JP2020186185A - 組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明の目的は、米加工物の新たな提供方法を実現し、米加工物を有効活用することである。【解決手段】本発明は、米加工物を2種以上含む組成物である。当該組成物は、繊維芽細胞の賦活作用を有しており、食品分野や化粧品分野等において応用することができる。【選択図】なし

Description

本発明は、米加工物を2種以上含む組成物に関する。
米は、様々な加工がなされて利用されている。玄米を精米して得られる白米は、日本人の主食として利用されている。玄米を精米する過程で得られる米ぬかは、油分が多いことから油を絞り米ぬか油として利用されたり、ぬか漬けの「ぬか床(ぬか味噌)」として利用されたりしている。また、米に含まれるセラミドなどの特定成分を抽出したものや、米の発酵物が、食品や化粧品の素材として利用されている(特許文献1など)。
特開2018−186753号公報
しかしながら、これらの米加工物は別々に利用されるのが通常であり、複数の米加工物を組合せて利用することについては、これまで検討されてこなかった。
本発明は、米加工物の新たな提供方法を実現し、米加工物を有効活用することを目的としている。
本発明者らは、鋭意検討を積み重ねたところ、驚くべきことに、2種以上の米加工物を組み合わせることで、繊維芽細胞の賦活作用が得られることを発見した。本発明は、かかる知見等に基づいて完成された発明である。
本発明は、以下のものを提供する。
[1]米加工物を2種以上含む、組成物。
[2]米ぬか発酵物、米抽出物、および米麹の中から選ばれる米加工物を2種以上含む、[1]に記載の組成物。
[3]ライチ、酵素、およびショウガ科植物の中から選ばれる1種以上をさらに含む、[1]または[2]に記載の組成物。
[4]米加工物を3種以上含む、[1]〜[3]の何れかに記載の組成物。
[5]上記ライチは、ライチ種子である、[3]または[4]に記載の組成物。
[6]上記酵素は、アミラーゼである、[3]〜[5]の何れかに記載の組成物。
[7]上記ショウガ科植物は、ウコンである、[3]〜[6]の何れかに記載の組成物。
本発明によれば、米加工物の新たな提供方法を実現し、米加工物を有効活用することができる。特に、一実施形態において、繊維芽細胞の賦活作用を奏する組成物を提供することができる。また、繊維芽細胞の賦活作用によって、美肌または保湿等の美容効果を奏し得る。
各被験物質を用いた細胞賦活試験の結果を示した図である。
(本発明の概要)
本発明の一実施形態は、米加工物を2種以上含む組成物である。
(米加工物)
米加工物は、イネの種子を加工したものを指す。イネとしては、Oryza sativa L.、Oryza glaberrima Steud.、およびこれらの雑種等が挙げられる。加工される部位は、種子の何れの部位であってもよく、例えば、果皮、種皮、糊粉層、胚芽、胚乳、籾殻、籾、ぬか、玄米、白米等が挙げられる。
加工形態としては、例えば、抽出物、粉砕物、搾汁物、分解物、発酵物、米麹、またはこれらの乾燥物等が挙げられる。また、分解物、発酵物または米麹からの抽出物等、複数の加工を任意に組み合わせたものであってもよい。なかでも、美容作用をより効果的に発揮する観点から、発酵物、抽出物、および米麹が好ましい。したがって、「2種以上の米加工物」のうちの少なくとも1種は、発酵物、抽出物、および米麹の中から選ばれることが好ましい。また、発酵物、抽出物、および米麹の中から選ばれる米加工物を2種以上含むことが好ましい。
米加工物の形状は特に限定されず、例えば、液状、ペースト状、固体状、粉末状等であり得る。米加工物は、賦形剤が混合されていてもよい。
米加工物は、当業者により通常知られている方法によって製造したものでもよいし、市場に流通しているものであってもよい。
抽出物(エキス;extract)とは、原料に含まれる成分を、溶媒を用いて分離することで得られるものである。抽出物を得る方法は特に限定されないが、抽出物としては、例えば、イネの種子が含有する成分を、常法に従って溶媒で抽出して得られる抽出液、その希釈液もしくは濃縮液、またはそれらの乾燥物もしくはその粉末などが挙げられる。抽出に使用される溶媒としては、例えば、水;エタノール、メタノール、イソプロパノール、ブタノール、酢酸エチル、酢酸メチル、アセトンなどの有機溶媒;水と有機溶媒との混合溶媒などが挙げられる。溶媒は、有機溶媒であることが好ましく、低級アルコールであることがより好ましく、エタノールであることがさらに好ましい。抽出時の温度は、使用する溶媒に応じて室温〜沸点以下で適宜設定すればよい。米抽出物は、米由来セラミド(例えば、米由来グリコシルセラミド)が含まれていてもよい。米抽出物における米由来セラミドの量は、例えば、5〜20重量%、より具体的には10〜12重量%であり得る。米抽出物の一例として、イネの種子にエタノールを加えて抽出し、抽出液に賦形剤(例えば、デキストリン等)を加えて乾燥し、粉末化したものが挙げられる。
