JP2020195312A - サトウキビ収穫機 - Google Patents
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Abstract
【課題】 選別部において、サトウキビが茎部と葉部とに分離し易くなるサトウキビ収穫機を提供する。【解決手段】 サトウキビ収穫機は、サトウキビを切断して後方へ飛ばす処理部と、処理部から飛ばされたサトウキビを受けて、葉部を上昇させて茎部を落下させる選別部と、を備え、処理部は、サトウキビを切断し後方且つ上方へ飛ばす切断部と、切断部よりも後方且つ上方に配置され、飛ばされたサトウキビが衝突する衝突部を備え、衝突部は、下方に向けて突出する突出部を備える。【選択図】 図3
Description
本発明は、サトウキビ収穫機に関する。
従来、例えば、サトウキビ収穫機は、サトウキビを切断して後方へ飛ばす処理部と、処理部から飛ばされたサトウキビを受けて、葉部を上昇させて茎部を落下させる選別部とを備えている(例えば、特許文献1)。そして、選別部は、上下方向に延びる筒状部と、筒状部の内部に上方向の気流を発生させるファンとを備えている。
ところで、選別部において、サトウキビが茎部と葉部とに分離されない場合には、葉部が付いたままの状態で、茎部が落下することになる。斯かる場合には、葉部が残った状態の茎部が収穫されることになる。
そこで、課題は、選別部において、サトウキビが茎部と葉部とに分離し易くなるサトウキビ収穫機を提供することである。
サトウキビ収穫機は、サトウキビを切断して後方へ飛ばす処理部と、前記処理部から飛ばされたサトウキビを受けて、葉部を上昇させて茎部を落下させる選別部と、を備え、前記処理部は、サトウキビを切断し後方且つ上方へ飛ばす切断部と、前記切断部よりも後方且つ上方に配置され、飛ばされたサトウキビが衝突する衝突部を備え、前記衝突部は、下方に向けて突出する突出部を備える。
また、サトウキビ収穫機においては、前記突出部は、サトウキビを案内するために、後方へ行くにつれて右方へ向かう第1案内面と、後方へ行くにつれて左方へ向かう第2案内面と、を備える、という構成でもよい。
また、サトウキビ収穫機においては、前記処理部は、前記切断部及び前記衝突部を収容するケース部を備え、前記ケース部は、前記切断部よりも後方の下面部に、外部へ通ずる開口部を備える、という構成でもよい。
以下、サトウキビ収穫機における一実施形態について、図1〜図9を参照しながら説明する。なお、各図(図10及び図11も同様)において、図面の寸法比と実際の寸法比とは、必ずしも一致しておらず、また、各図面の間での寸法比も、必ずしも一致していない。
本実施形態に係るサトウキビ収穫機1は、走行するための走行部11と、走行部11の上に配置される機体枠部12とを備えている。そして、サトウキビ収穫機1は、サトウキビの上部の不要な葉部を切断する上葉切断部13と、サトウキビを引き起こしながら引き込む引起部14と、サトウキビを刈り取る刈取部15とを備えている。
また、サトウキビ収穫機1は、刈取部15に刈り取られたサトウキビを搬送する搬送部16と、搬送部16に搬送されたサトウキビを処理する処理部2とを備えている。そして、サトウキビ収穫機1は、処理部2で処理されたサトウキビに対して、サトウキビの葉部(塵芥等も含む)と茎部とを選別する選別部3と、選別部3で選別された茎部を搬送する茎搬送部17とを備えている。
なお、サトウキビ収穫機1は、サトウキビを収穫する際に、前方に向けて走行する。例えば、サトウキビ収穫機1は、操縦者が操縦するための操縦部18を備えており、操縦者は、通常、前方を向いて操縦する。そして、各部2,3,13〜18は、機体枠部12に取り付けられている。
各図において、第1方向D1は、前後方向D1であって、第2方向D2は、左右方向D2であって、第3方向D3は、上下方向D3である。第1方向D1のうち、矢印方向は、前方向であって、その反対方向は、後方向であり、第2方向D2のうち、矢印方向は、右方向であって、その反対方向は、左方向であり、第3方向D3のうち、矢印方向は、上方向であって、その反対方向は、下方向である。なお、横方向とは、前後方向D1及び左右方向D2だけでなく、上下方向D3に対して直交する方向を含む。
