JP2020164749A - 硬化性樹脂組成物、ドライフィルム、硬化物、およびプリント配線板 - Google Patents
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Abstract
【課題】赤外線遮蔽性および経時安定性に優れ、硬化物の屈曲性に優れる硬化性樹脂組成物、ドライフィルム及びその硬化物を有するプリント配線板を提供する。【解決手段】硬化性樹脂組成物は、(A)カルボキシル基含有樹脂と、(B)熱硬化性成分と、(C)光重合開始剤と、(D)有機系近赤外線吸収化合物とを含むことを特徴とする。【選択図】なし
Description
本発明は、硬化性樹脂組成物に関する。さらに、本発明は、該硬化性樹脂組成物を用いたドライフィルム、硬化物、およびプリント配線板に関する。
カメラ等に使用される固体撮像素子(イメージセンサ)は、半導体素子の製造技術を用いて集積回路化された光電変換素子である。近年、固体撮像素子は、携帯電話、及びデジタルカメラの小型化、軽量化にともなってより一層の小型化が望まれている。固体撮像素子の小型化の為に、貫通電極の応用、及びシリコンウエハを薄膜化する手法が提案されている。シリコンウエハを研磨して薄膜化することで小型化は実現できるが、シリコンウエハの薄膜化により、波長800nm以下の光の遮光性は維持されるが、波長800nm以上の光を透過し易くなってきた。固体撮像素子に使用されるフォトダイオードは、波長800nm以上1200nm以下の光にも反応してしまうために、波長800nm以上の光の透過により画質が低下してしまうという新たな問題が生じることがわかった。
固体撮像素子の構成は、フォトダイオードの一方に隣接して、カラーフィルタ及びレンズがあり、カラーフィルタ或いはレンズ付近には赤外カットフィルタが存在して、波長800−1200nmの光を遮断しているが、カラーフィルタの反対側には、金属配線及びソルダーレジストなどが存在する。金属配線間などはソルダーレジストで埋められることが多いが、携帯電話やデジタルカメラ等の内部に入ってくる漏れ光などの赤外光を遮断できない問題があった。そこで、従来、赤外線に対する遮光性に乏しいソルダーレジストの外側に更に赤外線遮光性の層を設け、赤外遮光性を確保する手段が講じられてきた。しかし、一般的に、ソルダーレジスト上は配線などにより段差が存在するために、赤外線遮光性層材料を段差のある基板表面に均一の膜厚で塗布することが難しく、薄い部分が存在するとそこから光が透過してしまう問題があった。
そこで、均一な膜厚でソルダーレジストを形成可能なドライフィルムタイプが注目される。また、その中でも追従性を有し薄膜化も可能である柔軟性のある材料がより好ましい。このような材料であれば小型化、薄型化への要求を満たせ、製品内部の回路基板の高密度化が可能である。一方で、感光性樹脂やこれを含む組成物は、保存中であっても徐々に重合反応が進行して高分子化によりゲル化する。これを防止して経時安定性を高めるために、感光性樹脂の合成時や保存時に重合禁止剤を加える手法が取られる。しかし、ゲル化を効果的に抑制すべく重合禁止剤の添加量を高めると、露光感度が低下し、感光性樹脂ないし感光性樹脂組成物としての性能が低下する。そのため、露光感度を低下させることなく、感光性樹脂のゲル化をより効果的に抑制することが望まれていた。
ソルダーレジストに近赤外吸収を持たせる方法として、感光性樹脂組成物に近赤外線吸収剤としてタングステン化合物を配合することが提案されている(特許文献1参照)。しかし、特許文献1では、近赤外線吸収剤としてタングステン化合物を使用しており、タングステン化合物は輸送や輸出に制限が生じるために汎用品として限界があった。そのため、依然として、タングステン化合物のような金属系赤外線吸収剤を用いずに、赤外線遮蔽性および経時安定性に優れる硬化性樹脂組成物が望まれている。
したがって、本発明の目的は、赤外線遮蔽性および経時安定性に優れ、硬化物の屈曲性に優れる硬化性樹脂組成物を提供することにある。また、本発明の目的は、該樹脂組成物の乾燥塗膜からなる樹脂層を有するドライフィルム、該樹脂組成物または該ドライフィルムの樹脂層の硬化物、及び、該硬化物を有するプリント配線板を提供することにある。
本発明者らは、鋭意検討した結果、近赤外線吸収剤として有機系近赤外吸収剤化合物を配合することにより、高い赤外線遮断性を持ちながら、経時安定性に優れ、硬化物の屈曲性に優れる硬化性樹脂組成物が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明による硬化性樹脂組成物は、(A)カルボキシル基含有樹脂と、(B)熱硬化性成分と、(C)光重合開始剤と、(D)有機系近赤外線吸収化合物とを含むことを特徴とする。
本発明の態様においては、前記(D)有機系近赤外線吸収化合物が、ジイモニウム塩を含む近赤外線吸収色素を含み、前記ジイモニウム塩が、炭素数1〜4のフルオロアルキル基を有することが好ましい。
本発明の態様においては、前記硬化性樹脂組成物は、乾燥塗膜からなる樹脂層の厚さが30μmの時に、800nm〜1200nmの波長領域における最大透過率が20%以下であることが好ましい。
本発明の態様においては、前記熱硬化性成分が、環状(チオ)エーテル基を有する化合物を含むことが好ましい。
本発明の別の態様によるドライフィルムは、支持フィルムと、前記支持フィルム上に形成された前記硬化性樹脂組成物の乾燥塗膜からなる樹脂層とを備えることを特徴とすることを特徴とする。
本発明の別の態様による硬化物は、前記硬化性樹脂組成物、または、前記ドライフィルムの樹脂層を硬化させて得られることを特徴とする。
本発明の別の態様によるプリント配線板は、前記硬化物を備えることを特徴とする。
本発明の別の態様による電子部品は、前記硬化物を備えることを特徴とする。
本発明によれば、赤外線遮蔽性および経時安定性に優れ、硬化物の屈曲性に優れる硬化性樹脂組成物を提供することができる。また、本発明によれば、該樹脂組成物の乾燥塗膜からなる樹脂層を有するドライフィルム、該樹脂組成物または該ドライフィルムの樹脂層の硬化物、及び、該硬化物を有するプリント配線板を提供することができる。
[硬化性樹脂組成物]
本発明による硬化性樹脂組成物は、少なくとも、(A)カルボキシル基含有樹脂と、(B)熱硬化性成分と、(C)光重合開始剤と、(D)有機系近赤外線吸収化合物とを含むものである。近赤外線吸収剤として(D)有機系近赤外線吸収化合物を用いることにより、赤外線遮蔽性および経時安定性に優れた硬化性樹脂組成物を得ることができる。以下、本発明による硬化性樹脂組成物を構成する各成分について説明する。
本発明による硬化性樹脂組成物は、少なくとも、(A)カルボキシル基含有樹脂と、(B)熱硬化性成分と、(C)光重合開始剤と、(D)有機系近赤外線吸収化合物とを含むものである。近赤外線吸収剤として(D)有機系近赤外線吸収化合物を用いることにより、赤外線遮蔽性および経時安定性に優れた硬化性樹脂組成物を得ることができる。以下、本発明による硬化性樹脂組成物を構成する各成分について説明する。
[(A)カルボキシル基含有樹脂]
(A)カルボキシル基含有樹脂としては、分子中にカルボキシル基を有している従来公知の各種樹脂を使用できる。硬化性樹脂組成物が、カルボキシル基含有樹脂を含むことにより、硬化性樹脂組成物に対しアルカリ現像性を付与することができる。特に、分子中にエチレン性不飽和二重結合を有するカルボキシル基含有感光性樹脂が、光硬化性や耐現像性の面から好ましい。エチレン性不飽和二重結合は、アクリル酸もしくはメタクリル酸またはそれらの誘導体由来であることが好ましい。エチレン性不飽和二重結合を有さないカルボキシル基含有樹脂のみを用いる場合、組成物を光硬化性とするためには、後述する分子中に複数のエチレン性不飽和基を有する化合物、即ち光重合性モノマーを併用する必要がある。カルボキシル基含有樹脂の具体例としては、以下のような化合物(オリゴマーおよびポリマーのいずれでもよい)を挙げることができる。
(A)カルボキシル基含有樹脂としては、分子中にカルボキシル基を有している従来公知の各種樹脂を使用できる。硬化性樹脂組成物が、カルボキシル基含有樹脂を含むことにより、硬化性樹脂組成物に対しアルカリ現像性を付与することができる。特に、分子中にエチレン性不飽和二重結合を有するカルボキシル基含有感光性樹脂が、光硬化性や耐現像性の面から好ましい。エチレン性不飽和二重結合は、アクリル酸もしくはメタクリル酸またはそれらの誘導体由来であることが好ましい。エチレン性不飽和二重結合を有さないカルボキシル基含有樹脂のみを用いる場合、組成物を光硬化性とするためには、後述する分子中に複数のエチレン性不飽和基を有する化合物、即ち光重合性モノマーを併用する必要がある。カルボキシル基含有樹脂の具体例としては、以下のような化合物(オリゴマーおよびポリマーのいずれでもよい)を挙げることができる。
(1)(メタ)アクリル酸等の不飽和カルボン酸と、スチレン、α−メチルスチレン、低級アルキル(メタ)アクリレート、イソブチレン等の不飽和基含有化合物との共重合により得られるカルボキシル基含有樹脂。
(2)脂肪族ジイソシアネート、分岐脂肪族ジイソシアネート、脂環式ジイソシアネート、芳香族ジイソシアネート等のジイソシアネートと、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸等のカルボキシル基含有ジアルコール化合物およびポリカーボネート系ポリオール、ポリエーテル系ポリオール、ポリエステル系ポリオール、ポリオレフィン系ポリオール、アクリル系ポリオール、ビスフェノールA系アルキレンオキサイド付加体ジオール、フェノール性ヒドロキシル基およびアルコール性ヒドロキシル基を有する化合物等のジオール化合物の重付加反応によるカルボキシル基含有ウレタン樹脂。
