JP2020166211A - 硬化性樹脂組成物、ドライフィルム、硬化物、プリント配線板、および電子部品 - Google Patents

硬化性樹脂組成物、ドライフィルム、硬化物、プリント配線板、および電子部品 Download PDF

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Abstract

【課題】高クラック耐性、高解像性、および誘電特性に優れた硬化物を得られる硬化性樹脂組成物の提供。【手段】本発明による硬化性樹脂組成物は、(A)カルボキシル基含有樹脂と、(B)光重合開始剤と、(C)エポキシ樹脂と、(D)シリカとを含む、硬化性樹脂組成物であって、 前記前記(A)カルボキシル基含有樹脂がラジカル重合性重合体を含み、かつ、分子中にマレイミドまたはマレイミド誘導体に由来する繰り返し単位を有する構造であり、 前記(D)シリカが表面に反応性基を有し、かつ、配合量が固形分換算で前記硬化性樹脂組成物中、20〜80質量%であり、 前記硬化性樹脂組成物は、乾燥塗膜からなる樹脂層の厚さが20μmの時に、365nmの吸光度が0.3以上1.2以下であることを特徴とする。【選択図】なし

Description

本発明は、硬化性樹脂組成物に関する。さらに、本発明は、該硬化性樹脂組成物を用いたドライフィルム、硬化物、プリント配線板、および電子部品に関する。
近年、電子機器の軽薄短小化に伴うプリント配線板の高密度化に対応して、例えばソルダーレジストにも高性能化が要求されている。中でも半導体パッケージ基板に使用するソルダーレジストは、高密度実装のため半導体チップとパッケージ基板の接続方式がフリップチップ方式に移行しつつあり、接続ピッチの狭ピッチ化が進行しているため、これまで以上に微細な開口パターンを高感度で生産性良く形成できる高解像性が要求されている。
また、ソルダーレジストは、半導体チップの実装時に種々の熱応力がかかったり、半導体チップやパッケージ基板等のソルダーレジスト周辺部材との膨張係数の違いからクラックが発生することで絶縁信頼性が損なわれることのないようにすることも要求されている。例えば、高信頼性の点からTCT(温度サイクル試験)、TST(熱衝撃試験)に対しての高クラック耐性が要求されている。
さらに、プリント配線板においては、耐熱性や電気絶縁性の観点から、層間絶縁材料用やソルダーレジスト材料用として、変性エポキシアクリレート化合物やエポキシ樹脂などを主成分とし、さらにフィラーなどの添加成分を含有する樹脂組成物が広く用いられている。
しかしながら、このような基板材料に用いられる従来の樹脂組成物からなる硬化物の誘電率および誘電正接では、高周波領域で通信する場合に、電気信号の遅延や損失が避けられないという問題があった。このような問題に対して、配線板材料の誘電率および誘電正接を低下させるために、異なる平均粒子径を有する少なくとも2種類の無機粒子を配合することが提案されている(特許文献1参照)。しかし、これまで、高クラック耐性、高解像性、および誘電特性の全てを満たすことは達成できていない。
特開2002−329940号公報
したがって、本発明の目的は、高クラック耐性、高解像性、ならびに低誘電率および低誘電正接を含む誘電特性に優れた硬化物を得られる硬化性樹脂組成物を提供することにある。
本発明者らは、鋭意検討した結果、特定の(A)カルボキシル基含有樹脂と、特定の(D)シリカとを用いて、(D)シリカを多量に配合することにより、従来よりも低誘電特性が得られ、かつ、熱による誘電特性変化が抑制でき、高クラック耐性と解像性も両立できることを見出し、本発明完成するに至った。
すなわち、本発明による硬化性樹脂組成物は、(A)カルボキシル基含有樹脂と、(B)光重合開始剤と、(C)エポキシ樹脂と、(D)シリカを含むものであって、
前記前記(A)カルボキシル基含有樹脂がラジカル重合性重合体を含み、かつ、分子中にマレイミドまたはマレイミド誘導体に由来する繰り返し単位を有する構造であり、
前記(D)シリカが表面に反応性基を有し、かつ、配合量が固形分換算で、前記硬化性樹脂組成物中、20〜80質量%であり、前記硬化性樹脂組成物は、乾燥塗膜からなる樹脂層の厚さが20μmの時に、365nmの吸光度が0.3以上1.2以下であることを特徴とする。
本発明の態様においては、前記(D)シリカの平均粒子径が0.1μm以上1.0μm以下であることが好ましい。
本発明の態様においては、(E)活性エステル系硬化剤を含むことが好ましい。
本発明の態様においては、前記(A)カルボキシル基含有樹脂が、ラジカル重合性重合体を含み、該ラジカル重合性重合体は、ベースポリマーである重合体100質量%中、マレイミド系単量体由来の構成単位10〜60質量%、不飽和カルボン酸単量体由来の構成単位10〜40質量%を必須単位として含有し、前記ベースポリマーである重合体が有するカルボキシル基に対して、該カルボキシル基と反応し得る官能基を有する単量体を反応させてなる構造を有することが好ましい。
本発明の別の態様によるドライフィルムは、支持フィルムと、前記支持フィルム上に形成された前記硬化性樹脂組成物の乾燥塗膜からなる樹脂層とを備えることを特徴とすることを特徴とする。
本発明の別の態様による硬化物は、前記硬化性樹脂組成物、または、前記ドライフィルムの樹脂層を硬化させて得られることを特徴とする。
本発明の別の態様によるプリント配線板は、前記硬化物を備えることを特徴とする。
本発明の別の態様による電子部品は、前記硬化物を備えることを特徴とする。
本発明による硬化性樹脂組成物は、高クラック耐性、高解像性、ならびに低誘電率および低誘電正接を含む誘電特性に優れた硬化物を得ることができる。さらに、本発明によれば、このような硬化性樹脂組成物を用いて、ドライフィルム、プリント配線板、および電子部品を提供することができる。
[硬化性樹脂組成物]
本発明による硬化性樹脂組成物は、少なくとも、(A)カルボキシル基含有樹脂と、(B)光重合開始剤と、(C)エポキシ樹脂と、(D)シリカを含むものである。硬化性樹脂組成物において、特定の(A)カルボキシル基含有樹脂と、特定の(D)シリカとを用いて、(D)シリカを多量に配合することにより、高クラック耐性、高解像性、ならびに低誘電率および低誘電正接を含む誘電特性に優れた硬化物を得ることができる。以下、本発明による硬化性樹脂組成物を構成する各成分について説明する。
[(A)カルボキシル基含有樹脂]
本発明の硬化性樹脂組成物は、カルボキシル基含有感光性樹脂を含む。このカルボキシル基含有感光性樹脂は、ラジカル重合性重合体を含む。当該ラジカル重合性重合体は、マレイミド系単量体由来の構成単位、不飽和カルボン酸単量体由来の構成単位を必須単位として有する重合体(ベースポリマー)が有するカルボキシル基に対して、カルボキシル基と反応し得る官能基を有する単量体を反応させてなる構造を有する。上記カルボキシル基は、上記重合体(ベースポリマー)中の上記不飽和カルボン酸単量体由来の構成単位に含まれる。上記ラジカル重合性重合体では、上記不飽和カルボン酸単量体由来の構成単位が有するカルボキシル基の、好ましくはその一部に、カルボキシル基と反応し得る官能基を有する単量体を付加させてなる構造を有する。
上記ラジカル重合性重合体中、上記重合体(ベースポリマー)由来の構成単位は、主鎖を構成する。上記カルボキシル基と反応し得る官能基を有する単量体由来の構成単位は、ラジカル重合性重合体の側鎖を構成する。
上記カルボキシル基と反応し得る官能基を有する単量体は、ラジカル重合性炭素−炭素二重結合(以下、単にラジカル重合性二重結合という場合がある)を有することが好ましい。
上記ラジカル重合性重合体は、好ましくは、主鎖100質量%中、マレイミド系単量体由来の構成単位10〜60質量%、不飽和カルボン酸単量体由来の構成単位10〜40質量%、かつ、側鎖にラジカル重合性炭素−炭素二重結合を有する。
なお、以下において、単量体単位との記載は、単量体に由来する構成単位を示し、当該単量体中の重合性炭素−炭素二重結合(C=C)が単結合(C−C)になった構造単位を意味する。例えば、マレイミド系単量体単位とは、マレイミド系単量体を共重合又はグラフト重合した場合の、マレイミド系単量体由来の構成単位を意味する。
マレイミド系単量体単位、不飽和カルボン酸(単量体)単位を必須単位として有する重合体(ベースポリマー)は、マレイミド系単量体、不飽和カルボン酸を必須成分としてラジカル重合させて得られることが好ましい。以下に単量体について説明する。
マレイミド系単量体としては、N−フェニルマレイミド、N−(2−メチルフェニル)マレイミド、N−(4−メチルフェニル)マレイミド、N−(2,6−ジエチルフェニル)マレイミド、N−(2−クロロフェニル)マレイミド、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−イソプロピルマレイミド、N−ラウリルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−ベンジルマレイミド、N−フェニルメチルマレイミド、N−(2,4,6−トリブロモフェニル)マレイミド、N−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]マレイミド、N−オクタデセニルマレイミド、N−ドデセニルマレイミド、N−(2−メトキシフェニル)マレイミド、N−(2,4,6−トリクロロフェニル)マレイミド、N−(4−ヒドロキシフェニル)マレイミド、N−(1−ヒドロキシフェニル)マレイミド等のN−置換マレイミドや無置換マレイミドが挙げられ、これらの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、耐熱性向上効果が大きく、共重合性が良好で、かつ入手し易いという点でN−フェニルマレイミド、N−(2−メチルフェニル)マレイミド、N−(2,6−ジエチルフェニル)マレイミド、N−ラウリルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−ベンジルマレイミド等が好ましく、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−ベンジルマレイミドがより好ましく、N−フェニルマレイミド、N−ベンジルマレイミドが最も好ましい。
また、N−フェニルマレイミドとN−ベンジルマレイミドとを併用することも好ましい。併用する場合のN−フェニルマレイミドとN−ベンジルマレイミドとの好ましい比率は、質量比で99:1〜1:99である。
