JP2020178040A - コイル装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】放熱性に優れたコイル装置を提供する。【解決手段】コイル装置10は、コイル20、30が装着されるボビン40と、コイル20、30のリード部22a、32aが接続される端子91、92と、ボビン40が収容されるケース300とを有する。端子91、92は、ケース300の上開口縁330を跨ぐケース横断片120と、ケース横断片120に接続され、ケース300の外側をケース横断片120から下方に延びる下方延在片130とを有する。【選択図】図3

Description

本発明は、たとえばトランスなどとしても好適に用いることができるコイル装置に関する。
たとえばトランスなどに用いられるコイル装置として、特許文献1に示すコイル装置が知られている。特許文献1に示すコイル装置は、コアおよびコア(中脚部)に巻回されたコイル等を収容するためのケースを有し、ケースの内部には放熱用樹脂が充填されている。この放熱用樹脂を介して、コアおよびコイルの発熱を放熱させることが可能となっている。
しかしながら、特許文献1に示すコイル装置のように、ケースの上方に大型の端子台が設けられている場合、高さの高いケースを用いることは不適であり、ケース内に収容されたコアおよびコイル等の大部分がケースの外側に露出することがある。この場合、高温になりやすいコアの上部や発熱量の大きいコイルを、放熱用樹脂に十分に浸すことができず、高い放熱性能を得ることができない。
特開2014−036194号公報
本発明は、このような実状に鑑みてなされ、その目的は、放熱性に優れたコイル装置を提供することである。
上記目的を達成するために、本発明に係るコイル装置は、
コイルが装着されるボビンと、
前記コイルのリード部が接続される端子と、
前記ボビンが収容されるケースとを有し、
前記端子は、前記ケースの上開口縁を跨ぐケース横断片と、前記ケース横断片に接続され、前記ケースの外側を前記ケース横断片から下方に延びる下方延在片とを有する。
本発明に係るコイル装置では、端子は、ケースの上開口縁を跨ぐケース横断片と、ケース横断片に接続され、ケースの外側をケース横断片から下方に延びる下方延在片とを有する。そのため、端子はケースの上方ではなくケースの側方(ケース横断片の延在方向に沿った方向)に延在し、ケースの上方に端子を固定するための端子台を設ける必要がない。したがって、高さの高いケースを用いて、コイル等の大部分をケースの内側に収容することが可能であり、ケース内に放熱用樹脂を充填することにより、コイル等の大部分を放熱用樹脂に浸し、放熱用樹脂を介して、コイル等の発熱を十分に放熱させることができる。
また、本発明に係るコイル装置では、上記の通り、ケースの上方に端子台を設ける必要がないため、コイル装置の高さを抑えることが可能であり、コイル装置の低背化を図ることができる。
また、本発明に係るコイル装置では、端子に下方延在片が具備されているため、たとえばケースの下方に切欠き等を設けることによって端子をケースの外側下方に引き出す必要がない。したがって、ケース内に放熱用樹脂を充填したときに、切欠き等から放熱用樹脂が漏れ出すような事態が生じることはなく、ケース内に十分な量の放熱用樹脂を充填させ、該放熱用樹脂を介して、コイル等の発熱を効率良く放熱させることができる。
好ましくは、前記端子は、前記下方延在片に接続され、前記ケースから離れる方向に延びる外方突出片を有する。このような構成とすることにより、外方突出片をユーザ端子として用いることが可能である。
好ましくは、少なくとも一部が前記端子と前記ケースとの間に介在し、前記端子と前記ケースとを絶縁する絶縁保護部をさらに有する。このような構成とすることにより、絶縁保護部を介して、端子とケースとの間のショート不良を防止しつつ、端子をケースの側方に引き出すことができる。
好ましくは、前記絶縁保護部は、前記ケースの上開口縁を跨ぐケース横断部と、前記ケース横断部に接続され、前記ケースの外壁面に沿って延在する外側延在部とを有する。このような構成とすることにより、ケース横断部を介して端子とケースの上開口縁とを絶縁し、外側延在部を介して端子とケースの外壁面とを絶縁することができる。
前記端子が固定される端子台をさらに有し、前記絶縁保護部は、前記端子台と一体に形成されていてもよい。このような構成とすることにより、コイル装置の製造工程において、絶縁保護部を別途ケースに取り付ける工程を省略することが可能となり、コイル装置の製造が容易になる。
好ましくは、前記絶縁保護部は、前記端子と一体に形成されている。たとえば、インサート成形等によって、端子を絶縁保護部に一体成形することにより、コイル装置の製造が容易になる。
前記端子が固定される端子台をさらに有し、前記絶縁保護部は、前記端子台とは別体に形成されていてもよい。このような構成とすることにより、端子台あるいは絶縁保護部の構成を簡素化することが可能となり、端子台あるいは絶縁保護部を容易に形成することができる。
好ましくは、前記端子台は、前記ボビンとは別体に形成されている。このような構成とすることにより、端子台の仕様変更が生じた場合には、都度、その仕様に応じた端子台を用意し、ボビンに取り付ければよく、仕様変更に対して柔軟に対応することができる。
図1Aは本発明の第1実施形態に係るコイル装置の斜視図である。 図1Bは本発明の第2実施形態に係るコイル装置の斜視図である。 図2Aは図1に示すコイル装置の分解斜視図である。 図2Bは図2Aに示すコイル装置からボビンに取り付けられている各部材を取り外したときの分解斜視図である。 図2Cは図2Bに示すコイル装置からボビンに取り付けられている各部材を取り外したときの分解斜視図である。 図2Dは図2Bに示す外側コイルのリード部およびその周辺構造を示す斜視図である。 図2Eは図2Aに示すコイル装置からボビンに取り付けられているリード引出ブロックを取り外したときの分解斜視図である。 図3は図1Aに示すIII−III線に沿うコイル装置の断面図である。 図4Aは図1Aに示すコイル装置において外側コイルのリード部およびその周辺構造を示す斜視図である。 図4Bは図1Bに示すコイル装置において外側コイルのリード部およびその周辺構造を示す斜視図である。 図5Aは図1Aに示す絶縁保護部を示す斜視図である。 図5Bは図1Bに示す絶縁保護部を示す斜視図である。
以下、本発明を、図面に示す実施形態に基づき説明する。
第1実施形態
図1Aに示す本発明の第1実施形態に係るコイル装置10は、図2Aおよび図2Cに示すように、4つのコア12と、ボビン40と、ボビンカバー50と、2つのコアカバー60と、リード引出カバー70と、放熱プレート80と、絶縁保護部100と、絶縁プレート200と、ケース300とを有する。本実施形態では、図において、X軸とY軸とZ軸とは、相互に垂直であり、コイル装置10の実装面に対して垂直方向がZ軸であり、ボビン40に形成してある一対のリード引出部49が相互に反対側に位置する方向がX軸である。
