JP2020180043A - フレキシブル薄型ガラスにおいてアール部を切断する方法および装置 - Google Patents

フレキシブル薄型ガラスにおいてアール部を切断する方法および装置 Download PDF

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Abstract

【課題】フレキシブル薄型ガラスにおいてアール部を切断する方法を提供する。【解決手段】厚さ約0.2mm以下のガラスシートを支持し、半径約20mm未満の少なくとも1つの非直線部分を有する切断ラインを画成し、レーザビーム60がラインセグメント14、16、18の1つから次の1つへと移動するときに、切断ラインが真っ直ぐであるときのレーザビームの出力レベルおよび/または移動のスピードが切断ラインが湾曲しているときと比較して少なくとも約10%高くなるように変化させることにより、切断ラインの非直線部分を連続した複数のラインセグメントに分割する。【選択図】図2

Description

関連出願の説明
本出願は、その内容が引用されその全体が参照することにより本書に組み込まれる、2014年2月20日に出願された米国仮特許出願第61/942309号の優先権の利益を主張するものである。
本開示は、フレキシブル薄型ガラスにアール部を切り込む方法および装置に関する。
フレキシブルプラスチック基板を切断するための従来の製造技術は既に開発されており、このプラスチック基板は、1以上のポリマー膜を積層したプラスチックベースの材料を採用している。この積層構造は、主にこれが比較的低コストであることと、その明らかな性能のために、光起電(PV)装置、有機発光ダイオード(OLED)、液晶ディスプレイ(LCD)、およびパターン形成された薄膜トランジスタ(TFT)エレクトロニクスに関連する、フレキシブルパッケージングで一般に用いられる。
前述のフレキシブルプラスチック基板は広く使用されてきたが、それでもなお、少なくとも水分バリアの提供および極薄構造の提供に関しては、不十分な特性を呈するものである(実際にその構造は、プラスチック材料の性質によって比較的厚い)。
従って当技術では、例えばPV装置、OLED装置、LCD、TFTエレクトロニクス等において使用されるフレキシブル基板を製造するための新しい方法および装置が、特に基板が水分バリアを提供すべきであり、また少なくとも1つのアール部を角部に有する形状へと基板が成形される場合に必要である。
本開示は、比較的薄いフレキシブルガラスシート(約0.2mm未満程度)を採用し、かつガラスシートを少なくとも1つのアール部を有する形状(自由な形の形状など)に切断するものに関する。
フレキシブルガラス基板は、今日使用されている既存のフレキシブルプラスチック基板を超える、いくつかの技術的利点を提供する。1つの技術的利点は、電子機器の屋外用途での主要な劣化機構である水分または気体バリアとして優れた役割を果たす、ガラス基板の能力である。別の利点は、最終的な製品の全体のパッケージサイズ(厚さ)および重量を、パッケージ基板の1以上の層を削減または排除することによって減少させる、フレキシブルガラス基板の潜在能力である。より薄いフレキシブル基板(厚さ約0.2mm未満程度)に対する需要が電子ディスプレイ産業において増加しているため、製造業者は適切なフレキシブル基板を提供するためのいくつかの課題に直面している。
極薄ガラスウェブ、例えば厚さ約0.2mm未満と測定されるガラスウェブを、連続的に切断する技術は存在しているが、このような技術は一般に、特定の幅の真っ直ぐなストリップへのガラスウェブの切断を対象にしている。
PV装置、OLED装置、LCD、TFTエレクトロニクス等に用いられるフレキシブルガラス基板の製造における重要な課題は、比較的大型の薄型ガラスシート源を、種々の寸法および形状を有するより小さい個別の基板へと、厳しい寸法公差、優れたエッジ品質、および高エッジ強度で切断することである。実際に望ましい製造要件は、ガラスシート源からガラス部分を、少なくともいくつかの丸みを帯びた区域(例えば、少なくとも1つの丸みを帯びた角部)を含む切断ラインを遮ることなく、連続的に切断することである。不規則な(自由な形の)形状を連続切断するための既存の機械的技術は、(罫書きホイールでの)罫書きと機械的割断(または折割)とを提供するが、こういった機械的技術により達成されるエッジ品質および強度は、精密さおよび/または高エッジ強度が要求される多くの用途にとって不十分である。実際に機械的罫書きおよび割断による手法は、ガラス粒子および製造不良を生じさせ、これにより製造工程の歩留まりが減少し、製造サイクル時間が増加する。
本書における1以上の実施形態によれば、薄型ガラスシートを、少なくとも1つの丸みを帯びた角部または丸みを帯びた部分を有する、自由な形の形状に切断するために、レーザ切断技術が採用される。レーザを用いるガラス切断技術は既知であるが、こういった技術は一般に、少なくとも0.4mm以上の厚さを有するガラスシートの切断を対象にしたものであり、またその一技術では、レーザ罫書きと続く機械的割断(罫書きおよび折割)を用いる。特に、要求される製造目標が厳しい寸法公差および高エッジ強度である場合、厚さ約0.2mm未満の(および数十μmしかないロール形式の)薄型フレキシブルガラスの切断は重要な課題を提起する。厚さ約0.2mm未満のガラスシートでは、従来のレーザ罫書きおよび機械的割断プロセスは、確実な採用はほぼ不可能である。実際に、約0.2mm未満のガラスシートは比較的薄い外形のためシートの剛性が非常に低く(すなわちシートは柔軟であり)、熱座屈、機械的変形、気流、内部応力、ガラスの反り、および多くの他の因子によって、レーザ罫書きおよび折割切断プロセスは容易に悪影響を受ける。従来の切断プロセス後に、エッジのマクロ亀裂を除去し、エッジ強度を向上させるためには、切断エッジを精密研磨して、さらなる亀裂および不良を回避しなければならない。これにより、製造コストが増加し、また歩留まりが低下する。
対照的に本書における実施形態は、ガラスシート源から自由な形の形状が得られる一工程の連続的な完全分離プロセスによって自由な形の形状の薄型フレキシブルガラスをもたらす、レーザ切断技術を示す。重要なことは、この切断技術によって、アール部沿いでも高エッジ強度が得られる(少なくとも約150MPa超)ことである。
