JP2020189325A - ハット形鋼矢板の圧延方法及び粗圧延機 - Google Patents

ハット形鋼矢板の圧延方法及び粗圧延機 Download PDF

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Abstract

【課題】粗造形圧延における材料の反りを防止し、粗造形圧延を安定させることができる、ハット形鋼矢板の圧延方法及び粗圧延機を提供すること。【解決手段】、矩形スラブを素材として、粗圧延工程、中間圧延工程及び仕上圧延工程を経ることで、ウェブと、フランジと、腕部と、継手部と、を有する、断面形状がハット形のハット形鋼矢板を圧延製造する際に、粗圧延工程は、矩形スラブである素材を第1孔型(K9孔型72)で圧延する第1粗圧延工程と、第1圧延工程の後、素材を第2孔型で圧延する第2粗圧延工程と、を有し、第1粗圧延工程では、素材の断面がハット形となるように曲げ成形し、ウェブの板厚と腕部の板厚とが略同一となる圧延条件で素材を延伸させ、第2粗圧延工程では、腕部の板厚よりもウェブの板厚が大きい圧延条件で、素材を延伸させる。【選択図】図7

Description

本発明は、ハット形鋼矢板の圧延方法及び粗圧延機に関する。
土木工事の土留め部材として用いられる鋼矢板として、図1に断面形状を示すハット形鋼矢板1がある。ハット形鋼矢板1は、ウェブ11と、ウェブ11の左右両側にそれぞれ形成される一対のフランジ12と、一対のフランジ12の左右外側にそれぞれ形成される一対の腕部13と、一対の腕部13の左右外側にそれぞれ形成される一対の継手部14とを有する、断面形状がハット形となる鋼矢板である。なお、図1において、Hで示す上下方向の長さを高さといい、Wで示す左右方向の長さを幅(有効幅)という。このようなハット形鋼矢板1は、腕部13を有することで、従来のU形鋼矢板よりも鋼矢板1枚での有効幅を大きくすることができることから、普及が進んでいる。
ハット形鋼矢板1は、例えば、図2に示す設備配列の圧延設備2aで製造される。すなわち、スラブやブルームを素材として、この素材を加熱炉3aで所定の温度(たとえば1300℃)まで加熱した後、粗圧延機4a、中間圧延機5a及び仕上圧延機6aの順に搬送され、各圧延機で所定の断面及び形状に圧延されることで製品形状となる。図2に示す圧延設備2aは、粗圧延機4aが1基、中間圧延機5aが2基、仕上圧延機6aが1基の場合であり、中間圧延は2基の中間圧延機5aでタンデム圧延が行われる。
これらの圧延機には、カリバーと呼ばれる孔型が上下ロールにそれぞれ刻設されている。図3は、粗圧延に用いる孔型の例であり、上ロール及び下ロールからなる上下で一つのロール組に対し、Box孔型、K8孔型及びK7孔型の3つの孔型が刻設されている。図3に示す孔型を用いた粗圧延では、スラブを素材として、まずBox孔型で、スラブの幅圧下が行われ、次いで、K8孔型でスラブのハット形への曲げ変形及び厚み圧下が行われる。その後、K7孔型でさらに厚み圧下が行われ、製品断面形状に近い形に造形される。粗圧延のK8孔型及びK7孔型では、それぞれ複数パスの圧延が行われている。
中間圧延機についても同様に、2個〜4個程度の孔型が上下で一つのロール組に刻設されており、これらの孔型での圧延が順次行われる。
仕上圧延機についても同様に、1個〜3個程度の孔型が上下で一つのロール組に刻設されており、これらの孔型での圧延が順次行われる。図4は、ハット形鋼矢板用の上下ロールの模式であり、この例では、K2孔型で最終的な厚み圧下が行われ、K1孔型で継手部の曲げ成形が行われ製品断面形状となる。
なお、中間圧延及び仕上圧延では、各孔型での圧延のパス数は、1パスが基本であり、同一孔型で圧延するパス数は、多い場合でも2,3パス程度である。
このようにして圧延されるハット形鋼矢板1は、近年の鋼材の断面性能向上の要求とともに、大型化が進んでおり、図1に示した有効幅Wが900mm(従来のU形鋼矢板は最大600mm)で、全高さHが370mm(従来のU形鋼矢板は最大225mm)となるものも開発されている。しかし、このような鋼矢板の大型化に伴い、スラブ素材から略ハット形へ粗造形を行う粗造形圧延が非常に難しくなっている。
例えば図3に示す粗圧延用孔型での圧延では、ハット形への曲げ成形と厚み圧下を行うK8孔型での圧延において、図5に模式を示すような大きな上反りが発生することがある。この上反りが大きすぎると、次の圧延パスで材料をロールに噛み込ませることが困難になる。なお、図5に示すように、上反りの反り量は、長手方向で同一なウェブの上面の位置について、長手方向の両端の位置を結ぶ直線に対する、端部以外の位置の距離で最も大きくなる位置での距離として定義される。また、圧延機に付帯させている、材料を拘束・案内するガイド装置が破損する危険性もある。