ケース300は、外側面310と、内側面320と、上開口縁330と、底板340と、凹状角部350とを有する。凹状角部350は、ケース300の四隅に形成されており、ケース300の内側に向かって凹んでいる。ケース300を構成する材料としては、アルミ、銅、ステンレス等の熱伝導性の良好な金属等が挙げられる。
ケース300の内部には、ボビン40等が収容されるとともに、放熱用樹脂(図示略)が充填される。図1Aに示すように、本実施形態では、ケース300のZ軸方向の高さは、ボビン40やコア12等の大部分がケース300の内部に収まる程度の高さとなっている。なお、ケース300を構成する各部のうち、底板340はこれら各部とは別体で構成されている。
図2A〜図2Cに示すように、4つのコア12は、組み立てられて、後述するコイルにより発生する磁束を通過させる磁路を形成する。これらのコア12は、対称な形状を有しており、ボビンカバー50およびボビン40を上下方向(図においてZ軸方向)から挟むようにして互いに連結される。
各コア12は、それぞれ縦断面(Y軸およびZ軸を含む切断面)が略E字形状のコアである。各コア12は、たとえばフェライト、金属磁性体などの軟磁性体で構成され、Y軸方向に延びる平板状のベース13と、各ベース13のY軸方向の両端からZ軸方向に突出する一対の側脚16,16と、各ベース13のY軸方向の中間位置からZ軸方向に突出する中脚14とを有する。
本実施形態では、各コア12の中脚14がボビン40の第1中空筒部44に形成してある第1貫通孔44aの内部に入り込む。第1中空筒部44の内周壁に形成してある分離用凸部44bにより、X軸方向に隣り合うコア12,12には、相互に隙間が形成される。この隙間に、後述するポッティング樹脂などの放熱性樹脂が入り込むことにより、コイル装置10の内部に発生する熱の放熱性が向上する。
分離用凸部44bにより形成される隙間は、分離用凸部44bのX軸方向の厚みに対応する。分離用凸部44bは、貫通孔44aの内部で、X軸方向の中央部で、Y軸方向の両側に、Z軸に沿って形成してある。分離用凸部44bのX軸方向の厚みは、特に限定されないが、好ましくは0.05〜5mm、さらに好ましくは、0.1〜3mmである。
ボビン40は、そのZ軸方向の下端部に、略楕円形平板状のボビン基板42を有する。ボビン基板42のX軸方向の各端部には脚部42aが形成され、ボビン基板42の略中央部には第1中空筒部44がZ軸方向の上部に伸びるように一体成形してある。
第1中空筒部44のZ軸方向上部には、ボビン上鍔部48がY軸−X軸平面で第1中空筒部44から径方向に突き出るように一体成形してある。ボビン上鍔部48のX軸方向両端部には、それぞれリード引出部49が設けられている。
図2Eに示すように、リード引出部49は、リード引出ブロック(端子台)490と、リード引出台491とで構成され、リード引出ブロック490には端子91,92が具備されている。端子91,92は、インサート成形等によって、リード引出ブロック490に埋め込まれて固定(一体化)されている。
図4Aおよび図5Aに示すように、端子91,92は、リード接続片91a,92aを有する。リード接続片91a,92aには、図2Cに示す内側コイル20(第1ワイヤ22)のリード部22a,22a、あるいは外側コイル30(第2ワイヤ32)のリード部32a,32aが接続される。リード接続片91a,92aは、略C字形状を有し、図2Eに示すように、Y軸方向の外側に向かって引き出されたリード部22a,22aあるいはリード部32a,32aを挟持する。
図4Aおよび図5Aに示すように、リード接続片91a,92aのX軸方向の端部には、側方延在片91b,92bが一体的に接続されている。側方延在片91b,92bは、リード接続片91a,92aから見て、Y軸方向の外側(ボビン40から離れる方向)に向かって延在しており、その延在方向は、図2Eに示すように、リード部22a,22aあるいはリード部32a,32aの延在方向と略一致している。
図4Aおよび図5Aに示すように、側方延在片91b,92bのY軸方向の内側(リード接続片91a,92aが配置されている側とは反対側)の端部には、上方延在片91c,92cが一体的に接続されている。上方延在片91c,92cは、Z軸方向の上方に向かって延在しており、図2Aに示すケース320の上開口縁330の上方まで延びている。すなわち、上方延在片91c,92cの一部は、上開口縁330よりも上方に延在しており、上方延在片91c,92cは、Z軸方向に沿って、ケース300の上開口縁330の上下に跨って延在している。
上方延在片91c,92cのZ軸方向の上端には、ケース横断片91d,92dが一体的に接続されている。ケース横断片91d,92dはX軸方向に沿って、ボビン40の中心側に向かって延びている。ケース横断片91d,92dと側方延在片91b,92bとの間には、上方延在片91c,92cの高さに応じた段差が形成されている。図3に示すように、ケース横断片91d,92dは、Y軸方向に沿って、ケース300の内外に跨って延在しており、ケース300の上開口縁330を跨ぎつつ(横断しつつ、あるいは乗り越えつつ)、上開口縁330の上方をケース300の外側(内側)から内側(外側)に向かって延びている。ケース横断片91d,92dは、X−Y平面に平行な平板形状を有するが、たとえば屈曲構造を有していてもよい。
図4Aおよび図5Aに示すように、ケース横断片91d,92dのX軸方向の外側の端部には、下方延在片91e,92eが一体的に接続されている。下方延在片91e,92eは、Y−Z平面に平行な平板形状を有し、Z軸方向の下方に向かって延びている。下方延在片91e,92eは、上方延在片91c,92cよりもZ軸方向に長い形状を有し、図3に示すように、ケース300の外側をケース横断片91d,92dから下方に延びている。
下方延在片91e,92eは、図2Aに示すケース300の外側面310に沿って延びており、Z軸方向に沿って、ケース300の上開口縁330の上下に跨って延在している。
図4Aおよび図5Bに示すように、下方延在片91e,92eのZ軸方向の下端であって、Y軸方向の内側には、外方突出片91f,92fが一体的に接続されている。外方突出片91f,92fは、X−Z平面に平行な平板形状を有し、X軸方向に向かって延びている。図3に示すように、外方突出片91f,92fは、ケース300の外側面310から離れる方向に延びている。ケース300の底板340に対する外方突出片91f,92fの高さは、下方延在片91e,92eのZ軸方向の長さに応じて定められるが、当該高さは図示の例に限定されるものではなく、さらに低くしてもよい。
