JP7360026B2 - H形鋼の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、例えば矩形断面であるスラブ等を素材としてH形鋼を製造する製造方法に関する。
H形鋼を製造する場合には、加熱炉から抽出されたスラブやブルーム等の素材を粗圧延機(BD)によって粗形材(所謂ドッグボーン形状の被圧延材)に圧延し、中間ユニバーサル圧延機によって上記粗形材のウェブやフランジの厚さを圧延し、併せて前記中間ユニバーサル圧延機に近接したエッジャー圧延機によって被圧延材のフランジに対し幅圧下や端面の鍛錬と整形が施される。そして、仕上ユニバーサル圧延機によってH形鋼製品が圧延される。
このようなH形鋼の製造方法において、矩形断面であるスラブ素材から所謂ドッグボーン形状の粗形材を圧延する際には、粗圧延工程の第1の孔型においてスラブ端面に割り込みを入れた後、第2以降の孔型において当該割り込みを割広げる、又は、割り込み深さを深くさせ、それ以降の孔型にてスラブ端面の割り込みを消去する技術が知られている。
また、H形鋼の製造においては、スラブ等の素材の端面(スラブ端面)をエッジングするいわゆるエッジング圧延の後に、被圧延材を90°又は270°回転させ、ウェブ相当部の圧延を行う平造形圧延を行うことが知られている。この平造形圧延では、ウェブ相当部の圧延と共にフランジ相当部の圧延及び整形が行われるが、近年、大型のH形鋼製品が求められていることに鑑み、大型の素材を被圧延材とした場合に、一般的な平造形圧延では、ウェブ高さ方向の伸びやフランジ相当部の変形等、種々の問題が生じることがあり、形状の修正が求められる場合があった。具体的には、ウェブ相当部の圧延に伴い、ウェブ相当部が長手方向に延伸し、当該延伸に引っ張られてフランジ相当部も長手方向に延伸し、フランジ相当部の厚みが薄くなってしまうといった現象が懸念されていた。
このような平造形圧延に関し、例えば特許文献1には、平造形孔型の中央部に溝部を形成し、圧延時にウェブ相当部の中央に未圧下部を設け、クロップ部の長さを減少させる技術が開示されている。この特許文献1には、ウェブ相当部の中央に凸部(本発明の隆起部に相当)が形成された状態でエッジング圧延を行う旨が記載されており、更なるクロップ部の減少や圧延の効率化が図られている。
また、例えば特許文献2には、ウェブ高さの大きい大型H形鋼を製造するために、平造形圧延においてウェブ内法を一旦小さく造形した後、孔型ロールをフランジ内面に接触させてフランジ部の肉量を確保するような拡幅圧延を行う技術が開示されている。
特開昭59-35802号公報 特開2003-10902号公報
上述したように、近年、構造物等の大型化に伴い大型のH形鋼製品の製造が望まれている。特にH形鋼の強度・剛性に大きく寄与するフランジを従来に比べて広幅化した製品が望まれている。フランジが広幅化されたH形鋼製品を製造するためには、粗圧延工程における造形から従来に比べフランジ幅の大きな被圧延材を造形する必要がある。また、その際には、平造形圧延において上記特許文献1、2に開示されたような技術を適用し生産効率化が図られている。
ところで、H形鋼の製造プロセスにおいては、エッジング圧延時にはフランジ先端相当部が圧縮力を受けるため被圧延材の表面性状(スラブ表面性状)が皺上に悪化することが分かっている。被圧延材の表面には製鋼工程に起因する表面荒れや、高温加熱による一次スケールが発生することに加えて、上記のような皺状の表面性状が発現したまま圧延(特に、平圧延造形)を進めていくと、被圧延材の表面に凹凸形状(形状不良)が残存したままの状態となってしまう恐れがある。中間圧延工程や仕上圧延工程といったユニバーサル圧延では、その特性上、フランジ外面からの圧延が主となることから、特にフランジ内面の表面性状不良は製品に残存してしまうことが懸念される。
このような事情に鑑み、本発明の目的は、H形鋼を製造する際に、被圧延材の表面性状悪化、特に、フランジ内面の表面性状悪化を抑制し、表面疵等の残存しないようなH形鋼製品を効率的に製造することが可能なH形鋼の製造方法を提供することにある。
前記の目的を達成するため、本発明によれば、粗圧延工程、中間圧延工程、仕上圧延工程を備えたH形鋼の製造方法であって、前記粗圧延工程は、被圧延材を略ドッグボーン形状に圧延するエッジング圧延工程と、前記エッジング圧延工程完了後の被圧延材を90°あるいは270°回転させて所定形状のH形粗形材に圧延する平圧延工程と、を有し、前記平圧延工程を行う孔型のうち少なくとも1つの孔型における、当該孔型の少なくとも1パスの圧延において、被圧延材のウェブ内法拡幅量と、上下孔型ロールのフランジ対向面の傾斜角φ1と、の関係に基づく疵発生の無い条件を満たす圧延条件で圧延し、被圧延材のウェブ内法拡幅量と、上下孔型ロールのフランジ対向面の傾斜角φ1と、の関係に基づく疵発生の無い条件は、以下の式(2)’に基づき定めることを特徴とする、H形鋼の製造方法が提供される。
y<-0.381x +16.829x-87.048 ・・・(2)’
