JP2001082002A - 建築構造物の制振装置 - Google Patents

建築構造物の制振装置

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JP2001082002A
JP2001082002A JP25999599A JP25999599A JP2001082002A JP 2001082002 A JP2001082002 A JP 2001082002A JP 25999599 A JP25999599 A JP 25999599A JP 25999599 A JP25999599 A JP 25999599A JP 2001082002 A JP2001082002 A JP 2001082002A
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building structure
vibration
mount
rubber
sub
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JP25999599A
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Takashi Uchiyama
高 内山
Isao Natsubori
功 夏堀
Masaaki Hirano
正明 平野
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Sumitomo Riko Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Riko Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 制振装置を建築構造物に設置する際、或いは
設置した後において、制振装置の弾性主軸の方向を、水
平面内において、建築構造物に対して相対的に容易に且
つ高精度に調節可能とすること。 【解決手段】 鉛直中心軸回りでバネ特性が異方性とさ
れた副振動系を採用すると共に、この副振動系を全体と
して支持する支持部材46を、回転支持手段64によ
り、建築構造物に対して水平面内で回転可能に支持せし
めた。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【技術分野】本発明は、住宅や事務所,工場等の建築構
造物に対する副振動系を構成して、主振動系たる建築構
造物に対する制振効果を発揮し得る制振装置に係り、特
に、制振特性のチューニングを容易に且つ高精度に行な
うことが出来る、新規な構造の建築構造物用制振装置に
関するものである。
【0002】
【背景技術】特に、一般住宅や軽量鉄骨の事務所等の建
築構造物では、交通振動や風等の外力が加振力として作
用することによって水平方向の振動が発生する場合があ
る。加えて、近年では、一般住宅等でも二階建てや三階
建てが多くなってきており、それらの住宅では、構造
上、二階や三階の振動が大きくなり易いために、交通振
動による微震動が、居住生活(例えば就寝時)や仕事中
における不快音や不快振動等の原因として問題となって
きている。また、建築構造物における水平方向の固有振
動数は、一般に、方向によって異なる特性を有してお
り、互いに直交する二方向で互いに異なる周波数域の振
動に対して有効な制振効果が要求される。
【0003】このような建築構造物用の振動低減装置と
しては、従来から、高層ビルやタワー等の高層建築物の
揺れを軽減するためのダンパ装置が、幾つか提案されて
おり、例えば、特開平8−338467号公報には、付
加質量を建築構造物に対してゴムマウントで弾性支持せ
しめた構造のダンパ装置が開示されている。かかるダン
パ装置は、水平方向で副振動系を構成することにより、
建築構造物に惹起される水平方向の振動に対して動的吸
振作用による振動低減効果を発揮するようになってい
る。
【0004】ところで、このようなダンパ装置において
有効な制振効果を得るためには、副振動系における固有
振動数を、主振動系において防振すべき振動周波数に対
して高精度にチューニングすることが重要となる。そこ
において、主振動系としての建築構造物と副振動系とし
てのダンパ装置は、何れも、水平方向に延びる弾性主軸
を有しており、建築構造物では、かかる弾性主軸方向で
の振動が問題となることから、ダンパ装置における弾性
主軸方向を建築構造物の弾性主軸方向に対して高精度に
合わせると共に、それらの合わせた弾性主軸方向におい
て、副振動系の固有振動数を建築構造物において防振す
べき振動周波数にチューニングすることが必要となる。
【0005】ところが、従来のダンパ装置においては、
マス部材を弾性支持せしめるバネ部材が、建築構造物に
対して固設されており、ダンパ装置の弾性主軸方向を細
かく調節したり、変更することが極めて難しいために、
例えば、ダンパ装置の装着後に、家具の搬入や備品の設
置等で重量バランスや強度バランスが変化して、建築構
造物における弾性主軸方向が変化した場合には、最早、
ダンパ装置の弾性主軸方向を建築構造物の弾性主軸方向
に合わせることが極めて困難となり、有効な制振効果を
得ることが難しいという問題があった。
【0006】また、建築構造物の構造上、バネ部材を固
定することの出来る梁等の構造部材の位置が限定されて
しまい、バネ部材の配設位置、ひいてはダンパ装置の弾
性主軸方向を自由に設定することが難しいために、建築
