と、連携モジュール512とを備える。IFサーバー430は、データベース520と、データ変換アプリ521と、連携モジュール522とを備える。クラウドサーバー150は、データベース530を備える。
管理サーバー200において、データベース510は、携帯端末220から送信されるデータ、あるいは、センサーボックス119から送信されるデータを格納する。データベース510に格納されるデータは、管理サーバー200で使用されるシステムに固有な識別コードを含む。当該データは、入居者(被介護者)に対して提供された介護ケアの内容を表わす記録データと、センサーボックス119によって検知された各種の行動を表わす行動検知データとの少なくとも一つを含む。
データベース510は、さらに、管理サーバー200に導入されるシステムで使用されるデータ項目のIDと、当該データ項目についてIFサーバー430との間で使用される共通IDとを保持する。ある局面において、当該共通IDは、クラウドサーバー150および管理サーバー200の双方に使用されるデータ項目に付与される。
ある局面において、共通IDは、クラウドサーバー150に導入されているシステムに加えて、管理サーバー200で実現されるシステムを新たに導入する場合に、これらのシステムに共通して使用される1つ以上のデータ項目に対して付与される。他の局面において、共通IDは、既存のシステムに対して新たに管理サーバー200を使用するシステムを導入する場合に、これらのシステムに共通して使用される1つ以上のデータ項目に対して付与される。当該1つ以上のデータ項目は、例えば、ユーザー(入居者)の名前、スタッフ(介護者、管理者等)の名前、居室の番号、介護メニューに含まれるケア項目の名称などを含む。
データ変換アプリ511は、管理サーバー200で管理される識別コードと、クラウドサーバー150のシステムで使用される識別コードとを連携するために、管理サーバー200のシステムで独自に使用される識別コードを、IFサーバー430との間で共通して使用される共通IDに変換する。
連携モジュール512は、変換後のIDが付されたデータを、IFサーバー430に送信する。別の局面において、連携モジュール512は、クラウドサーバー150から読み出されたデータの識別コードが共通のIDに変更されたデータを、IFサーバー430から受信し得る。
IFサーバー430において、データベース520は、管理サーバー200とIFサーバー430との間でデータをやりとりするために当該データ項目の識別コードとして共通IDを格納する。共通IDは、管理サーバー200で実現されるシステム、および、クラウドサーバー150で実現されるシステムのいずれかのシステムに対して、他方のシステムが新たに導入されるタイミングで、見守りシステム100の管理者等によって生成される。
データ変換アプリ521は、管理サーバー200で管理される識別コードと、クラウドサーバー150のシステムで使用される識別コードとを連携するために、クラウドサーバー150のシステムで使用される識別コードを、管理サーバー200との間で共通して使用される共通IDに変換する。
連携モジュール522は、変換後のID、すなわち共通IDが付されたデータを、管理サーバー200に送信する。別の局面において、連携モジュール522は、管理サーバー200から読み出されたデータの識別コードが共通IDに変更されたデータを、管理サーバー200から受信し得る。
クラウドサーバー150において、データベース530は、顧客情報と、記録データと、行動検知データとを保持する。顧客情報は、例えば、入居者の名前および住所、その家族の名前および連絡先など、顧客としてのユーザーに関する情報を含む。記録データは、携帯端末220のユーザーである介護者によって入力された入居者に関して記録されたデータである。当該記録データのIDは、管理サーバー200におけるIDから共通IDを介して、IFサーバー430によって変更されたものである。行動検知データは、センサーボックス119から送信されたデータである。行動検知データのIDは、記録データと同様に、IFサーバー430によって、管理サーバー200のシステムに固有のIDから、クラウドサーバー150のシステムに固有のIDに変更されている。
[各サーバーの構成]
図6を参照して、各サーバー装置を実現するための構成について説明する。図6は、クラウドサーバー150、プッシュサーバー160、管理サーバー200、および、IFサーバー430として機能するコンピューターシステム600のハードウェア構成を表わすブロック図である。
コンピューターシステム600は、主たる構成要素として、プログラムを実行するCPU1と、コンピューターシステム600のユーザーによる指示の入力を受けるマウス2およびキーボード3と、CPU1によるプログラムの実行により生成されたデータ、又はマウス2若しくはキーボード3を介して入力されたデータを揮発的に格納するRAM4と、データを不揮発的に格納するハードディスク5と、光ディスク駆動装置6と、通信インターフェイス(I/F)7と、モニター8とを含む。各構成要素は、相互にデータバスによって接続されている。光ディスク駆動装置6には、CD−ROM9その他の光ディスクが装着される。