図2Eに示すように、リード引出台491は、ボビン40と一体的に形成されており、ボビン40のボビン上鍔部48のX軸方向の各端部に配置されている。リード引出台491と、ボビン上鍔部48との間には、絶縁壁491eが形成されている。絶縁壁491eは、Y−Z平面に平行な平板形状を有し、コアカバー60の絶縁板部66に当接している。絶縁壁491eの上端の位置は、絶縁板部66の上端の位置と略一致している。絶縁壁491eは、図2Aに示すコア12をボビン40に取り付けたときに、コア12と外側コイル30のリード部32aとを絶縁させるために設けられている。
絶縁壁491eには、ボビン40の中心側に向かって凹む固定用凹部491fが形成されている。固定用凹部491fはコアカバー60の一対の絶縁板部66の各々の間に配置されており、固定用凹部491fと絶縁板部66とは略面一となるように配置される。
ボビン上鍔部48のX軸方向の各端部には、台座中央部491aと、2つの台座側方部491b,491bとが形成されている。台座中央部491aおよび台座側方部491bは、ボビン上鍔部48をX軸方向の外側に延長した形状を有し、X−Y平面に平行な略平板形状を有する。台座中央部491aは、2つの台座側方部491b,491bの各々の間に配置されている。
一方の台座側方部491bと台座中央部491aとの間には、台座引出溝491cが形成されている。同様に、他方の台座側方部491bと台座中央部491aとの間には、台座引出溝491cが形成されている。台座引出溝491cには、外側コイル30のリード部32aを挿通させることが可能となっている。台座引出溝491cは、X軸方向に沿って延びている。
台座側方部491bのY軸方向の外側端部には、側方薄板部491dが形成されている。側方薄板部491dはX軸方向に沿って延びており、側方薄板部491dの厚みは台座側方部491bの厚みよりも薄くなっている。側方薄板部491dには、後述するリード引出ブロック490の凹溝490iが係合する。
リード引出ブロック490は、端子91,92を固定するための端子台としての機能を有し、ボビン40(リード引出台491)とは別体に形成されている。リード引出ブロック490を構成する材料としては、たとえばPET、PBKあるいはPPS等の樹脂材料が挙げられる。
図5Aに示すように、リード引出ブロック490は、台座490aを有し、台座490aのY軸方向の略中央部には、係合凸部490gが形成されている。係合凸部490gは、台座490aのX軸方向の内側端部から、ボビン40の中心側に向かって突出している。
台座490aのX軸方向の内側の端面には、係合凸部490gを間に挟むように、2つの前方壁部490b,490bが形成されている。一方の前方壁部490bは、台座490aのY軸方向の一方側に配置されており、他方の前方壁部490bは、台座490aのY軸方向の他方側に配置されている。前方壁部490bは、Y−Z平面に平行な壁面を有し、図2Eに示すように、前方壁部490bの前面は絶縁壁491eに当接する。
前方壁部490bの内側の端面には、固定用凸部490hが形成されている。固定用凸部490hは、前方壁部490bの内端面のうち、係合凸部490gが配置されている側に位置する。各前方壁部490bに形成された各固定用凸部490hの内側の端面は、リード引出台491の絶縁壁491eに形成された固定用凹部491fのY軸方向の各端部に当接する。これにより、リード引出ブロック490をリード引出台491に取り付けたときに、リード引出ブロック490がリード引出台491に対してY軸方向に位置ずれすることを防止することが可能となっている。
係合凸部490gと一方の前方壁部490bとの間には、垂直引出溝490eが形成されている。同様に、係合凸部490gと他方の前方壁部490bとの間には、垂直引出溝490eが形成されている。垂直引出溝490eはZ軸方向に延びており、垂直引出溝490eに沿って外側コイル30のリード部32aを挿通させることが可能となっている。リード部32aは、垂直引出溝490eの内部をZ軸方向の上方に向かって引き出される。すなわち、垂直引出溝490eは、リード部32aをZ軸方向の上方に案内する案内溝としての役割を果たす。
台座490aのX軸方向の後端には、Y軸方向の一方側から他方側にかけて延在する後方壁部490cが形成されている。図5Aに示すように、後方壁部490cには、2つの端子孔490jの各々がY軸方向に所定の間隔をあけて形成されている。各端子孔490jを通じて、端子91,92のケース横断片91d,92dが引き出される。
後方壁部490cと前方壁部490bとの間には、水平引出溝490fが形成されている。水平引出溝490fはY軸方向の外側に向かって延びており、水平引出溝490fに沿って外側コイル30のリード部32aを挿通させることが可能となっている。より詳細には、垂直引出溝490eに沿ってZ軸方向の上方に向かって引き出されたリード部32aは、Y軸方向に向かって屈曲し、水平引出溝490fに沿ってY軸方向の外側に向かって引き出される。すなわち、水平引出溝490fは、リード部32aをY軸方向の外側に案内する案内溝としての役割を果たす。
台座490aのY軸方向の各端部には、側方壁部490dが形成されている。側方壁部490dは、X−Z平面に平行な壁面を有し、Z軸方向の下方に延びている。側方壁部490dには前述の端子孔490jが連通しており、この端子孔490jを通じて端子91,92の側方延在片91b,92bが引き出される。
側方壁部490dには、凹溝490iが形成されている。凹溝490iは、側方壁部490dのY軸方向の内側に形成されており、X軸方向に沿って延びている。凹溝490iの内部には、リード引出台491の側方薄板部491d(図2E参照)がスライドしながら挿入され、凹溝490iと側方薄板部491dとが係合する。これにより、リード引出ブロック490にリード引出台491が係合し、リード引出ブロック490をリード引出台491に固定することが可能となっている。なお、側方壁部490dは、ケース300の内部に充填してある高熱伝導性樹脂の樹脂上面(図3の二点鎖線部)よりも下側に延びるように形成してもよい。その場合には、リード引出ブロック490がケース300の内部に充填してある高熱伝導性樹脂に接触して放熱が可能になる。
絶縁保護部100は、内側延在部110と、ケース横断部120と、外側延在部130とを有する。絶縁保護部100は、端子91,92とケース300との間に介在し、端子91,92とケース300とを絶縁する(図3参照)。本実施形態では、絶縁保護部100は、リード引出ブロック490とは別体に形成され、ケース300に対して係脱自在に保持される。
絶縁保護部100は、絶縁性の材料で構成されている。絶縁保護部100を構成する材料としては、ポリイミド系樹脂、シリコーン系樹脂、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエーテルエーテルケトン系樹脂、ポリエーテルスルフォン系樹脂、ポリアセタール系樹脂または芳香族ポリアミド系樹脂等を用いることができ、それ以外にも絶縁性に加えて耐熱性あるいは弾力性を有する樹脂を用いてもよい。