構造物の弾性主軸方向とダンパ装置の弾性主軸方向を精
度良く合わせることが構造的に困難な場合があり、これ
に起因しても、ダンパ装置に最適なチューニングを施す
ことが難しく、十分な制振効果が発揮され難いという問
題があった。
【0007】
【解決課題】ここにおいて、本発明は、上述の如き事情
を背景として為されたものであって、その解決課題とす
るところは、建築構造物に装着されることにより水平方
向の振動に対して制振効果を発揮する制振装置であっ
て、その弾性主軸の方向を、建築構造物の弾性主軸に対
して、容易に且つ高精度に位置合わせすることの出来
る、新規な構造の制振装置を提供することにある。
【0008】
【解決手段】以下、このような課題を解決するために為
された本発明の態様を記載する。なお、以下に記載の各
態様は、任意の組み合わせで採用可能である。また、本
発明の態様乃至は技術的特徴は、以下に記載のものに限
定されることなく、明細書全体および図面に記載され、
或いはそれらの記載から当業者が把握することの出来る
発明思想に基づいて認識されるものであることが理解さ
れるべきである。
【0009】本発明の第一の態様は、建築構造物に対し
てマス部材をバネ部材で弾性支持せしめることにより、
該建築構造物に対する副振動系を構成した制振装置にお
いて、前記副振動系の振動特性を鉛直中心軸回りで異方
性とする一方、前記バネ部材を介して前記マス部材を支
持する支持部材を設けると共に、該支持部材を前記建築
構造物に対して、水平面内で回転変位可能に支持せしめ
る回転支持手段を設けたことにある。
【0010】このような本態様に従う構造とされた制振
装置においては、バネ部材とマス部材を含む副振動系の
全体が支持部材によって支持されており、回転支持手段
によって支持部材を回転させることにより、副振動系の
全体を建築構造物に対して水平面内で回転させることが
出来る。それ故、支持部材の回転操作によって、副振動
系の弾性主軸の方向を水平面内で容易に変更,調節する
ことが出来るのであり、例えば、副振動系の設置の際だ
けでなく、設置後の任意の時期においても、建築構造物
の弾性主軸に対して副振動系の弾性主軸を高精度に合わ
せることによって優れた制振効果を得ることが可能とな
る。
【0011】しかも、かかる制振装置においては、回転
支持手段を建築構造物における梁等の構造部材に対して
固定的に支持せしめた状態下、支持部材を水平面内で回
転させることが出来ることから、回転支持手段の建築構
造物に対する取付方向にかかわらず、支持部材、ひいて
は副振動系の弾性主軸の設定方向を任意に設定すること
が出来るのであり、それ故、建築構造物の構造等による
制限を受けることなく、副振動系の弾性主軸を建築構造
物の弾性主軸に対して高精度に合わせることが出来るの
である。
【0012】なお、本態様におけるマス部材は、その材
質や形状等に関して特に限定されるものでないが、鉄系
や鉛系或いはコンクリート等の高比重材によって、例え
ば全体として厚肉の板ブロック形状等に形成されたもの
が好適に採用される。そこにおいて、かかるマス部材
を、鉛直方向で重ね合わせられて相互に固定された複数
枚の板状分割マスによって構成することも有効であり、
それによって、重ね合わせられる板状分割マスの枚数を
変更することによりマス部材の質量、ひいては制振装置
のチューニング周波数を容易に調節することが出来ると
共に、複数枚の板状分割マスを別々に搬入,設置して、
目的とするマス部材を、制振装置の装着場所で組み立て
ることが出来ることから、マス部材の搬入や設置を容易
に行なうことが出来、また、複数枚の板状分割マスを、
各毎に順次ゴムマウント上に載置してマス部材を組み立
てることが可能であることから、マス部材の設置に際し
ての傾き等によるゴムマウントへの過大な偏荷重の作用
によるゴムマウントの座屈変形の防止も有利に達成され
得る。
【0013】さらに、本態様において、副振動系の振動
特性を鉛直中心軸回りで異方性とする構成は、副振動系
における水平方向の弾性主軸が特定方向に存在する構成
をいい、例えば、マス部材を複数点においてゴムマウン
ト等のばね部材で弾性支持せしめた場合には、それだけ
で、振動特性が鉛直中心軸回りで異方性を有する副振動
系とされる場合がある。
【0014】また、本態様においてバネ部材としては、
副振動系に対して特定の固有振動数と弾性主軸を与える
ものであれば良く、特に限定されるものでないが、一般
に、ゴム弾性体を用いたゴムマウントが好適に採用され
得、そのゴム弾性体に対して金属板等の硬質の拘束部材
を固着せしめてばね特性を調節した構造のゴムマウント
等も有利に用いられる。なお、副振動系における弾性主
軸とは、副振動系に対して、その軸に沿って荷重が入力
された際に、荷重の入力方向と、ゴムマウントの弾性変
形に伴うマス部材の変位方向とが一致し、且つマス部材
に回転変位が生じないような軸をいう。
【0015】更にまた、本態様において支持部材として
は、バネ部材とマス部材からなる副振動系を安定して支
持し得る剛性や強度等を有していれば良く、例えば、鋼
板等の剛性プレートの他、鋼材等を用いた剛性枠体等も
採用可能である。更にまた、本発明において回転支持手
段としては、建築構造物に対して固定的に取り付けられ
て、支持部材を回転可能に支持し得るものであれば良
く、かかる回転許容機構として、例えば、副振動系の重
量を支持せしめつつ鉛直中心軸回りの回転を許容する低
摩擦面からなる摺動機構やベアリングによる回転機構等
が採用可能であり、その他、敷設されたレール等のガイ