上葉切断部13は、サトウキビの上部を切断する切断刃(図示していない)と、サトウキビの上部を案内する上葉案内部13a,13bとを備えている。切断刃は、左右方向D2の中央に配置されている。上葉案内部13a,13bは、切断刃の左右方向D2の両側からサトウキビの上部を左右方向D2の中央へ寄せる案内棒13a及び案内板13b等を備えている。
そして、上葉切断部13は、サトウキビの上部の不要な葉部を上葉案内部13a,13bによって左右方向D2の中央に寄せて、切断刃によって切断する。なお、上葉切断部13は、リンク機構12aによって昇降可能であるため、上下方向D3の位置を変更することができる。
引起部14は、左右方向D2に離れる一対(図1においては、一つのみ図示している)のクロップデバイダ14aを備えている。クロップデバイダ14aは、上方へ行くにつれて後方へ向かうように傾斜する分草フレーム14bと、分草フレーム14bの前方に配置され、分草フレーム14bと略平行に配置される回転可能なオーガ14c,14cとを備えている。また、クロップデバイダ14aは、分草フレーム14bの下方部から前方に突出する分草具14dを備えている。
そして、引起部14は、左右方向D2に離れる一対のクロップデバイダ14aによって、サトウキビを引き起こしながらサトウキビ収穫機1の内部へ引き込む。なお、クロップデバイダ14aは、リンク機構12bによって昇降可能であるため、上下方向D3の位置を変更することができる。
刈取部15は、引起部14によって引き起こされて引き込まれたサトウキビを掻き込む掻込ロータ15aと、サトウキビを刈り取る刈取カッター15bとを備えている。掻込ロータ15a及び刈取カッター15bは、一対のクロップデバイダ14a,14aの間の後方に配置されている。なお、掻込ロータ15a及び刈取カッター15bは、油圧シリンダ等によって昇降可能であるため、上下方向D3の位置を変更することができる。
なお、掻込ロータ15aは、例えば、左右方向D2回りに回転する軸体と、軸体に固定される羽根体と、軸体を回転させる駆動源とを備えている。また、刈取カッター15bは、例えば、上下方向D3に沿って延びる支持筒と、該支持筒の下端に固定される支持円板と、該支持円板の外周に固定される複数の刈刃と、支持円板上に固定され棒状の螺旋と、刈刃及び螺旋を回転させる駆動源とを備えている。
そして、掻込ロータ15aの回転によって、サトウキビが掻き込まれ、刈取カッター15bの刈刃の回転によって、サトウキビの株元が切断される。さらに、刈取カッター15bの螺旋の回転によって、サトウキビの根元が跳ね上げられる。
搬送部16は、刈取部15の後方に配置される第1搬送部16aと、第1搬送部16aの後方に配置される第2搬送部16bとを備えている。第1搬送部16a及び第2搬送部16bのそれぞれは、後方へ行くにつれて上方へ向かうように、延びている。
第1搬送部16aは、例えば、左右方向D2回りに回転し且つ前後方向D1に複数並列される上下一対の送りローラを備えている。そして、上方の複数の送りローラは、例えば、チェーンによって、互いに動力伝達され、下方の複数の送りローラは、例えば、ギヤによって、互いに動力伝達されている。また、第2搬送部16bは、上方と下方とにそれぞれ適宜間隔をあけて後方へ送るローラ式コンベアを備えている。
そして、刈取カッター15bの螺旋の回転によって跳ね上げられたサトウキビは、第1搬送部16aに根元から引き込まれ、第1搬送部16aの送りローラは、サトウキビを後方且つ上方へ搬送する。さらに、第1搬送部16aで搬送されたサトウキビは、第2搬送部16bに受け継がれて、後方且上方へ搬送される。
処理部2は、第2搬送部16bの後方に配置されている。そして、図2及び図3に示すように、処理部2は、第2搬送部16b(図1参照)から搬送されたサトウキビを切断して後方へ飛ばす切断部21と、切断部21を収容するケース部22とを備えている。
