JP2023146928A - 樹脂硬化膜を備えた基板の製造方法 - Google Patents

樹脂硬化膜を備えた基板の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】樹脂硬化膜を備えた基板において、狭小エリアに高精細なマーキングを簡便に形成する方法を提供する。【解決手段】第一のフィルムと前記第一のフィルムの一方の面に設けられた感光性樹脂層とを備えたドライフィルムを用いて、樹脂硬化膜を備えた基板を製造する方法であって、(1)前記感光性樹脂層が基板に接するように、前記ドライフィルムを前記基板にラミネートする工程、(2)前記第一のフィルムを介して、前記感光性樹脂層の一部の箇所を露光する工程、(3)前記ドライフィルムから前記第一のフィルムを剥離して、前記感光性樹脂層を露出させる工程、および(4)露出した前記感光性樹脂層を露光する工程、を備える。【選択図】なし

Description

本発明は、樹脂硬化膜を備えた基板の製造方法に関し、より詳細には感光性樹脂組層を備えたドライフィルムを用いて、露光により樹脂硬化膜を備えた基板を製造する方法に関する。
半導体パッケージ基板の製造において、製品の名称やロットなどの情報を示すマーキングを基板内に設けることが一般的である。マーキングの方法としては、製品ストリップの端に銅パターンによるランド部分を形成し、文字や記号を露光・現像により開口部を形成する方法(例えば、特許文献1等)、マーキングインキなどをスクリーン印刷して印字する方法(例えば、特許文献2等)、レーザーを照射してソルダーレジスト表面に損傷部を作り、損傷部と非損傷部のコントラストを利用して認識する方法(特許文献3等)などが提案されている。
近年、半導体パッケージ基板のパッケージ密度向上のため、製品ストリップ内のユニット数が増加し、これにともない製品ストリップ内のサイドレール部分(ユニット外枠部分)の細枠化が進んでいる。その一方で、多くの情報を半導体パッケージ基板内に入れたい希望があり、マーキングする文字の微細化や狭小エリアに多くの情報を入れることができる二次元コードの導入などが進められている。
特開平5-37100号公報 特開平5-110233号公報 特開2021-97123号公報
上記のマーキング方法において、露光・現像により開口部を形成してマーキングを作る方法では、銅パターンによるランド部分を形成しなければならならず、銅パターンのデザインが制約されるという問題があった。
また、マーキングインキを用いる方法では、スクリーン印刷後のインクのにじみやメッシュ目による文字のガタツキが問題となり、文字の微細化など高精細なマーキングが困難であるうえ、マーキングが追加工程となるため工程負荷が大きいと言える。
さらに、レーザー照射による方法では、レーザー加工後に焼損したレジストのカスを除去する洗浄工程が必要になるなど様々な制約があった。そのため、いずれのマーキング法においても、狭小エリアに高精細なマーキングを簡便に形成する方法が求められていた。
したがって、本発明の目的は、樹脂硬化膜を備えた基板において、狭小エリアに高精細なマーキングを簡便に形成する方法を提供することである。
上記の課題に対して本発明者らが種々の検討を行ったところ、第一のフィルムの一方の面に設けられた感光性樹脂層を備えたドライフィルムを用いて基板上に樹脂硬化膜を形成する際に、第一のフィルムを介して感光性樹脂層の1回目の露光を行った後に、第一のフィルムを感光性樹脂層から剥離して所定の場所に2回目の露光を行うと、得られた樹脂硬化膜の表面において、1回目の露光箇所と2回目の露光箇所とで硬化膜表面を視認したときの光沢感が異なることに気付き、当該識別性をマーキングとして利用できる、との知見を得た。本発明はかかる知見によるものである。即ち、本発明の要旨は以下のとおりである。
[1]第一のフィルムと前記第一のフィルムの一方の面に設けられた感光性樹脂層とを備えたドライフィルムを用いて、樹脂硬化膜を備えた基板を製造する方法であって、
(1)前記感光性樹脂層が基板に接するように、前記ドライフィルムを前記基板にラミネートする工程、
(2)前記第一のフィルムを介して、前記感光性樹脂層の一部の箇所を露光する工程、
(3)前記ドライフィルムから前記第一のフィルムを剥離して、前記感光性樹脂層を露出させる工程、および
(4)露出した前記感光性樹脂層を露光する工程、
を備える、方法。
[2]前記工程(4)において、前記工程(2)において第一のフィルムを介して露光した部分以外の箇所に露光を行う、[1]に記載の方法。
[3]前記工程(4)において、前記第1のフィルムの剥離後、5分以上経過した後に露光を行う、[1]に記載の方法。
[4]前記第一のフィルムの感光性樹脂層が設けられている面の表面粗さRaが、80~800nmである、[1]に記載の方法。
[5]前記基板が半導体パッケージ基板である、[1]に記載の方法。
[6]前記工程(2)において露光した以外の箇所が、前記樹脂硬化膜のマーキング部として機能する、[5]に記載の方法。
本発明の方法によれば、開口部を形成したり、マーキングインキやレーザー照射等の従来の方法を使用せずとも、狭小エリアに高精細なマーキングを簡便に形成することができる。
本発明による樹脂硬化膜を備えた基板の製造方法は、第一のフィルムの一方の面に設けられた感光性樹脂層を備えたドライフィルムを用いて基板上に樹脂硬化膜を形成するものであり、以下の工程を備えるものである。
(1)感光性樹脂層が基板に接するように、ドライフィルムを前記基板にラミネートする工程、
(2)第一のフィルムを介して、感光性樹脂層の一部の箇所を露光する工程、
(3)ドライフィルムから第一のフィルムを剥離して、感光性樹脂層を露出させる工程、および
(4)露出した感光性樹脂層を露光する工程。
以下、本発明による方法の各工程を詳述する。
(1)基板へのドライフィルムのラミネート工程
本発明においては、基板上に設けられる樹脂硬化膜は、感光性樹脂層を備えたドライフィルムにより形成される。即ち、感光性樹脂層を露光、現像することによって、所望パターンの樹脂硬化膜を基板上に形成することができる。
先ず、第一のフィルムと第一のフィルムの一方の面に設けられた感光性樹脂層とを備えたドライフィルムを準備し、基板上にラミネートする。
ドライフィルムについては後述するが、本明細書において「ドライフィルム」とは、第一のフィルムと、前記第一のフィルムの少なくとも一方の面に設けられた感光性樹脂層とを少なくとも備えるものをいい、他の層が含まれるものを排除するものではない。例えば、第一のフィルムと樹脂層との間に中間層等が設けられてもよいし、樹脂層の表面に第二のフィルムが設けられていてもよい。ドライフィルムが第二のフィルムを備える場合は、基板へドライフィルムをラミネートする際に、ドライフィルムから第二のフィルムを剥離し、感光性樹脂層を露出させる。
樹脂硬化膜を設ける基板としては特に制限はなく、樹脂硬化膜を必要とする種々の基板を制限なく使用することができるが、本発明においては、回路形成されたプリント配線基板、特に半導体パッケージ基板を好適に使用することができる。
ドライフィルムの感光性樹脂層が基板と接するようにラミネートする。ラミネートの方法としては、特に制限されるものではないが、真空ラミネーター等を用いて加圧および加熱下で行うことが好ましい。このような真空ラミネーターを使用することにより、回路形成された基板を用いた場合に、回路基板表面に凹凸があっても、ドライフィルムが回路基板に密着するため、気泡の混入がなく、また、基板表面の凹部の穴埋め性も向上する。加圧条件は、0.1~2.0MPa程度であることが好ましく、また、加熱条件は、40~120℃であることが好ましい。
(2)第一露光工程
