JP2001193312A - 建築構造物の制振装置 - Google Patents

建築構造物の制振装置

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JP2001193312A
JP2001193312A JP2000005556A JP2000005556A JP2001193312A JP 2001193312 A JP2001193312 A JP 2001193312A JP 2000005556 A JP2000005556 A JP 2000005556A JP 2000005556 A JP2000005556 A JP 2000005556A JP 2001193312 A JP2001193312 A JP 2001193312A
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mass
damping device
vibration damping
mass body
vibration
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JP2000005556A
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Takashi Uchiyama
高 内山
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Sumitomo Riko Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】建築構造物に装着されることにより水平方向の
振動に対して制振効果を発揮する制振装置において、マ
ス部材の質量を容易に調節してチューニング周波数の設
定や設置作業が容易に行うことが出来ると共に、マス部
材の搬入や設置作業が容易とされる新規な構造の建築構
造物用の制振装置を提供することを目的とする。 【解決手段】マス部材12,86,90,94に調節用
空所16,88,92,96を形成して調節用空所1
6,88,92,96に付加マス部材17を収容可能と
した。それにより、制振装置10におけるマス部材1
2,86,90,94の質量を容易に調節可能とし得
た。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【技術分野】本発明は、一般住宅や事務所等の建築構造
物に対する副振動系を構成して、主振動系たる建築構造
物に対して制振効果を発揮し得る建築構造物用の制振装
置に係り、特に、副振動係を構成するマス部材の質量を
容易に調節することが出来る、新規な構造の建築構造物
用制振装置に関するものである。
【0002】
【背景技術】建築構造物では、交通振動や風等の外力が
加振力として作用することによって水平方向の振動が発
生する場合がある。特に、近年では、木造や鉄骨,鉄筋
などの各種構造で建築された一般住宅や事務所等でも二
階建てや三階建てが多くなってきており、それらの一般
住宅や事務所等では、構造上、二階や三階の振動が大き
くなり易いために、交通振動による微震動が、居住生活
(例えば就寝時)や仕事中等における不快音や不快振動
等の原因として問題となってきている。
【0003】ところで、建築構造物における振動の低減
装置としては、従来、高層ビルやタワー等の高層建築物
の揺れを軽減するためのダンパ装置が、幾つか提案され
ており、例えば、特開平8−338467号公報等に記
載されているように、マス部材を建築構造物に対してゴ
ムマウント等の弾性部材で弾性支持せしめることによっ
てダンパ装置を構成したものが知られている。
【0004】ところが、従来のダンパ装置においては、
マス部材が金属等からなる単一の重量物によって形成さ
れており、そのために、マス部材の質量の調節、ひいて
はダンパ装置のチューニング周波数の調節が面倒で、マ
ス部材の質量の変更,調節がコスト的にも大きな負担と
なることが避けられないという問題があった。
【0005】また、建築構造物用のダンパ装置において
は、一般住宅の場合にも数百kg〜千kg程度にも達するこ
とから、そのような大型で大重量のマス部材を、狭い天
井裏等に搬入して設置する作業がきわめて困難であり、
施工上でも大きな問題を有していたのである。特に、建
築後の構造物にダンパ装置を後設置する場合や、ダンパ
装置の設置後に、季節,天候の変化や時間の経過、或い
は改築や、家具等の設置等に伴って、建築構造物におい
て問題となる振動周波数やダンパ装置の固有振動数が変
化すること等により、ダンパ装置の再チューニングの必
要が生じた場合に、その作業が極めて困難であるという
問題があったのである。
【0006】加えて、そのように大重量のマス部材を設
置する際には、マス部材が僅かに傾斜するだけで、ゴム
マウント等の弾性部材に対して極めて大きなこじり荷重
等が作用するために、弾性部材に座屈が発生し易く、一
度座屈すると弾性部材が回復し難く、再びマス部材を除
去してから再設置しなければならないために作業が極め
て煩雑であると共に、弾性部材が損傷するおそれもあっ
たのである。
【0007】
【解決課題】ここにおいて、本発明は、上述の如き事情
を背景としてなされたものであって、その解決課題とす
るところは、建築構造物に装着されることにより水平方
向の振動に対して制振効果を発揮する制振装置であっ
て、マス部材の質量を容易に調節して、チューニング周
波数の設定や再調節等を容易に行うことが出来ると共
に、マス部材の搬入や設置作業が容易とされる新規な構
造の建築構造物用の制振装置を提供することにある。
【0008】
【解決手段】以下、このような課題を解決するために為