このため、このような大型のハット形鋼矢板を圧延する際に、反りを防止するために、ロールの孔型形状・配列、厚み圧下スケジュール等を工夫して設計、設定する必要がある。
ハット形鋼矢板の粗造形圧延に関する技術として、例えば、特許文献1には、素材の断面形状を矩形断面形状と略ハット形断面形状との間の中間形状に造形する第1予備成形孔型を備えることを特徴とする、ハット形鋼矢板の圧延設備が開示されている。
また、特許文献2には、1又は2以上のロール対に刻設された一連の孔型を用いて、両側の腕部に非対称断面形状の継手対を有する非対称ハット型断面材を製造する方法であって、一連の孔型のうち非対称ハット型断面材を最終的に成型する仕上孔型を除く一部または全部の孔型について、少なくとも片側の腕圧下部が仕上孔型の腕圧下部とは異なる方向に傾斜しており、当該孔型によって被圧延材を圧延して中間断面材を成型し、仕上孔型によって中間断面材の継手対を曲げ加工して非対称ハット型断面材を成型することを特徴とする、非対称ハット型断面材の製造方法が開示されている。
さらに、特許文献3には、ハット形鋼矢板の粗造形を行うロールとして、ロール周方向溝の互いに向かい合う左右の傾斜壁のうち、上下ロールでそれぞれ異なる一方の傾斜壁に段差が形成された上下ロールにより構成され、スラブを幅方向に圧下する段差付きボックス孔型と、同じ上下ロールに、継手部の突条を形成するための突条形成溝が形成され幅圧下後スラブを厚み方向に圧下する延伸用孔型とを有し、段差付きボックス孔型の段差の溝底から測った距離は、段差により幅圧下後スラブに形成された膨らみが、幅圧下後スラブを延伸用孔型内に配置した状態で突条形成溝に合致するように決められていることを特徴とする粗圧延ロールが開示されている。
特開2015−123478号公報 特開2006−305606号公報 特開2005−144497号公報
しかしながら、特許文献1に記載された圧延設備及び製造方法は、従来よりも高さが高い鋼矢板について、特に継手部の成形を安定させる圧延技術であり、粗造形における反りを防止する技術ではない。
また、特許文献2に記載されたハット形鋼矢板(非対称ハット型断面材)の製造方法は、左右非対称な継手形状の形成に起因して発生する継手部の曲がりを防止する圧延技術であり、粗造形における反りを防止する技術ではない。
さらに、特許文献3に記載された粗圧延ロールは、ハット形鋼矢板の継手部の成形に有効な技術であり、粗造形における反りの防止に関する技術ではない。
本発明は、上記の課題に着目してなされたものであり、粗造形圧延における材料の反りを防止し、粗造形圧延を安定させることができる、ハット形鋼矢板の圧延方法及び粗圧延機を提供するものである。
本発明の一態様によれば、矩形スラブを素材として、粗圧延工程、中間圧延工程及び仕上圧延工程を経ることで、ウェブと、フランジと、腕部と、継手部と、を有する、断面形状がハット形のハット形鋼矢板を圧延製造する際に、上記粗圧延工程は、矩形スラブである素材を第1孔型で圧延する第1粗圧延工程と、第1圧延工程の後、上記素材を第2孔型で圧延する第2粗圧延工程と、を有し、上記第1粗圧延工程では、上記素材の断面がハット形となるように曲げ成形し、上記ウェブの板厚と上記腕部の板厚とが略同一となる圧延条件で上記素材を延伸させ、上記第2粗圧延工程では、上記腕部の板厚よりも上記ウェブの板厚が大きい圧延条件で、上記素材を延伸させる、ハット形鋼矢板の圧延方法が提供される。
本発明の一態様によれば、矩形スラブを素材として、粗圧延、中間圧延及び仕上圧延を行うことで、ウェブと、フランジと、腕部と、継手部と、を有する、断面形状がハット形のハット形鋼矢板を圧延製造する圧延設備において、上記粗圧延を行う粗圧延機であって、矩形スラブである素材を圧延する第1孔型と、上記第1孔型で圧延された上記素材を圧延する第2孔型と、を備え、上記第1孔型は、素材の断面がハット形となるように曲げ成形可能で、上記ウェブのロール隙と上記腕部のロール隙とが略同一であり、上記第2孔型は、上記腕部のロール隙よりも上記ウェブのロール隙が大きい、粗圧延機が提供される。
本発明の一態様によれば、粗造形圧延における材料の反りを防止し、粗造形圧延を安定させることができる、ハット形鋼矢板の圧延方法及び粗圧延機が提供される。
ハット形鋼矢板の形状を示す断面図である。 従来の圧延設備の構成の一例を示す模式図である。 粗圧延機の上ロールと下ロールとを示す部分断面図である。 仕上圧延機の上ロールと下ロールとを示す部分断面図である。 反りが発生した粗形鋼片を示す斜視図である。 本発明の一実施形態における圧延設備の構成を示す模式図である。 第1粗圧延機の上ロールと下ロールとを示す部分断面図である。 第2粗圧延機の上ロールと下ロールとを示す部分断面図である。 材料の長さの異なる素材の圧延後の状態を示す説明図である。 反り量が大きい場合に、噛み込み不良が発生する状態を説明する説明図である。 K8孔型における、ウェブ厚に対する材料長さの比と反りの大きさとの関係を示すグラフである。
