JP2017008291A - 熱硬化性樹脂組成物、硬化物およびプリント配線板 - Google Patents

熱硬化性樹脂組成物、硬化物およびプリント配線板 Download PDF

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賢治 加藤
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孝典 中島
歩 嶋宮
Ayumi Shimamiya
歩 嶋宮
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Abstract

【課題】保存安定性、乾燥塗膜の剥離性に優れ、硬化物がはんだリフロー時に変色しにくい熱硬化性樹脂組成物、該組成物の硬化物、および、該硬化物を有するプリント配線板を提供する。
【解決手段】(A)アルカリ可溶性樹脂、(B)トリグリシジルイソシアヌレートおよび(C)酸化チタンを含有し、感光性モノマーを含有せず、前記(B)トリグリシジルイソシアヌレートは、S−トリアジン環骨格面に対し3個のエポキシ基が同一方向に結合した構造をもつβ体であるトリグリシジルイソシアヌレートを含有し、前記S−トリアジン環骨格面に対し3個のエポキシ基が同一方向に結合した構造をもつβ体であるトリグリシジルイソシアヌレートの含有量が、前記(B)トリグリシジルイソシアヌレート全量基準で90質量%以上であることを特徴とする熱硬化性樹脂組成物等である。
【選択図】図1

Description

本発明は熱硬化性樹脂組成物、硬化物およびプリント配線板に関する。
近年、プリント配線板においては、携帯端末、パソコン、テレビ等の液晶ディスプレイのバックライト、また照明器具の光源等、低電力で発光するLEDに直接実装して用いられる用途が増えてきている。その場合に、プリント配線板に保護膜として被覆形成される絶縁膜には、ソルダーレジスト膜に通常要求されるはんだ耐熱性等の特性に加え、LEDの発光を有効に利用することができるよう、光の反射率に優れることが所望される。高い反射率を達成するためには、白色着色剤として酸化チタンを配合することが知られている。
例えば、特許文献1には、反射率が高く、且つ経時による反射率の低下並びに劣化による着色の抑制された白色硬化性樹脂組成物として、塩素法により製造されたルチル型酸化チタン、および、熱硬化性樹脂を含有する白色硬化性樹脂組成物が記載されている。
特開2014−129542号公報
硬化膜の光の反射率を向上する手段の一つとして、硬化膜を厚くすることが考えられる。しかしながら、そのために白色の熱硬化性樹脂組成物を配線基板等の基材にパターン印刷すると、塗膜が厚くなるほど微細なパターン状に印刷するのは難しく、印刷不良が生じやすい。このような印刷不良の熱硬化性樹脂組成物の乾燥塗膜を基材から剥離するのは容易ではなく、溶剤を用いた洗浄を行うか、廃棄されるのが現状であった。
一方、白色等の高い反射率の熱硬化性樹脂組成物の硬化膜は、実装時のはんだリフロー等により高温に加熱されることによって変色が生じ、その結果、反射率が低下してしまうという問題もあった。
また、酸化チタンを含有する熱硬化性樹脂組成物は、保存安定性に改善の余地があった。
そこで本発明の目的は、保存安定性、乾燥塗膜の剥離性に優れ、硬化物がはんだリフロー時に変色しにくい熱硬化性樹脂組成物、該組成物の硬化物、および、該硬化物を有するプリント配線板を提供することにある。
本発明者等は上記を鑑み鋭意検討した結果、アルカリ可溶性樹脂、および、特定の構造を有するトリグリシジルイソシアヌレートを配合することによって、前記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明の熱硬化性樹脂組成物は、(A)アルカリ可溶性樹脂、(B)トリグリシジルイソシアヌレートおよび(C)酸化チタンを含有し、感光性モノマーを含有せず、前記(B)トリグリシジルイソシアヌレートは、S−トリアジン環骨格面に対し3個のエポキシ基が同一方向に結合した構造をもつβ体であるトリグリシジルイソシアヌレートを含有し、前記S−トリアジン環骨格面に対し3個のエポキシ基が同一方向に結合した構造をもつβ体であるトリグリシジルイソシアヌレートの含有量が、前記(B)トリグリシジルイソシアヌレート全量基準で90質量%以上であることを特徴とするものである。本発明の熱硬化性樹脂組成物は、非感光性樹脂組成物とも言う。
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、前記(A)アルカリ可溶性樹脂が、カルボキシル基含有樹脂であることが好ましい。
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、硬化物のリフロー前後における色差ΔEが2.0以下であることが好ましい。
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、前記カルボキシル基含有樹脂が、エチレン性不飽和二重結合を有さないカルボキシル基含有樹脂であることが好ましい。
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、前記カルボキシル基含有樹脂が、芳香環を有するカルボキシル基含有樹脂であることが好ましい。
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、前記アルカリ可溶性樹脂に含まれるアルカリ可溶性基の1当量に対し、前記(B)トリグリシジルイソシアヌレートに含まれるエポキシ基の当量比が、3.0以下であることが好ましい。
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、ソルダーレジスト形成用であることが好ましい。
本発明の硬化物は、前記熱硬化性樹脂組成物を、硬化して得られることを特徴とするものである。
本発明のプリント配線板は、前記硬化物を有することを特徴とするものである。
本発明によれば、保存安定性、乾燥塗膜の剥離性に優れ、硬化物がはんだリフロー時に変色しにくい熱硬化性樹脂組成物、該組成物の硬化物、および、該硬化物を有するプリント配線板を提供することができる。
実施例におけるリフロー前後における色差の変化率の評価前に、リフロー条件と同じ条件で、事前に測定したリフロー炉内の温度を示すチャート図である。測定は5回行い、それぞれ1つの直線と4つの破線で表す。
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、(A)アルカリ可溶性樹脂、(B)トリグリシジルイソシアヌレートおよび(C)酸化チタンを含有し、感光性モノマーを含有せず、前記(B)トリグリシジルイソシアヌレートは、S−トリアジン環骨格面に対し3個のエポキシ基が同一方向に結合した構造をもつβ体であるトリグリシジルイソシアヌレートを含有し、前記S−トリアジン環骨格面に対し3個のエポキシ基が同一方向に結合した構造をもつβ体であるトリグリシジルイソシアヌレートの含有量が、前記(B)トリグリシジルイソシアヌレート全量基準で90質量%以上であることを特徴とするものである。本発明の熱硬化性樹脂組成物は、配線基板等の基材に印刷した乾燥塗膜の状態においても、希アルカリ水溶液によって剥離することが可能となる。これによって、従来の溶剤による剥離と比べて、印刷不良の乾燥塗膜を容易に剥離することができる。