切断部21は、一対の切断カッター21aを備えている。切断カッター21aは、左右方向D2回りに回転する切断軸部21bと、切断軸部21bに固定される切断刃21cとを備えている。なお、一対の切断カッター21aにおいては、切断軸部21bは、反対方向に回転している。
そして、サトウキビが、回転する一対の切断カッター21a,21aの間を通過する際に、サトウキビは、所定寸法(例えば、200mm〜250mm)に切断されると共に、後方へ飛ばされる。なお、切断部21は、サトウキビを後方且つ上方へ飛ばしている。また、本実施形態においては、サトウキビを切断する機構とサトウキビを飛ばす機構とは、共通の機構であるが、斯かる構成に限られず、例えば、サトウキビを切断する機構とサトウキビを飛ばす機構とは、別体の機構でもよい。
ケース部22は、前方側に配置されるケース前側部22aと、後方側に配置されるケース後側部22bとを備えている。なお、切断部21は、ケース部22のうち前方側に配置されている。即ち、切断部21は、ケース前側部22aに収容されている。ケース前側部22aは、後方へ行くにつれて上方へ向かうように傾斜して延びており、ケース後側部22bは、前後方向D1に沿って延びている。そして、ケース後側部22bは、切断部21で飛ばされたサトウキビの通路を構成している。
選別部3は、処理部2の後方に連接されて且つ上下方向D3に延びる筒状部31と、筒状部31の内部に上方向の気流を発生させるファン32とを備えている。また、選別部3は、筒状部31の上方を覆うフード部33を備えている。
筒状部31は、処理部2のケース部22の後方端、即ち、ケース後側部22bに連接されている。また、本実施形態においては、筒状部31は、円筒状に形成されている、という構成であるが、斯かる構成に限られず、例えば、筒状部31は、多角筒状に形成されている、という構成でもよい。
筒状部31は、下端に、サトウキビの茎部を排出する開口である茎排出部31aを備えており、フード部33は、側方に、サトウキビの葉部を排出する開口である葉排出部33aを備えている。そして、気流の方向は、筒状部31の内部では、上方向であり、フード部33の内部では、横方向(葉排出部33aへ向かう方向)である。
なお、上下方向D3視において、フード部33の内空間は、筒状部31の内空間よりも、大きい。そして、フード部33は、上下方向D3において、筒状部31の全体を覆うように配置されている。また、少なくともフード部33は、機体枠部12(図1参照)に対して、上下方向D3回りに回動可能であるため、葉部の排出方向を変更することができる。
ファン32は、上下方向D3回りに回転するファン軸部32aと、ファン軸部32aに固定されるブレード32bと、ファン軸部32aを回転させる駆動源32cとを備えている。そして、ファン軸部32aが回転することによって、筒状部31の内部で、上方向への気流が発生する。具体的には、茎排出部31aから葉排出部33aに向かう気流が発生する。
そして、選別部3は、処理部2から飛ばされたサトウキビを筒状部31で受けて、ファン32により発生する気流によって、サトウキビの葉部を上昇させ、サトウキビの茎部を落下させる。これにより、葉部と茎部とを選別することができる。さらに、サトウキビの葉部は、フード部33の葉排出部33aからサトウキビ収穫機1の外部へ排出され、サトウキビの茎部は、茎搬送部17(図1参照)に向けて、茎排出部31aから排出される。
なお、ファン32のブレード32bの全体は、筒状部31の内部に配置されている。これにより、筒状部31の内部の風速を均一化することができる。しかも、ブレード32bの摩耗も抑制することができる。なお、筒状部31の上端部31bは、フード部33の内部に突出している。
図1に戻り、茎搬送部17は、選別部3の茎排出部31aから落下した茎部を受ける茎受部17aと、受けた茎部を上方向へ搬送する搬送コンベヤ17bとを備えている。なお、搬送コンベヤ17bは、機体枠部12に対して、上下方向D3回りに回動可能であるため、茎部の搬送方向を変更することができる。
ここで、処理部2の詳細の構成について、図3〜図5を参照しながら説明する。
