JP2020200377A - ボトルブロー成形用コーティング剤、プラスチックボトルおよびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】ガスバリア性および耐水性に優れたポリウレタン層をプラスチックボトルの表面に形成できるボトルブロー成形用コーティング剤、プラスチックボトルおよびその製造方法を提供する。【解決手段】ポリウレタン樹脂および架橋剤が水分散されてなるボトルブロー成形用コーティング剤において、ポリウレタン樹脂が、キシリレンジイソシアネートおよび/または水添キシリレンジイソシアネートを含有するポリイソシアネート成分と、炭素数2〜6の短鎖ジオール、および、アニオン性基を含有する活性水素化合物を含有する活性水素基含有成分との一次反応生成物であるイソシアネート基末端プレポリマーと、鎖伸長剤との二次反応生成物であり、架橋剤が、エポキシ架橋剤、カルボジイミド架橋剤およびオキサゾリン架橋剤からなる群から選択され、官能基当量が500以下である架橋剤を含む。【選択図】なし

Description

本発明は、ボトルブロー成形用コーティング剤、プラスチックボトルおよびその製造方法に関する。
従来、ポリエチレンテレフタレート(PET)などの樹脂材料からなるプラスチックボトルには、内容物を安定して保存するために、ガスバリア性が要求されている。そこで、樹脂材料と、ナイロン(登録商標)などのガスバリア性樹脂との積層体を、プラスチックボトルの材料として使用することが知られている。
一方、近年では、樹脂材料(PETなど)のリサイクルが要求されている。しかるに、上記の積層体には、ナイロン(登録商標)などのガスバリア性樹脂が比較的多く含まれているため、不純物が多く、リサイクルできないという不具合がある。
そこで、樹脂材料(PETなど)に対して、ガスバリア性ポリウレタン樹脂からなるコート層を形成し、プラスチックボトルの材料として使用することが、提案されている。より具体的には、プラスチック容器用のプリフォームの外表面に、ガスバリア性ポリウレタン樹脂を含む水性分散体を塗布、乾燥して塗被膜を形成し、その後、プリフォームをブロー成形法によってプラスチック容器を成形し、かつ、そのプリフォームの延伸に追従させて、塗被膜を延伸することにより、ポリウレタン系樹脂の塗被膜を外表面にコーティングしたガスバリア性プラスチック容器を製造する方法が、提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
ガスバリア性ポリウレタン樹脂は、ナイロン(登録商標)などに比べてガスバリア性に優れるため、使用量を低減でき、樹脂材料(PETなど)のリサイクルにおける不純物を低減できる。
特開2014−46678号公報
一方、ガスバリア性ポリウレタン樹脂を含むコート層は、耐水性が十分ではない場合がある。そのため、ガスバリア性ポリウレタン樹脂をコーティングしたプラスチックボトルを、水に浸漬させると、白化を生じるなどの不具合がある。
この点、ガスバリア性ポリウレタン樹脂に、イソシアネート架橋剤を添加して、コート層の耐水性の向上を図ることも検討される。
しかし、イソシアネート架橋剤は、ガスバリア性ポリウレタン樹脂との反応性が高いため、イソシアネート架橋剤とガスバリア性ポリウレタン樹脂との混合物は、可使時間が比較的短い。そのため、イソシアネート架橋剤およびガスバリア性ポリウレタン樹脂の混合物を調製し、時間が経過してから塗布してコート層を形成すると、耐水性に優れたコート層が得られない場合がある。
本発明は、ガスバリア性および耐水性に優れたポリウレタン層をプラスチックボトルの表面に形成でき、さらに、可使時間にも優れるボトルブロー成形用コーティング剤、プラスチックボトルおよびその製造方法である。
本発明[1]は、ポリウレタン樹脂および架橋剤が水分散されてなるボトルブロー成形用コーティング剤であり、前記ポリウレタン樹脂は、キシリレンジイソシアネートおよび/または水添キシリレンジイソシアネートを含有するポリイソシアネート成分と、炭素数2〜6の短鎖ジオール、および、アニオン性基を含有する活性水素化合物を含有する活性水素基含有成分との一次反応生成物であるイソシアネート基末端プレポリマーと、鎖伸長剤との二次反応生成物であり、前記架橋剤は、エポキシ架橋剤、カルボジイミド架橋剤およびオキサゾリン架橋剤からなる群から選択され、官能基当量が500以下である架橋剤を含む、ボトルブロー成形用コーティング剤を含んでいる。
本発明[2]は、前記アニオン性基がカルボキシ基であり、前記ポリウレタン樹脂中のカルボキシ基1モルに対して、前記架橋剤のエポキシ基、カルボジイミド基およびオキサゾリン基の総モルが、0.1〜1.0モルである、上記[1]に記載のボトルブロー成形用コーティング剤を含んでいる。
本発明[3]は、プラスチックボトル用プリフォームの成形体であるボトル本体と、前記ボトル本体の外表面に形成されるポリウレタン層とを備え、前記ポリウレタン層は、上記[1]または[2]に記載のボトルブロー成形用コーティング剤の乾燥体である、プラスチックボトルを含んでいる。
本発明[4]は、上記[1]または[2]に記載のボトルブロー成形用コーティング剤を、プラスチックボトル用プリフォームの外表面に塗布および乾燥して、塗膜を形成する塗布工程と、前記塗布工程の後、前記プラスチックボトル用プリフォームをブロー成形法によって延伸してプラスチックボトルに成形するとともに、前記塗膜を前記プラスチックボトル用プリフォームに追従させて延伸する成形工程とを備える、プラスチックボトルの製造方法を含んでいる。
本発明のボトルブロー成形用コーティング剤は、特定処方のポリウレタン樹脂と、エポキシ架橋剤、カルボジイミド架橋剤およびオキサゾリン架橋剤からなる群から選択され、官能基当量が500以下である架橋剤とを含んでいる。
本発明のボトルブロー成形用コーティング剤において、上記した特定処方のポリウレタン樹脂は、ガスバリア性に優れるため、プラスチックボトルの樹脂材料(PETなど)に対するコート量を低減しても、十分なガスバリア性を発現できる。
また、本発明のボトルブロー成形用コーティング剤において、エポキシ架橋剤、カルボジイミド架橋剤およびオキサゾリン架橋剤からなる群から選択され、官能基当量が500以下である架橋剤は、比較的低温で架橋反応する。そのため、ボトルブロー成形における温度条件でも、ポリウレタン樹脂を良好に架橋でき、耐水性の向上を図ることができる。
さらに、これら架橋剤は、ポリウレタン樹脂に対する反応性が過度に高くないため、可使時間にも優れる。
そのため、本発明のボトルブロー成形用コーティング剤を、プラスチックボトル用プリフォームに塗布すれば、そのプラスチックボトル用プリフォームをブロー成形することにより、ガスバリア性および耐水性に優れるプラスチックボトルを得ることができる。
また、本発明のプラスチックボトルは、ポリウレタン層として、ボトルブロー成形用コーティング剤の乾燥体を備えるため、ガスバリア性および耐水性に優れる。
また、本発明のプラスチックボトルの製造方法によれば、上記のボトルブロー成形用コーティング剤の塗膜を、プラスチックボトル用プリフォームに追従させて延伸することができる。
また、プラスチックボトルのブロー成形では、原料樹脂の耐熱温度に応じて加熱されるため、過度に高温にすることができず、比較的高温で架橋する架橋剤(例えば、ブロックイソシアネートなど)を使用できないが、上記の架橋剤は、ブロックイソシアネートなどよりも低温で架橋できるため、プラスチックボトルのブロー成形に好適に用いることができる。
その結果、ボトルブロー成形用コーティング剤からなるコート層を、プラスチックボトルの表面に形成でき、ガスバリア性および耐水性に優れるプラスチックボトルを得ることができる。
本発明のボトルブロー成形用コーティング剤は、プラスチックボトルのブロー成形において、プリフォーム(後述)に塗布する樹脂組成物である。
ボトルブロー成形用コーティング剤は、後述のポリウレタン樹脂と、後述の架橋剤とを、水分散せることにより得られる。すなわち、ボトルブロー成形用コーティング剤は、後述のポリウレタン樹脂と、後述の架橋剤とが水に分散されてなる分散液(ディスパージョン)である。
ボトルブロー成形用コーティング剤は、より具体的には、ポリウレタン樹脂を含むポリウレタンディスパージョン(PUD)に、後述の架橋剤を添加することによって、得られる。なお、後述するポリウレタン樹脂は、ガスバリア性を有する。ガスバリア性とは、酸素の透過率を低める性質を示す。
ポリウレタンディスパージョン(PUD)において、ポリウレタン樹脂は、イソシアネート基末端プレポリマーと鎖伸長剤との反応により得られる。また、イソシアネート基末端プレポリマーは、ポリイソシアネート成分と、活性水素基含有成分との反応により得られる。つまり、イソシアネート基末端プレポリマーは、ポリイソシアネート成分と、活性水素基含有成分との一次反応生成物であり、ポリウレタン樹脂は、イソシアネート基末端プレポリマーと鎖伸長剤との二次反応生成物である。
ポリイソシアネート成分は、必須成分として、キシリレンジイソシアネートおよび/または水添キシリレンジイソシアネートを含んでいる。
キシリレンジイソシアネート(XDI)としては、1,2−キシリレンジイソシアネート(o−XDI)、1,3−キシリレンジイソシアネート(m−XDI)、1,4−キシリレンジイソシアネート(p−XDI)が、構造異性体として挙げられる。