本発明の熱硬化性樹脂組成物の硬化物は、はんだリフロー時に変色しにくく、リフロー前後における色差ΔEが2.0以下の硬化物を得ることも可能である。ここで、リフロー前後における色差ΔEは、熱硬化性樹脂組成物をFR−4材に塗布、熱硬化させて得た硬化物のL*a*b*表色系のL*、a*、b*を初期値とし、リフロー炉(最高285℃)で1回処理した後のL*、a*、b*から求まるΔE*ab=〔(ΔL*)+(Δa*)+(Δb*)1/2である。リフロー前後における色差ΔEは、好ましくは1.5以下である。
また、本発明の熱硬化性樹脂組成物は保存安定性に優れ、一液型で保存しても増粘しにくい。
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、熱硬化成分である(B)トリグリシジルイソシアヌレートを含有することから、熱硬化によって硬化物を得ることができるため、光硬化成分である感光性モノマーを含有しない。本発明の熱硬化性樹脂組成物は、光重合開始剤を含む必要がない。光重合開始剤は一般にアミン系化合物からなり、本発明の熱硬化性樹脂組成物に光重合開始剤を配合すると保存安定性が低下するおそれがある。
以下、本発明の熱硬化性樹脂組成物の各成分について説明する。
[(A)アルカリ可溶性樹脂]
(A)アルカリ可溶性樹脂は、フェノール性水酸基、チオール基およびカルボキシル基のうち1種以上の官能基を含有し、アルカリ溶液に可溶な樹脂であり、好ましくはフェノール性水酸基を2個以上有する化合物、カルボキシル基含有樹脂、フェノール性水酸基およびカルボキシル基を有する化合物、チオール基を2個以上有する化合物が挙げられる。(A)アルカリ可溶性樹脂としては、カルボキシル基含有樹脂がより好ましい。(A)アルカリ可溶性樹脂は、1種を単独または2種以上を組み合わせて用いることができる。
カルボキシル基含有樹脂の具体例としては、以下に列挙するような化合物(オリゴマーおよびポリマーのいずれでもよい)が挙げられる。
(1)(メタ)アクリル酸等の不飽和カルボン酸と、スチレン、α−メチルスチレン、低級アルキル(メタ)アクリレート、イソブチレン等の不飽和基含有化合物との共重合により得られるカルボキシル基含有樹脂。このカルボキシル基含有樹脂が芳香環を有する場合、不飽和カルボン酸および不飽和基含有化合物の少なくとも1種が芳香環を有すればよい。
(2)脂肪族ジイソシアネート、分岐脂肪族ジイソシアネート、脂環式ジイソシアネート、芳香族ジイソシアネート等のジイソシアネートと、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸等のカルボキシル基含有ジアルコール化合物およびポリカーボネート系ポリオール、ポリエーテル系ポリオール、ポリエステル系ポリオール、ポリオレフィン系ポリオール、アクリル系ポリオール、ビスフェノールA系アルキレンオキシド付加体ジオール、フェノール性ヒドロキシル基およびアルコール性ヒドロキシル基を有する化合物等のジオール化合物の重付加反応によるカルボキシル基含有ウレタン樹脂。このカルボキシル基含有ウレタン樹脂が芳香環を有する場合、ジイソシアネート、カルボキシル基含有ジアルコール化合物およびジオール化合物の少なくとも1種が芳香環を有すればよい。
(3)脂肪族ジイソシアネート、分岐脂肪族ジイソシアネート、脂環式ジイソシアネート、芳香族ジイソシアネート等のジイソシアネート化合物と、ポリカーボネート系ポリオール、ポリエーテル系ポリオール、ポリエステル系ポリオール、ポリオレフィン系ポリオール、アクリル系ポリオール、ビスフェノールA系アルキレンオキシド付加体ジオール、フェノール性ヒドロキシル基およびアルコール性ヒドロキシル基を有する化合物等のジオール化合物の重付加反応によるウレタン樹脂の末端に酸無水物を反応させてなる末端カルボキシル基含有ウレタン樹脂。このカルボキシル基含有ウレタン樹脂が芳香環を有する場合、ジイソシアネート化合物、ジオール化合物および酸無水物の少なくとも1種が芳香環を有すればよい。
(4)ジイソシアネートと、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビキシレノール型エポキシ樹脂、ビフェノール型エポキシ樹脂等の2官能エポキシ樹脂の(メタ)アクリレートもしくはその部分酸無水物変性物、カルボキシル基含有ジアルコール化合物およびジオール化合物の重付加反応によるカルボキシル基含有ウレタン樹脂。このカルボキシル基含有ウレタン樹脂が芳香環を有する場合、ジイソシアネート、2官能エポキシ樹脂の(メタ)アクリレート若しくはその部分酸無水物変性物、カルボキシル基含有ジアルコール化合物およびジオール化合物の少なくとも1種が芳香環を有すればよい。
(5)上記(2)または(4)の樹脂の合成中に、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート等の分子中に1つの水酸基と1つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物を加え、末端(メタ)アクリル化したカルボキシル基含有ウレタン樹脂。このカルボキシル基含有ウレタン樹脂が芳香環を有する場合、分子中に1つの水酸基と1つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物が芳香環を有していてもよい。
(6)上記(2)または(4)の樹脂の合成中に、イソホロンジイソシアネートとペンタエリスリトールトリアクリレートの等モル反応物等、分子中に1つのイソシアネート基と1つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物を加え、末端(メタ)アクリル化したカルボキシル基含有ウレタン樹脂。このカルボキシル基含有ウレタン樹脂が芳香環を有する場合、分子中に1つのイソシアネート基と1つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物が芳香環を有していてもよい。
(7)多官能エポキシ樹脂に(メタ)アクリル酸を反応させ、側鎖に存在する水酸基に無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸等の2塩基酸無水物を付加させたカルボキシル基含有樹脂。このカルボキシル基含有樹脂が芳香環を有する場合、多官能エポキシ樹脂および2塩基酸無水物の少なくとも1種が芳香環を有していればよい。
(8)2官能エポキシ樹脂の水酸基をさらにエピクロロヒドリンでエポキシ化した多官能エポキシ樹脂に(メタ)アクリル酸を反応させ、生じた水酸基に2塩基酸無水物を付加させたカルボキシル基含有樹脂。このカルボキシル基含有樹脂が芳香環を有する場合、2官能エポキシ樹脂および2塩基酸無水物の少なくとも1種が芳香環を有していればよい。
(9)多官能オキセタン樹脂にジカルボン酸を反応させ、生じた1級の水酸基に2塩基酸無水物を付加させたカルボキシル基含有ポリエステル樹脂。このカルボキシル基含有ポリエステル樹脂が芳香環を有する場合、多官能オキセタン樹脂、ジカルボン酸および2塩基酸無水物の少なくとも1種が芳香環を有していればよい。
(10)1分子中に複数のフェノール性水酸基を有する化合物とエチレンオキシド、プロピレンオキシド等のアルキレンオキシドとを反応させて得られる反応生成物に不飽和基含有モノカルボン酸を反応させ、得られる反応生成物に多塩基酸無水物を反応させて得られるカルボキシル基含有樹脂。
(11)1分子中に複数のフェノール性水酸基を有する化合物とエチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等の環状カーボネート化合物とを反応させて得られる反応生成物に不飽和基含有モノカルボン酸を反応させ、得られる反応生成物に多塩基酸無水物を反応させて得られるカルボキシル基含有樹脂。
