JP6976988B2 - 多層階建築物の二重床構造 - Google Patents
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Description
これらの工法により施工された床の遮音性能に関しては、建築基準法上の規定は無いが、特に上階から下階に伝播する歩行音や子供の飛び跳ね音等に関しては、下階居住者からのクレームが出たり、居住者間のトラブルの発生原因ともなり、日本建築学会による「建築物の遮音性能基準」が設けられていた。
これによると、一般的な性能基準(LH−55)が規定され、やむを得ない場合に許容される最低水準(LH−60)も規定されて指導されて来た(推定L等級)。
そこで、2008年に△L等級として、新しい現行制度が生まれた経緯がある。
即ち、重量床衝撃音に関しては、現行の二重床構造においては、遮音性能が低減ではなく、増幅しているという結果となり、注意喚起を受けている状況となった。
(1)床下地材としてはパーチクルボード(厚さ20mm×600mm×1820mm)を用いているが、その所要の床荷重を受け、所定のたわみ量に収めるために、支持脚のピッチを短辺方向で300mm、長辺方向で455mmとして支持脚を設けねばならない。
(2)更に、その支持脚の下端部には「防振ゴム」を設け、スラブと接する部分で衝撃を回避させる構造を採用している。
そこには、所定の確認試験の裏付けもあり、その安心感からコスト競争の世界にあって、二重床イコール「防振ゴム付き支持脚」というイメージが完成し、定着したものと考えられる。
つまり、現状二重床構造にあっては、その床の内部空間内の空気層を複雑に揺れ動かして音の増幅をもたらす一翼を担ってしまう状態(太鼓現象とも言う)となるのである。
この床支持ユニットの下端部にも防振ゴムから成る弾性台座が設けられている。
このように本願発明においては、その剛床下地材とその支持脚部との組み合わせにより極めて高い遮音効果を有する二重床構造を提案することができた。
これにより、上記床下地材を所定高さ位置でフラットに敷設した後、その高さ位置を維持させるために上記ナット部材の緩み防止効果を付与したものである。
即ち、実施態様を特定したものである。
より実施形態に近いものを特定したものである。
図1は、直張り構造及び二重床構造に関する重量床衝撃音の伝播を図示した説明図であって、その(A)が現状直張り床構造のもの(直床)を、その(B)が現状二重床構造(現行二重床)のものを、その(C)が本発明に係る二重床構造(剛床二重床)を示している。
その(A)図の直床にあっては、多層階建築物のコンクリートスラブの上に、遮音シートを敷き、その上にフローリングを施したものである。
上記本願発明に係る床下地構造と比較して現状の二重床構造の側面図を(C)図に示しているが、複数の床下地材50を多数の支持脚部60が支持することとなる。
この点に関しては、再度図9にて説明を加える。
この図からよく解る通り、本願発明に係る床下地材10の持つ剛性により、重量床衝撃Pを受けた際に、本願発明に係る床下地材10の下方への撓み量は小さくなる。
即ち、隣り合う床下地材10、10との連結固定も堅く、その隣り合う床下地材の反力をも受けて、上記撓み量は小さいものとなる。
これにより、床下地材50の下方の空間部の空気振動も大きくなり、上記重量床衝撃音は増幅されてしまう(太鼓現象)こととなるのである。
従って、本願発明に係る(A)図に示した床構造の方が遮音性能が高いものとなる。
図5は、同じく上記実施形態の要部を示し、その(A)が縦断面説明図、その(B)が平面説明図である。
支持脚部20は、下端のベース部材21と、このベース部材21の略中央部から上方に垂立する支柱部材22と、この支柱部材22の上方に螺合する高さ調整部材23と、この高さ調整部材23の上に載置される弾性シート部材24と、この上に設置される床支持部材25とから成る。
支柱部材22の外周には雄ネジが刻設されている。
この雄ネジ部に高さ調整部材23が上下移動可能に螺合する。
ナット部材26の構成は、次の図6で説明するが、上端の6角ナット27と、その基端部の鍔部とその鍔部の下側から下方に延長する延長部とから成り、その中央部には貫通孔が設けられ、その内周面には雌ネジが刻設されている。この雌ネジが上記支柱部材22の外周の雄ネジと螺合する。
ナット部材26を工具により回動することにより高さ調整部材23がナット部材26の上下移動に伴って上下に移動する。
これにより床支持部材25の高さを調整することができ、それ故、床下地材10の高低を調整できることとなる。
即ち、このナット部材26の中央部には貫通孔が設けられ、この貫通孔の内周面に雌ネジが刻設され、上記支柱部材22の外周の雄ネジに螺合するのである。
載置部28の中央の貫通孔にナット部材26の延長部29を挿通させ、この延長部29を加締めて載置部28と連結することができる。
この加締め部となる延長部29と載置部28の貫通孔の内周縁部との間にはリング部材30を介在させ、上記3個の小突起31tの存在と相俟って、ナット部材26が載置部28の貫通孔周縁部で適度な硬さで良好に回動できることとなる。
図8は、同じく上記際根太について図示しており、その(A)が平面説明図、その(B)が縦断面説明図、その(C)が側面説明図、その(D)が壁面緩衝用パッキンの斜視説明図である。
