JP7382778B2 - 感光性ドライフィルムおよびそれを用いた硬化被膜の形成方法 - Google Patents

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Description

本発明は、感光性ドライフィルムに関し、より詳細には、プリント配線板等のソルダーレジスト層の形成に好適に使用できる感光性ドライフィルムおよびそれを用いた硬化被膜の形成方法に関する。
一般に、電子機器などに用いられるプリント配線板において、プリント配線板に電子部品を実装する際には、必要箇所以外の箇所にはんだが付着するのを防止するために、回路パターンの形成された基板上にソルダーレジスト層が形成されている。
近年の電子機器の軽薄短小化によるプリント配線板の高精度、高密度化に伴い、現在、ソルダーレジスト層は、基板に感光性樹脂組成物を塗布、乾燥し、露光現像によりパターン形成した後、パターン形成された樹脂を加熱ないし光照射によって本硬化させる、いわゆるフォトソルダーレジストインキによって形成されるのが主流となっている。
また、上記したような液状の感光性樹脂組成物を使用することなく、感光性ドライフィルムを用いてソルダーレジスト層を形成することも行われている。感光性ドライフィルムは上記したような液状の感光性樹脂組成物を使用する場合と比較して、乾燥工程を省略できるだけでなく、感光性樹脂層が支持フィルムにより覆われた状態で露光できるため酸素による硬化阻害の影響が少なく、得られたソルダーレジスト層は表面平滑性や表面硬度が高いという特徴がある。
ところで、ソルダーレジスト層を粗面化することにより、はんだフロー時の耐半田付着性や配線隠蔽性が向上することが知られている。また、粗面化されたソルダーレジスト層は光沢度が適度に抑制されるため、良好な意匠性が得られる。さらに近年では、ICパッケージ用基板において、アンダーフィルの充填性やモールド材との密着性を改善するために、ソルダーレジスト層を粗面化することが行われている。例えば、特許文献1には、感光性樹脂組成物中にフィラーを添加することによりソルダーレジスト層を粗面化することが提案されている。また、特許文献2には、感光性樹脂層と接する面が所定の表面粗さの支持フィルムを使用することで、ソルダーレジスト層を粗面化できることが提案されている。
特開平9-157574号公報 特開2016-027363号公報
しかしながら、特許文献1、2等において提案されている手法によって形成された表面が粗面化されたマット調のソルダーレジスト層は、強い力で押圧されるとその押圧された部分が傷として視認されてしまうという新たな問題が生じた。即ち、マット調のソルダーレジスト層を設けたプリント配線基板においては、製造工程中に誤って爪などでソルダーレジスト層を擦過してしまうと爪痕がソルダーレジスト層に残ってしまい、プリント配線基板の歩留まりが低下してしまうという新たな問題が生じた。
本発明は、以上の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、製造工程中に不可避的に擦過傷が生じた場合であっても、傷跡が目立ち難いマット調硬化被膜を実現し、製品の歩留まりを改善できる方法を提供することである。即ち、擦過傷が目立ち難いマット調の硬化被膜を形成することができる感光性ドライフィルムを提供することである。
本発明者は、粗面化した種々の硬化被膜に故意的に擦過傷を付けて傷の見え方を調べるうち、感光性ドライフィルムの感光性樹脂層を露光する際に、感光性樹脂層の全面に一定の露光量で光を照射するのではなく、露光量に強弱ができるように不均一に露光を行うことにより、硬化被膜表面の粗度を調整できることがわかった。そして、さらに検討を重ねたところ、感光性ドライフィルムの支持フィルムを透過した光が回折して干渉斑が生じるような模様を支持フィルム表面に付すことにより、擦過傷が目立ち難いマット調硬化被膜を実現できる、との知見を得た。本発明はかかる知見によるものである。即ち、本発明の要旨は下記の通りである。
[1]光透過部と、前記光透過部よりも光の透過率が低い光非透過部とを有する支持フィルムの少なくとも一方の面に、感光性樹脂組成物を塗布、乾燥して形成した感光性樹脂層を有する感光性ドライフィルムであって、
前記支持フィルムの一方の面から入射した光が他方の面から出射すると回折して干渉縞を生じるように、ドットアレイ状に光非透過部を設けたことを特徴とする、感光性ドライフィルム。
[2]前記遮光部が黒色である、[1]に記載の感光性ドライフィルム。
[3]前記遮光部において、形状の異なるドットがランダムに前記支持フィルムの一方の面に設けられている、[1]または[2]に記載の感光性ドライフィルム。
[4]前記遮光部は、隣接するドット間の距離が0.5~50μmである、[1]~[3]のいずれかに記載の感光性ドライフィルム。
[5]前記支持フィルム全体に占める遮光部の面積割合が10~90%である、[1]~[4]のいずれかに記載の感光性ドライフィルム。
[6]前記支持フィルムは、10~150μmの厚さを有する、[1]~[5]のいずれかに記載の感光性ドライフィルム。
[7]前記感光性樹脂組成物が、アルカリ可溶性樹脂、光重合性モノマー、および光重合開始剤を少なくとも含む、[1]~[6]のいずれかに記載の感光性ドライフィルム。
[8][1]~[7]のいずれかに記載の感光性ドライフィルムを用いて硬化被膜を形成する方法であって、
基材上に、前記基材と前記感光性ドライフィルムの感光性樹脂層とが接するように前記感光性ドライフィルムを貼り合わせる工程、
前記感光性ドライフィルムの支持フィルム面側から、フォトマスクを介して露光する工程、
前記基材に貼り合わせた感光性ドライフィルムから支持フィルムを剥離して、感光性樹脂層を露出させる工程、及び
前記感光性樹脂層の現像を行い、所望パターンの硬化被膜を形成する工程、
を含む、硬化被膜の形成方法。
本発明によれば、支持フィルムの一方の面から入射した光が他方の面から出射すると回折して干渉縞を生じるように、ドットアレイ状に光非透過部を設けた感光性ドライフィルムとすることにより、感光性樹脂層が露光時に硬化する際に斑ができ所定の表面粗さを有する硬化被膜を形成することができる。その結果、擦過傷が目立ち難いマット調硬化被膜を形成することができる。特にソルダーレジスト用の硬化被膜において好適に実現できる。そのため、例えばプリント配線板等の製造工程中に不可避的に擦過傷等が付いてしまった場合であっても傷として視認し難く、製品の歩留まりを改善できる。
本発明による感光性ドライフィルムの一実施形態を示した概略断面図である。 本発明による感光性ドライフィルムの他の実施形態を示した概略断面図である。 遮光部を説明するための感光性ドライフィルムの一実施形態を示した概略断面図である。 回折が生じない場合の露光光の作用を説明するための感光性ドライフィルムおよびそれを用いて得られた硬化被膜の一実施形態を示した概略断面図である。 回折が生じる場合の露光光の作用を説明するための感光性ドライフィルムおよびそれを用いて得られた硬化被膜の一実施形態を示した概略断面図である。 本発明による感光性ドライフィルムを用いて得られた硬化被膜の一実施形態を示した概略断面図である。 支持フィルムにおける遮光部の形状の一実施形態を示した平面図である。 遮光部を説明するための感光性ドライフィルムの他の実施形態を示した概略断面図である。 実施例1の感光性ドライフィルムを使用して得られた硬化被膜の表面を光学微鏡写真(500倍)である。
[感光性ドライフィルム]
本発明の感光性ドライフィルムについて、図面を参照しながら説明する。図1は、本発明による感光性ドライフィルムの一実施形態を示した概略断面図である。本発明による感光性ドライフィルム1は、支持フィルム10と、感光性樹脂組成物により形成されてなる感光性樹脂層20と、をこの順で積層した構造を備えている。ここで感光性樹脂層とは、感光性樹脂組成物を塗布、乾燥したものであって、支持フィルムや保護フィルムといった他の層が積層されていないものをいう。また、本発明においては、上記構成に加えて他のフィルム等を備えていてもよい。例えば、感光性ドライフィルム1の感光性樹脂層20の表面に塵等が付着するのを防止するとともに、感光性ドライフィルム1の取扱性を考慮して、図2に示すように、感光性ドライフィルム1には、感光性樹脂層20の、支持フィルム10と接する面とは反対の面側に、更に保護フィルム30が設けられていてもよい。以下、本発明による感光性ドライフィルムを構成する各構成要素について説明する。
<支持フィルム>
本発明の感光性ドライフィルム1に使用される支持フィルム10は、図3に示すように、光透過性の支持フィルム10の少なくとも一方の面に遮光部10Bが形成されたものである。すなわち、支持フィルム10の少なくとも一方の面には、遮光部10Bと、隣接する遮光部10Bの間に光が通過する光透過部10Aとを有している。遮光部10Bは、支持フィルム10の一方の面から入射した光(露光光)が他方の面から出射すると回折して干渉縞を生じるようにドットアレイ状に設けられている。
隣接する遮光部10Bの間隔(即ち、光透過部10Aの幅)が大きい場合、図4に示すように、支持フィルム10’の一方の面から入射した光(露光光)は回折せずに支持フィルム10’対側の面から出射する。そのため、感光性ドライフィルムの支持フィルム10’側から露光を行い、感光性樹脂層20の現像処理を行うと、遮光部20Bの幅に応じた部分が除去されて、光透過部10Aの幅に応じた部分のみが硬化被膜40’として形成される。一方、支持フィルム10に入射した光が他方の面から出射すると回折して干渉縞を生じるように遮光部10Bが設けられている場合、図5に示すように、光透過部10Aから入射した光は、回折することによって、隣接する光透過部10Aを通過した光が互いに干渉しあい干渉縞を生じる。すなわち、感光性樹脂層20の表面は、光透過部10Aの幅に応じて光が照射される部分20Aと、遮光部10Bの幅に応じて光が照射されない部分20Bと、干渉縞が生じた部分20Cとが存在する。そのため、感光性ドライフィルム10の支持フィルム10側から露光を行い、感光性樹脂層20の現像処理を行うと、露光光の強度に強弱(干渉縞)がある部分20Cは現像時の感光性樹脂層20(感光性樹脂組成物)の除去度合いが異なるため、硬化被膜40の表面には、平坦な部分40Aと凹凸部分40Cとが形成されることになる。