上記のようにして基板上にドライフィルムをラミネートした後、ドライフィルムの第一のフィルム側から、第一のフィルムを介して感光性樹脂層の一部の箇所を露光(以下、「第一露光」とも言う)する。露光は、従来公知の露光機を用いて行うことができ、例えば高圧水銀灯ランプ、超高圧水銀灯ランプ、メタルハライドランプ、水銀ショートアークランプ等を搭載し、350~450nmの範囲で紫外線を照射する装置を好適に使用することができる。また、フォトマスクを使用することなく、直接描画装置(例えば、コンピューターからのCADデータにより直接レーザーで画像を描くレーザーダイレクトイメージング装置)も用いることができる。直描機のランプ光源またはレーザー光源としては、最大波長が350~450nmの範囲にあるものでよい。画像形成のための露光量は膜厚等によって異なるが、一般には10~1000mJ/cm、好ましくは20~800mJ/cmの範囲内とすることができる。
(3)第一のフィルムの剥離工程
上記のような第一露光を行った後に、ドライフィルムから第一のフィルムを剥離して、感光性樹脂層を露出させる。ドライフィルムの表面が微細な凹凸表面を有しているような場合は、露光した箇所の感光性樹脂層はドライフィルムの凹凸形状が賦形(転写)されることになる。
(4)第二露光工程
本発明においては、第一のフィルムを剥離して感光性樹脂層を露出させた後、さらに2回目の露光(以下、「第二露光」とも言う。)を行う。ドライフィルムを用いて基板上に樹脂硬化膜を形成する従来の方法では、露光後に第一のフィルムを剥離して現像処理を行うが、本発明の方法では、さらに2回目の露光を行う点が従来の方法と異なる点である。本発明においては、第一露光が、第一のフィルムと感光性樹脂層とが密着した状態で行われるのに対し、第二露光は、第一のフィルムが剥離されて感光性樹脂層が露出した状態で露光されるため、酸素阻害等の影響により両者で硬化条件が異なるものと考えられる。その結果、第一露光箇所と第二露光箇所とで得られた樹脂硬化膜の表面形態が異なり、視認性に違いを生じさせたものと推認できる。
2回目の露光は、第一のフィルムを剥離して感光性樹脂層を露出させ、好ましくは5分間以上、より好ましくは10分間以上経過した後に実施する。第一のフィルムを剥離して所定の時間をおいてから第二露光を行うことにより、得られた樹脂硬化膜の表面において、第一露光箇所と第二露光箇所の表面形態がより異なり、視認性の違いが明確になる。この理由は明らかではないが、感光性樹脂層を構成する高分子やモノマーの分子運動により、第一のフィルム剥離直後の感光性樹脂層の表面形態と、所定時間が経過した後の感光性樹脂層の表面形態とで、違いが生じているものと考えられる。
また、感光性樹脂層を構成する高分子やモノマーの分子運動は温度が高い方が起こりやすいため、第一のフィルムの剥離後、第二露光までの間は、加熱環境下においてもよい。例えば、30~100℃の環境下におくことで、第一露光箇所と第二露光箇所とで視認性の違いが明確になる。
また、ドライフィルムの第一のフィルムの表面が凹凸形状を有しているような場合、第一のフィルムの剥離直後は、感光性樹脂層の表面も対応するように凹凸形状を有しているが、時間の経過とともに凹凸形状が減少する。そのため、第一のフィルムの表面が凹凸形状を有しているようなドライフィルムを用いることによっても、第一露光箇所と第二露光箇所とで視認性の違いをより明確にできる。
第二露光は、第一露光箇所とは異なる箇所に行うことが好ましい。第一露光するエリアと異なるエリアに第二露光を実施することで、第二露光箇所を樹脂硬化膜のマーキング部として機能させることができる。なお、第二露光は、第一露光と同様の装置を用いて同様にして実施することできる。また、第一露光するエリアと異なるエリアに第二露光を実施する場合は、第一露光で使用したマスクパターンと異なるマスクパターンを使用すれば良い。第二露光に使用するマスクパターンを文字や図形、二次元コード等とすることで、樹脂硬化膜に所望のマーキングを付与することがきる。
(5)現像工程
現像工程は特に限定されるものではなく、ディッピング法、シャワー法、スプレー法、ブラシ法などを用いることができる。また、現像液としては、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、リン酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、アンモニア、アミン類などのアルカリ水溶液が使用できる。特に、現像液として希アルカリ水溶液を用いることにより露光後の塗膜へのダメージが少なく、解像性にも優れた樹脂硬化膜を得ることができる。特に、ソルダーレジストなど樹脂硬化膜である場合は、現像液として、NaCO濃度が0.2~2.0質量%の希アルカリ水溶液を使用することがより好ましい。
現像後には、不要な現像液の除去のため、水洗や酸中和を行うことが好ましい。
(6)感光性樹脂層の硬化工程
上記のようにして現像した感光性樹脂層を本硬化させることにより、基板上に所望パターンの樹脂硬化膜を形成することができる。感光性樹脂層の本硬化は、熱や紫外線照射により行う。熱硬化の場合、熱硬化温度としては、100~200℃が好ましく、120~180℃がより好ましい。一方、紫外線照射による硬化の場合、500~3000mJ/cmが好ましく、500~2000mJ/cmがより好ましい。また、熱硬化と紫外線照射による硬化を併用して実施してもよい。その場合、熱硬化と紫外線照射を同時に行ってもよいし、順次行ってもよい。順次行う場合はその順序は問わない。
(ドライフィルム)
本発明の方法において使用されるドライフィルムは、特に制限なく従来公知のものを使用することができる。好適に使用できるドライフィルムの一実施形態について説明する。
本発明の一実施形態に使用されるドライフィルムは、第一のフィルムと第一のフィルムの一方の面に設けられた感光性樹脂層とを備える。ドライフィルムは、感光性樹脂層の表面に塵等が付着するのを防止するとともに、ドライフィルムの取扱性を考慮して、感光性樹脂層の第一のフィルムと接する面とは反対の面側に、さらに第二のフィルムが設けられていてもよい。以下、ドライフィルムを構成する各構成要素について説明する。
<第一のフィルム>
本発明における第一のフィルムとは、基板等の基材上に、ドライフィルム上に形成された感光性樹脂組成物からなる層(感光性樹脂層)側が接するように加熱等によりラミネートして一体成形する際には少なくとも感光性樹脂層に接着しているものをいう。
第一のフィルムとしては、公知のものであれば特に制限なく使用することができ、例えば、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート等のポリエステルフィルム、ポリイミドフィルム、ポリアミドイミドフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリスチレンフィルム等の熱可塑性樹脂からなるフィルムを好適に使用することができる。これらの中でも、耐熱性、機械的強度、取扱性等の観点から、ポリエステルフィルムが好ましい。また、これらフィルムの積層体を第一のフィルムとして使用することもできる。
また、上記したような熱可塑性樹脂フィルムは、強度を向上させる目的で、一軸方向または二軸方向に延伸されたフィルムを使用することが好ましい。
また、上記したように凹凸表面を有する第一のフィルムを使用する場合は、表面が粗面化されたものを使用してもよい。本発明においては、硬化被膜に形成されたマーカーの識別性を向上させる観点において、第一のフィルムの感光性樹脂層が設けられている面の表面粗さRaが、80~800nmであることが好ましい。なお、本明細書において、表面粗さRaとは、JIS B0601-1994に準拠した測定装置にて測定された算術平均表面粗さを意味する。このような粗面化されたフィルムとしては、フィルムを成膜する際の樹脂中にフィラーを添加したり、フィルム表面をブラスト処理したり、あるいはヘアライン加工、マットコーティング、またはケミカルエッチング等の処理が施されたものを挙げることができる。