ド部材に沿って支持部材を移動させることによって副振
動系の全体を水平面内で回転変位可能とする構造等も採
用され得る。
【0016】また、本態様に係る制振装置の建築構造物
への設置箇所等は、建築構造物の振動モードや部材強度
等を考慮して適宜に決定されるものであって、特に限定
されるものでないが、例えば、一般住宅等に設置する場
合には、最上階の天井部分に支持せしめて、屋根裏に収
容配置することが望ましい。このような構成を採用すれ
ば、一般住宅における制振装置の設置スペースを有利に
確保することが出来ると共に、振動モード的にも優れた
制振効果を得ることが出来る。
【0017】また、本態様において、副振動系は、建築
構造物の構造や大きさ、要求特性等に応じて、一つの建
築構造物に対して複数設けても良い。その場合、各副振
動系毎に独立した制振装置を構成せしめて、各副振動系
を、各別に設けられた回転支持手段によって鉛直中心軸
回りに回転可能としても良いが、複数の副振動系を、そ
れらの水平方向の弾性中心軸を略同一方向に向けて実質
的に単一の支持部材で支持せしめて、それら複数の副振
動系を一体的に鉛直中心軸回りに回転可能に支持せしめ
るようにしても良い。
【0018】また、本発明の第二の態様は、前記第一の
態様に従う構造とされた制振装置において、前記支持部
材を、前記建築構造物に対して位置決め固定する解除可
能な固定手段を設けたことを、特徴とする。このような
本態様においては、回転支持手段によって副振動系に不
必要な回転変位が生ぜしめられることを防止することが
出来、制振効果の安定性と信頼性の向上が図られ得る。
また、かかる固定手段は解除可能とされていることか
ら、制振装置の設置後、建築構造物の特性変化等が発生
した場合にも、制振装置の再チューングを容易に行なう
ことが出来る。なお、解除可能な固定手段としては、ボ
ルトによる固定の他、付勢手段等を用いた節度機構等も
採用可能である。
【0019】また、本発明の第三の態様は、前記第一又
は第二の態様に従う構造とされた制振装置において、前
記バネ部材を、前記マス部材に対する取付方向を変更す
ることによって、前記副振動系における水平方向のばね
定数を調節することの出来る可変ゴムマウントを含んで
構成したことを、特徴とする。このような本態様に従え
ば、可変ゴムマウントのマス部材に対する取付方向を変
更することによって、副振動系における特定方向での固
有振動数を調節することが出来る。それ故、副振動系の
チューニングを、ばね部材を変更等することなく、容易
に変更,調節することが可能となる。
【0020】なお、かかる第三の態様において採用され
る可変ゴムマウントの構造は、何等、限定されるもので
ない。具体的には、例えば、マス部材側に取り付けられ
る第一の取付部材と、建築構造物側に取り付けられる第
二の取付部材を、ゴム弾性体によって弾性的に連結した
構造のマウントであって、そのゴム弾性体に肉抜穴や貫
通スリット等を設けることによって軸直角方向のばね特
性に異方性を付与したり、ゴム弾性体で連結される第一
の取付部材と第二の取付部材の対向面を傾斜させること
によって軸直角方向の異方性を付与したり、特開平8−
338467号公報等に記載されているような傾斜板を
ゴム弾性体内に埋設固着することによって軸直角方向の
異方性を付与すること等によって、軸直角方向のばね特
性を中心軸回りにおいて異方性としたゴムマウントを、
その略中心軸方向にマス部材の重量が及ぼされる状態で
装着せしめて、マス部材に対する取付方向を中心軸回り
で変更することによって、マス部材における水平な弾性
主軸方向でのばね定数を調節可能とした構造のゴムマウ
ント等が採用可能である。或いはまた、特開平10−8
2449号公報等に記載されているように、軸直角方向
のばね特性が、中心軸回りの全方向で同一とされたゴム
マウントを用い、該ゴムマウントのマス部材への取付角
度を鉛直方向乃至は水平方向で変更することにより、マ
ス部材における水平な弾性主軸方向でのばね定数を調節
可能として可変ゴムマウントを構成することも可能であ
る。
【0021】また、特に、かかる第三の態様において
は、建築構造物とマス部材の何れか一方に取り付けられ
る第一の取付部材と他方に取り付けられる第二の取付部
材を本体ゴム弾性体で連結した構造のゴムマウントであ
って、第一の取付部材と第二の取付部材に対して、鉛直
方向に延びるマウント中心軸を挟んだ両側において該マ
ウント中心軸に対して略対称となる傾斜方向で対向する
一対の傾斜対向面を設けると共に、それら一対の傾斜対
向面間に本体ゴム弾性体を配設せしめて、各対向する傾
斜対向面間を該本体ゴム弾性体で連結したもの等が、好
適に採用され得る。このような構造のゴムマウントにお
いては、マウント中心軸に対して直角に延びる二つの直
交する軸直角方向のバネ比を十分に大きく設定すること
が出来るのであり、マウント中心軸回りの回転によっ
て、制振装置のばね定数を一層有利にチューニングする
ことが可能となる。
【0022】さらに、上述の如き可変ゴムマウントを採
用する場合には、副振動系において、マス部材の重心を
通って水平方向に延びる2本の直交する対称軸を挟ん
で、それぞれ対称位置するように、可変ゴムマウントの
複数個を配設すると共に、それらの可変ゴムマウントに
おける取付方向を、かかる2本の対称軸を挟んで対称と
なるように設定することが望ましい。このような設定に
従えば、副振動系において、複数の可変ゴムマウントの
取付方向の変更によるバネ部材全体としてのばね定数の