但し、前記式(2)’において、x軸:ロール内面角度、y軸:拡幅量、である。
前記疵発生の無い条件を満たす圧延条件で圧延するパスにおいて、前記被圧延材のフランジ部の内面に対しロールを接触させて圧延し、当該圧延時に前記被圧延材の前記ロールとの接触部は、少なくとも後段の中間圧延工程で圧延されバルジング変形するバルジング影響範囲W2を除く所定の領域W1の全面であっても良い。
前記平圧延工程の開始時において、被圧延材のフランジ部内面の鉛直方向に対する傾斜角φ2は25°未満であっても良い。
前記エッジング圧延工程では、被圧延材の幅方向に対し鉛直に割り込みを入れて被圧延材端部に分割部位を形成させ、形成された分割部位を順次折り曲げて所定の略ドッグボーン形状とする圧延を行っても良い。
前記平圧延工程を行う孔型のうち、少なくとも1孔型の上下孔型ロールには、被圧延材のウェブ部中央に隆起部を形成させる窪み部が当該上下孔型ロールのロール胴長中央部に設けられ、前記隆起部の幅を被圧延材のウェブ部内法の25%以上50%以下に設定しても良い。
本発明によれば、H形鋼を製造する際に、被圧延材の表面性状悪化、特に、フランジ内面の表面性状悪化を抑制し、表面疵等の残存しないようなH形鋼製品を効率的に製造することが可能となる。
H形鋼の製造ラインについての概略説明図である。 第1孔型の概略説明図である。 第2孔型の概略説明図である。 第3孔型の概略説明図である。 第4孔型の概略説明図である。 第5孔型(隆起部形成孔型)の概略説明図である。 第6孔型(隆起部消去孔型)の概略説明図である。 平圧延工程におけるフランジ部の圧延に関する概略説明図である。 ロール内面角度と拡幅量を種々の値・関係とした場合の、平圧延工程後のフランジ内面の表面性状悪化の有無を調査した結果を示すグラフである。 図9に基づく疵発生有無に関する限界線を2次式で回帰したグラフである。 バルジング影響範囲に関する概略説明図である。 逃がし率とH形粗形材造形後のフランジ幅増減率との関係を示すグラフである。 拡幅量についての概略説明図である。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
(製造ラインの概略)
図1は、本実施の形態にかかる圧延設備1を含むH形鋼の製造ラインTについての説明図である。図1に示すように、製造ラインTには上流側から順に、加熱炉2、サイジングミル3、粗圧延機4、中間ユニバーサル圧延機5、仕上ユニバーサル圧延機8が配置されている。また、中間ユニバーサル圧延機5に近接してエッジャー圧延機9が設けられている。なお、以下では、説明のために製造ラインTにおける鋼材を、総称して「被圧延材A」と記載し、各図において適宜その形状を破線・斜線等を用いて図示する場合がある。
図1に示すように、製造ラインTでは、加熱炉2から抽出された例えばスラブ11等の被圧延材Aがサイジングミル3ならびに粗圧延機4において粗圧延される。次いで、中間ユニバーサル圧延機5において中間圧延される。この中間圧延時には、必要に応じてエッジャー圧延機9によって被圧延材の端部等(後述するフランジ部80)に対して圧延が施される。通常の場合、サイジングミル3及び粗圧延機4のロールには、合わせて4~6個程度の孔型が刻設されており、これらを経由して複数パス程度のリバース圧延でH形粗形材13が造形され、該H形粗形材13を前記中間ユニバーサル圧延機5-エッジャー圧延機9の2つの圧延機からなる圧延機列を用いて、複数パスの圧延が加えられ、中間材14が造形される。そして中間材14は、仕上ユニバーサル圧延機8において製品形状に仕上圧延され、H形鋼製品16が製造される。
(孔型構成の概略)
次に、以下では図1に示したサイジングミル3及び粗圧延機4に刻設される孔型構成や孔型形状について図面を参照して説明する。図2~図7は粗圧延工程を行うサイジングミル3及び粗圧延機4に刻設される孔型についての概略説明図である。ここで、説明する第1孔型~第6孔型は、例えばサイジングミル3に全て刻設されても良く、サイジングミル3及び粗圧延機4に第1孔型~第6孔型の6つの孔型が分けて刻設されても良い。即ち、第1孔型~第6孔型はサイジングミル3及び粗圧延機4の両方に亘って刻設されても良く、どちらか一方の圧延機に刻設されても良い。通常のH形鋼の製造における粗圧延工程では、これら各孔型において1又は複数パスでの造形が行われる。
また、本実施の形態では刻設される孔型が6つの場合を例示して説明するが、その孔型数についても、必ずしも6孔型である必要はなく、6以上の複数の孔型数であっても良い。例えば、後述する第6孔型K6の後段に一般的な拡幅圧延孔型を設けるような構成としても良い。即ち、H形粗形材13を造形するために好適な孔型構成であれば良い。なお、図2~図7では、各孔型における造形時の被圧延材Aの概略最終パス形状を破線にて図示している。