なお、遮光部10Bは、光の透過率が0であることを意味するものではなく、光透過部10Aの光透過率よりも低い(光が透過しにくい)ことを意味する。したがって、支持フィルム10が透明である場合は、遮光部10Bは黒色のように光透過率が低いものとしてもよいし、灰色や彩色のように透明よりは光の透過率が低いものであってもよい。また、各遮光部の全てが同じ透過率である必要はなく、ドットアレイ状に設けられた各遮光部がそれぞれ異なる透過率であってもよい。感光性ドライフィルムの製造上の簡便さの観点からは、遮光部は黒色であることが好ましい。
感光性樹脂層20は、後記するように露光後の現像処理により、露光されなかった箇所(感光性樹脂層が硬化しなかった箇所)が除去される。従来の感光性ドライフィルム等では、露光時にマスクの開口部分から出射した光は支持フィルムを介して感光性樹脂層を感光させるものであったため、マスク開口部から出射された光は均一に感光性樹脂層の表面に照射されていた。そのため、現像処理を経て形成された硬化被膜は、平滑で均一な表面形態を有するものであった。これに対し、本発明の感光性ドライフィルムにおいては、上記したように、支持フィルムの少なくとも一方の表面に、一方の面から入射した光が他方の面から出射すると回折して干渉縞を生じるようにドットアレイ状に遮光部が設けられているため、図5に示したように感光性樹脂層に照射される光の強度には強弱が生じることになる。
感光性樹脂層20に入射する光(露光光)は、従来の感光性ドライフィルムの場合と異なり光の強弱が生じているため、現像処理を行うと、照射された光の強弱によって除去される感光性樹脂組成物の量にも変化を生じる。すなわち、露光光の強度が強かった箇所ほど現像処理において除去される感光性樹脂組成物の量が少なく、逆に露光光の強度が弱かった箇所ほど現像処理において除去される感光性樹脂組成物の量は多くなる。その結果、図5に示すように、露光後、感光性樹脂層20から支持フィルム10を剥離して現像処理を経て得られた硬化被膜40(即ち、感光性樹脂層20が硬化した被膜)は、平坦な部分40Aと凹凸な部分40Cとを備えた複雑な表面形態を有することになる。
従来のマット調のソルダーレジスト層(硬化被膜)においては、光が散乱するように表面が粗面化されているものの、爪などでソルダーレジスト層を擦過してしまうと爪痕がソルダーレジスト層に残ってしまうという問題があった。これは、ソルダーレジスト層を粗面化した際に形成された凹凸形状が爪等の擦過により変形して局部的に平滑な表面が形成され、当該平滑表面が擦過傷(爪痕)として視認されてしまうことによるものと考えられる。これに対し、本発明の感光性ドライフィルムによれば、図6に示したように、硬化被膜の表面が一定の平坦部分を残しながら凹凸(硬化被膜の膜厚の違い)が生じるため、マット調の硬化被膜でありながら、擦過傷が生じた場合であっても傷跡が目立ち難くなるものと考えられる。
支持フィルム10の遮光部10Bは、支持フィルム10の一方の面から入射した光(露光光)が他方の面から出射すると回折して干渉縞を生じるようにドットアレイ状に設けられていればよく特に形状や大きさは限定されないが、干渉縞を生じるためには、各遮光部の幅をd(μm)とした場合に、d×sinθ=mλ(ここで、mは0以上の整数であり、θは回折角である)を満足する必要がある。露光光として紫外線(波長200~300nm)を使用する場合、遮光部10Bは、隣接するドット間の距離が好ましくは0.5~50μmとなるように形成することにより、支持フィルムを入射した露光光に干渉縞を生じさせることができる。より好ましい隣接距離は1.0~25μmである。
本発明の一実施形態においては、支持フィルムの少なくとも一方の面に形成される非透過部は、複数のドット形状から構成されることが好ましい。各ドットは、同一の大きさであってもよく、異なる大きさであってもよい。また、隣接するドットは必ずしも一定の距離を持って離間している必要はなく、一部が重なり合っていてもよい。例えば、図7に示すように、遮光部10Bは、直径の異なる複数の円形状のドットから構成されてもよい。この場合、ドット10B以外の部分が光透過部10Aとなることは言うまでもない。また、図示はしないが、ドットの形状は円形である必要はなく、楕円、矩形等、任意の形状としてもよい。
遮光部においては、上記したように隣接するドット間が所定間隔となるように形成することにより、支持フィルムを入射した露光光に干渉縞を生じさせることができるが、効果的に干渉縞を形成するためには、隣接するドット間距離だけでなくドットの大きさも重要である。すなわち、本発明においては、支持フィルム全体に占める遮光部の面積割合が10~90%であることが好ましく、25~75%であることがより好ましく、40~60%であることが特に好ましい。なお、支持フィルム全体に占める遮光部の面積割合を大きくすると、感光性樹脂層を硬化させるために必要な露光量が不足する場合がある。
また、擦過傷が目立ち難いマット調硬化被膜を形成する観点から、遮光部10Bの形状を円形のドットとした場合の各ドットの大きさは、直径が1~50μmであることが好ましく、2~25μmであることがより好ましく、4~12μmであることが特に好ましい。
遮光部10Bは、支持フィルム10の一方の面に形成することができるが、図3に示したように感光性樹脂層20が設けられる面とは反対の面(光照射面)に遮光部10Bを設けてもよく、図8に示すように、支持フィルム10の感光性樹脂層20が設けられる面に遮光部10Bを設けてもよいが、擦過傷が目立ち難いマット調硬化被膜を形成する観点からは、感光性樹脂層20が設けられる面とは反対の面(光照射面)に遮光部10Bを設けることが好ましい。この場合には、効率的に干渉縞を形成し、より一層、擦過傷が目立ち難いマット調硬化被膜を形成する観点から、支持フィルムの厚さは10~150μmであることが好ましく、15~100μmであることがより好ましい。
支持フィルムに遮光部を形成するには、蒸着エッチング、グラビアオフセット法、フォトによるパターニング等を用いて光透過性の支持フィルムの表面に遮光部を形成することができる。
支持フィルムとしては、光透過性を有する材料であれば特に制限なく使用することができる。なお、本発明において、光透過性を有する支持フィルムとは、光の透過率が100%であるものに限定する趣旨ではなく、一定の光透過率を有していればよい。支持フィルムの光透過率が低い場合は、感光性ドライフィルムを用いて硬化被膜を形成する際の露光光の照射強度を高くする必要がある。感光性ドライフィルムの使用時(即ち、硬化被膜の形成時)に通常の強度の露光光を使用できる点や、加工のし易さや取扱い性の簡便性を考慮すると、支持フィルムとして、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート等のポリエステルフィルム、ポリイミドフィルム、ポリアミドイミドフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリスチレンフィルム等の熱可塑性樹脂からなるフィルムを好適に使用することができる。これらのなかでも、透明性、耐熱性、機械的強度、取扱性等の観点から、ポリエステルフィルムを好適に使用することができる。
また、上記したような熱可塑性樹脂フィルムは、強度を向上させる目的で、一軸方向または二軸方向に延伸されたフィルムを使用することが好ましい。
また、マット調の硬化被膜を形成する観点からは、支持フィルム表面が粗面化されたものを使用してもよい。粗面化された支持フィルムとしては、フィルムを成膜する際の樹脂中にフィラーを添加したり、フィルム表面をブラスト処理したり、あるいはヘアライン加工、マットコーティング、またはケミカルエッチング等の処理が施されたものを挙げることができる。
支持フィルムの感光性樹脂層を設ける面には、離型処理が施されていてもよい。例えば、ワックス類、シリコーンワックス、シリコーン系樹脂等の離型剤を適当な溶剤に溶解または分散して調製した塗工液を、ロールコート法、スプレーコート法などのコート法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法等の公知の手段により、支持フィルム表面に塗布、乾燥することにより、離型処理を施すことができる。
<感光性樹脂層>
支持フィルムの少なくとも一方の面に設けられる感光性樹脂層は、感光性ドライフィルムを露光、現像することによってパターニングされ、回路基板上に設けられた硬化被膜(ソルダーレジスト層)となる。このような感光性樹脂層としては、感光性樹脂組成物、例えば、従来公知のソルダーレジストインキ等を制限なく使用できるが、以下、本発明による感光性ドライフィルムの感光性樹脂組層として好ましく使用できる感光性樹脂組成物の一例を説明する。
本発明において、感光性樹脂組成物は、アルカリ可溶性樹脂、光重合性モノマー、および光重合開始剤を少なくとも含むことが好ましい。以下、感光性樹脂組成物を構成する各成分について説明する。
アルカリ可溶性樹脂は、光照射により重合ないし架橋して硬化する成分であり、アルカリ現像性を有していることにより、露光、現像により所望のパターンに形成された硬化被膜を形成することが可能となる。アルカリ可溶性樹脂としては、分子中にカルボキシル基を有している従来公知の各種感光性樹脂を好適に使用できる。感光性樹脂組成物が、カルボキシル基含有樹脂を含むことにより、感光性樹脂組成物に対しアルカリ現像性を付与することができる。特に、分子中に(メタ)アクリロイル基を有するカルボキシル基含有感光性樹脂が、光硬化性や耐現像性の面から好ましい。(メタ)アクリロイル基は、アクリル酸もしくはメタクリル酸またはそれらの誘導体由来であることが好ましい。(メタ)アクリロイル基を有さないカルボキシル基含有樹脂のみを用いる場合、組成物を光硬化性とするためには、後述する分子中に複数のエチレン性不飽和基を有する化合物、即ち光重合性モノマーを併用する必要がある。カルボキシル基含有樹脂の具体例としては、以下のような化合物(オリゴマーおよびポリマーのいずれでもよい)を挙げることができる。なお、本明細書において、(メタ)アクリロイル基とは、アクリロイル基、メタアクリロイル基およびそれらの混合物を総称する用語で他の類似の表現についても同様である。
(1)(メタ)アクリル酸等の不飽和カルボン酸と、スチレン、α-メチルスチレン、低級アルキル(メタ)アクリレート、イソブチレン等の不飽和基含有化合物との共重合により得られるカルボキシル基含有樹脂。
