以下、本開示に係る解凍調理装置について、実施形態に基づいて説明する。なお、本開示に係る解凍調理装置の実施形態は、下記実施形態に限定されるものではなく、本開示に係る技術的思想を逸脱しない範囲において、種々の変更が可能である。
(実施形態)
(1)概要
図1に示す解凍調理装置1は、グリル付きのガスこんろ(加熱調理器)であって、詳しくはキッチンカウンター(図示せず)に形成された孔に、上方より挿入されて設置されるドロップインこんろである。
以下、解凍調理装置1について、解凍調理装置1の設置状態における方向を用いて説明する。具体的には、解凍調理装置1から見て、設計上、利用者が位置する方向を前方と規定する。また、解凍調理装置1を前方から見たときを基準にして、左右方向を規定する。
解凍調理装置1は、加熱庫20と、伝熱皿5と、加熱部25と、温度検知部46と、制御部16(図5参照)と、を備える。伝熱皿5は、加熱庫20に収容され、解凍対象物としての冷凍食品が載置されて解凍対象物に熱を伝導させる。加熱部25は、伝熱皿5を加熱するもので、下記実施形態は下バーナー250により構成される。温度検知部46は、伝熱皿5の温度を検知する。制御部16は、加熱部25における加熱条件を制御する。
制御部16は、解凍工程と、蒸らし工程と、を実行する。解凍工程は、温度検知部46により検知される検知温度が、解凍対象物に焦げが発生しやすい所定の焦げ付き温度未満を維持し、かつ、検知温度が焦げ付き温度に近づくように加熱部25が制御される工程である。蒸らし工程は、解凍工程の後、加熱部25による加熱を停止して、加熱部25による加熱の停止が所定時間継続される工程である。
この解凍調理装置1にあっては、解凍工程において、温度検知部46により検知される検知温度が、解凍対象物に焦げが発生しやすい所定の焦げ付き温度未満を維持する。これにより、解凍工程により解凍された解凍対象物の表面に、焦げが発生しにくい。
また、解凍工程の後、蒸らし工程が行われるため、解凍された解凍対象物の表面の温度と内部の温度との差が小さい。
(2)構成
以下、一実施形態に係る解凍調理装置1について詳述する。本実施形態の解凍調理装置1は、図2に示すように、加熱庫20と、伝熱皿5と、加熱部25と、温度検知部46と、制御部16(図5参照)と、天板12とを備えている。
解凍調理装置1は、ケーシング10を備えている。ケーシング10は、上方に開口した箱状に形成されている。ケーシング10の内部には、複数のこんろバーナー11が設置されている。天板12はケーシング10上に設置されている。天板12はケーシング10の上面を覆っている。複数のこんろバーナー11の各々は、天板12を貫通して上方に突出している。
解凍調理装置1は、複数のこんろバーナー11にそれぞれ対応する複数のこんろ用操作部15を備えている。利用者は、各こんろ用操作部15を操作することで、対応するこんろバーナー11の点火と消火の切換え及び火力の変更を行うことができる。
図2及び図3に示すように、本実施形態の加熱庫20は、前方に開口した箱状に形成されている。加熱庫20は、ケーシング10と天板12とで囲まれた空間に配置されている。加熱庫20は、底部200、左右の側壁部201、後壁部202及び天井部203を有している。加熱庫20の内側には、底部200、左右の側壁部201、後壁部202及び天井部203で囲まれた加熱空間が形成されている。加熱空間には、肉又は魚等の調理対象物(解凍対象物を含み得る)及び伝熱皿5からなる加熱対象物が配置される。
図3に示すように、加熱庫20の前端部には、開口部23が形成されている。加熱庫20の内部空間は、開口部23を介してケーシング10(図1参照)の前方に開放される。加熱対象物は、開口部23を通して加熱庫20に出し入れされる。
本実施形態の加熱庫20には、開口部23を開閉するグリル扉22(図1参照)と、グリル扉22を支持した支持機構21(図2)とが設けられる。支持機構21は、加熱庫20に設置されており、グリル扉22を前後方向に移動可能に支持している。支持機構21は、例えば、一対のスライドレールで構成される。グリル扉22を前後方向に移動することで、加熱庫20の開口部23はグリル扉22によって開閉される。
図2及び図3に示すように、解凍調理装置1は、伝熱皿5を備えている。伝熱皿5は、加熱庫20に収容される。加熱庫20で加熱される調理対象物は、伝熱皿5に載せられた状態で加熱庫20内に配置される。すなわち、伝熱皿5は、調理対象物受けとして機能する。本実施形態の加熱庫20で加熱される加熱対象物は、調理対象物とこれを受ける伝熱皿5とで構成される。