図2は第1孔型K1の概略説明図である。第1孔型K1は、一対の水平ロールである上孔型ロール20と下孔型ロール21に刻設され、これら上孔型ロール20と下孔型ロール21のロール隙において被圧延材Aが圧延される。また、上孔型ロール20の周面(即ち、第1孔型K1の上面)には、孔型内部に向かって突出する突起部25が形成されている。更に、下孔型ロール21の周面(即ち、第1孔型K1の底面)には、孔型内部に向かって突出する突起部26が形成されている。これら突起部25、26はテーパー形状を有しており、その突出長さ等の寸法は、突起部25と突起部26とでそれぞれ等しく構成されている。突起部25、26の高さ(突出長さ)をh1とし、先端部角度をθ1aとする。
この第1孔型K1においては、突起部25、26が被圧延材Aの上下端部(スラブ端面)に押し当てられ、割り込み28、29が形成される。ここで、突起部25、26の先端部角度(ウェッジ角度とも呼称される)θ1aは例えば25°以上40°以下であることが望ましい。
ここで、第1孔型K1の孔型幅は、被圧延材Aの厚み(即ち、スラブ厚)とほぼ等しいことが好ましい。具体的には、第1孔型K1に形成された突起部25、26の先端部における孔型の幅と、スラブ厚を同一にすることで、被圧延材Aの左右センタリング性が好適に確保される。また、このような孔型寸法の構成とすることで、図2に示すように、第1孔型K1での圧延時において、被圧延材Aの上下端部(スラブ端面)においては、上記突起部25、26及び孔型側面(側壁)の一部が被圧延材Aと接していて、割り込み28、29により4つの要素(部位)に分割されたスラブ上下端部に対して、第1孔型K1の上面及び底面にて積極的な圧延が行われない方が好ましい。孔型の上面及び底面による圧延は、被圧延材Aの長手方向への伸びを生じさせてしまい、フランジ(後述するフランジ部80)の生成効率を低下させてしまうからである。即ち、第1孔型K1においては、突起部25、26が被圧延材Aの上下端部(スラブ端面)に押し当てられ、割り込み28、29が形成される際の突起部25、26における圧下量(ウェッジ先端圧下量)は、スラブ上下端部における圧下量(スラブ端面圧下量)よりも十分に大きなものとされ、これにより割り込み28、29が形成される。
図3は第2孔型K2の概略説明図である。第2孔型K2は、一対の水平ロールである上孔型ロール30と下孔型ロール31に刻設される。上孔型ロール30の周面(即ち、第2孔型K2の上面)には、孔型内部に向かって突出する突起部35が形成されている。更に、下孔型ロール31の周面(即ち、第2孔型K2の底面)には、孔型内部に向かって突出する突起部36が形成されている。これら突起部35、36はテーパー形状を有しており、その突出長さ等の寸法は、突起部35と突起部36とでそれぞれ等しく構成されている。これら突起部35、36の先端部角度は25°以上40°以下のウェッジ角度θ1bであることが望ましい。
なお、上記第1孔型K1のウェッジ角度θ1aは、フランジ相当部の先端部厚みを確保し、誘導性を高め、圧延の安定性を担保するために、後段の第2孔型K2のウェッジ角度θ1bと同じ角度であることが好ましい。
突起部35、36の高さ(突出長さ)h2は、上記第1孔型K1の突起部25、26の高さh1より高く構成されており、h2>h1となっている。また、突起部35、36の先端部角度は上記第1孔型K1の突起部25、26の先端部角度と同じであることが圧延寸法精度上、好ましい。これら上孔型ロール30と下孔型ロール31のロール隙において、上記第1孔型K1通材後の被圧延材Aが更に圧延される。
ここで、第1孔型K1に形成される突起部25、26の高さh1より、第2孔型K2に形成される突起部35、36の高さh2の方が高く、被圧延材Aの上下端部(スラブ端面)への侵入長さも同様に第2孔型K2の方が長くなる。第2孔型K2での突起部35、36の被圧延材Aへの侵入深さは、突起部35、36の高さh2と同じである。即ち、第1孔型K1での突起部25、26の被圧延材Aへの侵入深さh1’と、第2孔型K2での突起部35、36の被圧延材Aへの侵入深さh2はh1’<h2との関係になっている。
また、被圧延材Aの上下端部(スラブ端面)に対向する孔型上面30a、30b及び孔型底面31a、31bと、突起部35、36の傾斜面とのなす角度θfは、図3に示す4箇所ともに約90°(略直角)に構成されている。
図3に示すように、被圧延材Aの上下端部(スラブ端面)へ押し当てられた時の突起部の侵入長さが長いことから、第2孔型K2においては、第1孔型K1において形成された割り込み28、29が更に深くなるように圧延が行われ、割り込み38、39が形成される。なお、ここで形成される割り込み38、39の寸法に基づき粗圧延工程でのフランジ造形工程終了時のフランジ片幅が決定される。
また、図3に示す第2孔型K2での造形は多パスにより行われるが、この多パス造形では、被圧延材Aの上下端部(スラブ端面)において被圧延材Aの積極的な圧延は行われない。これは、圧延により被圧延材Aの長手方向への伸びを生じさせ、フランジ相当部(後述するフランジ部80に相当)の生成効率を低下させてしまうからである。