次に、不飽和カルボン酸(単量体)について説明する。本発明ではアルカリ現像に必須となるカルボキシル基を導入し、加えて硬化物の特性を優れたものとするため、単量体として不飽和カルボン酸を必須成分として用いる。具体例としては、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、ケイヒ酸、ソルビン酸、フマル酸、マレイン酸等が挙げられ、中でも、硬化物の特性に優れることから(メタ)アクリル酸が好ましい。また、他の態様として、カルボキシル基と共に、またはカルボキシル基に代えて、他の酸基を導入してもよい。他の酸基としては、例えば、フェノール性水酸基、カルボン酸無水物基、リン酸基、スルホン酸基等、アルカリ水と中和反応する官能基が挙げられ、これらの1種のみを有していても、2種以上有していてもよい。以下の記載において、カルボキシル基に対する記載は、上記他の酸基にもあてはまる。
本発明では、不飽和カルボン酸を必須成分として共重合することで良好なアルカリ現像性を発現させることができ、加えて硬化物の特性にも優れるものとすることができる。分子内に水酸基を有する単量体としては、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸2,3−ジヒドロキシプロピル等の(ジ)ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートや、2−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシピバリル(メタ)アクリルアミド、5−ヒドロキシペンチル(メタ)アクリルアミド、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリルアミド等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリルアミドが挙げられ、これらの1種または2種以上が使用可能である。中でも、共重合性の点から、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートが好ましく、特に(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチルが好ましい。
次に、上述した単量体の配合割合について説明する。
マレイミド系単量体(マレイミド系単量体単位)は、ベースポリマーである重合体100質量%中、換言すればベースポリマーを構成する全単量体成分(ベースポリマーを構成する全単量体単位100質量%)中10〜60質量%である。マレイミド系単量体の含有量を10質量%以上とすることで、硬化物に充分な耐熱性を付与することができる。一方、含有量を60質量%以下とすることで、不飽和カルボン酸に起因するアルカリ現像性、硬化物特性を充分に付与することができる。マレイミド系単量体の好ましい下限は15質量%、より好ましい下限は20質量%である。また、好ましい上限は55質量%、より好ましい上限は50質量%である。
不飽和カルボン酸は、ベースポリマーを構成する全単量体成分(ベースポリマーを構成する全単量体単位100質量%)中10〜40質量%である。不飽和カルボン酸の含有量を10質量%以上とすることで良好なアルカリ現像性を発現させることができる。一方、含有量を40質量%以下とすることで、マレイミド系単量体に起因する耐熱性等の硬化物特性を充分に付与することができる。不飽和カルボン酸の好ましい下限は15質量%、より好ましい下限は20質量%である。また、好ましい上限は35質量%、より好ましい上限は30質量%である。
本発明では、特性に悪影響を及ぼさない限りにおいて、重合体(ベースポリマー)を得る際に他の共重合可能な単量体成分を使用しても良い。
このような単量体成分の具体例としては、エステル結合を有さない芳香族系単量体;酢酸ビニル、アジピン酸ビニル等のビニルエステルモノマー;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル系単量体;n−プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、n−ヘキシルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル等のアルキルビニルエーテルや対応するアルキルビニル(チオ)エーテル;無水マレイン酸等の酸無水物基含有単量体あるいはこれをアルコール類等により酸無水物基を開環変性した単量体や上記したもの以外の不飽和塩基酸;N−ビニルピロリドン、N−ビニルオキサゾリドン等のN−ビニル系単量体;アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのシアノ基含有単量体等が挙げられる。
これらの中でも、マレイミド系単量体との共重合性が良好であり、硬化物の特性にも優れることから、エステル結合を有さない芳香族系単量体が好ましい。具体例としては、スチレン、α−メチルスチレン、α−クロロスチレン、ビニルトルエン等が挙げられ、電気特性に優れ、安価である点からスチレンが最も好ましい。
上記ラジカル重合性重合体においては、二重結合当量が600〜4000g/当量になるように、ラジカル重合性炭素−炭素二重結合導入反応を行うことが好ましい。二重結合当量は光硬化性や硬化物の物性に関連しており、上記範囲にすることで、耐熱性や強度、可撓性等の物性に優れた硬化物を与えることができる。また、光硬化性とアルカリ現像性が両立するバランスの採れた感光性樹脂が得られる。二重結合当量のより好ましい範囲は、700〜3000g/当量であり、さらに好ましくは800〜2500g/当量である。
上記のようにして得られるラジカル重合性重合体の酸価は、30mgKOH/g以上が好ましく、40mgKOH/g以上がより好ましく、50mgKOH/g以上がさらに好ましく、また160mgKOH/g以下が好ましく、155mgKOH/g以下がより好ましく、150mgKOH/g以下がさらに好ましい。ラジカル重合性重合体の酸価が30mgKOH/g以上とすることで、良好なアルカリ現像性を発現しやすくなる。ラジカル重合性重合体の酸価が160mgKOH/g以下であれば、アルカリ現像液によって露光部分が侵食されにくくなり、また硬化物の耐水性や耐湿性が向上する。
上記(A)カルボキシル基含有樹脂は、エポキシ樹脂を出発原料としない、アルカリ現像性と耐熱性のバランスをとったマレイミド骨格を有した共重合型樹脂である。したがって、本発明の硬化性樹脂組成物は、上記の(A)カルボキシル基含有樹脂を含むことにより、耐熱性及びアルカリ現像性が良好な樹脂組成物を得ることができ、また、可撓性にも優れている。本発明の硬化性樹脂組成物においては、さらに(A)以外のカルボキシル基含有樹脂を含有してもよい。 (A)以外のカルボキシル基含有樹脂としては、分子中にカルボキシル基を有している従来公知の各種カルボキシル基含有樹脂を使用できる。特に、分子中にエチレン性不飽和二重結合を有するカルボキシル基含有感光性樹脂が、光硬化性や耐現像性の面から好ましい。エチレン性不飽和二重結合は、アクリル酸もしくはメタクリル酸又はそれらの誘導体由来であることが好ましい。エチレン性不飽和二重結合を有さないカルボキシル基含有樹脂のみを用いる場合、組成物を光硬化性とするためには、後述する分子中に複数のエチレン性不飽和基を有する化合物、即ち光反応性モノマーを併用する必要がある。
(A)以外のカルボキシル基含有樹脂の具体例としては、以下のような化合物(オリゴマー及びポリマーのいずれでもよい)を挙げることができる。
(1)(メタ)アクリル酸等の不飽和カルボン酸と、スチレン、α−メチルスチレン、低級アルキル(メタ)アクリレート、イソブチレン等の不飽和基含有化合物との共重合により得られるカルボキシル基含有樹脂。
(2)脂肪族ジイソシアネート、分岐脂肪族ジイソシアネート、脂環式ジイソシアネート、芳香族ジイソシアネート等のジイソシアネートと、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸等のカルボキシル基含有ジアルコール化合物及びポリカーボネート系ポリオール、ポリエーテル系ポリオール、ポリエステル系ポリオール、ポリオレフィン系ポリオール、アクリル系ポリオール、ビスフェノールA系アルキレンオキサイド付加体ジオール、フェノール性ヒドロキシル基及びアルコール性ヒドロキシル基を有する化合物等のジオール化合物の重付加反応によるカルボキシル基含有ウレタン樹脂。
(3)ジイソシアネートと、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビキシレノール型エポキシ樹脂、ビフェノール型エポキシ樹脂等の2官能エポキシ樹脂の(メタ)アクリレートもしくはその部分酸無水物変性物、カルボキシル基含有ジアルコール化合物及びジオール化合物の重付加反応によるカルボキシル基含有感光性ウレタン樹脂。
(4)前記(2)又は(3)の樹脂の合成中に、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート等の分子内に1つの水酸基と1つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物を加え、末端(メタ)アクリル化したカルボキシル基含有感光性ウレタン樹脂。
(5)前記(2)又は(3)の樹脂の合成中に、イソホロンジイソシアネートとペンタエリスリトールトリアクリレートの等モル反応物など、分子内に1つのイソシアネート基と1つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物を加え末端(メタ)アクリル化したカルボキシル基含有感光性ウレタン樹脂。
(6)2官能又はそれ以上の多官能(固形)エポキシ樹脂に(メタ)アクリル酸を反応させ、側鎖に存在する水酸基に2塩基酸無水物を付加させたカルボキシル基含有感光性樹脂。
(7)2官能(固形)エポキシ樹脂の水酸基をさらにエピクロロヒドリンでエポキシ化した多官能エポキシ樹脂に(メタ)アクリル酸を反応させ、生じた水酸基に2塩基酸無水物を付加させたカルボキシル基含有感光性樹脂。
(8)2官能オキセタン樹脂にアジピン酸、フタル酸、ヘキサヒドロフタル酸等のジカルボン酸を反応させ、生じた1級の水酸基に無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸等の2塩基酸無水物を付加させたカルボキシル基含有ポリエステル樹脂。