(12)1分子中に複数のエポキシ基を有するエポキシ化合物に、p−ヒドロキシフェネチルアルコール等の1分子中に少なくとも1個のアルコール性水酸基と1個のフェノール性水酸基を有する化合物と、(メタ)アクリル酸等の不飽和基含有モノカルボン酸とを反応させ、得られた反応生成物のアルコール性水酸基に対して、無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、アジピン酸等の多塩基酸無水物を反応させて得られるカルボキシル基含有樹脂。このカルボキシル基含有ポリエステル樹脂が芳香環を有する場合、エポキシ化合物、1分子中に少なくとも1個のアルコール性水酸基と1個のフェノール性水酸基を有する化合物、不飽和基含有モノカルボン酸および多塩基酸無水物の少なくとも1種が芳香環を有していればよい。
(13)上記(1)〜(12)のいずれかの樹脂にさらにグリシジル(メタ)アクリレート、α−メチルグリシジル(メタ)アクリレート等の分子中に1つのエポキシ基と1つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物を付加してなるカルボキシル基含有樹脂。このカルボキシル基含有樹脂が芳香環を有する場合、分子中に1つのエポキシ基と1つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物が芳香環を有していてもよい。
(14)1分子中にそれぞれ1個のエポキシ基と不飽和二重結合を有する化合物と、不飽和二重結合を有する化合物の共重合体に、不飽和モノカルボン酸を反応させ、生成した第2級の水酸基に飽和または不飽和多塩基酸無水物を反応させて得られるカルボキシル基含有樹脂。このカルボキシル基含有樹脂が芳香環を有する場合、共重合体、不飽和モノカルボン酸および不飽和多塩基酸無水物の少なくとも1種が芳香環を有していればよい。
(15)水酸基含有ポリマーに、飽和または不飽和多塩基酸無水物を反応させた後、生成したカルボン酸に、1分子中にそれぞれ1個のエポキシ基と不飽和二重結合を有する化合物を反応させて得られる水酸基およびカルボキシル基含有樹脂。このカルボキシル基含有樹脂が芳香環を有する場合、水酸基含有ポリマー、多塩基酸無水物および1分子中にそれぞれ1個のエポキシ基と不飽和二重結合を有する化合物の少なくとも1種が芳香環を有していればよい。
なお、ここで(メタ)アクリレートとは、アクリレート、メタクリレートおよびそれらの混合物を総称する用語であり、他の類似の表現についても同様である。
上記のようなカルボキシル基含有樹脂は、バックボーン・ポリマーの側鎖に多数のカルボキシル基を有するため、希アルカリ水溶液による現像が可能になる。
また、カルボキシル基含有樹脂は、リフロー処理後の変色が少ないため、エチレン性不飽和二重結合を有しないカルボキシル基含有樹脂が好ましい。中でも、上記(1)のカルボキシル基含有樹脂は、リフロー処理後の変色が少なく、変色耐性に優れるため好ましい。また、硬化物のはんだ耐熱性に優れるため芳香環を有するカルボキシル基含有樹脂が好ましい。
上記カルボキシル基含有樹脂の酸価は、20〜200mgKOH/gの範囲が望ましく、より好ましくは40〜180mgKOH/gの範囲である。20〜200mgKOH/gの範囲であると、アルカリ水溶液による乾燥塗膜の剥離性と印刷性が良好となり、乾燥時にダレが生じ難い。
また、カルボキシル基含有樹脂の重量平均分子量は、樹脂骨格により異なるが、2,000〜150,000の範囲が好ましい。この範囲であると、タックフリー性能が良好であり、露光後の塗膜の耐湿性が良く、現像時に膜減りが生じにくい。また、上記重量平均分子量の範囲であると、印刷性および塗膜の耐熱性が良好となる。より好ましくは、5,000〜100,000である。重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定することができる。
フェノール性水酸基を有する化合物としては、主鎖もしくは側鎖にフェノール性水酸基、即ちベンゼン環に結合した水酸基を有していれば特に制限されない。1分子中に2個以上のフェノール性水酸基を有する化合物としては、カテコール、レゾルシノール、ヒドロキノン、ジヒドロキシトルエン、ナフタレンジオール、t−ブチルカテコール、t−ブチルヒドロキノン、ピロガロール、フロログルシノール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ビフェノール、ビキシレノール、ノボラック型フェノール樹脂、ノボラック型アルキルフェノール樹脂、ビスフェノールAのノボラック樹脂、ジシクロペンタジエン型フェノール樹脂、ザイロック(Xylok)型フェノール樹脂、テルペン変性フェノール樹脂、ポリビニルフェノール類、フェノール類とフェノール性水酸基を有する芳香族アルデヒドとの縮合物、1−ナフトールまたは2−ナフトールと芳香族アルデヒド類との縮合物等を挙げることができるが、これらに限られるものではない。
(A)アルカリ可溶性樹脂の配合量は、熱硬化性樹脂組成物の全量(溶剤を含む)あたり、15〜60質量%であることが好ましい。上記配合量の範囲であると、アルカリ水溶液による乾燥塗膜の剥離性とはんだ耐熱性が良好となる。より好ましくは、25〜50質量%である。
[(B)トリグリシジルイソシアヌレート]
本発明の熱硬化性樹脂組成物において、(B)トリグリシジルイソシアヌレートは、S−トリアジン環骨格面に対し3個のエポキシ基が同一方向に結合した構造をもつβ体であるトリグリシジルイソシアヌレートを含有し、前記S−トリアジン環骨格面に対し3個のエポキシ基が同一方向に結合した構造をもつβ体であるトリグリシジルイソシアヌレートの含有量が、前記(B)トリグリシジルイソシアヌレート全量基準で90質量%以上である。好ましくは、97質量%以上である。前記β体以外のトリグリシジルイソシアヌレートとしては、S−トリアジン環骨格面に対し1個のエポキシ基が他の2個のエポキシ基と異なる方向に結合した構造をもつα体が挙げられる。β体がトリグリシジルイソシアヌレート全量基準で90質量%以上であるトリグリシジルイソシアヌレートの市販品としては、日産化学工業(株)製のTEPIC−HP等が挙げられる。
(B)トリグリシジルイソシアヌレートの配合量は、(A)アルカリ可溶性樹脂に含まれるアルカリ可溶性基の1当量に対し、(B)トリグリシジルイソシアヌレートに含まれるエポキシ基の当量比が、例えば3.5以下であり、3.0以下であることが好ましい。より好ましくは、2.5以下、更に好ましくは2.0以下である。(B)トリグリシジルイソシアヌレートに含まれるエポキシ基の当量比が少ないほど、組成物の保存安定性と、乾燥塗膜の剥離性に優れる。なお、前記エポキシ基の当量比は、スクラッチ耐性の観点から1.5以上であることが好ましく、1.6以上であることがより好ましい。
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、エポキシ樹脂として(B)トリグリシジルイソシアヌレートのみを含むことが好ましいが、(B)トリグリシジルイソシアヌレート以外の他の熱硬化成分を含有してもよい。他の熱硬化成分は、加熱により硬化して電気絶縁性を示す樹脂であればよく、例えば、他のエポキシ化合物、オキセタン化合物、メラミン樹脂、シリコーン樹脂等が挙げられる。