以下の詳細な説明では、本発明の完全な理解を提供するように、本発明の実施形態を例示して多くの特定の細部について説明する。しかしながら、かかる特定の細部の説明がなくても1つ以上の実施態様が実施できることは明らかである。また、図面は、簡潔にするために、周知の構造及び装置が略図で示されている。
<ハット形鋼矢板の圧延方法>
(圧延設備)
図面を参照して、本発明の一実施形態に係るハット形鋼矢板の圧延方法について説明する。本実施形態におけるハット形鋼矢板の圧延は、図6に示す圧延設備2で行われるものであり、素材である矩形スラブを、複数の圧延機で圧延することで、図1に示すハット形鋼矢板1を製造するものである。つまり、ハット形鋼矢板1は、上述のように、ウェブ11と、一対のフランジ12と、一対の腕部13と、一対の継手部14とからなるハット形の断面形状を有する鋼矢板である。また、ハット形鋼矢板1の代表寸法としては、ウェブ11の厚み(板厚)であるウェブ厚tw0、フランジ12の厚み(板厚)であるフランジ厚tf0、腕部の厚み(板厚)である腕部厚ta0がある。矩形スラブは、長手方向に直交する断面が矩形となる鋳片である。圧延設備2は、図6に示すように、加熱炉3と、粗圧延機4と、中間圧延機5と、仕上圧延機6とを備える。
圧延設備2では、加熱炉3にて所定の温度に加熱された素材である矩形スラブを、粗圧延機4、中間圧延機5及び仕上圧延機6で、順に圧延することで、ハット形鋼矢板1が製造される。
粗圧延機4は、加熱炉3で加熱された矩形スラブを、長手方向に直交する断面が略ハット形の粗形鋼片へと粗造形するものであり、第1粗圧延機41と、第2粗圧延機42とを有する。
第1粗圧延機41は、図7に示すように、鉛直方向の上下に対向して配される一つのロール組である、上ロール411と、下ロール412とを有する。上ロール411と下ロール412とには、Box孔型71及びK9孔型72の2種類の孔型が刻設される。
Box孔型71は、矩形スラブである素材の幅圧下をする孔型であり、上ロール411と下ロール412とのロール隙の形状が、圧延方向からみて略方形状となる。
K9孔型72は、Box孔型71で幅圧下された平板状の素材を、圧延しながら曲げ成形し、略ハット形状に成形する孔型である。K9孔型72は、上ロール411と下ロール412とのロール隙の形状として、素材のウェブ、フランジ、腕部及び継手部に対応する形状を有する。また、K9孔型72のロール隙について、素材のウェブ、フランジ、腕部及び継手部に対応する部位を、ウェブ相当部721、フランジ相当部722、腕部相当部723及び継手部相当部724ともいう。さらに、圧延方向からみて、ウェブ相当部721、フランジ相当部722及び腕部相当部723における、上ロール411と下ロール412とのロール隙(上ロール411と下ロール412とが対向する外周面の各部位での法線方向の離間距離)を、第1距離tw9、第2距離tf9及び第3距離ta9という。なお、第1距離tw9〜第3距離ta9は、K9孔型72における最終圧延パス時における、上ロール411と下ロール412とのロール隙である。即ち、K9孔型72で圧延される素材は、ハット形形状となった後に、徐々に板厚が減厚されていき、最終的に、ウェブ厚が第1距離tw9、フランジ厚が第2距離tf9、腕部厚が第3距離ta9となる。また、このロール隙は、Box孔型71を除いた、ハット形の形状のすべての孔型でも同様なものとして、Ki(i=9〜1)孔型における第1距離、第2距離、第3距離をtwi、tfi、taiとそれぞれ示す。
ハット形鋼矢板の場合、その断面性能を最大発揮するために、通常、製品のウェブ厚tw0、フランジ厚tf0、腕部厚ta0は、tw0>ta0>tf0と設計される。そして、この製品厚みに合わせて、各孔型における、第1距離twi、第2距離tfi及び第3距離taiがそれぞれ設定される。すなわち、ウェブ厚を基準とすれば、第1距離twi、第2距離tfi及び第3距離taiの関係は、(1)式及び(2)式を満たすものとして、各孔型の設計が行われる。
fi/twi≒tf0/tw0 ・・・(1)
ai/twi≒ta0/tw0 ・・・(2)
このように各孔型での厚みを設計することで、中間圧延や仕上圧延において、各部の厚み圧下率を揃えることができる。各部の厚み圧下率が揃わないと、特に中間圧延や仕上圧延において、フランジが波打つ「フランジ波」の発生や、大きな上反り、下反りの発生、といった不具合が生じる。また、第1距離twi、第2距離tfi及び第3距離taiは、圧延方向の下流側になるほど徐々に小さくなり、最下流側の孔型である第1孔型のものが最も小さくなるように設計される。