(9)1分子中に複数のエポキシ基を有するエポキシ化合物に、p−ヒドロキシフェネチルアルコール等の1分子中に少なくとも1個のアルコール性水酸基と1個のフェノール性水酸基を有する化合物と、(メタ)アクリル酸等の不飽和基含有モノカルボン酸とを反応させ、得られた反応生成物のアルコール性水酸基に対して、無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、アジピン酸等の多塩基酸無水物を反応させて得られるカルボキシル基含有樹脂。
(10)1分子中に複数のフェノール性水酸基を有する化合物とエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等のアルキレンオキサイドとを反応させて得られる反応生成物に不飽和基含有モノカルボン酸を反応させ、得られる反応生成物に多塩基酸無水物を反応させて得られるカルボキシル基含有感光性樹脂。
(11)1分子中に複数のフェノール性水酸基を有する化合物とエチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等の環状カーボネート化合物とを反応させて得られる反応生物に不飽和基含有モノカルボン酸を反応させ、得られる反応生成物に多塩基酸無水物を反応させて得られるカルボキシル基含有感光性樹脂。
(12)前記(1)〜(11)の樹脂にさらに1分子内に1つのエポキシ基と1つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物を付加してなるカルボキシル基含有感光性樹脂。
なお、本明細書において、(メタ)アクリレートとは、アクリレート、メタクリレート及びそれらの混合物を総称する用語で、他の類似の表現についても同様である。
前記カルボキシル基含有樹脂の酸価は、30〜150mgKOH/gの範囲が適当であり、より好ましくは50〜120mgKOH/gの範囲である。カルボキシル基含有樹脂の酸価が30mgKOH/g未満であるとアルカリ現像が困難となり、一方、150mgKOH/gを超えると現像液による露光部の溶解が進むために、露光部と未露光部の区別なく現像液で溶解剥離してしまい、正常なレジストパターンの描画が困難となるので好ましくない。
また、前記カルボキシル基含有樹脂の重量平均分子量は、樹脂骨格により異なるが、一般的に2,000〜150,000、さらには5,000〜100,000の範囲にあるものが好ましい。重量平均分子量が2,000未満であると、露光後の塗膜の耐湿性が悪く、現像時に膜減りが生じ、解像度が大きく劣ることがある。一方、重量平均分子量が150,000を超えると、現像性が著しく悪くなることがあり、貯蔵安定性においても劣ることがある。重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定することができる。
これら(A)以外のカルボキシル基含有樹脂は、前記列挙したものに限らず使用することができ、1種類を単独で用いてもよく、複数種を混合して用いてもよい。中でも、前記カルボキシル基含有樹脂(10)、(11)のごときフェノール化合物を出発原料と使用して合成されるカルボキシル基含有樹脂はHAST耐性、PCT耐性に優れるため好適に用いることが出来る。
これらの(A)以外のカルボキシル基含有樹脂を用いる場合、本発明の(A)カルボキシル基含有樹脂100質量部に対し、(A)以外のカルボキシル基含有樹脂を700質量部以下で使用することが好ましい。より好ましい上限値は600質量部、さらに好ましい上限値は500質量部である。
(A)カルボキシル基含有樹脂の配合量は、硬化性樹脂組成物全量あたり固形分換算で、5〜80質量%であることが好ましく、10〜70質量%であることがより好ましい。5質量%以上とすることにより硬化被膜の強度を向上させることができる。また80質量%以下とすることで硬化性樹脂組成物の粘性が適当となり加工性が向上する。
[(B)光重合開始剤]
(B)光重合開始剤としては、公知のものをいずれも用いることができる。光重合開始剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(B)光重合開始剤としては、例えば、アシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤、オキシムエステル基を有するオキシムエステル系光重合開始剤、α−アミノアセトフェノン系光重合開始剤、チタノセン系光重合開始剤、ベンゾイン化合物、アセトフェノン化合物、アントラキノン化合物、チオキサントン化合物、ケタール化合物、ベンゾフェノン化合物、3級アミン化合物、およびキサントン化合物等が挙げられる。
光重合開始剤としては、具体的には例えば、ビス−(2,6−ジクロロベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジクロロベンゾイル)−2,5−ジメチルフェニルフォスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジクロロベンゾイル)−4−プロピルフェニルフォスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジクロロベンゾイル)−1−ナフチルフォスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,5−ジメチルフェニルフォスフィンオキサイド、ビス−(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド等のビスアシルフォスフィンオキサイド類;2,6−ジメトキシベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、2,6−ジクロロベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルフォスフィン酸メチルエステル、2−メチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、ピバロイルフェニルフォスフィン酸イソプロピルエステル、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド等のモノアシルフォスフィンオキサイド類;フェニル(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フォスフィン酸エチル、1−ヒドロキシ−シクロヘキシルフェニルケトン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン等のヒドロキシアセトフェノン類;ベンゾイン、ベンジル、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインn−プロピルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインn−ブチルエーテル等のベンゾイン類;ベンゾインアルキルエーテル類;ベンゾフェノン、p−メチルベンゾフェノン、ミヒラーズケトン、メチルベンゾフェノン、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、4,4’−ビスジエチルアミノベンゾフェノン等のベンゾフェノン類;アセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1,1−ジクロロアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−1−プロパノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル)−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]−1−ブタノン、N,N−ジメチルアミノアセトフェノン等のアセトフェノン類;チオキサントン、2−エチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン等のチオキサントン類;アントラキノン、クロロアントラキノン、2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−tert−ブチルアントラキノン、1−クロロアントラキノン、2−アミルアントラキノン、2−アミノアントラキノン等のアントラキノン類;アセトフェノンジメチルケタール、ベンジルジメチルケタール等のケタール類;エチル−4−ジメチルアミノベンゾエート、2−(ジメチルアミノ)エチルベンゾエート、p−ジメチル安息香酸エチルエステル等の安息香酸エステル類;1,2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)]、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(O−アセチルオキシム)等のオキシムエステル類;ビス(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)フェニル)チタニウム、ビス(シクロペンタジエニル)−ビス[2,6−ジフルオロ−3−(2−(1−ピル−1−イル)エチル)フェニル]チタニウム等のチタノセン類;フェニルジスルフィド2−ニトロフルオレン、ブチロイン、アニソインエチルエーテル、アゾビスイソブチロニトリル、テトラメチルチウラムジスルフィド等を挙げることができる。
アシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤は市販されるものを使用してもよく、例えば、IGM Resins社製のOmnirad TPO、Omnirad TPO−L、LR8953X、Omnirad 819等が挙げられる。α−アミノアセトフェノン系光重合開始剤の市販品としては、IGM Resins社製のOmnirad 907、369、369E、379等が挙げられる。オキシムエステル系光重合開始剤の市販品としては、BASFジャパン株式会社製のIrgacure OXE01、OXE02、株式会社ADEKA製N−1919、アデカアークルズ NCI−831、NCI−831E、常州強力電子新材料社製TR−PBG−304などが挙げられる。
その他、特開2004−359639号公報、特開2005−097141号公報、特開2005−220097号公報、特開2006−160634号公報、特開2008−094770号公報、特表2008−509967号公報、特表2009−040762号公報、特開2011−80036号公報記載のカルバゾールオキシムエステル化合物等を挙げることができる。
