JP2020197049A - 多層階建築物の二重床構造用支持脚部材 - Google Patents
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Abstract
Description
これらの工法により施工された床の遮音性能に関しては、建築基準法上の規定は無いが、特に上階から下階に伝播する歩行音や子供の飛び跳ね音等に関しては、下階居住者からのクレームが出たり、居住者間のトラブルの発生原因ともなり、日本建築学会による「建築物の遮音性能基準」が設けられていた。
これによると、一般的な性能基準(LH−55)が規定され、やむを得ない場合に許容される最低水準(LH−60)も規定されて指導されて来た(推定L等級)。
そこで、2008年に△L等級として、新しい現行制度が生まれた経緯がある。
即ち、重量床衝撃音に関しては、現行の二重床構造においては、遮音性能が低減ではなく、増幅しているという結果となり、注意喚起を受けている状況となった。
(1)床下地材としてはパーチクルボード(厚さ20mm×600mm×1820mm)を用いているが、その所要の床荷重を受け、所定のたわみ量に収めるために、支持脚のピッチを短辺方向で300mm、長辺方向で455mmとして支持脚を設けねばならない。
(2)更に、その支持脚の下端部には「防振ゴム」を設け、スラブと接する部分で衝撃を回避させる構造を採用している。
そこには、所定の確認試験の裏付けもあり、その安心感からコスト競争の世界にあって、二重床イコール「防振ゴム付き支持脚」というイメージが完成し、定着したものと考えられる。
つまり、現状二重床構造にあっては、その床の内部空間内の空気層を複雑に揺れ動かして音の増幅をもたらす一翼を担ってしまう状態(太鼓現象とも言う)となるのである。
上記支持脚9は、弾性台座8に回動自在に立設され、その上端部にはレベル調整用ナット19を備え、支持脚9の上端面に設けた係合部にドライバー等の回転用工具の先端部を係合させて支持脚9を回動して上記レベル調整用ナット19を上下動させ、上記支持板10が上下動してレベル調整を行うことができるものである。
即ち、本発明においては、従来のような弾性台座を設けていない点がその第一の特徴となるのである。
本発明に係る二重床構造施工後の床下地材のフラットな高さレベルの維持固定のためである。
図1は、直張り構造及び二重床構造に関する重量床衝撃音の伝播を図示した説明図であって、その(A)が現状直張り床構造のもの(直床)を、その(B)が現状二重床構造(現行二重床)のものを、その(C)が本発明に係る二重床構造(剛床二重床)を示している。
その(A)図の直床にあっては、多層階建築物のコンクリートスラブの上に、遮音シートを敷き、その上にフローリングを施したものである。
上記本願発明に係る床下地構造と比較して現状の二重床構造の側面図を(C)図に示しているが、複数の床下地材50を多数の支持脚60が支持することとなる。
この点に関しては、再度図9にて説明を加える。
この図からよく解る通り、本願発明に係る床下地材10の持つ剛性により、重量床衝撃Pを受けた際に、本願発明に係る床下地材10の下方への撓み量は小さくなる。
即ち、隣り合う床下地材10、10との連結固定も堅く、その隣り合う床下地材の反力をも受けて、上記撓み量は小さいものとなる。
これにより、床下地材50の下方の空間部の空気振動も大きくなり、上記重量床衝撃音は増幅されてしまう(太鼓現象)こととなるのである。
従って、本願発明に係る(A)図に示した床構造の方が遮音性能が高いものとなる。
図5は、同じく上記実施形態の要部を示し、その(A)が縦断面説明図、その(B)が平面説明図である。
支持脚部材20は、下端のベース部材21と、このベース部材21の略中央部から上方に垂立する支柱部材22と、この支柱部材22の上方に螺合する高さ調整部材23と、この高さ調整部材23の上に載置される弾性シート部材24と、この上に設置される床支持部材25とから成る。
支柱部材22の外周には雄ネジが刻設されている。
この雄ネジ部に高さ調整部材23が高低移動可能に螺合する。
ナット部材26の構成は、次の図6で説明するが、上端の6角ナット27と、その基端部の鍔部とその鍔部の下側から下方に延長する延長部とから成り、その中央部には貫通孔が設けられ、その内周面には雌ネジが刻設されている。この雌ネジが上記支柱部材22の外周の雄ネジと螺合する。
ナット部材26を工具により回動することにより高さ調整部材23がナット部材26の上下移動に伴って上下に移動する。
これにより床支持部材25の高さを調整することができ、それ故、床下地材10の高低を調整できることとなる。
即ち、このナット部材26の中央部には貫通孔が設けられ、この貫通孔の内周面に雌ネジが刻設(螺子孔が形成)され、上記支柱部材22の外周の雄ネジに螺合するのである。
載置部28の中央の貫通孔にナット部材26の延長部29を挿通させ、この延長部29を加締めて載置部28と連結することができる。
この加締め部となる延長部29と載置部28の貫通孔の内周縁部との間にはリング部材30を介在させ、上記3個の小突起31tの存在と相俟って、ナット部材26が載置部28の貫通孔周縁部で良好に回動できることとなる。
そのために、鍔部31の下面には小突起31tを設け、更にリング部材30をも介在させて延長部29を加締めて組み付けているのである。
本願発明においては、ナット部材26と載置部23との組み付けは、適切な固さを維持して堅固に加締め固定し、且つ、回動可能とする点にその特徴がある。
これにより本発明に係る二重床構造を剛床二重床と呼称する所以ともなるのである。
この図においては、本発明に係る支持脚部材によって、床下地材の高さ調整を行った後に、この支持脚部材における高さ調整部材23のナット部材26の緩み止め、つまり、回転ロックを行う必要がある。
