JP2020169104A - タルク粒子及び樹脂組成物 - Google Patents
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Abstract
Description
例えば、厚みが0.3μm以下として市販されているタルクでも、その厚みの測定方法は遠心沈降法を用いたもので、現実的な厚みを示すものではなく、一応の目安でしかない場合がある。また、断面のSEM写真から厚みを測定するものもあるが、測定部分が真に断面部分であるかは疑わしく、かつ測定サンプル数も10個程度の場合が多く、現実的な厚みの測定値とは言いがたい。そして、このような材料を用いた場合、物性にムラが生じてしまう懸念がある。
[2] 前記タルク粒子の平均厚みに対する、前記断面観察から求めた厚み分布の標準偏差の比(標準偏差/平均厚み)である変動係数が、0.5以下である[1]に記載のタルク粒子。
[3] 前記メジアン径と前記平均厚みとの比であるアスペクト比(メジアン径/平均厚み)が7以上である[1]又は[2]に記載のタルク粒子。
[4] [1]〜[3]のいずれかに記載のタルク粒子と樹脂成分とを含有する樹脂組成物。
(タルク粒子)
本発明のタルク粒子の一態様は、樹脂成形体の長さ方向にタルク粒子が配向して分散した状態で、長さ方向に垂直な断面における断面観察から求めたタルク粒子の厚み分布におけるタルク粒子の平均厚みが0.30μm以下となっており、粒度分布測定によるメジアン径が2μm以上で、上記断面観察から求めた厚み分布の標準偏差が、0.15μm以下となっている。
まず、当該断面観察によれば、分散したタルク粒子の各断面の存在が確認でき、これらの厚みを測定して求めることで、より現実的な厚み情報が得られる。
そして、タルク粒子を含有し引張強度、引張破断伸びに優れる樹脂を調製する場合、そのタルク粒子の形状を設計する際には、タルク粒子の板面の長さを維持したまま、厚みを0.30μm以下まで薄くすることが重要であるとの知見を得た。しかし、タルク粒子は微粒化するにつれ粉々になり、板面の長さも粒子の厚みも共に小さくなってアスペクト比は小さくなり、結果として引張強度、引張破断伸びの低減を引き起こす。
そこで、本発明では、平均厚みを0.30μm以下としながらもメジアン径が大きい、すなわち板面が大きく、厚みの標準偏差を規定することで薄厚のタルク粒子とし、引張強度、引張破断伸びに優れる樹脂成形体を作製できるようになった。
上記平均厚みは0.26以下であることが好ましく、0.24μm以下であることがより好ましい。また、実際的には、上記平均厚みは0.03μm以上であることが好ましく、0.04μm以上であることがより好ましい。
(1)まず、ポリプロピレン樹脂に15質量%となるようにタルク粒子を配合して、樹脂組成物を作製する。
(2)作製した樹脂組成物を射出成型して、試験片(樹脂成形体)を作製する。試験片は、タルク粒子断面を200個以上測定できるような形状であれば特に限定されない。
(3)当該試験片を液体窒素中に10分以上載置して、この液体窒素中で当該試験片の中央部付近を長手方向に対して垂直に破断する。
(4)液体窒素から破断した試験片を取り出し、破断面をSEM観察できる大きさに調整し、その破断面(断面)をSEMで観察する。SEM写真の例を図1に示す。図1に示されるように、タルク粒子は試験片の長さ方向に配向しており、その厚さ方向の断面が非常に明確に確認できる。
(5)断面に存在するタルク粒子の最大厚みを、使用したSEMに付属する計測ソフト等により200個計測し、その平均からタルク粒子の平均厚み、厚み分布の標準偏差、変動係数等を求める。
本発明の一態様としてのタルク粒子の製造方法は、タルク原料を粉砕する粉砕工程と、粉砕後のタルク粒子の平均厚みを測定して検査する検査工程とを含む、タルク粒子の製造方法である。タルク粒子の平均厚みは既述のとおり、樹脂成形体の長さ方向にタルク粒子が配向して分散した状態で、その長さ方向に垂直な断面における断面観察(既述の断面観察)から求められるものである。
タルク粒子となるタルク原料としては、アメリカ産、インド産、オーストラリア産、中国産、パキスタン産、ヨーロッパ産等の滑石が挙げられる。
ウォータジェットによる粉砕処理としては、最高245MPaに加圧した原料同士を斜向衝突させることにより、分散・粉砕行う湿式微粒化装置を用いることが好ましい。
また、ローラーミルによる粉砕後に空気分級機等で分級を行う場合、当該空気分級機等で0.6μm以上の粗粒子を除去する分級を行うことが望ましい。この場合の粗粉排出量は所望の粒径により適宜設定する。
粉砕後のタルク粒子は、その平均厚みを測定して検査する検査工程へと送られる。厚みを測定する方法は既述のとおりである。平均厚みが0.30μm以下でなかったり、断面観察から求めた厚み分布の標準偏差が0.15μm以下でなかったりした場合は、さらに(1)の粉砕工程を再度施す等して、本発明のタルク粒子を採取する。
本発明の樹脂組成物の一態様は、本発明のタルク粒子と樹脂成分とを含有する樹脂組成物である。