そして、この際根太40を支持する支持脚部20としては上記床下地材10を支持する支持脚部20とほぼ同一のものを使用することができる。
際根太40の長手方向には適宜間隔で貫通孔45を設け、この部分に支持脚部20の支柱部材22を配設し、これを支持できるようにし、この貫通孔45の上方から工具を用いてナット部材26を回動して、その高さを調整することができる。この事情は、上記床下地材10の高さ調整方法と同じである。
このように、本願発明に係る床構造にあっては、壁面部との境界部には際根太40をも配設して壁部Wとの間に間隔を設け、階上の床面の振動を壁部Wに伝達させず、従って、階下にも伝達しないような構成を採用している。
まず、床下地材の下面に接合する補強用帯板材と連結用帯板材は、その厚みとして30mmのものを使用したが、その厚みはプラスマイナス2mm程度の範囲であることが望ましい。
補強用帯板材は、床下地材を配設完了した状態で平面視同一方向に平行になるように配列されることが望ましい。床面に与えられる重量床衝撃に対して最も抵抗力を発揮するからである。
支持脚部のサイズや形状も自由に設計変更することができる。
支持脚部の構成パーツも適宜自由に設計変更することができ、要は高さ調整部材が支柱部材に対して螺合して上下に移動できる構成であればよいものである。
上記支持脚部において、床支持部材及び上記弾性シート部材以外の構成部材は金属製である。
要は、際根太と壁部との間隔を維持できる緩衝材としての機能を発揮できるサイズと形態及び材質であればよい。
同様に、支持脚部の高さ調整部材のナット部材に関しても、高さ調整後にウレタン系接着剤を用いて緩み止めとして使用することができる。
11 構造用合板
12 補強用帯板材
13 連結用帯板材
20 支持脚部
21 ベース部材
22 支柱部材
23 高さ調整部材
24 弾性シート部材
25 床支持部材
26 ナット部材
27 6角ナット
28 載置部
29 延長部
30 リング部材
31 鍔部
31t 小突起
33 繊維系吸音材
40 際根太
42 壁面緩衝用パッキン
45 貫通孔
P 重量床衝撃
S コンクリートスラブ
W 壁部
Claims (8)
- 多層階建築物のコンクリートスラブ上に設置される二重床構造であって、床下地材と、これら床下地材を適宜高さレベルでフラットに敷設し支持できる支持脚部とから成る二重床構造において、
前記床下地材として構造用合板を使用し、この構造用合板の裏面略中央部には補強用帯板材をこの床下地材の側縁部と略平行に接合し、且つその裏面側縁部には、この床下地材に隣接して配置される他の床下地材の側縁部が載置され接合される連結用帯板材を設け、
前記支持脚部は、下端のベース部材と、このベース部材から垂立する支柱部材と、この支柱部材上部に螺合された高さ調整部材と、この高さ調整部材に設けた前記床下地材を支持する床支持部材とからなり、前記ベース部材、支柱部材及び高さ調整部材は金属製のものから成り、
前記ベース部材をコンクリートスラブに螺子及び/又は接着材により固定することによって前記床下地材の下の空間部内の空気振動を抑制でき、
前記支持脚部の高さ調整部材が床支持部材を載置する載置部とこの載置部の中央部で前記支柱部材に螺合するナット部材とから成り、このナット部材は前記載置部に対して回動可能に組み付けられて、このナット部材を回動することにより前記載置部が前記支柱部材に沿って上下動し、このナット部材はその上部から工具によって回動でき、
前記ナット部材の回動により載置部の高さが調整された後、このナット部材の回動を固定するために、当該ナット部材を前記載置部に接着材により固定したことを特徴とする多層階建築物の二重床構造。 - 前記構造用合板の厚みが24mmであり、前記補強用帯板材及び連結用帯板材がそれぞれ厚さ30mmの合板からなることを特徴とする請求項1に記載の多層階建築物の二重床構造。
- 前記床下地材の縦横サイズを略910mmとし、前記支持脚部の床支持部が前記床下地材の角部を支持することを特徴とする請求項1又は2に記載の多層階建築物の二重床構造。
- 前記支持脚部のベース部材を接着材により固定し、その後螺子により更に固定したことを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の多層建築物の二重床構造。
- 際根太を前記支持脚部を用いて支持して設置し、前記床下地材を配設したことを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の多層階建築部の二重床構造。
- 設置された前記床下地材は、壁面部と所定間隔を開けて配設されていることを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の多層階建築物の二重床構造。
- 設置された前記床下地材と壁面部との所定間隔部にエアー抜き緩衝材を配設したことを特徴とする請求項6に記載の多層階建築物の二重床構造。
- 前記床下地材とコンクリートスラブとの間の空間部に繊維系吸音材を配設したことを特徴とする請求項1乃至7の何れか1項に記載の多層階建築物の二重床構造。
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