図4は第3孔型K3の概略説明図である。第3孔型K3は、一対の水平ロールである上孔型ロール40と下孔型ロール41に刻設される。上孔型ロール40の周面(即ち、第3孔型K3の上面)には、孔型内部に向かって突出する突起部45が形成されている。更に、下孔型ロール41の周面(即ち、第3孔型K3の底面)には、孔型内部に向かって突出する突起部46が形成されている。これら突起部45、46はテーパー形状を有しており、その突出長さ等の寸法は、突起部45と突起部46とでそれぞれ等しく構成されている。
上記突起部45、46の先端部角度θ2は、上記角度θ1bに比べ広角に構成され、突起部45、46の被圧延材Aへの侵入深さh3は、上記突起部35、36の侵入深さh2よりも短くなっている(即ち、h3<h2)。この角度θ2は例えば70°以上110°以下が好ましい。
また、被圧延材Aの上下端部(スラブ端面)に対向する孔型上面40a、40b及び孔型底面41a、41bと、突起部45、46の傾斜面とのなす角度θfは、図4に示す4箇所ともに約90°(略直角)に構成されている。
図4に示すように、第3孔型K3では、第2孔型K2通材後の被圧延材Aに対し、被圧延材Aの上下端部(スラブ端面)において第2孔型K2において形成された割り込み38、39が、突起部45、46が押し当てられることにより、割り込み48、49となる。即ち、第3孔型K3での造形における最終パスでは、割り込み48、49の最深部角度(以下、割り込み角度とも呼称する)がθ2となる。換言すると、第2孔型K2において割り込み38、39の形成と共に造形された分割部位(後述するフランジ部80に対応する部位)が外側に折り曲げられるような造形が行われる。
また、図4に示す第3孔型K3での造形は少なくとも1パス以上によって行われ、当該パス造形では、これらのパスにおいて被圧延材Aの積極的な圧延は行われない。これは、圧延により被圧延材Aの長手方向への伸びを生じさせ、フランジ相当部(後述するフランジ部80に相当)の生成効率を低下させてしまうからである。
図5は第4孔型K4の概略説明図である。第4孔型K4は、一対の水平ロールである上孔型ロール50と下孔型ロール51に刻設される。上孔型ロール50の周面(即ち、第4孔型K4の上面)には、孔型内部に向かって突出する突起部55が形成されている。更に、下孔型ロール51の周面(即ち、第4孔型K4の底面)には、孔型内部に向かって突出する突起部56が形成されている。これら突起部55、56はテーパー形状を有しており、その突出長さ等の寸法は、突起部55と突起部56とでそれぞれ等しく構成されている。
上記突起部55、56の先端部角度θ3は、上記角度θ2に比べ広角に構成され、突起部55、56の被圧延材Aへの侵入深さh4は、上記突起部45、46の侵入深さh3よりも短くなっている(即ち、h4<h3)。この角度θ3は例えば130°以上170°以下が好ましい。
また、被圧延材Aの上下端部(スラブ端面)に対向する孔型上面50a、50b及び孔型底面51a、51bと、突起部55、56の傾斜面とのなす角度θfは、上記第3孔型K3と同様に、図5に示す4箇所ともに約90°(略直角)に構成されている。
第4孔型K4では、第3孔型K3通材後の被圧延材Aに対し、被圧延材Aの上下端部(スラブ端面)において第3孔型K3において形成された割り込み48、49が、突起部55、56が押し当てられることにより押し広げられ、割り込み58、59となる。即ち、第4孔型K4での造形における最終パスでは、割り込み58、59の最深部角度(以下、割り込み角度とも呼称する)がθ3となる。換言すると、第3孔型K3において割り込み48、49の形成と共に造形された分割部位(後述するフランジ部80に対応する部位)が更に外側に折り曲げられるような造形が行われる。このようにして造形された被圧延材Aの上下端部の部位は、後のH形鋼製品のフランジに相当する部位であり、ここではフランジ部80と呼称する。
また、図5に示す第4孔型K4での造形は少なくとも1パス以上によって行われ、これらのパスにおいて被圧延材Aの積極的な圧延は行われない。これは、圧延により被圧延材Aの長手方向への伸びを生じさせ、フランジ部80の生成効率を低下させてしまうからである。
以上の第1孔型K1~第4孔型K4を用いた圧延は、被圧延材Aを所定の略ドッグボーン形状となるように造形する「エッジング圧延工程」とも呼称され、矩形断面の素材スラブを立てた状態で実施される。
図6は第5孔型K5の概略説明図である。第5孔型K5は、一対の水平ロールである上孔型ロール85と下孔型ロール86から構成される。図6に示すように、第5孔型K5では、第4孔型K4までに造形された被圧延材Aが90°あるいは270°回転させられ、第4孔型K4までは被圧延材Aの上下端に位置していたフランジ部80が、圧延ピッチライン上に来るような配置となる。そして、第5孔型K5では、2か所のフランジ部80を繋ぐ接続部であるウェブ部82の圧延が行われる。
ここで、第5孔型K5の上下孔型ロール85、86は、そのロール胴長中央部において所定長さL1の窪み部85a、86aが形成された形状となっている。このような図6に示す孔型構成により、ウェブ部82の圧延は部分的に行われることになり、圧延後のウェブ部82には、ウェブ高さ方向両端の圧下部分82aと、その中央部に未圧下部分としての隆起部82bが形成されることになる。このようにして、いわゆるドッグボーン形状の被圧延材においてウェブ部82に隆起部82bを形成する圧延が行われる。