調節が容易となると共に、それら複数の可変ゴムマウン
トの取付方向を変更,調節した場合でも、マス部材の静
的及び動的安定性が有利に維持されることにより、目的
とする制振効果を安定して得ることが出来る。なお、可
変ゴムマウントのうち各対称軸を挟んで対称位置するも
の同志は、互いに同一構造とすることが望ましい。一
方、何れの対称軸に関しても対称関係を有しない可変ゴ
ムマウント間では、ばね特性や構造が互いに異なってい
ても良い。また、可変ゴムマウントにおける取付方向
を、2本の対称軸を挟んで対称とする設定は、例えば、
何れの対称軸に関しても、その両側で対称位置に配され
た可変ゴムマウントを、該対称軸に対する傾斜角度が対
称的に同じになるように配設することによって、有利に
実現され得る。
【0023】さらに、そこにおいて、副振動系における
可変ゴムマウントの配設位置の対称軸としての上記2本
の直交する対称軸は、好ましくはその少なくとも1本、
より好ましくはそれらの2本の何れもが、建築構造物に
おいて防振すべき振動方向となるように設定される。よ
り好ましくは、副振動系において、可変ゴムマウントの
配設位置の対称軸としての2本の直交する対称軸が、何
れも、副振動系全体としての水平方向における弾性主軸
として設定される。これにより、副振動系の安定性が更
に向上されて、目的とする制振効果をより安定して得る
ことが可能になると共に、副振動系のチューニングも容
易となる。
【0024】なお、本態様においては、可変ゴムマウン
トのみで、副振動系のバネ部材を構成する必要はなく、
可変ゴムマウントと、副振動系のばね定数の調節に寄与
しないゴムマウントを組み合わせてバネ部材を構成する
ことも可能である。また、可変ゴムマウントを複数用い
る場合には、その全ての可変ゴムマウントの取付方向を
変更する必要はなく、一部の可変ゴムマウントだけの取
付方向を調節することによってチューニングすることも
可能である。
【0025】
【発明の実施の形態】以下、本発明を更に具体的に明ら
かにするために、本発明の実施形態について、図面を参
照しつつ、詳細に説明する。
【0026】先ず、図1には、本発明に従う構造とされ
た建築構造物用の制振装置10が、分解斜視図で示され
ている。かかる制振装置10は、マス部材としての質量
体14と,該質量体14を弾性支持するバネ部材として
の複数個(本実施形態では、4個)のゴムマウント16
から構成された一つの副振動系を備えている。そして、
このような制振装置10は、建築構造物に対して、例え
ば、二階建住宅や三階建住宅における屋根裏空間に収容
配置せしめられ、二階や三階の天井を構成する構造部材
に対して、複数のマウント16を介して質量体14を弾
性支持せしめることにより装着されるようになってい
る。
【0027】より詳細には、質量体14は、金属やモル
タル,コンクリート等の高比重材で形成されており、例
えば鉄系や鉛系の金属或いはコンクリートブロック等で
形成されたものが好適に採用される。この質量体14の
形状は特に限定されるものでないが、一般に、板形状の
ものが好適に採用され、より望ましくは、矩形平板形状
や多角形平板形状、円形平板形状等、幅寸法よりも高さ
寸法が小さく且つ高さが一定の板形状であって、平面的
に複数の対称軸を有する形状が望ましい。このような形
状の質量体14を採用することにより、制振装置10を
一般住宅の最上階の天井裏等のスペースに収容状態で有
利に設置することができると共に、水平方向の変位に際
して各ゴムマウント16に生ぜしめられる角変位を抑え
て安定した制振作用を得ることが可能となる。特に、か
かる質量体14を、高さ寸法が全体に亘って一定とされ
た一般圧延鋼鈑を平面矩形の平板状に切断加工した板状
分割マスの複数枚を重ね合わせて構成すること等によっ
て、質量体14を、優れた製作性をもって低コストで得
ることが出来ると共に、各分割板ごとに小さく(薄く)
分割することが出来ることから、制振装置10の搬入、
設置が容易で、質量の調節も容易に行うことが可能とな
る。
【0028】この質量体14の質量は、装着される主振
動系たる建築構造物の質量や振動状態、構造強度などを
考慮して適宜に設定されるものであり、例えば、一般的
な二〜三階建ての住宅の場合で、100〜1000kg程
度、或いはそれ以上の総重量が設定される。具体的に
は、例えば、主振動系たる住宅12と一つの副振動系か
らなる2自由度系を考え、この系の運動方程式から主振
動系の共振曲線を求めることにより、一般の動的吸振器
における最適設計法に従って、最適質量を求めることが
出来る。
【0029】また一方、ゴムマウント16は、何れも水
平方向のばね定数が異方性とされており、本実施形態で
は、同一構造のゴムマウント16が4個採用されてい
る。即ち、かかるゴムマウント16は、図2〜3に示さ
れているように、第一の取付部材としての第一の取付金
具22と、第二の取付部材としての第二の取付金具24
が、互いに離間して対向配置されていると共に、それら
第一の取付金具22と第二の取付金具24が、両金具2
2,24の対向面間に介装された本体ゴム弾性体26で
弾性的に連結された構造を有している。
【0030】そこにおいて、第一の取付金具22は、そ
れぞれ鋼鈑のプレス加工などによって形成された矩形平
板形状の上板28と、中央が谷折り状に曲げられV字状
の下板30から構成されており、上板28の下面に下板
30が重ね合わされて、下板30の両端縁部が上板28
に溶着されることによって、一体的に取り付けられてい
る。また、上板28の中央には、第一の取付ボルト18