このような従来の孔型に対して、本実施形態では、第9孔型72の第1距離tw9と第3距離ta9とは、略同一な距離であるとする。ここで、略同一とは、第1距離tw9と第3距離ta9とが、同じ距離であることが好ましいが、継手部14の減面率を考慮して、第1距離tw9に対する第3距離ta9の比を、0.98以上1.02以下としてもよい。第1距離tw9に対する第3距離ta9の比が0.98未満となる場合、後述するように、ウェブ11の圧下量に対して、腕部13の圧下量が大きくなるため、上反りが発生しやすくなる。また、第1距離tw9に対する第3距離ta9の比が1.02超となる場合、上反りとは反対方向の反りである「下反り」が大きくなり、圧延機のガイドや素材を搬送するテーブルローラに素材が突っかかる問題が発生する可能性がある。
第2粗圧延機42は、図8に示すように、鉛直方向の上下に対向して配される一つのロール組である、上ロール421と、下ロール422とを有する。上ロール421と下ロール422とには、K8孔型73及びK7孔型74の2種類の孔型が刻設される。
K8孔型73は、K9孔型72で圧延された素材を圧延する孔型である。また、K7孔型74は、K8孔型72で圧延された素材を圧延する孔型である。K8孔型73及びK7孔型74は、ロール隙の形状が、圧延方向からみてハット形であり、各部位のロール隙がK9孔型72のものから徐々に小さくなるように設定される。また、K8孔型73は、製品形状と同様に、第1距離tw8よりも、第3距離ta8が小さくなるように設定される。ここで、第1距離tw8に対して第3距離ta8をどの程度小さくするかは、製品形状に応じて設定されるものであり、(2)式を満たすように設定されることが好ましいが、継手部等の造形を考慮して数%程度の調整が行われてもよい。なお、通常の製品形状では、第1距離tw8に対する第3距離ta8の比は0.98未満となり、K9孔型72よりもK8孔型73の方が小さいものとなる。また、第1距離tw8、第2距離tf8及び第3距離ta8は、(1)式及び(2)式を満たすように設定されることが好ましい。なお、K7孔型74についても、K8孔型73と同様に、第1距離tw7、第2距離tf7及び第3距離ta7が設定されることが好ましい。さらに、粗圧延で最後に用いられるK7孔型74のロール隙の形状は、最終製品の形状・寸法に応じた所定の粗形鋼片の形状と同じとなる。K7孔型74は、図2に示す、従来の粗圧延機4aでのK7孔型と同じ形状となる。つまり、粗圧延機4で圧延された素材の断面形状は、粗圧延機4aで圧延されたものと同じ形状となる。
中間圧延機5は、粗圧延機4で圧延された素材を圧延するものであり、2個の孔型がそれぞれ刻設された、二つのロール組を有する。つまり、中間圧延機5は、4個の孔型を有するものであり、これらの孔型をK6孔型〜K3孔型と称する。なお、中間圧延機5は、図2に示す従来の中間圧延機5aと同じものである。
仕上圧延機6は、中間圧延機5で圧延された素材を圧延するものであり、2個の孔型が刻設された、一つのロール組を有する。つまり、仕上圧延機6は、2個の孔型を有するものであり、これらの孔型をK2孔型〜K1孔型と称する。なお、仕上圧延機6は、図2に示す従来の仕上圧延機6aと同じものである。
(圧延方法)
本実施形態に係るハット形鋼矢板1の圧延方法では、まず、加熱炉3にて、素材である矩形スラブを所定の温度まで加熱する(加熱工程)。
加熱工程の後、矩形スラブを加熱炉3から抽出し、粗圧延機4で粗圧延を行う(粗圧延工程)。
粗圧延工程では、はじめに、第1粗圧延機41のBox孔型71で矩形スラブを圧延することで、矩形スラブの幅圧下を行う(幅圧下工程)。Box孔型71での圧延は、矩形スラブの幅が所定のものとなるまで、複数パス行われてもよい。
粗圧延工程では、幅圧下工程の後、幅圧下された素材が、第1粗圧延機41のK9孔型72で圧延される(第1粗圧延工程)。第1粗圧延工程では、素材が複数パスの圧延によって、素材の断面がハット形となるように、曲げ成形され、厚みの圧下が行われる。K9孔型72での圧延では、一例として、平板状の素材を曲げ成形することでハット形とする圧延を2パス〜4パス行い、その後、厚み圧下を行う圧延を1パス以上行うようにしてもよい。
第1粗圧延工程の曲げ成形では、上ロール41と下ロール42とのロール間隔を調整し、ロール隙のウェブの距離を、素材の厚みよりも大きくした条件で圧延を行うことで、素材が曲げ成形される。