上記他のエポキシ化合物としては、1個以上のエポキシ基を有する公知慣用の化合物を使用することができ、中でも、2個以上のエポキシ基を有する化合物が好ましい。例えば、ブチルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、グリシジル(メタ)アクリレート等のモノエポキシ化合物等のモノエポキシ化合物、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、フェニル−1,3−ジグリシジルエーテル、ビフェニル−4,4’−ジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、エチレングリコールまたはプロピレングリコールのジグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、トリス(2,3−エポキシプロピル)イソシアヌレート、トリグリシジルトリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート等の1分子中に2個以上のエポキシ基を有する化合物が挙げられる。これらは、要求特性に合わせて、単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
2個以上のエポキシ基を有する化合物としては、具体的には、三菱化学(株)製のjER828、jER834、jER1001、jER1004、DIC(株)製のエピクロン840、エピクロン850、エピクロン1050、エピクロン2055、新日鉄住金化学(株)製のエポトートYD−011、YD−013、YD−127、YD−128、ダウケミカル日本(株)製のD.E.R.317、D.E.R.331、D.E.R.661、D.E.R.664、住友化学(株)製のスミ−エポキシESA−011、ESA−014、ELA−115、ELA−128、旭化成イーマテリアルズ(株)製のA.E.R.330、A.E.R.331、A.E.R.661、A.E.R.664等(何れも商品名)のビスフェノールA型エポキシ樹脂;三菱化学(株)製のjERYL903、DIC(株)製のエピクロン152、エピクロン165、新日鉄住金化学(株)製のエポトートYDB−400、YDB−500、ダウケミカル日本(株)製のD.E.R.542、住友化学(株)製のスミ−エポキシESB−400、ESB−700、旭化成イーマテリアルズ(株)製のA.E.R.711、A.E.R.714等(何れも商品名)のブロム化エポキシ樹脂;三菱化学(株)製のjER152、jER154、ダウケミカル日本(株)製のD.E.N.431、D.E.N.438、DIC(株)製のエピクロンN−730、エピクロンN−770、エピクロンN−865、新日鉄住金化学(株)製のエポトートYDCN−701、YDCN−704、日本化薬(株)製のEPPN−201、EOCN−1025、EOCN−1020、EOCN−104S、RE−306、NC−3000、住友化学(株)製のスミ−エポキシESCN−195X、ESCN−220、旭化成イーマテリアルズ(株)製のA.E.R.ECN−235、ECN−299、新日鉄住金化学(株)製のYDCN−700−2、YDCN−700−3、YDCN−700−5,YDCN−700−7、YDCN−700−10、YDCN−704 YDCN−704A、DIC(株)製のエピクロンN−680、N−690、N−695(いずれも商品名)等のノボラック型エポキシ樹脂;DIC(株)製のエピクロン830、三菱化学(株)製jER807、新日鉄住金化学(株)製のエポトートYDF−170、YDF−175、YDF−2004等(何れも商品名)のビスフェノールF型エポキシ樹脂;新日鉄住金化学(株)製のエポトートST−2004、ST−2007、ST−3000(商品名)等の水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂;三菱化学(株)製のjER604、新日鉄住金化学(株)製のエポトートYH−434;住友化学(株)製のスミ−エポキシELM−120等(何れも商品名)のグリシジルアミン型エポキシ樹脂;ヒダントイン型エポキシ樹脂;(株)ダイセル製のセロキサイド2021等(何れも商品名)の脂環式エポキシ樹脂;三菱化学(株)製のYL−933、ダウケミカル日本(株)製のT.E.N.、EPPN−501、EPPN−502等(何れも商品名)のトリヒドロキシフェニルメタン型エポキシ樹脂;三菱化学(株)製のYL−6056、YX−4000、YL−6121(何れも商品名)等のビキシレノール型もしくはビフェノール型エポキシ樹脂またはそれらの混合物;日本化薬(株)製EBPS−200、(株)ADEKA製EPX−30、DIC(株)製のEXA−1514(商品名)等のビスフェノールS型エポキシ樹脂;三菱化学(株)製のjER157S(商品名)等のビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂;三菱化学(株)製のjERYL−931等(何れも商品名)のテトラフェニロールエタン型エポキシ樹脂;複素環式エポキシ樹脂;日油(株)製ブレンマーDGT等のジグリシジルフタレート樹脂;新日鉄住金化学(株)製ZX−1063等のテトラグリシジルキシレノイルエタン樹脂;新日鉄住金化学(株)製ESN−190、ESN−360、DIC(株)製HP−4032、EXA−4750、EXA−4700等のナフタレン基含有エポキシ樹脂;DIC(株)製HP−7200、HP−7200H等のジシクロペンタジエン骨格を有するエポキシ樹脂;日油(株)製CP−50S、CP−50M等のグリシジルメタアクリレート共重合系エポキシ樹脂;さらにシクロヘキシルマレイミドとグリシジルメタアクリレートの共重合エポキシ樹脂;CTBN変性エポキシ樹脂(例えば新日鉄住金化学(株)製のYR−102、YR−450等)等が挙げられるが、これらに限られるものではない。これらのエポキシ樹脂は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、保存安定性の観点から固体または粉体のエポキシ樹脂を含んでもよい。その場合、特にはんだ耐熱性の観点から芳香環を有する固体または粉体のエポキシ樹脂を含むことが好ましい。言い換えると、本発明の熱硬化性樹脂組成物は、保存安定性の観点から液状エポキシ樹脂を含まないことが好ましい。
次に、オキセタン化合物について説明する。下記一般式(I)、
(式中、Rは、水素原子または炭素数1〜6のアルキル基を示す)により表されるオキセタン環を含有するオキセタン化合物の具体例としては、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン(東亞合成(株)製、商品名OXT−101)、3−エチル−3−(フェノキシメチル)オキセタン(東亞合成(株)製、商品名OXT−211)、3−エチル−3−(2−エチルヘキシロキシメチル)オキセタン(東亞合成(株)製、商品名OXT−212)、1,4−ビス{[(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシ]メチル}ベンゼン(東亞合成(株)製、商品名OXT−121)、ビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル(東亞合成(株)製、商品名OXT−221)等が挙げられる。さらに、フェノールノボラックタイプのオキセタン化合物等も挙げられる。これらオキセタン化合物は、上記エポキシ化合物と併用してもよく、また、単独で使用してもよい。
[(C)酸化チタン]
(C)酸化チタンとしては、ルチル型、アナターゼ型、ラムスデライト型のいずれの構造の酸化チタンであってもよく、1種を単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。このうちラムスデライト型酸化チタンは、ラムスデライト型Li0.5TiOに化学酸化によるリチウム脱離処理を施すことで得られる。