図3に示すように、処理部2は、サトウキビの逆流を防止するために、切断部21の後方に配置される逆流防止部23,23と、切断部21よりも後方且つ上方に配置され、切断部21によって飛ばされたサトウキビが衝突する衝突部4とを備えている。また、処理部2は、上方の逆流防止部23と衝突部4との間に配置されるキビ案内部24を備えている。なお、逆流防止部23,23、キビ案内部24及び衝突部4は、それぞれケース部22の内部に収容されている。
逆流防止部23は、ケース前側部22aの内部に収容されていると共に、ケース部22に対して固定されている。なお、逆流防止部23の形状は、特に限定されないが、本実施形態においては、逆流防止部23は、板状に形成されている。また、逆流防止部23は、一対備えられ、一対の切断カッター21aの後方の近傍にそれぞれ配置されている。
これにより、サトウキビが切断カッター21aに刺さった状態で回転する際に、当該サトウキビは、逆流防止部23に当たることになる。したがって、当該サトウキビが逆流する、即ち、当該サトウキビが切断部21から搬送部16(図1参照)へ進むことを防止することができる。
キビ案内部24は、ケース前側部22aとケース後側部22bとに亘って配置されていると共に、ケース部22に対して固定されている。そして、キビ案内部24は、切断部21によって飛ばされたサトウキビを衝突部4や選別部3に向けて案内する。キビ案内部24の形状は、特に限定されないが、本実施形態においては、キビ案内部24は、湾曲した板状に形成されている。
図3及び図4に示すように、衝突部4は、ケース部22に対して固定される板状のベース部41と、ベース部41に取り付けられ、ベース部41から下方に向けて突出する突出体42とを備えている。突出体42は、ベース部41から下方に向けて突出する突出部43と、ベース部41に取り付けられる取付部44とを備えている。そして、切断部21によって飛ばされたサトウキビが、突出部43に衝突することによって、サトウキビに衝撃を与えることができる。これにより、サトウキビが茎部と葉部とに分離し易くなる。
突出体42(突出部43)は、ベース部41の後方側に取り付けられている。本実施形態においては、突出体42(突出部43)は、ベース部41に対して着脱可能に構成されている。例えば、突出体42の取付部44は、ボルト及びナット等の締結手段によって、ベース部41に取り付けられている。なお、突出体42(突出部43)は、例えば溶接等によって、ベース部41に対して着脱不能に取り付けられてもよい。
突出部43は、左右方向D2の中央に、稜線43aを備えている。稜線43aがベース部41から突出する量は、後方へ行くにつれて、大きくなっている。また、突出部43は、後方へ行くにつれて右方へ向かう第1案内面43bと、後方へ行くにつれて左方へ向かう第2案内面43cとを備えている。
これにより、第1案内面43bは、サトウキビを後方且つ右方へ向けて案内し、第2案内面43cは、サトウキビを後方且つ左方へ向けて案内する。したがって、サトウキビが突出部43に衝突することによって、サトウキビは、左右方向D2に分散される。なお、第1案内面43bと第2案内面43cとの連結部が、稜線43aである。
ところで、図3及び図5に示すように、ケース部22は、外部へ通ずる開口部22cを備えている。具体的には、ケース後側部22bは、下面部22dを備えており、下面部22dは、外部へ通ずる開口部22cを備えている。即ち、開口部22cは、切断部21よりも後方に配置されている。
これにより、切断部21で発生する塵芥が、切断部21の後方に溜まり易いことに対して、例えば、当該塵芥を開口部22cから外部に排出することができる。なお、開口部22cは、突出部43と上下方向D3視で重なるように配置されている。
次に、選別部3の詳細の構成について、図6〜図8を(必要に応じて図3も)参照しながら説明する。
図6に示すように、選別部3は、筒状部31の下端の茎排出部31aから落下した茎部を案内する茎案内部34を備えている。茎案内部34は、筒状部31の後方側に配置されており、筒状部31から下方に延びている。