新たな方法論および装置は、レーザ(例えばCO2レーザビーム)と同時に冷却流体(例えば、空気などの気体)を提供することによって、ガラスシート源において開始傷、例えば亀裂の、伝播を実現する。この方法論および装置は、厚さが約0.2mm未満、例えば約0.02mmから0.2mmの間、約0.05mmから0.2mmの間、および/または約0.1mmから0.2mmの間の、薄型および極薄ガラスシートに適用可能である。特に、より薄いガラスシートの切断も可能であり、より厚いガラスシート(すなわち、約0.2mm超)の切断も可能である。
本書における実施形態の利点としては、(i)(ハックルおよび欠けなどの)亀裂伝播欠陥の減少と、それによる粒子発生の減少、(ii)(接触のない、一工程のプロセスに起因する)表面の引っ掻き傷の減少、エッジ強度の向上、および表面粗さの減少、(iii)製造歩留まりの増加(機械的折割、およびその結果得られる望ましくない亀裂および破損の排除)、(iv)約2mm程度の小さい曲率半径など、自由な形の切断の最適化、(v)(容易に欠ける鋭利なエッジを有するスクライブされたガラスに比較して、構造に少なくとも1つの丸みを帯びたエッジを追加することによる)ガラス基板の強度の増加、(vi)仕上げ(研削および研磨)の必要性の排除、(vii)製造コストの低減、(viii)切断エッジの(強度の向上など)品質の向上、(ix)(薄型ガラスで制御することが非常に困難な、罫書きによる亀裂に比較して、熱的に制御された亀裂の伝播による)切断プロセスの制御の向上、(x)(約0.5mm超の厚さに対してのみよく適応し厚さ約0.5mm未満のガラスにおいて経験する厚さの差にはうまく適応しない、スクライビングに比較して、レーザ分離の使用による)(薄型ガラスのガラス厚さの差への適応の向上など)プロセスの能力の向上、(xi)切断設備の簡素化(レーザ設備は商用ベンダーから容易に入手し得るため)、(xii)切断の選択肢の改善(例えば切断の開始が、エッジからだけではなく、ガラスシート源上の任意の位置で可能になる)、(xiii)切断結果の改善、例えばレーザ切断の完了時点でガラスシート源からの完全な分離を可能にする(ガラスシート源の不用な区域を割ってガラス基板から外すときに1以上の中間ステップを必要とし、それによりさらなる応力がガラスにもたらされる、罫書きとは対照的)、(ixx)(ガラスエッジ内および/またはガラス表面上に汚染を埋め込むことがある、機械的罫書きに比較して)エッジ汚染の減少および/または排除、(xx)切断精度および一貫性の向上、および(xxi)横割れの排除(その部分全体の部品強度と平均寿命を増加させ、それにより当技術における要求を満たす、レーザ切断エッジに起因)が挙げられる。
他の態様、特徴、および利点は、本書の説明と共に添付の図面から当業者には明らかであろう。
説明のために図面には現在好ましい形を示すが、本書で開示および説明される実施形態は、図示の正確な配置および手段に限定されないことを理解されたい。
本書で開示される1以上の切断方法論および装置を用いて生成される、薄型ガラス基板の上面図 図1のガラス基板が生成され得るガラスシート源の上面図 ガラスシートからガラス基板を切断するために使用され得る装置の概略図 従来のレーザ切断方法論を用いた、所与の半径の切断エッジの上面図のデジタル画像 従来のレーザ切断方法論を用いた、所与の半径の切断エッジの側面図のデジタル画像 本書における1以上の実施形態の切断方法論を用いた、所与の半径の切断エッジの上面図のデジタル画像 本書における1以上の実施形態の切断方法論を用いた、所与の半径の切断エッジの側面図のデジタル画像 ガラス基板の(アール部を有する)切断エッジのエッジ強度を試験するための、セットアップの前面を示した概略図 ガラス基板の(アール部を有する)切断エッジのエッジ強度を試験するための、セットアップの側面を示した概略図 図6A〜6Bの試験セットアップから得られた、鏡面仕上げ半径(mirror finish radius)の一例を示している、ガラス基板の切断エッジのデジタル画像 本書における1以上の実施形態の方法論を用いた極めて高いエッジ強度を示している、(アール部を有するエッジの)エッジ強度のワイブルプロット
図面を参照すると、図1には、本書で開示される1以上の切断方法論および装置を用いて生成される、薄型ガラス基板10の上面図が示されている。図面では、同様の要素を同じ番号で示す。ガラス基板10のいくつかの特性は、本書の開示を検討する際に重要である。第1に、ガラス基板10(およびガラス基板10が切断されるガラスシート源)は薄型および/または極薄であり、その厚さは約0.2mm未満、例えば約0.01mmから0.2mmの間、約0.05mmから0.2mmの間、および/または約0.1mmから約0.2mmの間である。これらの厚さが好適であると考えられるが、ガラス基板10はこの述べた範囲よりも薄いおよび/または厚いものでもよい。第2にガラス基板10は、任意の位置に最小で約2mmから最大約20mmまでの1以上の曲率半径を有する例えば少なくとも1つの湾曲部分を含む、自由な形の形状であると考えられる。例えば、図示のガラス基板10は4つの丸みを帯びた角部を備えているが、例えば丸みを帯びた角部、鋭利な角部、真っ直ぐな面取りした角部等を混合して有する、任意の他の形状を採用することができる。第3に、湾曲した部分のエッジ強度は、例えば約150MPa超、約200MPa超、約300MPa超、および/または約400MPa超など、非常に高い。
ここで図2を参照するが、この図は、図1のガラス基板10を生成することができるガラスシート源20の上面図である。本書で開示される新たな方法論および装置は、レーザ(例えばCO2レーザビーム)を使用し、かつ同時に冷却流体(例えば、空気などの気体)を提供することで、ガラスシート源の開始傷、例えば亀裂を伝播させることによって、ガラス基板10の切断を実現する。一般にこの手順は、ガラスシート20からガラス基板10を分離させるべく、ガラスシート源20に所望の切断ラインに沿った制御された亀裂の伝播をもたらす。亀裂の開始、伝播、および終了を実行するためのこの方法論および装置のより詳細な議論は、本説明において後に提供する。
プロセスの最初の段階としては、(前述した厚さの)ガラスシート源20を適切な支持構造(本書で後により詳細に論じる)で支持し、さらにガラス基板10の所望の最終形状を囲む、閉じたパターンを規定する自由な形の切断ライン(図2の点線)を画成する。当業者は、この自由な形の切断ラインの具体的な形状が、ガラス基板10の具体的な意図されている用途に大きく依存することを理解するであろう。例えば図示の切断ラインは閉じた曲線であるが、これは必ずしもそうである必要はない。実際に代わりの切断ラインは、1以上の湾曲した区域と、ガラスシート20のいくつかの元のエッジ部分を含む1以上の他の区域とを含み得る。この事例において切断ラインは、ガラスシート20の元のエッジ部分の1以上に交わり得、そのためガラス基板10はこのエッジ部分を含み得る。
