JP4071458B2 - 抵抗器の製造法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、各種電子機器等に使用される、抵抗器の製造法に関し、更に詳細には、1KΩ/□以上の抵抗値領域の抵抗器に利用される、抵抗膜を備えた抵抗器の製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、抵抗膜を備えた抵抗器は、例えば、ニッケル・クロム合金やクロム・シリコン合金を用い、絶縁基体上に、例えば、スパッタリング法等により抵抗膜を形成し、次いで、抵抗膜の安定化のために大気中で熱処理(アニーリング処理)を施す方法等により製造されている。
近年、各種電子機器等の小型化や薄型化等に伴ない、それに用いる抵抗器等の各種部品には、より優れた安定性や電気的特性が要求され、特に、高抵抗値領域の抵抗器においては、高電圧の連続印加においても優れた耐久性を有し、且つ抵抗膜の膜安定性の向上が望まれている。
【0003】
ところで、スパッタリング法により抵抗膜を形成するターゲットは、目的とする抵抗値領域に対応して適宜選択されている。例えば、高抵抗値領域をカバーする抵抗膜を形成する場合には、通常、クロム・シリコン系のターゲットが使用されている。しかし、このクロム・シリコン系ターゲットを用いて形成された抵抗膜は、ニッケル・クロム系の抵抗膜や窒化タンタル系の抵抗膜に比して熱的安定性に劣り、しかも2KΩ/□以上の高抵抗値領域をカバーする抵抗膜とする場合には、比抵抗が低いため、膜厚を極端に薄くする必要があり、抵抗膜の安定性に問題が生じる。
【0004】
そこで、例えば、クロム・シリコン合金とニッケル・クロム合金とで構成された複合ターゲットを用いてスパッタリングした後、大気中で400〜550℃の熱処理を施して抵抗膜を形成する抵抗器の製造法が提案されている(特開昭57−69706号公報)。
しかし、この方法により得られる膜の抵抗値は、500Ω/□〜2KΩ/□程度であり、これ以上の高抵抗値を得るためには膜厚を更に薄くする必要があるため、膜の安定性を考慮した場合、これ以上の高抵抗値領域の抵抗膜を形成することは実質的に不可能である。しかも製造においては、特殊な複合ターゲットを使用しなければならず、更に、大気中における400〜550℃の熱処理を行うために、抵抗膜が酸化され、所望の抵抗値を有する抵抗膜が得られる割合が低下し、製造効率が悪いという問題も生じる。
また、クロム・シリコン合金をターゲット材料とし、特定量の酸素を含むスパッタリングを2回行なって膜を形成した後に熱処理を施して抵抗膜を形成する抵抗器の製造法も提案されている(特開平5−182808号公報)。
この公報には、高抵抗値領域、例えば、50KΩ/□程度の抵抗膜とする場合であってもその膜厚を通常の倍以上に厚くすることができ、膜の安定性が確保されることが記載されている。このような膜厚にすることが可能であるのは、得られる抵抗膜が薄く、比抵抗が極端に高くなるためであり、逆に、膜厚を厚くしなければ所望の抵抗値が得られない方法である。従って、この方法においては、このような厚い膜を形成するためにスパッタリングに長時間を要するという問題がある。しかも、膜形成後の熱処理を300℃以上の大気中で行うため、得られる膜の抵抗値にバラツキが生じるか、若しくは抵抗値が著しく高くなるため、所望の抵抗値を有する抵抗膜が得られる割合が低下し、製造効率が悪いという問題も生じる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、1KΩ/□以上の抵抗値を有する抵抗器とすることができ、特に、8KΩ/□以上の高抵抗値領域の抵抗値とした場合であっても、高電圧の連続印加にも耐え得る耐久性及び電気的信頼性を有し、且つ抵抗膜の安定性にも優れた抵抗器の製造法を提供することにある。