(B)光重合開始剤の配合量は、固形分換算で、(A)カルボキシル基含有樹脂100質量部に対して、0.1〜50質量部であることが好ましく、0.5〜30質量部であることがより好ましく、1〜25質量部がさらに好ましい。(B)光重合開始剤の配合量を上記数値範囲内とすることにより、硬化性樹脂組成物の光硬化性をより向上することができる。また、該硬化性樹脂組成物を用いて形成される硬化物等の耐薬品性等を向上することができる。
上記した(B)光重合開始剤と併用して、光開始助剤または増感剤を用いてもよい。光開始助剤または増感剤としては、ベンゾイン化合物、アントラキノン化合物、チオキサントン化合物、ケタール化合物、ベンゾフェノン化合物、3級アミン化合物、およびキサントン化合物などを挙げることができる。特に、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、4−イソプロピルチオキサントン等のチオキサントン化合物を用いることが好ましい。チオキサントン化合物が含まれることにより、深部硬化性を向上させることができる。これらの化合物は、光重合開始剤として用いることができる場合もあるが、光重合開始剤と併用して用いることが好ましい。また、光開始助剤または増感剤は1種類を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
なお、これら光重合開始剤、光開始助剤、および増感剤は、特定の波長を吸収するため、場合によっては感度が低くなり、紫外線吸収剤として機能することがある。しかしながら、これらは樹脂組成物の感度を向上させることだけの目的に用いられるものではない。必要に応じて特定の波長の光を吸収させて、表面の光反応性を高め、レジストパターンのライン形状および開口を垂直、テーパー状、逆テーパー状に変化させるとともに、ライン幅や開口径の精度を向上させることができる。
[(C)エポキシ樹脂]
(C)エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAのノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂、ビスフェニル−フェノール型エポキシ樹脂、変性ノボラック型エポキシ樹脂等が挙げられる。これらエポキシ樹脂は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
市販されるエポキシ樹脂としては、例えば、三菱ケミカル株式会社製のjER 828、806、807、YX4000、YX8000、8034、834、日鉄ケミカル&マテリアル株式会社製のYD−128、YDF−170、ZX−1059、ST−3000、DIC株式会社製のEPICLON 830、835、840、850、N−770、N−870、N−730A、N−695、HP−7200、HP−7200H、および日本化薬株式会社製のRE−306、NC−3000H等が挙げられる。これらエポキシ樹脂は、常温(20℃)で液状であるものを単独で用いてもよく、常温で固形であるものを単独で用いてもよく、液状と固形のうち2種以上を組み合わせて用いてもよい。中でも、常温(20℃)で液状であるものを単独で用いるものや液状と固形を組み合わせて用いるものが好ましい。
硬化性樹脂組成物におけるエポキシ樹脂のエポキシ基の当量は、固形分換算で、カルボキシル基含有樹脂のカルボキシル基の当量1に対して、0.3〜3.0であることが好ましい。0.3当量以上とすることで、硬化被膜におけるカルボキシル基の残存を防止して、良好な耐熱性や耐アルカリ性、電気絶縁性等を得ることができる。一方、上記配合量を3.0当量以下とすることで、低分子量の環状(チオ)エーテル基が乾燥塗膜に残存することを防止して、硬化被膜の強度等を良好に確保することができる。
[(D)シリカ]
(D)シリカは、表面に光反応性または熱反応性の官能基(反応性基)を有することを特徴とする。このようなシリカを用いることで、カルボキシル基含有樹脂や熱硬化性樹脂との反応により、高耐熱性や密着性をより向上させることができる。
(D)シリカは、反応性基を有する表面処理剤、例えば、反応性基を有機基として有するカップリング剤等で、シリカの表面を処理することにより得ることができる。
光反応性基としては、アクリロイル基、メタアクリロイル基、ビニル基、環状エーテル基、および環状チオエーテル基等が挙げられる。これらの中でも、(メタ)アクリロイル基およびビニル基の少なくとも1種が好ましい。
熱反応性基としては、水酸基、カルボキシル基、イソシアネート基、アミノ基、イミノ基、エポキシ基、オキセタニル基、メルカプト基、メトキシメチル基、メトキシエチル基、エトキシメチル基、エトキシエチル基、オキサゾリン基等が挙げられる。これらの中でも、アミノ基およびエポキシ基の少なくとも1種が好ましい。
カップリング剤としては、シリカに上記の光反応性基ないし熱反応性基を導入可能なカップリング剤を用いることができる。カップリング剤としては、例えば、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、ジルコニウムカップリング剤、アルミニウムカップリング剤等を用いることができる。これらの中でも、シランカップリング剤が好ましい。シランカップリング剤としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、N−(2−アミノメチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アニリノプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等を挙げることができ、これらは単独で、あるいは併用して使用することができる。これらのシランカップリング剤は、あらかじめシリカの表面に吸着あるいは反応により固定化されていることが好ましい。
(D)シリカの平均粒子径は、好ましくは0.1μm以1.0μm以下であり、より好ましくは0.2μm以0.8μm以下であり、さらに好ましくは0.2μm以0.5μm以下である。(D)シリカの平均粒子径が、0.1μm以1.0μm以下であることで、シリカの充填効率が向上し、硬化物の強度とドライフィルムのラミネート性とのバランスに優れるものとなる。(D)シリカの平均粒子径とは、一次粒子の平均粒子径(D50)であり、レーザー回折法により測定されたD50の値である。レーザー回折法による測定装置としては、マイクロトラック・ベル株式会社製のMicrotrac MT3300EXIIが挙げられる。また、本発明における硬化性樹脂組成物に含まれるシリカの平均粒子径とは、硬化性樹脂組成物を調整(予備撹拌、混練)する前のシリカを上記のようにして測定した値をいうものとする。
(D)シリカの配合量は固形分換算で、硬化性樹脂組成物中、20質量%以上80質量%以下であり、好ましくは20質量%以上50質量%以下であり、より好ましくは30質量%以上50質量%以下である。(D)シリカの配合量が20質量%以上であることで、硬化物を高強度かつ高剛性として、線膨張係数(CTE)を低くすることができる。
[着色剤]
本発明の硬化性樹脂組成物には、着色剤を配合することができる。着色剤としては、特に限定されず、赤、青、緑、黄等の公知の着色剤を使用することができ、顔料、染料、色素のいずれでもよいが、環境負荷の低減や人体への影響が少ない観点からハロゲンを含有しない着色剤であることが好ましい。
赤色着色剤としてはモノアゾ系、ジスアゾ系、アゾレーキ系、ベンズイミダゾロン系、ペリレン系、ジケトピロロピロール系、縮合アゾ系、アントラキノン系、キナクリドン系等があり、具体的には以下のようなカラ−インデックス(C.I.;ザ ソサイエティ オブ ダイヤーズ アンド カラリスツ(The Society of Dyersand Colourists)発行)番号が付されているものが挙げられる。
モノアゾ系赤色着色剤としては、Pigment Red 1,2,3,4,5,6,8,9,12,14,15,16,17,21,22,23,31,32,112,114,146,147,151,170,184,187,188,193,210,245,253,258,266,267,268,269等が挙げられる。また、ジスアゾ系赤色着色剤としては、Pigment Red 37,38,41等が挙げられる。また、モノアゾレーキ系赤色着色剤としては、Pigment Red 48:1,48:2,48:3,48:4,49:1,49:2,50:1,52:1,52:2,53:1,53:2,57:1,58:4,63:1,63:2,64:1,68等が挙げられる。また、ベンズイミダゾロン系赤色着色剤としては、Pigment Red 171,175,176、185、208等が挙げられる。また、ぺリレン系赤色着色剤としては、Solvent Red 135,179,Pigment Red 123,149,166,178,179,190,194,224等が挙げられる。また、ジケトピロロピロール系赤色着色剤としては、Pigment Red 254,255,264,270,272等が挙げられる。また、縮合アゾ系赤色着色剤としては、Pigment Red 220,144,166,214,220,221,242等が挙げられる。また、アントラキノン系赤色着色剤としては、Pigment Red 168,177,216、Solvent Red 149,150,52,207等が挙げられる。また、キナクリドン系赤色着色剤としては、Pigment Red 122,202,206,207,209等が挙げられる。
青色着色剤としてはフタロシアニン系、アントラキノン系があり、顔料系はピグメント(Pigment)に分類されている化合物が挙げられ、例えば、Pigment Blue 15,15:1,15:2,15:3,15:4,15:6,16,60。染料系としては、Solvent Blue 35,63,68,70,83,87,94,97,122,136,67,70等を使用することができる。上記以外にも、金属置換もしくは無置換のフタロシアニン化合物も使用することができる。
