JP2020203801A - 膜付きガラス基板の製造方法、膜付きガラス基板、および膜の除去方法 - Google Patents

膜付きガラス基板の製造方法、膜付きガラス基板、および膜の除去方法 Download PDF

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Abstract

【課題】外観上の品質に影響を与えない程度に反りを小さくする、膜付きガラス基板の製造方法の提供。【解決手段】熱間プレス成形により曲率を(κg)としたガラス基板11に膜12を形成する際に、ガラス基板11の板厚(tg)、ヤング率(Eg)、ポアソン比(νg)および曲率(κg)と、形成する膜12の膜厚(tf)および膜応力(σf)との関係が、特定の数式を満足する膜12とする。【選択図】図8

Description

本発明は、膜付きガラス基板の製造方法、膜付きガラス基板、および膜の除去方法に関する。
タブレットPCやスマートフォンなどのように、液晶パネルや有機ELパネルなどの画像表示パネルを備えた携帯型電子機器では、画像表示パネルの表面を保護するため、画像表示パネル上にカバーガラスが設けられている。カバーガラスには、反射の抑制や耐傷性を高めるために膜をガラス基板の表面に形成した膜付きガラス基板が用いられている。
カバーガラスとして膜付きガラス基板を用いる場合、ガラス基板上に形成中の膜が、ガラス基板に対して膜の面方向に相対的に収縮または膨張すると、膜の面方向に膜応力が生じ、膜付きガラス基板は反り易かった。この反りが大きいと、膜付きガラス基板を画像表示パネルの表面に貼り合わせても、膜付きガラス基板が剥がれてしまう場合などがあり、携帯型電子機器の製造の歩留まりが低下する。そのため、膜付きガラス基板の主面はできるかぎり平坦としていた。
膜付きガラス基板の反りを抑制する方法として、例えば、予め反ったガラス基板に、ガラス基板の反りが抑えられるように薄膜を形成する薄膜付き強化ガラス基板の製造方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この薄膜付き強化ガラス基板の製造方法では、ガラス基板の主面に圧縮応力層を形成して強化ガラス基板を作製する際、強化ガラス基板の外表面に対して垂直な方向に凸または凹となるように反りを形成する。そして、前記強化ガラス基板の少なくとも一方の主面に形成した圧縮応力層の上に薄膜を形成し、前記強化ガラス基板の反りを低減させている。
特開2017−30997号公報
しかしながら、特許文献1に記載の薄膜付き強化ガラス基板では、薄膜付き強化ガラス基板の反りが小さく抑えられ過ぎていた。そのため、薄膜付きガラス基板の製造以降の工程流動において薄膜付きガラス基板の主面に傷が付き易くなるなど、薄膜付き強化ガラス基板の外観上の品質を低下させる可能性があった。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、外観上の品質に影響を与えない程度に反りを小さくする膜付きガラス基板の製造方法を提供することを主な目的とする。
上記課題を解決するため、本発明の一態様によれば、
ガラス基板と、前記ガラス基板の主面上に形成された膜とを有する膜付きガラス基板の製造方法であって、
板厚(t)、ヤング率(E)、ポアソン比(νg)、および曲率(κ)のガラス基板に、膜厚(t)、および膜応力(σ)の膜を形成する膜形成工程を含み、
下記式(1):
Figure 2020203801