切断ラインの画成に関連する重要な態様が、その1つの丸みを帯びた部分12の拡大図に示されている。特に、非直線的な丸みを帯びた部分12の半径は約20mm未満(約1mmから約20mmの間など)であり、また丸みを帯びた部分12は、複数の連続したラインセグメント14、16、18等に分割される。ラインセグメント14、16、18は同じ長さのものでもよいし、または異なった長さのものでもよい。本書で後により詳細に論じるが、これらのラインセグメント14、16、18は、レーザビームがラインセグメントの1つからラインセグメントの次の1つへと移動するときに1以上の切断パラメータを変化させる、切断ラインの部分を表す。
切断ラインの開始および/または終了に対し、いくつかの選択肢が存在する。例えば1つの選択肢は切断ラインの開始および終了が同位置のものであり、それにより切断ラインは、ガラス基板10の所望の輪郭と完全に一致する。あるいは切断ラインの開始点は切断ラインの終了点と異なっていてもよい。例えば切断ラインの開始および/または終了は、ガラスシート20の夫々エッジの位置でもよい(これらのエッジは切断ラインと合致しない)。最初の亀裂(または破断、または開始傷)が、切断ラインの開始位置で、特にガラスシート20上の短い長さに亘って(例えば、約5mmから10mmの長さ)提供される。続いてこの最初の亀裂を、前述のレーザ切断技術を用いて伸ばし伝播させる。一般に最初の亀裂の位置でガラスシート20に、機械的な罫書き機器、例えば罫書きホイールを用いて、あるいはレーザに基づく亀裂開始技術で罫書きする。亀裂の開始および続く伝播の意義を理解するために、レーザ切断技術のより詳細な議論を最初に提供する。
レーザビームを用いてガラスシート20の局所的エリアを加熱し、さらに結果的に生じる温度勾配により過渡引張応力を生じさせるべく、冷却流体源を用いてそのエリアを急速冷却する。前述の最初の亀裂は、ガラスシート20の表面に小さい最初の傷を生じさせることによって生成され、この最初の傷を次いで、その局所的ゾーンをレーザで加熱しさらにそのゾーンを冷却流体により生じる急冷作用で冷却することで伝播させて、割れ目(亀裂)へと変形させる。このプロセスの際に生成される引張応力σは、α×E×ΔTに比例し、ここでαはガラスシート20の線熱膨張係数、Eはガラスシート20の弾性係数、そしてΔTは(レーザによる)加熱と(流体による)冷却とによって生まれる、ガラスシート20の表面上の温度差である。引張応力は、ガラスシート20の分子結合よりも高くなるように制御される。所与のα×Eに対し、引張応力σは、ガラスシート20をレーザによってより高温へと加熱することによって増加させることができる。ただしガラスシート20を(その歪点を超えて)過度に加熱すると、アブレーションおよび不可逆の高残留応力を引き起こすことになり、これが切断エッジの品質を悪化させ、エッジの強度を低下させる。この説明した方法は、割れ目の深さがガラスの厚さに等しい、フルボディガラス分離(切断)を用いる。
ここで図2および図3を参照するが、図3は、ガラスシート20からガラス基板10を切断するために使用され得る装置100の概略図である。ガラスシート20は、(本書で後により詳細に説明する)支持構造102を用いて支持することができる。例としてレーザビーム60は、レーザエネルギー源64と、折返し光学素子66と、集束光学素子68とを用いて実現され得る。当業者は、固有の光学素子の実装に多くの変形が存在することを理解するであろう。最初の亀裂の位置で始まるガラスシート20へのレーザビーム60の適用により、亀裂の伝播が開始される。レーザビーム60をガラスシート20に対し切断ラインに沿って連続的に移動させると、切断ラインの位置でガラスシート20の温度が上昇する。この切断ラインに沿ってガラスシート20に前述の引張応力を誘起し亀裂(すなわち、破断または割れ目)を伝播させるために、冷却流体62がガラスシート20に温度差を引き起こすよう、レーザビーム60に関連付けて冷却流体62を(ノズル70を用いて)同時に適用する。ガラスシート20に対するレーザビーム60およびノズルの移動は、任意の既知の搬送機構を通じて達成され得る。
湾曲した自由な形のレーザ切断は、実質上円形のレーザビーム60を、(冷却剤供給源ノズル70を用いて得られる)環状、円形、輪状の冷却剤ゾーン62で包囲して用いることで、達成され得ることが見出された。円形のレーザビーム60は環状の冷却剤ゾーン62と共に、(著しい楕円形のレーザビームの場合のように)何らかの既定のまたは固有の向きを示すものではないため、亀裂を任意の方向へ伝播させるために使用することができる(何らかの複雑なビーム成形技術を使用したり、あるいはノズル70の移動のために何らかの運動軸を追加して提供したりする必要がない)。レーザ切断用途で環状、輪状の流体流を生成するノズルは、既知であるが、こういったノズルはこれまで真っ直ぐなレーザ切断方法論に、あるいは(不完全な割れ目が生成された後に機械的割断が続く)罫書きおよび割断法によるより厚いガラスの切断に適用されてきた。これに対し本書における実施形態は、薄型ガラスシート20のフルボディ分離(すなわち切断)のために、リングノズル70を採用する。さらに、自由な形のレーザ切断用に小径のレーザビームも知られているが、本書における実施形態は、(レーザビーム60に対して静止関係にある)環状流体流用のノズル70と、他の切断用変数との組合せを適用して、高エッジ強度などの優れたエッジ特性を達成する。小さい実質上円形のビームでは、レーザビーム60の直径は約1〜5mmでもよく、好適には約2〜4mmの間でもよい。小さいやや非円形のビームでは、レーザビーム60のアスペクト比は約2未満でもよく、またレーザビーム60の直径は約5mm未満でもよい。レーザビーム60のビーム出力分布は、ガウシアン、非ガウシアン、またはフラットトップでもよい。
レーザ出力源64は、CO2レーザ機構を用いて実現され得るが、例えばファイバレーザ、Nd:YAGレーザ、または他のレーザ系など、他の実装も可能である。二酸化炭素レーザは、波長10.6μmで動作する。一般に、本書で開示される直径を有するレーザビーム60を使用すると、(i)亀裂の開始に関連するエッジの欠陥の最小化(ビーム直径が小さくなればなるほど、不安定な亀裂伝播ゾーンが小さくなる)、(ii)ガラスシート20のエッジ付近まで亀裂を伝播する能力(すなわち、ガラスシート20のエッジ近傍で亀裂を停止させることができ、それにより切断端部での鉤状突起を防ぐ)、および(iii)直径の小さいビームでも適切な高切断スピードを維持し、比較的短い処理時間と高スループットをもたらす、といった特定の有益な効果が可能になる。