そして、第1粗圧延工程では、K9孔型72の第1距離tw9と第3距離ta9とが略同じ距離として設定されているため、厚みの圧下時において、素材のウェブの板厚であるウェブ厚と腕部の板厚である腕部厚とが略同一となる圧延条件で圧延が行われる。なお、厚み圧下の圧延が複数パス行われる場合、最初の圧延パスでは、上ロール41と下ロール42とのロール間隔を調整し、ウェブ、フランジ及び腕部におけるロール隙を、第1距離tw9〜第3距離ta9よりも大きくした状態で圧延が行われ、圧延が進むに従い、ロール隙が徐々に狭くなるようにロール間隔が調整される。そして、K9孔型72での最後の圧延パスでは、ウェブ、フランジ及び腕部におけるロール隙が、第1距離tw9〜第3距離ta9となる圧延条件で圧延が行われる。この際、厚みの圧下が行われるすべての圧延パスにおいて、ウェブのロール隙と腕部のロール隙とが略同一となる条件で圧延が行われる。
粗圧延工程にて製造される粗形鋼片は、ハット形鋼矢板1の製品形状から、ウェブに対して腕部の板厚が薄いものとなる。しかし、素材の矩形スラブは、板厚が均一なものであることから、一般的には、粗圧延で厚みの圧下が行われる場合には、ウェブに対して腕部の圧下量が大きくなる。腕部の圧下量が大きくなると、ウェブに対して腕部の材料長さが大きくなることから、素材の上反りが発生しやすくなる。これに対して、第1粗圧工程では、素材のウェブ厚と腕部厚とが略同一となる圧延条件で圧延が行われるため、ウェブと腕部とで圧下量が略同一となり、上反りの発生が抑制される。
また、第1粗圧延工程では、K9孔型72での圧延が、素材のウェブ厚に対する、素材の圧延方向の長さである材料長さの比が40以上となるまで行われることが好ましい。ここで、本発明者らは、粗圧延工程における上反りの発生し易さには、上記のウェブと腕部との圧下量の違いが大きく影響するが、この他の要因として、素材の材料長さとウェブ厚との関係も影響することを知見した。
図9には、粗圧延直後の素材の上反りを側面からみた模式図を示す。また、図9において、A、B及びCは、材料長さの異なる素材を示し、各素材の材料長さは、素材C>素材B>素材Aとなる。図9に示すように、材料長さが短いほど、反りが大きくなることがわかる。これは、材料長さが長いほど自重による下方向への力が付加され易くなり、上反りが抑制されるためである。また、上反りが発生した素材の次パスの圧延前には、素材と圧延機との関係は図10に示す状態となる。図10に示すように、反り量が大きくなると、素材の圧延方向の先端側の高さが圧延機のロール隙の高さよりも大きくなるために、素材の圧延機への噛み込みができなくなる。さらに、リバース圧延では、材料の尾端側から圧延することになるため、上反りが発生した場合には、この尾端側の高さがロール隙に対して非常に高い位置となるため、噛み込み不良となる可能性が高くなる。
図11には、図2に示す従来の圧延設備2aで圧延した、製品高さが300mmとなるハット形鋼矢板(25H)について、K8孔型での圧延前の素材のウェブ厚に対する材料長さの比と、K8圧延後の素材の反りの大きさとの関係を調査した結果を示す。なお、反りについては、図10に示す反り量を、上ロールと下ロールとの平均径で除して無次元化した値を用いた。また、図11では、反りの発生により、次パスの噛み込みができなかった場合を「×」とし、次パスの噛み込みができた場合を「○」としてそれぞれ示している。図11に示すように、ウェブ厚に対する材料長さの比が大きくなると反りが小さくなり、噛み込み不良の発生が抑制されることが確認できた。この調査の例では、ウェブ厚に対する材料長さの比が40以上となることで、次パスの圧延において噛み込み不良が発生することなく、安定して圧延ができることが確認できた。なお、ウェブ厚に対する材料長さの比をこの範囲とすることによる反り低減の効果は、25Hの大きさのハット形鋼矢板に限らず、他の大きさのものについても同様に得られるものである。
粗圧延工程では、第1粗圧延工程の後、K9孔型72で圧延された素材が、第2粗圧延機42のK8孔型73で圧延される(第2粗圧延工程)。上述のように、K8孔型73は、第1距離tw8よりも、第3距離ta8が小さくなるように設定される。このため、第2粗圧延工程では、素材は、腕部厚よりもウェブ厚が大きい圧延条件で延伸される。つまり、第2粗圧延工程では、ウェブよりも腕部の圧下量が大きい条件で、厚みの減圧が行われる。このような圧延条件では、上述のように、腕部の圧下量がウェブよりも大きいため、上反りが発生しやすいものとなる。しかし、本実施形態では、第1粗圧延工程にて、ウェブ厚と腕部厚との圧下量が略同一の圧延条件で素材が延伸されているため、第2粗圧延工程で圧延される素材は、上反りがなく、材料長さが長い状態となる。このため、第2粗圧延工程では、圧延後の素材に上反りが発生しにくいものとなる。第2粗圧延工程では、K8孔型73での圧延が複数パス行われてもよい。この場合、素材が徐々に減厚されていき、最終的に、素材のウェブ厚、フランジ厚及び腕部厚が、第1距離tw8、第2距離tf8及び第3距離ta8とそれぞれ同じものとなるまで圧延が行われる。