黄色着色剤としてはモノアゾ系、ジスアゾ系、縮合アゾ系、ベンズイミダゾロン系、イソインドリノン系、アントラキノン系等が挙げられ、例えば、アントラキノン系黄色着色剤としては、Solvent Yellow 163,Pigment Yellow 24,108,193,147,199,202等が挙げられる。イソインドリノン系黄色着色剤としては、Pigment Yellow 110,109,139,179,185等が挙げられる。縮合アゾ系黄色着色剤としては、Pigment Yellow
93,94,95,128,155,166,180等が挙げられる。ベンズイミダゾロン系黄色着色剤としては、Pigment Yellow 120,151,154,156,175,181等が挙げられる。また、モノアゾ系黄色着色剤としては、Pigment Yellow 1,2,3,4,5,6,9,10,12,61,62,62:1,65,73,74,75,97,100,104,105,111,116,167,168,169,182,183等が挙げられる。また、ジスアゾ系黄色着色剤としては、Pigment Yellow 12,13,14,16,17,55,63,81,83,87,126,127,152,170,172,174,176,188,198等が挙げられる。
その他、紫、オレンジ、茶色、黒、白等の着色剤を加えてもよい。具体的には、Pigment Black 1,6,7,8,9,10,11,12,13,18,20,25,26,28,29,30,31,32、Pigment Violet 19、23、29、32、36、38、42、Solvent Violet13,36、C.I.Pigment Orange 1,5,13,14,16,17,24,34,36,38,40,43,46,49,51,61,63,64,71,73、PigmentBrown 23,25,カーボンブラック、酸化チタン等が挙げられる。
[光重合性モノマー]
本発明の硬化性樹脂組成物には、光重合性モノマーを配合することができる。光重合性モノマーは、エチレン性不飽和二重結合を有するモノマーである。このような光重合性モノマーとしては、例えば、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート類;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類;エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール等のアルキレンオキサイド誘導体のモノまたはジ(メタ)アクリレート類;ヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジトリメチロールプロパン、ジペンタエリスリトール、トリスヒドロキシエチルイソシアヌレート等の多価アルコールまたはこれらのエチレンオキサイドあるいはプロピレンオキサイド付加物の多価(メタ)アクリレート類;フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのポリエトキシジ(メタ)アクリレート等のフェノール類のエチレンオキサイドあるいはプロピレンオキサイド付加物の(メタ)アクリレート類;グリセリンジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、トリグリシジルイソシアヌレートなどのグリジジルエーテルの(メタ)アクリレート類;およびメラミン(メタ)アクリレートが挙げられる。光重合性モノマーは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
光重合性モノマーの配合量は、固形分換算で、(A)カルボキシル基含有樹脂100質量部に対して、好ましくは0.1〜50質量部である。配合量が、0.1質量部以上の場合、光硬化性が良好であり、活性エネルギー線照射後のアルカリ現像において、パターン形成がし易い。一方、50質量部以下の場合、ハレーションが生じにくく良好な解像性が得られる。
[熱硬化成分]
本発明の硬化性樹脂組成物には、熱硬化成分を配合させることができる。熱硬化成分を加えることにより、組成物の耐熱性が向上することが期待できる。熱硬化成分は、1種を単独または2種以上を組み合わせて用いることができる。熱硬化成分としては、公知のものをいずれも用いることができる。例えば、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、メラミン誘導体、ベンゾグアナミン誘導体等のアミノ樹脂、イソシアネート化合物、ブロックイソシアネート化合物、シクロカーボネート化合物、オキセタン化合物、エピスルフィド樹脂、カルボジイミド樹脂等の公知の熱硬化成分を使用できる。特に好ましいのは、分子中に複数の環状エーテル基または環状チオエーテル基(以下、環状(チオ)エーテル基と略す)を有する熱硬化成分である。
上記の分子中に複数の環状(チオ)エーテル基を有する熱硬化成分は、分子中に3、4または5員環の環状(チオ)エーテル基を複数有する化合物であり、分子内に複数のオキセタニル基を有する化合物、すなわち多官能オキセタン化合物、分子内に複数のチオエーテル基を有する化合物、すなわちエピスルフィド樹脂等が挙げられる。
多官能オキセタン化合物としては、例えば、ビス[(3−メチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]エーテル、ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]エーテル、1,4−ビス[(3−メチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン、1,4−ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン、(3−メチル−3−オキセタニル)メチルアクリレート、(3−エチル−3−オキセタニル)メチルアクリレート、(3−メチル−3−オキセタニル)メチルメタクリレート、(3−エチル−3−オキセタニル)メチルメタクリレートやそれらのオリゴマーまたは共重合体等の多官能オキセタン類の他、オキセタンアルコールとノボラック樹脂、ポリ(p−ヒドロキシスチレン)、カルド型ビスフェノール類、カリックスアレーン類、カリックスレゾルシンアレーン類、またはシルセスキオキサン等の水酸基を有する樹脂とのエーテル化物等が挙げられる。その他、オキセタン環を有する不飽和モノマーとアルキル(メタ)アクリレートとの共重合体等も挙げられる。
メラミン誘導体、ベンゾグアナミン誘導体等のアミノ樹脂としては、メチロールメラミン化合物、メチロールベンゾグアナミン化合物、メチロールグリコールウリル化合物およびメチロール尿素化合物等が挙げられる。
イソシアネート化合物としては、ポリイソシアネート化合物を配合することができる。ポリイソシアネート化合物としては、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、ナフタレン−1,5−ジイソシアネート、o−キシリレンジイソシアネート、m−キシリレンジイソシアネートおよび2,4−トリレンダイマー等の芳香族ポリイソシアネート;テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、メチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、4,4−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)およびイソホロンジイソシアネート等の脂肪族ポリイソシアネート;ビシクロヘプタントリイソシアネート等の脂環式ポリイソシアネート;並びに先に挙げたイソシアネート化合物のアダクト体、ビューレット体およびイソシアヌレート体等が挙げられる。
ブロックイソシアネート化合物としては、イソシアネート化合物とイソシアネートブロック剤との付加反応生成物を用いることができる。イソシアネートブロック剤と反応し得るイソシアネート化合物としては、例えば、上述のポリイソシアネート化合物等が挙げられる。イソシアネートブロック剤としては、例えば、フェノール系ブロック剤;ラクタム系ブロック剤;活性メチレン系ブロック剤;アルコール系ブロック剤;オキシム系ブロック剤;メルカプタン系ブロック剤;酸アミド系ブロック剤;イミド系ブロック剤;アミン系ブロック剤;イミダゾール系ブロック剤;イミン系ブロック剤等が挙げられる。
熱硬化成分の配合量は、(A)カルボキシル基含有樹脂に含有されるカルボキシル基1molあたりに対し、反応する熱硬化成分の官能基数が0.5〜2.5molが好ましく、より好ましくは0.8〜2.0molである。
[(E)活性エステル系硬化剤]
本発明の硬化性樹脂組成物は、さらに、(E)活性エステル系硬化剤を含んでいてもよい。(E)成分としての硬化剤は、通常、エポキシ樹脂と反応して樹脂組成物を硬化させる機能を有する。また、硬化剤は1種類単独で用いてもよく、又は2種類以上を併用してもよい。
活性エステル系硬化剤としては、1分子中に1個以上の活性エステル基を有する化合物を用いることができる。中でも、活性エステル系硬化剤としては、フェノールエステル類、チオフェノールエステル類、N−ヒドロキシアミンエステル類、複素環ヒドロキシ化合物のエステル類等の、反応活性の高いエステル基を1分子中に2個以上有する化合物が好ましい。当該活性エステル系硬化剤は、カルボン酸化合物及び/又はチオカルボン酸化合物とヒドロキシ化合物及び/又はチオール化合物との縮合反応によって得られるものが好ましい。特に、耐熱性向上の観点から、カルボン酸化合物とヒドロキシ化合物とから得られる活性エステル系硬化剤が好ましく、カルボン酸化合物とフェノール化合物及び/又はナフトール化合物とから得られる活性エステル系硬化剤がより好ましい。
カルボン酸化合物としては、例えば、安息香酸、酢酸、コハク酸、マレイン酸、イタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ピロメリット酸等が挙げられる。
活性エステル系硬化剤の好ましい具体例としては、ジシクロペンタジエン型ジフェノール構造を含む活性エステル化合物、ナフタレン構造を含む活性エステル化合物、フェノールノボラックのアセチル化物を含む活性エステル化合物、フェノールノボラックのベンゾイル化物を含む活性エステル化合物が挙げられる。中でも、ナフタレン構造を含む活性エステル化合物、ジシクロペンタジエン型ジフェノール構造を含む活性エステル化合物がより好ましい。「ジシクロペンタジエン型ジフェノール構造」とは、フェニレン−ジシクロペンチレン−フェニレンからなる2価の構造単位を表す。