伝熱皿5は、金属製である。伝熱皿5は、上方に開口した浅底の容器状に形成されている。伝熱皿5は、上方から見て矩形状で水平方向に広がった板状の底板部50と、底板部50の周縁から上方に向けて突出した周壁部51とを有している。底板部50は、調理対象物が載せられる部分である。すなわち、本実施形態では、底板部50によって、調理対象物が載せられる板状の載置部が構成されている。
なお、伝熱皿5は、上方に開口した容器状の本体と、この本体の上開口部を塞ぐ蓋とで構成されてもよい。この場合、本体の底部によって載置部が構成される。また、伝熱皿5は、平板状の皿等であってもよく、この場合、伝熱皿5の全体が載置部となる。伝熱皿5には、調理対象物としての冷凍食品が載置される。伝熱皿5は、載置された調理対象物に熱を伝導させる。
本実施形態の加熱庫20には、伝熱皿5を取り外し可能に支持する支持体6が更に設けられる。支持体6は、伝熱皿5を下方から支持している。支持体6は、上方から見て枠状に形成されている。支持体6は、例えば、金属製の線材を変形させ、この線材の両端を溶接等でつなぐことによって形成される。
支持体6の前端部は、グリル扉22に着脱可能に連結されている。支持体6及び伝熱皿5は、グリル扉22と連動する。グリル扉22が図1に示すように開口部23を閉じる閉じ位置に配置されたとき、支持体6及び伝熱皿5は、加熱庫20内に配置される。利用者は、グリル扉22を閉位置より前方に動かすことで、支持体6及び伝熱皿5を、加熱庫20の開口部23よりも前方に配置することができる。
図2及び図3に示すように、解凍調理装置1は、加熱部25を備えている。加熱部25は、伝熱皿5を加熱する。本実施形態の加熱部25は、加熱庫20に配置されたガスバーナーである下バーナー250により構成される。本実施形態では、便宜上、加熱部25を第一加熱部25とする。下バーナー250は、300kcal/hの弱火と、1400kcal/hの強火と、切(すなわち0kcal/h)の三種類のいずれかの火力が選択可能である。
本実施形態では、更に、加熱庫20に第二加熱部26が設けられる。すなわち、加熱庫20には、複数のバーナーとして、第二加熱部26としての上バーナー260と、第一加熱部25としての下バーナー250とが設けられる。上バーナー260及び下バーナー250の各々は、ブンゼンバーナーである。上バーナー260は、加熱庫20の上部(詳しくは天井部203)に取り付けられている。上バーナー260は、加熱庫20内に配置された調理対象物を上方から加熱する。この場合、伝熱皿5に載せられた調理対象物は、上バーナー260からの輻射熱によって加熱される。上バーナー260は、弱火(但し下バーナー250の弱火と異なってもよい)と、弱火よりも火力の大きい強火(但し下バーナー250の強火と異なってもよい)と、切の三種類のいずれかの火力が選択可能である。
下バーナー250は、加熱庫20の下部(詳しくは底部200)に設置されている。下バーナー250は、加熱庫20内に配置された伝熱皿5(詳しくは、底板部50)を下方から加熱する。下バーナー250で生じた炎は、伝熱皿5の底板部50に当たる。この場合、伝熱皿5に載せられた調理対象物は、下バーナー250によって加熱された伝熱皿5の熱が、調理対象物に伝達することで加熱される。
加熱庫20には、図4に示すガス供給路28が設けられる。ガス供給路28は、上バーナー260及び下バーナー250に都市ガス等の燃料ガスを供給する。本実施形態のガス供給路28は、主流路280と、主流路280から分岐した一対の分岐路(後述する上バーナー用流路281及び下バーナー用流路282)とを有している。主流路280には、燃料ガスが供給される。一対の分岐路のうちの一方は、上バーナー260に通じる上バーナー用流路281であり、他方は下バーナー250に通じる下バーナー用流路282である。
解凍調理装置1は、下バーナー250及び上バーナー260の単位時間当たりの加熱量(火力)を変更する加熱量変更部27を有している。本実施形態の加熱量変更部27は、開閉弁270、上バーナー用点火プラグ271、上バーナー用火力調節部272、下バーナー用点火プラグ273及び下バーナー用火力調節部274を有している。
主流路280には、開閉弁270が設けられている。開閉弁270は、例えば、電磁弁である。開閉弁270が開いた状態で、主流路280に供給された燃料ガスは、下バーナー250及び上バーナー260に供給される。