第一のフィルムの感光性樹脂層を設ける面には、離型処理が施されていてもよい。例えば、ワックス類、シリコーンワックス、シリコーン系樹脂等の離型剤を適当な溶剤に溶解または分散して調製した塗工液を、ロールコート法、スプレーコート法などのコート法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法等の公知の手段により、第一のフィルム表面に塗布、乾燥することにより、離型処理を施すことができる。
第一のフィルムの厚さは、特に制限されるものではないが、概ね10~150μmの範囲で用途に応じて適宜選択される。
<感光性樹脂層>
第一のフィルムの一方の面に設けられる感光性樹脂層は、露光、現像することによってパターニングされ、基板上に所望パターンの樹脂硬化膜を形成する。このような感光性樹脂層の形成には、感光性樹脂組成物、例えば、従来公知のソルダーレジストインキ等を制限なく使用できるが、本発明の方法において好ましく使用できる感光性樹脂組成物の一例を説明する。
本発明において、感光性樹脂組成物は、アルカリ可溶性樹脂、光重合性モノマー、および光重合開始剤を少なくとも含むことが好ましい。以下、感光性樹脂組成物を構成する各成分について説明する。
アルカリ可溶性樹脂は、アルカリ可溶される樹脂であれば何れでもよく、公知慣用のものが使用される。アルカリ可溶性樹脂は、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。例示としては、カルボキシル基含有樹脂や、フェノール性水酸基含有樹脂のような水溶性樹脂等が挙げられる。なかでも現像性に優れることより、カルボキシル基含有樹脂やフェノール性水酸基含有樹脂が好ましく、カルボキシル基含有樹脂がより好ましい。アルカリ可溶性樹脂が、カルボキシル基を含むことにより、アルカリ現像性とすることができる。また、感光性の観点から、カルボキシル基の他に、分子内にエチレン性不飽和二重結合を有することが好ましいが、エチレン性不飽和二重結合を有さないカルボキシル基含有樹脂のみを使用してもよい。エチレン性不飽和二重結合は、アクリル酸もしくはメタクリル酸またはそれらの誘導体由来であることが好ましい。エチレン性不飽和二重結合を有さないカルボキシル基含有樹脂のみを用いる場合、組成物を光硬化性とするためには、後述する分子中に複数のエチレン性不飽和基を有する化合物、即ち光重合性モノマーを併用する必要がある。カルボキシル基含有樹脂の具体例としては、以下のような化合物(オリゴマーおよびポリマーのいずれでもよい)を挙げることができる。なお、本明細書において、(メタ)アクリレートとは、アクリレート、メタクリレートおよびそれらの混合物を総称する用語で他の類似の表現についても同様である。
(1)(メタ)アクリル酸等の不飽和カルボン酸と、スチレン、α-メチルスチレン、低級アルキル(メタ)アクリレート、イソブチレン等の不飽和基含有化合物との共重合により得られるカルボキシル基含有樹脂。
(2)脂肪族ジイソシアネート、分岐脂肪族ジイソシアネート、脂環式ジイソシアネート、芳香族ジイソシアネート等のジイソシアネートと、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸等のカルボキシル基含有ジアルコール化合物およびポリカーボネート系ポリオール、ポリエーテル系ポリオール、ポリエステル系ポリオール、ポリオレフィン系ポリオール、アクリル系ポリオール、ビスフェノールA系アルキレンオキサイド付加体ジオール、フェノール性ヒドロキシル基およびアルコール性ヒドロキシル基を有する化合物等のジオール化合物の重付加反応によるカルボキシル基含有ウレタン樹脂。
(3)ジイソシアネートと、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビキシレノール型エポキシ樹脂、ビフェノール型エポキシ樹脂等の2官能エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸等のエチレン性不飽和二重結合を有するモノカルボン酸化合物との反応物の部分酸無水物変性物、カルボキシル基含有ジアルコール化合物およびジオール化合物の重付加反応によるカルボキシル基含有感光性ウレタン樹脂。
(4)前記(2)または(3)の樹脂の合成中に、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート等の分子内に1つの水酸基と1つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物を加え、末端(メタ)アクリル化したカルボキシル基含有感光性ウレタン樹脂。
(5)前記(2)または(3)の樹脂の合成中に、イソホロンジイソシアネートとペンタエリスリトールトリアクリレートの等モル反応物など、分子内に1つのイソシアネート基と1つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物を加え末端(メタ)アクリル化したカルボキシル基含有感光性ウレタン樹脂。
(6)2官能またはそれ以上の多官能(固形)エポキシ樹脂に(メタ)アクリル酸を反応させ、側鎖に存在する水酸基に2塩基酸無水物を付加させたカルボキシル基含有感光性樹脂。
(7)2官能(固形)エポキシ樹脂の水酸基をさらにエピクロロヒドリンでエポキシ化した多官能エポキシ樹脂に(メタ)アクリル酸を反応させ、生じた水酸基に2塩基酸無水物を付加させたカルボキシル基含有感光性樹脂。
(8)2官能オキセタン樹脂にアジピン酸、フタル酸、ヘキサヒドロフタル酸等のジカルボン酸を反応させ、生じた1級の水酸基に無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸等の2塩基酸無水物を付加させたカルボキシル基含有ポリエステル樹脂。
(9)1分子中に複数のエポキシ基を有するエポキシ化合物に、p-ヒドロキシフェネチルアルコール等の1分子中に少なくとも1個のアルコール性水酸基と1個のフェノール性水酸基を有する化合物と、(メタ)アクリル酸等の不飽和基含有モノカルボン酸とを反応させ、得られた反応生成物のアルコール性水酸基に対して、無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、アジピン酸等の多塩基酸無水物を反応させて得られるカルボキシル基含有感光性樹脂。
(10)1分子中に複数のフェノール性水酸基を有する化合物とエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等のアルキレンオキサイドとを反応させて得られる反応生成物に不飽和基含有モノカルボン酸を反応させ、得られる反応生成物に多塩基酸無水物を反応させて得られるカルボキシル基含有感光性樹脂。
(11)1分子中に複数のフェノール性水酸基を有する化合物とエチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等の環状カーボネート化合物とを反応させて得られる反応生成物に不飽和基含有モノカルボン酸を反応させ、得られる反応生成物に多塩基酸無水物を反応させて得られるカルボキシル基含有感光性樹脂。
(12)前記(1)~(11)の樹脂にさらに1分子内に1つのエポキシ基と1つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物を付加してなるカルボキシル基含有感光性樹脂。
本発明に使用できるアルカリ可溶性樹脂は、上記列挙したものに限られない。また。上記列挙したアルカリ可溶性樹脂は1種類を単独で用いてもよく、複数種を混合して用いてもよい。
アルカリ可溶性樹脂の重量平均分子量は、樹脂骨格により異なるが、一般的に2,000~150,000の範囲であり、5,000~100,000の範囲にあるものが好ましい。重量平均分子量が2,000以上のアルカリ可溶性樹脂を用いることにより、解像性やタックフリー性能を向上させることができる。また、重量平均分子量が150,000以下のアルカリ可溶性樹脂を用いることにより現像性や貯蔵安定性を向上させることができる。