粉砕物とは、原料を粉砕することで得られるものである。粉砕物を得る方法は特に限定されないが、例えば、スライス、破砕、細断などの当業者がイネの種子を粉砕する際に通常使用する方法を用いることができる。粉砕の一例として、スラリー化してもよい。スラリー化は、イネの種子をミキサー、ジューサー、ブレンダー、マスコロイダーなどにかけ、どろどろした粥状(液体と固体との懸濁液)にすることにより行う。種子の粉砕物を加熱する場合は、この液に水を入れて煮詰めた後、篩別、濾過などの手段によって粗固形分を除去して液分を用いてもよい。
搾汁物(juice)とは、原料を搾ることにより得られる汁である。搾汁物を得る方法は特に限定されないが、例えば、イネの種子またはその粉砕物を圧搾する方法、イネの種子の粉砕物を遠心やろ過する方法などが挙げられる。具体的な搾汁方法の例としては、ミキサー、ジューサーなどの機械的破砕手段によって搾汁し、必要に応じて、篩別、濾過などの手段によって粗固形分を除去することにより搾汁液を得る方法が挙げられる。
分解物とは、原料を分解することで得られるものである。分解物を得る方法は特に限定されないが、例えば、イネの種子またはその粉砕物を加熱により分解する方法、イネの種子またはその粉砕物を酵素により分解する方法、イネの種子またはその粉砕物を微生物により分解する(発酵を除く)方法などが挙げられる。
発酵物とは、原料を発酵することで得られるものである。発酵物を得る方法は特に限定されない。発酵としては、例えば、乳酸発酵、アルコール発酵、酢酸発酵等が挙げられる。発酵に用いられる生物としては、例えば、酵母、乳酸菌、酢酸菌等が挙げられる。酵母としては、Saccharomyces cerevisiae等が挙げられる。乳酸菌としては、Lactobacillus brevis等が挙げられる。酢酸菌としては、Acetobacter属およびluconacetobacter属等が挙げられる。発酵物の一例は、米ぬか発酵物である。米ぬかは、玄米を白米へ精白した際に生じる果皮、種皮、胚芽、および糊粉層等の混合物を指す。米ぬか発酵物は、例えば、米ぬかを乳酸菌によって乳酸発酵させて得られる。米ぬか発酵物は、γ-アミノ酪酸(GABA)を高含有に変換させた米ぬか発酵もろみを含んでもよい。より具体的には、米ぬかにグルタミン酸塩(例えば、グルタミン酸ナトリウム等)を加え、乳酸菌による乳酸発酵によりγ-アミノ酪酸(GABA)を高含有に変換させた米ぬか発酵もろみが挙げられる。米ぬか発酵物は、賦形剤(例えば、米ぬか等)が混合されていてもよい。一例において、米ぬか発酵物は、γ-アミノ酪酸を、例えば、2000mg/100g以上、より好ましくは4000mg/100g以上含んでいる。
米麹とは、米(玄米または白米等)を蒸したものに麹菌を付着させ培養したものである。麹菌としては、黄麹菌(Aspergillus oryzae、Aspergillus sojae)等)、白麹菌(Aspergillus Kawachii等)、黒麹菌(Aspergillus Iuchuensis等)、紅麹菌(Monascus属等)等が挙げられる。
各種加工物の乾燥物を得る方法は特に限定されないが、例えば、水分含量が10%以下、好ましくは5%以下となるように乾燥する処理が挙げられる。乾燥処理としては、例えば、熱風乾燥、高圧蒸気乾燥、電磁波乾燥、凍結乾燥等が挙げられる。
また、米加工物の製造過程の任意の段階で殺菌されていてもよい。殺菌の方法は特に限定されないが、例えば、温度、圧力、電磁波、薬剤などを用いて物理的または化学的に微生物を殺滅させる方法が挙げられる。
具体的な米加工物としては、米ぬか発酵物、米抽出物、米麹、甘酒、米酢、米油、米胚芽油、米粉等が挙げられる。なかでも、美容作用をより効果的に発揮する観点から、米ぬか発酵物、米抽出物、および米麹が好ましい。したがって、2種以上の米加工物のうちの少なくとも1種が、米ぬか発酵物、米抽出物、および米麹の中から選ばれることが好ましい。また、本発明の組成物は、美容作用をより効果的に発揮する観点から、米ぬか発酵物、米抽出物、および米麹の中から選ばれる米加工物を2種以上含むことが好ましい。