された本発明の態様を記載する。なお、以下に記載の各
態様において採用される構成要素は、可能な限り任意の
組み合わせで採用可能である。また、本発明の態様乃至
は技術的特徴は、以下に記載のものに限定されることな
く、明細書全体および図面に記載され、或いはそれらの
記載から当業者が把握することの出来る発明思想に基づ
いて認識されるものであることが理解されるべきであ
る。
【0009】本発明の第一の態様は、建築構造物に固設
された支持部材に対してマス部材をバネ部材で弾性支持
せしめることにより、該建築構造物に対する副振動系を
構成する制振装置において、前記マス部材に対して、別
体形成された付加マス部材を配することの出来る調節用
空所を設けたことを、特徴とする。
【0010】このような本態様に従う構造とされた制振
装置においては、マス部材に形成された調節用空所内
に、マス部材と別体形成された任意の付加マス部材を挿
入,収容すること等により、必要に応じて、マス部材に
対して付加マス部材を装着することが出来る。また、調
節用空所内において付加マス部材を追加したり、或い
は、取り除くこと等によって、マス部材の質量を容易に
変更することが可能とされていることから、制振装置の
設置後にも、マス部材の質量を容易に調節することが出
来る。
【0011】従って、かかる制振装置においては、固有
振動周波数のチューニングが容易とされていることか
ら、異なる周波数域の振動が問題となる別体の建築構造
物に対しても容易に対応することが出来るのであり、そ
れら異なる周波数域の何れにおいても目的とする振動に
対して有効な制振効果を得ることが可能となる。また、
制振装置の設置後に、制振対象となる建築構造物の振動
特性等が変化した場合でも、それに対応して容易に制振
装置の制振特性を調節することが可能とされているので
あり、問題となる振動に対して有効な制振効果を安定し
て発揮させることが出来る。
【0012】なお、付加マス部材としては、特に限定さ
れるものではなく、制振装置用として予め設計,製作さ
れたものを採用する他にも、廃材等を利用することも可
能である。また、付加マス部材の材質としては、鉛や鉄
等の金属材の他、石やコンクリート等も採用可能であ
り、何等限定されるものではない。
【0013】また、本発明の第二の態様は、前記第一の
態様に従う構造とされた建築構造物の制振装置におい
て、前記マス部材を、コンクリート材によって形成した
ことを、特徴とする。このような本態様に従う構造とさ
れた制振装置においては、マス部材に対して任意の形状
を容易に設定することが出来ることから、マス部材の形
状の設計自由度が大きく確保され得るのであり、例え
ば、調節用空所を容易に形成することが出来ると共に、
調節用空所の形状や位置,大きさ,数等の配設状態が大
きな設計自由度をもって形成可能となる。
【0014】更にまた、本発明の第三の態様は、前記第
一又は第二の態様に従う構造とされた建築構造物の制振
装置において、前記マス部材に取り付けられて、前記調
節用空所の開口部を覆蓋する蓋体を設けたことを、特徴
とする。このような本態様に従う構造とされた制振装置
においては、付加マスの調節用空所からの飛び出しを蓋
体によって効果的に防止することが出来る。また、屋外
で制振装置を建築構造物に対して設置する場合でも、蓋
体によって雨水等の調節用空所内への侵入を防止するこ
とが出来るのであり、それにより、調節用空所内への雨
水等の入り込み等に起因する制振特性への悪影響が、有
効に回避乃至は軽減され得る。
【0015】また、本発明の第四の態様は、前記第一乃
至第三の何れかの態様に従う構造とされた建築構造物の
制振装置において、前記調節用空所における前記付加マ
ス部材の自由な変位を規制する変位規制手段を設けたこ
とを、特徴とする。このような本態様に従う構造とされ
た制振装置においては、調節用空所内の付加マス部材の
変位を抑制乃至は防止することが出来ることから、目的
とする制振効果をより一層安定して得ることが可能とな
る。なお、変位規制手段としては、例えば、ボルト等の
固定部材を用いて付加マス部材を調節用空所の内面に対
して固定する他、調節用空所の内面に突起を形成して付
加マス部材を係止させることにより、付加マス部材の変
位を規制すること等も可能である。
【0016】また、本発明の第五の態様は、前記第一乃
至第四の何れかの態様に従う構造とされた建築構造物の
制振装置において、前記バネ部材を、ゴムマウントによ
って構成すると共に、該ゴムマウントの少なくとも一つ
において互いに直交する軸直角方向のばね定数を異なら
せたことを、特徴とする。このような本態様に従う構造
とされた制振装置においては、例えば、制振装置の設置
の際に、先ず、付加マス部材を含まない軽量化されたマ
ス部材をゴムマウントに対して装着し、次に、適当な質
量の付加マス部材を調整用空所に収容することによっ
て、制振装置において必要なマス質量を確保することが
出来ることから、マス部材の装着時におけるマス部材の
傾き等によるゴムマウントへの偏荷重が軽減乃至は回避
される。
【0017】従って、このような本実施形態の制振装置
においては、マス部材の設置に際してのゴムマウントの
座屈変形も有利に防止することが出来るのであり、特
に、水平方向の二方向で大きなばね比が設定されて水平
方向一方向のばね定数が小さくされたゴムマウントにお
いても、マス部材の設置等に際しての座屈がより効果的
に防止され得るのである。また、上述の如き特定構造の
ゴムマウントに対して、付加マス部材を収容する調節用
空所を備えたマス部材を組み合わせて採用することによ
り、水平方向の二方向で大きなばね比が設定された特定
構造のゴムマウントを備えた副振動系において一層大き
なチューニング自由度が実現され得るといった効果も有
利に発揮され得る。