感光性樹脂組成物中のアルカリ可溶性樹脂の配合量は、固形分換算で、感光性樹脂組成物全体に対して20~60質量%であることが好ましく、より好ましくは、25~50質量%である。20質量%以上とすることにより塗膜強度を向上させることができる。また60質量%以下とすることで粘性が適当となり加工性が向上する。
感光性樹脂組成物に含まれる光重合性モノマーは、エチレン性不飽和二重結合を有するモノマーである。このような光重合性モノマーとしては、例えば、慣用公知のポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、カーボネート(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。具体的には、2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシプロピルアクリレートなどのヒドロキシアルキルアクリレート類;エチレングリコール、メトキシテトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコールなどのグリコールのジアクリレート類;N,N-ジメチルアクリルアミド、N-メチロールアクリルアミド、N,N-ジメチルアミノプロピルアクリルアミドなどのアクリルアミド類;N,N-ジメチルアミノエチルアクリレート、N,N-ジメチルアミノプロピルアクリレートなどのアミノアルキルアクリレート類;ヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリス-ヒドロキシエチルイソシアヌレートなどの多価アルコールまたはこれらのエチレオキサイド付加物、プロピレンオキサイド付加物、もしくはε-カプロラクトン付加物などの多価アクリレート類;フェノキシアクリレート、ビスフェノールAジアクリレート、およびこれらのフェノール類のエチレンオキサイド付加物もしくはプロピレンオキサイド付加物などの多価アクリレート類;グリセリンジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、トリグリシジルイソシアヌレートなどのグリシジルエーテルの多価アクリレート類;前記に限らず、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートジオール、水酸基末端ポリブタジエン、ポリエステルポリオールなどのポリオールを直接アクリレート化、もしくは、ジイソシアネートを介してウレタンアクリレート化したアクリレート類およびメラミンアクリレート、および前記アクリレートに対応する各メタクリレート類のいずれか少なくとも1種から適宜選択して用いることができる。このような光重合性モノマーは、反応性希釈剤としても用いることができる。
クレゾールノボラック型エポキシ樹脂などの多官能エポキシ樹脂に、アクリル酸を反応させたエポキシアクリレート樹脂や、さらにそのエポキシアクリレート樹脂の水酸基に、ペンタエリスリトールトリアクリレートなどのヒドロキシアクリレートとイソホロンジイソシアネートなどのジイソシアネートのハーフウレタン化合物を反応させたエポキシウレタンアクリレート化合物などを光重合性モノマーとして用いてもよい。このようなエポキシアクリレート系樹脂は、指触乾燥性を低下させることなく、光硬化性を向上させることができる。
光重合性モノマーの配合量は、固形分換算で、アルカリ可溶性樹脂100質量部に対して、好ましくは0.2~60質量部、より好ましくは0.5~50質量部である。光重合性モノマーの配合量を0.2質量部以上とすることにより、感光性樹脂組成物の光硬化性が向上する。また、配合量を60質量部以下とすることにより、硬化塗膜硬度を向上させることができる。
感光性樹脂組成物に含まれる光重合開始剤は、上記したアルカリ可溶性樹脂や光重合性モノマーを露光により反応させるためのものである。光重合開始剤としては、公知のものをいずれも用いることができる。光重合開始剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
光重合開始剤としては、具体的には例えば、ビス-(2,6-ジクロロベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド、ビス-(2,6-ジクロロベンゾイル)-2,5-ジメチルフェニルフォスフィンオキサイド、ビス-(2,6-ジクロロベンゾイル)-4-プロピルフェニルフォスフィンオキサイド、ビス-(2,6-ジクロロベンゾイル)-1-ナフチルフォスフィンオキサイド、ビス-(2,6-ジメトキシベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド、ビス-(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4,4-トリメチルペンチルフォスフィンオキサイド、ビス-(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,5-ジメチルフェニルフォスフィンオキサイド、ビス-(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルフォスフィンオキサイド等のビスアシルフォスフィンオキサイド類;2,6-ジメトキシベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、2,6-ジクロロベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6-トリメチルベンゾイルフェニルフォスフィン酸メチルエステル、2-メチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、ピバロイルフェニルフォスフィン酸イソプロピルエステル、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド等のモノアシルフォスフィンオキサイド類;フェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フォスフィン酸エチル、1-ヒドロキシ-シクロヘキシルフェニルケトン、1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン、2-ヒドロキシ-1-{4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチル-プロピオニル)-ベンジル]フェニル}-2-メチル-プロパン-1-オン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン等のヒドロキシアセトフェノン類;ベンゾイン、ベンジル、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインn-プロピルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインn-ブチルエーテル等のベンゾイン類;ベンゾインアルキルエーテル類;ベンゾフェノン、p-メチルベンゾフェノン、ミヒラーズケトン、メチルベンゾフェノン、4,4’-ジクロロベンゾフェノン、4,4’-ビスジエチルアミノベンゾフェノン等のベンゾフェノン類;アセトフェノン、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン、2,2-ジエトキシ-2-フェニルアセトフェノン、1,1-ジクロロアセトフェノン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノ-1-プロパノン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタノン-1、2-(ジメチルアミノ)-2-[(4-メチルフェニル)メチル)-1-[4-(4-モルホリニル)