この接着材37をナット部材26の上方から流し込んで、ナット部材26の6角ナット27、鍔部31、そして、載置部23の中央の貫通孔の周縁部が下方に窪んだ窪み部36、更には鍔部31と延長部29との間に上記接着材が充填され、乾燥後当該接着材の固化により上記ナット部材26が固定され、ロックされることとなる。これによりナット部材26の緩み止めが行われる。
上記載置部31の中央部に設けた窪み部36は、上記接着材37の溜り場となり、上記接着材37がこの窪み部36から加締め部内にも良好に流入することとなり、適切な固定となるのである。
図9は、同じく上記際根太について図示しており、その(A)が平面説明図、その(B)が縦断面説明図、その(C)が側面説明図、その(D)が壁面緩衝用パッキンの斜視説明図である。
そして、この際根太40を支持する支持脚部材20としては上記床下地材10を支持する支持脚部材20とほぼ同一のものを使用することができる。
際根太40の長手方向には適宜間隔で貫通孔45を設け、この部分に支持脚部材20の支柱部材22を配設し、これを支持できるようにし、この貫通孔45の上方から工具を用いてナット部材26を回動して、その高さを調整することができる。この事情は、上記床下地材10の高さ調整方法と同じである。
このように、本願発明に係る床構造にあっては、壁面部との境界部には際根太40をも配設して壁部Wとの間に間隔を設け、階上の床面の振動を壁部Wに伝達させず、従って、階下にも伝達しないような構成を採用している。
まず、床下地材の下面に接合する補強用帯板材と連結用帯板材は、その厚みとして30mmのものを使用したが、その厚みはプラスマイナス2mm程度の範囲であることが望ましい。
補強用帯板材は、床下地材を配設完了した状態で平面視同一方向に平行になるように配列されることが望ましい。床面に与えられる重量床衝撃に対して最も抵抗力を発揮するからである。
支持脚部材のサイズや形状も自由に設計変更することができる。
支持脚部材の構成パーツも適宜自由に設計変更することができ、要は高さ調整部材が支柱部材に対して螺合して上下に移動できる構成であればよいものである。
上記支持脚部材において、床支持部材及び上記弾性シート部座以外の構成部材は金属製であり、これら金属製部材が本発明の必須構成要素となる。
要は、際根太と壁部との間隔を維持できる緩衝材としての機能を発揮できるサイズと形態及び材質であればよい。
同様に、支持脚部材の高さ調整部材のナット部材に関しても、高さ調整後にウレタン系接着剤を用いて緩み止めとして使用することができる。
11 構造用合板
12 補強用帯板材
13 連結用帯板材
20 支持脚部材
21 ベース部材
22 支柱部材
23 高さ調整部材
24 弾性シート部材
25 床支持部材
26 ナット部材
27 6角ナット
28 載置部
29 延長部
30 リング部材
31 鍔部
31t 小突起
33 吸音材
36 窪み部
37 接着材
40 際根太
42 壁面緩衝用パッキン
45 貫通孔
P 重量床衝撃
S コンクリートスラブ
W 壁部
Claims (7)
- 多層階建築物のコンクリートスラブ上に設置される二重床構造の床下地材を適宜高さレベルでフラットに敷設し支持できる支持脚部材において、
当該支持脚部材は、下端のベース部材と、このベース部材から垂立する支柱部材と、この支柱部材上部に螺合され、前記床下地材の高さを調整する高さ調整部材とからなり、
前記ベース部材をコンクリートスラブに接着材及び/又は螺子により固定することによって前記床下地材の下の空間部内の空気振動を抑制できることを特徴とする多層階建築物の二重床構造用支持脚部材。 - 前記高さ調整部材が床下地材を支持する載置部とこの載置部の中央部で前記支柱部材に螺合するナット部材とから成り、このナット部材は前記載置部に対して回動可能に組み付けられて、このナット部材を回動することにより前記載置部が前記支柱部材に沿って上下動し、このナット部材はその上部から工具によって回動できることを特徴とする請求項1に記載の多層階建築物の二重床構造用支持脚部材。
- 前記載置部上に弾性シートを配設し、更にその上に前記床下地材を支持する床支持部材を配設したことを特徴とする請求項2に記載の多層階建築物の二重床構造用支持脚部材。
- 前記ナット部材の基端部に鍔部を形成し、このナット部材の雌ネジが刻設された螺子孔の下端開口周縁部には下方に延長する環状の延長部を形成し、この延長部を前記載置部の略中央部に設けた貫通穴に挿通させてこの延長部を加締めることによって、前記載置部が前記鍔部と加締められた前記延長部との間に組み付けられ、前記ナット部材を回動することによって前記載置部が上下動することを特徴とする請求項2又は3に記載の多層階建築物の二重床構造用支持脚部材。
- 前記鍔部の下面に小突起を複数設け、前記載置部と前記加締められた延長部との間には環状リング部材を介在させたことを特徴とする請求項4に記載の多層階建築物の二重床構造用支持脚部材。
- 前記載置部の略中央部に設けた貫通穴の周辺部分を下方に窪ませたことを特徴とする請求項2乃至5の何れか1項に記載の多層階建築物の二重床構造用支持脚部材。
- 前記ナット部材の回動により載置部の高さが調整され、床下地材の高さが決定された後に、このナット部材の回動をロックするために、当該ナット部材の上方から接着材を流し込むことにより、前記接着材がナット部材の外側を覆い且つナット部材と載置部との加締め部分にも流れ込むことによりナット部材の回動がロックされることを特徴とする請求項4乃至6の何れか1項に記載の多層階建築物の二重床構造用支持脚部材。
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