コンピューターシステム600における処理は、各ハードウェアおよびCPU1により実行されるソフトウェアの協働によって実現される。このようなソフトウェアは、ハードディスク5に予め記憶されている場合がある。また、ソフトウェアは、CD−ROM9その他の記録媒体に格納されて、コンピュータープログラムとして流通している場合もある。あるいは、ソフトウェアは、いわゆるインターネットに接続されている情報提供事業者によってダウンロード可能なアプリケーションプログラムとして提供される場合もある。このようなソフトウェアは、光ディスク駆動装置6その他の読取装置によりその記録媒体から読み取られて、あるいは、通信インターフェイス7を介してダウンロードされた後、ハードディスク5に一旦格納される。そのソフトウェアは、CPU1によってハードディスク5から読み出され、RAM4に実行可能なプログラムの形式で格納される。CPU1は、そのプログラムを実行する。
図6に示されるコンピューターシステム600を構成する各構成要素は、一般的なものである。したがって、本開示に係る技術思想の本質的な部分の一つは、RAM4、ハードディスク5、CD−ROM9その他の記録媒体に格納されたソフトウェア、あるいはネットワークを介してダウンロード可能なソフトウェアであるともいえる。当該記録媒体は、一時的でない(不揮発性の)、コンピューター読取可能なデータ記録媒体を含み得る。なお、コンピューターシステム600の各ハードウェアの動作は周知であるので、詳細な説明は繰り返さない。
なお、記録媒体としては、CD−ROM、FD(Flexible Disk)、ハードディスクに限られず、磁気テープ、カセットテープ、光ディスク(MO(Magnetic Optical Disc)/MD(Mini Disc)/DVD(Digital Versatile Disc))、IC(Integrated Circuit)カード(メモリーカードを含む)、光カード、マスクROM、EPROM(Electronically Programmable Read-Only Memory)、EEPROM(Electronically Erasable Programmable Read-Only Memory)、フラッシュROMなどの半導体メモリー等の固定的にプログラムを担持する媒体でもよい。
ここでいうプログラムとは、CPUにより直接実行可能なプログラムだけでなく、ソースプログラム形式のプログラム、圧縮処理されたプログラム、暗号化されたプログラム等を含む。
[機能構成]
本開示に係る技術思想を要約すると、以下の通りとなる。
(1)ある実施の形態に従うと、情報処理システムは、第1システムとしての管理サーバー200と、第2システムとしてのIFサーバー430とを備える。なお、第2システムは、クラウドサーバー150によって実現されてもよい。管理サーバー200は、複数の命令を格納したメモリ(RAM4、ハードディスク5等)と、各命令を実行するプロセッサー(CPU1)とを備える。IFサーバー430は、複数の命令を格納したメモリ(RAM4、ハードディスク5等)と、各命令を実行するプロセッサー(CPU1)とを備える。
管理サーバー200のCPU1は、管理サーバー200で第1データ項目を管理するための第1識別データ、および、IFサーバー430で第1データ項目を管理するための第2識別データのいずれにも関連付けられた共通識別データ(共通ID)にアクセスする。
例えば、第1項目は、管理サーバー200が使用される施設の入居者の名前である。この場合、第1識別データは、当該入居者の識別番号である。第1識別データは、管理サーバー200を用いて実現される情報管理システムに固有な識別データである。また、第2項目も、管理サーバー200が使用される施設の入居者の名前である。この場合、第2識別データは、当該入居者の識別番号である。ただし、第2識別データは例えば、IFサーバー430またはクラウドサーバー150で使用される情報管理システムに固有な識別データである。したがって、第1識別データと第2識別データとは、異なる表現形式で同一のものを示すデータといえる。
管理サーバー200のCPU1は、第1データ項目に関連付けられた第1識別データを、共通識別データに変更し、共通識別データが付された第1データ項目をIFサーバー430に送信する。共通識別データとは、管理サーバー200で管理されているデータ項目と、IFサーバー430で管理されているデータ項目とを関連付けるために共通して使用される識別データである。共通識別データは、既存のシステム(例えば、IFサーバー430で実現されている情報管理システム)に新たなシステム(例えば、管理サーバー200で実現されている情報管理システム)を接続する場合に生成されて、両システム間のデータの連携を取るために使用される。このような共通識別データを使用することで、第1システムの開発者は、第2システムの仕様やセキュリティーへの影響を気にすることなく、第1システムおよび第2システムにおいて共通な項目のデータの授受を実現するための処理プログラムを開発できる。
