JP2020164724A - 硬化性樹脂組成物、ドライフィルム、硬化物及び電子部品 - Google Patents

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Abstract

【課題】従来のエポキシ樹脂を主剤とした硬化性樹脂組成物と比べ、低硬化収縮であり、硬化物としての低誘電特性や耐熱性を維持しつつ、さらに低熱膨張性、強靭性(高破断伸び)を得るのに好適な硬化性樹脂組成物、前記硬化性樹脂組成物を用いたドライフィルム及び硬化物、硬化物を用いた配線板及び電子部品の提供。【解決手段】シアネートエステル樹脂と、セルロースナノファイバーと、を含むことを特徴とする、硬化性樹脂組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、シアネートエステル樹脂と、セルロースナノファイバーと、を含む硬化性樹脂組成物、ドライフィルム、硬化物及び電子部品に関する。
従来、プリント配線板材料である層間絶縁材やソルダーレジスト等では、エポキシ樹脂等を含有した硬化性樹脂組成物が、密着性、機械特性、耐水性、耐薬品性、耐熱性、電気絶縁性等の諸特性に優れた硬化物が得られることから、広く用いられている。
最近では、このような硬化性樹脂組成物は、配線板の高機能化、多機能化にともない、より一層優れた特性が求められている。例えば、配線板への部品実装や配線の高密度化、薄型化が進むなか、硬化性樹脂組成物の低硬化収縮性、硬化物として、低熱線膨張性(熱寸法安定性)、低誘電特性、強靭性(高破断伸び)といった特性が求められている。
このような要求に対し、特許文献1には、プリント配線板の絶縁層に有用な、シアネートエステル樹脂と、エポキシ樹脂を含有することを特徴とする樹脂組成物が開示されている。
また、半導体パッケージ用のプリント配線板材料では、上記硬化性樹脂組成物は、膜厚制御の観点から支持フィルム上に成膜したドライフィルムの形態で用いられている。
特開2011−144361号公報
確かに、特許文献1に記載された硬化性樹脂組成物によれば、低誘電特性と低熱膨張性に優れた硬化物を得ることができる。
しかしながら、特許文献1に記載された硬化性樹脂組成物は、硬化収縮が大きく、靭性も低いことから、薄型の配線板において硬化時に反りが発生することや、温度変化による熱衝撃や落下等の物理衝撃により絶縁層にクラックが発生するといった問題があった。また、低熱膨張性についても改善の余地があった。
そこで、本発明の目的は、従来の硬化性樹脂組成物と比べ、硬化収縮が小さく、硬化物としての低誘電特性や耐熱性を維持しつつ、低熱膨張性、強靭性(高破断伸び)を有する硬化性樹脂組成物、前記硬化性樹脂組成物を用いたドライフィルム及び硬化物、硬化物を用いた電子部品を提供することにある。
本発明者らは、上記目的の実現に向け鋭意検討するなかで、シアネートエステル樹脂組成物に微細セルロース粉体を組み合せて配合することで、硬化収縮が抑制され、硬化物としての低誘電特性や耐熱性を損なうことなく、低熱膨張性、強靭性(高破断伸び)が得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、シアネートエステル樹脂と、セルロースナノファイバーと、を含むことを特徴とする硬化性樹脂組成物を提供する。
前記硬化性樹脂組成物は、さらに、エポキシ樹脂を含んでいてもよい。
また、前記シアネートエステルは、ノボラック型シアネートエステルである硬化性樹脂組成物としてもよい。
また、本発明は、前記硬化性樹脂組成物が、フィルム上に塗布、乾燥させてなる樹脂層を有することを特徴とするドライフィルムを提供する。
また、本発明は、前記硬化性樹脂組成物、又は前記ドライフィルムが硬化して得られることを特徴とする、硬化物を提供する。
また、本発明は、前記硬化物を備えることを特徴とする、電子部品を提供する。
なお、説明した化合物に異性体が存在する場合、特に断らない限り、存在し得る全ての異性体が本発明において使用可能である。
本願における組成物の固形分とは、溶媒(特に有機溶媒)以外の組成物を構成する成分、又はその質量や体積を意味する。
<<<硬化性樹脂組成物>>>
本発明の硬化性樹脂組成物は、シアネートエステル樹脂と、セルロースナノファイバー(以降、CNFと略す場合がある)と、を含む。このような組成物は、硬化収縮が小さく、硬化後の硬化物(以降、単に硬化物とする場合がある)が、低誘電特性や耐熱性を維持しつつ、低熱膨張性、強靭性(高破断伸び)を有することができる。
また、本発明の硬化性樹脂組成物は、さらにエポキシ樹脂を含むことが好ましい。エポキシ樹脂を含むことで、さらに硬化収縮を抑制することが可能となり、硬化物に残留応力が発生することが抑制できる。硬化物に残留応力が発生すると、硬化物、硬化物を用いた配線板、電子部品等において、反りやクラックの等の不具合の原因となる。
以下に、本発明にかかる硬化性樹脂組成物について詳述する。
<<硬化性樹脂>>
<シアネートエステル樹脂>
本発明にかかる硬化性樹脂組成物は、硬化性樹脂としてシアネートエステル樹脂を含む。
