JP2020203915A - 2−ハロゲン化安息香酸類の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
項1:式(1):
で表される安息香酸類とハロゲン化剤とを、アルカリ性化合物の存在下に反応させることを特徴とする、2−ハロゲン化安息香酸類の製造方法。
項2: 式(1)中、R1、R2、R3、及びR4が、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数1〜18のアルコキシ基、COOH、又はCOOR5(式中、R5は、炭素数1〜18のアルキル基を示す)である項1に記載の2−ハロゲン化安息香酸類の製造方法。
項3:式(1)中、R1、R2、R3、及びR4が、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜18のアルキル基、又は炭素数1〜18のアルコキシ基である項1又は2に記載の2−ハロゲン化安息香酸類の製造方法。
項4:式(1)中、R1、R2、R3、及びR4が、それぞれ独立に、水素原子、又は炭素数1〜18のアルコキシ基である項1、2又は3に記載の2−ハロゲン化安息香酸類の製造方法。
本発明で用いる反応原料としての安息香酸類は、式(1)で表される安息香酸類である。
ここで、ハロゲン化水素等を副生するハロゲン化剤(例えば、前記ハロゲン分子類等)を用いる場合においては、副生ハロゲン化水素等の酸性源による、安息香酸類の塩のプロトン化を抑制する必要が生じ得る。このため、ハロゲン化水素等を副生するハロゲン化剤を用いる場合には、式(1)で表される安息香酸類1当量に対して添加される、前記所定量のアルカリ性化合物に加えて、用いるハロゲン化剤1当量に対して、更に0.5当量以上のアルカリ性化合物を用いることが好ましい。
反応溶媒として有機溶媒を使用する場合、使用する有機溶媒の種類は特に限定されないが、ハロゲン化剤に対して不活性な溶媒が好ましい。このような溶媒としては、ハロゲン化炭化水素類、エーテル類、カルボン酸類、エステル類が挙げられる。これらは単独で用いても良いし、二種以上を併用しても良い。ハロゲン化炭化水素としては、例えば、クロロベンゼン、塩化メチレン、クロロホルム等が挙げられる。エーテル類としては、例えば飽和アルキルエーテル及び環状エーテルが挙げられ、具体的な飽和アルキルエーテルとしては、エチルエーテル、n−プロピルエーテル、イソプロピルエーテル、n−ブチルエーテル等が挙げられる。環状エーテルとしては、具体的にはジオキサン、テトラヒドロフラン等が挙げられる。カルボン酸類としては、例えば、酢酸、プロピオン酸等が挙げられる。エステル類としては、例えば、飽和アルキルエステルが挙げられ、具体的な飽和アルキルエステルとしては、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル等が挙げられる。
これらの溶媒は単独で用いてもよく、2種以上の溶媒を混合して、混合溶媒として用いてもよい。
さらに、式(1)で表される安息香酸類を1つの工程で全量を添加してもよく、複数の工程に分けて添加してもよい。同様のことがハロゲン化剤、及びアルカリ性化合物にも当てはまる。
また、アルカリ性化合物の一部又は全量を反応容器に導入する前、導入する際、若しくは導入した後にハロゲン化剤の一部又は全量を添加してもよい。
攪拌機、温度計及び還流冷却管を備えた2,000mL容の四つ口フラスコに3,4−ジメトキシ安息香酸182.2g(1.0モル)を仕込み、これに水800gを加えて、3,4−ジメトキシ安息香酸が分散するように攪拌した。引続き、30%水酸化ナトリウム水溶液273.3g(2.05モル)を加えた。続いて、液温を0℃に冷却し、臭素167.8g(1.05モル)を、液温0〜5℃で滴下した。滴下終了後、液温0〜5℃で1時間攪拌した。反応終了後、亜硫酸ナトリウム1.28g(0.01モル)を添加し、次いで、トルエン100gを加え、液温70℃まで昇温した。分液操作により有機相を除去し、得られた水相に35%塩酸104.2g(1.0モル)を滴下し、1時間攪拌した。析出した結晶を濾取し、減圧乾燥を行い、2−ブロモ−4,5−ジメトキシ安息香酸を238.6g(純度99.9%、収率91.3%)で得た。