(3)ジイソシアネートと、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビキシレノール型エポキシ樹脂、ビフェノール型エポキシ樹脂等の2官能エポキシ樹脂の(メタ)アクリレートもしくはその部分酸無水物変性物、カルボキシル基含有ジアルコール化合物およびジオール化合物の重付加反応によるカルボキシル基含有感光性ウレタン樹脂。
(4)前記(2)または(3)の樹脂の合成中に、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート等の分子内に1つの水酸基と1つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物を加え、末端(メタ)アクリル化したカルボキシル基含有感光性ウレタン樹脂。
(5)前記(2)または(3)の樹脂の合成中に、イソホロンジイソシアネートとペンタエリスリトールトリアクリレートの等モル反応物など、分子内に1つのイソシアネート基と1つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物を加え末端(メタ)アクリル化したカルボキシル基含有感光性ウレタン樹脂。
(6)2官能またはそれ以上の多官能(固形)エポキシ樹脂に(メタ)アクリル酸を反応させ、側鎖に存在する水酸基に2塩基酸無水物を付加させたカルボキシル基含有感光性樹脂。
(7)2官能(固形)エポキシ樹脂の水酸基をさらにエピクロロヒドリンでエポキシ化した多官能エポキシ樹脂に(メタ)アクリル酸を反応させ、生じた水酸基に2塩基酸無水物を付加させたカルボキシル基含有感光性樹脂。
(8)2官能オキセタン樹脂にアジピン酸、フタル酸、ヘキサヒドロフタル酸等のジカルボン酸を反応させ、生じた1級の水酸基に無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸等の2塩基酸無水物を付加させたカルボキシル基含有ポリエステル樹脂。
(9)1分子中に複数のエポキシ基を有するエポキシ化合物に、p−ヒドロキシフェネチルアルコール等の1分子中に少なくとも1個のアルコール性水酸基と1個のフェノール性水酸基を有する化合物と、(メタ)アクリル酸等の不飽和基含有モノカルボン酸とを反応させ、得られた反応生成物のアルコール性水酸基に対して、無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、アジピン酸等の多塩基酸無水物を反応させて得られるカルボキシル基含有感光性樹脂。
(10)1分子中に複数のフェノール性水酸基を有する化合物とエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等のアルキレンオキサイドとを反応させて得られる反応生成物に不飽和基含有モノカルボン酸を反応させ、得られる反応生成物に多塩基酸無水物を反応させて得られるカルボキシル基含有感光性樹脂。
(11)1分子中に複数のフェノール性水酸基を有する化合物とエチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等の環状カーボネート化合物とを反応させて得られる反応生物に不飽和基含有モノカルボン酸を反応させ、得られる反応生成物に多塩基酸無水物を反応させて得られるカルボキシル基含有感光性樹脂。
(12)前記(1)〜(11)の樹脂にさらに1分子内に1つのエポキシ基と1つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物を付加してなるカルボキシル基含有感光性樹脂。
なお、本明細書において、(メタ)アクリレートとは、アクリレート、メタクリレートおよびそれらの混合物を総称する用語で、他の類似の表現についても同様である。
本発明に使用できる(A)カルボキシル基含有樹脂は、上記列挙したものに限られない。また。上記列挙した(A)カルボキシル基含有樹脂は1種類を単独で用いてもよく、複数種を混合して用いてもよい。上記(2)〜(5)のような、カルボキシル基含有ウレタン樹脂を用いると、屈曲性が良くなる点で好ましい。
本発明において、炭酸ナトリウム水溶液等の弱アルカリ現像液を用いる際の現像性とレジストパターンの描画性を考慮すると、(A)カルボキシル基含有樹脂の酸価は30〜150mgKOH/gの範囲であることが好ましく、50〜120mgKOH/gの範囲であることがより好ましい。(A)カルボキシル基含有樹脂の酸価は高いほど現像性は向上するものの、現像液による露光部の溶解が進むために、露光部と未露光部の区別なく現像液で溶解剥離する場合がある。
(A)カルボキシル基含有樹脂の重量平均分子量は、樹脂骨格により異なるが、一般的に2,000〜150,000の範囲であり、5,000〜100,000の範囲にあるものが好ましい。重量平均分子量が2,000以上の(A)カルボキシル基含有樹脂を用いることにより、解像性やタックフリー性能を向上させることができる。また、重量平均分子量が150,000以下の(A)カルボキシル基含有樹脂を用いることにより現像性や貯蔵安定性を向上させることができる。重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定することができる。
(A)カルボキシル基含有樹脂の配合量は、硬化性樹脂組成物全量あたり固形分換算で、10〜80質量%であることが好ましい。30質量%以上とすることにより硬化被膜の強度を向上させることができる。また70質量%以下とすることで硬化性樹脂組成物の粘性が適当となり加工性が向上する。より好ましい配合量は、40〜70質量%である。
[(B)熱硬化性成分]
(B)熱硬化性成分としては、公知のものをいずれも用いることができる。硬化性樹脂組成物が、(B)熱硬化性成分を含むことにより、硬化被膜の耐熱性を向上させることができる。(B)熱硬化性成分としては、例えば、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、メラミン誘導体、ベンゾグアナミン誘導体等のアミノ樹脂、イソシアネート化合物、ブロックイソシアネート化合物、シクロカーボネート化合物、エポキシ化合物、オキセタン化合物、エピスルフィド樹脂、ビスマレイミド、カルボジイミド樹脂等の公知の熱硬化性成分を使用できる。特に好ましいのは、分子中に複数の環状エーテル基または環状チオエーテル基(以下、環状(チオ)エーテル基と略す)を有する熱硬化性成分である。熱硬化性成分は、1種を単独または2種以上を組み合わせて用いることができる。
(B)熱硬化性成分としては、公知のものをいずれも用いることができる。硬化性樹脂組成物が、(B)熱硬化性成分を含むことにより、硬化被膜の耐熱性を向上させることができる。(B)熱硬化性成分としては、例えば、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、メラミン誘導体、ベンゾグアナミン誘導体等のアミノ樹脂、イソシアネート化合物、ブロックイソシアネート化合物、シクロカーボネート化合物、エポキシ化合物、オキセタン化合物、エピスルフィド樹脂、ビスマレイミド、カルボジイミド樹脂等の公知の熱硬化性成分を使用できる。特に好ましいのは、分子中に複数の環状エーテル基または環状チオエーテル基(以下、環状(チオ)エーテル基と略す)を有する熱硬化性成分である。熱硬化性成分は、1種を単独または2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記の分子中に複数の環状(チオ)エーテル基を有する熱硬化性成分は、分子中に3、4または5員環の環状(チオ)エーテル基を複数有する化合物であり、例えば、分子内に複数のエポキシ基を有する化合物、すなわち多官能エポキシ化合物、分子内に複数のオキセタニル基を有する化合物、すなわち多官能オキセタン化合物、分子内に複数のチオエーテル基を有する化合物、すなわちエピスルフィド樹脂等が挙げられる。
このようなエポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAのノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂等が挙げられる。
市販されるエポキシ樹脂としては、例えば、三菱ケミカル株式会社製のjER 828、806、807、YX8000、YX8034、834、日鉄ケミカル&マテリアル株式会社製のYD−128、YDF−170、ZX−1059、ST−3000、DIC株式会社製のEPICLON 830、835、840、850、N−730A、N−695、および日本化薬株式会社製のRE−306等が挙げられる。