(2)脂肪族ジイソシアネート、分岐脂肪族ジイソシアネート、脂環式ジイソシアネート、芳香族ジイソシアネート等のジイソシアネートと、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸等のカルボキシル基含有ジアルコール化合物およびポリカーボネート系ポリオール、ポリエーテル系ポリオール、ポリエステル系ポリオール、ポリオレフィン系ポリオール、アクリル系ポリオール、ビスフェノールA系アルキレンオキサイド付加体ジオール、フェノール性ヒドロキシル基およびアルコール性ヒドロキシル基を有する化合物等のジオール化合物の重付加反応によるカルボキシル基含有ウレタン樹脂。
(3)ジイソシアネートと、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビキシレノール型エポキシ樹脂、ビフェノール型エポキシ樹脂等の2官能エポキシ樹脂の(メタ)アクリレートもしくはその部分酸無水物変性物、カルボキシル基含有ジアルコール化合物およびジオール化合物の重付加反応によるカルボキシル基含有感光性ウレタン樹脂。
(4)前記(2)または(3)の樹脂の合成中に、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート等の分子内に1つの水酸基と1つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物を加え、末端(メタ)アクリル化したカルボキシル基含有感光性ウレタン樹脂。
(5)前記(2)または(3)の樹脂の合成中に、イソホロンジイソシアネートとペンタエリスリトールトリアクリレートの等モル反応物など、分子内に1つのイソシアネート基と1つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物を加え末端(メタ)アクリル化したカルボキシル基含有感光性ウレタン樹脂。
(6)2官能またはそれ以上の多官能(固形)エポキシ樹脂に(メタ)アクリル酸を反応させ、側鎖に存在する水酸基に2塩基酸無水物を付加させたカルボキシル基含有感光性樹脂。
(7)2官能(固形)エポキシ樹脂の水酸基をさらにエピクロロヒドリンでエポキシ化した多官能エポキシ樹脂に(メタ)アクリル酸を反応させ、生じた水酸基に2塩基酸無水物を付加させたカルボキシル基含有感光性樹脂。
(8)2官能オキセタン樹脂にアジピン酸、フタル酸、ヘキサヒドロフタル酸等のジカルボン酸を反応させ、生じた1級の水酸基に無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸等の2塩基酸無水物を付加させたカルボキシル基含有ポリエステル樹脂。
(9)1分子中に複数のエポキシ基を有するエポキシ化合物に、p-ヒドロキシフェネチルアルコール等の1分子中に少なくとも1個のアルコール性水酸基と1個のフェノール性水酸基を有する化合物と、(メタ)アクリル酸等の不飽和基含有モノカルボン酸とを反応させ、得られた反応生成物のアルコール性水酸基に対して、無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、アジピン酸等の多塩基酸無水物を反応させて得られるカルボキシル基含有感光性樹脂。
(10)1分子中に複数のフェノール性水酸基を有する化合物とエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等のアルキレンオキサイドとを反応させて得られる反応生成物に不飽和基含有モノカルボン酸を反応させ、得られる反応生成物に多塩基酸無水物を反応させて得られるカルボキシル基含有感光性樹脂。
(11)1分子中に複数のフェノール性水酸基を有する化合物とエチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等の環状カーボネート化合物とを反応させて得られる反応生物に不飽和基含有モノカルボン酸を反応させ、得られる反応生成物に多塩基酸無水物を反応させて得られるカルボキシル基含有感光性樹脂。
(12)前記(1)~(11)の樹脂にさらに1分子内に1つのエポキシ基と1つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物を付加してなるカルボキシル基含有感光性樹脂。
本発明に使用できるアルカリ可溶性樹脂は、上記列挙したものに限られない。また。上記列挙したアルカリ可溶性樹脂は1種類を単独で用いてもよく、複数種を混合して用いてもよい。
アルカリ可溶性樹脂の重量平均分子量は、樹脂骨格により異なるが、一般的に2,000~150,000の範囲であり、5,000~100,000の範囲にあるものが好ましい。重量平均分子量が2,000以上のアルカリ可溶性樹脂を用いることにより、解像性やタックフリー性能を向上させることができる。また、重量平均分子量が150,000以下のアルカリ可溶性樹脂を用いることにより現像性や貯蔵安定性を向上させることができる。
感光性樹脂組成物中のアルカリ可溶性樹脂の配合量は、全組成物中に、20~60質量%であることが好ましい。20質量%以上とすることにより塗膜強度を向上させることができる。また60質量%以下とすることで粘性が適当となり加工性が向上する。より好ましくは、30~50質量%である。
感光性樹脂組成物に含まれる光重合性モノマーは、(メタ)アクリロイル基からなる光重合性基を有するモノマーである。このような光重合性モノマーとしては、例えば、慣用公知のポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、カーボネート(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。具体的には、2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシプロピルアクリレートなどのヒドロキシアルキルアクリレート類;エチレングリコール、メトキシテトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコールなどのグリコールのジアクリレート類;N,N-ジメチルアクリルアミド、N-メチロールアクリルアミド、N,N-ジメチルアミノプロピルアクリルアミドなどのアクリルアミド類;N,N-ジメチルアミノエチルアクリレート、N,N-ジメチルアミノプロピルアクリレートなどのアミノアルキルアクリレート類;ヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリス-ヒドロキシエチルイソシアヌレートなどの多価アルコールまたはこれらのエチレオキサイド付加物、プロピレンオキサイド付加物、もしくはε-カプロラクトン付加物などの多価アクリレート類;フェノキシアクリレート、ビスフェノールAジアクリレート、およびこれらのフェノール類のエチレンオキサイド付加物もしくはプロピレンオキサイド付加物などの多価アクリレート類;グリセリンジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、トリグリシジルイソシアヌレートなどのグリシジルエーテルの多価アクリレート類;前記に限らず、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートジオール、水酸基末端ポリブタジエン、ポリエステルポリオールなどのポリオールを直接アクリレート化、もしくは、ジイソシアネートを介してウレタンアクリレート化したアクリレート類およびメラミンアクリレート、および前記アクリレートに対応する各メタクリレート類のいずれか少なくとも1種から適宜選択して用いることができる。このような光重合性モノマーは、反応性希釈剤としても用いることができる。
クレゾールノボラック型エポキシ樹脂などの多官能エポキシ樹脂に、アクリル酸を反応させたエポキシアクリレート樹脂や、さらにそのエポキシアクリレート樹脂の水酸基に、ペンタエリスリトールトリアクリレートなどのヒドロキシアクリレートとイソホロンジイソシアネートなどのジイソシアネートのハーフウレタン化合物を反応させたエポキシウレタンアクリレート化合物などを光重合性モノマーとして用いてもよい。このようなエポキシアクリレート系樹脂は、指触乾燥性を低下させることなく、光硬化性を向上させることができる。
光重合性モノマーの配合量は、固形分換算で、アルカリ可溶性樹脂100質量部に対して、好ましくは0.2~60質量部、より好ましくは0.5~50質量部である。光重合性モノマーの配合量を0.2質量部以上とすることにより、感光性樹脂組成物の光硬化性が向上する。また、配合量を60質量部以下とすることにより、硬化塗膜硬度を向上させることができる。
感光性樹脂組成物に含まれる光重合開始剤は、上記したアルカリ可溶性樹脂や光重合性モノマーを露光により反応させるためのものである。光重合開始剤としては、公知のものをいずれも用いることができる。光重合開始剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