上記のうち、ルチル型酸化チタンを用いると、耐熱性をより向上することができるとともに、光照射に起因する変色を起こしにくくなり、厳しい使用環境下でも品質を低下しにくくすることができるので、好ましい。特に、アルミナ等のアルミニウム酸化物により表面処理されたルチル型酸化チタンを用いることで、耐熱性をさらに向上することができる。全酸化チタン中の、アルミニウム酸化物により表面処理されたルチル型酸化チタンの含有量は、好適には10質量%以上、より好適には30質量%以上であり、上限は100質量%以下であって、すなわち、酸化チタンの全量が、上記アルミニウム酸化物により表面処理されたルチル型酸化チタンであってもよい。上記アルミニウム酸化物により表面処理されたルチル型酸化チタンとしては、例えば、ルチル型塩素法酸化チタンである石原産業(株)製のCR−58や、ルチル硫酸法酸化チタンである同社製のR−630等が挙げられる。また、ケイ素酸化物により表面処理されたルチル型酸化チタンを用いることも好ましく、この場合も、耐熱性をさらに向上することができる。さらに、アルミニウム酸化物とケイ素酸化物との双方で表面処理されたルチル型酸化チタンを用いることも好ましく、例えば、ルチル型塩素法酸化チタンである石原産業(株)製のCR−90等が挙げられる。
なお、アナターゼ型酸化チタンは、ルチル型のものよりも低硬度であるので、アナターゼ型酸化チタンを用いた場合、組成物の成形性の点でより良好となる。
また、(C)酸化チタンとして、硫黄濃度が低い酸化チタンを用いてもよい。ここで、酸化チタンに含まれる硫黄としては、分析により検出された硫黄全てを指し、酸化チタンに吸着されている硫黄、および、酸化チタンに不純物として含まれる硫黄を含む。硫黄濃度が低い酸化チタンは、製造工程時、特に表面処理の中和時において硫酸を使用しないことによって製造することができる。また、酸化チタンを熱処理や化学処理したり、洗浄、焼成等の精製処理を施すことによって、酸化チタンの硫黄濃度を下げることもできる。このような硫黄濃度が低い酸化チタンを用いることによって、プリント配線板の実装部の導電回路の表面に銀めっき処理を施した場合であっても銀めっきが変色しにくく、また、紫外線照射による反射率の低下が少ない硬化物を得ることができる。硫黄濃度が低い酸化チタンとしては、製造工程時に硫酸を使用しない酸化チタンが好ましい。また、中和時に、塩酸、硝酸、リン酸、酢酸等の硫酸以外の酸で処理された酸化チタンであることが好ましい。硫黄濃度が低い酸化チタンの硫黄濃度は100ppm以下であることが好ましく、50ppm以下であることがより好ましい。硫黄濃度が100ppm以下の市販品の酸化チタンとしては、Dupont社製R−931、CRISTAL社製Tiona595、堺化学工業(株)製SX3103等が挙げられる。硫黄濃度が低い酸化チタンの製造方法は、硫酸法および塩素法の何れでもよいが、塩素法が好ましい。
(C)酸化チタンの配合量は、熱硬化性樹脂組成物の固形分あたり、好ましくは5〜80質量%、より好ましくは15〜70質量%である。また、本発明の効果を損なわない範囲で、酸化チタン以外の他の着色剤を含有してもよい。
[感光性モノマー]
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、感光性モノマーを含有しない。感光性モノマーは、光硬化性樹脂組成物において、活性エネルギー線照射による光硬化性樹脂の光硬化を助けるモノマー成分である。
感光性モノマーとしては、公知慣用の光重合性オリゴマーおよび光重合性ビニルモノマーとして用いられるエチレン性不飽和結合を有するオリゴマーおよびモノマーが挙げられる。このうち光重合性オリゴマーとしては、不飽和ポリエステル系オリゴマー、(メタ)アクリレート系オリゴマー等が挙げられる。(メタ)アクリレート系オリゴマーとしては、フェノールノボラックエポキシ(メタ)アクリレート、クレゾールノボラックエポキシ(メタ)アクリレート、ビスフェノール型エポキシ(メタ)アクリレート等のエポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、ポリブタジエン変性(メタ)アクリレート等が挙げられる。
光重合性ビニルモノマーとしては、公知慣用のもの、例えば、スチレン、クロロスチレン、α−メチルスチレン等のスチレン誘導体;酢酸ビニル、酪酸ビニルまたは安息香酸ビニル等のビニルエステル類;ビニルイソブチルエーテル、ビニル−n−ブチルエーテル、ビニル−t−ブチルエーテル、ビニル−n−アミルエーテル、ビニルイソアミルエーテル、ビニル−n−オクタデシルエーテル、ビニルシクロヘキシルエーテル、エチレングリコールモノブチルビニルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルビニルエーテル等のビニルエーテル類;アクリルアミド、メタクリルアミド、N−ヒドロキシメチルアクリルアミド、N−ヒドロキシメチルメタクリルアミド、N−メトキシメチルアクリルアミド、N−エトキシメチルアクリルアミド、N−ブトキシメチルアクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド類;トリアリルイソシアヌレート、フタル酸ジアリル、イソフタル酸ジアリル等のアリル化合物;2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリール(メタ)アクリレート、イソボロニル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸のエステル類;ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類;メトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート等のアルコキシアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート類;エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート類、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等のアルキレンポリオールポリ(メタ)アクリレート;ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート、プロポキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等のポリオキシアルキレングリコールポリ(メタ)アクリレート類;ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールエステルジ(メタ)アクリレート等のポリ(メタ)アクリレート類;トリス[(メタ)アクリロキシエチル]イソシアヌレート等のイソシアヌルレート型ポリ(メタ)アクリレート類等が挙げられる。
本発明の熱硬化性樹脂組成物において、感光性モノマーを含有しないとは、実質的に感光性モノマーを含有しないことを意味し、熱硬化性樹脂組成物の固形分中に0.1質量%以下、好ましくは0質量%である。
(硬化触媒)