粗圧延工程では、第2粗圧延工程の後、K8孔型73で圧延された素材が、第2粗圧延機42のK7孔型74で圧延される(第3粗圧延工程)。上述のように、K7孔型74は、第1距離tw7よりも、第3距離ta7が小さくなるように設定される。このため、第3粗圧延工程では、第2粗圧延工程と同様に、素材は、腕部厚よりもウェブ厚が大きい圧延条件で延伸される。しかし、第3粗圧延工程では、第2粗圧延工程で延在され材料長さが長い素材を圧延するため、上反りが発生しにくいものとなる。第3粗圧延工程では、K7孔型74での圧延が複数パス行われてもよい。この場合、素材が徐々に減厚されていき、最終的に、素材のウェブ厚、フランジ厚及び腕部厚が、第1距離tw7、第2距離tf7及び第3距離ta7とそれぞれ同じものとなるまで圧延が行われる。第3粗圧延工程後の素材の形状は、粗形鋼片として設定される形状である。第3粗圧延工程後の素材のウェブ厚は、製品のウェブ厚の2倍程度とすることが好ましい。このようにすることで、中間圧延での圧下率を、一定以上でかつ過度とならない適正なものとすることができ、中間圧延での圧延負荷の上昇を抑えることができる。また、継手部を中心とした造形性を向上させることができる。素材である矩形スラブとしては、厚みが200mm〜250mmのものを用いることが一般的であり、このスラブの厚みが粗圧延前のウェブ厚に相当する。例えば、製品のウェブ厚が15mmである場合、粗圧延工程では、第1粗圧延工程〜第3粗圧延工程にて、ウェブ厚を200mm〜250mmから、30mm程度まで減厚するように圧延が行われることが好ましい。この場合、第2粗圧延工程及び第3粗圧延工程では、圧延パス数は特に限定されないが、第2粗圧延工程で素材のウェブ厚を40mm程度にまで減厚した後は、第3粗圧延工程を行うことが好ましい。このようにすることで、粗圧延工程の後半での各部の厚み圧下バランスを揃えることができ、反りを防止することができる。
粗圧延工程の後、粗圧延された素材を中間圧延機5で圧延する、中間圧延を行う(中間圧延工程)。中間圧延工程では、中間圧延機5の2つのロール組に2個ずつ刻設されたK6孔型〜K3孔型の4個の孔型で素材が圧延される。なお、中間圧延は、2つのロール組でタンデム圧延されることで行われる。また、中間圧延工程では、各孔型の圧延パス数は、複数パスとしてもよいが、ウェブ厚が20mm以下と薄くなる圧延では、圧延パス数を1パスとすることが好ましい。ウェブ厚が薄い条件では、同じ孔型で2パス以上の圧延を行うと、2パス目以降では断面内の各部位の圧下量が等しくなるため、厚みの薄い部分ほど圧下率が大きくなる。このため、反りやねじれが発生する原因となる。中間圧延工程では、K3孔型で圧延された後の最終的なウェブ厚を、製品のウェブ厚よりも0.3mm〜1mm程度厚いものとすることが好ましい。例えば、製品のウェブ厚が15mmである場合、中間圧延工程では、ウェブ厚を30mm程度から15.5mm程度に減厚するように圧延が行われることが好ましい。また、この場合、初めに用いられるK6孔型での圧延パス数を2パスとし、その後に用いられるK5孔型〜K3孔型での圧延パス数を1パスとすることが好ましい。
中間圧延工程の後、中間圧延された素材を仕上圧延機6で圧延する、仕上圧延を行う(仕上圧延工程)。仕上圧延工程では、仕上圧延機6に刻設されたK2孔型〜K1孔型の2個の孔型でそれぞれ圧延される。なお、仕上圧延工程では、各孔型の圧延パス数は、中間圧延工程でのウェブ厚が20mm以下での圧延と同じ理由から、圧延パス数を1パスとすることが好ましい。仕上圧延では、各孔型での圧下量は、1mm以下とすることが好ましい。仕上圧延を圧下量が1mm以下の軽圧下とすることで、製品の厚み寸法精度を向上させることができる。仕上圧延工程で圧延された素材は、製品のハット形鋼矢板1となる。
<変形例>
以上で、特定の実施形態を参照して本発明を説明したが、これら説明によって発明を限定することを意図するものではない。本発明の説明を参照することにより、当業者には、開示された実施形態とともに種々の変形例を含む本発明の別の実施形態も明らかである。従って、特許請求の範囲に記載された発明の実施形態には、本明細書に記載したこれらの変形例を単独または組み合わせて含む実施形態も網羅すると解すべきである。
例えば、上記実施形態では、粗圧延機4にK7孔型74を設けるとしたが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、中間圧延機5にK7孔型74を設けてもよい。