組成物に含まれる米加工物の種類は、2種以上であり、美容作用をより効果的に発揮する観点から、3種以上であることが好ましい。後述の実施例に示すように、米加工物が3種以上である場合、細胞賦活効果が高まる。一例において、米加工物の種類は2種である。別の一例において、米加工物の種類は3種である。発酵物、抽出物、および米麹の中から選ばれる米加工物を3種以上含むことが好ましく、米ぬか発酵物、米抽出物、および米麹の中から選ばれる米加工物を3種以上含むことがより好ましい。
なお、米加工物の種類に関し、物質として異なっていれば別の種類と数える。したがって、例えば、同じ加工形態であっても原料が異なる場合や同じ原料であっても加工形態が異なる場合には、別の種類と数える。例えば、原料が異なる米抽出物2種(例えば、玄米の抽出物と白米の抽出物)を含む場合は「米加工物を2種含む」といえる。また、「米ぬか発酵物、米抽出物、および米麹の中から選ばれる米加工物を2種以上含む」には、米ぬか発酵物と米抽出物を少なくとも含むこと、米ぬか発酵物と米麹を少なくとも含むこと、および、米抽出物と米麹を少なくとも含むことだけでなく、原料が異なる米抽出物を2種以上含むこと等も包含される。一例において、組成物は、加工形態が異なる米加工物を2種以上含むことが好ましく、加工形態が異なる米加工物を3種以上含むことがより好ましい。別の一例において、組成物は、加工される部位が異なる米加工物を2種以上含むことが好ましく、加工される部位が異なる米加工物を3種以上含むことがより好ましい。
組成物において、2種以上の米加工物のそれぞれの含有量は、特に限定されない。2種の場合には、重量比は、例えば、1:0.001〜1000であり、好ましくは1:0.01〜100であり、より好ましくは1:0.1〜10である。3種の場合には、重量比は、例えば、1:0.001〜1000:0.001〜1000であり、好ましくは1:0.01〜100:0.01〜100であり、より好ましくは1:0.1〜10:0.1〜10である。美容作用をより効果的に発揮する観点から、米麹と米ぬか発酵物の両方を含む場合には、米麹の量が米ぬか発酵物の量以上であることが好ましく、米麹の量が米ぬか発酵物の量より多いことがより好ましい。また、美容作用をより効果的に発揮する観点から、米麹と米抽出物の両方を含む場合には、米麹の量が米抽出物の量以上であることが好ましく、米麹の量が米抽出物の量より多いことがより好ましい。また、美容作用をより効果的に発揮する観点から、米ぬか発酵物と米抽出物の両方を含む場合には、米ぬか発酵物の量が米抽出物の量以上であることが好ましく、米ぬか発酵物の量が米抽出物より多いことがより好ましい。
(その他の有効成分)
本発明の組成物は、他の有効成分をさらに含んでいてもよい。一実施形態において、ライチ、酵素、およびショウガ科植物の中から選ばれる1種以上(1種、2種、3種、またはそれ以上)をさらに含むことが好ましい。実施例に示されるように、ライチ、酵素、およびショウガ科植物の中から選ばれる1種以上をさらに含むことによって、細胞賦活効果が高まる。
<ライチ>
ライチとは、学名Litchi chinensisである、ムクロジ科の植物を指す。ライチとしては、ライチ加工物を用いることが好ましい。ライチ加工物は、ライチを加工したものを指す。使用される部位は、何れの部位であってもよく、例えば、種子、果実、果皮、葉、根等が挙げられる。なかでも、美容作用をより効果的に発揮する観点から、種子が好ましい。
加工形態としては、例えば、抽出物、粉砕物、搾汁物、分解物、発酵物、またはこれらの乾燥物等が挙げられる。また、分解物または発酵物からの抽出物等、複数の加工を任意に組み合わせたものであってもよい。なかでも、美容作用をより効果的に発揮する観点から、抽出物であることが好ましい。
ライチ加工物の形状は特に限定されず、例えば、液状、ペースト状、固体状、粉末状等であり得る。ライチ加工物は、賦形剤(例えば、澱粉分解物等)が混合されていてもよい。
ライチ加工物は、当業者により通常知られている方法によって製造したものでもよいし、市場に流通しているものであってもよい。
抽出物を得る方法は特に限定されないが、抽出物としては、例えば、ライチが含有する成分を、常法に従って溶媒で抽出して得られる抽出液、その希釈液もしくは濃縮液、またはそれらの乾燥物もしくはその粉末などが挙げられる。抽出に使用される溶媒としては、例えば、水;エタノール、メタノール、イソプロパノール、ブタノール、酢酸エチル、酢酸メチル、アセトンなどの有機溶媒;水と有機溶媒との混合溶媒などが挙げられる。溶媒は、低級アルコールと水の混合物であることが好ましく、エタノールと水の混合物であることがより好ましい。抽出時の温度は、使用する溶媒に応じて室温〜沸点以下で適宜設定すればよい。