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、硬化触媒を含有することができる。硬化触媒は、(B)トリグリシジルイソシアヌレートと、(A)アルカリ可溶性樹脂との反応において硬化触媒となり得る化合物である。硬化触媒としては、具体的には例えば、三級アミン、三級アミン塩、四級オニウム塩、三級ホスフィン、クラウンエーテル錯体、および、ホスホニウムイリド等が挙げられ、これらの中から任意に、単独でまたは2種類以上を組み合わせて用いることができる。
中でも特に、商品名2E4MZ、C11Z、C17Z、2PZ等のイミダゾール類や、商品名2MZ−A、2E4MZ−A等のイミダゾールのAZINE化合物、商品名2MZ−OK、2PZ−OK等のイミダゾールのイソシアヌル酸塩、商品名2PHZ、2P4MHZ等のイミダゾールヒドロキシメチル体(商品名はいずれも四国化成工業(株)製)、ジシアンジアミドおよびその誘導体、メラミンおよびその誘導体、ジアミノマレオニトリルおよびその誘導体、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ビス(ヘキサメチレン)トリアミン、トリエタノールアミン、ジアミノジフェニルメタン、有機酸ジヒドラジド等のアミン類、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデセン−7(商品名DBU、サンアプロ(株)製)、3,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン(商品名ATU、味の素(株)製)、または、トリフェニルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、トリブチルホスフィン、メチルジフェニルホスフィン等の有機ホスフィン化合物等が好適に挙げられる。
これら硬化触媒の配合量は、通常の割合で十分であり、(A)アルカリ可溶性樹脂100質量部に対し、好適には0.05〜30質量部、より好適には0.1〜20質量部である。
(酸化防止剤)
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、さらに、酸化防止剤を含有することができる。酸化防止剤を含有させることで、熱硬化性樹脂等の酸化劣化を防止して、変色を抑制する効果が得られることに加えて、耐熱性が向上する。
酸化防止剤には、発生したラジカルを無効化するようなラジカル捕捉剤や、発生した過酸化物を無害な物質に分解し、新たなラジカルが発生しないようにする過酸化物分解剤等があり、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
具体的には、ラジカル捕捉剤として働く酸化防止剤としては、例えば、ヒドロキノン、4−t−ブチルカテコール、2−t−ブチルヒドロキノン、ヒドロキノンモノメチルエーテル、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、2,2−メチレン−ビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、1,3,5−トリス(3’,5’−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−S−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)トリオン等のフェノール系化合物、メタキノン、ベンゾキノン等のキノン系化合物、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−セバケート、フェノチアジン等のアミン系化合物等が挙げられる。市販品としては、例えば、IRGANOX1010(BASFジャパン(株)製、商品名)等を用いることができる。
また、過酸化物分解剤として働く酸化防止剤としては、例えば、トリフェニルフォスファイト等のリン系化合物とチオエーテル系化合物等が挙げられる。
上記のうちでも、フェノール系の酸化防止剤を用いることが、変色の抑制効果、耐熱性が向上する点から好ましい。また、酸化防止剤は2種以上を用いてもよく、例えば、過酸化物分解剤とフェノール系酸化防止剤とを併用してもよい。
酸化防止剤を用いる場合のその配合量は、(A)アルカリ可溶性樹脂100質量部に対して、0.01〜20質量部が好ましく、0.1〜10質量部がより好ましい。酸化防止剤の配合量を、0.01質量部以上とすることで、上述の酸化防止剤の添加による効果を確実に得ることができ、一方、20質量部以下とすることで、指触乾燥性や塗膜物性についても良好に確保することができる。
また、酸化防止剤、特に、フェノール系の酸化防止剤は、耐熱安定剤と併用することにより、さらなる効果を発揮する場合があることから、本発明の熱硬化性樹脂組成物には、耐熱安定剤を配合してもよい。
耐熱安定剤としては、リン系、ヒドロキシルアミン系耐熱安定剤等を挙げることができる。上記耐熱安定剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
耐熱安定剤を用いる場合のその配合量は、(A)アルカリ可溶性樹脂100質量部に対して、0.01〜10質量部が好ましく、0.01〜5質量部がより好ましい。
(充填剤)
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、本発明の効果を阻害しない限り、無機フィラーおよび有機フィラーよりなる群から選ばれた少なくとも1種のフィラーを含有してもよい。無機フィラーとしては、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、チタン酸バリウム、酸化珪素、無定形シリカ、タルク、クレー、ハイドロタルサイト、ノイブルグ珪土粒子、雲母粉等が挙げられ、有機フィラーとしては、シリコンパウダー、ナイロンパウダー、フッ素パウダー等が挙げられる。
(有機溶剤)
また、本発明の熱硬化性樹脂組成物には、組成物の調製や、基板やキャリアフィルムに塗布する際の粘度調整等の目的で、有機溶剤を含有させることができる。有機溶剤としては、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;トルエン、キシレン、テトラメチルベンゼン等の芳香族炭化水素類;セロソルブ、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、カルビトール、メチルカルビトール、ブチルカルビトール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールエーテル類;酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸ブチル、セロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、カルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、炭酸プロピレン等のエステル類;オクタン、デカン等の脂肪族炭化水素類;石油エーテル、石油ナフサ、ソルベントナフサ等の石油系溶剤等、公知慣用の有機溶剤が使用できる。これらの有機溶剤は、単独で、または二種類以上組み合わせて用いることができる。
(他の添加剤)
さらに、本発明の熱硬化性樹脂組成物には、電子材料の分野において公知慣用の他の添加剤を配合してもよい。他の添加剤としては、熱重合禁止剤、紫外線吸収剤、シランカップリング剤、可塑剤、難燃剤、帯電防止剤、老化防止剤、抗菌・防黴剤、消泡剤、レベリング剤、増粘剤、密着性付与剤、チキソ性付与剤、他の着色剤、光開始助剤、増感剤、硬化促進剤、離型剤、表面処理剤、分散剤、分散助剤、表面改質剤、安定剤、蛍光体等が挙げられる。