上バーナー260には、上バーナー260を点火するための上バーナー用点火プラグ271が設置されている。下バーナー250には、下バーナー250を点火するための下バーナー用点火プラグ273が設置されている。開閉弁270が開いた状態で、上バーナー用点火プラグ271が作動することにより、上バーナー260は点火される。開閉弁270が開いた状態で、下バーナー用点火プラグ273が作動することにより、下バーナー250は点火される。開閉弁270が閉じることで、下バーナー250及び上バーナー260は、消火される。
本実施形態の上バーナー用火力調節部272は、上バーナー用流路281に設けられた電磁弁272aである。ガス供給路28は、上バーナー用流路281における電磁弁272aの上流側と下流側とを接続するバイパス路34を有している。バイパス路34の一部は、上バーナー用流路281よりも流路断面積が小さい流路35である。
上バーナー260の火力は、電磁弁272aが開閉されることにより、調節される。電磁弁272aが開いた状態では、主流路280から上バーナー用流路281に供給された燃料ガスは、電磁弁272aと流路35との両者を通過して上バーナー260に供給される。この場合、上バーナー260の火力は、「強火」になる。一方、電磁弁272aが閉じた状態では、主流路280から上バーナー用流路281に供給された燃料ガスは、電磁弁272a及び流路35のうちの流路35のみを通過して上バーナー260に供給される。この場合、上バーナー260に供給される燃料ガスの流量は、電磁弁272aが開いた状態にあるときよりも少なくなり、上バーナー260の火力は、「弱火」になる。
本実施形態の下バーナー用火力調節部274は、下バーナー用流路282に設けられた電磁弁274aである。ガス供給路28は、下バーナー用流路282における電磁弁274aの上流側と下流側とを接続するバイパス路44を有している。バイパス路44の一部は、下バーナー用流路282よりも流路断面積が小さい流路45である。
下バーナー250の火力は、電磁弁274aが開閉されることにより、調節される。電磁弁274aが開いた状態では、主流路280から下バーナー用流路282に供給された燃料ガスは、電磁弁274aと流路45との両者を通過して下バーナー250に供給される。この場合、下バーナー250の火力は、「強火」になる。一方、電磁弁274aが閉じた状態では、主流路280から下バーナー用流路282に供給された燃料ガスは、電磁弁274a及び流路45のうちの流路45のみを通過して下バーナー250に供給される。この場合、下バーナー250に供給される燃料ガスの流量は、電磁弁274aが開いた状態にあるときよりも少なくなり、下バーナー250の火力は、「弱火」になる。
上バーナー用火力調節部272及び下バーナー用火力調節部274の各々は、電磁弁272a,274aに限られない。例えば、上バーナー用火力調節部272は、上バーナー用流路281に設けられた流量制御弁であってもよい。また、下バーナー用火力調節部274は、下バーナー用流路282に設けられた流量制御弁であってもよい。また、上バーナー用火力調節部272及び下バーナー用火力調節部274の各々は、対応する下バーナー250及び上バーナー260の火力を3段階以上調節可能であってもよい。
図2及び図3に示すように、解凍調理装置1は、温度検知部46を備えている。温度検知部46は、加熱庫20に設けられる。温度検知部46は、加熱庫20に配置された伝熱皿5の底板部50の温度を検知する。温度検知部46は、下バーナー250の平面視における中央部に設置されている。温度検知部46は、加熱庫20内に配置された伝熱皿5の下方に位置する。なお、温度検知部46は、加熱庫20内に配置された伝熱皿5の側面に位置してもよく、温度検知部46の位置は限定されない。
温度検知部46は、温度検知部46の上端部に位置する検出部461を有している。検出部461は、上下方向に移動可能である。検出部461には、例えば、ばね等の付勢部材により、上方に向かう力が加えられている。
加熱庫20内に伝熱皿5が配置されたとき、検出部461は、伝熱皿5の底板部50の下面に接触する。これにより、加熱対象物(詳しくは、伝熱皿5の底板部50)の温度が、温度検知部46によって検出可能になる。
上述した各種構成を有する加熱庫20は、グリル装置として機能する。
本実施形態の解凍調理装置1は、グリル装置を操作するための操作部として、図1に示すグリル用操作部14を備えている。グリル用操作部14は、ケーシング10の前面に設けられたカンガルーポケット方式の操作部である。グリル用操作部14は、不使用時にはケーシング10内に配置され、使用時にはケーシング10から前方に突出した位置に配置される。