攪拌機、温度計及び還流冷却管を備えた2,000mL容の四つ口フラスコに3,4−ジエトキシ安息香酸210.4g(1.0モル)を仕込み、これに水800gを加えて、3,4−ジエトキシ安息香酸が分散するように攪拌した。引続き、30%水酸化ナトリウム水溶液273.3g(2.05モル)を加えた。続いて、液温を0℃に冷却し、臭素167.8g(1.05モル)を、液温0〜5℃で滴下した。滴下終了後、液温0〜5℃で1時間攪拌した。反応終了後、亜硫酸ナトリウム1.28g(0.01モル)を添加し、次いで、トルエン100gを加え、液温70℃まで昇温した。分液操作により有機相を除去し、得られた水相に35%塩酸104.2g(1.0モル)を滴下し、1時間攪拌した。析出した結晶を濾取し、減圧乾燥を行い、2−ブロモ−4,5−ジエトキシ安息香酸を239.1g(純度99.9%、収率91.5%)で得た。
攪拌機、温度計及び還流冷却管を備えた2,000mL容の四つ口フラスコに3−メトキシ安息香酸152.0g(1.0モル)を仕込み、これに水800gを加えて、3−メトキシ安息香酸が分散するように攪拌した。引続き、30%水酸化ナトリウム水溶液273.3g(2.05モル)を加えた。続いて、液温を0℃に冷却し、臭素167.8g(1.05モル)を、液温0〜5℃で滴下した。滴下終了後、液温0〜5℃で1時間攪拌した。反応終了後、亜硫酸ナトリウム1.28g(0.01モル)を添加し、次いで、トルエン100gを加え、液温70℃まで昇温した。分液操作により有機相を除去し、得られた水相に35%塩酸104.2g(1.0モル)を滴下し、1時間攪拌した。析出した結晶を濾取し、減圧乾燥を行い、2−ブロモ−5−メトキシ安息香酸を237.3g(純度99.9%、収率90.8%)で得た。
攪拌機、温度計及び還流冷却管を備えた2,000mL容の四つ口フラスコに4−メトキシ安息香酸152.3g(1.0モル)を仕込み、これに水800gを加えて、4−メトキシ安息香酸が分散するように攪拌した。引続き、30%水酸化ナトリウム水溶液273.3g(2.05モル)を加えた。続いて、液温を0℃に冷却し、臭素167.8g(1.05モル)を、液温0〜5℃で滴下した。滴下終了後、液温0〜5℃で1時間攪拌した。反応終了後、亜硫酸ナトリウム1.28g(0.01モル)を添加し、次いで、トルエン100gを加え、液温70℃まで昇温した。分液操作により有機相を除去し、得られた水相に35%塩酸104.2g(1.0モル)を滴下し、1時間攪拌した。析出した結晶を濾取し、減圧乾燥を行い、2−ブロモ−4−メトキシ安息香酸を238.9%(純度99.9%、収率91.4%)で得た。
攪拌機、温度計及び還流冷却管を備えた2,000mL容の四つ口フラスコに3,5−ジメトキシ安息香酸182.2g(1.0モル)を仕込み、これに水800gを加えて、3,5−ジメトキシ安息香酸が分散するように攪拌した。引続き、30%水酸化ナトリウム水溶液273.3g(2.05モル)を加えた。続いて、液温を0℃に冷却し、臭素167.80g(1.05モル)を、液温0〜5℃で滴下した。滴下終了後、液温0〜5℃で1時間攪拌した。反応終了後、亜硫酸ナトリウム1.28g(0.01モル)を添加し、次いで、トルエン100gを加え、液温70℃まで昇温した。分液操作により有機相を除去し、得られた水相に35%塩酸104.2g(1.0モル)を滴下し、1時間攪拌した。析出した結晶を濾取し、減圧乾燥を行い、2−ブロモ−3,5−ジメトキシ安息香酸を237.6g(純度99.9%、収率90.9%)で得た。
攪拌機、温度計及び還流冷却管を備えた2,000mL容の四つ口フラスコに3,4−ジメチル安息香酸150.2g(1.0モル)を仕込み、これに水800gを加えて、3,4−ジメチル安息香酸が分散するように攪拌した。引続き、30%水酸化ナトリウム水溶液273.3g(2.05モル)を加えた。続いて、液温を0℃に冷却し、臭素167.8g(1.05モル)を、液温0〜5℃で滴下した。滴下終了後、液温0〜5℃で1時間攪拌した。反応終了後、亜硫酸ナトリウム1.28g(0.01モル)を添加し、次いで、トルエン100gを加え、液温70℃まで昇温した。分液操作により有機相を除去し、得られた水相に35%塩酸104.2g(1.0モル)を滴下し、1時間攪拌した。析出した結晶を濾取し、減圧乾燥を行い、2−ブロモ−4,5−ジメトキシ安息香酸を230.8g(純度99.9%、収率88.3%)で得た。