絶縁保護部100は、薄板(平板)形状を有しており、略C字形状からなる。図1Aに示すように、絶縁保護部100は、ケース300の外側面310と、内側面320と、上開口縁330とに跨るように、ケース300に取り付けられる。絶縁保護部100の厚みは、好ましくは0.5〜1.0mmである。ただし、絶縁保護部100の厚みは上記厚みに限定されるものではなく、その表面に配置される端子91,92と、その裏面に配置されるケース300との間の絶縁を有効に確保するできる範囲で適宜決定することができる。絶縁保護部100のY軸方向の幅は、端子91,92の各々のY軸方向の間隔よりも大きい。
図3および図5Aに示すように、内側延在部110は、Y−Z平面に平行な平板形状を有し、ケース300の内側面320に沿って延在する。内側延在部110は、ケース300の内側面320に当接している。内側延在部110のZ軸方向の長さは、絶縁保護部100をケース300の上開口縁330に確実に保持させる(引っ掛ける)ことができるような範囲で適宜決定される。内側延在部110は、好ましくは、ケース300の内部に充填される高熱伝導性樹脂の樹脂上面(図3の二点鎖線部)よりも下側に延びるように形成されている。
内側延在部110のZ軸方向の上端には、ケース横断部120が一体的に接続されている。ケース横断部120はX軸方向に沿って、ボビン40から離れる方向(ボビン40の外側)に向かって延びている。ケース横断部120は、X軸方向に沿って、ケース300の内外に跨るように延在しており、ケース300の上開口縁330を跨ぎつつ(横断しつつ、あるいは乗り越えつつ)、上開口縁330の上面をケース300の内側から外側に向かって延びている。
ケース横断部120は、X−Y平面に平行な平板形状を有し、ケース300の上開口縁330に当接している。ケース横断部120と、端子91,92のケース横断片91d,92dとは対向している。ケース横断部120のX軸方向の長さは、ケース300の上開口縁330のX軸方向の長さと略等しくなっている。図3に示す例では、ケース横断部120と、端子91,92のケース横断片91d,92dとの間に所定の隙間が形成されているが、相互に接していてもよい。
ケース横断部120のX軸方向の外側の端部には、外側延在部130が一体的に接続されている。外側延在部130は、Y−Z平面に平行な平板形状を有し、Z軸方向の下方に向かって延びている。外側延在部130は、ケース300の外側面310に当接している。外側延在部130は、内側延在部110よりもZ軸方向に長い形状を有し、ケース300の外側面310に沿ってケース横断部120から下方に延びている。
外側延在部130と、端子91,92の下方延在片91e,92eとは、対向している。図3に示す例では、外側延在部130と、下方延在片91e,92eとの間には所定の隙間が形成されているが、相互に接していてもよい。
図1Aに示すように、外側延在部130のZ軸方向の下端は、端子91,92の下方延在片91e,92eのZ軸方向の下端よりも、低い位置に配置されている。これにより、外側延在部130を介して、下方延在片91e,92eとケース300の外側面310との間の絶縁を確実に図ることが可能となっている。
本実施形態では、端子91,92がリード引出部49(リード引出ブロック490)から露出するケース300の上方部を、ケース横断部120および外側延在部130で覆うことにより、当該部分に絶縁領域を形成することが可能となっている。
図3に示すように、ボビン上鍔部48とボビン基板42との間に位置する第1中空筒部44の外周部には、第1巻回部45が形成してある。第1巻回部45では、内側コイル20の巻回軸(Z軸)に沿って相互に隣り合うワイヤ巻回部分相互を分離する複数の巻回隔壁鍔46が巻回軸に沿って所定間隔で、ボビン基板42(およびボビン上鍔部48)と略平行に第1中空筒部44と一体に形成してある。巻回隔壁鍔46の詳細と第1ワイヤ22の巻回方法については後述する。
本実施形態では、図2Bに示す略楕円筒形状の第1中空筒部44の外周部に、Z軸方向に沿って所定間隔の巻回区画47が形成されるように、楕円リング形状の巻回隔壁鍔46がX−Y軸に略平行な平面で形成してある。本実施形態では、Z軸方向に沿って所定間隔で複数の巻回隔壁鍔46が略平行に形成してあるが、その数は特に限定されない。これらの巻回隔壁鍔46が形成してある領域が、第1巻回部45となる。
巻回隔壁鍔46で分離される各巻回区画47における巻回軸(Z軸)に沿っての巻回区画幅は、1本のみのワイヤ22が入り込める幅に設定してある。すなわち、巻回区画幅w1は、ワイヤ22の線径d1に対して、好ましくは、d1<w1<(2×d1)、さらに好ましくはd1<w1<(1.2×d1)の関係にあることが好ましい。線径d1に対して巻回区画幅w1が広すぎると、巻乱れが生じやすくなると共に、コイル装置のコンパクト化の要請に反する。
なお、各巻回区画47において、巻回区画幅は、全て同一であることが好ましいが、多少異なっていてもよい。また、ボビン上鍔部48と最上位置の巻回隔壁鍔46との間の巻回区画幅は、巻回隔壁鍔46の相互間の巻回区画幅よりも大きくてもよい。また、同様に、ボビン基板42と最下位置に位置する巻回隔壁鍔46との間の巻回区画幅は、巻回隔壁鍔46の相互間の巻回区画幅よりも大きくてもよい。本実施形態では、各巻回区画47に巻回される予定の総巻回数は、特に限定されない。
図2Cに示すように、本実施形態では、いずれかの巻回隔壁鍔46には、ボビンカバー50の内周面に接触して位置決めするための位置決め凸部46dが周方向の一部に形成してある。位置決め凸部46d以外では、巻回隔壁鍔46の外周面とボビンカバー50の内周面との間には、放熱性樹脂が流通可能な流通隙間46eが形成してある。
位置決め凸部46dは、好ましくは、ボビンカバー50の分割接続部53の内側に接触する位置で、巻回隔壁鍔46の外周面から突出している。位置決め凸部46dの突出高さ(径方向高さ)は、流通隙間46eの径方向幅を規定し、好ましくは、0.5〜1mm程度が好ましい。放熱性樹脂を流通しやすくするためとコイル20,30間の結合を良好にするためである。
ボビン上鍔部48の上面には、他の部分よりもZ軸に沿って下方に低くなる段差状の段差部48aが形成されている。段差部48aには、ボビン40の中心側に向かって凹む位置決め凹部48bが形成されている。位置決め凹部48bの内側には、係合凸部48cが形成されており、後述するボビンカバー60の取付縁64に形成された開口部64bに係合させることが可能となっている。
ボビン40におけるボビン基板42、第1中空筒部44、ボビン上鍔部48、リード引出台491および巻回隔壁鍔46は、射出成形などにより一体成形してあることが好ましい。