図示しないが、グリル用操作部14は、オートメニュー操作部と、点火消火操作部と、を有している。オートメニュー操作部は、利用者が調理モードの選択を行うために用いられる。すなわち、本実施形態では、オートメニュー操作部が、複数の調理モードの中から任意の調理モードを選択するための調理モード選択部を構成している。点火消火操作部は、利用者が、選択した調理モードによるグリル装置の自動調理の開始の指令を行うために用いられる。なお、グリル用操作部14は、例えば、ケーシング10の前面に固定的に設けられた操作パネル等であってもよい。
本実施形態のオートメニュー操作部は、調理メニューを選択するための調理メニュー選択操作部と、選択された調理メニューにおける火加減を選択するための火加減選択操作部と、を有している。すなわち、本実施形態の調理モードは、複数の調理メニューの中から選択された調理メニューと、調理メニュー毎に選択された火加減とを組み合わせたモードである。
調理メニューとしては、「トースト」、「鶏もも焼き」、「ホイル焼き」、「魚の切り身」、「魚の姿焼き」等に加え、後述する「解凍」及び「解凍調理」が選択可能である。なお、調理メニューとしては、「解凍」及び「解凍調理」が選択可能であるが、その他の「トースト」等の調理メニューについては上述した調理メニューに限定されない。
図5に示すように、解凍調理装置1は、制御部16を備えている。制御部16は、例えば、マイクロコンピューターで構成される。制御部16は、加熱量変更部27に電気的に接続されている。すなわち、制御部16は、開閉弁270、上バーナー用点火プラグ271、上バーナー用火力調節部272(電磁弁272a)、下バーナー用点火プラグ273及び下バーナー用火力調節部274(電磁弁274a)に、電気的に接続されている。また、制御部16は、温度検知部46、グリル用操作部14及びこんろ用操作部15にも、電気的に接続されている。
制御部16は、第一加熱部25における加熱条件を制御する。ここで、加熱部25における加熱条件とは、加熱部25における点火(燃焼の開始)、消火(燃焼の停止)及び火力の調節である。本実施形態では、第一加熱部25及び第二加熱部26における加熱条件を制御する。
利用者は、グリル装置によって自動調理を行うとき、まず、加熱庫20内に加熱対象物を配置する。次に利用者は、オートメニュー操作部の調理メニュー選択操作部を操作して、調理メニューを選択する。利用者は、この後、オートメニュー操作部の火加減選択操作部を操作して、選択された調理メニューにおける火加減を選択する。これにより、複数の調理モードの中から任意の調理モードが決定される。次に、利用者は、点火消火操作部を操作して自動調理の開始の指令を行う。
制御部16は、グリル用操作部14から自動調理の開始の指令を受けたとき、調理モード毎に設定された複数の制御条件の中から、選択された調理モードに対応する制御条件を決定し、この制御条件と、温度検知部46で検知した検知温度とに基づいて、加熱量変更部27を自動で制御する。このようにして、調理モードに応じた自動調理が実行される。
自動調理では、加熱量変更部27が制御部16によって制御され、これにより、調理モード毎に設定された自動調理工程が実行される。
以下、調理モードのうち、「解凍」(以下、解凍モードとする)を実行する場合について説明する。
解凍モードは、冷凍食品を解凍しようとする場合に使用する調理モードである。解凍モードにより解凍される冷凍食品は、食品業者が販売している、一旦食べられる状態に調理した調理物を冷凍しておき、解凍するだけで食べられる状態となる冷凍食品であってもよい。また、解凍モードにより解凍される冷凍食品は、調理前の生の食材を冷凍して長期保存を可能とした冷凍食品であってもよく、解凍モードにより解凍される冷凍食品は、特に限定されない。
利用者は、解凍調理装置1によって自動調理を行うとき、まず、加熱庫20内に解凍対象物としての冷凍食品を配置する。冷凍食品は、伝熱皿5に載置された状態で、伝熱皿5ごと加熱庫20内に配置される。
次に利用者は、オートメニュー操作部の調理メニュー選択操作部を操作して、調理メニューとして「解凍」を選択する。また、オートメニュー操作部は、調理メニュー選択操作部と火加減選択操作部とに加えて、時間設定操作部を有している。利用者は、調理メニューとして「解凍」を選択した後、オートメニュー操作部の時間設定操作部を操作して、解凍モードを行う時間を選択して入力する。本実施形態では、解凍モードを行う時間は、15分、16分、・・・、29分、30分の16段階で入力可能である。調理メニュー選択操作部を操作して「解凍」を選択し、かつ、時間設定操作部を操作して、解凍モードを行う時間を選択して入力することにより、解凍モードが決定する。次に、利用者は、点火消火操作部を操作して、解凍モードの開始の指令を行う。