の範囲内にあって、
前記ガラス基板の曲率を、下記式(2):
Figure 2020203801

を満たす範囲内とする膜付きガラス基板の製造方法が提供される。
本発明の一態様によれば、外観上の品質に影響を与えない程度に反りを小さくする膜付きガラス基板の製造方法が提供される。
一実施形態に係る膜付きガラス基板の製造方法を示すフローチャートである。 ガラス基板の斜視図である。 図2のA−A方向から見た図である。 ガラス基板の主面を反らせた状態の斜視図である。 図4のB−B方向から見た図である。 ガラス基板の曲率を説明するための図である。 一実施形態に係る膜付きガラス基板を示す斜視図である。 図7のC−C方向から見た図である。 膜付きガラス基板の他の形態を示す斜視図である。 図9のD−D方向から見た図である。
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。なお、理解の容易のため、図面における各部材の縮尺は実際とは異なる場合がある。以下の説明において、鉛直方向の上を上といい、鉛直方向の下を下という場合がある。本明細書では、3軸方向(X軸方向、Y軸方向、Z軸方向)の3次元直交座標系を用い、ガラス基板の幅方向をX方向とし、奥行き方向をY方向とし、厚さ方向をZ方向とする。ガラス基板から膜に向かう方向を+Z軸方向とし、その反対方向を−Z軸方向とする。
一実施形態に係る膜付きガラス基板の製造方法について説明する。図1は、一実施形態に係る膜付きガラス基板の製造方法を示すフローチャートである。図1に示すように、一実施形態に係る膜付きガラス基板の製造方法は、ガラス基板の主面を反らせて、所定の曲率を有するガラス基板を準備するガラス基板の準備工程(ステップS11)と、所定の曲率を有するガラス基板の主面に反射防止膜(AR膜)を成膜(形成)する膜形成工程(ステップS12)とを含む。
以下、各工程について図2〜図8に基づいて説明する。図2〜図8は、一実施形態に係る膜付きガラス基板の製造方法の工程の一部を示す説明図である。
ガラス基板の準備工程(ステップS11)では、まず、図2および図3に示すように、対向する一対の主面11a、11bを有するガラス基板11を準備する。ガラス基板11の主面11a、11bは、平面視で矩形に形成されている。本明細書において、矩形とは、長方形や正方形の他、長方形や正方形の角を面取りした形を含む。
ガラス基板11の材質としては、ソーダライムシリカガラス、ホウケイ酸ガラス、またはアルミノシリケートガラスなどを挙げることができる。
ガラス基板11は、ガラス原料を溶融し、溶融ガラスを板状に成形して得られる。その成形方法としては、一般的なものであればよく、例えば、フロート法、フュージョン法、ダウンドロー法、リドロー法、またはプレス成形法などが用いられる。中でも、ガラス基板11の製造方法としては、大量生産に適したフロート法を用いることが好ましい。
ガラス基板11の板厚(厚さ)tは、完成品である膜付きガラス基板10(図7および図8参照)の用途に応じて設計される。ガラス基板11の板厚tは、例えば、0.1mm〜1.0mmであることが好ましく、0.2mm〜0.5mmであることがより好ましく、0.2mm〜0.35mmであることがさらに好ましい。ガラス基板11の板厚tが0.1mm以上であれば、ガラス基板11に割れが生じるのを抑制することができる。ガラス基板11の板厚tが1.0mm以下の場合には、ガラス基板11の軽量化を図ることができる。なお、本明細書において、ガラス基板11の板厚tとは、ガラス基板11の主面11a、11bに垂直な方向の長さをいう。ガラス基板11の板厚tは、例えば、ガラス基板11の断面において、任意の場所を測定した時の厚さである。ガラス基板11の断面において、任意の場所で数カ所測定した場合は、これらの測定箇所の厚さの平均値としてもよい。
ガラス基板11のヤング率Eは、65MPa〜120MPaが好ましい。ヤング率Eが上記範囲内であれば、ガラス基板11の耐クラック性や強度を十分維持することができる。ヤング率Eは、より好ましくは75MPa〜120MPaであり、さらに好ましくは85MPa〜100MPaである。ヤング率Eは、振子法、共振法、または超音波パルス法など公知の測定法により測定できる。
ガラス基板11のポアソン比νgは、0.16〜0.4であることが好ましい。ポアソン比νgが上記範囲内であれば、ガラス基板11はガラス素材として一般的であるといえ、適用できる。ポアソン比νgは、ガラス基板11に引張応力を加えたときの、ガラス基板11の応力方向に沿って発生する歪みとガラス基板11の応力方向に対して直交する方向に発生する歪みとの比を意味する。ポアソン比νgは、例えば、JIS−K7165(2008)、またはJIS−K7164(2005)などに準拠して測定した値を用いることができる。
ガラス基板11は、化学強化されていてもよい。化学強化する場合、ガラス基板11の表面に含まれる、例えば、LiイオンやNaイオンなどのようなイオン半径が小さいイオンを、例えば、Kイオンなどのように相対的にイオン半径が大きいイオンに置換する。これにより、ガラス基板11の表面から所定の深さに圧縮応力層を形成する。ガラス基板11を化学強化して、ガラス基板11の表面に圧縮応力層を形成することで、ガラス基板11の強度を向上させ、接触などによりガラス基板11が破損することを抑制することができる。
ガラス基板の準備工程(ステップS11)では、準備したガラス基板11の主面11a、11bを反らせて、図4および図5に示すように、ガラス基板11をガラス基板11の主面11a、11bが+Z軸方向に凹状に湾曲した形状とする。これにより、所定の曲率κgを有するガラス基板11が得られる。本明細書において、曲率は、基板の曲がり具合を意味し、曲率半径の逆数である。曲率半径は、図6に示すように、基板に接している仮想上の円の半径Rをいう。本実施形態では、ガラス基板11の曲率κgは、+Z軸方向に凹状に湾曲させたガラス基板11の主面11a、11bの曲率半径の逆数から求められる。なお、ガラス基板11の曲率κとは、後述する膜形成工程(ステップS12)でAR膜が成膜される前のガラス基板11の主面11a、11bの曲率をいう。ガラス基板11の曲率κgを選択する方法の詳細については、後述する。
なお、本明細書において、ガラス基板11の曲率κgは、ガラス基板11の主面11a、11bが膜形成工程(ステップS12)において成膜されるAR膜の成膜方向(本実施形態では、+Z軸方向)に対して凹状に湾曲している時は、正の値で表わす。ガラス基板11の曲率κgは、ガラス基板11の主面11a、11bがAR膜の成膜方向に凸状に湾曲している時は、負の値(マイナス(−)の符号)で表わす。
ガラス基板11の曲率κの絶対値は、0.03(1/m)〜0.3(1/m)であることが好ましい。ガラス基板11の曲率κの絶対値が、上記範囲内であれば、均一に成膜することができる。ガラス基板11の曲率κの絶対値は、0.06(1/m)〜0.2(1/m)であることがより好ましい。