多官能オキセタン化合物としては、例えば、ビス[(3−メチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]エーテル、ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]エーテル、1,4−ビス[(3−メチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン、1,4−ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン、(3−メチル−3−オキセタニル)メチルアクリレート、(3−エチル−3−オキセタニル)メチルアクリレート、(3−メチル−3−オキセタニル)メチルメタクリレート、(3−エチル−3−オキセタニル)メチルメタクリレートやそれらのオリゴマーまたは共重合体等の多官能オキセタン類の他、オキセタンアルコールとノボラック樹脂、ポリ(p−ヒドロキシスチレン)、カルド型ビスフェノール類、カリックスアレーン類、カリックスレゾルシンアレーン類、またはシルセスキオキサン等の水酸基を有する樹脂とのエーテル化物等が挙げられる。その他、オキセタン環を有する不飽和モノマーとアルキル(メタ)アクリレートとの共重合体等も挙げられる。
分子中に複数の環状チオエーテル基を有する化合物としては、ビスフェノールA型エピスルフィド樹脂等が挙げられる。また、同様の合成方法を用いて、ノボラック型エポキシ樹脂のエポキシ基の酸素原子を硫黄原子に置き換えたエピスルフィド樹脂なども用いることができる。
メラミン誘導体、ベンゾグアナミン誘導体等のアミノ樹脂としては、メチロールメラミン化合物、メチロールベンゾグアナミン化合物、メチロールグリコールウリル化合物およびメチロール尿素化合物等が挙げられる。
イソシアネート化合物としては、ポリイソシアネート化合物を配合することができる。ポリイソシアネート化合物としては、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、ナフタレン−1,5−ジイソシアネート、o−キシリレンジイソシアネート、m−キシリレンジイソシアネートおよび2,4−トリレンダイマー等の芳香族ポリイソシアネート;テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、メチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、4,4−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)およびイソホロンジイソシアネート等の脂肪族ポリイソシアネート;ビシクロヘプタントリイソシアネート等の脂環式ポリイソシアネート;並びに先に挙げたイソシアネート化合物のアダクト体、ビューレット体およびイソシアヌレート体等が挙げられる。
ブロックイソシアネート化合物としては、イソシアネート化合物とイソシアネートブロック剤との付加反応生成物を用いることができる。イソシアネートブロック剤と反応し得るイソシアネート化合物としては、例えば、上述のポリイソシアネート化合物等が挙げられる。イソシアネートブロック剤としては、例えば、フェノール系ブロック剤;ラクタム系ブロック剤;活性メチレン系ブロック剤;アルコール系ブロック剤;オキシム系ブロック剤;メルカプタン系ブロック剤;酸アミド系ブロック剤;イミド系ブロック剤;アミン系ブロック剤;イミダゾール系ブロック剤;イミン系ブロック剤等が挙げられる。
(B)熱硬化性成分の配合量は、(A)カルボキシル基含有樹脂に含有されるカルボキシル基1molあたりに対し、反応する熱硬化性成分の官能基数が0.5〜2.5molが好ましく、より好ましくは0.8〜2.0molである。
[(C)光重合開始剤]
光重合開始剤は、(A)カルボキシル基含有樹脂や光重合性モノマーを露光により反応させるためのものである。光重合開始剤としては、公知のものをいずれも用いることができる。光重合開始剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
光重合開始剤は、(A)カルボキシル基含有樹脂や光重合性モノマーを露光により反応させるためのものである。光重合開始剤としては、公知のものをいずれも用いることができる。光重合開始剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
光重合開始剤としては、具体的には例えば、ビス−(2,6−ジクロロベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジクロロベンゾイル)−2,5−ジメチルフェニルフォスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジクロロベンゾイル)−4−プロピルフェニルフォスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジクロロベンゾイル)−1−ナフチルフォスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,5−ジメチルフェニルフォスフィンオキサイド、ビス−(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド等のビスアシルフォスフィンオキサイド類;2,6−ジメトキシベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、2,6−ジクロロベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルフォスフィン酸メチルエステル、2−メチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、ピバロイルフェニルフォスフィン酸イソプロピルエステル、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド等のモノアシルフォスフィンオキサイド類;フェニル(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フォスフィン酸エチル、1−ヒドロキシ−シクロヘキシルフェニルケトン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン等のヒドロキシアセトフェノン類;ベンゾイン、ベンジル、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインn−プロピルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインn−ブチルエーテル等のベンゾイン類;ベンゾインアルキルエーテル類;ベンゾフェノン、p−メチルベンゾフェノン、ミヒラーズケトン、メチルベンゾフェノン、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、4,4’−ビスジエチルアミノベンゾフェノン等のベンゾフェノン類;アセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1,1−ジクロロアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−1−プロパノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル)−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]−1−ブタノン、N,N−ジメチルアミノアセトフェノン等のアセトフェノン類;チオキサントン、2−エチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン等のチオキサントン類;アントラキノン、クロロアントラキノン、2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−tert−ブチルアントラキノン、1−クロロアントラキノン、2−アミルアントラキノン、2−アミノアントラキノン等のアントラキノン類;アセトフェノンジメチルケタール、ベンジルジメチルケタール等のケタール類;エチル−4−ジメチルアミノベンゾエート、2−(ジメチルアミノ)エチルベンゾエート、p−ジメチル安息香酸エチルエステル等の安息香酸エステル類;1,2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)]、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(O−アセチルオキシム)等のオキシムエステル類;ビス(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)フェニル)チタニウム、ビス(シクロペンタジエニル)−ビス[2,6−ジフルオロ−3−(2−(1−ピル−1−イル)エチル)フェニル]チタニウム等のチタノセン類;フェニルジスルフィド2−ニトロフルオレン、ブチロイン、アニソインエチルエーテル、アゾビスイソブチロニトリル、テトラメチルチウラムジスルフィド等を挙げることができる。
α−アミノアセトフェノン系光重合開始剤の市販品としては、IGM Resins社製のOmnirad 907、369、369E、379等が挙げられる。また、アシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤の市販品としては、IGM Resins社製のOmnirad TPO、819等が挙げられる。オキシムエステル系光重合開始剤の市販品としては、BASFジャパン株式会社製のIrgacure OXE01、OXE02、株式会社ADEKA製N−1919、アデカアークルズ NCI−831、NCI−831E、常州強力電子新材料社製TR−PBG−304などが挙げられる。