粉砕物、搾汁物、分解物、および発酵物を得る方法は特に限定されず、例えば、上述の米加工物において説明した方法に準じた方法が挙げられる。
各種加工物の乾燥物を得る方法は特に限定されないが、例えば、水分含量が10%以下、好ましくは5%以下となるように乾燥する処理が挙げられる。乾燥処理としては、例えば、熱風乾燥、高圧蒸気乾燥、電磁波乾燥、凍結乾燥等が挙げられる。
また、ライチ加工物の製造過程の任意の段階で殺菌されていてもよい。殺菌の方法は特に限定されないが、例えば、温度、圧力、電磁波、薬剤などを用いて物理的または化学的に微生物を殺滅させる方法が挙げられる。
一例において、ライチ加工物は、ポリフェノール類(アントシアニン、フラボノイド等)が含まれていてもよい。ライチ加工物におけるポリフェノール類の量は、例えば、5重量%以上、より具体的には12重量%以上であり得る。
ライチ加工物の一例として、ライチの種子に含水エタノールを加えて抽出し、抽出液に賦形剤を加えて乾燥し、粉末化したものが挙げられる。美容作用をより効果的に発揮する観点から、ライチ加工物としてはライチ種子抽出物が好ましい。
組成物におけるライチの含有量は、特に限定されない。米加工物とライチとの重量比(米加工物:ライチ)は、例えば、1:0.001〜1000であり、好ましくは1:0.01〜100であり、より好ましくは1:0.1〜10である。美容作用をより効果的に発揮する観点から、米加工物の量がライチの量以上であることが好ましく、米加工物の量がライチの量より多いことがより好ましい。
<酵素>
酵素とは、生体で起こる化学反応に対して触媒として機能する分子である。酵素としては、アミラーゼ、プロテアーゼ、リパーゼ、セルラーゼ、ラクターゼ等が挙げられる。酵素は、美容作用をより効果的に発揮する観点から、なかでも消化酵素が好ましく、アミラーゼ、プロテアーゼ、リパーゼ、セルラーゼ、およびラクターゼがより好ましく、アミラーゼが特に好ましい。
酵素の由来は特に限定されず、例えば、植物由来であってもよいし、動物由来であってもよいし、菌類等の微生物由来であってもよい。
酵素は、当業者により通常知られている方法によって製造したものでもよいし、市場に流通しているもの(例えば、酵素製剤)であってもよい。
酵素を得る方法は特に限定されないが、例えば、穀物(米を除く)を発酵させて、常法に従って溶媒で抽出して得られる抽出液、その希釈液もしくは濃縮液、またはそれらの乾燥物もしくはその粉末などが挙げられる。穀物としては、小麦、大麦、とうもろこし、燕麦、ライ麦、もろこし、キヌア等が挙げられる。
抽出に使用される溶媒としては、例えば、水;エタノール、メタノール、イソプロパノール、ブタノール、酢酸エチル、酢酸メチル、アセトンなどの有機溶媒;水と有機溶媒との混合溶媒などが挙げられる。溶媒は、水であることが好ましい。抽出時の温度は、使用する溶媒に応じて室温〜沸点以下で適宜設定すればよい。
一例において、酵素は、酵素を含有する穀物(米を除く)加工物であってもよい。穀物加工物としては、穀物(米を除く)発酵抽出物が挙げられ、より具体的には、小麦ふすまを発酵させ、水抽出し、乾燥し、粉末として製造されたものが挙げられる。このような穀物加工物は、酵素(アミラーゼ、プロテアーゼ、リパーゼ、セルラーゼ、またはラクターゼ等)を豊富に含む。一例において、穀物加工物は、10,000units/g以上のアミラーゼ活性を示すことが好ましく、20,000units/g以上のアミラーゼ活性を示すことがより好ましく、24,000units/g以上のアミラーゼ活性を示すことがさらに好ましい。美容作用をより効果的に発揮する観点から、酵素としては穀物発酵抽出物を用いることが好ましく、小麦ふすま発酵抽出物を用いることが特に好ましい。また、本発明の組成物が酵素を含有する穀物加工物を含む場合において、本発明の組成物全体におけるアミラーゼ活性は、1units/g以上が好ましく、5units/g以上がより好ましく、10units/g以上がさらに好ましい。
組成物における酵素の含有量(酵素を含有する穀物加工物である場合には穀物加工物の含有量。以下同じ。)は、特に限定されない。米加工物と酵素との重量比(米加工物:酵素)は、例えば、1:0.001〜1000であり、好ましくは1:0.01〜100であり、より好ましくは1:0.1〜10である。美容作用をより効果的に発揮する観点から、米加工物の量が酵素の量以上であることが好ましく、米加工物の量が酵素の量より多いことがより好ましい。