ガラス基板11の主面11a、11bを反らせて、ガラス基板11の曲率κを調整する方法として、公知のガラス基板の変形方法を用いることができる。ガラス基板の変形方法としては、例えば、ガラス基板11を加熱して軟化させ、変形させる方法、ガラス基板11の主面11a、11bのうち少なくとも一方の面を化学強化する方法などを用いることができる。ガラス基板11を加熱して軟化させ、変形させる方法として、例えば、ガラス基板11を加熱しながら成形モールドなどでプレス成形する方法などがある。ガラス基板11の主面11a、11bのうち少なくとも一方の面を化学強化する方法としては、例えば、化学強化していないガラス基板11の主面11a、11bに化学強化による応力の入り方を異ならせる方法などがある。これらの中でも、操作が簡単である点から、ガラス基板11を加熱して軟化させ、変形させる方法が好ましい。
膜形成工程(ステップS12)では、図7および図8に示すように、ガラス基板11の主面11aにAR膜12を形成する。これにより、一実施形態に係る膜付きガラス基板10が得られる。本実施形態では、膜付きガラス基板10は、その主面がAR膜12の成膜されている方向(本実施形態では、+Z軸方向)に凸状に湾曲している。
膜形成工程(ステップS12)で得られた膜付きガラス基板10は、不図示の搬送装置により搬送される。このとき、膜付きガラス基板10の主面が凸状に湾曲している方向(本実施形態では、+Z軸方向)を下向きの状態で膜付きガラス基板10が前記搬送装置により搬送されると、膜付きガラス基板10の主面の中央部が前記搬送装置内の搬送ローラや平らな搬送板など搬送部品と接触するため、膜付きガラス基板10の主面の中央部に傷が付き易い。そのため、膜付きガラス基板10は、その主面が凸状に湾曲している方向(本実施形態では、+Z軸方向)を上向きにして搬送される。膜付きガラス基板10は、その主面が+Z軸方向に凸状に湾曲して反っている状態を維持しながら搬送される。そのため、前記搬送装置内のローラなど搬送部品には膜付きガラス基板10の主面の外周部が接触し、膜付きガラス基板10の主面の中央部が接触するのを抑制することができる。よって、膜付きガラス基板10は、膜付きガラス基板10の主面の中央部に前記搬送部品との接触により傷などが生じないようにしながら、前記搬送装置で搬送できる。
AR膜12は、ガラス基板11の表面の反射率を低減させ、透過率を増加させる機能を有する膜である。AR膜12は、ガラス基板11よりも屈折率の低い物質で形成される低屈折率層と、低屈折率層の上に低屈折率層より屈折率の高い物質で形成される高屈折率層とを交互に積層した光学多層膜である。
AR膜12は、例えば、AlN、AlON、Al23、SiO、Si、SiON、ZrO2、Ta、SnO、In、ZnO、TiO2、またはNb2などを1種類以上用い、1種類以上の低屈折率層と1種類以上の高屈折率層とに分けて積層することで形成することができる。
AR膜12の成膜方法は、AR膜12の種類などに応じて適宜選択することができる。AR膜12の成膜方法としては、例えば、スパッタリング法、反応性マグネトロンスパッタリング法、化学的蒸着法、電子ビーム蒸着法、イオンアシスト蒸着法、原子層堆積法(ALD法)などの気相法、ゾルゲル法やスピンコート法などのウエット法などを用いることができる。これらの中でも、スパッタリング法が成膜温度の低い条件で、硬度の高い膜が得られる点で好ましい。なお、スパッタリング法を用いる際、成膜中から成膜後にかけてガラス基板11の温度が200℃を超えると、ガラス基板11が化学強化されている場合、化学強化されたガラス基板の強度が低下するため、ガラス基板11を冷却する必要がある。そこで、スパッタリング法としては、例えば、ラジカルアシストスパッタリング(RAS)法(例えば、米国特許第6103320号など参照)やメタモード法(例えば、特許第5783613号公報など参照)などを用いることが好ましい。
AR膜12の膜厚(厚さ)tは、完成品である膜付きガラス基板10の用途などに応じて設計される。AR膜12の膜厚tは、例えば、0.3μm〜5.0μmであることが好ましい。AR膜12の膜厚tが厚すぎると、透過率が下がり光学特性が悪くなる。AR膜12の膜厚tが薄いと、傷に弱くなってしまう。そのため、AR膜12の膜厚tは、0.4μm〜4μmであれば、バランスの良い性能を発揮することができる。AR膜12の膜厚tは、0.6μm〜3.5μmであることがより好ましい。なお、本明細書において、AR膜12の膜厚tは、AR膜12の主面に垂直な方向の長さをいう。AR膜12の膜厚tは、ガラス基板11の板厚tと同様、例えば、AR膜12の断面において、任意の場所を測定した時の厚さであり、AR膜12の断面において、任意の場所で数カ所測定した場合は、これらの測定箇所の厚さの平均値とする。
AR膜12がガラス基板11の主面11a上に成膜されている時に、ガラス基板11に対してAR膜12の面方向にAR膜12が収縮または膨張することにより、AR膜12の面方向に膜応力が生じる。この膜応力により、ガラス基板11の主面11a、11bが+Z軸方向に凸状または凹状に湾曲して、湾曲した膜付きガラス基板10が得られる。なお、膜応力とは、AR膜12の内部応力を意味する。AR膜12の膜応力は、圧縮方向の応力(圧縮応力)の場合、または引張方向の応力(引張応力)の場合がある。本明細書では、膜応力σが引張応力の場合には、正の値で表わし、圧縮応力の場合には、負の値(マイナス(−)の符号)で表わす。本実施形態では、AR膜12は圧縮応力を有し、ガラス基板11の主面11a、11bを+Z軸方向に凸状に反らせる。AR膜12の膜応力σの絶対値は、例えば、10MPa〜800MPaであることが好ましい。AR膜12の膜応力σが大きいと、後述の、膜厚tと膜応力σとを乗じた値tσの絶対値(以下、|tσ|ともいう。)を大きくすることができて好ましい。しかし、|tσ|が大きくなりすぎると、AR膜12とガラス基板11との密着力が悪くなるなどの可能性がある。そのため、AR膜12の膜応力σは、100MPa〜600MPaであることがより好ましく、200MPa〜400MPaであることがさらに好ましい。
膜応力σは、所定の長さ当りの膜付きガラス基板10の変形量を測定して得られた値から算出することができる。膜応力σは、例えば、KLA−TENCOR社製の薄膜応力測定装置など公知の装置を用いて、膜付きガラス基板10のX軸方向の中心を通る線上の表面形状を複数の点(例えば、50点)で測定して曲率半径を求める。求めた曲率半径から、後述する下記式(i)のstoneyの式を用いることにより、AR膜12の膜応力σを計算することができる。
|tσ|は、200Pa・m以上であることが好ましい。|tσ|が、200Pa・m以上であれば、AR膜12の表面のマルテンス硬さが高く、十分な耐傷性を有することができる。|tσ|は、400Pa・m以上であることがより好ましい。
ここで、本実施形態では、ガラス基板の準備工程(ステップS11)において、膜形成工程(ステップS12)と同じ条件で得られるAR膜12の膜厚tおよび膜応力σを測定し、下記式(1)が成立するか否か確認する。
Figure 2020203801