【0018】
【発明の実施形態】以下、本発明を更に具体的に明らか
にするために、本発明の実施形態について、図面を参照
しつつ、詳細に説明する。
【0019】先ず、図1〜2には、本発明の第一の実施
形態としての建築構造物用の制振装置10が示されてい
る。この制振装置10は、マス部材としての質量体12
と、質量体12を弾性支持するバネ部材としての複数個
(本実施形態では四個)のゴムマウント14を含んで構
成されている。そして、このような制振装置10は、建
築構造物において、例えば、二階建住宅や三階建住宅等
における屋根裏空間に収容配置され、二階や三階の天井
を構成する構造部材に対して、複数個のゴムマウント1
4を介して質量体12を弾性支持せしめることにより装
着されるようになっている。
【0020】より詳細には、質量体12は、コンクリー
トブロックから形成されており、全体として、厚肉の略
矩形平板形状をもって形成されている。そこにおいて、
質量体12の中央部分には、上面に開口する調節用空所
としての内部空所16が設けられている。この内部空所
16は、矩形状の内面を有しており、その深さ寸法が質
量体12の高さ寸法より小さくされていると共に、水平
方向の内法寸法が質量体12の幅寸法より小さな寸法を
もって形成されている。なお、質量体12の具体的な形
状は、特に限定されるものではないが、本実施形態の如
く、質量体12の重心を通る直交三軸に対して対称とな
る各種の形状が好適に採用される。
【0021】そして、この質量体12の内部空所16内
に、図2において仮想線で示されているように、質量体
12と別体形成された付加マス部材としての付加マスブ
ロック17が収容可能とされている。なお、この付加マ
スブロック17としては、何等限定されるものではな
く、例えば、各種の金属材や、石,コンクリート材、或
いは、廃材等が適宜に採用可能である。
【0022】また、質量体12の四角部分には、それぞ
れ板厚方向に貫通して延びるマウント取付孔18が形成
されている。各マウント取付孔18は、深さ方向の中間
部分に段差部をもつ段付穴形状とされており、段差部の
軸方向上側が大径部20とされていると共に、段差部の
軸方向下側が小径部22とされている。そして、図3に
示されているように、各マウント取付孔18の小径部2
2内には、小径部22の深さ寸法と略同じ高さ寸法の円
筒形状を有する金属スリーブ24が挿通されて、金属ス
リーブ24の外周面が小径部22の内周面に対して固着
されている。また、金属スリーブ24の軸方向下面に
は、中央部分に挿通孔27を有する矩形平板形状の取付
プレート26が溶着されており、この取付プレート26
の上面が質量体12の下面に対して重ね合わされた状態
で埋設固定されている。
【0023】さらに、質量体12の上面の外周縁部近く
には、各辺の中間部分に位置して、図1〜2に示されて
いるように、質量体12の上面に対して、後述する蓋体
80を装着するための複数(本実施形態では4箇所)の
取付用穴29が形成されている。また、各取付用穴29
内には、金属等から形成されて取付用穴29の深さ寸法
と略同じ高さ寸法を有する円筒形状の取付用スリーブ3
1が差し込まれて取付用スリーブ31の外周面が取付用
穴29の内周面に対して固着されている。
【0024】さらに、本実施形態の制振装置10におい
ては、図1〜2に示されているように、質量体12の上
面に蓋体80が重ね合わせられて配設されている。この
蓋体80は、鋼鈑等の金属板材から形成されており、質
量体12の上面と略同じ平面形状を有する矩形平板形状
とされている。また、蓋体80の外周縁部近くにおける
各辺の中間部分には、質量体12に形成された取付用穴
29に対応する位置に、蓋体80を板厚方向に貫通する
複数(本実施形態では4個所)の挿通孔82が設けられ
ている。そして、質量体12の内部空所16内に適当な
質量の付加マスブロック17を収容した後、蓋体80を
質量体12の上面に重ね合わせた状態で、ボルト84を
蓋体80の各挿通孔82および質量体12の各取付穴2
9内の各取付用スリーブ31に鉛直上方から螺着して、
それら蓋体80と質量体12を相互に移動不能に固定す
ることにより、蓋体80が質量体12に対して装着され
て内部空所16の開口が覆蓋されている。また、特に本
実施形態では、ボルト84を着脱することにより、蓋体
80が質量体12に対して着脱可能とされている。
【0025】なお、質量体12を設置する手段として
は、図面上には示されていないが、例えば、質量体12
の重心を中心とした複数の対称位置に固設したフック金
具を利用して、ワイヤ等を用いて、質量体12を容易に
吊り上げて移動,設置することが可能とされる。
【0026】また、このような質量体12の質量は、装
着される主振動系である建築構造物の質量、振動状態、
構造強度等を考慮して適宜に設定されるものであり、例
えば、一般的な二〜三階建て住宅で100〜1000k
g程度、または、それ以上の総重量が設定される。な
お、ここでいう総重量とは、全ての質量体12の質量で
あって、目的とする制振効果や住宅構造等を考慮して、
単一の制振装置10を装着する場合には、その制振装置
10を構成する一つの質量体12の質量であり、複数の
制振装置10を用いて副振動系を構成する場合には、そ
れら全ての制振装置10を構成する各質量体12の質量
合計として認識される。
【0027】一方、バネ部材としてのゴムマウント14
は、本実施形態では、図3〜4に示されているように、
ゴムマウント14を質量体12或いは建築構造物側(後
述する支持枠体70)に取り付けるための第一の取付金
具28と第二の取付金具30が、鉛直方向に相互に所定
距離を隔てて対向配置されていると共に、それらの対向
面間に本体ゴム弾性体32が介装され、以て、両金具2