活性エステル系硬化剤の市販品としては、例えば、ジシクロペンタジエン型ジフェノール構造を含む活性エステル化合物として、「EXB9451」、「EXB9460」、「EXB9460S」、「HPC−8000−65T」、「HPC−8000H−65TM」、「EXB−8000L−65TM」、「EXB−8150−65T」(DIC株式会社製);ナフタレン構造を含む活性エステル化合物として「EXB9416−70BK」(DIC株式会社製);フェノールノボラックのアセチル化物を含む活性エステル化合物として「DC808」(三菱ケミカル株式会社製);フェノールノボラックのベンゾイル化物を含む活性エステル化合物として「YLH1026」(三菱ケミカル株式会社製);フェノールノボラックのアセチル化物である活性エステル系硬化剤として「DC808」(三菱ケミカル株式会社製);フェノールノボラックのベンゾイル化物である活性エステル系硬化剤として「YLH1026」、「YLH1030」、「YLH1048」(三菱ケミカル株式会社製);等が挙げられる。
(E)活性エステル系硬化剤を用いる場合、(C)エポキシ樹脂に対する活性エステル系硬化剤の配合量は、固形分換算で、好ましくは20質量%以上80質量%以下であり、より好ましくは30質量%以上70質量%以下である。
[熱硬化触媒]
本発明の硬化性樹脂組成物には、熱硬化触媒を配合することができる。熱硬化触媒としては、例えば、イミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、4−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−(2−シアノエチル)−2−エチル−4−メチルイミダゾール等のイミダゾール誘導体;ジシアンジアミド、ベンジルジメチルアミン、4−(ジメチルアミノ)−N,N−ジメチルベンジルアミン、4−メトキシ−N,N−ジメチルベンジルアミン、4−メチル−N,N−ジメチルベンジルアミン等のアミン化合物、アジピン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド等のヒドラジン化合物;トリフェニルフォスフィン等のリン化合物等が挙げられる。また、市販されているものとしては、例えば四国化成工業株式会社製の2MZ−A、2MZ−OK、2PHZ、2P4BHZ、2P4MHZ(いずれもイミダゾール系化合物の商品名)、サンアプロ株式会社製のU−CAT 3513N(ジメチルアミン系化合物の商品名)、DBU、DBN、U−CAT SA 102(いずれも二環式アミジン化合物およびその塩)などが挙げられる。特に、これらに限られるものではなく、エポキシ樹脂やオキセタン化合物の熱硬化触媒、もしくはエポキシ基およびオキセタニル基の少なくとも1種とカルボキシル基の反応を促進するものであればよく、単独でまたは2種以上を混合して使用してもかまわない。
さらに、グアナミン、アセトグアナミン、ベンゾグアナミン、メラミン、2,4−ジアミノ−6−メタクリロイルオキシエチル−S−トリアジン、2−ビニル−2,4−ジアミノ−S−トリアジン、2−ビニル−4,6−ジアミノ−S−トリアジン・イソシアヌル酸付加物、2,4−ジアミノ−6−メタクリロイルオキシエチル−S−トリアジン・イソシアヌル酸付加物等のS−トリアジン誘導体を用いることもでき、好ましくはこれら密着性付与剤としても機能する化合物を熱硬化触媒と併用する。熱硬化触媒は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
熱硬化触媒の配合量は、固形分換算で、(A)カルボキシル基含有樹脂100質量部に対して、好ましくは0.1〜10質量部であり、より好ましくは0.1〜0.5質量部である。0.1質量部以上の場合、耐熱性に優れる。10質量部以下の場合、保存安定性向上につながる。
[有機溶剤]
本発明の硬化性樹脂組成物には、組成物の調製や、基板やフィルムに塗布する際の粘度調整等の目的で、有機溶剤を含有させることができる。有機溶剤としては、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;トルエン、キシレン、テトラメチルベンゼン等の芳香族炭化水素類;セロソルブ、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、カルビトール、メチルカルビトール、ブチルカルビトール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールエーテル類;酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸ブチル、セロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、カルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、炭酸プロピレン等のエステル類;オクタン、デカン等の脂肪族炭化水素類;石油エーテル、石油ナフサ、ソルベントナフサ等の石油系溶剤など、公知慣用の有機溶剤が使用できる。これらの有機溶剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
[その他の添加成分]
本発明の硬化性樹脂組成物には、必要に応じてさらに、光開始助剤、シアネート化合物、エラストマー、メルカプト化合物、ウレタン化触媒、チキソ化剤、密着促進剤、ブロック共重合体、連鎖移動剤、重合禁止剤、銅害防止剤、酸化防止剤、防錆剤、微粉シリカ、有機ベントナイト、モンモリロナイト等の増粘剤、シリコーン系、フッ素系、高分子系等の消泡剤およびレベリング剤の少なくとも1種、イミダゾール系、チアゾール系、トリアゾール系等のシランカップリング剤、フォスフィン酸塩、燐酸エステル誘導体、フォスファゼン化合物等のリン化合物等の難燃剤などの成分を配合することができる。これらは、電子材料の分野において公知の物を使用することができる。
硬化性樹脂組成物は、ドライフィルム化して用いても液状として用いてもよい。また、液状として用いる場合は、1液性でも2液性以上でもよい。
[物性]
本発明の硬化性樹脂組成物は、乾燥塗膜からなる樹脂層の厚さが20μmの時に、365nmの吸光度が0.3以上1.2以下であり、好ましくは0.5以上1.0以下である。上記吸光度が0.3以上1.2以下であることで、解像性に優れる。なお、硬化性樹脂組成物の乾燥塗膜からなる樹脂層の吸光度は、分光光度計を用いて測定することができる。
[用途]
本発明による硬化性樹脂組成物は、ソルダーレジストやカバーレイ、層間絶縁層等のプリント配線板の永久被膜としてのパターン層を形成するために有用であり、特にソルダーレジストの形成に有用である。また、本発明の硬化性樹脂組成物は、薄膜でも膜強度に優れた硬化物を形成できることから、薄膜化が要求されるプリント配線板、例えばパッケージ基板(半導体パッケージに用いられるプリント配線板)におけるパターン層の形成にも好適に用いることができる。さらに、本発明の硬化性樹脂組成物から得られる硬化物は、高弾性率で低CTEとなる点においても、総厚みが薄く剛性の不足するパッケージ基板におけるパターン層の形成に好適に用いることができるものである。
また、本発明による硬化性樹脂組成物は、硬化膜のパターン層を形成する用途だけでなく、パターン層を形成しない用途、例えばモールド用途(封止用途)に用いることができる。
[ドライフィルム]
本発明の硬化性樹脂組成物は、支持(キャリア)フィルムと、この支持フィルム上に形成された上記硬化性樹脂組成物の乾燥塗膜からなる樹脂層とを備えたドライフィルムの形態とすることもできる。ドライフィルム化に際しては、本発明の硬化性樹脂組成物を上記有機溶剤で希釈して適切な粘度に調整し、コンマコーター、ブレードコーター、リップコーター、ロッドコーター、スクイズコーター、リバースコーター、トランスファロールコーター、グラビアコーター、スプレーコーター等でキャリアフィルム上に均一な厚さに塗布し、通常、50〜130℃の温度で1〜30分間乾燥して膜を得ることができる。塗布膜厚については特に制限はないが、一般に、乾燥後の膜厚で、1〜150μm、好ましくは10〜60μmの範囲で適宜選択される。
支持フィルムとしては、公知のものであれば特に制限なく使用することができ、例えば、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート等のポリエステルフィルム、ポリイミドフィルム、ポリアミドイミドフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリスチレンフィルム等の熱可塑性樹脂からなるフィルムを好適に使用することができる。これらの中でも、耐熱性、機械的強度、取扱性等の観点から、ポリエステルフィルムが好ましい。また、これらフィルムの積層体を支持フィルムとして使用することもできる。
また、上記したような熱可塑性樹脂フィルムは、機械的強度向上の観点から、一軸方向または二軸方向に延伸されたフィルムであることが好ましい。
支持フィルムの厚さは、特に制限されるものではないが、例えば、10μm〜150μmとすることができる。
支持フィルム上に本発明の硬化性樹脂組成物の乾燥塗膜からなる樹脂層を形成した後、さらに、樹脂層の表面に塵が付着するのを防ぐなどの目的で、樹脂層の表面に剥離可能な保護(カバー)フィルムを積層することが好ましい。剥離可能な保護フィルムとしては、例えば、ポリエチレンフィルム、ポリテトラフルオロエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、表面処理した紙等を用いることができ、保護フィルムを剥離するときに樹脂層と支持フィルムとの接着力よりも樹脂層と保護フィルムとの接着力がより小さいものであればよい。
保護フィルムの厚さは、特に限定されるものではないが、例えば、10μm〜150μmとすることができる。
ドライフィルムを用いてプリント配線板上に硬化被膜を作製するには、ドライフィルムから保護フィルムを剥離し、ドライフィルムの露出した樹脂層を回路形成された基材に重ね、ラミネーター等を用いて貼り合わせ、回路形成された基材上に樹脂層を形成する。次いで、形成された樹脂層に対し、露光、現像、加熱硬化すれば、硬化被膜を形成することができる。保護フィルムは、露光前または露光後のいずれかで剥離すればよい。
本発明のドライフィルムは、ラミネート時に気泡を巻き込みにくく、配線回路パターンへの埋め込み性に優れるものである。
[硬化物]