なお、この第5孔型K5では、ウェブ部82を部分的に圧延し、隆起部82bを形成させるような圧延が実施されることから、当該孔型を「隆起部形成孔型」あるいは「ウェブ部分圧延孔型」とも呼称する。また、形成後の隆起部82bの幅長さと同じ長さは上記窪み部85a、86aの幅長さL1と同じ長さ(後述する逃がし量L1)となる。ここで、図6の拡大図に示すように、本明細書における窪み部85a、86aの幅長さL1は、当該窪み部85a、86aの深さhmの1/2の深さでの幅長さとして規定し、後述する逃がし量L1も同様の規定によるものとする。
図7は第6孔型K6の概略説明図である。第6孔型K6は、一対の水平ロールである上孔型ロール95と下孔型ロール96から構成される。第6孔型K6では、第5孔型K5において圧延された被圧延材Aに対し、ウェブ部82に形成された隆起部82bを消去し、且つ、ウェブ部82の内法を拡幅するような圧延が行われる。
この第6孔型K6においては、ウェブ部82に形成された隆起部82bに上下孔型ロール95、96を当接させて当該隆起部82bを消去する圧延が行われる。第6孔型K6による圧延により、隆起部82bの圧延に伴うウェブ高さ方向への拡がり及びフランジ部80へのメタルフローを促進させ、フランジ減面をなるべく生じさせずに圧延を実施することが可能となる。
この第6孔型K6は、ウェブ部82に形成された隆起部82bを消去することから、「隆起部消去孔型」とも呼称する。
なお、第5孔型K5及び第6孔型K6における圧延に関し、その詳細な条件等(孔型の寸法形状等)については、本発明者らが得られた知見等に基づき、本実施の形態での説明においてより詳しく後述する。
また、上述してきた第1孔型K1~第6孔型K6を経た被圧延材Aに対しては、必要に応じて更なるウェブ部82の拡幅圧延を行っても良い。この場合には、第6孔型K6での圧延の後段において、1又は複数の拡幅用孔型を用いた拡幅圧延を行えば良い。なお、その場合の拡幅圧延用の孔型は、従来より既知の孔型であるため、本明細書での拡幅圧延用の孔型の説明は省略する。
以上の第5孔型K5、第6孔型K6(及び必要に応じた拡幅用孔型)を用いた圧延は、エッジング圧延工程で圧延された被圧延材Aを90°あるいは270°回転させた略H形姿勢で実施されることから、「平圧延工程」あるいは「平造形圧延工程」とも呼称される。
(拡幅量の定義)
ここで、本発明の実施の形態における平圧延工程でのウェブ内法拡幅量(以下、単に拡幅量とも記載)の定義について説明する。図13は、拡幅量についての概略説明図である。本明細書においては、平圧延時のある任意のパスにおける「拡幅量」を、当該パスにおける被圧延材Aの左右のフランジ部80それぞれのフランジ内側での水平方向の拡げ量が最大となる位置での拡げ量wの合計と定義する。なお、平圧延工程は上下孔型ロールによって行われるため、「拡幅量」は上下孔型ロールのそれぞれにおいて定義される値である。
具体的に、本発明技術に係る平圧延造形時において、ある任意のパスでの「拡幅量」とは、当該パスにおいて被圧延材Aの左右のフランジ部80の内側での水平方向の拡げ量が最大となる位置での拡げ量wの合計をいう。フランジ部80の内側での水平方向の拡げ量が最大となる位置は、被圧延材Aの圧延前形状と当該パスでのロール位置との関係によって異なる。例えば、図13(a)に示すように、フランジ部80内側の付け根近傍にロールが当接する場合には、図中に示すように付け根部での拡げ量wが最大となる。また、図13(b)に示すように、フランジ部80内側の先端近傍にロールが当接する場合には、図中に示すように先端部での拡げ量wが最大となる。
上述してきた第1孔型K1~第6孔型K6や必要に応じた拡幅圧延用孔型を用いて、図1に示すH形粗形材13が造形される。このように造形されたH形粗形材13に対し、既知の圧延機である中間ユニバーサル圧延機5-エッジャー圧延機9の2つの圧延機からなる圧延機列を用いて、複数パスのリバース圧延が加えられ、中間材14が造形される。そして中間材14は、仕上ユニバーサル圧延機8において製品形状に仕上圧延され、H形鋼製品16が製造される(図1参照)。
上述したように、本実施の形態にかかるH形鋼の製造方法では、第1孔型K1~第4孔型K4を用いて被圧延材Aの上下端部(スラブ端面)に割り込みを入れ、それら割り込みによって左右に分かれた各部分を左右に折り曲げる加工を行い、フランジ部80を形成するといった造形をすることで、被圧延材A(スラブ)の上下端面をほぼ上下方向に圧延することなくH形粗形材13の造形を行うことができる。即ち、従来行われていたスラブ端面を常に圧延する粗圧延方法に比べ、フランジ幅を広幅化させてH形粗形材13を造形することが可能となり、その結果、フランジ幅の大きな最終製品(H形鋼)を製造することができる。
(エッジング圧延工程における問題点)