解凍モードにおいては、制御部16は、解凍工程と、蒸らし工程と、を実行する。解凍工程においては、温度検知部46により検知される検知温度が、調理対象物に焦げが発生しやすい所定の焦げ付き温度未満を維持するように制御される。ここで、所定の焦げ付き温度は、食品に焦げが発生しやすい温度である。食品は、経験的に、150℃〜170℃で食品に焦げが発生しやすいことが分かっている。本実施形態では、焦げ付き温度は、150℃として設定される。なお、焦げ付き温度は、150℃に限定されない。
更に、解凍工程においては、温度検知部46により検知される検知温度が焦げ付き温度に近づくように第一加熱部25が制御される。制御部16は、検知温度が焦げ付き温度(150℃)より所定温度低い温度(例えば149℃、147℃、145℃等であり、特に限定されない)に達すると、解凍工程を終了する。また、制御部16は、検知温度が焦げ付き温度より所定温度低い温度に達しなくても、解凍工程を開始してから所定の解凍時間が経過した時に、解凍工程を終了してもよい。また、制御部16は、更に他の条件を満たした時に、解凍工程を終了してもよく、解凍工程を終了する条件は特に限定されない。
解凍工程の後、蒸らし工程が実行される。蒸らし工程は、解凍工程の後、第一加熱部25による加熱を停止させて、第一加熱部25による加熱の停止を所定時間継続させる工程である。所定時間は、予め定められる360秒等の時間であるが、特に限定されない。また、所定時間は、予め定められる固定的な時間ではなく、検知温度が100℃等の所定の蒸らし終了温度にまで低下した時に、蒸らし工程を終了してもよい。蒸らし工程においては、第一加熱部25及び第二加熱部26による加熱が禁止される。
図6に、解凍例1における温度検知部46により検知される検知温度のタイムチャートを示す。解凍例1では、ブリの切り身一切れを家庭用冷凍庫にて冷凍しておいたものが、解凍対象物である。
利用者は、ブリの切り身一切れを伝熱皿5に載置した状態で、伝熱皿5ごと加熱庫20内に配置する。次に利用者は、調理メニュー選択操作部を操作して調理メニューとして「解凍」を選択し、時間設定操作部を操作して、解凍モードを行う時間として13分を入力する。なお、解凍モードを行う時間は、解凍対象物の種類(鶏肉、アジ、ブリ、サンマ等の魚、牛肉等)と、解凍対象物の重量とにより、決められる。予め、解凍対象物の種類及び解凍対象物の重量のおおまかな組み合わせ毎に、解凍モードを行う時間を算出したテーブルが用意されており、利用者は、このテーブルから最適の解凍モードを行う時間を選択する。
次に、利用者は、点火消火操作部を操作して、解凍モードの開始の指令を行う。解凍モードが開始されると、まず、解凍工程が実行される。解凍工程では、上バーナー260は切となり、下バーナー250のみにより加熱が行われる。下バーナー250は、0でない最小火力である弱火(300kcal/h)で加熱を行う。これにより、解凍対象物の表面の温度と内部の温度との差が大きくなりにくい。
解凍モードの開始から420秒経過時に、検知温度が焦げ付き温度(150℃)より所定温度低い温度(145℃)に到達し、制御部16は、解凍工程を終了させた。
その後、蒸らし工程が開始され、第一加熱部25による加熱が停止した。蒸らし工程は、360秒継続されて、解凍モードの開始から780秒経過時に、蒸らし工程及び解凍モードが終了した。
このような解凍モードにあっては、解凍工程において、温度検知部46により検知される検知温度が、解凍対象物に焦げが発生しやすい所定の焦げ付き温度未満を維持する。これにより、解凍工程により解凍された解凍対象物の表面に、焦げが発生しにくい。
また、解凍工程の後、蒸らし工程が行われるため、解凍された解凍対象物の表面の温度と内部の温度との差を小さくしやすい。更に、解凍例1では、解凍工程において、第一加熱部25における0でない最小火力(弱火)で加熱を行うため、より一層、解凍対象物の表面の温度と内部の温度との差が大きくなりにくい。
図7に、解凍例2における温度検知部46により検知される検知温度のタイムチャートを示す。解凍例2では、鶏肉の切り身二切れを家庭用冷凍庫にて冷凍しておいたものが、解凍対象物である。