このように、茎案内部34が筒状部31の周方向の一部のみに配置されているため、筒状部31の下端(茎排出部31a)から気体(大気)を円滑に取り込むことができる。茎案内部34の構成は、特に限定されないが、本実施形態においては、茎案内部34は、ゴム板34aと、複数のチェーン34bとを備えている。
ところで、葉部だけでなく、比較的軽い茎部は、筒状部31の内部の気流によって、筒状部31を上昇する場合がある。そこで、図6及び図7に示すように、選別部3は、筒状部31の内周部から内方へ突出する環状突起部5を備えている。環状突起部5は、周方向に沿って延びている。これにより、茎部の上昇が環状突起部5に止められるため、茎部が筒状部31の内部で上昇することを抑制することができる。
また、環状突起部5は、ファン32のブレード32bよりも下方に配置されている。これにより、ファン32のブレード32bに、茎部が当たることを抑制することができるため、ファン32のブレード32bが摩耗することを抑制することができる。なお、環状突起部5は、上下方向D3視において、ブレード32bの先端と重なるように、配置されている。
また、葉部が軽いため、筒状部31の前方側から上昇する葉部もかなり存在する。そこで、環状突起部5は、筒状部31の後方側の全体と、筒状部31の前方側の一部とに亘って配置されている。即ち、筒状部31の前方側の一部(具体的には、前方端)には、環状突起部5が設けられていない。
これにより、筒状部31の後方側に配置される環状突起部5における、周方向の長さの総和は、筒状部31の前方側に配置される環状突起部5における、周方向の長さの総和よりも、大きくなっている。したがって、環状突起部5が葉部の上昇を阻害することを抑制することができる。なお、筒状部31の周方向において、環状突起部5が配置されている範囲は、茎案内部34が配置されている範囲よりも、広くなっている。
また、図8に示すように、環状突起部5の下面部51は、上方へ行くにつれて内方へ向かうように、形成されている。これにより、筒状部31の内周部付近を流れる気体は、環状突起部5の下面部51に案内されて、上方へ円滑に流れる(図8の実線矢印参照)。したがって、環状突起部5が気流の抵抗になることを抑制することができる。
さらに、環状突起部5の上面部52は、下方へ行くにつれて内方へ向かうように、形成されている。これにより、筒状部31の内周部付近を流れる気体が、環状突起部5の上面部52に沿って流れる(図8の実線矢印参照)ため、環状突起部5の上面部52に、葉部等が滞留することを抑制することができる。
本実施形態に係るサトウキビ収穫機1の構成については以上の通りであり、次に、本実施形態に係るサトウキビ収穫機1の作用について図9を参照しながら説明する。なお、図9において、実線A1は、サトウキビ(茎部に葉部が付いた状態のもの)の経路を示し、一点鎖線B1,B2は、茎部の経路を示し、破線は、葉部C1〜C3の経路を示している。
切断部21によって後方且つ上方へ飛ばされたサトウキビの一部は、図9に示すように、ベース部41から下方に向けて突出する突出部43に、衝突する。これにより、サトウキビに、衝撃が与えられるため、サトウキビが筒状部31に到達する(例えば、筒状部31の内周部に衝突する)ことによって、サトウキビの茎部と葉部とが分離し易くなる。
このとき、突出部43の第1案内面43b(図9において図示していない)に衝突したサトウキビは、第1案内面43bに右方へ案内されて右方へ進み、第2案内面43cに衝突したサトウキビは、第2案内面43cに左方へ案内されて左方へ進む。これにより、飛ばされたサトウキビは、左右方向D2に分散される。したがって、筒状部31において、サトウキビの茎部と葉部とにさらに分離し易くなる。
ところで、サトウキビが筒状部31に到達する(図9のA1参照)ことによって、茎部と葉部とが分離すると、重い茎部は、重力によって落下し(図9のB1参照)、軽い葉部は、ファン32の気流によって上昇する(図9のC1参照)。一方で、比較的軽い茎部は、ファン32の気流によって上昇する場合がある。