光重合開始剤としては、具体的には例えば、ビス-(2,6-ジクロロベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド、ビス-(2,6-ジクロロベンゾイル)-2,5-ジメチルフェニルフォスフィンオキサイド、ビス-(2,6-ジクロロベンゾイル)-4-プロピルフェニルフォスフィンオキサイド、ビス-(2,6-ジクロロベンゾイル)-1-ナフチルフォスフィンオキサイド、ビス-(2,6-ジメトキシベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド、ビス-(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4,4-トリメチルペンチルフォスフィンオキサイド、ビス-(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,5-ジメチルフェニルフォスフィンオキサイド、ビス-(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルフォスフィンオキサイド等のビスアシルフォスフィンオキサイド類;2,6-ジメトキシベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、2,6-ジクロロベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6-トリメチルベンゾイルフェニルフォスフィン酸メチルエステル、2-メチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、ピバロイルフェニルフォスフィン酸イソプロピルエステル、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド等のモノアシルフォスフィンオキサイド類;フェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フォスフィン酸エチル、1-ヒドロキシ-シクロヘキシルフェニルケトン、1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン、2-ヒドロキシ-1-{4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチル-プロピオニル)-ベンジル]フェニル}-2-メチル-プロパン-1-オン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン等のヒドロキシアセトフェノン類;ベンゾイン、ベンジル、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインn-プロピルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインn-ブチルエーテル等のベンゾイン類;ベンゾインアルキルエーテル類;ベンゾフェノン、p-メチルベンゾフェノン、ミヒラーズケトン、メチルベンゾフェノン、4,4’-ジクロロベンゾフェノン、4,4’-ビスジエチルアミノベンゾフェノン等のベンゾフェノン類;アセトフェノン、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン、2,2-ジエトキシ-2-フェニルアセトフェノン、1,1-ジクロロアセトフェノン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノ-1-プロパノン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタノン-1、2-(ジメチルアミノ)-2-[(4-メチルフェニル)メチル)-1-[4-(4-モルホリニル)フェニル]-1-ブタノン、N,N-ジメチルアミノアセトフェノン等のアセトフェノン類;チオキサントン、2-エチルチオキサントン、2-イソプロピルチオキサントン、2,4-ジメチルチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、2-クロロチオキサントン、2,4-ジイソプロピルチオキサントン等のチオキサントン類;アントラキノン、クロロアントラキノン、2-メチルアントラキノン、2-エチルアントラキノン、2-tert-ブチルアントラキノン、1-クロロアントラキノン、2-アミルアントラキノン、2-アミノアントラキノン等のアントラキノン類;アセトフェノンジメチルケタール、ベンジルジメチルケタール等のケタール類;エチル-4-ジメチルアミノベンゾエート、2-(ジメチルアミノ)エチルベンゾエート、p-ジメチル安息香酸エチルエステル等の安息香酸エステル類;1,2-オクタンジオン,1-[4-(フェニルチオ)-,2-(O-ベンゾイルオキシム)]、エタノン,1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-,1-(O-アセチルオキシム)等のオキシムエステル類;ビス(η5-2,4-シクロペンタジエン-1-イル)-ビス(2,6-ジフルオロ-3-(1H-ピロール-1-イル)フェニル)チタニウム、ビス(シクロペンタジエニル)-ビス[2,6-ジフルオロ-3-(2-(1-ピル-1-イル)エチル)フェニル]チタニウム等のチタノセン類;フェニルジスルフィド2-ニトロフルオレン、ブチロイン、アニソインエチルエーテル、アゾビスイソブチロニトリル、テトラメチルチウラムジスルフィド等を挙げることができる。
α-アミノアセトフェノン系光重合開始剤の市販品としては、IGM Resins社製のOmnirad 907、369、369E、379等が挙げられる。また、アシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤の市販品としては、IGM Resins社製のOmnirad TPO、819等が挙げられる。オキシムエステル系光重合開始剤の市販品としては、BASFジャパン株式会社製のIrgacure OXE01、OXE02、株式会社ADEKA製N-1919、アデカアークルズ NCI-831、NCI-831E、常州強力電子新材料社製TR-PBG-304などが挙げられる。
その他、特開2004-359639号公報、特開2005-097141号公報、特開2005-220097号公報、特開2006-160634号公報、特開2008-094770号公報、特表2008-509967号公報、特表2009-040762号公報、特開2011-80036号公報記載のカルバゾールオキシムエステル化合物等を挙げることができる。
光重合開始剤の配合量は、固形分換算で、アルカリ可溶性樹脂100質量部に対して、0.1~20質量部であることが好ましく、0.5~18質量部であることがより好ましく、1~15質量部がさらに好ましい。0.01質量部以上の場合、樹脂組成物の光硬化性が良好となり、耐薬品性等の被膜特性も良好となる。一方、20質量部以下の場合、レジスト膜(硬化被膜)表面での光吸収が良好となり、深部硬化性が低下しにくい。
上記した光重合開始剤と併用して、光開始助剤または増感剤を用いてもよい。光開始助剤または増感剤としては、ベンゾイン化合物、アントラキノン化合物、チオキサントン化合物、ケタール化合物、ベンゾフェノン化合物、3級アミン化合物、およびキサントン化合物などを挙げることができる。特に、2,4-ジメチルチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、2-クロロチオキサントン、2-イソプロピルチオキサントン、4-イソプロピルチオキサントン等のチオキサントン化合物を用いることが好ましい。チオキサントン化合物が含まれることにより、深部硬化性を向上させることができる。これらの化合物は、光重合開始剤として用いることができる場合もあるが、光重合開始剤と併用して用いることが好ましい。また、光開始助剤または増感剤は1種類を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
なお、これら光重合開始剤、光開始助剤、および増感剤は、特定の波長を吸収するため、場合によっては感度が低くなり、紫外線吸収剤として機能することがある。しかしながら、これらは樹脂組成物の感度を向上させることだけの目的に用いられるものではない。必要に応じて特定の波長の光を吸収させて、表面の光反応性を高め、レジストパターンのライン形状および開口を垂直、テーパー状、逆テーパー状に変化させるとともに、ライン幅や開口径の精度を向上させることができる。
本発明において、感光性樹脂組成物には、上記した成分に加えて熱硬化性成分が含まれていてもよい。感光性樹脂組成物に熱硬化性成分が含まれることにより、硬化被膜の耐熱性を向上させることができる。熱硬化性成分としては、例えば、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、メラミン誘導体、ベンゾグアナミン誘導体等のアミノ樹脂、イソシアネート化合物、ブロックイソシアネート化合物、シクロカーボネート化合物、エポキシ化合物、オキセタン化合物、エピスルフィド樹脂、ビスマレイミド、カルボジイミド樹脂等の公知の熱硬化性成分を使用できる。特に好ましいのは、分子中に複数の環状エーテル基または環状チオエーテル基(以下、環状(チオ)エーテル基と略す)を有する熱硬化性成分である。熱硬化性成分は、1種を単独または2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記の分子中に複数の環状(チオ)エーテル基を有する熱硬化性成分は、分子中に3、4または5員環の環状(チオ)エーテル基を複数有する化合物であり、例えば、分子内に複数のエポキシ基を有する化合物、すなわち多官能エポキシ化合物、分子内に複数のオキセタニル基を有する化合物、すなわち多官能オキセタン化合物、分子内に複数のチオエーテル基を有する化合物、すなわちエピスルフィド樹脂等が挙げられる。
このようなエポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAのノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂等が挙げられる。
市販されるエポキシ樹脂としては、例えば、三菱ケミカル株式会社製のjER 828、806、807、YX8000、YX8034、834、日鉄ケミカル&マテリアル株式会社製のYD-128、YDF-170、ZX-1059、ST-3000、DIC株式会社製のEPICLON 830、835、840、850、N-730A、N-695、および日本化薬株式会社製のRE-306等が挙げられる。
多官能オキセタン化合物としては、例えば、ビス[(3-メチル-3-オキセタニルメトキシ)メチル]エーテル、ビス[(3-エチル-3-オキセタニルメトキシ)メチル]エーテル、1,4-ビス[(3-メチル-3-オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン、1,4-ビス[(3-エチル-3-オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン、(3-メチル-3-オキセタニル)メチルアクリレート、(3-エチル-3-オキセタニル)メチルアクリレート、(3-メチル-3-オキセタニル)メチルメタクリレート、(3-エチル-3-オキセタニル)メチルメタクリレートやそれらのオリゴマーまたは共重合体等の多官能オキセタン類の他、オキセタンアルコールとノボラック樹脂、ポリ(p-ヒドロキシスチレン)、カルド型ビスフェノール類、カリックスアレーン類、カリックスレゾルシンアレーン類、またはシルセスキオキサン等の水酸基を有する樹脂とのエーテル化物等が挙げられる。その他、オキセタン環を有する不飽和モノマーとアルキル(メタ)アクリレートとの共重合体等も挙げられる。