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、1液型でも2液型以上でもよいが、保存安定性に優れるため、1液型であっても好適に用いることができる。
本発明の熱硬化性樹脂組成物を、例えば、上記有機溶剤を用いて塗布方法に適した粘度に調整して、基材上に、ディップコート法、フローコート法、ロールコート法、バーコーター法、スクリーン印刷法、カーテンコート法等の方法により塗布した後、約60〜100℃の温度で組成物中に含まれる有機溶剤を揮発乾燥(仮乾燥)させることで、タックフリーの樹脂層を形成することができる。
上記基材としては、あらかじめ銅等により回路形成されたプリント配線板やフレキシブルプリント配線板の他、紙フェノール、紙エポキシ、ガラス布エポキシ、ガラスポリイミド、ガラス布/不繊布エポキシ、ガラス布/紙エポキシ、合成繊維エポキシ、フッ素樹脂・ポリエチレン・ポリフェニレンエーテル,ポリフェニレンオキシド・シアネート等を用いた高周波回路用銅張積層板等の材質を用いたもので、全てのグレード(FR−4等)の銅張積層板、その他、金属基板、ポリイミドフィルム、PETフィルム、ポリエチレンナフタレート(PEN)フィルム、ガラス基板、セラミック基板、ウエハ板等を挙げることができる。
本発明の熱硬化性樹脂組成物を塗布した後に揮発乾燥を行ってもよい。揮発乾燥は、熱風循環式乾燥炉、IR炉、ホットプレート、コンベクションオーブン等(蒸気による空気加熱方式の熱源を備えたものを用いて乾燥機内の熱風を向流接触せしめる方法およびノズルより支持体に吹き付ける方式)を用いて行うことができる。
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、例えば、約100〜200℃の温度に加熱して熱硬化させることにより、耐熱性、耐薬品性、耐吸湿性、密着性、電気特性等の諸特性に優れた硬化皮膜(硬化物)を形成することができる。
本発明の熱硬化性樹脂組成物を基材に塗布後に印刷不良等により、乾燥塗膜を基材から剥離する場合は、70〜90℃で乾燥させた後、例えば1wt%の炭酸ナトリウム水溶液を使用した現像機を用いる事により剥離ができる。
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、プリント配線板上に硬化皮膜を形成するために好適に使用され、より好適には、永久被膜を形成するために使用され、さらに好適には、ソルダーレジストまたはカバーレイを形成するために使用される。特にソルダーレジストの形成に用いることが好ましい。なお、本発明の熱硬化性樹脂組成物は、ソルダーダムを形成するために使用してもよい。また、本発明の熱硬化性樹脂組成物は、白色とすることで、照明器具や携帯端末、パソコン、テレビ等の液晶ディスプレイのバックライト等において、その光源として使用される発光ダイオード(LED)やエレクトロルミネセンス(EL)から発せられる光を反射する反射板に、好適に使用される。
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、硬化後の有機溶剤を含まない硬化膜を形成したとき、硬化膜の膜厚が10〜50μm、好ましくは15〜40μmとなるような幅広い膜厚の形成に適している。
以下、本発明を、実施例を用いてより詳細に説明するが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。なお、以下において「部」および「%」とあるのは、特に断りのない限り全て質量基準である。
[カルボキシル基含有樹脂の合成(ワニスA−1)]
ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート600gに、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂(DIC(株)製EPICLON N−695、軟化点95℃、エポキシ当量214、平均官能基数7.6)1070g(グリシジル基数(芳香環総数):5.0モル)、アクリル酸360g(5.0モル)およびハイドロキノン1.5gを仕込み、100℃に加熱攪拌し、均一溶解した。次いで、トリフェニルホスフィン4.3gを仕込み、110℃に加熱して2時間反応後、120℃に昇温してさらに12時間反応を行った。得られた反応液に、芳香族系炭化水素(ソルベッソ150)415g、テトラヒドロ無水フタル酸456.0g(3.0モル)を仕込み、110℃で4時間反応を行い、冷却し、芳香環を有するカルボキシル基含有樹脂溶液(ワニスA−1)を得た。このようにして得られたワニスA−1の固形分濃度は65質量%、固形分の酸価は89mgKOH/gであった。
[カルボキシル基含有樹脂の合成(ワニスA−2)]
温度計、冷却管、撹拌機を備えた耐圧容器に脱イオン水:145質量部、硫酸ナトリウム:0.3質量部を仕込み、溶解を確認した。
その後重合開始剤としてt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノネート(日油社製パーブチルO):5質量部と連鎖移動剤としてMSD(α−メチルスチレンダイマー):4.5質量部をMMA(メタクリル酸メチル):51.7質量部、n−BA(ノルマル−アクリル酸ブチル):6質量部、MAA(メタクリル酸):12.3質量部およびSt(スチレン):30質量部からなる単量体混合物に加え、十分に溶解した。
その後分散剤を濃度が500ppmになるように加え、十分に撹拌し、釜内部を窒素で置換した後昇温させ、懸濁重合を行った。
重合終了後、得られた懸濁液を目開き30μmのメッシュで濾過し、40℃の温風で乾燥させ粒状樹脂を得た。この粒状樹脂は、芳香環を有しエチレン性不飽和二重結合を有さないカルボキシル基含有樹脂である。得られた粒状樹脂をDPM(ジプロピレングリコールモノメチルエーテル)で固形分濃度が50.0%になるように調整して樹脂溶液とした。以下、ワニスA−2と称する。
[カルボキシル基含有樹脂の調整(ワニスA−3)]
温度計、撹拌機、滴下ロートおよび還流冷却器を備えたフラスコに、溶媒としてのジプロピレングリコールモノメチルエーテル325.0質量部を110℃まで加熱し、メタクリル酸174.0質量部、ε−カプロラクトン変性メタクリル酸(平均分子量314)174.0質量部、メタクリル酸メチル77.0質量部、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル222.0質量部、および、重合触媒としてのt−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート(日油(株)製パーブチルO)12.0質量部の混合物を、3時間かけて滴下し、さらに110℃で3時間攪拌し、重合触媒を失活させて、樹脂溶液を得た。この樹脂溶液を冷却後、ダイセル化学工業(株)製サイクロマーA200を289.0質量部、トリフェニルホスフィン3.0質量部およびハイドロキノンモノメチルエーテル1.3質量部を加え、100℃に昇温し、攪拌することによってエポキシ基の開環付加反応を行い、芳香環を有しないカルボキシル基含有樹脂溶液(ワニスA−3)を得た。このようにして得られたワニスA−3は、重量平均分子量(Mw)が15,000で、かつ、固形分濃度が45.5質量%、固形物の酸価が70mgKOH/gであった。
[実施例1〜6、比較例1〜4]
下記の表中に示す配合に従い、各成分を配合し、攪拌機にて予備混合した後、3本ロールミルで分散させ、混練して、それぞれ熱硬化性樹脂組成物を調製した。なお、表中の配合量は、質量部を示す。得られた実施例および比較例の熱硬化性樹脂組成物を用いて下記のように評価を行った。