本発明にかかるシアネートエステル樹脂は、1分子中に2個以上のシアネートエステル基(−OCN)を有する化合物であり、本発明の効果を阻害しない限りにおいて、特に限定されず、従来公知のものをいずれも使用することができる。シアネートエステル樹脂としては、例えば、フェノールノボラック型シアネートエステル樹脂、アルキルフェノールノボラック型シアネートエステル樹脂、ジシクロペンタジエン型シアネートエステル樹脂、ビスフェノールA型シアネートエステル樹脂、ビスフェノールF型シアネートエステル樹脂、ビスフェノールS型シアネートエステル樹脂が挙げられる。また、一部がトリアジン化したプレポリマーであってもよい。シアネートエステル樹脂は、1種を単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。特に限定されない。これらのうち、優れた誘電特性(低誘電正接)が得られるとの観点で、ノボラック型シアネートエステルが好ましい。
シアネートエステル樹脂の含有量としては、全硬化性樹脂に対して、例えば、5質量%以上、10質量%以上、35質量%以上、50質量%以上、65質量%以上、100質量%等とすることができ、5質量%以上100質量%以下、10質量%以上100質量%以下、65質量%以上95質量%以下とすることができる。なお、全硬化性樹脂とは、全ての硬化性樹脂を含むものとし、硬化剤を含み、硬化触媒を含まないものとする。
<エポキシ樹脂>
本発明の硬化性樹脂組成物は、シアネートエステル樹脂に加え、さらにエポキシ樹脂を含むことができる。硬化性樹脂組成物に、シアネートエステル樹脂とエポキシ樹脂が存在した場合には、シアネートエステル樹脂同士によるトリアジン環結合を形成する反応と同時に、シアネートエステル樹脂とエポキシ樹脂とによるオキサゾリン環化合物を生成する反応や、エポキシ樹脂同士によるエポキシ開環重合体を生成する反応が起こり、その結果、硬化収縮量が低減するものと考察される。
エポキシ樹脂は、本発明の硬化を阻害しない限りにおいて、特に限定されず、従来公知のものをいずれも使用することができる。エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールE型エポキシ樹脂、ビスフェノールM型エポキシ樹脂、ビスフェノールP型エポキシ樹脂、ビスフェノールZ型エポキシ樹脂などのビスフェノール型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラックエポキシ樹脂などのノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、アリールアルキレン型エポキシ樹脂、テトラフェニロールエタン型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、アントラセン型エポキシ樹脂、フェノキシ型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ノルボルネン型エポキシ樹脂、トリヒドロキシフェニルメタン型エポキシ樹脂、ヒダントイン型エポキシ樹脂、テトラフェニロールエタン型エポキシ樹脂、ブロム化エポキシ樹脂、水添(ビスフェノール)型樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、ジグリシジルフタレート樹脂、テトラグリシジルキシレノイルエタン樹脂、グリシジルメタアクリレート共重合系エポキシ樹脂、シクロヘキシルマレイミドとグリシジルメタアクリレートとの共重合エポキシ樹脂、エポキシ変性のポリブタジエンゴム誘導体、CTBN変性エポキシ樹脂、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、フェニル−1,3−ジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、エチレングリコール又はプロピレングリコールのジグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、トリス(2,3−エポキシプロピル)イソシアヌレート、トリグリシジルトリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートなどのエポキシ樹脂等が挙げられる。これらのエポキシ樹脂は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができ、硬化物の強靭性化の観点から、エポキシ基を2つ有するエポキシ樹脂がより好ましい。
また、市販のエポキシ樹脂としては、例えば、三菱ケミカル株式会社製のjER828、jER834、jER1001、jER1004、DIC株式会社製のEPICLON840、EPICLON850、EPICLON1050、EPICLON2055、新日鉄住金化学株式会社製のエポトートYD−011、YD−013、YD−127、YD−128、ダウ・ケミカル社製のD.E.R.317、D.E.R.331、D.E.R.661、D.E.R.664、住友化学工業株式会社製のスミ−エポキシESA−011、ESA−014、ELA−115、ELA−128、三菱ケミカル株式会社製のjERYL903、DIC株式会社製のEPICLON152、EPICLON165、新日鉄住金化学株式会社製のエポトートYDB−400、YDB−500、ダウ・ケミカル社製のD.E.R.542、住友化学工業株式会社製のスミ−エポキシESB−400、ESB