本発明の別の目的は、高電圧の連続印加を行なった場合においても基体から抵抗膜への湿気の侵入等の影響を受け難く、優れた電気的信頼性が得られる高抵抗値領域の抵抗器の製造法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した。まず、高抵抗値領域までカバーできるターゲット材料としてクロム・シリコン組成のターゲットを選択し、絶縁基体の表面にスパッタリングする方法を採用した。しかし、このような抵抗器は、使用時、高電圧の連続印加に対しての耐久性及び電気的信頼性が得られず製品化し得るようなものではなかった。そこで、形成された抵抗膜の膜安定化のために、大気雰囲気下における熱処理を施すことを試みたが、この場合、熱処理により所定の抵抗値が得られ難くなり、生産効率が著しく低下した。更に、熱処理条件を種々選択し、酸素雰囲気下や窒素雰囲気下における熱処理も試みたが所望の抵抗器は得られなかった。
ところが、スッパッタリング条件として、アルゴンガス雰囲気中でのスパッタリングを行った後に、窒素を含むアルゴンガス中でのスパッタリングを行い、更に、窒素雰囲気下における所定温度以上の熱処理を行うことにより上記課題が解決しうることを見出した。加えて、上記アルゴンガス雰囲気中でのスパッタリングに先だって、窒素を含むアルゴンガス中でのスパッタリングを行うことにより、使用時に高電圧の、特に直流での連続印加を行なった場合においても基体からの影響を受け難く、更に優れた電気的信頼性が得られることを見出し本発明を完成した。
【0007】
すなわち、本発明によれば、絶縁基体表面に、スパッタリングにより抵抗膜を形成する工程を含む、絶縁基体と、該基体表面に設けた抵抗膜と、該抵抗膜に接続する電極とを備える抵抗器の製造法であって、該抵抗膜を形成する工程が、膜形成工程(A)及び、該工程(A)により形成された膜を熱処理する熱処理工程(B)からなり、前記膜形成工程(A)が、クロム・シリコン組成のターゲットを用いてアルゴンガス中においてスパッタリングする工程(A−1)と、クロム・シリコン組成のターゲットを用いて窒素を含むアルゴンガス中においてスパッタリングする工程(A−2)とを含み、且つ膜形成工程(A)の最終には工程(A−2)を行い、前記熱処理工程(B)が、窒素ガス雰囲気下における400℃以上の熱処理工程(B−1)と、該熱処理工程 ( B−1 ) の後に行う、大気雰囲気下における300℃以下の熱処理工程 ( B−2 ) とを含むことを特徴とする抵抗器の製造法が提供される。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下本発明を更に詳細に説明する。
本発明の抵抗器は、絶縁基体と、該基体表面に設けた抵抗膜と、該抵抗膜に接続する電極とを有する。ここで、絶縁基体及び電極の種類や形態は特に限定されず、公知のものやその改良物等を適宜選択して使用できる。
本発明において、前記抵抗膜は、クロム・シリコン組成のターゲットを用いて、アルゴンガス中においてスパッタリングし、更に窒素を含むアルゴンガス中においてスパッタリングして設けた層を少なくとも含む膜、若しくはクロム・シリコン組成のターゲットを用いて、窒素を含むアルゴンガス中においてスパッタリングし、次いで、アルゴンガス中においてスパッタリングし、更に窒素を含むアルゴンガス中においてスパッタリングして設けた層を少なくとも含む膜からなり、且つ該膜が、少なくとも、窒素ガス雰囲気下における特定温度以上の熱処理がなされた膜である。また、該熱処理の後に、更に、大気雰囲気下における特定温度以下の熱処理がなされた膜であっても良い。
【0009】
前記抵抗膜は、例えば、後述する本発明の製造法等により得ることができる。抵抗膜の膜厚は、抵抗膜の組成割合や、目的とする抵抗値に応じて異なるが、通常、0.01〜0.04μmとすることができ、このような膜厚であっても、優れた電気的信頼性が得られるとともに、1〜40KΩ/□の高抵抗値領域の抵抗値が得られる。膜厚がこのような薄いものであっても、優れた耐久性と電気的信頼性が得られるのは、最外層において窒素を含むアルゴンガス中におけるスパッタリングが行われ、且つ窒素雰囲気下における特定温度以上の熱処理が施されているためと考えられる。更に、高抵抗値の抵抗器の場合、高電圧がかかるために、通常は絶縁基板からの各種影響が生じる。これは、直流において顕著となる。しかし、本発明における抵抗膜は、抵抗温度係数が低く、且つ高温高湿負荷に対しても優れた特性を有するので上記基体からの影響を抑制、防止できる。特にこのような作用は、抵抗膜が絶縁基体と接する最内層の形成において、窒素を含むアルゴンガス中におけるスパッタリングを行うことにより更に向上される。