上記のように、ガラス基板10における非常に望ましいエッジ特性は、真っ直ぐな部分だけではなく湾曲した部分での高エッジ強度である。薄型ガラス基板(約0.2mm未満)において、特に湾曲したエッジでは、約150MPa超、約200MPa超、約300MPa超、および/または約400MPa超の、高エッジ強度はこれまで達成できていない。前述の高エッジ強度を達成するために、レーザビームが複数のラインセグメント14、16、18等の1つから、複数のラインセグメントの次の1つに移動するときに、1以上の切断パラメータを変化させる。これらの切断パラメータとして、(i)レーザビームの出力、(ii)移動のスピード、および(iii)冷却流体の圧力および流量のうちの少なくとも一方、のうちの少なくとも1つを挙げることができる。
これらの切断パラメータは、例えばマイクロプロセッサ、メモリ、およびソフトウェアコードを採用したコンピュータシステムを用いて実現される、コントローラ80によって制御することができる。コントローラは、レーザ光源64、ノズル70、および/または支持構造102の、特定の特性に命令する。例えばコントローラ80は、レーザビーム60の出力を、この出力レベルが少なくとも1つのラインセグメント14、16、18等で他のラインセグメントに比較して異なるように、変化させるように動作し得る。例として、出力レベルに関連する「異なる」の定義は、少なくとも約2%、少なくとも約5%、および/または少なくとも約10%とすることができる。別の実施形態においてコントローラ80は、レーザビーム60の出力を、この出力レベルが全てのラインセグメント14、16、18等で異なるように、変化させるように動作し得る。さらに、および/または代わりに、コントローラ80は、ガラスシート20に対するレーザビーム60の移動のスピードを、このスピードが少なくとも1つのラインセグメント14、16、18等で他のラインセグメントに比較して異なるように、変化させるように動作し得る。例として、スピードに関連する「異なる」の定義は、少なくとも約2%、少なくとも約5%、および/または少なくとも約10%とすることができる。別の実施形態においてコントローラ80は、ガラスシート20に対するレーザビーム60の移動のスピードを、このスピードが全てのラインセグメント14、16、18等で異なるように、変化させるように動作し得る。さらに、および/または代わりに、コントローラ80は、冷却流体62の圧力および流量のうちの少なくとも一方を、この圧力および流量のうちの少なくとも一方が少なくとも1つのラインセグメント14、16、18等で他のラインセグメントに比較して異なるように、変化させるように動作し得る。例として、流量に関連する「異なる」の定義は、少なくとも約2%、少なくとも約5%、および/または少なくとも約10%とすることができる。別の実施形態においてコントローラ80は、冷却流体62の圧力および流量のうちの少なくとも一方を、この圧力および流量のうちの少なくとも一方が全てのラインセグメント14、16、18等で異なるように、変化させるように動作し得る。さらに、および/または代わりに、コントローラ80は、支持構造102上のガラスシート20の浮動の高さを調節する、支持構造102からの支持流体の空気圧および/または流量の供給を、レーザビーム60が少なくとも1つのラインセグメント14、16、18等を通って移動しているときに他のラインセグメントのときと比較して、変化させるように動作し得る。
コントローラ80は、亀裂が切断ラインに沿って伝播するときにガラスシート20内部の温度および応力を制御するべく、ラインセグメント14、16、18に亘って切断パラメータを変化させるように動作する。切断パラメータが可変であると、エッジ強度、せん断、圧縮、ツイストハックル等を含めた、切断エッジのエッジ特性の向上をもたらす。例えば、薄型ガラス基板(約0.2mm)の所与の半径(約20mm未満)の切断エッジの、夫々上面図および側面図のデジタル画像である、図4A〜4Bを参照する。特に、この切断エッジは、丸みを帯びた部分をレーザビーム60が通り過ぎるときに、切断ラインのいずれのラインセグメントでも切断パラメータを変化させることなく生成されたものである。その結果、大きいせん断、大きい圧縮、大きいツイストハックル、および阻止特性92の形跡など、いくつかの望ましくないエッジ特性が明白であり、ここでの図示の寸法は約105μmである。これと比較して、薄型ガラス基板(約0.2mm)の所与の半径(約20mm未満)の切断エッジの、夫々上面図および側面図のデジタル画像である、図5A〜5Bを参照する。特に、この切断エッジは、丸みを帯びた部分をレーザビーム60が通り過ぎるときに、切断ラインの1以上のラインセグメントに亘って切断パラメータを変化させることによって生成されたものである。その結果、低せん断、低圧縮、低ツイストハックル、およびいかなる阻止特性の形跡もないなど、いくつかの望ましいエッジ特性が明白であり、ここでの図示の寸法は約114.08μmである。
完成したガラス基板10で満足できる切断エッジ品質を得ることに関連する、別の重要なパラメータの組は、ガラスシート20を運搬する(装置100の切断ゾーンに出入りさせる)機能と切断プロセス中にガラスシート20を保持する機能とを提供するものである。支持構造102が、運搬、罫書き、およびレーザ切断(これは望ましい組合せである)に使用されると仮定すると、支持構造102の表面特性(特に、ガラスシート20の真下の表面)と、切断中にガラスシート20の支持に寄与する機構は、本書で意図されている厚さの薄型フレキシブルガラスの切断にとって重要である。亀裂の開始に機械的罫書き機構を用いるためには、支持構造102の表面の硬度は、曲がらないよう比較的硬質であるべきである。さらに支持構造102の表面は、レーザビーム60によって生み出される比較的高温に耐え得るべきである。ガラスシート20を、罫書き、レーザ切断用の位置へと移動させ、次いで(切断プロセスが完了した後に)ガラス基板10を移動させるために、支持構造102にエアベアリング機構を提供する。エアベアリングは支持構造102の多孔質表面を用いて得ることができ、この台は可変エアベアリングモード(ベアリングの流圧および/または流量の可変性)を提供する。エアベアリングの支持ベアリング流体は、表面の多孔性と、様々な圧力および流量の流体供給源(図示なし)とを用いて、支持構造102の表面から送出される。エアベアリングモードは、ガラスシート20を支持構造102の台の表面から離れるよう付勢するように動作し、このときレーザビーム60はガラスシート20の温度を上昇させ、かつ冷却流体62は支持流体とは反対の方向に導かれる。