その他、特開2004−359639号公報、特開2005−097141号公報、特開2005−220097号公報、特開2006−160634号公報、特開2008−094770号公報、特表2008−509967号公報、特表2009−040762号公報、特開2011−80036号公報記載のカルバゾールオキシムエステル化合物等を挙げることができる。
光重合開始剤の配合量は、(A)カルボキシル基含有樹脂100質量部に対して、0.1〜20質量部であることが好ましく、0.5〜18質量部であることがより好ましく、1〜15質量部がさらに好ましい。0.1質量部以上の場合、樹脂組成物の光硬化性が良好となり、耐薬品性等の被膜特性も良好となる。一方、20質量部以下の場合、レジスト膜(硬化被膜)表面での光吸収が良好となり、深部硬化性が低下しにくい。
上記した(C)光重合開始剤と併用して、光開始助剤または増感剤を用いてもよい。光開始助剤または増感剤としては、ベンゾイン化合物、アントラキノン化合物、チオキサントン化合物、ケタール化合物、ベンゾフェノン化合物、3級アミン化合物、およびキサントン化合物などを挙げることができる。特に、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、4−イソプロピルチオキサントン等のチオキサントン化合物を用いることが好ましい。チオキサントン化合物が含まれることにより、深部硬化性を向上させることができる。これらの化合物は、光重合開始剤として用いることができる場合もあるが、光重合開始剤と併用して用いることが好ましい。また、光開始助剤または増感剤は1種類を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
なお、これら光重合開始剤、光開始助剤、および増感剤は、特定の波長を吸収するため、場合によっては感度が低くなり、紫外線吸収剤として機能することがある。しかしながら、これらは樹脂組成物の感度を向上させることだけの目的に用いられるものではない。必要に応じて特定の波長の光を吸収させて、表面の光反応性を高め、レジストパターンのライン形状および開口を垂直、テーパー状、逆テーパー状に変化させるとともに、ライン幅や開口径の精度を向上させることができる。
[(D)有機系近赤外線吸収化合物]
(D)有機系近赤外線吸収化合物は波長700nm〜2000nmの光を吸収するものであれば特に限定されず、いずれのものを用いることもできる。 本発明においては、最大吸収波長が好ましくは750nm〜1500nm、より好ましくは800nm〜1000nmである有機系近赤外線吸収色素を用いることができる。
(D)有機系近赤外線吸収化合物は波長700nm〜2000nmの光を吸収するものであれば特に限定されず、いずれのものを用いることもできる。 本発明においては、最大吸収波長が好ましくは750nm〜1500nm、より好ましくは800nm〜1000nmである有機系近赤外線吸収色素を用いることができる。
有機系近赤外線吸収色素としては、ジイモニウム塩化合物、フタロシアニン化合物、シアニン化合物、アントラキノン化合物、ジチオール化合物等が挙げられる。これら近赤外線吸収色素の中でもジイモニウム塩化合物が好ましい。
上記一般式(1)中の、R1〜R8の有機基は、それぞれ同一であっても異なっていてもよく、好ましい有機基としては、例えば、ハロゲン原子で置換されていてもよい直鎖または分岐状のC1−10アルキル基、シクロヘキシルアルキル基、フェニルアルキル基等が挙げられる。
上記有機基のうち、C1−10のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−アミル基、iso−アミル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、1−エチルブチル基、2−エチルブチル基、2−ジメチルプロピル基、1,1−ジメチルプロピル基、n−ペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基等が挙げられる。
また、上記有機基のうち、ハロゲン原子で置換されたC1−10アルキル基としては、例えば、2−ハロゲノエチル基、2,2−ジハロゲノエチル基、2,2,2−トリハロゲノエチル基、3−ハロゲノプロピル基、3,3−ジハロゲノプロピル基、3,3,3−トリハロゲノプロピル基、4−ハロゲノブチル基、4,4−ジハロゲノブチル基、4,4,4−トリハロゲノブチル基、5−ハロゲノペンチル基、5,5−ジハロゲノペンチル基、5,5,5−トリフルオロペンチル基等のハロゲン化アルキル基等が挙げられる。より具体的には、2−フルオロエチル基、3−フルオロプロピル基、4−フルオロブチル基、5−フルオロペンチル基等のモノフルオロアルキル基等が挙げられる。
一般式(2)中、Aは炭素数1〜10のアルキル基、好ましくは炭素数1〜4のアルキル基を示し、R9は炭素数1〜4のアルキル基またはハロゲン原子を示す。
上記シクロヘキシルアルキル基の具体例としては、シクロヘキシルメチル基、シクロヘキシルエチル基、シクロヘキシルプロピル基、シクロヘキシルブチル基、メチル2−エチルシクロヘキシルメチル基、3−メチルシクロヘキシルメチル基、4−メチルシクロヘキシルメチル基、4−メチルシクロヘキシルエチル基、4−メチルシクロヘキシルプロピル基、4−メチルシクロヘキシルブチル基、4−フルオロシクロヘキシルメチル基等が挙げられる。これらの中でもシクロヘキシルメチル基が好ましい。
一般式(3)中、Bは炭素数1〜10のアルキル基、好ましくは炭素数1〜4のアルキル基を示し、R10は炭素数1〜4のアルキル基またはハロゲン原子を示す。
上記フェニルアルキル基の具体例としては、メチルベンジル基、エチルベンジル基、プロピルベンジル基、ブチルベンジル基等が挙げられる。
これらの有機基の中で、特に好ましいのは、一般式(2)で表されるシクロヘキシルアルキル基であり、特に好ましくはシクロヘキシルメチル基である。これらの有機基にすることで、疎水性が高くなるため、耐久性に優れるようになる。
また、一般式(1)で表されるジイモニウム塩化合物中のX−は、ジイモニウム化合物カチオンの電荷を中和させるのに必要なアニオンであり、例えば、無機アニオン、有機酸アニオン等が使用できる。アニオンとして具体的には、フッ素イオン、塩素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオン等のハロゲンイオン、過塩素酸イオン、過ヨウ素酸イオン、テトラフルオロホウ酸イオン、ヘキサフルオロリン酸イオン、ヘキサフルオロアンチモン酸イオンビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド酸イオン、ビス(フルオロスルホニル)イミド酸イオン等が挙げられる。
これらアニオンの中でも、ヘキサフルオロリン酸イオン、ヘキサフルオロアンチモン酸イオン、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド酸イオン、ビス(フルオロスルホニル)イミド酸イオンがより好ましく挙げられ、ヘキサフルオロリン酸イオンまたはビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド酸イオンが好ましい。
これらジイモニウム塩化合物は、例えば、特開2010−249964号公報の記載に基づいて合成したものや、市販のもの等を利用することができる。市販品としては、例えば、CIR−FS163M(日本カーリット株式会社製、末端:シクロヘキシルメチル基)、CIR−265(日本カーリット株式会社製、末端:エチルベンジル基)等が挙げられる。
(D)有機系近赤外線吸収剤の配合量は、固形分換算で、(A)カルボキシル基含有樹脂100質量部に対して、好ましくは1〜20質量%であり、より好ましくは2〜10質量%であり、さらに好ましくは5〜8質量%である。
[光重合性モノマー]
本発明の硬化性樹脂組成物には、光重合性モノマーを配合することができる。光重合性モノマーは、エチレン性不飽和二重結合を有するモノマーである。このような光重合性モノマーとしては、例えば、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート類;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類;エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール等のアルキレンオキサイド誘導体のモノまたはジ(メタ)アクリレート類;ヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジトリメチロールプロパン、ジペンタエリスリトール、トリスヒドロキシエチルイソシアヌレート等の多価アルコールまたはこれらのエチレンオキサイドあるいはプロピレンオキサイド付加物の多価(メタ)アクリレート類;フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのポリエトキシジ(メタ)アクリレート等のフェノール類のエチレンオキサイドあるいはプロピレンオキサイド付加物の(メタ)アクリレート類;グリセリンジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、トリグリシジルイソシアヌレートなどのグリジジルエーテルの(メタ)アクリレート類;およびメラミン(メタ)アクリレートが挙げられる。光重合性モノマーは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の硬化性樹脂組成物には、光重合性モノマーを配合することができる。