分子中に複数の環状チオエーテル基を有する化合物としては、ビスフェノールA型エピスルフィド樹脂等が挙げられる。また、同様の合成方法を用いて、ノボラック型エポキシ樹脂のエポキシ基の酸素原子を硫黄原子に置き換えたエピスルフィド樹脂なども用いることができる。
メラミン誘導体、ベンゾグアナミン誘導体等のアミノ樹脂としては、メチロールメラミン化合物、メチロールベンゾグアナミン化合物、メチロールグリコールウリル化合物およびメチロール尿素化合物等が挙げられる。
イソシアネート化合物としては、ポリイソシアネート化合物を配合することができる。ポリイソシアネート化合物としては、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート、ナフタレン-1,5-ジイソシアネート、o-キシリレンジイソシアネート、m-キシリレンジイソシアネートおよび2,4-トリレンダイマー等の芳香族ポリイソシアネート;テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、メチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、4,4-メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)およびイソホロンジイソシアネート等の脂肪族ポリイソシアネート;ビシクロヘプタントリイソシアネート等の脂環式ポリイソシアネート;並びに先に挙げたイソシアネート化合物のアダクト体、ビューレット体およびイソシアヌレート体等が挙げられる。
ブロックイソシアネート化合物としては、イソシアネート化合物とイソシアネートブロック剤との付加反応生成物を用いることができる。イソシアネートブロック剤と反応し得るイソシアネート化合物としては、例えば、上述のポリイソシアネート化合物等が挙げられる。イソシアネートブロック剤としては、例えば、フェノール系ブロック剤;ラクタム系ブロック剤;活性メチレン系ブロック剤;アルコール系ブロック剤;オキシム系ブロック剤;メルカプタン系ブロック剤;酸アミド系ブロック剤;イミド系ブロック剤;アミン系ブロック剤;イミダゾール系ブロック剤;イミン系ブロック剤等が挙げられる。
熱硬化性成分の配合量は、固形分換算で、アルカリ可溶性樹脂に含有されるカルボキシル基1molあたりに対し、反応する熱硬化性成分の官能基数が0.5~2.5molが好ましく、より好ましくは0.8~2.0molである。
また、感光性樹脂組成物には、上記した熱硬化性成分に加えて熱硬化触媒を配合することができる。熱硬化触媒としては、例えば、イミダゾール、2-メチルイミダゾール、2-エチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、4-フェニルイミダゾール、1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾール、1-(2-シアノエチル)-2-エチル-4-メチルイミダゾール等のイミダゾール誘導体;ジシアンジアミド、ベンジルジメチルアミン、4-(ジメチルアミノ)-N,N-ジメチルベンジルアミン、4-メトキシ-N,N-ジメチルベンジルアミン、4-メチル-N,N-ジメチルベンジルアミン等のアミン化合物、アジピン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド等のヒドラジン化合物;トリフェニルフォスフィン等のリン化合物等が挙げられる。また、市販されているものとしては、例えば四国化成工業株式会社製の2MZ-A、2MZ-OK、2PHZ、2P4BHZ、2P4MHZ(いずれもイミダゾール系化合物の商品名)、サンアプロ株式会社製のU-CAT 3513N(ジメチルアミン系化合物の商品名)、DBU、DBN、U-CAT SA 102(いずれも二環式アミジン化合物およびその塩)などが挙げられる。特に、これらに限られるものではなく、エポキシ樹脂やオキセタン化合物の熱硬化触媒、もしくはエポキシ基およびオキセタニル基の少なくとも何れか1種とカルボキシル基の反応を促進するものであればよく、単独でまたは2種以上を混合して使用してもかまわない。
さらに、グアナミン、アセトグアナミン、ベンゾグアナミン、2,4-ジアミノ-6-メタクリロイルオキシエチル-S-トリアジン、2-ビニル-2,4-ジアミノ-S-トリアジン、2-ビニル-4,6-ジアミノ-S-トリアジン・イソシアヌル酸付加物、2,4-ジアミノ-6-メタクリロイルオキシエチル-S-トリアジン・イソシアヌル酸付加物等のS-トリアジン誘導体を用いることもでき、好ましくはこれら密着性付与剤としても機能する化合物を熱硬化触媒と併用する。熱硬化触媒は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
熱硬化触媒の配合量は、固形分換算で、アルカリ可溶性樹脂100質量部に対して、好ましくは0.1~10質量部であり、より好ましくは0.1~0.5質量部である。0.1質量部以上の場合、耐熱性に優れる。10質量部以下の場合、経時安定性向上につながる。
本発明においては、感光性ドライフィルムを用いて得られる硬化被膜の物理的強度を向上させたり表面のマット感を調整する観点から、感光性樹脂組成物には必要に応じてフィラーを配合することができる。フィラーとしては、公知の無機または有機フィラーが使用できるが、特に、硫酸バリウム、球状シリカ、ハイドロタルサイトおよびタルクが好ましく用いられる。また、難燃性を得るために金属酸化物や水酸化アルミ等の金属水酸化物を体質顔料フィラーとして使用することができる。
フィラーの配合量は特に限定されるものではないが、粘度、塗布性、成形性等の観点から、固形分換算で、アルカリ可溶性樹脂100質量部に対して300質量部以下が好ましい。より好ましくは50~200質量部である。
また、上記したフィラーは、感光性樹脂組成物中での分散性を高めるために表面処理されたものであってもよい。表面処理がされているフィラーを使用することで、凝集を抑制することができる。表面処理方法は特に限定されず、公知慣用の方法を用いればよいが、硬化性反応基を有する表面処理剤、例えば、硬化性反応基を有機基として有するカップリング剤等で無機フィラーの表面を処理することが好ましい。
カップリング剤としては、シラン系、チタネート系、アルミネート系およびジルコアルミネート系等のカップリング剤が使用できる。中でもシラン系カップリング剤が好ましい。かかるシラン系カップリング剤の例としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、N-(2-アミノメチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-アニリノプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン等を挙げることができ、これらは単独で、あるいは併用して使用することができる。これらのシラン系カップリング剤は、あらかじめフィラーの表面に吸着あるいは反応により固定化されていることが好ましい。ここで、球状シリカ100質量部に対するカップリング剤の処理量は、0.5~10質量部であることが好ましい。
感光性樹脂組成物は、必要に応じて着色剤を含んでいてもよい。着色剤としては、赤、青、緑、黄等の公知の着色剤を使用することができ、顔料、染料、色素のいずれでもよいが、環境負荷の低減や人体への影響が少ない観点からハロゲンを含有しない着色剤であることが好ましい。
赤色着色剤としてはモノアゾ系、ジスアゾ系、アゾレーキ系、ベンズイミダゾロン系、ペリレン系、ジケトピロロピロール系、縮合アゾ系、アントラキノン系、キナクリドン系等があり、具体的には以下のようなカラ-インデックス(C.I.;ザ ソサイエティ オブ ダイヤーズ アンド カラリスツ(The Society of Dyersand Colourists)発行)番号が付されているものが挙げられる。
モノアゾ系赤色着色剤としては、Pigment Red 1,2,3,4,5,6,8,9,12,14,15,16,17,21,22,23,31,32,112,114,146,147,151,170,184,187,188,193,210,245,253,258,266,267,268,269等が挙げられる。また、ジスアゾ系赤色着色剤としては、Pigment Red 37,38,41等が挙げられる。また、モノアゾレーキ系赤色着色剤としては、Pigment Red 48:1,48:2,48:3,48:4,49:1,49:2,50:1,52:1,52:2,53:1,53:2,57:1,58:4,63:1,63:2,64:1,68等が挙げられる。また、ベンズイミダゾロン系赤色着色剤としては、Pigment Red 171,175,176、185、208等が挙げられる。また、ぺリレン系赤色着色剤としては、Solvent Red 135,179,Pigment Red 123,149,166,178,179,190,194,224等が挙げられる。また、ジケトピロロピロール系赤色着色剤としては、Pigment Red 254,255,264,270,272等が挙げられる。また、縮合アゾ系赤色着色剤としては、Pigment Red 220,144,166,214,220,221,242等が挙げられる。また、アントラキノン系赤色着色剤としては、Pigment Red 168,177,216、Solvent Red 149,150,52,207等が挙げられる。また、キナクリドン系赤色着色剤としては、Pigment Red 122,202,206,207,209等が挙げられる。
青色着色剤としてはフタロシアニン系、アントラキノン系があり、顔料系はピグメント(Pigment)に分類されている化合物が挙げられ、例えば、Pigment Blue 15,15:1,15:2,15:3,15:4,15:6,16,60。染料系としては、Solvent Blue 35,63,68,70,83,87,94,97,122,136,67,70等を使用することができる。上記以外にも、金属置換もしくは無置換のフタロシアニン化合物も使用することができる。