これらキシリレンジイソシアネートは、単独使用または2種類以上併用することができる。キシリレンジイソシアネートとして、好ましくは、1,3−キシリレンジイソシアネート、1,4−キシリレンジイソシアネート、より好ましくは、1,3−キシリレンジイソシアネートが挙げられる。
また、水添キシリレンジイソシアネート(別名:ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン)(HXDI)としては、1,2−水添キシリレンジイソシアネート(1,2−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、1,2−HXDI)、1,3−水添キシリレンジイソシアネート(1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、1,3−HXDI)、1,4−水添キシリレンジイソシアネート(1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、1,4−HXDI)が、構造異性体として挙げられる。
これら水添キシリレンジイソシアネートは、単独使用または2種類以上併用することができる。水添キシリレンジイソシアネートとして、好ましくは、1,3−水添キシリレンジイソシアネート、1,4−水添キシリレンジイソシアネート、より好ましくは、1,3−水添キシリレンジイソシアネートが挙げられる。
また、キシリレンジイソシアネートおよび/または水添キシリレンジイソシアネートとしては、それらの誘導体が含まれる。
キシリレンジイソシアネートおよび/または水添キシリレンジイソシアネートの誘導体としては、例えば、キシリレンジイソシアネートおよび/または水添キシリレンジイソシアネートの多量体(例えば、2量体、3量体(例えば、イソシアヌレート変性体、イミノオキサジアジンジオン変性体)、5量体、7量体など)、アロファネート変性体(例えば、キシリレンジイソシアネートおよび/または水添キシリレンジイソシアネートと、公知の1価アルコールおよび/または公知の2価アルコールとの反応より生成するアロファネート変性体など)、ポリオール変性体(例えば、キシリレンジイソシアネートおよび/または水添キシリレンジイソシアネートと公知の3価以上のアルコールとの反応より生成するポリオール変性体(アルコール付加体)など)、ビウレット変性体(例えば、キシリレンジイソシアネートおよび/または水添キシリレンジイソシアネートと、水やアミン類との反応により生成するビウレット変性体など)、ウレア変性体(例えば、キシリレンジイソシアネートおよび/または水添キシリレンジイソシアネートとジアミンとの反応により生成するウレア変性体など)、オキサジアジントリオン変性体(例えば、キシリレンジイソシアネートおよび/または水添キシリレンジイソシアネートと炭酸ガスとの反応により生成するオキサジアジントリオンなど)、カルボジイミド変性体(キシリレンジイソシアネートおよび/または水添キシリレンジイソシアネートの脱炭酸縮合反応により生成するカルボジイミド変性体など)、ウレトジオン変性体、ウレトンイミン変性体などが挙げられる。
これらの誘導体は、単独使用または2種類以上併用することができる。
また、ポリイソシアネート成分は、必要に応じて、その他のポリイソシアネート(キシリレンジイソシアネートおよび水添キシリレンジイソシアネートを除くポリイソシアネート)を含有することもできる。
その他のポリイソシアネートとしては、例えば、芳香族ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネート(キシリレンジイソシアネートを除く。)、脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネート(水添キシリレンジイソシアネートを除く。)などのポリイソシアネートなどが挙げられる。
芳香族ポリイソシアネートとしては、例えば、トリレンジイソシアネート(2,4−または2,6−トリレンジイソシアネートもしくはその混合物)(TDI)、フェニレンジイソシアネート(m−、p−フェニレンジイソシアネートもしくはその混合物)、4,4’−ジフェニルジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート(NDI)、ジフェニルメタンジイソシネート(4,4’−、2,4’−または2,2’−ジフェニルメタンジイソシネートもしくはその混合物)(MDI)、4,4’−トルイジンジイソシアネート(TODI)、4,4’−ジフェニルエーテルジイソシアネートなどの芳香族ジイソシアネートなどが挙げられる。
芳香脂肪族ポリイソシアネート(キシリレンジイソシアネートを除く。)としては、例えば、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(1,3−または1,4−テトラメチルキシリレンジイソシアネートもしくはその混合物)(TMXDI)、ω,ω’−ジイソシアネート−1,4−ジエチルベンゼンなどの芳香脂肪族ジイソシアネートなどが挙げられる。
脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、トリメチレンジイソシアネート、1,2−プロピレンジイソシアネート、ブチレンジイソシアネート(テトラメチレンジイソシアネート、1,2−ブチレンジイソシアネート、2,3−ブチレンジイソシアネート、1,3−ブチレンジイソシアネート)、1,5−ペンタメチレンジイソシアネート(PDI)、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート(別名:ヘキサメチレンジイソシアネート)(HDI)、2,4,4−または2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,6−ジイソシアネートメチルカプロエートなどの脂肪族ジイソシアネートなどが挙げられる。
脂環族ポリイソシアネート(水添キシリレンジイソシアネートを除く。)としては、例えば、1,3−シクロペンタンジイソシアネート、1,3−シクロペンテンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート(1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、1,3−シクロヘキサンジイソシアネート)、3−イソシアナトメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(別名:イソホロンジイソシアネート)(IPDI)、メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)(別名:ビス(イソシアナトシクロヘキシル)メタン)(4,4’−、2,4’−または2,2’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)これらのTrans,Trans−体、Trans,Cis−体、Cis,Cis−体、もしくはその混合物)(H12MDI)、メチルシクロヘキサンジイソシアネート(メチル−2,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチル−2,6−シクロヘキサンジイソシアネート)、ノルボルナンジイソシアネート(各種異性体もしくはその混合物)(NBDI)、などの脂環族ジイソシアネートなどが挙げられる。好ましくは、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)が挙げられる。
その他のポリイソシアネートには、上記と同種の誘導体が含まれる。
その他のポリイソシアネートは、単独使用または2種類以上併用することができる。好ましくは、芳香脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネートが挙げられ、より好ましくは、脂環族ポリイソシアネート、さらに好ましくは、メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)(H12MDI)が挙げられる。
なお、その他のポリイソシアネート(キシリレンジイソシアネートおよび水添キシリレンジイソシアネートを除くポリイソシアネート)が配合される場合には、キシリレンジイソシアネートおよび水添キシリレンジイソシアネート(併用される場合にはそれらの総量)の含有割合が、ポリイソシアネート成分の総量に対して、例えば、50質量%以上、好ましくは、60質量%以上、より好ましくは、80質量%以上であり、例えば、99質量%以下である。
また、ポリイソシアネート成分として、好ましくは、キシリレンジイソシアネート(XDI)およびビス(イソシアナトシクロヘキシル)メタン(H12MDI)の併用、水添キシリレンジイソシアネート(HXDI)およびビス(イソシアナトシクロヘキシル)メタン(H12MDI)の併用、キシリレンジイソシアネート(XDI)の単独使用、水添キシリレンジイソシアネート(HXDI)の単独使用が挙げられ、より好ましくは、キシリレンジイソシアネート(XDI)およびビス(イソシアナトシクロヘキシル)メタン(H12MDI)の併用が挙げられる。
キシリレンジイソシアネート(XDI)およびビス(イソシアナトシクロヘキシル)メタン(H12MDI)の併用、水添キシリレンジイソシアネート(HXDI)およびビス(イソシアナトシクロヘキシル)メタン(H12MDI)の併用、キシリレンジイソシアネート(XDI)の単独使用、水添キシリレンジイソシアネート(HXDI)の単独使用によれば、ガスバリア性を損なわずに、水分散性に優れ、平均粒子径の小さいボトルブロー成形用コーティング剤が得られる。