IFサーバー430のCPU1は、第2識別データに関連付けられた共通識別データにアクセスし、管理サーバー200から受信した第1データ項目に付されている共通識別データを、第2識別データに変更する。IFサーバー430は、第2識別データが付されたデータ項目を情報管理システムに記録する。
(2)ある局面に従う情報処理システムにおいて、IFサーバー430のCPU1は、第2データ項目に関連付けられた第2識別データを共通識別データに変更し、共通識別データが付された第2データ項目を管理サーバー200に送信する。管理サーバー200のCPU1は、IFサーバー430から受信した第2データ項目に付されている共通識別データを、第1識別データに変更する。これにより、第2システムに固有のルールで識別データが付されたデータ項目が、第1システムに送信されるので、同じデータが両システム間で連携されることになる。
(3)ある局面に従う情報処理システムにおいて、第2データ項目は、管理サーバー200における編集の可否を規定する制御データに関連付けられている。このような構成により、第1システムおよび第2システムにおいてデータ項目が共有された場合であっても、第2データ項目(すなわち、IFサーバー430またはクラウドサーバー150に固有な名称が付されたデータ項目)の内容が書き換えられないようにできるので、第2システムに固有なマスターデータのように第2システムで保守管理されるデータの一貫性が維持される。
(4)ある局面に従う情報処理システムにおいて、第1データ項目は、管理サーバー200を使用する施設からサービスの提供を受けるユーザー(例えば入居者)に固有の項目(名前、介護記録など)を含む。第2データ項目は、当該ユーザーに固有の項目を含む。これにより、第1システムとしての管理サーバー200および第2システムとしてのIFサーバー430またはクラウドサーバー150において、データ項目の共有化が実現される。
(5)ある局面に従う情報処理システムにおいて、管理サーバー200のCPU1は、第1識別データに関連付けられた識別番号の入力を受け付ける。IFサーバー430のCPU1は、識別番号と第2識別データとを関連付ける。
(6)ある局面に従う情報処理システムにおいて、第1データ項目は、IFサーバー430における編集の可否を規定する制御データに関連付けられている。このような構成により、第1システムおよび第2システムにおいてデータ項目が共有された場合であっても、第1データ項目(すなわち、管理サーバー200に固有な名称が付されたデータ項目)の内容が書き換えられないようにできるので、第1システムに固有なマスターデータのように第1システムで保守管理されるデータの一貫性が維持される。
[連携システムの構成]
図7を参照して、管理サーバー200およびIFサーバー430にそれぞれ導入される連携モジュール512,522によって実現される連携システム700の構成について説明する。図7は、連携システム700の機能を表わすブロック図である。連携システム700は、入力部710と、共通ID生成部720と、関連付け部730と、記憶部740と、ID変換部750と、記録データ生成部760と、出力部770とを備える。
入力部710は、介護記録データその他の記録データおよび行動検知データの入力を受け付ける。共通ID生成部720は、管理サーバー200およびIFサーバー430のいずれにおいても使用されるデータ項目の識別コードを共通IDとして生成する。
ある局面において、共通IDは、複数のデータ項目の各々を識別する名称と、数字との組み合わせにより構成される。例えば、データ項目の1つであるユーザー名称の共通IDは、User0001、User0002、User0003・・・として定義される。他のデータ項目としてのスタッフ名称の共通IDは、Staff001、Staff002、Staff003・・・として定義され得る。他の局面において、一種類のデータ項目のみが各システムで使用される場合には、当該データ項目を識別する名称(上記の例では“Staff”)は無くてもよい。
関連付け部730は、既存のシステムで使用されているデータ項目の識別コードとして入力されたID(以下、第1システム固有ID、第2システム固有IDともいう。)と、共通IDとを関連付けて、関連付けの結果を記憶部740に格納する。
記憶部740は、関連付け部730による関連付けの結果を格納する。管理サーバー200において実現される連携システム700は、テーブル741を保持する。テーブル741は、共通IDと、管理サーバー200において既に使用されている固有のID(第1システム固有ID)とを格納する。他方、IFサーバー430において導入される連携システム700は、テーブル742を保持する。テーブル742は、共通IDと、クラウドサーバー150において既に使用されている固有のID(第2システム固有ID)とを格納する。