ここで図6A〜6Bを参照すると、これらの図は、新たな2点曲げ方法論を用いてガラス基板10のエッジ強度を試験するためのセットアップの、夫々前面図および側面図を概略的に示したものである。従来の2点試験方法論は、真っ直ぐなエッジのエッジ強度を試験するように動作する。しかしながら図6A〜6Bに示されている試験セットアップは、(例えば、約20mm未満の半径を有する)丸みを帯びたエッジ12のエッジ強度を試験するように動作する。この試験セットアップは上方プラテン202および下方プラテン204を含み、ガラス基板10はプラテン202、204の間に配置される。図示の例においてガラス基板10は、その側面の対称的な丸みを帯びた部分の他、上方プラテン202および下方プラテン204に係合する実質上真っ直ぐな上方エッジおよび下方エッジを含む。図6Bで最もよく分かるが、ガラス基板10を曲げて、ガラス基板10の丸みを帯びた部分12の頂点に大きい応力を引き起こすために、上方プラテン202および下方プラテン204を互いに向かって移動させる。プラテン202、204を、ガラス基板10が割れるまで前進させる。
次に、丸みを帯びた部分12の破断したエッジを検査して、割断点を確認する。例えば図7に示されているように、丸みを帯びた部分12の鏡面仕上げ半径を、適切な検査装置を用いて検査することができる。これには、ガラスの破断応力を評価するための(従来のまたはそれ以外の)何らかの方法論を採用することが必要となる。例えば図7の結果は顕微鏡検査を用いて得られたものであり、それによりハッシュ・マーク間で、すなわちサンプルでの破断応力の判定に使用される鏡面半径の長さとして、約36μmの長さが測定された。当業者には、既知の技術に基づくこのようなプロセスにおけるこれらのステップは明らかであろう。
上記の試験セットアップを使用して、いくつかのガラス基板10のサンプルを試験した。ガラス基板サンプルは、130μmの厚さのガラスシートを上で論じた切断プロセスを用いて切断することによって準備した。切断ラインの真っ直ぐな区域における切断パラメータを(i)レーザ出力3.8ワット、(ii)スピード860mm/m、および(iii)ノズル空気流量100L/mを含むものとした。上で論じたように、切断ラインの湾曲部分では、レーザビームが複数のラインセグメント14、16、18の1つから複数のラインセグメントの次の1つへと移動するときに、1以上の切断パラメータを変化させる。特に、セグメント14において切断パラメータを(i)レーザ出力3.0ワット、(ii)スピード300mm/m、および(iii)ノズル空気流量100L/mを含むものとし、セグメント16において切断パラメータを(i)レーザ出力3.0ワット、(ii)スピード350mm/m、および(iii)ノズル空気流量100L/mを含むものとし、セグメント18において切断パラメータを(i)レーザ出力3.0ワット、(ii)スピード325mm/m、および(iii)ノズル空気流量100L/mを含むものとした。
図8を参照すると、得られた試験データがワイブルプロットに(Y軸沿いに不良確率、およびX軸沿いに最大曲げ応力がMPaで)示されている。このプロットは破断応力をMPaで示しており、これらのデータ点により、試験対象のサンプルでは丸みを帯びた部分のエッジ強度が100から700MPaの間であったことが分かる。さらに、ガラスの厚さの約50%を超えるハックルを有するサンプルは、望ましくなく、調節が必要な切断プロセスを示すと分かった。
本書の本開示を、特定の実施形態を参照して説明してきたが、これらの実施形態は本書における実施形態の原理および用途の単なる実例となるものであることを理解されたい。従って、この実例となる実施形態の多くの改変を作製することができ、また本出願の精神および範囲から逸脱することなく他の配置が考案され得ることを理解されたい。例えば、本発明の種々の特徴を、以下の態様に従って組み合わせることができる。
第1の態様によれば、方法であって、
厚さ約0.2mm以下の元となるガラスシートを支持するステップ、
半径約20mm未満の少なくとも1つの非直線部分を有する切断ラインであってガラス基板の所望形状を画成する切断ラインを、画成するステップ、
切断ラインの非直線部分を、連続した複数のラインセグメントに分割するステップ、
ガラスシートにおいて傷を開始させるステップ、
ガラスシートにレーザビームを、傷の位置から始めかつレーザビームおよびガラスシートを互いに対して連続的に移動させて、切断ラインに沿って適用し、切断ラインの位置でガラスシートの温度を上昇させるステップ、
ガラスシートで切断ラインに沿って破断を伝播させるために冷却流体がガラスシートの温度を少なくとも低下させるよう、レーザビームの適用と同時に冷却流体を適用するステップ、
レーザビームが複数のラインセグメントの1つから複数のラインセグメントの次の1つへと移動するときに、(i)レーザビームの出力、(ii)移動のスピード、(iii)冷却流体の圧力、および(iv)冷却流体の流量、のうちの少なくとも1つを含む、1以上の切断パラメータを変化させるステップ、および、
ガラスシートから不用のガラスを分離して、所望形状のガラス基板を得るステップ、
を含む方法が提供される。
第2の態様によれば、
レーザビームが、(i)約1mmから約5mmの間、および(ii)約2mmから約4mmの間、のうちの一方の直径を有する実質上円形である、および、
レーザビームが、アスペクト比が約2未満でありかつ直径が約5mm未満の、やや非円形である、
のうちの少なくとも1つであることを特徴とする態様1の方法が提供される。
第3の態様によれば、レーザビームの出力を、出力レベルが少なくとも1つのラインセグメントで他のラインセグメントに比較して少なくとも約2%、少なくとも約5%、または少なくとも約10%、異なるように、変化させるステップをさらに含む態様1または態様2の方法が提供される。
第4の態様によれば、レーザビームの出力レベルを、出力レベルが全てのラインセグメントで少なくとも約2%、少なくとも約5%、または少なくとも約10%、異なるように、変化させるステップをさらに含む態様3の方法が提供される。