キシリレンジイソシアネートおよびビス(イソシアナトシクロヘキシル)メタンを併用する場合、キシリレンジイソシアネート(XDI)およびビス(イソシアナトシクロヘキシル)メタン(H12MDI)の総量100質量部に対して、キシリレンジイソシアネート(XDI)が、例えば、60質量部以上、好ましくは、70質量部以上、より好ましくは、80質量部以上であり、例えば、95質量部以下、好ましくは、93質量部以下、より好ましくは、90質量部以下である。また、ビス(イソシアナトシクロヘキシル)メタン(H12MDI)が、例えば、5質量部以上、好ましくは、7質量部以上、より好ましくは、10質量部以上であり、例えば、40質量部以下、好ましくは、30質量部以下、より好ましくは、20質量部以下である。
活性水素基含有成分としては、ポリオール成分が挙げられる。ポリオール成分は、必須成分として、炭素数2〜6のジオール、および、アニオン性基を含有する活性水素基含有化合物を含んでいる。
炭素数2〜6の短鎖ジオールは、分子量(分子量分布を有する場合には、GPC測定によるポリスチレン換算の数平均分子量)が50以上650以下であり、水酸基を2つ有する炭素数2〜6の有機化合物であって、具体的には、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,2−ブチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,3−または1,4−シクロヘキサンジオールなどの炭素数2〜6のアルカンジオール(炭素数2〜6のアルキレングリコール)、例えば、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコールなどの炭素数2〜6のエーテルジオール、例えば、1,4−ジヒドロキシ−2−ブテンなどの炭素数2〜6のアルケンジオールなどが挙げられる。
これら炭素数2〜6の短鎖ジオールは、単独使用または2種類以上併用することができる。
炭素数2〜6の短鎖ジオールとして、ガスバリア性の観点から、好ましくは、炭素数2〜6のアルカンジオール、より好ましくは、エチレングリコールが挙げられる。
炭素数2〜6の短鎖ジオールの配合割合は、ポリオール成分の総量100質量部に対して、例えば、10質量部以上、好ましくは、30質量部以上、より好ましくは、50質量部以上であり、例えば、90質量部以下、好ましくは、80質量部以下、より好ましくは、70質量部以下である。
アニオン性基を含有する活性水素基含有化合物は、アニオン性基と、2つ以上の活性水素基(例えば、水酸基またはアミノ基など)とを併有する有機化合物である。
アニオン性基としては、例えば、カルボキシ基(カルボン酸基)、スルホ基(スルホン酸基)などが挙げられ、ガスバリア性および耐水性の観点から、好ましくは、カルボキシ基が挙げられる。
すなわち、アニオン性基を含有する活性水素基含有化合物として、好ましくは、カルボキシ基と2つの水酸基とを併有する有機化合物が挙げられる。
カルボキシ基と2つの水酸基とを併有する有機化合物としては、例えば、カルボキシ基含有ポリオールなどが挙げられ、より具体的には、例えば、2,2−ジメチロール酢酸、2,2−ジメチロール乳酸、2,2−ジメチロールプロピオン酸(別名:ジメチロールプロピオン酸)、2,2−ジメチロールブタン酸、2,2−ジメチロール酪酸、2,2−ジメチロール吉草酸などのポリヒドロキシアルカン酸などが挙げられる。これらは、単独使用または2種類以上併用することができる。カルボキシ基含有ポリオールとして、好ましくは、2,2−ジメチロールプロピオン酸が挙げられる。
これらアニオン性基を含有する活性水素基含有化合物は、単独使用または併用することができる。
アニオン性基を含有する活性水素基含有化合物として、好ましくは、カルボキシ基含有ポリオールが挙げられ、より好ましくは、ポリヒドロキシアルカン酸が挙げられ、さらに好ましくは、ジメチロールプロピオン酸が挙げられる。
アニオン性基を含有する活性水素基含有化合物の配合割合は、ポリオール成分の総量100質量部に対して、例えば、10質量部以上、好ましくは、20質量部以上であり、例えば、50質量部以下、好ましくは、40質量部以下である。
また、ポリオール成分は、さらに、任意成分として、その他の低分子量ポリオール(炭素数2〜6のジオール、および、親水性基を含有する活性水素基含有化合物を除く低分子量ポリオール)や、高分子量ポリオールを含有することもできる。
なお、ポリオール成分は、ガスバリア性の観点から、好ましくは、高分子量ポリオールを含有しない。
高分子量ポリオールは、分子量(数平均分子量)が650を超過し、水酸基を2つ以上有する化合物であって、例えば、ポリエーテルポリオール(例えば、ポリオキシアルキレン(炭素数2〜3)ポリオール、ポリテトラメチレンエーテルポリオールなど)、ポリエステルポリオール(例えば、アジピン酸系ポリエステルポリオール、フタル酸系ポリエステルポリオール、ラクトン系ポリエステルポリオールなど)、ポリカーボネートポリオール、ポリウレタンポリオール(例えば、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオールなどをポリイソシアネートによりウレタン変性したポリオール)、エポキシポリオール、植物油ポリオール、ポリオレフィンポリオール、アクリルポリオール、ビニルモノマー変性ポリオールなどの、分子量が650を超過する高分子量のマクロポリオールが挙げられる。
このような高分子量ポリオールは、ガスバリア性の低下を惹起する場合がある。
そのため、ポリオール成分は、高分子量ポリオールを含有しない。これにより、ポリウレタン樹脂(後述)のガスバリア性を向上させることができる。
一方、ポリオール成分は、任意成分として、分子量50以上650以下の低分子量ポリオール(上記した炭素数2〜6の短鎖ジオールを除く。)(以下、その他の低分子量ポリオールと称する。)を含有することができる。
その他の低分子量ポリオールとしては、例えば、炭素数7以上のジオール、3価以上の低分子量ポリオールなどが挙げられる。
炭素数7以上のジオールとしては、例えば、炭素数7〜20のアルカン−1,2−ジオール、2,6−ジメチル−1−オクテン−3,8−ジオール、1,3−または1,4−シクロヘキサンジメタノールおよびそれらの混合物、水素化ビスフェノールA、ビスフェノールAなどの炭素数7以上の2価アルコール(ジオール)などが挙げられる。
これら炭素数7以上のジオールは、単独使用または2種類以上併用することができる。
3価以上の低分子量ポリオールは、分子量が650以下であり、1分子中に水酸基を3つ以上有する有機化合物であって、例えば、グリセリン、2−メチル−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール、2,4−ジヒドロキシ−3−ヒドロキシメチルペンタン、1,2,6−ヘキサントリオール、トリメチロールプロパン、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−3−ブタノールなどの3価アルコール(低分子量トリオール)、例えば、テトラメチロールメタン(ペンタエリスリトール)、ジグリセリンなどの4価アルコール、例えば、キシリトールなどの5価アルコール、例えば、ソルビトール、マンニトール、アリトール、イジトール、ダルシトール、アルトリトール、イノシトール、ジペンタエリスリトールなどの6価アルコール、例えば、ペルセイトールなどの7価アルコール、例えば、ショ糖などの8価アルコールなどが挙げられる。
これら3価以上の低分子量ポリオールは、単独使用または2種類以上併用することができる。
さらに、数平均分子量が650以下であれば、上記したマクロポリオール(具体的には、例えば、ポリエーテルポリオール(例えば、ポリオキシアルキレンポリオール、ポリテトラメチレンエーテルポリオールなど)、ポリエステルポリオール(例えば、アジピン酸系ポリエステルポリオール、フタル酸系ポリエステルポリオール、ラクトン系ポリエステルポリオールなど)、ポリカーボネートポリオール、ポリウレタンポリオール(例えば、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオールなどをポリイソシアネートによりウレタン変性したポリオール)、エポキシポリオール、植物油ポリオール、ポリオレフィンポリオール、アクリルポリオール、ビニルモノマー変性ポリオールなどの、分子量650以下の低分子量マクロポリオール)を、その他の低分子量ポリオールとして用いることができる。
その他の低分子量ポリオールは、単独使用または2種類以上併用することができる。
その他の低分子量ポリオールとして、耐水性および水分散安定性の観点から、好ましくは、3価以上の低分子量ポリオールが挙げられ、より好ましくは、3価アルコール、4価アルコールが挙げられ、さらに好ましくは、3価アルコールが挙げられ、とりわけ好ましくは、グリセリン、トリメチロールプロパンが挙げられる。
その他の低分子量ポリオールが配合される場合、その配合割合は、ポリオール成分の総量100質量部に対して、例えば、0.2質量部以上、好ましくは、1質量部以上、より好ましくは、2質量部以上であり、例えば、20質量部以下、好ましくは、10質量部以下、より好ましくは、8質量部以下である。