本発明者らは鋭意検討したところ、上記第1孔型K1~第4孔型K4に例示されるエッジング孔型において被圧延材Aのエッジング圧延を行う場合には、当該被圧延材Aの表面性状に種々の問題点が発現することが分かってきている。即ち、被圧延材Aのスラブ表面は、既に製鋼段階で発生した凹凸にスケールが付着した凹凸形状になっており、スラブ先端部のエッジング圧延によって当該先端部が圧縮されて凹凸形状が増幅されてしまう。
更には、上記第3孔型K3や第4孔型K4の説明で示したような分割部位(後のフランジ部80)を折り曲げ造形する場合、フランジ内面を内側とする折り曲げプロセスであるため、当該フランジ内面の表面が圧縮変形となり、表面の凹凸形状が更に増幅される。
即ち、被圧延材Aのフランジ内面の表面性状の悪化が最大となるタイミングは、エッジング圧延完了時であると考えられる。
このような事情に鑑み、本発明者らは、H形鋼の製造に係る粗圧延工程において、エッジング圧延を行っている途中の被圧延材A、あるいは、エッジング圧延完了後の被圧延材Aに対し、被圧延材Aの上下端部(即ち、フランジ相当部、後のフランジ部80)の内面(単にフランジ内面、内面とも記載)に発現した皺形状といった表面性状不良を解消する方法について試験圧延等により鋭意検討を行った。即ち、平圧延工程を行う孔型(第5孔型K5、第6孔型K6のいずれか一方又は両方)の孔型設計に関し、フランジ内面に発現した表面性状不良を抑制することが可能な条件が、主に上下孔型ロールのフランジ対向面の傾斜角とフランジ内面傾斜角との関係、及び、ウェブ内法拡幅量に起因した条件であることを見出し、当該条件に基づく好適な孔型設計を知見した。以下、本知見について図面を参照して説明する。なお、以下に記載の上下孔型ロールのフランジ対向面の傾斜角、及び、フランジ内面傾斜角とは、鉛直方向に対する傾斜角度を指す。
(表面性状不良抑制のための条件)
図8は、平圧延工程におけるフランジ部80の圧延に関する概略説明図であり、(a)は従前から行われている構成、(b)は本発明に係る構成を示している。
図8(a)に示すように、第5孔型K5、第6孔型K6といった平圧延工程を行う孔型においては、通常はフランジ内面を効率的に圧延し、拡幅等を行うために、上下孔型ロールのフランジ対向面の傾斜角φ1を、フランジ内面傾斜角φ2よりも小さい角度とし、フランジ部80に対するロール投影幅を狭くすることが知られている。
一方、図8(b)に示すような、上下孔型ロールのフランジ対向面の傾斜角φ1を、フランジ内面傾斜角φ2よりも大きい角度とし、フランジ部80に対するロール投影幅を広くし、フランジ部80の内面の全面にわたってロール接触させることで、フランジ内面に発現した表面性状不良を抑制させることができる。換言すると、平圧延工程において、ウェブ部82が全面的に圧延される(圧延が終了する)前に、フランジ部80の内面全面がロール接触するような条件下においては、上記表面性状不良を抑制させることができる。
なお、平造形圧延前のフランジ内面傾斜角φ2は25°未満であることが好ましい。これは、エッジング圧延工程の最終孔型である第4孔型K4に形成された突起部55、56の先端部角度θ3の数値範囲が130°以上170°以下が好ましいことに起因する。また、効率的にフランジ内面の表面性状不調を抑制させるためには、フランジ内面へのロール接触は、平圧延工程の1パス目から適用されることが望ましい。
図9はロール内面角度(上下孔型ロールのフランジ対向面の傾斜角φ1)と拡幅量(平圧延工程時のウェブ内法拡幅量)を種々の値・関係とした場合の、平圧延工程後のフランジ内面の表面性状悪化の有無を調査した結果を示すグラフであり、図中●が疵発生無し、×が疵発生有りを示している。また、図10は、疵発生の無い条件を規定するため、図9に基づく疵発生有無に関する限界線を2次式で回帰したグラフである。
ここで、図9にプロットした「拡幅量」とは、図13を参照して上述したように、拡げ量が最大となる位置での拡げ量wの合計を指す。図9に示すデータにおいては、上ロール側の拡幅量と、下ロール側の拡幅量を個別に算出し、上下それぞれでの左右の拡げ量の和を拡幅量としてプロットしている。即ち、1つの圧延条件につき、上下の圧延条件が存在するため、2点のプロットが得られる。一例として、上ロール側のフランジ部80内側に疵発生があった場合、上ロール側の拡幅量に対して疵が発生しているため×がプロットされ、同じ圧延条件において下ロール側のフランジ部80内側に疵が発生していない場合、下ロール側の拡幅量に対して疵が発生していないため●がプロットされる。
図9に示すように、平圧延工程時において、より大きな拡幅圧延を疵の発生なく実現するためには、上下孔型ロールのフランジ対向面の傾斜角φ1を大きくすることが効果的であることが分かる。例えば、拡幅量100mmを実現するためには、フランジ対向面の傾斜角φ1を20°以上に設定することが好ましい。
また、図10に示すように、疵発生有無に関する限界線は、以下の式(2)で近似される(x軸:ロール内面角度、y軸:拡幅量)。
y=-0.381x+16.829x-87.048 ・・・(2)