−700、三菱ケミカル株式会社製のjER152、jER154、ダウ・ケミカル社製のD.E.N.431、D.E.N.438、DIC株式会社製のEPICLONN−730、EPICLONN−770、EPICLON−865、新日鉄住金化学株式会社社製のエポトートYDCN−701、YDCN−704、日本化薬株式会社製のEPPN−201、EOCN−1025、EOCN−1020、EOCN−104S、RE−306、住友化学工業株式会社製のスミ−エポキシESCN−195X、ESCN−220、DIC株式会社製のEPICLON830、三菱ケミカル株式会社製jER807、新日鉄住金化学株式会社製のエポトートYDF−170、YDF−175、YDF−2004等(いずれも商品名)のビスフェノールF型エポキシ樹脂;新日鉄住金化学株式会社製のエポトートST−2004、ST−2007、ST−3000(商品名)等の水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂;三菱ケミカル株式会社製のjER604、新日鉄住金化学株式会社製のエポトートYH−434、住友化学工業株式会社製のスミ−エポキシELM−120等(いずれも商品名)のグリシジルアミン型エポキシ樹脂;ヒダントイン型エポキシ樹脂;株式会社ダイセル製のセロキサイド2021P等(商品名)の脂環式エポキシ樹脂;三菱ケミカル株式会社製のYL−933、ダウ・ケミカル社製のT.E.N.、EPPN−501、EPPN−502等(いずれも商品名)のトリヒドロキシフェニルメタン型エポキシ樹脂;三菱ケミカル株式会社製のYL−6056、YX−4000、YL−6121(いずれも商品名)等のビキシレノール型もしくはビフェノール型エポキシ樹脂又はそれらの混合物;日本化薬株式会社製EBPS−200、旭電化工業株式会社製EPX−30、DIC株式会社製のEXA−1514(商品名)等のビスフェノールS型エポキシ樹脂;三菱ケミカル株式会社製のjER157S(商品名)等のビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂;三菱ケミカル株式会社製のjERYL−931等(いずれも商品名)のテトラフェニロールエタン型エポキシ樹脂;日産化学工業株式会社製のTEPIC等(商品名)の複素環式エポキシ樹脂;日本油脂株式会社製ブレンマーDGT等のジグリシジルフタレート樹脂;新日鉄住金化学株式会社製ZX−1063等のテトラグリシジルキシレノイルエタン樹脂;新日鉄化学株式会社製ESN−190、ESN−360、DIC株式会社製HP−4032、EXA−4750、EXA−4700等のナフタレン基含有エポキシ樹脂;DIC株式会社製HP−7200、HP−7200H等のジシクロペンタジエン骨格を有するエポキシ樹脂;日本油脂株式会社製CP−50S、CP−50M等のグリシジルメタアクリレート共重合系エポキシ樹脂;さらにシクロヘキシルマレイミドとグリシジルメタアクリレートの共重合エポキシ樹脂;エポキシ変性のポリブタジエンゴム誘導体(例えばダイセル化学工業製PB−3600等)、CTBN変性エポキシ樹脂(例えば東都化成株式会社製のYR−102、YR−450等)等が挙げられる。
エポキシ樹脂の含有量としては、全硬化性樹脂に対して、例えば、その下限値としては、0質量%以上、10質量%以上、30質量%以上、65質量%以上とすることができ、その上限値としては、90質量%以下、70質量%以下、50質量%以下、35質量%以下とすることができる。なお、全硬化性樹脂とは、全ての硬化性樹脂を含むものとし、硬化剤を含み、硬化触媒を含まないものとする。
また、硬化性樹脂組成物に、エポキシ樹脂を含む場合の、シアネートエステル樹脂とエポキシ樹脂の含有量は、シアネートエステル樹脂のシアネート基当量と、エポキシ樹脂のエポキシ基当量との比率で、シアネート基:エポキシ基が、9:1〜1:9とすることができ、シアネート基:エポキシ基が、9:1〜1:4が好ましく、9:1〜4:1がより好ましい。硬化性樹脂組成物に、エポキシ樹脂を含む場合のシアネートエステル樹脂のシアネート基当量と、エポキシ樹脂のエポキシ基当量との比率が、かかる範囲にあることで、硬化性樹脂組成物の硬化物は、優れた耐熱性(高ガラス転移温度)、高温域の低熱膨張性、高破断伸び(強靭性)、低誘電特性を有することができる
<<セルロースナノファイバー>>
本発明にかかる硬化性樹脂組成物は、セルロースナノファイバーを含む。
本発明にかかるCNFは、特に限定されない。CNFとしては、例えば、機械解繊されたCNF;2,2,6,6−テトラメチルピペリジン1−オキシル(TEMPOとも称す)や、リン酸基を有する化合物又は/及びその塩による酸化をされたCNF;前記酸化処理後にアミノ化合物により共有結合修飾され解繊されたCNF、又は、前記酸化処理後に第4級アンモニウム化合物によりイオン結合修飾され解繊されたCNF等の疎水性化処理されたCNF;が挙げられる。これらのうち、疎水性化処理されたCNFは硬化性樹脂組成物中での分散性に優れるため、硬化性樹脂組成物の低硬化収縮性、硬化物として、低熱膨張性、強靭性(高破断伸び)がより向上することから好ましい。