また、スラブの幅圧下の必要がないようであれば、粗圧延機4には、Box孔型71が設けられなくてもよい。
さらに、上記実施形態では、粗圧延機4が第1粗圧延機41と第2粗圧延機42との2つのロール組を有するとしたが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、Box孔型71及びK9孔型72、K8孔型73及びK7孔型74が、1つのロール組に刻設可能であるならば、粗圧延機4は1つのロール組を有するものとしてもよい。また、K7孔型74は、粗圧延機4ではなく中間圧延機5に設けられるようにしてもよい。
<実施形態の効果>
(1)本発明の一態様に係るハット形鋼矢板1の圧延方法は、矩形スラブを素材として、粗圧延工程、中間圧延工程及び仕上圧延工程を経ることで、ウェブ11と、フランジ12と、腕部13と、継手部14と、を有する、断面形状がハット形のハット形鋼矢板1を圧延製造する際に、粗圧延工程は、矩形スラブである素材を第1孔型(K9孔型72)で圧延する第1粗圧延工程と、第1圧延工程の後、素材を第2孔型(K8孔型73)で圧延する第2粗圧延工程と、を有し、第1粗圧延工程では、素材の断面がハット形となるように曲げ成形し、ウェブの板厚と腕部の板厚とが略同一となる圧延条件で素材を延伸させ、第2粗圧延工程では、腕部の板厚よりもウェブの板厚が大きい圧延条件で、素材を延伸させる、ハット形鋼矢板の圧延方法。
上記(1)の構成によれば、第1粗圧延工程にて、ウェブと腕部との厚みを略同一とした圧延条件で圧延をすることで、上反りの発生を抑えることができる。これにより、圧延時の噛み込み不良等が発生しなくなり、安定して圧延を行うことができるようになる。
(2)上記(1)の構成において、第1粗圧延工程では、素材のウェブの板厚に対する、素材の圧延方向の長さである材料長さの比が40以上となるまで、素材を延伸させる。
上記(2)の構成によれば、第2粗圧延工程において、圧延前の素材の材料長さを十分に長くすることができ、腕部の圧下量をウェブよりも大きくした状態でも、次パスでの圧延において問題とならない程度に、上反りの発生を抑制することができる。
(3)上記(1)または(2)の構成において、第1粗圧延工程では、ウェブの板厚に対する腕部の板厚の比が、0.98以上1.02以下となる条件で、素材を圧延する。つまり、圧延に用いられる第1孔型は、第1距離に対する第3距離の比が、0.98以上1.02以下となるロール隙の形状を有するものとなる。
上記(3)の構成によれば、第1粗圧延工程において、上反りの発生を抑制しつつ、素材のウェブ厚と腕部厚とを調整することができる。
(4)本発明の一態様に係る粗圧延機4は、矩形スラブを素材として、粗圧延、中間圧延及び仕上圧延を行うことで、ウェブ11と、フランジ12と、腕部13と、継手部14と、を有する、断面形状がハット形のハット形鋼矢板1を圧延製造する圧延設備2において、粗圧延を行う粗圧延機4であって、素材を圧延する第1孔型(K9孔型72)と、第1孔型で圧延された素材を圧延する第2孔型(K8孔型73)と、を備え、第1孔型は、矩形スラブである素材の断面がハット形となるように曲げ成形可能で、ウェブのロール隙と腕部のロール隙とが略同一であり、第2孔型は、腕部のロール隙よりもウェブのロール隙が大きい。
上記(4)の構成によれば、上記(1)と同様な効果を得ることができる。
次に、本発明者らが行った実施例について説明する。実施例では、上記実施形態と同様に、図6に示す圧延設備2にて、矩形スラブを素材としてハット形鋼矢板1を製造し、粗圧延での反りの発生状況を調査した。実施例では、素材となる矩形スラブとして、幅1050mm、厚み220mm、長さ4000mmのスラブを用いた。また、ハット形鋼矢板1(25H)の製品の寸法を、高さ300mm、ウェブ厚13.2mm、フランジ厚9mm、腕厚12.4mmとした。実施例の粗圧延工程では、図7及び図8に示す孔型を有する粗圧延機4を用いて粗圧延を行った。具体的には、幅圧下工程では、Box孔型71で2パスの圧延をすることで、スラブの幅を960mmとした。次いで、第1粗圧延工程では、K9孔型72で6パスの圧延を行い、ウェブ厚及び腕厚をともに120mmに減厚した。さらに、第2粗圧延工程では、K8孔型73で6パスの圧延を行い、ウェブ厚を40mm、腕厚を37.6mmに減厚した。その後、第3粗圧延工程では、K7孔型74で2パスの圧延を行い、素材のウェブ厚を27mm、腕厚を25.4mmに減厚した。
また、比較のために、図2に示す従来の孔型を有する圧延設備2でも同様に粗圧延を行い、反りの発生状況を調査した(比較例1)。さらに、上記実施形態と同様な圧延設備について、第1距離tw9と第3距離ta9との比率を、製品厚と同じとしたK9孔型を用いて粗圧延を行った(比較例2)。比較例1及び比較例2における、スラブや製品のハット形鋼矢板、粗形鋼片の寸法は、実施例と同じである。