が上方に向かって突設されて溶着されている。
【0031】また、第二の取付金具24は、鋼鈑のプレ
ス加工等によって形成された一枚の矩形平板状を有して
おり、中央に位置する中央平板部32を挟んだ長手方向
両側が、第一の取付金具22側(図2中、上側)に向か
って斜め上方に立ち上げられた傾斜板部34,34とさ
れている。また、第二の取付金具24における中央平板
部32の中央には、下方に向かって突出する第二の取付
ボルト36が固設されている。更にまた、第一の取付金
具22における下板30の両側の傾斜板部38,38
と、第二の取付金具24における両側の傾斜板部34,
34は、それぞれ、マウント中心軸40を挟んだ両側に
おいて、該マウント中心軸40に対して略同一角度だけ
傾斜した方向で、全面に亘って略一定の間隙を隔てて対
向位置せしめられている。そして、これら両傾斜板部3
4,34と38,38の対向面間に、それぞれ、略矩形
ブロック形状を有する分割ゴムブロック42が介装され
ている。即ち、本実施形態では、これら一対の分割ゴム
ブロック42,42によって第一の取付金具22と第二
の取付金具24を弾性連結する本体ゴム弾性体26が構
成されている。
【0032】すなわち、本実施形態のゴムマウント16
は、二つの独立した分割ゴムブロック42,42の単体
での弾性主軸44,44が、マウント中心軸40に対し
て、該マウント中心軸40を含む一つの平面内で、該マ
ウント中心軸40に関して対称となるように、該マウン
ト中心軸40の両側にそれぞれ傾斜されているのであ
り、それによって、かかるゴムマウント16は、全体と
して、図2に示されているように、マウント中心軸40
に沿って延びる鉛直方向の弾性主軸と、図中で紙面に垂
直な方向に延びる水平方向の第一の弾性主軸と、図中の
左右方向に延びる水平方向の第二の弾性主軸を有してい
る。このような構造とされたゴムマウント16では、水
平方向の第一の弾性主軸の方向で、荷重入力時における
本体ゴム弾性体の主たる変形がせん断となって、水平方
向におけるばね定数が最小となる一方、水平方向の第二
の弾性主軸の方向で、荷重入力時における本体ゴム弾性
体26に圧縮/引張の変形が生ぜしめられ、水平方向に
おけるばね定数が最大となる。これにより、かかるゴム
マウント16では、水平方向におけるばね定数の最小値
と最大値が、互いに直交する方向に設定されている。な
お、以下の説明では、ばね定数が最小値となる水平方向
(図3において、紙面に垂直な方向)を、ゴムマウント
16における水平基準方向という。
【0033】また、各分割ゴムブロック42には、弾性
主軸44方向の略中央部分において、分割ゴムブロック
42の断面よりも一回り大きな平板形状を有する拘束プ
レート51が、弾性主軸44に直交して広がる状態で配
設されている。なお、この拘束プレート51は、少なく
とも分割ゴムブロック42よりも硬質の例えば鋼板等の
金属材で形成されており、分割ゴムブロック42に加硫
接着されていると共に、中央部分には、拘束プレート5
1を挟んだ両側に分割状態で位置する分割ゴムブロック
42を相互に連結せしめる貫通孔が形成されている。
【0034】要するに、本実施形態のゴムマウント16
においては、第一の取付金具22と第二の取付金具24
の対向面間の中央部分で、一対の分割ゴムブロック4
2,42間において、中央空所39が形成されている。
【0035】そして、このような構造とされたゴムマウ
ント16は、図1に示されているように、その第一の取
付金具22が質量体14に貫設された取付孔52に挿通
されると共に、先端部分に固定ナット47が螺着されて
締めつけられることにより、第一の取付金具11が、質
量体14の下面側に固定的に取り付けられている。な
お、質量体14における取付孔52は、質量体14の四
隅部分に設けられており、それによって、質量体14の
四隅部分に対して、合計四つのゴムマウント16が、そ
れぞれ垂直下方に突出する状態で固定的に取り付けられ
ている。
【0036】また、質量体14の鉛直下方には、一枚の
剛性の支持部材としの回転支持プレート46が配設され
ており、質量体14に対して離間して対向するように、
この回転支持プレート46が水平方向に広がって配設さ
れている。なお、かかる回転支持プレート46は、実質
的に剛体と見なし得る剛性と強度を有する鋼板等によっ
て形成されている。更に、この回転支持プレート46に
は、質量体14における各取付孔52に対して鉛直方向
で対向する位置に、それぞれ支持孔54が貫設されてお
り、これらの各支持孔54に対して、各ゴムマウント1
6の第二の取付ボルト36が挿通されており、その先端
部分に固定ナット56が螺着されて締めつけられること
により、第二の取付金具24が、回転支持プレート46
に対して固定的に取り付けられている。
【0037】これにより、4つのゴムマウント16が、
回転支持プレート46に対して位置固定に取り付けられ
ており、以て、これら4つのゴムマウント16を介し
て、質量体14が、一枚の回転支持プレート46によっ
て弾性支持されているのである。そして、それによっ
て、4つのゴムマウント16をバネ部材とし、質量体1
4をマス部材とする一つの副振動系が構成されており、
この副振動系によって、建築構造物からなる主振動系に
対する副振動系として機能する制振装置(TMD)10
が構成されている。
【0038】また、かかる回転支持プレート46は、建
築構造物の躯体を構成する構造部材としての梁58,5
8に対して、固定支持台60を介して支持されることに