また、炭素数2〜6の短鎖ジオールとその他の低分子量ポリオールとの併用割合は、それらの総量100質量部に対して、その他の低分子量ポリオールが、例えば、2質量部以上、好ましくは、5質量部以上であり、例えば、20質量部以下、好ましくは、15質量部以下、より好ましくは、10質量部以下である。
また、炭素数2〜6の短鎖ジオールとその他の低分子量ポリオールとの総量100質量部に対して、アニオン性基を含有する活性水素基含有化合物が、例えば、10質量部以上、好ましくは、20質量部以上、より好ましくは、40質量部以上であり、例えば、90質量部以下、好ましくは、80質量部以下、より好ましくは、70質量部以下である。
その他の低分子量ポリオールの含有割合が上記範囲であれば、優れた分散性を確保することができる。そのため、耐水性およびガスバリア性に優れるポリウレタン層を良好に形成することができる。
ポリオール成分は、好ましくは、炭素数2〜6の短鎖ジオール、3価以上の低分子量ポリオール、および、アニオン性基を含有する活性水素基含有化合物からなるか、炭素数2〜6の短鎖ジオール、および、アニオン性基を含有する活性水素基含有化合物からなる。
そして、イソシアネート基末端プレポリマーを合成するには、上記各成分を、活性水素基(水酸基)に対するイソシアネート基の当量比(イソシアネート基/活性水素基)において、1を超える割合、好ましくは、1.1〜10の割合で配合する。そして、バルク重合または溶液重合などの公知の重合方法、好ましくは、反応性および粘度の調整がより容易な溶液重合によって、上記各成分を反応させる。
バルク重合では、例えば、窒素雰囲気下、上記成分を配合して、反応温度75〜85℃で、1〜20時間程度反応させる。
溶液重合では、例えば、窒素雰囲気下、有機溶媒(溶剤)に、上記成分を配合して、反応温度20〜80℃で、1〜20時間程度反応させる。
有機溶媒としては、イソシアネート基に対して不活性で、かつ、親水性に富む、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、アセトニトリルなどが挙げられる。
この重合反応は、反応溶液中のイソシアネート基含有率が、下記イソシアネート基濃度になるまで反応させる。
また、上記重合では、必要に応じて、例えば、アミン系、スズ系、鉛系などの反応触媒を添加してもよく、また、得られるイソシアネート基末端プレポリマーから未反応のポリイソシアネートを、例えば、蒸留や抽出などの公知の方法により、除去することもできる。
このようにして得られるイソシアネート基末端プレポリマーは、その分子末端に、2つ以上の遊離のイソシアネート基を有するポリウレタンプレポリマーであって、そのイソシアネート基濃度(溶剤を除いた固形分換算のイソシアネート基含有量)が、比較的高い。より具体的には、イソシアネート基濃度が、例えば、4質量%以上、好ましくは、5質量%以上、より好ましくは、6質量%以上であり、また、例えば、25質量%以下、好ましくは、20質量%以下、より好ましくは、17質量%以下、さらに好ましくは、15質量%以下である。
また、イソシアネート基の平均官能基数は、例えば、1.5以上、好ましくは、1.9以上、より好ましくは、2.0以上であり、また、例えば、3.0以下、好ましくは、2.5以下である。
イソシアネート基の平均官能基数が上記範囲にあれば、安定したポリウレタンディスパージョンを得ることができ、優れた密着性およびガスバリア性を確保することができる。
また、その数平均分子量(GPC測定によるポリスチレン換算分子量)が、例えば、500以上、好ましくは、800以上であり、また、例えば、100000以下、好ましくは、50000以下である。
次いで、この方法では、上記により得られたイソシアネート基末端プレポリマーに中和剤を添加して、アニオン性基を中和剤により中和し、塩を形成させる。
中和剤としては、慣用の塩基が挙げられ、例えば、有機塩基、無機塩基が挙げられる。
有機塩基としては、例えば、トリアルキルアミン(例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミンなどの炭素数1〜4のトリアルキルアミンなど)、アルカノールアミン(例えば、ジメチルエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミンなど)などの3級アミン、例えば、複素環式アミン(モルホリンなど)などの2級アミンなどが挙げられる。
無機塩基としては、例えば、アンモニア、アルカリ金属水酸化物(例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなど)、アルカリ土類金属水酸化物(例えば、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウムなど)、アルカリ金属炭酸塩(例えば、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなど)などが挙げられる。
これらの中和剤は、単独使用または2種類以上併用できる。
中和剤として、好ましくは、有機塩基が挙げられ、より好ましくは、3級アミンが挙げられ、さらに好ましくは、トリアルキルアミンが挙げられ、とりわけ好ましくは、トリエチルアミンが挙げられる。
中和剤の添加量は、アニオン性基(好ましくは、カルボキシ基)1当量に対して、例えば、0.4当量以上、好ましくは、0.6当量以上であり、例えば、1.2当量以下、好ましくは、1.0当量以下である。
次いで、この方法では、上記の中和剤により中和されたイソシアネート基末端プレポリマー(一次反応生成物)と、鎖伸長剤とを反応させて、ポリウレタン樹脂(二次反応生成物)を得る。
好ましくは、イソシアネート基末端プレポリマーと鎖伸長剤とを、水中で反応させることにより、ポリウレタン樹脂が水分散されてなるポリウレタンディスパージョンを得る。
鎖伸長剤は、イソシアネート基末端プレポリマーを鎖伸長反応するために複数の活性水素基を有する有機化合物であり、例えば、芳香族ポリアミン、芳香脂肪族ポリアミン、脂環族ポリアミン、脂肪族ポリアミン、ポリオキシエチレン基含有ポリアミンなどのポリアミン化合物、例えば、アミノアルコールなどが挙げられる。
芳香族ポリアミンとしては、例えば、4,4’−ジフェニルメタンジアミン、トリレンジアミンなどが挙げられる。
芳香脂肪族ポリアミンとしては、例えば、1,3−または1,4−キシリレンジアミンもしくはその混合物などが挙げられる。
脂環族ポリアミンとしては、例えば、3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルアミン(別名:イソホロンジアミン)、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジアミン、2,5(2,6)−ビス(アミノメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、1,4−シクロヘキサンジアミン、1−アミノ−3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン、ビス−(4−アミノシクロヘキシル)メタン、ジアミノシクロヘキサン、3,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、1,3−および1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンおよびそれらの混合物などが挙げられる。
脂肪族ポリアミンとしては、例えば、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、1,3−プロパンジアミン、1,4−ブタンジアミン、1,5−ペンタンジアミン、1,6−ヘキサメチレンジアミン、ヒドラジン(水和物を含む)、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、1,2−ジアミノエタン、1,2−ジアミノプロパン、1,3−ジアミノペンタンなどが挙げられる。
ポリオキシエチレン基含有ポリアミンとしては、例えば、ポリオキシエチレンエーテルジアミンなどのポリオキシアルキレンエーテルジアミンが挙げられる。より具体的には、例えば、日本油脂製のPEG#1000ジアミンや、ハンツマン社製のジェファーミンED―2003、EDR−148、XTJ−512などが挙げられる。
アミノアルコールとしては、例えば、2−((2−アミノエチル)アミノ)エタノール(別名:N−(2−アミノエチル)エタノールアミン)、2−((2−アミノエチル)アミノ)−1−メチルプロパノール(別名:N−(2−アミノエチル)イソプロパノールアミン)などが挙げられる。
また、鎖伸長剤としては、さらに、第1級アミノ基、または、第1級アミノ基および第2級アミノ基を有するアルコキシシリル化合物なども挙げられる。
第1級アミノ基、または、第1級アミノ基および第2級アミノ基を有するアルコキシシリル化合物としては、例えば、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシランなどの第1級アミノ基を有するアルコキシシリル化合物、例えば、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン(別名:N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン)、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリエトキシシラン(別名:N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン)、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン(別名:N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン)、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン(別名:N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン)などの第1級アミノ基および第2級アミノ基を有するアルコキシシリル化合物などが挙げられる。