さらに、用途によっては、溶媒や分散媒を含有させて液状の樹脂組成物としてもよい。
(1)タルク粒子の平均厚み、厚み分布の標準偏差、変動係数等
i)タルク粒子の平均厚み、厚み分布の標準偏差、変動係数等
まず、ポリプロピレン樹脂(株式会社プライムポリマー製プライムポリプロY−400GP)に15質量%となるようにタルク粒子を配合し樹脂組成物を作製した。作製した樹脂組成物を射出成型して、直径13mmで長さ132mmの試験片を作製した。この試験片を液体窒素中に15分間載置し、この液体窒素中で試験片の中央部付近を長手方向に対して垂直に破断した。破断面が長さ方向にほぼ垂直で、平滑面あることを確認した。液体窒素から破断した試験片を取り出し、その破断面(断面)をSEM(株式会社日立ハイテクノロジーズ社製、装置名SU8220、3000倍以上で粒径に応じて最適倍率を選択)で観察し、断面に存在するタルク粒子の最大厚みを、使用したSEMに付属する計測ソフト(マウンテック社製MACVIEW)で200個測定し、その平均値を平均厚みとした。また、そのヒストグラムを作成し厚み分布の標準偏差、変動係数、アスペクト比(メジアン径/平均厚み)等を求めた。
レーザー回折・散乱法粒子径分布測定装置((株)島津製作所製SALD−200VER)を使用して粒度分布を測定することにより、体積基準のメジアン径(D50:小粒径側からの累積体積50%における粒径)を求めた。
ASTM D638に準じて引張強度及び引張破断伸びを測定した。
射出成型用金型(ASTM D638 Type I)を用いて射出成型を行い、それによって得られた成形品をASTM D638に準じて株式会社オートグラフAG−Xplusで引張強度及び引張破断伸びを評価した。なお、樹脂はポリプロピレン樹脂(株式会社プライムポリマー製プライムポリプロY−400GP)を用い、タルク粒子はポリプロピレン樹脂100質量部に対して15質量部とした。
タルク原料(インド産)をローラーミルにより粗粉砕した。粗粉砕後、スギノマシン社製の湿式微粒化装置:スターバーストラボによりメジアン径が3.7μmとなるように微粉砕した。粉砕後の粉末を蛍光X線分析測定したところタルク粒子純度が93%以上であった(粉砕工程)。粉砕工程を経たタルク粒子について平均厚みを測定した(検査工程)。また、各種物性の測定も行った。平均厚みなどの物性値を下記表1に示す。
タルク原料(パキスタン産)をローラーミルにより粗粉砕した。粗粉砕後、ホソカワミクロン社のカウンタジェットミルAFG 710/4によりメジアン径が4.7μmとなるように微粉砕した。微粉砕後、株式会社村上精機工作所製の横型分級機YACA−400HUTにて粗粉排出量が2〜3質量%以下となるように空気分級した。分級後の粉末を蛍光X線分析測定したところタルク粒子純度が93%以上であった(粉砕工程)。粉砕工程を経たタルク粒子について平均厚みを測定した(検査工程)。また、各種物性の測定も行った。平均厚みなどの物性値を下記表1に示す。
タルク原料(パキスタン産)をローラーミルによりメジアン径が13μmとなるように微粉砕した。粉砕後の粉末を蛍光X線分析測定したところタルク粒子純度が93%以上であった(粉砕工程)。粉砕工程を経たタルク粒子について平均厚みを測定した(検査工程)。また、各種物性の測定も行った。平均厚みなどの物性値を下記表1に示す。
タルク原料(インド産)をローラーミルによりメジアン径が23μmとなるように微粉砕した。粉砕後の粉末を蛍光X線分析測定したところタルク粒子純度が93%以上であった(粉砕工程)。粉砕工程を経たタルク粒子について平均厚みを測定した(検査工程)。また、各種物性の測定も行った。平均厚みなどの物性値を下記表1に示す。
市販品の微粒子タルク(メジアン径:0.6μm)を用いた。当該粉末を蛍光X線分析測定したところタルク粒子純度が93%以上であった。このタルク粒子について平均厚みを測定した。また、各種物性の測定も行った。平均厚みなどの物性値を下記表1に示す。
Claims (4)
- 樹脂成形体の長さ方向にタルク粒子が配向して分散した状態で、前記長さ方向に垂直な断面における断面観察から求めた前記タルク粒子の厚み分布における前記タルク粒子の平均厚みが0.30μm以下であり、粒度分布測定によるメジアン径が2μm以上であり、前記断面観察から求めた厚み分布の標準偏差が、0.15μm以下であるタルク粒子。
- 前記タルク粒子の平均厚みに対する、前記断面観察から求めた厚み分布の標準偏差の比(標準偏差/平均厚み)である変動係数が、0.5以下である請求項1に記載のタルク粒子。
- 前記メジアン径と前記平均厚みとの比であるアスペクト比(メジアン径/平均厚み)が7以上である請求項1に記載のタルク粒子。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載のタルク粒子と樹脂成分とを含有する樹脂組成物。
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