図2Bに示すように、ボビン基板42における第1中空筒部44の内部には、Z軸方向に貫通する第1貫通孔44aが形成してある。第1貫通孔44aには、図2Aに示すコア12における中脚14が、Z軸方向の上下から入り込み、貫通孔44aのZ軸方向の略中央部において中脚14の先端が突き合わされるようになっている。なお、貫通孔44aのZ軸方向の略中央部において、Z軸の上下から挿入された中脚14の先端は、接触せずに所定間隔でギャップが形成されていてもよい。
図2Cに示すように、ボビンカバー50は、X軸方向に2つに分割可能な一対の半割体50a,50bで構成してあり、巻回軸(Z軸)に平行な分割接続部53で組み合わされ、組み合わされた状態で、第2巻回部55が、カバー50の外周部に形成される。ボビンカバー50は、ボビン40の第1巻回部45(図3参照)に第1ワイヤ22が巻回されて内側コイル20が形成された後に、ボビン40の外周に装着され、分割接続部53で組み合わされる。
ボビンカバー50は、内側コイル20を外側から覆う第2巻回部55を有し、第2巻回部55の外周部に、カバー下鍔部52とカバー上鍔部58とがZ軸方向に所定間隔で周方向に沿って形成してある。下鍔部52および上鍔部58は、X−Y軸の平面に平行に設けられ、設置面と平行に延在する。
これらの下鍔部52と上鍔部58との間が、第2巻回部55となり、この第2巻回部55に、たとえば二次コイルとなる外側コイル30を構成する第2ワイヤ32が整列巻き(またはα巻き)される。整列巻とは、巻回軸の一方の端から他方の端に向けてワイヤが巻かれる通常の巻き方である。α巻きについては後述する。
ボビンカバー50の分割接続部53では、一方の半割体50aの内側接続片53aの径方向の外側に、他方の半割体50bの外側接続片53bが差し込まれて、半割体50a,50bが連結されてボビンカバー50を構成する。
一方の半割体50aの接続部53aに位置するカバー上鍔部58には、他の部分よりもZ軸に沿って上方に高くなる段差状の接続上鍔部58aが形成してある。また、他方の半割体50bの接続部53bに位置するカバー上鍔部58には、接続上鍔部58aよりもZ軸に沿って下側に位置し、接続上鍔部58aの下に差し込まれて接続可能な接続上鍔部58bが形成してある。
また、他方の半割体50bの接続部53bに位置するカバー上鍔部58には、接続上鍔部58aの接続先端が当接可能なストッパ凸部58iが形成してある。ストッパ凸部58iは、カバー上鍔部58の大部分の上面に対して、Z軸に沿って上側に突出している。ストッパ凸部58iのカバー上鍔部58の大部分の上面に対する突出高さは、接続上鍔部58aのZ軸に沿った突出高さと略同一であることが好ましい。これらのストッパ凸部58iの上面と、接続上鍔部58aの上面とは、ボビン40のボビン上鍔部48の下面に接触し、分割接続部53以外の大部分のカバー上鍔部58の上面とボビン上鍔部48の下面との間に、空気の出口隙間を形成する。
一方の半割体50aのX軸に沿って接続上鍔部58aと反対側のカバー上鍔部58には、カバー上鍔部58の上面よりもZ軸に沿って上側に突出する係合凸部58cが具備してある。係合凸部58cの上面には、係合面58eが形成してあり、カバー上鍔部58の上面に対する係合面58eのZ軸に沿う突出高さは、接続鍔部58aの段差高さと同程度である。係合面58eは、リード引出台491の台座中央部491aおよび台座側方部491bの下面に接触する。台座中央部491aおよび台座側方部491bの下面は、Z軸に沿ってボビン上鍔部48の下面と略同一高さである。なお、係合凸部58cには、リード引出台491に形成された2つの台座引出溝491c,491cの各々に対応する切欠きが形成されている。
他方の半割体50bのX軸に沿って接続上鍔部58bと反対側のカバー上鍔部58には、カバー上鍔部58の上面よりもZ軸に沿って上側に突出する係合凸部58dが具備してある。係合凸部58dの上面には、係合面58fが形成してあり、カバー上鍔部58の上面に対する係合面58fのZ軸に沿う突出高さは、ストッパ凸部58iの突出高さと同程度である。係合面58fは、リード引出台491の台座中央部491aおよび台座側方部491bの下面に接触する。台座中央部491aおよび台座側方部491bの下面は、Z軸に沿ってボビン上鍔部48の下面と略同一高さである。
図2Aおよび図2Bに示すように、外側コイル30が装着してあるボビンカバー50の第2巻回部55(図2C参照)の外周には、Y軸方向の両側から一対のコアカバー60が装着される。コアカバー60は、たとえば合成樹脂などの絶縁部材で構成され、カバー本体62を有し、その外周面は、コア12における側脚16を案内する案内面となり、その内周面には、外側コイル30が位置する。
カバー本体62のZ軸方向の両端には、取付縁64,64が一体に形成してある。取付縁64にはボビン40の中心側に突出する突出片64aが形成されており、突出片64aの内側には開口部64bが形成されている。開口部64bにボビン上鍔部48の係合凸部48c(図2C参照)が係合し、突出片64aがボビン上鍔部48の位置決め凹部48b(図2C参照)に組み合わされることにより、取付縁64がボビン上鍔部48の上面に係合し、コアカバー60がボビン40に取り付けられる。なお、詳細な図示は省略するが、Z軸下側の取付縁64は、ボビン基板42の下面に係合する。
カバー本体62は、コアカバー60の外周面形状に対応した内周面形状を有し、そのX軸方向の両端には、絶縁板部66が一体に成形してある。図1Aに示すように、コアカバー60の絶縁板部66は、コア12と外側コイル30のリード部32a(図2B参照)との絶縁を向上させる。絶縁板部66の内面(コイル装置10の中心側)は、コア12と接触していてもよく、コア12の外形状に合わせた形状を有していてもよい。
リード引出カバー70は、図1Aに示すような態様で、リード引出ブロック490の上方および側方を覆うように取り付けられる。図2Bに示すように、リード引出カバー70は、天板部71と、側方壁部72と、後方壁部73と、凹部74とを有する。
天板部71は、Y軸方向に長い平板形状を有し、そのX軸方向の外側の端部には凹部74が形成されている。天板部71は、図2Eに示すリード引出台491の絶縁壁491eとリード引出ブロック490の後方壁部490cとの間に配置され(図1A参照)、リード引出ブロック490を上方から保護する。凹部74は、ボビン40の中心側に向かって凹んでおり、Y軸方向に所定の幅を有する。
天板部71のY軸方向の各端部には、側方壁部72が形成されている。側方壁部72は、X−Z平面に平行な平板形状を有し、略正方形状からなる。側方壁部72は、リード引出ブロック490の側方に配置され、リード引出ブロック490をY軸方向の側方から保護する。
天板部71のX軸方向の外側の端部には、2つの後方壁部73,73が形成されている。後方壁部73は、Y−Z平面に平行な平板形状を有し、略正方形状からなる。一方の後方壁部73は、天板部71のY軸方向の一方側に配置されており、隣接する側方壁部72に接続されている。他方の後方壁部73は、天板部71のY軸方向の他方側に配置されており、隣接する側方壁部72に接続されている。後方壁部73は、リード引出ブロック490のX軸方向の外側に配置され、リード引出ブロック490を後方から保護する。