本発明において、CNFの平均繊維径は、例えば、0.1nm以上200nm以下であり、好ましくは1nm以上100nm以下、より好ましくは2nm以上50nm以下、さらに好ましくは2.5nm以上20nm以下である。平均繊維径がかかる範囲にあることで、配線板の導体などとの密着性が優れた硬化物を得ることができる。
CNFの平均繊維長は、例えば、600nm以下であり、好ましくは50nm以上600nm以下、より好ましくは100nm以上500nm以下、さらに好ましくは100nm以上400nm以下である。平均繊維長が600nm以下とすることで、組成物にしたときの分散が容易になる。CNFの分散性が高くなることで、硬化性樹脂組成物の低硬化収縮性と、硬化物として、低熱膨張性、強靭性(高破断伸び)を有することができる。
CNFの平均アスペクト比は、例えば、1以上200以下であり、好ましくは5以上180以下、より好ましくは9以上170以下、特に好ましくは9以上100以下である。平均アスペクト比が1未満のものは製造が困難であり、平均アスペクト比が200以下であると、金属導体と硬化物との密着性が良好となり、平均アスペクト比が小さくなるほど金属導体と硬化物との密着性に優れ、組成物の粘度を下げることができる。
CNFの平均繊維径、平均繊維長及び平均アスペクト比は、以下のようにして測定することができる。
CNFに水を加えて、その濃度が0.0001質量%の分散液を調製し、この分散液をマイカ(雲母)上に滴下して乾燥したものを観察試料として、原子間力顕微鏡(AFM、Nanoscope III Tapping mode AFM、Digital instrument社製、プローブはナノセンサーズ社製Point Probe(NCH)を使用)を用いて、観察試料中のCNFの繊維高さを測定する。その際、CNFが確認できる顕微鏡画像において、CNFを5本以上抽出し、それらの繊維高さから平均繊維径を算出する。また、繊維方向の距離より、平均繊維長を算出する。平均アスペクト比は平均繊維長/平均繊維径より算出される。
前記CNFの製造方法は特に限定されず、公知の方法を用いることができる。
機械解繊されたCNFの製造方法としては、セルロース繊維は、大量の水中において、水で膨潤され、柔らかくなった状態で高圧ホモジナイザーなどの強力な機械粉砕によりナノ化する方法を挙げることができる。
疎水性化処理されたCNFの製造方法としては、特開2018−24878号公報に開示されている方法を挙げることができる。
本発明にかかる硬化性樹脂組成物におけるCNFの含有量は、硬化性樹脂の全量(固形分基準)100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上35質量部以下、より好ましくは1質量部以上30質量部以下、さらに好ましくは2質量部以上15質量部以下である。含有量をかかる範囲にあることで、硬化性樹脂組成物は、低硬化収縮性が得られ、硬化物として、低熱膨張性、強靭性(高破断伸び)を有することが可能となる。
<その他の成分>
本発明にかかる硬化性樹脂組成物は、用途に応じて、上述した必須成分以外のその他の成分、例えば、慣用の添加物を添加することができる。その他の慣用の添加物としては、特に限定されないが、例えば、樹脂及びエラストマー、硬化触媒、着色剤、分散剤、消泡剤・レベリング剤、揺変剤、カップリング剤、難燃剤などが挙げられる。また、本発明にかかる硬化性樹脂組成物は、必要に応じて、有機溶剤などを含んでいてもよい。
(樹脂及びエラストマー)
樹脂及びエラストマーとしては上述の硬化性樹脂及び硬化剤以外の樹脂成分であり、不飽和ポリエステル樹脂、アクリレート樹脂、ジアリルフタレート樹脂、シリコーン樹脂、ノルボルネン系樹脂、イソシアネート樹脂、ウレタン樹脂、ベンゾシクロブテン樹脂、ポリアゾメチン樹脂、ブロック共重合体、天然ゴム、ジエン系ゴム、非ジエン系ゴム、熱可塑性エラストマー等が挙げられる。
(硬化触媒)
硬化触媒は、硬化性樹脂のうち、主に熱硬化性樹脂を硬化させるためのものであり、例えば、イミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、4−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−(2−シアノエチル)−2−エチル−4−メチルイミダゾール等のイミダゾール誘導体;ジシアンジアミド、ベンジルジメチルアミン、4−(ジメチルアミノ)−N,N−ジメチルベンジルアミン、4−メトキシ−N,N−ジメチルベンジルアミン、4−メチル−N,N−ジメチルベンジルアミン等のアミン化合物;アジピン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド等のヒドラジン化合物;トリフェニルホスフィン等のリン化合物、ジメチルアミノピリジンなどが挙げられる。また、市販品としては、例えば、2MZ−A、2MZ−OK、2PHZ、2P4BHZ、2P4MHZ(四国化成工業(株)製)、U−CAT3503N、U−CAT3502T、DBU、DBN、U−CATSA102、U−CAT5002(サンアプロ(株)製)などが挙げられ、単独で、又は2種以上を混合して使用してもかまわない。また同様に、グアナミン、アセトグアナミン、ベンゾグアナミン、メラミン、2,4−ジアミノ−6−メタクリロイルオキシエチル−S−トリアジン、2−ビニル−2,4−ジアミノ−S−トリアジン、2−ビニル−4,6−ジアミノ−S−トリアジン・イソシアヌル酸付加物、2,4−ジアミノ−6−メタクリロイルオキシエチル−S−トリアジン・イソシアヌル酸付加物等のS−トリアジン誘導体を用いることもできる。