【0010】
本発明の抵抗器において、上記抵抗膜は、条件が異なる少なくとも2段階若しくは3段階のスパッタリングにより形成された膜を特定の熱処理を施したものであるが、得られる膜は、上述のような薄膜であるため、必ずしも明確な2層構造や3層構造等を呈するとは限らず、通常、連続層として観察できる。また、得られる抵抗膜の元素分析を行うと、クロム、シリコン及び窒素原子が検出でき、特に最外層付近に窒素原子が多く観察されるか、基体表面部分に窒素原子が多く観察される。
【0011】
本発明の抵抗器を製造するには、以下に示す本発明の製造法等によって得ることができる。
本発明の製造法では、絶縁基体表面に、スパッタリングにより抵抗膜を形成する工程を含む。該抵抗膜を形成する工程は、膜形成工程(A)及び、該工程(A)により形成された膜を熱処理する熱処理工程(B)を含む。
前記膜形成工程(A)は、クロム・シリコン組成のターゲットを用いてアルゴンガス中においてスパッタリングする工程(A−1)と、クロム・シリコン組成のターゲットを用いて窒素を含むアルゴンガス中においてスパッタリングする工程(A−2)とを含む。この膜形成工程(A)においては、所望の効果を得るために、最終のスパッタリングを工程(A−2)とする必要がある。
【0012】
膜形成工程(A)に用いるクロム・シリコン組成のターゲットとしては、通常、ターゲット用のクロム・シリコン合金を用いることができるが、クロム金属とシリコン金属とを備えたターゲットを使用することもできる。ターゲット中のクロムとシリコンとの割合は、所望する抵抗値等に応じて適宜選択できるが、通常、クロム:シリコンが質量比で30〜40:70〜60の範囲のものから適宜選択することが好ましい。
前記工程(A−1)及び工程(A−2)において用いるターゲットは、通常、同一組成のものを用いるが、必要によりクロムとシリコンとの割合が異なるものを用いても良い。
【0013】
前記工程(A−1)におけるスパッタリング条件は、得られる抵抗膜の所望する抵抗値に応じて適宜決定することができるが、高抵抗値を得るために、通常、放電電力130〜260W、放電時間15〜25分間の条件、特に、16KΩ/□以上の抵抗膜を得る場合には、放電電力130〜190W、放電時間15〜25分間の条件から適宜決定することが好ましい。
また、前記工程(A−2)のスパッタリング条件も、得られる抵抗膜の所望する抵抗値に応じて適宜決定することができるが、工程(A−2)により形成される膜が厚くなると抵抗膜全体の比抵抗が著しく上昇し、所望の抵抗値とするための制御が困難となる。また、膜形成時間が長くなり、生産効率が低下する恐れがある。従って、工程(A−2)のスパッタリング条件は、通常、放電電力220〜350W、放電時間10〜15分間の条件、特に、16KΩ/□以上の抵抗膜を得る場合には、放電電力220〜280W、放電時間10〜15分間の条件から適宜決定することが好ましい。また、スパッタリングを行なう際のアルゴンガス中の窒素ガスの割合は、適宜選択できるが、通常4〜10%程度が適当である。更に、スパッタリングは、低電力で且つ短時間で行うために高周波スパッタリングが好ましい。
【0014】
本発明の製造法では、前記工程(A−1)及び工程(A−2)を少なくとも1回行うが、生産効率及び高抵抗値領域における電気的信頼性を向上させるために、工程(A−2)、工程(A−1)及び工程(A−2)の順に膜形成工程(A)を行うことが好ましい。工程(A−1)や工程(A−2)を複数回行なう場合のスパッタリング条件は、同一でも異なっていてもよいが、上記好ましい条件範囲から適宜選択することが望ましい。
【0015】
本発明の製造法において、前記熱処理工程(B)は、前記工程(A)で得られた膜を安定化させるため等に行う工程である。従来の抵抗膜の形成方法においても熱処理工程は行われていたが、高抵抗値領域の抵抗膜に対して、例えば、400℃以上の高温で処理した場合には、抵抗値のバラツキが生じ易く、生産効率が著しく低下していた。特に、大気雰囲気で行う従来の熱処理工程では、300℃を超える場合、抵抗膜自体が酸化され、抵抗値が著しく上昇し、生産効率が低下するため実際には高温での熱処理を行うことができなかった。