図2Cに示す第1ワイヤ22は、単線で構成されても良く、あるいは撚り線で構成されても良く、絶縁被覆導線で構成されることが好ましい。第1ワイヤ22の外径d1は、特に限定されないが、大電流を流す場合には、たとえばφ1.0〜φ3.0mmが好ましい。第2ワイヤ32は、第1ワイヤ22と同じであっても良いが、異なっていても良い。
この実施形態では、図2Cに示す第1ワイヤ22から成る内側コイル20は、トランスの一次コイルを構成し、ボビンカバー50の周りに巻回される第2ワイヤ32から成る外側コイル30が二次コイルを構成する。なお、内側コイル20で二次コイルを構成し、外側コイル30で一次コイルを構成してもよい。
本実施形態では、第1ワイヤ22が、たとえば第1巻回部45(図3参照)のZ軸方向の中央部からα巻きされる。そのため、本実施形態では、外側コイル30を構成する第2ワイヤ32の線径が、第1ワイヤ22に比較して線径を太くしてあるが、線径は、特に限定されず、線径を同じにしても良いし、逆に異ならせても良い。また、第1ワイヤ22および第2ワイヤ32の材質に関しても同一でも異なっていても良い。
α巻き後の第1ワイヤ22の下巻回部分からのリード部22aは、Z軸方向の上部に持ち上げられ、図2Eに示すリード引出台491の台座引出溝491cの内部を挿通し、さらにリード引出ブロック490の垂直引出溝490eに導かれる。
図2Dに示すように、本実施形態では、Z軸方向の上方に引き出されるリード部22aが、外側コイル30と接触しないよう、ボビン40のX軸方向の一端側には、絶縁プレート200が取り付けられている。なお、ボビン40のX軸方向の他端側には、絶縁プレート200は取り付けられてはいない。
図2Cおよび図2Dに示すように、絶縁プレート200は、プレート本体部210と、プレート天板部220と、プレート外方突出部230と、リード通路240とを有する。プレート本体部210は、Y−Z平面に平行な平板形状を有し、その上端にはプレート天板部220が形成されている。プレート天板部220は、X軸方向の内側に向かって延びており、リード引出台491の台座中央部491aおよび台座側方部491bの下面に固定される。
プレート本体部210の表面には、ボビン40のX軸方向の外側に突出する2つのプレート外方突出部230,230が形成されている。2つのプレート外方突出部230,230の各々は、Y軸方向に所定の間隔をあけて配置されており、Z軸方向に沿って延びている。2つのプレート外方突出部230,230の各々の間隔は、第1ワイヤ22の直径と略等しいか、それよりも大きくなっている。
2つのプレート外方突出部230,230の各々の間には、Z軸方向に沿って延びるリード通路240が形成されている。リード通路240の内部には、Z軸方向の上方に引き出されるリード部22a(第1ワイヤ22の下巻回部分からのリード部22a)を挿通させることが可能となっている。リード部22aは、リード通路240の内部を挿通しつつZ軸方向の上方に引き出されるため、リード部22aと外側コイル30との間でショート不良が発生することを防止することが可能となっている。
α巻き後の第1ワイヤ22の上巻回部分からのリード部22aは、リード引出台491の台座引出溝491cおよびリード引出ブロック490の垂直引出溝490eに直接に導かれ、水平引出溝490fの内部を挿通しつつ、Y軸方向の外側に向かって引き出される。なお、内側コイル20の一対のリード部22aは、それぞれ水平引出溝490fに沿ってY軸方向の反対側に向かって引き出される。
これに対して、図2Bおよび図2Cに示すように、ボビンカバー50では、その第2巻回部55に、二次コイルとなる外側コイル30を構成する第2ワイヤ32が整列巻きされる。整列巻とは、巻回部55の外周面に対して、Z軸方向の一端から他端に向けて順次にワイヤ32が巻回される巻き方であり、本実施形態では、一層のみで整列巻きしてある。仮に、二層で整列巻きする場合には、整列巻の場合には、一層目が全て巻かれてから、その上に二層目が巻かれる。
以下に、コイル装置10の製造方法の一例を、図2A〜図2C,図2Eなどを用いて説明する。コイル装置10の作製においては、まず、ボビン40を準備する。ボビン40の材質は特に限定されないが、ボビン40は、樹脂等の絶縁材料によって形成される。
次に、ボビン40の第1中空筒部44の外周に第1ワイヤ22を巻回し、内側コイル20を形成する。内側コイル20の形成に使用される第1ワイヤ22としては、特に限定されないが、リッツ線等が好適に使用される。
次に、内側コイル20が形成されたボビン40に対して、ボビンカバー50を取り付ける。ボビンカバー50における第2巻回部55の外周には、外側コイル30を構成する第2ワイヤ32を巻回する。
次に、端子91,92が取り付けられたリード引出ブロック490をリード引出台491に向けてスライドさせて、リード引出ブロック490の凹溝490iにリード引出台491の側方薄板部491dを係合させ、リード引出台491にリード引出ブロック490を取り付ける。
次に、ボビン40のX軸方向の一端側に絶縁プレート200を取り付け、内側コイル20の下巻回部分からのリード部22aを、絶縁プレート200のリード通路240の内部を挿通させつつZ軸方向の上方に引き出す。そして、リード引出ブロック490の一方の垂直引出溝490eの内部を挿通させてZ軸方向の上方に引き出すとともに、一方の水平引出溝490fの内部を挿通させてY軸方向の外側に引き出す。
また、内側コイル20の上巻回部分からのリード部22aについては、直接、リード引出ブロック490の他方の垂直引出溝490eの内部を挿通させてZ軸方向の上方に引き出すとともに、他方の水平引出溝490fの内部を挿通させてY軸方向の外側に引き出す。なお、外側コイル30の一対のリード部32a,32aについては、いずれも、直接、リード引出ブロック490の各垂直引出溝490eの内部を挿通させてZ軸方向の上方に引き出すとともに、各水平引出溝490fの内部を挿通させてY軸方向の外側に引き出す。
次に、一対のリード部22a,22aの各々を端子91,92のリード接続片91a,92aで挟み込んで接続する。同様に、一対のリード部32a,32aの各々を端子91,92のリード接続片91a,92aで挟み込んで接続する。
次に、リード引出ブロック490を覆うように、リード引出ブロック490にリード引出カバー70を取り付ける。その後に、コアカバー60をボビンカバー50におけるY軸方向の両側に取り付け、その後に、Z軸方向の上下方向から、コア12を取り付ける。すなわち、コア12の中脚14,14の先端同士、側脚16,16の先端同士を突き合わせる。なお、中脚14,14の先端同士の間には、ギャップを持たせても良い。