(但し、式(1)中、tは、AR膜の膜厚であり、σは、AR膜の膜応力であり、νgは、ガラス基板のポアソン比であり、Eは、ガラス基板のヤング率であり、tは、ガラス基板の厚さである。)
なお、膜厚tおよび膜応力σを測定するAR膜12は、ガラス基板に形成することが好ましいが、ガラス以外の他の材料からなる基板を用いてもよい。
上記式(1)が成立する場合、AR膜12が成膜される前のガラス基板の主面が理想平面であるとすると、前記主面にAR膜12が成膜された膜付きガラス基板の曲率の絶対値は、stoneyの式から、0.08(1/m)よりも大きくなってしまうことが予想される。stoneyの式は、下記式(i)で表わされる。
Figure 2020203801

(但し、式(i)中、σは、AR膜の膜応力であり、Eは、ガラス基板のヤング率であり、tは、ガラス基板の厚さであり、νgは、ガラス基板のポアソン比であり、tは、AR膜の膜厚であり、Rafterは、膜付きガラス基板の曲率半径であり、Rbeforeは、AR膜の成膜前のガラス基板の曲率半径である。)
AR膜12が成膜される前のガラス基板11の主面11aが理想平面である場合、上記式(i)中の1/Rbeforeはゼロである。1/Rafterは、(6tσ(1−νg)/(E 2)×106)で表わされ、上記式(1)の左辺と同じになる。
よって、上記式(1)中の(6tσ(1−νg)/(E 2)×106)は、理想平面であるガラス基板の主面上にAR膜12が成膜された時の膜付きガラス基板の曲率と表わされる。この曲率を、以下、膜付きガラス基板の予測曲率変化Δκfという。膜付きガラス基板の予測曲率変化Δκfは、膜付きガラス基板の主面がAR膜12の成膜方向(本実施形態では、+Z軸方向)に対して凹状に湾曲している時は、正の値で表わす。膜付きガラス基板の予測曲率変化Δκfは、膜付きガラス基板の主面がAR膜12の成膜方向(本実施形態では、+Z軸方向)に凸状に湾曲している時は、負の値(マイナス(−)の符号)で表わす。
なお、膜付きガラス基板の予測曲率変化Δκfは、上記式(1)より求められるが、平坦度がゼロの理想平面を有するガラス基板を用いて、前記理想平面上にAR膜12を成膜して得られる膜付きガラス基板の曲率を測定してもよい。この場合、上記の膜応力σの測定に用いる薄膜応力測定装置を用いて、膜付きガラス基板の湾曲している方向に沿って膜付きガラス基板のAR膜上を接触式プローブで走査することにより、膜付きガラス基板の曲率半径を求める。得られた曲率半径から、膜付きガラス基板の予測曲率変化Δκfを求めることができる。また、膜付きガラス基板の曲率半径を求める際、膜付きガラス基板の主面11b上をレーザ光で走査させてもよい。
そこで、上記式(1)が成立する場合には、上記式(i)で発生する応力により変形するガラス基板の予測曲率が0.025(1/m)よりも大きく0.10(1/m)よりも小さくなるように、好ましくは0.025(1/m)よりも大きく0.08(1/m)よりも小さくなるように、AR膜12が成膜される前のガラス基板11の主面11a、11bを反らせる。具体的には、ガラス基板11の曲率κが下記式(2)を満たすように反らせる。
Figure 2020203801