本発明の製造法においては、前記工程(A)において、最終に設ける層が前記工程(A−2)により形成されたものであり、且つ窒素ガス雰囲気下における400℃以上の熱処理工程(B−1)を行うので、上記従来の問題点が生じ難く、良好な生産効率が得られるとともに、電気的信頼性に優れた高抵抗値領域の抵抗膜を得ることができる。この際、窒素ガス雰囲気は、窒素ガス100%であっても、不活性ガスが含まれていても良い。
熱処理工程(B−1)の熱処理条件は、400℃以上であれば良いが、例えば、得られる抵抗膜の抵抗値が1〜40KΩ/□の場合には、540〜580℃において、60〜90分間の条件が好ましい。
【0016】
本発明の製造法では、得られる抵抗膜の電気的信頼性を更に向上させるために、上記工程(B−1)に加えて、更に、大気雰囲気下における300℃以下の熱処理工程(B−2)を行う。この際、加熱温度が300℃を超える場合には、得られる抵抗膜が酸化され、抵抗値のバラツキが生じる恐れがあるので好ましくない。この工程(B−2)は、250〜280℃で、120〜180分間行うことが好ましい。
【0017】
本発明の製造法では、上記工程の他に、抵抗値を調整するトリミング処理や、保護コート膜の形成等を行なうことができる。
本発明の製造法では、公知の方法等により電極を形成することにより所望の抵抗器を得ることができる。
【0018】
【実施例】
以下本発明を実施例及び比較例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1
脱脂洗浄した耐熱性及び電気的絶縁性を有する、アルミナ約80%以上の絶縁磁器棒基体(直径3mm、長さ10mm)を、高周波スパッタ装置のバレルチェンバに装着した。前記基体の温度をほぼ200℃に保持し、到達真空度が7.5×10-3Pa以下に達するまで減圧した。次いで、クロム・シリコン合金ターゲット(クロム含有割合30質量%、残部シリコン)を用い、アルゴンガス中で21分間スッパッタリングを行った後、窒素約5%を含むアルゴンガス中で11分間スパッタリングを行って、基体表面に膜厚0.02μmの窒素原子を含むシリコン・クロム膜を形成した。
上記最初のスパッタリングは、放電圧力3.5×10-1Pa、放電電力200Wの条件で、最後のスパッタリングは、放電圧力3.5×10-1Pa、放電電力290Wの条件で行った。
【0019】
次に、上記膜が形成された基体を、窒素雰囲気中で560℃、1時間熱処理した後、大気雰囲気中で250℃、2時間熱処理を行って基体表面に抵抗膜を形成した。続いて、定格電力を1.0Wとし、金属製キャップを嵌着し抵抗器を製造した。抵抗器は1ロット11500個として5ロット製造し、その中の1ロットから50個をサンプリングし、抵抗値を測定した。また、5ロット全ての平均抵抗値における偏差値を求めた。結果を表1に示す。
上記で製造した抵抗器から5個を選択し、切条倍率約500倍のヘリカル切条及びリード線接合を行い、更に、保護コート膜の形成を行って抵抗器完成品を作製した。これら完成品の抵抗値、抵抗温度係数及び高温高湿負荷の測定を行った。結果を表1に示す。
なお、抵抗温度係数は、20℃と120℃における抵抗温度係数である。また、高温高湿負荷は、40℃、95%湿度雰囲気中において、定格電力を1Wとして、定格直流電圧の0.1倍の電圧(素子最高電圧は2000V)を1.5時間印加し0.5時間休止する操作を1000時間繰り返し、初期抵抗値に対する変化率を求めることにより測定した値である。
【0020】
実施例2
実施例1において、スパッタリングを、窒素約5%を含むアルゴンガス中で11分間第1のスパッタリングを行い、続いて、実施例1と同様な減圧を行ない、アルゴンガス中で21分間第2のスッパッタリングを行い、更に、上記と同様な減圧を行ない、窒素約5%を含むアルゴンガス中で11分間第3のスパッタリングを行った。このようなスパッタリングにより基体表面に膜厚0.04μmの窒素原子を含むシリコン・クロム膜が形成された。
上記第1及び第3のスパッタリングは、放電圧力3.5×10-1Pa、放電電力320Wの条件で、上記第2のスパッタリングは、放電圧力3.5×10-1Pa、放電電力240Wの条件で行った。