フェニル]-1-ブタノン、N,N-ジメチルアミノアセトフェノン等のアセトフェノン類;チオキサントン、2-エチルチオキサントン、2-イソプロピルチオキサントン、2,4-ジメチルチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、2-クロロチオキサントン、2,4-ジイソプロピルチオキサントン等のチオキサントン類;アントラキノン、クロロアントラキノン、2-メチルアントラキノン、2-エチルアントラキノン、2-tert-ブチルアントラキノン、1-クロロアントラキノン、2-アミルアントラキノン、2-アミノアントラキノン等のアントラキノン類;アセトフェノンジメチルケタール、ベンジルジメチルケタール等のケタール類;エチル-4-ジメチルアミノベンゾエート、2-(ジメチルアミノ)エチルベンゾエート、p-ジメチル安息香酸エチルエステル等の安息香酸エステル類;1,2-オクタンジオン,1-[4-(フェニルチオ)フェニル]-,2-(O-ベンゾイルオキシム)]、エタノン,1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-,1-(O-アセチルオキシム)等のオキシムエステル類;ビス(η5-2,4-シクロペンタジエン-1-イル)-ビス(2,6-ジフルオロ-3-(1H-ピロール-1-イル)フェニル)チタニウム、ビス(シクロペンタジエニル)-ビス[2,6-ジフルオロ-3-(2-(1-ピル-1-イル)エチル)フェニル]チタニウム等のチタノセン類;フェニルジスルフィド2-ニトロフルオレン、ブチロイン、アニソインエチルエーテル、アゾビスイソブチロニトリル、テトラメチルチウラムジスルフィド等を挙げることができる。
α-アミノアセトフェノン系光重合開始剤の市販品としては、IGM Resins社製のOmnirad 907、369、369E、379等が挙げられる。また、アシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤の市販品としては、IGM Resins社製のOmnirad TPO、819等が挙げられる。オキシムエステル系光重合開始剤の市販品としては、BASFジャパン株式会社製のIrgacure OXE01、OXE02、株式会社ADEKA製N-1919、アデカアークルズ NCI-831、NCI-831E、常州強力電子新材料社製TR-PBG-304などが挙げられる。
その他、特開2004-359639号公報、特開2005-097141号公報、特開2005-220097号公報、特開2006-160634号公報、特開2008-094770号公報、特表2008-509967号公報、特表2009-040762号公報、特開2011-80036号公報記載のカルバゾールオキシムエステル化合物等を挙げることができる。
光重合開始剤の配合量は、固形分換算で、アルカリ可溶性樹脂100質量部に対して、0.1~20質量部であることが好ましく、0.5~18質量部であることがより好ましく、1~15質量部がさらに好ましい。0.01質量部以上の場合、感光性樹脂組成物の光硬化性が良好となり、耐薬品性等の被膜特性も良好となる。また、20質量部以下の場合、レジスト膜(硬化被膜)表面での光吸収が良好となり、深部硬化性が低下しにくい。
上記した光重合開始剤と併用して、光開始助剤または増感剤を用いてもよい。光開始助剤または増感剤としては、ベンゾイン化合物、アントラキノン化合物、チオキサントン化合物、ケタール化合物、ベンゾフェノン化合物、3級アミン化合物、およびキサントン化合物などを挙げることができる。特に、2,4-ジメチルチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、2-クロロチオキサントン、2-イソプロピルチオキサントン、4-イソプロピルチオキサントン等のチオキサントン化合物を用いることが好ましい。チオキサントン化合物が含まれることにより、深部硬化性を向上させることができる。これらの化合物は、光重合開始剤として用いることができる場合もあるが、光重合開始剤と併用して用いることが好ましい。また、光開始助剤または増感剤は1種類を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
なお、これら光重合開始剤、光開始助剤、および増感剤は、特定の波長を吸収するため、場合によっては感度が低くなり、紫外線吸収剤として機能することがある。しかしながら、これらは感光性樹脂組成物の感度を向上させることだけの目的に用いられるものではない。必要に応じて特定の波長の光を吸収させて、表面の光反応性を高め、レジストパターンのライン形状および開口を垂直、テーパー状、逆テーパー状に変化させるとともに、ライン幅や開口径の精度を向上させることができる。
本発明において、感光性樹脂組成物には、上記した成分に加えて熱硬化性成分が含まれていてもよい。感光性樹脂組成物に熱硬化性成分が含まれることにより、硬化被膜の耐熱性を向上させることができる。熱硬化性成分としては、例えば、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、メラミン誘導体、ベンゾグアナミン誘導体等のアミノ樹脂、イソシアネート化合物、ブロックイソシアネート化合物、シクロカーボネート化合物、エポキシ化合物、オキセタン化合物、エピスルフィド樹脂、ビスマレイミド、カルボジイミド樹脂等の公知の熱硬化性成分を使用できる。特に好ましいのは、分子中に複数の環状エーテル基または環状チオエーテル基(以下、環状(チオ)エーテル基と略す)を有する熱硬化性成分である。熱硬化性成分は、1種を単独または2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記の分子中に複数の環状(チオ)エーテル基を有する熱硬化性成分は、分子中に3、4または5員環の環状(チオ)エーテル基を複数有する化合物であり、例えば、分子内に複数のエポキシ基を有する化合物、すなわち多官能エポキシ化合物、分子内に複数のオキセタニル基を有する化合物、すなわち多官能オキセタン化合物、分子内に複数のチオエーテル基を有する化合物、すなわちエピスルフィド樹脂等が挙げられる。
このようなエポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAのノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂等が挙げられる。
市販されるエポキシ樹脂としては、例えば、三菱ケミカル株式会社製のjER 828、806、807、YX8000、YX8034、834、日鉄ケミカル&マテリアル株式会社製のYD-128、YDF-170、ZX-1059、ST-3000、DIC株式会社製のEPICLON 830、835、840、850、N-730A、N-695、および日本化薬株式会社製のRE-306等が挙げられる。
多官能オキセタン化合物としては、例えば、ビス[(3-メチル-3-オキセタニルメトキシ)メチル]エーテル、ビス[(3-エチル-3-オキセタニルメトキシ)メチル]エーテル、1,4-ビス[(3-メチル-3-オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン、1,4-ビス[(3-エチル-3-オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン、(3-メチル-3-オキセタニル)メチルアクリレート、(3-エチル-3-オキセタニル)メチルアクリレート、(3-メチル-3-オキセタニル)メチルメタクリレート、(3-エチル-3-オキセタニル)メチルメタクリレートやそれらのオリゴマーまたは共重合体等の多官能オキセタン類の他、オキセタンアルコールとノボラック樹脂、ポリ(p-ヒドロキシスチレン)、カルド型ビスフェノール類、カリックスアレーン類、カリックスレゾルシンアレーン類、またはシルセスキオキサン等の水酸基を有する樹脂とのエーテル化物等が挙げられる。その他、オキセタン環を有する不飽和モノマーとアルキル(メタ)アクリレートとの共重合体等も挙げられる。