第5の態様によれば、レーザビームの出力レベルを、切断ラインが真っ直ぐであるときに切断ラインが湾曲しているときと比較して出力レベルが少なくとも約2%、少なくとも約5%、または少なくとも約10%、高くなるように、変化させるステップをさらに含む態様1から4のいずれか1つの方法が提供される。
第6の態様によれば、ガラスシートに対するレーザビームの移動のスピードを、このスピードが少なくとも1つのラインセグメントで他のラインセグメントに比較して少なくとも約2%、少なくとも約5%、または少なくとも約10%、異なるように、変化させるステップをさらに含む態様1から5のいずれかの方法が提供される。
第7の態様によれば、ガラスシートに対するレーザビームの移動のスピードを、このスピードが全てのラインセグメントで少なくとも約2%、少なくとも約5%、または少なくとも約10%、異なるように、変化させるステップをさらに含む態様6の方法が提供される。
第8の態様によれば、ガラスシートに対するレーザビームの移動のスピードを、切断ラインが真っ直ぐであるときに切断ラインが湾曲しているときと比較してこのスピードが少なくとも約2%、少なくとも約5%、または少なくとも約10%、速くなるように、変化させるステップをさらに含む態様1から7のいずれか1つの方法が提供される。
第9の態様によれば、冷却流体の圧力および流量のうちの少なくとも一方を、この圧力および流量のうちの少なくとも一方が少なくとも1つのラインセグメントで他のラインセグメントに比較して少なくとも約2%、少なくとも約5%、または少なくとも約10%、異なるように、変化させるステップをさらに含む態様1から8のいずれか1つの方法が提供される。
第10の態様によれば、冷却流体の圧力および流量のうちの少なくとも一方を、この圧力および流量のうちの少なくとも一方が全てのラインセグメントで少なくとも約2%、少なくとも約5%、または少なくとも約10%、異なるように、変化させるステップをさらに含む態様9の方法が提供される。
第11の態様によれば、冷却流体がガラスシートに向かってレーザビームの周囲に環状に導かれることを特徴とする態様1から10のいずれか1つの方法が提供される。
第12の態様によれば、装置であって、
厚さ約0.2mm以下のガラスシートを支持するよう動作する、支持台であって、ガラスシートが、半径約20mm未満の少なくとも1つの非直線部分を含む、画成された切断ラインを有しており、切断ラインの非直線部分が、連続した複数のラインセグメントに分割されており、さらに切断ラインがガラス基板の所望形状を画成している、支持台、
ガラスシートに罫書きして最初の傷を生成するように動作する、機器、
ガラスシートにレーザビームを、最初の傷の位置から始めかつレーザビームおよびガラスシートを互いに対して連続的に移動させて、切断ラインに沿って適用し、切断ラインの位置でガラスシートの温度を上昇させるように動作する、レーザ光源、
ガラスシートで切断ラインに沿って破断を伝播させるために冷却流体がガラスシートの温度を少なくとも低下させるよう、レーザビームの適用と同時に冷却流体を適用するように動作する、冷却流体源、
レーザビームが複数のラインセグメントの1つから複数のラインセグメントの次の1つへと移動するときに、(i)レーザビームの出力、(ii)移動のスピード、(iii)冷却流体の圧力、および(iv)冷却流体の流量、のうちの少なくとも1つを含む、1以上の切断パラメータを変化させるように動作する、コントローラ、
を備えている装置が提供される。
第13の態様によれば、
レーザビームが、(i)約1mmから約5mmの間、および(ii)約2mmから約4mmの間、のうちの一方の直径を有する実質上円形である、および、
レーザビームが、アスペクト比が約2未満でありかつ直径が約5mm未満の、やや非円形である、
のうちの少なくとも1つであることを特徴とする態様12の装置が提供される。
第14の態様によれば、コントローラが、
レーザビームの出力を、出力レベルが少なくとも1つのラインセグメントで他のラインセグメントに比較して異なるように、変化させる、および、
レーザビームの出力レベルを、出力レベルが全てのラインセグメントで異なるように変化させる、
のうちの一方とするように動作することを特徴とする態様12または態様13の装置が提供される。
第15の態様によれば、コントローラが、
ガラスシートに対するレーザビームの移動のスピードを、このスピードが少なくとも1つのラインセグメントで他のラインセグメントに比較して少なくとも約2%、少なくとも約5%、または少なくとも約10%、異なるように、変化させる、および、
ガラスシートに対するレーザビームの移動のスピードを、このスピードが全てのラインセグメントで少なくとも約2%、少なくとも約5%、または少なくとも約10%、異なるように、変化させる、
のうちの一方とするように動作することを特徴とする態様12から14のいずれか1つの装置が提供される。
第16の態様によれば、コントローラが、
冷却流体の圧力および流量のうちの少なくとも一方を、この圧力および流量のうちの少なくとも一方が少なくとも1つのラインセグメントで他のラインセグメントに比較して少なくとも約2%、少なくとも約5%、または少なくとも約10%、異なるように、変化させる、および、
冷却流体の圧力および流量のうちの少なくとも一方を、この圧力および流量のうちの少なくとも一方が全てのラインセグメントで少なくとも約2%、少なくとも約5%、または少なくとも約10%、異なるように、変化させる、
のうちの一方とするように動作することを特徴とする態様12から15のいずれか1つの装置が提供される。
第17の態様によれば、冷却流体がガラスシートに向かってレーザビームの周囲に環状に導かれることを特徴とする態様12から16のいずれか1つの装置が提供される。
第18の態様によれば、装置であって、
ガラスシート源からレーザ切断された、厚さ約0.2mm以下のガラス基板、
を含み、ガラス基板が、半径約20mm未満の少なくとも1つの非直線部分を含み、この少なくとも1つの非直線部分のエッジ強度が約150MPa超であり、さらにこの少なくとも1つの非直線部分が研磨によって強化されたものではないことを特徴とする装置が提供される。
第19の態様によれば、少なくとも1つの非直線部分のエッジ強度が、約300MPa超であることを特徴とする態様18の装置が提供される。