これら鎖伸長剤は、単独使用または2種類以上併用することができる。
鎖伸長剤として、好ましくは、アミノアルコールが挙げられ、より好ましくは、2−((2−アミノエチル)アミノ)エタノールが挙げられる。
そして、イソシアネート基末端プレポリマーと鎖伸長剤とを水中で反応させるには、例えば、まず、水にイソシアネート基末端プレポリマーを添加することにより、イソシアネート基末端プレポリマーを水分散させ、次いで、それに鎖伸長剤を添加して、イソシアネート基末端プレポリマーを鎖伸長剤により鎖伸長する。
イソシアネート基末端プレポリマーを水分散させるには、イソシアネート基末端プレポリマー100質量部に対して、水100〜1000質量部の割合において、水を撹拌下、イソシアネート基末端プレポリマーを添加する。
その後、鎖伸長剤を、イソシアネート基末端プレポリマーが水分散された水中に、撹拌下、イソシアネート基末端プレポリマーのイソシアネート基に対する鎖伸長剤の活性水素基(アミノ基および水酸基)の当量比(活性水素基/イソシアネート基)が、例えば、0.6〜1.2の割合となるように、滴下する。
鎖伸長剤は、滴下および撹拌しつつ、例えば、常温にて反応を完結させる。反応完結までの反応時間は、例えば、0.1時間以上であり、また、例えば、10時間以下である。
また、この方法では、必要に応じて、有機溶媒や水を除去することができ、さらには、水を添加して固形分濃度を調整することもできる。
これにより、ポリウレタン樹脂が水分散されてなり、ポリウレタン樹脂中のアニオン性基が中和剤により中和されているディスパージョンが得られる。
ポリウレタンディスパージョンにおいて、ポリウレタン樹脂の固形分濃度は、例えば、10質量%以上、好ましくは、15質量%以上、より好ましくは、20質量%以上であり、また、例えば、60質量%以下、好ましくは、50質量%以下、より好ましくは、40質量%以下である。
また、この方法では、必要に応じて、有機溶媒や水を除去することができ、さらには、水を添加して固形分濃度を調整することもできる。
ポリウレタンディスパージョンのpHは、例えば、5以上、好ましくは、6以上、また、例えば、11以下、好ましくは、10以下である。
ポリウレタンディスパージョンの平均粒子径は、例えば、10nm以上、好ましくは、20nm以上、より好ましくは、50nm以上であり、また、例えば、500nm以下、好ましくは、300nm以下、より好ましくは、200nm以下である。
また、ポリウレタンディスパージョンにおけるポリウレタン樹脂のウレタン基濃度およびウレア基濃度の合計は、比較的高く、例えば、30質量%以上、好ましくは、34質量%以上、より好ましくは、38質量%以上であり、例えば、50質量%以下、好ましくは、46質量%以下、より好ましくは、42質量%以下である。ウレタン基濃度およびウレア基濃度を高くすることにより、ガスバリア性の向上を図ることができる。
なお、ウレタン基濃度およびウレア基濃度の合計は、原料成分の仕込み比から算出することができる。
また、ポリウレタン樹脂のガラス転移温度(Tg)は、例えば、70℃以上、好ましくは、80℃以上であり、例えば、140℃以下、好ましくは、130℃以下である。
なお、ガラス転移温度(Tg)は、後述する実施例に準拠した動的粘弾性測定により、求めることができる。
ボトルブロー成形用コーティング剤は、上記のポリウレタンディスパージョンに加えて、架橋剤を含有している。
架橋剤は、耐水性および可使時間の観点から、エポキシ架橋剤、カルボジイミド架橋剤およびオキサゾリン架橋剤からなる群から選択される少なくとも1種を含有する。
エポキシ架橋剤は、架橋性官能基としてのエポキシ基を、1分子中に1つ以上有する架橋剤(硬化剤)である。
エポキシ架橋剤としては、例えば、グリシジルエーテル型エポキシ化合物、グリシジルエステル型エポキシ化合物、グリシジルアミン型エポキシ化合物、環式脂肪族エポキシ樹脂、複素環式エポキシ化合物、エポキシ化大豆油、エポキシ基含有シランカップリング剤などが挙げられ、好ましくは、グリシジルエーテル型エポキシ化合物が挙げられる。
グリシジルエーテル型エポキシ化合物としては、例えば、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリオキシエチレングリコール(繰返単位数2〜20)ジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリオキシプロピレン(繰返単位数2〜20)グリコールジグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテルなどが挙げられる。
これらエポキシ架橋剤は、単独使用または2種類以上併用することができる。
カルボジイミド架橋剤は、架橋性官能基としてのカルボジイミド基を、1分子中に1つ以上有する架橋剤(硬化剤)である。
カルボジイミド架橋剤は、例えば、公知のカルボジイミド化触媒の存在下で、ポリイソシアネートを脱炭酸縮合反応させることによって、ポリカルボジイミド化合物として得ることができる。
カルボジイミドを構成するポリイソシアネートとしては、例えば、上記した芳香族ポリイソシアネート、上記した芳香脂肪族ポリイソシアネート(キシリレンジイソシアネートを含む)、脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネート(水添キシリレンジイソシアネートを含む)、および、これらの誘導体が挙げられる。また、カルボジイミド化触媒としては、特に制限されず、例えば、ホスホレン、ホスホレンオキサイドなどの公知の触媒が挙げられる。カルボジイミド化触媒によるポリイソシアネートの脱炭酸縮合反応は、無溶剤反応であってもよく、また、溶剤の存在下における反応であってもよい。
カルボジイミド架橋剤として、より具体的には、例えば、テトラメチルキシリレンジイソシアネ−ト系カルボジイミド、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)系カルボジイミド、ペンタメチレンジイソシアネート系カルボジイミドなどが挙げられる。
これらカルボジイミド架橋剤は、単独使用または2種類以上併用することができる。
オキサゾリン架橋剤は、架橋性官能基としてのオキサゾリン基を、1分子中に1つ以上有する架橋剤(硬化剤)である。
オキサゾリン架橋剤としては、例えば、2,2’−ビス−(2−オキサゾリン)、2,2’−メチレン−ビス−(2−オキサゾリン)、2,2’−エチレン−ビス−(2−オキサゾリン)、2,2’−トリメチレン−ビス−(2−オキサゾリン)、2,2’−テトラメチレン−ビス−(2−オキサゾリン)、2,2’−ヘキサメチレン−ビス−(2−オキサゾリン)、2,2’−オクタメチレン−ビス−(2−オキサゾリン)、2,2’−エチレン−ビス−(4,4’−ジメチル−2−オキサゾリン)、2,2’−p−フェニレン−ビス−(2−オキサゾリン)、2,2’−m−フェニレン−ビス−(4,4’−ジメチル−2−オキサゾリン)、ビス−(2−オキサゾリニルシクロヘキサン)スルフィド、ビス−(2−オキサゾリニルノルボルナン)スルフィドなどが挙げられる。
これらオキサゾリン架橋剤は、単独使用または2種類以上併用することができる。
これら架橋剤は、単独使用または2種類以上併用することができる。
架橋剤として、好ましくは、エポキシ架橋剤、カルボジイミド架橋剤が挙げられ、より好ましくは、エポキシ架橋剤が挙げられる。
すなわち、架橋剤は、エポキシ架橋剤、カルボジイミド架橋剤およびオキサゾリン架橋剤からなる群から選択される少なくとも1種を含有し、好ましくは、エポキシ架橋剤および/またはカルボジイミド架橋剤を含有し、より好ましくは、エポキシ架橋剤を含有する。さらに好ましくは、架橋剤は、エポキシ架橋剤および/またはカルボジイミド架橋剤からなり、とりわけ好ましくは、エポキシ架橋剤からなる。
架橋剤の官能基当量は、比較的小さく、より具体的には、500以下、好ましくは、450以下、より好ましくは、400以下、さらに好ましくは、350以下、さらに好ましくは、300以下、さらに好ましくは、250以下、さらに好ましくは、200以下、とりわけ好ましくは、150以下である。
官能基当量が上記上限を下回っていれば、ガスバリア性および耐水性の向上を図ることができる。
なお、官能基当量は、各架橋剤における架橋性官能基(エポキシ基、カルボジイミド基、オキサゾリン基)1つに対する分子量である。
すなわち、エポキシ架橋剤の官能基当量は、エポキシ当量を示す。また、カルボジイミド架橋剤の官能基当量は、カルボジイミド当量を示す。また、オキサゾリン架橋剤の官能基当量は、オキサゾリン当量を示す。
また、架橋剤の平均官能基数は、例えば、2以上であり、例えば、10以下、好ましくは、8以下、より好ましくは、6以下、さらに好ましくは、5以下、とりわけ好ましくは、3以下である。