攪拌機、温度計及び還流冷却管を備えた1,000mL容の四つ口フラスコに30%水酸化ナトリウム水溶液533.3g(4.00モル)を仕込み、液温−5〜5℃の範囲で、臭素319.6g(2.00モル)を滴下し、次亜臭素酸ナトリウム水溶液852.9gを得た。
次に、攪拌機、温度計及び還流冷却管を備えた2,000mL容の四つ口フラスコに3,4−ジメトキシ安息香酸182.2g(1.0モル)を仕込み、これに水800gを加えて、3,4−ジメトキシ安息香酸が分散するように攪拌した。これに、前記工程で得られた次亜臭素酸ナトリウム水溶液554.4g(臭素1.30モル相当)を、液温0〜5℃で滴下した。液温0〜5℃で1時間攪拌後、亜硫酸ナトリウム8.82g(0.07モル)を添加し、次いで、トルエン100gを加え、液温70℃まで昇温した。分液操作により有機相を除去し、得られた水相に35%塩酸104.2g(1.0モル)を滴下し、1時間攪拌した。析出した結晶を濾取し、減圧乾燥を行い、2−ブロモ−4,5−ジメトキシ安息香酸を233.4g(純度99.9%、収率89.3%)で得た。
攪拌機、温度計及び還流冷却管を備えた2,000mL容の四つ口フラスコに3,4−ジメトキシ安息香酸182.2g(1.0モル)を仕込み、これに水800gを加えて、3,4−ジメトキシ安息香酸が分散するように攪拌した。引続き、30%水酸化ナトリウム水溶液133.3g(1.00モル)を加えた。続いて、液温を0℃に冷却し、N−ブロモスクシンイミド(NBS)186.9g(1.05モル)を、液温0〜5℃で添加した。滴下終了後、液温0〜5℃で1時間攪拌した。反応終了後、亜硫酸ナトリウム1.28g(0.01モル)を添加し、次いで、トルエン100gを加え、液温70℃まで昇温した。分液操作により有機相を除去し、得られた水相に35%塩酸104.2g(1.0モル)を滴下し、1時間攪拌した。析出した結晶を濾取し、減圧乾燥を行い、2−ブロモ−4,5−ジメトキシ安息香酸を238.1g(純度99.9%、収率91.1%)で得た。
攪拌機、温度計及び還流冷却管を備えた2,000mL容の四つ口フラスコに3,4−ジメトキシ安息香酸182.2g(1.0モル)を仕込み、これに水800gを加えて、3,4−ジメトキシ安息香酸が分散するように攪拌した。引続き、30%水酸化ナトリウム水溶液133.3g(1.00モル)を加えた。続いて、液温を0℃に冷却し、1,3−ジブロモ−5,5−ジメチルヒダントイン(DBH)150.1g(0.53モル(1.05当量))を、液温0〜5℃で添加した。滴下終了後、液温0〜5℃で1時間攪拌した。反応終了後、亜硫酸ナトリウム1.28g(0.01モル)を添加し、次いで、トルエン100gを加え、液温70℃まで昇温した。分液操作により有機相を除去し、得られた水相に35%塩酸104.2g(1.0モル)を滴下し、1時間攪拌した。析出した結晶を濾取し、減圧乾燥を行い、2−ブロモ−4,5−ジメトキシ安息香酸を239.4g(純度99.9%、収率91.6%)で得た。
攪拌機、温度計及び還流冷却管を備えた2,000mL容の四つ口フラスコに3,4−ジメトキシ安息香酸182.2g(1.0モル)を仕込み、これに水800gを加えて、3,4−ジメトキシ安息香酸が分散するように攪拌した。引続き、30%水酸化ナトリウム水溶液133.3g(1.00モル)を加えた。続いて、液温を0℃に冷却し、臭素167.8g(1.05モル)を、液温0〜5℃で滴下した。滴下終了後、液温0〜5℃で1時間攪拌した。反応終了後、亜硫酸ナトリウム1.28g(0.01モル)を添加し、次いで、トルエン100gを加え、液温70℃まで昇温した。分液操作により有機相を除去し、得られた水相に35%塩酸104.2g(1.0モル)を滴下し、1時間攪拌した。析出した結晶を濾取し、減圧乾燥を行い、2−ブロモ−4,5−ジメトキシ安息香酸を177.2g(純度99.9%、収率67.8%)で得た。