光重合性モノマーは、エチレン性不飽和二重結合を有するモノマーである。このような光重合性モノマーとしては、例えば、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート類;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類;エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール等のアルキレンオキサイド誘導体のモノまたはジ(メタ)アクリレート類;ヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジトリメチロールプロパン、ジペンタエリスリトール、トリスヒドロキシエチルイソシアヌレート等の多価アルコールまたはこれらのエチレンオキサイドあるいはプロピレンオキサイド付加物の多価(メタ)アクリレート類;フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのポリエトキシジ(メタ)アクリレート等のフェノール類のエチレンオキサイドあるいはプロピレンオキサイド付加物の(メタ)アクリレート類;グリセリンジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、トリグリシジルイソシアヌレートなどのグリジジルエーテルの(メタ)アクリレート類;およびメラミン(メタ)アクリレートが挙げられる。光重合性モノマーは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
光重合性モノマーの配合量は、固形分換算で、(A)カルボキシル基含有樹脂100質量部に対して、好ましくは0.1〜40質量部である。配合量が、0.1質量部以上の場合、光硬化性が良好であり、活性エネルギー線照射後のアルカリ現像において、パターン形成がし易い。一方、40質量部以下の場合、ハレーションが生じにくく良好な解像性が得られる。
[熱硬化触媒]
本発明の硬化性樹脂組成物には、熱硬化触媒を配合することができる。熱硬化触媒としては、例えば、イミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、4−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−(2−シアノエチル)−2−エチル−4−メチルイミダゾール等のイミダゾール誘導体;ジシアンジアミド、ベンジルジメチルアミン、4−(ジメチルアミノ)−N,N−ジメチルベンジルアミン、4−メトキシ−N,N−ジメチルベンジルアミン、4−メチル−N,N−ジメチルベンジルアミン等のアミン化合物、アジピン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド等のヒドラジン化合物;トリフェニルフォスフィン等のリン化合物等が挙げられる。また、市販されているものとしては、例えば四国化成工業株式会社製の2MZ−A、2MZ−OK、2PHZ、2P4BHZ、2P4MHZ(いずれもイミダゾール系化合物の商品名)、サンアプロ株式会社製のU−CAT 3513N(ジメチルアミン系化合物の商品名)、DBU、DBN、U−CAT SA 102(いずれも二環式アミジン化合物およびその塩)などが挙げられる。特に、これらに限られるものではなく、エポキシ樹脂やオキセタン化合物の熱硬化触媒、もしくはエポキシ基およびオキセタニル基の少なくとも何れか1種とカルボキシル基の反応を促進するものであればよく、単独でまたは2種以上を混合して使用してもかまわない。
本発明の硬化性樹脂組成物には、熱硬化触媒を配合することができる。熱硬化触媒としては、例えば、イミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、4−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−(2−シアノエチル)−2−エチル−4−メチルイミダゾール等のイミダゾール誘導体;ジシアンジアミド、ベンジルジメチルアミン、4−(ジメチルアミノ)−N,N−ジメチルベンジルアミン、4−メトキシ−N,N−ジメチルベンジルアミン、4−メチル−N,N−ジメチルベンジルアミン等のアミン化合物、アジピン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド等のヒドラジン化合物;トリフェニルフォスフィン等のリン化合物等が挙げられる。また、市販されているものとしては、例えば四国化成工業株式会社製の2MZ−A、2MZ−OK、2PHZ、2P4BHZ、2P4MHZ(いずれもイミダゾール系化合物の商品名)、サンアプロ株式会社製のU−CAT 3513N(ジメチルアミン系化合物の商品名)、DBU、DBN、U−CAT SA 102(いずれも二環式アミジン化合物およびその塩)などが挙げられる。特に、これらに限られるものではなく、エポキシ樹脂やオキセタン化合物の熱硬化触媒、もしくはエポキシ基およびオキセタニル基の少なくとも何れか1種とカルボキシル基の反応を促進するものであればよく、単独でまたは2種以上を混合して使用してもかまわない。
さらに、グアナミン、アセトグアナミン、ベンゾグアナミン、2,4−ジアミノ−6−メタクリロイルオキシエチル−S−トリアジン、2−ビニル−2,4−ジアミノ−S−トリアジン、2−ビニル−4,6−ジアミノ−S−トリアジン・イソシアヌル酸付加物、2,4−ジアミノ−6−メタクリロイルオキシエチル−S−トリアジン・イソシアヌル酸付加物等のS−トリアジン誘導体を用いることもでき、好ましくはこれら密着性付与剤としても機能する化合物を熱硬化触媒と併用する。熱硬化触媒は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
熱硬化触媒の配合量は、固形分換算で、(A)カルボキシル基含有樹脂100質量部に対して、好ましくは0.1〜10質量部であり、より好ましくは0.1〜0.5質量部である。0.1質量部以上の場合、耐熱性に優れる。10質量部以下の場合、経時安定性向上につながる。
[着色剤]
本発明の硬化性樹脂組成物には、着色剤を配合することができる。着色剤としては、特に限定されず、赤、青、緑、黄等の公知の着色剤を使用することができ、顔料、染料、色素のいずれでもよいが、環境負荷の低減や人体への影響が少ない観点からハロゲンを含有しない着色剤であることが好ましい。
本発明の硬化性樹脂組成物には、着色剤を配合することができる。着色剤としては、特に限定されず、赤、青、緑、黄等の公知の着色剤を使用することができ、顔料、染料、色素のいずれでもよいが、環境負荷の低減や人体への影響が少ない観点からハロゲンを含有しない着色剤であることが好ましい。
赤色着色剤としてはモノアゾ系、ジスアゾ系、アゾレーキ系、ベンズイミダゾロン系、ペリレン系、ジケトピロロピロール系、縮合アゾ系、アントラキノン系、キナクリドン系等があり、具体的には以下のようなカラ−インデックス(C.I.;ザ ソサイエティ オブ ダイヤーズ アンド カラリスツ(The Society of Dyersand Colourists)発行)番号が付されているものが挙げられる。
モノアゾ系赤色着色剤としては、Pigment Red 1,2,3,4,5,6,8,9,12,14,15,16,17,21,22,23,31,32,112,114,146,147,151,170,184,187,188,193,210,245,253,258,266,267,268,269等が挙げられる。また、ジスアゾ系赤色着色剤としては、Pigment Red 37,38,41等が挙げられる。また、モノアゾレーキ系赤色着色剤としては、Pigment Red 48:1,48:2,48:3,48:4,49:1,49:2,50:1,52:1,52:2,53:1,53:2,57:1,58:4,63:1,63:2,64:1,68等が挙げられる。また、ベンズイミダゾロン系赤色着色剤としては、Pigment Red 171,175,176、185、208等が挙げられる。また、ぺリレン系赤色着色剤としては、Solvent Red 135,179,Pigment Red 123,149,166,178,179,190,194,224等が挙げられる。また、ジケトピロロピロール系赤色着色剤としては、Pigment Red 254,255,264,270,272等が挙げられる。また、縮合アゾ系赤色着色剤としては、Pigment Red 220,144,166,214,220,221,242等が挙げられる。また、アントラキノン系赤色着色剤としては、Pigment Red 168,177,216、Solvent Red 149,150,52,207等が挙げられる。また、キナクリドン系赤色着色剤としては、Pigment Red 122,202,206,207,209等が挙げられる。
青色着色剤としてはフタロシアニン系、アントラキノン系があり、顔料系はピグメント(Pigment)に分類されている化合物が挙げられ、例えば、Pigment Blue 15,15:1,15:2,15:3,15:4,15:6,16,60。染料系としては、Solvent Blue 35,63,68,70,83,87,94,97,122,136,67,70等を使用することができる。上記以外にも、金属置換もしくは無置換のフタロシアニン化合物も使用することができる。