各コア12の材質としては、金属、フェライト等の軟磁性材料が挙げられるが、特に限定されない。コア12は、接着材を用いて接着されるか、または外周をテープ状部材で巻かれることによって、ボビンカバー50およびボビン40に固定される。コア12のZ軸方向の上方には、放熱プレート80が取り付けられる。
次に、上記各部材を組み立ててなる組立体を放熱用樹脂が充填されたケース300の内部に収容する。樹脂の充填は、コイル装置10をケース300の内部に収容する前に行われる。ケース300としては、内側コイル20および外側コイル30の全体が内部に収まる程度の高さを有するケースを用いることが好ましい。放熱用樹脂としては、特に限定されないが、たとえば熱伝導率が0.5〜5、好ましくは1〜3W/m・Kである放熱性に優れた樹脂が好ましい。
放熱性に優れた樹脂としては、たとえばシリコーン系樹脂、ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂などがあるが、中でも、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂が好ましい。また、放熱性を高めるために、樹脂中には、熱伝導性の高いフィラーを充填させても良い。
また、本実施形態の放熱性樹脂は、ショアA硬度が100以下、好ましくは60以下であることが好ましい。コア12が熱により変形したとしても、その変形を吸収し、コア12に過大な応力を発生させないようにするためである。このような樹脂としては、ポッティング樹脂が例示される。
ケース300の内部に充填する放熱用樹脂の量としては、ボビン40の周囲に配置された内側コイル20およびボビンカバー50の周囲に配置された外側コイル30の全体が放熱用樹脂によって浸される程度(内側コイル20および外側コイル30の上端部、あるいはボビン上鍔部48の下面が浸される程度)であることが好ましい。
ケース300のX軸方向の両側に位置する各壁面には、外側面310、内側面320および上開口縁330に跨るように、絶縁保護部100を取り付けておく。なお、必要に応じて、絶縁保護部100をケース300に接着剤等で固定してもよい。
ケース300の下方には、金属プレートなどを介して、あるいは、直接に冷却パイプ、冷却フィン、などの冷却装置を装着しても良い。
本実施形態では、一連の組み立て工程の後に、コイル装置10に対してワニス含浸処理が施されても良い。以上のような工程により、本実施形態に係るコイル装置10を製造することができる。
本実施形態に係るコイル装置10では、端子91,92が、ケース横断片91d,92dと下方延在片91e,92eとを有する。そのため、端子91,92はケース300の上方ではなくケース300の側方(ケース横断片91d,92dの延在方向に沿った方向)に延在し、ケース300の上方に端子91,92を固定するための端子台(リード引出ブロック490)を設ける必要がない。したがって、高さの高いケース300を用いて、コイル20,30およびコア12の大部分をケース300の内側に収容することが可能であり、ケース300内に放熱用樹脂を充填することにより、コイル20,30およびコア12の大部分を放熱用樹脂に浸し、放熱用樹脂を介して、コイル20,30およびコア12の発熱を十分に放熱させることができる。
また、本実施形態に係るコイル装置10では、上記の通り、ケース300の上方に端子台(リード引出ブロック490)を設ける必要がないため、コイル装置10の高さを抑えることが可能であり、コイル装置10の低背化を図ることができる。
また、本実施形態に係るコイル装置10では、端子91,92に下方延在片91e,92eが具備されているため、たとえばケース300の下方に切欠き等を設けることによって端子91,92をケース300の外側下方に引き出す必要がない。したがって、ケース300内に放熱用樹脂を充填したときに、切欠き等から放熱用樹脂が漏れ出すような事態が生じることはなく、ケース300内に十分な量の放熱用樹脂を充填させ、該放熱用樹脂を介して、コイル20,30およびコア12の発熱を効率良く放熱させることができる。
また、本実施形態では、端子91,92が、外方突出片91f,92fを有する。そのため、外方突出片91f,92fをユーザ端子として用いることが可能である。
また、本実施形態に係るコイル装置10は、絶縁保護部100を有する。そのため、絶縁保護部100を介して、端子91,92とケース300との間のショート不良を防止しつつ、端子91,92をケース300の側方に引き出すことができる。
また、本実施形態では、絶縁保護部100は、ケース横断部120と外側延在部130とを有する。そのため、ケース横断部120を介して端子91,92とケース300の上開口縁330とを絶縁し、外側延在部130を介して端子91,92とケース300の外側面310とを絶縁することができる。
また、本実施形態では、リード引出ブロック490を有し、絶縁保護部100は、リード引出ブロック490とは別体に形成されている。そのため、リード引出ブロック490あるいは絶縁保護部100の構成を簡素化することが可能となり、リード引出ブロック490あるいは絶縁保護部100を容易に形成することができる。
また、本実施形態では、リード引出ブロック490は、ボビン40とは別体に形成されている。そのため、リード引出ブロック490の仕様変更が生じた場合には、都度、その仕様に応じたリード引出ブロック490を用意し、ボビン40に取り付ければよく、仕様変更に対して柔軟に対応することができる。
第2実施形態
図1Bおよび図5Bに示す第2実施形態に係るコイル装置10Aは、以下に示す点を除いて、第1実施形態に係るコイル装置10と同様な構成を有し、同様な作用効果を奏する。図1Bおよび図5Bにおいて、第1実施形態のコイル装置10における各部材と共通する部材には、共通の符号を付し、その説明は一部省略する。
本実施形態におけるコイル装置10Aは、絶縁保護部100Aを有する。図5Aと図5Bとを対比すると明らかなように、本実施形態における絶縁保護部100Aは、リード引出ブロック490に一体に形成されているという点において、第1実施形態における絶縁保護部100とは異なる。絶縁保護部100Aとリード引出ブロック490とは、射出成形などにより一体成形される。
絶縁保護部100Aは、ケース横断部120Aと外側延在部130Aとを有し、略L字状の形状を有する。一方で、絶縁保護部100Aは、第1実施形態における内側延在部110に対応する構成を具備しない。本実施形態では、絶縁保護部100Aがリード引出ブロック490に一体化されたことにより、リード引出ブロック490の後方壁部490cが上記内側延在部110と同様の役割を果たす。
ケース横断部120Aは、第1実施形態におけるケース横断部120よりも厚く形成されており、端子91,92のケース横断片91d,92dを内部に収容している。すなわち、本実施形態では、ケース横断片91d,92dは、外部には露出しておらず、ケース横断部120Aの内部に埋め込まれている。ケース横断部120AのX軸方向の内側端部は、リード引出ブロック490の後方壁部490cのZ軸方向の上端に一体的に接続されている。ケース横断部120Aの下面は、ケース300の上開口縁330に当接する。