それに対して、筒状部31の内周部から環状突起部5が突出しているため、上昇した茎部が環状突起部5に当たる。しかも、例えば、茎部が環状突起部5に当たった部分を基点に回転しても、環状突起部5が筒状部31の周方向に延びているため、茎部は、環状突起部5に再び当たることになる。これにより、茎部が環状突起部5に止められて落下するため(図9のB2参照)、茎部が筒状部31の内部で上昇することを抑制することができる。
なお、重い茎部は、筒状部31の後方側まで進み易い。そこで、環状突起部5は、筒状部31の後方側の全体に亘って、筒状部31の周方向に延びている。これにより、茎部が筒状部31の内部で上昇することを効果的に抑制することができる。
また、茎部と分離された状態で筒状部31に進んだ葉部は、筒状部31の前方側でも上昇する(図9のC2参照)。そこで、環状突起部5は、筒状部31の前方側の一部(前端部)に設けられていない。これにより、葉部が筒状部31から上昇する際に、環状突起部5が葉部の上昇を阻害することを抑制することができる。
以上より、本実施形態に係るサトウキビ収穫機1は、サトウキビを切断して後方へ飛ばす処理部2と、前記処理部2から飛ばされたサトウキビを受けて、葉部を上昇させて茎部を落下させる選別部3と、を備え、前記処理部2は、サトウキビを切断し後方且つ上方へ飛ばす切断部21と、前記切断部21よりも後方且つ上方に配置され、飛ばされたサトウキビが衝突する衝突部4を備え、前記衝突部4は、下方に向けて突出する突出部43を備える。
斯かる構成によれば、飛ばされたサトウキビは、切断部21よりも後方且つ上方に配置される衝突部4に衝突する。そして、衝突部4が、下方に向けて突出する突出部43を備えているため、突出部43に衝突したサトウキビに、衝撃を与えることができる。これにより、選別部3において、サトウキビが茎部と葉部とに分離し易くなる。
また、本実施形態に係るサトウキビ収穫機1においては、前記突出部43は、サトウキビを案内するために、後方へ行くにつれて右方へ向かう第1案内面43bと、後方へ行くにつれて左方へ向かう第2案内面43cと、を備える、という構成である。
斯かる構成によれば、第1案内面43bに衝突したサトウキビは、第1案内面43bに右方へ案内され、第2案内面43cに衝突したサトウキビは、第2案内面43cに左方へ案内される。これにより、切断部21によって飛ばされたサトウキビは、左右方向D2に分散される。したがって、筒状部31において、サトウキビが茎部と葉部とにさらに分離し易くなる。
また、本実施形態に係るサトウキビ収穫機1においては、前記処理部2は、前記切断部21及び前記衝突部4を収容するケース部22を備え、前記ケース部22は、前記切断部21よりも後方の下面部22dに、外部へ通ずる開口部22cを備える、という構成である。
斯かる構成によれば、開口部22cが、切断部21よりも後方の下面部22dに配置されているため、例えば、切断部21から発生する塵芥等を開口部22cから外部に排出することができる。これにより、塵芥が下面部22dに堆積することを抑制することができるため、サトウキビの通路が狭くなることを抑制することができる。
また、本実施形態に係るサトウキビ収穫機1においては、前記選別部3は、上下方向D3に延びる筒状部31と、前記筒状部31の内部に上方向の気流を発生させるファン32と、前記筒状部31の内周部から内方へ突出し、周方向に沿って延びる環状突起部5と、を備える、という構成である。
斯かる構成によれば、環状突起部5が筒状部31の内周部から突出しているため、茎部が気流によって筒状部31の内部で上昇した場合に、茎部は、環状突起部5に当たる。しかも、環状突起部5が筒状部31の周方向に延びているため、茎部が筒状部31の内部で上昇することを抑制することができる。
また、本実施形態に係るサトウキビ収穫機1においては、前記環状突起部5の下面部51は、上方へ行くにつれて内方へ向かうように、形成される、という構成である。
斯かる構成によれば、環状突起部5の下面部51が、上方へ行くにつれて内方へ向かっているため、筒状部31の内周部付近を流れる気体は、環状突起部5の下面部51に案内されて、上方へ円滑に流れる。したがって、環状突起部5が筒状部31内部の気流の抵抗になることを抑制することができる。