8,30が本体ゴム弾性体32で弾性連結された構造と
されている。
【0028】そこにおいて、第一の取付金具28は、矩
形板形状とされた上板34と、矩形平板を中央部分で谷
折りにして斜め上方(図3中、上側)へ立ち上げた両翼
部38,38を有する略V字形状断面の下板36から形
成されており、上板34の下面の両端部分と、下板36
における両翼部38,38の両端部上面とが重ね合わせ
られて溶着されることにより、第一の取付金具28が形
成されている。また、第一の取付金具28には、上板3
4の中央部分に中央挿通孔40が形成されており、この
中央挿通孔40に第一の取付ボルト42の頭部44が鉛
直下方から上方に向かって差し込まれると共に、第一の
取付ボルト42の頭部44と第一の取付金具28の上板
26の下面とが重ね合わせられて溶着されている。そし
て、この第一の取付ボルト42の脚部が、質量体12に
おける取付プレート26の挿通孔27およびマウント取
付孔18内の金属スリーブ24に鉛直下方から挿通され
ると共に、先端部分をマウント取付孔18内でナット4
6やワッシャ48により締付固定されることによって、
ゴムマウント14における第一の取付金具28が質量体
12側に対して取り付けられている。
【0029】また、第二の取付金具30は、その中央部
分が略平坦な上下面を有する中央平板部50とされてい
ると共に、中央平板部50を挟んで長手方向両側が斜め
上方(第一の取付金具28側)に向かって立ち上げられ
て傾斜板部52,52とされている。更に、第二の取付
金具30の中央平板部50の中央部分には中央挿通孔5
4が設けられており、この中央挿通孔54に第二の取付
ボルト56が鉛直方向上方から挿通されると共に、第二
の取付ボルト56の頭部58と第二の取付金具30の中
央平板部50の上面とが重ね合わせられて溶着されてい
る。そして、このような第二の取付ボルト56によっ
て、ゴムマウント14における第二の取付金具30が支
持部材(後述する支持枠体70)に装着されて建築構造
物側へ取り付けられるようになっている。
【0030】また、本体ゴム弾性体32には、中央部分
をマウント中心軸60に直交する方向に貫通して延びる
中央空所62が設けられている。これにより、本体ゴム
弾性体32が実質的に二分割されて、第一の取付金具2
8の下板36の両翼部38,38の下面と、第二の取付
金具30における両傾斜板部52,52の上面に加硫接
着されてそれらを弾性連結する分割ゴムブロック64,
64から、本体ゴム弾性体32が構成されている。
【0031】更に、各分割ゴムブロック64には、各弾
性主軸66方向の略中央部分において、各分割ゴムブロ
ック64の断面よりも一回り大きな平板形状断面を有す
る拘束プレート68,68が、各弾性主軸66に直交し
て広がる状態で配設されている。なお、この拘束プレー
ト68,68は、少なくとも分割ゴムブロック64,6
4よりも硬質の、例えば、鋼板等の金属材で形成されて
おり、各分割ゴムブロック64に加硫接着されていると
共に、その中央部分には、拘束プレート68を挟んだ両
側に分割状態で位置する分割ゴムブロック64を相互に
連結せしめる貫通孔が形成されている。
【0032】なお、両分割ゴムブロック64,64の両
弾性主軸66,66は、何れもゴムマウント14のマウ
ント中心軸60を挟んで傾斜させられており、それによ
って、ゴムマウント14が異方性をもつようにされてい
る。即ち、ゴムマウント14に対して図3の左右方向に
入力される振動に対しては、本体ゴム弾性体32に圧縮
または引張変形が生ぜしめられることにより、ばね定数
が大きくされると共に、図3の紙面に垂直な方向に入力
される振動は、本体ゴム弾性体32に対して専らせん断
方向の力となり、ばね定数が小さくされるため、それに
より、直交する二つの水平方向で、本体ゴム弾性体32
のばね比を大きく異ならせることが可能とされている。
なお、各分割ゴムブロック64における各弾性主軸66
のマウント中心軸60に対する傾斜角度は、特に限定さ
れるものではなく、傾斜角度を更に大きく又は小さく設
定し、本体ゴム弾性体32の圧縮/ 引張方向でばね定数
をより大きく又は小さくしてゴムマウント14の直交す
る水平方向二方向でのばね比を変更する等、目的とする
制振特性を考慮して適宜に設定される。また、各弾性主
軸66のマウント中心軸60に対する傾斜角度は、マウ
ント中心軸60を挟んだ両側で対称形状とすることが望
ましい。このような一対の傾斜対向面を本体ゴム弾性体
32に形成することにより、各ゴムマウント14が水平
方向の直交する二方向に対して異なる防振特性を安定し
て発揮し得るようになっている。
【0033】また、本実施形態では、図1に示されてい
るように、4個のゴムマウント14が、第一の取付金具
28側において質量体12における四角部分に対して、
それぞれ取り付けられる。また一方、各ゴムマウント1
4の第二の取付金具30側は、図2に示されているよう
に、第二の取付ボルト56により、住宅の最上階の天井
の構造部材に取り付けられて固設される支持部材として
の支持枠体70に対してナット72が螺着されることに
より、取り付けられる。なお、支持枠体70は、本実施
形態では、鉄鋼の押出形材等を用いて形成されており、
一対の溝形鋼74,74を互いに平行に所定距離を隔て
て配すると共に、かかる一対の溝形鋼74,74の対向
面間に跨って延びる別の一対の溝形鋼76,76を互い
に所定距離を隔てて平行に組み合わせて、前者(溝形鋼
74,74)と後者(溝形鋼76,76)の当接面を溶
着することによって構成されている。これにより、建築
構造物の構造部材に対して、質量体12が、4個のゴム
マウント14a〜dを介して、弾性的に取り付けられて
いるのであり、以て、質量体12をマス部材とし、4個