黄色着色剤としてはモノアゾ系、ジスアゾ系、縮合アゾ系、ベンズイミダゾロン系、イソインドリノン系、アントラキノン系等が挙げられ、例えば、アントラキノン系黄色着色剤としては、Solvent Yellow 163,Pigment Yellow 24,108,193,147,199,202等が挙げられる。イソインドリノン系黄色着色剤としては、Pigment Yellow 110,109,139,179,185等が挙げられる。縮合アゾ系黄色着色剤としては、Pigment Yellow
93,94,95,128,155,166,180等が挙げられる。ベンズイミダゾロン系黄色着色剤としては、Pigment Yellow 120,151,154,156,175,181等が挙げられる。また、モノアゾ系黄色着色剤としては、Pigment Yellow 1,2,3,4,5,6,9,10,12,61,62,62:1,65,73,74,75,97,100,104,105,111,116,167,168,169,182,183等が挙げられる。また、ジスアゾ系黄色着色剤としては、Pigment Yellow 12,13,14,16,17,55,63,81,83,87,126,127,152,170,172,174,176,188,198等が挙げられる。
93,94,95,128,155,166,180等が挙げられる。ベンズイミダゾロン系黄色着色剤としては、Pigment Yellow 120,151,154,156,175,181等が挙げられる。また、モノアゾ系黄色着色剤としては、Pigment Yellow 1,2,3,4,5,6,9,10,12,61,62,62:1,65,73,74,75,97,100,104,105,111,116,167,168,169,182,183等が挙げられる。また、ジスアゾ系黄色着色剤としては、Pigment Yellow 12,13,14,16,17,55,63,81,83,87,126,127,152,170,172,174,176,188,198等が挙げられる。
その他、紫、オレンジ、茶色、黒、白等の着色剤を加えてもよい。具体的には、Pigment Black 1,6,7,8,9,10,11,12,13,18,20,25,26,28,29,30,31,32、Pigment Violet 19、23、29、32、36、38、42、Solvent Violet13,36、C.I.Pigment Orange 1,5,13,14,16,17,24,34,36,38,40,43,46,49,51,61,63,64,71,73、PigmentBrown 23,25,カーボンブラック、酸化チタン等が挙げられる。
[有機溶剤]
本発明の硬化性樹脂組成物には、組成物の調製や、基板やフィルムに塗布する際の粘度調整等の目的で、有機溶剤を含有させることができる。有機溶剤としては、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;トルエン、キシレン、テトラメチルベンゼン等の芳香族炭化水素類;セロソルブ、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、カルビトール、メチルカルビトール、ブチルカルビトール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールエーテル類;酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸ブチル、セロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、カルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、炭酸プロピレン等のエステル類;オクタン、デカン等の脂肪族炭化水素類;石油エーテル、石油ナフサ、ソルベントナフサ等の石油系溶剤など、公知慣用の有機溶剤が使用できる。これらの有機溶剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の硬化性樹脂組成物には、組成物の調製や、基板やフィルムに塗布する際の粘度調整等の目的で、有機溶剤を含有させることができる。有機溶剤としては、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;トルエン、キシレン、テトラメチルベンゼン等の芳香族炭化水素類;セロソルブ、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、カルビトール、メチルカルビトール、ブチルカルビトール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールエーテル類;酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸ブチル、セロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、カルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、炭酸プロピレン等のエステル類;オクタン、デカン等の脂肪族炭化水素類;石油エーテル、石油ナフサ、ソルベントナフサ等の石油系溶剤など、公知慣用の有機溶剤が使用できる。これらの有機溶剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
[その他の添加成分]
本発明の硬化性樹脂組成物には、必要に応じてさらに、光開始助剤、シアネート化合物、エラストマー、メルカプト化合物、ウレタン化触媒、チキソ化剤、密着促進剤、ブロック共重合体、連鎖移動剤、重合禁止剤、銅害防止剤、酸化防止剤、防錆剤、微粉シリカ、有機ベントナイト、モンモリロナイト等の増粘剤、シリコーン系、フッ素系、高分子系等の消泡剤および/またはレベリング剤、イミダゾール系、チアゾール系、トリアゾール系等のシランカップリング剤、フォスフィン酸塩、燐酸エステル誘導体、フォスファゼン化合物等のリン化合物等の難燃剤などの成分を配合することができる。これらは、電子材料の分野において公知の物を使用することができる。
本発明の硬化性樹脂組成物には、必要に応じてさらに、光開始助剤、シアネート化合物、エラストマー、メルカプト化合物、ウレタン化触媒、チキソ化剤、密着促進剤、ブロック共重合体、連鎖移動剤、重合禁止剤、銅害防止剤、酸化防止剤、防錆剤、微粉シリカ、有機ベントナイト、モンモリロナイト等の増粘剤、シリコーン系、フッ素系、高分子系等の消泡剤および/またはレベリング剤、イミダゾール系、チアゾール系、トリアゾール系等のシランカップリング剤、フォスフィン酸塩、燐酸エステル誘導体、フォスファゼン化合物等のリン化合物等の難燃剤などの成分を配合することができる。これらは、電子材料の分野において公知の物を使用することができる。
硬化性樹脂組成物は、ドライフィルム化して用いても液状として用いてもよい。また、液状として用いる場合は、1液性でも2液性以上でもよい。
[物性]
本発明の硬化性樹脂組成物は、乾燥塗膜からなる樹脂層の厚さが30μmの時に、800nm〜1200nmの波長領域における最大透過率が好ましくは20%以下であり、より好ましくは10%以下であり、さらに好ましくは3%以下である。800nm〜1200nmの波長領域における最大透過率が20%以下であることで、赤外線遮蔽性に優れる。なお、硬化性樹脂組成物の乾燥塗膜からなる樹脂層の800nm〜1200nmの波長領域における最大透過率は、分光光度計を用いて測定することができる。
本発明の硬化性樹脂組成物は、乾燥塗膜からなる樹脂層の厚さが30μmの時に、800nm〜1200nmの波長領域における最大透過率が好ましくは20%以下であり、より好ましくは10%以下であり、さらに好ましくは3%以下である。800nm〜1200nmの波長領域における最大透過率が20%以下であることで、赤外線遮蔽性に優れる。なお、硬化性樹脂組成物の乾燥塗膜からなる樹脂層の800nm〜1200nmの波長領域における最大透過率は、分光光度計を用いて測定することができる。
[用途]
本発明による硬化性樹脂組成物は、ソルダーレジストやカバーレイ、層間絶縁層等のプリント配線板の永久被膜としてのパターン層を形成するために有用であり、特にソルダーレジストの形成に有用である。また、本発明の硬化性樹脂組成物は、薄膜でも膜強度に優れた硬化物を形成できることから、薄膜化が要求されるプリント配線板、例えばパッケージ基板(半導体パッケージに用いられるプリント配線板)におけるパターン層の形成にも好適に用いることができる。さらに、本発明の硬化性樹脂組成物から得られる硬化物は、屈曲性に優れることから、フレキシブルプリント配線板に好適に使用できる。
本発明による硬化性樹脂組成物は、ソルダーレジストやカバーレイ、層間絶縁層等のプリント配線板の永久被膜としてのパターン層を形成するために有用であり、特にソルダーレジストの形成に有用である。また、本発明の硬化性樹脂組成物は、薄膜でも膜強度に優れた硬化物を形成できることから、薄膜化が要求されるプリント配線板、例えばパッケージ基板(半導体パッケージに用いられるプリント配線板)におけるパターン層の形成にも好適に用いることができる。さらに、本発明の硬化性樹脂組成物から得られる硬化物は、屈曲性に優れることから、フレキシブルプリント配線板に好適に使用できる。
また、本発明による硬化性樹脂組成物は、硬化膜のパターン層を形成する用途だけでなく、パターン層を形成しない用途、例えばモールド用途(封止用途)に用いることができる。