(但し、式(2)中、tは、AR膜の膜厚であり、σは、AR膜の膜応力であり、νgは、ガラス基板のポアソン比であり、Eは、ガラス基板のヤング率であり、tは、ガラス基板の厚さであり、κは、ガラス基板の曲率である。)
上記式(2)中の(6tσ(1−νg)/(E 2)×106+κ)は、(Δκf+κ)と表わされ、膜付きガラス基板10の曲率と表わせる。この曲率を、膜付きガラス基板10の予測曲率(Δκf+κ)という。なお、膜付きガラス基板10の予測曲率(Δκf+κ)は、膜付きガラス基板の予測曲率変化Δκfと同様、膜付きガラス基板の主面がAR膜12の成膜方向(本実施形態では、+Z軸方向)に対して凹状に湾曲している時は、正の値で表わす。膜付きガラス基板10の予測曲率(Δκf+κ)は、AR膜12の成膜方向(本実施形態では、+Z軸方向)に凸状に湾曲している時は、負の値(マイナス(−)の符号)で表わす。
上記式(2)で、(6tσ(1−νg)/(E 2)×106)が正の値となるときは、ガラス基板11の曲率κは負の値(マイナス(−)の符号)を選択し、(6tσ(1−νg)/(E 2)×106)が負の値(マイナス(−)の符号)となるときは、ガラス基板11の曲率κは正の値を選択し、上記式(2)を満たすように、ガラス基板11の曲率κが選択される。
上記式(2)を満たすことで、膜付きガラス基板10は、0.025(1/m)よりも大きく0.10(1/m)よりも小さい範囲内に予測曲率(Δκf+κ)を有する。膜付きガラス基板10は、上記のように、膜付きガラス基板10の主面が凸状に湾曲している方向(本実施形態では、+Z軸方向)を上向きにして不図示の搬送装置により搬送される。膜付きガラス基板10の予測曲率(Δκf+κ)が0.025(1/m)以下の場合には、膜付きガラス基板10の予測曲率(Δκf+κ)が小さすぎるため、膜付きガラス基板10の自重で膜付きガラス基板10の反りを維持できない場合がある。この場合、膜付きガラス基板10の反りが潰れてしまい、ほぼ平坦に変形してしまう。そのため、膜付きガラス基板10の製造以降の工程流動で、膜付きガラス基板10の主面のほぼ全体が不図示の搬送装置内の搬送ローラや平らな搬送板などの搬送部品と接触する。その結果、膜付きガラス基板10の主面のほぼ全体に傷が付き易くなるなど、薄膜付き強化ガラス基板の外観上の品質を低下させる可能性がある。一方、膜付きガラス基板10の予測曲率(Δκf+κ)が0.10(1/m)以上の場合には、膜付きガラス基板10の予測曲率(Δκf+κ)が大き過ぎる。そのため、膜付きガラス基板10を携帯型電子機器などの画像表示パネルに貼り合わせても、膜付きガラス基板10が画像表示パネルから剥がれてしまう可能性がある。また、画像表示パネルに膜付きガラス基板10を貼り合わせた基板の反りが大きくなるため、画面が歪み、携帯型電子機器のバックライトから光が漏れる可能性などがある。そのため、携帯型電子機器は不良品となり、携帯型電子機器の製造の歩留まりの低下を招く可能性がある。
一実施形態に係る膜付きガラス基板10の製造方法を用い、ガラス基板11の主面11aの曲率κを選択することで、得られる膜付きガラス基板10は、膜付きガラス基板10の予測曲率(Δκf+κ)を所定の範囲内とし、外観上の品質に影響を与えない程度に反りを小さくすることができる。そのため、膜付きガラス基板10の製造以降の工程流動で膜付きガラス基板10の主面の中央部に傷を付き難くすることができると共に、携帯型電子機器の製造時の歩留まりを高くすることができる。
よって、膜付きガラス基板10は、タブレットPCやスマートフォンなどのように薄型化および軽量化が要求される携帯型電子機器に使用されるカバーガラスとして好適に用いることができる。
また、実施形態では、ガラス基板11は、AR膜12が成膜された後でも、AR膜12が成膜されたガラス基板11からAR膜12を除去することで、再利用することができる。膜付きガラス基板10からAR膜12が除去されると、ガラス基板11の曲率は、AR膜12が形成される前の曲率κに戻る。
膜付きガラス基板10からAR膜12を除去する膜の除去方法として、プラズマガスを用いてエッチングする方法、コロイダルシリカを用いて研磨する方法、または酸性もしくはアルカリ性水溶液を用いてエッチングする方法などがある。中でも、プラズマガスを用いてエッチングする方法により行なうことが好ましい。
プラズマガスを用いてエッチングする方法は、反応室にフルオロカーボン系ガスやハロゲン系ガスなどのソースガスを導入して、ソースガスを励起してプラズマ化することで、フッ素ラジカルや塩素ラジカルを生成し、堆積物をエッチングして除去する方法である。プラズマガスを用いてエッチングする方法には、従来公知のエッチング装置を用いることができる。エッチング時のソースガスとしては、例えば、CF、CHF、C、C、C、C、C、CCl、CBrFなどのフルオロカーボン系ガス、CCl、BCl、PCl、SF、Clなどのハロゲン系ガスを用いることができる。なお、これらのガスは混合して用いることもできる。
膜付きガラス基板10からAR膜12を除去する際、AR膜12はガラス基板11から全部除去されていなくてもよく、少なくとも一部除去されていればよい。
なお、本実施形態では、ガラス基板11の形状は、平面視で矩形に形成されているが、ガラス基板11の平面視での形状は特に限定されず、円形などでもよい。
本実施形態では、膜付きガラス基板10は、ガラス基板11およびAR膜12の主面が+Z軸方向に凸状に湾曲しているが、これに限定されない。例えば、図9および図10に示すように、膜付きガラス基板10は、ガラス基板11およびAR膜12の主面が+Z軸方向に凹状に湾曲していてもよい。この場合、膜付きガラス基板10は、−Z軸方向を上向きにして搬送装置により搬送される。