さらに、同様にコバルト、銅、亜鉛、鉄、ニッケル、マンガン、スズ等の金属の、有機金属錯体又は有機金属塩を用いることができる。有機金属錯体の具体例としては、コバルト(II)アセチルアセトナート、コバルト(III)アセチルアセトナート等の有機コバルト錯体、銅(II)アセチルアセトナート等の有機銅錯体、亜鉛(II)アセチルアセトナート等の有機亜鉛錯体、鉄(III)アセチルアセトナート等の有機鉄錯体、ニッケル(II)アセチルアセトナート等の有機ニッケル錯体、マンガン(II)アセチルアセトナート等の有機マンガン錯体などが挙げられる。有機金属塩としては、オクチル酸亜鉛、オクチル酸錫、ナフテン酸亜鉛、ナフテン酸コバルト、ステアリン酸スズ、ステアリン酸亜鉛などが挙げられる。これらの硬化触媒は、単独又は混合して用いることができる。
硬化触媒の含有量は、全熱硬化性樹脂100質量部に対して、例えば、20質量部以下、好ましくは15質量部以下、より好ましくは10質量部以下である。
(着色剤)
着色剤としては、着色顔料や染料等としてカラーインデックス(C.I.;ザ ソサイエティ オブ ダイヤーズ アンド カラリスツ(The Society of Dyers and Colourists)発行)番号が付されているものを挙げることができる。例えば、赤色着色剤としては、モノアゾ系、ジズアゾ系、アゾレーキ系、ベンズイミダゾロン系、ペリレン系、ジケトピロロピロール系、縮合アゾ系、アントラキノン系、キナクリドン系などがある。青色着色剤としては、フタロシアニン系、アントラキノン系などがあり、顔料系はピグメント(Pigment)に分類されている化合物を使用することができる。これら以外にも、金属置換もしくは無置換のフタロシアニン化合物も使用することができる。緑色着色剤としては、同様にフタロシアニン系、アントラキノン系、ペリレン系がある。これら以外にも、金属置換もしくは無置換のフタロシアニン化合物も使用することができる。黄色着色剤としてはモノアゾ系、ジスアゾ系、縮合アゾ系、ベンズイミダゾロン系、イソインドリノン系、アントラキノン系等がある。白色着色剤としては、ルチル型又はアナターゼ型酸化チタンなどが挙げられる。黒色着色剤としては、カーボンブラック系、黒鉛系、酸化鉄系、チタンブラック、酸化鉄、アンスラキノン系、酸化コバルト系、酸化銅系、マンガン系、酸化アンチモン系、酸化ニッケル系、ペリレン系、アニリン系、硫化モリブデン、硫化ビスマスなどがある。その他、色調を調整する目的で紫、オレンジ、茶色などの着色剤を加えてもよい。
(分散剤)
分散剤としては、ポリカルボン酸系、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合系、ポリエチレングリコール、ポリカルボン酸部分アルキルエステル系、ポリエーテル系、ポリアルキレンポリアミン系等の高分子型分散剤、アルキルスルホン酸系、四級アンモニウム系、高級アルコールアルキレンオキサイド系、多価アルコールエステル系、アルキルポリアミン系等の低分子型分散剤等が使用でき、十分な分散効果が得られ、さらに硬化物の良好な塗膜特性を得ることができる。
(消泡剤・レベリング剤)
消泡剤・レベリング剤としては、シリコーン、変性シリコーン、鉱物油、植物油、脂肪族アルコール、脂肪酸、金属石鹸、脂肪酸アミド、ポリオキシアルキレングリコール、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル等の化合物等が使用でき、ボイドの発生を防止することができ、また、被着体との密着性がより良好となる。
(揺変剤)
揺変剤としては、微粒子シリカ、シリカゲル、不定形無機粒子、ポリアミド系添加剤、変性ウレア系添加剤、ワックス系添加剤などが使用でき、硬化性樹脂組成物の成膜性が良好となり、塗膜の被着体への密着性が優れたものとなる。
(カップリング剤)
カップリング剤としては、アルコキシ基としてメトキシ基、エトキシ基、アセチル等であり、反応性官能基としてビニル、メタクリル、アクリル、エポキシ、環状エポキシ、メルカプト、アミノ、ジアミノ、酸無水物、ウレイド、スルフィド、イソシアネート等である、例えば、ビニルエトキシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニル・トリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシラン等のビニル系シラン化合物、γ−アミノプロピルトリメトキシラン、N−β−(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン等のアミノ系シラン化合物、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン等のエポキシ系シラン化合物、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のメルカプト系シラン化合物、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等のフェニルアミノ系シラン化合物等のシランカップリング剤、イソプロピルトリイソステアロイル化チタネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネート、イソプロピルトリドデシルベンゼンスルホニルチタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルパイロホスフェート)チタネート、テトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネート、テトラ(1,1−ジアリルオキシメチル−1−ブチル)ビス−(ジトリデシル)ホスファイトチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)エチレンチタネート、イソプロピルトリオクタノイルチタネート、イソプロピルジメタクリルイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリステアロイルジアクリルチタネート、イソプロピルトリ(ジオクチルホスフェート)チタネート、イソプロピルトリクミルフェニルチタネート、ジクミルフェニルオキシアセテートチタネート、ジイソステアロイルエチレンチタネート等のチタネート系カップリング剤、エチレン性不飽和ジルコネート含有化合物、ネオアルコキシジルコネート含有化合物、ネオアルコキシトリスネオデカノイルジルコネート、ネオアルコキシトリス(ドデシル)ベンゼンスルホニルジルコネート、ネオアルコキシトリス(ジオクチル)ホスフェートジルコネート、ネオアルコキシトリス(ジオクチル)ピロホスフェートジルコネート、ネオアルコキシトリス(エチレンジアミノ)エチルジルコネート、ネオアルコキシトリス(m−アミノ)フェニルジルコネート、テトラ(2,2−ジアリルオキシメチル)ブチル,ジ(ジトリデシル)ホスフィトジルコネート、ネオペンチル(ジアリル)オキシ,トリネオデカノイルジルコネート、ネオペンチル(ジアリル)オキシ,トリ(ドデシル)ベンゼン−スルホニルジルコネート、ネオペンチル(ジアリル)オキシ,トリ(ジオクチル)ホスファトジルコネート、ネオペンチル(ジアリル)オキシ,トリ(ジオクチル)ピロ−ホスファトジルコネート、ネオペンチル(ジアリル)オキシ,トリ(N−エチレンジアミノ)エチルジルコネート、ネオペンチル(ジアリル)オキシ,トリ(m−アミノ)フェニルジルコネート、ネオペンチル(ジアリル)オキシ,トリメタクリルジルコネート、ネオペンチル(ジアリル)オキシ,トリアクリルジルコネート、ジネオペンチル(ジアリル)オキシ,ジパラアミノベンゾイルジルコネート、ジネオペンチル(ジアリル)オキシ,ジ(3−メルカプト)プロピオニックジルコネート、ジルコニウム(IV)2,2−ビス(2−プロペノラトメチル)ブタノラト,シクロジ[2,2−(ビス2−プロペノラトメチル)ブタノラト]ピロホスファト−O,O等のジルコネート系カップリング剤、ジイソブチル(オレイル)アセトアセチルアルミネート、アルキルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート等のアルミネート系カップリング剤等が使用でき、基材との密着性の向上や、硬化物の硬度の向上が見込める。
(難燃剤)
難燃剤としては、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の水和金属系、赤燐、燐酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、ホウ酸亜鉛、錫酸亜鉛、モリブデン化合物系、臭素化合物系、塩素化合物系、燐酸エステル、含燐ポリオール、含燐アミン、メラミンシアヌレート、メラミン化合物、トリアジン化合物、グアニジン化合物、シリコンポリマー等が使用でき、硬化物の自己消火性、耐熱性を高いレベルでバランスよく達成できる。
(有機溶剤)
有機溶剤としては、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類;トルエン、キシレン、テトラメチルベンゼンなどの芳香族炭化水素類;メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、メチルカルビトール、ブチルカルビトール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテルなどのグリコールエーテル類;酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート及び上記グリコールエーテル類のエステル化物などのエステル類;エタノール、プロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコールなどのアルコール類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどのアミド類、オクタン、デカンなどの脂肪族炭化水素類;石油エーテル、石油ナフサ、水添石油ナフサ、ソルベントナフサなどの石油系溶剤等を挙げることができる。
有機溶剤の含有量は特に限定されず、硬化性樹脂組成物の用途に応じて適宜調整可能である。
なお、このような硬化性樹脂組成物は、各原料を混合及び分散することにより得られる。
<<<ドライフィルム>>>