<ショウガ科植物>
ショウガ科植物とは、ショウガ科(Zingiberaceae)に属する植物を指す。ショウガ科植物としては、ショウガ、キョウオウ、ウコン、ガジュツ、カルダモン、ヤクチ等が挙げられる。なかでも、美容作用をより効果的に発揮する観点から、ウコンが好ましい。また、ショウガ科植物としては、ショウガ科植物加工物を用いることが好ましい。ショウガ科植物加工物は、ショウガ科植物を加工したものを指す。使用される部位は、何れの部位であってもよく、例えば、花、葉、根、茎、根茎、種子等が挙げられる。なかでも、美容作用をより効果的に発揮する観点から、根茎が好ましい。
加工形態としては、例えば、抽出物、粉砕物、搾汁物、分解物、発酵物、またはこれらの乾燥物等が挙げられる。また、分解物または発酵物からの抽出物等、複数の加工を任意に組み合わせたものであってもよい。なかでも、美容作用をより効果的に発揮する観点から、抽出物であることが好ましい。
ショウガ科植物加工物の形状は特に限定されず、例えば、液状、ペースト状、固体状、粉末状等であり得る。ショウガ科植物加工物は、賦形剤が混合されていてもよい。
ショウガ科植物加工物は、当業者により通常知られている方法によって製造したものでもよいし、市場に流通しているものであってもよい。
抽出物を得る方法は特に限定されないが、抽出物としては、例えば、ショウガ科植物が含有する成分を、常法に従って溶媒で抽出して得られる抽出液、その希釈液もしくは濃縮液、またはそれらの乾燥物もしくはその粉末などが挙げられる。抽出に使用される溶媒としては、例えば、水;エタノール、メタノール、イソプロパノール、ブタノール、酢酸エチル、酢酸メチル、アセトンなどの有機溶媒;水と有機溶媒との混合溶媒などが挙げられる。溶媒は、低級アルコールであることが好ましく、エタノールであることがより好ましい。抽出時の温度は、使用する溶媒に応じて室温〜沸点以下で適宜設定すればよい。
粉砕物、搾汁物、分解物、および発酵物を得る方法は特に限定されず、例えば、上述の米加工物において説明した方法に準じた方法が挙げられる。
各種加工物の乾燥物を得る方法は特に限定されないが、例えば、水分含量が10%以下、好ましくは5%以下となるように乾燥する処理が挙げられる。乾燥処理としては、例えば、熱風乾燥、高圧蒸気乾燥、電磁波乾燥、凍結乾燥等が挙げられる。
また、ショウガ科植物加工物の製造過程の任意の段階で殺菌されていてもよい。殺菌の方法は特に限定されないが、例えば、温度、圧力、電磁波、薬剤などを用いて物理的または化学的に微生物を殺滅させる方法が挙げられる。
一例において、ショウガ科植物加工物は、クルクミノイドまたはその還元体(テトラヒドロクルクミノイド)を含んでいてもよく、90重量%以上含んでいることが好ましく、92重量%以上含んでいることがより好ましく、95重量%以上含んでいることがさらに好ましい。
ショウガ科植物加工物の一例として、ウコン根茎にエタノールを加えて抽出し、乾燥し、粉末化したものが挙げられる。美容作用をより効果的に発揮する観点から、ショウガ科植物加工物としては、ウコン抽出物が好ましく、テトラヒドロクルクミノイドを含むウコン抽出物がより好ましい。
組成物におけるショウガ科植物の含有量は、特に限定されない。米加工物とショウガ科植物との重量比(米加工物:ショウガ科植物)は、例えば、1:0.001〜1000であり、好ましくは1:0.01〜100であり、より好ましくは1:0.1〜10である。美容作用をより効果的に発揮する観点から、米加工物の量がショウガ科植物の量以上であることが好ましく、米加工物の量がショウガ科植物の量より多いことがより好ましい。
組成物において、ライチ、酵素、およびショウガ科植物の中から選ばれる2種を含む場合、その重量比は、特に限定されないが、例えば、1:0.001〜1000であり、好ましくは1:0.01〜100であり、より好ましくは1:0.1〜10である。3種を含む場合、その重量比は、特に限定されないが、例えば、1:0.001〜1000:0.001〜1000であり、好ましくは1:0.01〜100:0.01〜100であり、より好ましくは1:0.1〜10:0.1〜10である。