図9及び図10から、上記式(2)を限界線とし、ロール内面角度と拡幅量との関係を好適な条件とすることで、平圧延工程後のフランジ内面の表面性状の悪化を抑えることが可能となる。即ち、x軸:ロール内面角度、y軸:拡幅量、とした場合に、ロール内面角度と拡幅量との関係が以下の式(2)’を満たす条件とすることが望ましい。
y<-0.381x+16.829x-87.048 ・・・(2)’
本実施の形態に係るH形鋼の製造方法においては、上述した第1孔型K1~第4孔型K4によって造形された被圧延材Aのフランジ部80の形状が、従来の製造方法におけるフランジ部の形状に比べ、製品フランジの形状に近い形状である。これは、素材として用いる矩形断面の素材(スラブ)の端部形状を変えることなく、割り込みを入れて造形した分割部位(フランジ部80)を折り曲げる加工を行うといった造形技術を採用していることに起因する。従って、フランジ内面傾斜角φ2は、従来の製造方法での被圧延材のフランジ内面傾斜角よりも小さくなると考えられる。
また、本発明者らの検討によれば、フランジ内面に発現した表面性状不良を抑制させる際に、必ずしもフランジ内面の全面にロール接触させる必要が無いことも分かっており、ロール接触させるべき範囲が存在していることも分かっている。即ち、図1に示すように粗圧延工程後には、被圧延材A(H形粗形材13)は中間圧延工程に送られ、中間ユニバーサル圧延機5-エッジャー圧延機9の2つの圧延機からなる圧延機列において圧延されるが、これら圧延機列において圧延及び増厚されるフランジ部80の先端の所定領域については、必ずしもロール接触させる必要はない。
この必ずしもロール接触させる必要が無い領域は、中間圧延(ユニバーサル圧延及びエッジャー圧延)においてフランジ部80がバルジング変形する領域であり、バルジング影響範囲とも呼称する。
図11は、バルジング影響範囲に関する概略説明図である。なお、簡略化のため、被圧延材形状を略矩形形状で図示し、中間圧延第1パス時(実線)と中間圧延最終パス後(破線)のフランジ部形状を重ね合わせて図示している。図11に示すフランジ部80において、中間圧延第1パス時のフランジ内面線長はW1+W2である。一方、中間圧延最終パス後のフランジ内面線長はW1である。このように定義した場合の中間圧延によって圧延される範囲(線長W2の領域)が上記バルジング影響範囲である。
即ち、フランジ内面に発現した表面性状不良を抑制させる際には、平圧延工程においてフランジ部80の内面線長のうち、少なくともバルジング影響範囲W2を除く領域W1に対しロール接触させれば十分である。
以上の通り、本実施の形態に係るH形鋼の製造方法において、図8~図11等を参照して説明した、平圧延工程時に表面性状不良を抑制するための条件を満たすようなパスが実行できる孔型設計を、平圧延工程を行う孔型のうちの少なくとも1孔型(本実施の形態では第5孔型K5、第6孔型K6のいずれか一方又は両方)に適用することで、被圧延材の表面性状悪化、特に、フランジ内面の表面性状悪化を抑制し、表面疵等の残存しないようなH形鋼製品を効率的に製造することが可能となる。
(ウェブ内法における逃がし量(隆起部形成幅)の比率)
また、上述した通り、本実施の形態に係る第5孔型K5(図6参照)では、被圧延材Aのウェブ部82の中央に隆起部82bが形成され、形成された隆起部82bは、後段の圧延において消去される。そして、隆起部消去時や消去後に必要に応じてウェブ内法の拡幅圧延が行われ、中間材が造形されるが、従来に比べフランジ幅の大きな大型H形鋼製品を製造するためには、H形粗形材のフランジ幅もできるだけ大きくすることが望まれる。
本発明者らは、隆起部生成孔型である第5孔型K5において形成する隆起部82bの幅長さL1(即ち、第5孔型K5での圧延におけるウェブ内法の逃がし量)を変えることで、最終的に得られるフランジ幅に違いが出ることを見出した。これは、隆起部82bの幅長さを大きくする程フランジ肉量が確保しやすい反面、後の隆起部消去時において被圧延材Aの長手方向延伸作用によってフランジ幅が減少することに起因する。
そこで、本発明者らは、第5孔型K5での圧延におけるウェブ内法の逃がし量(以下、単に「逃がし量L1」とも記載)の好適な範囲を定めるべく、逃がし率とH形粗形材造形後のフランジ幅の増減との関係に着目し、逃がし率の好適な数値範囲を導き出した。なお、逃がし率とは以下の式(1)で定義される値である。
逃がし率[%]=(逃がし量L1/ウェブ内法L2)×100 ・・・(1)
図12は、逃がし率とH形粗形材造形後のフランジ幅増減率との関係を示すグラフである。なお、図12におけるフランジ幅増減率とは、逃がし率が0%である場合のフランジ幅を基準(1.000)として、逃がし率が各値(12%~55%)である場合のフランジ幅を示した値である。
図12に示すように、逃がし率が大きくなるとH形粗形材のフランジ幅を増大する傾向にあるが、逃がし率が約25%以上となった領域ではフランジ幅増減はほぼ一定値(グラフ中の破線部参照)となっている。