また、本実施形態に係るサトウキビ収穫機1においては、前記環状突起部5の上面部52は、下方へ行くにつれて内方へ向かうように、形成される、という構成である。
斯かる構成によれば、環状突起部5の上面部52が、下方へ行くにつれて内方へ向かっているため、筒状部31の内周部付近を流れる気体が、環状突起部5の上面部52に沿って流れる。これにより、環状突起部5の上面部52に、葉部等が滞留することを抑制することができる。
また、サトウキビ収穫機1においては、前記筒状部31の後方側に配置される前記環状突起部5における、周方向の長さの総和は、前記筒状部31の前方側に配置される前記環状突起部5における、周方向の長さの総和よりも、大きい、という構成である。
斯かる構成によれば、茎部が筒状部31から上昇する場合に、筒状部31の後方側から上昇し易いことに対して、筒状部31の後方側に配置される環状突起部5における、周方向の長さの総和は、大きくなっている。これにより、茎部が筒状部31から上昇することを効果的に抑制することができる。
一方、筒状部31の前方側から上昇する葉部も存在することに対して、筒状部31の前方側に配置される環状突起部5における、周方向の長さの総和は、小さくなっている。これにより、葉部が筒状部31から上昇する際に、環状突起部5が葉部の上昇を阻害することを抑制することができる。
なお、サトウキビ収穫機1は、上記した実施形態の構成に限定されるものではなく、また、上記した作用効果に限定されるものではない。また、サトウキビ収穫機1は、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、下記する各種の変更例に係る構成や方法等を任意に一つ又は複数選択して、上記した実施形態に係る構成や方法等に採用してもよいことは勿論である。
(1)上記実施形態に係るサトウキビ収穫機1においては、環状突起部5の下面部51は、上方へ行くにつれて内方へ向かうように、形成されている、という構成である。しかしながら、サトウキビ収穫機1は、斯かる構成に限られない。例えば、環状突起部5の下面部51は、上方へ行くにつれて外方へ向かうように、形成されている、という構成でもよく、また、例えば、図10に示すように、環状突起部5の下面部51は、横方向に沿って(横方向と略平行となるように)、形成されている、という構成でもよい。
(2)また、上記実施形態に係るサトウキビ収穫機1においては、環状突起部5の上面部52は、下方へ行くにつれて内方へ向かうように、形成されている、という構成である。しかしながら、サトウキビ収穫機1は、斯かる構成に限られない。例えば、環状突起部5の上面部52は、下方へ行くにつれて外方へ向かうように、形成されている、という構成でもよく、また、例えば、図11に示すように、環状突起部5の上面部52は、横方向に沿って(横方向と略平行となるように)、形成されている、という構成でもよい。
(3)また、上記実施形態に係るサトウキビ収穫機1においては、筒状部31の後方側の環状突起部5における、周方向の長さの総和は、筒状部31の前方側の環状突起部5における、周方向の長さの総和よりも、大きい、という構成である。しかしながら、サトウキビ収穫機1は、斯かる構成に限られない。例えば、筒状部31の後方側の環状突起部5における、周方向の長さの総和は、筒状部31の前方側の環状突起部5における、周方向の長さの総和以下である、という構成でもよい。
(4)また、上記実施形態に係るサトウキビ収穫機1においては、環状突起部5は、筒状部31の周方向に連続して延びている、という構成である。しかしながら、サトウキビ収穫機1は、斯かる構成に限られない。例えば、環状突起部5は、複数備えられ、筒状部31の周方向に並列されている、という構成でもよい。なお、環状突起部5の周方向の長さは、特に限定されないが、例えば、環状突起部5の上下方向D3の高さよりも、大きいことが好ましい。