美容作用をより効果的に発揮する観点から、ライチ(好ましくはライチ種子抽出物)、酵素(好ましくは穀物発酵抽出物)、およびショウガ科植物(好ましくはウコン抽出物)の中から選ばれる2種または3種を含むことが好ましい。美容作用をより効果的に発揮する観点から、酵素とショウガ科植物の両方を含む場合には、酵素の量がショウガ科植物の量以上であることが好ましく、酵素の量がショウガ科植物の量より多いことがより好ましい。一例において、酵素とショウガ科植物との重量比(酵素:ショウガ科植物)は、好ましくは1:1〜0.001の範囲であり、より好ましくは1:1〜0.01の範囲であり、さらに好ましくは1:1〜0.1の範囲である。また、美容作用をより効果的に発揮する観点から、酵素とライチの両方を含む場合には、酵素の量がライチの量以上であることが好ましく、酵素の量がライチの量より多いことがより好ましい。一例において、酵素とライチとの重量比(酵素:ライチ)は、好ましくは1:1〜0.001の範囲であり、より好ましくは1:1〜0.01の範囲であり、さらに好ましくは1:1〜0.1の範囲である。また、美容作用をより効果的に発揮する観点から、ショウガ科植物とライチの両方を含む場合には、ショウガ科植物の量がライチの量以上であることが好ましく、ショウガ科植物の量がライチより多いことがより好ましい。一例において、ショウガ科植物とライチとの重量比(ショウガ科植物:ライチ)は、好ましくは1:1〜0.001の範囲であり、より好ましくは1:1〜0.01の範囲であり、さらに好ましくは1:1〜0.1の範囲である。
美容作用をより効果的に発揮する観点から、一例において、米麹、米ぬか発酵物、酵素、ショウガ科植物、ライチ、および米抽出物の中で組成物における含有量(重量)を比較した場合、多い方から、米麹、米ぬか発酵物、酵素、ショウガ科植物、ライチ、米抽出物の順である(含まれていない成分がある場合には当該成分は除く)ことが好ましい。
(組成物の使用例)
本発明の組成物はそのまま、または通常用いられる種々の成分を加えて、化粧品、食品などとして用いることができる。必要に応じて、当業者が通常用いる原料および添加剤などを添加することができる。
本発明の組成物は、細胞、特に線維芽細胞に対して賦活効果を有する。したがって、本発明の組成物は、一例において、線維芽細胞賦活組成物である。また、線維芽細胞は、結合組織を構成する細胞であり、コラーゲン、エラスチン、ヒアルロン酸等の成分を生成する。コラーゲンは皮膚の弾力性や保湿機能などに寄与する成分である。エラスチンは真皮層の主要な成分の一つであり、皮膚のシワやたるみ防止に寄与する成分である。ヒアルロン酸は肌の保湿に寄与する成分である。そのため、本発明の組成物は、一例において、美容組成物(例えば、美肌組成物や保湿組成物)として利用することができる。本発明の美容組成物としては、化粧品類、医薬品(医薬部外品を含む)、食品(いわゆる健康食品や機能性表示食品、特定保健用食品を含む)等が挙げられる。本発明の美容組成物としては、美容に用いられる点において、製品として他の製品と区別することができるものであれば特に制限されるものではなく、例えば、本発明に係る製品の本体、包装、説明書、宣伝物の何れかに、美容の機能がある旨を表示したものが本発明の範囲に含まれる。なお、本発明の美容組成物は、製品の包装等に、本発明の成分(米加工物、その他の有効成分)が美容の有効成分として表示されているものに限られない。例えば、有効成分を特定していないものであってもよく、特定の素材を有効成分として表示したものであってもよい。
具体的に、美肌組成物としては、「肌を守る」、「しわが気になる方に」、「ストレスに負けない肌に」、「美容にうれしい」、「肌にうれしい」、「肌の調子を整える」、「肌のハリ、ツヤを保つ」、「肌を引き締める」、「肌の皺やたるみを改善する」、「肌を守る」、「肌のバリア機能を高める」、「美容」等を健康食品において表示したものを例示することができる。保湿組成物としては、「(肌の)潤いを守る」、「(肌の)潤いに役立つ(サポートする)」、「(肌の)潤い(水分)を逃しにくくする」、「(肌の)潤い(水分)を維持(保持)する」、「(肌の)水分量を増やす(高める)」、「(肌の)乾燥を緩和する」、「(肌を)乾燥しにくくする」、「(肌が)乾燥しがちな方に」、「(肌の)乾燥が気になる方に」、「(肌の)保湿力(バリア機能)を高める」、「肌の調子を整える」等を健康食品において表示したものを例示することができる。本発明の組成物は、別の一例において、コラーゲン生成促進組成物、エラスチン生成促進組成物、またはヒアルロン酸生成促進組成物である。本発明の組成物は、上記の効果が気になる人であれば性別や年齢に関係なく摂取することができるが、本発明の組成物の効果をより有効に享受することができることから、女性が摂取することが好ましい。