図12に示す結果から、従来に比べフランジ幅の大きな大型H形鋼製品を製造する場合には、H形粗形材のフランジ幅も大きくなるような圧延が所望されることに鑑み、逃がし率の数値範囲は25%~50%とすることが望ましいことが分かる。また、圧延プロセスにおいて、圧延荷重の増大化を防いだり、生産効率を高めるといった観点から、逃がし率はできるだけ低い値とすることが好ましいことから、逃がし率は約25%に設定することが望ましい。
以上、本発明の実施の形態の一例を説明したが、本発明は図示の形態に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
上記実施の形態において、第1孔型K1~第4孔型K4として図示・説明した孔型群を用いて被圧延材Aの圧延を行い、その後、第5孔型K5を用いて平造形圧延を行う技術を説明したが、粗圧延工程を実施する孔型数はこれに限られるものではなく、更に多くの孔型を用いて実施しても良い。即ち、上記実施の形態に示した孔型構成は一例であり、サイジングミル3や粗圧延機4に刻設される孔型の数は任意に変更可能であり、好適に粗圧延工程を実施することができる程度に適宜変更される。
本発明は、例えば矩形断面であるスラブ等を素材としてH形鋼を製造する製造方法に適用できる。
1…圧延設備
2…加熱炉
3…サイジングミル
4…粗圧延機
5…中間ユニバーサル圧延機
8…仕上ユニバーサル圧延機
9…エッジャー圧延機
11…スラブ
13…H形粗形材
14…中間材
16…H形鋼製品
20…上孔型ロール(第1孔型)
21…下孔型ロール(第1孔型)
25、26…突起部(第1孔型)
28、29…割り込み(第1孔型)
30…上孔型ロール(第2孔型)
31…下孔型ロール(第2孔型)
35、36…突起部(第2孔型)
38、39…割り込み(第2孔型)
40…上孔型ロール(第3孔型)
41…下孔型ロール(第3孔型)
45、46…突起部(第3孔型)
48、49…割り込み(第3孔型)
50…上孔型ロール(第4孔型)
51…下孔型ロール(第4孔型)
55、56…突起部(第4孔型)
58、59…割り込み(第4孔型)
80…フランジ部
82…ウェブ部
82a…圧下部分
82b…隆起部(未圧下部分)
85…上孔型ロール(第5孔型)
85a…窪み部
86…下孔型ロール(第5孔型)
86a…窪み部
95…上孔型ロール(第6孔型)
96…下孔型ロール(第6孔型)
K1…第1孔型
K2…第2孔型
K3…第3孔型
K4…第4孔型
K5…第5孔型
K6…第6孔型
T…製造ライン
A…被圧延材

Claims (5)

  1. 粗圧延工程、中間圧延工程、仕上圧延工程を備えたH形鋼の製造方法であって、
    前記粗圧延工程は、被圧延材を略ドッグボーン形状に圧延するエッジング圧延工程と、
    前記エッジング圧延工程完了後の被圧延材を90°あるいは270°回転させて所定形状のH形粗形材に圧延する平圧延工程と、を有し、
    前記平圧延工程を行う孔型のうち少なくとも1つの孔型における、当該孔型の少なくとも1パスの圧延において、被圧延材のウェブ内法拡幅量と、上下孔型ロールのフランジ対向面の傾斜角φ1と、の関係に基づく疵発生の無い条件を満たす圧延条件で圧延し、
    被圧延材のウェブ内法拡幅量と、上下孔型ロールのフランジ対向面の傾斜角φ1と、の関係に基づく疵発生の無い条件は、以下の式(2)’に基づき定めることを特徴とする、H形鋼の製造方法。
    y<-0.381x +16.829x-87.048 ・・・(2)’
    但し、前記式(2)’において、x軸:ロール内面角度、y軸:拡幅量、である。
  2. 前記疵発生の無い条件を満たす圧延条件で圧延するパスにおいて、
    前記被圧延材のフランジ部の内面に対しロールを接触させて圧延し、当該圧延時に前記被圧延材の前記ロールとの接触部は、少なくとも後段の中間圧延工程で圧延されバルジング変形するバルジング影響範囲W2を除く所定の領域W1の全面であることを特徴とする、請求項1に記載のH形鋼の製造方法。
  3. 前記平圧延工程の開始時において、被圧延材のフランジ部内面の鉛直方向に対する傾斜角φ2は25°未満であることを特徴とする、請求項1又は2に記載のH形鋼の製造方法。
  4. 前記エッジング圧延工程では、被圧延材の幅方向に対し鉛直に割り込みを入れて被圧延材端部に分割部位を形成させ、形成された分割部位を順次折り曲げて所定の略ドッグボーン形状とする圧延を行うことを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載のH形鋼の製造方法。
  5. 前記平圧延工程を行う孔型のうち、少なくとも1孔型の上下孔型ロールには、被圧延材のウェブ部中央に隆起部を形成させる窪み部が当該上下孔型ロールのロール胴長中央部に設けられ、
    前記隆起部の幅を被圧延材のウェブ部内法の25%以上50%以下に設定することを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載のH形鋼の製造方法。
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