本実施形態では、ガラス基板11の主面11a上に膜としてAR膜12が形成される場合について説明したが、これに限定されるものではなく、傷防止膜などAR膜12以外の他の膜でもよい。ガラス基板11の主面11a上に膜として傷防止膜が形成される場合、傷防止膜は、例えば、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、窒化ケイ素、炭化ケイ素、窒化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化ハフニウム、酸化スズ、またはダイヤモンドライクカーボン(DLC)などを用いて形成することができる。傷防止膜は、単層膜でもよいし、上記材料からなる層が複数積層された多層膜でもよい。
以下、下記の条件で、膜付きガラス基板の予測曲率(Δκf+κ)を調整しながら膜付きガラス基板の製造を行い、膜付きガラス基板を評価した例を示す。例1〜3は実施例であり、例4〜例6は比較例である。
<例1>
[膜付きガラス基板の作製]
ガラス基板として、板厚400μm(0.4mm)、一辺の長さ100mmの、平面視において正方形のガラス基板1を準備した。ガラス基板1を加熱しながらプレス成形して反らせ、ガラス基板の曲率κを0.07(1/m)とした。ガラス基板の曲率κは、後述するAR膜を成膜する前のガラス基板1の曲率である。ガラス基板の曲率κの値は、AR膜が成膜される方向(本例では、+Z軸方向)に対して凹状に湾曲している時は、正の値で表わし、AR膜が成膜される方向(本例では、+Z軸方向)に凸状に湾曲している時は、負の値(マイナス(−)の符号)で表わした。なお、以下、膜付きガラス基板の予測曲率変化Δκfおよび膜付きガラス基板の予測曲率(Δκf+κ)の値も同様に表わした。
次ぎに、ガラス基板1の主面上に、ロードロック式スパッタ装置(RAS−1100BII、シンクロン社製)を用いて、RAS法により、ガラス基板1上に、酸化ケイ素膜(SiO2膜)と窒化ケイ素膜(Si34膜)とを交互に成膜することを繰り返し、膜厚tが約0.43μmのAR膜を形成した。AR膜は、ガラス基板1側から、SiO2膜とSi34膜とを交互に積層し、最終層をSiO2膜とし、9層とした。なお、SiO2膜およびSi34膜の成膜条件は、以下の通りである。
(SiO2膜の成膜条件)
ターゲット:p‐Siターゲット
スパッタリングガス:Arガス(流量:60sccm)
投入電力:7.5kW
反応性ガス:O2(流量:110sccm)
RF電力:3kW
基板温度:常温
成膜速度:0.3nm/min
(Si34膜の成膜条件)
ターゲット:p‐Siターゲット
スパッタリングガス:Arガス(流量:60sccm)
投入電力:7.0kW
反応性ガス:N2(流量:110sccm)
RF電力:1kW
基板温度:常温
成膜速度:0.2nm/min
[AR膜の膜応力σおよびマルテンス硬さの測定]
得られたAR膜の膜応力σを、以下の測定方法により測定した結果、膜応力σは、−580MPaであった。|tσ|は、約249.4Pa・mであった。AR膜のマルテンス硬さを以下の測定方法により測定した結果、マルテンス硬さは、約5.1GPaであった。なお、膜応力σの値は、膜応力σが圧縮応力の場合には、負の値(マイナス(−)の符号)で表わし、引張応力の場合には、正の値とした。
(膜応力σの測定方法)
KLA−TENCOR社製の薄膜応力測定器を使用して、AR膜の膜応力の測定を行った。スキャンポイントは50、レーザ光の種類は自動を選択し、成膜前のガラス基板と成膜後のガラス基板の中心を通る線上の表面形状を測定した。得られた曲率半径から、上記式(i)のstoneyの式を用いて、膜応力σを計算した。
(マルテンス硬さの測定方法)
株式会社フィッシャー・インスツルメンツ製のPICODENTOR HM500を用いて表面硬度を測定した。測定圧子はビッカース圧子を用い、最大荷重到達時間を10秒、クリープ時間を5秒、押し込み荷重を0.05mNから500mNの間で徐々に変更し、それぞれの条件で5回測定を実施し、その平均値を得られた測定値の測定結果とした。このとき、最大押し込み深さが10nm〜100nmの間になるように荷重を調整し、最大押し込み深さが10nm〜100nmのマルテンス硬さの最大値を測定値とした。マルテンス硬さが高いほど、AR膜の表面が硬いことを意味することから、AR膜の耐傷性が高いことを示す。
[理想平面であるガラス基板の主面上にAR膜が成膜された時の膜付きガラス基板の予測曲率変化(膜付きガラス基板の予測曲率変化)Δκfの算出]
膜付きガラス基板の予測曲率変化Δκfを、上記式(1)に基づいて算出した結果、膜付きガラス基板の予測曲率変化Δκfは、約−0.100(1/m)であった。
[膜付きガラス基板の予測曲率(Δκf+κ)の算出]
膜付きガラス基板の予測曲率変化Δκfと、AR膜を成膜する前のガラス基板1の曲率κとを合わせて、膜付きガラス基板の予測曲率(Δκf+κ)を求めた。
[ガラス基板として適合しているか適合性の評価]
(搬送性)