分子中に複数の環状チオエーテル基を有する化合物としては、ビスフェノールA型エピスルフィド樹脂等が挙げられる。また、同様の合成方法を用いて、ノボラック型エポキシ樹脂のエポキシ基の酸素原子を硫黄原子に置き換えたエピスルフィド樹脂なども用いることができる。
メラミン誘導体、ベンゾグアナミン誘導体等のアミノ樹脂としては、メチロールメラミン化合物、メチロールベンゾグアナミン化合物、メチロールグリコールウリル化合物およびメチロール尿素化合物等が挙げられる。
イソシアネート化合物としては、ポリイソシアネート化合物を配合することができる。ポリイソシアネート化合物としては、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート、ナフタレン-1,5-ジイソシアネート、o-キシリレンジイソシアネート、m-キシリレンジイソシアネートおよび2,4-トリレンダイマー等の芳香族ポリイソシアネート;テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、メチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、4,4-メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)およびイソホロンジイソシアネート等の脂肪族ポリイソシアネート;ビシクロヘプタントリイソシアネート等の脂環式ポリイソシアネート;並びに先に挙げたイソシアネート化合物のアダクト体、ビューレット体およびイソシアヌレート体等が挙げられる。
ブロックイソシアネート化合物としては、イソシアネート化合物とイソシアネートブロック剤との付加反応生成物を用いることができる。イソシアネートブロック剤と反応し得るイソシアネート化合物としては、例えば、上述のポリイソシアネート化合物等が挙げられる。イソシアネートブロック剤としては、例えば、フェノール系ブロック剤;ラクタム系ブロック剤;活性メチレン系ブロック剤;アルコール系ブロック剤;オキシム系ブロック剤;メルカプタン系ブロック剤;酸アミド系ブロック剤;イミド系ブロック剤;アミン系ブロック剤;イミダゾール系ブロック剤;イミン系ブロック剤等が挙げられる。
熱硬化性成分の配合量は、固形分換算で、アルカリ可溶性樹脂に含有されるカルボキシル基1molあたりに対し、反応する熱硬化性成分の官能基数が0.5~2.5molが好ましく、より好ましくは0.8~2.0molである。
また、感光性樹脂組成物には、上記した熱硬化性成分に加えて熱硬化触媒を配合することができる。熱硬化触媒としては、例えば、イミダゾール、2-メチルイミダゾール、2-エチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、4-フェニルイミダゾール、1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾール、1-(2-シアノエチル)-2-エチル-4-メチルイミダゾール等のイミダゾール誘導体;ジシアンジアミド、ベンジルジメチルアミン、4-(ジメチルアミノ)-N,N-ジメチルベンジルアミン、4-メトキシ-N,N-ジメチルベンジルアミン、4-メチル-N,N-ジメチルベンジルアミン等のアミン化合物、アジピン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド等のヒドラジン化合物;トリフェニルフォスフィン等のリン化合物等が挙げられる。また、市販されているものとしては、例えば四国化成工業株式会社製の2MZ-A、2MZ-OK、2PHZ、2P4BHZ、2P4MHZ(いずれもイミダゾール系化合物の商品名)、サンアプロ株式会社製のU-CAT 3513N(ジメチルアミン系化合物の商品名)、DBU、DBN、U-CAT SA 102(いずれも二環式アミジン化合物およびその塩)などが挙げられる。特に、これらに限られるものではなく、エポキシ樹脂やオキセタン化合物の熱硬化触媒、もしくはエポキシ基およびオキセタニル基の少なくとも何れか1種とカルボキシル基の反応を促進するものであればよく、単独でまたは2種以上を混合して使用してもかまわない。
さらに、グアナミン、アセトグアナミン、ベンゾグアナミン、2,4-ジアミノ-6-メタクリロイルオキシエチル-S-トリアジン、2-ビニル-2,4-ジアミノ-S-トリアジン、2-ビニル-4,6-ジアミノ-S-トリアジン・イソシアヌル酸付加物、2,4-ジアミノ-6-メタクリロイルオキシエチル-S-トリアジン・イソシアヌル酸付加物等のS-トリアジン誘導体を用いることもでき、好ましくはこれら密着性付与剤としても機能する化合物を熱硬化触媒と併用する。熱硬化触媒は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
熱硬化触媒の配合量は、固形分換算で、アルカリ可溶性樹脂100質量部に対して、好ましくは0.1~25質量部であり、より好ましくは0.1~20質量部である。0.1質量部以上の場合、耐熱性をより向上させることができる。25質量部以下の場合、経時安定性がより向上する。
本発明においては、ドライフィルムを用いて形成される樹脂硬化膜の物理的強度を向上させたり表面のマット感を調整する観点から、感光性樹脂組成物には必要に応じてフィラーを配合することができる。フィラーとしては、公知の無機または有機フィラーが使用できるが、特に、硫酸バリウム、球状シリカ、ハイドロタルサイトおよびタルクが好ましく用いられる。また、難燃性を得るために金属酸化物や水酸化アルミ等の金属水酸化物を体質顔料フィラーとして使用することができる。
フィラーの配合量は特に限定されるものではないが、粘度、塗布性、成形性等の観点から、固形分換算で、アルカリ可溶性樹脂100質量部に対して400質量部以下が好ましい。より好ましくは50~300質量部である。
また、上記したフィラーは、感光性樹脂組成物中での分散性を高めるために表面処理されたものであってもよい。表面処理がされているフィラーを使用することで、凝集を抑制することができる。表面処理方法は特に限定されず、公知慣用の方法を用いればよいが、硬化性反応基を有する表面処理剤、例えば、硬化性反応基を有機基として有するカップリング剤等で無機フィラーの表面を処理することが好ましい。
カップリング剤としては、シラン系、チタネート系、アルミネート系およびジルコアルミネート系等のカップリング剤が使用できる。中でもシラン系カップリング剤が好ましい。かかるシラン系カップリング剤の例としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、N-(2-アミノメチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-アニリノプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン等を挙げることができ、これらは単独で、あるいは併用して使用することができる。これらのシラン系カップリング剤は、あらかじめフィラーの表面に吸着あるいは反応により固定化されていることが好ましい。ここで、球状シリカ100質量部に対するカップリング剤の処理量は、0.5~10質量部であることが好ましい。
感光性樹脂組成物は、必要に応じて着色剤を含んでいてもよい。着色剤としては、赤、青、緑、黄等の公知の着色剤を使用することができ、顔料、染料、色素のいずれでもよいが、環境負荷の低減や人体への影響が少ない観点からハロゲンを含有しない着色剤であることが好ましい。