次に、上記膜が形成された基体を、窒素雰囲気中で560℃、1時間熱処理した後、大気雰囲気中で250℃、2時間熱処理を行って基体表面に抵抗膜を形成した。続いて、実施例1と同様に抵抗器及び完成品を作製し、各種測定を行なった。結果を表1に示す。
【0021】
実施例3
実施例2において、第1及び第3のスパッタリングを、放電圧力3.5×10-1Pa、放電電力250Wの条件で、第2のスパッタリングを、放電圧力3.5×10-1Pa、放電電力160Wの条件で行った以外は実施例2と同様に基体表面に膜厚0.01μmの窒素原子を含むシリコン・クロム膜を形成し、抵抗器及び完成品を作製して各種測定を行なった。結果を表1に示す。
【0022】
比較例1
実施例3と同様に各スパッタリングを行なった後、大気中で250℃、20時間の熱処理を行い、基体表面に約0.01μmの抵抗膜を形成し、抵抗器、及び完成品を作成して各測定を行なった。結果を表1に示す。
【0023】
比較例2
実施例1と同様な絶縁磁器棒基体を、高周波スパッタ装置のバレンチェンバに装着した。前記基体の温度をほぼ200℃に保持し、到達真空度が7.5×10-3Pa以下に達するまで減圧した。次いで、実施例1と同様なクロム・シリコン合金ターゲットを用い、酸素を約9%含むアルゴンガス中で、放電圧力4.6×10-1Pa、放電電流0.5〜0.6Aにおいて、60分間スパッタリングを行った。その後、大気中350℃、5時間の熱処理を行い、基体表面に約0.05μmの抵抗膜を形成した。その後、実施例1と同様に、抵抗器及び完成品を作製して各種測定を行なった。結果を表1に示す。
【0024】
【表1】
【0025】
【発明の効果】
本発明により得られる抵抗器は、高電圧の連続印加にも耐え得る耐久性及び電気的信頼性を有し、且つ抵抗膜の安定性にも優れる。また、抵抗膜の最内層の形成を、窒素を含むアルゴンガス中においてスパッタリングにより行うことによって、高電圧の連続印加を行なった場合にも基体から抵抗膜への湿気の侵入等の影響を防止することができる。
Claims (5)
- 絶縁基体表面に、スパッタリングにより抵抗膜を形成する工程を含む、絶縁基体と、該基体表面に設けた抵抗膜と、該抵抗膜に接続する電極とを備える抵抗器の製造法であって、
該抵抗膜を形成する工程が、膜形成工程(A)及び、該工程(A)により形成された膜を熱処理する熱処理工程(B)からなり、
前記膜形成工程(A)が、クロム・シリコン組成のターゲットを用いてアルゴンガス中においてスパッタリングする工程(A−1)と、クロム・シリコン組成のターゲットを用いて窒素を含むアルゴンガス中においてスパッタリングする工程(A−2)とを含み、且つ膜形成工程(A)の最終には工程(A−2)を行い、
前記熱処理工程(B)が、窒素ガス雰囲気下における400℃以上の熱処理工程(B−1)と、該熱処理工程 ( B−1 ) の後に行う、大気雰囲気下における300℃以下の熱処理工程 ( B−2 ) とを含むことを特徴とする抵抗器の製造法。 - 前記膜形成工程(A)を、絶縁基体表面に対して、前記工程(A−2)、工程(A−1)及び工程(A−2)の順に行うことを特徴とする請求項1記載の製造法。
- 前記膜形成工程(A)に用いるターゲットのクロムとシリコンとの組成が、質量比で30〜40:70〜60であることを特徴とする請求項1又は2記載の製造法。
- 前記工程(A−1)のスパッタリング条件が、放電電力130〜260W、放電時間15〜25分間であり、前記工程(A−2)のスパッタリング条件が、放電電力220〜350W、放電時間10〜15分間であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の製造法。
- 前記熱処理工程(B−1)における条件が、加熱温度540〜580℃、処理時間60〜90分間であり、得られる抵抗膜の抵抗値が1〜40KΩ/□であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載の製造法。
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