搬送性は、膜付きガラス基板を曲率が0.01(1/m)のSUSの台に載せた時に、膜付きガラス基板が台との接触で傷が発生し易いかで評価した。膜付きガラス基板の一方の主面側を下向きにした状態で、膜付きガラス基板を台に載せて持ち上げる動作を100回繰り返し行った後、膜付きガラス基板の一方の主面に発生した傷の数を求めた。その後、膜付きガラス基板の他方の主面側を下向きにした状態で、同様に、膜付きガラス基板を台に載せて持ち上げる動作を100回繰り返し行った後、膜付きガラス基板の他方の主面に発生した傷の数を求めた。このとき、傷は、幅が0.02mm以上、長さが0.1mm以上の大きさの傷のみを数えた。また、膜付きガラス基板の端に生じた傷は、傷として数えなかった。そのため、実際には、膜付きガラス基板の両方の主面のうち、凸状に湾曲している主面を下向きにして台に載せた時に、膜付きガラス基板の凸状に湾曲している主面の中央部に生じた傷のみを算出したことになる。中央部とは、膜付きガラス基板の外周から5mm以内の領域を除く残りの領域である。そして、膜付きガラス基板の両方の主面のうち、傷の数の少なかった主面に生じた傷の数が、2個未満であった場合は、良好(表1では、○と表記)と判断した。傷の数の少なかった主面に生じた傷の数が、2個以上であった場合は、不良(表1では、×と表記)と判断した。
(貼合性)
貼合性は、膜付きガラス基板を液晶基板に貼り合わせ時の耐久性を表す。膜付きガラス基板を液晶基板にUV硬化樹脂を用いて貼り付けた後、耐久試験を行った。耐久試験は、膜付きガラス基板を貼り付けた液晶基板を、3種類の異なる条件に順番に置いて行った。最初に、膜付きガラス基板を貼り付けた液晶基板を、65℃で湿度90%の雰囲気に500時間置いた。次に、膜付きガラス基板を貼り付けた液晶基板を、80℃の雰囲気に500時間置いた。最後に、膜付きガラス基板を貼り付けた液晶基板を、−30℃の雰囲気に30分置いた後に80℃の雰囲気に30分置いた。この−30℃から80℃に雰囲気を変動する操作を1サイクルとして、100サイクル繰り返した。耐久試験後に、膜付きガラス基板が液晶基板から剥がれなかった場合は、貼合性は良好(表1では、○と表記)と判断した。膜付きガラス基板が液晶基板から剥がれた場合は、貼合性は不良(表1では、×と表記)と判断した。
<例2>
例1において、ガラス基板の曲率κを0.14(1/m)に変更したこと以外は、例1と同様にして行った。
<例3>
例1において、ガラス基板1の板厚tを210μm、ガラス基板1の曲率κを0.10(1/m)、AR膜の膜応力σを−211MPa、膜付きガラス基板の予測曲率変化Δκfを−0.132(1/m)に変更し、SiO2層およびSi34層の成膜時に用いる成膜ガス(Arガス)の流量を360sccmに変更したこと以外は、例1と同様にして行った。得られたAR膜のマルテンス硬さは約4.3GPaであった。
<例4>
例1において、ガラス基板1の曲率κを0.00(1/m)に変更したこと以外は、例1と同様にして行った。
<例5>
例1において、ガラス基板1の板厚tを210μm、曲率κを−0.01(1/m)、AR膜の膜応力σを−211MPa、膜付きガラス基板の予測曲率変化Δκfを−0.132(1/m)に変更し、SiO2層およびSi34層の成膜時に用いる成膜ガス(Arガス)の流量を360sccmに変更したこと以外は、例1と同様にして行った。得られたAR膜のマルテンス硬さは約4.3GPaであった。
<例6>
例1において、ガラス基板1の曲率κを0.10(1/m)に変更したこと以外は、例1と同様にして行った。
各例の、AR膜を成膜する前のガラス基板1の板厚t、曲率κ、AR膜の膜厚t、膜応力σ、AR膜の膜厚tと膜応力σとを乗じた値tσ、理想平面であるガラス基板の主面上にAR膜が成膜された時の膜付きガラス基板の予測曲率変化Δκf、膜付きガラス基板の予測曲率(Δκf+κ)、膜付きガラス基板がガラス基板として適合しているか判定した適合性(搬送性および貼合性)を表1に示す。
Figure 2020203801
表1より、例1〜例3では、膜付きガラス基板の予測曲率変化Δκfの絶対値が0.08を超える場合でも、膜付きガラス基板の予測曲率(Δκf+κ)の絶対値は、いずれも、0.025(1/m)を超え0.10(1/m)未満の範囲内であった。一方、例4および例5では、膜付きガラス基板の予測曲率(Δκf+κ)の絶対値は、いずれも、0.10(1/m)を超える値になった。例4および例5では、膜付きガラス基板の予測曲率(Δκf+κ)の絶対値が大きかったため、膜付きガラス基板が液晶基板から剥がれようとする力が大きくなり、耐久試験の結果、膜付きガラス基板が液晶基板から剥離した。また、例6では、膜付きガラス基板の予測曲率(Δκf+κ)の絶対値は、0.025(1/m)未満になった。例6では、膜付きガラス基板の予測曲率(Δκf+κ)の絶対値が小さすぎたため、膜付きガラス基板を台に載せて持ち上げる動作を繰り返すと、膜付きガラス基板のいずれの主面にも、膜付きガラス基板が台と接触したことで生じた傷が2個以上発生した。そのため、例6では、膜付きガラス基板のどちらの主面を下向きにして搬送しても主面の中央部が傷ついた。
また、ガラス基板1の板厚tが薄くなっても有効に膜付きガラス基板の予測曲率(Δκf+κ)を抑えることができた(例3参照)。
以上の通り、実施形態を説明したが、上記実施形態は、例として提示したものであり、上記実施形態により本発明が限定されるものではない。上記実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の組み合わせ、省略、置き換え、変更などを行うことが可能である。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
10 膜付きガラス基板
11 ガラス基板
11a、11b 主面
12 反射防止膜(AR膜)