黄色着色剤としてはモノアゾ系、ジスアゾ系、縮合アゾ系、ベンズイミダゾロン系、イソインドリノン系、アントラキノン系等が挙げられ、例えば、アントラキノン系黄色着色剤としては、Solvent Yellow 163,Pigment Yellow 24,108,193,147,199,202等が挙げられる。イソインドリノン系黄色着色剤としては、Pigment Yellow 110,109,139,179,185等が挙げられる。縮合アゾ系黄色着色剤としては、Pigment Yellow
93,94,95,128,155,166,180等が挙げられる。ベンズイミダゾロン系黄色着色剤としては、Pigment Yellow 120,151,154,156,175,181等が挙げられる。また、モノアゾ系黄色着色剤としては、Pigment Yellow 1,2,3,4,5,6,9,10,12,61,62,62:1,65,73,74,75,97,100,104,105,111,116,167,168,169,182,183等が挙げられる。また、ジスアゾ系黄色着色剤としては、Pigment Yellow 12,13,14,16,17,55,63,81,83,87,126,127,152,170,172,174,176,188,198等が挙げられる。
その他、紫、オレンジ、茶色、黒、白等の着色剤を加えてもよい。具体的には、Pigment Black 1,6,7,8,9,10,11,12,13,18,20,25,26,28,29,30,31,32、Pigment Violet 19、23、29、32、36、38、42、Solvent Violet13,36、C.I.Pigment Orange 1,5,13,14,16,17,24,34,36,38,40,43,46,49,51,61,63,64,71,73、PigmentBrown 23,25,カーボンブラック、酸化チタン等が挙げられる。
感光性樹脂組成物中の着色剤の配合量は特に限定されるものではないが、樹脂組成物全体量の0.1~5質量%であることが好ましい。
感光性樹脂組成物には、感光性樹脂層を形成する際の調製のし易さや塗布性の観点から有機溶剤を配合してもよい。有機溶剤としては、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;トルエン、キシレン、テトラメチルベンゼン等の芳香族炭化水素類;セロソルブ、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、カルビトール、メチルカルビトール、ブチルカルビトール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールエーテル類;酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸ブチル、セロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、カルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、炭酸プロピレン等のエステル類;オクタン、デカン等の脂肪族炭化水素類;石油エーテル、石油ナフサ、ソルベントナフサ等の石油系溶剤など、公知慣用の有機溶剤が使用できる。これらの有機溶剤は、1種を単独または2種以上を組み合わせて用いることができる。
感光性樹脂組成物における有機溶剤の配合量は、感光性樹脂組成物を構成する材料に応じ適宜変更することができ、例えば、固形分換算で、アルカリ可溶性樹脂100質量部に対して30~300質量部とすることができる。
感光性樹脂組成物には、さらに必要に応じてエラストマー、メルカプト化合物、ウレタン化触媒、チキソ化剤、密着促進剤、ブロック共重合体、連鎖移動剤、重合禁止剤、銅害防止剤、酸化防止剤、防錆剤、有機ベントナイト、モンモリロナイト等の増粘剤、シリコーン系、フッ素系、高分子系等の消泡剤およびレベリング剤の少なくともいずれか1種、フォスフィン酸塩、燐酸エステル誘導体、フォスファゼン化合物等のリン化合物等の難燃剤などの成分を配合することができる。これらは、電子材料の分野において公知の物を使用することができる。
感光性樹脂層は、上記した感光性樹脂組成物を有機溶剤で希釈して適切な粘度に調整し、支持フィルムの表面に、コンマコーター、ブレードコーター、リップコーター、ロッドコーター、スクイズコーター、リバースコーター、トランスファロールコーター、グラビアコーター、スプレーコーター等でキャリアフィルム上に均一な厚さに塗布し、通常、50~130℃の温度で1~30分間乾燥して膜を得ることができる。塗布膜厚については特に制限はないが、一般に、乾燥後の膜厚で、1~150μm、好ましくは10~60μmの範囲で適宜選択される。
<保護フィルム>
本発明の感光性ドライフィルムは、感光性樹脂層の表面に塵等が付着するのを防止するとともに取扱性を向上させる目的で、図2に示すように感光性樹脂層20の、支持フィルム10と接する面とは反対の面側に、更に保護フィルム30が設けられていてもよい。
保護フィルムとしては、例えば、ポリエステルフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリテトラフルオロエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、表面処理した紙等を用いることができるが、保護フィルムと感光性樹脂層との接着力が、支持フィルムと感光性樹脂層との接着力よりも小さくなるような材料を選定することが好ましい。また、感光性ドライフィルムの使用時に、保護フィルムを剥離し易くするため、保護フィルムの感光性樹脂層と接する面に上記したような離型処理を施してもよい。
保護フィルムの厚さは、特に制限されるものではないが概ね10~150μmの範囲で用途に応じて適宜選択される。
[感光性ドライフィルムを用いた硬化被膜の形成方法]
上記した本発明の感光性ドライフィルムを用いて硬化被膜を形成することができる。硬化被膜の形成方法および回路パターンが形成された基板上に上記硬化物(硬化被膜)を備えたプリント配線板を製造する方法を説明する。一例として、保護フィルムを備えた感光性ドライフィルムを用いてプリント配線板を製造する方法を説明する。先ず、i)上記した感光性ドライフィルムから保護フィルムを剥離して、感光性樹脂層を露出させ、ii)回路パターンが形成された基板上に、前記感光性ドライフィルムの感光性樹脂層を貼合し、iii)前記感光性ドライフィルムの支持フィルム上から露光を行い、iv)前記感光性ドライフィルムから支持フィルムを剥離して現像を行うことにより、前記基板上にパターニングされた感光性樹脂層を形成し、v)前記パターニングされた樹脂を光照射ないし熱により硬化させて、硬化被膜を形成する、ことによりプリント配線板が形成される。なお、保護フィルムが設けられていない感光性ドライフィルムを使用する場合は、保護フィルムの剥離工程(i工程)が不要であることは言うまでもない。以下、各工程について説明する。
まず、感光性ドライフィルムから保護フィルムを剥離して感光性樹脂層を露出させ、回路パターンが形成された基板上に、感光性ドライフィルムの感光性樹脂層を貼合する。回路パターンが形成された基板としては、予め回路形成されたプリント配線板やフレキシブルプリント配線板の他、紙フェノール、紙エポキシ、ガラス布エポキシ、ガラスポリイミド、ガラス布/不繊布エポキシ、ガラス布/紙エポキシ、合成繊維エポキシ、フッ素樹脂・ポリエチレン・ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンオキサイド・シアネートエステル等を用いた高周波回路用銅張積層版等の材質を用いたもので全てのグレード(FR-4等)の銅張積層版、その他ポリイミドフィルム、PETフィルム、ガラス基板、セラミック基板、ウェハ板等を挙げることができる。
感光性ドライフィルムの感光性樹脂層を回路基板上に貼合するには、真空ラミネーター等を用いて、加圧および加熱下で貼合することが好ましい。このような真空ラミネーターを使用することにより、感光性樹脂組成物層が回路基板に密着するため、気泡の混入がなく、また、基板表面への穴埋め性も向上する。加圧条件は、0.1~2.0MPa程度であることが好ましく、また、加熱条件は、40~120℃であることが好ましい。
次に、感光性ドライフィルムの支持フィルム上から露光(活性エネルギー線の照射)を行う。この工程により、露光された感光性樹脂層のみが硬化する。露光工程は特に限定されるものではなく、例えば、接触式(または非接触方式)により、所望のパターンを形成したフォトマスクを通して選択的に活性エネルギー線により露光してもよいが、直接描画装置により所望パターンを活性エネルギー線により露光してもよい。
活性エネルギー線照射に用いられる露光機としては、高圧水銀灯ランプ、超高圧水銀灯ランプ、メタルハライドランプ等を搭載し、350~450nmの範囲で紫外線を照射する装置であればよく、さらに、直接描画装置(例えばコンピューターからのCADデータにより直接レーザーで画像を描くレーザーダイレクトイメージング装置)も用いることができる。直描機のレーザー光源としては、最大波長が350~410nmの範囲にあるレーザー光を用いていればガスレーザー、固体レーザーどちらでもよい。画像形成のための露光量は膜厚等によって異なるが、一般には20~800mJ/cm、好ましくは20~600mJ/cmの範囲内とすることができる。また、露光は平行光であっても散乱光であってもよいが、散乱光であることが好ましい。
露光後、感光性ドライフィルムから支持フィルムを剥離して現像を行うことにより、基板上にパターニングされた感光性樹脂層を形成する。パターニングされていない箇所の感光性樹脂層において、支持フィルムを介した露光によって、感光性樹脂層の表面は凹凸状に形成される。
現像工程は特に限定されるものではなく、ディッピング法、シャワー法、スプレー法、ブラシ法などを用いることができる。また、現像液としては、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、リン酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、アンモニア、アミン類などのアルカリ水溶液が使用できる。