[ドライフィルム]
本発明の硬化性樹脂組成物は、支持(キャリア)フィルムと、この支持フィルム上に形成された上記硬化性樹脂組成物の乾燥塗膜からなる樹脂層とを備えたドライフィルムの形態とすることもできる。ドライフィルム化に際しては、本発明の硬化性樹脂組成物を上記有機溶剤で希釈して適切な粘度に調整し、コンマコーター、ブレードコーター、リップコーター、ロッドコーター、スクイズコーター、リバースコーター、トランスファロールコーター、グラビアコーター、スプレーコーター等でキャリアフィルム上に均一な厚さに塗布し、通常、50〜130℃の温度で1〜30分間乾燥して膜を得ることができる。塗布膜厚については特に制限はないが、一般に、乾燥後の膜厚で、1〜150μm、好ましくは10〜60μmの範囲で適宜選択される。
本発明の硬化性樹脂組成物は、支持(キャリア)フィルムと、この支持フィルム上に形成された上記硬化性樹脂組成物の乾燥塗膜からなる樹脂層とを備えたドライフィルムの形態とすることもできる。ドライフィルム化に際しては、本発明の硬化性樹脂組成物を上記有機溶剤で希釈して適切な粘度に調整し、コンマコーター、ブレードコーター、リップコーター、ロッドコーター、スクイズコーター、リバースコーター、トランスファロールコーター、グラビアコーター、スプレーコーター等でキャリアフィルム上に均一な厚さに塗布し、通常、50〜130℃の温度で1〜30分間乾燥して膜を得ることができる。塗布膜厚については特に制限はないが、一般に、乾燥後の膜厚で、1〜150μm、好ましくは10〜60μmの範囲で適宜選択される。
支持フィルムとしては、公知のものであれば特に制限なく使用することができ、例えば、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート等のポリエステルフィルム、ポリイミドフィルム、ポリアミドイミドフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリスチレンフィルム等の熱可塑性樹脂からなるフィルムを好適に使用することができる。これらの中でも、耐熱性、機械的強度、取扱性等の観点から、ポリエステルフィルムが好ましい。また、これらフィルムの積層体を支持フィルムとして使用することもできる。
また、上記したような熱可塑性樹脂フィルムは、機械的強度向上の観点から、一軸方向または二軸方向に延伸されたフィルムであることが好ましい。
支持フィルムの厚さは、特に制限されるものではないが、例えば、10μm〜150μmとすることができる。
支持フィルム上に本発明の硬化性樹脂組成物の乾燥塗膜からなる樹脂層を形成した後、さらに、樹脂層の表面に塵が付着するのを防ぐなどの目的で、樹脂層の表面に剥離可能な保護(カバー)フィルムを積層することが好ましい。剥離可能な保護フィルムとしては、例えば、ポリエチレンフィルム、ポリテトラフルオロエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、表面処理した紙等を用いることができ、保護フィルムを剥離するときに樹脂層と支持フィルムとの接着力よりも樹脂層と保護フィルムとの接着力がより小さいものであればよい。
保護フィルムの厚さは、特に限定されるものではないが、例えば、10μm〜150μmとすることができる。
ドライフィルムを用いてプリント配線板上に硬化被膜を作製するには、ドライフィルムから保護フィルムを剥離し、ドライフィルムの露出した樹脂層を回路形成された基材に重ね、ラミネーター等を用いて貼り合わせ、回路形成された基材上に樹脂層を形成する。次いで、形成された樹脂層に対し、露光、現像、加熱硬化すれば、硬化被膜を形成することができる。保護フィルムは、露光前または露光後のいずれかで剥離すればよい。
[硬化物]
本発明の硬化物は、上記本発明の硬化性樹脂組成物、または、上記本発明のドライフィルムの樹脂層を硬化して得られるものである。本発明の硬化物は、プリント配線板や電子部品等に好適に用いることができる。本発明の硬化物は、屈曲性に優れるものであるため、特にフレキシブルプリント配線板に好適に用いることができる。また、本発明の硬化物は、赤外線遮蔽性および経時安定性にも優れる。
本発明の硬化物は、上記本発明の硬化性樹脂組成物、または、上記本発明のドライフィルムの樹脂層を硬化して得られるものである。本発明の硬化物は、プリント配線板や電子部品等に好適に用いることができる。本発明の硬化物は、屈曲性に優れるものであるため、特にフレキシブルプリント配線板に好適に用いることができる。また、本発明の硬化物は、赤外線遮蔽性および経時安定性にも優れる。
[プリント配線板]
本発明のプリント配線板は、本発明の硬化性樹脂組成物またはドライフィルムの樹脂層から得られる硬化物を有するものである。本発明のプリント配線板の製造方法としては、例えば、本発明の硬化性樹脂組成物を、上記有機溶剤を用いて塗布方法に適した粘度に調整して、基材上に、ディップコート法、フローコート法、ロールコート法、バーコーター法、スクリーン印刷法、カーテンコート法等の方法により塗布した後、60〜100℃の温度で組成物中に含まれる有機溶剤を揮発乾燥(仮乾燥)させることで、タックフリーの樹脂層を形成する。また、ドライフィルムの場合、ラミネーター等により樹脂層が基材と接触するように基材上に貼り合わせた後、キャリアフィルムを剥がすことにより、基材上に樹脂層を形成する。
本発明のプリント配線板は、本発明の硬化性樹脂組成物またはドライフィルムの樹脂層から得られる硬化物を有するものである。本発明のプリント配線板の製造方法としては、例えば、本発明の硬化性樹脂組成物を、上記有機溶剤を用いて塗布方法に適した粘度に調整して、基材上に、ディップコート法、フローコート法、ロールコート法、バーコーター法、スクリーン印刷法、カーテンコート法等の方法により塗布した後、60〜100℃の温度で組成物中に含まれる有機溶剤を揮発乾燥(仮乾燥)させることで、タックフリーの樹脂層を形成する。また、ドライフィルムの場合、ラミネーター等により樹脂層が基材と接触するように基材上に貼り合わせた後、キャリアフィルムを剥がすことにより、基材上に樹脂層を形成する。
上記基材としては、あらかじめ銅等により回路形成されたプリント配線板やフレキシブルプリント配線板の他、紙フェノール、紙エポキシ、ガラス布エポキシ、ガラスポリイミド、ガラス布/不繊布エポキシ、ガラス布/紙エポキシ、合成繊維エポキシ、フッ素樹脂・ポリエチレン・ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンオキサイド・シアネート等を用いた高周波回路用銅張積層板等の材質を用いたもので、全てのグレード(FR−4等)の銅張積層板、その他、金属基板、ポリイミドフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレート(PEN)フィルム、ガラス基板、セラミック基板、ウエハ板等を挙げることができる。
ドライフィルムの基材上への貼合は、真空ラミネーター等を用いて、加圧および加熱下で行うことが好ましい。このような真空ラミネーターを使用することにより、回路形成された基板を用いた場合に、回路基板表面に凹凸があっても、ドライフィルムが回路基板に密着するため、気泡の混入がなく、また、基板表面の凹部の穴埋め性も向上する。加圧条件は、0.1〜2.0MPa程度であることが好ましく、また、加熱条件は、40〜120℃であることが好ましい。
本発明の硬化性樹脂組成物を塗布した後に行う揮発乾燥は、熱風循環式乾燥炉、IR炉、ホットプレート、コンベクションオーブン等(蒸気による空気加熱方式の熱源を備えたものを用いて乾燥機内の熱風を向流接触せしめる方法およびノズルより支持体に吹き付ける方式)を用いて行うことができる。
基材上に樹脂層を形成後、所定のパターンを形成したフォトマスクを通して選択的に活性エネルギー線により露光し、未露光部を希アルカリ水溶液(例えば、0.3〜3質量%炭酸ソーダ水溶液)により現像して硬化物のパターンを形成する。ドライフィルムの場合には、露光後、ドライフィルムから支持フィルムを剥離して現像を行うことにより、基材上にパターニングされた硬化物を形成する。なお、特性を損なわない範囲であれば、露光前にドライフィルムから支持フィルムを剥離して、露出した樹脂層を露光および現像しても良い。
さらに、硬化物に活性エネルギー線を照射後に加熱硬化(例えば、100〜220℃)、もしくは加熱硬化後に活性エネルギー線を照射、または、加熱硬化のみで最終仕上げ硬化(本硬化) させることにより、密着性、硬度等の諸特性に優れた硬化膜を形成する。
上記活性エネルギー線照射に用いられる露光機としては、高圧水銀灯ランプ、超高圧水銀灯ランプ、メタルハライドランプ、水銀ショートアークランプ等を搭載し、350〜450nmの範囲で紫外線を照射する装置であればよく、さらに、直接描画装置(例えば、コンピューターからのCADデータにより直接レーザーで画像を描くレーザーダイレクトイメージング装置)も用いることができる。直描機のランプ光源またはレーザー光源としては、最大波長が350〜450nmの範囲にあるものでよい。画像形成のための露光量は膜厚等によって異なるが、一般には10〜1000mJ/cm2、好ましくは20〜800mJ/cm2の範囲内とすることができる。
上記現像方法としては、ディッピング法、シャワー法、スプレー法、ブラシ法等によることができ、現像液としては、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、リン酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、アンモニア、アミン類等のアルカリ水溶液が使用できる。