攪拌機、温度計及び還流冷却管を備えた2,000mL容の四つ口フラスコに3,4−ジメトキシ安息香酸182.2g(1.0モル)を仕込み、これに水800gを加えて、3,4−ジメトキシ安息香酸が分散するように攪拌した。液温を0℃に冷却し、臭素167.8g(1.05モル)を、液温0〜5℃で滴下した。滴下終了後、液温0〜5℃で1時間攪拌した。反応液を液体クロマトグラフィーで分析したところ、3,4−ジメトキシ安息香酸の77%(0.77モル)残存していた。更に、液温を60℃まで昇温し、6時間攪拌した。その後、亜硫酸ナトリウム1.28g(0.01モル)を添加し、次いで、トルエン100gを加え、液温70℃まで昇温した。分液操作により有機相を除去し、得られた水相に35%塩酸104.2g(1.0モル)を滴下し、1時間攪拌した。析出した結晶を濾取し、減圧乾燥を行い、2−ブロモ−4,5−ジメトキシ安息香酸を29.0g(純度79.3%、収率8.8%)で得た。
特許文献2に記載の方法に従って、攪拌機、温度計及び還流冷却管を備えた10,000mL容の四つ口フラスコに35%塩酸3650mLを仕込み、これに3,4−ジメトキシ安息香酸182.2g(0.14モル)を加えて、3,4−ジメトキシ安息香酸が分散するように攪拌した。続いて、液温25℃で、臭素167.8g(1.05モル)を、液温20〜30℃で滴下した。滴下終了後、液温20〜30℃で7時間攪拌した。次いで、水3650mLを加え、1時間攪拌後、析出した結晶を濾取した。減圧乾燥し、2−ブロモ−4,5−ジメトキシ安息香酸を261.1g(純度90.3%、収率90.3%)で得た。
しかし、本発明の実施例1〜10の結果によると、得られる2−ハロゲン化安息香酸類の収率が高く、目的化合物の収率が低くなるという問題は生じていないので、脱炭酸反応が抑制されているか、又はほとんど進行していないことが分かる。
したがって、本発明の実施例1〜10から明らかなように、本発明の製造方法によれば、脱炭酸反応も抑制でき、高い位置選択性を有し、かつ、高い収率で2−ハロゲン化安息香酸類を製造することができる。
また、比較例2によれば、ベンゼン環の2位以外がハロゲン化された複数の位置異性体(表中のB、C、D等)が副生する。これらの位置異性体は目的化合物(2−ハロゲン化安息香酸)と物性が類似しているため、それぞれを目的化合物と分離することが困難である。しかしながら、実施例1〜10において副生する化合物は、2−ハロゲン化安息香酸類からカルボン酸部位が脱離した脱炭酸体、及び、前記脱炭酸体に更に臭素が付加したジブロモ体(表中のA)であり、これらは目的化合物と物理物性が異なるため、分液操作等で容易に除去できる。
さらに、比較例2によれば、安息香酸類1モルに対して、35%塩酸3650mL、及び、水3650mL(合計7300mL)を使用している。しかしながら、例えば、実施例8〜10では、30%水酸化ナトリウム水溶液を103mL、水800mL(合計903mL)でよく、容積効率の観点からも、工業的に有利であることは明らかである。
Claims (3)
- 式(1):
[式(1)中、R1及びR4は水素原子であり、R2は、水素原子、炭素数1〜18のアルキル基又は炭素数1〜18のアルコキシ基であり、R3は炭素数1〜18のアルコキシ基である。]で表される安息香酸類とハロゲン化剤とを、アルカリ性化合物および水の存在下に反応させ、
前記ハロゲン化剤の使用量は、式(1)で表される安息香酸類1当量に対し、0.5〜10当量であり、かつ、アルカリ性化合物の使用量は、式(1)で表される安息香酸類1当量に対し0.8〜2.5当量であって、前記所定量のアルカリ性化合物に加えて、使用するハロゲン化剤1当量に対して、更に0.5当量以上のアルカリ性化合物を用いることを特徴とする、2−ハロゲン化安息香酸類の製造方法。 - 前記ハロゲン化剤が臭素である、請求項1に記載の2−ハロゲン化安息香酸類の製造方法。
- 液温0〜5℃で反応を行うことを特徴とする、請求項1又は2に記載の2−ハロゲン化安息香酸類の製造方法。
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