ID変換部750は、管理サーバー200またはクラウドサーバー150のような既存のシステムにおいて取得されて連携システム700に与えられたデータに含まれるデータ項目のID(第1システム固有IDまたは第2システム固有ID)を、記憶部740に格納されている関連付けデータを用いて、共通IDに変換する。例えば、管理サーバー200が、携帯端末220から介護記録データを受信した場合、管理サーバー200に導入された連携システム700は、その介護記録データに含まれるユーザー名称のID(例えば、patient-001)を、共通ID(例えば、User0001)に変更する。他方、クラウドサーバー150において管理されているデータがIFサーバー430に送信された場合、IFサーバー430に導入された連携システム700は、当該データに含まれるユーザー名称のID(例えば、CLIENT-No. 001)を、共通ID(例えば、User0001)に変更する。
記録データ生成部760は、システムに固有のIDから変更された共通IDと、センサーボックス119によって検出された値または携帯端末220に入力されたデータとを関連付けて、管理サーバー200とIFサーバー430との間で連携される記録データを生成する。出力部770は、記録データ生成部760によって生成された記録データを出力する。出力された記録データは、他の連携システム700に入力される。
例えば、管理サーバー200が取得した記録データのIDは、管理サーバー200において実現される連携システム700によって共通IDに変更され、共通IDが付された記録データは、IFサーバー430の連携システム700に入力される。IFサーバー430において、連携システム700は、管理サーバー200の連携システム700から受信した記録データに付されている共通IDを、テーブル742を用いて、クラウドサーバー150のシステムに固有のID(例えば、第2システム固有ID)に変更する。IFサーバー430は、クラウドサーバー150で使用されるIDが付されたデータを生成して、その生成したデータをクラウドサーバー150に送信する。これにより、クラウドサーバー150は、そのデータベースに、クラウドサーバー150に固有の識別コードが付されたデータとして、当該受信したデータを格納できる。
他の局面において、携帯端末220のユーザーが、クラウドサーバー150に格納されているデータの読み出しを指示すると、携帯端末220は、その指示を管理サーバー200に送信する。このとき、当該指示に含まれるデータ項目のIDは、携帯端末220または管理サーバー200に固有のIDである。管理サーバー200の連携システム700は、その指示に含まれるIDを、上述のようにして共通IDに変更し、共通IDが含まれる指示として、変更後の指示をIFサーバー430に送信する。IFサーバー430は、当該指示に含まれる共通IDを、テーブル742を参照して、クラウドサーバー150のシステムに固有のIDに変更する。IFサーバー430は、当該固有のIDが含まれた指示をクラウドサーバー150に送信する。
クラウドサーバー150は、その指示に応答して、データベースから当該IDが付されたデータ項目を読み出し、読み出したデータをIFサーバー430に送信する。IFサーバー430の連携システム700は、テーブル742を参照して、そのデータに含まれるIDを共通IDに変更する。連携システム700は、共通IDが含まれるデータを生成して、生成したデータを管理サーバー200の連携システム700に送信する。
管理サーバー200において、連携システム700は、テーブル741を参照して、IFサーバー430から受信したデータに含まれる共通IDを管理サーバー200に固有のID(第1システム固有ID)に変更し、当該固有のIDが付されたデータを生成する。出力部770は、生成されたデータを携帯端末220に送信する。このようにして、携帯端末220のユーザーは、管理サーバー200を介して、クラウドサーバー150に格納されているデータを、特段のID変換を行なうことなく閲覧することができる。
[制御構造]
図8および図9を参照して、共通IDの生成について説明する。図8は、ある実施の形態に従って共通IDを生成するためにIFサーバー430によって実行される処理の一部を表わすフローチャートである。
ステップS810にて、CPU1は、クラウドサーバー150で使用されているデータ項目(例、顧客番号:cloud-001〜cloud-100)について、連携モジュール522で使用される共通IDを付与するプロセスの指示の入力を検知する。
ステップS820にて、CPU1は、当該データ項目を他のデータ項目から区別するための識別コードの入力を検知する。例えば、システムの運営管理者その他の管理者ユーザーは、顧客番号を識別するためのコードとして「UserNo」等の識別コードを自由に入力できる。
ステップS830にて、CPU1は、当該データ項目のカウンターを初期化(例、i=0001)する。
ステップS840にて、CPU1は、クラウドサーバー150に登録されている順番に、当該データ項目(例、顧客番号)の入力を検知する。
ステップS850にて、CPU1は、識別コード+カウンターiからなる文字列を共通IDとして生成する。例えば、CPU1は、第1番目のデータ項目(ユーザー名)の共通IDとして、「UserNo0001」を生成する。