本発明にかかるドライフィルムは、上述した硬化性樹脂組成物を基材に塗布又は含侵し、乾燥して得られる樹脂層である。
ここで基材とは、銅箔等の金属箔、ポリイミドフィルム、ポリエステルフィルム、ポリエチレンナフタレート(PEN)フィルム等のフィルム、ガラスクロス、アラミド繊維等の繊維が挙げられる。
ドライフィルムは、例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム上に硬化性樹脂組成物を塗布乾燥させ、必要に応じてポリプロピレンフィルムを積層することにより得られる。
<<<硬化物>>>
硬化物は、上述した硬化性樹脂組成物(ドライフィルムに含まれる樹脂層を含む)を硬化することで得られる。
硬化性樹脂組成物から硬化物を得るための方法は、特に限定されるものではなく、硬化性樹脂組成物の組成に応じて適宜変更可能である。一例として、上述したような基材上に硬化性樹脂組成物の塗工(例えば、アプリケーター等による塗工)を行う工程を実施した後、必要に応じて硬化性樹脂組成物を乾燥させる乾燥工程を実施し、加熱(例えば、イナートガスオーブン、ホットプレート、真空オーブン、真空プレス機等による加熱)により硬化性樹脂と硬化剤を熱架橋させる熱硬化工程を実施すればよい。なお、各工程における実施の条件(例えば、塗工厚、乾燥温度及び時間、加熱温度及び時間等)は、硬化性樹脂組成物の組成や用途等に応じて適宜変更すればよい。
<<<配線板、電子部品>>>
このような硬化物は、優れた耐熱性、低熱膨張性、強靭性(高破断伸び)、低誘電特性を有するため、電子部品用等に使用可能である。特に、層間絶縁膜やソルダーレジストドライフィルムとしてプリント配線板に用いられる。また、硬化時の硬化収縮が抑制されることから、薄型のプリント配線板に好適に用いられる。
以下、本発明を、実施例を用いてより詳細に説明する。なお、以下の表中の配合量は、すべて質量部を示す。
<セルロースナノファイバー分散液の作製>
(CNF)
広葉樹の漂白クラフトパルプ(CENIBRA社製)繊維100gを9900gのイオン交換水で十分に攪拌した後、このパルプ質量100gに対し、TEMPO(ALDRICH社製、Free radical、98質量%)1.25質量%、臭化ナトリウム12.5質量%、次亜塩素酸ナトリウム28.4質量%をこの順で添加した。pHスタッドを用い、0.5M水酸化ナトリウムを滴下してpHを10.5に保持した。反応を120分(20℃)行った後、水酸化ナトリウムの滴下を停止し、酸化パルプを得た。イオン交換水を用いて得られた酸化パルプを十分に洗浄し、次いで脱水処理を行い固形分30.4%の酸化パルプを得た。
得られた105.3gの酸化パルプを、1000gのイオン交換水で希釈し、濃塩酸を346g加えて、酸化パルプ固形分濃度2.34wt%、塩酸濃度2.5Mの分散液に調製し、10分間還流させた。次いで酸化パルプを十分に洗浄し、固形分41%の酸加水分解TEMPO酸化パルプを得た。その後、酸化パルプ0.88gとイオン交換水35.12gを高圧ホモジナイザーを用いて150MPaで微細化処理を10回行い、カルボキシル基含有微細セルロース繊維分散液(固形分濃度5.0質量%)を得た。この微細セルロース繊維の平均繊維径は11.0nm、平均繊維長は187nm、平均アスペクト比は17、カルボキシル基含有量は1.1mmol/gであった。
次いで、マグネティックスターラー、攪拌子を備えたビーカーに、上記微細セルロース繊維分散液を仕込んだ。続いて、ドデシルアミンを、微細セルロース繊維のカルボキシル基1molに対してアミノ基1.2molに相当する量、4−メチルモルホリン0.34g、縮合剤である4−(4,6−ジメトキシ−1,3,5−トリアジン−2−イル)−4−メチルモルホリニウムクロライド(以下DMT−MMと称す)を1.98g仕込み、N,N−ジメチルホルムアミド(以下DMFと称す)300g中に溶解させた。反応液を室温(25℃)で14時間反応させた。反応終了後ろ過し、エタノールにて洗浄、DMT−MM塩を除去し、DMFで洗浄及び溶媒置換することで、微細セルロース繊維に、脂肪族炭化水素基がアミド結合を介して連結したCNF・DMF分散液を得た。得られたCNF・DMF分散液の固形分濃度は2.2質量%であった。
<硬化性樹脂組成物の調製>
各実施例の硬化性樹脂組成物は、下記の表1中の記載に従って、各成分を配合撹拌後、吉田機械興業製高圧ホモジナイザーNanovater NVL−ES008を使用し、4回繰り返して分散させて各組成物を調製した。表1中の数値は、質量部を示す。また、各比較例は、表2の記載に従って、各実施例と同様にして硬化性樹脂組成物を調製した。
<硬化収縮性>
得られた各実施例及び比較例の硬化性樹脂組成物を、厚さ18μmの銅箔を50mm×50mmに裁断したものに、アプリケーターを用いて、硬化後の厚みが約40μmとなるように塗布した。これを、恒温乾燥炉にて、180℃で30分硬化させた。
得られたサンプルを水平面上に設置し、銅箔の対角線を固定し、固定されていない角の地面からの高さを測定しその平均を反り量とした。反り量が、1.5cm未満を◎、1.5cm以上2.5cm未満を○、2.5cm以上を×として評価した。評価結果を表1及び表2に示した。
<熱膨張率(α1及びα2)>