のゴムマウント14a〜dをバネ部材とする一つの振動
系が構成され、この振動系によって、建築構造物からな
る主振動系に対する副振動系として機能する制振装置
(TMD)10が構成されている。
【0034】なお、かかる制振装置10の装着状態下で
は、質量体12が、水平方向に広がる状態で支持されて
いると共に、各ゴムマウント14は、何れも、そのマウ
ント中心軸60が鉛直方向に延びる状態で配設されてい
る。また、以下の説明では、ばね定数が最小値となる水
平方向(図3において紙面に垂直な方向)を、各ゴムマ
ウント14における水平基準方向という。
【0035】更にまた、このようなゴムマウント14を
複数個用いて副振動系を構成することにより、それらの
取付位置や取付方向等によって制振装置10のチューニ
ングを行なうことが可能となる。例えば、図5には、複
数個(本実施形態では4個)配設されたゴムマウント1
4a〜dの取付設定例が示されている。これらのゴムマ
ウント14a〜dは、質量体12における直交する水平
二方向の対称軸であるX軸とY軸に関して対称となる位
置に取り付けられている。具体的には、X軸を挟んで1
4aと14bおよび14cと14dがそれぞれ対称とな
る位置に取り付けられていると共に、Y軸を挟んで14
aと14cおよび14bと14dがそれぞれ対称となる
位置に取り付けられている。なお、本実施形態では両対
称軸X,Yと質量体12の慣性主軸とが一致させられて
いる。また、質量体12とゴムマウント14からなる弾
性支持系の鉛直方向の弾性主軸が質量体12の重心を通
るように設定されている。
【0036】さらに、各ゴムマウント14a〜dの取付
方向は、両対称軸X,Yに関して対称とされており、具
体的には、14aの水平基準方向78aと対称軸Xとの
交角Xaおよび14bの水平基準方向78bと対称軸X
との交角Xbが等しく、14cの水平基準方向78cと
対称軸Xとの交角Xcおよび14dの水平基準方向78
dと対称軸Xとの交角Xdが等しくなるように設定され
ている。また、14bの水平基準方向78bと対称軸Y
との交角Ybおよび14dの水平基準方向78dと対称
軸Yとの交角Ydが等しく、14aの水平基準方向78
aと対称軸Yとの交角Yaと14cの水平基準方向78
cと対称軸Yとの交角Ycが等しくなるように設定され
ている。
【0037】このように各ゴムマウント14の取付位置
や取付方向が設定されることにより、各ゴムマウント1
4の取付方向を変更した場合でも、質量体12とゴムマ
ウント14で構成される副振動系全体の弾性主軸が質量
体12の対称軸X,Y上に維持されるようになってい
る。そして、制振装置10を制振対象である建築構造物
に装着する際、その建築構造物の構造や制振特性等を考
慮しつつ、制振目的とする主な振動荷重の入力方向が質
量体12を対称軸X,Yに平行になるように装着方向が
設定される。これにより、制振装置10全体の弾性主軸
方向に沿って制振目的とする主な振動が入力されること
となり、それらの振動に対する有効な制振効果が安定し
て発揮され得るのである。
【0038】また、複数のゴムマウント14a〜dをそ
れぞれマウント中心軸60まわりに回転可能に取り付け
ることにより、それらの取付方向によって制振装置10
に構成される副振動系全体としてのばね比を調節、変更
可能とすることが出来る。具体的には、例えば、対称軸
Xと14aの水平基準方向78aとの交角Xaおよび対
称軸Xと14bの水平基準方向78bとの交角Xb、そ
して対称軸Xと14cの水平基準方向78cとの交角X
cおよび対称軸Xと14dの水平基準方向78dとの交
角Xdを大きくすると、質量体12の対称軸Xに平行な
水平方向に入力される振動に対して、制振装置10全体
のばね定数を大きく設定出来るため高周波振動に有効な
振動絶縁効果を得ることが出来、それら交角Xaおよび
交角Xbそして交角Xcと交角Xdを小さくすれば、質
量体12の対称軸Xに平行な水平方向に入力される振動
に対して制振装置10全体のばね定数を小さく設定する
ことができるようになっており、質量体12のもう一方
の対称軸Yについても同様に設定可能である。要する
に、このようなゴムマウント14a〜dを採用すれば、
質量体12の両対称軸X,Yに対して、各ゴムマウント
14a〜dの取付方向をマウント中心軸60のまわりで
変更することによって、ゴムマウント14を交換しなく
ても、制振装置10が、制振目的とする周波数に合わせ
て容易に、且つ、大きな自由度でチューニング可能とさ
れているのである。
【0039】上述のような制振装置10においては、質
量体12の内部空所16内に付加マスブロック17を配
置,収容すること等によって、質量体12の質量を容易
に設定,変更することが出来る。それ故、制振装置10
の設置後にも、必要に応じて、蓋体80を質量体12か
ら取り外し、付加マスブロック17を追加又は取り除い
たり、或いは、他のものと交換すること等によって、容
易に質量体12の質量を調節することが可能である。
【0040】従って、このような制振装置10を採用す
れば、マスの質量が容易に調節可能とされていることか
ら、制振装置10の設置後に再チューニングの必要が生
じた場合にも、容易に対応することが出来るのであり、
制振目的とする振動に対して有効な制振効果を得られる
のである。また、制振装置10を異なる固有振動周波数
域をもつ建築構造物に対して装着する場合でも同様に、
制振対象となる建築構造物に応じて容易に対応可能とさ
れており、目的とする振動に対して優れた制振効果を得
ることが出来る。
【0041】また、本実施形態の制振装置10において
は、バネ部材として異方性を有するゴムマウント14を
複数個用いてそれらを各マウント中心軸60回りに回転