ステップS860にて、CPU1は、カウンターを1だけインクリメントする(i=i+1)。
ステップS870にて、CPU1は、当該データ項目について全てのデータの共通IDを生成したか否かを判断する。例えば、入居者の数が100の場合において管理者ユーザーが全ての入居者の名前の終了を意味するコード(例えば、「終了」の入力)を行なった場合、CPU1は全てのデータの共通ID(User0001〜User0100)を生成したと判断する。他方、当該コードが入力されていない場合、CPU1は、全てのデータについて共通IDの生成を終了していないと判断する。CPU1は全ての共通IDを生成したと判断すると(ステップS870にてYES)、制御をステップS880に切り替える。そうでない場合には(ステップS870にてNO)、CPU1は制御をステップS840に戻す。
ステップS880にて、CPU1は、他のデータ項目の共通IDも登録するか否かを判断する。例えば、複数のデータ項目が、共通IDの生成の対象となるデータ項目としてユーザーによって指定されていた場合には、CPU1は他のデータ項目についても共通IDを生成すると判断する。CPU1は、他のデータ項目についても共通IDを生成すると判断すると(ステップS880にてYES)、制御をステップS820に戻す。そうでない場合には(ステップS880にてNO)、CPU1は処理を終了する。
[管理サーバーの制御構造]
次に、図9を参照して、管理サーバー200の制御構造について説明する。図9は、管理サーバー200において共通IDを登録するために実行される処理の一部を表わすフローチャートである。
ステップS910にて、管理サーバー200として機能するコンピューターシステム600のCPU1は、管理サーバーで使用されているデータ項目(例、顧客番号:CSS-001〜CSS-100)について、連携モジュールで使用される共通IDを付与するプロセスの指示の入力を検知する。
ステップS920にて、CPU1は、クラウドサーバー150のデータ項目の登録のために既に入力された共通IDとしての識別コード(例、UserNo)を特定する。例えば、図8に示される処理が行なわれた場合、その処理によって生成されたデータファイルを、図9の処理を実行する管理サーバー200に入力することにより、管理サーバー200は、クラウドサーバー150で入力された共通IDの識別コードを知ることができる。
ステップS930にて、CPU1は、当該データ項目のカウンターを初期化(例、j=0001)する。
ステップS940にて、CPU1は、クラウドサーバー150に登録されている順序と同じ順序で、当該データ項目の入力を受け付ける。
ステップS950にて、CPU1は、入力されたデータ項目を共通IDに関連付ける。
ステップS960にて、CPU1は、カウンターjを1インクリメントする(j=j+1)。
ステップS970にて、CPU1は、全てのデータ項目と共通IDとの関連付けが完了したか否かを判断する。CPU1は、全てのデータ項目と共通IDとの関連付けが完了したと判断すると(ステップS970にてYES)、制御をステップS980に切り替える。そうでない場合には(ステップS970にてNO)、CPU1は制御をステップS940に戻す。
ステップS980にて、CPU1は、他のデータ項目も登録するか否かを判断する。CPU1は他のデータ項目も登録すると判断すると(ステップS980にてYES)、制御をステップS920に戻す。そうでない場合には(ステップS980にてNO)、CPU1は処理を終了する。これにより、全てのデータ項目について、それぞれの共通IDが、管理サーバー200でも生成されたことになる。
なお、他の局面において、共通IDが必要なデータ項目が1つである場合には、CPU1は、ステップS920,S980のような処理を実行しない。また、共通IDの生成の順序は特に限定されず、管理サーバー200において先に実行されてもよい。
[データ連携]
図10を参照して、2つのシステムが同一のデータ項目に対してそれぞれ異なるIDを使用する場合のデータ連携について説明する。図10は、管理サーバー200とクラウドサーバー150とが実行する処理の一部を表わすフローチャートである。
ステップS1010にて、管理サーバー200は、そこで実現される情報管理システムに固有のデータ項目IDを使用する介護記録データを、携帯端末220あるいはセンサーボックス119から受信する。
ステップS1020にて、管理サーバー200は、連携システム700において、介護記録データ中のデータ項目のIDを共通IDに変換して、連携データとして、共通IDが付与されたデータ項目(例えば、介護記録データ)を生成する。
ステップS1030にて、管理サーバー200は、連携データをIFサーバー430に送信する。
ステップS1040にて、IFサーバー430は、管理サーバー200から連携データを受信する。
ステップS1050にて、IFサーバー430は、連携データ中の共通IDをクラウドサーバー150に固有のIDに変換して、当該固有のIDが付与された介護記録データを生成する。