厚さ38μmのPETフィルムに、アプリケーターを用いて硬化後の膜厚が55μmとなるように各実施例及び比較例の組成物を塗布し、熱風循環式乾燥炉にて90℃で10分間乾燥させて、各組成物の樹脂層を有するドライフィルムを得た。その後、厚さ18μmの銅箔に真空ラミネータにて60℃、圧力0.5MPaの条件で60秒間圧着して各組成物の樹脂層をラミネートして、PETフィルムを剥がした。次いで、熱風循環式乾燥炉にて180℃30分加熱して硬化させ、銅箔から剥がして、各組成物の硬化物からなるフィルムサンプルを得た。得られたフィルムサンプルを、3mm幅×30mm長にカットし、熱膨張率測定用試験片とした。
この試験片について、ティー・エイ・インスツルメント社製TMA(Thermomechanical Analysis)Q400を用いて、引張モードで、チャック間16mm、荷重30mN、窒素雰囲気下、20〜250℃まで5℃/分で昇温し、次いで、250〜20℃まで5℃/分で降温し、熱膨張率α1とα2(ppm/K)を測定した。α1は50℃から30℃までの降温過程での熱膨張率の平均値とし、α2は250℃から200℃までの降温過程の熱膨張率の平均値とした。α1は25未満の場合◎、43以上47未満の場合〇、47以上50未満の場合△、50以上の場合×とした。α2は60未満の場合◎、60以上70未満の場合〇、70以上100未満の場合△、100以上の場合×とした。結果を表1及び表2に示した。
<引張破断伸び>
各実施例及び比較例の組成物について、熱膨張率評価において作製した硬化塗膜を、5mm×10cmに裁断して評価用試験片を作製した。この試験片について、島津製作所製小型卓上試験機EZ−SXを用い、引張速度10mm/分にて応力[MPa]と伸び[%]を測定した。破断点の伸び[%]が5%以上のものを◎、4%以上5%未満のものを〇、4%未満のものを×として評価した。その結果を下記の表1及び表2に示した。
<ガラス転移温度>
各実施例及び比較例の組成物を、硬化後の膜厚が50μmとなるようにしたほかは、熱膨張率評価における試験片の作製方法と同様にして、各組成物の硬化物からなるフィルムサンプルを得た。得られたフィルムサンプルを、3mm幅×10mm長にカットし、ガラス転移温度測定用試験片とした。この試験片について、測定装置として日立ハイテクサイエンス社製の「TMA/SS120」を用い、昇温速度:5℃/分として測定温度範囲:30〜250℃の条件で測定を行った。ガラス転移温度が250℃以上のものを◎、200℃以上250℃未満のものを○、200℃未満のものを×として評価した。その結果を表1及び表2に示した。
<誘電特性>
各実施例及び比較例の組成物を、硬化後の膜厚が25μmとなるようにしたほかは、熱膨張率評価における試験片の作製方法と同様にして、各組成物の硬化物からなるフィルムサンプルを得た。得られたフィルムサンプルを、SPDR誘電体共振器とネットワークアナライザー(ともにアジレント社製)を用いて、10GHzにおける誘電正接を測定し評価した。誘電正接が、0.018未満を◎、0.018以上0.02未満を○、0.02以上0.022未満を△、0.022以上を×として評価した。評価結果を表1及び表2に示した。
Figure 2020164724
Figure 2020164724
シアネートエステル樹脂1:Primaset PT30(ノボラック型シアネートエステル、シアネート当量:130)ロンザジャパン社製
シアネートエステル樹脂2:CYTESTER TA(ビスフェノールA型シアネートエステル、シアネート当量139)三菱ガス化学社製
エポキシ樹脂1:EPICLON860(ビスフェノールA型エポキシ、エポキシ当量:245) DIC社製
硬化触媒1:Co(acac){ビス(2,4−ペンタンジオナト)コバルト}東京化成工業社製
硬化触媒2:2E4MZ(2−エチル−4−メチルイミダゾール)四国化成工業(株)製
フィラー:アドマファインSO−C2 (株)アドマテックス製
以上詳述した通り、シアネートエステル樹脂と、セルロースナノファイバーとを、含む、硬化性樹脂組成物は、低硬化収縮であり、硬化物として、低誘電特性や耐熱性を維持しつつ、低熱膨張性、強靭性(高破断伸び)を有することが確認された。

Claims (6)

  1. シアネートエステル樹脂と、セルロースナノファイバーと、を含むことを特徴とする、硬化性樹脂組成物。
  2. さらに、エポキシ樹脂を含むことを特徴とする、請求項1に記載の硬化性樹脂組成物。
  3. 前記シアネートエステル樹脂が、ノボラック型シアネートエステル樹脂であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の硬化性樹脂組成物。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物を、フィルム上に塗布、乾燥させてなる樹脂層を有することを特徴とするドライフィルム。
  5. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物、又は、請求項4に記載のドライフィルムの前記樹脂層が、硬化させてなることを特徴とする、硬化物。
  6. 請求項5に記載の硬化物を備えることを特徴とする、電子部品。

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