可能に装着したことにより、ゴムマウント14の何れを
も交換,変更することなく、制振装置10における防振
すべき振動荷重の入力方向となる2つの弾性主軸方向で
のばね定数比、ひいてはそれら2つの弾性主軸方向での
チューニング周波数比を調節,変更することが出来るの
である。特に、全てのゴムマウント14の取付方向を連
動させて変更するようにすれば、ゴムマウント14の取
付方向の変更による副振動系の固有振動数のチューニン
グ幅が、より大きく確保されるといった利点もある。
【0042】さらに、かかる制振装置10においては、
マス部材としての質量体12とバネ部材としてのゴムマ
ウント14を、建築構造物の種類や構造等を考慮して、
予め概略的に設定しておくことによって、それら質量体
12とゴムマウント14の何れをも、交換することな
く、装着される建築構造物の種類や環境等を考慮して、
単に、付加マスブロック17の追加又は取り除きや交換
と、ゴムマウント14の取付方向(設置方向)の変更だ
けによって、問題となっている振動に応じてチューニン
グ周波数を高精度に調節することが出来るのであり、そ
れによって、有効な制振効果を、容易に且つ高精度に、
しかも低コストで得ることが可能となるのである。この
ことは、特に、制振装置10を設置した後に、経年変化
等の影響でチューニング状態が変わった場合等に極めて
有効であり、マスの質量を調節することに加えて、ゴム
マウント14の取付方向を調節して制振装置10のバネ
特性を再チューニングすることによって、制振目的とす
る振動に最適なチューニング状態が容易に実現,維持さ
れ得るのである。
【0043】そこにおいて、本実施形態のゴムマウント
14は、異方性のゴムマウントを採用していることか
ら、ゴムマウント14の回転方向によっては、特定の水
平方向でのばね定数が小さくなることがあるが、ゴムマ
ウント14に質量体12を装着する際に、先ず、付加マ
スブロック17を内部空所16内に収容していない状態
の軽量化された質量体12をゴムマウント14に対して
装着した後、適当な質量の付加マスブロック17を、順
次、内部空所16に収容していくことにより、各ゴムマ
ウント14でばね定数が小さく設定された方向において
も本体ゴム弾性体32の座屈を有効に防止乃至は軽減す
ることが出来る。
【0044】また、本実施形態においては、質量体12
がコンクリートブロックで形成されていることから、質
量体12および内部空所16を、任意の形状に容易に、
且つ、大きな設計自由度をもって形成することが可能と
されている。
【0045】例えば、図6には、本発明の第二の実施形
態としての建築構造物用の制振装置において採用される
マス部材としての質量体86が示されている。なお、以
下の実施形態では、前記第一の実施形態と同様な構造と
された部材および部位について、第一の実施形態と同一
の符号を付することにより、それらの詳細な説明を省略
する。
【0046】すなわち、本実施形態における建築構造物
用の制振装置に採用される質量体86は、第一の実施形
態と同様にコンクリートブロックから形成されて、矩形
平板形状とされていると共にマウント取付孔18や図示
しないフック金具等を有しており、更に、その中央部分
には、調節用空所としての内部空所88が形成されてい
る。この内部空所88は、本実施形態では、質量体86
の四角部分に設けられた各マウント取付孔18を避けた
部分において、全体として略十字形の平面形状をもって
質量体86内を水平方向に広がる状態で設けられてお
り、相互に直交する水平方向の2方向で質量体86を貫
通して質量体86の各側面に開口する形状とされてい
る。
【0047】そして、質量体86に対して適当な質量を
加える際には、付加マス部材としての付加マスブロック
(図示せず)を、質量体86の各側壁部における内部空
所88の開口部から、内部空所88内に挿入,収容する
こと等により、質量体86に対して適当な質量を付加す
ることが出来るようになっている。
【0048】従って、本実施形態の制振装置において
は、第一の実施形態と同様な効果が得られることに加え
て、付加マスブロックを質量体86の内部空所88に収
容するに際して、質量体86よりも長尺の付加マスブロ
ックを採用することが出来ると共に、異なる2方向の水
平方向で付加マスブロックを内部空所88内へ挿入する
ことが出来ることから、制振装置の建築構造物における
配設状態(位置)によって、適当な方向に延びる内部空
所88の開口部を選択して付加マスブロックを内部空所
88内へ挿入することが可能とされている。このため、
例えば、制振装置の建築構造物への設置後に一方向の内
部空所88の開口部が閉塞された場合でも、内部空所8
8の別方向に延びる開口部を利用して付加マスブロック
を内部空所88内に収容することが可能とされている。
また、質量体86において内部空所88が質量体86の
水平方向の中心に対して対称形状に形成されていること
から、制振装置を設置するに際して、設置時の内部空所
88の方向等を考慮して質量体86をゴムマウントに装
着する必要がない。
【0049】さらに、図7には、本発明の第三の実施形
態としての建築構造物用の制振装置において採用される
マス部材としての質量体90が示されている。即ち、本
実施形態の制振装置における質量体90は、第一および
第二の実施形態と同様、コンクリートブロックから形成
されており、矩形平板形状とされていると共に、マウン
ト取付孔18や図示しないフック金具等を有しており、
更に、その中央部分には、調節用空所としての内部空所
92が形成されている。この内部空所92は、本実施形
態においては、質量体90の中央部分を水平方向の一方
向で貫通する状態で形成されており、質量体90の対向
位置する一対の側面において内部空所92の長手方向両
端部が開口されている。