次いで、パターニングされた感光性樹脂層を、活性エネルギー線(光)照射ないし熱により硬化させて、硬化被膜を形成する。この工程は本硬化または追加硬化と呼ばれるものであり、露光された感光性樹脂層中の未反応モノマーの重合を促進させ、さらには、カルボキシル基含有感光性樹脂とエポキシ樹脂とを熱硬化させて、残存するカルボキシル基の量を低減することができる。活性エネルギー線照射は、上記した露光と同様にして行うことができるが、露光時の照射エネルギーよりも強い条件で行うことが好ましい。例えば、500~3000mJ/cmとすることができる。また、熱硬化は、100~200℃で20~90分間程度の加熱条件で行うことができる。なお、本硬化は、光硬化させた後に熱硬化を行うことが好ましい。光硬化を先に行うことで加熱硬化時においても樹脂の流動が抑制され、賦型された表面が維持されることがある。
基材としては、あらかじめ銅等により回路形成されたプリント配線板やフレキシブルプリント配線板の他、紙フェノール、紙エポキシ、ガラス布エポキシ、ガラスポリイミド、ガラス布/不繊布エポキシ、ガラス布/紙エポキシ、合成繊維エポキシ、フッ素樹脂・ポリエチレン・ポリフェニレンエーテル,ポリフェニレンオキサイド・シアネート等を用いた高周波回路用銅張積層板等の材質を用いたもので、全てのグレード(FR-4等)の銅張積層板、その他、ウェハ基板、金属基板、ポリイミドフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレート(PEN)フィルム、ガラス基板、セラミック基板、ウェハ板等を挙げることができる。このなかでも、特に銅張積層板が好ましい。
本発明による硬化被膜の厚さは、配線基板の用途に応じて適宜設定してよいが、硬化後1~1,000μmの範囲であることが好ましい。
[硬化被膜]
上記のようにして形成された硬化被膜は、硬化被膜表面におけるJIS Z 8741に準拠して測定した20°光沢度をGs(20°)、60°光沢度をGs(60°)、85°光沢度をGs(85°)とした場合に、
Gs(20°)≦5、且つ
Gs(85°)≧35、且つ
下記式:
R={Gs(85°)/Gs(60°)}/{Gs(60°)/Gs(20°)}
で表される比Rが、0.35~4.0であることが好ましい。一般的に、光沢度が低い硬化被膜は、視認した場合にマット感が良好であると認識できる。しかしながら、光の入射角度全域にわたって光沢度が低い硬化被膜のみがマット感を有するのではなく、比較的深い角度(入射角が0~60°程度)で光が入射した際の光沢度が低い硬化被膜であれば、遜色ないマット感が得られるものと考えられる。そして、比較的深い角度(入射角が60~90°程度)で光が入射した際の光沢度が一定以上であれば、硬化被膜に付いた擦過傷が視認し難くなるものと考えられる。
なお、光沢度は、JIS Z 8741に準拠して測定することができる。光沢度の具体的な測定方法について説明する。前提として、屈折率が1.567である表面において、入射角度60°の場合における、反射率10%の光の強度を光沢度100とし、さらに、反射率0%の光の強度を0と仮定する。これにより、反射率10%の光の強度の100分の1の値が、光沢度1に相当する。入射角度60°の幾何条件の反射率計を用いて、基材上に設けられた硬化被膜の表面の光の強度を測定する。そして、得られた光の強度を、上記した反射率10%の光の強度の100分の1の値で割ることで、光沢度を算出するものとする。簡易的には、デジタル変角光沢度計(Micro-Tri-Gloss、BYK Gardener社製)を用いて、基材上に設けられた硬化被膜の表面を各角度の光沢度を測定することができる。なお、「20°光沢度(Gs(20°))」とは、測定条件を入射角=20°、受光角=20°としたときの光沢度の値であり、同様に「60°光沢度(Gs(60°))」は入射角=60°、受光角=60°としたときの光沢度の値、「85°光沢度(Gs(85°))」は入射角=85°、受光角=85°としたときの光沢度の値である。ここで硬化被膜とは、光硬化および熱硬化の少なくともいずれかを行うことによって、感光性ドライフィルムの感光性樹脂層が硬化された被膜をいう。また硬化被膜が形成されたか否かの確認方法は、以下の方法で確認できる。すなわち、25℃50%RHの環境下で、硬化被膜の表面に、イソプロピルアルコール(IPA)を含ませたウエスを載せ、さらに、その上に500gのおもりを載せて1分間静置した後に、ウエスをはがし、ウエスの硬化被膜と接触していた面に樹脂層の全部または一部が付着していない状態を「硬化している状態」であると判断する。
硬化被膜のマット感をより維持する観点からは、Gs(20°)は、より好ましくは4以下であり、さらに好ましくは3.5以下である。
一方、擦過傷の目立ち難さの観点からは、硬化被膜のGs(85°)は、より好ましくは40以上であり、さらに好ましくは50以上である。
また、マット感と擦過傷の目立ち難さとの観点から、上記式で表される比Rのより好ましい範囲は0.4~2.0であり、さらに好ましい範囲は0.45~1.0であり、特に好ましい範囲は0.50~0.65である。
硬化被膜のマット感をさらに維持する観点からは、Gs(60°)が5~30の範囲であることが好ましく、10~25の範囲であることがより好ましく、特に15~20の範囲であることがさらに好ましい。
本発明による感光性ドライフィルムは、ソルダーレジストやカバーレイ、層間絶縁層等のプリント配線板の永久被膜としてのパターン層を形成するために有用であり、特にソルダーレジストの形成に有用である。とりわけ、マット調の硬化被膜が要求されている用途に好適に使用することができる。また、本発明による硬化性樹脂組成物は、硬化被膜のパターン層を形成する用途だけでなく、パターン層を形成しない用途、例えばモールド用途(封止用途)にも用いることができる。
次に実施例を挙げて、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、これら実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
<支持フィルムの準備>
厚さ25μmの透明なポリエステルフィルム(ルミラー#25-T60、東レ株式会社製)の一方の面に、図8に示したようなドットアレイ状の円状模様(光遮光部)を施したものを用意した。支持フィルム表面に印刷された円状模様において、隣接する各円模様(光遮光部)の間隔は10μmであり、支持フィルム全体に占める遮光部の面積割合は50%であり、フィルム全体に占める各円状模様(光遮光部)の面積割合は50%であり、各円状模様(光遮光部)の大きさは10μmとした。
<感光性樹脂組成物の調製>
(アルカリ可溶性樹脂の樹脂ワニス1の合成)
温度計、窒素導入装置兼アルキレンオキサイド導入装置および撹拌装置を備えたオートクレーブに、ノボラック型クレゾール樹脂(アイカ工業株式会社製、商品名「ショーノールCRG951」、OH当量:119.4)119.4g、水酸化カリウム1.19gおよびトルエン119.4gを仕込み、撹拌しつつ系内を窒素置換し、加熱昇温した。次に、プロピレンオキサイド63.8gを徐々に滴下し、125~132℃、0~4.8kg/cmで16時間反応させた。その後、室温まで冷却し、この反応溶液に89%リン酸1.56gを添加混合して水酸化カリウムを中和し、固形分62.1%、水酸基価が182.2g/eq.であるノボラック型クレゾール樹脂のプロピレンオキサイド反応溶液を得た。これは、フェノール性水酸基1当量当りアルキレンオキサイドが平均1.08モル付加しているものであった。次いで、得られたノボラック型クレゾール樹脂のアルキレンオキサイド反応溶液293.0g、アクリル酸43.2g、メタンスルホン酸11.53g、メチルハイドロキノン0.18gおよびトルエン252.9gを、撹拌機、温度計および空気吹き込み管を備えた反応器に仕込み、空気を10ml/分の速度で吹き込み、撹拌しながら、110℃で12時間反応させた。反応により生成した水は、トルエンとの共沸混合物として、12.6gの水が留出した。その後、室温まで冷却し、得られた反応溶液を15%水酸化ナトリウム水溶液35.35gで中和し、次いで水洗した。その後、エバポレーターにてトルエンをジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート118.1gで置換しつつ留去し、ノボラック型アクリレート樹脂溶液を得た。次に、得られたノボラック型アクリレート樹脂溶液332.5gおよびトリフェニルフォスフィン1.22gを、撹拌器、温度計および空気吹き込み管を備えた反応器に仕込み、空気を10ml/分の速度で吹き込み、撹拌しながら、テトラヒドロフタル酸無水物60.8gを徐々に加え、95~101℃で6時間反応させた。このようにして、固形分酸価88mgKOH/g、固形分71%、重量平均分子量2,000のアルカリ可溶性樹脂の樹脂ワニス1を得た。
(アルカリ可溶性樹脂の樹脂ワニス2の合成)
クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(DIC株式会社製、EPICLON N-695、エポキシ当量:220)220gを撹拌機および還流冷却器の付いた四つ口フラスコに入れ、カルビトールアセテート214gを加え、加熱溶解した。次に、重合禁止剤としてハイドロキノン0.1gと、反応触媒としてジメチルベンジルアミン2.0gを加えた。この混合物を95~105℃に加熱し、アクリル酸72gを徐々に滴下し、16時間反応させた。この反応生成物を80~90℃まで冷却し、テトラヒドロフタル酸無水物106gを加え、8時間反応させ、冷却後、取り出した。このようにして得られたアルカリ可溶性樹脂の樹脂ワニス2は、固形分65%、固形物の酸価100mgKOH/g、重量平均分子量Mw約3,500であった。
上記のようにして得られたアルカリ可溶性樹脂ワニス1を50質量部、アルカリ可溶性樹脂2を50質量部(いずれも固形分換算)、感光性モノマーとしてジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA、日本化薬株式会社製)を30質量部、光重合開始剤として2-[4-(メチルチオ)ベンゾイル]-2-(4-モルホリニル)プロパン(IGM Resins株式会社製、Omnirad 907)を10質量部、エタノン,1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-,1-(0-アセチルオキシム)(BASFジャパン株式会社製、Irgacure OXE02)を0.5質量部、増感剤として2,4-ジエチルチオキサントン(日本化薬株式会社製、KAYACURE DETX-S)を0.5質量部、熱硬化性成分としてビスフェノールA型エポキシ樹脂(DIC株式会社製、EPICLON 840-S)を20質量部、1,3,5-トリス(2,3-エポキシプロピル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6(1H,3H,5H)-トリオン(高融点タイプ、日産化学株式会社製、TEPIC-HP)を10質量部、フィラーとして硫酸バリウム(平均粒子径5~8μm、屈折率1.64)を90質量部、および着色剤として青色着色剤(C.I.Pigment Blue 15:3)を0.8質量部、黄色着色剤(C.I.Pigment Yellow 147)を0.3質量部、赤色着色剤(Paliogen Red K3580、BASFジャパン株式会社製)を1.2質量部を配合し、攪拌機にて予備混合した後、3本ロールミルで混練して、感光性樹脂組成物を調製した。