第20の態様によれば、少なくとも1つの非直線部分のエッジ強度が、約400MPa超であることを特徴とする態様18または態様19の装置が提供される。
第21の態様によれば、ハックルのサイズが前記ガラス基板の厚さの約50%未満であることを特徴とする態様18から20のいずれか1つの装置が提供される。
以下、本発明の好ましい実施形態を項分け記載する。
実施形態1
方法において、
厚さ約0.2mm以下の元となるガラスシートを支持するステップ、
半径約20mm未満の少なくとも1つの非直線部分を有する切断ラインであってガラス基板の所望形状を画成する切断ラインを、画成するステップ、
前記切断ラインの前記非直線部分を、連続した複数のラインセグメントに分割するステップ、
前記ガラスシートにおいて傷を開始させるステップ、
前記ガラスシートにレーザビームを、前記傷の位置から始めかつ前記レーザビームおよび前記ガラスシートを互いに対して連続的に移動させて、前記切断ラインに沿って適用し、前記切断ラインの位置で前記ガラスシートの温度を上昇させるステップ、
前記ガラスシートで前記切断ラインに沿って破断を伝播させるために冷却流体が前記ガラスシートの温度を少なくとも低下させるよう、前記レーザビームの適用と同時に前記冷却流体を適用するステップ、
前記レーザビームが前記複数のラインセグメントの1つから前記複数のラインセグメントの次の1つへと移動するときに、(i)前記レーザビームの出力、(ii)前記移動のスピード、(iii)前記冷却流体の圧力、および(iv)前記冷却流体の流量、のうちの少なくとも1つを含む、1以上の切断パラメータを変化させるステップ、および、
前記ガラスシートから不用のガラスを分離して、前記所望形状の前記ガラス基板を得るステップ、
を含むことを特徴とする方法。
実施形態2
前記レーザビームが、(i)約1mmから約5mmの間、および(ii)約2mmから約4mmの間、のうちの一方の直径を有する実質上円形である、および、
前記レーザビームが、アスペクト比が約2未満でありかつ直径が約5mm未満の、やや非円形である、
のうちの少なくとも1つであることを特徴とする実施形態1記載の方法。
実施形態3
前記レーザビームの出力を、出力レベルが少なくとも1つの前記ラインセグメントで他の前記ラインセグメントに比較して少なくとも約2%、少なくとも約5%、または少なくとも約10%、異なるように、変化させるステップをさらに含むことを特徴とする実施形態1記載の方法。
実施形態4
前記レーザビームの出力レベルを、該出力レベルが全ての前記ラインセグメントで少なくとも約2%、少なくとも約5%、または少なくとも約10%、異なるように、変化させるステップをさらに含むことを特徴とする実施形態3記載の方法。
実施形態5
前記レーザビームの出力レベルを、前記切断ラインが真っ直ぐであるときに前記切断ラインが湾曲しているときと比較して該出力レベルが少なくとも約2%、少なくとも約5%、または少なくとも約10%、高くなるように、変化させるステップをさらに含むことを特徴とする実施形態1記載の方法。
実施形態6
前記ガラスシートに対する前記レーザビームの前記移動のスピードを、該スピードが少なくとも1つの前記ラインセグメントで他の前記ラインセグメントに比較して少なくとも約2%、少なくとも約5%、または少なくとも約10%、異なるように、変化させるステップをさらに含むことを特徴とする実施形態1記載の方法。
実施形態7
前記ガラスシートに対する前記レーザビームの前記移動のスピードを、該スピードが全ての前記ラインセグメントで少なくとも約2%、少なくとも約5%、または少なくとも約10%、異なるように、変化させるステップをさらに含むことを特徴とする実施形態6記載の方法。
実施形態8
前記ガラスシートに対する前記レーザビームの前記移動のスピードを、前記切断ラインが真っ直ぐであるときに前記切断ラインが湾曲しているときと比較して該スピードが少なくとも約2%、少なくとも約5%、または少なくとも約10%、速くなるように、変化させるステップをさらに含むことを特徴とする実施形態1記載の方法。
実施形態9
前記冷却流体の圧力および流量のうちの少なくとも一方を、該圧力および流量のうちの少なくとも一方が少なくとも1つの前記ラインセグメントで他の前記ラインセグメントに比較して少なくとも約2%、少なくとも約5%、または少なくとも約10%、異なるように、変化させるステップをさらに含むことを特徴とする実施形態1記載の方法。
実施形態10
前記冷却流体の圧力および流量のうちの少なくとも一方を、該圧力および流量のうちの少なくとも一方が全ての前記ラインセグメントで少なくとも約2%、少なくとも約5%、または少なくとも約10%、異なるように、変化させるステップをさらに含むことを特徴とする実施形態9記載の方法。
実施形態11
前記冷却流体が前記ガラスシートに向かって前記レーザビームの周囲に環状に導かれることを特徴とする実施形態1記載の方法。
実施形態12
装置において、
厚さ約0.2mm以下のガラスシートを支持するよう動作する、支持台であって、前記ガラスシートが、半径約20mm未満の少なくとも1つの非直線部分を含む、画成された切断ラインを有しており、前記切断ラインの前記非直線部分が、連続した複数のラインセグメントに分割されており、さらに前記切断ラインがガラス基板の所望形状を画成している、支持台、
前記ガラスシートに罫書きして最初の傷を生成するように動作する、機器、
前記ガラスシートにレーザビームを、前記最初の傷の位置から始めかつ前記レーザビームおよび前記ガラスシートを互いに対して連続的に移動させて、前記切断ラインに沿って適用し、前記切断ラインの位置で前記ガラスシートの温度を上昇させるように動作する、レーザ光源、
前記ガラスシートで前記切断ラインに沿って破断を伝播させるために冷却流体が前記ガラスシートの温度を少なくとも低下させるよう、前記レーザビームの適用と同時に前記冷却流体を適用するように動作する、冷却流体源、
前記レーザビームが前記複数のラインセグメントの1つから前記複数のラインセグメントの次の1つへと移動するときに、(i)前記レーザビームの出力、(ii)前記移動のスピード、(iii)前記冷却流体の圧力、および(iv)前記冷却流体の流量、のうちの少なくとも1つを含む、1以上の切断パラメータを変化させるように動作する、コントローラ、
を備えていることを特徴とする装置。
実施形態13
前記レーザビームが、(i)約1mmから約5mmの間、および(ii)約2mmから約4mmの間、のうちの一方の直径を有する実質上円形である、および、
前記レーザビームが、アスペクト比が約2未満でありかつ直径が約5mm未満の、やや非円形である、