本発明の組成物は、種々の成分(例えば賦形剤、増量剤、結合剤、増粘剤、乳化剤、着色料、香料、食品添加物、調味料)と混合して経口組成物として利用できる。経口組成物の形態は特に限定されず、任意の形態とすることができる。経口組成物の形態としては、例えば、経口摂取に適した形態、具体的には液状、粉末状、粒状、顆粒状、錠状、棒状、板状、ブロック状、固形状、丸状、ペースト状、ハードカプセルやソフトカプセルのようなカプセル状、カプレット状、タブレット状、ゲル状などの各形態が挙げられるが、手軽に摂取できるため、粉末、顆粒、錠状、カプセル状、タブレット状の形態であることがより好ましい。また、これらは、その形状または好みに応じて、そのまま食されてもよいし、水、湯、牛乳、豆乳、茶、ジュースなどに溶いて飲んでもよい。また、本発明の組成物は、米加工物を2種以上組合せることにより、単独にて摂取する場合に加えて味を良くすることができる。味改善の効果をより良く発揮できる観点から、粉末飲料の形態であることが好ましい。また、本発明が粉末飲料の場合、本発明の経口組成物は水に分散しやすい特徴がある。分散性の観点においても、粉末飲料の形態あることが特に好ましい。なお、前述したその他の有効成分を配合することにより、味改善や分散性の効果をさらに高めることができる。
本発明の組成物は、化粧品類として使用する場合、ローション剤、乳剤、ゲル剤、クリーム剤、軟膏剤などの種々の形態に加工され得る。また、化粧品、医薬品、医薬部外品などとして利用される。具体的には、本発明の組成物は、化粧水、化粧クリーム、乳液、クリーム、パック、ヘアトニック、ヘアクリーム、シャンプー、ヘアリンス、トリートメント、ボディシャンプー、洗顔剤、石鹸、ファンデーション、育毛剤、水性軟膏、スプレーなどとして利用できる。
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、それぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
以下に実施例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明はこれにより限定されるものではない。
〔1.細胞賦活試験〕
(被験物質)
米ぬか発酵物:玄米を白米へ精白して得た米ぬかに水、pH調整剤(乳酸)および酵素剤を加えて酵素処理した後、100℃で1時間加熱殺菌を行って米ぬか培地を作製し、ここにグルタミン酸ナトリウムを加え、乳酸菌(L. brevis)による乳酸発酵を行った後、100℃で1時間加熱殺菌を行い、得られた発酵液(米ぬか発酵もろみ)に賦形剤として米ぬかを混合し、乾燥し、粉末化することによって得られた米ぬか発酵物を使用した(米ぬか発酵物の含有量60重量%)。この米ぬか発酵物は、γ-アミノ酪酸(GABA)を4000mg/100g含む。
米抽出物:イネ(Oryza sativa L.(Gramineae))の種子にエタノールを加えて抽出し、抽出液に賦形剤としてデキストリンを加えて乾燥し、粉末化することにより得られた米抽出物を使用した。この米抽出物は、米由来セラミド(グリコシルセラミド)を10重量%含む。
米麹:白米を蒸煮し、36℃になるまで冷却後、蒸した米と麹菌を混合し、麹菌を培養し、その後乾燥して殺菌処理を行い、粉砕して粉末化することにより得られた米麹を使用した。
ライチ:ライチの種子を乾燥、粉砕し、ライチ種子に70%含水エタノールを加えて抽出し、得られた抽出液を濾過し、濃縮し、得られた濃縮液に賦形剤(澱粉分解物)を加えて乾燥し、粉末化することにより得られたライチ種子抽出物を使用した(ライチ種子抽出物の含有量60%)。
酵素:酵素としては、アミラーゼ活性を有する穀物発酵抽出物を用いた。小麦ふすまを発酵させ、水抽出し、その後、乾燥し、粉末化することにより得られた穀物発酵抽出物を使用した。この穀物発酵抽出物は、24,000units/gのアミラーゼ活性を有する。
ショウガ科植物:ショウガ科植物抽出物としては粉末状のウコン抽出物を用いた。ウコン根茎にエタノールを加えて抽出して濃縮することにより得られたクルクミノイドを高含有するウコン抽出物について還元処理を行うことにより得られた、テトラヒドロクルクミノイドを含有するウコン抽出物を使用した。このウコン抽出物は、テトラヒドロクルクミノイドを95重量%含む。
(被験試料)
各比較例および実施例について、各被験物質の終濃度が表1に示す値(μg/mL)になるように、0.5%DMSO−10%FBS−DMEMに混合して被験試料を調製した。被験試料は、0.20μmシリンジフィルターで滅菌した。また、被験物質を含有しない0.5%DMSO−10%FBS−DMEMのみの溶液をコントロールとした。
(細胞培養)