平均官能基数が上記範囲であれば、ガスバリア性および耐水性の向上を図ることができる。
なお、エポキシ架橋剤の平均官能基数は、平均エポキシ基数であり、カルボジイミド架橋剤の平均官能基数は、平均カルボジイミド基数であり、オキサゾリン架橋剤の平均官能基数は、平均オキサゾリン基数である。
なお、このような架橋剤は、市販品として入手することもできる。
エポキシ架橋剤の市販品としては、例えば、デナコールEX−810(エチレングリコールジグリシジルエーテル、官能基当量113)、デナコールEX−821(ポリオキシエチレングリコール(繰返単位数4)ジグリシジルエーテル、官能基当量185)、デナコールEX−841(ポリオキシエチレングリコール(繰返単位数13)ジグリシジルエーテル、官能基当量372)、デナコールEX−911(プロピレングリコールジグリシジルエーテル、官能基当量165)、デナコールEX−920(ポリオキシプロピレングリコール(繰返単位数3)ジグリシジルエーテル、官能基当量176)、デナコールEX−313(グリセロールポリグリシジルエーテル、官能基当量141)、デナコールEX−614B(ソルビトールポリグリシジルエーテル、官能基当量173)(以上、ナガセケムテック社製)などが挙げられる。
また、カルボジイミド架橋剤の市販品としては、例えば、カルボジライトSV−02(官能基当量430)、カルボジライトV−02−L2(官能基当量385)(以上、日清紡ケミカル社製)などが挙げられる。
また、オキサゾリン架橋剤の市販品としては、例えば、エポクロスWS−300(官能基当量130)、エポクロスWS−700(官能基当量220)(以上、日本触媒製)などが挙げられる。
これら架橋剤の市販品は、単独使用または2種類以上併用することができる。
そして、架橋剤は、例えば、上記ポリウレタン樹脂を含むポリウレタンディスパージョンに対して、一括添加または分割添加される。
また、架橋剤は、固形分として添加されてもよく、また、溶剤に溶解した溶液として添加されてもよく、さらには、溶剤に分散された分散液として添加されてもよい。
ボトルブロー成形用コーティング剤において、架橋剤の含有割合は、一般的なコーティング剤における架橋剤の含有割合よりも少なく、より具体的には、上記ポリウレタン樹脂中のアニオン性基(好ましくは、カルボキシ基)1モルに対して、架橋剤のエポキシ基、カルボジイミド基およびオキサゾリン基の総モルが、例えば、0.1モル以上、好ましくは、0.2モル以上、より好ましくは、0.4モル以上、さらに好ましくは、0.6モル以上であり、例えば、1.2モル以下、好ましくは、1.1モル以下、より好ましくは、1.0モル以下である。
また、ボトルブロー成形用コーティング剤において、架橋剤の含有割合は、ボトルブロー成形用コーティング剤の固形分総量(上記のポリウレタン樹脂、架橋剤、および、必要により添加される添加剤(後述))に対して、例えば、1質量%以上、好ましくは、5質量%以上であり、例えば、20質量%以下、好ましくは、10質量%以下である。
架橋剤の含有割合が上記範囲であれば、ボトルブロー成形において、優れた成形性を得ることができ、さらに、優れた使可時間、ガスバリア性および耐水性を得ることができる。
そして、架橋剤をポリウレタンディスパージョンに添加した後、任意の方法で、それらを混合する。これにより、ポリウレタン樹脂および架橋剤を含む分散液が得られ、ボトルブロー成形用コーティング剤が得られる。
なお、ボトルブロー成形用コーティング剤には、必要に応じて、その他の添加剤(上記の架橋剤を除く添加剤)を配合することができる。
添加剤としては、例えば、増粘剤、シランカップリング剤、アルコキシシラン化合物、安定剤(酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤など)、可塑剤、帯電防止剤、滑剤、ブロッキング防止剤、界面活性剤、分散安定剤、着色剤(顔料、染料など)、フィラー、コロイダルシリカ、無機粒子、無機酸化物粒子、結晶核剤などが挙げられる。なお、添加剤の配合割合は、特に制限されず、目的および用途に応じて、適宜設定される。
添加剤として、好ましくは、増粘剤、フィラーが挙げられる。
フィラーとしては、例えば、有機ナノファイバー、層状無機化合物などが挙げられ、ガスバリア性の観点から、好ましくは、層状無機化合物が挙げられる。
層状無機化合物としては、例えば、膨潤性の層状無機化合物、非膨潤性の層状無機化合物などが挙げられる。ガスバリア性の観点から、好ましくは、膨潤性の層状無機化合物が挙げられる。
膨潤性の層状無機化合物は、極薄の単位結晶からなり、単位結晶層間に溶媒が配位または吸収・膨潤する性質を有する粘土鉱物である。
膨潤性の層状無機化合物として、具体的には、例えば、含水ケイ酸塩(フィロケイ酸塩鉱物など)、例えば、カオリナイト族粘土鉱物(ハロイサイト、カオリナイト、エンデライト、ディッカイト、ナクライトなど)、アンチゴライト族粘土鉱物(アンチゴライト、クリソタイルなど)、スメクタイト族粘土鉱物(モンモリロナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト、ソーコナイト、スチブンサイトなど)、バーミキュライト族粘土鉱物(バーミキュライトなど)、雲母またはマイカ族粘土鉱物(白雲母、金雲母などの雲母、マーガライト、テトラシリリックマイカ、テニオライトなど)、合成マイカなどが挙げられる。
これら膨潤性の層状無機化合物は、天然粘土鉱物であってもよく、また、合成粘土鉱物であってもよい。また、単独または2種以上併用することができ、好ましくは、スメクタイト族粘土鉱物(モンモリロナイトなど)、マイカ族粘土鉱物(水膨潤性雲母など)、合成マイカなどが挙げられ、より好ましくは、合成マイカが挙げられる。
なお、合成マイカは、市販品として入手することもできる。
合成マイカの市販品としては、例えば、ソマシフMEB−3(片倉コープアグリ製)、NTS−5(トピー工業製)などが挙げられる。
フィラーの平均粒径は、例えば、50nm以上、好ましくは、100nm以上であり、また、通常、10μm以下であり、例えば、5μm以下、好ましくは、3μm以下である。また、フィラーのアスペクト比は、例えば、50以上、好ましくは、100以上、より好ましくは、200以上であり、また、例えば、5000以下、好ましくは、3000以下、より好ましくは、2000以下である。
フィラーは、固形分100%として配合されてもよく、また、溶剤に分散された分散液として配合されてもよい。
フィラーの配合割合は、特に制限されないが、例えば、ポリウレタン樹脂100質量部に対して、フィラーが、例えば、1質量部以上、好ましくは、2質量部以上であり、例えば、20質量部以下、好ましくは、10質量部以下である。
さらに、添加剤として、ガスバリア性を損なわない範囲で、ポリウレタン樹脂を除く高分子材料を添加することもできる。高分子材料としては、例えば、ポリエステル樹脂、アミド樹脂、アクリル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、エチレン-ビニルアルコール共重合体樹脂などが挙げられる。これらは、単独使用または2種類以上併用することができる。なお、高分子材料の配合割合は、本発明の優れた効果を損なわない範囲で、適宜設定される。
なお、添加剤の添加のタイミングは、特に制限されず、ポリウレタン樹脂の合成時に添加してもよく、また、架橋剤を添加する前のポリウレタンディスパージョンに添加してもよく、また、架橋剤と同時にポリウレタンディスパージョンに添加してもよく、さらに、架橋剤を添加した後のポリウレタンディスパージョンに添加してもよい。
ボトルブロー成形用コーティング剤の固形分濃度(ポリウレタン樹脂および架橋剤、さらに、必要により添加される添加剤の総濃度)は、例えば、10質量%以上、好ましくは、15質量%以上であり、また、例えば、40質量%以下、好ましくは、35質量%以下である。
そして、上記のボトルブロー成形用コーティング剤は、特定のポリウレタン樹脂と、エポキシ架橋剤、カルボジイミド架橋剤およびオキサゾリン架橋剤からなる群から選択され、官能基当量が500以下である架橋剤とを含んでいる。
上記のボトルブロー成形用コーティング剤において、上記した特定処方のポリウレタン樹脂は、ガスバリア性に優れるため、プラスチックボトルの樹脂材料(PETなど)に対するコート量を低減しても、十分なガスバリア性を発現できる。
また、上記のボトルブロー成形用コーティング剤において、エポキシ架橋剤、カルボジイミド架橋剤およびオキサゾリン架橋剤からなる群から選択され、官能基当量が500以下である架橋剤は、比較的低温で架橋反応する。そのため、ボトルブロー成形における温度条件でも、ポリウレタン樹脂を良好に架橋でき、耐水性の向上を図ることができる。
さらに、これら架橋剤は、ポリウレタン樹脂に対する反応性が過度に高くないため、可使時間にも優れる。
そのため、上記のボトルブロー成形用コーティング剤を、プラスチックボトル用プリフォームに塗布すれば、そのプラスチックボトル用プリフォームをブロー成形することにより、ガスバリア性および耐水性に優れるプラスチックボトルを得ることができる。
また、上記のボトルブロー成形用コーティング剤において、ポリウレタン樹脂は、ガラス転移温度が比較的低い。そのため、上記のプラスチックボトルの製造方法によれば、上記のボトルブロー成形用コーティング剤の塗膜を、プラスチックボトル用プリフォームに追従させて延伸することができる。