上記のようにして得られた感光性樹脂組成物にメチルエチルケトン300gを加えて希釈し、攪拌機で15分間撹拌して塗工液を得た。塗工液を、支持フィルムの印刷面とは反対の面に塗布し、通常、90℃の温度で15分間乾燥し、厚み20μmの感光性樹脂層を形成した。次いで、感光性樹脂層上に、厚み18μmのポリプロピレンフィルム(フタムラ社製OPP-FOA)を貼り合わせて、感光性ドライフィルムを作製した。
<硬化被膜の作製>
銅張積層基板(95mm×150mm×1.6mmt)表面を化学研磨し、上記のようにして得られた感光性ドライフィルムからポリエチレンフィルムを剥離して、表面研磨された側の面に、感光性ドライフィルムの感光性樹脂層を貼り合わせ、続いて、真空ラミネーター(名機製作所製 MVLP-500)を用いて加圧度:0.8Mpa、70℃、1分、真空度:133.3Paの条件で加熱ラミネートして、基板と感光性樹脂層とを密着させた。
次に、高圧水銀灯(ショートアークランプ)搭載の露光装置を用いて、感光性ドライフィルム上から露光した後、感光性ドライフィルムからポリエチレンテレフタレートフィルムを剥離し、感光性樹脂層を露出させた。その後、1重量%NaCO水溶液を用いて、30℃、スプレー圧2kg/cmの条件で120秒間現像を行い、樹脂層を形成した。続いて、高圧水銀灯を備えたUVコンベア炉にて1J/cmの露光量で樹脂層に照射した後、150℃で60分加熱して樹脂層を完全硬化させて硬化被膜を形成した。完全硬化させた際に、25℃50%RHの環境下で、前述した室温まで冷却した硬化性樹脂層の表面に、イソプロピルアルコール(IPA)を含ませたウエスを載せ、さらに、その上に500gのおもりを載せて1分間静置した後に、ウエスをはがし、ウエスの硬化被膜と接触していた面に感光性樹脂層の全部または一部が付着していない状態であることを確認した。
得られた硬化被膜の表面を目視にて確認したところ、良好なマット感を有していた。
上記のようにして得られた硬化被膜表面の電子顕微鏡観察写真(500倍)を図9に示す。上記のような支持フィルムを使用した感光性ドライフィルムにより得られた硬化被膜は、平坦な部分と凹凸部分とを備えた雑な表面形態を有していることがわかる。
[比較例1]
支持フィルムとして、円形状模様を施していないポリエステルフィルムを使用した以外は、実施例1と同様にして、硬化被膜を形成した。得られた硬化被膜の表面を目視にて確認したところ、光沢(グロス)感があり、良好なマット感を有していなかった。
[比較例2]
感光性樹脂組成物として下記組成のものをドライフィルム化せずに使用した。
<感光性樹脂組成物の調製>
アルカリ可溶性樹脂ワニス1を50質量部、アルカリ可溶性樹脂2を50質量部(いずれも固形分換算)、感光性モノマーとしてジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA、日本化薬株式会社製)を30質量部、光重合開始剤として2-[4-(メチルチオ)ベンゾイル]-2-(4-モルホリニル)プロパン(IGM Resins株式会社製、Omnirad 907)を10質量部、エタノン,1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-,1-(0-アセチルオキシム)(BASFジャパン株式会社製、Irgacure OXE02)を0.5質量部、増感剤として2,4-ジエチルチオキサントン(日本化薬株式会社製、KAYACURE DETX-S)を0.5質量部、熱硬化性成分としてビスフェノールA型エポキシ樹脂(DIC株式会社製、EPICLON 840-S)を20質量部、1,3,5-トリス(2,3-エポキシプロピル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6(1H,3H,5H)-トリオン(高融点タイプ、日産化学株式会社製、TEPIC-HP)を10質量部、フィラーとして硫酸バリウム(平均粒子径5~8μm、屈折率1.64)を90質量部、艶消し剤としてバーゲスクレー#60(平均粒子径0.8μm、白石カルシウム株式会社製)を250質量部、フィラー沈降防止剤としてベントン38(東新化成株式会社製)を5質量部、および着色剤として青色着色剤(C.I.Pigment Blue 15:3)を0.8質量部、黄色着色剤(C.I.Pigment Yellow 147)を0.3質量部、赤色着色剤(Paliogen Red K3580、BASFジャパン株式会社製)を1.2質量部を配合し、攪拌機にて予備混合した後、3本ロールミルで混練して、感光性樹脂組成物を調製した。
<硬化被膜の作製>
銅張積層基板(95mm×150mm×1.6mmt)表面をCZ8101により化学研磨し、乾燥後膜厚が15μmとなるように感光性樹脂組成物をスクリーン印刷(150メッシュ、テトロン)した。
次に、高圧水銀灯(ショートアークランプ)搭載の露光装置を用いて、フォトマスク上から露光した後、1重量%NaCO水溶液を用いて、30℃、スプレー圧2kg/cmの条件で120秒間現像を行い、樹脂層を形成した。ここでフォトマスクは後述するフォトマスクを用いた。続いて、高圧水銀灯を備えたUVコンベア炉にて1J/cmの露光量で樹脂層に照射した後、150℃で60分加熱して樹脂層を完全硬化させて硬化被膜を形成した。完全硬化させた際に、25℃50%RHの環境下で、前述した室温まで冷却した硬化性樹脂層の表面に、イソプロピルアルコール(IPA)を含ませたウエスを載せ、さらに、その上に500gのおもりを載せて1分間静置した後に、ウエスをはがし、ウエスの硬化被膜と接触していた面に感光性樹脂層の全部または一部が付着していない状態であることを確認した。得られた硬化被膜の表面を目視にて確認したところ、良好なマット感を有していた。
<光沢度測定>
デジタル変角光沢度計(Micro-Tri-Gloss、BYK Gardener社製)を用いて、硬化被膜表面のGs(20°)、Gs(60°)、およびGs(85°)を測定した。測定結果は下記の表1に示されるとおりであった。
<傷の視認性評価>
得られた硬化被膜について下記の評価試験1および2を行い、傷の視認性評価を行った。
[試験1]
鉛筆硬度試験機にダイヤモンドペンを取り付け、50gの荷重をセットした。次いでペン先を硬化被膜と接触させ一定の速度で移動させて傷つけ、蛍光灯下で傷跡が視認できるか評価した。評価基準は以下のとおりとした。
○:傷跡は視認できない
×:傷跡が視認できる
[試験2]
硬化被膜同士を重ね合わせて、50gの荷重を加えながら擦り合わせて傷つけ、蛍光灯下で傷跡が視認できるか評価した。評価基準は以下のとおりとした。
○:傷跡は視認できない
×:傷跡が視認できる
試験1および2の評価結果は下記の表1に示されるとおりであった。
表1の評価結果からも明らかなように、支持フィルムにおいて、支持フィルムの一方の面から入射した光が他方の面から出射すると回折して干渉縞を生じるようにドットアレイ状に遮光部を設けたものを用いて形成した硬化被膜(実施例1)は、マット感を有していても擦過傷が目立ち難いことがわかる。これに対して、支持フィルムにおいて、前記ドットアレイ状に遮光部を設けていないものを用いて形成した硬化被膜(比較例1)は、マット感がなく擦過傷の目立ち易いことがわかる。また、感光性ドライフィルムを用いず、マットタイプの感光性樹脂組成物を用いて形成した硬化被膜(比較例2)は、マット感があるものの、擦過傷が目立ち易いことがわかる。

Claims (7)

  1. 表面の少なくとも一方の面に遮光部が形成された光透過性の支持フィルムと、
    前記支持フィルムの少なくとも一方の面に、感光性樹脂組成物を塗布、乾燥して形成した感光性樹脂層と、
    を有する感光性ドライフィルムであって、
    前記感光性樹脂層を露光させるために、波長200~300nmの露光光を前記支持フィルムの一方の面から入射させた場合に、前記支持フィルムの一方の面から入射した前記露光光が他方の面から出射すると回折して干渉縞を生じるように、隣接するドット間の距離が0.5~50μmとなるようにドットアレイ状に遮光部を設けたことを特徴とする、感光性ドライフィルム。
  2. 前記遮光部が黒色である、請求項1に記載の感光性ドライフィルム。
  3. 前記遮光部において、形状の異なるドットがランダムに前記支持フィルムの一方の面に設けられている、請求項1または2に記載の感光性ドライフィルム。
  4. 前記支持フィルム全体に占める遮光部の面積割合が10~90%である、請求項1~のいずれか一項に記載の感光性ドライフィルム。
  5. 前記支持フィルムは、10~150μmの厚さを有する、請求項1~のいずれか一項に記載の感光性ドライフィルム。
  6. 前記感光性樹脂組成物が、アルカリ可溶性樹脂、光重合性モノマー、および光重合開始剤を少なくとも含む、請求項1~のいずれか一項に記載の感光性ドライフィルム。
  7. 請求項1~のいずれか一項に記載の感光性ドライフィルムを用いて硬化被膜を形成する方法であって、
    基材上に、前記基材と前記感光性ドライフィルムの感光性樹脂層とが接するように前記感光性ドライフィルムを貼り合わせる工程、
    前記感光性ドライフィルムの支持フィルム面側から、フォトマスクを介して露光する工程、
    前記基材に貼り合わせた感光性ドライフィルムから支持フィルムを剥離して、感光性樹脂層を露出させる工程、及び
    前記感光性樹脂層の現像を行い、所望パターンの硬化被膜を形成する工程、
    を含む、硬化被膜の形成方法。
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