ステップS1060にて、IFサーバー430は、当該固有のIDが付与された介護記録データをクラウドサーバー150に送信する。
ステップS1070にて、クラウドサーバー150は、介護記録を受信すると、当該受信した介護記録データをデータベースに格納する。この介護記録データは、クラウドサーバー150で実現される情報管理システムに固有の識別コードを含むので、クラウドサーバー150は、データベースの一貫性を損なうことなく当該介護記録データを格納することができる。
[データ構造]
図11および図12を参照して、本実施の形態に係る見守りシステム100のデータ構造について説明する。図11および図12は、見守りシステム100を構成するコンピューターシステム600が備えるハードディスク5におけるデータの格納の一態様を表わす図である。
図11に示されるように、ハードディスク5は、テーブル1100を保持している。テーブル1100は、データを格納するための領域1110〜1150を含む。領域1110は、分類のためのデータを保持する。当該データは、基本情報、ケアプランを含む。領域1120は、項目を表わすデータを保持する。当該項目は、利用者様情報、職員様情報、スケジュール情報、アセスメント、ケアプラン、栄養ケア計画書、リハビリ計画書、24時間シート、担当者会議、支援経過記録、モニタリング等を含む。
領域1130は、マスターデータが管理されるシステムを表わすデータを保持する。テーブル1100の場合、各データ項目のマスターデータは、「第2システム」と規定されているので、第1システムに同じデータ項目が保存されていても、修正、削除その他のデータ項目の操作は、第2システムにおいてのみ可能となる。ある実施の形態において第1システムが管理サーバー200に使用される情報管理システムである場合、第2システムは、クラウドサーバー150で使用される情報管理システムである。他の局面において、第1システムがクラウドサーバー150で使用される情報管理システムである場合、第2システムは、管理サーバー200で使用される情報管理システムとなる。
領域1140は、他のシステムとの間でデータの共有を可能にするか否かを規定する制御データを保持する。データ共有が「する」に設定されている場合、第1システムおよび第2システムの双方で当該データ項目が使用される。データ共有が「しない」に設定されている場合、第1システムおよび第2システムのいずれか一方で当該データ項目が使用される。
領域1150は、データの編集が可能なシステムを規定している。例えば、利用者様情報は、第2システムにおいてのみ編集可能と規定されている。
図12を参照して、ハードディスク5は、テーブル1200をさらに保持する。なお、テーブル1100とテーブル1200とは、一つのテーブルを構成し得る。テーブル1200は、領域1210〜1250を含む。領域1210は、領域1110と同様に、データ項目の分類(種類)を表わすデータを保持する。領域1220は、領域1120と同様に、データ項目の内容を表わすデータを保持する。領域1230は、領域1130と同様に、当該データ項目がマスターデータとしていずれのシステムにおいて管理されるかを規定する。領域1240は、領域1140と同様に、他のシステムとの間でデータの共有を可能にするか否かを規定する制御データを保持する。領域1250は、領域1150と同様に、データの編集が可能なシステムを規定している。
例えば、行動検知およびナースコール記録(領域1220)は、マスターデータとして第1システムに定義されている(領域1230)。データ共有(領域1240)は「する」と規定されているので、第1システムおよび第2システムのいずれによっても共有される。しかしながら、編集(領域1250)については、第2システムでは「不可」と規定されているので、第1システムにおいてのみデータの編集が可能となる。その他の項目についても同様である。
以上のようにして、本実施の形態によれば、第1システムおよび第2システムという二つので共通に使用されるデータ項目については、システム間のデータ連携のため、共通IDが付与される。共通IDは、各システムに固有の識別コードに関連付けられ、システム間のデータの伝送は、共通IDが付された形態で行なわれる。第1システムが共通IDを付したデータ項目を第2システムに送信すると、第2システムは、当該第2システムに固有の識別コードとして共通IDに関連付けられた識別コードを参照して、当該受信したデータの識別コードを共通IDから当該固有の識別コードに変換する。第2システムは、変換後のデータを保存することで、データベースの一貫性が担保される。
また、共通IDは、各システムで使用される情報管理システムに固有の識別コードに関連付けられる態様でそれぞれのシステムに与えられるため、既存の情報管理システムのセキュリティーに影響が及ばない。これにより、既存のシステムに接続される新たなシステムを導入する場合には、当該新たなシステムの開発者は、既存のシステムのセキュリティーを気にすることなく、データ連携のためのソフトウェアを開発することができる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。