より、構造部材に対して固定的に取り付けられている。
そこにおいて、梁58,58は、建築構造物を構成して
荷重を支持する強度部材であり、水平方向に適当な間隔
を隔てて略平行に配設されている。そして、鋼板等の剛
性材によって形成された矩形平板形状を有する固定支持
台60が、これらの梁58,58上に両側縁部を載置さ
れて固定ボルト62で固着されることにより、梁58,
58に一体的に且つ強固に固定されて、水平方向に広が
る状態で取り付けられている。
【0039】さらに、この固定支持台60の中央部分に
は、回転支持手段としての回転台64が重ね合わされて
配設されている。この回転台64は、全体として大径の
円板形状を有しており、その表面が低摩擦性とされてい
る。具体的には、例えば、ポリテトラフルオロエチレン
樹脂等の低摩擦性の材料によって回転台64の全体を形
成することによって、或いは金属製の回転台64の表面
を研磨したり、低摩擦材でコーティングすること等によ
って、表面、特に軸方向両側の上下端面を低摩擦性とし
たものが有利に採用され得る。
【0040】そして、図4にも示されているように、か
かる回転台64の上に、前記回転支持プレート46が重
ね合わされて載置されている。なお、本実施形態では、
質量体14と回転支持プレート46が、略同じ大きさの
平板矩形状とされている一方、固定支持台60が、それ
らよりも大きな平板矩形状とされており、また、回転台
64は、回転支持プレート46よりも小さな外径寸法と
されて、固定支持台60の中央部分に載置されていると
共に、この回転台64に対して、回転支持プレート46
の略中央部分が重ね合わされている。要するに、回転支
持プレート46で支持された副振動系が、回転台64を
介して、固定支持台60によって支持されているのであ
り、これら回転台64と固定支持台60を介して、建築
構造物の構造部材(梁)58に対して取り付けられて支
持されているのである。なお、固定支持台60,回転支
持プレート46,質量体14は、何れも、水平面内で互
いに平行に広がるように配設支持されている。
【0041】さらに、上述の如くして互いに重ね合わせ
られた回転支持プレート46と回転台64,固定支持台
60には、それらの重ね合わせ部分の中央において、そ
れぞれ、重ね合わせ方向に貫通して延びる中央挿通孔6
6が設けられており、この中央挿通孔66に対して、回
転中心軸としての連結ボルト68が挿通配置されてい
る。そして、この連結ボルト68の先端に螺着された締
付ナット70をゆるめた状態下で、連結ボルト68を回
転中心として、回転支持プレート46が、固定支持台6
0に対して周方向に相対回転可能とされている。その
際、摺動面となる回転支持プレート46と回転台64の
重ね合わせ面間および固定支持台60と回転台64の重
ね合わせ面間では、何れも、回転台64によって摩擦が
軽減されて、良好なる摺動性が発揮されるようになって
いる。また、締付ナット70を締めつけることにより、
摺動面間の摩擦が大きくされて、回転支持プレート46
が、固定支持台60、ひいては建築構造物に対して相対
回転不能に位置決め支持されるようになっている。
【0042】これにより、回転支持プレート46で支持
された副振動系が、中心軸回りに回転可能とされてお
り、かかる副振動系の建築構造物に対する取付方向を、
一つの水平面内で自由に変更,調節し、且つ任意の方向
で固定的に位置決め設置することが出来るようになって
いるのである。
【0043】なお、特に本実施形態においては、図5に
示されているように、上述の如き構造とされた4個のゴ
ムマウント16が、質量体14において互いに直交して
水平方向に延びる2本の対称軸X,Yを挟んで、それぞ
れ対称位置するように配設されており、それによって、
副振動系の振動特性を鉛直中心軸回りで異方性とされて
いる。なお、本実施形態では、質量体14における2本
の対称軸X,Yが、何れも、質量体14の水平方向に延
びる弾性主軸とされている。また、質量体14と4個の
ゴムマウント16からなる弾性支持系において、その鉛
直方向に延びる弾性主軸が、質量体14の重心を通るよ
うに設定されている。具体的には、図5において、第一
のゴムマウント16aと第二のゴムマウント16bおよ
び第三のゴムマウント16cと第四のゴムマウント16
dが、それぞれ、第一の対称軸Xに関して互いに対象位
置せしめられていると共に、第一のゴムマウント16a
と第三のゴムマウント16cおよび第二のゴムマウント
16bと第四のゴムマウント16dが、それぞれ、第二
の対称軸Yに関して互いに対象位置せしめられている。
【0044】また、これら4個のゴムマウント16a〜
dは、その取付方向も、質量体14の二本の対称軸X,
Yを挟んで、それぞれ対称となるように設定されてい
る。具体的には、図2において、第一の対称軸:Xに関
しては、第一のゴムマウント16aの水平基準方向線4
8aの交角:θxaと第二のゴムマウント16bの水平基
準方向線48bの交角:θxbが同一となると共に、第三
のゴムマウント16cの水平基準方向線48cの交角:
θxcと第四のゴムマウント16dの水平基準方向線48
dの交角:θxdが同一となるように設定されている。ま
た、第二の対称軸:Yに関しては、第一のゴムマウント
16aの水平基準方向線48aの交角:θyaと第三のゴ
ムマウント16cの水平基準方向線48cの交角:θyc
が同一となると共に、第二のゴムマウント16bの水平
基準方向線48bの交角:θybと第四のゴムマウント1
6dの水平基準方向線48dの交角:θydが同一となる