また、プラスチックボトルのブロー成形では、原料樹脂の耐熱温度に応じて加熱されるため、過度に高温にすることができず、比較的高温で架橋する架橋剤(例えば、ブロックイソシアネートなど)を使用できないが、上記の架橋剤は、ブロックイソシアネートなどよりも低温で架橋できるため、プラスチックボトルのブロー成形に好適に用いることができる。
以下において、上記のボトルブロー成形用コーティング剤を用いたプラスチックボトルの製造方法について、詳述する。
より具体的には、この方法では、まず、上記のボトルブロー成形用コーティング剤を、プラスチックボトル用プリフォームの外表面に塗布および乾燥して、塗膜を形成する(塗布工程)。
プラスチックボトル用プリフォームとしては、特に制限されず、公知の樹脂材料から形成されるプリフォームが挙げられる。
プリフォームを形成する樹脂材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン(PP)、シクロオレフィンコポリマー(COC、環状オレフィン共重合)、アイオノマー、ポリ−4−メチルペンテン、ポリメタクリル酸メチル、ポリスチレン、エチレン・ビニルアルコール共重合、アクリロニトリル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリスルホン、又は、4弗化エチレン、アクリロニトリル−スチレン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン、ポリ乳酸(PLA)などが挙げられる。これら樹脂材料は、単独使用または2種類以上併用することができる。
プリフォームを形成する樹脂材料として、好ましくは、ポリエチレンテレフタレート(PET)が挙げられる。
また、プラスチックボトル用プリフォームは、単層型プリフォームであってもよく、複数層型プリフォームであってもよい。生産性の観点から、好ましくは、単層型プリフォームが挙げられる。
ボトルブロー成形用コーティング剤を、プラスチックボトル用プリフォームの外表面に塗布する方法としては、特に制限されず、例えば、ディップコート法、グラビアコート法、リバースコート法、ロールコート法、バーコート法、スプレーコート法、エアナイフコート法などの公知のコーティング方法が挙げられる。好ましくは、ディップコート法が挙げられる。
ディップコート法では、例えば、容器に溜められたボトルブロー成形用コーティング剤に、プラスチックボトル用プリフォームを、口部を上にした状態で浸漬する。これにより、プラスチックボトル用プリフォームの外表面に、ボトルブロー成形用コーティング剤が塗布される。
その後、ボトルブロー成形用コーティング剤の膜厚を公知の方法で均質化し、乾燥させる。乾燥方法としては、特に制限されないが、例えば、熱風乾燥、近赤外線乾燥、遠赤外線乾燥、マイクロ波加熱乾燥などが挙げられる。
なお、乾燥温度は、例えば、30℃以上、好ましくは、40℃以上であり、例えば、70℃以下、好ましくは、65℃以下である。また、乾燥時間は、例えば、0.5分以上、好ましくは、2分以上であり、例えば、20分以下、好ましくは、10分以下である。
これにより、プリフォームの外表面に、ボトルブロー成形用コーティング剤からなるコート層(乾燥塗膜)が、形成される。
また、必要により、上記の塗布および乾燥を、複数回繰り返すこともできる。この場合、繰り返しの回数は、例えば、2回以上、例えば、10回以下である。
これにより、ボトルブロー成形用コーティング剤からなるコート層を、多層とすることもできる。なお、このような場合、ボトルブロー成形用コーティング剤は、同じ種類であってもよく、また、異なる種類であってもよい。例えば、互いに異なる架橋剤が添加されたボトルブロー成形用コーティング剤や、例えば、ポリウレタン樹脂の処方が互いに異なるボトルブロー成形用コーティング剤などを用いることができる。
上記のボトルブロー成形用コーティング剤からなるコート層の厚みは(複数回塗布する場合には、その総厚)として、例えば、10μm以上、好ましくは、15μm以上であり、例えば、150μm以下、好ましくは、120μm以下である。
さらに、上記のボトルブロー成形用コーティング剤からなるコート層は、少なくとも1層形成されていればよく、ボトルブロー成形用コーティング剤からなるコート層の上側または下側に、その他のコーティング剤からなるコート層が、形成されていてもよい。
その他のコーティング剤としては、例えば、上記の架橋剤が含まれていないコーティング剤や、上記のポリウレタン樹脂が含まれていないコーティング剤などが挙げられる。
このような場合、その他のコーティング剤からなるコート層の厚みは、特に制限されず、目的および用途に応じて、適宜設定される。
次いで、この方法では、上記の塗布工程の後、プラスチックボトル用プリフォームを、ブロー成形法によって延伸してプラスチックボトルに成形する。また、これとともに、ボトルブロー成形用コーティング剤からなるコート層(乾燥塗膜)をプラスチックボトル用プリフォームに追従させて延伸する(成形工程)。
より具体的には、この工程では、ボトルブロー成形用コーティング剤からなるコート層(乾燥塗膜)を備えるプラスチックボトル用プリフォームを、1軸または2軸延伸ブロー成形機(好ましくは、2軸延伸ブロー成形機)により、ブロー成形する。
ブロー成形における成形温度は、プリフォームの原料樹脂の耐熱温度などに応じて、設定される。例えば、プリフォームの原料樹脂が、ポリエチレンテレフタレート(PET)である場合、成形温度(加熱温度)は、例えば、100℃以上、好ましくは、110℃以上であり、例えば、150℃以下、好ましくは、140℃以下である。また、成形時間は、加熱方法により異なる。例えば、近赤外線ヒーターを用いる場合、加熱時間が、例えば、50秒以上、好ましくは、60秒以上であり、例えば、180秒以下である。また、例えば、内部ヒーター、遠赤外線ヒーターなどを用いることにより、加熱時間を短縮することもできる。
これにより、プラスチックボトル用プリフォームが延伸され、所定のプラスチックボトル形状に成形される。また、これにより、プラスチックボトル用プリフォームの外表面の塗膜(ボトルブロー成形用コーティング剤からなるコート層)を、プラスチックボトル用プリフォームに追従させて、延伸する。なお、延伸倍率は、特に制限されず、目的に応じて、適宜設定される。
そして、上記のプラスチックボトルの製造方法によれば、上記のボトルブロー成形用コーティング剤の塗膜を、プラスチックボトル用プリフォームに追従させて延伸することができる。
また、プラスチックボトルのブロー成形では、原料樹脂の耐熱温度に応じて加熱されるため、過度に高温にすることができず、比較的高温で架橋する架橋剤(例えば、ブロックイソシアネートなど)を使用できないが、上記の架橋剤は、ブロックイソシアネートなどよりも低温で架橋できるため、プラスチックボトルのブロー成形に好適に用いることができる。
その結果、ボトルブロー成形用コーティング剤からなるコート層を、プラスチックボトルの表面に形成でき、ガスバリア性および耐水性に優れるプラスチックボトルを得ることができる。
また、上記のプラスチックボトルは、プラスチックボトル用プリフォームの成形体であるボトル本体と、そのボトル本体の外表面に形成されるポリウレタン層(つまり、ボトルブロー成形用コーティング剤の乾燥体)とを備える。
このようなプラスチックボトル(コートボトル)は、ポリウレタン層として、ボトルブロー成形用コーティング剤の乾燥体を備えるため、ガスバリア性および耐水性に優れる。
次に、本発明を、実施例および比較例に基づいて説明するが、本発明は、下記の実施例によって限定されるものではない。なお、「部」および「%」は、特に言及がない限り、質量基準である。また、以下の記載において用いられる配合割合(含有割合)、物性値、パラメータなどの具体的数値は、上記の「発明を実施するための形態」において記載されている、それらに対応する配合割合(含有割合)、物性値、パラメータなど該当記載の上限値(「以下」、「未満」として定義されている数値)または下限値(「以上」、「超過」として定義されている数値)に代替することができる。
合成例1(PUD)
タケネート500(1,3−キシリレンジイソシアネート、m−XDI、三井化学社製)171.6g、VestanatH12MDI(4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、H12MDI)29.9g、エチレングリコール35.4g、トリメチロールプロパン2.9g、ジメチロールプロピオン酸17.2gおよび溶剤としてメチルエチルケトン145.4gを混合し、窒素雰囲気下65〜70℃で、イソシアネート基濃度(NCO%)が6.12質量%以下になるまで反応させ、透明なイソシアネート基末端プレポリマー反応液を得た。
次いで、得られた反応液を40℃まで冷却し、その後、トリエチルアミン13.0gにて中和させた。
次いで、反応液を881.8gのイオン交換水にホモディスパーにより分散させ、59.9gのイオン交換水に29.9gの2−((2−アミノエチル)アミノ)エタノールを溶解したアミン水溶液を添加し、鎖伸長反応させた。
その後、1時間熟成反応させ、メチルエチルケトンとイオン交換水をエバポレーターにて留去し、固形分30質量%となるようにイオン交換水にて調整することにより、ポリウレタンディスパージョン(PUD)を得た。
得られたポリウレタンディスパージョン(PUD)は、pH8.4、粘度15mPa・s(25℃)、コールターカウンターN5(ベックマン社製)測定による平均粒子径は60nmであった。なお、仕込み計算によるウレタン基濃度およびウレア基濃度の合計は39.9質量%であった。