比較例1では、実施例と同様に、幅圧下工程までを行った後、K8孔型で8パスの圧延を行い、素材のウェブ厚を60mm、腕部厚を56.4mmに減厚した。次いで、K7孔型で4パスの圧延を行い、素材のウェブ厚を27mm、腕部厚25.4mmに減厚した。
比較例2では、実施例と同様に、幅圧下工程までを行った後、K9孔型で6パスの圧延を行い、素材のウェブ厚を120mm、腕部厚を113mmに減厚した。次いで、K8孔型で6パスの圧延を行い、素材のウェブ厚を40mm、腕部厚を37.6mmに減厚した。さらに、K7孔型で2パスの圧延を行い、素材のウェブ厚を27mm、腕部厚25.4mmに減厚した。
実施例、比較例1及び比較例2では、それぞれ3本ずつの素材で圧延を試みた。この結果、実施例では、K8孔型での1パス目で、反り量は50mm〜60mmの範囲と小さく、3本とも特に問題なく圧延をすることができた。
これに対し、比較例2の2本目の圧延では、K7孔型の最終パスまでの圧延に成功したが、比較例2の1本目及び3本目の圧延では、K9孔型で厚み圧下を開始する4パス目に反り量が180mm〜200mmとなる非常に大きな上反りが発生し、次のパスの圧延ができなかった。
また、比較例1の1本目及び2本目の圧延では、K8孔型で厚み圧下を開始する4パス目に反り量が180mm〜200mmとなる非常に大きな上反りが発生し、次のパスの圧延ができなかった。また、比較例1の3本目の圧延では、K8孔型での5パス目の圧延に成功しK8孔型の圧延を完了させたが、K8孔型での最終パスである8パス目の上反りが大きく、続くK7孔型での圧延を完了させることができなかった。
以上のことから、上記実施形態に係るハット形鋼矢板1の圧延方法によれば、粗造形圧延における材料の反りを防止し、粗造形圧延を安定させることができることが確認できた。
なお、本実施例では、ハット形鋼矢板1のサイズとして高さが300mm、製品ウェブ厚が13.2mmとなる25Hについて示したが、他のサイズのハット形鋼矢板(10H:高さ230mm、製品ウェブ厚10.8mm、及び50H:高さ370mm、製品ウェブ厚17mm)でも同様の効果を確認している。
1 ハット形鋼矢板
11 ウェブ
12 フランジ
13 腕部
14 継手部
2 圧延設備
3 加熱炉
4 粗圧延機
41 第1粗圧延機
42 第2粗圧延機
411,421 上ロール
412,422 下ロール
5 中間圧延機
6 仕上圧延機
71 Box孔型
72 K9孔型
73 K8孔型
74 K7孔型
721 ウェブ相当部
722 フランジ相当部
723 腕部相当部

Claims (4)

  1. 矩形スラブを素材として、粗圧延工程、中間圧延工程及び仕上圧延工程を経ることで、ウェブと、フランジと、腕部と、継手部と、を有する、断面形状がハット形のハット形鋼矢板を圧延製造する際に、
    前記粗圧延工程は、矩形スラブである素材を第1孔型で圧延する第1粗圧延工程と、第1圧延工程の後、前記素材を第2孔型で圧延する第2粗圧延工程と、を有し、
    前記第1粗圧延工程では、前記素材の断面がハット形となるように曲げ成形し、前記ウェブの板厚と前記腕部の板厚とが略同一となる圧延条件で前記素材を延伸させ、
    前記第2粗圧延工程では、前記腕部の板厚よりも前記ウェブの板厚が大きい圧延条件で、前記素材を延伸させる、ハット形鋼矢板の圧延方法。
  2. 前記第1粗圧延工程では、前記素材の前記ウェブの板厚に対する、前記素材の圧延方向の長さである材料長さの比が40以上となるまで、前記素材を延伸させる、請求項1に記載のハット形鋼矢板の圧延方法。
  3. 前記第1粗圧延工程では、前記ウェブの板厚に対する前記腕部の板厚の比が、0.98以上1.02以下となる条件で、前記素材を圧延する、請求項1または2に記載のハット形鋼矢板の圧延方法。
  4. 矩形スラブを素材として、粗圧延、中間圧延及び仕上圧延を行うことで、ウェブと、フランジと、腕部と、継手部と、を有する、断面形状がハット形のハット形鋼矢板を圧延製造する圧延設備において、前記粗圧延を行う粗圧延機であって、
    前記素材を圧延する第1孔型と、
    前記第1孔型で圧延された前記素材を圧延する第2孔型と、
    を備え、
    前記第1孔型は、矩形スラブである素材の断面がハット形となるように曲げ成形可能で、前記ウェブのロール隙と前記腕部のロール隙とが略同一であり、
    前記第2孔型は、前記腕部のロール隙よりも前記ウェブのロール隙が大きい、粗圧延機。
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