利用者は、鶏肉の切り身二切れを伝熱皿5に載置した状態で、伝熱皿5ごと加熱庫20内に配置する。次に利用者は、調理メニュー選択操作部を操作して調理メニューとして「解凍」を選択し、時間設定操作部を操作して、解凍モードを行う時間として21分を入力する。
次に、利用者は、点火消火操作部を操作して、解凍モードの開始の指令を行う。解凍モードが開始されると、まず、解凍工程が実行される。解凍工程では、上バーナー260は強火で、下バーナー250は弱火で加熱を行う。
解凍例2では、制御部16は、解凍工程において、温度維持工程を実行する。温度維持工程では、検知温度が所定の温度範囲を維持するように、第一加熱部25が制御される。
更に、解凍例2では、温度維持工程は、第一温度維持工程と、第二温度維持工程と、を有する。第一温度維持工程は、検知温度が、所定の温度範囲としての第一温度範囲を維持するように、第一加熱部25が制御される工程である。解凍例2では、第一温度範囲は、125℃以上でかつ135℃以下の温度範囲である。
なお、第一温度維持工程においては、第一温度維持工程の開始から終了の全期間にわたって、検知温度が第一温度範囲内に維持されなくてもよい。すなわち、検知温度が第一温度範囲内にない時に、第一温度維持工程が開始されてもよい。また、第一温度維持工程の終了時には、検知温度が第一温度範囲内に維持されるように第一加熱部25が制御されるが、第一温度維持工程の終了時に、結果的に検知温度が第一温度範囲内に維持されない場合があってもよい。
第二温度維持工程は、第一温度維持工程の後、検知温度が、所定の温度範囲として、第一温度範囲よりも高い第二温度範囲を維持するように、第一加熱部25が制御される工程である。解凍例2では、第二温度範囲は、140℃以上でかつ150℃未満の温度範囲である。
なお、第二温度維持工程においても、第二温度維持工程の開始から終了の全期間にわたって、検知温度が第二温度範囲内に維持されなくてもよい。すなわち、検知温度が第二温度範囲内にない時に、第二温度維持工程が開始されてもよい。また、第二温度維持工程の終了時には、検知温度が第二温度範囲内に維持されるように第一加熱部25が制御されるが、第二温度維持工程の終了時に、結果的に検知温度が第二温度範囲内に維持されない場合があってもよい。
図7に示すように、解凍モードの開始から420秒経過時に、第一温度維持工程が開始された。第一温度維持工程では、上バーナー260は強火で加熱を行う。また、下バーナー250は、検知温度を基に、強火の入/切制御、弱火の入/切制御又は強火と弱火の切替制御による火力の制御が行われる。第一温度維持工程の開始時は、検知温度は85℃であり、下バーナー250は強火で加熱を行う。解凍モードの開始から560秒経過時(第一温度維持工程の開始から140秒経過時)に、検知温度が、第一温度範囲の下限である125℃に到達し、下バーナー250の火力は弱火に切り替えられた。
解凍モードの開始から720秒経過時(第一温度維持工程の開始から300秒経過時)に、第一温度維持工程が終了し、第二温度維持工程が開始された。第二温度維持工程でも、第一温度維持工程と同様に、上バーナー260は強火で加熱を行う。また、下バーナー250も、第一温度維持工程と同様に、検知温度を基に、強火の入/切制御、弱火の入/切制御又は強火と弱火の切替制御による火力の制御が行われる。第二温度維持工程の開始時は、検知温度は130℃であり、下バーナー250は強火で加熱を行う。解凍モードの開始から960秒経過時(第二温度維持工程の開始から240秒経過時)に、第一温度維持工程及び解凍工程が終了した。
その後、蒸らし工程が開始され、第一加熱部25及び第二加熱部26による加熱が停止した。蒸らし工程は、280秒継続されて、解凍モードの開始から1240秒経過時に、蒸らし工程及び解凍モードが終了した。
この解凍例2にあっても、解凍工程において、温度検知部46により検知される検知温度が、解凍対象物に焦げが発生しやすい所定の焦げ付き温度未満を維持する。これにより、解凍工程により解凍された解凍対象物の表面に、焦げが発生しにくい。また、解凍工程の後、蒸らし工程が行われるため、解凍された解凍対象物の表面の温度と内部の温度との差を小さくしやすい。
また、解凍例2にあっては、解凍工程において温度維持工程が実行されるため、解凍対象物における急激な温度の上昇が抑制され、より一層、解凍対象物の表面の温度と内部の温度との差を小さくしやすい。加えて、温度維持工程が、第一温度維持工程と第二温度維持工程とに細分化されているため、更に、解凍対象物の表面の温度と内部の温度との差を小さくしやすい。