ように設定されている。
【0045】このように4個のゴムマウント16a〜d
の取付方向が設定されることにより、ゴムマウント16
a〜dの取付方向を変更した場合でも、質量体14と4
個のゴムマウント16a〜dで構成された副振動系全体
としての水平方向における弾性主軸の方向が、質量体1
4における第一の対称軸:Xの方向と、第二の対称軸:
Yの方向とに維持されるようになっている。そして、こ
れら第一の対称軸:Xの方向と、第二の対称軸:Yの方
向が、それぞれ、制振対象たる住宅などの建築構造物に
おいて防振すべき主たる振動の方向、例えば、平面矩形
の枠体構造を有する住宅の場合には、各辺に平行な方向
となるように、制振装置10の住宅に対する設置方向が
決定される。これにより、副振動系を構成する制振装置
10に対して、防振すべき2方向の振動が、何れも、該
制振装置10における弾性主軸方向に入力されることと
なり、それら2方向に入力される各振動に対して、何れ
も、有効な制振効果が発揮され得るのである。
【0046】また、かかる制振装置10においては、上
述の如く、マウント中心軸40に直交する水平方向のば
ね定数が異方性とされたゴムマウント16a〜dをばね
部材として採用したことにより、かかるゴムマウント1
6a〜dの取付方向を変更することによって、防振すべ
き振動の入力方向となる2つの弾性主軸方向(第一の対
称軸:Xの方向および第二の対称軸:Yの方向)でのば
ね定数が、何れも、変更されるようになっている。具体
的には、本実施形態では、各ゴムマウント16a〜dの
第一の対称軸:Xに対する交角:θx の値が小さくなる
に従って、制振装置10における第一の対称軸:Xの方
向でのばね定数が小さく、第二の対称軸:Yの方向での
ばね定数が大きくなる方向に変更される。その結果、各
ゴムマウント16a〜dの第一の対称軸:Xに対する交
角:θx の値を小さくすることによって、制振装置10
における第一の対称軸:Xの方向での固有振動数を低周
波側に、且つ第二の対称軸:Yの方向での固有振動数を
高周波側に、それぞれ移行させることが出来、また、各
ゴムマウント16a〜dの第一の対称軸:Xに対する交
角:θx の値を大きくすることによって、制振装置10
における第一の対称軸:Xの方向での固有振動数を高周
波側に、且つ第二の対称軸:Yでの方向の固有振動数を
低周波側に、それぞれ移行させることが出来るのであ
る。
【0047】これにより、本実施形態の制振装置10に
おいては、バネ部材としてのゴムマウント16の何れも
交換,変更することなく、制振装置10における防振す
べき振動の入力方向となる2つの弾性主軸方向でのばね
定数比、ひいてはそれら2つの弾性主軸方向でのチュー
ニング周波数比を調節,変更することが出来るのであ
る。
【0048】さらに、かかる制振装置10においては、
マス部材としての質量体14とバネ部材としてのゴムマ
ウント16を、建築構造物の種類や構造等を考慮して、
予め概略的に設定しておくことによって、それら質量体
14とゴムマウント16の何れも、交換することなく、
単に、ゴムマウント16の取付方向(設置方向)を変更
するだけで、装着される建築構造物の種類や環境等を考
慮し、問題となっている振動に応じてチューニング周波
数を調節することが出来るのであり、それによって、有
効な制振効果を、容易に且つ高精度に、しかも低コスト
で得ることが可能となるのである。このことは、特に、
制振装置10を設置したあとに、経年変化等の影響でチ
ューニングが変わった場合に極めて有効であり、再チュ
ーニングによって最適チューニング状態が容易に実現,
維持され得るのである。
【0049】加えて、かかる制振装置10においては、
回転支持プレート46を固定支持台60に対して鉛直方
向に延びる回転中心軸(連結ボルト68の中心軸)回り
に回転させることによって、制振装置10を建築構造物
に設置した後に、副振動系の全体を建築構造物に対して
水平面内で回転,位置決め調節することが出来るのであ
り、かかる回転操作によって、副振動系の水平方向の弾
性主軸:X,Yを、建築構造物の弾性主軸に対して相対
的に変位させてチューングすることが出来る。それ故、
例えば、制振装置10の装着後に、家具の搬入や備品の
設置等で建築構造物自体の重量バランスや強度バランス
が変化して、建築構造物における弾性主軸方向が変化し
た場合にも、ダンパ装置の弾性主軸方向を建築構造物の
弾性主軸方向に対して、容易且つ速やかに再調整して合
わせることが出来るのであり、それによって、目的とす
る制振効果を極めて有利に得ることが可能となるのであ
る。
【0050】しかも、かかる制振装置10にあっては、
建築構造物における梁等の配設位置や配設方向等の制約
を受けることなく、副振動系の弾性主軸方向を自由に設
定することが出来ることから、建築構造物の弾性主軸方
向とダンパ装置の弾性主軸方向を精度良く合わせること
が出来るのであり、それによって、より一層優れた制振
効果を、建築構造物の種類や構造等にかかわらず、容易
に且つ有利に得ることが可能となるのである。
【0051】以上、本発明の実施形態について詳述して
きたが、これはあくまでも例示であって、本発明は、か
かる実施形態における具体的な記載によって、何等、限
定されるものでない。
【0052】例えば、バネ部材として採用されるゴムマ
ウントの具体的構造や配設数,配設形態(位置)等は、
何等限定されるものでなく、制振装置に要求される特性
等に応じて適宜に設定され得る。
【0053】また、前記実施形態の如き、マウント中心