本発明の硬化物は、上記本発明の硬化性樹脂組成物、または、上記本発明のドライフィルムの樹脂層を硬化して得られるものである。本発明の硬化物は、プリント配線板や電子部品等に好適に用いることができる。本発明の硬化物は、高クラック耐性、高解像性、ならびに低誘電率および低誘電正接を含む誘電特性に優れるものである。さらに、本発明の硬化物は、耐熱性や線膨張係数にも優れるものである。
[プリント配線板]
本発明のプリント配線板は、本発明の硬化性樹脂組成物またはドライフィルムの樹脂層から得られる硬化物を有するものである。本発明のプリント配線板の製造方法としては、例えば、本発明の硬化性樹脂組成物を、上記有機溶剤を用いて塗布方法に適した粘度に調整して、基材上に、ディップコート法、フローコート法、ロールコート法、バーコーター法、スクリーン印刷法、カーテンコート法等の方法により塗布した後、60〜100℃の温度で組成物中に含まれる有機溶剤を揮発乾燥(仮乾燥)させることで、タックフリーの樹脂層を形成する。また、ドライフィルムの場合、ラミネーター等により樹脂層が基材と接触するように基材上に貼り合わせた後、キャリアフィルムを剥がすことにより、基材上に樹脂層を形成する。
上記基材としては、あらかじめ銅等により回路形成されたプリント配線板やフレキシブルプリント配線板の他、紙フェノール、紙エポキシ、ガラス布エポキシ、ガラスポリイミド、ガラス布/不繊布エポキシ、ガラス布/紙エポキシ、合成繊維エポキシ、フッ素樹脂・ポリエチレン・ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンオキサイド・シアネート等を用いた高周波回路用銅張積層板等の材質を用いたもので、全てのグレード(FR−4等)の銅張積層板、その他、金属基板、ポリイミドフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレート(PEN)フィルム、ガラス基板、セラミック基板、ウエハ板等を挙げることができる。
ドライフィルムの基材上への貼合は、真空ラミネーター等を用いて、加圧および加熱下で行うことが好ましい。このような真空ラミネーターを使用することにより、回路形成された基板を用いた場合に、回路基板表面に凹凸があっても、ドライフィルムが回路基板に密着するため、気泡の混入がなく、また、基板表面の凹部の穴埋め性も向上する。加圧条件は、0.1〜2.0MPa程度であることが好ましく、また、加熱条件は、40〜120℃であることが好ましい。
本発明の硬化性樹脂組成物を塗布した後に行う揮発乾燥は、熱風循環式乾燥炉、IR炉、ホットプレート、コンベクションオーブン等(蒸気による空気加熱方式の熱源を備えたものを用いて乾燥機内の熱風を向流接触せしめる方法およびノズルより支持体に吹き付ける方式)を用いて行うことができる。
基材上に樹脂層を形成後、所定のパターンを形成したフォトマスクを通して選択的に活性エネルギー線により露光し、未露光部を希アルカリ水溶液(例えば、0.3〜3質量%炭酸ソーダ水溶液)により現像して硬化物のパターンを形成する。ドライフィルムの場合には、露光後、ドライフィルムから支持フィルムを剥離して現像を行うことにより、基材上にパターニングされた硬化物を形成する。なお、特性を損なわない範囲であれば、露光前にドライフィルムから支持フィルムを剥離して、露出した樹脂層を露光および現像しても良い。
さらに、硬化物に活性エネルギー線を照射後に加熱硬化(例えば、100〜220℃)、もしくは加熱硬化後に活性エネルギー線を照射、または、加熱硬化のみで最終仕上げ硬化(本硬化) させることにより、密着性、硬度等の諸特性に優れた硬化膜を形成する。
上記活性エネルギー線照射に用いられる露光機としては、高圧水銀灯ランプ、超高圧水銀灯ランプ、メタルハライドランプ、水銀ショートアークランプ等を搭載し、350〜450nmの範囲で紫外線を照射する装置であればよく、さらに、直接描画装置(例えば、コンピューターからのCADデータにより直接レーザーで画像を描くレーザーダイレクトイメージング装置)も用いることができる。直描機のランプ光源またはレーザー光源としては、最大波長が350〜450nmの範囲にあるものでよい。画像形成のための露光量は膜厚等によって異なるが、一般には10〜1000mJ/cm、好ましくは20〜800mJ/cmの範囲内とすることができる。
上記現像方法としては、ディッピング法、シャワー法、スプレー法、ブラシ法等によることができ、現像液としては、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、リン酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、アンモニア、アミン類等のアルカリ水溶液が使用できる。
以下、実施例、比較例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、これら実施例、比較例によって制限されるものではない。なお、以下において「部」および「%」とあるのは、特に断りのない限り全て質量基準である。
[合成例1(カルボキシル基含有樹脂1の合成)]
反応槽としての冷却管付きセパラブルフラスコに、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート82.4部、イソプロパノール35.3部を仕込み、窒素置換した後、100℃に昇温した。他方、滴下槽1にN−フェニルマレイミドを40部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを128部、イソプロパノールを32部混合したもの、滴下槽2にスチレンを13部、メタアクリル酸2−ヒドロキシエチルを20部、メタアクリル酸を27部、イソプロパノールを22.2部混合したもの、滴下槽3に重合開始剤としてパーブチルO(商品名;日油株式会社製、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート)10部をそれぞれ仕込んだ。反応温度を100℃に保ちながら、滴下槽1〜3から3時間かけて滴下を行った。滴下終了後から更に100℃で30分、反応を継続した。その後、反応温度を115℃に昇温し、1.5時間反応を継続してラジカル重合性二重結合導入反応前の重合体溶液を得た。
次いで、この重合体溶液にサイクロマーM100(株式会社ダイセル製)を13.7部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを31.2部、反応触媒としてトリフェニルフォスフィンを0.7部、重合禁止剤としてアンテージW−400(川口化学工業株式会社製)を0.2部加え、窒素と酸素との混合ガス(酸素濃度7%)をバブリングしながら115℃で反応させてカルボキシル基含有樹脂1の溶液を得た。得られたカルボキシル基含有樹脂1の溶液について各種物性を測定したところ、重量平均分子量は7400、真空下160℃にて加熱乾燥させて得られた固形分濃度は32.0%、固形分当たりの酸価は124mgKOH/gであった。
[合成例2(カルボキシル基含有樹脂2の合成)]
温度計、窒素導入装置兼アルキレンオキサイド導入装置および撹拌装置を備えたオートクレーブに、ノボラック型クレゾール樹脂(商品名「ショウノール CRG951」、アイカ工業株式会社製、OH当量:119.4)119.4質量部、水酸化カリウム1.19質量部およびトルエン119.4質量部を導入し、撹拌しつつ系内を窒素置換し、加熱昇温した。次に、プロピレンオキサイド63.8質量部を徐々に滴下し、125〜132℃、0〜4.8kg/cmで16時間反応させた。その後、室温まで冷却し、この反応溶液に89%リン酸1.56質量部を添加混合して水酸化カリウムを中和し、固形分62.1%、水酸基価が182.2mgKOH/g(307.9g/eq.)であるノボラック型クレゾール樹脂のプロピレンオキサイド反応溶液を得た。これは、フェノール性水酸基1当量当りプロピレンオキサイドが平均1.08モル付加したものであった。
得られたノボラック型クレゾール樹脂のプロピレンオキサイド反応溶液293.0質量部、アクリル酸43.2質量部、メタンスルホン酸11.53質量部、メチルハイドロキノン0.18質量部およびトルエン252.9質量部を、撹拌機、温度計および空気吹き込み管を備えた反応器に導入し、空気を10ml/分の速度で吹き込み、撹拌しながら、110℃で12時間反応させた。反応により生成した水は、トルエンとの共沸混合物として、12.6質量部の水が留出した。その後、室温まで冷却し、得られた反応溶液を15%水酸化ナトリウム水溶液35.35質量部で中和し、次いで水洗した。その後、エバポレーターにてトルエンをジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート118.1質量部で置換しつつ留去し、ノボラック型アクリレート樹脂溶液を得た。次に、得られたノボラック型アクリレート樹脂溶液332.5質量部およびトリフェニルフォスフィン1.22質量部を、撹拌器、温度計および空気吹き込み管を備えた反応器に導入し、空気を10ml/分の速度で吹き込み、撹拌しながら、テトラヒドロフタル酸無水物60.8質量部を徐々に加え、95〜101℃で6時間反応させ、冷却後、取り出した。このようにして、固形分70.6%、固形分の酸価87.7mgKOH/gの感光性のカルボキシル基含有樹脂2の溶液を得た。
[合成例3(カルボキシル基含有樹脂3の合成)]
ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート650部にオルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂(DIC株式会社製、EPICLON N−695、軟化点95℃、エポキシ当量214、平均官能基数7.6)1070部(グリシジル基数(芳香環総数):5.0モル)、アクリル酸360部(5.0モル)、及びハイドロキノン1.5部を仕込み、100℃に加熱攪拌し、均一溶解した。次いで、トリフェニルフォスフィン4.3部を仕込み、110℃に加熱して2時間反応後、更にトリフェニルフォスフィン1.6部を追加し、120℃に昇温してさらに12時間反応を行った。得られた反応液に芳香族系炭化水素(ソルベッソ150)525部、テトラヒドロ無水フタル酸608部(4.0モル)を仕込み、110℃で4時間反応を行った。さらに、得られた反応液にグリシジルメタクリレート142.0部(1.0モル)を仕込み、115℃で4時間反応を行い、固形分酸価77mgKOH/g、固形分65%のカルボキシル基含有樹脂3の溶液を得た。