図8に、解凍例3における温度検知部46により検知される検知温度のタイムチャートを示す。解凍例3では、鶏肉の切り身二切れを家庭用冷凍庫にて冷凍しておいたものが、解凍対象物である。解凍例3では、制御部16は、蒸らし工程の後、第一加熱部25による加熱を開始して、検知温度が焦げ付き温度以上となるように第一加熱部25が制御される加熱調理工程を実行する。解凍調理モードでは、制御部16は、上述した解凍モードに続けて、加熱調理工程(調理モード)を実行する。
利用者は、鶏肉の切り身二切れを伝熱皿5に載置した状態で、伝熱皿5ごと加熱庫20内に配置する。次に利用者は、調理メニュー選択操作部を操作して調理メニューとして「解凍調理」を選択し、時間設定操作部を操作して、解凍モードを行う時間として20分を入力する。また、利用者は、調理メニュー選択操作部を操作して、加熱調理工程で実行する調理メニュー「鶏もも焼き」を選択し、火加減選択操作部を操作して火加減を選択する。
次に、利用者は、点火消火操作部を操作して、解凍調理モードの開始の指令を行う。解凍調理モードが開始されると、まず、解凍工程が実行される。解凍工程では、上バーナー260は強火で、下バーナー250は弱火で加熱を行う。
解凍例3では、制御部16は、解凍工程において、温度維持工程を実行する。温度維持工程は、第一温度維持工程と、第二温度維持工程と、第三温度維持工程と、を有する。第一温度維持工程は、検知温度が、126℃以上でかつ130℃未満の範囲である第一温度範囲を維持するように、第一加熱部25が制御される工程である。第二温度維持工程は、検知温度が、136℃以上でかつ140℃未満の範囲である第二温度範囲を維持するように、第一加熱部25が制御される工程である。第三温度維持工程は、検知温度が、146℃以上でかつ150℃未満の範囲である第三温度範囲を維持するように、第一加熱部25が制御される工程である。
なお、第一温度維持工程〜第三温度維持工程の各工程においては、各工程の開始から終了の全期間にわたって、検知温度が第一温度範囲内に維持されなくてもよい。
図8に示すように、解凍モードの開始から420秒経過時に、第一温度維持工程が開始された。第一温度維持工程では、上バーナー260は強火で加熱を行う。また、下バーナー250は、検知温度を基に、強火の入/切制御、弱火の入/切制御又は強火と弱火の切替制御による火力の制御が行われる。第一温度維持工程の開始時は、検知温度は120℃であり、下バーナー250は強火で加熱を行う。解凍モードの開始から600秒経過時(第一温度維持工程の開始から180秒経過時)に、第一温度維持工程が終了し、第二温度維持工程が開始された。
第二温度維持工程でも、第一温度維持工程と同様に、上バーナー260は強火で加熱を行う。また、下バーナー250も、第一温度維持工程と同様に、検知温度を基に、強火の入/切制御、弱火の入/切制御又は強火と弱火の切替制御による火力の制御が行われる。第二温度維持工程の開始時は、下バーナー250は強火で加熱を行う。解凍モードの開始から720秒経過時(第二温度維持工程の開始から120秒経過時)に、第二温度維持工程が終了し、第三温度維持工程が開始された。
第三温度維持工程でも、第二温度維持工程と同様に、上バーナー260は強火で加熱を行う。また、下バーナー250も、第二温度維持工程と同様に、検知温度を基に、強火の入/切制御、弱火の入/切制御又は強火と弱火の切替制御による火力の制御が行われる。第三温度維持工程の開始時は、下バーナー250は強火で加熱を行う。解凍モードの開始から840秒経過時(第三温度維持工程の開始から120秒経過時)に、第三温度維持工程及び解凍工程が終了した。
その後、蒸らし工程が開始され、第一加熱部25及び第二加熱部26による加熱が停止した。蒸らし工程は、360秒継続されて、解凍モードの開始から1200秒経過時に、蒸らし工程及び解凍モードが終了した。
続いて、制御部16は、加熱調理工程(調理モード)を実行する。解凍例3にあっては、選択した火加減で調理メニュー「鶏もも焼き」を行う調理モードが実行されるが、調理モードは限定されない。
この解凍例3にあっても、解凍工程において、温度検知部46により検知される検知温度が、解凍対象物に焦げが発生しやすい所定の焦げ付き温度未満を維持する。これにより、解凍工程により解凍された解凍対象物の表面に、焦げが発生しにくい。また、解凍工程の後、蒸らし工程が行われるため、解凍された解凍対象物の表面の温度と内部の温度との差が小さい。