【0050】そこにおいて、必要に応じて、付加マス部
材としての図示しない付加マスブロックを質量体90の
側面に設けられた内部空所92の開口から内部空所92
内へ挿入することにより、質量体90に対して付加質量
を与えることが出来る。それ故、本実施形態の制振装置
においては、第一の実施形態と同様な効果を、簡単な構
造で実現し得ることから、製作性、コスト性や、装着時
における作業性にも極めて優れているのである。
【0051】なお、第二〜三の実施形態においては、質
量体86,90の側面に対して必要に応じて、図示しな
い蓋体を配設することにより、内部空所88,92の開
口を覆蓋することも出来る。
【0052】次に、図8には、本発明の第四の実施形態
としての建築構造物用の制振装置において採用されるマ
ス部材としての質量体94が示されている。即ち、本実
施形態では、質量体94がコンクリートブロックから形
成されており、全体として、厚肉の円環板形状を有して
いる。
【0053】より詳細には、本実施形態の制振装置にお
ける質量体94には、外周縁部近くの複数の箇所(本実
施形態では、四箇所)において、周方向に相互に所定距
離を隔ててマウント取付孔18が設けられている。更
に、本実施形態では、質量体94において、質量体94
の上面に開口する円環形状の内部空所96が設けられて
いる。この内部空所96は、各マウント取付孔18より
内周側に、質量体94と同一の中心軸を中心として質量
体94より小さな径寸法の円環形状をもって形成されて
いる。また、内部空所96の深さ寸法が質量体94の高
さ寸法より小さくされていると共に、内部空所96の内
径寸法および外形寸法は、質量体94の内径寸法より大
きく且つ外形寸法より小さくされている。そして、必要
に応じて、質量体94に対応した形状の蓋体(図示せ
ず)を質量体94の鉛直上方に配設することにより、内
部空所96の開口を覆蓋することが可能とされている。
また、質量体94は、図面上には示されていないが、例
えば、質量体94の上面に、質量体94の重心を挟んで
対称となる複数の位置においてフック金具等を設けるこ
とにより、質量体94を吊上げて移動、設置可能とする
ことが出来る。
【0054】このような質量体94を用いた本実施形態
の制振装置においては、質量体94の上面に設けられた
内部空所96の開口部から付加マス部材としての付加マ
スブロック(図示せず)を内部空所96内に差し入れて
収容することにより、必要に応じて、質量体94に対し
て適当な質量を付加することが出来る。
【0055】従って、本実施形態の制振装置を採用すれ
ば、第一の実施形態と同様な効果が発揮され得ることと
なるが、更に、質量体94と内部空所96の両方が同一
の中心軸をもつ円環形状に形成されていることから、装
着作業が一層簡略化されて、制振装置の設置の際に質量
体94の方向性を考慮すること必要がなく、設置作業性
の更なる向上が図られ得る。
【0056】以上、本発明の実施形態について詳述して
きたが、これらはあくまでも例示であって、本発明は、
これらの実施形態における具体的記載によって、何等、
限定的に解釈されるものではない。
【0057】例えば、質量体12,86,90,94
は、コンクリートブロックで形成する他、金属等の材質
を用いて形成することも可能である。
【0058】また、第二〜三の実施形態のように、質量
体86,90において質量体の側壁部に開口する内部空
所88,92を設けるに際しては、対向位置する一対の
側壁部の両方に開口させる必要ななく、一箇所で開口す
るようにしても良い。
【0059】また、内部空所16,88,92,96
は、質量体12,86,90,94において、必ずしも
それぞれの中央部分に一箇所ずつ形成される必要はな
く、適当な数や位置,形状をもって形成される。
【0060】なお、内部空所16,88,92,96の
内面に対して、必要に応じて、付加マスブロック17の
変位を規制する変位規制手段として、ボルト等の固定,
係止部材を設けたり、或いは、突起や摩擦面を形成する
こと等も可能である。
【0061】また、このような制振装置10において、
質量体12と支持枠体70との間に、それらの相互の水
平方向変位量を制限する変位量制限手段を設けても良
い。この変位量制限手段としては、例えば、質量体12
又は支持枠体70の外周縁部から他方の水平方向外方又
は内方に延び出す適当な数のストッパ部材を突設するこ
とによりストッパ機構を形成することが出来る。また例
えば、マス部材として、第四の実施形態での制振装置に
おける円環形状の質量体94を採用する場合には、質量
体94の中心軸付近に形成されたスペースに、円柱形状
を有する単体のストッパ部材を支持部材側から突設して
設けてストッパ機構を形成することも出来る。そして、
何れの構造のストッパ機構においても、質量体12と支
持枠体70との相互の水平方向変位量が所定の大きさに
達した後、質量体12又は支持枠体70に突設されたス
トッパ部材が、他方の外周面又は内周面に当接すること
により、相互の水平方向変位量を制限することが可能と
されている。
【0062】更にまた、バネ部材としての各ゴムマウン
ト14の数や配設形態等は、何等限定されるものでな
く、V字型マウント以外、各種のマウントも採用可能で
ある。特に、マウント中心軸回りで異方性を有しないマ
ウントのみを用いたり、或いはそのようなゴムマウント
を上述の如きゴムマウント14と併用することも可能で
ある。なお、異方性のゴムマウントを利用し、その取付
方向によってばね定数をチューニングする場合には、そ
れらのいくつかのゴムマウントを中心軸まわりに回転可
能にし、他のゴムマウントを回転不能としても良い。
【0063】また、軸直角方向二方向でばね特性が大き
く異ならされたゴムマウントとしても、前記実施形態に