(5)また、上記実施形態に係るサトウキビ収穫機1においては、環状突起部5は、一つのみ備えられている、という構成である。しかしながら、サトウキビ収穫機1は、斯かる構成に限られない。例えば、環状突起部5は、上下方向D3に並列されている、という構成でもよい。また、例えば、環状突起部5は、ファン32のブレード32bよりも上方と下方とにそれぞれ配置されている、という構成でもよい。
(6)また、上記実施形態に係るサトウキビ収穫機1においては、突出部43は、第1案内面43b及び第2案内面43cを有する三角錐形状である、という構成である。しかしながら、サトウキビ収穫機1は、斯かる構成に限られない。例えば、突出部43は、半円球状である、という構成でもよく、また、例えば、前後方向D1に延びる板状である、という構成でもよい。
(7)また、上記実施形態に係るサトウキビ収穫機1においては、ケース部22は、切断部21よりも後方の下面部22dに、開口部22cを備えている、という構成である。しかしながら、サトウキビ収穫機1は、斯かる構成に限られない。例えば、ケース部22は、切断部21よりも後方の下面部22dに、開口部22cを備えていない、という構成でもよい。
(8)また、上記実施形態に係るサトウキビ収穫機1においては、ファン32のブレード32bの全体は、筒状部31の内部に配置され、環状突起部5よりも上方に配置されている、という構成である。しかしながら、サトウキビ収穫機1は、斯かる構成に限られない。例えば、ファン32のブレード32bの一部は、筒状部31の外部に配置されている、という構成でもよく、また、例えば、ファン32のブレード32bは、環状突起部5よりも下方に配置されている、という構成でもよい。
(9)また、上記実施形態に係るサトウキビ収穫機1においては、選別部3は、筒状部31の内周部から内方へ突出する環状突起部5を備えている、という構成である。しかしながら、サトウキビ収穫機1は、斯かる構成に限られない。例えば、選別部3は、筒状部31の内周部から内方へ突出する環状突起部5を備えていない、という構成でもよい。
1…サトウキビ収穫機、2…処理部、3…選別部、4…衝突部、5…環状突起部、11…走行部、12…機体枠部、12a…リンク機構、12b…リンク機構、13…上葉切断部、13a…上葉案内部(案内棒)、13b…上葉案内部(案内板)、14…引起部、14a…クロップデバイダ、14b…分草フレーム、14c…オーガ、14d…分草具、15…刈取部、15a…掻込ロータ、15b…刈取カッター、16…搬送部、16a…第1搬送部、16b…第2搬送部、17…茎搬送部、17a…茎受部、17b…搬送コンベヤ、18…操縦部、21…切断部、21a…切断カッター、21b…切断軸部、21c…切断刃、22…ケース部、22a…ケース前側部、22b…ケース後側部、22c…開口部、22d…下面部、23…逆流防止部、24…キビ案内部、31…筒状部、31a…茎排出部、31b…上端部、32…ファン、32a…ファン軸部、32b…ブレード、32c…駆動源、33…フード部、33a…葉排出部、34…茎案内部、34a…ゴム板、34b…チェーン、41…ベース部、42…突出体、43…突出部、43a…稜線、43b…第1案内面、43c…第2案内面、44…取付部、51…下面部、52…上面部、D1…前後方向、D2…左右方向、D3…上下方向
Claims (3)
- サトウキビを切断して後方へ飛ばす処理部と、
前記処理部から飛ばされたサトウキビを受けて、葉部を上昇させて茎部を落下させる選別部と、を備え、
前記処理部は、サトウキビを切断し後方且つ上方へ飛ばす切断部と、前記切断部よりも後方且つ上方に配置され、飛ばされたサトウキビが衝突する衝突部を備え、
前記衝突部は、下方に向けて突出する突出部を備える、サトウキビ収穫機。 - 前記突出部は、サトウキビを案内するために、後方へ行くにつれて右方へ向かう第1案内面と、後方へ行くにつれて左方へ向かう第2案内面と、を備える、請求項1に記載のサトウキビ収穫機。
- 前記処理部は、前記切断部及び前記衝突部を収容するケース部を備え、
前記ケース部は、前記切断部よりも後方の下面部に、外部へ通ずる開口部を備える、請求項1又は2に記載のサトウキビ収穫機。
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