37℃、5%COインキュベーター内で、フラスコを用いてヒト皮膚線維芽細胞(NHDF)を10%FBS−DMEM中で培養した。
培養後、トリプシン処理により浮遊させた細胞を回収し、コラーゲンコートした96wellプレートに10,000cells/wellの細胞密度で100μLずつ播種した。細胞を播種した96ウェルプレートを、37℃、5%COインキュベーター内で24時間前培養した。
培養後、ウェル内の培地を除去し、各ウェルに表1のように調製したコントロール、比較例1〜3および実施例1〜6の被験試料を100μL/wellずつ添加し、37℃、5%COインキュベーター内で72時間培養した。
(細胞数測定)
培養後、ウェル内の培地を除去し、PBS 150μL/wellで洗浄した。次いで、DMEMで30倍希釈したCell Counting Kit-8溶液を150μL/wellずつ添加した。Blankとして細胞が入っていないウェルにも、同様に150μL/well添加した。
プレートを37℃、5%COインキュベーター内に静置して適度に発色させた後、450nmにおける吸光度を測定した。
得られた吸光度を元に、コントロールに対する細胞賦活活性(% of control)を下記式に基づいて算出した。
(評価)
結果を表2および図1に示す。図1は、比較例1〜3および実施例1〜6について、算出された細胞賦活活性とコントロールの細胞賦活活性(すなわち100%)との差を表示している。
表2および図1に示されているとおりに、比較例1〜3と実施例1〜3との比較から、各被験物質単独では、コントロールと比較して細胞数が増加しなかったのに対して、米加工物を2種以上組み合わせた場合には、細胞数が増加した。
また、実施例1〜2と実施例3との比較から、米加工物を3種以上組み合わせた場合には、細胞数がより増加することがわかった。
また、実施例1〜2と実施例4〜6との比較から、ライチ、酵素、またはショウガ科植物をさらに組み合わせることによって、細胞数がより増加することがわかった。
線維芽細胞は、結合組織を構成する細胞であり、コラーゲン、エラスチン、ヒアルロン酸等の成分を生成する。コラーゲンは皮膚の弾力性や保湿機能などに寄与する成分である。エラスチンは真皮層の主要な成分の一つであり、皮膚のシワやたるみ防止に寄与する成分である。ヒアルロン酸は肌の保湿に寄与する成分である。そのため、各実施例によれば、米加工物を2種以上組み合わせることにより、美肌または保湿等の美容効果を発揮し得ることが示された。
〔2.配合実施例〕
下記処方に従って、本発明の組成物を製造した。
下記表3の配合量となるように原料を混合し、粉末飲料を得た(処方例1)。粉末飲料は1包当り3gとなるように分包し、100mLの水に懸濁させて飲用する設計とした。得られた粉末飲料は、本発明の効果を奏するものであり、さらに、分散性がよく、呈味に優れた粉末飲料である。
下記表4に示す各成分を混合した後、打錠機を用いて、1粒あたり250mg、錠径8mmの錠剤を製造した(処方例2)。得られた錠剤は、本発明の効果を奏するものであり、飲みやすい錠剤である。
下記表5の混合物をハードカプセルに封入し、カプセル剤(300mg)を製造した(処方例3)。得られたハードカプセルを1日あたり5粒摂取する。得られたハードカプセルは本発明の効果を奏するものである。
下記表6に記載の成分を混合後、90℃にて10分殺菌することにより飲料を製造した(処方例4)。得られた液剤は、本発明の効果を奏するものであり、さらに、風味および呈味に優れており、のどごしの良い飲料である。
下記表7に記載の成分を混合することにより化粧水を製造した(処方例5)。得られた化粧水は、本発明の効果を奏するものである。
本発明は、例えば、食品分野や化粧品分野等において利用することができる。

Claims (7)

  1. 米加工物を2種以上含む、組成物。
  2. 米ぬか発酵物、米抽出物、および米麹の中から選ばれる米加工物を2種以上含む、請求項1に記載の組成物。
  3. ライチ、酵素、およびショウガ科植物の中から選ばれる1種以上をさらに含む、請求項1または2に記載の組成物。
  4. 米加工物を3種以上含む、請求項1〜3の何れか1項に記載の組成物。
  5. 上記ライチは、ライチ種子である、請求項3または4に記載の組成物。
  6. 上記酵素は、アミラーゼである、請求項3〜5の何れか1項に記載の組成物。
  7. 上記ショウガ科植物は、ウコンである、請求項3〜6の何れか1項に記載の組成物。

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