Claims (11)

  1. ガラス基板と、前記ガラス基板の主面上に形成された膜とを有する膜付きガラス基板の製造方法であって、
    板厚(t)、ヤング率(E)、ポアソン比(νg)、および曲率(κ)のガラス基板に、膜厚(t)、および膜応力(σ)の膜を形成する膜形成工程を含み、
    下記式(1):
    Figure 2020203801

    の範囲内にあって、
    前記ガラス基板の曲率を、下記式(2):
    Figure 2020203801

    を満たす範囲内とすることを特徴とする膜付きガラス基板の製造方法。
  2. 前記ガラス基板の厚さが、1.0mm以下である、請求項1に記載の膜付きガラス基板の製造方法。
  3. 前記ガラス基板の厚さが、0.5mm以下である、請求項1に記載の膜付きガラス基板の製造方法。
  4. 前記膜厚(t)と前記膜応力(σ)とを乗じた値(tσ)の絶対値が、200Pa・m以上である、請求項1〜3の何れか一項に記載の膜付きガラス基板の製造方法。
  5. 前記膜厚(t)と前記膜応力(σ)とを乗じた値tσの絶対値が、400Pa・m以上である、請求項1〜3の何れか一項に記載の膜付きガラス基板の製造方法。
  6. 前記曲率(κ)の絶対値が、0.03(1/m)以上である、請求項1〜5の何れか一項に記載の膜付きガラス基板の製造方法。
  7. 前記曲率(κ)の絶対値が、0.06(1/m)以上である、請求項1〜5の何れか一項に記載の膜付きガラス基板の製造方法。
  8. ガラス基板と、前記ガラス基板の主面上に形成された膜とを有する膜付きガラス基板であって、
    下記式(1):
    Figure 2020203801

    (但し、式(1)中、tは膜の膜厚であり、σは膜の膜応力であり、νgはガラス基板のポアソン比であり、Eはガラス基板のヤング率であり、tはガラス基板の板厚である。)、および
    下記式(2):
    Figure 2020203801

    (但し、式(2)中、tは、膜の膜厚であり、σは、膜の膜応力であり、νgは、ガラス基板のポアソン比であり、Eは、ガラス基板のヤング率であり、tは、ガラス基板の板厚であり、κは、膜を除去した時のガラス基板の曲率である。)
    を満たす範囲内であることを特徴とする膜付きガラス基板。
  9. 前記膜付きガラス基板から前記膜が除去された時の前記ガラス基板の曲率(κ)の絶対値が、0.03(1/m)以上である、請求項8に記載の膜付きガラス基板。
  10. 前記膜付きガラス基板から前記膜が除去された時の前記ガラス基板の曲率(κ)の絶対値が、0.06(1/m)以上である、請求項8に記載の膜付きガラス基板。
  11. ガラス基板と、前記ガラス基板の主面上に形成された膜とを有する膜付きガラス基板から前記膜を除去する膜の除去方法であって、
    前記膜付きガラス基板の曲率(6tσ(1−νg)/(E 2)×106+κ)の絶対値が、下記式(2):
    Figure 2020203801

    (但し、式(2)中、tは、膜の膜厚であり、σは、膜の膜応力であり、νgは、ガラス基板のポアソン比であり、Eは、ガラス基板のヤング率であり、tは、ガラス基板の厚さであり、κは、ガラス基板の曲率である。)
    の範囲内であり、
    プラズマガスによるエッチング、コロイダルシリカによる研磨、または酸性もしくはアルカリ性水溶液によるエッチングを用いて、前記膜付きガラス基板から前記膜を除去することを特徴とする膜の除去方法。
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