また、解凍例3にあっては、解凍工程において温度維持工程が実行されるため、解凍対象物における急激な温度の上昇が抑制され、より一層、解凍対象物の表面の温度と内部の温度との差が大きくなりにくい。加えて、温度維持工程が、第一温度維持工程〜第三温度維持工程に細分化されているため、更に、解凍対象物の表面の温度と内部の温度との差が大きくなりにくい。
更に、解凍例3にあっては、蒸らし工程に続けて加熱調理工程が実行される。利用者は、解凍のための操作と加熱調理のための操作をまとめて行うことができ、解凍のための操作を行って解凍が終了した後、加熱調理のための操作を行うという、時間をあけた二度の操作が不要となり、利便性が向上する。
なお、温度維持工程は、第一温度維持工程のみであってもよいし、第四温度維持工程、第五温度維持工程、・・・、第n温度維持工程(但しnは自然数)まで有するものであってもよく、限定されない。
また、蒸らし工程において、第一加熱部25及び第二加熱部26による加熱が禁止されず、小さい火力で第一加熱部25又は第二加熱部26による加熱が行われてもよい。
(3)態様
以上、述べた実施形態から明らかなように、第1の態様の解凍調理装置(1)は、加熱庫(20)と、伝熱皿(5)と、加熱部(25)と、温度検知部(46)と、制御部(16)と、を備える。伝熱皿(5)は、加熱庫(20)に収容され、解凍対象物としての冷凍食品が載置されて解凍対象物に熱を伝導させる。加熱部(25)は、伝熱皿(5)を加熱する。温度検知部(46)は、伝熱皿(5)の温度を検知する。制御部(16)は、加熱部(25)における加熱条件を制御する。制御部(16)は、解凍工程と、蒸らし工程と、を実行する。解凍工程は、温度検知部(46)により検知される検知温度が、解凍対象物に焦げが発生しやすい所定の焦げ付き温度未満を維持し、かつ、検知温度が焦げ付き温度に近づくように加熱部(25)が制御される工程である。蒸らし工程は、解凍工程の後、加熱部(25)による加熱を停止して、加熱部(25)による加熱の停止が所定時間継続される工程である。
第1の態様によれば、解凍工程において、温度検知部(46)により検知される検知温度が、解凍対象物に焦げが発生しやすい所定の焦げ付き温度未満を維持する。これにより、解凍工程により解凍された解凍対象物の表面に、焦げが発生しにくい。また、解凍工程の後、蒸らし工程が行われるため、解凍された解凍対象物の表面の温度と内部の温度との差を小さくしやすい。
第2の態様では、第1の態様との組み合わせにより実現され得る。第2の態様では、制御部(16)は、解凍工程において、加熱部(25)が0でない最小火力で加熱を行うように制御する。
第2の態様によれば、解凍対象物の表面の温度と内部の温度との差を小さくしやすい。
第3の態様では、第1又は第2の態様との組み合わせにより実現され得る。第3の態様では、制御部(16)は、解凍工程において、検知温度が所定の温度範囲を維持するように加熱部(25)が制御される温度維持工程を実行する。
第3の態様によれば、解凍対象物における急激な温度の上昇が抑制され、より一層、解凍対象物の表面の温度と内部の温度との差を小さくしやすい。
第4の態様では、第1〜第3のいずれかの態様との組み合わせにより実現され得る。第4の態様では、温度維持工程は、第一温度維持工程と、第二温度維持工程と、を有する。第一温度維持工程は、検知温度が第一温度範囲を維持するように加熱部(25)が制御される工程である。第二温度維持工程は、第一温度維持工程の後、検知温度が第一温度範囲よりも高い第二温度範囲を維持するように加熱部(25)が制御される工程である。
第4の態様によれば、温度維持工程が、第一温度維持工程と第二温度維持工程とに細分化されているため、より一層、解凍対象物の表面の温度と内部の温度との差を小さくしやすい。
第5の態様では、第1〜第4のいずれかの態様との組み合わせにより実現され得る。第5の態様では、制御部(16)は、蒸らし工程の後、加熱調理工程を実行する。加熱調理工程は、加熱部(25)による加熱を開始して、検知温度が焦げ付き温度以上となるように加熱部(25)が制御される工程である。
第5の態様によれば、利用者は、解凍のための操作と加熱調理のための操作をまとめて行うことができる。
第6の態様では、第1〜第5のいずれかの態様との組み合わせにより実現され得る。第6の態様では、加熱部(25)がガスバーナー(下バーナー(250))である。
第6の態様によれば、ガス燃焼器を有する解凍調理装置(1)において、解凍された解凍対象物の表面に焦げが発生しにくく、解凍された解凍対象物の表面の温度と内部の温度との差を小さくしやすい。