以下、実施例、比較例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、これら実施例、比較例によって制限されるものではない。なお、以下において「部」および「%」とあるのは、特に断りのない限り全て質量基準である。
[硬化性樹脂組成物の調製]
下記表1中に示す種々の成分を下記表1に示す割合(質量部)にて配合し、攪拌機にて予備攪拌した後、ビーズミルで混練し、硬化性樹脂組成物を調製した。
下記表1中に示す種々の成分を下記表1に示す割合(質量部)にて配合し、攪拌機にて予備攪拌した後、ビーズミルで混練し、硬化性樹脂組成物を調製した。
表1中、各成分の配合量は固形分換算の数値である。
また、表1中の各成分の詳細は、以下の通りである。
*1:カルボキシル基含有樹脂(日本化薬株式会社製、ZFR−1401H)
*2:カルボキシル基含有ウレタン樹脂(日本化薬株式会社製、UXE−3000)
*3:ビスフェノールA型エポキシ樹脂(三菱ケミカル株式会社製、jER 1001)
*4:ビスフェノールF型エポキシ樹脂(三菱ケミカル株式会社製、jER 834)
*5:アシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤(IGM Resins社製、Omnirad TPO、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド)
*6:無機系近赤外線吸収化合物(カーボンブラック)
*7:有機系近赤外線吸収化合物(日本カーリット株式会社製、FS−265、炭素数1〜4のフルオロアルキル基を有するジイモニウム塩)
また、表1中の各成分の詳細は、以下の通りである。
*1:カルボキシル基含有樹脂(日本化薬株式会社製、ZFR−1401H)
*2:カルボキシル基含有ウレタン樹脂(日本化薬株式会社製、UXE−3000)
*3:ビスフェノールA型エポキシ樹脂(三菱ケミカル株式会社製、jER 1001)
*4:ビスフェノールF型エポキシ樹脂(三菱ケミカル株式会社製、jER 834)
*5:アシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤(IGM Resins社製、Omnirad TPO、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド)
*6:無機系近赤外線吸収化合物(カーボンブラック)
*7:有機系近赤外線吸収化合物(日本カーリット株式会社製、FS−265、炭素数1〜4のフルオロアルキル基を有するジイモニウム塩)
[評価基板の作製]
銅厚18μmの回路が形成されているフレキシブルプリント配線基材を用意し、メック社CZ−8100を使用して、前処理を行った。その後、前記前処理を行ったフレキシブルプリント配線基材に、上記で調製した硬化性樹脂組成物をコーティング方法にて乾燥後の膜厚が30μmになるようにコーティングを行った。その後、熱風循環式乾燥炉にて90℃/30分にて乾燥し、樹脂組成物の乾燥塗膜からなる樹脂層を形成した。
銅厚18μmの回路が形成されているフレキシブルプリント配線基材を用意し、メック社CZ−8100を使用して、前処理を行った。その後、前記前処理を行ったフレキシブルプリント配線基材に、上記で調製した硬化性樹脂組成物をコーティング方法にて乾燥後の膜厚が30μmになるようにコーティングを行った。その後、熱風循環式乾燥炉にて90℃/30分にて乾燥し、樹脂組成物の乾燥塗膜からなる樹脂層を形成した。
[屈曲性評価]
上記評価基板を用いて、熱風循環式乾燥炉により150℃/60分間熱処理を行い、パターン状の硬化塗膜を得た。得られた各試験片に対し、MIT耐折疲労試験機D型(株式会社東洋精機製作所製)を用い、JIS P8115に準拠してMIT試験を行い、屈曲性を評価した。荷重(0.5kgf)を負荷した状態で、クランプに試験片を垂直に取り付けて、折り曲げ角度が135度、速度が175cpmにて折り曲げを行い、破断するまでの往復折り曲げ回数(回)を測定した。
以下の基準にて屈曲性を評価し、評価結果を表2に示した。
(評価基準)
○:50回以上であった。
×:50回未満であった。
上記評価基板を用いて、熱風循環式乾燥炉により150℃/60分間熱処理を行い、パターン状の硬化塗膜を得た。得られた各試験片に対し、MIT耐折疲労試験機D型(株式会社東洋精機製作所製)を用い、JIS P8115に準拠してMIT試験を行い、屈曲性を評価した。荷重(0.5kgf)を負荷した状態で、クランプに試験片を垂直に取り付けて、折り曲げ角度が135度、速度が175cpmにて折り曲げを行い、破断するまでの往復折り曲げ回数(回)を測定した。
以下の基準にて屈曲性を評価し、評価結果を表2に示した。
(評価基準)
○:50回以上であった。
×:50回未満であった。
[赤外線遮蔽性評価]
上記評価基板上の現像前の乾燥塗膜について、800nm〜1200nmの波長領域における最大透過率(%)を分光光度計(日本分光株式会社製V‐670)で測定した。透過率の数値が低い程、遮光性が良好であることを示す。
以下の基準にて赤外線遮蔽性を評価し、評価結果を表2に示した。
(評価基準)
◎:最大透過率が3%以下であった。
〇:最大透過率が3%超20%以下であった。
△:最大透過率が20%超60%以下であった。
×:最大透過率が60%超であった。
上記評価基板上の現像前の乾燥塗膜について、800nm〜1200nmの波長領域における最大透過率(%)を分光光度計(日本分光株式会社製V‐670)で測定した。透過率の数値が低い程、遮光性が良好であることを示す。
以下の基準にて赤外線遮蔽性を評価し、評価結果を表2に示した。
(評価基準)
◎:最大透過率が3%以下であった。
〇:最大透過率が3%超20%以下であった。
△:最大透過率が20%超60%以下であった。
×:最大透過率が60%超であった。
[経時安定性]
上記で調製した硬化性樹脂組成物を用いて、ドライフィルムを作製した。作製したドライフィルムを14日間放置した後、基板上にラミネートし試験基板の作製を行った。これを熱処理し、その後に現像工程を行い、放置前と比較し放置後のドライフィルムを用いた基板上に現像残渣が発生しているか確認を行った。
以下の基準にて経時安定性を評価し、評価結果を表2に示した。
(評価基準)
〇:放置前に比べて、放置後の基板上に残渣が残っていなかった。
×:放置前に比べて、放置後の基板上に残渣が残っていた。
上記で調製した硬化性樹脂組成物を用いて、ドライフィルムを作製した。作製したドライフィルムを14日間放置した後、基板上にラミネートし試験基板の作製を行った。これを熱処理し、その後に現像工程を行い、放置前と比較し放置後のドライフィルムを用いた基板上に現像残渣が発生しているか確認を行った。
以下の基準にて経時安定性を評価し、評価結果を表2に示した。
(評価基準)
〇:放置前に比べて、放置後の基板上に残渣が残っていなかった。
×:放置前に比べて、放置後の基板上に残渣が残っていた。
Claims (7)
- (A)カルボキシル基含有樹脂と、(B)熱硬化性成分と、(C)光重合開始剤と、(D)有機系近赤外線吸収化合物とを含むことを特徴とする、硬化性樹脂組成物。
- 前記(D)有機系近赤外線吸収化合物が、ジイモニウム塩を含む近赤外線吸収色素を含み、前記ジイモニウム塩が、炭素数1〜4のフルオロアルキル基を有する、請求項1に記載の硬化性樹脂組成物。
- 前記硬化性樹脂組成物は、乾燥塗膜からなる樹脂層の厚さが30μmの時に、800nm〜1200nmの波長領域における最大透過率が20%以下である、請求項1または2に記載の硬化性樹脂組成物。
- 前記熱硬化性成分が、環状(チオ)エーテル基を有する化合物を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の硬化性樹脂組成物。
- 支持フィルムと、前記支持フィルム上に形成された請求項1〜4のいずれか一項に記載の硬化性樹脂組成物の乾燥塗膜からなる樹脂層とを備えることを特徴とする、ドライフィルム。
- 請求項1〜4のいずれか一項に記載の硬化性樹脂組成物、または、請求項5に記載のドライフィルムの樹脂層を硬化させて得られることを特徴とする、硬化物。
- 請求項6に記載の硬化物を備えることを特徴とする、プリント配線板。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2022030453A (ja) * | 2020-08-07 | 2022-02-18 | 東京応化工業株式会社 | 固体撮像素子の製造方法、積層体、及びドライフィルム |
WO2022070770A1 (ja) | 2020-09-30 | 2022-04-07 | 旭化成株式会社 | ポリウレタン系硬化剤及びその使用 |
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2019
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JP7061647B2 (ja) | 2020-08-07 | 2022-04-28 | 東京応化工業株式会社 | 固体撮像素子の製造方法、積層体、及びドライフィルム |
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