赤色着色剤としてはモノアゾ系、ジスアゾ系、アゾレーキ系、ベンズイミダゾロン系、ペリレン系、ジケトピロロピロール系、縮合アゾ系、アントラキノン系、キナクリドン系等があり、具体的には以下のようなカラ-インデックス(C.I.;ザ ソサイエティ オブ ダイヤーズ アンド カラリスツ(The Society of Dyersand Colourists)発行)番号が付されているものが挙げられる。
モノアゾ系赤色着色剤としては、Pigment Red 1,2,3,4,5,6,8,9,12,14,15,16,17,21,22,23,31,32,112,114,146,147,151,170,184,187,188,193,210,245,253,258,266,267,268,269等が挙げられる。また、ジスアゾ系赤色着色剤としては、Pigment Red 37,38,41等が挙げられる。また、モノアゾレーキ系赤色着色剤としては、Pigment Red 48:1,48:2,48:3,48:4,49:1,49:2,50:1,52:1,52:2,53:1,53:2,57:1,58:4,63:1,63:2,64:1,68等が挙げられる。また、ベンズイミダゾロン系赤色着色剤としては、Pigment Red 171,175,176、185、208等が挙げられる。また、ぺリレン系赤色着色剤としては、Solvent Red 135,179,Pigment Red 123,149,166,178,179,190,194,224等が挙げられる。また、ジケトピロロピロール系赤色着色剤としては、Pigment Red 254,255,264,270,272等が挙げられる。また、縮合アゾ系赤色着色剤としては、Pigment Red 220,144,166,214,220,221,242等が挙げられる。また、アントラキノン系赤色着色剤としては、Pigment Red 168,177,216、Solvent Red 149,150,52,207等が挙げられる。また、キナクリドン系赤色着色剤としては、Pigment Red 122,202,206,207,209等が挙げられる。
青色着色剤としてはフタロシアニン系、アントラキノン系があり、顔料系はピグメント(Pigment)に分類されている化合物が挙げられ、例えば、Pigment Blue 15,15:1,15:2,15:3,15:4,15:6,16,60。染料系としては、Solvent Blue 35,63,68,70,83,87,94,97,122,136,67,70等を使用することができる。上記以外にも、金属置換もしくは無置換のフタロシアニン化合物も使用することができる。
黄色着色剤としてはモノアゾ系、ジスアゾ系、縮合アゾ系、ベンズイミダゾロン系、イソインドリノン系、アントラキノン系等が挙げられ、例えば、アントラキノン系黄色着色剤としては、Solvent Yellow 163,Pigment Yellow 24,108,193,147,199,202等が挙げられる。イソインドリノン系黄色着色剤としては、Pigment Yellow 110,109,139,179,185等が挙げられる。縮合アゾ系黄色着色剤としては、Pigment Yellow
93,94,95,128,155,166,180等が挙げられる。ベンズイミダゾロン系黄色着色剤としては、Pigment Yellow 120,151,154,156,175,181等が挙げられる。また、モノアゾ系黄色着色剤としては、Pigment Yellow 1,2,3,4,5,6,9,10,12,61,62,62:1,65,73,74,75,97,100,104,105,111,116,167,168,169,182,183等が挙げられる。また、ジスアゾ系黄色着色剤としては、Pigment Yellow 12,13,14,16,17,55,63,81,83,87,126,127,152,170,172,174,176,188,198等が挙げられる。
その他、紫、オレンジ、茶色、黒、白等の着色剤を加えてもよい。具体的には、Pigment Black 1,6,7,8,9,10,11,12,13,18,20,25,26,28,29,30,31,32、Pigment Violet 19、23、29、32、36、38、42、Solvent Violet13,36、C.I.Pigment Orange 1,5,13,14,16,17,24,34,36,38,40,43,46,49,51,61,63,64,71,73、PigmentBrown 23,25,カーボンブラック、酸化チタン等が挙げられる。
感光性樹脂組成物中の着色剤の配合量は特に限定されるものではないが、固形分換算で、感光性樹脂組成物全体に対して0.1~5質量%であることが好ましい。
感光性樹脂組成物には、感光性樹脂層を形成する際の調製のし易さや塗布性の観点から有機溶剤を配合してもよい。有機溶剤としては、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;トルエン、キシレン、テトラメチルベンゼン等の芳香族炭化水素類;セロソルブ、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、カルビトール、メチルカルビトール、ブチルカルビトール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールエーテル類;酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸ブチル、セロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、カルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、炭酸プロピレン等のエステル類;オクタン、デカン等の脂肪族炭化水素類;石油エーテル、石油ナフサ、ソルベントナフサ等の石油系溶剤など、公知慣用の有機溶剤が使用できる。これらの有機溶剤は、1種を単独または2種以上を組み合わせて用いることができる。
感光性樹脂組成物には、さらに必要に応じてエラストマー、メルカプト化合物、ウレタン化触媒、チキソ化剤、密着促進剤、ブロック共重合体、連鎖移動剤、重合禁止剤、銅害防止剤、酸化防止剤、防錆剤、有機ベントナイト、モンモリロナイト等の増粘剤、シリコーン系、フッ素系、高分子系等の消泡剤およびレベリング剤の少なくともいずれか1種、フォスフィン酸塩、燐酸エステル誘導体、フォスファゼン化合物等のリン化合物等の難燃剤などの成分を配合することができる。これらは、電子材料の分野において公知の物を使用することができる。
感光性樹脂層は、上記した感光性樹脂組成物を有機溶剤で希釈して適切な粘度に調整し、第一のフィルムの表面に、コンマコーター、ブレードコーター、リップコーター、ロッドコーター、スクイズコーター、リバースコーター、トランスファロールコーター、グラビアコーター、スプレーコーター等で第一のフィルム上に均一な厚さに塗布し、通常、50~130℃の温度で1~30分間乾燥して膜を得ることができる。塗布膜厚については特に制限はないが、一般に、乾燥後の膜厚で、1~150μm、好ましくは5~60μmの範囲で適宜選択される。
<第二のフィルム>
本発明における第二のフィルムとは、基板等の基材と、ドライフィルム上に形成された感光性樹脂組成物からなる層(感光性樹脂層)側とが接するように加熱等によりラミネートして一体成形する際に、ラミネート前に感光性樹脂層から剥離されるものをいう。剥離可能な第二のフィルムとしては、例えば、ポリエステルフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリテトラフルオロエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、表面処理した紙等を用いることができるが、第二のフィルムと感光性樹脂層との接着力が、第一のフィルムと感光性樹脂層との接着力よりも小さくなるような材料を選定することが好ましい。また、ドライフィルムの使用時に、第二のフィルムを剥離し易くするため、第二のフィルムの感光性樹脂層と接する面に上記したような離型処理を施してもよい。