軸に直交する水平面内で異方向性のバネ定数を有するゴ
ムマウントを採用した場合でも、ばね比のチューニング
に際して、そのうちの幾つかを装着方向固定としてお
き、他の特定のゴムマウントだけをマウント中心軸回り
に回転させてチューニングするようにしても良い。
【0054】更にまた、各ゴムマウントのマウント中心
軸回りの回転操作を容易とするために、例えば、第一及
び第二の取付ボルト18,36に対して、ポリテトラフ
ルオロエチレン樹脂等の低摩擦性の摺接ワッシャを外挿
装着し、第一の取付金具22と質量体14の間や第二の
取付金具24と回転支持プレート46の間に介装せしめ
ることも、有効である。
【0055】さらに、副振動系の弾性主軸方向を固定的
に保持するために、前述の如き連結ボルト68の締め付
け力による他、例えば、副振動系の回転中心軸からはず
れた位置に、回転支持プレート46の固定支持台60に
対する相対回転を阻止し得るボルトやピン等の取り外し
可能な固定手段を設けることも有効である。
【0056】また、制振装置10の配設位置は、建築構
造物における最上階の天井部分の他、床下部分等、建築
構造物の構造や振動モード等を考慮して、適宜に設定,
変更可能である。
【0057】加えて、本発明は、1階建や2階建以上の
一般住宅の他、事務所や倉庫,ビル,タワー等、各種の
建築構造物用の制振装置に対して、何れも適用可能であ
ることは、言うまでもない。
【0058】その他、一々列挙はしないが、本発明は、
当業者の知識に基づいて、種々なる変更,修正,改良等
を加えた態様において実施され得るものであり、また、
そのような実施態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限
り、何れも、本発明の範囲内に含まれるものであること
は、言うまでもない。
【0059】
【発明の効果】上述の説明から明らかなように、本発明
に従う構造とされた制振装置においては、建築構造物に
設置した後においても、副振動系の弾性主軸を建築構造
物に対して水平面内で容易に変更,調節することが出来
るのであり、それによって、目的とする制振効果を、安
定して且つ高度に得ることが可能となるのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一の実施形態としての制振装置を示
す分解斜視図である。
【図2】図1に示された制振装置に採用されているゴム
マウントを示す正面図である。
【図3】図2に示されたゴムマウントの平面図である。
【図4】図1に示された制振装置の要部拡大縦断面図で
ある。
【図5】図1に示された制振装置の平面概略構造を示す
説明図である。
【符号の説明】
10 制振装置 14 質量体 16 ゴムマウント 22 第一の取付金具 24 第二の取付金具 26 本体ゴム弾性体 46 回転支持プレート 58 梁 60 固定支持台 64 回転台 68 連結ボルト 70 締付ナット
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 平野 正明 愛知県小牧市大字北外山字哥津3600番地 東海ゴム工業株式会社内 Fターム(参考) 3J048 AA06 AD07 BF02 CB22 EA38

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 建築構造物に対してマス部材をバネ部材
    で弾性支持せしめることにより、該建築構造物に対する
    副振動系を構成した制振装置において、 前記副振動系の振動特性を鉛直中心軸回りで異方性とす
    る一方、前記バネ部材を介して前記マス部材を支持する
    支持部材を設けると共に、該支持部材を前記建築構造物
    に対して、水平面内で回転変位可能に支持せしめる回転
    支持手段を設けたことを特徴とする制振装置。
  2. 【請求項2】 前記支持部材を、前記建築構造物に対し
    て位置決め固定する解除可能な固定手段を設けた請求項
    1に記載の制御装置。
  3. 【請求項3】 前記バネ部材を、前記マス部材に対する
    取付方向を変更することによって、前記副振動系におけ
    る水平方向のばね定数を調節することの出来る可変ゴム
    マウントを含んで構成した請求項1又は2に記載の制振
    装置。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20040021128A (ko) * 2002-09-02 2004-03-10 주식회사 포스코 플라잉 쉬어 비정상 스트레인 흡수형 링크 장치
WO2013108978A1 (ko) * 2012-01-20 2013-07-25 조선대학교산학협력단 구조물용 제진 장치
CN105299414A (zh) * 2015-10-26 2016-02-03 中国石油天然气股份有限公司 一种外浮顶罐光纤光栅安装卡具

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20040021128A (ko) * 2002-09-02 2004-03-10 주식회사 포스코 플라잉 쉬어 비정상 스트레인 흡수형 링크 장치
WO2013108978A1 (ko) * 2012-01-20 2013-07-25 조선대학교산학협력단 구조물용 제진 장치
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