例示のゴムマウント14以外にも各種のものが適当に採
用可能である。例えば、短辺と長辺の長さの比が大きい
長手矩形状断面のゴムブロック等を採用しても良い。
【0064】更にまた、ゴムマウント14の取付方向は
限定されるものでなく、前記実施形態における各ゴムマ
ウント14において、鉛直方向(マウント中心軸60方
向)上下を反対にして、第一の取付金具28を支持枠体
70に取り付けると共に、第二の取付金具30を質量体
12に取り付けても良い。更にまた、ゴムマウント14
の取付方向を維持するために、第一,第二の取付金具2
8,30の少なくとも一方を、質量体12または支持枠
体70(建築構造物)に対して位置決め固定するため
の、ボルトやピン等の取り外し可能な固定手段を併せて
採用することも可能である。
【0065】さらに、本発明に係る制振装置において
は、質量体12の建築構造物(支持枠体70)に対する
変位に際して減衰力を及ぼし得る減衰装置も、必要に応
じて採用可能である。
【0066】また、制振装置の配設位置も、建築構造物
における最上階の天井部分の他、床下部分等、建築構造
物の構造や振動モード等を考慮して、適宜に変更可能で
ある。
【0067】更にまた、制振装置を支持する支持部材と
しては、制振装置を建築構造物に対して固定的に支持せ
しめるものであれば良く、建築構造物の構造材等に固定
される支持枠体70の他、はり等の如く、建築構造物の
構造材等をそのまま支持部材として利用することも可能
である。
【0068】加えて、本発明は、1階建や2階建以上の
一般住宅の他、事務所,倉庫やビル,タワー等、各種の
建築構造物用の制振装置に対して、何れも適用可能であ
ることは、言うまでもない。
【0069】その他、一々列挙はしないが、本発明は、
当業者の知識に基づいて、種々なる変更,修正,改良等
を加えた態様において実施され得るものであり、また、
そのような実施態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限
り、何れも、本発明の範囲内に含まれるものであること
は、言うまでもない。
【0070】
【発明の効果】上述の説明から明らかなように、本発明
に従う構造とされた制振装置においては、マス部材に対
して調節用空所を形成して、調節用空所内に付加マス部
材を収容可能としたことにより、マス部材の質量を容易
に調節してチューニング周波数の設定や再調節等を行う
ことが出来るのであり、また、設置後に付加マス部材を
収容せしめることにより、搬入や設置作業時におけるマ
ス部材が軽量化されて、容易に設置することが可能とな
るのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一の実施形態としての制振装置を示
す分解斜視図である。
【図2】図1に示された制振装置の装着状態を示す縦断
面図である。
【図3】図1に示された制振装置に採用されているゴム
マウントの正面図である。
【図4】図3に示されたゴムマウントの平面図である。
【図5】図1に示された制振装置の平面概略図である。
【図6】本発明の第二の実施形態としての制振装置に採
用される質量体を示す斜視図である。
【図7】本発明の第三の実施形態としての制振装置に採
用される質量体を示す斜視図である。
【図8】本発明の第四の実施形態としての制振装置に採
用される質量体を示す斜視図である。
【符号の説明】
10 制振装置 12,86,90,94 質量体 14 ゴムマウント 16,88,92,96 内部空所 17 付加マスブロック 70 支持枠体

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 建築構造物に固設された支持部材に対し
    てマス部材をバネ部材で弾性支持せしめることにより、
    該建築構造物に対する副振動系を構成する制振装置にお
    いて、 前記マス部材に対して、別体形成された付加マス部材を
    配することの出来る調節用空所を設けたことを特徴とす
    る建築構造物の制振装置。
  2. 【請求項2】 前記マス部材を、コンクリート材によっ
    て形成した請求項1に記載の建築構造物の制振装置。
  3. 【請求項3】 前記マス部材に取り付けられて、前記調
    節用空所の開口部を覆蓋する蓋体を設けた請求項1又は
    2に記載の建築構造物の制振装置。
  4. 【請求項4】 前記調節用空所における前記付加マス部
    材の自由な変位を規制する変位規制手段を設けた請求項
    1乃至3の何れかに記載の建築構造物の制振装置。
  5. 【請求項5】 前記バネ部材を、ゴムマウントによって
    構成すると共に、該ゴムマウントの少なくとも一つにお
    いて互いに直交する軸直角方向のばね定数を異ならせた
    請求項1乃至4の何れかに記載の建築構造物の制振装
    置。
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Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2015183723A (ja) * 2014-03-20 2015-10-22 スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー チューンドマスダンパー
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JP7438863B2 (ja) 2020-06-23 2024-02-27 清水建設株式会社 回転慣性質量ダンパー

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