外側延在部130Aは、第1実施形態における外側延在部130Aよりも厚く形成されており、端子91,92の下方延在片91e,92eを内部に収容している。すなわち、本実施形態では、下方延在片91e,92eは、外部には露出しておらず、外側延在部130Aの内部に埋め込まれている。外側延在部130AのX軸方向の外側の端面には、2つの端子孔131,131の各々がY軸方向に所定の間隔をあけて形成されている。端子孔131,131を通じて、端子91,92の外方突出片91f,92fが引き出される。外側延在部130AのX軸方向の内側の端面は、ケース300の外側面310に当接する。
絶縁保護部100Aは、外側延在部130Aとリード引出ブロック490の後方壁部490cとでケース300の上端部を挟み込むようにして、ケース300に取り付けられる。
本実施形態においても、第1実施形態と同様の効果が得られる。加えて、本実施形態では、絶縁保護部100Aがリード引出ブロック490と一体に形成されている。そのため、コイル装置10Aの製造工程において、絶縁保護部100Aを別途(単体として)ケース300に取り付ける工程を省略することが可能となり、コイル装置10Aの製造が容易になる。
また、本実施形態では、絶縁保護部100Aが、端子91,92と一体に形成されている。たとえば、インサート成形等によって、端子91,92を絶縁保護部100Aに一体成形することにより、コイル装置10Aの製造が容易になる。
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で種々に改変することができる。
たとえば、第1ワイヤ22は、α巻きである必要は無く、整列巻でもよい。整列巻でも、本発明の作用効果を期待することができる。さらに、ボビン40の具体的な形状、あるいはコア12の具体的な形状は、上述した実施形態に限らず、種々に改変することができる。また、本発明のコイル装置は、トランス以外の用途として、リアクトルなどにも用いることができる。
上記各実施形態において、絶縁保護部100,100Aの形状は、適宜変更してもよい。たとえば、図5Aにおいて、絶縁保護部100から、内側延在部100を省略し、ケース横断部110および外側延在部130からなる絶縁保護部100を構成してもよい。また、図5Bにおいて、絶縁保護部100Aとリード引出ブロック490とが分離されていてもよい。
上記各実施形態において、2個の絶縁保護部100,100Aをコイル装置10,10Aに具備させ、一方の絶縁保護部100,100Aで端子91とケース300とを絶縁し、他方の絶縁保護部100,100Aで端子92とケース300とを絶縁してもよい。
その場合、絶縁保護部100,100Aの形状は、端子91,92のケース横断片91d,92dおよび下方延在片91e,92eの形状と略一致した形状であってもよい。
10,10A…コイル装置
12…コア
13…ベース
14…中脚
16…側脚
20…内側コイル
22…第1ワイヤ
22a…リード部
30…外側コイル
32…第2ワイヤ
32a…リード部
40…ボビン
42…ボビン基板
42a…脚部
44…第1中空筒部
44a…第1貫通孔
44b…分離用凸部
45…第1巻回部
46…巻回隔壁鍔
46d…位置決め凸部
46e…流通隙間
47…巻回区画
48…ボビン上鍔部
48a…段差部
48b…位置決め凹部
48c…係合凸部
49…リード引出部
490…リード引出ブロック(端子台)
490a…台座
490b…前方壁部
490c…後方壁部
490d…側方壁部
490e…垂直引出溝
490f…水平引出溝
490g…係合凸部
490h…固定用凸部
490i…凹溝
490j…端子孔
491…リード引出台
491a…台座中央部
491b…台座側方部
491c…台座引出溝
491d…側方薄板部
491e…絶縁壁
491f…固定用凹部
50…ボビンカバー
50a,50b…半割体
52…カバー下鍔部
52a…支持部
53…分割接続部
53a…内側接続片
53b…外側接続片
55…第2巻回部
58…カバー上鍔部
58a…接続上鍔部
58b…接続下鍔部
58c,58d…係合部
58e,58f…係合面
58g,58h…段差面
58i…ストッパ凸部
60…コアカバー
62…カバー本体
62a…分割片
64…取付縁
64a…突出片
64b…開口部
66…絶縁板部
70…リード引出カバー
71…天板部
72…側方壁部
73…後方壁部
74…凹部
80…放熱プレート
91,92…端子
91a,92a…リード接続片
91b,92b…側方延在片
91c,92c…上方延在片
91d,92d…ケース横断片
91e,92e…下方延在片
91f,92f…外方突出片
100,100A…絶縁保護部
110…内側延在部
120,120A…ケース横断部
130,130A…外側延在部
131…端子孔
200…絶縁プレート
210…プレート本体部
220…プレート天板部
230…プレート外方突出部
240…リード通路
300…ケース
310…外側面
320…内側面
330…上開口縁
340…底板
350…凹状角部

Claims (8)

  1. コイルが装着されるボビンと、
    前記コイルのリード部が接続される端子と、
    前記ボビンが収容されるケースとを有し、
    前記端子は、前記ケースの上開口縁を跨ぐケース横断片と、前記ケース横断片に接続され、前記ケースの外側を前記ケース横断片から下方に延びる下方延在片とを有するコイル装置。
  2. 前記端子は、前記下方延在片に接続され、前記ケースから離れる方向に延びる外方突出片を有する請求項1に記載のコイル装置。
  3. 少なくとも一部が前記端子と前記ケースとの間に介在し、前記端子と前記ケースとを絶縁する絶縁保護部をさらに有する請求項1または2に記載のコイル装置。
  4. 前記絶縁保護部は、
    前記ケースの上開口縁を跨ぐケース横断部と、
    前記ケース横断部に接続され、前記ケースの外壁面に沿って延在する外側延在部とを有する請求項3に記載のコイル装置。
  5. 前記端子が固定される端子台をさらに有し、
    前記絶縁保護部は、前記端子台と一体に形成されている請求項3または4に記載のコイル装置。
  6. 前記絶縁保護部は、前記端子と一体に形成されている請求項5に記載のコイル装置。
  7. 前記端子が固定される端子台をさらに有し、
    前記絶縁保護部は、前記端子台とは別体に形成されている請求項3または4に記載のコイル装置。
  8. 前記端子台は、前記ボビンとは別体に形成されている請求項5〜7のいずれかに記載のコイル装置。
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