[保存安定性]
実施例および比較例の各組成物を、ふた付きのプラスチック製容器に入れて、30℃の恒温槽に90日放置し、25℃における初期粘度と放置後粘度とをそれぞれ測定して、初期から放置後までの粘度の増加率を算出し、保存安定性を評価した。
[はんだ耐熱性]
実施例および比較例の各組成物を、基板としてのFR−4材に塗布し、80℃の熱風循環式乾燥炉で30分間乾燥させた。その後、基板を150℃60分でポストキュアをして硬化膜を有する基板を得た。この基板にロジン系フラックスを塗布し、あらかじめ260℃に設定したはんだ槽に浸漬し、変性アルコールでフラックスを洗浄した。その後、目視にて硬化膜の膨れと剥がれについて評価した。判定基準は以下のとおりである。
○:10秒間浸漬を3回以上繰り返しても剥がれが認められないもの
△:10秒間浸漬を3回以上繰り返すと少し剥がれるもの
×:10秒間浸漬を3回以内に硬化膜に膨れ、剥がれがあるもの
[リフロー前後における色差の変化率]
実施例および比較例の各組成物を、基板としてのFR−4材に塗布し、80℃の熱風循環式乾燥炉で30分間乾燥させた。その後、基板を150℃60分でポストキュアをして膜厚20±2μmの硬化膜を有する基板を得た。エイテックテクトロン社製NIS−20−82Cを用いて、下記のコンベア速度および熱源設定温度に従って、事前にリフロー条件と同じ条件で、リフロー炉内の温度を5回測定し(図1)、大きな差異が無いことを確認した。その後、同じ条件で、上記で得た基板を、エアーリフローでリフロー処理を1回行った。
コンベア速度:1.0m/min≒1ゾーン(約35cm)を約20秒で通過
熱源設定温度:A.210℃、B.190℃、C.〜F.185℃、G.265℃、H.285℃、I.〜J.ファンによる冷却工程
色差計を用いて、処理前後の硬化膜の色差の変化率ΔEを求めた。判定基準は以下のとおりである。
◎:ΔEが1.0以下のもの
○:ΔEが1.5以下のもの
△:ΔEが2未満のもの
×:ΔEが2以上のもの
[剥離性]
実施例および比較例の各組成物を、基板としてのFR−4材に塗布し、80℃の熱風循環式乾燥炉で30分間乾燥させた。その後、基板を1wt%の炭酸ナトリウム水溶液を使用した現像機に120秒間当てた後の基板上の残渣物の有無を確認した。
○:銅上に組成物残渣が認められないもの
△:銅上に組成物残渣が僅かに認められるもの 指で擦ると除去できるもの
×:銅上に組成物残渣が認められるもの/剥離できないもの 指で除去できないもの
[スクラッチ耐性]
上記はんだ耐熱性試験と同様にして、実施例および比較例の各組成物を用いて硬化膜を有する基板を作製した。
得られた基板の硬化膜上に、18μmのポリイミドフィルムに35μmの銅箔を両面に張り付けた基板(両面銅張フレキシブル基板)を乗せ、さらにその上に直径12mmの円形で底面が平らな1kgの重りをのせた。この状態で両面銅張フレキシブル基板を平行に約10cmひっぱり、硬化膜上に黒色痕が出来るかどうかを以下の基準で評価した。
○:黒色痕なし
△:幅1mm以下の黒色痕が存在
×:幅1mmを超える黒色痕または、幅1mm以下の複数の黒色痕が存在
[金めっき耐性]
上記はんだ耐熱性試験と同様にして、実施例および比較例の各組成物を用いて硬化膜を有する基板を作製した。
次に、市販品の無電解ニッケルめっき浴及び無電解金めっき浴を用いて、ニッケル0.5μm、金0.03μmの条件でめっきを行い、目視により硬化膜の剥がれの有無やめっきのしみ込みの有無を評価した後、テープピーリングにより硬化膜の剥がれの有無を評価した。判定基準は以下のとおりである。
○:染み込み、剥がれが見られない。
△:めっき後にほんの僅かしみ込みが見られ、テープピール後に剥がれも見られる。
×:めっき後に剥がれが有る。
*1:上記で得たカルボキシル基含有樹脂溶液A−1(固形分65.0%、固形分酸価89mgKOH/g)
*2:上記で得たカルボキシル基含有樹脂溶液A−2(固形分50.0%、固形分酸価70mgKOH/g)
*3:上記で得たカルボキシル基含有樹脂溶液A−3(固形分45.5%、固形分酸価70mgKOH/g)
*4:日産化学工業社製TEPIC−HP(エポキシ当量100g/eq.)
*5:日産化学工業社製TEPIC−S(β体は25質量%以下、エポキシ当量100g/eq.)
*6:三菱化学社製jER828(エポキシ当量186g/eq.)
*7:石原産業社製タイペークCR−58、ルチル型酸化チタン
*8:ジシアンジアミド
*9:信越シリコーン社製KS−66
*10:BASFジャパン社製IRGANOX1010、酸化防止剤
*11:カルボキシル基含有樹脂に含まれるカルボキシル基の1当量に対する熱硬化成分に含まれるエポキシ基の当量比
上記表中に示す結果から、本発明の熱硬化性樹脂組成物は、保存安定性、乾燥塗膜の剥離性に優れ、硬化物がはんだリフロー時に変色しにくいことがわかる。一方、トリグリシジルイソシアヌレート全量基準でβ体が90質量%未満の比較例1の熱硬化性樹脂組成物は、保存安定性および乾燥塗膜の剥離性に劣ることがわかる。また、他の熱硬化成分を含有する比較例2、3の熱硬化性樹脂組成物、および、さらにアルカリ溶解性樹脂を含有しない比較例4の熱硬化性樹脂組成物は、保存安定性および乾燥塗膜の剥離性に劣り、また、リフロー後に変色しやすいことがわかる。

Claims (9)

  1. (A)アルカリ可溶性樹脂、(B)トリグリシジルイソシアヌレートおよび(C)酸化チタンを含有し、
    感光性モノマーを含有せず、
    前記(B)トリグリシジルイソシアヌレートは、S−トリアジン環骨格面に対し3個のエポキシ基が同一方向に結合した構造をもつβ体であるトリグリシジルイソシアヌレートを含有し、
    前記S−トリアジン環骨格面に対し3個のエポキシ基が同一方向に結合した構造をもつβ体であるトリグリシジルイソシアヌレートの含有量が、前記(B)トリグリシジルイソシアヌレート全量基準で90質量%以上であることを特徴とする熱硬化性樹脂組成物。
  2. 前記(A)アルカリ可溶性樹脂が、カルボキシル基含有樹脂であることを特徴とする請求項1記載の熱硬化性樹脂組成物。
  3. 硬化物のリフロー前後における色差ΔEが2.0以下であることを特徴とする請求項1または2記載の熱硬化性樹脂組成物。
  4. 前記カルボキシル基含有樹脂が、エチレン性不飽和二重結合を有さないカルボキシル基含有樹脂であることを特徴とする請求項2または3記載の熱硬化性樹脂組成物。
  5. 前記カルボキシル基含有樹脂が、芳香環を有するカルボキシル基含有樹脂であることを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項記載の熱硬化性樹脂組成物。
  6. 前記(A)アルカリ可溶性樹脂に含まれるアルカリ可溶性基の1当量に対し、前記(B)トリグリシジルイソシアヌレートに含まれるエポキシ基の当量比が、3.0以下であることを特徴とする請求項1〜5のうちいずれか一項記載の熱硬化性樹脂組成物。
  7. ソルダーレジスト形成用であることを特徴とする請求項1〜6のうちいずれか一項記載の熱硬化性樹脂組成物。
  8. 請求項1〜7のうちいずれか一項記載の熱硬化性樹脂組成物を、硬化して得られることを特徴とする硬化物。
  9. 請求項8記載の硬化物を有することを特徴とするプリント配線板。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
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