保護フィルムの厚さは、特に制限されるものではないが概ね10~150μmの範囲で用途に応じて適宜選択される。
次に実施例を挙げて、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、これら実施例に限定されるものではない。なお、以下において「部」および「%」とあるのは、特に断りのない限り全て質量基準である。
[実施例1]
<合成例1(カルボキシル基含有樹脂の合成)>
温度計、窒素導入装置、アルキレンオキサイド導入装置、および撹拌装置を備えたオートクレーブに、ノボラック型クレゾール樹脂(商品名「ショウノールCRG951」、アイカ工業株式会社製、OH当量:119.4)119.4質量部、水酸化カリウム1.19質量部、およびトルエン119.4質量部を導入し、撹拌しながら系内を窒素置換し、昇温した。次に、プロピレンオキサイド63.8質量部を徐々に滴下し、125~132℃、0~4.8kg/cm2で16時間反応させた。その後、室温まで冷却し、この反応溶液に89%リン酸1.56質量部を添加および混合しながら水酸化カリウムを中和して、ノボラック型クレゾール樹脂のプロピレンオキサイド反応溶液[固形分:62.1%;水酸基価:182.2mgKOH/g(307.9g/eq.)]を得た。このプロピレンオキサイド反応溶液は、フェノール性水酸基1当量当りプロピレンオキサイドが平均1.08モル付加したものであった。
得られたノボラック型クレゾール樹脂のプロピレンオキサイド反応溶液293.0質量部、アクリル酸43.2質量部、メタンスルホン酸11.53質量部、メチルハイドロキノン0.18質量部およびトルエン252.9質量部を、撹拌機、温度計および空気吹き込み管を備えた反応器に導入し、空気を10ml/分の速度で吹き込み、撹拌しながら110℃で12時間反応させた。反応により生成した水12.6質量部を、トルエンとの共沸混合物として留出させた。その後、室温まで冷却し、得られた反応溶液を15%水酸化ナトリウム水溶液35.35質量部で中和し、次いで水洗した。その後、エバポレーターにてジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート118.1質量部でトルエンを置換しながら留去し、ノボラック型アクリレート樹脂溶液を得た。
次に、得られたノボラック型アクリレート樹脂溶液332.5質量部およびトリフェニルフォスフィン1.22質量部を、撹拌器、温度計および空気吹き込み管を備えた反応器に導入し、空気を10ml/分の速度で吹き込み、撹拌しながら、テトラヒドロフタル酸無水物60.8質量部を徐々に加え、95~101℃で6時間反応させ、冷却後、取り出した。
このようにして、カルボキシル基含有樹脂の溶液(固形分:70.6%;固形分の酸価:87.7mgKOH/g)を得た。
<感光性樹脂組成物の調製>
アルカリ可溶性樹脂として上記で得られたカルボキシル基含有樹脂100質量部、光重合開始剤としてビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド(Omirad 819、IGM Resins社製)10質量部、光重合性モノマーとしてジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート(KAYARAD DPHA、日本化薬株式会社製)20質量部、熱硬化性成分としてフェノ-ルノボラック型エポキシ樹脂(EPICLON N-770、DIC株式会社製)40質量部、熱硬化触媒としてメラミン(日産化学株式会社製)10質量部、フィラーとして硫酸バリウム(B-30、堺化学工業株式会社製)100質量部および球状シリカ(SO-C2、株式会社アドマテックス製)100質量部、ならびに、着色剤として青色顔料(C.I. Pigment Blue 15:3)0.7質量部および黄色顔料(C.I. Pigment Yellow 147)0.7質量部を配合し、3本ロールミルを用いて室温にて混合することにより、感光性樹脂組成物を得た。
<ドライフィルムの作製>
上記のようにして得られた感光性樹脂組成物を、第一のフィルムとして、厚さ38μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(ルミラーX42、東レ株式会社製、Ra=380nm)上に、乾燥後の厚さが20μmになるようにアプリケーターを用いて塗布し、熱風循環式乾燥炉で80℃30分乾燥することにより感光性樹脂層を形成した。次いで、感光性樹脂層上に、第二のフィルムとして、厚さ18μmのポリプロピレンフィルム(OPP-FOA、フタムラ株式会社製)を貼合することでドライフィルムを作製した。
<硬化被膜の形成>
上記のようにして得られたドライフィルムから第二のフィルムを剥離して感光性樹脂層を露出させ、HL832NS基板(三菱ガス化学株式会社製、銅箔をエッチングにより除去したもの)上に、真空ラミネーター(MVLP-500、株式会社名機製作所製)を用いて、加圧条件:0.8Mpa、加熱条件:80℃、加圧時間:1分、真空度:133.3Paの条件でラミネートした。
次いで、ドライフィルムの第一のフィルム側から、高圧水銀灯(ショートアークランプ)搭載の露光機を用いて、QRコード(全体サイズ:5mm角、ドットサイズ0.1mm)のマスクパターンを介して250mJ/cmの露光量で露光(第一露光)を行った。
続いて、第一のフィルムを剥離して感光性樹脂層を露出させ、常温下で10分間保持した後に、上記露光機により2回目の露光(第二露光)を行った。第二露光は、500mJ/cmの露光量で行い、第一露光のQRコードのマスクパターンの未露光部を露光するマスクパターンを用いた。
その後、1%炭酸ナトリウム水溶液を用いて、30℃、スプレー圧0.2MPaの条件で60秒間、感光性樹脂層の現像を行い、現像後の基板をUVコンベア炉にて積算露光量1000mJ/cmの条件で紫外線照射した後、160℃で60分加熱して感光性樹脂層を硬化させて硬化被膜を形成した。
<硬化被膜の評価>
上記のようにして形成した硬化被膜の表面をiPhone(登録商標)8に付属するカメラ機能を用いてQRコードが読み取れるかテストしたところ、問題なく読み取ることができた。
[比較例1]
第二露光において第一のフィルムを剥離せずに、第一のフィルム側から第二露光を行った以外は実施例1と同様にして硬化被膜を形成した。
得られた硬化被膜の表面を、上記と同様にして評価したところ、QRコードを読み取ることができなかった。

Claims (6)

  1. 第一のフィルムと前記第一のフィルムの一方の面に設けられた感光性樹脂層とを備えたドライフィルムを用いて、樹脂硬化膜を備えた基板を製造する方法であって、
    (1)前記感光性樹脂層が基板に接するように、前記ドライフィルムを前記基板にラミネートする工程、
    (2)前記第一のフィルムを介して、前記感光性樹脂層の一部の箇所を露光する工程、
    (3)前記ドライフィルムから前記第一のフィルムを剥離して、前記感光性樹脂層を露出させる工程、および
    (4)露出した前記感光性樹脂層を露光する工程、
    を備える、方法。
  2. 前記工程(4)において、前記工程(2)において第一のフィルムを介して露光した部分以外の箇所に露光を行う、請求項1に記載の方法。
  3. 前記工程(4)において、前記第一のフィルムの剥離後、5分以上経過した後に露光を行う、請求項1に記載の方法。
  4. 前記第一のフィルムの感光性樹脂層が設けられている面の表面粗さRaが、80~800nmである、請求項1に記載の方法。
  5. 前記基板が半導体パッケージ基板である、請求項1に記載の方法。
  6. 前記工程(2)において露光した以外の箇所が、前記樹脂硬化膜のマーキング部として機能する、請求項5に記載の方法。
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