また、ポリウレタン樹脂のガラス転移温度は、110℃であった。
なお、ガラス転移温度は、下記の条件で、動的粘弾性測定により求めた。
具体的には、動的粘弾性測定装置(VES−F−III、VISCO−ELASTICSPECTROMETER、岩本製作所社製)を用いて、長さ2cm、幅5mm、厚み0.2mmのサンプル片を、引張モード、昇温速度10℃/分、振動数10Hz、振幅±0.04mmの温度分散モードにて測定し、貯蔵伸長弾性率E’、損失伸長弾性率E’’および損失正接(tanδ)を得た。そして、損失正接(tanδ)のピーク値の温度を、ガラス転移温度とした。
実施例1〜12および比較例1〜7
(1)ボトルブロー成形用コーティング剤の調製
100gのPUDに、増粘剤(商品名プライマルRM−8W、ダウケミカル社製、固形分濃度21.5%)2gを添加し、ミキサーにて混合した。
次いで、得られた混合物に、表1〜表3に記載の架橋剤および添加剤を、表1に記載の処方で添加し、混合した。これにより、ボトルブロー成形用コーティング剤を得た。
(2)塗布工程
ポリエチレンテレフタレート(PET)製プラスチックボトル(内容量500mL、質量26.8g)の製造用プリフォーム(以下、プリフォーム)を準備した。
次いで、表1〜表3に記載のボトルブロー成形用コーティング剤に、PET製プリフォームを浸漬した。これにより、PET製プリフォームの外表面に、ボトルブロー成形用コーティング剤を塗布した。その後、PET製プリフォームを、65℃のオーブンで5分乾燥させた。
また、上記の塗布および乾燥を、2回繰り返した。これにより、ボトルブロー成形用コーティング剤によって表面コートされたプリフォームを得た。なお、コート前のプリフォームの質量(W1)と、コート後のプリフォームの質量(W2)とを測定し、その差(W2−W1)を算出して、塗布量を調整した。
(3)成形工程
2軸延伸ブロー成型機(型番Blomax6、KHS製)により、金型温度120℃で、プリフォームを延伸し、プラスチックボトルの形状にブロー成形した。また、これとともに、ボトルブロー成形用コーティング剤の塗膜を、プラスチックボトル用プリフォームに追従させて延伸した。
その結果、ボトルブロー成形用コーティング剤からなるコート層を表面に備えるプラスチックボトル(以下、プラスチックボトル)が形成された。
実施例13〜14および比較例8
(1)塗布工程
ポリエチレンテレフタレート(PET)製プラスチックボトル(内容量500mL、質量26.8g)の製造用プリフォーム(以下、プリフォーム)を準備した。
次いで、第1コートとして表4に記載のボトルブロー成形用コーティング剤に、PET製プリフォームを浸漬した。これにより、PET製プリフォームの外表面に、ボトルブロー成形用コーティング剤を塗布した。その後、PET製プリフォームを、65℃のオーブンで5分乾燥させた。
次いで、第2コートとして表4に記載のボトルブロー成形用コーティング剤に、PET製プリフォームを浸漬した。これにより、PET製プリフォームの外表面に、ボトルブロー成形用コーティング剤を塗布した。その後、PET製プリフォームを、65℃のオーブンで5分乾燥させた。
これにより、ボトルブロー成形用コーティング剤によって表面コートされたプリフォームを得た。なお、コート前のプリフォームの質量(W1)と、コート後のプリフォームの質量(W2)とを測定し、その差(W2−W1)を算出して、塗布量を調整した。
(2)成形工程
2軸延伸ブロー成型機(型番Blomax6、KHS製)により、金型温度120℃で、プリフォームを延伸し、プラスチックボトルの形状にブロー成形した。また、これとともに、ボトルブロー成形用コーティング剤の塗膜を、プラスチックボトル用プリフォームに追従させて延伸した。
その結果、ボトルブロー成形用コーティング剤からなるコート層を表面に備えるプラスチックボトル(以下、プラスチックボトル)が形成された。
<評価>
(1)酸素透過度
プラスチックボトルの酸素透過度(cc/(pkg・24hr))を、以下の方法で測定した。
すなわち、プラスチックボトルの内部に蒸留水20mLを染み込ませたパッドを配置して内部湿度100%RHとし、かつ、外部湿度を75%RHに調整した。
そして、試験温度23℃において、酸素透過度測定装置(型式:Oxtran 2/61、Modern Control製)、および、恒温恒湿層IG400(ヤマト科学製)を用いて、プラスチックボトルの酸素透過度を測定し、測定開始から92時間経過後の値と、評価した。
(2)耐水性(白化試験)
プラスチックボトルを40℃の温水に浸漬し、20分後の外観を観察し、以下の基準で評価した。
◎:変化なし
○:やや白化
×:完全白化
(3)可使時間(翌日塗装品白化試験)
各実施例および各比較例において、ボトルブロー成形用コーティング剤を得た後、プリフォームに塗布する前に、23℃で24時間静置した。その後、静置したボトルブロー成形用コーティング剤を用いて、上記の方法でプラスチックボトルを得た。
そして、プラスチックボトルを40℃の温水に浸漬し、20分後の外観を観察し、以下の基準で評価した。
◎:変化なし
○:やや白化
×:完全白化
Figure 2020200377
Figure 2020200377
Figure 2020200377
Figure 2020200377
なお、表中の略号の詳細を下記する。
EX−313:デナコールEX−313、グリセロールポリグリシジルエーテル、官能基当量141、固形分濃度100質量%、ナガセケムテック社製
EX−810:デナコールEX−810、エチレングリコールジグリシジルエーテル、官能基当量113、固形分濃度100質量%、ナガセケムテック社製
EX−920:デナコールEX−920、ポリオキシプロピレングリコール(繰返単位数3)ジグリシジルエーテル、官能基当量176、固形分濃度100質量%、ナガセケムテック社製
EX−821:デナコールEX−821、ポリオキシエチレングリコール(繰返単位数4)ジグリシジルエーテル、官能基当量185、固形分濃度100質量%、ナガセケムテック社製
EX−614B:デナコールEX−614B、ソルビトールポリグリシジルエーテル、官能基当量173、固形分濃度100質量%、ナガセケムテック社製
EX−841:デナコールEX−841、ポリオキシエチレングリコール(繰返単位数13)ジグリシジルエーテル、官能基当量372、固形分濃度100質量%、ナガセケムテック社製
EX−861、デナコールEX−861、ポリオキシエチレングリコール(繰返単位数22)ジグリシジルエーテル、官能基当量551、固形分濃度100質量%、ナガセケムテック社製
V−02−L2:カルボジライトV−02−L2、官能基当量385、固形分濃度40質量%、日清紡ケミカル社製
V−02:カルボジライトV−02、官能基当量590、固形分濃度40質量%、日清紡ケミカル社製
WS−300:エポクロスWS−300、官能基当量130、固形分濃度10質量%、日本触媒製
WS−700:エポクロスWS−700、官能基当量220、固形分濃度25質量%、日本触媒製
K−2020E:エポクロスK−2020E、官能基当量550、固形分濃度40質量%、日本触媒製
WD−725:タケネートWD−725、水分散性イソシアネート、官能基当量(イソシアネート基当量)275、固形分濃度100質量%、三井化学製
MEB−3:ソマシフMEB−3、膨潤性マイカ、8%水分散液、片倉コープアグリ製

Claims (4)

  1. ポリウレタン樹脂および架橋剤が水分散されてなるボトルブロー成形用コーティング剤であり、
    前記ポリウレタン樹脂は、
    キシリレンジイソシアネートおよび/または水添キシリレンジイソシアネートを含有するポリイソシアネート成分と、炭素数2〜6の短鎖ジオール、および、アニオン性基を含有する活性水素化合物を含有する活性水素基含有成分との一次反応生成物であるイソシアネート基末端プレポリマーと、鎖伸長剤との二次反応生成物であり、
    前記架橋剤は、
    エポキシ架橋剤、カルボジイミド架橋剤およびオキサゾリン架橋剤からなる群から選択され、官能基当量が500以下である架橋剤を含む
    ことを特徴とする、ボトルブロー成形用コーティング剤。
  2. 前記アニオン性基がカルボキシ基であり、
    前記ポリウレタン樹脂中のカルボキシ基1モルに対して、前記架橋剤のエポキシ基、カルボジイミド基およびオキサゾリン基の総モルが、0.1〜1.0モルである
    ことを特徴とする、請求項1に記載のボトルブロー成形用コーティング剤。
  3. プラスチックボトル用プリフォームの成形体であるボトル本体と、
    前記ボトル本体の外表面に形成されるポリウレタン層とを備え、
    前記ポリウレタン層は、
    請求項1または2に記載のボトルブロー成形用コーティング剤の乾燥体である
    ことを特徴とする、プラスチックボトル。
  4. 請求項1または2に記載のボトルブロー成形用コーティング剤を、プラスチックボトル用プリフォームの外表面に塗布および乾燥して、塗膜を形成する塗布工程と、
    前記塗布工程の後、前記プラスチックボトル用プリフォームをブロー成形法によって延伸してプラスチックボトルに成形するとともに、前記塗膜を前記プラスチックボトル用プリフォームに追従させて延伸する成形工程と
    を備えることを特徴とする、プラスチックボトルの製造方法。
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