(シリカスラリー1の調製)
アドマテックス社製シリカSO−C1 700g、溶剤としてPMA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)300g、ビーズミルにて分散処理を行い、平均粒径が0.4μmとなるシリカスラリー1を調製した。
(メタクリル基を有するシリカ1の調製)
上記で得られた平均粒径0.4μmのシリカスラリー1(PMA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)中、固形分70質量%))を使用し、シリカスラリー1に対し4wt%メタクリルシランを添加し、ビーズミルで10分処理し、表面処理シリカ1を得た。なお、上記メタクリルシランとしては、信越シリコーン社のKBM−503を使用した。
[硬化性樹脂組成物の調製]
下記表1中に示す種々の成分を下記表1に示す割合(質量部)にて配合し、攪拌機にて予備撹拌した後、ビーズミルで混練し、硬化性樹脂組成物を調製した。
Figure 2020166211
表1中、各成分の配合量は固形分換算の数値である。
また、表1中の各成分の詳細は、以下の通りである。
*1:合成例1により得られたカルボキシル基含有樹脂1
*2:合成例2により得られたカルボキシル基含有樹脂2
*3:合成例3により得られたカルボキシル基含有樹脂3
*4:ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂(DIC株式会社製、HP−7200、エポキシ当量260)
*5:アシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤(IGM Resins社製、Omnirad TPO、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド)
*6:α−アミノアセトフェノン系光重合開始剤(IGM Resins社製、Omnirad 907、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン)
*7:上記で調製したシリカ1(反応性基有り、平均粒径0.4μm)
*8:シリカ(日産化学株式会社製、MEK−AC−5140Z、反応性基有り、平均粒径0.08μm)
*9:硫酸バリウム(堺化学工業株式会社製、B−30)
*10:活性エステル(DIC株式会社製、HPC8000−65T)
*11:フタロシアニンブルー
[ドライフィルムの作製]
上記で調製した硬化性樹脂組成物をそれぞれ、アプリケーターを用いて、25μmのポリエステルフィルム上に塗布し、80℃で30分乾燥して、厚み20μm、30μm、50μmの樹脂層を有するドライフィルムを作製した。
[吸光度評価]
ガラス基板上に、上記[ドライフィルムの作製]にて作製した樹脂層の膜厚が20μmのドライフィルムをラミネートし、PETフィルムを剥離した。その後、日本分光株式会社製分光光度計V−670を用いて365nmの吸光度を測定した。
以下の基準にて吸光度を評価し、評価結果を表2に示した。
(評価基準)
◎:吸光度が0.5以上1.0以下であった。
○:吸光度が0.3以上0.5未満または1.0超1.2以下であった。
×:吸光度が0.3未満または1.2超であった。
[解像性評価]
CZ処理された銅張積層板の銅上に、上記[ドライフィルムの作製]にて作製した樹脂層の膜厚が20μmのドライフィルムをラミネートし、DI露光機(ショートアークランプ)にて、ステップタブレット(41段)で11段が得られる露光量で開口パターンを有するように露光した。PETフィルムを剥離し30℃、0.2MPa、1.0wt%炭酸ナトリウム水溶液で60秒現像し、形成できる開口径を確認した。
以下の基準にて解像性を評価し、評価結果を表2に示した。
(評価基準)
◎:60μm以下の良好な開口径が得られた。
○:80μmにて良好な開口径が得られた。
△:100μmにて良好な開口径が得られた。
×:100μmにて良好な開口径が得られなかった。
[線膨張係数(CTE)評価]
ロープロファイルの35μmの銅箔を有する基板上に、上記[ドライフィルムの作製]にて作製した樹脂層の膜厚が30μmのドライフィルムをラミネートした。これに対して、株式会社オーク製作所HMW680GW(メタルハライドランプ、散乱光)により、ステップタブレット(41段)11段が得られる露光量で全面露光を行った。PETフィルムを剥離した後、30℃、0.2MPa、1.0wt%炭酸ナトリウム水溶液で60秒現像した後、更に積算露光量を1000mJとして紫外線を照射し、160℃で1時間加熱して硬化した。
得られた評価基板を用いて、硬化塗膜を銅箔より剥離し、測定サイズ(3mm×10mmのサイズ)が得られるようにサンプルを切り出した。サンプルを、株式会社日立ハイテクサイエンス製TMA6100にてCTEを測定した。測定条件は、試験荷重5g、サンプルを10℃/分の昇温速度で室温より昇温することを2回繰り返し、2回目におけるTg以上の線膨張係数(CTE(α2))を得た。
以下の基準にて線膨張係数を評価し、評価結果を表2に示した。
(評価基準)
◎:CTE(α2)が75ppm/℃未満であった。
○:CTE(α2)が75ppm/℃以上95ppm/℃未満であった。
△:CTE(α2)が95ppm/℃以上125ppm/℃未満であった。
×:CTE(α2)が125ppm/℃以上であった。
[クラック耐性評価]
CZ処理された導体幅35μm、幅2mmの銅ラインパターンが形成されたBT基板に、上記[ドライフィルムの作製]にて作製した樹脂層の膜厚が30μmのドライフィルムをでラミネートした。これに対して、DI露光機(ショートアークランプ)にて、ステップタブレット(41段)で11段が得られる露光量で開口パターンを有するように露光した。PETフィルムを剥離し30℃、0.2MPa、1.0wt%炭酸ナトリウム水溶液で60秒現像し、更に積算露光量を1000mJとして紫外線を照射した後、160℃で1時間加熱して硬化し、銅ライン上に3mm角のレジストパターンが形成された評価基板を作製した。この基板を、−65℃と150℃の間で温度サイクルが行われる冷熱サイクル機に入れ、TCT(Thermal Cycle Test)を行った。そして、600サイクル時、800サイクル時および1000サイクル時の開口パターンと銅ラインの際に発生しているクラックの数を観察した。
以下の基準にてクラック耐性を評価し、評価結果を表2に示した。
(評価基準)
◎:1000サイクルで異常は無かった。
○:800サイクルで異常は無かったが、1000サイクルでクラックが発生した。
△:600サイクルで異常は無かったが、800サイクルでクラックが発生した。
×:600サイクルでクラックが発生した。
[誘電特性評価]
厚み50μmの樹脂層を有するドライフィルムを使用した以外は、上記[線膨張係数(CTE)評価]と同様にして、評価基板を作製した。得られた評価基板の硬化被膜を銅箔から剥離し、この硬化被膜を用いて、ファブリペロー法で誘電特性(誘電正接および誘電率)を測定した。測定装置はベクトルネットワークアナライザN5227Aを用いて23℃、45%RH、10GHzにおける誘電正接(Df)および誘電率(Dk)を測定した。
以下の基準にて誘電特性を評価し、評価結果を表2に示した。なお、表中の「−」は未評価を表す。
(評価基準)
◎:誘電正接が0.02未満であり、かつ、誘電率が3.5未満であった。
○:誘電正接が0.02以上0.03未満であり、かつ、誘電率が3.5以上4.0未満であった。
×:誘電正接が0.03以上であり、かつ、誘電率が4.0以上であった。
さらに、硬化物の熱安定性を確認した。リフロー温度プロファイルはIPC/JEDEC J―STD−020に準拠してMSL1、ピーク温度260℃の条件で5回実施した。リフロー5回後の硬化物について、上記同様にして、誘電正接(Df)および誘電率(Dk)の変化率を測定した。
以下の基準にて熱安定性を評価し、評価結果を表2に示した。なお、表中の「−」は未評価を表す。
(評価基準)
◎:変化率が10%未満であった。
○:変化率が10%以上50%未満であった。
×:変化率が50%以上であった。
Figure 2020166211

Claims (8)

  1. (A)カルボキシル基含有樹脂と、(B)光重合開始剤と、(C)エポキシ樹脂と、(D)シリカを含む、硬化性樹脂組成物であって、
    前記前記(A)カルボキシル基含有樹脂がラジカル重合性重合体を含み、かつ、分子中にマレイミドまたはマレイミド誘導体に由来する繰り返し単位を有する構造であり、
    前記(D)シリカが表面に反応性基を有し、配合量が固形分換算で前記硬化性樹脂組成物中、20〜80質量%であり、
    前記硬化性樹脂組成物は、乾燥塗膜からなる樹脂層の厚さが20μmの時に、365nmの吸光度が0.3以上1.2以下であることを特徴とする、硬化性樹脂組成物。
  2. 前記(D)シリカの平均粒子径が0.1μm以上1.0μm以下である、請求項1に記載の硬化性樹脂組成物。
  3. (E)活性エステル系硬化剤をさらに含む、請求項1または2に記載の樹脂組成物。
  4. 前記(A)カルボキシル基含有樹脂が、ラジカル重合性重合体を含み、該ラジカル重合性重合体は、ベースポリマーである重合体100質量%中、マレイミド系単量体由来の構成単位10〜60質量%、不飽和カルボン酸単量体由来の構成単位10〜40質量%を必須単位として含有し、前記ベースポリマーである重合体が有するカルボキシル基に対して、該カルボキシル基と反応し得る官能基を有する単量体を反応させてなる構造を有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の硬化性樹脂組成物。
  5. 支持フィルムと、前記支持フィルム上に形成された請求項1〜4のいずれか一項に記載の硬化性樹脂組成物の乾燥塗膜からなる樹脂層とを備えることを特徴とする、ドライフィルム。
  6. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の硬化性樹脂組成物、または、請求項5に記載のドライフィルムの樹脂層を硬化させて得られることを特徴とする、硬化物。
  7. 請求項6に記載の硬化物を備えることを特徴とする、プリント配線板。
  8. 請求項6に記載の硬化物を備えることを特徴とする、電子部品。
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