のうちの少なくとも1つであることを特徴とする実施形態12記載の装置。
実施形態14
前記コントローラが、
前記レーザビームの出力を、出力レベルが少なくとも1つの前記ラインセグメントで他の前記ラインセグメントに比較して異なるように、変化させる、および、
前記レーザビームの出力レベルを、該出力レベルが全ての前記ラインセグメントで異なるように変化させる、
のうちの一方とするように動作することを特徴とする実施形態12記載の装置。
実施形態15
前記コントローラが、
前記ガラスシートに対する前記レーザビームの前記移動のスピードを、該スピードが少なくとも1つの前記ラインセグメントで他の前記ラインセグメントに比較して少なくとも約2%、少なくとも約5%、または少なくとも約10%、異なるように、変化させる、および、
前記ガラスシートに対する前記レーザビームの前記移動のスピードを、該スピードが全ての前記ラインセグメントで少なくとも約2%、少なくとも約5%、または少なくとも約10%、異なるように、変化させる、
のうちの一方とするように動作することを特徴とする実施形態12記載の装置。
実施形態16
前記コントローラが、
前記冷却流体の圧力および流量のうちの少なくとも一方を、該圧力および流量のうちの少なくとも一方が少なくとも1つの前記ラインセグメントで他の前記ラインセグメントに比較して少なくとも約2%、少なくとも約5%、または少なくとも約10%、異なるように、変化させる、および、
前記冷却流体の圧力および流量のうちの少なくとも一方を、該圧力および流量のうちの少なくとも一方が全ての前記ラインセグメントで少なくとも約2%、少なくとも約5%、または少なくとも約10%、異なるように、変化させる、
のうちの一方とするように動作することを特徴とする実施形態12記載の装置。
実施形態17
前記冷却流体が前記ガラスシートに向かって前記レーザビームの周囲に環状に導かれることを特徴とする実施形態12記載の装置。
実施形態18
装置において、
ガラスシート源からレーザ切断された、厚さ約0.2mm以下のガラス基板、
を含み、前記ガラス基板が、半径約20mm未満の少なくとも1つの非直線部分を含み、該少なくとも1つの非直線部分のエッジ強度が約150MPa超であり、さらに該少なくとも1つの非直線部分が研磨によって強化されたものではないことを特徴とする装置。
実施形態19
前記少なくとも1つの非直線部分のエッジ強度が、約300MPa超であることを特徴とする実施形態18記載の装置。
実施形態20
前記少なくとも1つの非直線部分のエッジ強度が、約400MPa超であることを特徴とする実施形態18記載の装置。
実施形態21
ハックルのサイズが前記ガラス基板の厚さの約50%未満であることを特徴とする実施形態18記載の装置。
10 ガラス基板
20 ガラスシート源
12 丸みを帯びた部分
14、16、18 ラインセグメント
60 レーザビーム
62 冷却剤ゾーン
70 冷却剤供給源ノズル
80 コントローラ
102 支持構造

Claims (9)

  1. 方法において、
    厚さ約0.2mm以下の元となるガラスシートを支持するステップ、
    半径約20mm未満の少なくとも1つの非直線部分を有する切断ラインであってガラス基板の所望形状を画成する切断ラインを、画成するステップ、
    前記切断ラインの前記非直線部分を、連続した複数のラインセグメントに分割するステップ、
    前記ガラスシートにおいて傷を開始させるステップ、
    前記ガラスシートにレーザビームを、前記傷の位置から始めかつ前記レーザビームおよび前記ガラスシートを互いに対して連続的に移動させて、前記切断ラインに沿って適用し、前記切断ラインの位置で前記ガラスシートの温度を上昇させるステップ、
    前記ガラスシートで前記切断ラインに沿って破断を伝播させるために冷却流体が前記ガラスシートの温度を少なくとも低下させるよう、前記レーザビームの適用と同時に前記冷却流体を適用するステップ、
    前記レーザビームが前記複数のラインセグメントの1つから前記複数のラインセグメントの次の1つへと移動するときに、前記レーザビームの出力レベルおよび/または移動のスピードを、前記切断ラインが真っ直ぐであるときに前記切断ラインが湾曲しているときと比較して該出力レベルおよび/または該移動のスピードが少なくとも約10%、高くなるように、変化させるステップ、および、
    前記ガラスシートから不用のガラスを分離して、前記所望形状の前記ガラス基板を得るステップ、
    を含むことを特徴とする方法。
  2. 前記レーザビームが、約1mmから約5mmの間の直径を有する実質上円形である、または、
    前記レーザビームが、アスペクト比が約2未満でありかつ直径が約5mm未満のやや非円形である、
    ことを特徴とする請求項1記載の方法。
  3. 前記ガラスシートに対する前記レーザビームの前記移動のスピードを変化させるステップをさらに含むことを特徴とする請求項1または2記載の方法。
  4. 前記移動のスピードは、後続するすべての前記複数のラインセグメント間で少なくとも約2%異なることを特徴とする請求項3記載の方法。
  5. 前記冷却流体は、前記レーザビームの周りを囲むような環状のゾーンを形成するように前記ガラスシートに向けて適用されることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 得られた前記ガラス基板が、エッジ強度が約150MPa超の非直線部分を含み、該少なくとも1つの非直線部分が研磨によって強化されたものではないことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
  7. 得られた前記ガラス基板が、エッジ強度が約300MPa超の非直線部分を含むことを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
  8. 得られた前記ガラス基板が、エッジ強度が約400MPa超の非直線部分を含むことを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
  9. 得られた前記ガラス基板が当該ガラス基板の厚さの約50%未満のハックルサイズのハックルを有することを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
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